(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座屈拘束ブレースなどの座屈拘束建材においては、芯材を長手方向に圧縮させるような荷重が加わることがある。このような荷重時に芯材が座屈せずに適切な復元力を発揮することで、座屈拘束建材は耐震部材/制振部材としての機能も果たすことが可能となる。
【0005】
このように座屈拘束建材を耐震部材/制振部材として機能させるためには、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に、所定量の隙間を高精度に確保することが重要となる。詳しくは、この隙間が広すぎると、芯材の軸方向圧縮荷重時に、芯材が、2つの座屈拘束部材の対向方向(芯材の長手方向に直交する方向、かつ、2つの座屈拘束部材が対向する方向)において、局所的に塑性変形してしまう。逆に、この隙間が狭すぎると、芯材の軸方向圧縮荷重時に、芯材が2つの座屈拘束部材に規制されて2つの座屈拘束部材の対向方向へ十分に変形できなくなる。この場合、芯材の圧縮軸力が座屈拘束部材に流れてしまう。
【0006】
前記隙間を確保する方法としては、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に、ゴムなどの被挟込部材を挟み込んで併合する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、その併合時に2つの座屈拘束部材の間に芯材と被挟込部材とを挟み込む際、その挟み込みによって被挟込部材が変形した後の被挟込部材の厚みを高精度にコントロールしなければ、所定量の隙間を確保することができない。加えて、併合後には、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に介在する被挟込部材が、芯材の軸方向圧縮荷重時における芯材の変形を妨げないような特性を発揮できなければならない。このように、前記の方法では、これらの条件を満たすような被挟込部材を必要とするため、高コストであるうえ、所定量の隙間を高精度に確保することが非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材であって、前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させたことを特徴とする。
本発明によれば、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材を2つの座屈拘束部材の間に介在させることにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保する。これにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に被挟込部材のような特別な部材を配置することなく、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保することができる。
また、本発明の隙間保持部材は、芯材の長手方向側方に配置されるため、芯材の軸方向圧縮荷重時における芯材の変形(2つの座屈拘束部材の対向方向への変形)を妨げることがないので、当該隙間を確保できさえすれば、その材料には特に制限はない。したがって、安価な隙間保持部材を用いることができ、低コスト化を実現できる。
【0008】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記芯材は、該芯材の長手方向に直交する断面で、前記2つの座屈拘束部材の対向方向における長さが、前記2つの座屈拘束部材の対向方向に対して直交する方向における長さよりも短い形状であることを特徴とする。
本発明によれば、芯材の軸方向圧縮荷重時に、芯材を、2つの座屈拘束部材の対向方向に対して直交する方向よりも、当該対向方向へ優先的に変形させることができるので、芯材の変形、座屈を、2つの座屈拘束部材によって適切に抑制、拘束することができる。
【0009】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記芯材の長手方向側方には、該芯材の側方への変位を抑制する変位抑制部材が配置されており、前記隙間保持部材は、前記変位抑制部材を含むことを特徴とする。
芯材の長手方向側方に変位抑制部材を配置して、芯材の側方への変位を抑制することで、芯材の軸方向圧縮荷重時に、2つの座屈拘束部材の対向方向に対して直交する方向における芯材の変形、座屈を、変位抑制部材によって適切に抑制、拘束することができる。本発明によれば、この変位抑制部材を利用して隙間保持部材を得ることができるので、変位抑制部材とは別個に隙間保持部材を設ける場合と比較して、構成の簡素化、軽量化等を図ることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記芯材の長手方向側方には、前記芯材の側面と前記2つの座屈拘束部材の芯材側方対向面との間の芯材側方隙間を調整するための隙間調整部材が配置されており、前記隙間保持部材は、前記隙間調整部材を含むことを特徴とする。
