(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644511
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】後側方車両警告装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20200130BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20200130BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T1/00 330B
H04N7/18 J
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-197544(P2015-197544)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-72881(P2017-72881A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】立見 亮介
【審査官】
田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−153031(JP,A)
【文献】
特開2015−055966(JP,A)
【文献】
特開2006−164197(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0158800(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0004300(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
B60R 1/00 − 1/04
B60R 1/08 − 1/12
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 9/40
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を検出する車両検出手段と、
前記車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、前記撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを判定する警告判定手段と、
前記警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して所定の警告を行う警告手段と、
を備え、前記警告判定手段は、前記他の車両と自車両との間に前記ゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から前記他の車両を除外することを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記警告判定手段は、前記撮像手段によって撮像された画像に、ゼブラゾーンを示す所定のパターンが含まれている場合に、この所定のパターンに対応する部分画像を前記ゼブラゾーンとして検出することを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記警告判定手段は、前記他の車両と自車両との間に、自車両の進行方向に沿って次第に幅が広くなる形状の前記ゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から前記他の車両を除外することを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記警告判定手段は、前記他の車両と自車両との間に、自車両の進行方向に沿って次第に幅が広くなる形状の前記ゼブラゾーンがある場合であって、前記他の車両が走行する車線が自車両が走行する車線が含まれる道路から離脱する脱出路である場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から前記他の車両を除外することを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、
前記警告判定手段は、前記他の車両が前記ゼブラゾーン上に進入した場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象に前記他の車両を含めることを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記警告判定手段は、自車両の走行車線に隣接する車線を前記他の車両が走行中であって、自車両から前記他の車両までの距離が所定値よりも短くなったときであって、警告を行うか否かの判定を行う対象に前記他の車両が含まれている場合に、警告を行う旨の判定を行うことを特徴とする後側方車両警告装置。
【請求項7】
自車両の後方を撮像手段によって撮像するステップと、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を車両検出手段によって検出するステップと、
前記車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、前記撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを警告判定手段によって判定するステップと、
前記警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して警告手段によって所定の警告を行うステップと、
