(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板状の基材部(2) の上面に複数の雄型係合素子(10,10a,10b)が立設され、各係合素子(10,10a,10b)は、前記基材部(2) から立ち上がるステム部(11)と、前記ステム部(11)の上端から外側に向けて張り出し、前記ステム部(11)上に一体的に形成される係合頭部(12)とを有する合成樹脂製成形面ファスナー(1,1a,1b) において、
前記係合頭部(12)は、頭部頂端面(13a)と、前記基材部(2)に対向するように前記頭部頂端面(13a)の反対側に前記ステム部(11)との境界部(16)から外側に向けて延びる頭部裏面(13b)と、前記頭部頂端面(13a)の外側から前記頭部裏面(13b)にかけて曲面状に配される外周側面(13c)とを有し、
少なくとも一部の前記係合素子(10,10a,10b)において、前記係合頭部(12)の外周縁部の一部に、前記ステム部(11)と前記係合頭部(12)との境界部(16)における幅寸法よりも細い爪幅寸法を有する少なくとも1つの爪部(14)が外側へ向けて突設され、
前記係合頭部(12)の外周縁部に、前記爪部(14)と曲面状の前記外周側面(13c)とが配され、
前記爪部(14)の前記基材部(2) に対向して配される爪裏面(15b) は、前記係合頭部(12)の前記境界部(16)から外側に延びる前記頭部裏面(13b) に対し、異なる角度で形成されてなる、
ことを特徴とする成形面ファスナー。
前記爪部(14)の爪上面(15a) 及び前記爪裏面(15b) は、先端に向けて下り傾斜する傾斜面又は湾曲面に形成されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の成形面ファスナー。
前記係合頭部(12)は、平面視において、前記境界部(16)における断面と相似の形状を呈する形態を有してなる請求項1〜8のいずれかに記載の成形面ファスナー。
平板状の基材部(2) の上面に複数の雄型係合素子(10,10a,10b)が立設され、各係合素子(10,10a,10b)は、前記基材部(2) から立ち上がるステム部(11)と、前記ステム部(11)の上端から外側に向けて張り出し、前記ステム部(11)上に一体的に形成される係合頭部(12)とを有する合成樹脂製成形面ファスナー(1,1a,1b) を製造する製造方法にあって、前記基材部(2) と、前記基材部(2) に立設される複数の仮素子(20,20a,20b)とを有する一次成形体(5,5a,5b) を成形する一次成形工程と、前記一次成形体(5,5a,5b) の前記仮素子(20,20a,20b)を加熱するとともに前記仮素子(20,20a,20b)を上方から押し潰すことにより前記成形面ファスナー(1,1a,1b) を成形する二次成形工程とを含む製造方法において、
前記一次成形工程にて、少なくとも一部の前記仮素子(20,20a,20b)として、前記基材部(2) から起立する一次ステム部(21)と、前記一次ステム部(21)の上面から上方に膨出する膨出部(22,22a,22b)と、前記膨出部(22,22a,22b)から前記一次ステム部(21)の外側に突出する突出部(25)とを成形すること、
前記二次成形工程にて、前記膨出部(22,22a,22b)及び前記突出部(25)を有する前記仮素子(20,20a,20b)の上端部を押し潰すことにより、前記ステム部(11)と前記係合頭部(12)とを成形するとともに、前記係合頭部(12)の外周縁部に突設される少なくとも1つの爪部(14)を成形すること、
を含んでなることを特徴とする成形面ファスナーの製造方法。
前記一次成形工程にて、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔(57)が穿設された外側円筒体(52)と、前記外側円筒体(52)の内周面に密接して配される内側円筒体(53)とを備え、前記内側円筒体(53)の外周面に複数の凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)が凹設され、前記外側円筒体(52)の内周面における少なくとも一部の貫通孔(57)の外周縁が、前記内側円筒体(53)の前記凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)に重なる部分(58a) と、前記内側円筒体(53)の外周面に密接する部分(58b) とを有するダイホイール(51)を用いて、前記一次成形体(5,5a,5b) を成形することを含んでなる請求項13記載の成形面ファスナーの製造方法。
前記一次成形工程にて、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔(57)が穿設された外側無端ベルト(92)と、前記外側無端ベルト(92)の内周面に密接して配される内側無端ベルト(93)とを備え、前記内側無端ベルト(93)の外周面に複数の凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)が凹設され、前記外側無端ベルト(92)の内周面における少なくとも一部の貫通孔(57)の外周縁が、前記内側無端ベルト(93)の前記凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)に重なる部分(58a) と、前記内側無端ベルト(93)の外周面に密接する部分(58b) とを有するベルト機構(91)を用いて、前記一次成形体(5,5a,5b) を成形することを含んでなる請求項13記載の成形面ファスナーの製造方法。
前記膨出部(22,22a,22b)及び前記突出部(25)を、前記一次ステム部(21)の上面に、棒状形状、波形に湾曲する形状、又は多角形状に一体的に成形することを含んでなる請求項13〜15のいずれかに記載の成形面ファスナーの製造方法。
一方向に回転駆動するダイホイール(51)と、前記ダイホイール(51)に向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズル(55,85) とを有し、成形面ファスナー(1,1a,1b) を製造するために、平板状の基材部(2) と、前記基材部(2) の上面に立設される複数の仮素子(20,20a,20b)とを有する一次成形体(5,5a,5b) を成形する成形装置(50,80) において、
前記ダイホイール(51)は、外側円筒体(52)と、前記外側円筒体(52)の内周面に密接して配される内側円筒体(53)とを備えた同心状の二重円筒構造を有し、
前記外側円筒体(52)に、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔(57)が穿設され、
前記内側円筒体(53)の外周面に、溶融した前記合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)が凹設され、
前記外側円筒体(52)の内周面における少なくとも一部の貫通孔(57)の外周縁が、前記内側円筒体(53)の前記凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)に重なる部分(58a) と、前記内側円筒体(53)の外周面に密接する部分(58b) とを有してなる、
ことを特徴とする成形装置。
一方向に回転走行するベルト機構(91)と、前記ベルト機構(91)に向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズル(95)とを有し、成形面ファスナー(1,1a,1b) を製造するために、平板状の基材部(2) と、前記基材部(2) の上面に立設される複数の仮素子(20,20a,20b)とを有する一次成形体(5,5a,5b) を成形する成形装置(90)において、
前記ベルト機構(91)は、外側無端ベルト(92)と、前記外側無端ベルト(92)の内周面に密接して配される内側無端ベルト(93)とを備え、且つ、前記外側及び内側無端ベルト(92,93)を同期回転させる二重ベルト構造を有し、
前記外側無端ベルト(92)に、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔(57)が穿設され、
前記内側無端ベルト(93)の外周面に、溶融した前記合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)が凹設され、
前記外側無端ベルト(92)の内周面における少なくとも一部の前記貫通孔(57)の外周縁が、前記内側無端ベルト(93)の前記凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)に重なる部分(58a) と、前記内側無端ベルト(93)の外周面に密接する部分(58b) とを有してなる、
ことを特徴とする成形装置。
前記凹部(61,62,63a-63d,64,65,66,67a-67d)は、直線状の凹溝部又は波形に湾曲する凹溝部(61,62,63a-63d,64,65,66)である請求項17又は18記載の成形装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のループを有する雌型の面ファスナーと、その雌型面ファスナーに対して着脱可能な雄型の成形面ファスナーとが一対で組み合わされて用いられる面ファスナー製品が知られており、雄型の成形面ファスナーは、一般的に、平板状の基材部の上面に、フック状又はきのこ状等の形態を有する複数の雄型係合素子が立設されて形成されている。
【0003】
このような雄型の成形面ファスナーを有する面ファスナー製品は、現在、多種多様な商品に広く使用されており、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット(腰痛ベルト)、手袋などのような身体に着脱するような商品にも多く用いられている。
【0004】
また、使い捨ておむつ等に用いられる成形面ファスナーは、今までに数多く開発されてきており、例えば特表2013−529974号公報(特許文献1)や、米国特許出願公開第2013/0067702号明細書(特許文献2)等に開示されている。
【0005】
例えば
図44及び
図45に示すように、特許文献1に記載されている面ファスナー100は、平板状の基材部101に、複数の雄型係合素子102が立設されて形成されている。また、各係合素子102は、錐台状のステム部103と、ステム部103上に一体形成される係合頭部104とを有しており、係合頭部104は、ステム部103から、あらゆる方向に実質的に等しい体積で張り出して形成される。
【0006】
また、特許文献1では、係合素子102の少なくともいくつかについて、係合頭部104におけるx方向又はy方向の一方のみに延びる張り出し部分104aが、基材部101に向かって下方に向けられている。特許文献1によれば、
図44及び
図45に示すような係合素子102を有する成形面ファスナー100は、ループ状の雌型係合素子102を有する面ファスナー100と係合するときに、高い剥離強度を有し得るとしている。
【0007】
また、特許文献2には、係合及び分離の性質を強化させた成形面ファスナーとして、例えば
図46及び
図47に示すような複数の雄型係合素子112を有する成形面ファスナーが記載されている。この特許文献2における係合素子112は、基材部111から立設されるステム部113と、ステム部113上に一体形成される係合頭部114とを有しており、係合頭部114の外周縁部には、複数の歯115が、中心点を基準に回転対象となるように設けられている。更に、特許文献2の成形面ファスナーは、係合頭部114が基材部111と略平行に形成される係合素子112aと、係合頭部114がその外周縁に向けて上方へ反り返るように形成される係合素子112bとを有する。
【0008】
また、特許文献2では、成形面ファスナーを製造する場合に、成形ローラと圧力ローラとの間に、溶融した合成樹脂材料を押し出す方法が用いられる。この場合、成形ローラの外周面には、成形面ファスナーの係合素子112に対応する形状を備えた複数の成形キャビティが形成されている。
【0009】
このような成形ローラと圧力ローラとの間に合成樹脂材料を押し出すことにより、成形ローラと圧力ローラとの間のギャップで基材部111が成形され、また、圧力ローラによって成形ローラの成形キャビティに押し込まれて、係合素子112が基材部111と一体的に成形される。そして、合成樹脂材料を成形ローラとともに回転させながら硬化させた後、硬化した合成樹脂を成形ローラの成形キャビティから取り出して成形ローラから引き剥がすことによって、特許文献2の成形面ファスナーが製造される。
