(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1]実施形態
[1−1]全体構成
図1は一実施形態に係る解答集計システム1の全体構成を例示する図である。解答集計システム1は、受験者の試験の解答を集計するサービス(以下「解答集計サービス」という)を提供するためのシステムである。解答集計システム1が集計の対象とする試験は、例えば、学校のテストや入学試験、専門の資格やライセンスをとるための試験である。解答集計システム1は、特に、設問数が多く、解答が発表されるまでに要する時間が長い試験、例えば医師国家試験に対して好適である。解答集計システム1は、ネットワーク2、サーバ10、およびクライアント端末20を備える。ネットワーク2は、装置間の情報のやり取りを仲介する。ネットワーク2は、例えば、インターネットおよび移動体通信網を含む。サーバ10およびクライアント端末20はネットワーク2に接続して情報をやり取りする。サーバ10は、複数の受験者の解答を集計する処理を行う。クライアント端末20は、スマートフォン、タブレット端末、またはパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。クライアント端末20は、試験の解答を入力する操作を受け付ける処理や、集計結果を表示する処理などを行う。
【0013】
[1−2]機能構成
図2は解答集計システム1の機能構成を例示する図である。受信手段111は、与えられた選択肢の中から解答を選択する形式の複数の設問を含む試験(多肢選択式試験)について、複数の受験者の各々が複数の設問の各々において選択した選択肢を示すデータを受信する。集計手段112は、受信手段111により受信されたデータを記憶し、記憶されたデータに基づいて、複数の設問の各々において複数の受験者により選択された選択肢を集計する。
【0014】
特定手段113は、設問毎に、各設問において正解とされる数の選択肢を、前記受験者によって選択された割合(得票率)の多い順に特定し、特定した選択肢を特定選択肢とする。例えば、択一式試験において、各設問において正解とされる選択肢の数は1つである。別の例で、「正しい選択肢を2つ選べ」という設問において正解とされる選択肢の数は2つである。特定選択肢は、例えば択一式試験において選択した受験者が最も多い選択肢であり、正解である可能性が極めて高い選択肢である。算出手段114は、複数の受験者のうち対象となる一の受験者について、特定選択肢とその一の受験者によって選択された選択肢とを比較し、複数の設問におけるその一の受験者の解答と特定選択肢との一致率を算出する。
【0015】
出力手段115は、一の受験者のクライアント端末において一致率を表示するためのデータ、および複数の設問の各々において各設問に含まれる2以上の選択肢の割合の関係性が予め定められた条件を満たす特定設問(割れ問)を表示するためのデータを出力する。特定設問は、例えば、得票率の降順に選択肢を並べた場合に正解とされる数の順位(n位(nは自然数))の選択肢が選択された割合と正解とされる数の次の順位((n+1)位)の選択肢が選択された割合との差が小さいことを示す条件を満たす設問である。
【0016】
推定手段116は、算出手段114が算出した一致率に基づいて一の受験者の合格可能性を推定する。記憶手段117は、各種のデータを記憶する。この例で、記憶手段117は、試験の問題文および各選択肢のデータを記憶する。受信手段111、集計手段112、特定手段113、算出手段114、出力手段115、推定手段116、および記憶手段117は、サーバ10に実装される。
【0017】
受付手段211は、受験者により選択された設問毎の選択肢の入力を受け付ける。送信手段212は、入力が受け付けられた選択肢を示すデータをサーバ10に送信する。表示制御手段213は、サーバ10により出力されたデータに従って、一致率および特定設問を表示手段214に表示させる。表示手段214は、各種の情報を表示する。この例で、受付手段211、送信手段212、表示制御手段213、および表示手段214は、クライアント端末20に実装される。
【0018】
図3はサーバ10のハードウェア構成を表す。サーバ10は、クライアント端末20とやり取りする情報を処理する情報処理装置(コンピュータ装置)である。サーバ10は、各種データを記憶するメモリ101と、メモリ101に記憶されているプログラムに従ったデータ処理を行うプロセッサ102と、データ通信を行うインタフェースである通信IF103を備える。メモリ101は、各種のデータおよびプログラムを記憶するHDDまたはSSD等のストレージを含む。
