【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0061】
[実施例1:触媒A−1の調製]
(1)メソポーラスシリカ(a−1)の合成
容量500mlのテフロン(登録商標)容器中で、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のトリブロックコポリマー((EO)
20(PO)
70(EO)
20)4gをイオン交換水81.2gに溶かし、そこに6Mの塩酸溶液40mlを加えた。メシチレン0.4gを更に加え、1.5時間撹拌した。その後、テトラエトキシシラン8.54gを5分かけて滴下した。この溶液を水浴中、35℃で24時間撹拌し、次に、撹拌を止めてオーブンで120℃に加熱し、48時間、水熱合成を行った。得られた白濁溶液をろ過し、イオン交換水でよく洗浄した後、乾燥空気中550℃で4時間焼成し、SBA−15を得た。得られたSBA−15をメソポーラスシリカ(a−1)とした。
【0062】
メソポーラスシリカ(a−1)の表面積、平均細孔径及びミクロ細孔容積を、窒素を用いたBED吸着法、及びt−プロット法により求めた。メソポーラスシリカ(a−1)の表面積は510cm
2/g、平均細孔径は12.1nm、ミクロ細孔容積は0cm
3/gであった。
【0063】
(2)アルカリ金属担持物(a−1)の合成
200℃で終夜乾燥したメソポーラスシリカ(a−1)(1g)をナスフラスコに入れ、そこに塩化カリウム水溶液3ml(KClとして0.01g)を加えた後、12時間静置した。その後、40℃で1時間、水をエバポレーションにより除去した。更にそこへイオン交換水1mlを加え、再び12時間静置した。静置後、同様にエバポレーションにより水を除去し、得られた固形物を200℃、12時間乾燥して、アルカリ金属担持物(a−1)を得た。
【0064】
(3)担体前駆体(a−1)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)(1.0g)を流通式反応管に入れ、ヘリウムガス雰囲気下、370℃、常圧下で炭酸ジメチル(DMC)と反応を行った。このとき、DMCはヘプタンに溶解させて(DMC:ヘプタン=10:1容積%)、127mmol/hの速度で1時間反応管に投入した。その後、室温まで冷却した後、希硝酸(0.1N)洗浄、ろ過、イオン交換洗浄を実施し、400℃で4時間焼成して、担体前駆体(a−1)を得た。
【0065】
(4)チタニア−シリカ担体(a−1)の合成
110℃、3時間乾燥した担体前駆体(a−1)(1g)と脱水トルエン130gを、乾燥窒素雰囲気下で500mlのフラスコ内に入れ、フラスコを密閉した。密閉状態で5分間、超音波をかけて、フラスコ内の溶液を撹拌した。次いで、仕込みのTi/Siモル比が0.3になるように、テトライソプロポキシチタンを加え、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。その後、ろ過、脱水トルエン洗浄を行い、得られた固形物を100℃で2時間乾燥、550℃で6時間焼成し、チタニア−シリカ担体(a−1)を得た。
【0066】
得られたチタニア−シリカ担体(a−1)について、窒素を用いたBET吸着法の測定を行ったところ、チタニア−シリカ担体(a−1)が均一な細孔分布を有することが確認された。
【0067】
また、得られたチタニア−シリカ担体(a−1)について、TEM−EDXを用いて、細孔の入口付近や内部などの50か所におけるTi/Siのモル比を測定し、その平均値を求めた。その結果、チタニア−シリカ担体(a−1)におけるTi/Siのモル比は、0.109±0.009であった。
【0068】
(5)触媒A−1の調製
110℃で2時間乾燥させたチタニア−シリカ担体(a−1)(1g)に対して、蒸留水50mlに溶解させたアンモニウムヘプタモリブデート(0.1362g)を加え、80℃にて蒸発乾固法でモリブデンを担持した。その後、空気中500℃で5時間、焼成し、モリブデンの酸化物換算での担持量が10質量%の触媒A−1を得た。
【0069】
[実施例2:触媒A−2の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(a−2)の合成
コーティング処理によりチタニア−シリカ担体(a−1)を得た後、同様のコーティング処理を更に2回行い、チタニア−シリカ担体(a−2)を得た。チタニア−シリカ担体(a−2)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.271±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(a−2)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。なお、
図1の(a)は担体前駆体(a−1)のBET吸着法の測定結果を示し、
図1の(b)はチタニア−シリカ担体(a−2)のBET吸着法の測定結果を示す。
(2)触媒A−2の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(a−2)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒A−2を得た。
【0070】
[実施例3:触媒A−3の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(a−3)の合成
コーティング処理によりチタニア−シリカ担体(a−1)を得た後、同様のコーティング処理を更に4回行い、チタニア−シリカ担体(a−3)を得た。チタニア−シリカ担体(a−3)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.423±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(a−3)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒A−3の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(a−3)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒A−3を得た。
【0071】
[実施例4:触媒A−4の調製]
(1)メソポーラスシリカ(a−4)の合成
メシチレンの添加量を0.08gに変更したこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてSBA−15(メソポーラスシリカ(a−4))を得た。メソポーラスシリカ(a−4)の表面積は580m
2/g、平均細孔径は9.2nm、ミクロ細孔容積は0.011cm
3/gであった。
(2)アルカリ金属担持物(a−4)の合成