芯材の長手方向側方に隙間調整部材を配置して、芯材の側面と2つの座屈拘束部材の芯材側方対向面との間の芯材側方隙間を調整することで、芯材の軸方向圧縮荷重時に、2つの座屈拘束部材の対向方向に対して直交する方向における芯材の変形、座屈を、2つの座屈拘束部材の芯材側方対向面によって適切に抑制、拘束することができる。本発明によれば、この隙間調整部材を利用して隙間保持部材を得ることができるので、隙間調整部材とは別個に隙間保持部材を設ける場合と比較して、構成の簡素化、軽量化等を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記隙間保持部材は、前記変位抑制部材又は前記隙間調整部材と、前記2つの座屈拘束部材のうちの少なくとも一方の隙間保持部材対向面と該変位抑制部材又は該隙間調整部材との間に介在する隙間調整材とから構成されることを特徴とする。
本発明によれば、既存の変位抑制部材又は隙間調整部材に隙間調整材を付加するだけで、隙間保持部材を得ることができる。
【0012】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記隙間保持部材は、前記隙間調整材を前記変位抑制部材又は前記隙間調整部材に固定する固定手段を有することを特徴とする。
隙間調整材が変位抑制部材や隙間調整部材に固定されていないと、使用時の振動などによって隙間調整材が移動するおそれがある。この場合、例えば、移動した隙間調整材が、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間の隙間に入り込んでしまったり、芯材の側面と2つの座屈拘束部材の芯材側方対向面との間の芯材側方隙間に入り込んでしまったりすると、芯材の適切な変形を阻害し、本来の機能を発揮できなくなるという不具合が発生する。
本発明によれば、隙間調整材が固定手段によって変位抑制部材や隙間調整部材に固定されているので、使用時の振動などによって隙間調整材が移動することがなく、上述した不具合の発生が阻止できる。
【0013】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記隙間調整材は、前記芯材よりも強度の低い低強度部材であることを特徴とする。
本発明によれば、使用時の振動などによって隙間調整材が芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間の隙間に入り込んでしまったり、芯材の側面と2つの座屈拘束部材の芯材側方対向面との間の芯材側方隙間に入り込んでしまったりしたとしても、隙間調整材が芯材よりも強度の低い低強度部材であるため、芯材の適切な変形を阻害しにくく、本来の機能を発揮できなくなるという不具合の発生を抑制できる。しかも、上述した固定手段を設ける必要がないので、構成が簡素である。
【0014】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記座屈拘束部材は、枠板内にコンクリート又はモルタルを充填したものであることを特徴とする。
本発明によれば、比較的軽量で高性能な座屈拘束建材を実現することができる。
【0015】
また、本発明は、前記座屈拘束建材において、前記2つの座屈拘束部材は、前記隙間保持部材と対向する隙間保持部材対向面が平滑化処理され、前記芯材対向面が平滑化処理されていないことを特徴とする。
芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間にゴムなどの被挟込部材を挟み込んで併合する従来の方法では、芯材と対向する芯材対向面全体の広範囲にわたって平滑化処理を施し、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に確保すべき隙間の精度を高める必要があった。
本発明によれば、確保すべき隙間の精度を高めるにあたり、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材と対向する隙間保持部材対向面という比較的狭い範囲だけ平滑化処理を施せばよいので、平滑化処理の作業負担を軽減できる。
【0016】