【0019】
この例で、サーバ10のメモリ101は、コンピュータ装置に
図2のサーバ10の機能を実装するためのプログラムを記憶する。このプログラムを実行しているプロセッサ102は、受信手段111、集計手段112、特定手段113、算出手段114、出力手段115、および推定手段116の一例である。
【0020】
図4はクライアント端末20のハードウェア構成を表す。クライアント端末20は、メモリ201、プロセッサ202、通信IF203、およびタッチディスプレイ204を有するコンピュータ装置であり、具体的には例えばスマートフォンまたはタブレット端末である。メモリ201は、各種のデータおよびプログラムを記憶するHDDまたはSSD等のストレージを含む。プロセッサ202は、メモリ201に記憶されているプログラムに従ったデータ処理を行う。通信IF203はデータ通信を行うインタフェースである。タッチディスプレイ204は、表示装置(例えば液晶ディスプレイ)と入力装置(例えばタッチパネル)が一体として構成されたユーザインタフェースである。
【0021】
この例で、クライアント端末20のメモリ201は、コンピュータ装置に
図2のクライアント端末20の機能を実装するためのプログラムを記憶する。このプログラムを実行しているプロセッサ202は、受付手段211、送信手段212および表示制御手段213の一例である。タッチディスプレイ204は、表示手段214の一例である。
【0022】
[1−3]動作
図5は、解答集計システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。この動作例では、ある特定の試験(以下「対象試験」という)について受験者の解答を集計し、結果を表示する動作を説明する。対象試験は、与えられた選択肢の中から解答を選択する形式の複数の設問を含む。この例で、まず、受験者は、クライアント端末20の表示装置(例えばタッチディスプレイ204)を操作し、解答集計システム1のログイン画面を表示するための操作を行う。この例で、解答集計システム1は事前のユーザ登録を要する。受験者は、事前にユーザ登録を行う。ユーザ登録の際、受験者は自身のユーザプロファイル(一例としては、氏名、住所、年齢、学歴等)を入力する。ユーザ登録が完了した受験者にはユーザIDおよびパスワードが与えられる。ステップS1において、クライアント端末20は、受験者の操作に応じてWebブラウザを起動し、解答集計システムのログイン画面の取得要求をサーバ10へ送信する。
【0023】
クライアント端末20から取得要求を受信すると、サーバ10は、受信した取得要求に対応するログイン画面を表すデータをクライアント端末20へ送信する(ステップS2)。ステップS3において、クライアント端末20は、サーバ10からデータを受信し、受信されたデータの表すログイン画面を表示装置に表示する。
【0024】
図6は、クライアント端末20で表示されるログイン画面の一例を示す図である。
図6の例では、ログインを行うためのテキスト入力ボックスおよびボタンが表示される。なお、ユーザ登録を未だ行っていない受験者は、この画面においてユーザ登録を行うための操作を行い、ユーザ登録を行う。
【0025】
図6の画面において、受験者は、自身のユーザIDおよび/またはパスワード(以下「ログイン情報」という)を入力し、ログインボタンを押下する。ステップS4において、クライアント端末20は、入力されたログイン情報をサーバ10へ送信する。ステップS5において、サーバ10は、クライアント端末20から受信されたログイン情報を用いてユーザ認証を行う。認証に成功した場合、サーバ10は、ステップS6において、解答集計システム1の機能を選択するための画面(以下「メニュー選択画面」という)のデータをクライアント端末20へ送信する。なお、認証に失敗した場合、サーバ10は、メニュー選択画面のデータの送付を行うことなく、認証に失敗した旨を示すデータをクライアント端末20へ送信する。
【0026】
ステップS7において、クライアント端末20は、サーバ10から受信されたデータに従ってメニュー選択画面を表示装置に表示する。メニュー選択画面は、解答集計サービスにおいて提供されるメニューを含む。
【0027】
図7は、メニュー選択画面の一例を示す図である。
図7の画面において、受験者は、「解答入力」、「集計結果を表示」および「一致率を表示」のメニューが選択可能となっている。「解答入力」は対象試験において受験者が選択した選択肢(すなわち受験者の解答)を入力するためのメニューである。「集計結果を表示」は解答集計システム1による集計結果を表示するためのメニューである。「一致率を表示」は、ログインしている受験者の選択結果と、解答集計システム1により特定された特定選択肢との一致率を表示するためのメニューである。受験者は、まず、「解答入力」のメニューを選択する。
