(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1乃至
図6を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
この一実施の形態によるロボット1には、
図1に示すように、まず、2つのX軸用アクチュエータ3a、3bがX軸方向に平行に設置されている。
上記X軸用アクチュエータ3aにはハウジング9があり、このハウジング9が上記ベース7に固着されている。上記ハウジング9に対して、スライダ11がX軸方向に移動可能に設置されている。このスライダ11の一部は、上記ハウジング9の開口部13を介して上記ハウジング9の外部に突出されている。また、上記スライダ11は、上記ハウジング9内に設置された図示しないガイドによって、X軸方向に案内されている。
【0011】
また、上記ハウジング9内には図示しないボールねじ軸が設置されており、上記スライダ11には、図示しないボールねじナットが固着されている。上記ボールねじ軸は上記ボールねじナットに螺合されていて、上記ボールねじ軸が回転されると、上記ボールねじナットひいては上記スライダ11がX軸方向に移動される。また、上記ハウジング9の開口部13は、上記スライダ11を貫通して設置されるカバ15によって閉塞されている。
【0012】
また、上記ハウジング9の後方(
図1中右上側)にはモータケース17が設置されている。このモータケース17内には、上記ボールねじ軸を回転・駆動する図示しないモータが設置されている。上記X軸アクチュエータ3aには信号の伝達や電力の供給を行う図示しないケーブルが接続されている。
なお、上記X軸用アクチュエータ3bも、上記X軸用アクチュエータ3aと同様の構成であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
そして、上記X軸アクチュエータ3a、3bは同期制御される。
【0013】
上記X軸アクチュエータ3a、3bのスライダ11、11にはY軸アクチュエータ21が懸架されている。すなわち、このY軸アクチュエータ21は、上記X軸アクチュエータ3a、3bに直交するY軸方向に沿って配置されている。
なお、このY軸アクチュエータ21も、上記X軸用アクチュエータ3a、3bと同様の構成をなしている。
上記Y軸アクチュエータ21のハウジング22のY軸方向両端は、取付部材23、23を介して、上記X軸アクチュエータ3a、3bのスライダ11、11に固着されている。
なお、上記X軸アクチュエータ3bのスライダ11と、このスライダ11に対応する取付部材23は、図示されていないが、説明の都合上符号を使用して説明する。
【0014】
上記Y軸アクチュエータ21のスライダ24は、Y軸方向に移動されるようになっている。
【0015】
また、X軸アクチュエータ3bの側方には、上記Y軸アクチュエータ21への信号の伝達や電力の供給を行う図示しないケーブルが内装されたケーブルキャリア25が設置されている。このケーブルキャリア25の一端は上記X軸アクチュエータ3b側のベース7に固着され、他端は上記Y軸アクチュエータ21のモータケース(図示せず)に固着されている。
【0016】
また、上記Y軸アクチュエータ21のスライダ24には、取付部材31を介して、Z軸R軸一体アクチュエータ33が設置されている。このZ軸R軸一体アクチュエータ33には、まず、ハウジング35がある。このハウジング35内には、図示しないZ軸駆動用モータと、この図示しないモータによって回転・駆動される図示しないボールねじ軸が設置されている。このボールねじ軸には、図示しないボールねじナットが螺合されており、このボールねじナットには、図示しない中空ボールスプライン軸が回転可能に設置されている。上記Z軸R軸一体型アクチュエータ33には、図示しないボールスプラインナットが回転可能に設置されており、上記中空ボールスプライン軸は上記ボールスプラインナットを貫通して、上記ハウジング35の先端側(
図1中下側)から外部に突出されている。上記中空ボールスプライン軸の外周側には凹部が形成されている。また、上記ボールスプラインナットの内周側にも凹部が形成されているとともに、上記ボールスプラインナットの内部には図示しない無負荷循環路が形成されている。上記中空ボールスプライン軸の外周側の凹部と上記ボールスプラインナットの内周側の凹部との間の空間と上記無負荷循環路には、図示しない複数の鋼球が転動・循環されていて、これにより、上記中空ボールスプライン軸が上記ボールスプラインナットに対して、Z軸方向の移動を許容されている。また、上記Z軸R軸一体アクチュエータ33には、図示しないR軸駆動用モータが設置されており、例えば、図示しないプーリとタイミングベルトを介して、上記R軸駆動用モータの動力が上記ボールスプラインナットに伝達されるようになっている。
