特許第6644457号(P6644457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644457
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20200130BHJP
   H01L 23/06 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H03H9/02 A
   H03H9/02 N
   H01L23/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-63890(P2014-63890)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186226(P2015-186226A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月1日
【審判番号】不服2018-12058(P2018-12058/J1)
【審判請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】簗田 壮司
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹屋 和人
(72)【発明者】
【氏名】森合 克成
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 尭
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】小柳 健
(72)【発明者】
【氏名】石田 一士
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 富澤 哲生
【審判官】 衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−249265(JP,A)
【文献】 特表2010−539722(JP,A)
【文献】 特開2006−269661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/007-3/06
H03H 9/00-9/135, 9/15-9/24, 9/30-9/40, 9/46-9/62, 9/66, 9/70, 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部及び当該基部の一主面から突出して設けられた枠状の突出部を有すると共に、前記一主面及び前記突出部により収容部が形成されている収容部材と、前記収容部を塞ぐように前記突出部上に設けられた蓋と、を有するパッケージと、
前記収容部において前記基部の前記一主面上に設けられた圧電素子と、を備え、
前記基部自体が積層型NTCサーミスタであり、
前記基部は、
複数のサーミスタ層が積層されてなり、前記基部の前記一主面を構成するサーミスタ部と、
前記サーミスタ部内に前記サーミスタ層の積層方向において対向して配置された第1内部電極及び第2内部電極と、
前記第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極、及び、前記第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、
前記一主面上に設けられており、前記圧電素子の2つの電極が接続されている2つの圧電素子搭載パッドと、
一方の前記圧電素子搭載パッドに電気的に接続された第3外部電極、及び、他方の前記圧電素子搭載パッドに電気的に接続された第4外部電極と、を備え
2つの前記圧電素子搭載パッドと、前記第1内部電極及び前記第2内部電極とが、共通する前記サーミスタ部に設けられている、圧電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電デバイスとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の圧電デバイスは、基板部と、基板部の一方の主面に設けられる第1の枠部と、第1の枠部の一方の主面に設けられる第2の枠部とからなる素子搭載部材と、基板部と第1の枠部とで形成される第2の凹部空間内に露出した基板部の主面に設けられたサーミスタ素子と、第1の枠部と第2の枠部とで形成される第1の凹部空間内に露出した第1の枠部の主面に設けられた圧電振動素子と、第1の凹部空間と第2の凹部空間を気密封止する蓋体と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−182567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の圧電デバイスでは、圧電振動素子と共に凹部空間内に配置されたチップ状のサーミスタ素子によって圧電振動素子の温度(圧電振動素子の周囲の温度)を測定している。圧電振動素子は、水晶素板の両主面に励起用電極がそれぞれ配置されて構成されている。この圧電振動素子には、基板部に配置された導体等を介して、圧電デバイスの外部(例えば、圧電デバイスが搭載された回路基板等)から熱が伝わる。このとき、圧電振動素子とサーミスタ素子とでは、形状が大きく異なり、電極(金属)の面積(体積)も異なっているため、熱容量が異なる。そのため、従来の圧電デバイスでは、圧電振動素子の実際の温度とサーミスタ素子により測定される測定温度とに差が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、圧電素子の温度の測定精度の向上を図ることができる圧電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る圧電デバイスは、基部及び当該基部の一主面から突出して設けられた枠状の突出部を有すると共に、一主面及び突出部により収容部が形成されている収容部材と、収容部を塞ぐように突出部上に設けられた蓋と、を有するパッケージと、収容部において基部の一主面上に設けられた圧電素子と、を備え、基部が積層型NTCサーミスタである。