【0010】
また、上述した特許文献1及び2の他にも、例えば特表2002−519078号公報(特許文献3)や特開2002−262908号公報(特許文献4)には、複数の雄型係合素子を有する面ファスナーの製造方法や製造装置について開示されている。
【0011】
例えば特許文献3に記載されている製造方法では、先ず、平板状の基材部と、基材部に立設されるステム部と、ステム部上に一体形成される一次頭部とを有する一次成形体を成形する一次成形工程が行われ、その後、一次成形体をカレンダーに通過させて一次成形体の一次頭部を押圧することにより、一次頭部を径方向に平たく延ばして係合頭部に成形する二次成形工程が行われる。
【0012】
この場合、上述の一次成形を行う成形装置は、回転する型取りシリンダと、型取りシリンダに対して所定の間隔を開けて対向して配されるプレスシリンダと、型取りシリンダ及びプレスシリンダ間に溶融した熱可塑性樹脂を供給する押出しヘッドとを有する。また、特許文献3の型取りシリンダは、円筒状の外側スクリーンと、外側スクリーンの内周面に接する円筒状の内側スクリーンとを有する。
【0013】
型取りシリンダの外側スクリーンには、ステム部の成形を行う複数の円柱状の空洞が形成されている。内側スクリーンには、一次頭部の成形を行う複数の円柱状の空洞が形成されている。また、外側スクリーンの各空洞と、内側スクリーンの各空洞とは、互いに対応する位置に整列して配されている。
【0014】
このような型取りシリンダを有する成形装置を用いて、型取りシリンダ及びプレスシリンダを回転させながら、押出しヘッドから型取りシリンダ及びプレスシリンダ間に熱可塑性樹脂を供給することにより、ステム部及び一次頭部を有するとともに一次頭部にくぼみが形成された複数の係合素子が基材部に立設された一次成形体が成形される。
【0015】
その後、得られた一次成形体をカレンダーに通過させて、各一次頭部を薄くすることにより、複数のきのこ状の係合素子が基材部に立設された特許文献3の成形面ファスナーが製造される。また、この特許文献3で製造される成形面ファスナーは、各係合素子の係合頭部における上面中央部に凹部が形成されるという特徴がある。
【0016】
一方、特許文献4に記載されている成形面ファスナーの製造装置は、基材部上に複数の予備成形素子を有する予備成形体を成形する連続射出装置と、連続射出装置の下流側に配され、予備成形素子を溶融変形させて係合素子を成形する上下一対のローラを備えた加熱押圧装置とを有する。
【0017】
また、連続射出装置は、周面部に成形用キャビティが形成された一方向に回転する円筒ドラムと、円筒ドラムの周面に向けて溶融樹脂を連続して押し出す押出ノズルと、円筒ドラムの周面で成形された予備成形体を円筒ドラムから引き剥がすテークアップローラとを有する。この場合、円筒ドラムは、内部冷却手段である水冷ジャケットを有する中空ドラム状をなしており、周面が成形面ファスナーの一部成形面としての機能を有する。
【0018】
また一般に、円筒ドラムは、所要の厚さを有する複数のリング状(ドーナツ状)プレートを、円筒ドラムの回転軸方向に重ねて積層することによって円柱状に形成されている。また、所定のリング状プレートの周縁部には、放電加工やレーザ加工によって、そのプレート位置に対応して、所定の成形用キャビティが、周方向に所定のピッチで形成されている。
【0019】
この連続射出装置を用いて、溶融した樹脂材料を押出ノズルから円筒ドラムの周面に向けて連続して押し出すことにより、予備成形体が連続的に成形され、更に、その予備成形体は、テークアップローラを介して円筒ドラムから引き剥がされて、加熱押圧装置に送られる。
【0020】
その後、加熱押圧装置に送られた予備成形体は、下部ロールと上部加熱押圧ロールとの間に導入されることにより、予備成形体の予備成形素子が上方から押圧されて、扁平な薄板状の係合頭部が成形される。これにより、十字状の柱部と、特徴的な略矩形薄板状の係合頭部とを有する複数の係合素子が基材部に立設された特許文献4の成形面ファスナーが製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
通常、前述のような使い捨ておむつやおむつカバー等の身体に装着されるような商品に使用される成形面ファスナーに対しては、雄型面ファスナーと雌型面ファスナーの着脱操作が行い易いことや、雄型面ファスナーと雌型面ファスナーを係着させた状態で身体を動かしても両者が容易に分離しないように係合強度(剥離強度)を増大させることが求められている。また、用いられる商品によっては、成形面ファスナーが肌に直接触れることもあるため、柔らかな触り心地が得られるように、成形面ファスナーの雄型係合素子が配されている表面側の肌触りを良くすることも望まれている。
【0023】
しかしながら、例えば特許文献1の雄型係合素子102(
図44及び
図45を参照)を有する成形面ファスナー100では、係合頭部104の張り出し部分104aが下方に向けられている方向に比べて、それに直交する方向の係合強度が低くなる。
【0024】
また、特許文献2の雄型係合素子112(
図46及び
図47を参照)を有する成形面ファスナーは、係合頭部114の外周縁部に大きな凹凸が形成されているため、係合強度の増大は期待できるものの、触り心地が大幅に悪くなる可能性がある。更に、特許文献3の雄型係合素子を有する成形面ファスナーは、各係合頭部の上面に凹部が形成されるため、成形面ファスナーの肌触りを低下させるとともに、大きな係合強度も得られ難くなると思われる。
【0025】
また、特許文献4に記載されている成形装置を用いて成形面ファスナーを製造する場合、円筒ドラムが上述のように複数のリング状プレートを積層して形成されているため、隣接するリング状プレートの境界部分において、一次成形体に小さなバリが発生することがある。また、積層されるリング状プレートの位置が円筒ドラムの周方向に僅かにずれ易いため、係合素子の形状に影響を与えることも考えられる。このため、特許文献4の成形装置は、良好な肌触りが求められる成形面ファスナーや、小さなサイズの成形面ファスナーの製造に使用されなくなりつつあった。
【0026】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、雌型の面ファスナーに対して大きな係合強度(剥離強度)を有するとともに、良好な肌触りが安定して得られる成形面ファスナーを提供すること、及び、そのような成形面ファスナーを安定して製造することが可能な製造方法と、その成形面ファスナーの製造に用いられる成形装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、本発明により提供される成形面ファスナーは、基本的な構成として、平板状の基材部の上面に複数の雄型係合素子が立設され、各係合素子は、前記基材部から立ち上がるステム部と、前記ステム部の上端から外側に向けて張り出し、前記ステム部上に一体的に形成される係合頭部とを有する合成樹脂製成形面ファスナーにおいて、
前記係合頭部は、頭部頂端面と、前記基材部に対向するように前記頭部頂端面の反対側に前記ステム部との境界部から外側に向けて延びる頭部裏面と、前記頭部頂端面の外側から前記頭部裏面にかけて曲面状に配される外周側面とを有し、少なくとも一部の前記係合素子において、前記係合頭部の外周縁部
の一部に、前記ステム部と前記係合頭部との境界部における幅寸法よりも細い爪幅寸法を有する少なくとも1つの爪部が
外側へ向けて突設され、
前記係合頭部の外周縁部に、前記爪部と曲面状の前記外周側面とが配され、前記爪部の前記基材部に対向して配される爪裏面は、前記係合頭部の前記境界部から外側に延びる
前記頭部裏面に対し、異なる角度で形成されてなることを最も主要な特徴とするものである。
特に、本発明の成形面ファスナーにおいて、前記爪部は、前記基材部に向けて下方に傾斜又は湾曲して形成されていることが好ましい。
【0028】
本発明の成形面ファスナーにおいて、1つの前記係合頭部に対し、複数の前記爪部が設けられていることが好ましい。この場合、複数の前記爪部が、前記係合頭部に規則的に配されていることが好ましい。また、複数の前記爪部は、前記係合頭部に不規則に配されていても良い。
更に本発明において、複数の前記爪部が、互いに異なる角度で形成されていることが好ましい。また、複数の前記爪部が、互いに異なる大きさで形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明の成形面ファスナーにおいて、前記爪部の爪上面及び前記爪裏面は、先端に向けて下り傾斜する傾斜面又は湾曲面に形成されていることが好ましい。
また、前記係合頭部は、平面視において、前記境界部における断面と相似の形状を呈する形態を有することが好ましい。また、前記係合頭部は、平面視において、円形を呈する形態を有することが好ましい。
【0030】
更に、本発明の成形面ファスナーにおいて、前記爪部の基端部は、前記境界部の幅寸法の1/3の大きさよりも細い爪幅寸法を有することが好ましい。
更にまた、前記係合素子における前記基材部の前記上面からの高さ寸法は、0.05mm以上1.5mm以下に設定され、前記境界部における幅寸法は、0.1mm以上0.5mm以下に設定され、前記係合頭部における前記境界部からの張り出し長さは、0.01mm以上0.2mm以下に設定され、前記爪部の基端部における爪幅寸法は、0.01mm以上0.1mm以下に設定されることが好ましい。
【0031】
次に、本発明により提供される成形面ファスナーの製造方法は、平板状の基材部の上面に複数の雄型係合素子が立設され、各係合素子は、前記基材部から立ち上がるステム部と、前記ステム部の上端から外側に向けて張り出し、前記ステム部上に一体的に形成される係合頭部とを有する合成樹脂製成形面ファスナーを製造する製造方法にあって、前記基材部と、前記基材部に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、前記一次成形体の前記仮素子を加熱するとともに前記仮素子を上方から押し潰すことにより前記成形面ファスナーを成形する二次成形工程とを含む製造方法において、前記一次成形工程にて、少なくとも一部の前記仮素子として、前記基材部から起立する一次ステム部と、前記一次ステム部の上面から上方に膨出する膨出部と、前記膨出部から前記一次ステム部の外側に突出する突出部とを成形すること、前記二次成形工程にて、前記膨出部及び前記突出部を有する前記仮素子の上端部を押し潰すことにより、前記ステム部と前記係合頭部とを成形するとともに、前記係合頭部の外周縁部に突設される少なくとも1つの爪部を成形することを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
【0032】
このような本発明の製造方法は、前記一次成形工程にて、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設された外側円筒体と、前記外側円筒体の内周面に密接して配される内側円筒体とを備え、前記内側円筒体の外周面に複数の凹部が凹設され、前記外側円筒体の内周面における少なくとも一部の貫通孔の外周縁が、前記内側円筒体の前記凹部に重なる部分と、前記内側円筒体の外周面に密接する部分とを有するダイホイールを用いて、前記一次成形体を成形することを含むことが好ましい。
【0033】
また本発明の製造方法は、前記一次成形工程にて、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設された外側無端ベルトと、前記外側無端ベルトの内周面に密接して配される内側無端ベルトとを備え、前記内側無端ベルトの外周面に複数の凹部が凹設され、前記外側無端ベルトの内周面における少なくとも一部の貫通孔の外周縁が、前記内側無端ベルトの前記凹部に重なる部分と、前記内側無端ベルトの外周面に密接する部分とを有するベルト機構を用いて、前記一次成形体を成形することを含んでいても良い。
【0034】
更に、上述した本発明の製造方法は、前記膨出部及び前記突出部を、前記一次ステム部の上面に、棒状形状、波形に湾曲する形状、又は多角形状に一体的に成形することを含むことが好ましい。
【0035】