【0017】
上記Z軸駆動用モータによって、上記ボールねじ軸が回転・駆動されると、上記中空ボールスプライン軸がZ軸方向に進退される。また、上記R軸駆動用モータによって、上記ボールスプラインナットとともに上記中空ボールスプライン軸がZ軸を中心に回転される。
【0018】
また、上記Y軸アクチュエータ21の側方には、上記Z軸R軸一体アクチュエータ33への信号の伝達や電力の供給を行う図示しないケーブルが内装されたケーブルキャリア37が設置されている。このケーブルキャリア37の一端は上記Y軸アクチュエータ21のハウジング22に取付部材39aを介して固着され、他端は上記取付部材31に取付部材39bを介して固着されている。
【0019】
また、上記Z軸R軸一体アクチュエータ33の上記図示しない中空ボールスプライン軸の先端には、手首ユニット41が設置されている。この手首ユニット41は、上記X軸アクチュエータ3a、3b、Y軸アクチュエータ21、Z軸R軸一体アクチュエータ33によって、X軸・Y軸・Z軸の三次元空間内で任意に移動制御される。また、上記Z軸R軸一体アクチュエータ33によって、上記手首ユニット41がZ軸を中心にR軸方向に回転される。
【0020】
上記手首ユニット41は次のような構成となっている。
まず、
図2乃至
図4に示すように、モータ支持部材43がある。このモータ支持部材43は、先端側(
図4中下側)の円板部45と、この円板部45から後方(
図4中上側)に向けて立設された仕切り壁47とから構成されている。
【0021】
上記仕切り壁47の
図4中左側には、第1モータ49aが設置されている。また、上記仕切り壁47の
図4中右側には、第2モータ49bが設置されている。
上記第1モータ49aは、
図4に示すように、モータハウジング51と、このモータハウジング51内に内装された図示しないステータと、このステータの内側に回転可能に設置された図示しないロータと、このロータに固着され、上記モータハウジング51の前後(
図4中上下方向両側)に突出された出力軸53とから構成されている。
なお、上記第2モータ49bも、上記第1モータ49aと同様の構成であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0022】
また、上記第1モータ49aの後方(
図4中上側)には第1エンコーダ55aが設置されており、上記第2モータ49bの後方(
図4中上側)にも第2エンコーダ55bが設置されている。
上記第1エンコーダ55aには、歯車ケース57があり、この歯車ケース57内には、上記第1モータ49aの出力軸53に連結された図示しない主動歯車と、この主動歯車に噛合される図示しない第1従動歯車と、同じくこの主動歯車に噛合される図示しない第2従動歯車と、が設置されている。これら第1従動歯車と第2従動歯車の回転角度の組み合わせによって、上記主動歯車の回転数ひいては上記第1モータ49aの出力軸53の回転数を算出するようにしている。
上記図示しない主動歯車の
図4中上端には図示しない永久磁石が固着されており、上記第1従動歯車及び上記第2従動歯車の
図4中下端にも、それぞれ図示しない永久磁石が固着されている。
【0023】
上記歯車ケース57の
図4中下側には基板59aが設置されており、上記歯車ケース57の
図4中上側には基板59bが設置されている。上記基板59a上には、図示しない2つの磁気センサが実装されている。この図示しない2つの磁気センサの一方は、上記第1従動歯車の回転による磁気の変化を検出できるようになっていて、この磁気の変化の検出によって上記第1従動歯車の回転角度を検出できるようになっている。また、上記2つの磁気センサの他方は、上記第2従動歯車の回転による磁気の変化を検出できるようになっていて、この磁気の変化の検出によって上記第2従動歯車の回転角度を検出できるようになっている。
【0024】
また、上記基板59bにも、図示しない磁気センサが実装されている。この磁気センサは、上記主動歯車の回転による磁気の変化を検出できるようになっていて、この磁気の変化の検出によって上記主動歯車の回転角度ひいては上記第1モータ49aの出力軸53の回転角度を検出できるようになっている。
【0025】
