(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644377
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】レーザ加工用システム、並びにレーザ焦点のサイズ及び位置を調整する方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/046 20140101AFI20200130BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20200130BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20200130BHJP
G02B 15/15 20060101ALI20200130BHJP
G02B 15/163 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
B23K26/046
B23K26/082
B23K26/064 A
G02B15/15
G02B15/163
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-561378(P2017-561378)
(86)(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公表番号】特表2018-516756(P2018-516756A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016061036
(87)【国際公開番号】WO2016188803
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】102015108248.9
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516373764
【氏名又は名称】スキャンラボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】マーティン バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン トゥニッヒ
【審査官】
竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−218487(JP,A)
【文献】
特開2014−188518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全コリメート焦点距離(fK)を有しており、発散ビーム(D)用のビーム供給源(Z)と、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)と、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)と、を備えて構成されており、前記発散ビーム(D)が、先ず前記第1光学装置(L1)を通過し、その後、前記第2光学装置(L2)を通過して、前記第2光学装置(L2)から少なくとも実質的コリメート状態で離れる、コリメート光学系(K)と、
正の焦点距離(fO)を有する第3光学装置(O)であって、前記コリメート光学系(K)の下流側に配置され、前記コリメート光学系(K)から少なくとも実質的コリメート状態で離れる前記ビーム(P)を焦点(F)に合わせる第3光学装置(O)と、
前記第2光学装置(L2)をビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる調整素子(A2)と、
を備え、
前記第2光学装置(L2)の画像側主面と前記第3光学装置(O)の対象物側主面との間の平均ビーム行路(d2)は、前記第2光学装置(L2)及び前記第3光学装置(O)が望遠鏡状の光学配置を形成するように配列されることによって、前記調整素子(A2)を用いて前記第2光学装置(L2)を移動させる際に前記焦点(F)のサイズ(g)が実質的に一定であるように選択され、
前記ビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さく、
前記第2光学装置(L2)の前記画像側主面と前記第3光学装置(O)の前記対象物側主面との間の前記平均ビーム行路(d2)は、
f2+0.75×f0 <d2<f2+1.25×f0、
又は、前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)と前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)との和にほぼ等しい
ことを特徴とするレーザ加工用システム。
【請求項2】
前記第1光学装置(L1)は、前記ビーム伝搬方向(R)に固定されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ビーム(P)を前記ビーム伝搬方向(R)から他の方向に偏向させるビーム偏向ユニット(AE)と、
前記調整素子(A2)及び前記ビーム偏向ユニット(AE)を制御することで、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の位置を所定値に調整できる制御器(S)と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)にほぼ対応する正の焦点距離(f4)を有する第4光学装置(L4)と、
前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)にほぼ対応する負の焦点距離(f5)を有する第5光学装置(L5)と、
を更に備え、
前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)は、加工ビーム(BS)が通過するように構成され、
前記第4光学装置(L4)及び前記第5光学装置(L5)は、観察ビーム(BE)が通過するように構成され、
前記第4光学装置(L4)は、前記第1光学装置(L1)に結びつけられ、
前記第5光学装置(L5)の移動は、前記第2光学装置(L2)の移動に結びつけられる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
全コリメート焦点距離(fK)を有しており、発散ビーム(D)用のビーム供給源(Z)と、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)と、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)と、を備えて構成されており、前記発散ビーム(D)が、先ず前記第1光学装置(L1)を通過し、その後、前記第2光学装置(L2)を通過して、前記第2光学装置(L2)から少なくとも実質的コリメート状態で離れる、コリメート光学系(K)と、
正の焦点距離(fO)を有する第3光学装置(O)であって、前記コリメート光学系(K)の下流側に配置され、前記コリメート光学系(K)から少なくとも実質的コリメート状態で離れる前記ビーム(P)を焦点(F)に合わせる第3光学装置(O)と、
前記第1光学装置(L1)をビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる他の調整素子(A1)と、
前記第2光学装置(L2)を前記ビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる調整素子(A2)と、
を備え、
前記他の調整素子(A1)及び前記調整素子(A2)は、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を互いに独立して移動でき、
前記ビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さく、
前記第3光学装置(O)は、前記ビーム供給源(Z)に対して一定の距離を有している
ことを特徴とするレーザ加工用システム。
【請求項6】
