(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644403
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】全回転チュービング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E02D 11/00 20060101AFI20200130BHJP
E02D 7/20 20060101ALI20200130BHJP
E02D 7/22 20060101ALI20200130BHJP
E21B 7/20 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
E02D11/00
E02D7/20
E02D7/22
E21B7/20
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-39988(P2015-39988)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-160647(P2016-160647A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 庸公
【審査官】
田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−004278(JP,A)
【文献】
特公平06−096848(JP,B2)
【文献】
特開平09−184139(JP,A)
【文献】
特開2001−254357(JP,A)
【文献】
特開平07−252832(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0061550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングチューブの圧入、引抜を行うための全回転チュービング装置において、地上に設置されるチュービングジャッキ手段と、前記ケーシングチューブを回転させる回転駆動部及び該回転駆動部を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部を備えたチューブ駆動手段とを備え、
前記チュービングジャッキ手段は、地上に据え付けられるロアフレームと、該ロアフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたチャックロアフレームと、該チャックロアフレームにチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックアッパーフレームと、前記ロアフレーム、チャックアッパーフレーム及びチャックロアフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシングチューブ挿通孔と、前記チャックアッパーフレーム及び前記チャックロアフレームの挿通孔の周囲に、それぞれベアリングを介して設けられ、前記チャックシリンダで前記チャックアッパーフレームと前記チャックロアフレームとを接近させることによって前記ケーシングチューブを把持する楔状のチャック部材とを備えるとともに、ケーシングチューブ回転用の油圧モータ及び減速機を備えておらず、
前記チューブ駆動手段は、下部走行体の上部に上部旋回体を旋回可能に設けたベースマシンと、前記上部旋回体の前部に鉛直方向に立設したリーダと、該リーダに沿って前記回転駆動部を昇降させる前記昇降駆動部と、前記回転駆動部に装着されたケーシングチューブ連結用の連結アダプタとを備えていることを特徴とする全回転チュービング装置。
【請求項2】
請求項1記載の全回転チュービング装置における杭芯合わせ方法であって、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記連結アダプタを前記ケーシングチューブ挿通孔内に挿入する工程と、前記チャックシリンダによって前記チャックアッパーフレームと前記チャックロアフレームとを接近させて前記チャック部材により前記連結アダプタをチャックする工程と、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を上昇させて前記連結アダプタを介して前記チュービングジャッキ手段を持ち上げた状態で、前記ベースマシンをあらかじめ設定された位置に移動し、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記チュービングジャッキ手段を据え付ける工程とを含むことを特徴とする全回転チュービング装置における杭芯合わせ方法。
【請求項3】
請求項1記載の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの圧入方法であって、圧入するケーシングチューブを前記連結アダプタの下部に連結する工程と、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記ケーシングチューブを前記チュービングジャッキ手段の前記ケーシングチューブ挿通孔内に挿入し、前記回転駆動部によって前記ケーシングチューブを回転させながら前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記ケーシングチューブを地中に圧入する工程とを含むことを特徴とする全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの圧入方法。