次に、本発明により提供される成形装置は、一方向に回転駆動するダイホイールと、前記ダイホイールに向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズルとを有し、成形面ファスナーを製造するために、平板状の基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する成形装置において、前記ダイホイールは、外側円筒体と、前記外側円筒体の内周面に密接して配される内側円筒体とを備えた同心状の二重円筒構造を有し、前記外側円筒体に、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設され、前記内側円筒体の外周面に、溶融した前記合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部が凹設され、前記外側円筒体の内周面における少なくとも一部の貫通孔の外周縁が、前記内側円筒体の前記凹部に重なる部分と、前記内側円筒体の外周面に密接する部分とを有してなることを最も主要な特徴とするものである。
【0036】
また、本発明により提供される別の成形装置は、一方向に回転走行するベルト機構と、前記ベルト機構に向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズルとを有し、成形面ファスナーを製造するために、平板状の基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する成形装置において、前記ベルト機構は、外側無端ベルトと、前記外側無端ベルトの内周面に密接して配される内側無端ベルトとを備え、且つ、前記外側及び内側無端ベルトを同期回転させる二重ベルト構造を有し、前記外側無端ベルトに、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設され、前記内側無端ベルトの外周面に、溶融した前記合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部が凹設され、前記外側無端ベルトの内周面における少なくとも一部の前記貫通孔の外周縁が、前記内側無端ベルトの前記凹部に重なる部分と、前記内側無端ベルトの外周面に密接する部分とを有してなることを最も主要な特徴とするものである。
【0037】
更に、本発明に係る上記2つの成形装置において、前記凹部は、直線状の凹溝部又は波形に湾曲する凹溝部であることが好ましく、この場合、各凹溝部の溝幅は0.005mm以上0.1mm以下に設定され、各凹溝部の溝深さは0.005mm以上0.05mm以下に設定されることが特に好ましい。
また、前記凹部は、多角形状に凹設されていても良い。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る成形面ファスナーは、基材部から立ち上がるステム部と、ステム部の上端から外側に向けて張り出す係合頭部とを備えた複数の雄型係合素子を有する。また、少なくとも一部の係合素子(好ましくは全ての係合素子)において、各係合頭部の外周縁部には、係合素子における境界部の幅寸法よりも細い爪幅寸法を有する少なくとも1つの爪部が突設されており、この爪部の爪裏面は、係合頭部の頭部裏面に対して、異なる角度で形成されている。
【0039】
ここで、爪幅寸法とは、爪部の突出方向又は係合頭部の張り出し方向に対して直交し、且つ、成形面ファスナーの上下方向(ステム部の起立方向)に対して直交する方向における爪部の寸法を言う。また、境界部の幅寸法とは、成形面ファスナーの上下方向(ステム部の起立方向)に対して直交する方向(又は平面)のうちの任意の1つの方向における境界部の寸法を言い、特に本発明では、ステム部の起立方向に直交する方向のうち、成形面ファスナーの成形工程における機械方向(MD:成形面ファスナーが流れる方向)の寸法を言う。また、本発明の係合素子において、例えば境界部における断面形状が平面視にて円形を呈する場合には、境界部の幅寸法は、その境界部における円形断面の直径の大きさと同じである。
【0040】
各係合素子が上述のような微小な爪部を有することにより、例えば本発明に係る成形面ファスナーの雄型係合素子に、雌型面ファスナーのループ(係合素子)が係合している場合に、雌型面ファスナーのループが爪部に引っ掛かり易くなって、雌型面ファスナーのループを、本発明の係合素子から外れ難くすることができる。
【0041】
すなわち、雌型面ファスナーのループ内に本発明の係合素子が入り込んで本発明の成形面ファスナーと雌型面ファスナーとが係合している状態において、例えば雌型面ファスナーのループが本発明の係合素子から外れようとする場合、通常は、雌型面ファスナーのループが、本発明の係合素子における係合頭部の外周縁部に沿って滑るように移動する。
【0042】
この場合、本発明では、上述のような爪裏面を有する微小な爪部が係合頭部の外周縁部に突設されているため、雌型面ファスナーのループが係合頭部の外周縁部に引っ掛かり易くなって、本発明の係合素子から離脱し難くなる。
【0043】
このため、本発明では、係合頭部の外周縁部に設けられた微小な爪部によって、成形面ファスナーの雌型面ファスナーに対する係合強度(剥離強度)を効果的に高めることができる。従って、本発明の成形面ファスナーが例えば使い捨ておむつ等の商品に用いられた場合に、成形面ファスナーと雌型面ファスナーとが結合した状態で色々な動作が行われても、その結合状態を安定して維持することができる。
【0044】
更に本発明では、係合強度を高める爪部が、係合頭部の外周縁部に、上述のような爪幅寸法を有する微小な大きさで設けられているため、爪部が成形面ファスナーの触り心地に与える影響を小さくすることができる。従って、係合素子の係合頭部が例えば上面が平らな円盤状に形成されること等によって、滑らかな触り心地や、柔らかなしなやかな触り心地が容易に得られるため、高い係合強度を有すると同時に表面の肌触りが良好な雄型成形面ファスナーを安定して提供できる。
【0045】
特に本発明において、爪部が基材部に向けて下方に傾斜又は湾曲して形成されていることにより、その係合頭部の外周縁部に雌型面ファスナーのループをより引っ掛かり易くすることができるため、成形面ファスナーの係合強度(剥離強度)をより効果的に高めることができる。
【0046】
このような本発明の成形面ファスナーにおいて、1つの係合頭部(係合素子)に対して、複数の爪部が設けられていることにより、成形面ファスナーの係合強度をより増大させることができる。特にこの場合、複数の爪部が、係合頭部に規則的に配されていることにより、また、係合頭部から互いに同じ角度で及び同じ大きさで突設されていることにより、係合強度を安定して増大させることができる。
【0047】
なお本発明において、複数の爪部は、係合頭部に不規則に配されていても良い。複数の爪部をランダムに配置させることによって、例えば雌型面ファスナーのループがランダムに形成されているような場合にも、その雌型面ファスナーに対する成形面ファスナーの係合強度を効果的に増大させることができる。
【0048】
更に、本発明の成形面ファスナーにおいては、複数の爪部が、係合頭部から互いに異なる角度で突設されていても良く、また、互いに異なる大きさを有して形成されていても良い。これらの場合にも、成形面ファスナーの係合強度を効果的に増大させることができる。
【0049】
また、本発明の成形面ファスナーにおいて、爪部の爪上面及び爪裏面は、爪先端に向けて下り傾斜する傾斜面又は湾曲面に形成されている。これにより、成形面ファスナーの係合強度をより増大でき、且つ、成形面ファスナーの肌触りを更に向上させることができる。
【0050】
更に、係合素子の係合頭部は、平面視において、同係合素子の境界部における断面と相似の形状を呈する形態を有する。このような係合素子であれば、係合素子の成形を容易に且つ安定して行うことができるとともに、上述のような爪部を係合頭部に安定して設けることができる。
また、係合素子の係合頭部が、平面視において、円形を呈する形態を有することにより、成形面ファスナーの肌触りを安定して向上させることができる。
【0051】
特に本発明において、爪部の基端部は、係合素子の境界部における幅寸法の1/3の大きさ、好ましくは1/5の大きさ、更に好ましくは1/7の大きさよりも細い爪幅寸法を有する。このような大きさの爪部を有することにより、成形面ファスナーの係合強度を安定して大きくできるとともに、成形面ファスナーの良好な肌触りを安定して得ることができる。
【0052】
更にまた、係合素子における基材部上面からの高さ寸法は、0.05mm以上1.5mm以下に設定され、係合素子の境界部における幅寸法は、0.1mm以上0.5mm以下に設定され、係合頭部における境界部からの張り出し長さ(張り出し寸法)は、0.01mm以上0.2mm以下に設定され、爪部の基端部における爪幅寸法は、0.01mm以上0.1mm以下に設定される。このような大きさを有する係合素子が形成された雄型成形面ファスナーであれば、成形面ファスナーの係合強度を効果的に増大できるとともに、成形面ファスナーの良好な肌触りを安定して得ることができる。
【0053】
次に、上述のような成形面ファスナーを製造する本発明の製造方法は、基材部と、基材部に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、その得られた一次成形体の仮素子を加熱するとともに仮素子を上方から押し潰すことにより成形面ファスナーを成形する二次成形工程とを含む。
【0054】
特に本発明の一次成形工程では、少なくとも一部の仮素子(好ましくは全ての仮素子)において、基材部から起立する一次ステム部と、一次ステム部の上面から上方に膨出する膨出部と、膨出部から一次ステム部の外側に突出する突出部とを成形し、二次成形工程では、膨出部及び突出部が形成された仮素子の上端部を押し潰すことにより、係合素子のステム部と係合頭部とを成形するとともに、係合頭部の外周縁部に突設される少なくとも1つの爪部を成形する。これにより、上述した本発明の成形面ファスナーを効率的に且つ安定して製造することができる。
【0055】
このような本発明の製造方法では、一次成形工程において、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設された外側円筒体と、外側円筒体の内周面に密接して配される内側円筒体とを備え、内側円筒体の外周面に複数の凹部が凹設され、外側円筒体の内周面における少なくとも一部の貫通孔(好ましくは全ての貫通孔)の外周縁が、内側円筒体の凹部に重なる部分と、内側円筒体の外周面に密接する部分とを有するダイホイールを用いる。これにより、複数の仮素子を有する一次成形体を効率的に安定して形成できるとともに、一次成形体の成形装置を簡単な構造で形成することが可能となる。
【0056】
また本発明の製造方法では、一次成形工程において、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設された外側無端ベルトと、外側無端ベルトの内周面に密接して配される内側無端ベルトとを備え、内側無端ベルトの外周面に複数の凹部が凹設され、外側無端ベルトの内周面における少なくとも一部の貫通孔(好ましくは全ての貫通孔)の外周縁が、内側無端ベルトの凹部に重なる部分と、内側無端ベルトの外周面に密接する部分とを有するベルト機構を用いても良い。これによっても、複数の仮素子を有する一次成形体を効率的に安定して形成できるとともに、一次成形体に成形歪を残り難くすることができる。
【0057】
更に、本発明の製造方法において、各仮素子の膨出部及び突出部を、一次ステム部の上面に、棒状形状、波形に湾曲する形状、又は多角形状で一体的に成形することにより、突出部を容易に且つ安定して形成でき、その後、得られた一次成形体に二次成形工程を行うことにより、本発明の特徴となる微小な爪部を有する係合素子を安定して成形することができる。
【0058】
次に、本発明の成形装置は、一方向に回転駆動するダイホイールと、ダイホイールに向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズルとを有する。また、ダイホイールは、外側円筒体と、外側円筒体の内周面に密接して配される内側円筒体とを備えた同心状の二重円筒構造を有する。更に、外側円筒体には、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設されており、内側円筒体の外周面には、溶融した合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部が凹設されている。特に本発明では、外側円筒体の内周面における少なくとも一部の貫通孔の外周縁が、内側円筒体の凹部に重なる部分と、内側円筒体の外周面に密接する部分とを有する。