平均ビーム行路(d2)は、前記第2光学装置(L2)の画像側主面と前記第3光学装置(O)の対象物側主面との間で、前記調整素子(A2)を用いて前記第2光学装置(L2)を移動させる際に前記焦点(F)のサイズ(g)が実質的に一定であるように、望遠鏡状の光学配置を形成するように配列された前記第2光学装置(L2)及び前記第3光学装置(O)によって選択されることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記焦点(F)のサイズ(g)及び前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の位置(p)を、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の移動によって互いに独立して選択可能な所定値に調整するように、前記他の調整素子(A1)及び前記調整素子(A2)を制御する制御器(S)を更に備え、
前記焦点(F)の前記サイズ(g)は、前記第1光学装置(L1)を移動させることにより実質的に調整され、
前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)は、前記第2光学装置(L2)を移動させることにより実質的に調整され、
前記第1光学装置(L1)の前記移動による前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)の変化、及び前記第2光学装置(L2)の前記移動による前記焦点(F)の前記サイズ(g)の変化の少なくとも一方が、前記所定値を調整するために考慮される
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記焦点(F)の前記位置(p)の変化と前記サイズ(g)の変化のうちの少なくとも一方は、
前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の位置に応じて、前記焦点(F)の前記位置(p)及び前記サイズ(g)の算出又は測定に基づく参照制御データを格納することと、
前記焦点(F)の前記位置(p)及び前記サイズ(g)に対する前記所定値を調整するために、前記格納された参照制御データを用いて、前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の必要な位置を決定することと、
により認識されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビーム(P)を前記ビーム伝搬方向(R)から他の方向に偏向させるビーム偏向ユニット(AE)を更に備え、
前記制御器(S)は、前記他の調整素子(A1)、前記調整素子(A2)、及び前記ビーム偏向ユニット(AE)を制御することで、前記焦点(F)の前記サイズ(g)と、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の前記位置(p)とを、所定値に調整するように構成される
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)にほぼ対応する正の焦点距離(f4)を有する第4光学装置(L4)と、
前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)にほぼ対応する負の焦点距離(f5)を有する第5光学装置(L5)と、
を更に備え、
前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)は、加工ビーム(BS)が通過するように構成され、
前記第4光学装置(L4)及び前記第5光学装置(L5)は、観察ビーム(BE)が通過するように構成され、
前記第4光学装置(L4)の移動は、前記第1光学装置(L1)の移動に結びつけられ、
前記第5光学装置(L5)の移動は、前記第2光学装置(L2)の移動に結びつけられる
ことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記他の調整素子(A1)、及び前記調整素子(A2)は、リニアドライブであり、特にダイレクトドライブであることを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ビーム供給源(Z)と前記第1光学装置(L1)の対象物側主面との間の距離(d1)に対する前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)の比率は、0.25から0.75の間であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1光学装置(L1)は、入射ビーム(D)の角度が出射ビーム(A)の角度に等しくなるように配置されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ビーム供給源(Z)は、発散レーザ放射を出射する光ファイバの一端に接続されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ビーム偏向ユニット(AE)は、前記ビーム伝搬方向(R)で前記第3光学装置(O)の下流側に配置され、
又は、
前記ビーム偏向ユニット(AE)は、前記ビーム伝搬方向(R)で前記第2光学装置(L2)と前記第3光学装置(O)との間に配置される
ことを特徴とする請求項3又は9に記載のシステム。
【請求項16】
レーザ加工用レーザビームのビーム伝搬方向(R)に沿って、焦点(F)のサイズ(g)と位置(p)を調整する方法であって、
発散ビーム(D)の提供と、
前記発散ビーム(D)の、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)への供給と、
前記正の焦点距離(f1)を有する前記第1光学装置(L1)を通過したビーム(A)の、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)への供給と、
により、全コリメート焦点距離(fK)を有する実質的コリメートビーム(P)を生成する工程であって、前記発散ビーム(D)、前記第1光学装置(L1)、及び前記第2光学装置(L2)は、前記第2光学装置(L2)を通過したビーム(P)が実質的にコリメートされるように構成且つ配列されている工程と、
前記実質的コリメートビーム(P)の第3光学装置(O)への供給により前記焦点(F)を生成する工程であって、前記発散ビーム(D)のビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さい工程と、
前記焦点(F)の前記サイズ(g)及び前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)を、互いに独立して選択可能な所定値に調整できるように、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を移動させる工程であって、
前記焦点(F)の前記サイズ(g)は、前記ビーム伝搬方向(R)に沿って前記第1光学装置(L1)を移動させることにより実質的に調整され、
前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)は、前記ビーム伝搬方向(R)に沿って前記第2光学装置(L2)を移動させることにより実質的に調整される工程と、
前記第1光学装置(L1)の前記移動による前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)の変化と、
前記第2光学装置(L2)の前記移動による前記焦点(F)の前記サイズ(g)の変化と、
のうちの少なくとも一方を、前記所定値を調整するために考慮する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記方法は、前記ビーム(P)を、前記ビーム伝搬方向(R)から、該ビーム伝搬方向(R)以外の方向に偏向させる工程を更に備え、
