特許第6644541号(P6644541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644541芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644541
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20200130BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20200130BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20200130BHJP
   B29L 31/06 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C33/12
   B29L9:00
   B29L31:06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-245888(P2015-245888)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-109397(P2017-109397A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】397000160
【氏名又は名称】株式会社豊和
(72)【発明者】
【氏名】安藤 有希
(72)【発明者】
【氏名】柳井 徹
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−120175(JP,A)
【文献】 特開2009−166368(JP,A)
【文献】 特開平11−277579(JP,A)
【文献】 特開2001−182739(JP,A)
【文献】 特開昭51−062852(JP,A)
【文献】 特開平04−258519(JP,A)
【文献】 実公昭36−013793(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金(21・38)を第1金型(26・41)と第2金型(27・42)とで形成されるキャビティー(28・43)内にセットするセット工程と、
そのキャビティー(28・43)内に溶融樹脂を充填して固化させる成形工程とを有し、前記芯金(21・38)を合成樹脂(32・39)で被覆する芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法であって、
前記セット工程に先立って、前記芯金(21・38)の長さ方向の端部に合成樹脂製の保持具(23)を装着してインサート部材(24・40)を作製する準備工程を有し、
前記保持具(23)は、前記合成樹脂(32・39)と同種類の合成樹脂で形成しており、
前記インサート部材(24・40)を前記キャビティー(28・43)内にセットした際には、前記保持具(23)の一端側を第1金型(26・41)の内面と第2金型(27・42)の内面とで挟持しており、そののちに前記成形工程で前記キャビティー(28・43)内に溶融樹脂を充填し、
その成形後の半完成品(31・44)を前記金型(26・41)・(27・42)から取り出して、その半完成品(31・44)での保持具(23)において前記芯金(21・38)の端面(21b・38b)よりも前記保持具(23)の一端面(23d)寄りの位置で切断して前記ロッド(4)を作製することを特徴とする芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法。
【請求項2】
前記保持具(23)は、前記芯金(21・38)の長さ方向の端部に装着されるとともに成形後の前記ロッド(4)の外径よりも小さい外径を有している接続部(23a)と、その接続部(23a)の一端側に連設しているフランジ部(23b)とを有しており、
前記インサート部材(24・40)を前記キャビティー(28・43)内にセットした際には、前記保持具(23)のフランジ部(23b)を前記第1金型(26・41)の内面と前記第2金型(27・42)の内面とで挟持しており、そののちに前記成形工程で前記キャビティー(28・43)内に溶融樹脂を充填して、前記芯金(21・38)および前記保持具(23)の接続部(23a)の周囲を前記合成樹脂(32・39)で覆って固化させ、
その成形後の半完成品(31・44)を前記金型(26・41)・(27・42)から取り出して、その半完成品(31・44)での保持具(23)の接続部(23a)において、前記芯金(21・38)の端面(21b・38b)よりも前記フランジ部(23b)寄りの位置で切断して前記ロッド(4)を作製することを特徴とする請求項1記載の芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法。
【請求項3】
前記芯金(21・38)は丸棒形状になっていて、その外周面に雄ねじ(21a・38c)を形成しており、
