特許第6644549号(P6644549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644549
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】積層構造の全固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20200130BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20200130BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20200130BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20200130BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20200130BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20200130BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20200130BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/0562
   H01M10/0565
   H01M10/052
   H01M4/66 A
   H01M2/30 D
   H01M4/139
【請求項の数】26
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-550140(P2015-550140)
(86)(22)【出願日】2013年12月31日
(65)【公表番号】特表2016-507865(P2016-507865A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】FR2013053289
(87)【国際公開番号】WO2014102520
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】1262967
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ギャバン
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−014892(JP,A)
【文献】 特開2002−042790(JP,A)
【文献】 特開2002−042792(JP,A)
【文献】 特表2014−500597(JP,A)
【文献】 特開2005−085716(JP,A)
【文献】 特開2010−033877(JP,A)
【文献】 特開2012−089421(JP,A)
【文献】 特開2009−245913(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/143027(WO,A1)
【文献】 特表2009−509289(JP,A)
【文献】 特開2001−243984(JP,A)
【文献】 特開2010−073687(JP,A)
【文献】 特開平11−339771(JP,A)
【文献】 特開2004−253350(JP,A)
【文献】 特開2004−319310(JP,A)
【文献】 特開2003−077451(JP,A)
【文献】 米国特許第07828619(US,B1)
【文献】 特開2007−123192(JP,A)
【文献】 米国特許第5561004(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/13− 4/1399
H01M 6/00− 6/22
H01M 4/64− 4/84
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池の製造方法であって、
前記全固体電池は、
アノード材料を含む少なくとも1つの層(「アノード層」)と、
固体電解質材料を含む少なくとも1つの層(「電解質層」)と、
カソード材料を含む少なくとも1つの層(「カソード層」)とを備え、
前記3つの層の各々は、電気泳動法により堆積され、
前記製造方法は、以下の連続的なステップ:
a)アノード層及びカソード層は、それぞれこれらの個々の導電性基板上に堆積され、
前記導電性基板、又は前記導電性基板の導電性要素は、それぞれアノード及びカソード集電体としての役割を有する
ステップと、
b)固体電解質層は、ステップa)で得られた前記2つの層の少なくとも一方上に堆積されるステップと、
c)Ms結合材料層は、ステップa)及び/又はb)で得られた前記層の少なくとも1つの層上に堆積されるステップと、
d)ステップc)で得られた前記層は、スタックを得るためにステップa)、b)又はc)で得られた層と対向して積層されるとともに、
前記対向して積層された2層間の接続を促進する機械的加圧及び/又は加熱処理が施されるステップと
を含み、
前記製造方法は、互いに並列に接続された複数の基本セルの組立体からなる全固体電池を得るためのものであり、
前記Ms結合材料は、前記機械的加圧及び/又は加熱処理により前記対向して積層された2層を密着させて前記アノード層と前記カソード層のアセンブリを可能とするリチウムイオン伝導性材料である
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記電気泳動法は、前記アノード材料、前記固体電解質材料、及び前記カソード材料として堆積される粒子及び/又はいくつかの粒子の凝集体を含む安定なコロイド懸濁液を用いて行われ、
前記粒子及び/又はいくつかの粒子の凝集体の平均粒径D50は、100nm未満である
ことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法であって、
前記コロイド懸濁液のゼータ電位は、40mV未満である
ことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法であって、
記導電性基板は、金属シート若しくは帯材、又は金属化された絶縁シート若しくは帯材若しくはフィルムであることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記製造方法は、電池として作動可能な、全固体であり一体型の多層構造の基本セル組立体を得るためのものであることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記Ms結合材料層の堆積は、以下の技術の1つにより行われる
ことを特徴とする製造方法:
i.真空蒸着法、特に物理蒸着法、化学蒸着法、又はプラズマ促進化学蒸着法、
ii.ゾル−ゲル堆積法、
iii.懸濁ナノ粒子堆積法、インク法、ディップ法、遠心(スピンコート)法、及びラングミュア−ブロジェット法、
iv.エレクトロスプレー法
v.エアゾル堆積法、又は、
vi.電気泳動堆積法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載された製造方法であって、
固体電解質層がステップa)で得られた2つの層の少なくとも一方上に堆積されるときに、ステップc)で得られたMs結合材料層の厚さは、100nmより薄い
ことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項のいずれか1項に記載された製造方法であって、
ステップd)の機械的加圧は、10〜50MPaの範囲の圧力で行われる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項のいずれか1項に記載された製造方法であって、
ステップd)の加熱処理は、前記加熱処理(thermal densification)ステップにさらされる少なくとも1つの最も溶けやすいMs結合材料の融点又は分解温度(℃)の0.7倍を超えない温度Tで行われる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載された製造方法であって、
前記Ms結合材料層は、以下の材料の1つ以上から選ばれる
ことを特徴とする製造方法:
a)Li3.6Ge0.60.4;LiO−Nb;LiSiO;LiO;Li14Zn(GeO;Li0.35La0.55TiO;Li0.5La0.5TiO;LiLaZr12;Li5+xLa(Zr.A2−x)O12(但し、式中A=Sc、Ti、V、Y、Nb、Hf、Ta、Al、Si、Ga、Ge、Sn及び1.4≦x≦2)から選ばれる酸化物系材料;
