(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
このようなコマ玩具を使用してのバトルゲームは、ランチャ(発射装置)等で2 個以上のコマ玩具が回転付勢されてゲーム盤に放たれたところから開始される。そして、コマ玩具同士のぶつかり合いによって、軸部に対して胴体が結合位置から結合解除位置まで回転されることでコマ玩具の胴体と軸部とが分解されたりすることでバトルゲームが終了する。この間、遊戯者は自己のコマ玩具に感情移入するなどしてバトルゲームのスリル感を楽しむことができる。したがって、バトルゲームを十分に楽しむためには、バトルゲームが一瞬で終わらないようにすることが望まれる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたもので、分解されるまでの時間を長くする構造を持つコマ玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
第1の爪及び第1の摺接要素を有する胴体と、
第2の爪、第2の摺接要素が設けられた押圧部材、前記押圧部材を上方に向けて付勢する付勢部材、及び、接地部を有する軸部と、
を備え、
前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なり合わない位置で前記胴体と前記軸部とを上下方向から突き合わせ、前記付勢部材の付勢力に抗した状態で前記胴体を前記軸部に対して前記接地部の軸心を中心として一方向に所定量相対回転させ、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面とを上下方向で重なり合わせて前記胴体と前記軸部とを結合させるとともに、前記第1の摺接要素と前記第2の摺接要素とを上下方向で当接させて回転抵抗として機能させるコマ玩具において、
前記接地部は、前記軸部の軸部本体に対して上下動可能に設けられると共に、前記付勢部材によって下方に向けて付勢されていることを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、前記第1の摺接要素及び前記第2の摺接要素は互いの当接により噛み合う噛合要素から構成されていることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段において、前記付勢部材はコイルスプリングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の手段によれば、接地部と押圧部材とが1つの付勢部材で互いに離間する方向に付勢され、コマ玩具が沈むような状況では接地部がゲーム盤から反力を受け軸本体に対して上動する。その分、摺接要素同士の当接力が強くなるので回転抵抗が増し、相対回転しにくくなる。
【0010】
第2の手段によれば、摺接要素が噛合要素から構成されているので、コマ玩具の胴体が上から外力を受けると、噛合要素同士の噛み合い力が大きくなる。
【0011】
第3の手段によれば、付勢部材がコイルスプリングから構成されているので、適度に摺接要素同士を当接させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
《全体構成》
図1は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の遊び方を説明した図、
図2は、本実施形態のコマ玩具の分解斜視図、
図3は、本実施形態のコマ玩具の胴体と性能可変リングとを示した分解断面斜視図である。なお、本明細書においては、上下、左右及び前後は
図2に示した向きを言うものとする。
実施形態のコマ玩具1は、いわゆるバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。具体的には、このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を
図1の右側のように分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用できる。
このコマ玩具1は、
図2に示すように、下部構造を構成する軸部10及び性能可変リング30と、上部構造を構成する胴体40とによって構成されている。
【0015】
《細部構成》
1.軸部10について
図2に示すように、軸部10は、下端部に接地部11、上下方向中間部に鍔12、上部に円筒部13を備えている。 このうち鍔12と円筒部13とは一体に形成され軸部上部を構成し、この鍔12及び円筒部13は軸部下部に対してネジ19(
図4及び
図5参照)で固定されている。
【0016】
(1)軸部下部
図4は軸部を上方から見た状態を示した分解斜視図、