【0008】
一実施形態においては、基部は、複数のサーミスタ層が積層されてなるサーミスタ部と、サーミスタ部内にサーミスタ層の積層方向において対向して配置された第1内部電極及び第2内部電極と、第1内部電極に電気的に接続された第1外部電極、及び、第2内部電極に電気的に接続された第2外部電極と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電素子の温度の測定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る圧電デバイスを示す斜視図である。
図2図1に示す圧電部品の断面構成を示す図である。
図3図1に示す圧電デバイスの分解斜視図である。
図4】圧電素子及び枠の平面構成を説明するための図である。
図5】第1サーミスタ層及び第2サーミスタ層の平面図である。
図6】第3サーミスタ層の平面図である。
図7】他の実施形態に係る圧電デバイスの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0012】
図1は、一実施形態に係る圧電デバイスを示す斜視図である。図2は、図1に示す圧電デバイスの断面構成を示す図である。図3は、図1に示す圧電デバイスの分解斜視図である。図1〜3に示される圧電デバイス1は、交流電圧が印加されて変位することにより、所定の周波数を発振する圧電振動デバイスである。圧電デバイス1は、パッケージ2と、圧電振動素子(圧電素子)5と、を備えている。
【0013】
パッケージ2は、収容部材4と、蓋9と、を備えている。収容部材4は、サーミスタ基板(基部)3と、枠(突出部)7と、を有している。収容部材4には、サーミスタ基板3の第1主面3a(後述)と枠7とにより、収容部6が形成されている。収容部6には、圧電振動素子5が収容される。
【0014】
サーミスタ基板3は、積層型NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタであり、温度の上昇に対して抵抗が減少するサーミスタである。サーミスタ基板3は、互いに対向する長方形状の第1主面(一主面)3a及び第2主面3bを有する。以下の説明においては、第1主面3a及び第2主面3bの長辺方向をサーミスタ基板3(圧電デバイス1)の「長手方向」、短辺方向をサーミスタ基板3(圧電デバイス1)の「幅方向」、第1主面3a及び第2主面3bが対向する方向をサーミスタ基板3(圧電デバイス1)の「厚み方向」と称する。第1主面3a及び第2主面3bの長手方向の長さは、例えば1.5mm〜4.0mmである。第1主面3a及び第2主面3bの幅方向の長さは、例えば1.0mm〜3.0mmである。厚み方向における第1主面3aと第2主面3bとの距離(サーミスタ基板3の厚さ)は、例えば0.1mm〜0.4mmである。
【0015】
サーミスタ基板3は、第1サーミスタ層10と、第2サーミスタ層12と、第3サーミスタ層14と、を備えるサーミスタ部8を備えている。第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14のそれぞれは、厚み方向から見て長方形状を呈している。第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14は、この順番で、厚み方向に積層されている。
【0016】
第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14は、例えば、主成分としてMn,Ni及びCoの各金属酸化物を含んだセラミックスから形成される。第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14は、主成分であるMn,Ni及びCoの各金属酸化物の他に、特性の調整のために、Fe,Cu,Al,Zrなどを副成分として含んでいてもよい。また、Mn,Ni及びCoの各金属酸化物に代えて、Mn及びNiの各金属酸化物やMn及びCoの各金属酸化物から形成されていてもよい。
【0017】
第1サーミスタ層10は、互いに対向する長方形状の第1主面10a及び第2主面10bを有する。第1主面10aは、サーミスタ基板3の第1主面3aに相当する。第2サーミスタ層12は、互いに対向する長方形状の第1主面12a及び第2主面12bを有する。第3サーミスタ層14は、互いに対向する長方形状の第1主面14a及び第2主面14bを有する。第2主面14bは、サーミスタ基板3の第2主面3bに相当する。第1サーミスタ層10の第2主面10bと第2サーミスタ層12の第1主面12aは互いに接触している。第2サーミスタ層12の第2主面12bと第3サーミスタ層14の第1主面14aとは、互いに接触している。第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14は、互いに一体化するように焼結されている。これにより、サーミスタ部8が構成されている。
【0018】
サーミスタ基板3の第1主面3a上には、例えば金(Au)、白金(Pt)又はニッケル(Ni)等の金属製の圧電素子搭載パッド16,18が設けられている。圧電素子搭載パッド16は、後述する導体30、中継電極34、導体40及び導体62を介して第2主面3b上に設けられた外部接続用端子70に電気的に接続されている。圧電素子搭載パッド18は、後述する導体32、中継電極36、導体42及び導体64を介して第2主面3b上に設けられた外部接続用端子72に電気的に接続されている。外部接続用端子70,72は、圧電素子搭載パッド16,18と同一の金属から構成されている。
【0019】