前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を移動させる工程、並びに前記ビームを偏向させる工程は、前記焦点(F)の前記サイズ(g)と、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の前記位置(p)とを、所定値に調整するために、調和的且つ同時に実行される
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3光学装置(O)と前記発散ビーム(D)用の供給源(Z)とは、互いに対して一定距離(d3)で配列されることを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工用システム、並びにレーザ加工用レーザビームのビーム伝播方向に沿った焦点のサイズ及び位置を調整する方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、例えば切断及び溶接用等の、材料加工用に大規模に用いられている。このため、レーザビームを被加工物上で通過させなければならない。これは、加工ヘッドを被加工物に対して移動させることで行ってよい。この点で、移動速度ひいては加工速度も、加工ヘッドの質量又は被加工物の質量によって制限される。例えば回転可能ミラー等の可動光偏向ユニットを有する加工ヘッドを用いることで、より高速の加工速度が達成されよう。これにより、レーザビームを被加工物上で通過させる。この種のシステムは、走査システムと称される。
【0003】
この種の走査システムは、後に粗動位置合わせを行うロボットにより、誘導されてもよい。明らかにロボットよりも動的である走査システムは、焦点の高速且つ高精度な微動位置決めを行う。
【0004】
この種の走査システムは、焦点の位置及びサイズが、加工中、完全制御下であることを必要とする。この点で、駆動焦点位置とは無関係に、走査システムの全作動領域にわたって、例えばその直径により与えられる、例えば焦点のサイズが一定であることが望ましい。更に、加工要件に応じて、特に焦点サイズを変化できることが望ましい。
【0005】
加えて、この種の走査システムでは、外径をできる限り小さくするという要件がある。例えば、近づき難い場所でレーザ加工を行うためには、ロボット制御走査システムを用いて、複雑な形状の被加工物に浸漬することが望ましい。これは、走査システムの構造がより小さくなると、更に容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高度に動的な方法で、焦点位置及び焦点サイズの独立調整を可能とする、小型構造形態を有するユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全コリメート焦点距離(fK)を有しており、発散ビーム(D)用のビーム供給源(Z)と、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)と、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)と、を備えて構成されており、前記発散ビーム(D)が、先ず前記第1光学装置(L1)を通過し、その後、前記第2光学装置(L2)を通過して、前記第2光学装置(L2)からコリメート状態で離れる、コリメート光学系(K)と、正の焦点距離(fO)を有する第3光学装置(O)であって、前記コリメート光学系(K)の下流側に配置され、前記コリメート光学系(K)からコリメート状態で離れる前記ビーム(P)を焦点(F)に合わせる第3光学装置(O)と、前記第2光学装置(L2)をビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる調整素子(A)と、を備え、前記第2光学装置(L2)の画像側主面と前記第3光学装置(O)の対象物側主面との間の平均ビーム行路(d2)は、前記第2光学装置(L2)及び前記第3光学装置(O)が望遠鏡状の光学配置を形成するように配列されることによって、前記調整素子(A2)を用いて前記第2光学装置(L2)を移動させる際に前記焦点(F)のサイズ(g)が実質的に一定であるように選択され、前記ビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さいことを特徴とするレーザ加工用システムを提供する。
【0008】
一の実施形態によれば、前記第2光学装置(L2)の前記画像側主面と前記第3光学装置(O)の前記対象物側主面との間の前記平均ビーム行路(d2)は、f2+0.75×f0 <d2<f2+1.25×f0、又は、前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)と前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)との和にほぼ等しい、という条件を満たす。
【0009】
更なる実施形態によれば、前記第1光学装置(L1)は、前記ビーム伝搬方向(R)に固定される。
更なる実施形態によれば、前記ビーム(P)を前記ビーム伝搬方向(R)から他の方向に偏向させるビーム偏向ユニット(AE)と、前記調整素子(A2)及び前記ビーム偏向ユニット(AE)を制御することで、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の位置を所定値に調整できる制御器(S)と、を更に備える。
【0010】
更なる実施形態によれば、前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)にほぼ対応する正の焦点距離(f4)を有する第4光学装置(L4)と、前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)にほぼ対応する負の焦点距離(f5)を有する第5光学装置(L5)と、を更に備え、
前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)は、加工ビーム(BS)が通過するように構成され、前記第4光学装置(L4)及び前記第5光学装置(L5)は、観察ビーム(BE)が通過するように構成され、前記第4光学装置(L4)は、前記第1光学装置(L1)に結びつけられ、前記第5光学装置(L5)の移動は、前記2光学装置(L2)の移動に結びつけられる。
【0011】
本発明は、更に、全コリメート焦点距離(fK)を有しており、発散ビーム(D)用のビーム供給源(Z)と、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)と、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)と、を備えて構成されており、前記発散ビーム(D)が、先ず前記第1光学装置(L1)を通過し、その後、前記第2光学装置(L2)を通過して、前記第2光学装置(L2)からコリメート状態で離れる、コリメート光学系(K)と、正の焦点距離(fO)を有する第3光学装置(O)であって、前記コリメート光学系(K)の下流側に配置され、前記コリメート光学系(K)からコリメート状態で離れる前記ビーム(P)を焦点(F)に合わせる第3光学装置(O)と、前記第1光学装置(L1)をビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる他の調整素子(A1)と、前記第2光学装置(L2)を前記ビーム伝搬方向(R)に沿って移動させる調整素子(A2)と、を備え、前記他の調整素子(A1)及び前記調整素子(A2)は、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を互いに独立して移動でき、前記ビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さいことを特徴とするレーザ加工用システムを提供する。
【0012】
更なる実施形態によれば、平均ビーム行路(d2)は、前記第2光学装置(L2)の画像側主面と前記第3光学装置(O)の対象物側主面との間で、前記調整素子(A2)を用いて前記第2光学装置(L2)を移動させる際に前記焦点(F)のサイズ(g)が実質的に一定であるように、望遠鏡状の光学配置を形成するように配列された前記第2光学装置(L2)及び前記第3光学装置(O)によって選択される。