を有し、前記警告判定手段は、前記他の車両と自車両との間に前記ゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から前記他の車両を除外することを特徴とする後側方車両警告方法。
【請求項8】
コンピュータを、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を検出する車両検出手段と、
前記車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、前記撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを判定し、前記警告判定手段は、前記他の車両と自車両との間に前記ゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から前記他の車両を除外する警告判定手段と、
前記警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して所定の警告を行う警告手段と、
して機能させるための後側方車両警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両の後方から他の車両が接近したときに警告を行う後側方車両警告装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車の走行車線に隣接する車線を後方から他の車両が接近してきたときに、自車の運転者に対して所定の警告等を行うようにした車両警告案内装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、自車走行車線を十分に考慮した上で警告等を行うことにより、不要な警告等を抑制し、運転の安全性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−257228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された車両警告案内装置では、自車両と検出した他の車両との関係に基づいて警告等の必要性の有無を判定しており、自車に後方から接近する他の車両がゼブラゾーンを挟んで外側の車線を走行している場合を特に区別していないため、不必要な警告を行う場合があるという問題があった。例えば、自車と他の車両が高速道路の同じ走行車線を走行中に、この他の車両がインターチェンジへ向かう脱出路やパーキングエリアに至る進入路に進入した場合には、ゼブラゾーンを挟んで外側の車線を他の車両が走行することになるが、例えばこのような他の車両が速度を上げて自車両に接近してもそれほど注意を払う必要はない。しかし、自車両と他の車両との相対的な位置関係から警告の有無を判断すると、警告が必要ありと判断されてしまう場合があり、不必要な警告が行われることになる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、不必要な警告を防止あるいは低減することができる後側方車両警告装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の後側方車両警告装置は、自車両の後方を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を検出する車両検出手段と、車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを判定する警告判定手段と、警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して所定の警告を行う警告手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の後側方車両警告方法は、自車両の後方を撮像手段によって撮像するステップと、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を車両検出手段によって検出するステップと、車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを警告判定手段によって判定するステップと、警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して警告手段によって所定の警告を行うステップとを有する。
【0008】
また、本発明の後側方車両警告プログラムは、コンピュータを、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、自車両に接近中の他の車両を検出する車両検出手段と、車両検出手段によって他の車両が検出された場合に、撮像手段によって撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを判定する警告判定手段と、警告判定手段によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して所定の警告を行う警告手段として機能させる。
【0009】
ゼブラゾーンを考慮することにより、自車両の走行に干渉するおそれが少ない他の車両を検出した際の不必要な警告を防止あるいは低減することが可能となる。
【0010】
また、上述した警告判定手段は、撮像手段によって撮像された画像に、ゼブラゾーンを示す所定のパターンが含まれている場合に、この所定のパターンに対応する部分画像をゼブラゾーンとして検出することが望ましい。ゼブラゾーンは特有のパターンを有しているため、このパターンに対応する部分画像を探すことにより、撮像された画像に含まれるゼブラゾーンを確実に検出することができる。
