特許第6644447号(P6644447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644447
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】フラット型波動歯車装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
   F16H1/32 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-554761(P2017-554761)
(86)(22)【出願日】2015年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2015084835
(87)【国際公開番号】WO2017098663
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】半田 純
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩明
(72)【発明者】
【氏名】三宅 崇太郎
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−199130(JP,A)
【文献】 特開2015−148326(JP,A)
【文献】 実開平3−119643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剛性内歯車と、
第2剛性内歯車と、
前記第1、第2剛性内歯車にかみ合い可能な円筒形状の可撓性外歯車と、
前記可撓性外歯車を非円形に撓めて前記第1、第2剛性内歯車のそれぞれに対して部分的にかみ合わせ、これらのかみ合い位置を円周方向に移動させるための波動発生器と、
前記可撓性外歯車の軸線方向の移動を規制するための押さえ機構と、
を有しており、
前記押さえ機構は、
前記可撓性外歯車の軸線方向の移動を規制するための円環状の第1、第2押さえ部材と、
前記第1押さえ部材が、前記軸線方向および半径方向に所定量だけ移動可能であり、かつ、その円周方向に移動可能なフローティング状態で装着されている円環状の第1凹部と、
前記第2押さえ部材が、前記フローティング状態で装着されている円環状の第2凹部と、
前記第1凹部が形成されている第1部材と、
前記第2凹部が形成されている第2部材と、
を備えており、
前記第1部材は前記第1剛性内歯車であり、
前記第1凹部は、前記第1剛性内歯車における内歯形成部分以外の部位に形成されており、
前記第2部材は前記第2剛性内歯車であり、
前記第2凹部は、前記第2剛性内歯車における内歯形成部分以外の部位に形成されており、
前記第1、第2凹部は、半径方向の内方に開口しており、
前記第1押さえ部材は前記可撓性外歯車の前記軸線方向の一方の側の第1外歯車端面に対峙し、
前記第2押さえ部材は前記可撓性外歯車の前記軸線方向の他方の側の第2外歯車端面に対峙しているフラット型波動歯車装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1、第2押さえ部材の表面硬度は、前記可撓性外歯車の前記第1、第2外歯車端面の表面硬度よりも低いフラット型波動歯車装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1、第2押さえ部材の表面硬度は、前記可撓性外歯車の前記第1、第2外歯車端面の表面硬度の90%〜99%の範囲内の値であるフラット型波動歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの剛性内歯車の内側に円筒状の可撓性外歯車が配置されているフラット型波動歯車装置に関する。さらに詳しくは、可撓性外歯車の軸線方向への移動を規制する押さえ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット型波動歯車装置においては、2つの剛性内歯歯車にかみ合っている円筒状の可撓性外歯車は、運転時に作用するスラスト力によって軸線方向に移動する。そのために、可撓性外歯車の軸線方向の動きを抑制する部品が必要である。