枠7は、第1主面3aを構成する各辺に沿って設けられる焼結体である。この焼結体は、単層の枠状のグリーン体、又は複数の積層された枠状のグリーン体を焼成することによって形成される。枠7は、サーミスタ基板3の第1主面3a上に設けられている。すなわち、枠7は、サーミスタ基板3の第1主面3aから突出して設けられている。枠7は、厚み方向から見て長方形状の空間Sを形成するように構成される。枠7は、互いに対向する第1面7a及び第2面7bを有しており、第1面7aはサーミスタ基板3の第1主面3aに接している。枠7の厚み方向における長さは、例えば0.3mm〜0.6mmであり、枠7の幅は、例えば0.2mm〜0.4mmである。
【0020】
図4に示されるように、枠7は、厚み方向から見て圧電振動素子5を囲むようにサーミスタ基板3の第1主面3a上に設けられている。圧電振動素子5は、枠7に接しないように、空間S(収容部6)内に収容されている。
【0021】
蓋9は、収容部6(空間S)を塞ぐように枠7の第2面7b上に設けられる、直方体状の蓋である。蓋9は、例えば、ニッケル(Ni)等の金属製の蓋又はコバール(Fe−Ni−Co合金)等の合金製の蓋である。蓋9は、枠7の第2面7bと抵抗溶接によって接合されている。この接合は、例えば、蓋9と枠7とに電流を流すシーム溶接によって行われる。本実施形態では、厚み方向から見た蓋9の面積は、サーミスタ基板3の第1主面3aの面積よりも小さい。なお、蓋9の面積は、サーミスタ基板3の第1主面3aの面積と同一であってもよい。
【0022】
圧電振動素子5は、交流電圧が印加されることにより所定の周波数にて振動する機能を有する。図2及び図3に示されるように、圧電振動素子5は、互いに対向する長方形状の第1主面20a及び第2主面20bを有する水晶基板20と、第1主面20a上に主に設けられる金属製の電極22と、第2主面20b上に主に設けられる金属製の電極22と、を備えている。電極22は、導電性ペーストPを介して圧電素子搭載パッド16に接続されている。電極22は、導電性ペーストを介して圧電素子搭載パッド18に接続されている。導電性ペーストPは、金属(例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)又はニッケル(Ni))等の導電性粒子が分散されている樹脂である。
【0023】
続いて、サーミスタ基板3の構成について、図5及び図6を参照して更に詳細に説明する。図5は、第1サーミスタ層及び第2サーミスタ層の平面図である。図6は、第3サーミスタ層の平面図である。
【0024】
図5(a)に示されるように、第1サーミスタ層10の第1主面10a(サーミスタ基板3の第1主面3a)上には、圧電素子搭載パッド16,18が配置されている。圧電素子搭載パッド16,18は、幅方向において所定の間隔をあけて配置されている。圧電素子搭載パッド16,18は、例えば、金(Au)、白金(Pt)又はニッケル(Ni)等の金属製である。第1サーミスタ層10における圧電素子搭載パッド16と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体30が配置されている。同様に、第1サーミスタ層10における圧電素子搭載パッド18と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体32が配置されている。導体30,32は、圧電素子搭載パッド16,18と同一の金属から構成される。
【0025】
図5(b)に示されるように、第2サーミスタ層12の第1主面12a上には、金属製の中継電極34,36と、第1内部電極38と、が配置されている。中継電極34と中継電極36と第1内部電極38とは、互いに電気的に絶縁している。中継電極34は、第1サーミスタ層10に配置された導体30に接続されている。中継電極36は、第1サーミスタ層10に配置された導体32に接続されている。第2サーミスタ層12における中継電極34と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体40が配置されている。同様に、第2サーミスタ層12における中継電極36と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体42が配置されている。導体40,42は、中継電極34,36と同一の金属から構成される。
【0026】
第1内部電極38は、矩形形状を呈している。第1内部電極38には、この第1内部電極38の一角部から第2サーミスタ層12の一角部に向かって延在する引出電極46が接続されている。第2サーミスタ層12における引出電極46と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体48が配置されている。第1内部電極38、引出電極46及び導体48は、同一の金属から構成される。
【0027】
図6(a)に示されるように、第3サーミスタ層14の第1主面14a上には、第2内部電極50が配置されている。第2内部電極50は、矩形形状を呈している。第2内部電極50には、この第2内部電極50の一角部から第3サーミスタ層14の一角部に向かって延在する引出電極52が接続されている。第3サーミスタ層14における引出電極52と重なる部分には、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体60が配置されている。第1内部電極38、引出電極52及び導体60は、同一の金属から構成される。
【0028】
また、図6(a)に示されるように、第3サーミスタ層14には、第2サーミスタ層12の導体40に対応する部分に、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体62が配置されている。第3サーミスタ層14には、第2サーミスタ層12の導体42に対応する部分に、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体64が配置されている。第3サーミスタ層14には、第2サーミスタ層12の導体48に対応する部分に、厚み方向へ貫通するスルーホールが設けられており、当該スルーホール内に導体66が配置されている。