また、本発明は、2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材の製造方法であって、前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させる工程と、前記2つの座屈拘束部材を互いに固定する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材を2つの座屈拘束部材の間に介在させることにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保する。これにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に被挟込部材のような特別な部材を配置することなく、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保することができる。
また、本発明の隙間保持部材は、芯材の長手方向側方に配置されるため、芯材の軸方向圧縮荷重時における芯材の変形(2つの座屈拘束部材の対向方向への変形)を妨げることがないので、当該隙間を確保できさえすれば、その材料には特に制限はない。したがって、安価な隙間保持部材を用いることができ、低コスト化を実現できる。
【0017】
また、本発明は、前記製造方法において、前記隙間保持部材を除去する工程を有することを特徴とする。
本発明において、2つの座屈拘束部材を互いに固定することで、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間の隙間が固定されるので、その後は、隙間保持部材が無くても、隙間保持部材によって得られた所定量の隙間が維持される。本発明によれば、隙間保持部材を除去する工程を有するため、座屈拘束建材内に隙間保持部材を残存させることなく、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間が確保された座屈拘束建材を得ることができる。これにより、使用時の振動などによって座屈拘束建材が移動して、芯材の適切な変形を阻害するなどの不具合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低コストで、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を高精度に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、座屈拘束建材としての座屈拘束ブレースに適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明に係る座屈拘束建材は、ブレース(筋交い)としての用途に限らず、例えば梁、柱、土台などの用途にも利用可能であり、以下に述べる本実施形態の座屈拘束ブレースを梁、柱、土台などに用いることも可能である。
【0021】
図1は、本実施形態における座屈拘束ブレースの斜視図である。
図2は、本実施形態における座屈拘束ブレースの分解斜視図である。
図3は、本実施形態における座屈拘束ブレースの内部構造を示す縦断面図である。
図4は、本実施形態における座屈拘束ブレースの内部構造を示す横断面図である。
【0022】
本実施形態の座屈拘束ブレース10は、鋼板からなる芯材2と、この芯材2を挟む2つの座屈拘束部材1,1とから構成されている。2つの座屈拘束部材1,1は、同じ構造のものである。本実施形態における座屈拘束部材1,1は、枠板4,4内にコンクリート又はモルタル(以下の説明では、モルタルを用いた例で説明する。)3,3を充填したものである。
【0023】
本実施形態の芯材2は、平板形状であり、より詳しくは、芯材2の長手方向に直交する横断面(
図4に示す断面)において、2つの座屈拘束部材1,1の対向方向(
図4中上下方向)における長さが、2つの座屈拘束部材1,1の対向方向に対して直交する方向(
図4中左右方向)における長さよりも短い形状である。なお、芯材2の横断面形状は、これに限らず、例えば、円形状、楕円形状、十字形状などであってもよい。
【0024】
本実施形態の芯材2は、
図5及び
図6に示すように、平板状の芯材中間部6と、その両端に設けられる連結部8,8とからなる鋼板の一枚板構造である。なお、連結部8,8は、芯材中間部6から延びる鋼板(芯材2の基材)の上下面に、補強用の補強板が接着されたものであってもよい。この補強板によって、連結部8,8の強度は、芯材中間部6の強度よりも増強される。
【0025】
また、芯材2の連結部8,8にはリブ13,13が接合されており、横断面形状が十字形状となるように構成されている。また、連結部8,8には、当該座屈拘束ブレース10を建物に設置する場合になどに用いられる設置用のボルト穴14が形成されている。
【0026】
芯材2の芯材中間部6は、芯材2の基材をなす鋼板の両側部に芯材2の長手方向に長尺な切欠部16,16を形成することで、芯材中間部6の幅(