【0059】
このような本発明の成形装置は、簡単な構造で形成できるとともに、平板状の基材部の上面に複数の仮素子が立設された一次成形体を安定して効率的に成形することができる。特に、この成形装置によれば、一次成形体に小さなバリが発生することを効果的に防止できるとともに、仮素子の大きさが小さな場合でも、一次ステム部から外側に張り出す少なくとも1つの突出部を有する仮素子を安定して成形することができる。
【0060】
また、本発明における別の成形装置は、一方向に回転走行するベルト機構と、ベルト機構に向けて溶融した合成樹脂材料を吐出する押出ノズルとを有する。また、ベルト機構は、外側無端ベルトと、外側無端ベルトの内周面に密接して配される内側無端ベルトとを備え、且つ、外側及び内側無端ベルトを同期回転させる二重ベルト構造を有する。更に、外側無端ベルトには、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が穿設されており、内側無端ベルトの外周面には、溶融した合成樹脂材料が流入可能な複数の凹部が凹設されている。特に本発明では、外側無端ベルトの内周面における少なくとも一部の貫通孔の外周縁が、内側無端ベルトの凹部に重なる部分と、内側無端ベルトの外周面に密接する部分とを有する。
【0061】
このような本発明の成形装置によっても、平板状の基材部の上面に複数の仮素子が立設された一次成形体を安定して効率的に成形でき、また、一次成形体に成形歪を残り難くすることができる。特に、この成形装置によれば、一次成形体に小さなバリが発生することを効果的に防止できるとともに、仮素子の大きさが小さな場合でも、一次ステム部から外側に張り出す少なくとも1つの突出部を有する仮素子を安定して成形することができる。
【0062】
更に、本発明に係る上記2つの成形装置において、内側円筒体又は内側無端ベルトの外周面には、前記凹部として、直線状の凹溝部又は波形に湾曲する凹溝部が形成されている。特にこの場合、各凹溝部の溝幅は0.005mm以上0.1mm以下に設定されており、各凹溝部の溝深さは0.005mm以上0.05mm以下に設定されている。これにより、一次成形体の各仮素子に突出部を安定して設けることができ、上述した本発明の成形面ファスナーを得ることが可能な一次成形体を効率的に成形することができる。
【0063】
また本発明では、内側円筒体又は内側無端ベルトの外周面に、多角形状の凹部が凹設されていても良い。これによっても、一次成形体の各仮素子に突出部を安定して設けることができ、上述した本発明の成形面ファスナーを得ることが可能な一次成形体を効率的に成形することができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、以下の各実施例において、成形面ファスナーの基材部に配される雄型係合素子の個数、配設位置、及び形成密度などは特に限定されるものではなく、任意に変更することが可能である。
【実施例1】
【0066】
図1は、本実施例1に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。
図2〜
図5は、成形面ファスナーの係合素子を様々な方向から見た図であり、
図6及び
図7は、係合素子の断面図である。更に、
図8及び
図9は、係合素子に配される爪部を拡大して示す拡大図である。
【0067】
なお、以下の説明において、成形面ファスナー及び一次成形体についての前後方向とは、後述するように長尺に成形される成形面ファスナー及び一次成形体の長さ方向であり、また、成形面ファスナーの製造工程において成形面ファスナー又は一次成形体が流れる機械方向(M方向又はMD)に沿った方向を言う。
【0068】
左右方向とは、長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基材部の上面(又は下面)に沿った幅方向を言う。この場合、左右方向及び幅方向は、機械方向(MD)に直交する直交方向(C方向又はCD)と言うこともできる。上下方向(厚さ方向)とは、長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基材部の上面(又は下面)に直交する高さ方向を言う。
【0069】
図1に示した本実施例1の成形面ファスナー1は、後述するように成形装置50及び加熱押圧装置70を有する製造装置40を用いて熱可塑性樹脂の成形を行うことにより製造されている。この成形面ファスナー1は、平面視において、製造装置40の機械方向に長い矩形のシート状に形成されている。なお、本発明の成形面ファスナー1の長さ寸法及び幅寸法は特に限定されず、成形面ファスナー1を切断することにより、任意に変更することができる。また、成形面ファスナー1は、平面視にて矩形以外の形状を有していても良い。
【0070】
更に、成形面ファスナー1を形成する合成樹脂の種類も特に限定されないが、成形面ファスナー1の材質としては、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂を採用することができる。本実施例1において、成形面ファスナー1はポリプロピレンにより形成されている。
【0071】
本実施例1の成形面ファスナー1は、薄板状の基材部2と、基材部2の上面から垂直に起立する複数の係合素子10とを有する。基材部2は、所定の厚さを有して形成されており、基材部2の上面と下面は、平坦で互いに平行に形成されている。
【0072】
また、複数の係合素子10は、機械方向(MD)及び直交方向(CD)に沿って整列して配されている。なお、本発明において、係合素子10の配置は上述したように限定されるものではない。例えば複数の係合素子10が、基材部2上に千鳥状等のその他の配置パターンで整列していても良いし、基材部2上にランダムに設けられていても良い。
【0073】
本実施例1における各係合素子10は、基材部2から立ち上がるステム部11と、ステム部11の上端の全周から外側に向けて張り出して形成される円盤状又は皿状の係合頭部12と、係合頭部12の外周縁部に突設される2つの微小な爪部14とをそれぞれ有する。
【0074】
係合素子10のステム部11は、基材部2から直立しており、上下方向に直交する断面積が基材部2に近づくにつれて漸増するような円錐台状の形態を有する。特に、本実施例1のステム部11の下端部は、外周面が下方に向けて拡がるように湾曲して形成されている。なお、本発明において、ステム部11の形態は、円錐台状に限定されるものではなく、例えば四角錐台のような角錐台状、円柱状、又は四角柱のような角柱状であっても良い。
【0075】
係合素子10の係合頭部12は、円盤状の形態を有しており、ステム部11の上に境界部16を介して一体的に形成されている。特に本実施例1の係合頭部12は、係合素子10を上方側から見た平面視において、円形を呈する形態を有しており、この平面視における係合頭部12の円形は、係合素子10の境界部16における上下方向に直交する横断面の円形と相似の形状となる。
【0076】
なお、ここで言う相似とは、一方の形状のスケールを他方の形状のスケールに合わせるように拡大又は縮小して重ね合せたときに、両方の形状が完全に一致する合同の場合だけでなく、85%以上の面積、好ましくは90%以上の面積で重なり合う場合を含むものとする。
【0077】
特にこの場合、係合頭部12は、係合素子10の平面視において、係合素子10の境界部16における円形断面の直径Dに対して、1.0倍より大きく3.0倍以下の直径、好ましくは1.3倍以上2.0倍以下の直径を有するように形成される。なお、係合頭部が平面視において多角形を呈する場合、その係合頭部は、係合素子の境界部における多角形断面の任意の一辺に対して、それに対応する一辺の長さが1.0倍より大きく3.0倍以下、好ましくは1.3倍以上2.0倍以下となるように形成される。
【0078】
また、本実施例1の係合頭部12は、基材部2の上面と平行に配される平坦な頭部頂端面13aを備える。また、頭部頂端面13aの反対側には、基材部2に対向するように、ステム部11との境界部16から外側に向けて平坦に延びるドーナツ状の頭部裏面13bが配される。更に、頭部頂端面13aの外周から頭部裏面13bにかけては、曲面状の外周側面13cが配される。
【0079】
なお本発明において、係合頭部12の形態は、ステム部11の横断面形状に対応して、平面視において、円形以外の形状を有していても良い。また、係合頭部12は、必ずしもステム部11の上端の全周から張り出していなくても良い。更に、成形面ファスナー1の平面視において、1つの係合素子10における係合頭部12の中心位置と、ステム部11の上端の断面(境界部16の断面)における中心位置とが互いにずれていても良い。
【0080】
本実施例1の各係合素子10は、係合頭部12の外周側面13cから外側へ向けて突設される爪部14を2つずつ有する。また、各係合素子10の2つの爪部14は、1つの係合頭部12に対して規則的に配置されるように、平面視にて円形を呈する係合頭部12の径方向に沿って、係合頭部12の外周側面13cから、係合頭部12の中心を基準にして放射状に延びる方向に突出する。特に、本実施例1の場合、全ての係合素子10において、2つの爪部14は、係合素子10の平面視において互いに点対称な位置関係となるように、係合頭部12の外周側面13cから、左右方向(C方向)に沿って互いに反対向きに突設される。
【0081】
また、各爪部14は、
図8及び
図9に拡大図を示したように、鳥の鉤爪のように先端に向けて下方へ垂れ下がる形態を有する。各爪部14は、先端に向けて下り傾斜する爪上面15aと、基材部2に対向して配される爪裏面(下面)15bと、爪上面15a及び爪裏面15b間に配される一対の側壁面15cとを有する。
【0082】
この場合、爪部14の係合頭部12に結合する基端部においては、爪部14の一対の側壁面15c間における爪幅寸法F(
図8を参照)が、係合素子10の境界部16におけるM方向(MD)の寸法(幅寸法)の1/3以下、好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/7以下の大きさに設定される。各爪部14がこのような爪幅寸法Fを有して形成されることにより、後述するように、成形面ファスナー1の係合強度の向上に寄与する爪部14を、係合頭部12の外周縁部に安定して設けることができ、また、爪部14が成形面ファスナー1の触り心地に与える影響を小さくすることができる。
【0083】
なお、本実施例1の場合、平面視における係合素子10の境界部16の形状が円形であるため、境界部16におけるM方向の寸法が、境界部16における直径Dの寸法と同等になる。また、例えば平面視における係合素子10の境界部16の形状が四角形等の多角形である場合も、爪部14の一対の側壁面15c間における爪幅寸法Fは、係合素子10の境界部16におけるM方向の寸法の1/3以下、好ましくは1/4以下の大きさに設定されることが好ましい。
【0084】
更に、本実施例1の爪部14は、一対の側壁面15c間の爪幅寸法Fが、爪部14の基端部から爪先端に向けて漸減するとともに、爪上面15aと爪裏面15b間の爪高さ寸法が、爪部14の基端部から爪先端に向けて漸減する形態を有する。
【0085】
特に本実施例1において、爪部14の爪上面15aは先端に向けて下り傾斜する湾曲面に形成されている。また、爪部14の爪裏面15bは、
図9に示したように、係合頭部12の頭部裏面13bよりも下方に向いて形成されるとともに、凹状に湾曲する湾曲面に形成されている。すなわち、爪部14の爪裏面15bと係合頭部12の頭部裏面13bとは傾斜角度(例えば、基板部の上面と平行な水平面に対して傾斜する角度)が相互に異なる。
【0086】
爪部14が上述のような形態で形成されていることにより、成形面ファスナー1の係合強度を効果的に増大できるとともに、成形面ファスナー1の上面における良好な肌触りを安定して得ることができる。なお、本発明では、爪部14の爪上面15a及び爪裏面15bは、湾曲面ではなく、平面に形成されていても良い。
【0087】
また本実施例1において、各係合素子10の具体的な大きさは、以下のように設定される。