b)LiN;LiPO4−xΝ2x/3、LiSiO4−x2x/3、LiGeO4−x2x/3(但し、式中0<x<4)又はLiΒO3−xΝ2x/3(但し、式中0<x<3)から選ばれる窒化物又は酸窒化物系材料;リチウム及びリン酸窒化物系材料で、シリコン、ホウ素、硫黄又はアルミニウム、又はアルミニウム、ホウ素、硫黄及び/又はシリコンの組み合わせを含有し得る;リチウム及びホウ素酸窒化物系材料で、シリコン、硫黄又はアルミニウム、又はアルミニウム、硫黄及びシリコンの組み合わせを含有し得る;及びLiPO系の材料で、但し、式中x=2.8及び2y=3z但し0.16≦z≦0.46;又はLiPO但し(2x+3y+2z)=(5+w)及び3.2≦x≦3.8;0.13≦y≦0.4;0≦z≦0.2;2.9≦w≦3.3;又はLiAl又はN但し(5x+3y)=5;(2u+3v+2w)=(5+t);2.9≦t≦3.3;0.84≦x≦0.94;0.094≦y≦0.26;3.2≦u≦3.8;0.13≦v≦0.46;0≦w≦0.2;又はLi1.9Si0.21.01.11.0;又はLi2.9PO3.30.46
c)Li1−yM’、但しM=Si,Ge,Sn及びM’=P,Al,Zn,Ga,Sb;LiS;B;P;70LiS−30P;LiSn;Li10GePSi;LiPS;Li25Ge250.75;Li10MP12、但しM=Si,Ge,Sn、及びLiSとP,GeS,Ga又はSiSの中の化合物の1つとの混合物;から選ばれる硫黄系材料d)LiPO;LiTi(PO;Li1+xAl2−x(PO(但しM=Ge,Ti,及び/又はHf並びに0<x<1);Li1.3Al0.3Ti1.7(PO;Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(但し0<x<1及び0<y<1);Li1+x+z(Gei−yTi2−xSi3−z12(但し0<x<0.8,0<y<1.0,0<z<0.6);2(Li1.4TiSi0.42.612)−AlPO;LiAlz−yGa(PO又はLiAlz−yGa(BO又はLiGez−ySiSw(PO)c又はLiGeSi(BO又はLiz−yM’Sw(PO)c又はLiz−yM’(BO)c但し4<w<20,3<x<10,0<y<1,1<z<4及び0<c<20及びM又はM’でAl,Si,Ge,Ga,P,Zn,Sbから選ばれる;から選ばれるリン酸又はホウ酸系材料
e)LiSとLiPO,LiPO2x/3,LiSiO4−x2x/3,LiGeO4−x2x/3但し0<x<4又はLiB03−x2x/3但し0<x<3の中の化合物の1つとの混合物;LiS及び/又はB,SiS,P,GeS,Ga及びケイ酸リチウムLiSiO、ホウ酸リチウムLiBO又はリン酸リチウムLiPOから選ばれるLiMO型化合物の混合物;から選ばれる混合材料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載された製造方法であって、
前記Ms結合材料層は、リチウム塩含浸ポリマーの少なくとも1つを含み/からなり、
前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリイミド類、ビニリデンポリフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン類により形成される群から選ばれ、
前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、Li(ClO)、Li(BF)、Li(PF)、Li(AsF)、Li(CHCO)、Li(CFSO)、Li(CFSON、Li(CFSO、Li(CFCO)、Li(B(C)、Li(SCN)、Li(NO)から選ばれる
ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載された製造方法であって、
少なくとも1つの封止層を堆積させることにより前記電池を封止する工程を含む
ことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載された製造方法により製造される全固体電池。
【請求項14】
請求項13に記載された全固体電池であって、
互いに並列に接続された複数の基本セルの組立体からなる
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載された全固体電池であって、
前記アノード及びカソード電流の導電性基板は、金属シート、貴金属で被覆された金属シート、又はポリマーシート、貴金属で被覆されたポリマーシート、又はグラファイトシート、貴金属で被覆されたグラファイトシートである
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項16】
請求項15に記載された全固体電池であって、
金属シート形状の前記アノード及びカソード電流の導電性基板はアルミニウム又は銅製である
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項17】
請求項15に記載された全固体電池であって、
ポリマーシート形状の前記アノード及びカソード電流導電性基板は、次のポリマーから選ばれることを特徴とする全固体電池:
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、PTFE及びポリイミド(PI)。
【請求項18】
請求項1517のいずれか1項に記載された全固体電池であって、
前記貴金属は以下の金属から選ばれることを特徴とする全固体電池:
金、白金、パラジウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、パラジウム、ジルコニウム、タングステン又はこれらの金属の少なくとも1種を含有する全ての合金。
【請求項19】
請求項1418のいずれか1項に記載された全固体電池であって、
少なくとも1つの封止層を含む
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項20】
請求項19に記載された全固体電池であって、
前記封止層は、セラミック又はガラスセラミック製である
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項21】
請求項20に記載された全固体電池であって、
第1の前記封止層上に堆積された第2の封止層を含む
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項22】
請求項21に記載された全固体電池であって、
前記第2の封止層はシリコーンポリマー製である
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項23】
請求項1922のいずれか1項に記載された全固体電池であって、
前記組立体は6つの面を備えており、
少なくとも1つの前記封止層は、前記組立体の6面のうち4面を被覆していることを特徴とする全固体電池。
【請求項24】
請求項1423のいずれか1項に記載された全固体電池であって、
前記カソード及びアノード各々の集電体が目に見えるターミナル(35,36)を含むことを特徴とする全固体電池。
【請求項25】
請求項24に記載された全固体電池であって、
前記アノード接続及びカソード接続は、前記スタックの対向する両側に配置されていることを特徴とする全固体電池。
【請求項26】
請求項24又は請求項25に記載された全固体電池であって、
前記ターミナルは、前記組立体と接触するニッケル層を備えており、
前記ニッケル層は、スズ層で被覆されている