図5中上下方向長さ)が連結部8,8の幅に対して狭いものとなっている。芯材中間部6の強度は、切欠部16,16の幅や長手方向長さの寸法を変えることで適宜調整することが可能である。よって、芯材中間部6の切欠部16,16の寸法を適宜選択することで、芯材2の軸剛性や降伏耐力を所望の値に設定することができる。
【0027】
また、本実施形態において、芯材中間部6の切欠部16,16によって生じた芯材2の長手方向側方のスペース(切欠部16,16の内部スペース)には、スペーサ18a,18aが配置される。このスペーサ18a,18aは、芯材2の長手方向側方(
図5中上下方向)への変位を抑制する変位抑制部材として機能する。すなわち、このスペーサ18a,18aが配置されていない場合、芯材2の芯材中間部6は、座屈拘束部材1の内側壁19に接触するまで(すなわち切欠部16の幅分だけ)変位可能となるが、スペーサ18a,18aが配置されることで、スペーサ18a,18aに接触するまでしか変位できなくなり、スペーサ18a,18aの幅分だけ芯材2(芯材中間部6)の長手方向側方への変位が抑制される。
【0028】
このようなスペーサ18a,18aを芯材2の長手方向側方に変位抑制部材を配置することで、芯材2と座屈拘束部材1の内側壁19との隙間(芯材2の側方スペース)が広すぎる場合でも、芯材2の長手方向側方への変位可能量を調整でき、芯材2の軸方向圧縮荷重時における芯材2の変形、座屈を適切にコントロールすることが可能となる。特に、本実施形態のように芯材中間部6の強度を調整するために切欠部16,16を設けた構成においては、スペーサ18a,18aを配置することで、芯材中間部6の強度の適正化と、芯材2の長手方向側方への変位可能量の適正化との両立が容易になる。
【0029】
スペーサ18a,18aの長手方向の寸法は、切欠部16,16の長手方向の寸法よりも若干小さく設定されている。これにより、スペーサ18a,18aの長手方向端部と連結部8,8の長手方向内側端面との間に隙間が形成され、芯材2の軸方向圧縮荷重時に芯材2の連結部8,8の長手方向内側端面がスペーサ18a,18aに突き当たることがなくなる。したがって、スペーサ18a,18aを配置しても降伏耐力を変化させることはない。なお、スペーサ18a,18aは、切欠部16,16を切削加工したときの端材を利用しても良いし、丸棒などの別部材を用いても良い。
【0030】
本実施形態の座屈拘束部材1,1を構成するモルタル材3,3は、枠板4,4とは別の場所で製造されたモルタル製ブロックである。モルタル材3,3の両端部分3b,3bには、
図2や
図7に示すように、芯材2の連結部8,8上に設けられるリブ13,13が挿入される斜溝20,20を設けている。
【0031】
本実施形態の座屈拘束部材1,1を構成する枠板4,4は、鋼板によって形成され、
図4に示すように、底面4aと、その幅方向(
図4中左右方向)両端から立ち上る立面4b,4cとからなり、横断面形状がコの字形状となるように構成されている。なお、立面4b,4cの底面4aからの高さは、
図4に示すように、一方の立面4cよりも他方の立面4bの方が高くなっている。
【0032】
また、枠板4,4の長手方向両端部には、
図2に示すように、連結部8,8上に設けられるリブ13,13が挿入される間隔をあけて、一対の当て金24,24が設けられている。各枠板4,4の内部には、その開口側からモルタル製ブロックからなるモルタル材3,3が挿入される。
【0033】
次に、本発明の特徴部分である、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d(モルタル材3,3の芯材対向面3d)との間に所定量の隙間Δtを確保する方法について説明する。
芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3dとの隙間Δtは、特に本座屈拘束ブレース10を耐震部材/制振部材として機能させる場合には、高精度に設定することが要求される。すなわち、この隙間Δtが広すぎると、芯材2の軸方向圧縮荷重時に、芯材2の芯材中間部6が、2つの座屈拘束部材1,1の対向方向(
図4中上下方向)において局所的に塑性変形してしまう。逆に、この隙間Δtが狭すぎると、芯材2の軸方向圧縮荷重時に、芯材2が2つの座屈拘束部材1,1に規制されて当該対向方向(
図4中上下方向)へ十分な変形(歪み)ができなくなる。この場合、芯材2の圧縮軸力が座屈拘束部材1,1へ流れてしまう。
【0034】
