(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷却液を被冷却対象に循環させて当該被冷却対象の冷却を行う冷却液回路と、熱交換器により前記冷却液を冷却する冷却手段とを備えてなるチラーにおける前記冷却液回路の一部として接続することにより前記冷却液を収容する冷却液タンクを有するチラーの冷却液タンク装置であって、外面の一部又は全部を断熱材により覆い、かつ上部にタンク口を有するとともに、このタンク口を設けた面の外面又は内面を梨地状に形成し、かつ全体が透過性を有する乳白色の合成樹脂素材により一体形成したタンク本体及び前記タンク口に着脱するキャップを有する冷却液タンクと、少なくとも前記タンク口から視認可能な前記タンク本体内の冷却液の液面を照射し、かつ当該液面が規定液面にあれば当該液面に反射する光源を確認できず、当該液面が規定液面から低下した際に当該液面に反射する光源を確認できる位置に配するLEDを用いたタンク内照明用ライトと、このタンク内照明用ライトを点灯モード又は消灯モードに切換えるモード切換手段とを備えてなることを特徴とするチラーの冷却液タンク装置。
前記冷却手段は、圧縮機,凝縮器,膨張弁及び熱交換器を接続して冷媒を循環させ、当該熱交換器により前記冷却液を冷却する冷凍サイクルを用いることを特徴とする請求項1記載のチラーの冷却液タンク装置。
前記モード切換手段は、前記キャップの装着位置又はこのキャップを覆う開閉カバーの閉位置により前記消灯モードに切換え、かつ前記キャップの非装着位置又は前記開閉カバーの非閉位置により前記点灯モードに切換える切換機能を備えることを特徴とする請求項1記載のチラーの冷却液タンク装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作機械等の被冷却対象に冷却液を供給することにより当該被冷却対象の冷却を行う冷却液回路と、圧縮機,凝縮器,膨張弁及び熱交換器を接続して冷媒を循環させ、当該熱交換器により冷却液を冷却する冷凍サイクルとを備えたチラーは知られているが、通常、この種のチラーは、冷却液を循環させて使用するため、所定量の冷却液を収容する冷却液タンクを備えている。
【0003】
従来、このような冷却液タンクを備えるチラーとしては、既に本出願人が提案した特許文献1,2で開示される冷却装置(チラー)が知られている。特許文献1に開示される冷却装置は、被冷却物に対する供給液温を凍結温度付近まで低下させて、冷却性能及び冷媒回路のCOPを高めるとともに、被冷却物側の耐圧を小さくすることを目的としたものであり、具体的には、被冷却物から戻された冷却液を貯留する冷却液タンクと、この冷却液タンクの供給口から流出する冷却液を送出する送液ポンプと、この送液ポンプから吐出する冷却液を熱交換により冷却して被冷却物に供給する冷却器を備えるとともに、冷却器から流出した冷却液の温度を温度センサにより検出し、検出した温度に基づいて冷却器の冷却温度を制御する制御系を備えて構成したものである。
【0004】
また、特許文献2で開示される冷却装置は、液温が大きく低下する場合でも速やかに対応可能にし、安全性及び信頼性の向上を図るとともに、容易に後付け可能にすることを目的としたものであり、具体的には、インバータ制御される圧縮機,凝縮器,膨張弁及び熱交換器を接続して冷媒を循環させる冷凍サイクルと、熱交換器に接続することにより冷媒との熱交換により冷却液タンクから供給される冷却液を冷却し、この冷却液を被冷却物に循環させた後、冷却液タンクに戻す冷却液回路を具備するとともに、冷却液タンク内に配設することにより当該冷却液タンクに収容した冷却液を加熱可能なヒータと、少なくとも、液温が予め設定した過小負荷温度以下になったならヒータをONにし、かつ液温が予め設定した非過小負荷温度以上になったならヒータをOFFにする制御機能を有する制御部とを備えて構成したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来におけるチラーの冷却液タンクは、次のような解決すべき課題も存在した。
【0007】