また、上記第2エンコーダ55bも上記第1エンコーダ55aと同様の構成をなしており、上記第2モータ49bの出力軸53の回転数と回転角度を検出できるようになっている。
なお、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0026】
また、上記モータ支持部材43の仕切り壁47の後端(
図4中上端)には、取付部材61が固着されている。この取付部材61を介して、手首ユニット41がZ軸R軸一体アクチュエータ33の中空ボールスプライン軸の先端に着脱可能に取り付けられることになる。
【0027】
また、上記モータ支持部材43には、モータカバ69a、69bが設置されている。上記第1モータ49aは上記モータカバ69aの内側に収容され、上記第2モータ49bは上記モータカバ69bの内側に収容されている。
また、
図2及び
図3に示すように、上記第1モータ49a及び第1エンコーダ55aに電力の供給と信号の伝達を行う第1ケーブル70aと、上記第2モータ49b及び第2エンコーダ55bに電力の供給と信号の伝達を行う第2ケーブル70bが、上記モータカバ69a、69bの外部から内部に引き込まれている。
【0028】
上記モータ支持部材43の
図4中下側には、円筒形の歯車収容部材71が設置されており、この歯車収容部材71の
図4中下側には、駆動軸支持部材73が設置されている。駆動軸支持部材73の中央には、
図4中上下方向に延長された駆動軸収容貫通孔75が形成されている。この駆動軸収容貫通孔75内には、外側駆動軸77が、軸受79a、79bを介して、回転可能に設置されている。
【0029】
上記外側駆動軸77の、
図4中上端側には、外側駆動軸第1歯車81が固着されている。この外側駆動軸第1歯車81は平歯車であり、上記第1モータ49aの出力軸53に固着された第1モータ側歯車83に噛合されている。
上記外側駆動軸第1歯車81は、上記外側駆動軸77に固着された基端側歯車固定部材85と、上記外側駆動軸77の先端に螺合される先端側歯車固定部材87との間に、介挿・固定されている。
また、上記外側駆動軸77の
図4中下端側には、外側駆動軸第2歯車89が固着されている。この外側駆動軸第2歯車89は傘歯車である。
【0030】
また、上記外側駆動軸77には、
図4中上下方向に延長された駆動軸収容貫通孔91が形成されていて、この駆動軸収容貫通孔91内には、軸受93a、93bを介して、内側駆動軸95が回転可能に設置されている。この内側駆動軸95の
図4中上端側には、内側駆動軸第1歯車97が固着されている。この内側駆動軸第1歯車97は平歯車であり、上記第2モータ49bの出力軸53に固着された第2モータ側歯車99に噛合されている。
また、上記内側駆動軸95の
図4中下端側には、内側駆動軸第2歯車101が固着されている。この内側駆動軸第2歯車101は傘歯車である。
【0031】
また、上記駆動軸支持部材73の
図4中下側には、回動中心軸支持部材111が設置されている。この回動中心軸支持部材111は、上記駆動軸支持部材73に固着された基部113と、この基部113から立設された支柱115a、115bとから構成されている。
上記支柱115aには軸受117a、117bが設置されており、上記支柱115bには軸受119が設置されている。上記回動中心軸支持部材111には、上記軸受117a、117bと上記軸受119を介して、回動中心軸121が回転可能に設置されている。
【0032】
この回動中心軸121の一端側(
図4中右側)の中心部には第1流体通路123が形成されている。また、上記回動中心軸121の軸方向(
図4中左右方向)中央部には、上記第1流体通路123に直交する方向(
図4中上下方向)に貫通孔125が延長・形成されている。上記第1流体通路123の一端側(
図4中右側)は上記回動中心軸121の外側に開口されており、上記第1流体通路123の他端側(
図4中左側)は上記貫通孔125と連通されている。
また、
図5に示すように、この貫通孔125の
図5中上側には雌ネジ部127が形成されている。
【0033】
また、
図4に示すように、上記回動中心軸121の一端(
図4中右端)には、ソケット129を介して、エルボ継手131が連結されている。このエルボ継手131は、固定部133と、この固定部133に対して直交する方向に指向されると共に軸受135を介して旋回可能に設置された旋回部137とから構成されている。上記エルボ継手131の旋回部137には、配管139が着脱可能に連結される。
【0034】
また、