前記保持具(23)の接続部(23a)には、前記芯金(21・38)の雄ねじ(21a・38c)が螺合する雌ねじ(23c)を形成していることを特徴とする請求項1または2記載の芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法。
【請求項4】
前記準備工程において、前記芯金(21)の長さ方向の中間にスペーサ(35)を少なくとも一個配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルトなどに使用されるロッドであって、芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記芯金入りの合成樹脂の製品の製造方法としては、例えば特許文献1で示すように、金型の空洞(キャビティ)内において芯金(物品)を支持棒で支え、その状態で前記空洞内に溶融樹脂を充填して固化(成形)する、いわゆるインサート成形が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭36−13793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の芯金入りの合成樹脂の製品の製造方法では、前記芯金を前記支持棒で支持しているだけであるので、空洞内に流し込んだ溶融樹脂によって芯金がずれ動き、そのずれ動いた状態で成型される虞がある。
【0005】
その場合、樹脂によって前記芯金を適正に覆うことができず、前記芯金が成形品の表面に露出するなどの可能性があるといった問題がある。
【0006】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的として提供されたものであり、芯金がキャビティ内でずれ動くことを確実に防ぐことができる芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる不都合を解決するために、芯金21・38を第1金型26・41と第2金型27・42とで形成されるキャビティー28・43内にセットするセット工程と、キャビティー28・43内に溶融樹脂を充填して固化させる成形工程とを有し、芯金21・38を合成樹脂32・39で被覆する芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法であって、セット工程に先立って、芯金21・38の長さ方向の端部に合成樹脂製の保持具23を装着してインサート部材24・40を作製する準備工程を有し、保持具23は、前記合成樹脂32・39と同種類の合成樹脂で形成しており、インサート部材24・40をキャビティー28・43内にセットした際には、保持具23の一端側を第1金型26・41の内面と第2金型27・42の内面とで挟持しており、そののちに成形工程でキャビティー28・43内に溶融樹脂を充填し、成形後の半完成品31・44を金型26・41・27・42から取り出して、半完成品31・44での保持具23において芯金21・38の端面21b・38bよりも保持具23の一端面23d寄りの位置で切断してロッド4を作製することを特徴とする。
【0008】
ここでのロッド4には、丸棒形状や角棒形状や外周面に雄ねじを形成しているものやボルト形状のものなどが該当し、芯金21・38は、丸棒形状や角棒形状などのものや前記ロッド4の形状に合わせたボルト形状のものなどが該当する。保持具23は、ロッド4が丸棒形状や角棒形状などの場合には芯金21の長さ方向の両端部の少なくとも一方に装着し、ロッド4がボルト形状の場合には、当該ボルトの頭の反対側の端部に装着することになる。合成樹脂には、任意の種類のものが該当し、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなども含まれる。
【0009】
詳しくは、保持具23は、芯金21・38の長さ方向の端部に装着されるとともに成形後のロッド4の外径よりも小さい外径を有している接続部23aと、接続部23aの一端側に連設しているフランジ部23bとを有しており、インサート部材24・40をキャビティー28・43内にセットした際には、保持具23のフランジ部23bを第1金型26・41の内面と第2金型27・42の内面とで挟持しており、そののちに成形工程でキャビティー28・43内に溶融樹脂を充填して、芯金21・38および保持具23の接続部23aの周囲を溶融樹脂で覆って固化させ、その成形後の半完成品31・44を金型26・41・27・42から取り出して、半完成品31・44での保持具23の接続部23aにおいて、芯金21・38の端面21b・38bよりもフランジ部23b寄りの位置で切断してロッド4を作製することになる。ここでの保持具23の接続部23aやフランジ部23bは、円柱形状や角柱形状のものなどが該当する。
【0010】
また、芯金21・38の外周面に凹凸を設けているものとすることができる。ここでは、シボ加工による凹凸や複数の溝を加工することによる凹凸などが該当する。