【0011】
特に、上述した警告判定手段は、他の車両と自車両との間にゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から他の車両を
除外する。自車両と他の車両の間にゼブラゾーンがある場合に、このゼブラゾーンを横切って他の車両が自車両に接近する可能性は少ないため、このような他の車両を警告の対象から外すことにより、不必要な警告の防止あるいは低減が可能となる。
【0012】
また、上述した警告判定手段は、他の車両と自車両との間に、自車両の進行方向に沿って次第に幅が広くなる形状のゼブラゾーンがある場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から他の車両を除外することが望ましい。ゼブラゾーンの幅が次第に広くなる場合とは、他の車両が走行中の車線が脱出路の場合であるため、このゼブラゾーンを横切って脱出路から自車両の走行車線に戻ってくる可能性は少ないため、このような他の車両を警告の対象から外すことにより、不必要な警告の防止あるいは低減が可能となる。
【0013】
また、上述した警告判定手段は、他の車両と自車両との間に、自車両の進行方向に沿って次第に幅が広くなる形状のゼブラゾーンがある場合であって、他の車両が走行する車線が自車両が走行する車線が含まれる道路から離脱する脱出路である場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象から他の車両を除外することが望ましい。自車両と他の車両の間にゼブラゾーンがあり、しかも、他の車両が走行中の車線が脱出路の場合には、このゼブラゾーンを横切って脱出路から自車両の走行車線に戻ってくる可能性は少ないため、このような他の車両を警告の対象から外すことにより、不必要な警告の防止あるいは低減が可能となる。
【0014】
また、上述した警告判定手段は、他の車両がゼブラゾーン上に進入した場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象に他の車両を含めることが望ましい。ゼブラゾーン上を走行する行為は必ずしも禁止されているわけではないため、このゼブラゾーン上を他の車両が走行している場合には、必要な警告を行うことが可能となる。
【0017】
また、上述した警告判定手段は、自車両の走行車線に隣接する車線を他の車両が走行中であって、自車両から他の車両までの距離が所定値よりも短くなったときであって、警告を行うか否かの判定を行う対象に他の車両が含まれている場合に、警告を行う旨の判定を行うことが望ましい。これにより、ゼブラゾーンの存在を考慮しつつ、自車両に他の車両が接近した場合に限定して警告を行うことにより、必要性の低い警告を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態の後側方車両警告装置の構成を示す図である。
【
図2】後方カメラの搭載位置と撮像範囲を示す図である。
【
図3】撮像された画像に含まれる警告領域と警告除外領域の具体例を示す図である。
【
図4】自車両の後方から接近する後方車両を検出して警告を行う動作手順を示す流れ図である。
【
図5】地図データに基づいて隣接車線の種類(脱出路/進入路)を判定する変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態の後側方車両警告装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の後側方車両警告装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の後側方車両警告装置1は、後方カメラ10、画像メモリ12、警告領域抽出部14、車両検出部16、警告判定部18、警告処理部20、表示部22、スピーカ24を備えている。この中で、警告領域抽出部14、車両検出部16、警告判定部18、警告処理部20は、ROMやRAMなどに格納された所定のプログラムをCPUで実行するコンピュータとしての構成によって実現することができる。
【0021】
この後側方車両警報装置1は、車両に搭載されており、運転者の死角となる左右後側方から自車両に接近する他の車両を検出して自車両の運転者に対して所定の警告動作を行う。
【0022】
後方カメラ10は、車両後方に取り付けられており、自車両の走行車線や左右の隣接車線が含まれる撮像範囲を有する。例えば、CCD撮像素子やCMOS撮像素子を用いるとともに、魚眼レンズを取り付けて画角を広くしたカメラを用いることが望ましい。
【0023】
図2は、後方カメラ10の搭載位置と撮像範囲を示す図である。また、
図3は後方カメラ10による撮像によって得られた画像と、その中の左側部分画像と右側部分画像との関係を示す図である。
【0024】
図2に示すように、自車両Gの後方中央、例えばナンバープレート上部に後方カメラ10が取り付けられている。この後方カメラ10は、画角Aが180度に近い角度に設定されている。この後方カメラ10は、自車両後退時に車両後方の画像を車室内の表示装置に表示するためのものであり、自車両走行時にはその撮像範囲が本発明の用途に用いられる。
【0025】
なお、本実施形態では、1台の後方カメラ10を用いて自車両の後方を撮像したが、自車両Gの左側面(例えば左側のドアミラー下部)に左カメラを搭載し、右側面(例えば右側のドアミラー下部)に右カメラを搭載し、これら2台のカメラによって自車両の後方を撮像するようにしてもよい。
【0026】
画像メモリ12は、後方カメラ10の撮像によって得られた画像を所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)でフレーム毎に格納する。