例えば、係合素子10における基材部2の上面からの上下方向の高さ寸法Aは、0.05mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。係合頭部12の平面視における係合頭部12の直径Bは、0.2mm以上0.6mm以下に設定される。なお、例えば係合頭部が平面視にて多角形を呈する場合は、係合頭部の平面視における係合頭部のM方向における寸法が、0.2mm以上0.6mm以下に設定される。
【0088】
また、係合素子10における係合頭部12の高さ寸法C(すなわち、係合素子10の境界部16から係合頭部12の上端までの高さ寸法)は、0.01mm以上0.1mm以下に設定される。係合素子10の境界部16における直径Dは、0.1mm以上0.5mm以下に設定される。例えば境界部が平面視にて多角形を呈する場合は、その境界部のM方向における寸法が、0.1mm以上0.5mm以下に設定される。
【0089】
係合頭部12における係合素子10の境界部16の位置から係合頭部12の最外縁位置までの張り出し寸法(張り出し長さ)Eは、0.01mm以上0.2mm以下に、好ましくは0.02mm以上0.1mm以下に設定される。係合素子10におけるステム部11の外周側面13cと係合頭部12の頭部裏面13bとにより形成される張り出し角度θ1は、90°以上140°以下に設定される。
【0090】
爪部14の基端部における一対の側壁面15c間の爪幅寸法Fは、0.01mm以上0.10mm以下に、好ましくは0.03mm以上0.08mm以下に設定される。係合頭部12の頭部裏面13bと爪部14の爪裏面15bとの間の境界位置から爪部14の先端位置までの爪長さ寸法Gは、0.01mm以上0.04mm以下に設定される。基材部2の上面と平行な水平面に対する爪部14の基端部における上下面間の中間位置と爪先端とを結ぶ仮想線の傾斜角度となる爪突出角度θ2は、0°より大きく90°以下に設定される。
【0091】
上述のような構成を有する本実施例1の成形面ファスナー1は、
図10に示した製造装置40を用いて製造される。
この製造装置40は、一次成形工程を行う成形装置50と、一次成形工程により成形された一次成形体5を加熱して押圧する加熱押圧装置70とを有する。
【0092】
本実施例1の成形装置50は、一方向(図面では反時計回り方向)に駆動回転するダイホイール51と、ダイホイール51の周面に対向して配され、溶融した合成樹脂材料を連続して吐出する押出ノズル55と、押出ノズル55よりもダイホイール51の回転方向下流側に配されるピックアップローラ56とを有する。
【0093】
ダイホイール51は、金型となる円筒状の外側円筒体(外側スレーブ)52、及び外側円筒体52の内側に密接して配される円筒状の内側円筒体(内側スレーブ)53と、外側及び内側円筒体52,53を一方向に回転させる回転駆動ローラ54とを備える。この場合、ダイホイール51は、外側円筒体52と内側円筒体53とが同心状に回転可能に配される二重円筒構造を有する。また、回転駆動ローラ54の内部には、冷却液を流通させる図示しない冷却ジャケットが設けられており、ダイホイール51の周面で成形される一次成形体5を効率的に冷却することができる。
【0094】
ダイホイール51の外側円筒体52には、
図11〜
図13に示すように、外側円筒体52の外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔57が、一次成形体5の後述する一次ステム部21を成形するキャビティとして設けられている。これらの複数の貫通孔57は、製造する成形面ファスナー1の係合素子10の配置に対応して形成されており、本実施例1の場合、外側円筒体52のM方向(MD)となる周方向に所定のピッチで形成されているとともに、外側円筒体52の中心軸に平行なC方向(CD)に所定のピッチで形成されている。
【0095】
このような本実施例1の外側円筒体52は、円筒形の一次外側円筒体を作製した後、その一次外側円筒体に複数の貫通孔57を所定の位置に穿設することによって形成されている。この場合、一次外側円筒体は、従来から公知なニッケル、ステンレス鋼などの金属から作製される。また、外側円筒体52は、継ぎ目が無いシームレスに形成されることが好ましく、例えば電鋳や圧延によって製作することができる。更に、複数の貫通孔57の加工方法には公知な技術を用いることができ、例えば、レーザ、電子ビーム、機械加工、エッチング、穴あけ加工が利用可能である。なお本発明において、外側円筒体52の形成方法、外側円筒体52の大きさ、貫通孔57の形状及び配置については特に限定されるものではない。
【0096】
本実施例1の内側円筒体53の外周面には、複数の凹溝部61が形成されている。なお、内側円筒体53及び凹溝部61についても、外側円筒体52及び貫通孔57を作製する場合と同様の方法を用いて作製することができる。各凹溝部61は、内側円筒体53の円筒の中心軸と平行なC方向(CD)に沿って直線状に凹設されており、成形面ファスナー1を形成する合成樹脂が溶融した状態で流入可能な大きさを有する。特に本実施例1の場合、内側円筒体53の凹溝部61は、外側円筒体52に形成される貫通孔57の直径に重なるように、M方向となる周方向に所定のピッチで形成されており、外側円筒体52の貫通孔57の円形外周縁と交差している。
【0097】
なお、本実施例1では、外側円筒体52に設ける貫通孔57の周方向の形成ピッチと、内側円筒体53に設ける凹溝部61の周方向の形成ピッチとを、位置が上述のように重なるように相互に対応させて設定されているが、本発明では、外側円筒体52における貫通孔57の形成ピッチと、内側円筒体53における凹溝部61の形成ピッチとを相互に対応させなくても良い。例えば、内側円筒体53の凹溝部61を、外側円筒体52の貫通孔57に対応する形成ピッチよりも小さい形成ピッチで設けることにより、各係合素子10の係合頭部12に、2つ以上の爪部14を安定して形成することが可能となる。一方、内側円筒体53の凹溝部61を、外側円筒体52の貫通孔57に対応する形成ピッチよりも大きい形成ピッチで設けることにより、係合頭部12に爪部14が突設された係合素子10と、係合頭部に爪部14が設けられていない係合素子の両方を有する成形面ファスナーを得ることが可能となる。
【0098】
また、本実施例1における内側円筒体53の各凹溝部61は、断面が四角形となるように溝底面と、互いに対向して平行に配される一対の溝側壁面とを有する。この場合、各凹溝部61の溝幅は、0.01mm以上0.10mm以下に、好ましくは0.03mm以上0.08mm以下に設定されており、各凹溝部61の溝深さは0.005mm以上0.05mm以下に、好ましくは0.005mm以上0.03mm以下に、更に好ましくは0.01mm以上0.025mm以下に設定されている。
【0099】
このように凹溝部61の溝幅を0.01mm以上にするとともに溝深さを0.005mm以上にすることによって、一次成形体5の成形時に、溶融した合成樹脂を、外側円筒体52の貫通孔57から内側円筒体53の各凹溝部61内に円滑に流入させ、且つ、固化した一次成形体5を凹溝部61から安定して型抜きすることができる。また、凹溝部61の溝幅を0.10mm以下にするとともに溝深さを0.05mm以下にすることによって、成形面ファスナー1の各係合素子10に、上述した微小な爪部14を安定して形成することができる。なお、内側円筒体53に形成される凹溝部61は、略U字状の断面を有するように形成されていても良い。
【0100】
また本実施例1において、外側円筒体52に設ける貫通孔57と、内側円筒体53に設ける凹溝部61との位置関係を見てみると、
図12及び
図13に示したように、外側円筒体52の内周面に配される各貫通孔57の円形状外周縁は、内側円筒体53の凹溝部61に重なる2つの溝重なり部分58aと、2つの重なり部分間に配され、内側円筒体53の外周面に直接密着する円弧状の2つの密接部分58bとを有する。
【0101】
このように全ての貫通孔57の外周縁が、溝重なり部分58aと密接部分58bとをそれぞれ有することにより、後述するように、一次成形体5を成形したときに、
図15〜
図18に示すような一次ステム部21、膨出部22及び突出部25を有する複数の仮素子20を基材部2上に安定して形成することができる。特にこの場合、凹溝部61の溝幅は、外側円筒体52の内周面における貫通孔57のM方向の寸法(本実施例1の場合、貫通孔57の直径の寸法)の1/3以下、好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/7以下の大きさに設定される。
【0102】
本実施例1の製造装置40における加熱押圧装置70は、ピックアップローラ56の下流側に配される上下一対の押圧ローラ(カレンダローラ)71,72を有しており、上側押圧ローラ71と下側押圧ローラ72とは、所定の間隔を開けて対向して配されている。この場合、上側及び下側押圧ローラ71,72間の間隔は、図示しない高さ調整手段により調整可能であり、製造する成形面ファスナー1の基材部2の下面(裏面)から係合素子10における係合頭部12の頭部頂端面13aまでの高さ寸法に対応して調整される。
【0103】
上側押圧ローラ71は、内部に図示しない加熱源を備えており、上側押圧ローラ71の表面温度は、成形面ファスナー1を形成する合成樹脂を軟化させることが可能な温度に、具体的には、一次成形体5を形成する合成樹脂の融点−40℃の温度以上、その融点−10℃の温度以下の所定の温度となるように設定される。また、上側押圧ローラ71は、
図10において反時計回りに回転するように配され、上側押圧ローラ71の外周面は、一次成形工程で成形された一次成形体5の加熱された仮素子20を上方から押圧する部分となる。
【0104】
下側押圧ローラ72は、
図10において時計回りに回転するように配され、搬送される一次成形体5を下から支持する支持面となる。なお、本発明では、上側押圧ローラ71及び/又は下側押圧ローラ72の代わりに、図示しない上側ベルト機構及び/又は下側ベルト機構を利用することも可能である。この場合、上側及び下側ベルト機構は、それぞれ、無端ベルトと、その無端ベルトが巻き掛けられるとともに、無端ベルトを一方向に回転させる左右一対の回転ローラとを有する。
【0105】
上述のような成形装置50及び加熱押圧装置70を有する製造装置40を用いて成形面ファスナー1の製造を行う場合、先ず、成形装置50により一次成形体5を成形する一次成形工程を行う。この一次成形工程では、溶融した合成樹脂材料を押出ノズル55からダイホイール51の周面に向けて連続して押し出す。
【0106】
このとき、ダイホイール51は一方向に駆動回転しているため、その周面に合成樹脂材料を押す出すことにより、押出ノズル55とダイホイール51との間にて成形面ファスナー1の基材部2を連続的に成形する。この場合、押出ノズル55とダイホイール51との間の間隔は、製造される成形面ファスナー1の基材部2の厚さ寸法に対応する大きさに調整されている。
【0107】
また、基材部2を成形すると同時に、ダイホイール51の上述した外側及び内側円筒体52,53により、
図15〜
図18に示すような複数の仮素子20を基材部2上に一体的に成形し、それによって、一次成形体5を作製する。
【0108】
ここで、本実施例1の成形装置50で成形される一次成形体5(予備成形体とも言う)は、
図15〜
図18に示すように、薄板状の基材部2と、基材部2の上面に立設される複数の仮素子20とを有する。この一次成形体5の基材部2は、そのまま成形面ファスナー1の基材部2となる。
【0109】
一次成形体5に形成される仮素子20は、二次成形工程にて押圧成形されることにより、成形面ファスナー1の係合素子10になる部分である。この場合、各仮素子20は、基材部2から立ち上がる円錐台状の一次ステム部21と、一次ステム部21の上面から上方に局部的に膨出する棒状の膨出部22と、膨出部22と一体的に連続して形成され、一次ステム部21の外側に張り出すように突出する2つの突出部(仮爪部)25とを有する。
【0110】
一次ステム部21は、外側円筒体52に設けた貫通孔57に合成樹脂が充填されることにより成形されており、上下方向に直交する断面積が基材部2に近付くにつれて漸増するような円錐台状の形態を有する。
【0111】
この一次ステム部21は、二次成形工程で仮素子20が上方から押圧されて一次ステム部21の上端部が変形することにより、成形面ファスナー1のステム部11となるため、一次ステム部21の下端部は、ステム部11の下端部と同様の形状を有する。なお、一次ステム部21は、製造する成形面ファスナー1のステム部11の形態に応じて例えば四角錐台のような角錐台状、円柱状、又は四角柱のような角柱状の形態に形成することも可能である。