第一に、この種のチラーでは、冷却液を工作機械等の被冷却対象に循環させて使用するため、使用に伴って冷却液に量的な不足や質的な汚れを生じるとともに、使用環境によりその度合もまちまちとなる。このため、冷却液タンクは、メンテナンス性等を考慮し、ステンレス素材により形成したボックス状のタンク本体及びこのタンク本体の上面開口を覆う蓋体により構成していた。これにより、蓋体を外した際には、タンク本体の上面全体が開放されるため、洗浄性及び監視性等のメンテナンス性は良好になるものの、反面、密閉性を確保しにくいため、冷却液が蒸発しやすいとともに、蓋体を外した際にはホコリやゴミ等の異物が冷却液に混入しやすい難点があった。
【0008】
第二に、タンク本体及び蓋体は、通常、耐久性等を考慮し、形成素材としてステンレス素材を用いて製造している。このため、材料コスト及び製造コストの双方におけるコストアップが無視できない。しかも、ステンレス素材を用いて比較的サイズの大きいタンク本体及び蓋体を製作することになるため、重量アップを招き、チラー全体の軽量化を図るには限界があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したチラーの冷却液タンク装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るチラーの冷却液タンク装置1は、上述した課題を解決するため、冷却液Wを被冷却対象Cに循環させて当該被冷却対象Cの冷却を行う冷却液回路2と、熱交換器4により冷却液Wを冷却する冷却手段3とを備えてなるチラーMにおける冷却液回路2の一部として接続することにより冷却液Wを収容する冷却液タンクを有する冷却液タンク装置を構成するに際して、外面の一部又は全部を断熱材15により覆い、かつ上部にタンク口5miを有するとともに、このタンク口5miを設けた面の外面又は内面を梨地状に形成し、かつ全体が透過性を有する乳白色の合成樹脂素材Rにより一体形成したタンク本体5m及びタンク口5miに着脱するキャップ5cを有する冷却液タンク5と、少なくともタンク口5miから視認可能なタンク本体5m内の冷却液Wの液面Wuを照射し、かつ当該液面Wuが規定液面Wsにあれば当該液面Wuに反射する光源を確認できず、当該液面Wuが規定液面Wsから低下した際に当該液面Wuに反射する光源を確認できる位置に配するLED6eを用いたタンク内照明用ライト6と、このタンク内照明用ライト6を点灯モード又は消灯モードに切換えるモード切換手段7とを備えてなることを特徴とする。
【0011】
この場合、好適な実施の態様により、冷却手段3には、圧縮機11,凝縮器12,膨張弁13及び熱交換器4を接続して冷媒を循環させ、当該熱交換器4により冷却液Wを冷却する冷凍サイクル14を用いることができる。一方、タンク口5miを設けた面には、タンク本体5mの上面における前半部分に形成した前下がりの傾斜面5msを適用できる。なお、タンク内照明用ライト6は、この傾斜面5msに配設することが望ましい。さらに、モード切換手段7には、キャップ5cの装着位置Xs又はこのキャップ5cを覆う開閉カバー16の閉位置Xcにより消灯モードに切換え、かつキャップ5cの非装着位置又は開閉カバー16の非閉位置Xoにより点灯モードに切換える切換機能Fcを設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係るチラーの冷却液タンク装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 上部にタンク口5miを有する一体形成したタンク本体5m及びタンク口5miに着脱するキャップ5cを有する冷却液タンク5と、少なくともタンク口5miから視認可能なタンク本体5m内の冷却液Wを照射するタンク内照明用ライト6と、このタンク内照明用ライト6を点灯モード又は消灯モードに切換えるモード切換手段7とを備えてなるため、比較的開口面積の小さいタンク口5miであっても、オペレータは冷却液Wの収容量や汚れ度合等を目視により容易に確認できるとともに、冷却液Wに対するホコリやゴミ等の異物の混入を回避できる。しかも、冷却液タンク5の十分な密閉性を容易に確保でき、冷却液Wの無用な蒸発を防止できる。
【0014】
(2) タンク本体5mは、合成樹脂素材Rにより一体成形したため、容易に密閉性を確保でき、冷却液タンク5からの冷却液Wの蒸発を確実に防止できる。しかも、ポリエチレン製のタンク(いわゆるポリタンク)に類似する形態又は転用により実施できるため、容易かつ低コストに実施できるとともに、チラーM全体の軽量化を図ることができる。