更なる実施形態によれば、前記焦点(F)のサイズ(g)及び前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の位置(p)を、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の移動によって互いに独立して選択可能な所定値に調整するように、前記他の調整素子(A1)及び前記調整素子(A2)を制御する制御器(S)を更に備え、前記焦点(F)の前記サイズ(g)は、前記第1光学装置(L1)を移動させることにより実質的に調整され、前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)は、前記第2光学装置(L2)を移動させることにより実質的に調整され、前記第1光学装置(L1)の前記移動による前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)の変化、及び前記第2光学装置(L2)の前記移動による前記焦点(F)の前記サイズ(g)の変化の少なくとも一方が、前記所定値を調整するために考慮される。
【0013】
更なる実施形態によれば、前記焦点(F)の前記位置(p)の変化と前記サイズ(g)の変化のうちの少なくとも一方は、前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の位置に応じて、前記焦点(F)の前記位置(p)及び前記サイズ(g)の算出又は測定に基づく参照制御データを格納することと、前記焦点(F)の前記位置(p)及び前記サイズ(g)に対する前記所定値を調整するために、前記格納された参照制御データを用いて、前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)の必要な位置を決定することと、により認識される。
【0014】
更なる実施形態によれば、前記ビーム(P)を前記ビーム伝搬方向(R)から他の方向に偏向させるビーム偏向ユニット(AE)を更に備え、前記制御器(S)は、前記他の調整素子(A1)、前記調整素子(A2)、及び前記ビーム偏向ユニット(AE)を制御することで、前記焦点(F)の前記サイズ(g)と、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の前記位置(p)とを、所定値に調整するように構成される。
【0015】
更なる実施形態によれば、 前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)にほぼ対応する正の焦点距離(f4)を有する第4光学装置(L4)と、前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)にほぼ対応する負の焦点距離(f5)を有する第5光学装置(L5)と、を更に備え、
前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)は、加工ビーム(BS)が通過するように構成され、前記第4光学装置(L4)及び前記第5光学装置(L5)は、観察ビーム(BE)が通過するように構成され、前記第4光学装置(L4)の移動は、前記第1光学装置(L1)の移動に結びつけられ、前記第5光学装置(L5)の移動は、前記2光学装置(L2)の移動に結びつけられる。
【0016】
更なる実施形態によれば、前記ビーム供給源(Z)は、発散レーザ放射を出射する光ファイバの一端に接続される。
【0017】
更なる実施形態によれば、前記ビーム供給源(Z)と前記第1光学装置(L1)の対象物側主面との間の距離(d1)に対する前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)の比率は、0.25から0.75の間である。
【0018】
更なる実施形態によれば、前記第1光学装置(L1)は、入射ビーム(D)の角度が出射ビーム(A)の角度に等しくなるように配置される。
【0019】
更なる実施形態によれば、前記発散ビーム(D)の半角発散(hw)の湾曲部は、0.05から0.15の範囲であり、前記第1光学装置(L1)の前記正の焦点距離(f1)は、55mmから120mmの範囲であり、前記第2光学装置(L2)の前記負の焦点距離(f2)は、−75mmから−160mmの範囲であり、前記全コリメート焦点距離(fK)は、60mmから300mmの範囲であり、前記ビーム(P)の直径(d)は、前記コリメート光学系(K)を通過後には、14mmから50mmの範囲であり、前記第3光学群(O)の前記正の焦点距離(fO)は、300mmから800mmの範囲である。
【0020】
一の実施形態によれば、前記第3光学装置(O)は、前記ビーム供給源(Z)に対して一定の距離を有している。
【0021】
更なる実施形態によれば、もしあれば前記他の調整素子(A1)、及び前記調整素子(A2)は、リニアドライブであり、特にダイレクトドライブである。
【0022】
更なる実施形態によれば、前記ビーム偏向ユニット(AE)は、前記ビーム伝搬方向(R)で前記第3光学装置(O)の下流側に配置され、又は、前記ビーム偏向ユニット(AE)は、前記ビーム伝搬方向(R)で前記第2光学装置(L2)と前記第3光学装置(O)との間に配置される。
【0023】
本発明は、更に、レーザ加工用レーザビームのビーム伝搬方向(R)に沿って、焦点(F)のサイズ(g)と位置(p)を調整する方法であって、発散ビーム(D)の提供と、前記発散ビーム(D)の、正の焦点距離(f1)を有する第1光学装置(L1)への供給と、前記正の焦点距離(f1)を有する前記第1光学装置(L1)を通過したビーム(A)の、負の焦点距離(f2)を有する第2光学装置(L2)への供給と、により、全コリメート焦点距離(fK)を有する実質的コリメートビーム(P)を生成する工程であって、前記発散ビーム(D)、前記第1光学装置(L1)、及び前記第2光学装置(L2)は、前記第2光学装置(L2)を通過したビーム(P)が実質的にコリメートされるように構成且つ配列されている工程と、前記実質的コリメートビーム(P)の第3光学装置(O)への供給により前記焦点(F)を生成する工程であって、前記発散ビーム(D)のビーム供給源(Z)と前記第3光学装置(O)の画像側焦点面(B)との間の全ビーム行路(gs)は、前記第3光学装置(O)の前記正の焦点距離(fO)と前記全コリメート焦点距離(fK)との和の2倍よりも小さい工程と、前記焦点(F)の前記サイズ(g)及び前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)を、互いに独立して選択可能な所定値に調整できるように、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を移動させる工程であって、前記焦点(F)の前記サイズ(g)は、前記ビーム伝搬方向(R)に沿って前記第1光学装置(L1)を移動させることにより実質的に調整され、前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)は、前記ビーム伝搬方向(R)に沿って前記第2光学装置(L2)を移動させることにより実質的に調整される工程と、前記第1光学装置(L1)の前記移動による前記ビーム伝搬方向(R)に沿った前記焦点(F)の前記位置(p)の変化と、前記第2光学装置(L2)の前記移動による前記焦点(F)の前記サイズ(g)の変化と、のうちの少なくとも一方を、前記所定値を調整するために考慮する工程と、を備えることを特徴とする方法を提供する。
【0024】
本発明の更なる実施形態によれば、前記方法は、前記ビーム(P)を、前記ビーム伝搬方向(R)から、該ビーム伝搬方向(R)以外の方向に偏向させる工程を更に備え、前記第1光学装置(L1)及び前記第2光学装置(L2)を移動させる工程、並びに前記ビームを偏向させる工程は、前記焦点(F)の前記サイズ(g)と、加工される材料(M)の表面に対する前記焦点(F)の前記位置(p)とを、所定値に調整するために、調和的且つ同時に実行される。