図5は軸部を下方から見た状態を示した分解斜視図である。これらの図に示すように、軸部下部は、椀状の外枠部材 100と、この外枠部材100の凹部101に内嵌される接地部材110とから構成されている。
【0017】
外枠部材100の底部には孔102が形成されている。また、孔102の縁には、接地部材110を下方から支持するための突片103が円周方向に等間隔で4個形成されている。また、外枠部材100の内周には、下半部が上半部に対して径が小さくなるような段部が形成されており、下半部の内片には上下方向に延びる案内溝107が円周方向に等間隔に複数形成されている。
外枠部材100の上端開口部には鍔104が形成されている。鍔104の上面には軸心を挟んで左右方向で対峙する部位のそれぞれに嵌合溝105が形成されている。各嵌合溝105は外枠部材100の半径方向に延在している。この各嵌合溝105の底には上下に貫通するネジ挿通孔106が形成されている。
【0018】
接地部材110は、外枠部材100の内側に嵌合する内嵌部111と、内嵌部111の下端に設けられた接地部11とを備えている。
内嵌部111は有底円筒状に形成されている。内嵌部111の上端開口部には鍔112が形成されている。鍔112は、内嵌部111が外枠部材100の内側に嵌合した際、外枠部材100の内側段部に着座する。また、内嵌部111の外周壁には軸を挟んで左右方向で対峙する部位のそれぞれに軸心方向に延び上端に達する切欠き113が形成されている。また、内嵌部111の外周には軸心と平行に延びる凸条114が円周方向に等間隔に複数形成されている。この凸状114は、内嵌部111が外枠部材100の内側に嵌合した際、案内溝107に係合する。
【0019】
(2)軸部上部
鍔12及び円筒部13には、接地部11の軸心を挟み前後方向で対峙する部位のそれぞれに孔14が形成されている。また、円筒部13には、接地部11の軸心を挟み左右方向で対峙する部位のそれぞれに突出部15が形成されている。この突出部15の外面は鍔12の外周面と面一となっている。
【0020】
また、
図2及び
図4に示すように、円筒部13の内側には円柱体16が立設されている。この円柱体16は内部が空洞で下方が開口している。また、
図4及び
図5に示すように、円柱体16の下端には左右に留め具160が1個ずつ設けられている。各留め具160はZ字状に形成されている。すなわち、各留め具160は、円柱体13の外周下端に一端が連結され円柱体16の半径方向外方に向けて延びる基端部161と、基端部161の他端から起立する起立部162と、起立部162の上端に連結され半径方向外方に向けて延びる先端部163とを備えている。この留め具160の先端部163にはネジ挿通孔164が形成されている。
【0021】
また、軸部10は円筒状の押圧部材18を備えている。この押圧部材18は、円筒部13の内側に円柱体16の外周を取り囲むようにして設置されている。押圧部材18の外周下端部には脚部18cが設けられている。この脚部18cは接地部11の軸心を挟み前後方向で対峙する部位のそれぞれに形成されている。この押圧部材18は、脚部18cが孔14の上縁で上方への移動が規制され、常態では、押圧部材18の上端は円筒部13の上端と同一高さ位置にある。 また、押圧部材18の天井部の上面には、接地部11の軸心を挟み左右方向で対峙する部位のそれぞれに半径方向に延びる凸条(突起)21が形成されている。
【0022】
(3)軸部の組立
鍔12付きの円筒部13に押圧部材18を下方から嵌め合わせる。この組立体を、説明の便宜上、上部組立体と称する。一方、外枠部材100に接地部材110を上方から嵌め合わせる。この場合、外枠部材100の嵌合溝105と接地部材110の切欠き113とが半径方向で対向するようにする。すると、外枠部材100の案内溝107に接地部材110の凸条114が嵌まり込む。この組立体を、説明の便宜上、下部組立体と称する。
次に、上部組立体と下部組立体とを近付けるとともに、上部組立体の押圧部材18と下部組立体の接地部材110の鍔112との間にコイルスプリング20を介在させる。そして、円柱体16の留め具160の先端部163を外枠部材100の嵌合溝105に嵌め込む。この状態で、雄ネジ19を外枠部材110のネジ挿通孔106と留め具160のネジ挿通孔164に挿通して上部組立体の鍔12に螺合させる。
これによって、軸部10が組み立てられる(
図6(A)参照)。この状態では、コイルスプリング20の付勢力によって、押圧部材18及び接地部材110が互いに離間する方向に付勢され、接地部材110の接地部11が外枠部材100の下方に突出する。なお、
図6(A)はこの軸部10に胴体40等を取り付けた状態を示している。
【0023】
2.性能可変リング30について
この実施形態では、
図2に示すように、性能可変リング30としてフライホイールが用いられている。この性能可変リング30は板状を成している。