図4に示すように、上記回動中心軸121の一端側(
図4中右側)であって、上記貫通孔125と上記回動中心軸支持部材111の支柱115bとの間には、軸受141a、141bを介して、回動中心軸第1歯車143が回転可能に設置されている。この回動中心軸第1歯車143は傘歯車であり、上記外側駆動軸第2歯車89と噛合されている。
また、
図4に示すように、上記回動中心軸121の他端側(
図4中左側)であって、上記貫通孔125と上記回動中心軸支持部材111の支柱115aとの間には、軸受145a、145bを介して、回動中心軸第2歯車147が回転可能に設置されている。この回動中心軸第2歯車147は傘歯車であり、上記内側駆動軸第2歯車101と噛合されている。
【0035】
また、上記回動中心軸121には回転中心軸151が固着されている。この回転中心軸151は上記回動中心軸121に直交する方向に指向されている。
図5に示すように、上記回転中心軸151の後端側(
図5中上端側)には雄ネジ部153が形成されていて、上記回転中心軸151の後端側(
図5中上端側)を上記回動中心軸121の貫通孔125内に挿入し、上記雄ネジ部153を上記回動中心軸121の雌ネジ部127に螺合させることで、上記回転中心軸151が上記回動中心軸121に固着されている。
【0036】
また、上記回転中心軸151には、軸心方向(
図4中上下方向)に延長された第2流体通路155が形成されている。
図4に示すように、この第2流体通路155の先端側(
図4中下側)は上記回転中心軸151の外側に開口されており、
図5に示すように、上記第2流体通路155の基端側(
図5中上側)は、連絡用通路157a、157bを介して、上記回動中心軸121の貫通孔125ひいては第1流体通路123と連通されている。
【0037】
また、上記回転中心軸151の基端側(
図4中上側)には、
図5に示すように、連絡用通路157a、157bより先端側(
図5中下側)が一部拡開されて係合凸部159が形成されている。また、上記回動中心軸121の貫通孔125の
図5中下側は拡開されて、係合凹部161が形成されている。上記回転中心軸151の係合凸部159と上記回動中心軸121の係合凹部161が係合されることで上記貫通孔125の
図5中下側が閉塞される。また、上記回転中心軸151の雄ネジ部153と上記貫通孔125の雌ネジ部127が螺合されることで上記貫通孔125の
図5中上側が閉塞されている。
【0038】
また、
図4に示すように、上記回転中心軸151の外周側には、軸受171a、171bを介して、回転軸173が回転可能に設置されている。この回転軸173の中心部には、貫通孔175が延長・形成されている。
図4に示すように、この貫通孔175の基端側(
図4中上側)には、上記回転中心軸151の先端側(
図4中下端側)や軸受171a、171bが収容・配置されている。また、上記貫通孔175の先端側(
図4中下端側)には、取付対象物用雌ネジ部177が形成されている。
また、上記貫通孔175の、上記回転中心軸151の先端面(
図4中下端面)と上記取付対象物用雌ネジ部177の間には、第3流体通路179が設けられている。この第3流体通路179は、上記第2流体通路155に対して、同軸上に連通・配置されている。
【0039】
また、
図6に示すように、上記第3流体通路179の基端側(
図6中上側)が拡径されて、Oリング設置用段部181が形成されている。また、上記貫通孔175内にはOリング保持部材183が圧入されている。このOリング保持部材183には、軸心方向(
図6中上下方向)に延長されたOリング保持部材側貫通孔185が形成されており、このOリング保持部材側貫通孔185の上記Oリング設置用段部181側(
図6中下側)には、上記Oリング設置用段部181側(
図6中下側)と上記Oリング保持部材側貫通孔185の内周側に開口されたOリング保持用凹部187が形成されている。上記Oリング保持用凹部187内には、パッキンとしてのOリング189が保持されている。
なお、
図6中符号186は軸受171a、171bの内輪を押えている押え部材である。
【0040】
このOリング189は、上記回転中心軸151の先端側(
図6中下側)によって貫通された状態で、上記Oリング設置用段部181、上記記回転中心軸151、及び、上記Oリング保持部材183に摺動可能に密着している。すなわち、上記回転中心軸151と上記回転軸173との間に上記Oリング189を設置することで、上記回転中心軸151に対する上記回転軸173の回転を許容しつつ、第2流体通路155と第3流体通路179との間の気密を担保している。