【0025】
本発明の一の実施形態によれば、前記第3光学装置(O)と前記発散ビーム(D)用の供給源(Z)とは、互いに対して一定距離(d3)で配列される。
【0026】
本発明の実施例について図面に示し、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】レーザ加工システムの位置の実施例を示す図である。
【
図2】焦点位置変位を図示する模範的構成を示す図である。
【
図3】焦点サイズの変化を図示する模範的構成を示す図である。
【
図4】レーザ加工システムの大きさを示す図である。
【
図5】観察光学系を有するコリメート光学系を示す図である。
【
図6】反射光学素子を有するコリメート光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細の説明では、本明細書に組み込まれ且つ例示により具体例を示す添付の図面を参照する。これに応じて本発明は実施できる。この点で、「上」、「下」、「前」、「後」等の文言は、図面の向きに関して用いられる。実施例における構成要素は、複数の異なる向きに配置されてよいので、異なる方向を示す用語は、例示として用いられており、決して限定的ではない。他の実施例が用いられてよく、本発明の保護の範囲から逸脱せずに構造又は論理変更が行われてよいことは理解されよう。ここに記載される各種の実施例は、特に指定がなければ、組み合わされてよいことは言うまでもない。よって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解されるべきではなく、本発明の保護の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されよう。
【0029】
本明細書では、「接続され」、「取り付けられ」、又は「連結され」等の文言は、直接的及び間接的接続、直接的又は間接的取り付け、直接的又は間接的連結を説明するために用いられてよい。
【0030】
図面では、同じ又は類似の部材に、該当する場合は同じ参照符号が付与される。明快にするために、図面内の全ての要素に夫々の参照符号を付与しているとは限らない。これは、特に、他の要素と同一であるように図示された要素について当てはまる。よって、説明及び参照符号は、同じように図示された全ての要素について同様に当てはまる。左側から見た第1位置にある参照符号の文字(又は複数文字)は、参照符号が初めて現れた図面を表してよい。
【0031】
図1は、レーザ加工用システム100の実施例を示す図である。これにより、材料(又は被加工物)Mは、レーザ源Lからくるレーザビームを用いて加工されてよい。この点で、レーザビームは、ビーム伝搬方向Rでレーザ源Lから焦点Fに伝搬する。材料Mに対する焦点Fの位置、及び焦点Fのサイズ(又は直径)は、調整されてよい。
【0032】
ビーム供給源Zは、半角発散角度hwで発散的にレーザ放射を出射するように構成される。発射レーザ放射を提供するレーザ源Lは、ビーム供給源Zに連結されてよい。レーザ源Lは、例えばディスクレーザ又はファイバレーザに連結される、例えば光ファイバの一端であってよい。
【0033】
システム100は、レーザ源Lから発散的に出射するビームDを、コリメートビームPにするコリメート光学系Kを備えてよい。コリメートビームPは、実施的平行ビーム束である。文言「実施的平行」については、
図2及び
図3と関連して更に詳細に説明する。
【0034】
コリメート光学系Kは、発散ビームD用ビーム供給源Zと、正の焦点距離f1を有する第1光学装置L1と、負の焦点距離f2を有する第2光学装置L2と、を備えてよい。この点で、発散ビームDは、入射ビームとして先ず第1光学装置L1を通過し、その後、出射ビームAとして第2光学装置L2を通過する。第1光学装置L1は、入射ビームDの角度が出射ビームAの角度に等しくなるように配置されてよい。ビーム供給源Zと第1光学装置L1の対象物側主面との間の距離d1に対する第1光学装置L1の正の焦点距離f1の比率は、0.25から0.75の間であってよい(
図4参照)。
【0035】
コリメート入力ビーム向けに設計され、且つ少なくとも三の光学装置を備えており、そのうちの少なくとも二の光学装置が移動される、レーザ焦点サイズを調整する焦点ズームシステムとは対照的に、二の光学装置L1、L2のみがこの場合に必要とされる。焦点Fの位置及びサイズは、
図2及び
図3に記載するように、互いに独立して制御可能な両光学装置L1、L2の移動によって制御されてよい。
【0036】
対象物O(以下第3光学装置Oと称する)は、レーザビームの焦点を合わせる。第3光学装置Oは、正の焦点距離fOを有してよい。第3光学装置Oは、コリメート光学系Kの下流側にビーム伝搬方向Rで配置されてよい。コリメート光学系Kからコリメート状態で離れるビームPを焦点Fに合わせてよい。この点で、焦点Fは、材料Mの表面上に又は表面から離れて形成されてよい。第3光学装置Oは、ビーム供給源Zに対して一定の距離を有してよい。言い換えれば、焦点Fのサイズ又は位置を調整するために、第3光学装置Oを移動させる必要はない。ビーム偏向により合焦時に光学素子が大きい必要があり、それに対応して高度に動的な調整が不可能である場合には、焦点のサイズ及び位置を変更させるために結像用(焦点調節用)対象物Oをずらさなければならない配置は、走査システムには不向きである。
【0037】
第1光学装置L1、第2光学装置L2、及び第3光学装置Oのうちの少なくとも一つは、単一レンズ又は数個のレンズを備えてよい。レンズは、その表面で透過的にレーザビームを屈折可能である。第1光学装置L1、第2光学装置L2、及び第3光学装置Oのうちの少なくとも一つは、一又は複数の非球面光学素子又は反射光学素子を備えてよい。非球面光学素子は、球面光学素子と比べて光学収差が低く、これにより、必要とされる光学素子の数は減少し、光学システムのパワー互換性は増加してよい。反射光学素子を有するコリメート光学系Kの実施例について、
図6と関連して説明する。
【0038】
システム100は、ビームPを、ビーム伝搬方向Rから、該ビーム伝搬方向R以外の方向に偏向させるビーム偏向ユニットAEを備えてよい。ビーム偏向ユニットAEは、少なくとも一の偏向軸を備えてよく、これらの偏向軸は、通常、ビーム伝搬方向R(Z方向)に垂直に、且つ互い(X方向、Y方向)に垂直に配置される。よって、レーザビームは、材料Mの表面で、又はラインに沿って、例えば加工される輪郭(外形)に沿って偏向されてよい。ビーム偏向ユニットAEは、例えば、ガルバノメータドライブ(ガルバノメータスキャナ)によって移動される、一又は複数の、特に二の移動可能に支持されたミラーを備えてよい。この種のガルバノメータスキャナは、高度に動的であり、加工速度をできるだけ高速にする。
【0039】
ビーム偏向ユニットAEは、ビーム伝搬方向Rで第2光学装置L2と第3光学装置Oとの間に配置されてよい。しかしながら、ビーム偏向ユニットAEは、ビーム伝搬方向Rで第3光学装置Oの下流に配置されてもよい。加えて、ビームスプリッタ、ビーム形成要素等の他の構成要素が、ビーム行路に含まれてよい。
【0040】
システム100は、第1光学装置L1をビーム伝搬方向Rに沿って移動させる第1調整素子A1と、第2光学装置L2をビーム伝搬方向Rに沿って移動させる第2調整素子A2とを備えてよい。第1調整素子A1及び第2調整素子A2は、第1光学装置L1及び第2光学装置L2を互いに独立して移動させてよい。第1調整素子A1及び第2調整素子A2は、リニアドライブであり、特にダイレクトドライブであってよい。ギヤバックラッシュ及び慣性質量は、ギア機構の省略の結果として減少し、第1光学装置L1及び第2光学装置L2を正確且つ迅速に移動させることができる。
【0041】
本明細書の関連部分及び
図2及び
図3に示すように、第1光学装置L1を移動させることにより焦点Fのサイズが実質的に調整され、第2光学装置L2を移動させることによりビーム伝搬方向Rに沿った焦点Fの位置が実質的に調整されるという事実により、レーザ放射の焦点サイズ及び焦点位置は、正確に且つ高度に動的に調整されてよい。
【0042】