【0112】
膨出部22及び突出部(仮爪部)25は、一次成形工程において、合成樹脂が外側円筒体52の貫通孔57から内側円筒体53に設けた凹溝部61に流入し、凹溝部61に沿って貫通孔57を超える部分まで入り込むことにより成形されている。この場合、膨出部22は、一次ステム部21の上面にC方向(CD)に沿って形成されるとともに、2つの突出部25は、膨出部22の両端部から、一次ステム部21の起立方向に対して直交するC方向に、一次ステム部21を越えて突出して形成されている。
【0113】
また、膨出部22及び突出部25は、内側円筒体53に設けた断面が四角形状の凹溝部61によって成形されるが、膨出部22及び突出部25が冷やされて固化する際の収縮により、丸みを帯びた略U字状の断面を呈する棒状の形態を有する。
【0114】
また、突出部25の成形は、内側円筒体53の凹溝部61の全部に合成樹脂が充填されて行われるのではなく、外側円筒体52の貫通孔57から凹溝部61内に流入した合成樹脂が、凹溝部61に沿って貫通孔57の形成範囲から少し食み出すように凹溝部61の一部に(例えば、貫通孔57の範囲から0.01mm以上0.04mm以下程度の距離に)進入することによって形成される。この一次成形工程で成形される突出部25は、二次成形工程で仮素子20が上方から押圧されることにより、成形面ファスナー1の爪部14となる部分である。
【0115】
一次成形工程で成形される一次成形体5は、押出ノズル55から押し出された溶融した合成樹脂が、ダイホイール51の外周面に担持されて冷却されながら半回転することにより固化することによって得られる。その後、一次成形体5は、ピックアップローラ56によってダイホイール51の外周面から連続的に引き剥がされる。このとき、一次成形体5の突出部25は、弾性変形しながら内側円筒体53の凹溝部61及び外側円筒体52の貫通孔57からスムーズに引き抜かれる。
【0116】
ダイホイール51から引き剥がされた一次成形体5は、二次成形工程を行う加熱押圧装置70に向けて搬送されて、加熱押圧装置70の上側押圧ローラ71と下側押圧ローラ72の間に導入される。
【0117】
この二次成形工程では、一次成形体5が上側及び下側押圧ローラ71,72間を通過するときに、一次成形体5の各仮素子20の少なくとも上端部が上側押圧ローラ71によって加熱されて軟化するとともに、一次成形体5の基材部2が下側押圧ローラ72によって下方から支持されながら、一次成形体5の各仮素子20が上側押圧ローラ71によって上方から押圧されることによって、仮素子20の上端部が押し潰される。このとき、上側押圧ローラ71におけるローラ周面の温度は、上述したように、一次成形体の合成樹脂の融点−40℃の温度以上で、その融点−10℃の温度以下の所定の温度となるように設定されている。
【0118】
これにより、仮素子20における一次ステム部21の上端部と、膨出部22と、突出部25とが熱変形して、上側押圧ローラ71の外周面によって平坦にされた頭部頂端面13aを有する係合頭部12が成形されるとともに、その係合頭部12の外周側面13cから突出する爪部14が突出部25によって成形される。これによって、
図1に示した本実施例1の成形面ファスナー1が製造される。
【0119】
その後、製造された機械方向に長尺の成形面ファスナー1は、図示しない切断部に向けて搬送され、同切断部にて所定の長さに切断されて回収され、或いは、長尺の成形面ファスナー1の状態のままで回収ローラ等にロール状に巻き取られて回収される。
【0120】
上述のようにして製造される本実施例1の成形面ファスナー1では、各係合素子10の係合頭部12に、C方向に沿って突出する2つの微細な爪部14がそれぞれ設けられている。特に、本実施例1における各爪部14が、係合頭部12の頭部裏面13bよりも下方に向けて湾曲する凹面状の爪裏面15bを有する。これにより、例えば本実施例1の成形面ファスナー1に雌型面ファスナーの係合素子10となるループを係合させたときに、雌型面ファスナーのループが各係合素子10の爪部14に引っ掛かり易くなって、各係合素子10からループを外れ難くすることができる。
【0121】
従って、本実施例1の成形面ファスナー1は、爪部14を備えない従来の一般的な成形面ファスナーよりも高い係合強度(剥離強度)を備えており、雌型面ファスナーに対する係合状態を安定して維持することができる。
【0122】
その上、本実施例1の成形面ファスナー1では、各係合素子10の係合頭部12の頭部頂端面13a及び外周側面13cが滑らかな連続面に形成されている。また、係合強度を高めるために設けた爪部14が、係合頭部12に対して小さな大きさで形成されているとともに、その爪部14の上面が、爪先端に向けて下り傾斜する湾曲面に形成されている。
【0123】
これにより、爪部14が成形面ファスナー1の触り心地に与える影響を小さくすることができ、その結果、本実施例1の成形面ファスナー1は、成形面ファスナー1を係合素子10が立設されている上面側から触ったときに、滑らかな触り心地や、柔らかでしなやかな触り心地が得られるような良好な肌触りを有することができる。
【0124】
上述のように係合強度が高く、肌触りの良い本実施例1の成形面ファスナー1は、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット、手袋などのような身体に着脱される商品に対して好適に用いられる。
【実施例2】
【0125】
図19〜
図21は、本実施例2の成形面ファスナーに設けられる係合素子を様々な方向から見た図であり、
図22は、その係合素子の断面図である。
なお、本実施例2の成形面ファスナー1aは、各係合素子10aの係合頭部12に設ける爪部14の個数を、前述の実施例1と異なる4つにして形成されているが、爪部14の配設数を変化させたこと以外は、前述の実施例1で説明した成形面ファスナー1と実質的に同じである。
【0126】
従って、本実施例2や、後述する実施例3及び各変形例においては、前述の実施例1に係る成形面ファスナー1と異なる構成について主に説明することとし、前述の実施例1に係る成形面ファスナー1と実質的に同じ構成を有する部分又は部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
【0127】
本実施例2の成形面ファスナー1aは、薄板状の基材部2と、基材部2の上面から垂直に起立する複数の係合素子10aとを有しており、複数の係合素子10aは、M方向(MD)及びC方向(CD)に沿って整列して配されている。また、各係合素子10aは、基材部2から立ち上がるステム部11と、ステム部11の上に一体に形成される円盤状の係合頭部12と、係合頭部12の外周縁部に突設される4つの爪部14とを有する。
【0128】
本実施例2の係合素子10aでは、4つの爪部14が、係合頭部12の径方向に沿って、係合頭部12の外周側面13cから、係合頭部12からM方向及びC方向に突設されており、これら4つの爪部14は、
図20に示す係合素子10aの平面視において、円形を呈する係合頭部12の中心を基準にして、0°、90°、180°、270°の位置に規則的に配置されている。
【0129】
なお、本実施例2におけるそれぞれの爪部14の形状及び大きさは、前述の実施例1の成形面ファスナー1に設けられる各爪部14と同様であり、各爪部14は、先端に向けて下り傾斜する湾曲面状の爪上面15aと、基材部2に対向して配される凹状に湾曲した爪裏面15bと、爪上面15a及び爪裏面15b間に配される一対の側壁面15cとを有する。
【0130】
上述のような4つの爪部14が配された係合素子10aを有する本実施例2の成形面ファスナー1aは、前述の実施例1の場合と同様に、
図10に示したような成形装置50と加熱押圧装置70とを有する製造装置40を用いて製造される。
なお、本実施例2の場合、各係合素子10aに4つの爪部14を設けるために、成形装置50のダイホイール51を形成する円筒状の内側円筒体53aが、前述の実施例1で用いた内側円筒体53と異なる構造を有する。
【0131】
本実施例2で用いる内側円筒体(内側スレーブ)53aは、その外周面に形成される複数の凹溝部62を有するが、この内側円筒体53aの外周面には、前述の実施例1のようにC方向に沿った直線状の凹溝部62が凹設されているだけでなく、M方向となる円筒の円周方向に沿った複数の凹溝部62も凹設されている。
【0132】
すなわち、本実施例2の凹溝部62は、C方向に沿った複数の第1凹溝部62aと、M方向となる円筒の円周方向に沿った複数の第2凹溝部62bとを有する。この場合、内側円筒体53aのC方向に沿って配される第1凹溝部62aと、M方向に沿って配される第2凹溝部62bとは、外側円筒体52に形成される貫通孔57の直径にそれぞれ重なるとともに、第1及び第2凹溝部62a,62bが各貫通孔57の中心位置で互いに直角に交わるように、それぞれ所定のピッチで形成されている。
【0133】
また、外側円筒体52の内周面に配される各貫通孔57の円形状の外周縁は、内側円筒体53aの第1及び第2凹溝部62a,62bに重なる4つの溝重なり部分58aと、内側円筒体53aの外周面に直接密着する円弧状の4つの密接部分58bとを有する。
【0134】
本実施例2では、上述のような内側円筒体53aを備えた成形装置50を用いて一次成形工程を行うことによって、
図24〜
図26に示すような複数の仮素子20aを基材部2上に有する一次成形体5aが成形される。この場合、各仮素子20aは、基材部2から立ち上がる円錐台状の一次ステム部21と、一次ステム部21の上面から上方に局部的に膨出するとともに+字状に交差する膨出部22aと、膨出部22aから一次ステム部21の外側に張り出すように延出する4つの突出部25とを有する。
【0135】
この場合、膨出部22a及び突出部25は、一次成形工程において、合成樹脂が外側円筒体52の貫通孔57から内側円筒体53aに設けた第1及び第2凹溝部62a,62bに流入することにより成形される。また、膨出部22aは、一次ステム部21の上面にC方向及びM方向に沿って形成されるとともに、4つの突出部25は、+字状の膨出部22aの各端部からC方向及びM方向に連続的に突出している。このため、本実施例2の膨出部22a及び突出部25は、仮素子20aの平面視において、2つの棒状体が互いに直交した+字状の形状を呈する。
【0136】
図24〜
図26に示した仮素子20aを有する一次成形体5aは、その後、二次成形工程が行われる加熱押圧装置70に搬送され、前述の実施例1の場合と同様に、各仮素子20aが加熱されるとともに上方から押圧される。これによって、本実施例2の成形面ファスナー1aが製造される。この場合、一次成形体5aの各仮素子20aに設けられた4つの突出部25が、二次成形工程が行われることによって、成形面ファスナー1aの各係合素子10aに配される4つの爪部14となる。
【0137】
上述のようにして製造される本実施例2の成形面ファスナー1aは、各係合素子10aに設けられる爪部14の個数が、前述の実施例1の場合よりも多い4つであるため、本実施例1の成形面ファスナー1aよりも更に高い係合力を容易に得ることができる。また、各爪部14自体の大きさ及び形態は前述の実施例1の場合と同じであるため、成形面ファスナー1aの表面(上面)における肌触りを良好なものにすることができる。
【実施例3】
【0138】
図27〜
図29は、本実施例3の成形面ファスナーに設けられる係合素子を様々な方向から見た図であり、
図30は、その係合素子の断面図である。
本実施例3の成形面ファスナー1bは、薄板状の基材部2と、基材部2の上面から垂直に起立する複数の係合素子10bとを有する。また、各係合素子10bは、基材部2から立ち上がるステム部11と、ステム部11の上に一体に形成される円盤状の係合頭部12と、係合頭部12の外周縁部に突設される8つの爪部14とを有する。なお、本実施例3における各爪部14の形状及び大きさは、前述の実施例1の成形面ファスナー1に形成される各爪部14と同様である。
【0139】
本実施例3の係合素子10bでは、8つの爪部14が、係合頭部12の径方向に沿って、係合頭部12の外周側面13cから外側に向けて突設されており、これら8つの爪部14は、