【0041】
また、
図4に示すように、上記回転軸173の基端側(
図4中上側)には、回転軸第1歯車191が固着されている。この回転軸第1歯車191は、回動中心軸第2歯車147に噛合されている。
また、上記回転軸173の上記回転軸第1歯車191より先端側(
図4中下側)には、回転軸第2歯車193が固着されている。この回転軸第2歯車193は、回動中心軸第1歯車143に噛合されている。
【0042】
また、上記回転軸173の先端側(
図4中下側)には、吸着ハンド201が設置されている。この吸着ハンド201には、まず、円筒形状の吸着ハンド連結部材203があり、この吸着ハンド連結部材203の基端側(
図4中上側)には吸着ハンド連結用雄ネジ部205が形成されている。この吸着ハンド連結用雄ネジ部205を上記回転軸173の取付対象物用雌ネジ部177に螺合させることで、上記吸着ハンド201が上記回転軸173の先端側(
図4中下側)に設置・固定される。また、上記吸着ハンド連結部材203の先端側(
図4中下側)には雄ネジ部207が形成されている。また、上記吸着ハンド連結部材203には、軸心方向に延長された連結部内流体通路209が形成されている。この連結部内流体通路209は、上記第3流体通路179と連通されている。
【0043】
上記吸着ハンド201には、分岐部材211がある。この分岐部材211内には、上記連結部内流体通路209に直交する方向(
図4中左右方向)に延長された分岐用流路213が形成されている。また、上記分岐部材211には、上記分岐用流路213と上記分岐部材211の基端側(
図4中上側)に開口された連結部材接続用貫通孔215が形成されている。また、この連結部材接続用貫通孔215内には、雌ネジ部217が形成されている。この雌ネジ部217に、上記吸着ハンド連結部材203の雄ネジ部207が螺合されることで、上記分岐部材211と上記吸着ハンド連結部材203とが固定される。
【0044】
また、上記分岐部材211の
図4中左右方向両端側には、それぞれ、上記分岐用流路213と連通され、上記分岐部材211の先端側(
図4中下側)に開口される先端部材接続用貫通孔219、219が形成されている。これら先端部材接続用貫通孔219、219内には、それぞれ、雌ネジ部221、221が形成されている。
また、上記分岐用流路213の両端は、上記分岐用流路213の両端側に、例えば、螺合・固定される栓223、223によって閉塞されている。
【0045】
上記分岐部材211には、吸着ハンド先端部材225、225がチェックバルブ227、227を介して設置されている。上記吸着ハンド先端部材225には、軸心方向(
図4中上下方向)に延長された吸着ハンド先端側流体通路229が形成されている。また、吸着ハンド先端部材225、225の基端側(
図4中上端側)雄ネジ部231が形成されている。
また、上記チェックバルブ227にも、軸心方向(
図4中上下方向)に延長されたチェックバルブ側流体通路233が形成されている。このチェックバルブ側流体通路233の基端側(
図4中上側)は先端側(
図4中下側)より径が小さい縮径部233aとなっている。上記チェックバルブ側流体通路233の先端(
図4中下端)にはメッシュ状のシート234が設置されている。そして、上記チェックバルブ側流体通路233の縮径部233aと上記シート234との間には、ボール236が設置されている。上記チェックバルブ側流体通路233内を流体が基端側から先端側(
図4中上側から下側)に移動した場合は、上記ボール236は上記シート234に受け止められ、上記チェックバルブ側流体通路233内の流体の流通が許容された状態となるが、先端側から基端側(
図4中下側から上側)に移動した場合は、上記ボール236は上記縮径部233aを塞ぎ、上記チェックバルブ側流体通路233内の流体の流通が規制された状態となる。
また、上記チェックバルブ側流体通路233の先端側(
図4中下端側)には雌ネジ部235が形成されている。この雌ネジ部235に上記吸着ハンド先端部材225の雄ネジ部231が螺合されることで、上記吸着ハンド先端部材225が上記チェックバルブ227に固定される。
また、上記チェックバルブ227の基端側には雄ネジ部237が形成されており、この雄ネジ部237を上記分岐部材211の雌ネジ部221に螺合させることで、上記チェックバルブ227が上記分岐部材211に固定される。
【0046】
また、