システム100は、第1調整素子A1、第2調整素子A2、及びビーム偏向ユニットAEを制御できる制御器Sを備えてよい。これにより、制御器Sは、焦点Fのサイズと、ビーム伝搬方向R(Z方向)に沿った焦点Fの位置と、例えば垂直方向(X方向、Y方向)の、ビーム伝搬方向Rからずれた少なくとも一の方向に沿った焦点の位置とが、対応の所定値に調整可能であるように、第1光学装置L1及び第2光学装置L2の移動、及びビーム偏向ユニットAEのビーム偏向を調和させることができる。加工される材料Mの表面に対する相対的な焦点位置(x,y,z)及び焦点サイズgは、よって、互いに独立して所定値に調整されてよい。
【0043】
図2は、配列例210、220、及び230を用いて、焦点Fの位置pがどのようにビーム伝搬方向Rにずれるかを示している。配列210は、平均焦点位置p0を示し、配列220は、離れた焦点位置p2を示し、配列230は、近い焦点位置p1を示す。配列210、220、230は、ビーム供給源Z、第1光学装置L1、第2光学装置L2、及び第3光学装置Oを備えてよい。例えば、焦点Fの位置pは、第3光学装置Oから測定されてよい。
図2の左側に、配列210、220、及び230におけるビーム供給源Zでのレーザビームのサイズ/直径を、一の方向、例えばX方向に沿って示す。ビーム供給源Zでのレーザビームのサイズは、実質的に一定である。
図2の右側に、焦点Fのサイズgを、一の方向、例えばX方向に沿って示す。焦点Fのサイズgは、第2光学装置L2と第3光学装置Oとの間のビーム行路が適宜に選択される場合(数式5に関する以下の説明を参照)、実質的に一定である。配列210、220、及び230は、
図1のレーザ加工用システム100に対応してよい。この点に関して、制御器S、第1調整素子A1、第2調整素子A2、及びビーム偏向ユニットAEは、明確にするために省略されている。
【0044】
焦点Fの位置pをビーム伝搬方向Rに変位させるために、第2光学装置L2は、ビーム伝搬方向Rに沿って変位されてよい。第2光学装置L2の変位又は移動は、両方向矢印により示される。第1光学装置L1は、通常、焦点Fの位置pを変化させるためには移動されない。
【0045】
配列210では、焦点Fは、位置p0を有する。第2光学装置L2から離れるコリメートビームPは、実質的に平行である。即ち、発散はゼロに近い。
【0046】
配列220では、第2光学装置L2は、配列210と比較して、第1光学装置L1に向かって変位された。コリメートビームPは、配列210のコリメートビームPと比較して、発散が僅かにある。その結果、焦点Fは、配列210での位置p0よりも第3光学装置Oから更に離れた位置p2にずれる。
【0047】
配列230では、第2光学装置L2は、配列210と比較して、第1光学装置L1よりも離れて変位された。コリメートビームPは、配列210のコリメートビームPと比較して、発散が僅かにある。その結果、焦点Fは、配列210での位置p0よりも第3光学装置Oに近い位置p1にずれる。
【0048】
コリメータ光学系Kと第3光学装置Oとの間の光路に応じて、焦点サイズgは、第2光学装置L2が変位される際に変化してよい。この焦点サイズの変化を補正するために、第1光学装置L1の補償運動が僅かに行われてよい。
【0049】
図3は、配列例310、320、及び330を用いて、焦点Fの位置pがどのように変化するかを示している。この点で、配列310、320、及び330は、
図2の配列210、220、及び230に対応してよく、再度説明は行わない。
図3の右側に、焦点Fのサイズg0、g1、及びg2を、一の方向、例えばX方向に沿って示す。配列310は、平均焦点サイズg0を示し、配列320は、小さい焦点サイズg1を示し、配列330は、大きい焦点サイズg2を示す。
【0050】
焦点Fのサイズgを変化させるために、第1光学装置L1はビーム伝搬方向に沿って変位される。第1光学装置L1の変位又は移動は、両方向矢印により示される。第2光学装置L2は、通常、焦点Fのサイズgを変化させるためには移動されない。第2光学装置L2から離れるコリメートビームPは、実質的に平行である。即ち、発散はゼロに近い。第1光学装置L1の変位により、実質的に影像比の変化が生じ、よって、焦点サイズgの変化が生じる。
【0051】
配列310では、焦点Fは平均焦点サイズg0を有する。
【0052】
配列320では、第1光学装置L1は、配列310と比較して、第2光学装置L2に向かって変位された。コリメートビームPは、配列310のコリメートビームPよりも直径dが大きい。その結果、焦点Fは、配列310の焦点Fのサイズg0よりも小さいサイズg1を有してよい。
【0053】
配列330では、第1光学装置L1は、配列310と比較して、第2光学装置L2よりも離れて変位された。コリメートビームPは、配列310のコリメートビームPと比較して、直径dが小さい。その結果、焦点Fは、配列310の焦点Fのサイズg0よりも大きいサイズg2を有してよい。
【0054】
第1光学装置L1が変位される際に、焦点Fの位置pは僅かに変化してよい。この焦点位置の変化を補償するために、第2光学装置L2の補償運動が僅かに行われてよい。
【0055】
図4において、既知の装置410を、本発明に係る例示的装置420と比較する。特に、考察されたレーザ加工用システムの寸法を示す。
【0056】
配列410は、発散ビームDをビーム供給源ZからコリメートビームPに再形成する任意のコリメート光学系Kを備えてよい。簡単のため、コリメート光学系Kを線として描写する。配列410の本質的特徴は、ビーム伝搬方向Rでの焦点Fの位置pの変位を達成するために、コリメート光学系Kに含まれる光学素子が、ビーム供給源Zに対して一挙に移動されてよいことである。このために、コリメート光学系Kは、図面には考慮されていないアクチュエータ及び制御器に接続されてよい。
【0057】
コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の平均距離d0を適切に選択することにより、ビーム伝搬方向Rに沿った焦点の変位とは無関係に一定である焦点サイズgを達成することができる。近軸近似では、これは、コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の距離d0が、コリメート光学系Kの焦点距離fK(コリメート焦点距離)と第3光学装置Oの焦点距離fOとの和に等しい場合及びその場合のみである。即ち、
式1:d0=fK+fO (近軸)
式1は、近軸条件に同等であり、これに従って、コリメート光学系K及び第3光学装置Oは、望遠鏡状の光学配置を形成する。被加工物にファイバ端を映すコリメート光学系K及び第3光学装置Oの配列では、ビーム供給源Zと第3光学装置Oの画像側焦点面Bとの間の全ビーム行路gsは、近軸近似では、全コリメート焦点距離fKと第3光学装置Oの正の焦点距離fOとの和の2倍である。即ち、
式2:gs=2×(fK+fO) (近軸)
図1から
図3に図示且つ記載されたコリメート光学系Kを用いると、レーザ加工システムの全ビーム行路gsは、著しく短くなってよい(配列420を参照)。図示を簡単にするために、第1光学装置L1及び第2光学装置L2を、配列420において線として示す。第1光学装置L1は、ビーム供給源Zから離れる光束D用の結像(撮像)光学系としてみなされてよい。第2光学装置L2は、ビーム供給源Z’に集束する光束用の仮想コリメートとして考えられてよい。ビーム伝搬方向Rでの焦点Fの位置pの変位を達成するために、配列420では、第2光学装置L2の移動で十分である。即ち、配列410の如く、全体としてコリメート光学系Kを移動させる必要はない。
【0058】
コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の平均距離d0を適切に選択することにより、配列420においても、配列410に関して上述したように、ビーム伝搬方向Rに沿った焦点の変位とは無関係に一定である焦点サイズgを達成することができる。コリメート光学系Kの全てではなく、第2光学装置L2のみを配列420において移動させて焦点を変位させることより、式1は配列420に対して以下のように変化する。即ち、