【0011】
詳しくは、芯金21・38は丸棒形状になっていて、その外周面に雄ねじ21a・38cを形成しており、保持具23の接続部23aには、芯金21・38の雄ねじ21a・38cが螺合する雌ねじ23cを形成しているものとすることができる。
【0012】
また、準備工程において、芯金21の長さ方向の中間にスペーサ35を少なくとも一個配置したものとすることができる。ここでのスペーサ35は、円筒形状のものや角筒形状のものなどが該当し、スペーサ35には、合成樹脂32と同種類の合成樹脂からなるものや合成樹脂32と異なる種類の合成樹脂からなるものが該当する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の芯金入りの合成樹脂製のロッドの製造方法では、芯金21・38の端部に保持具23を装着し、その保持具23の一端側を第1金型26・41の内面と第2金型27・42の内面とで挟持するので、芯金21・38が金型26・41・27・42のキャビティー28・43内で適正に位置決めされて保持され、芯金21・38がキャビティ28・43内でずれ動くことを確実に防止することができる。それによって芯金21・38に合成樹脂32・39を適正に被覆することができる。
【0014】
しかも、半完成品31・44での保持具23において芯金21・38の端面21b・38bよりも保持具23の一端面23d寄りの位置で切断するので、芯金21・38が合成樹脂32・39に加えて保持具23の一部によっても覆われ、芯金21・38がロッド4の表面に露出することが確実に防がれる。それによって、芯金21・38が外気に触れて錆びたりすることや、芯金21・38が見えることで外観が悪くなったりすることなどが確実に防がれる。
【0015】
保持具23の接続部23aを成形後のロッド4の外径よりも小さくして、芯金21・38および保持具23の接続部23aの周囲を合成樹脂32・39で覆うと、保持具23を合成樹脂32・39でしっかりと保持することができて、当該保持具23がロッド4から抜け落ちることを抑えることができる。
【0016】
芯金21・38の外周面に凹凸を設けていると、当該芯金21・38の外周面の面積を増やすことができて、芯金21・38の外周面への溶融樹脂の付着を確実にすることができる。
【0017】
丸棒形状の芯金21・38の外周面に雄ねじ21aを形成し、保持具23の接続部23aに芯金21・38の雄ねじ21aが螺合する雌ねじ23cを形成すると、芯金21・38の外周面の面積を増やして芯金21・38の外周面へ溶融樹脂をしっかりと付着させることができるうえ、保持具23の雌ねじ23cへ芯金21・38を締め込んで当該保持具23を芯金21・38にしっかりと装着することができる。
【0018】
準備工程において、芯金21の長さ方向の中間にスペーサ35を少なくとも一個配置すると、芯金21が撓んでもスペーサ35によってその芯金21がキャビティー28の内面に接触することが抑えられる。その結果、芯金21が撓んだことで当該芯金21が成形後のロッド4の表面に露出することなどをより確実に抑えられる。それによって、芯金21が外気に触れて錆びたりすることや、芯金21が見えることで外観が悪くなったりすることなどをより確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかるロッドを適用したアンカーボルトの斜視図である。
図2】本発明にかかるロッドを適用したアンカーボルトの使用状態を示す断面図である。
図3】本発明にかかるロッドを適用したアンカーボルトの使用状態を示す断面図である。
図4】本発明の製造方法にかかるインサート部材を示す断面図である。
図5】本発明の製造方法にかかるセット工程を説明するための断面図である。
図6図5のA−A線矢視断面図である。
図7】本発明の製造方法にかかる半完成品を示す断面図である。
図8】本発明の製造方法にかかる切断工程を示す断面図である。
図9】インサート部材の他の実施例を示す断面図である。
図10】インサート部材の他の実施例にかかるセット工程を説明するための断面図である。
図11】本発明の製造方法を適用したボルト形状のロッドの平面図である。
図12】本発明を適用したボルト形状のロッドの成形工程を説明するための断面図である。
図13】本発明を適用したボルト形状のロッドの半完成品の切断工程を示す断面図である。
図14】インサート部材にかかるスペーサの他の実施例を示す断面図である。
図15】インサート部材にかかるスペーサの別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかる芯金入りの合成樹脂製のロッドを適用したアンカーボルトの一例を図面に基づいて説明する。前記アンカーボルトは、図3に示すように、例えばコンクリート製の天井の壁面1に設けている取付孔2に固定するようになっている。前記アンカーボルトは、図1および図2に示すように、外周面に雄ねじ3を形成している円柱形状のロッド(芯金入り樹脂成形品)4と、アンカーボルトを前記取付孔2に固定するための拡開機構5とを有している。