特許文献1においては、外歯車の両側に、その移動を規制するための規制部材を配置し、この規制部材と、これが摺動する部材との間の摩擦係数を調整して、外歯車の端部の摩耗が少なくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−177938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における外歯車の軸線方向の動きを規制するための部品は、軸線方向における定まった位置に配置されている。運転時において回転している外歯車が軸線方向に移動すると、定まった位置に配置されている規制用の部品に当たり、これらの間に摺動摩擦が生じる。規制用の部品との間の摺動に起因する外歯車の端部の摩耗を十分に抑制することが困難である。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みて、外歯車の軸線方向の動きを実用上支障の無い範囲内に規制でき、外歯車の軸線方向の動きを規制することに起因する外歯車の端部の摩耗を十分に抑制することのできるフラット型波動歯車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のフラット型波動歯車装置は、
第1剛性内歯車と、
第2剛性内歯車と、
前記第1、第2剛性内歯車にかみ合い可能な円筒形状の可撓性外歯車と、
前記可撓性外歯車を非円形に撓めて前記第1、第2剛性内歯車のそれぞれに対して部分的にかみ合わせ、これらのかみ合い位置を円周方向に移動させるための波動発生器と、
前記可撓性外歯車の軸線方向の移動を規制するための押さえ機構と、
を有している。
【0007】
また、前記押さえ機構は、
前記可撓性外歯車の軸線方向の移動を規制するための円環状の第1、第2押さえ部材と、
前記第1押さえ部材が、前記軸線方向および半径方向に所定量だけ移動可能であり、かつ、回転可能なフローティング状態に装着されている円環状の第1凹部と、
前記第2押さえ部材が、前記フローティング状態に装着されている円環状の第2凹部と、
を備えている。
【0008】
さらに、前記第1押さえ部材は前記可撓性外歯車の前記軸線方向の一方の側の第1外歯車端面に対峙し、前記第2押さえ部材は前記可撓性外歯車の前記軸線方向の他方の側の第2外歯車端面に対峙している。
【0009】
前記可撓性外歯車の前記軸線方向への移動を規制する前記第1、第2押さえ部材はフローティング状態で前記第1、第2凹部に装着されている。したがって、前記可撓性外歯車の前記軸線方向の移動を、実用上において支障の無い範囲内に規制できる。また、前記軸線方向において固定された位置に押さえ部材が配置されている場合に比べて、前記可撓性外歯車と前記第1、第2押さえ部材との間に生じる摺動摩耗を低減できる。
【0010】
本発明のフラット型波動歯車装置において、前記第1剛性内歯車が取り付けられている第1ハウジングと、前記第2剛性内歯車が取り付けられている第2ハウジングとを有している場合には、第1凹部は、前記第1ハウジングと、前記第1剛性内歯車における前記第1外歯車端面の側の第1内歯車端面との間に形成することができる。また、前記第2凹部は、前記第2ハウジングと、前記第2剛性内歯車における前記第2外歯車端面の側の第2内歯車端面との間に形成することができる。
【0011】
また、前記第1凹部を第1ハウジング自体に形成し、前記第2凹部を第2ハウジング自体に形成することも可能である。
【0012】
さらに、別部材を用いて第1、第2凹部を形成することも可能である。例えば、第1ハウジングおよび第1剛性内歯車の少なくとも一方に取り付けた第1部材を備えている場合には、第1凹部を、第1部材自体に形成する、第1部材と第1ハウジングの二部材の間に形成する、第1部材と第1剛性内歯車の二部材の間に形成する、または、第1部材と第1ハウジングと第1剛性内歯車の三部材の間に形成することができる。
【0013】
同様に、第2ハウジングおよび第2剛性内歯車の少なくとも一方に取り付けた第2部材を備えている場合には、第2凹部を、第2部材自体に形成する、第2部材と第2ハウジングの二部材の間に形成する、第2部材と第2剛性内歯車の二部材の間に形成する、または、第2部材と第2ハウジングと第2剛性内歯車の三部材の間に形成することができる。