メソポーラスシリカ(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(a−4)を用いたこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてアルカリ金属担持を行い、アルカリ金属担持物(a−4)を得た。
(3)担体前駆体(a−4)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)に代えてアルカリ金属担持物(a−4)を用いたこと以外は、実施例1の(3)と同様にして炭酸ジメチル処理を行い、担体前駆体(a−4)を得た。
(4)チタニア−シリカ担体(a−4)の合成
担体前駆体(a−1)に代えて担体前駆体(a−4)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(a−4)を得た。チタニア−シリカ担体(a−4)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.130±0.008であった。また、チタニア−シリカ担体(a−4)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(5)触媒A−4の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(a−4)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒A−4を得た。
【0072】
[実施例5:触媒A−5の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(a−5)の合成
実施例4の(4)の方法でコーティング処理によりチタニア−シリカ担体(a−4)を得た後、同様のコーティング処理を更に3回行い、チタニア−シリカ担体(a−5)を得た。チタニア−シリカ担体(a−5)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.315±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(a−5)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒A−5の調製
チタニア−シリカ担体(a−4)に代えてチタニア−シリカ担体(a−5)を用いたこと以外は、実施例4の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒A−5を得た。
【0073】
[実施例6:触媒A−6の調製]
(1)メソポーラスシリカ(a−6)の合成
メシチレンを添加しなかった(添加量0g)こと、及び、水熱合成を80℃で行ったこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてSBA−15(メソポーラスシリカ(a−6))を得た。メソポーラスシリカ(a−6)の表面積は1100m
2/g、平均細孔径は7.1nm、ミクロ細孔容積は0.026cm
3/gであった。
(2)アルカリ金属担持物(a−6)の合成
メソポーラスシリカ(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(a−6)を用いたこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてアルカリ金属担持を行い、アルカリ金属担持物(a−6)を得た。
(3)担体前駆体(a−6)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)に代えてアルカリ金属担持物(a−6)を用いたこと以外は、実施例1の(3)と同様にして炭酸ジメチル処理を行い、担体前駆体(a−6)を得た。
(4)チタニア−シリカ担体(a−6)の合成
担体前駆体(a−1)に代えて担体前駆体(a−6)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(a−6)を得た。チタニア−シリカ担体(a−6)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.127±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(a−6)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(5)触媒A−6の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(a−6)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒A−6を得た。
【0074】
[比較例1:触媒B−1の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(b−1)の合成
炭酸ジメチル処理を実施せず、担体前駆体(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(a−1)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−1)を得た。チタニア−シリカ担体(b−1)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.104±0.008であった。また、チタニア−シリカ担体(b−1)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒B−1の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(b−1)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−1を得た。
【0075】
[比較例2:触媒B−2の調製]
チタニアコーティングを行わず、担体前駆体(a−1)を担体として用いた。
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えて担体前駆体(a−1)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−2を得た。
【0076】
[比較例3:触媒B−3の調製]
(1)メソポーラスシリカ(b−3)の合成
メシチレンの添加量を0.48gに変更したこと、及び、水熱合成を90℃で行ったこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてSBA−15(メソポーラスシリカ(b−3))を得た。メソポーラスシリカ(b−3)の表面積は560m
2/g、平均細孔径は12.1nm、ミクロ細孔容積は0.046cm
3/gであった。
