(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644477
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】凍結された配管内水の解凍装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20200130BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20200130BHJP
F16L 53/30 20180101ALI20200130BHJP
【FI】
H05B6/10 371
H05B6/36 D
F16L53/30
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-88972(P2015-88972)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-207519(P2016-207519A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】592169301
【氏名又は名称】株式会社大勇フリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】大久保 太陽
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−233321(JP,A)
【文献】
特開2002−360712(JP,A)
【文献】
特開昭55−107185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
F16L 53/30
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の配管内の水を凍結工法で凍結し、止水状態とした状態の凍結された水を解凍し通水状態に復元させるための解凍方法に用いられ、交流を電源とし、出力可変とした電磁誘導装置と電気的に接続されたマグネットワイヤを内蔵し、配管の外表面にフィットするよう可撓性を保有している加熱シートで前記配管の外表面を覆い、その配管に電磁誘導加熱を行なうことで凍結された水を解凍することとし、前記したマグネットワイヤは加熱シート内で角渦状に配備された解凍装置において、前記した加熱シートはマグネットワイヤを埋設させるシリコンゴム層と、そのシリコンゴム層の外表面を防水帆布で被覆し、さらに、その防水帆布の外表面をフッ素ゴムでコーティングしてあることを特徴とする凍結された配管内水の解凍装置。
【請求項2】
前記したマグネットワイヤ(3)は角渦状とした戻り配線部分が重なって膨出突部(3c)が形成される以外の部分はマグネットワイヤ(3)は重なることのない非接触構造とされていることを特徴とする請求項1に記載の凍結された配管内水の解凍装置。
【請求項3】
前記したマグネットワイヤは複数本の導電線を束ねたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結された配管内水の解凍装置。
【請求項4】
前記した電磁誘導装置はパワースイッチと出力設定ボリューム及び加熱のためのスイッチ及びタイマー(12)、状態表示ランプ(13)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の凍結された配管内水の解凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は凍結された配管内水の解凍方法及びそれに使用する解凍装置に関し、特に凍結工法を施工したことによって凍結した配管内水の解凍に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、損傷した配管、特に上水道配管を修理、交換する保全作業は、バルブを閉め、周域を断水状態とする必要があった。この断水状態は周域に対して大きな悪影響をもたらすものであり、それを回避するため液体空気や液体窒素等を用いて部分的に対象配管の、主として一次側内の水を凍結することで、格別にバルブを閉じて断水することなく、通水を止水する工法が行なわれるようになった。
【0003】
しかしながら、この凍結工法によって凍結された管内水は、自然に融解するのを待つには長い時間を要するもので、この凍結された管内水を積極的に解凍融解し、通常の通水状態に戻すため、従来はガストーチを用いての火炎による加熱あるいは電気ドライヤーを用いての熱風による加熱が行なわれている。
【0004】
しかし、この上記した方法による解凍は、常に作業者が現場で用具を操作し、監視しながらのものとなり、作業者が要する時間、負担も大きくなってしまい、火炎、熱風による危険負担も大きくなってしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
出願人は、本願発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、従来、凍結工法を施工したことによって凍結され、氷化された配管内水を解凍するについて、作業者に負担をかけず、時間も短縮され、危険を伴うこともない解凍方法及び解凍装置は存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した問題点を解決するため、本願発明に係る凍結された配管内水の
解凍装置は、金属製の配管内の水を凍結工法で凍結し、止水状態とした状態の凍結された水を解凍し通水状態に復元させるための解凍方法
に用いられ、交流を電源と
し、出力可変とした電磁誘導装置と電気的に接続されたマグネットワイヤを内蔵し
、配管の外表面にフィットするよう可撓性を保有している加熱シートで前記配管の外表面を覆い、その配管に電磁誘導加熱を行なうことで凍結された水を解凍すること