【0014】
前記第1凹部を前記第1剛性内歯車における内歯形成部分以外の部分に形成し、前記第2凹部を前記第2剛性内歯車における内歯形成部分以外の部分に形成することも可能である。
【0015】
なお、第1、第2凹部を形成するにあたって、上記の形成方法を組み合わせて用いることも可能である。例えば、第1、第2凹部のうちの一方の凹部を剛性内歯車に形成し、他方の凹部をハウジングに形成することが可能である。一方の凹部を剛性内歯車あるいはハウジングに形成し、他方の凹部を剛性内歯車とハウジングの二部材の間に形成することも可能である。
【0016】
前記第1、第2凹部は半径方向の内側に開口する凹部とすることが望ましい。第1、第2押さえ部材が装着されている第1、第2凹部は、フラット型波動歯車装置の運転時には、遠心力によって十分な潤滑状態になる。これにより、前記第1、第2押さえ部材に対して摺動する前記可撓性外歯車の前記第1、第2外歯車端面の摩耗を少なくすることができる。
【0017】
前記第1、第2押さえ部材の表面硬度は、前記可撓性外歯車の前記第1、第2外歯車端面の表面硬度よりも低いことが望ましい。これにより、前記可撓性外歯車における前記第1、第2押さえ部材に接触する前記第1、第2外歯車端面に生じる摺動摩耗を低減できる。
【0018】
たとえば、前記第1、第2押さえ部材の表面硬度は、前記可撓性外歯車の前記第1、第2外歯車端面の表面硬度の90%〜99%の範囲内の値に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用したフラット型波動歯車装置の一例を示す縦断面図および横断面図である。
図2図1のフラット型波動歯車装置における可撓性外歯車の軸線方向の移動を規制する押さえ機構を示す部分拡大縦断面図である。
図3】本発明を適用したフラット型波動歯車装置の三例を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したフラット型波動歯車装置の実施の形態を説明する。
【0021】
図1(a)は本実施の形態に係るフラット型波動歯車装置の縦断面図であり、図1(b)はその横断面図である。フラット型波動歯車装置1は、第1剛性内歯車2、第2剛性内歯車3、これらの内側に同軸に配置されている円筒形状の可撓性外歯車4、および、可撓性外歯車4の内側にはめ込まれている楕円状輪郭の波動発生器5とを備えている。可撓性外歯車4は、波動発生器5によって楕円状に撓められ、その楕円形状の長軸L上の位置において第1、第2剛性内歯車2、3のそれぞれにかみ合っている。
【0022】
たとえば、第1剛性内歯車2は回転しないように固定側ハウジング(第1ハウジング)6に固定されている。第2剛性内歯車3は回転側ハウジング7に固定されている。回転側ハウジングは、不図示の軸受けを介して、固定側ハウジング6によって回転自在の状態に支持されている。第1剛性内歯車2の歯数に対して、第2剛性内歯車3の歯数は2n枚(nは正の整数)少ない。可撓性外歯車4の歯数は第2剛性内歯車3の歯数と同一である。また、波動発生器5はモータなどによって回転駆動される。
【0023】
波動発生器5が回転すると、第1、第2剛性内歯車2、3と可撓性外歯車4との間のかみ合い位置が円周方向に移動する。第1剛性内歯車2の歯数は可撓性外歯車4の歯数よりも2n枚多いので、可撓性外歯車4には固定側の第1剛性内歯車2に対して歯数差に応じた相対回転が生じる。他方の第2剛性内歯車3は可撓性外歯車4と歯数が同一であるので、可撓性外歯車4と一体となって回転する。この第2剛性内歯車3は駆動対象の負荷側の部材(図示せず)に連結されており、第2剛性内歯車3の出力回転が、回転側ハウジング7(出力軸)を介して、負荷側に取り出される。
【0024】
ここで、フラット型波動歯車装置1には、運転時における可撓性外歯車4の軸線方向1aへの移動を規制するための押さえ機構10が付設されている。押さえ機構10は、第1押さえ部材11および第2押さえ部材12を備えており、これらは円環形状をしている。
【0025】