図2に示すように、回動中心軸支持部材111の基部113には、先端カバ241が設置されている。この先端カバ241によって、手首ユニット41の回動中心軸121、回転中心軸151、及び、回転軸173の先端側(
図4中下端側)以外の部分と、それらの周辺の構成要素が覆われている。
また、上記先端カバ241には、スリットカバ押え242が設置されており、このスリットカバ押え242にはスリット243が設けられている。このスリット243を介して、上記回転軸173の先端側が上記先端カバ241の外部に突出されているとともに、上記スリット243によって、回動中心軸121の回転による上記回転軸173の回動が許容されている。
【0047】
また、上記スリット243の上記回転軸173が突出された部分以外の部分は、例えば、ステンレス製の薄板からなるスリットカバ245、245によって閉塞されている。上記スリット243には、上記スリット243に沿って移動可能であり、上記回転軸173の先端側(
図2中下側)によって貫通され、且つ、上記回転軸173の回転を許容するスリットカバ取付部材247が設置されている。このスリットカバ取付部材247の移動方向両側(
図2中左右方向両側)には、
図2中左下から右上に向かう方向を軸として回動可能に設置されたスリットカバ用ジョイント249、249を介して、上記スリットカバ245、245が設置されている。
【0048】
また、歯車収容部材71の外周側であって
図2中左右方向両側のそれぞれには、第1スリットカバ案内部材251と図示しない第1スリットカバ案内部材が設置されており、モータ支持部材43の仕切り壁47の外周側であって
図2中左右方向両側のそれぞれにも、第2スリットカバ案内部材253と図示しない第2スリットカバ案内部材が設置されている。上記スリットカバ245、245の内の一方の端部側は、上記歯車収容部材71の外周側と上記第1スリットカバ案内部材251との間、上記モータ支持部材43の円板部45に形成されたスリットカバ用貫通孔255、及び、上記モータ支持部材43の仕切り壁47の外周側と上記第2スリットカバ案内部材253との間に、収容・配置されている。また、上記スリットカバ245、245の内の他方の端部側は、上記歯車収容部材71の外周側と上記図示しない第1スリットカバ案内部材との間、上記モータ支持部材43の円板部45に形成された図示しないスリットカバ用貫通孔、及び、上記モータ支持部材43の仕切り壁47の外周側と上記図示しない第2スリットカバ案内部材との間に、収容・配置されている。
また、上記スリットカバ押え部材242は上記スリットカバ245、245の幅方向(
図2中左下から右上に向かう方向)端部を摺動可能に押圧している。また、スリットカバ245、245は、回動軸173の回動とともに上記回転軸173の回動方向へ移動されるが、スリット243は常にスリットカバ245、245によって閉塞されようになっている。
また、モータ支持部材43、モータカバ69a、69b、歯車収容部材71、駆動軸支持部材73、先端カバ241によって、手首ユニット41のハウジング257が構成されている。
【0049】
次に、本発明の一実施の形態による作用について説明する。
まず、ロボット1による動作の概要について説明する。手首ユニット41は、X軸用アクチュエータ3a、3bによって
図1中X軸方向の任意の位置に移動され、Y軸用アクチュエータ21によって
図1中Y軸方向の任意の位置に移動され、Z軸R軸一体アクチュエータ33によって
図1中Z軸方向の任意の位置に移動される。
【0050】
また、上記手首ユニット41の先端に設置された吸着ハンド201は、回転軸173の回転により、
図1中Z軸を中心に回転動作されるとともに、回転軸173の回動中心軸121を中心とした回動により回動動作される。
また、例えば、図示しないポンプによって吸引することで、上記吸着ハンド201の吸着ハンド先端側流体通路229、229内に負圧を発生させ、上記吸着ハンド201によって、図示しない対象物を吸着・保持することができる。
なお、例えば、吸着ハンド先端部材225、225のうちの一方によって、図示しない対象物を吸着した場合、吸着ハンド先端部材225、225のうちの他方のチェックバルブ227が閉じる。これにより、上記吸着ハンド先端部材225、225のうちの他方からエアが逃げ、上記吸着ハンド先端部材225、225のうちの一方によって吸着した上記図示しない対象物が脱落してしまうことを防止している。
【0051】