ことを特徴とする全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及び特にリチウムイオン電池の分野に関する。より具体的には、全固体リチウムイオン電池、及びそのような電池の新しい製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池(「Liイオン電池」)を製造する方法は、多くの論文や特許文献に記載され、非特許文献1は、それらのよい評価を与えている。Liイオン電池の電極はプリンティング技術(特に、ロールコーティング、ドクターブレード、テープコーティング)により製造され得る。これらの技術によれば、50〜400μmの範囲の厚さの堆積層を形成することができる。その堆積層の厚さに依存して、その気孔率や活性な粒子の大きさ、電池の電力及びエネルギーは調節され得る。電極を形成するために堆積されたインク(又はペースト)は、活性な材料の粒子だけでなく、バインダ(有機)、粒子間の電気的接続を確実にするためのカーボン粉末、及び電極乾燥工程において蒸発する溶媒を含有する。粒子と堆積層間の電気的接続の質を改善するために、カレンダ工程が電極に対して行われ、その後電極の活性な粒子は堆積層の体積の60%程度を占めるようになり、これは粒子間に一般的に40%の気孔率が存在することを意味する。そして、これらの細孔は、固体イオン及び/又は電気的導電性粒子を含むことができる液体又はゲル状の電解質で満たされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】W. van Schalkwijk 及びB. Scrosati編 「Advance in Lithium−Ion Batteries」Kluever Academic / Plenum Publishers 2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、他のリチウムイオン電池の構成は、電気エネルギーのマイクロ貯蔵の適用に向けて開発されてきている。これらは、薄膜マイクロ電池である。小型化及び温度の安定性という要求を満たすために、これらのマイクロ電池は全固体であり、バインダ又はリチウム塩系電解質を含有せず極めて薄い電極を備えた、2〜5μmオーダーのものである。実際、これらの電極は全固体であり、細孔を持たずそれゆえ全体としてコンパクトである。電極上に形成された電解質層は、極めて薄く形成することができ、短絡や過剰な自己放電の危険を生じない高い絶縁性セラミック又はガラスセラミック材料からなる。
【0005】
この電池セル構成は、バインダ又はリチウム塩系電解質を含まず、細孔のない全固体であるため、体積単位当たりの活性材料の量を最大化することができ、これにより質量及び容積エネルギー密度が増加する。
【0006】
前記セルの抵抗値が上昇し過ぎないようにするため、電極は薄さを維持する必要があり、その厚さは5μmより小さいことが好ましく、又は電極は活性材料層とともに形成されたリチウムイオン及び/又は電子の導電層を備える必要がある。これらの薄膜電極を作製するために、複数の技術が開示されている。
【0007】
化学気相成長法は一般にエレクトロニクス分野で薄膜を形成するのに使用される。この技術及びその全応用技術によれば、細孔のない高品質の電極薄膜を得ることができる。同様に、物理蒸着法も使用され得る。
【0008】
「溶射」法は比較的厚い堆積層の形成により適している一方、物理蒸着法は5μm未満の厚さを有する薄膜の形成により適している。物理蒸着法はスプレー方法に応じて複数の種類がある。蒸着する化合物の蒸発は、高周波(RF)励起、又はイオンビーム蒸着(IBAD)により行われ得る。物理蒸着法によれば、ほとんど偶発的な欠陥のない極めて高品質の堆積層を得ることができるとともに、比較的低い温度で堆積層を形成することができる。
【0009】
現在薄膜を形成することが可能な他の技術として、粒子堆積層の緻密化に基づく実施形態がある。これらの技術のうち、ゾル−ゲル堆積法を挙げることができる。この方法は、基板の表面上にポリマーのネットワークを形成するもので、加水分解、重合及び縮合工程を経て得られる。ゾル−ゲルの変化は溶媒の蒸発中に見られ、これにより表面における反応プロセスが促進される。この方法によれば、極めて薄くコンパクトな堆積層を形成することができる。全固体薄膜堆積層を作製するために行われる別の方法は、グリーンセラミックシート形状の電極を形成する材料粉末を堆積させて、適切な熱機械的処理によりその堆積層を緻密化させるものである。
【0010】
これらの全固体薄膜電池アーキテクチャは、「従来の」リチウムイオン電池に比べて多くの利点を有する。電解質層はもはや可燃性の有機要素又は金属塩が沈殿する可能性のある細孔(より具体的には液体電解質に含まれるリチウムイオン)を含まないという事実により、内部短絡や熱暴走の危険性が実質的に除去される。
短絡の危険性とは別に、リチウム塩とともに非プロトン性電解質を含む従来の電池の性能は、極めて温度依存性が高く、極端な条件下でのそれらの使用は不可能ではないにしても非常に困難である。
【0011】
実際、これらの電池は厚い電極を有し、電極の細孔中に含浸された電解質は、電極の厚さの中でリチウムイオンの輸送を促進するために貢献し、固相(活性粒子)中のリチウムイオンの拡散は、電解質中のリチウムイオンの輸送よりもずっと遅くなる。
しかし、電解質中におけるリチウムイオン輸送の動態及びその安定性は温度に依存する。あまりに動作温度が低下すると、電解質中のリチウム塩の沈殿をもたらし、イオン伝導特性の低下に起因する電池の内部抵抗の過大な上昇をもたらす。
【0012】
非常に高い温度では、有機材料は急速に分解されて、有機溶媒が蒸発する可能性があり、電解質上のパッシベーション層も発熱過程で溶解し得る。これらの現象は全て、電池の不可逆的な劣化につながり、ひいてはセルの燃焼につながり得る。
【0013】
多くの欠点を有しているが、リチウム塩を含む非プロトン性液体状の電解質によれば、高容量の電池を作るために、電池セルのスタックを組み立てることができる。実際、これらの液体電解質は、電気化学セルを作るために、電池電極のイオン接触を極めて簡単に作るのに役立つ。
【0014】
そして、電池の多孔質電極は、積層され又は螺旋状に配置され、アノードとカソードは、多孔質セパレータで分離される。その後、電気的接続は、アノード集電体を互いに接続するとともに、カソード集電体を互いに接続することによって作製される。そして、アノードとカソードとの間のイオン伝導は、電池セルの細孔内に(例えば、電極及び電極間に配置されたセパレータの細孔内に)液体電解質を含浸させることによって確保される。
【0015】
非多孔性の全固体電極(及び/又は電解質)が使用される場合、この接触を達成することはほとんど不可能となる。なぜなら、二つの固体間の機械的接触が、界面でのイオンの適切な移動を確保するために液体接触に比べて十分に「近く」ないからである。
【0016】
また、現在、薄膜電池は基本セルによって構成されているため、結果として平面構造を有する。これらは、単一のスタックのカソード/電解質/アノードの積層構造からなり、各々の層を連続的に堆積して生成され、1固まりのコンポーネントの形での全固体多層セルを製造するために組み立てることができない。
【0017】
複数の独立したセルを並列に電気的に接続することのみ可能である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、全固体電池の製造方法に関するもので、前記全固体電池は、アノード材料を含む少なくとも1つの層(「アノード層」)と、固体電解質材料を含む少なくとも1つの層(「電解質層」)と、カソード材料を含む少なくとも1つの層(「カソード層」)とを備え、前記3つの層の各々は、電気泳動法により堆積され、互いに並列に接続された複数の基本セルの組立体からなる全固体多層電池を得るように、前記方法は、電気泳動法により得られた前記層を対向させて積層する前に、Ms結合材料の層が電気泳動法により得られた前記2層の少なくとも1つの表面に堆積され、対向して積層され、前記Ms結合材料が堆積された前記多層は、緻密な層であることを特徴とする。
【0019】
Ms結合材料層は、優れたリチウムイオンコンダクタである必要がある。
【0020】
堆積されたMs結合材料層の融点は、それが接触している層の融点よりも低い必要がある。
【0021】
Ms結合材料は、それが接触している少なくとも一つの層の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。同じであるときには、Ms結合材料層は、好ましくは、ナノメートルサイズの粒子を含むことが、いかなる場合においても効果的である。
【0022】
このプロセスは、より具体的には、以下の連続工程を含む:
a)アノード層及びカソード層は、それぞれこれらの個々の導電性基板上に堆積され、前記導電性基板は、好ましくは金属シート若しくは帯材、又は金属化された絶縁シート若しくは帯材若しくはフィルムであり、前記導電性基板、又は前記導電性基板の導電性要素は、それぞれアノード及びカソード集電体としての役割を有すことができるステップと、
b)固体電解質層は、ステップa)で得られた前記2つの層の少なくとも一方上に堆積されるステップと、
c)Ms結合材料層は、ステップa)及び/又はb)で得られた前記層の少なくとも1つの層上に堆積されるステップと、
d)ステップc)で得られた前記層は、積層構造を得るためにステップa)、b)又はc)で得られた層と対向して積層されるとともに、電池として作動可能な、全固体であり一体型の多層構造の基本セル組立体を得るために、前記対向して積層された2層間の接続を促進する機械的加圧及び/又は加熱処理が施されるステップ。