【0015】
(3) タンク本体5mにおける外面の一部又は全部を断熱材15により覆うようにしたため、タンク本体5mの断熱性を高めることができ、エネルギロスを防止し、チラーMの省エネルギ性をより高めることができる。
【0016】
(4) タンク内照明用ライト6には、LED6eを用いたため、LED6eの有する特性に基づくタンク内照明用ライト6の小型化,省電力化及び長寿命化等を図れることに加え、LED6eの有する照射指向性を応用した各種態様の照明を行うことができる。
【0017】
(5) タンク内照明用ライト6は、少なくともタンク口5miから内部における冷却液Wの液面Wuを視認可能の位置に配したため、比較的開口面積の小さいタンク口5miであっても、タンク内照明用ライト6の反射を利用して液面Wuの高さを容易に確認できる。
【0018】
(6) 好適な態様により、モード切換手段7を、キャップ5cの装着位置Xs又はこのキャップ5cを覆う開閉カバー16の閉位置Xcにより消灯モードに切換え、かつキャップ5cの非装着位置又は開閉カバー16の非閉位置Xoにより点灯モードに切換える切換機能Fcを設けて構成すれば、例えば、メンテナンス時や冷却液補給時等に、キャップ5cを離脱又は開閉カバー16を開けることにより、タンク内照明用ライト6を自動で点灯させることができ、作業の能率性及び利便性の向上に寄与できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係る冷却液タンク装置1の理解を容易にするため、チラーM全体の概略構成について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0022】
図4は、チラーM全体の回路系統を示す。なお、CはチラーMにより冷却される工作機械等の被冷却対象を示す。例示のチラーMは、大別して、冷却液回路2,冷凍サイクル14及びコントローラ51を備える。冷却液回路2は、冷却液Wを収容する本実施形態に係る冷却液タンク装置1を備える。この冷却液タンク装置1は、冷却液タンク5を備え、この冷却液タンク5の供給口は、供給側ラインLsを介して被冷却対象Cの給入口に接続するとともに、冷却液タンク5の戻り口は、戻り側ラインLrを介して被冷却対象Cの排出口に接続する。
【0023】
この場合、供給側ラインLsには、少なくとも供給側配管21sとこの供給側配管21sの中途に接続した送液ポンプ22を備える。一方、戻り側ラインLrには、少なくとも戻り側配管21rとこの戻り側配管21rの中途に接続した熱交換器4を備えるとともに、この熱交換器4より上流側に配した配管21ruに、洗浄装置23を構成する空気供給手段24を備える。熱交換器4は、一次側熱交換流路4fと二次側熱交換流路4sを備え、戻り側配管21rには二次側熱交換流路4sを接続する。
【0024】
なお、洗浄装置23は二次側熱交換流路4sの内部を洗浄するものであり、例示の洗浄装置23はチラーMの一部の機能を兼用して構成する。即ち、冷却液回路2の配管21rの一部を利用した空気供給手段24を備えるとともに、この空気供給手段24により供給された空気Aに対して送液ポンプ22及びコントローラ51を兼用することによりエアレーション洗浄を行うエアレーション洗浄手段25を備える。空気供給手段24は、レイアウト条件として、冷却液タンク5に収容した冷却液Wの規定液面Wsよりも下方に、当該冷却液タンク5を除く冷却液回路2を配設する。また、熱交換器4より上流側に配した配管21ruの一部を、一点鎖線で示す規定液面Wsよりも上方に迂回させることにより空気収容部26を設け、この空気収容部26の上端に給気弁回路27を接続する。給気弁回路27は、逆止弁を用いた給気弁28と開閉弁29の直列回路により構成し、開閉弁29は空気収容部26に接続するとともに、給気弁28は大気に開放する。
【0025】
冷凍サイクル14は、圧縮機11,凝縮器12,膨張弁(電子膨張弁)13及び熱交換器4を接続して冷媒を循環させ、当該熱交換器4により冷却液Wを冷却する公知の冷凍サイクルを構成する。したがって、冷凍サイクル14における冷媒配管は、熱交換器4における一次側熱交換流路4fに接続する。なお、冷凍サイクル14において、41は凝縮器12に付設した空冷用ファン、42はバイパス回路に接続した膨張弁をそれぞれ示す。
【0026】