【0027】
警告領域抽出部14は、後方カメラ10によって撮像されて画像メモリ12に格納されたフレーム毎の画像を読み出し、この画像の中から、ゼブラゾーンを示す所定のパターンを用いたパターン認識を行うことによりゼブラゾーンの検出を行い、このゼブラゾーンを含む警告領域と、ゼブラゾーンの外側にある走行車線を含む警告除外領域を抽出する。
【0028】
図3は、撮像された画像に含まれる警告領域と警告除外領域の具体例を示す図である。
図3(A)は、後方カメラ10によって撮像されて画像メモリ12に格納された画像を示している。この画像には、自車両の走行車線SCと、この走行車線SCに対して右側(自車両の進行方向を向いている運転者にとって右側)に隣接する隣接車線SRと、左側に隣接する隣接する隣接車線SLとが含まれる。一方の隣接車線SRは、走行車線SCに対して、車両通行帯境界線としての白線Bを介して隣接している。他方の隣接車線SLは、走行車線SCに対して、ゼブラゾーンZを介して隣接している。
【0029】
図3(B)は、
図3(A)に示す画像に対応する警告領域ALと警告除外領域NALを示している。
図3(B)に示すように、車両通行帯境界線としての白線Bを介して隣接する一方の隣接車線SRとゼブラゾーンZが警告領域ALとして抽出される。これに対し、走行車線SCに対してゼブラゾーンZを挟んで外側にある他方の隣接車線SLは警告除外領域NALとして抽出される。なお、
図3(B)では、ゼブラゾーンZの外側にある隣接車線SLのみを警告除外領域NALとしたが、警告領域AL以外の全ての領域を警告除外領域NALに設定するようにしてもよい。
【0030】
車両検出部16は、後方カメラ10による撮像範囲に写り込んだ後方車両(他の車両)を検出する。この検出は、画像メモリ12に格納された各フレームの画像について行われる。例えば、複数の車種のそれぞれに対応する前面部分の特徴が予め抽出されて登録されており、各フレームの画像にこの特徴を有する部分画像が含まれた場合に、その部分画像に対応する位置で後方車両が検出される。
【0031】
警告判定部18は、車両検出部16によって後方車両が検出された場合に、後方カメラ10によって撮像されて画像メモリ12に格納された画像に含まれるゼブラゾーンを考慮して、警告を行うか否かを判定する。具体的には、警告判定部18は、警告領域抽出部14によって抽出された警告領域内に、車両検出部16によって検出された後方車両が含まれるか否かを調べることにより、警告を行うか否かを判定する。警告領域内に後方車両が含まれる場合には警告を行う旨の判定が行われ、含まれていない場合には警告を行わない旨の判定が行われる。
【0032】
警告処理部20は、警告判定部18によって警告を行う旨の判定が行われたときに、自車両の運転者に対して所定の警告動作を行う。具体的には、警告処理部20は、後方車両の接近を知らせる所定の表示を表示部22を用いて行う。例えば、表示部22は、運転席前方に設ける場合や、左右のドアミラーの一部を利用して取り付ける場合などが考えられる。あるいは、地図表示等を行うために用いられる表示装置の一部(あるいは全部)を表示部22として用いるようにしてもよい。また、警告処理部20は、後方車両の接近を知らせる所定の警告音をスピーカ24から出力する。なお、上述したように表示や音で警告する代わりに、あるいは、これらと併用して、ハンドルや座席を振動させるなどのその他の方法で警告を行うようにしてもよい。
【0033】
上述した後方カメラ10が撮像手段に、車両検出部16が車両検出手段に、警告領域抽出部14、警告判定部18が警告判定手段に、警告処理部20、表示部22、スピーカ24が警告手段にそれぞれ対応する。
【0034】
本実施形態の後側方車両警告装置1はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0035】
図4は、自車両の後方から接近する後方車両を検出して警告を行う動作手順を示す流れ図である。
図4に示す一連の動作手順は、1フレーム分の画像が撮像される毎に繰り返される。
【0036】
後方カメラ10によって車両後方が1フレーム分撮像される(ステップ100)。得られた画像は画像メモリ12に格納される。次に、警告領域抽出部14は、画像メモリ12に格納された画像を読み出し、この画像の中から、ゼブラゾーンを示す所定のパターンを用いたパターン認識を行うことによりゼブラゾーンの検出を行い(ステップ102)、このゼブラゾーンを含む警告領域と、ゼブラゾーンの外側にある走行車線を含む警告除外領域を設定する(ステップ104)。
【0037】
次に、車両検出部16は、画像メモリ12に格納された画像に含まれる後方車両を検出したか否かを判定する(ステップ106)。撮像された画像内に後方車両が含まれない場合には否定判断が行われ、警告は行われずに一連の処理が終了する。また、撮像された画像内に後方車両が含まれる場合にはステップ106の判定において肯定判断が行われる。
【0038】
次に、警告判定部18は、ステップ104において設定された警告領域に、車両検出部16によって検出された後方車両が含まれるか否か(警告を行うか否か)を判定する(ステップ108)。警告領域に後方車両が含まれない場合には否定判断が行われ、警告は行われずに一連の処理が終了する。また、警告領域に後方車両が含まれる場合にはステップ108の判定において肯定判断が行われる。次に、警告処理部20は、所定の警告動作を実施する(ステップ110)。
【0039】
このように、本実施形態の後側方車両警告装置1では、撮像した画像に含まれるゼブラゾーンZを、ゼブラゾーンを示す所定のパターンを用いたパターン認識を行うことにより検出し、この検出したゼブラゾーンZを考慮することにより、自車両の走行に干渉するおそれが少ない他の車両を検出した際の不必要な警告を防止あるいは低減することが可能となる。