図28に示す係合素子10bの平面視において、円形を呈する係合頭部12の中心を基準にして、隣接する爪部14に対して45°の角度を有するように所定の間隔を開けて規則的に配置されている。
【0140】
このような係合素子10bを有する本実施例3の成形面ファスナー1bは、前述の実施例1の場合と同様に、
図10に示したような成形装置50と加熱押圧装置70とを有する製造装置40を用いて製造される。
なお、本実施例3の場合、各係合素子10bに8つの爪部14を設けるために、成形装置50のダイホイール51を形成する円筒状の内側円筒体(内側スレーブ)53bが、前述の実施例1で用いた内側円筒体53と異なる。すなわち、本実施例3の内側円筒体53bの外周面には、C方向に沿って配される複数の直線状の第1凹溝部63aと、M方向となる円筒の円周方向に沿って配される複数の第2凹溝部63b、第1及び第2凹溝部63a,63bに対して45°の傾斜角度を持って配される複数の第3及び第4凹溝部63c,63dが凹設されている。
【0141】
この場合、第1凹溝部63a〜第4凹溝部63dは、外側円筒体52に形成される貫通孔57の直径に重なるとともに、各貫通孔57の中心位置で互いに交わるように、それぞれ所定のピッチで形成されている。また、外側円筒体52の内周面に配される各貫通孔57の円形状の外周縁は、内側円筒体53bの第1凹溝部63a〜第4凹溝部63dに重なる溝重なり部分58aと、内側円筒体53bの外周面に直接密着する円弧状の密接部分58bとを有する。
【0142】
本実施例3では、上述のような内側円筒体53bを備えた成形装置50を用いて一次成形工程を行うことによって、
図32及び
図33に示すような複数の仮素子20bを基材部2上に有する一次成形体5bが成形される。この場合、各仮素子20bは、基材部2から立ち上がる円錐台状の一次ステム部21と、一次ステム部21の上面から上方に膨出するとともに+字状に交差すると同時に×字状にも交差する膨出部22bと、膨出部22bの各端部から一次ステム部21の外側に張り出すように延出する8つの突出部25とを有する。
【0143】
この場合、膨出部22b及び突出部25は、一次成形工程において、合成樹脂が外側円筒体52の貫通孔57から内側円筒体53bに設けた第1凹溝部63a〜第4凹溝部63dに流入することにより成形されており、膨出部22bは、一次ステム部21の上面にC方向、M方向、及びこれらに45°の傾斜角度で交差する方向に沿って形成されるとともに、8つの突出部25は、膨出部22bの各端部から径方向に突出して形成されている。このため、本実施例3の膨出部22b及び突出部25は、仮素子20bの平面視において、4つの棒状体が45°の角度で互いに交差して+字と×字とが組み合わされた形状を呈する。
【0144】
その後、
図32及び
図33に示した仮素子20bを有する一次成形体5bは、加熱押圧装置70に搬送されて二次成形工程が行われることによって、本実施例3の成形面ファスナー1bが製造される。
【0145】
このようにして製造される本実施例3の成形面ファスナー1bは、各係合素子10bに設けられる爪部14の個数が、前述の実施例1の場合よりも多い8つであるため、更に高い係合力を容易に得ることができ、また、各爪部14自体の大きさ及び形態は前述の実施例1の場合と同じであるため、成形面ファスナー1bの表面(上面)における肌触りを良好なものにすることができる。
【0146】
なお、本発明において、成形面ファスナーの各係合素子に設けられる爪部の個数、形状、大きさ、及び配置などの態様については、前述した実施例1〜実施例3に限定されるものではなく、成形面ファスナーの用途等に応じて任意に変更することが可能である。
【0147】
例えば本発明においては、前述したような一次成形工程を行う成形装置50のダイホイール51において、円筒状の外側円筒体に設ける貫通孔57の周方向や軸方向の形成ピッチに対して、円筒状の内側円筒体53,53a,53bに設ける凹溝部61,62,63a〜63dの形成ピッチを意図的に対応させないように任意に変えることができる。
【0148】
例えば、内側円筒体53,53a,53bの凹溝部61,62,63a〜63dの形成ピッチを、外側円筒体52の貫通孔57の形成ピッチよりも小さく設定することにより、係合頭部に設ける爪部の個数を各係合素子間で異ならせることが可能である。一方、内側円筒体53,53a,53bの凹溝部61,62,63a〜63dの形成ピッチを、外側円筒体52の貫通孔57の形成ピッチよりも大きく設定することも可能である。これにより、係合頭部に設ける爪部の個数を各係合素子間で異ならせるだけでなく、係合頭部に爪部が設けられた係合素子と係合頭部に爪部のない係合素子とが立設された成形面ファスナーを得ることが可能となる。
【0149】
また、前述した実施例1〜実施例3においては、1つの内側円筒体53,53a,53bに、複数の凹溝部61,62,63a〜63dが、互いに同じ溝幅や溝深さを有して形成されている。しかし、本発明では、1つの内側円筒体53,53a,53bに、互いに異なる溝幅や、互いに異なる溝深さを有する複数の凹溝部61,62,63a〜63dを設けることも可能である。これにより、各係合素子間で係合頭部に設ける爪部の突出角度や大きさを相互に異ならせることが可能である。更に、例えば一つの係合頭部に対して複数の爪部を設ける場合には、その1つの係合頭部に対して、互いに異なる角度で突出する複数の爪部や、互いに異なる大きさを有する複数の爪部を設けることも可能である。
【0150】
更に、本発明において、爪部の態様は、一次成形工程を行う成形装置の内側円筒体に設ける凹溝部又は凹部の形成パターンを変えることによって容易に変更することが可能である。ここで、内側円筒体に設ける凹溝部又は凹部の形成パターンについて、図面を用いながら幾つかの変形例を例示して説明する。
図34〜
図41は、各変形例における内側円筒体に設ける凹溝部又は凹部と、外側円筒体に設ける貫通孔との位置関係を模式的に説明する要部模式図である。
【0151】
なお、これらの図面において、2つの円は、外側円筒体の内周面に配される貫通孔の外周縁を表している。また、白色の部分は、内側円筒体の外周面に設けた凹溝部又は凹部を表し、灰色の部分は、内側円筒体の凹溝部又は凹部が設けられていない円筒外周面の部分を表す。
【0152】
図34に示した変形例1では、内側円筒体(内側スレーブ)53cの外周面に、C方向(CD)に沿って直線状に配される複数の凹溝部61が縞模様を形成するように凹設されている。例えば前述の実施例1において、内側円筒体53にC方向に沿って配される凹溝部61は、
図12に示したように、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して、その貫通孔57の直径に沿った位置に1本だけ形成されているが、この変形例1では、前述の実施例1よりも各凹溝部61間の間隔(形成ピッチ)を小さくすることにより、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して複数の凹溝部61が横切るように配置されている。
【0153】
なおこの場合、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさや、内側円筒体53cに形成する凹溝部61の溝幅寸法及び形成間隔等を適宜変更することによって、一つの円形貫通孔57に対して形成されるC方向の凹溝部61の本数を容易に変更することができる。
【0154】
この変形例1のように、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して、C方向の凹溝部61が複数本形成された内側円筒体53cを用いて成形面ファスナーの製造を行うことによって、係合頭部の外周縁部に3つ以上の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0155】
また、前述の実施例1及び変形例1では、内側円筒体53,53cの外周面に、一定の溝幅寸法を有するC方向の凹溝部61が、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して1本又は複数本となるように一定の形成ピッチで設けられている。しかしながら、本発明では、内側円筒体53,53cの外周面に、相互に溝幅寸法が異なる複数の凹溝部を設けることや、形成ピッチを異ならせて複数の凹溝部を設けることも可能である。
【0156】
更に、本発明では、内側円筒体の外周面にC方向の凹溝部を形成するのではなく、例えば
図35に変形例2を示すように、M方向となる円筒の円周方向に沿った複数の凹溝部64のみを内側円筒体53dに設けることや、例えば
図36に変形例3を示すように、C方向又はM方向に対して所定の角度で傾斜した複数の凹溝部65のみを内側円筒体53eに設けることによって、成形面ファスナーを製造することも可能である。
【0157】
なお、前述の実施例2の場合(
図23)や前述の実施例3の場合(
図31)では、内側円筒体53a,53bの外周面に、C方向に沿った直線状の第1凹溝部62a,63aだけでなく、M方向となる円筒の円周方向に沿った複数の第2凹溝部62b,63bや、C方向又はM方向に45°の傾斜角度をもつ第3及び第4凹溝部63c,63dも、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して1本ずつ凹設されている。
【0158】
しかし、本発明では、前述の実施例2(
図23)及び実施例3(
図31)の場合や、変形例2(
図35)及び変形例3(
図36)の場合においても、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさを大きくすることや、内側円筒体53a,53b,53d,53eに形成する凹溝部62,63a〜63d,64,65の形成ピッチを小さくすること等により、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して各凹溝部62,63a〜63d,64,65をそれぞれ任意の本数で形成することも可能であり、更には、相互に溝幅寸法が異なる複数の凹溝部を設けることや、形成ピッチを異ならせて複数の凹溝部を設けることも可能である。これによっても、係合頭部の外周縁部に複数の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーが得られる。
【0159】
次に、
図37に示した変形例4では、内側円筒体53fの外周面に、C方向に沿って波状に蛇行する複数の凹溝部66が所定の形成ピッチで凹設されている。なおこの変形例4では、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさや、凹溝部66の溝幅寸法及び形成ピッチを変更することによって、外側円筒体52の一つの円形貫通孔57に対して1つ又は複数の凹溝部66を形成することができる。
【0160】
更に、この変形例4では、内側円筒体53fの外周面に、波状に蛇行する複数の凹溝部66がC方向に沿って凹設されているが、本発明では、波状に蛇行する複数の凹溝部66を、M方向となる円筒の円周方向や、C方向又はM方向に対して所定の角度で傾斜した方向に沿って凹設することも可能である。
【0161】
この変形例4のように波状に蛇行する複数の凹溝部66が凹設された内側円筒体53fを用いて成形面ファスナーを製造することによっても、係合頭部の外周縁部に複数の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0162】
図38に示した変形例5では、C方向とM方向に沿って凹溝部62が形成される前述の実施例2の内側円筒体53aの場合とは全く反対となり、内側円筒体53gの円筒外周面がC方向とM方向に沿って残るように、複数の矩形状の凹部(凹陥部)67aがC方向に所定の間隔で形成されているとともに、M方向にも所定の間隔で形成されている。
【0163】
なお、この変形例5の内側円筒体53gの外周面には、内側円筒体53gの外周面がC方向とM方向に沿って格子状に残るように複数の矩形状凹部67aが凹設されているが、本発明では、内側円筒体53gの外周面の格子形状がC方向及びM方向に対して所定の角度で傾斜した方向に形成されるように、複数の矩形状凹部67aを凹設することも可能である。
【0164】
この変形例5の内側円筒体53gを用いて成形面ファスナーを製造することによっても、噛合頭部の外周縁部に複数の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0165】