【0023】
好ましくは、アノード層及びカソード層の堆積は、各々の導電性基材の両面に行われる。
【0024】
前記Ms結合材料層の堆積は、以下の技術の1つにより行われ得る:
i.真空蒸着法、特に物理蒸着法、化学蒸着法、又はプラズマ促進化学蒸着法、
ii.ゾル−ゲル堆積法、
iii.懸濁ナノ粒子堆積法、特にインク法、ディップ法、遠心(スピンコート)法、及びラングミュア−ブロジェット法、
iv.エレクトロスプレー法
v.エアゾル堆積法、又は、
vi.電気泳動堆積法。
【0025】
特定の実施形態によれば、工程a)、b)及びc)で得られた電気泳動により堆積された層は、これらの層が堆積後に直接緻密且つコンパクトなものが得られない場合には、熱処理、及び/又は機械的圧縮によって工程d)の前に緻密化してもよい。
【0026】
好ましくは、固体電解質層がステップa)で得られた2つの層の少なくとも一方上に堆積されるときに、ステップc)で得られたMs結合材料層の厚さは、100nm、好ましくは50nm、より好ましくは30nmより薄い。
【0027】
好ましい実施形態では、ステップd)の機械的加圧は、10〜100MPa、好ましくは20〜50MPaの範囲の圧力で行われる。同様に、ステップd)の加熱処理は、好ましくは、前記加熱処理(thermal densification)ステップにさらされる少なくとも1つの最も溶けやすいMs結合材料の融点又は分解温度(℃)の、好ましくは0.7倍、より好ましくは0.5倍、さらに好ましくは0.3倍を超えない温度Tで行われる。
【0028】
MS結合材料は、以下の材料の一つ以上から選択される:
a)Li3.6Ge0.60.4;LiO−Nb;LiSiO;LiO;Li14Zn(GeO;Li0.35La0.55TiO;Li0.5La0.5TiO;LiLaZr12;Li5+xLa(Zr.A2−x)O12(但し、式中A=Sc、Ti、V、Y、Nb、Hf、Ta、Al、Si、Ga、Ge、Sn及び1.4≦x≦2)から選ばれる酸化物系材料;
b)LiN;LiPO4−xΝ2x/3、LiSiO4−x2x/3、LiGeO4−x2x/3(但し、式中0<x<4)又はLiΒO3−xΝ2x/3(但し、式中0<x<3)から選ばれる窒化物又は酸窒化物系材料;リチウム及びリン酸窒化物系材料(いわゆるLiPON)で、シリコン(いわゆるLiSiPON)、ホウ素(いわゆるLiPONB)、硫黄(いわゆるLiPONS)又はアルミニウム(いわゆるLiPAON)又はアルミニウム、ホウ素、硫黄及び/又はシリコンの組み合わせを含有し得る;リチウム及びホウ素酸窒化物系材料(いわゆるLiBON)で、シリコン(いわゆるLiSiBON)、硫黄(いわゆるLiBONS)又はアルミニウム(いわゆるLiBAON)又はアルミニウム、硫黄及びシリコンの組み合わせを含有し得る;及びより具体的にはLiPO系の材料で、但し、式中x〜2.8及び2y=3z但し0.16≦z≦0.46;又はLiPO但し(2x+3y+2z)=(5+w)及び3.2≦x≦3.8;0.13≦y≦0.4;0≦z≦0.2;2.9≦w≦3.3;又はLiAl又はN但し(5x+3y)=5;(2u+3v+2w)=(5+t);2.9≦t≦3.3;0.84≦x≦0.94;0.094≦y≦0.26;3.2≦u≦3.8;0.13≦v≦0.46;0≦w≦0.2;又はLi1.9Si0.21.01.11.0;又はLi2.9PO3.30.46
c)Li1−yM’、但しM=Si,Ge,Sn及びM’=P,Al,Zn,Ga,Sb;LiS;B;P;70LiS−30P;LiSn;Li10GePSi;LiPS;Li25Ge250.75;Li10MP12、但しM=Si,Ge,Sn、及びLiSとP,GeS,Ga又はSiSの中の化合物の1つとの混合物;から選ばれる硫黄系材料
d)LiPO;LiTi(PO;Li1+xAl2−x(PO但しM=Ge,Ti,及び/又はHf並びに0<x<1);Li1.3Al0.3Ti1.7(PO;Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(但し0<x<1及び0<y<1);Li1+x+z(Gei−yTi2−xSi3−z12(但し0<x<0.8,0<y<1.0,0<z<0.6);2(LiTiSi12)−APO;LiAlz−yGa(PO又はLiAlz−yGa(BO又はLiGez−ySiSw(PO)c又はLiGeSi(BO又はより一般的にはLiz−yM’Sw(PO)c又はLiz−yM’(BO)c但し4<w<20,3<x<10,0<y<1,1<z<4及び0<c<20及びM又はM’でAl,Si,Ge,Ga,P,Zn,Sbから選ばれる;から選ばれるリン酸又はホウ酸系材料
e)LiSとLiPO,LiPO2x/3,LiSiO4−x2x/3,LiGeO4−x2x/3但し0<x<4又はLiB03−x2x/3但し0<x<3の中の化合物の1つとの混合物;LiS及び/又はB,SiS,P,GeS,Ga及びケイ酸リチウムLiSiO、ホウ酸リチウムLiBO又はリン酸リチウムLiPOなどのLiMO型化合物の混合物;から選ばれる混合材料。
【0029】
一般に、Ms結合材料粒子のサイズD50は、好ましくは100nm未満、好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは30nm未満である。
【0030】
効果的には、前記Ms結合材料層は、リチウム塩含浸ポリマーの少なくとも1つを含み(又は少なくとも1つからなり)、前記ポリマーは、好ましくはポリエチレンオキシド、ポリイミド類、ビニリデンポリフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン類により形成される群から選ばれ、前記リチウム塩は、好ましくはLiCl、LiBr、LiI、Li(ClO)、Li(BF)、Li(PF)、Li(AsF)、Li(CHCO)、Li(CFSO)、Li(CFSON、Li(CFSO、Li(CFCO)、Li(B(C)、Li(SCN)、Li(NO)から選ばれる
【0031】
本発明はまた、全固体電池の製造方法に関するものであり、前記全固体電池は、アノード材料を含む少なくとも1つの層(「アノード層」)と、固体電解質材料を含む少なくとも1つの層(「電解質層」)と、カソード材料を含む少なくとも1つの層(「カソード層」)とを備え、前記3つの層の各々は、電気泳動法により堆積され、以下の連続的なステップを含む:
a)任意の順序で、アノード層及びカソード層は、それぞれこれらの個々の導電性基板上に堆積され、前記導電性基板は、好ましくは金属シート若しくは板、又は金属化された絶縁シート若しくは板若しくはフィルムであり、前記導電性基板、又は前記導電性基板の導電性要素は、それぞれアノード及びカソード集電体としての役割を有すことができるステップと、
b)固体電解質層は、電解質材料粒子の懸濁液から、ステップa)で得られた前記アノード層及び/又は前記カソード層上に堆積されるステップと、
c)Ms結合材料層は、以下の:
i.ステップa)で得られたアノード又はカソード層の表面;又は、
ii.ステップb)で得られた電解質層で被覆されたアノード及び/又はカソード層の表面;又は、
iii.ステップb)で得られた電解質層で被覆されたアノード層の表面及びステップa)で得られたカソード層の表面、又は、ステップa)で得られたアノード層の表面及びステップb)で得られた電解質層で被覆されたカソード層の表面;
の上に形成されるステップと、
d)ステップc)で得られた前記層は、積層構造を得るためにステップa)、b)又はc)で得られた層と対向して積層されるとともに、電池として作動可能な、積層された多層構造の組立体を得るために、前記対向して積層された2層間の接続を促進する機械的加圧及び/又は加熱処理が施されるステップ。
【0032】
本発明はまた、本発明に係る方法により製造することができる全固体電池に関する。より具体的には、電池は互いに並列に接続された複数の基本セルの組立体からなる。
【0033】
効果的には、前記アノード及びカソード電流の導電性基板は、金属シート、任意で貴金属で被覆された金属シート、又はポリマーシート、任意で貴金属で被覆されたポリマーシート、又はグラファイトシート、任意で貴金属で被覆されたグラファイトシートである。より具体的には、金属シート形状の前記アノード及びカソード電流の導電性基板はアルミニウム又は銅製である。より具体的には、ポリマーシート形状の前記アノード及びカソード電流導電性基板は、次のポリマーから選ばれる:
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、テフロン(登録商標)(PTFE)、ポリイミド(PI)及びより具体的にはカプトン(登録商標)。