コントローラ51は、チラーMの全体の制御を司る機能を備える。コントローラ51はCPU及びメモリ等を内蔵したコンピュータ機能を備え、予め格納した制御プログラムにより各種処理及び制御(シーケンス制御)を実行することができ、主要機能としては、冷却液Wの温度が設定温度となるように、温度センサからの検出結果に基づいて冷凍サイクル14等をフィードバック制御する機能を備える。したがって、コントローラ51は、冷凍サイクル14に対して各種信号の授受を行うとともに、前述した送液ポンプ22の作動/停止に係わる制御を行う。
【0027】
図3は、チラーM全体の外観構成の一例を示す。チラーMは上下に長い直方体状のキャビネット61を備える。キャビネット61の上面前側には傾斜した開閉カバー16を備えるとともに、開閉カバー16の右側(正面から見た方角)には操作パネル62を備える。操作パネル62は操作部及び表示部を備えており、前述したコントローラ51に接続する。なお、開閉カバー16を開くことにより、冷却液タンク5に対する給水や各種メンテナンス等を行うことができる。また、操作パネル62が位置する右側の側面上部には、各種配管やケーブル類を接続する接続パネル63を備えるとともに、同側面下部には通気窓64を備える。
【0028】
一方、
図1及び
図2に示すように、キャビネット61の内部における上部左側には、冷却液タンク5を有する本実施形態に係る冷却液タンク装置1を配する。また、上部右側にはコントローラ51を含む電気系統51eを配設する。さらに、内部における下部には、冷凍サイクル14を構成する前述した圧縮機11,凝縮器12,膨張弁13及び熱交換器4等を配設するとともに、冷却液タンク5(冷却液タンク装置1)を除く図示を省略した冷却液回路2を配設する。これにより、冷却液タンク5を除く冷却液回路2は、冷却液タンク5に収容した冷却液Wの規定液面Wsよりも下方に配するというレイアウト条件を満たす。
【0029】
次に、本実施形態に係る冷却液タンク装置1の具体的構成について、
図1〜
図5を参照して説明する。
【0030】
冷却液タンク装置1は、前述したように冷却液タンク5を備える。この冷却液タンク5は、上部にタンク口5miを有する一体形成したタンク本体5mとタンク口5miに着脱するキャップ5cを備える。この場合、タンク本体5mは、合成樹脂素材Rにより一体成形する。したがって、冷却液タンク5は、例えば、ポリエチレン製のタンク(いわゆるポリタンク)に類似する形態又は転用により実施可能である。このように、タンク本体5mを合成樹脂素材Rにより一体成形すれば、容易に密閉性を確保できるとともに、冷却液タンク5からの冷却液Wの蒸発を確実に防止できる。加えて、容易かつ低コストに実施できるとともに、チラーM全体の軽量化を図ることができる。
【0031】
また、タンク本体5mの上面における前半部分は、
図1に示すように、前下がりの傾斜面5msに形成し、この傾斜面5msの上側位置に円筒状となるタンク口5miを突出形成する。これにより、いわゆるスクリュ形式のキャップ5cが着脱可能となる。そして、このような傾斜面5msを形成することにより、冷却液Wを補給する際の作業性を高めることができるとともに、特に、複数台のチラー装置M…を積み重ねて設置する場合であってもホース等を用いて冷却液Wの補給が可能になる利点がある。
【0032】
なお、冷却液Wには、水(水道水)をはじめ、各種冷却溶液を使用できるとともに、色態様は透明か否かは問わない。したがって、クーラント等の有色液体(薄青色,薄赤色等)であってもよい。
図4中、一点鎖線で示すWsは、冷却液タンク5に収容された冷却液Wの規定液面に係わる高さを示している。その他、冷却液タンク5には、液面の高さを検出するフロートセンサ52(
図1参照)及びドレン口等の冷却液タンクに通常必要となる各種付属機能を備えている。
【0033】
一方、タンク本体5mの外面は、
図1及び
図2に示すように、外面を断熱材15により覆う。断熱材15としては、例えば、所定の厚さを有する発泡ウレタン製の断熱ボード15p…等を用いることができ、覆う範囲としては、タンク本体5mの外面の一部又は全部、特に、断熱効果を高める観点からできるだけ広い範囲を覆うことが望ましい。これにより、タンク本体5mの断熱性を高めることができるため、エネルギロスを防止し、チラーMの省エネルギ性をより高めることができる。
【0034】