【0029】
図6(b)に示されるように、第3サーミスタ層14の第2主面14b(サーミスタ基板3の第2主面3b)上には、圧電デバイス1が外部装置に接続及び搭載されるための金属製の外部接続用端子70,72,74,76が設けられている。外部接続用端子70,72,74,76は、厚み方向から見て長方形状であり、第2主面14bの各頂点(角部)に対応して設けられている。
【0030】
外部接続用端子70は、導体62と接触している。すなわち、外部接続用端子70は、導体30、中継電極34、導体40及び導体62を介して圧電素子搭載パッド16に電気的に接続されている。外部接続用端子72は、導体64と接触している。すなわち、外部接続用端子72は、導体32、中継電極36、導体42及び導体64を介して圧電素子搭載パッド18に電気的に接続されている。
【0031】
外部接続用端子(第1外部電極)74は、導体66と接触している。すなわち、外部接続用端子74は、引出電極46、導体48及び導体66を介して第1内部電極38に電気的に接続されている。外部接続用端子(第2外部電極)76は、導体60と接触している。すなわち、外部接続用端子76は、引出電極52及び導体66を介して第2内部電極50に電気的に接続されている。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の圧電デバイス1は、圧電振動素子5が設けられるサーミスタ基板3が積層型NTCサーミスタである。このように、圧電振動素子5が搭載される基板を積層型NTCサーミスタとすることにより、圧電振動素子5と、圧電振動素子5の温度を測定するサーミスタとの形状や金属の面積を近似させることができる。これにより、圧電振動素子5とサーミスタ基板3との熱容量を近似させることが可能となる。その結果、圧電デバイス1では、圧電振動素子5の温度測定の精度の向上を図ることができる。また、圧電デバイス1の外部の熱は、サーミスタ基板3に配置された導体を介して圧電振動素子5に伝わる。そのため、圧電振動素子5に伝わる熱は、サーミスタ基板3にも伝わるため、サーミスタ基板3では、その熱を含めた温度の測定が行われる。したがって、圧電デバイス1では、圧電振動素子5の温度の測定を精度良く行うことができる。
【0033】
また、圧電振動素子5の温度を測定するサーミスタを、圧電振動素子5が設けられるサーミスタ基板3とすることにより、収容部材4の収容部6において、圧電振動素子5の近傍にサーミスタ素子を配置する領域(空間)を確保する必要がない。したがって、圧電デバイス1では、小型化(低背化)を図ることが可能となる。
【0034】
本実施形態では、サーミスタ基板3は、第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14が積層されてなるサーミスタ部8と、サーミスタ部8内に第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14の積層方向において対向して配置された第1内部電極38及び第2内部電極50と、を備えている。従来の圧電デバイスでは、チップサーミスタ素子により圧電振動素子の温度を測定している。チップサーミスタ素子は、小型であるが故に、サーミスタ素体に配置された内部電極の重なりの精度に起因する抵抗値への影響が大きく、抵抗値にばらつきが生じるといった問題が発生し得る。これに対して、本実施形態の圧電デバイス1では、積層型NTCサーミスタをサーミスタ基板3により構成しているため、チップサーミスタ素子に比べて大型化が図られている。そのため、サーミスタ基板3では、第1内部電極38と第2内部電極50との対向面積を確保することができるので、内部電極の重なりの精度に起因する抵抗値のばらつきを抑制することができる。したがって、圧電デバイス1では、サーミスタ基板3の性能の向上を図ることができ、その結果、圧電振動素子5の温度測定の精度向上を図ることができる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0036】
図7は、他の実施形態に係る圧電デバイスの断面構成を示す図である。図7に示されるように、圧電デバイス1Aには、サーミスタ基板3と枠7との間に、例えば、Al、Si、Zn等の酸化物を含む板状の部材80が設けられていてもよい。
【0037】
上記実施形態では、サーミスタ基板3が第1サーミスタ層10、第2サーミスタ層12及び第3サーミスタ層14からなるサーミスタ部8を備える構成を一例に説明したが、サーミスタ部8の積層数はこれに限定されない。また、サーミスタ基板に配置される内部電極の数も、サーミスタ部の積層数に合わせて適宜設定されればよい。
【0038】
また、サーミスタ基板3の平面形状は、図3に示される長方形状に限定されず、圧電デバイス1を適用する箇所にあわせて、円形又は六角形など、適宜変更することができる。この場合、サーミスタ基板3と枠7とによって形成される収容部6は、円形又は六角形等適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…圧電デバイス、2…パッケージ、3…サーミスタ基板(基部)、4…収容部材、5…圧電振動素子(圧電素子)、6…収容部、7…枠(突出部)、8…サーミスタ部、9…蓋、10…第1サーミスタ層、12…第2サーミスタ層、14…第3サーミスタ層、38…第1内部電極(内部電極)、50…第2内部電極(内部電極)、74…外部接続用端子(第1外部電極)、76…外部接続用端子(第2外部電極)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7