【0021】
前記拡開機構5は、五個の傾斜面10を外周面に形成しているテーパー部材7と、そのテーパー部材7に外嵌する拡開部材8とを有している。テーパー部材7の傾斜面10は、基端側(図2では下端側)に向かうに従ってテーパー部材7の中心軸に近づくように傾斜している。テーパー部材7には、その中心軸に沿って前記ロッド4の雄ねじ3が螺合する雌ねじ6を貫通状に設けている。
【0022】
前記拡開部材8は、テーパー部材7の各傾斜面10に内面11がそれぞれ外嵌する五個の当接部12と、弾性変形可能な架橋部13とを有している。各当接部12の内面11は、テーパー部材7の各傾斜面10に面接触している状態(図3の状態)で、アンカーボルトの基端側(図2では下端側)に向かうに従ってテーパー部材7の中心軸に近づくように傾斜している。
【0023】
前記架橋部13は、本体部位13aの縁から五個の接続部位13bがそれぞれ架橋部13の外方へ斜め下方向に延び、長さ方向の中間で架橋部13の内方へ屈曲したのちに当接部12の先端部(図2では上端側)にそれぞれつながっている。各当接部12の外周面15は、前記取付孔2の内周面2aと同様の円柱面形状に形成している。前記テーパー部材7と前記架橋部13と前記各当接部12とは、ステンレススチールやアルミニウム合金などで形成してある。前記拡開部材8の各当接部12の外周面15には、当接部12の外周面15の周方向へ延びている複数本の溝16を形成している。
【0024】
そして、前記アンカーボルトを、拡開機構5を上にした姿勢で前記取付孔2の奥まで差し込むと、架橋部13の接続部位13bや当接部12が、取付孔2の内周面2aに押し付けられて摩擦などによって取付孔2の内周面2aに仮固定される。
【0025】
次いで、例えばロッド4を中心軸まわりに回転させると、テーパー部材7が、ねじ作用で取付孔2の開口側へ移動し、テーパー部材7の各傾斜面10が各当接部12の内面11を押す。それにより、各当接部12が取付孔2の内周面2a側へ移動して取付孔2の内周面2aへ押し付けられ、各当接部12の外周面15と取付孔2の内周面2aとの面どうしの摩擦などによってアンカーボルトが取付孔2に固定される。
【0026】
そのアンカーボルトのロッド4に、図3に示すように、例えば設備機器や配管などを固定するためのブラケット18を装着し、そのブラケット18の下側にナット19を螺合することで、前記ブラケット18がアンカーボルトに取り付けられる。
【0027】
次に、芯金入り樹脂成形品である前記ロッド4の製造方法の一例を図面に基づいて説明する。そのロッド4は、芯金21を合成樹脂22で被覆するインサート成形によって作製する。すなわち、以下のようにして作製する。
【0028】
まず、図4に示すように、丸棒形状の芯金21の長さ方向の左右両端に合成樹脂製の保持具23をそれぞれ装着して、インサート部材24を作製する(準備工程)。前記芯金21は、ステンレススチールなどの金属や硬質樹脂やセラミックなどで形成していて、その外周面の長さ方向の全域にわたって雄ねじ21aを形成している。
【0029】
前記保持具23は、前記芯金21の長さ方向の端部に装着されるとともに成形後のロッド4の外径よりも若干小さい外径を有している円柱形状の接続部23aと、その接続部23aの一端側(芯金21とは逆側)に連設している円柱形状のフランジ部23bとを有している。その接続部23aには、その中心軸に沿って芯金21の雄ねじ21aが螺合する雌ねじ23cを形成している。保持具23のフランジ部23bの外径は、成形後のロッド4の外径程度にしている。
【0030】
次いで、図5および図6に示すように、前記インサート部材24を固定金型(第1金型)26と可動金型(第2金型)27とで形成されるキャビティー(空洞)28内にセットする(セット工程)。その際、インサート部材24の保持具23のフランジ部23bが固定金型26の内面と可動金型27の内面とで挟持される(図5の状態)。固定金型26および可動金型27には、キャビティー28のほぼ全体に前記ロッド4の雄ねじ3を形成するための雌ねじ形状の凹凸部28aを形成している。
【0031】
そのセット工程ののちに、固定金型26に形成しているスプルー29と、固定金型26および固定金型26に亘って形成しているランナー30および一対のゲート34・34とを介して前記キャビティー28内に溶融樹脂を充填して、芯金21および保持具23の接続部23aの周囲を溶融樹脂で覆って固化させる(成形工程)。前記ゲート34・34は、前記キャビティー28内にセットされたインサート部材24の一方の保持具23(図5および図6では左側)において、接続部23aのややフランジ部23b寄りの位置にほぼ対向状に臨むように形成している。
【0032】
前記溶融樹脂は、保持具23と同種類の合成樹脂からなる。その成形によって芯金21は、固化した合成樹脂32および保持具23で被覆されることになる。前記接続部23aの雌ねじ23cは、前記ゲート34・34に臨む位置までは延びていない。
【0033】