【請求項4】
請求項1記載の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの引抜方法であって、下部が地中に圧入されて上部が前記ケーシングチューブ挿通孔から上方に突出した前記ケーシングチューブの上端部を前記連結アダプタの下端部に連結した後、前記チャック部材で前記ケーシングチューブをチャックした状態で前記昇降駆動部をフリー昇降状態にして前記回転駆動部によって前記ケーシングチューブを回転させながら前記昇降シリンダを伸長させて前記ケーシングチューブを上昇させる工程と、前記昇降駆動部を固定した状態で前記チャック部材を解放してから前記昇降シリンダを短縮させる工程とを繰り返すことを特徴とする全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの引抜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全回転チュービング装置及び方法に関し、詳しくは、ケーシングチューブの圧入及び引抜を行うための全回転チュービング装置及び該全回転チュービング装置の杭芯合わせ方法並びに前記全回転チュービング装置を使用したケーシングチューブの圧入方法及び引抜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からケーシングチューブの圧入及び引抜に広く用いられている一般的な全回転チュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレーム及びチャックフレームと、ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの各中央部に設けられたケーシングチューブ挿通孔と、ドライブフレーム及びチャックフレームの挿通孔の周囲にベアリングを介して設けられた回転体と、各回転体の内周に設けられた楔状のメインチャックと、ドライブフレームとチャックフレームとの間に設けられたメインチャックシリンダと、ドライブフレームに設けられたケーシングチューブ回転用の油圧モータ及び減速機と、ベースフレームに設けられたサブチャック及びサブチャックシリンダとを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−251520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全回転チュービング装置は、パワージャッキ、スイングジャッキといった他のケーシング掘削用の機器に比べて効率がよく、大口径のケーシングチューブにも対応できるという利点を有している。しかしながら、構成部品が多く、重量も重く、寸法も比較的大きくなり、高価であるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、口径が比較的小さなケーシングチューブの圧入や引抜を効率よく行うことができる全回転チュービング装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の全回転チュービング装置は、ケーシングチューブの圧入、引抜を行うための全回転チュービング装置において、地上に設置されるチュービングジャッキ手段と、前記ケーシングチューブを回転させる回転駆動部及び該回転駆動部を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部を備えたチューブ駆動手段とを備え、前記チュービングジャッキ手段は、地上に据え付けられるロアフレームと、該ロアフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたチャックロアフレームと、該チャックロアフレームにチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックアッパーフレームと、前記ロアフレーム、チャックアッパーフレーム及びチャックロアフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシングチューブ挿通孔と、前記チャックアッパーフレーム及び前記チャックロアフレームの挿通孔の周囲に、それぞれベアリングを介して設けられ、前記チャックシリンダで前記チャックアッパーフレームと前記チャックロアフレームとを接近させることによって前記ケーシングチューブを把持する楔状のチャック部材とを備えるとともに、