この隙間Δtを確保する方法としては、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの間に、ゴムなどの被挟込部材を挟み込んで併合する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、上述したように、併合時に2つの座屈拘束部材1,1の間に芯材2と被挟込部材とを挟み込む際、その挟み込みによって被挟込部材が変形した後の被挟込部材の厚みを高精度にコントロールしなければ、所定量の隙間Δtを確保することができない。加えて、併合後には、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの間に介在する被挟込部材が、芯材2の軸方向圧縮荷重時における芯材2の変形(歪み)を阻害しないような特性を発揮できなければならない。このように、前記の方法では、これらの条件を満たすような被挟込部材を必要とするため、高コストであるうえ、所定量の隙間Δtを高精度に確保することが非常に困難である。
【0035】
そこで、本実施形態においては、
図4に示すように、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3dとの間に所定量の隙間Δtを確保するために、芯材2の長手方向側方における2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dの間に、隙間保持部材18,18を設けている。このような隙間保持部材18,18を芯材対向面3d,3dの間に配置して隙間Δtを得る方法であれば、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの間に被挟込部材のような特別な部材を配置することなく、所定量の隙間Δtを確保することができる。
【0036】
しかも、本実施形態のように、隙間保持部材18を芯材2の長手方向側方に配置することで、隙間Δtを確保するための隙間保持部材18によって芯材2の軸方向圧縮荷重時における芯材2の変形(歪み)が妨げられることはない。したがって、隙間保持部材18は、隙間Δtを確保する機能さえ得られれば、芯材2の軸方向圧縮荷重時における芯材2の変形(歪み)を阻害しない機能を必要としないので、材料の選択肢が広く、安価な隙間保持部材18を用いることができる。例えば、木材、プラスチック材、硬化ゴムなどの比較的安価な材料を用いることができる。
【0037】
また、本実施形態の隙間保持部材18は、上述したスペーサ18aと、そのスペーサ18aの上下面に配置される隙間調整材18bとから構成されている。隙間調整材18b,18bは、座屈拘束部材1,1の隙間保持部材対向面3e,3e(モルタル材3の隙間保持部材対向面3e,3e)とスペーサ18aの上下面との間に介在するように配置される。このように、スペーサ18aを利用して隙間保持部材18を得ることができるので、スペーサ18aとは別個に隙間保持部材を設ける場合と比較して、構成の簡素化、軽量化等を図ることが可能となる。
【0038】
なお、スペーサ18aの厚みを厚くした隙間保持部材として用いてよい。すなわち、スペーサ18aとしても機能する単一部材の隙間保持部材を用いてもよい。ただし、この場合、スペーサ18aとしても機能する必要があるために隙間保持部材の材料選択肢が狭まることに加え、芯材2の切欠部16,16を切削加工したときの端材をスペーサ18aとして利用することができなくなり、コスト増を招くデメリットがある。
【0039】
また、本実施形態の隙間調整材18bとしては、芯材2よりも強度の低い低強度部材であるのが好ましい。隙間調整材18bの強度は、後述する製造工程において、枠板4,4を隅肉溶接4dによって接合するまでの間、所望量の隙間Δtを確保できる程度の強度であればよく、芯材2ほどの強度は必要ない。
【0040】
加えて、本実施形態のように隙間調整材18bがスペーサ18aに固定されていない場合や、弱い固定力で固定されている場合には、本座屈拘束ブレース10の使用時に加わる振動などによって隙間調整材18bが移動してしまうおそれがある。この場合、例えば、移動した隙間調整材18bが、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの隙間Δtに入り込んでしまったり、芯材2の側面とスペーサ18aの芯材側方対向面との間の芯材側方隙間ΔWに入り込んでしまったりすると、芯材2の軸方向圧縮荷重時に芯材2の適切な変形が阻害され、本座屈拘束ブレース10が本来の機能を発揮できなくなるという不具合が発生するおそれがある。本実施形態のように、隙間調整材18bが芯材2よりも強度の低い低強度部材であれば、仮にこのような入り込みが発生した場合でも、芯材2の適切な変形が阻害されにくく、本座屈拘束ブレース10が本来の機能を発揮できなくなるという不具合の発生を抑制できる。
【0041】
もちろん、本実施形態の隙間調整材18bとしては、芯材2と同じ強度または高い強度をもつ部材を用いてもよい。ただし、この場合には、上述した隙間調整材18bの入り込みが発生しないように、隙間調整材18bをスペーサ18aに固定する固定手段を設けるのが好ましい。この固定手段は、隙間調整材18bをスペーサ18aに接着や溶接などによって固定する手段に限らず、例えば、スペーサ18a上で隙間調整材18bが幅方向(