【0028】
受験者によって「解答入力」のメニューが選択されると、ステップS8において、クライアント端末20は、受験者が解答を入力するための画面(以下「解答入力画面」という)のデータの取得要求をサーバ10に送信する。サーバ10は、ステップS9において、クライアント端末20からの取得要求に応じて、解答入力画面のデータをクライアント端末20へ送信する。ステップS10において、クライアント端末20は、受信されたデータに応じて、解答入力画面を表示し、受験者により選択された設問毎の選択肢の入力を受け付ける。
【0029】
図8は、解答入力画面の一例を示す図である。
図8の画面には、対象試験に含まれる各設問について、受験者が選択肢を選択するためのチェックボックスが表示される。
図8の画面において、受験者は、対象試験において自身が選択した選択肢に対応するチェックボックスを選択する操作を行う。なお、この動作例に係る対象試験は、正解とされる選択肢の数は設問毎に異なっている。対象試験には、正解とされる選択肢の数が1の設問に限らず、例えば正解とされる選択肢の数が2または3である設問も含まれる。
【0030】
受験者は各設問において自身が選択した選択肢に対応するチェックボックスを選択し、「登録」ボタンを選択する。受験者により「登録」ボタンが選択されると、ステップS11において、クライアント端末20は、受験者が複数の設問の各々において選択した選択肢を示すデータ(以下「選択結果データ」という)をサーバ10へ送信する。ステップS12において、サーバ10はクライアント端末20から選択結果データを受信する。なお、サーバ10は、選択結果データを複数のクライアント端末20から異なるタイミングでそれぞれ受信する。
【0031】
ステップS13において、サーバ10は、受信された選択結果データに基づいて、対象試験に含まれる複数の設問の各々において複数の受験者により選択された選択肢を集計する。この実施形態では、サーバ10は、複数の設問の各々において、各選択肢の得票数をカウントし、カウント結果に従って各選択肢の得票率を算出する。なお、集計の態様はこれに限られず、他の態様であってもよい。例えば、サーバ10は、各選択肢の得票数をカウントするのみであってもよい。サーバ10による集計結果は、サーバ10の予め定められた記憶領域に記憶される。
【0032】
ステップS14において、サーバ10は、対象試験に含まれる設問毎に、各設問において正解とされる数の選択肢を、受験者によって選択された割合(得票率)の多い順に特定する。以下の説明では、このステップで特定される選択肢を「特定選択肢」という。
【0033】
ステップS15において、サーバ10は、ステップS11で選択結果データの送信元のクライアント端末20に対応する受験者について、上記特定選択肢とこの受験者によって選択された選択肢とを比較し、複数の設問におけるこの受験者の解答と上記特定選択肢との一致率を算出する。この一致率は、複数の設問をグループ化してグループ毎(例えば科目毎)に算出されてもよい。サーバ10により算出された一致率を示すデータおよび特定選択肢を示すデータは、サーバ10の予め定められた記憶領域に記憶される。
【0034】
また、ステップS151において、サーバ10は、算出された一致率に基づいて、その受験者の合格可能性を推定する。この推定は、例えば、サーバ10は、算出された一致率に従って、合格可能性を示すランク(例えば、Aランク、Bランク、Cランク、など)を特定してもよい。また、他の例として、例えば、サーバ10は、算出された一致率を予め定められた関数を用いて変換し、変換された値に応じて合格可能性を示すランクを特定してもよい。
【0035】
また、サーバ10は、設問毎に設定された重み付け係数を用いて合格可能性を推定してもよい。このとき、サーバ10は、割れ問の重み付け係数を割れ問以外の設問(以下「通常設問」という)の重み付け係数よりも小さくしてもよい。具体的には、例えば、サーバ10は、正解したと推定される(その受験者の選択した選択肢が特定選択肢と一致している)割れ問の数に0.5を乗算した値と、正解したと推定される(その受験者の選択した選択肢が特定選択肢と一致している)通常設問の数との合計値を、割れ問の総数に0.5を乗算した値と通常設問の総数との合計値で除算することにより、割れ問の重み付けを軽くした一致率を算出し、算出した一致率に基づいて合格可能性を特定してもよい。サーバ10により算出された合格可能性を示すデータは、サーバ10の予め定められた記憶領域に記憶される。