式3:d2=f2+fO (近軸)
式3は、近軸条件に同等であり、これに従って、第2光学装置L2及び第3光学装置Oは、望遠鏡状の光学配置を形成する。配列420では、第2光学装置L2は、コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の距離に関して、配列410での全コリメートの役割を果たす。
【0059】
全ビーム行路が配列410よりも配列420において著しく短くなる理由は、コリメート光学系Kでの第2光学装置L2の負の焦点距離f2である。焦点距離f2の負の符号により、コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の距離d2は、式3に係る配列420におけるfOよりも著しく短い。一方、距離d2は、式1に係る配列410のfOよりも著しく長い。これに従い、全ビーム行路gsは、配列420では、配列410と比較して著しく減少する。従って、ビーム供給源Zと第3光学装置Oの画像側焦点面Bとの間の全ビーム行路gsは、第3光学装置Oの正の焦点距離fOと全コリメート焦点距離fKとの和の2倍よりも小さくてよい。
【0060】
これは近軸的に当てはまるのみならず、配列420において達成できる全ビーム行路の大幅な減少に基づいて、実際の非近軸光学装置も考慮される。即ち、
式4:gs<2×(fK+fO)
レーザ加工システムの第1実施例では、第1光学装置L1は、ビーム伝搬方向Rに固定(又は不動に)されてよい。言い換えれば、第1光学装置L1は、第1調整素子A1を必要としない。制御器Sは、第2調整素子A2及びビーム偏向ユニットAEを制御する必要があるのみであり、例えば加工される材料Mの表面に対する焦点Fの位置(x,y,z)は、所定値に調整されてよい。
【0061】
第2光学装置L2が第2調整素子A2により移動される際に、焦点Fのサイズgは、上述の如く、コリメート光学系Kと第3光学装置Oとの間の平均ビーム行路d2を注意深く選択することにより、実質的に一定に保持されてよい。これは、第2光学装置L2及び第3光学装置Oが望遠鏡状の光学配置を形成するように配列された場合である。
【0062】
実際の非近軸光学装置では、d2は、第2光学装置L2の画像側主面と第3光学装置Oの対象物側主面との間のビーム行路として理解されるべきである。
【0063】
従って、例えば第2光学装置L2の画像側主面と第3光学装置Oの対象物側主面との間の平均ビーム行路d2が、第2光学装置L2の負の焦点距離f2と第3光学装置Oの正の焦点距離fOとの和にほぼ等しい場合に、焦点の変位とは独立して焦点サイズが一定となる。即ち、
式5:d2≒f2+fO
平均ビーム行路d2に対して、レーザ加工用システムの焦点サイズの不変性に対する典型的要件に及ぶ対応領域も示されてよい。即ち、
式6:f2+0.75×fO<d2<f2+1.25×fO
レーザ加工システムの第2実施例では、第1光学装置L1及び第2光学装置L2は、ビーム伝搬方向Rに可動であってよい。制御器Sは、第1調整素子A1及び第2調整素子A2を調和的に制御してよい。第1光学装置L1の移動によるビーム伝搬方向Rに沿った焦点Fの位置pの変化が、所定位置pを調整するために、この点において制御器Sにより考慮されてよい。ビーム伝搬方向Rに沿った第2光学装置L2の移動による焦点Fのサイズgの変化も、所定サイズgを調整するために、制御器Sにより考慮されてよい。故に、焦点の所望位置p及びサイズgを互いに独立して調整できる。
【0064】
焦点Fの位置pの変化及び/又はサイズgの変化は、例えば以下のように考えられてよい。即ち、制御器Sは、ビーム伝搬方向Rに沿った第1光学装置L1及び第2光学装置L2の位置に応じて焦点Fの位置p及びサイズgを反映する、参照制御データにアクセスしてよい。参照制御データは、焦点Fの位置p及びサイズgから、例えばレーザ加工システムの光学シミュレーションによる算出により、又は例えばレーザ加工システムの動作前又は動作中における測定により、決定されてよい。参照制御データは、例えば制御カーブ又はテーブルに格納されてよい。焦点Fの位置p及びサイズgの所望又は所定値を調整するために、参照制御データを用いて、ビーム伝搬方向Rに沿った第1光学装置L1及び第2光学装置L2の必要な位置が決定されてよい。状況に応じて、算出、シミュレーション又は測定参照制御データは、動作条件に調整されてよく、若しくは測定データ(キャリブレーション)により補正されてよい。
【0065】
第2光学装置L2の画像側主面と第3光学装置Oの対象物側主面との間の平均ビーム行路d2は、第2実施例においても、第2光学装置L2及び第3光学装置Oを望遠鏡状の光学配置を形成するように配列することによって、調整素子A2を用いて第2光学装置L2を移動させる際に焦点Fのサイズgが実質的に一定であるように選択されてよい。しかしながら、この要件は、第2光学装置L2が移動される際の焦点Fのサイズgの変化が、第1光学装置L1の移動により補償される場合には、有効ではない。従って、レーザ加工用システムは、第2実施例において、第1実施例よりも更に小型に設計されてよい。即ち、
式7:d2<f2+0.75×fO
第2実施例では、制御器Sは、例えば加工される材料Mの表面に対する焦点Fの位置(x,y,z)、及び焦点Fのサイズgが所定値に調整されるように、第1光学装置L1、第2光学装置L2、及びビーム偏向ユニットAEを制御してよい。
【0066】
表1は、発散ビームDの半角発散hwの湾曲部、コリメート焦点距離fK、コリメート光学系Kを通過後のビームPの直径d、第1光学装置L1の正の焦点距離f1、第2光学装置L2の負の焦点距離f2、及び第3光学群Oの正の焦点距離fOに対する各種の値及び範囲を示す。
【0067】
【表1】
図5は、観察光学系Cがコリメート光学系Kに光学的に平行に配置された配列500を示す。観察光学系Cは、観察ビームBEが通過する第4光学装置L4と第5光学装置L5とを備えてよい。観察ビームBEは、直接ユーザの目で見てよく、若しくはセンサ又はカメラSEにより検出されてよい。
コリメート光学系Kは、上述した複数のコリメート光学系Kのうちのいずれか一つであってよく、例えばビーム供給源Z、第1光学装置L1及び第2光学装置L2を有する配列420からでもよい。加工ビームBSは、コリメート光学系Kを通過してよく、その加工ビームは、材料加工に適したレーザビームからなる。
【0068】
配列500は、ビームスプリッタSTと、偏向ミラーUとを備えてよい。ビームスプリッタSTは、コリメート光学系Kからの観察ビームBSを材料Mの方向に反射してよい。材料Mの方向からの光ビームLSは、ビームスプリッタSTを通過して偏向ミラーUに当たってよい。偏向ミラーUは、光ビームを観察ビームBEとして観察光学系Cの方向に反射してよい。これにより、観察光学系Cは、偏向ミラーU及びビームスプリッタSTと共に、加工ビームBSの焦点のサイズ及び位置を観察又は検出してよい。加えて、例えば被加工物Mのサイズ、形状、又は位置若しくは加工経過を検出するために、加工ビームPSを用いて加工された材料M又は被加工物を見てよい。
【0069】
第4光学装置L4は、第1光学装置L1の正の焦点距離f1にほぼ対応する正の焦点距離f4を備えてよい。第5光学装置L5は、第2光学装置L2の負の焦点距離f2にほぼ対応する負の焦点距離f5を備えてよい。これにより、観察ビームBE及び加工ビームBSは、同じ位置、例えば材料M又は被加工物上に焦点が合ってよい。言い換えれば、観察ビームBE及び加工ビームBSは、焦点が同じである。
【0070】
第1実施例では、第1光学装置L1は固定されてよい。即ち、加工ビームBSの方向に移動しない。第4光学装置L4は、第1光学装置L1に連結されてよく、同様に固定されてよい。第1実施例では、第2光学装置L2は移動されてよい。第5光学装置L5の移動は、第2光学装置L2の移動に結びつけられてよい。言い換えれば、第2光学装置L2と第5光学装置L5とは、一緒に移動してよい。よって、第2光学装置L2の移動によるコリメート光学系Kの光学特性の変化は、観察光学系Cに移されてよく、その焦点もそれに準じて変化する。よって、観察ビームBE及び加工ビームBSは、第2光学装置L2が移動されても、焦点が同じままである。連結(結合)は、第2光学装置L2と第5光学装置L5との間の堅固な機械的結合によってなされてよい。