図4中の左右方向)への変位を規制するストッパによる手段であってもよい。
【0042】
本実施形態において、隙間Δt(芯材2を一方の芯材対向面3dへ片寄せしたときの隙間)の下限値は、ポアソン比が0.5であるとすると、芯材2の芯材中間部6における厚みtに対する塑性歪みaを用いて、Δt≧t×a/100×0.5で表すことができる。一例として、芯材2の芯材中間部6における厚みtが40mmであり、芯材2の塑性歪みaが最大3%程度であるとき、隙間Δtの下限値は0.6mm程度となる。なお、隙間Δtの上限値は、上述したように、芯材2の軸方向圧縮荷重時に芯材2の芯材中間部6が局所的に塑性変形してしまうことが防止できる範囲に適宜設定されるが、あまり大きな値に設定することができないため、隙間Δtの設定可能範囲が狭く、隙間Δtの高精度な管理が求められる。
【0043】
なお、本実施形態では、芯材2の芯材中間部6と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3dとの隙間Δtと同様、芯材2の芯材中間部6の側面とスペーサ18a,18aとの隙間ΔW(芯材2及びスペーサ18a,18aを座屈拘束部材1の一方の内側壁19へ片寄せしたときの隙間)も、隙間Δtほどではないものの、比較的高い精度が求められる。例えば、前記の例においては、芯材2の芯材中間部6における幅が400mmである場合、芯材2の塑性歪みaが最大3%程度であるときには、隙間ΔWの下限値は6mm程度となる。この隙間ΔWの上限値も、上述したように、芯材2の軸方向圧縮荷重時に芯材2の芯材中間部6が局所的に塑性変形してしまうことが防止できる範囲に適宜設定されるが、あまり大きな値に設定することができないため、隙間ΔWの設定可能範囲が狭く、隙間ΔWも相応の高精度な管理が求められる。
【0044】
次に、本実施形態における座屈拘束ブレース10の製造方法について、説明する。
まず、枠板4,4を製造する。具体的には、平板状の鋼板を折り曲げて底面4a及び立面4b、4cを形成した後、別の鋼板からなる一対の当て金24,24を溶接により取り付ける。その後、この枠板4,4内に、別途作製しておいたモルタル製ブロックからなるモルタル材3,3を収納する。
【0045】
また、鋼板を加工、溶接して作製した芯材2を用意し、この芯材2を一方の枠板4内のモルタル材3上に載置する。そして、芯材2の切欠部16,16内に、2つの隙間調整材18b,18bに挟み込まれた状態のスペーサ18aを配置する。その後、残りの枠板4を
図2に示すように併合して、各枠板4,4間における立面4bと立面4cとを
図4に示すように隅肉溶接4dによって接合する。これにより、座屈拘束ブレース10が製造される。
【0046】
ここで、隙間調整材18b,18bが対向する座屈拘束部材1,1の隙間保持部材対向面3e,3eは、モルタル材3,3の面であるため、そのままでは、表面が粗く平滑性に欠け、平面性も低いものとなっている。この場合、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d(モルタル材3,3の芯材対向面3d)との間に所定量の隙間Δtを確保することが難しい。そのため、本実施形態においては、座屈拘束部材1,1の隙間保持部材対向面3e,3eに平滑化処理を施している。平滑化処理は、表面の粗さをとり、平面性を向上させる処理であれば特に制限はなく、研磨処理であってもよいし、コーティング処理であってもよい。
【0047】
一方、芯材2と対向する芯材対向面3d,3dの部分については、このような平滑化処理が不要であるので、本実施形態の芯材対向面3d,3dは粗面のままである。このように平滑化処理を施す部分がモルタル材3,3の面の一部分だけで済むので、平滑化処理の作業負担は軽減される。
【0048】
しかも、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの間にゴムなどの被挟込部材を挟み込んで併合する従来の方法では、被挟込部材によって所定量の隙間Δtを確保するためには、芯材対向面3d,3dに対して平滑化処理を施す必要がある。本実施形態における平滑化処理の対象である隙間保持部材対向面3e,3eは、芯材対向面3d,3dよりも面積が少ないので、本実施形態によれば、従来の方法よりも平滑化処理を施す作業の負担を軽減できるというメリットがある。
【0049】
