(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明に係るファン式揮散性薬剤揮散装置は、揮散性薬剤を保持した薬剤保持体、及び送風するためのファンを容器本体内に配した装置である。
【0010】
[揮散性薬剤]
前記の揮散性薬剤とは、揮散性を有する薬剤をいい、常温で揮散性を有するものであれば、加熱することなく揮散が可能となるので、揮散がより容易となり、また、より遠くまで害虫駆除効果を発揮させることができるので、より好ましい。
この揮散性薬剤としては、殺虫剤や防虫剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤、防黴剤、抗菌剤等があげられる。
【0011】
前記殺虫剤としては、トランスフルトリン、メトフルトリン、エムペントリン、プロフルトリン、アレスリン、フラメトリン、プラレトリン、レスメトリン、フタルスリン、フェノトリン、天然ピレトリン等のピレスロイド系殺虫成分があげられる。
また、前記防虫剤としては、ジクロルボス、フェニトロチオン、マラソン等の有機リン系殺虫成分、メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫成長制御剤等があげられる。
さらに、前記忌避剤としては、N,N−ジエチルトルアミド(ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−ヘキサンジオール、ジブチルサクシネート、p−メンタン−3,8−ジオール等があげられる。
【0012】
前記芳香剤としては、シトロネラ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、ユズ油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α―ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、ベンジルアセテートなどがあげられる。
前記消臭剤としては、揮発性のものではヒバ油、ヒノキ油、竹エキス、ヨモギエキス、キリ油やピルビン酸エチル、ピルビン酸フェニルエチル等のピルビン酸エステルなどがあげられる。
【0013】
前記防黴剤としては、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、イソプロピルメチルフェノール、オルソフェニールフェノールなどがあげられる。
前記抗菌剤としては、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネートなどがあげられる。
【0014】
なお、前記の化合物のなかには、不斉炭素や不飽和結合に基づく光学異性体または幾何異性体が存在する場合があるが、それらの各々単独もしくは任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
特に、これらの中でも、トランスフルトリン、メトフルトリン、エムペントリン、プロフルトリンは、常温で揮散性を有するのでより好ましい。
【0015】
[薬剤保持体]
前記薬剤保持体は、前記揮散性薬剤を含有した保持体であり、具体的には、樹脂組成物にこの揮散性薬剤を含有させたものである。
前記樹脂組成物としては、そのままで、又は後述する担体を使用したとき、含有させた前記揮散性薬剤を徐々に表面にブリードさせ、かつ、揮散させることが可能であれば特に限定されるものではない。このような樹脂組成物を構成する樹脂の例としては、分岐低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂や、あるいは、これらとカルボン酸エステル(酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)とのポリオレフィン系共重合体等があげられる。かかるカルボン酸エステルは、樹脂表面への前記揮散性薬剤をブリードさせるのをコントロールしやすく、一般にカルボン酸エステルのポリオレフィン系樹脂に対する配合比率が高くなるほど前記薬剤のブリードの速度を遅らせる傾向を有する。本発明では、カルボン酸エステルがポリオレフィン系樹脂に対して1〜35重量%配合された、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)やエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等が好適に使用される。
また、ポリオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体との含有比率を調整して混合したポリマーブレンドを用いることもできるし、必要に応じてスチレン系エラストマー等の他の高分子化合物を含有させることもできる。