図3に示すように、この性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12が下方から収容可能な環状段部31が形成されている。また、この性能可変リング30の上面には、接地部11の軸心を挟み左右方向で対峙する部位のそれぞれに上方に向けて張り出す突出部32が形成されている。各突出部32の下側部分には、軸部10の突出部15を下方から収容可能な凹部33が形成されている。また、性能可変リング30の上面には、各突出部32の直ぐ外側に上方に延びる舌片34が形成されている。舌片34は突出部32よりも上方に突出している。なお、この性能可変リング30としては、フライホイールに代えて或いはフライホイールと一体的で、外周面に突出部があって相手方のコマ玩具1を攻撃し易くしたものや、外周面に凹部があって相手方のコマ玩具1からの攻撃を受け難いものであってもよい。
【0024】
3.胴体40について
図2に示すように、胴体40の外周には凹凸40aが形成されている。また、胴体40の中央には円孔41が形成されている。さらに、胴体40の下面には、
図3に示すように、性能可変リング30の突出部32を下方から収容可能な環状凹部42が形成されている。 この環状凹部42を区画形成する内周壁43aの内周面下端には、接地部11の軸心を挟み前後方向で対峙する部位のそれぞれに半径方向内側に向けて張り出す爪(係合部)44が突設されている。
また、内周壁43aの内周面の上下方向中間部には、接地部11の軸心を挟み左右方向で対峙する部位のそれぞれに半径方向内側に向けて張り出す突起47が突設されている。
さらに、内周壁43aの下端面には、接地部11の軸心を挟み左右方向で対峙する部位のそれぞれに、凹凸が連続して形成され上記凸条21に噛み合う起伏部45が形成されている。 また、胴体40の環状凹部42を区画形成する天井壁43bには、性能可変リング30の舌片34を下方から挿入可能な弧状スリット46が形成されている。この弧状スリット46の長さは舌片34が十分に移動し得る長さとなっている。また、孤状スリット46の一端部は、後述のランチャー50の爪54bが縁下に係合するよう狭幅となっている。
【0025】
4.識別用部品60について
図2に示すように、識別用部品60は円孔41に取り付けられている。この識別用部品60はコマ玩具1の識別やプレイヤの識別のために使用される。 この識別のため、実施形態では、図示はしないが、この識別用部品60として互いに異なる模様及び/又は色を有するものが用意され、その中からプレイヤが選択した1つの識別用部品60が円孔41に突起47を利用してねじ式で取り付けられる。
【0026】
《組立方法》
次に、コマ玩具1の組立方法の一例を説明する。なお、ここでは、軸部10の組立は既に終了しているものとする。また、識別用部品60の円孔41への取付けも終了しているものとする。
まず、軸部10の突出部15を下方から性能可変リング30の凹部33に合致させるようにして、軸部10と性能可変リング30を嵌合状態に組み付ける。
次に、この組付け体を胴体40に下方から近付ける。この際、上記組付け体の性能可変リング30の舌片34を胴体40の弧状スリット46の所定の端に合致させる(
図8(A))。この状態は、軸部10の爪17と胴体40の爪44とは上下方向で重なっていない状態である。この状態が係合解除状態である。
その後、上記組付け体の軸部10を胴体40側に押圧する。すると、まず、性能可変リング30が胴体40の下面に押し当てられる。さらに、コイルスプリング20が縮み、軸部10の爪17が胴体40の爪44よりも上方に相対的に押し上げられる。
そして、軸部10を性能可変リング30と一体的に胴体40に対して舌片34が上記所定の端とは反対側の端まで移動するまで回転させる(
図8(B))。この場合の回転は、胴体40及び性能可変リング30と軸部10との相対的な回転であって、
図8(B)では、胴体40側を胴体40及び性能可変リング30に対して回転させた状態が示されている。すると、軸部10の爪17と胴体40の爪44とが上下で重なった状態となる。そして、軸部10から手を離すと、コイルスプリング20の付勢力によって、軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接される 軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、軸部10と、性能可変リング30及び胴体40が結合され、コマ玩具1が組み立てられる。
【0027】
《遊び方》