また、本実施形態の座屈拘束ブレース10において、隙間調整材18bは所望量の隙間Δtを確保するためのものであるため、枠板4,4を隅肉溶接4dによって接合して隙間Δtが固定された後は、隙間調整材18bが座屈拘束ブレース10内に残っている必要はない。よって、枠板4,4の接合後に、隙間調整材18bを除去する工程を実施してもよい。このように隙間調整材18bを除去すれば、その分だけ座屈拘束ブレースの軽量化を図ることができる。また、隙間調整材18bを除去すれば、その座屈拘束ブレースの使用中に隙間調整材18bが隙間Δtや隙間ΔWに入り込む事態を確実に防止できるので、隙間調整材18bが芯材2の適切な変形を阻害して本座屈拘束ブレース10が本来の機能を発揮できなくなるという不具合の発生を確実に防止できる。
【0050】
ただし、隙間調整材18bを座屈拘束ブレース10内に残しておいても問題ない場合には、製造工程の簡素化のために除去工程を実施しないようにしてもよい。
【0051】
〔変形例〕
次に、本実施形態における座屈拘束ブレース10の一変形例について説明する。
図8は、本変形例における座屈拘束ブレースの分解斜視図である。
図9は、本変形例における座屈拘束ブレースの内部構造を示す横断面図である。
本変形例では、上述した実施形態の座屈拘束ブレースの構成を簡素化して、実用に適したものとした。
【0052】
具体的には、本変形例の芯材2には、切欠部16,16が形成されていないストレート型のものであり(上述した実施形態の芯材2はしぼり型である。)、矩形平板状の鋼板にリブ13,13を設けて連結部8,8を形成したという簡易な構成である。そのため、芯材2の製造コストを低コスト化できる。なお、座屈拘束部材1,1の構成は、上述した実施形態のものと同じである。
【0053】
また、本変形例の隙間保持部材17,17は、芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d(モルタル材3,3の芯材対向面3d)との間に所定量の隙間Δtを確保することのできる直径をもった断面円形状の丸棒部材(丸鋼)である。上述した実施形態の隙間保持部材18は、スペーサ18aと隙間調整材18bという複数部材から構成されているが、本変形例の隙間保持部材17,17は単一部材で構成されているため、その組み立て工数が少なく製造工程の簡素化を図ることができる。
【0054】
なお、本変形例の隙間保持部材17,17は、断面円形状の丸棒部材(丸鋼)の例であるが、これに限られず、例えば、
図10に示すように、断面矩形状の角棒部材(角鋼)であってもよい。
【0055】
また、本変形例の隙間保持部材17,17は、芯材2の側面と2つの座屈拘束部材1,1の芯材側方対向面との間の芯材側方隙間ΔWを調整するための隙間調整部材としても機能している。そのため、隙間保持部材17,17は、連結部8,8の長手方向側方にも存在するように構成されている。
【0056】
このような隙間調整部材は、芯材2に求められる機能を実現するために必要な芯材2の幅と、座屈拘束部材1に求められる機能を実現するために必要な座屈拘束部材1の幅との関係で、芯材2の側面と座屈拘束部材1,1の内側壁19,19との隙間を所望量に設定できない場合に用いられる。本変形例の隙間保持部材17は、このような隙間調整部材としても機能するため、隙間調整部材とは別個に隙間保持部材を設ける場合と比較して、構成の簡素化、軽量化等を図ることが可能となる。
【0057】
もちろん、本変形例の隙間保持部材17も、
図11に示すように、隙間調整部材17aと、その隙間調整部材17aの上下面に配置される隙間調整材17bとから構成されてもよい。本変形例の隙間保持部材17が
図10に示すような角棒部材からなる場合には、
図12に示すような構成となる。
【0058】
本変形例の隙間保持部材17,17は、芯材2の長手方向側方への変位を抑制する変位抑制部材としても機能している。
【0059】
なお、隙間調整部材は、上述した実施形態の座屈拘束ブレースに追加で設けてもよい。すなわち、しぼり型の芯材2の切欠部16,16内にスペーサ18a,18aを配置しただけでは、芯材2の芯材中間部6の側面とスペーサ18a,18aとの隙間ΔWを所望量に設定できない場合、スペーサ18a,18aと座屈拘束部材1の内側壁19との隙間に隙間調整部材を配置して、所望量の隙間ΔWを得る。このときの隙間保持部材は、隙間調整部材を利用して設けてもよいし、スペーサ18a,18aを利用して設けてもよい。
【0060】
また、上述した実施形態や変形例では、隙間調整材18b,17bをスペーサ18aや隙間調整部材17aの上下面両方に配置した例であるが、上面又は下面のいずれか一方のみに配置する例であってもよい。
【解決手段】2つの座屈拘束部材1,1で芯材2を挟み込んだ座屈拘束建材10であって、前記芯材2と前記2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3d,3dとの間に所定量の隙間Δtを確保するための隙間保持部材18を、前記芯材2の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材1,1の間に介在させたことを特徴とする。