ところで、冷却液タンク5のタンク本体5mを合成樹脂素材Rにより一体成形し、かつ外面を断熱材15により覆うとともに、タンク本体5mの上面に設けた比較的開口面積が小さくなるタンク口5miをスクリュ形式のキャップ5cにより開閉する場合、ボックス状のタンク本体及びこのタンク本体の上面開口を覆う蓋体により構成する従来タイプの冷却液タンクと異なり、メンテナンス性、特に、外部から冷却液Wの状態、具体的には、冷却液Wの収容量及び冷却液Wの汚れ度合を肉眼により視認しにくくなるマイナス要素が生じる。
【0035】
このため、冷却液タンク装置1では、少なくともタンク口5miから視認可能となるタンク本体5m内の冷却液Wの液面Wuを照射するタンク内照明用ライト6を設けた。具体的には、
図1に示すように、タンク本体5mにおける傾斜面5msの下側位置に、タンク本体5mの内部を照射可能となる白色のLED(発光ダイオード)6eを配設する。このようなLED6eを用いれば、LED6eの有する特性に基づくタンク内照明用ライト6の小型化,省電力化及び長寿命化などを図れる利点があるとともに、特に、発熱量が少なくなるLED6eにより結露の発生を抑制することも可能となる。また、傾斜面5msを取付けるに際しては、例えば、タンク本体5mの全体を透過性又は半透過性を有する乳白色の合成樹脂により一体成形した場合、傾斜面5msの外面にそのまま取付けることができる。これにより、例えば、梨地状に形成される傾斜面5msの外面又は内面を、乱射板として機能させることができ、LED6eの有する照射指向性の高い光線を拡散し、タンク本体5mの内部を均等に照らすことができ、照明機能をより高めることができる。なお、タンク本体5mは合成樹脂素材Rにより一体成形するため、傾斜面5msに取付孔を形成し、この取付孔に防水性を確保した状態で取付けることも可能である。この場合、LED6eの発光面をタンク本体5mの内部に直接臨ませることができるため、光損失を回避し、より明るい照明を行うことも可能となる。
【0036】
したがって、タンク内照明用ライト6を、このような傾斜面5msに配設すれば、少なくともタンク口5miから内部における冷却液Wの液面Wu高さを視認可能となる。即ち、比較的開口面積の小さいタンク口5miであっても、冷却液Wの減少状況を肉眼等によりタンク口5miを通して容易に確認することができる。
【0037】
また、冷却液タンク装置1は、このタンク内照明用ライト6を点灯モード又は消灯モードに切換えるモード切換手段7を備える。
図5には、このモード切換手段7を含む冷却液タンク装置1関係における電気系統の一部を抽出して示す。この場合、モード切換手段7の最もシンプルな構成として、
図5に示す点灯スイッチ53を設けることができ、この点灯スイッチ53は前述した操作パネル62に含ませることができる。これにより、オペレータは点灯スイッチ53をマニュアル操作し、必要なときに点灯モード又は消灯モードに切換えることができる。
【0038】
一方、モード切換手段7として、キャップ5cの装着位置Xsにより消灯モードに切換え、かつキャップ5cの非装着位置により点灯モードに切換える切換機能Fcを設けて構成してもよい。この場合、タンク口5miの近傍にキャップ検出スイッチ(キャップ検出センサ)54を配設し、このキャップ検出スイッチ54のON/OFF結果に基づきコントローラ51は点灯モード又は消灯モードに切換えることができる。キャップ検出スイッチ54としては、キャップ5cが装着位置Xsに達したなら、このキャップ5cにより押されてOFFになる接点を有するスイッチを用いることができる。このような切換機能Fcを設ければ、例えば、メンテナンス時や冷却液補給時等に、キャップ5cの離脱により、タンク内照明用ライト6を自動で点灯させることができ、作業の能率性及び利便性の向上に寄与できる。
【0039】
なお、キャップ検出スイッチ54の代わりに、キャップ5cを覆う開閉カバー16の閉位置Xc又は非閉位置Xoを検出する開閉カバー検出スイッチ55を用いた切換機能Fcを設けても同様に実施することができる。その他、
図5において、52は前述した液面Wuの高さを検出するフロートセンサ、72はフロートセンサ52の検出結果が下限値に達したことにより警報を出力する液量アラームをそれぞれ示す。
【0040】
次に、本実施形態に係る冷却液タンク装置1の機能を含むチラーMの全体動作について、