ケーシングチューブ回転用の油圧モータ及び減速機を備えておらず、前記チューブ駆動手段は、下部走行体の上部に上部旋回体を旋回可能に設けたベースマシンと、前記上部旋回体の前部に鉛直方向に立設したリーダと、該リーダに沿って前記回転駆動部を昇降させる前記昇降駆動部と、前記回転駆動部に装着されたケーシングチューブ連結用の連結アダプタとを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の全回転チュービング装置における杭芯合わせ方法は、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記連結アダプタを前記ケーシングチューブ挿通孔内に挿入する工程と、前記チャックシリンダによって前記チャックアッパーフレームと前記チャックロアフレームとを接近させて前記チャック部材により前記連結アダプタをチャックする工程と、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を上昇させて前記連結アダプタを介して前記チュービングジャッキ手段を持ち上げた状態で、前記ベースマシンをあらかじめ設定された位置に移動し、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記チュービングジャッキ手段を据え付ける工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの圧入方法は、圧入するケーシングチューブを前記連結アダプタの下部に連結する工程と、前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記ケーシングチューブを前記チュービングジャッキ手段の前記ケーシングチューブ挿通孔内に挿入し、前記回転駆動部によって前記ケーシングチューブを回転させながら前記昇降駆動部によって前記回転駆動部を下降させて前記ケーシングチューブを地中に圧入する工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの引抜方法は、下部が地中に圧入されて上部が前記ケーシングチューブ挿通孔から上方に突出した前記ケーシングチューブの上端部を前記連結アダプタの下端部に連結した後、前記チャック部材で前記ケーシングチューブをチャックした状態で前記昇降駆動部をフリー昇降状態にして前記回転駆動部によって前記ケーシングチューブを回転させながら前記昇降シリンダを伸長させて前記ケーシングチューブを上昇させる工程と、前記昇降駆動部を固定した状態で前記チャック部材を解放してから前記昇降シリンダを短縮させる工程とを繰り返すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の全回転チュービング装置によれば、チュービングジャッキ手段は、ケーシングチューブ回転用の油圧モータや減速機、サブチャック、サブチャックシリンダを持たず、ケーシングチューブの圧入は、チューブ駆動手段の回転駆動部を昇降駆動部で下降させることによって行うので、回転反力を受けることもないため、チュービングジャッキ手段の構成を簡略化することができ、小型、軽量化を図ることができる。これにより、価格も安価になるだけでなく、輸送コストも低減することができる。また、チューブ駆動手段には、一般的な杭打機を使用することができ、クレーンに代えて杭打機を用意するだけでよいことから、ケーシングチューブを圧入したり、引き抜いたりするためのトータルコストの低減を図ることができる。すなわち、通常の全回転チュービング装置は、駆動用の専用油圧ユニットを必要とするが、本発明の全回転チュービング装置は、回転の油圧源が不要のため、杭打機本体の油圧源で駆動することができ、大幅なコスト削減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の全回転チュービング装置におけるチュービングジャッキ手段の一形態例を示す半断面正面図である。
【
図4】本発明の全回転チュービング装置における杭芯合わせ方法の第1段階を示す要部側面図である。
【
図7】本発明の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの圧入方法の第1段階を示す要部側面図である。
【
図11】本発明の全回転チュービング装置におけるケーシングチューブの引抜方法の第1段階を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、
図1乃至
図3は、本発明の全回転チュービング装置におけるチュービングジャッキ手段の一形態例を示すもので、本形態例に示すチュービングジャッキ手段11は、平面視長方形状に形成されたものであって、水平ジャッキ12を介して地上に据え付けられるロアフレーム13と、該ロアフレーム13の上方に昇降シリンダ14を介して昇降可能に設けられたチャックロアフレーム17と、該チャックロアフレーム17にチャックシリンダ16を介して昇降可能に設けられたチャックアッパーフレーム15と、前記ロアフレーム13、チャックアッパーフレーム15及びチャックロアフレーム17の中央部を鉛直方向に貫通するケーシングチューブ挿通孔18と、チャックアッパーフレーム15及びチャックロアフレーム17のケーシングチューブ挿通孔18の周囲に、ベアリング19a,19bを介してそれぞれ設けられた回転体20a,20bとを備えている。
【0013】
チャックロアフレーム17の回転体20bの内周面は、上方が拡開した円錐面となっており、チャックアッパーフレーム15の回転体20aの下部には、リンク21を介してチャック部材22が周方向の複数箇所に設けられている。チャック部材22の外面は、回転体20bの円錐面に対応した傾斜面となっており、チャックシリンダ16を短縮させてチャックアッパーフレーム15とチャックロアフレーム17とを接近させることにより、回転体20bの内周面に押されてチャック部材22がケーシングチューブ挿通孔18の内周方向に移動し、ケーシングチューブ挿通孔18内に挿通されたケーシングチューブ23の外周面に圧接し、ケーシングチューブ23を複数のチャック部材22でチャックした状態となる。