【0036】
ステップS16において、サーバ10は、解答の入力を受け付けた旨を示すレスポンスをクライアント端末20に送信する。なお、レスポンスの送信タイミングはこれに限られない。例えば、ステップS12の処理を行うに先立ってレスポンスが送信されてもよい。
【0037】
サーバ10からレスポンスを受信すると、クライアント端末20は、ステップS17において、再度
図7に例示したメニュー選択画面を表示する。受験者は、
図7に示す画面が表示されている状態において、「集計結果を表示」のメニューを選択する操作を行う。「集計結果を表示」のメニューが選択されると、ステップS18において、クライアント端末20は集計結果の表示画面の取得要求をサーバ10に送信する。なお、解答入力の動機を与えるため、「集計結果を表示」のボタンは、解答の入力が完了している場合にのみ表示されてもよい。
【0038】
ステップS19において、サーバ10は、ステップS18で送信された取得要求の送信元であるクライアント端末20において上記集計された集計結果を示すデータを送信(出力)する。このとき、サーバ10は、対象試験に含まれる複数の設問のうち、各設問に含まれる2以上の選択肢の割合の関係性が予め定められた条件を満たす特定設問(割れ問)を表示するためのデータもあわせてクライアント端末20に送信(出力)する。この実施形態において、「割れ問(特定設問)」とは、その設問の選択肢を得票率の高い順に並べた場合に、正解とされる数の順位(n位)の選択肢の得票率と、正解とされる数の次の順位((n+1)位)の選択肢の得票率との差が小さいことを示す条件を満たす設問をいう。
【0039】
この例で、「割れ問(特定設問)」は、その設問の選択肢を得票率の高い順に(すなわち降順に)並べた場合に、正解とされる数の順位であるn位の選択肢の得票率に対する、その次の順位である(n+1)位の選択肢の得票率の割合が、しきい値(例えば70%)以上である設問をいう。例えば、正解とされる選択肢の数が「1」の設問については、得票率が最も大きい選択肢の得票率に対する、その次の順位(すなわち第2位)の選択肢の得票率の割合が70%以上である場合に、その設問は割れ問であると特定される。より具体的には、選択された割合が最も大きい選択肢の得票率が50%である場合、第2位の選択肢の得票率が(50×0.7=)35%以上である設問は割れ問であると特定される。一方、第2位の選択肢の得票率が35%未満である設問は割れ問でないと判定される。
【0040】
正解とされる選択肢の数が複数の場合も、同様の処理により特定される。例えば、正解とされる選択肢の数が「2」である設問の場合、その設問の選択肢を得票率の高い順に並べて得票率が第2位の選択肢の得票率に対する、第3位の選択肢の得票率が70%以上である場合に、その設問が割れ問であると特定される。また、例えば、正解とされる選択肢の数が「3」である設問においては、その設問の選択肢を得票率の高い順に並べた場合の第3位の選択肢の得票率に対する、第4位の選択肢の得票率が70%以上である場合に、その設問が割れ問であると特定される。
【0041】
また、サーバ10は、ステップS19において、上記割れ問について、受験者が議論するための掲示板にアクセスするためのリンクを表示するためのデータをクライアント端末20に送信する。
【0042】
ステップS20において、クライアント端末20は、サーバ10により出力されたデータに従って、集計結果および割れ問を表示装置に表示する。
【0043】
図9はクライアント端末20によって表示装置に表示される集計結果および割れ問を表す画面の一例を示す図である。
図9の例では、複数の設問の各々を識別する番号(以下「設問番号」という)が表示されるとともに、複数の設問の各々について、全得票数および複数の選択肢のそれぞれの得票率が集計結果として表示されている。また、各設問において、特定選択肢が「予想解答」として太字で示されるとともに、その受験者が選択した選択肢が「自分の解答」として下線付きで示されている。
【0044】
また、
図9の例では、割れ問であることを示すアイコンI1、I2が設問番号に隣接する位置に表示される。これらのアイコンは、受験者が議論するための掲示板にアクセスするためのリンクを表示するものである。この動作例では、割れ問がさらに細分化して区分されて表示される。具体的には、n位の選択肢の得票率に対する(n+1)位の選択肢の得票率の割合が90%以上の設問には「激割れ」と記されたアイコンが表示され、80%以上90%未満の設問には「割れ問」と記されたアイコンが表示され、70%以上80%未満の設問には「チョイ割れ」と記されたアイコンが表示される。なお、上記差が70%未満の設問にはアイコンは表示されない。この動作例では、これらの割れ問の種別(「激割れ」、「チョイ割れ」、など)を示すデータが、サーバ10によりクライアント端末20に送信され、クライアント端末20はサーバ10から受信されるデータに従ってこれらのアイコンを表示させる。