図2はフラット型波動歯車装置1の押さえ機構10の部分を示す部分拡大縦断面図である。この図を参照して説明すると、押さえ機構10は、円環状の板からなる第1、第2押さえ部材11、12と、第1、第2押さえ部材11、12がフローティング状態で装着されている第1、第2凹部21、22とを備えている。
【0026】
第1押さえ部材11は、可撓性外歯車4における軸線方向1aの一方の端面である第1外歯車端面4aに対して、軸線方向1aから対峙している。第2押さえ部材12は、可撓性外歯車4の軸線方向1aの他方の端面である第2外歯車端面4bに対して軸線方向1aから対峙している。
【0027】
第1凹部21は半径方向の内方に開口している円環状凹部であり、固定側ハウジング6と第1剛性内歯車2との間に形成されている。固定側ハウジング6は矩形断面の円環状突部6aを備えている。円環状突部6aは、第1剛性内歯車2における第2剛性内歯車3とは反対側の第1内歯車端面2aに沿って半径方向の内方に突出している。円環状突部6aの円形内周面6bは可撓性外歯車4の第1外歯車端面4aよりも半径方向の内側に位置している。この円形内周面6bにおける第1内歯車端面2aの側の部分には、第1内歯車端面2aおよび半径方向の内方に開口する円環状溝6cが形成されている。この円環状溝6cと、この円環状溝6cに対峙している第1内歯車端面2aの内周側の端面部分とによって、矩形断面をした円環状の第1凹部21が規定されている。
【0028】
第1凹部21に装着されている第1押さえ部材11は矩形断面の円環状の板であり、その一方の円環状端面11aが可撓性外歯車4の第1外歯車端面4aに対して軸線方向1aから対峙している。第1押さえ部材11は固定側ハウジング6および第1剛性内歯車2には固定されておらず、また、その幅(軸線方向1aの厚さ)が第1凹部21の幅よりも狭く、その高さも第1凹部21の深さより小さい。したがって、第1押さえ部材11はフローティング状態で第1凹部21に装着されている。すなわち、第1押さえ部材11は第1凹部21内において、軸線方向1aおよび半径方向に所定量だけ移動可能な状態で第1凹部21に装着されており、また、回転可能な状態で第1凹部21に装着されている。
【0029】
ここで、第1押さえ部材11の円環状端面11aの表面硬度は、可撓性外歯車4の第1外歯車端面4aの摺動摩耗を抑えるために、当該第1外歯車端面4aの表面硬度に対して、90%〜99%程度に設定されている。すなわち、第1押さえ部材11の表面硬度が可撓性外歯車4の表面硬度よりも低く、当該可撓性外歯車4の表面硬度に近い表面硬度となるように、当該第1押さえ部材11の材料が選定されている。あるいは、第1押さえ部材11の円環状端面11aに、熱処理などの表面処理が施されて、その表面硬度が調整されている。
【0030】
他方の第2押さえ部材12および第2凹部22は、第1押さえ部材11、第1凹部21に対して、軸線方向1aにおいて左右対称な構造となっている。すなわち、第2凹部22は半径方向の内方に開口している円環状凹部であり、回転側ハウジング7と第2剛性内歯車3との間に形成されている。回転側ハウジング7は矩形断面の円環状突部7aを備えている。円環状突部7aは、第2剛性内歯車3における第1剛性内歯車2とは反対側の第2内歯車端面3aに沿って半径方向の内方に突出している。円環状突部7aの円形内周面7bは可撓性外歯車4の第2外歯車端面4bよりも半径方向の内側に位置している。この円形内周面7bにおける第2内歯車端面3aの側の部分には、第2内歯車端面3aおよび半径方向の内方に開口する円環状溝7cが形成されている。この円環状溝7cと、この円環状溝7cに対峙している第2内歯車端面3aの内周側の端面部分とによって、矩形断面をした円環状の第2凹部22が規定されている。
【0031】
第2凹部22に装着されている第2押さえ部材12は矩形断面の円環状の板であり、その一方の円環状端面12aが可撓性外歯車4の第2外歯車端面4bに対して軸線方向1aから対峙している。第2押さえ部材12は回転側ハウジング7および第2剛性内歯車3には固定されておらず、また、その幅(軸線方向1aの厚さ)が第2凹部22の幅よりも狭く、その高さも第2凹部22の深さより小さい。したがって、第2押さえ部材12はフローティング状態で第2凹部22に装着されている。すなわち、第2押さえ部材12は第2凹部22内において、軸線方向1aおよび半径方向に所定量だけ移動可能な状態で第2凹部22に装着されており、また、回転可能な状態で第2凹部22に装着されている。