なお、前記カルボン酸エステルとは、不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルを意味する。
【0016】
前記樹脂組成物には、前記揮散性薬剤以外に、必要に応じて、タルク、アルミナ、シリカ、ホワイトカーボン等の担体を併用してもよく、更に着色剤、安定剤、帯電防止剤等を適宜配合しても構わない。担体を使用すると、第一段階で樹脂組成物に薬剤を高濃度に含有させたマスターバッチを調製し、第二段階で更に樹脂組成物を用いて所定濃度に希釈する製造工程を採用することができ便利である。また、樹脂組成物内部から表面部にかけての連通気泡を生じ、内部の揮散性薬剤が表面にブリードしやすくなる場合もある。
【0017】
前記樹脂組成物中における揮散性薬剤の含有量は、使用する揮散性薬剤の種類、樹脂組成物中の樹脂の種類、使用環境、使用期間等によって適宜決定される。使用期間が長くなるほど揮散性薬剤の含有量を高くする必要があるが、1〜20重量%の範囲に設定するのが適当である。1重量%未満であると効果を奏するのに必要な薬量を確保することが難かしく、一方、20重量%を超えると、揮散性薬剤を練り込んだ後の成形が困難となり、更に樹脂表面に揮散性薬剤が過剰にブリードしてベタツキを起こしやすいという支障を生じる場合がある。
【0018】
前記担体を使用する場合、前記樹脂組成物中の担体の使用量は、使用する揮散性薬剤100重量部に対し、5重量部以上がよく、10重量部以上が好ましい。5重量部より少ないと、揮散性薬剤を保持する性能が劣りマスターバッチによる製造が困難となる。一方、担体使用量の上限は、薬剤100重量部に対して50重量部までがよく、35〜40重量部程度が好ましい。50重量部より多いと、揮散性薬剤のブリード性の低下を招く場合がある。
【0019】
前記薬剤保持体は、後述するように、薬剤収納容器内に収納されるので、その形状は、平面状や立体状(立方体状、直方体状、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状等)、これらを積み重ねたり折り曲げた状態等、任意の形状を採用することができる。また、これらは、内部が充填されたものでもよく、また内部に間隙を形成したものであってもよい。この薬剤保持体に含まれる前記揮散性薬剤のブリードの程度は、この薬剤保持体の表面積に影響するが、目的とする薬剤揮散の程度に合わせて、任意の表面積を有する形状を採用することができる。
【0020】
次に、内部に間隙を設けた平面状又は立体状の薬剤保持体について説明する。
この内部に間隙を設けた平面状又は立体状の薬剤保持体としては、俯瞰した際、メッシュ構造が認められるネット状薬剤揮散体を例としてあげることができる。このネット状薬剤揮散体は、樹脂フィラメントを組み合わせて、平面状メッシュや立体状メッシュに構成した形状を有する構造体である。この成形方法としては、まず、前記ペレットを押出成形や射出成形等によって成形して樹脂フィラメントを得、次いで、メッシュを構成する方法や、前記の防虫成分含有樹脂ペレットを射出成形等によって直接、複数の樹脂フィラメントを交差させてメッシュを成形する方法があげられる。
【0021】
前記のメッシュ構造の例としては、
図5に示すような平面状のネット21や、
図6(a)〜(c)に示すような、立体状の構造体22をあげることができる。なお、前記のメッシュ構造を有する薬剤揮散体の形状としては、これらの例に限定されるものではない。
【0022】
図5に示す平面状のネットは、前記フィラメントを、格子状に交差させて、平面状の格子構造を形成させたものである。
【0023】
また、
図6(a)〜(c)に示す立体状の構造体22は、
図6(c)に示される矩形状の波状体23のフィラメントを、頂部(上側の頂部23a、下側の頂部23b)において2本の波状体23をほぼ直角に交差するようにしたものである。また、前記立体構造体22においては、1つの頂部含有面に含まれる少なくとも2つの頂部同士を直線状の棒状体からなる補強材24で補強される。ここで頂部含有面とは、前記立体構造体を構成する面であって、頂部が配される面をいう。
【0024】
このような立体構造体22は、平面状のネット21に比べて、一定の体積内に存在するフィラメントの表面積を増加させることができる。さらに、前記補強材24を用いると、前記フィラメントの表面積をより増加させることができ、かつ、立体構造体の強度も向上させることができる。
なお、周縁部は、立体構造体の強度、形状、外部容器等との関係で、適宜決定される。
【0025】
[メッシュの大きさ]