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例を説明する。 この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具1と戦いを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、
図9に示すようなランチャー50によって行われる。このランチャー50は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に卷回させた図示しない紐をハンドル51で引くと、円板が回転され、コマホルダー53が回転されるように構成されている。このコマホルダー53の回転は、下方に突設されたフォーク54によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を回転する。
この場合、フォーク54は胴体40の弧状スリット46に差し込まれ、孤状スリット46の縁下に爪54bが係合される。そして、ランチャー50のハンドル51を引き切ると、円板ひいてはコマホルダー53の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク54の傾斜面54aを倣ってコマ玩具1がコマホルダー53から外れる。なお、
図5において符号52はコマホルダー53に対して出没可能なロッドである。このロッド52はコマホルダー53にコマ玩具1を装着した際にコマ玩具1の上面に押されてコマホルダー53に没する。このロッド52は例えばコマ玩具1の着脱の検出に使用される。
【0028】
このようにして発射されたコマ玩具1は所定のフィールドで回転させられ、相手方のコマ玩具1に衝突すると、衝突による衝撃力や擦れ等によって、胴体40には、軸部10及び性能可変リング30の回転方向とは反対の方向の力が作用し、それによって、胴体40が軸部10及び性能可変リング30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転する。 すると、胴体40の起伏部45に凸条21が噛合し、凸条21にはコイルスプリング20の付勢力が作用するので、衝突による衝撃力が作用する毎に、胴体40に対して軸部10が相対回転して噛み合い位置を変更することにより、係止解除位置に達すると、胴体40の爪44が軸部10の爪17から外れるため、コイルスプリング20の付勢力によって胴体40が軸部10から離反する。そして、
図1において、右側に示すように、コマ玩具1は分解される。
【0029】
《軸部10の作用及び効果》
コイルスプリング20は、上述のように、押圧部材18及び接地部材110を互いに離間する方向に付勢する。この場合、コマ玩具1に外力が作用し、接地部11が軸部本体に対して没入する方向に動作すると、換言すれば、接地部11に対して軸部本体(外枠部材100等の固定部分)が沈み混むと、コイルスプリング20が縮退し、胴体40の起伏部45と凸条21との噛み合い圧力が強くなる(
図7参照)。その結果、胴体40と軸部10とが外れる方向への相対回転を鈍らせ、分解までの時間を長くすることができる。接地部11が軸部本体に対して没入する方向に動作する場面としては、ランチャー50から発射されたコマ玩具1が着地した直後、他のコマ玩具の胴体が自己のコマ玩具1の胴体30の上方から衝突したとき、他のコマ玩具との衝突に伴って自己のコマ玩具1がすり鉢状のゲーム盤の傾斜面を上ろうとするとき、などが挙げられる。かかる場面で、胴体40と軸部10とが外れる方向への相対回転を効果的に鈍らせることができる。
【0030】
《本発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、軸部10と胴体40との回転抵抗として、軸部10に凸条21を胴体40に起伏部45を形成したが、その他の形状の凸部と凹部とを形成してもよい。また、その数も上記実施形態に限定されない。さらに、回転抵抗は噛合要素に限定されず、軸部10と胴体40との対向面に形成されたゴム等の抵抗であってもよい。要は、互いの摺接によって回転抵抗になるものであればよい。換言すれば、摺接要素であれば足りる。この場合には、外部からの衝撃力等によって、軸部10と胴体40とが徐々に結合解除の方向に相対的に回転することになる。
【解決手段】 爪44及び摺接要素45を有する胴体40と、爪17、摺接要素21が設けられた押圧部材18、押圧部材18を上方に付勢する付勢部材20、及び、接地部11を有する軸部10と、を備え、爪44と爪17とが重なり合わない位置で胴体40と軸部11とを上下方向から突き合わせ、付勢部材20の付勢力に抗した状態で爪44の上面と爪17の下面とを重なり合わせて胴体40と軸部11とを結合させるとともに、摺接要素45と摺接要素21とを当接させて回転抵抗としたコマ玩具1において、接地部11を軸部本体に対して上下動可能に設け、付勢部材20によって下方に向けて付勢した。