【0045】
受験者は
図9に例示される画面を確認することにより、他の受験者の選択結果を含む集計結果を把握することができ、自身の選択結果との差分を認識することができる。このとき、割れ問についてはその旨を示すアイコンが表示されるため、どの設問が割れ問であったかを把握し易い。
【0046】
図9に例示される画面において、割れ問であることを示すアイコンを選択する操作が受験者により行われると、ステップS21において、クライアント端末20は、選択されたアイコンに対応するデータの取得要求をサーバ10に送信する。
【0047】
ステップS22において、サーバ10は、クライアント端末20から受信された取得要求に対応する掲示板の画面を表すデータをクライアント端末20に送信する。ステップS23において、クライアント端末20は、サーバ10から受信されたデータに従って掲示板を表示装置に表示する。
【0048】
図10は表示装置に表示される掲示板の画面の一例を示す図である。この掲示板において、各質問に対するコメントに受験者が評価を行うために、投稿された回答(コメント)に投票するためのアイコンI11、I12などが表示されてもよい。これらのアイコンを用いた投票によりベストアンサーが選出される。受験者によりアイコンI11、I12が押下されると、その旨を示すデータがクライアント端末20からサーバ10へ送信され、サーバ10で投票結果が集計される。この場合、投票で選出されたベストアンサーが最上位に表示されるようにクライアント端末20および/またはサーバ10で制御が行われてもよい。
【0049】
次いで、メニュー選択画面において受験者により「一致率を表示」のメニューが選択された場合の動作を説明する。「一致率を表示」が選択された場合、ステップS24において、クライアント端末20は、一致率を表示する画面(以下「一致率表示画面」という)のデータの取得要求をサーバ10に送信する。
【0050】
ステップS25において、サーバ10は、受信された取得要求の応答として、取得要求の送信元であるクライアント端末20に対応する受験者について算出された一致率を表示するためのデータ、およびその一致率に基づいて推定された合格可能性を示すデータを、クライアント端末20に送信(出力)する。クライアント端末20は、ステップS26において、サーバ10から出力されたデータに従って一致率および合格可能性を表示装置に表示する。
【0051】
図11は表示装置に表示される一致率および合格可能性を表す画面の一例を示す図である。
図11の例では、その受験者の解答と特定選択肢との一致率を示す数値が科目毎に表示されるとともに、合格可能性を示すランクが表示される。
【0052】
この実施形態では、複数の受験者の解答結果を集計して特定選択肢を設問毎に特定し、特定された特定選択肢と各受験者の解答結果との一致率がクライアント端末20に表示さ
れるとともに、割れ問が含まれる場合に割れ問を示す画像が表示される。受験者は、クライアント端末20に表示された画面をみることで、自身の試験の出来具合を把握し易い。
【0053】
特に、この実施形態では、複数の受験者の得票率を集計し、一致率を表示することにより、おおよその点数を試験終了直後から推定することができる。また、多数の受験者が解答出来ている設問に解答出来ていることが合格という観点において重要である場合があり、実際の採点よりも本実施形態で推定される合格可能性が有益となる場合もある。
【0054】
また、この実施形態では、割れ問について議論するための掲示板が割れ問毎に設けられ、受験者に提供される。受験者は、この掲示板を用いて他の受験者にその設問について質問したりする等、議論することができる。このように、合格の推定に対して曖昧な位置づけである割れ問に対して受験者が議論をすることができ、これにより、合格可能性の推定の精度が高められる。また、掲示板上でベストアンサーが提示されることにより、受験者の承認欲求が満たされるとともに、質の高い解説を提供することができる。
【0055】
[2]変形例
上述した実施形態は本発明の実施の一例に過ぎず以下のように変形させてもよい。また、上述した実施形態および以下に示す各変形例は必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0056】