上記メッシュの大きさは、前記構造体のメッシュ部分の目の大きさ、すなわち、前記構造体のメッシュ部分であって、各樹脂フィラメントで囲まれた1つの目(最小網目)が構成する表面積(周囲の樹脂フィラメントの中心線で囲まれた面積)は、10mm
2以上がよく、20mm
2以上が好ましい。10mm
2より狭いと、付着した水が張力により網目を塞ぐ可能性が高くなり、網目を通る空気の流れが遮断される結果、防虫成分の揮散が抑制されるという問題点を生じる場合がある。一方、表面積の上限は、200mm
2がよく、150mm
2が好ましい。200mm
2より広いと、メッシュ強度が弱く変形しやすいため取扱いにくくなるうえ、防虫成分を含有する構造体の表面積が不足するという問題点を生じる場合がある。
【0026】
[ファン式揮散性薬剤揮散装置]
この発明にかかるファン式揮散性薬剤揮散装置は、前記の薬剤保持体と、送風をするためのファンが容器本体の内部に配置された装置である。そして、このファンによって気流(以下、「主気流」と称する。)を生じさせ、そして、この主気流に伴って間接的に気流(以下、「二次気流」と称する。)を生じさせ、この二次気流によって、前記薬剤保持体から前記薬剤を大気中に揮散させる装置である。
以下、この装置について、具体例を用いて説明する。
【0027】
この装置の具体例として、
図1に示す装置11をあげることができる。なお、この装置11は、この発明にかかるファン式揮散性薬剤揮散装置の1つの例を示すものであり、同じ作用を有すれば、他の装置であってもよい。
この装置11は、開口部12aを有する容器本体12内に、ファン13及び前記薬剤保持体14が配置される。また、この薬剤保持体14は、開口部15aを有する薬剤収納容器15の内部に配置される。そして、前記ファン13は、薬剤収納容器15外に、好ましくは、薬剤収納容器15の外部であって、かつ、薬剤収納容器15の開口部15aと反対側の箇所と対向するように配置される。
前記のファン13は、回転により気流(主気流)を発生させることができれば、どのような駆動手段でもよい。中でも、電池や家庭用交流電源等で駆動するモーターを駆動手段とすれば、継続的にファン13を回転させることが可能となる。
【0028】
次に、この装置の作用について、
図2を用いて説明する。
前記のファン13を駆動させることにより、
図2に示すように、主気流17が生じる。そして、この主気流17は、薬剤収納容器15に当たり、次いで、薬剤収納容器15の壁面に沿って流れる。そして、この主気流は、薬剤収納容器15の反対側、すなわち、開口部15aの周縁近傍を通過して、前記の容器本体12の開口部12aに向かい、ここから外部に流れ出る。このとき、薬剤収納容器15の開口部15aが容器本体12の開口部12aの一部を仕切るように配置、すなわち、薬剤収納容器15の開口部15aと容器本体12の開口部12aとを同一平面に配すると共に、容器本体12の開口部12aの一部に薬剤収納容器15の開口部15aが形成されるように配されると、主気流が容器本体12の開口部12aから外部に流出するのがより容易となる。
なお、薬剤収納容器15の開口部15aが容器本体12の開口部12aの一部を仕切るように配置すると、二次気流18が発生しやすいので好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、二次気流18が発生すれば、薬剤収納容器15の開口部15aが容器本体12の内部にあってもよく、また、薬剤収納容器15の開口部15aと容器本体12の開口部12aとは、薬剤保持体14から見て同じ方向になくてもよい。
【0029】
このとき、薬剤収納容器15の開口部15a付近の空気が、主気流にひっぱられるため、この付近が陰圧となり、
図2に示すように、薬剤収納容器15の内部に開口部15aに向かう気流(二次気流)18が間接的に生じる。そして、この二次気流18は、主気流17と共に容器本体12の開口部12aからその外部に流出する。
このため、前記薬剤保持体14に保持された前記揮散性薬剤がこの二次気流18に乗って、容器本体12の外部に揮散する。その後、主気流に薬剤が乗ることにより、周囲に拡散される。
【0030】
ところで、この二次気流18が生じると、
図2に示すように、この二次気流22の量によっては、同時に薬剤収納容器15の開口部15aの外部から内部へ向かう気流(副次逆流)19aも生じ得る。このとき、二次気流18は、余り強くならない場合があり、前記揮散性薬剤の容器本体12外部への揮散が十分でない場合が生じ得る。
これに対し、
図3に示すように、薬剤収納容器15の側壁面に、容器本体12の外部の空気をこの薬剤収納容器15の内部に誘導するための誘導口16aを設けることができる。具体的には、容器本体12の側壁と薬剤収納容器15の側壁を貫通し、容器本体12の外部と薬剤収納容器15の内部とを連通する誘導路16を設けることができる。これにより、容器本体12の外部から誘導路16を通って薬剤収納容器15内に流れる気流(誘導気流)19bが生じる。この誘導気流19bにより、薬剤収納容器15に流れ込む副次逆流19aが弱くなるか又はなくなるので、二次気流18は、より強い気流となり得る。