図39に示した変形例6では、内側円筒体53hの円筒外周面が様々な方向に直線状に延びるように(例えば放射状の模様に残るように)、複数の三角形状の凹部(凹陥部)67bが凹設されている。なおこの変形例6でも、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさや、凹部67bの寸法及び形成ピッチを適宜変更することが可能である。このような変形例6の内側円筒体53hを用いて成形面ファスナーを製造することによっても、噛合頭部の外周縁部に複数の爪部が不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0166】
図40に示した変形例7では、内側円筒体53iの円筒外周面と正方形の凹部(凹陥部)67cとが市松模様を形成するように凹設されている。なおこの変形例7でも、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさや、凹部67cの寸法及び形成ピッチを適宜変更することが可能である。更に、この変形例7では、凹部67cによる市松模様がC方向及びM方向となる円筒の円周方向に沿って形成されているが、本発明では、内側円筒体53iの外周面と凹部67cによる市松模様を、C方向又はM方向に対して所定の角度で傾斜した方向に沿って形成することも可能である。この変形例7の内側円筒体53iを用いて成形面ファスナーを製造することによっても、噛合頭部の外周縁部に、複数の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0167】
図41に示した変形例8では、内側円筒体53jの外周面が亀甲模様に残るように、複数の正六角形状の凹部(凹陥部)67dが所定の間隔で内側円筒体53jの外周面に形成されている。なおこの変形例7でも、外側円筒体52に形成する貫通孔57の大きさや、正六角形状の凹部67dの大きさ及び形成ピッチを適宜変更することが可能であり、また、正六角形状の凹部67dをC方向又はM方向に対して傾斜するように形成することが可能である。このような変形例8の内側円筒体53jを用いて成形面ファスナーを製造することによっても、係合頭部の外周縁部に、複数の爪部が規則的に又は不規則に突設された係合素子を有する成形面ファスナーを容易に得ることができる。
【0168】
そして、上述した変形例1〜変形例8に示した内側円筒体53c〜53jを用いて製造される各成形面ファスナーは、各係合素子の係合頭部に複数の爪部が規則的に又は不規則に突設されているため、ループを有する雌型の面ファスナーに対して高い係合力を安定して有するとともに、成形面ファスナーの表面(上面)における肌触りを良好なものにすることができる。
【0169】
また、前述した実施例1〜実施例3及び変形例1〜変形例8では、
図10に示した製造装置40を用いて成形面ファスナーの製造を行う場合について説明しているが、本発明では、上述した実施例1〜実施例3及び変形例1〜変形例8に係る成形面ファスナーを、
図42に示した第1変形例に係る製造装置40aや、
図43に示した第2変形例に係る製造装置40bを用いて製造することも可能である。
【0170】
例えば
図42に示した第1変形例に係る製造装置40aは、一次成形工程を行う成形装置80と、一次成形工程により成形された一次成形体5を加熱して押圧する加熱押圧装置70aとを有する。
この第1変形例に係る成形装置80は、一方向(図面では時計回り方向)に駆動回転するダイホイール51と、ダイホイール51の上方に所定の間隔を開けて配され、ダイホイール51とは反対の方向(図面では反時計回り方向)に駆動回転するプレスローラ82と、ダイホイール51とプレスローラ82の間に向けて溶融した合成樹脂材料を連続して吐出する押出ノズル85と、押出ノズル85よりもダイホイール51の回転方向下流側に配されるピックアップローラ56とを有する。
【0171】
この場合、第1変形例のダイホイール51は、
図10に示した実施例1のダイホイール51と実質的に同様の構造を有する。すなわち、ダイホイール51の外側円筒体52には、例えば
図11〜
図13に示すような複数の貫通孔57が、製造する成形面ファスナー1の係合素子10の配置に対応して、外側円筒体52の外周面から内周面に貫通するように穿設されている。
【0172】
また、内側円筒体53の外周面には、複数の凹溝部61が、一次成形体5が流れるM方向に直交するC方向に沿って直線状に凹設されている。更にこの場合、ダイホイール51とプレスローラ82との間の間隔は、製造される成形面ファスナー1の基材部2の厚さ寸法に対応する大きさに調整されている。
【0173】
また、第1変形例に係る加熱押圧装置70aは、ピックアップローラ56の下流側に配される上下一対の押圧ローラ73,74を有しており、上側押圧ローラ73と下側押圧ローラ74とは、所定の間隔を開けて対向して配されている。また、上側及び下側押圧ローラ73,74間の間隔は、図示しない高さ調整手段により調整可能である。
【0174】
また、第1変形例に係る下側押圧ローラ74は、
図10に示した実施例1の加熱押圧装置70における上側押圧ローラ71と同様の構造を有しており、
図42において反時計回りに回転するように配されている。更に、第1変形例に係る上側押圧ローラ73は、
図10に示した実施例1の加熱押圧装置70における下側押圧ローラ72と同様の構造を有しており、搬送される一次成形体5を支持する支持面を形成する。
【0175】
そして、
図42に示した第1変形例の製造装置40aを用いて成形面ファスナー1を製造する場合、先ず、成形装置80により一次成形体5を成形する一次成形工程を行う。この一次成形工程では、溶融した合成樹脂材料を、押出ノズル85からダイホイール51とプレスローラ82との間に向けて連続して押し出すことにより、ダイホイール51とプレスローラ82の間隙により基材部2を成形するとともに、ダイホイール51の外側及び内側円筒体52,53により、複数の仮素子20を基材部2上に成形する。これによって、一次成形体5が作製される。
【0176】
この一次成形工程で成形される一次成形体5は、ダイホイール51の外周面に担持されて冷却されながら半回転することにより固化し、その後、ピックアップローラ56によってダイホイール51の外周面から連続的に引き剥がされる。これによって、複数の仮素子20を基材部2上に有する一次成形体5が得られる。
【0177】
続いて、ダイホイール51から引き剥がされた一次成形体5は、二次成形工程を行う加熱押圧装置70aに向けて、上下方向が反対向きの状態で搬送され、加熱押圧装置70aの上側押圧ローラ73と下側押圧ローラ74の間に導入される。これによって、一次成形体5の各仮素子20を下側押圧ローラ74によって加熱するとともに押圧して、各仮素子20の上端部を押し潰すことができるため、実施例1に係る成形面ファスナー1を安定して製造することができる。またこの場合、内側円筒体53の外周面に凹設する凹溝部又は凹部の形成パターンを変更することによって、前述の実施例2、実施例3、及び変形例1〜変形例8に係る成形面ファスナーも容易に安定して製造することができる。
【0178】
次に、
図43に示した第2変形例に係る製造装置40bは、一次成形工程を行う成形装置90と、一次成形工程により成形された一次成形体5を加熱して押圧する加熱押圧装置70aとを有する。この場合、第2変形例に係る加熱押圧装置70aは、前述した第1変形例に係る加熱押圧装置70aと実質的に同様に形成されている。
【0179】
この第2変形例に係る成形装置90は、一方向(図面では時計回り方向)に回転走行する成形側ベルト機構91と、成形側ベルト機構91の上方に所定の間隔を開けて配され、成形側ベルト機構91とは反対方向(図面では反時計回り方向)に回転走行するプレス側ベルト機構96と、成形側ベルト機構91のベルト外周面に対向して配され、溶融した合成樹脂材料を連続して吐出する押出ノズル95とを有する。
【0180】
第2変形例の成形側ベルト機構91は、金型となる外側無端ベルト92、及び外側無端ベルト92の内側に密接して配される内側無端ベルト93と、外側及び内側無端ベルト92,93が巻き掛けられて、外側及び内側無端ベルト92,93を回転走行させる一対の第1回転ローラ94とを有しており、外側及び内側無端ベルト92,93を同期回転させることができる。
【0181】
外側無端ベルト92には、前述の実施例1の外側円筒体52(
図11〜
図13を参照)に設けた貫通孔57と同様の複数の貫通孔57が穿設されている。各貫通孔57は、製造する成形面ファスナー1の係合素子10の配置に対応する外側無端ベルト92の位置に、外側無端ベルト92の外周面から内周面に貫通して形成されている。
【0182】
内側無端ベルト93の外周面には、複数の凹溝部が凹設されている。各凹溝部は、成形面ファスナー1を形成する合成樹脂が溶融した状態で流入可能な大きさで、C方向に沿って直線状に形成されている。この第2変形例の場合、内側無端ベルト93に形成される各凹溝部は、前述の実施例1の内側円筒体53(
図11〜
図13を参照)の場合と同様の大きさ及び断面形状を有するとともに、外側無端ベルト92に形成される貫通孔57の直径に重なる位置にM方向に所定のピッチで形成されている。
【0183】
更にこの第2変形例においても、外側無端ベルト92に設ける貫通孔57と、内側無端ベルト93に設ける凹溝部との位置関係を見た場合、外側無端ベルト92の内周面に配される各貫通孔57の円形状の外周縁は、内側無端ベルト93の凹溝部に重なる溝重なり部分と、内側無端ベルト93の外周面に直接密着する円弧状の密接部分とを有する。
【0184】
また、プレス側ベルト機構96は、プレス用無端ベルト97と、そのプレス用無端ベルト97が巻き掛けられて、プレス用無端ベルト97を回転走行させる一対の第2回転ローラ98とを有する。
【0185】
更にこの場合、成形側ベルト機構91とプレス側ベルト機構96との間の間隔(すなわち、成形側ベルト機構91における外側無端ベルト92の外表面と、プレス側ベルト機構96のプレス用無端ベルト97の外表面との間隔)は、製造される成形面ファスナー1の基材部2の厚さ寸法に対応する大きさに調整されている。
【0186】
このような
図43に示した第2変形例の製造装置40bを用いて成形面ファスナー1を製造する場合、先ず、成形装置90により一次成形体5を成形する一次成形工程を行う。この一次成形工程では、成形側ベルト機構91とプレス側ベルト機構96を回転駆動させながら、溶融した合成樹脂材料を、押出ノズル95から成形側ベルト機構91の外側無端ベルト92の外表面に連続して押し出す。
【0187】
これにより、成形側ベルト機構91の外側無端ベルト92とプレス側ベルト機構96のプレス用無端ベルト97と間で基材部2を成形するとともに、成形側ベルト機構91の外側及び内側無端ベルト92,93により、複数の仮素子20を基材部2上に成形する。これによって、一次成形体5が作製される。
【0188】
この一次成形工程で成形される一次成形体5は、成形側ベルト機構91とプレス側ベルト機構96との間で機械方向に沿って流れることにより固化する。特にこの第2変形例の成形装置90では、例えば前述の実施例1の場合(
図10を参照)や第1変形例の場合(
図42を参照)に比べて、一次成形体5を冷却する際に一次成形体5を直線的に搬送できるとともに、その搬送速度や搬送長さの調整が行い易い。このため、一次成形体5の成形を効率的に行うことができるとともに、成形される一次成形体5に歪みが残り難くなるという利点が得られる。
【0189】
続いて、冷却されて固化した一次成形体5は、成形側ベルト機構91とプレス側ベルト機構96との間から、図示しない搬送ローラによって引っ張られるようにして成形側ベルト機構91から引き剥がされる。その後、一次成形体5はは加熱押圧装置70aに向けて上下方向が反対向きの状態で搬送され、加熱押圧装置70aの上側押圧ローラ73と下側押圧ローラ74の間に導入される。
【0190】
これによって、一次成形体5の各仮素子20を下側押圧ローラ74によって加熱するとともに押圧して、各仮素子20の上端部を押し潰すことができるため、実施例1に係る成形面ファスナー1を安定して製造することができる。またこの場合、内側無端ベルト93の外周面に凹設する凹溝部又は凹部の形成パターンを変更することによって、前述の実施例2、実施例3、及び変形例1〜変形例8に係る成形面ファスナーも容易に安定して製造することができる。