また、上記ロボット1は、図示しない制御装置によって制御されるが、例えば、画像処理によって対象物の場所を検出して、上記手首ユニット41の吸着ハンド201の先端を、上記対象物の場所まで移動させる。その際、上記対象物が傾いていても、その傾きに応じて、上記吸着ハンド201の向きを上記回転動作と上記回動動作によって制御することで、上記対象物に対向・配置させることができ、対象物を確実に吸着するようにしている。
【0052】
次に、上記手首ユニット41による上記吸着ハンド201の回転動作及び回動動作の詳細について説明する。
まず、第1モータ49aの出力軸53が
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動され、第2モータ49bが回転・駆動されない場合について説明する。
上記第1モータ49aによって、外側駆動軸77が回転され、その回転が、外側駆動軸第2歯車89と回動中心軸第1歯車143及び回転軸第2歯車193を介して伝達されて回転軸173が
図4中下側から見て時計回り方向に回転される。また、この回転軸173の回転により、回転軸第1歯車191を介して回動中心軸第2歯車147を回転させようとするが、この回動中心軸第2歯車147は内側駆動軸第2歯車101に噛合されており、この内側駆動軸第2歯車101が固着された内側駆動軸95には内側駆動軸第1歯車97が固着されていて、この内側駆動軸第1歯車97は第2モータ側歯車99に噛合されているので、上記回動中心軸第2歯車147は回転されず、上記回転軸第1歯車191が上記回動中心軸第2歯車147の周りを公転することになる。これにより、上記回転軸173は、回動中心軸121を中心に
図4中紙面垂直方向奥側に回動動作される。
すなわち、上記第1モータ49aが回転・駆動され、第2モータ49bが回転・駆動されない場合は、上記吸着ハンド201の
図4中下側から見て時計回り方向の回転動作と
図4中紙面垂直方向奥側への回動動作が同時に行われることになる。
【0053】
また、上記第1モータ49aの出力軸53が
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動され、上記第2モータ49bが回転・駆動されない場合は、同様にして、上記吸着ハンド201の
図4中下側から見て反時計回り方向の回転動作と
図4中紙面垂直方向手前側への回動動作が同時に行われることになる。
【0054】
次に、第2モータ49bの出力軸53が
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動され、第1モータ49aが回転・駆動されない場合について説明する。
上記第2モータ49bによって、内側駆動軸95が回転され、その回転が、内側駆動軸第2歯車101と回動中心軸第2歯車147及び回転軸第1歯車191を介して伝達されて回転軸173が
図4中下側から見て時計回り方向に回転される。また、この回転軸173の回転により、回転軸第2歯車193を介して回動中心軸第1歯車143を回転させようとするが、この回動中心軸第1歯車143は外側駆動軸第2歯車89に噛合されており、この外側駆動軸第2歯車98が固着された外側駆動軸77には外側駆動軸第1歯車81が固着されていて、この外側駆動軸第1歯車81は第1モータ側歯車83に噛合されているので、上記回動中心軸第1歯車143は回転されず、上記回転軸第2歯車193が上記回動中心軸第1歯車143の周りを公転することになる。これにより、上記回転軸173は、回動中心軸121を中心に
図4中紙面垂直方向手前側に回動動作される。
すなわち、上記第2モータ49bが回転・駆動され、第1モータ49aが回転・駆動されない場合は、上記吸着ハンド201の
図4中下側から見て時計回り方向の回転動作と
図4中紙面垂直方向手前側への回動動作が同時に行われることになる。
【0055】
また、上記第2モータ49bの出力軸53が
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動され、上記第1モータ49aが回転・駆動されない場合は、同様にして、上記吸着ハンド201の
図4中下側から見て反時計回り方向の回転動作と
図4中紙面垂直方向奥側への回動動作が同時に行われることになる。
【0056】
以上より、上記第1モータ49a又は上記第2モータ49bを単独で回転・駆動させると、上記吸着ハンド201の回転動作と回動動作が同時に行われるが、上記第1モータ49aを一の方向に回転・駆動させた場合と上記第2モータ49bを同方向に回転・駆動させた場合を比較すると、回転動作の向きは同じで、回動動作の向きが異なっている。