【0040】
具体的には、警告判定部18は、後方車両と自車両との間に存在するゼブラゾーンZの位置および形状の少なくとも一方を考慮して、さらに具体的には、後方車両と自車両との間にゼブラゾーンZがある場合に、ゼブラゾーンZの外側を走行中の後方車両を、警告を行うか否かの判定を行う対象から除外している。自車両と後方車両の間にゼブラゾーンZがある場合に、このゼブラゾーンZを横切って後方車両が自車両に接近する可能性は少ないため、このような後方車両を警告の対象から外すことにより、不必要な警告の防止あるいは低減が可能となる。
【0041】
また、上述した実施形態では、ゼブラゾーン自体を警告領域に設定したため、警告除外領域を走行中の後方車両がゼブラゾーンに進入した場合に、警告を行うか否かの判定を行う対象にこの後方車両を含めることになる。これにより、ゼブラゾーン上を走行する行為は必ずしも禁止されているわけではないため、このゼブラゾーン上を他の車両が走行している場合には、必要な警告を行うことが可能となる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、自車両から見てゼブラゾーンZの外側にある隣接車線を警告除外領域NAL(
図3(B))に設定して、この隣接車線を走行する後方車両を警告の対象から除外したが、ゼブラゾーンZの形状や、この隣接車線が自車両の走行車線から離脱する脱出路かこの走行車線と合流する進入路であるかによって、この隣接車線を走行する後方車両を警告の対象から排除するか否かを決めるようにしてもよい。
【0043】
具体的には、警告領域抽出部14は、自車両の進行方向に沿って次第に幅(撮像された画像内でのゼブラゾーンの幅ではなく、道路上に白線で描かれたゼブラゾーンを上空から見た場合の幅)が広くなる形状のゼブラゾーンZがある場合に、このゼブラゾーンZの外側にある隣接車線を警告除外領域に設定する。例えば、
図3(A)に示す画像に含まれるゼブラゾーンZが、自車両の進行方向に沿って次第に幅が広がる形状の場合には、このゼブラゾーンZの外側にある隣接車線SLが警告除外領域に設定される。
【0044】
ゼブラゾーンZの幅が次第に広くなる場合とは、後方車両が走行中の車線が脱出路の場合であり、このゼブラゾーンZを横切って脱出路から自車両の走行車線に戻ってくる可能性は少ないため、このような後方車両を警告の対象から外すことにより、不必要な警告の防止あるいは低減が可能となる。
【0045】
一方、警告領域抽出部14は、自車両の進行方向に沿って次第に幅が狭くなる形状のゼブラゾーンZがある場合に、このゼブラゾーンZの外側にある隣接車線を警告領域に設定する。例えば、
図3(A)に示す画像に含まれるゼブラゾーンZが、自車両の進行方向に沿って次第に幅が狭くなる形状の場合には、このゼブラゾーンZの外側にある隣接車線SLが警告領域に設定される。
【0046】
ゼブラゾーンZの幅が次第に狭くなる場合とは、後方車両が走行中の車線が自車両が走行中の道路に合流する進入路の場合であるため、このゼブラゾーンZを横切って、あるいは、ゼブラゾーンZが終了した位置で自車両の走行車線に合流することが予想される。したがって、このような車線を走行中の後方車両を警告の対象に含めることにより、必要な警告を行うことが可能となる。
【0047】
ところで、上述した例では、ゼブラゾーンZの幅が広くなる場合の隣接車線を脱出路とし、反対に幅が狭くなる場合の隣接車線を進入路としたが、後方車両と自車両との間にゼブラゾーンがある場合に、その外側にある隣接車線が脱出路あるいは進入路であるかどうかを、地図データに基づいて判定するようにしてもよい。
【0048】
図5は、地図データに基づいて隣接車線の種類(脱出路/進入路)を判定する変形例を示す図である。
図5に示す変形例の後側方車両警告装置1Aは、
図1に示した後側方車両警告装置1に対して、車両位置検出部30、地
図DB(データベース)32が追加された点が異なっている。これらの車両位置検出部30、地
図DB32は警告領域抽出部14に接続されている。警告領域抽出部14は、自車両の走行車線と隣接車線との間にゼブラゾーンが存在する場合に、車両位置検出部30によって検出された自車両位置に隣接する脱出路(あるいは進入路)が存在するか否かを地図データベース32に格納された地図データに基づいて判定する。なお、車両位置検出部30、地
図DB32を備える代わりに、ナビゲーション装置(図示せず)から同様の情報(自車位置に対応する脱出路/進入路の有無を示す情報)を取得するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、警告領域に後方車両が含まれる場合に所定の警告を行ったが、警告領域に後方車両が含まれる全てのケースで警告を行うのではなく、警告領域に後方車両が含まれる場合であって、自車両からこの後方車両までの距離が所定値よりも短くなったときに警告を行うようにしてもよい。これにより、ゼブラゾーンの存在を考慮しつつ、自車両に他の車両が接近した場合に限定して警告を行うことにより、必要性の低い警告を減らすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述したように、本発明によれば、ゼブラゾーンを考慮することにより、自車両の走行に干渉するおそれが少ない他の車両を検出した際の不必要な警告を防止あるいは低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 後側方車両警告装置
10 後方カメラ
12 画像メモリ
14 警告領域抽出部
16 車両検出部
18 警告判定部
20 警告処理部
22 表示部
24 スピーカ