次に、図7に示す前記成形後の半完成品31が金型26・27から取り出される(取出し工程)。次いで、前記半完成品31での左右の各保持具23の接続部23aにおいて、図8に示すように、芯金21の端面21bよりも保持具23の一端面23d寄りの位置、つまり芯金21の端面21bよりもフランジ部23b寄りであって、スプルー29およびランナー30内に残留して固化した樹脂部分33よりも芯金21の端面21b寄りの位置で切断する(切断工程)。その切断によって前記ロッド4の作製(製造)が完了する。つまり、その芯金21の全体が、合成樹脂32およびその合成樹脂32と同種類の合成樹脂からなる各保持具23の接続部23aの一部によって覆われる。
【0034】
このように、芯金21の左右両端に保持具23を装着し、その保持具23を固定金型26と可動金型27とで挟持するので、芯金21が前記キャビティー28内で適正に位置決めされて保持され、それによって当該芯金21全体に合成樹脂32を適正に被覆することができる。
【0035】
前記芯金21は、長くなるに従って自重で撓み易くなるので、例えば、前記インサート部材24において、図9に示すように、芯金21の長さ方向の中間に、前記合成樹脂32と同種類の合成樹脂からなる円筒形状のスペーサ35を少なくとも一個配置してもよい。そのスペーサ35の内周面には、芯金21の雄ねじ21aに螺合する雌ねじ35aを形成してもよい。
【0036】
それにより、インサート部材24を金型26・27にセットした際に芯金21が撓もうとしても、スペーサ35によって芯金21がキャビティー28の内面に接触(当接)することが抑えられる(図10参照)。その結果、芯金21が撓んだことで当該芯金21が成形後のロッド4の表面に露出することなどをより確実に抑えられる。
【0037】
本発明は、ボルト形状のロッド(以下、単にボルトという)の製造方法にも適用することができる。つまり、前記ボルト37は、図11に示すように、ボルト形状の芯金38全体に合成樹脂39を被覆することで形成している。そのボルト37は、ボルト頭37aと雄ねじ部37bとからなる。
【0038】
その芯金38には、ボルト37のボルト頭37aに対応して所定形状の頭38a(図11では右端)を形成している。その芯金38の頭38aは、六角柱形状の前記ボルト頭37aに合わせて六角柱形状であってもよく円柱形状などであってもよい。芯金38は、ボルト37の雄ねじ部37bに対応させて雄ねじ部38c(図12参照)を設けている。その雄ねじ部38cの外周には雄ねじを形成している。
【0039】
そして、セット工程に先立って、芯金38の長さ方向の端部(図12では左端)に合成樹脂製の保持具23を装着して、インサート部材40を作製する(準備工程)。その後、インサート部材40を固定金型(第1金型)41と可動金型(第2金型)42とで形成されるキャビティー43内にセットする(セット工程)。その際には、保持具23のフランジ部23b(一端側)が固定金型41の内面と可動金型42の内面とで挟持される。
【0040】
そののちに成形工程でスプルー45およびランナー46を介してキャビティー43内に溶融樹脂を充填して固化させ(成形工程)、その成形後の半完成品44を金型41・42から取り出す(取出し工程)。そして、図13に示すように、前記半完成品44での保持具23において芯金38の端面38bよりも保持具23の一端面23d寄りの位置、つまり芯金38の端面38bよりもフランジ部23b寄りであって、スプルー45およびランナー46内に残留して固化した樹脂部分47よりも芯金38の端面38b寄りの位置で切断する(切断工程)。その切断によって図11に示すボルト37の製造が完了する。
【0041】
このように、本発明の製造方法は、棒形状のロッド以外の形状のロッドにも適用することができる。
【0042】
前記芯金21に配置するスペーサ35は、例えば横置きの円柱形状であってもよく、また図14に示すように、横置きの円柱形状のスペーサ35の周方向の複数箇所(図14では4箇所)を切り欠いて樹脂通路48を形成してもよい。前記樹脂通路48を形成することで溶融樹脂を、キャビティー28内での他方の保持具23(図10では右側)へ迅速、且つ、的確に流すことができて、適正に成形することができる。
【0043】
また、スペーサ35の周面を、例えば図15に示すように、その長さ方向(図15では左右方向)において湾曲させてもよい。その場合でも、溶融樹脂を、キャビティー28内での他方の保持具23へ迅速、且つ、的確に流すことができる。
【符号の説明】
【0044】
4 ロッド
21・38 芯金
21a・38c 芯金の雄ねじ
21b 芯金の端面
23 保持具
23a 接続部
23b フランジ部
23c 保持具の接続部の雌ねじ
23d 保持具の一端面
24・40 インサート部材
26・41 固定金型
27・42 可動金型
28・43 キャビティー
31・44 半完成品
32・39 合成樹脂
35 スペーサ
図1
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