とし、前記したマグネットワイヤは加熱シート内で角渦状に配備された解凍装置において、前記した加熱シートはマグネットワイヤを埋設させるシリコンゴム層と、そのシリコンゴム層の外表面を防水帆布で被覆し、さらに、その防水帆布の外表面をフッ素ゴムでコーティングしてあることを特徴としている。
【0008】
また、本願発明に係る解凍装置は、前記したマグネットワイヤ
(3)は角渦状とした戻り配線部分が重なって膨出突部(3c)が形成される以外の部分は
マグネットワイヤ(3)は重なることのない非接触構造とされていることを特徴とし、前記したマグネットワイヤは複数本の導電線を束ね
たものであることを特徴とし、前記した電磁誘導装置はパワースイッチと出力設定ボリューム及び加熱のためのスイッチ及びタイマー(12)、状態表示ランプ(13)とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に係る凍結された配管内水の解凍方法及びそれに使用する解凍装置は上記のように構成されている。そのため、加熱シートのマグネットワイヤからの磁力線(磁束)が金属(鋼)製の配管へ作用し、その配管に誘導電流を誘起させ、配管が自ら発熱し、加熱されることとなり、この加熱によって凍結された配管内水を解凍することとなり、作業者が常時立ち会って監視する必要もなくなり、また危険性もないものとなり、出力を可変することもできるので、解凍に要する時間も短縮されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る解凍装置の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。これらの図にあって1は加熱シートを示しており、2は対象となる鋼製の配管を示している。加熱シート1内には一本のマグネットワイヤ3が略角渦状に巻回されて配備され、シリコンゴム層4内に埋設されている。このシリコンゴム層4によってマグネットワイヤ3はその位置が保持されるとともに絶縁状態とされている。
【0013】
このシリコンゴム層4の外表面の両端部分は防水帆布5で被包されている。この防水帆布5を含めた全体の外表面はさらにフッ素ゴム6によってコーティングされ、表面の防傷、防汚、防水が図られているもので、前記した防水帆布5はフッ素ゴム6によるコーティングの下地とされている。
【0014】
この加熱シート1は上記のように構成され、マグネットワイヤ3の特性とシリコンゴム層4、防水帆布5及びフッ素ゴム6によるコーティングの特性によって可撓性を保持しており、目的とする配管2の外表面にフィットするように変形させることができ、その変形屈曲は何度でも繰り返し行うことを可能としている。そして、防水帆布5で被包されている両端間が、実際上の加熱範囲3dとして作用する。
【0015】
また、この加熱シート1の一端からは、前記したマグネットワイヤ3の始端3aと終端3bが外部に露出され、その始端3aと終端3bの各々の端部には単極コネクタ7、7が装備され、この単極コネクタ7、7が後述する電磁誘導装置の入力口、出力口へ接続される。尚、この単極コネクタ7、7には圧着端子が内蔵されている。
【0016】
さらに、加熱シート1の外側表面の一部には、マグネットワイヤ3の角渦状とした戻り配線部分があるため、マグネットワイヤ3が重なって膨出突部3cが形成されている。
【0017】
一方、図中8はマグネットワイヤ3を作用させるための電磁誘導装置を示しており、この電磁誘導装置8は略立方形をしたケーシングを有し、そのケーシング内に回路機器が収納されている。この電磁誘導装置8は底面に四つの支持脚8a、8a‥を備え、天面に二つの取っ手8bを備えて、搬送、位置移動を可能としている。
【0018】
この電磁誘導装置8は正面にパワースイッチ9及び加熱のスタートスイッチ10、出力を設定するボリューム11及び作動時間を設定するタイマー12、さらには状態表示ランプ13が設けられている。また、一方側面には内部を空冷するための吸気口が設けられ、その吸気口カバー14が設けられている。排気口は背面に形成されたものとなっている。また、この背面には前記したマグネットワイヤ3の単極コネクタ7、7が接続される接続口が構成されている。
【0019】
本実施例に係る凍結された管内水の解凍装置は上記のように構成されており、ここで、その使用方法及び作用を説明する。まず、加熱シート1を対象となる配管(鋼管)2の外表面にフィットさせるように接触させ、電磁誘導装置8のパワースイッチ9及び加熱スタートスイッチ10をONとすると、交流電流が単極コネクタ7、7を介してマグネットワイヤ3内に流れる。この電流によって、配管2には磁束(磁力線)によって誘導電流が誘起され、この配管2が鋼製であることから、配管2自体が発熱し、加熱されることとなり、この加熱によって配管2内の凍結している水(氷)Wは融解し、解凍され、通常の通水状態に復元することとなる。
【0020】
本発明に係る凍結された管内水の解凍方法及びそれに使用する解凍装置は上記のように構成されているもので、加熱シート1のサイズやマグネットワイヤ3の長さ等は必要に応じて適宜変更をすることができるものである。これによって、凍結された管内水の解凍は作業者の時間的、労力的負担もなくなり、必要時間も大きく短縮される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は凍結工法によって断水することなく、配管の保全をする際に用いられることを目的にしているが、冬季、寒冷地等にあって水道管内の水が凍結してしまった際の解凍にも応用実施することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 加熱シート
2 配管(鋼管)
3 マグネットワイヤ
4 シリコンゴム層
5 防水帆布
6 フッ素ゴム
7 単極コネクタ
8 電磁誘導装置
9 パワースイッチ
10 加熱スタートスイッチ
11 出力設定ボリューム
12 タイマー
13 状態表示ランプ
14 吸気口ボックス
W 凍結水(氷)