【0034】
効果的には、前記貴金属は以下の金属から選ばれる:
金、白金、パラジウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、パラジウム、ジルコニウム、タングステン又はこれらの金属の少なくとも1種を含有する全ての合金。
【0035】
本発明に係る電池の一実施形態では、電池は、少なくとも1つの封止層、好ましくはセラミック又はガラスセラミック層を含む。効果的には、前記電池は第1の前記封止層上に堆積された第2の封止層を含み、前記第2の封止層はシリコーンポリマー製である。
【0036】
効果的には、電池は、前記カソード及びアノード電流の集電体が目に見えるターミナルを含む。好ましくは、前記アノード接続及びカソード接続は、前記積層体の対向する両側に配置されている。効果的には、前記ターミナルは、さらに電気化学セルと接触するニッケル層で被覆されており、前記ニッケル層は、スズ層で被覆されている。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つの前記封止層は、前記電池の6面のうち4面を被覆しており、2つの他の電池表面はターミナルで被覆されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A図1Aは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図1B図1Bは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図1C図1Cは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図1D図1Dは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図1E図1Eは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図1F図1Fは、本発明に係る複数の実施形態に基づいて得られる製品を示す図である。
図2図2は、電解質層とMs結合材料層で被覆されたアノードとカソードのスタックを示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る電池の組立体を示す図である。
図4図4は、電気泳動堆積法の典型的な実施形態を示すダイヤグラムである。
図5A図5Aは、本発明に係る方法を実施するための装置を模式的に示す図である。
図5B図5Bは、本発明に係る方法を実施するための装置を模式的に示す図である。
図6図6は、本発明の二つの異なる実施形態に係る電池の製造工程を模式的に示す図である。
図7図7は、本発明の二つの異なる実施形態に係る電池の製造工程を模式的に示す図である。
図8図8は、電解質層で被覆されたアノードフィルム(図の右側)とカソードフィルム(図の左側)を模式的に示す図であり、2つの層は、パンチングにより切り抜かれたパターンを含む。黒い矢印は、電解質で被覆されたカソード及びアノードシートの交互のスタッキング動作を示し、これらの切り抜きパターンはヘッドトゥテール配置である。
図9図9は、図8に示すスタッキングから得られる電解質層で被覆されたカソード及びアノードシートのスタッキングの詳細を模式的に示す図である。
図10図10は、特定の実施形態により、本発明に係る方法に基づいて得ることができる多層電池を示す図である。より具体的には、多層電池は以下を含む:−金属シート、若しくは貴金属で被覆された金属シート、又は貴金属で金属化されたポリマーシート、又は貴金属で被覆されたグラファイトシート製の複数の基板層20;−複数の固体電解質層22;−複数の薄いアノード層21;−複数の薄いカソード層24;−複数のMs結合材料層(図示せず);−例えば酸化物、窒化物、リン酸塩、酸窒化物、又はシロキサンの形であり得るポリマー、セラミック若しくはガラスセラミック材料からなり得る少なくとも1つの薄い封止層37。効果的には、この封止層は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂で被覆されたセラミック又はガラスセラミック層を含む;−各々の末端で交互に正と負の電気的接続を利用することができるターミナル35,36。これらのターミナルによれば、異なる電池要素間で並列に電気的接続を作ることが可能となる。このため、一方の末端は接続(+)のみ残り、他方の末端で(−)が得られる。好ましくは、接続(+)及び(−)は横方向にオフセットされ、封止することによりこれらの両端に短絡が存在することが防止される。ここで、ターミナル35,36は二層として示されているが、単層として形成してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[定義]
本発明において、用語「電気泳動堆積層」又は「電気泳動による堆積」は、最初に液体媒体中に懸濁させた粒子を、好ましくは導電性基板上に堆積させる方法により形成した層をいい、懸濁液中に配置された2つの電極間に電界を印加することによって、基板表面に向かう粒子の動きが生じ、一方の電極は堆積層が形成される導電性基板を形成し、他方の電極(「カウンタ電極」)は液相に配置される。粒子の懸濁液のゼータ電位が、以下に説明するように、適切な値を持っている場合、及び/又は、以下に説明するように、特定の加熱及び/又は機械的緻密化処理後に、粒子のいわゆる「緻密な」堆積層が基板上に形成される。この堆積層は、他の技術によって得られた堆積層からそれを区別することができる当業者によって認識され得る特定の構造を有する。
【0040】
この明細書の文脈では、粒子の大きさは、その最大寸法である。従って、「ナノ粒子」は、少なくとも1つの寸法が100nm未満を有する粒子である。粉末又は一群の粒子の「粒子サイズ」又は「平均粒径」は、D50として与えられる。
【0041】
懸濁液の「ゼータ電位」は、溶液の内部と粒子のせん断面との間に存在する電位差として定義される。それは、懸濁液の安定性を表す。せん断面(又は流体力学半径)は、粒子周りの架空の球に対応しており、その中で、粒子の溶液中の移動に伴い粒子とともに溶媒が移動する。ゼータ電位の理論的基礎と測定は、電気泳動による堆積層を開発した電気化学者に知られている;それは電気泳動の移動度から推測できる。ゼータ電位の直接測定のために、様々な市販の装置及び技術がある。固形分が少ない場合、マルバーン社の装置ゼータサイザーナノZSを使用してゼータ電位を測定することができる。この装置は、粒子に印加された電界の関数として粒子の移動速度を光学素子を用いて測定する。また、光の透過を可能にするために、溶液を非常に希薄にすることが必要である。固形分がより多い場合には、例えばColloidal Dynamics社の「acoustosizer」と呼ばれる装置を用いて、アコーストフォレシス(acoustophoresis)技術を用いてゼータ電位を測定することができる。粒子速度は、音響技術によって測定される。
【0042】
「分散剤」は、コロイド懸濁液を安定化し、特に、粒子の凝集を抑制可能な化合物である。
【0043】
本発明に係る「全固体多層電池」は、複数の「基本セル」のスタック及び組立てにより形成されたワンピースの電池である。本発明の「基本セル」は、リチウムイオン伝導性の固体電解質によって分離されたリチウムイオンの挿入を伴うアノード及びカソードにより構成される電気化学セルである。
【0044】
「全固体」電池は、液相材料を含まない電池である。「Ms結合材料」は、アノード層とカソード層のアセンブリを可能にする任意のリチウムイオン伝導性材料であり、前記アノード層及びカソード層の少なくとも一方が、前記スタックの低温加熱処理及び/又は機械的圧縮後に全固体多層電池をスタッキングにより形成するために、加熱処理及び/又は機械的に圧縮処理された電解質層で被覆されている。本発明によれば、前記Ms結合材料は、電気泳動により堆積され、対向して積層されることになる二つの面(層)の少なくとも一方の上に堆積される。
【0045】
[詳細な説明]
<カソード層、アノード層及び電解質層の電気泳動堆積のためのコロイド懸濁液「SP+」、「SP−」及び「SPn」の調製>
電気泳動堆積法の結果として、粗さがなく欠陥の少ない、完全に均一な堆積厚さを有しており、可能な限りコンパクトな堆積層を得るために、堆積は、好ましくは、非常に安定したコロイド懸濁液SP+、SP−、SPnを用いて行われる。懸濁液の安定性は、粒子P+、P−、Pnのサイズ、並びに、使用される溶媒及びコロイド懸濁液を安定化するために使用される安定剤の性質に依存する。「SP+」は、カソード層を得るための材料を含む粒子「P+」のコロイド懸濁液、「SP−」は、アノード層を得るための材料を含む粒子「P−」のコロイド懸濁液、「SPn」は、電解質層を得るための材料を含む粒子「P−」のコロイド懸濁液を示す。