この誘導路16は、
図3に示すような、1つではなく、目的とする二次気流18の十分な流速等を得るため、2つや3つ以上の複数の誘導路16を設けてもよい。
【0031】
[薬剤収納容器及び容器本体]
前記薬剤収納容器15は、主気流によって二次気流を生じさせることのできる位置に、その目的を達成できる程度の大きさを有する開口部15aを有し、かつ、内部に薬剤保持体を収納できれば、その大きさや形状、材質等は特に限定されない。
さらに、その開口部15aは、1つの開口であってもよく、桟や格子等に仕切られ、複数の開口に分かれていてもよい。この分けられた形状は、四角形状に限られず、他の多角形状、真円形や楕円形等の円形状、その他の形状であってもよい。このような例として、
図4(a)に示すような、円錐台形の薬剤収納容器15の開口部15aに、直線状の桟を設けたものや、
図4(b)に示すような、四角錐台形の薬剤収納容器15の開口部15aに、直線状の桟を設けたもの等があげられる。
薬剤収納容器15の形状が、
図1〜
図4に示すような、円錐台や四角錐台等の錐台であり、平行な2つの面のうち、面積の広い面を上部の開口部とすると、側壁は、上方に向かって広がる形状となり、薬剤収納容器15の下方に配置されたファン13によって生じる主気流17が上方に行き易くなり、かつ、主気流17が密集しやすくなり、好ましい。
【0032】
また、前記容器本体12は、主気流及び二次気流が容器本体12の外部に出やすい位置に、この主気流及び二次気流が十分に放出される大きさを有する開口部12aを有し、かつ、内部に薬剤収納容器15、ファン13、及びこのファン13を駆動させるモータや電源又は電源コードを収納できれば、その大きさや形状、材質等は特に限定されない。
【0033】
前記主気流17を前記容器本体12から放出する口、すなわち放出口20は、容器本体12の開口部12aの側壁に沿った開口部12aの部分、又は開口部12a全体に形成される。
具体的には、薬剤収納容器15の開口部15aが容器本体12の内部にある場合等、薬剤収納容器15の開口部15aと容器本体12の開口部12aとが同じ平面上にない場合、容器本体12の開口部12aは、その全部が放出口20となる。
一方、薬剤収納容器15の開口部15aと容器本体12の開口部12aとが同じ平面上にある場合、放出口20は、容器本体12の開口部12aのうち、薬剤収納容器15の開口部15aが占める部分を除く部分、すなわち、
図4(a)(b)に示すような、容器本体12の開口部12aの側壁と薬剤収納容器15の開口部15aの側壁との間の部分となる。
【0034】
図4(a)(b)においては、容器本体12の開口部12aの側壁と薬剤収納容器15の開口部15aの側壁とは接していないが、これらが接していてもよい。ただ、二次気流18をより強く生じさせるためには、薬剤収納容器15の開口部15aの周縁近傍から流れ出る主気流17の量が多い方が好ましいので、容器本体12の開口部12aの側壁と薬剤収納容器15の開口部15aの側壁とは接していないことがより好ましい。
なお、
図4(a)(b)においては、薬剤収納容器15は、容器本体12の開口部12aが構成する面の位置で、支持体12bによって容器本体12に取り付けられて固定されているが、この支持体12bの形状、本数、位置等は、薬剤収納容器15を的確に取り付けられ、固定されていればよい。
【0035】
ところで、
図3に示す誘導路16を有し、かつ、薬剤収納容器15の開口部15aと容器本体12の開口部12aとが同じ平面上にある場合において、放出口20の一方の側壁面と相対する側壁面との間の最短距離の平均値、すなわち平均最短距離(A(mm))は、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。1mm未満では、開口部分が狭すぎて主気流17が発生しにくくなり、それに伴い、十分な二次気流18の発生が困難になるおそれがある。一方、上限は20mm以下であると好ましく、10mm以下であるとより好ましい。20mmよりも幅が大きすぎると、主気流17が分散してしまい、十分な二次気流18を生み出すだけの密度の主気流が得られなくなってしまうおそれが生じる。
【0036】
また、誘導路16の薬剤収納容器側の開口である誘導口16aの面積の合計、すなわち誘導口16aの全面積(B(mm
2))は、20mm
2以上が好ましく、80mm
2以上がより好ましい。20mm
2未満では、誘導口16aが小さ過ぎて、十分な二次気流18を発生させる為の十分な風を誘導口16aに流入させることが困難となるおそれがある。一方、上限は900mm