【0014】
図4乃至
図17は、前記チュービングジャッキ手段11に、チューブ駆動手段として一般的なラックピニオン昇降式の杭打機31を組み合わせて、ケーシングチューブ23の圧入及び引抜を行う施工例を示している。なお、以下の説明において、チュービングジャッキ手段11については、詳細な図示は省略して前記
図1乃至
図3を参照して説明する。また、杭打機31の全体図は
図6にのみ図示し、他の図面では要部のみを図示する。
【0015】
図6に示すように、杭打機31は、下部走行体32の上部に上部旋回体33を旋回可能に設けたベースマシン34と、前記上部旋回体33の前部に鉛直方向に立設したリーダ35と、該リーダ35に沿って昇降可能に設けられたオーガなどの回転駆動部36と、該回転駆動部36と一体に設けられた昇降駆動部37とを備えており、昇降駆動部37は、リーダ35の前面に設けられたラック35aに歯合するピニオンを油圧モータで回転させることにより、回転駆動部36を昇降させるように形成されている。昇降駆動部37に用いる油圧モータの油圧回路は、回転駆動部36を上昇させる上昇モード、回転駆動部36を下降させる下降モード、回転駆動部36を自由に昇降可能とするフリーモード、回転駆動部36を固定する固定モードの4モードに切替可能となっている。また、回転駆動部36の下方に突出した駆動軸36aには、ケーシングチューブ23と同じ外径を有するとともに、下端部にケーシングチューブ23の上端部に設けられている差口部23aを挿入して連結するための受口部38aを有する連結アダプタ38が装着されている。
【0016】
まず、
図4乃至
図6に示す手順によって杭芯合わせを行う。最初に、下部走行体32を操作してベースマシン34を移動させ、
図4に示すように、適宜な位置に置かれているチュービングジャッキ手段11のケーシングチューブ挿通孔18の上方に連結アダプタ38を位置させた後、昇降駆動部37を操作して下降モードとし、
図5に示すように、回転駆動部36をリーダ35に沿って下降させることにより、連結アダプタ38をケーシングチューブ挿通孔18内に挿入する工程を行う。
【0017】
次に、チャックシリンダ16を短縮させることによってチャックアッパーフレーム15とチャックロアフレーム17とを接近させてチャック部材22を内周方向に移動させてチャック部材22によって連結アダプタ38をチャックする工程を行う。このように、連結アダプタ38をチャックした後、
図6に示すように、昇降駆動部37を操作して上昇モードとし、回転駆動部36を上昇させて連結アダプタ38を介してチュービングジャッキ手段11を持ち上げた状態で、下部走行体32を操作してベースマシン34をあらかじめ設定された位置に移動し、昇降駆動部37を操作して下降モードとし、回転駆動部36を下降させてチュービングジャッキ手段11を所定の位置に据え付ける工程を行う。この杭芯合わせを行った後、チャックシリンダ16を伸長させることによってチャックアッパーフレーム15とチャックロアフレーム17とを離間させてチャック部材22を外周方向に移動させてチャック部材22による連結アダプタ38のチャックを解除する。また、必要に応じて水平ジャッキ12を操作し、ケーシングチューブ挿通孔18の軸心が鉛直方向を向くように調整する。
【0018】
このようにして杭芯合わせを行うことにより、チュービングジャッキ手段11をクレーンのワイヤで吊り下げて杭芯合わせを行う場合に比べてチュービングジャッキ手段11を安定した状態で移動させることができ、杭芯合わせを容易に行うことができる。
【0019】
チュービングジャッキ手段11の杭芯合わせを行った後、
図7乃至
図10に示すようにしてケーシングチューブ23を地中に圧入する。まず、
図7に示すように、所定の位置に立てた状態で保管されているケーシングチューブ23の上部と連結アダプタの下部とを、差口部23aを受口部38aに挿入してボルトなどによって連結する工程を行い、回転駆動部36を僅かに上昇させてケーシングチューブ23の下端を上昇させた状態で下部走行体32を操作し、ベースマシン34をチュービングジャッキ手段11を据え付けた位置に移動させる。
【0020】
このとき、ケーシングチューブ23が1本目の場合は、昇降駆動部37を下降モードとして回転駆動部36を下降させてケーシングチューブ23をチャック部材22を解放させたチュービングジャッキ手段11のケーシングチューブ挿通孔18内に挿入し、回転駆動部36によってケーシングチューブ23を回転させながら昇降駆動部37を下降モードにして回転駆動部36を下降させ、回転駆動部36の回転力及び下降力によってケーシングチューブ23を地中に圧入する工程を行う。
【0021】
2本目以降のケーシングチューブ23の場合は、
図8及び
図9に示すように、ケーシングチューブ23Fの上端の差口部23aを、次のケーシングチューブ23の下端の受口部23bに挿入してボルトなどで連結した後、1本目と同様に、回転駆動部36でケーシングチューブ23を回転させながら昇降駆動部37を下降モードにして回転駆動部36を下降させることにより、
図10に示すように、連結した複数本のケーシングチューブ23を地中に圧入していく。
【0022】
ケーシングチューブ圧入後に所定の工程を行った後、ケーシングチューブ23を地中から引き抜く作業を行う。