(2)アルカリ金属担持物(b−3)の合成
メソポーラスシリカ(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(b−3)を用いたこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてアルカリ金属担持を行い、アルカリ金属担持物(b−3)を得た。
(3)担体前駆体(b−3)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)に代えてアルカリ金属担持物(b−3)を用いたこと以外は、実施例1の(3)と同様にして炭酸ジメチル処理を行い、担体前駆体(b−3)を得た。
(4)チタニア−シリカ担体(b−3)の合成
担体前駆体(a−1)に代えて担体前駆体(b−3)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−3)を得た。チタニア−シリカ担体(b−3)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.124±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(b−3)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(5)触媒B−3の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(b−3)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−3を得た。
【0077】
[比較例4:触媒B−4の調製]
(1)メソポーラスシリカ(b−4)の調製
テフロン(登録商標)容器中で、臭化セチルトリメチルアンモニウム31.1gをイオン交換水120mlに溶かし、オイルバスで75℃に加熱して撹拌した。そこに水ガラス3号27.3gをイオン交換水36mlで希釈した溶液を加え、10分間撹拌した後、硫酸2.8gをイオン交換水39mlで希釈した溶液を加えた。オイルバスから取出し、ゲルの重さが281.3gになるようにイオン交換水を加え、90℃のオーブンで、96時間水熱合成を行った。得られた白濁溶液をろ過洗浄した後、100℃で終夜乾燥し、乾燥空気中、550℃で4時間焼成し、MCM−41(メソポーラスシリカ(b−4))を得た。メソポーラスシリカ(b−4)の表面積は1160m
2/g、平均細孔径は2.8nm、ミクロ細孔容積は0cm
3/gであった。
(2)アルカリ金属担持物(b−4)の合成
メソポーラスシリカ(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(b−4)を用いたこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてアルカリ金属担持を行い、アルカリ金属担持物(b−4)を得た。
(3)担体前駆体(b−4)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)に代えてアルカリ金属担持物(b−4)を用いたこと以外は、実施例1の(3)と同様にして炭酸ジメチル処理を行い、担体前駆体(b−4)を得た。
(4)チタニア−シリカ担体(b−4)の合成
担体前駆体(a−1)に代えて担体前駆体(b−4)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−4)を得た。チタニア−シリカ担体(b−4)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.167±0.040であった。また、チタニア−シリカ担体(b−4)は、BET吸着法の結果から、細孔分布が不均一であり、均一なコーティングがなされていないことが確認された。なお、
図1の(c)はチタニア−シリカ担体(b−4)のBET吸着法の測定結果を示す。
(5)触媒B−4の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(b−4)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−4を得た。
【0078】
[比較例5:触媒B−5の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(b−5)の合成
実施例4の(3)の炭酸ジメチル処理を省略した。
炭酸ジメチル処理を実施せず、担体前駆体(a−4)に代えてメソポーラスシリカ(a−4)を用いたこと以外は、実施例4の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−5)を得た。チタニア−シリカ担体(b−5)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.125±0.008であった。また、チタニア−シリカ担体(b−5)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒B−5の調製
チタニア−シリカ担体(a−4)に代えてチタニア−シリカ担体(b−5)を用いたこと以外は、実施例4の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−5を得た。
【0079】
[比較例6:触媒B−6の調製]
実施例4の(4)のチタニアコーティングを省略した。
チタニアコーティングを行わず、チタニア−シリカ担体(a−4)に代えて担体前駆体(a−4)を用いたこと以外は、実施例4の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−6を得た。
【0080】
[比較例7:触媒B−7の調製]
(1)メソポーラスシリカ(b−7)の合成
メシチレンの添加量を0.16gに変更したこと、及び、水熱合成を80℃で行ったこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてSBA−15(メソポーラスシリカ(b−7))を得た。メソポーラスシリカ(b−7)の表面積は670m
2/g、平均細孔径は9.2nm、ミクロ細孔容積は0.051cm
3/gであった。
(2)アルカリ金属担持物(b−7)の合成
メソポーラスシリカ(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(b−7)を用いたこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてアルカリ金属担持を行い、アルカリ金属担持物(b−7)を得た。
(3)担体前駆体(b−7)の合成
アルカリ金属担持物(a−1)に代えてアルカリ金属担持物(b−7)を用いたこと以外は、実施例1の(3)と同様にして炭酸ジメチル処理を行い、担体前駆体(b−7)を得た。