【0071】
第2実施例では、第1光学装置L1と第2光学装置L2との両方が移動されてよい。第4光学装置L4の移動は、第1光学装置L1の移動に結びつけられ、第5光学装置L5の移動は、第2光学装置L2の移動に結びつけられてよい。言い換えれば、第1光学装置L1と第4光学装置L4とは、一緒に移動してよく、第2光学装置L2と第5光学装置L5とは、一緒に移動してよい。よって、第1光学装置L1と、また場合により、第2光学装置L2との移動によるコリメート光学系Kの光学特性の変化は、観察光学系Cに移されてよく、その焦点もそれに準じて変化する。よって、観察ビームBE及び加工ビームBSは、焦点位置及び焦点サイズが調整される際に、焦点が同じままである。連結(結合)は、夫々、第1光学装置L1と第4光学装置L4との間との堅固な機械的結合や、第2光学装置L2と第5光学装置L5との間の堅固な機械的結合によってなされてよい。
【0072】
連結された第1光学装置L1と第4光学装置L4との移動は、例えば、第1調整素子A1によりなされてよい。連結された第2光学装置L2と第5光学装置L5との移動は、例えば、第2調整素子A2によりなされてよい。移動方向は、両方向矢印により示される。
【0073】
図6は、ビーム供給源Z、第1光学装置L1及び第2光学装置L2を有するコリメート光学系Kの実施例600を示す。第1光学装置L1及び第2光学装置L2は、反射光学素子S1、S2、S3及びS4を備えてよい。透過型光学素子と比較すると、反射光学素子は、冷却が容易であるという利点がある。これにより、光学システムのパワー互換性が増加し、高レーザパワーと互換性がある。反射光学素子S1、S2、S3及びS4は、平面鏡、凸面鏡、又は凹面鏡等のミラーであってよい。これらのミラーは、金属ミラー、ダイクロイック誘電体ミラー(干渉ミラー)又はプリズムミラーであってよい。
【0074】
ビーム供給源Zは、第1光学装置L1に入射し、出射ビームAとして離れる発散ビームDを与えてよい。出射ビームAは、第2光学装置L2に当たり、コリメートビームPとして離れてよい。
【0075】
第1光学装置L1は、集束装置であってよい。即ち、正の焦点距離を備えてよい。言い換えれば、出射ビームAは、入射ビームDよりも発散が小さくよい。第1光学装置L1は、第1ミラーS1と、第2ミラーS2とを備えてよい。第1ミラーS1は平面鏡であってよく、第2ミラーS2は凹面鏡であってよく、又はその逆でもよい。第1光学装置L1は、例えば第1調整素子A1によって、両方向矢印により示されるように、ビーム伝搬方向Rに沿って移動されてよい。
【0076】
第2光学装置L2は、発散装置であってよい。即ち、負の焦点距離を備えてよい。言い換えれば、出射ビームPは、入射ビームAよりも発散が大きくてよい。第2光学装置L2は、第3ミラーS3と、第4ミラーS4とを備えてよい。第3ミラーS3は平面鏡であってよく、第4ミラーS4は凹面鏡であってよく、又はその逆でもよい。第2光学装置L2は、例えば第2調整素子A2によって、両方向矢印により示されるように、ビーム伝搬方向Rに沿って移動されてよい。
【0077】
図6に示す反射光学素子を有するコリメート光学系Kは、
図1から
図5に記載された実施例で用いられてよい。この点では、第3光学装置L3は、例えば反射光学素子によって生成される第1光学装置L1と同様に、正の焦点距離を有する集束装置であってよい。
【0078】
図1から
図6に記載された装置は、一の方法を実行してよい。この方法は、レーザ加工用レーザビームのビーム伝搬方向Rに沿った焦点Fの位置p及びサイズgを調整してよい。この方法では、実質的コリメートビームPは、全コリメート焦点距離fKを有して生成されてよい。
【0079】
このために、正の焦点距離f1を有する第1光学装置L1に供給される発散ビームDが提供されてよい。正の焦点距離f1を有する第1光学装置L1を通過したビームAは、負の焦点距離f2を有する第2光学装置L2に供給されてよい。発散ビームD、第1光学装置L1及び第2光学装置L2は、第2光学装置L2を通過したビームPが実質的にコリメートされるように構成且つ配列されてよい。これにより、二の光学装置L1、L2のみを備えたコリメート光学系Kを作成できる。焦点Fは、実質的コリメートビームPを第3光学装置Oに供給することにより生成されてよい。第3光学装置Oと発散ビームD用の供給源Zとは、互いに対して一定距離d3で配列される。言い換えれば、第3光学装置Oは、焦点サイズ及び焦点位置を調整するために移動される必要はなく、これにより、調整素子とその制御は、第3光学装置Oに求められない。
【0080】
発散ビームD用の供給源Zと第3光学装置Oの画像側焦点面Bとの間の全ビーム行路gsは、第3光学装置Oの正の焦点距離fOと全コリメート焦点距離fKとの和の2倍よりも小さくなるように選択されてよく、よって、非常に小型のレーザ加工用システムが生成される。
【0081】
第1光学装置L1及び第2光学装置L2は、焦点Fのサイズg及び焦点Fの位置pを、互いに独立して選択可能な所定値にビーム伝搬方向Rに沿って調整できるように、移動されてよい。
【0082】
焦点Fのサイズgは、ビーム伝搬方向Rに沿って第1光学装置L1を移動させることにより実質的に調整されてよい。ビーム伝搬方向Rに沿った焦点Fの位置pは、ビーム伝搬方向Rに沿って第2光学装置L2を移動させることにより実質的に調整されてよい。
【0083】
第1光学装置L1の移動によるビーム伝搬方向Rに沿った焦点Fの位置pの変化は、所定値を調整する際に考慮されてよい。第2光学装置L2の移動による焦点Fのサイズgの変化も、所定値を設定する際に考慮されてよい。この考慮は、例えば、事前のシミュレーションや夫々の変化の測定及び対応する補正値の決定により行われてよい。
【0084】
伝搬方向RからのビームPは、例えばガルバノメータスキャナである、例えばビーム偏向ユニットAEによって、ビーム伝搬方向R以外の方向に偏向されてよい。第1光学装置L1の移動、第2光学装置L2の移動、及びビームの偏向は、焦点Fのサイズgと、加工される材料Mの表面に対する焦点Fの位置pとを、所定値に調整するために、調和的且つ同時に実行されてよい。これにより、高度に動的なレーザ加工が実現されるであろう。
【符号の説明】
【0085】
100…レーザ加工用システム
210…平均焦点位置を有する配置
220…離れた焦点位置を有する配置
230…近い焦点位置を有する配置
310…平均焦点サイズを有する配置
320…小さい焦点サイズを有する配置
330…大きい焦点サイズを有する配置
410…既存のレーザ加工システム
420…レーザ加工システム
500…観察光学系を備えるレーザ加工システム
600…反射素子を備えるコリメート光学系
A…射出ビーム
A1…他の調整素子/第1調整素子
A2…調整素子/第2調整素子
AE…ビーム偏向ユニット
B…第3光学装置の画像側焦点面
BE…観察ビーム
BS…加工ビーム
C…観察光学系
D…発散ビーム/入射ビーム
F…焦点
K…コリメート光学系
L…レーザ源
L1…第1光学装置
L2…第2光学装置
L4…第4光学装置
L5…第5光学装置
LS…光ビーム
M…材料
O…第3光学装置
P…コリメートビーム
R…ビーム伝搬方向
S…制御器
S1…第1ミラー
S2…第2ミラー
S3…第3ミラー
S4…第4ミラー
SE…センサ/カメラ
ST…ビームスプリッタ
U…偏向ミラー
Z…ビーム供給源/供給源
Z’…ビーム供給源の虚像
d0…コリメート光学系と第3光学装置との間の平均距離
d…コリメートビームの直径
d1…ビーム供給源と第1光学装置の対象物側主面との間の距離
d2…第2光学装置の画像側主面と第3光学装置の対象物側主面との間の平均距離
d3…ビーム供給源と第3光学装置との間の距離
f1…第1光学装置の焦点距離
f2…第2光学装置の焦点距離
f4…第4光学装置の焦点距離
f5…第5光学装置の焦点距離
fK…全コリメート焦点距離
fO…第3光学装置の焦点距離
g、g1、g2…焦点サイズ
gs…全ビーム行路
hw…半分の発散角
p、p1、p2…ビーム伝搬方向に沿った焦点位置