【0032】
また、第2押さえ部材12の円環状端面12aの表面硬度は、可撓性外歯車4の第2外歯車端面4bの摺動摩耗を抑えるために、当該第2外歯車端面4bの表面硬度に対して、90%〜99%程度に設定されている。すなわち、第2押さえ部材12の表面硬度が可撓性外歯車4の表面硬度よりも低く、当該可撓性外歯車4の表面硬度に近い表面硬度となるように、当該第2押さえ部材12の材料が選定されている。あるいは、第2押さえ部材12の円環状端面12aに、熱処理などの表面処理が施されて、その表面硬度が調整されている。
【0033】
フラット型波動歯車装置1の運転時には、可撓性外歯車4にスラスト力が作用し、当該可撓性外歯車4が軸線方向1aに移動する。可撓性外歯車4の両側には第1、第2押さえ部材11、12が配置されている。たとえば、可撓性外歯車4が第1剛性内歯車2の側に移動すると、その第1外歯車端面4aが第1押さえ部材11の円環状端面11aに当たり、その移動が規制される。
【0034】
第1押さえ部材11はフローティング状態で第1凹部21に装着されているので、第1外歯車端面4aが過剰な力で第1押さえ部材11に押し付けられ、この状態で双方の部材が摺動してしまうことを防止できる。また、第1外歯車端面4aの表面硬度よりも第1押さえ部材11の円環状端面11aの表面硬度を低くしてあるので、第1外歯車端面4aの側に生じる摺動摩耗を抑制できる。さらには、高速回転する波動発生器5による遠心力で潤滑剤が外周側に移動して、半径方向の内方に開口している第1、第2凹部21、22に入り込み、これら第1、第2凹部21、22が潤滑剤溜りとして機能する。したがって、この中に装着されている第1、第2押さえ部材11、12と他の部材との間の摺動部分は十分に潤滑された状態になり、それらに生じる摺動摩耗を低減できる。
【0035】
なお、可撓性外歯車4と接触する第1、第2押さえ部材11、12の円環状端面11a、12aは、表面硬度を調整するために熱処理等の表面処理を施す必要がある。これらの円環状端面11a、12aはわずかな面積であるので、熱処理などの表面処理のためのコストアップを最小限に抑えることができる。
【0036】
本例においては、第1、第2押さえ部材11、12として矩形断面の円環状の板を用いている。第1、第2押さえ部材11、12は、矩形断面以外の断面形状、たとえば、円形、楕円状などの断面形状であってもよい。また、第1、第2凹部21、22の断面形状も矩形断面以外の断面形状、たとえば、半円形の断面形状であってもよい。
【0037】
(その他の実施の形態)
上記の例では、固定側ハウジングと第1剛性内歯車の間、回転側ハウジングと第2剛性内歯車の間に、それぞれ第1、第2凹部を形成している。例えば、図3(a)に示すように、第1剛性内歯車2おける内歯形成部分以外の部位に第1押さえ部材11を装着するための第1凹部21を形成し、第2剛性内歯車3における内歯形成部分以外の部位に第2押さえ部材12を装着するための第2凹部22を形成することも可能である。
【0038】
また、図3(b)に示すように、固定側ハウジング6に第1押さえ部材11を装着するための第1凹部21を形成し、回転側ハウジング7に第2押さえ部材12を装着するための第2凹部22を形成することも可能である。
【0039】
さらに、剛性内歯車2、3、ハウジング6、7以外の部材を用いて第1、第2凹部21、22を形成することも可能である。例えば、図3(c)に示すように、第1部材31を固定側ハウジング6に装着して、当該第1部材31と第1剛性内歯車2の二部材の間に第1凹部21を形成し、第2部材32を回転側ハウジング7に装着して当該第2部材32と第2剛性内歯車3の二部材の間に第2凹部22を形成することも可能である。
【0040】
一方、上記のフラット型波動歯車装置においては、可撓性外歯車を楕円状に撓めているが、楕円状以外の非円形に可撓性外歯車を撓めて剛性内歯車にかみ合わせる構成のフラット型波動歯車装置に対しても、本発明を同様に適用可能である。
図1
図2
図3