(4)チタニア−シリカ担体(b−7)の合成
担体前駆体(a−1)に代えて担体前駆体(b−7)を用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−7)を得た。チタニア−シリカ担体(b−7)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.134±0.010であった。また、チタニア−シリカ担体(b−7)は、BET吸着法の結果から、細孔分布が不均一であり、均一なコーティングがなされていないことが確認された。
(5)触媒B−7の調製
チタニア−シリカ担体(a−1)に代えてチタニア−シリカ担体(b−7)を用いたこと以外は、実施例1の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−7を得た。
【0081】
[比較例8:触媒B−8の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(b−8)の合成
実施例6の(3)の炭酸ジメチル処理を省略した。
担体前駆体(a−6)に代えてアルカリ金属担持物(a−6)を用いたこと以外は、実施例6の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−8)を得た。チタニア−シリカ担体(b−8)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.117±0.011であった。また、チタニア−シリカ担体(b−8)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒B−8の調製
チタニア−シリカ担体(a−6)に代えてチタニア−シリカ担体(b−8)を用いたこと以外は、実施例6の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−8を得た。
【0082】
[比較例9:触媒B−9の調製]
実施例6の(4)のチタニアコーティングを省略した。
チタニアコーティングを行わず、チタニア−シリカ担体(a−6)に代えて担体前駆体(a−6)を用いたこと以外は、実施例6の(5)と同様にしてモリブデンの担持を行い、触媒B−9を得た。
【0083】
[実施例7:触媒A−7の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(a−7)の合成
トルエンに代えてキシレンを用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(a−7)を得た。チタニア−シリカ担体(a−7)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.117±0.007であった。また、チタニア−シリカ担体(a−7)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒A−7の調製
110℃で2時間乾燥させたチタニア−シリカ担体(a−7)(1g)に対して、蒸留水50mlに溶解させたメタタングステン酸アンモニウム(0.1667g)を加え、80℃にて蒸発乾固法でモリブデンを担持した。その後、空気中500℃で5時間、焼成し、タングステンの酸化物換算での担持量が14質量%の触媒A−7を得た。
【0084】
[実施例8:触媒A−8の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(a−8)の合成
トルエンに代えてパラキシレンを用いたこと以外は、実施例1の(4)と同様にしてチタニアコーティングを行い、同様のコーティング処理を更に2回行って、チタニア−シリカ担体(a−8)を得た。チタニア−シリカ担体(a−8)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.263±0.008であった。また、チタニア−シリカ担体(a−8)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒A−8の調製
チタニア−シリカ担体(a−7)に代えてチタニア−シリカ担体(a−8)を用いたこと以外は、実施例7の(2)と同様にしてタングステンの担持を行い、触媒A−8を得た。
【0085】
[比較例10:触媒B−10の調製]
(1)チタニア−シリカ担体(b−10)の合成
実施例7の炭酸ジメチル処理を省略した。
担体前駆体(a−1)に代えてメソポーラスシリカ(a−1)を用いたこと以外は、実施例7の(1)と同様にしてチタニアコーティングを行い、チタニア−シリカ担体(b−10)を得た。チタニア−シリカ担体(b−10)について、実施例1と同様にTi/Siのモル比を求めたところ、Ti/Siのモル比は0.110±0.008であった。また、チタニア−シリカ担体(b−10)は、BET吸着法の結果から、均一な細孔分布を有することが確認された。
(2)触媒B−10の調製
チタニア−シリカ担体(a−7)に代えてチタニア−シリカ担体(b−10)を用いたこと以外は、実施例7の(2)と同様にしてタングステンの担持を行い、触媒B−10を得た。
【0086】
[比較例11:触媒B−11の調製]
実施例7のチタニアコーティングを省略した。
チタニア−シリカ担体(a−7)に代えて担体前駆体(a−1)を用いたこと以外は、実施例7の(2)と同様にしてタングステンの担持を行い、触媒B−11を得た。
【0087】
実施例1〜8及び比較例1〜11で得られた触媒について、それぞれ以下の方法で予備硫化処理及び脱硫試験を行った。試験結果は表1及び表2に示すとおりとなった。
【0088】
<予備硫化処理>
触媒100mgに、水素で希釈した硫化水素ガス(10容積%)を流通させ、常圧下、350℃で5時間、予備硫化処理を行った。
【0089】
<脱硫試験>
予備硫化済みの触媒100mgを使用して、容積60mlのオートクレーブを反応器とし、下記の条件下で水素雰囲気下のもと脱硫試験を実施した。脱硫試験後の硫黄分を蛍光X線測定により求め、脱硫率(原料油中の硫黄分に対する除去された硫黄分の割合)を算出した。
(原料油の性状)
原料油:テトラリンで希釈したジベンゾチオフェン
硫黄分:1.00重量%
(反応条件)
原料油仕込み量:20ml
初期水素圧力:2.0MPa
反応温度:300℃
反応時間:3時間
撹拌速度:300回転/分
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
上記の結果から、平均細孔径が60Å以上、ミクロ細孔容積が0.03cm
3/g以下のメソポーラスシリカに対して、アルカリ金属担持工程、炭酸ジメチル処理工程及びコーティング工程を施すことで、細孔内に均一にチタニアがコーティングされ、これにモリブデン又はタングステンを担持した触媒は、優れた脱硫活性を有することが確認された。