【0046】
堆積層の可能な後続の緻密化を促進し、非常に正確な厚さ及びプロファイル(粗さ)の堆積層を得る可能性を確実にするために、ナノスケールの粒子サイズを含むコロイド懸濁液が好ましい。これらの粒子は、好ましくは100nm未満、より好ましくは30nm未満(特に、懸濁液が高融点物質の粒子を含む場合)の平均粒径D50を有する。実際には、小さな粒子では、堆積層がコンパクトであるほど、堆積層の緻密化が大幅に促進される。
【0047】
安定なコロイド懸濁液から電気泳動堆積層を生成することにより、堆積層の緻密化に有害な気孔、空洞及びクラスターの形成を回避することができる。また、この手法では、堆積させた粒子のサイズに拘わらず、必ずしも機械的加圧を行うことなく優れたコンパクトさを有する堆積層を得ることができる。また、堆積させた粒子の大きさが小さい、すなわち50nm未満の粒子サイズの場合、堆積層の緻密化は、必ずしも熱処理を必要とせず、乾燥を開始してもよい。堆積層乾燥工程で十分の場合があり得る。
【0048】
懸濁液の安定性は、それらのゼータ電位で表すことができる。本発明の文脈では、懸濁液は、そのゼータ電位が40mVよりも大きい場合に安定であり、60mVよりも大きい場合に非常に安定であると考える。しかしながら、ゼータ電位が20mV未満である場合には、粒子の凝集が発生し得る。また、層の良好なコンパクト性を確保するために、いくつかの実施形態において、堆積層は(絶対値で)40mVより高いゼータ電位を有するコロイド懸濁液から製造される。しかしながら、本発明に係る他の好ましい実施形態では、懸濁液は、乾燥粒子抽出物の量が少なく、以下により詳細に記載されるように、ゼータ電位は40mV未満である。
【0049】
電気泳動に使用するためのコロイド懸濁液は、有機溶媒又は脱イオン水、又は溶媒の混合物などの電気絶縁性の溶媒、及び堆積される粒子を含む。
【0050】
安定な懸濁液では、粒子は互いに凝集せず、堆積層中の空洞、凝集物及び/又は重大な欠陥を生じ得るクラスターを形成しない。粒子は、懸濁液中で分離状態を維持する。
【0051】
また、本発明の一実施形態では、コンパクトな堆積層を得るために必要な懸濁安定性は、安定剤の添加によって得られる。安定剤によれば、粉末の凝集及び凝集体の形成を防止することができる。それは、静電効果、立体効果により、又はその両方の効果の組み合わせによって作用し得る。静電的安定化は、懸濁したナノ粒子間の静電反発力の発生(placement)に基づく。
【0052】
静電的安定化は、粒子の表面電荷によって制御される。結果として、それは、pHに依存し得る。立体安定化には、懸濁液に加え、ポリマー、非イオン性界面活性剤又はタンパク質が使用され、これらは懸濁液に添加されると、粒子の表面に吸着され、粒子間の空間の過密化により反発を引き起こす。2つの安定化機構の組み合わせも可能である。本発明の文脈においては、立体安定化よりも静電的安定化が好ましい。静電安定化は、実行しやすく可逆で安価であり、その後の緻密化処理を促進する。
【0053】
しかし、本発明者らが見出したことには、本発明において使用される電池材料のナノ粒子では、安定剤を添加しなくても、互いに凝集しない粒子及び/又はいくつかの粒子の凝集体の安定なコロイド懸濁液を得ることができる。好ましくは、粒子及び/又は凝集体は、100nm未満、より好ましくは50nm未満のサイズを有する。
【0054】
これらの懸濁液では、乾燥抽出物量は少なく、液体アルコール、好ましくはエタノール及び/又はケトン、好ましくはアセトン中で、典型的には2g/Lから20g/L、好ましくは3g/Lから10g/L、の間、より具体的には約4g/Lの量の乾燥抽出物が得られている。安定剤を添加しないこれらの粒子の安定なコロイド懸濁液は、本発明の文脈において特に好ましい。
【0055】
そのような懸濁液のゼータ電位は、一般に40mV未満であり、より具体的には25〜40mVの範囲である。このことは、このような懸濁液は不安定になる傾向があることを意味し得る。しかしながら、本発明者らは、これらの懸濁液を電気泳動堆積のために使用することで非常に良質の堆積層をもたらすことを見出している。
【0056】
不揮発性有機安定剤によれば、ナノ粒子の電気的絶縁性をもたらし得るため、任意の電気化学的応答を抑制する。
【0057】
水を溶媒として使用する場合、5V未満のまでの堆積電圧が好ましい。実際、5Vを越えると、水は電気分解を受ける危険があり、これにより電極においてガスが発生し、堆積層が多孔性になり、基板への密着性が低減される。さらに、水性媒体中でのガルバニック反応は、堆積層を汚染することができる金属カチオンの形成をもたらす。
【0058】
好ましい実施形態では、堆積層は溶媒相で形成される。従って、より高い電圧値での動作が可能であり、ひいては堆積速度を増加させることができる。
【0059】
本発明によれば、カソード層の製造のために使用されるナノ粒子は、好ましくは以下の材料の一つ以上から選択されるが、限定されることはない:
(i)酸化物:LiMn、LiCoO、LiNiO、LiMn1.5Ni0.5、LiMn1.5Ni0.5−x(ここでXはAl、Fe、Cr、Co、Rh、Ndなどの希土類元素から選ばれ、0<x<0.1),LiFeO,LiMn1/31/3Co1/3
(ii)リン酸塩:LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO、Li(PO
(iii)以下のカルコゲン化合物のリチウム化されたものの全て:V、V、TiS、TiO、WO、CuS、CuS2。
【0060】
本発明によれば、アノード層の製造のために使用されるナノ粒子は、好ましくは以下の材料の一つ以上から選択されるが、限定されることはない:
(i)スズ酸窒化物(一般式SnO);
(ii)ケイ素及びスズの混合酸窒化物(一般式SiSn、但しa>0、b>0、a+b≦2、0<y≦4、0<z≦3)(いわゆるSiTON)、特にSiSn0.871.21.72;及び式SiSn、ここでa>0,b>0、a+b≦2、0<c−10、0<y<24、0<z<17で表される酸窒化物;SiSn及びSiSn、ここでXnがF、Cl、Br、I、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、Ge、Pbの元素の少なくとも1つ);
(iii)式Siで表される窒化物(特にx=3及びy=4)、Sn(特にx=3及びy=4)、Zn(特にx=3及びy=4)、Li3−XN(ここでM=Co、Ni、Cu);
(iv)酸化物SnO、LiTi12、SnB0.60.42.9。
【0061】
アノード層を作製するためには、より具体的にはLiTi12ナノ粒子が好ましい。
【0062】
アノード又はカソードの作製では、上述の材料に、電解質層を形成するために使用されるタイプの導電性材料のナノ粒子、特に、グラファイト及び/又はリチウムイオン伝導性材料のナノ粒子を添加してもよい。実際、ある種の電極材料は、イオン伝導性及び電気伝導性に劣っている。従って、3μmより大きい厚さで堆積された場合、電極は抵抗が高くなりすぎる。一般的に、良好なエネルギー密度の電池を有するためには、電極は1〜10μmの厚さが望ましい。この場合、電極材料粒子と(イオン及び/又は電気的)伝導性粒子を共堆積させる必要がある。
【0063】
電解質は、良好なイオン伝導体であるだけでなく、電気的絶縁体である必要がある。本発明によれば、電解質層を製造するために使用されるナノ粒子は、以下の材料の一つ以上から好ましくは選択される:
a)Li3.6Ge0.6,6V0.4;LiO−Nb;LiSiO;LiO;Li14Zn(GeO;Li0.35La0.55TiO;Li0.5La0.5TiO;LiLaZr12;Li5+xLa(Zr,A2−x)O12、但しA=Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga,Ge,Sn及び1.4≦x≦2:から選ばれる酸化物系材料;