2以下であると好ましく、700mm
2以下であるとより好ましい。900mm
2より大き過ぎると、十分な二次気流18を生み出す為に十分な高い密度の風が誘導口16aに流入することが困難となるおそれが生じる。
【0037】
さらに、前記の平均最短距離(A(mm))と誘導口16aの全面積(B(mm
2))との比、B/Aは、8以上が好ましく、16以上がより好ましい。8未満では、放出口20の大きさに対して誘導口16aが小さくなるため、放出口20から発生する主気流17が少なくなり過ぎ、十分な二次気流18を発生させることが困難となるおそれがある。一方、上限は、400以下であると好ましく、300以下であるとより好ましい。400よりも大きいと、放出口20の大きさに対して誘導口16aが大きくなるため、放出口20から発生する主気流17が分散してしまい、十分な二次気流18を発生させることが困難となるおそれがある。
【0038】
この発明に係るファン式揮散性薬剤揮散装置は、床等の上に置く据え置き型でもよく、壁等に吊り下げる吊り下げ型であってもよい。据え置き型の場合、前記ファン式揮散性薬剤揮散装置の底部に据え置くための台を配置することができる。また、吊り下げ型の場合、前記ファン式揮散性薬剤揮散装置の背面にフックを設ければよい。
【0039】
前記の容器本体12や薬剤収納容器15は、プラスチック部材や金属部材等を用いて製造することができる。このプラスチック部材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド等、種々のプラスチック材料が使用可能であるが、強度やその性質を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた方が好ましい。
【0040】
また、これらのプラスチックの厚みは、種々のものが使用可能であるが、樹脂担体の形状やその揮散性能との関係、経済性などの点から、0.05〜2mmのものを使用することが好ましい。
【0041】
[収納袋]
この発明の薬剤保持体は、一般的に薬剤非透過性フィルム袋に収容されて市販され、使用時に開袋し、薬剤収納容器15に収納して用いられる。ここで、薬剤非透過性フィルム袋の材質としては、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリルニトリルなどがあげられ、その肉厚は可撓性を損なわない範囲で決定される。なお、ヒートシール性を付与するために、これら薬剤非透過性フィルムの内面をポリエチレンやポリプロピレンフィルム等でラミネートすることもできる。
【0042】
[用途]
本発明によって調製される立体型薬剤揮散体は、使用直後からその設計仕様に応じた所定期間にわたり、リビングや和室、玄関などの室内、倉庫、飲食店、工場や作業場内部などで、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、ブユ、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類等に対して優れた防虫効果を奏する。また、室内と室外を隔てる窓やベランダ等の場所で、例えばそのフック部をカーテンレール等に引っ掛けたり、物干し竿に吊るして使用すれば、屋外から屋内へのこれら害虫の侵入を効果的に防ぐこともでき、極めて実用的である。
【実施例】
【0043】
以下、この発明を、実施例を用いてより具体的に示す。なお、この発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。まず、使用した原材料について述べる。
【0044】
[原材料]
(薬剤保持体)
図6(a)〜(c)に示す立体構造体を下記の方法で製造した。
まず、揮散性薬剤としてメルフルトリン(住友化学(株)製)50重量部、ホワイトカーボン(EVONIK社製:カープレックス#80、平均粒子径:15μm)18重量部、エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、共重合体中のビニルアセテートの含有率:28%)20重量部、及びLDPE(旭化成(株)製:サンテックLDM6520)12重量部を120〜140℃で混練し、ペレット状マスターバッチを製造した。
次いで、得られたペレット100重量部と前記LDPE400重量部を120〜140℃で混練後、得られた樹脂組成物を射出成形し、
図6(a)〜(c)に示す立体構造体からなる揮散性薬剤含有構造体(1個あたり5g)を得た。
【0045】
(容器本体及び薬剤収納容器)
容器本体12及び薬剤収納容器15として、縦断面が
図1に示す容器本体12及び薬剤収納容器15で、かつ、上からの平面図が