(1)上述の実施形態では、サーバ10は、設問毎に設けられた複数の選択肢を降順に並べた場合の、正解とされる数の順位(n位)の選択肢の得票率に対する、その次の順位((n+1)位)の選択肢の得票率の割合が予め定められた閾値以上である設問を、割れ問(特定設問)とした。割れ問を特定する方法はこれに限られない。例えば、サーバ10は、n位の選択肢の得票率と(n+1)位の得票率との差分が予め定められた閾値(例えば、30%ポイント)未満である設問を、割れ問として特定してもよい。この閾値は、正解とされる選択肢の数に応じて変化してもよい。一例としては、正解とされる選択肢の数が1つである設問(択一問題)に対しては閾値が30%ポイントであり、正解とされる選択肢の数が2つである設問に対しては閾値が15%ポイントである。
【0057】
また、上述の実施形態では、サーバ10は、n位の選択肢の得票率と(n+1)位の選択肢の得票率との差が小さいことを示す条件を満たすものを割れ問として特定したが、割れ問を特定する方法はこれに限られない。例えば、サーバ10は、その設問に含まれる2以上の選択肢の割合の関係性(例えば、差または比)が予め定められた条件を満たす設問を割れ問として特定してもよい。一例としては、(n+1)位と(n+2)位の得票率の差が閾値よりも大きい場合に、この設問が割れ問と特定される。あるいは、(n+1)位の得票率に対する(n+2)位の得票率の比が閾値より小さい場合に、この設問が割れ問と特定される。別の例で、サーバ10は、その設問に含まれる全ての選択肢の割合がそれぞれ予め定められた範囲内の数値である場合に、その設問を割れ問として特定してもよい。一例としては、選択肢が5つある択一問題において、第1位の選択肢の得票率が40〜55%であり、第2位の選択肢の得票率が30〜50%であり、第3位以下の得票率が10%以下である場合に、この設問が割れ問と特定される。さらに別の例で、対象となる設問の(n+1)位の選択肢の得票率が全設問の(n+1)位の得票率の平均値よりも大きく、かつ両者に統計上の有意差がある場合に、この設問が割れ問と特定される。また、割れ問を特定する際、選択肢の得票率に係る複数の条件が組み合わされて用いられてもよい。例えば、選択肢の得票率の関係性についての複数の条件のうち、2以上の条件を満たす設問が割れ問として特定されてもよい。一例としては、得票率が(n+1)位までの選択肢の合計得票率が80%以上であり、かつ、n位と(n+1)位との得票率の差が閾値よりも小さいという条件が用いられる。また、割れ問を特定および表示する機能は省略されてもよい。
【0058】
(2)上述の実施形態では、クライアント端末20は、合格可能性をランク分けして表示したが、合格可能性の表示態様は上述したものに限られない。例えば、クライアント端末20は、合格可能性を示す数値(例えば、「92%」)を表示装置に表示させてもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、一致率や合格可能性を表示するためのメニューが、メニュー選択画面(
図7)に表示され、このメニューが選択されることによって一致率や合格可能性が表示された。一致率や合格可能性が表示されるタイミングはこれに限られない。例えば、受験者が自身の解答結果を送信した(
図5のステップS11)後に、メニュー選択画面が表示されることなく、一致率や合格可能性が表示された画面(
図11の画面)が表示されてもよい。また、この場合に、
図11の画面が表示されている状態において受験者が画面を下にスクロールすると
図9の集計結果画面が表示されるように制御が行われてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、サーバ10が合格可能性を推定する方法として、割れ問の重み付けを大きくして推定を行う例を説明したが、合格可能性の推定の方法は上述したものに限られない。例えば、サーバ10は、設問数、各設問に含まれる選択肢の数、設問のカテゴリ(例えば医師国家試験の場合、必修、一般、臨床、各論、総論、など)、および/または(得票率の差や比だけでなく)得票率そのものの値、が考慮された条件により設問の重み付けを行ってもよい。
【0061】
(3)上述の実施形態において、集計結果を用いた次回の試験のための過去問演習のサイトが開設されてもよい。この場合、メニュー選択画面に「過去問演習」のメニューが表示され、受験者によりこのメニューが選択されると、過去問演習のための画面が表示される。例えば、クライアント端末20は、対象試験に含まれる複数の設問の各々について、問題文を表示するとともに、複数の選択肢の各々に対応するチェックボックスを表示する。受験者によりチェックボックスが選択されると、選択結果を示すデータがクライアント端末20からサーバ10へ送信される。サーバ10は受信されたデータに対応する選択肢と特定選択肢とを比較し、受験者の解答の正誤判定を行う。