b)LiN;LiPO4−x2x/3,LiSiO4−x2x/3,LiGeO4−x2x/3、ここで0<x<4又はLiBO3−x2x/3、但し0<x<3;リチウム及びリン酸窒化物系材料(いわゆるLiPON)で、ケイ素LiSiPON,ホウ素LiPONB,又は硫黄LiPONS又はアルミニウムLiPAON又はアルミニウム、ホウ素、硫黄及び/又はケイ素の組み合わせを含有してもよい;リチウム及びホウ素の酸窒化物系材料(いわゆるLiBON)で、ケイ素LiSiBON,硫黄LiBONS又はアルミニウムLiBAON,アルミニウム、シリコン及び硫黄の組み合わせを含有してもよい;及び特に具体的にはLiPO系の材料、ここでx〜2.8及び2y=3z、0.16≦z≦0.46;又はLiPOここで(2x+3y+2z)=(5+w)及び3.2≦x≦3.8;0.13≦y≦0.4;0≦z≦0.2;2.9≦w≦3.3;又はLiAlここで(5x+3y)=5;(2u+3v+2w)=(5+t);2.9≦t≦3.3;0.84≦x≦0.94;0.094≦y≦0.26;3.2≦u≦3.8;0.13≦v≦0.46;0≦w≦0.2;又はLi1.9Si0.21.01.11.0;又はLi2.9PO3.30.46:から選ばれる窒化物又は酸窒化物系材料;
c)Li1−yM’但しM=Si,Ge,Sn及びM’=P,Al,Zn,Ga,Sb;LiS;B;P;70LiS−30P;Li11;Li10GePSi12;LiPS;Li3.25Ge0.250.75;Li10MPSi12但しM=Si,Ge,Sn及びLiSとP,GeS,Ga又はSiSから選ばれる化合物の1つとの混合物:から選ばれるスルフィド系材料;
d)LiPO;LiTi(PO;Li1+xAl2−x(PO但しM=Ge,Ti,及び/又はHf及び0<x<1);Li1.3Al0.3Ti1.7(PO;Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(ここで0≦x≦1及び0≦y≦1);Li1+x+zMx(Ge1−yTi2−xSi3−z12(ここで0≦x≦0.8,0≦y≦1.0,0≦z≦0.6);2(Li1.4TiSi0.42.612)−AlPO;LiAlz−yGa(PO又は;LiAlz−yGa(BO又はLiGez−ySi(PO又は;LiGez−ySi(BO又はより一般的にはLiz−yM’(PO又はLiz−yM’(BOここで4<w<20,3<x<10,0≦y≦1,1≦z≦4及び0<c<20及びM又はM’Al,Si,Ge,Ga,P,Zn,Sbから選ばれる元素:から選ばれるリン酸塩又はホウ酸塩系材料;
e)LiSと次の化合物の1つとの混合物から選択される混合材料:LiPO,LiPO4−x2x/3,LiSiO4−x2x/3,LiGe04−x2x/3ここで0<x<4又はLiBO3−x2x/3ここで0<x<3;LiS及び/又はB,SiS,P,GeS,Ga並びにケイ酸リチウムLiSiO,ホウ酸リチウムLiBO又はリン酸リチウムLiPOなどのLiMO系化合物との混合物。
【0064】
所望の化学組成、すなわち粉末又は粉末の混合物の性質が決定すれば、ナノ粒子は適切な液体相中に懸濁される。いくつかの実施形態において、そのゼータ電位が好ましくは40mVよりも大きい懸濁液を得るために、安定剤が添加される。
【0065】
しかしながら、好ましくは、ほとんど又は全く安定剤を含有しない懸濁液(<10ppm)、特に乾燥抽出物の少ない懸濁液(一般に20g/L未満、好ましくは10g/L未満)、及び、特には、100nm未満、好ましくは50nm未満のサイズの粒子を含有する懸濁液が使用される。この場合、懸濁液のゼータ電位は、一般に25〜40mVである。
【0066】
例えば、使用される溶媒は、ケトン、アルコール、又は両方の混合物系であり得る。
【0067】
使用可能な立体安定剤の中で、選択された有機溶媒に可溶であるという点で、特にポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸(PAA)、クエン酸、ニトロセルロース、又はアセチルアセトンを挙げることができる。
【0068】
静電的安定化は、ヨウ化物、酸又は塩基を添加することにより行うことができる。
【0069】
懸濁液の電気伝導度は、2つの電極の間に高い電位勾配が得られるように制御され得る。好ましくは、コロイド懸濁液の導電率は1〜20μS/cmである。酸及び塩基は、弱いものでも又は強いものでも、懸濁液の導電率を制御し、粒子表面を帯電させるために、少量添加され得る。
【0070】
凝集体のないナノメートルサイズの粒子を有する安定な懸濁液を得るためには、粒子を解凝集させ、(100nm未満又はさらには30nm未満の平均サイズを得るために)可能ならばそれらのサイズを調整し、そのサイズのばらつきを低減するために、それらを懸濁させる前に、粉末を粉砕及び/又は分散させる工程を実行する必要があるかもしれない。粒子を解凝集し、懸濁させるのを補助するために、超音波もまた使用することができる。
【0071】
分散粉砕工程の間に粒子に形成された欠陥はまた、機械的加圧を行うのと同様に、緻密化温度を低下させる可能性がある。
【0072】
<電気泳動によるアノード層、カソード層と固体電解質層の形成>
本発明によれば、アノード層、カソード層及び固体電解質層は、全て電気泳動法により形成される。粒子の電気泳動堆積は、堆積が行われる基板とカウンタ電極との間に電界を印加することにより、コロイド懸濁液からの荷電粒子を移動させ、基板上に堆積させることにより達成される。粒子とともに表面上に堆積されるバインダ及び他の溶媒が存在しないので、非常にコンパクトな堆積層を得ることができる。電気泳動堆積法によって得られるコンパクトさは、クラッキングの危険性又は乾燥工程における堆積層の新たな欠陥の形成を制限、又は防止する。しかしながら、厚い堆積層を形成するためには、堆積/乾燥の連続工程の実行が想定され得る。有機化合物が存在しないため、偶発的な短絡が発生した場合に、電池の燃焼の危険性が低減される。
【0073】
また、電気泳動により得られた堆積層は、バインダ又は他の有機化合物を含まないため、本発明に係る方法は、焼結前の腐食性又は有害な化合物を燃焼又は蒸発させる工程を必要としない。高まる経済的及び環境的な制約により、大気中への廃棄物の排出量を削減する必要がある。従って、本発明はこれらの制約を満たしている。
【0074】
また、堆積速度は、印加される電界及び懸濁液中の粒子の電気泳動移動度に依存して非常に高くすることができる。100V/mの印加電圧では、数μm/min程度の堆積速度を得ることができる。
【0075】
本発明者らは、この技術によれば、(粒子と電界の濃度は、基板表面上で均一であることを考慮すれば)、非常に大きな表面上に優れた均一性を有する堆積層を生成することができることを見出している。それは、連続帯材法、すなわち基板は好ましくは帯材である場合にも適している;電気泳動堆積中、その帯材は、好ましくは液相に対して静止している。
【0076】
基板は導電性の表面又は導電性要素、例えば、導電性領域を有するシート又は帯材であり得る。電極と接触している基板の性質は、不活性であって、干渉してはならず、リチウムイオン電池の作動電位の範囲で副反応を起こしてはならない。例えば、6μmであるような厚さの銅又はアルミニウム帯材、又は導電性表面堆積層を有するポリマー帯材(ここで金属化ポリマーフィルムと称される)が使用され得る。
【0077】
本発明の文脈において、基板は、図3及び図10に示されているが、電極の微細な切り抜きを行うことができるように、薄い厚さを有する必要がある。金属及び/又は金属化ポリマーフィルムが好ましい。
【0078】
本発明による方法の利点は、「全固体」(又は「完全に固体」)多層構造を低温で製造することができる点にある。従って、金属化ポリマーフィルム系基板を好適に用いることができる。このようなフィルムは、工業的に、1μmのオーダーの厚さで製造することができ、これにより薄膜電池の体積エネルギー密度を増加させることができる。
【0079】
効果的には、電気的接触の品質を向上させ、電極材料との副反応の発生を回避するために、コーティングされた集電体表面は、金属化により貴金属又は遷移金属で被覆される。好ましくは、集電体の表面上に堆積させることができる金属は、以下の金属から選択される:金、白金、パラジウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、パラジウム、ジルコニウム、タングステン、又はこれらの金属の少なくとも一種を含む合金。代替的に、インジウムスズ酸化物(ITO)などの酸化物導電膜が、基板と電極との間の接触の質を向上させるために、基板上のコーティングとして使用され得る。
【0080】
好ましくは、これらのコーティングは、薄いままでなければならず、その厚さが500nmよりも大きくてはならない。そして、好ましくは、表面の金属化層の厚さが100nmのオーダーであり得る。これらの金属化層は、例えばアルミニウム又は銅のフィルム、薄いの金属帯材上に形成され得る。好ましくは、これらの帯材の厚さは20μm未満、より好ましくは10μm、さらにより好ましくは5μm以下である。
【0081】