図4の(a)又は(b)に示す容器本体12及び薬剤収納容器15を用いた。このとき、上から見たとき、容器本体12の中心と薬剤収納容器15の中心を一致させた。以降、
図4(a)に示す容器本体及び薬剤収納容器の容器形状を「円筒状」と称し、
図4(b)に示す容器本体及び薬剤収納容器の容器形状を「角筒状」と称する。なお、「角筒状」の角形は正方形である。
そして、薬剤収納容器15として、その側壁に設けた誘導口16aの個数及び面積(全面積がB(mm
2))を表1に示す種々のパターンのものを用意した。なお、誘導口の形状は、容器形状が円筒状のものは「円」とし、容器形状が角筒状のものは「正方形」とした。
さらに、放出口20の平均最短距離(A(mm))として、1mm、5mm、10mm、20mm、30mmのものを用意した。
【0046】
【表1】
【0047】
[評価]
(揮散量の測定)
得られた揮散性薬剤含有構造体を25℃に調整された室内に吊るし、ファンを回転させ(1700rpm)、揮散性薬剤の揮散量を試験開始後30日目及び100日目において測定した。揮散量の測定方法は、揮散性薬剤含有構造体の重量を測定することによって行った。
【0048】
(実施例1〜5、比較例1)
誘導路16の数が1個で、平均最短距離(A)が1mm(実施例1)、5mm(実施例2)、10mm(実施例3)、20mm(実施例4)、30mm(実施例5)の場合について、前記した各容器No.の薬剤収納容器15を用いて、メルフルトリンの揮散量について測定した。
また、比較例1として、円筒状の容器本体12を用いたものの、薬剤収納容器15を用いず、薬剤保持体14が実施例1と同じ位置となるように容器本体12内に吊した場合について同様の実験を行った。
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例6〜7)
誘導路16の数が2個で、平均最短距離(A)が10mm(実施例6)、20mm(実施例7)の場合について、前記した各容器No.の薬剤収納容器15を用いて、メルフルトリンの揮散量について測定した。
【0051】
【表3】
【0052】
(実施例8〜12、比較例2)
誘導路16の数が1個で、平均最短距離(A)が1mm(実施例8)、5mm(実施例9)、10mm(実施例10)、20mm(実施例11)、30mm(実施例12)の場合について、前記した各容器No.の薬剤収納容器15を用いて、メルフルトリンの揮散量について測定した。
また、比較例2として、角筒状の容器本体12用いたものの、薬剤収納容器15を用いず、薬剤保持体14が実施例8と同じ位置となるように容器本体12内に吊した場合について同様の実験を行った。
【0053】
【表4】
【0054】
(実施例13〜14)
誘導路16の数が2個で、平均最短距離(A)が10mm(実施例13)、20mm(実施例14)の場合について、前記した各容器No.の薬剤収納容器15を用いて、メルフルトリンの揮散量について測定した。
【0055】
【表5】
【0056】
(結果)
以下において、例えば、実施例1の容器No.2の実験を実施例1−2と表記する。他の場合も同様である。
実施例のいずれにおいても、100日目の揮散量は、30日目の揮散量の4割以上を維持しているが、比較例1,2は、いずれも1割未満であり、本願に係る発明は、長期間にわたって、薬剤揮散を持続することが確認された。
また、誘導口16aを設けなかった実施例3−1、4−1、6−1、7−1、10−10、11−10、13−10、14−10の揮散量は、30日目も100日目もいずれも0.02〜0.03mg/hであったが、その他の実施例は、0.04mg/h以上であり、誘導口16aを設けることにより、十分な二次気流19が生じ、揮散量も増加していることが確認された。
さらに、Aが20mmを越えた実施例5−3、12−12に比べ、Bが同じでAが範囲内となった実施例2−3、3−3、9−12、10−12は、十分な二次気流19が生じ、揮散量も増加していることが確認された。
さらにまた、Bが900mm
2を越えた実施例6−9、7−9、13−18、14−18に比べ、Aが同じでBが範囲内となった実施例6−8、7−7、13―17、14−16は、十分な二次気流19が生じ、揮散量も増加していることが確認された。
また、B/Aが400を越えた実施例1−5、8−14、B/Aが8より小さい2−2、3−2、4−3、5−3、6−6、9−11、10−11、11−12、12−12、13−15(誘導口16aを設けなかった場合を除く)に比べ、Bが同じでAを調整し、B/Aを8以上400以下とした実施例1−2、2−3、2−5、3−5、8−11、9−12、9−14、10−12は、30日目及び100日目の揮散量が大きく、より十分な二次気流19が得られ、揮散量が増加していることが確認された。