【0057】
次に、上記第1モータ49aと上記第2モータ49bの両方を同じ回転数で回転駆動する場合について説明する。
まず、上記第1モータ49aを
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動させ、上記第2モータ49bを
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動させると、回動動作が相殺され、吸着ハンド201の
図4中下側から見て時計回り方向の回転動作のみが行われるようになる。
また、上記第1モータ49aを
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動させ、上記第2モータ49bを
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動させると、回動動作が相殺され、吸着ハンド201の
図4中下側から見て反時計回り方向の回転動作のみが行われるようになる。
また、上記第1モータ49aを
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動させ、上記第2モータ49bを
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動させると、回転動作が相殺され、吸着ハンド201の
図4中紙面垂直方向奥側への回動動作のみが行われるようになる。
また、上記第1モータ49aを
図4中下側から見て反時計回り方向に回転・駆動させ、上記第2モータ49bを
図4中下側から見て時計回り方向に回転・駆動させると、回転動作が相殺され、吸着ハンド201の
図4中紙面垂直方向手前側への回動動作のみが行われるようになる。
また、上記第1モータ49aと上記第2モータ49bの回転数を適宜制御することで、上記回転動作と上記回動動作を組み合わせた動作が成される。
【0058】
次に、上記吸着ハンド201による図示しない対象物の吸着について説明する。
前記したように、第1流体通路123、第2流体通路155、第3流体通路179と、上記吸着ハンド201内の、連結部内流体通路209、分岐用流路213、チェックバルブ側流体通路233、吸着ハンド先端側流体通路229が連通されており、図示しない真空ポンプによって、配管139及びエルボ継手131を介して、上記吸着ハンド先端側流体通路229、229内に負圧を発生させるようになっており、それによって、対象物を吸着・保持する。
また、Oリング189により、回転中心軸151に対する回転軸173の回転を許容しつつ、第2流体通路155と第3流体通路179との間の気密を担保するようにしている。
【0059】
次に、本発明の一実施の形態による効果について説明する。
まず、第3流体通路179は、上記第2流体通路155と同軸上に配置された状態で、上記第2流体通路155と連通されているため、回転軸173の外径を増大させることなく流体通路の内装化を図ることができ、これにより、手首ユニット41を小型化できる。
【0060】
また、上記回転中心軸151と上記回転軸173との間に上記Oリング189が設置されているので、上記回転中心軸151に対する上記回転軸173の回転を許容しつつ、第2流体通路155と第3流体通路179との間の気密を担保することができる。
また、上記手首ユニット41の小型化によって、上記ロボット1も小型化することができる。
【0061】
なお、本発明は前記一実施の形態に限定されない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、真空引きによる対象物の吸着・保持を例に挙げ、その為の真空引き通路を工夫した場合を説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、回転軸にノズルを設置し、このノズルから、空気を吐出させるような場合にも同様に適用可能である。
また、上記回転軸に設置される対象物の大きさ、形状等には、様々な場合が考えられる。
また、前記一実施例の場合には気体を例に挙げて説明したが、液体の場合にも同様に適用可能である。
また、ロボットの構成としても、前記一実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、手首ユニットを水平多関節ロボットや垂直多節ロボットに設置する場合、等、様々な構成が考えられる。
その他、図示した構成は一例であり様々な場合が考えられる。