図1〜
図6を参照して説明する。
【0041】
今、チラーMは、通常運転状態にあるものとする。なお、冷却液タンク5には規定液面Wsの高さまで冷却液Wが収容されており、また、開閉弁29は閉(OFF)側に切換えられている。運転時には、
図4に示す送液ポンプ22の作動により、冷却液タンク5に収容された冷却液Wは、供給側ラインLsを介して被冷却対象Cに供給され、被冷却対象Cは冷却液Wにより冷却される。冷却液Wの供給方向(流通方向)を矢印Fwで示す。そして、熱交換により暖められた冷却液Wは、戻り側ラインLrを介して冷却液タンク5に戻される。この際、冷却液Wは、戻り側ラインLrによる戻り時に、熱交換器4の二次側熱交換流路4sを通るため、一次側熱交換流路4fの冷媒と熱交換され、冷却された冷却液Wが冷却液タンク5に戻される。これにより、冷却液Wの循環が行われる。
【0042】
この後、運転スケジュールに従い、チラーMの運転を停止した場合を想定する。これにより送液ポンプ22も停止する。この際、洗浄装置23を利用して洗浄を行うことができる。洗浄を行う場合、オペレータは、洗浄モードの開始スイッチ(不図示)をONにする。洗浄モードの開始により、コントローラ51は開閉弁29を制御し、開(ON)状態に切換える。これにより、給気弁28を通して空気A(外気)が空気収容部26内に流入する。同時に、空気収容部26内の冷却液Wは下降し、空気収容部26内における冷却液Wの液面は、冷却液タンク5に収容された冷却液Wの規定液面Wsの高さに一致する。そして、設定時間の経過により開閉弁29を制御し、閉(OFF)状態に切換えるとともに、送液ポンプ22を作動させる。これにより、戻り側配管21r内の冷却液Wは、熱交換器4、更には冷却液タンク5に送られるとともに、この際、空気収容部26内の空気Aが冷却液Wに巻き込まれるため、空気Aの泡を含むいわゆるスラグ流が生成される。このスラグ流は、直後に二次側熱交換流路4sを通過するため、この二次側熱交換流路4sに対する、スラグ流による効果的なエアレーション洗浄が行われる。この後、設定時間が経過したなら送液ポンプ22を停止させる。以上の動作を所定回数だけ繰り返し行う。このような洗浄装置23を用いることにより、ヌメリやゴミ等を含む汚れが付着した熱交換器4であっても、十分な洗浄効果を得ることができるとともに、省エネルギ性を高めることができる。しかも、比較的簡易な方法及び装置構成により実現可能となる利点がある。
【0043】
一方、冷却液タンク装置1に対するメンテナンス、例えば、冷却液Wの状態確認は、次のように行うことができる。まず、オペレータは、
図1における実線で示す閉位置Xcにある開閉カバー16の先端を上方へ持ち上げ、仮想線で示す非閉位置Xoのように開くことができる。そして、開閉カバー16を開けたなら、装着位置Xsのキャップ5cを離脱方向に回し、タンク口5miから取り外す。
【0044】
キャップ5cが取り外されることにより非装着位置になれば、キャップ検出スイッチ54は、この状態を検出し、コントローラ51はタンク内照明用ライト6を点灯モードに切換える。この結果、照明用ライト6が点灯し、冷却液タンク5(タンク本体5m)内部に対する照明が行われる。照明用ライト6は、タンク本体5mの傾斜面5msに配されるため、少なくともタンク口5miから視認可能なタンク本体5m内の冷却液W、特に、その液面Wuを照射する。したがって、比較的開口面積の小さいタンク口5miであっても、オペレータは冷却液Wの収容量や汚れ度合等を目視により容易に確認できるとともに、冷却液Wに対するホコリやゴミ等の異物の混入を回避できる。
【0045】
なお、本実施形態では照明用ライト6をタンク本体5mの傾斜面5msに配したため、
図6に示すように、液面Wuの高さ確認の目安にすることができる。
図6中、Dcは照明用ライト6の光線方向を示すとともに、Fe,Feeはオペレータが視認可能な視線を示している。今、冷却液Wの液面Wuが規定液面Wsの位置にあれば、オペレータの視線Feによる照明用ライト6の光源を確認することはできない。これに対して、液面Wuが低下し、例えば、Wueの高さであれば、オペレータの視線Feeは液面Wuに反射する照明用ライト6の光源を確認することができ、液面Wuが低下していることを知ることができる。したがって、照明用ライト6の配設位置や角度、更には、LED6eの有する照射指向性(ドット性)を利用(応用)し、その目安の精度をより高めることができるなど、各種態様の照明を行うことができる。したがって、冷却液Wを補給する際にも、照明用ライト6の反射位置を確認しながら規定液面Wsとなるように冷却液Wの補給作業を行うことができる。その他、液面Wuの高さによってLED6eの反射位置が水平方向に移動するため、規定液面Wsの高さをはじめ、液面Wuの高さに拘わりなく光源を確認できるようにしてもよい。