図11乃至
図17は、複数本を連結して地中に圧入されているケーシングチューブ23を引き抜く手順を示している。まず、
図11に示すように、昇降シリンダ14を短縮させた状態でチャックシリンダ16を短縮させ、チャック部材22で最上部のケーシングチューブ23の上部をチャックするとともに、ベースマシン34を所定位置に移動させて連結アダプタ38の下部とケーシングチューブ挿通孔18から上方に突出したケーシングチューブ23の上部とを前記同様にして連結する。
【0023】
次に、ケーシングチューブ23をチャックした状態で、昇降駆動部37をフリーモードにして回転駆動部36でケーシングチューブ23を回転させながら昇降シリンダ14を伸長させ、ケーシングチューブ23をチャックした状態のチャックアッパーフレーム15とチャックロアフレーム17とを、ベアリング19a,19bを介して回転体20a,20bを回転させながら一体に上昇させる工程を行う。これにより、
図12に示すように、回転駆動部36を上昇させながら、地中に圧入されているケーシングチューブ23を昇降シリンダ14のストローク分だけ引き抜くことができる。
【0024】
さらに、昇降シリンダ14を伸長させたチャック状態で昇降駆動部37を固定モードに切り替えて回転駆動部36を固定した後、
図13に示すように、チャックシリンダ16を伸長させてチャック部材22によるケーシングチューブ23のチャックを解放し、
図14に示すように、昇降シリンダ14を短縮させる工程を行う。
【0025】
そして、ケーシングチューブ23をチャック部材22でチャックした状態で、昇降駆動部37をフリーモードとし、回転駆動部36でケーシングチューブ23を回転させ、昇降シリンダ14を伸長させ、ケーシングチューブ23を所定量引き抜く前記工程と、昇降駆動部37を固定モードとし、チャックシリンダ16を伸長させてチャック部材22を解放し、昇降シリンダ14を短縮させる前記工程とを交互に繰り返し行うことにより、
図15に示すように、ケーシングチューブ23を徐々に引き抜いていくことができる。
【0026】
このようにしてケーシングチューブ23を引き抜くことにより、チュービングジャッキ手段11にケーシングチューブ回転用の油圧モータや減速機を設ける必要がなくなり、回転反力を取る機器も不要で、ケーシングチューブ23を掴み変えるときは、昇降駆動部37でケーシングチューブ23を保持するため、サブチャックも不要になる。このため、従来の単一の全回転チュービング装置に比べて、同様な構成のチュービングジャッキ手段11の構成の大幅な簡略化を図ることができるので、小型、軽量化、低価格化、輸送コストの低減などを図ることができる。
【0027】
ケーシングチューブ23の下端をケーシングチューブ挿通孔18より上方に引き抜いたところで、
図16に示すように、上方のケーシングチューブ23の下部と、下方のケーシングチューブ23Fの上部との連結を解除し、上方のケーシングチューブ23を連結アダプタ38に連結した状態でベースマシン34を移動させたり、上部旋回体33を旋回させたりした後、
図17に示すように、所定の位置でケーシングチューブ23と地上に降ろした後、連結アダプタ38との連結を解除する。その後、次のケーシングチューブ23(23F)に対して前記同様の工程を繰り返すことにより、圧入した全てのケーシングチューブ23を引き抜くことができる。
【0028】
このように、チュービングジャッキ手段11の昇降シリンダ14を使用してケーシングチューブ23を引き抜くことにより、昇降駆動部37による回転駆動部36の上昇力に比べて大きな力で、ケーシングチューブ23を地中から確実に引き抜くことができる。すなわち、何本も繋いで回転圧入したケーシングチューブ23を引き抜く際には、ケーシングチューブ自体の重量に土圧も加わって極めて大きな引抜力が必要となり、杭打機のオーガのラック昇降では到底引き抜くことができない。このため、ケーシングチューブ23を引き抜く際には、チュービングジャッキ手段11で引抜力を、回転駆動部36で回転力をケーシングチューブ23に作用させることにより、ケーシングチューブ23を確実に引き抜くことができる。一方、ケーシングチューブ23を圧入する際には、昇降駆動部37による回転駆動部36の下降力で十分なケーシングチューブ23の圧入力を得ることができる。
【0029】
なお、チューブ駆動手段としての杭打機の構成は任意であり、ラックピニオン昇降式に限らず、チェーン昇降式の杭打機を使用することもできる。また、ケーシングチューブの連結構造も任意である。さらに、チュービングジャッキ手段は、単独で通常のパワージャッキとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
11…チュービングジャッキ手段、12…水平ジャッキ、13…ロアフレーム、14…昇降シリンダ、15…チャックアッパーフレーム、16…チャックシリンダ、17…チャックロアフレーム、18…ケーシングチューブ挿通孔、19a,19b…ベアリング、20a,20b…回転体、21…リンク、22…チャック部材、23…ケーシングチューブ、23a…差口部、23b…受口部、31…杭打機、32…下部走行体、33…上部旋回体、34…ベースマシン、35…リーダ、35a…ラック、36…回転駆動部、36a…駆動軸、37…昇降駆動部、38…連結アダプタ、38a…受口部