この態様によれば、解答集計システム1は、次回の試験のための過去問演習および解説サイトを試験直後から受験者に提供することができる。また、受験者は試験の公開直後から過去問を演習することができる。
【0062】
この過去問演習の機能において、上述した掲示板において各設問のベストアンサーとして選ばれた回答(コメント)が、その設問の解説としてクライアント端末20に提供されてもよい。また、過去問演習の画面は例えばスマートフォン用に調整されてクライアント端末20に提供されてもよい。
【0063】
また、過去問演習のメニューにおいて、受験者の成績を管理する機能が設けられてもよい。例えば、サーバ10が、受験者による過去問の解答結果に応じて、学習の進捗状況や分野毎の正解率を集計し、集計結果を示すデータをクライアント端末20に提供してもよい。また、受験者が自信のない設問をマークする機能が設けられてもよい。受験者の成績を管理する機能を設けることにより、受験者は自身の学習の進捗状況や分野毎の理解力を確認することができる。また、自信のない設問がマークされることにより、後で見返す設問を設定することができ、学習をより効率的に進めることができる。
【0064】
(4)上述の実施形態では、受験者は解答集計システム1を利用するためにユーザ登録を行う必要があったが、ユーザ登録を必要としない構成としてもよい。この場合、例えば、サーバ10が仮のユーザID(仮ユーザID)を発行してクライアント端末20が仮ユーザIDを表示装置に表示させ、表示された仮ユーザIDを受験者自身が記憶して用いることにより、受験者が識別されてもよい。また、上述の実施形態において、クライアント端末20が、Webブラウザのcookie(またはキャッシュ)にログイン情報を記録し、次回以降のログインに係るユーザ入力が省略される構成であってもよい。
【0065】
(5)上述の実施形態において、一致率の分布図がクライアント端末20で表示されてもよい。例えば、横軸が一致率を示し、縦軸が度数を示す分布図がクライアント端末20に表示されるとともに、クライアント端末20に対応する受験者の一致率がどこに位置するかを示す画像があわせて表示されてもよい。
【0066】
(6)上述の実施形態では、クライアント端末20はWebブラウザによりサーバ10とデータの授受を行ったが、解答集計システム1を利用するためのアプリケーションはWebブラウザに限られない。例えば、専用のアプリケーションがクライアント端末20にインストールされてそのアプリケーションがサーバ10とデータの遣り取りを制御してもよい。
【0067】
また、クライアント端末20はタッチディスプレイを備えるスマートフォンなどの端末であってもよく、また、タッチディスプレイ以外の入力インタフェース(例えば、マウスやキーボードなど)によりユーザ入力がなされるパーソナルコンピュータであってもよい。
【0068】
(7)上述の実施形態に係る掲示板において、コメントの質や量の向上のため、よい評価を受けたコメントをした受験者に対して、ランク付けが行われてもよい。例えば、サーバ10が受験者による投票結果を集計し、集計結果に従って、評価が予め定められた基準値を超えたコメントをした受験者のランクを予め定められたランクとして特定し、特定結果を示すデータを出力してもよい。
【0069】
(8)解答集計システム1における機能の分担は実施形態で例示したものに限定されない。実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部を、クライアント端末20に実装してもよい。例えば、合格可能性の推定処理をクライアント端末20に実装してもよい。また、サーバ10およびクライアント端末20のハードウェア構成は実施形態で例示したものに限定されない。要求される機能を実現できるものであれば、サーバ10およびクライアント端末20は、どのようなハードウェア構成を有していてもよい。
【0070】
(9)解答集計システム1に係るプログラムは、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体により提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してダウンロードされてもよい。なお、このプログラムは、
図5の全てのステップを備える必要はなく、その一部のみを備えていてもよい。