【0046】
そして、冷却液タンク装置1に対するメンテナンス(冷却液Wの状況確認)が終了したなら、キャップ5cをタンク口5miに装着する。これにより、キャップ5cが装着位置Xsに達すれば、キャップ検出スイッチ54は、この位置を検出し、コントローラ51は照明用ライト6を消灯モードに切換える。即ち、自動消灯させることができる。また、開閉カバー16を閉位置Xcになるように閉操作する。
【0047】
このように、本実施形態に係る冷却液タンク装置1によれば、上部にタンク口5miを有する一体形成したタンク本体5m及びタンク口5miに着脱するキャップ5cを有する冷却液タンク5と、少なくともタンク口5miから視認可能なタンク本体5m内の冷却液Wを照射するタンク内照明用ライト6と、このタンク内照明用ライト6を点灯モード又は消灯モードに切換えるモード切換手段7とを備えてなるため、比較的開口面積の小さいタンク口5miであっても、オペレータは冷却液Wの収容量や汚れ度合等を目視により容易に確認できるとともに、冷却液Wに対するホコリやゴミ等の異物の混入を回避できる。しかも、冷却液タンク5の十分な密閉性を容易に確保でき、冷却液Wの無用な蒸発を防止できる。
【0048】
他方、
図7には、本発明の変更実施形態に係る冷却液タンク装置1を備えるチラーM(断面正面図)の一部を示す。
【0049】
前述した
図1及び
図2に示した冷却液タンク装置1は、照明用ライト6の取付けを行うに際し、タンク本体5mの外面に直接取付けるとともに、取付位置としてタンク本体5mの上面(傾斜面5ms)に配した例を挙げたが、
図7に示す変更実施形態に係る冷却液タンク装置1は、照明用ライト6の取付けを行うに際し、電気系統51eに備える実装基板51pにLED6eを実装して取付けるとともに、取付位置として、冷却液タンク5の側面の側方から照射できるように選定したものであり、この点が
図1及び
図2に示した実施形態と異なる。
【0050】
したがって、
図7に示すように、LED6eが対向する、キャビネット61の一部を構成する内部の仕切プレート61mに、開口による透光窓61mhを形成するとともに、さらに、この透光窓61mhに対向する断熱ボード15pに、貫通孔による透光路15phを形成する。この場合、透光窓61mh及び透光路15phの方向(角度),大きさ及び形状等を選定することにより、矢印Dcで示す照射態様等を設定できる。なお、76は実装基板51pと仕切プレート61m間に介在させ、かつ内部にLED6eが収容される光漏れ防止用となる筒形の光ガイドを示す。このような変更実施形態に係る冷却液タンク装置1によれば、冷却液タンク5に対して直接取付けることなく、冷却液タンク5の内部に対する照明を行うことができるとともに、LED6eの取付位置に限定されることなく照明の方向等を柔軟に設定できる。しかも、実装基板51pに取付けるようにすれば、配線部材や取付具を不要にできるなど、LED6e(照明用ライト6)の取付けを容易かつ確実に行うことができる。
【0051】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,手法,数量,素材等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に、変更,追加,削除することができる。
【0052】
例えば、冷却手段3は、圧縮機11,凝縮器12,膨張弁13及び熱交換器4を接続して冷媒を循環させ、当該熱交換器4により冷却液Wを冷却する冷凍サイクル14を用いた場合を例示したが、ペルチェ素子を用いたサーモモジュール等の他の冷却手段3を用いてもよい。なお、本発明において使用する「冷却」は、加熱も含む相対的な概念であり必ずしも温度に対応した概念ではない。即ち、この種のチラー1は使用態様により加熱も可能であり、この場合であっても本発明に係る冷却液タンク装置1を同様に適用することができる。