金属化ポリマーフィルムはまた、好ましくは5μm未満、より好ましくは1μmのオーダーの薄い厚さでなければならない。金属化層の性質は上述されており、そのフィルムは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、又はテフロン(登録商標)(PTFE)、ポリイミド(PI)、及びより具体的には、300℃での熱処理を必要とする工程のためには、カプトン(登録商標)のいずれかからなることができる。
【0082】
好ましくは、基板の粗さは、電池要素間の最適な接触を確保し、電極特性の均一性を確保するために、堆積した電極の厚さの10%を超えない。
【0083】
基板は、例えば、次のように製造することができる:それは、5〜20μm、好ましくは15μmのオーダーの厚さのアルミニウム帯材を準備する。そして、帯材は「フラット」に維持されるように配置される。好ましくは、アルミニウム帯材の表面は、例えば洗浄槽に浸漬することによって、洗浄される。例えば、この洗浄は、NGL技術洗浄槽に浸漬して超音波を印加した後、蒸留水でリンスすることにより行われる。効果的には、帯材は、その厚さを減少させる、及び/又は、表面粗さ及びマイクロラフネスを除去するために、電解研磨処理される。この電解研磨処理は、以下の化学組成を有する溶液中で行われ得る:80%の無水エタノール、13.8%の蒸留水、6.2%の70%過塩素酸。印加電圧は15V程度である。必要に応じて、処理浴は、高電流密度に伴う過熱を防ぐために冷却することができる。
【0084】
より高品質な表面のために、例えば、EP−システムのEPS1250又はEPS1300系の槽などの他の槽の組成を使用することができる。
【0085】
電解研磨処理後、表面を蒸留水で洗浄する。この処理後、帯材の厚さは、概して1〜10μmである。
【0086】
この帯材は、好ましくは、本発明に係る方法においてアノード基板及びカソード基板として使用される。
【0087】
好ましくは、ニッケルめっき処理を、その電解研磨処理直後のアルミニウム帯材の表面上に直接行ってもよい。この処理は、電気化学的堆積によって、又はニッケル塩を含む溶液に浸漬することによって、又はその両方を連続して行う方法のいずれかにより、異なる方法で実行することができる。例えば、電気的堆積は、以下の組成の浴で行うことができる:スルファミン酸ニッケルを300g/L、HBOを30g/L、NiClを30g/L。ニッケルめっきは、ニッケルカウンタ電極を用い、2A/dmのオーダーの電流密度で電解することによってその表面が前もって活性化されたアルミニウム帯材上で実行される。このニッケルめっき処理によれば、アルミニウム表面の酸化物層の形成を防止し、電気的接触の質及び堆積層の密着性を向上させることができる。
【0088】
上述のごとく、上記処理は、アルミニウム帯材の表面上に堆積させることができる他の金属、すなわち、金、白金、パラジウム、バナジウム、コバルト、マンガン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、チタン、パラジウム、ジルコニウム、タングステン、ニッケル、又はこれらの金属の少なくとも一種を含む合金を用いて行うことができる。堆積は、当業者に周知の技術により行うことができ、特に、化学気相成長法又は物理蒸着により、特に蒸着及び/又は物理的気相成長法により行うことができる。
【0089】
カソード層及びアノード層の厚さは、好ましくは0.5μm〜10μmである。電解質層の厚さは、好ましくは2μm未満、さらにより好ましくは1μm未満である。
【0090】
導電性基板上に、カソード層及びアノード層のそれぞれの堆積の後に、粒子を圧縮し、その後の緻密化をさらに促進し得る粒子の変形を誘導するために、さらに機械的な緻密化ステップ(例えば加圧)を行うことができる。
【0091】
しかしながら、他の実施形態においては、機械的な緻密化工程の前に加熱処理を行うことが好ましい。
【0092】
本発明に係るいくつかの特定の実施形態では、電気泳動により堆積した層が既に緻密且つコンパクトであるため、加熱処理及び/又は機械的な緻密化工程を行う必要がない。実際、本発明者らが見出したところでは、安定剤をほとんど又は全く添加しないで(<10ppm)、安定な粒子懸濁液が得られた場合には、特に電気泳動によって堆積させた粒子の大きさが50nm未満である場合は、電気泳動による堆積後に得られた層は、任意の加熱処理及び/又は機械的な緻密化処理を行わなくても緻密且つコンパクトである。
【0093】
電気泳動堆積は、「バッチ」法(静的)又は連続法で実施することができる。図5A及び図5Bは、帯材及び導電性基板上コーティングの両方を製造するために、電気泳動による堆積の異なる実施形態を示す。
【0094】
電気泳動による堆積を行う間、導電性基板と、この基板の両側に位置する二つの電極間に電圧を印加するために、安定化電源を使用することができる。この電圧は直流でも交流でもよい。得られた電流を正確に監視することにより、正確に堆積厚さを監視及びチェックすることができる。絶縁層を堆積させる場合、絶縁層はその厚さに応じて電界値に影響を与えるため、この場合には、電流制御の堆積モードが好ましい。界面の抵抗率に応じて、電界値が変更される。
【0095】
図5Aは、本発明に係る方法を実施するためのシステムを模式的に示している。カウンタ電極43と導電性基板44の間に配置された電源は図示していない。基板44の両面にコロイド懸濁液42の粒子を堆積させるために、二つのカウンタ電極43と基板44との間に電界が印加される。
【0096】
基板としての導電性帯材44のリールがアンワインダ41から巻き出される。堆積後に、堆積層は乾燥オーブン45で乾燥され、その後適切なコンパクション46を用いて機械的圧縮により強化される。圧縮は、制御された雰囲気下で、及び室温と堆積された材料の融点との間の温度下で行われる。
【0097】
図5Aの構成は、電池電極を製造するために使用される集電体上の活性材料の堆積層を形成するのに効果的である。しかしながら、基板の片面のみコーティングすることができる。そして、図5Bは、機械的に緻密化することなく、単一の導電性表面にコーティングを形成するための装置を示している。
【0098】
さらに、この堆積技術によれば、表面の形状及び凹凸欠陥の存在に関係なく表面の完全なコーティングが可能になる。従って、堆積層の誘電特性を確保することができる。
【0099】
機械的接触がないことにより、極めて広い表面上に、このような堆積層を形成することが可能となる。実際、ロールコートやドクターブレード等の公知の成膜技術では、広い基板上において完全に均一な成膜厚さを確保することは困難であり、これによりコーティングラインはしばしば幅が制限される。換言すると、例えば大容量Liイオン電池の堆積層を製造する場合には、薄い堆積層であれば、最大の帯材幅は約200〜300mmであり、従来技術によればコーティングラインの生産能力が大幅に制限される。
【0100】
ほとんど又は全く導電性を有さない材料を基板の表面上に堆積する場合、より薄くコートされ得る領域がより導電性となるため、局所的に堆積速度が高くなり、欠陥を補うか又は抑制する傾向となる。従って、得られた堆積層は、本質的に良質で、欠陥が少なく、非常に均質となる。
【0101】
図4は、本発明に係る方法の典型的な実施形態を示している。
−ステップ1:懸濁液の調製。最初のステップでは、所望のコーティングの化学組成の粉末を使用している。
−ステップ2:コロイド懸濁液に金属基板を浸漬する。コロイド懸濁液は、基板の表面全体を覆い得る。特定の実施形態では、懸濁液と接触して表面を制限することにより堆積面を減少させるように、基板の表面上にマスクが配置され得る。
−ステップ3:基板とコロイド懸濁液中に配置されたカウンタ電極との間に電界を印加する。この電界は一定及び/又は可変(AC)とすることができる。つまり、電界、すなわち電極に印加される電位の方向は、堆積する粒子の電荷に適合される(陰極移動又は陽極移動(cataphoresis or anaphoresis))。
−ステップ4:乾燥条件は、堆積厚さ、及び溶媒の性質に依存する。
−ステップ5:堆積層の緻密化(本発明係るいくつかの特定の実施形態における任意工程)。
【0102】
本発明に係るいくつかの特定の実施形態において、より具体的にはコロイド懸濁液中の粒子のサイズが50nm未満の場合は、堆積層は乾燥工程中に緻密化され始めるので、乾燥工程(ステップ4)と加熱緻密化処理(ステップ5)との間には区別がない。乾燥工程中の堆積層の緻密化は、粒子の物理化学的特性を含むいくつかのパラメータ、特に、それらの化学的特性、大きさ、融点、ヤング率によって説明することができるだけでなく、の存在に関連することができ、安定剤の存在、及び使用される溶媒の種類、及び電界の性質にも関連し得る。
【0103】
<アノード層、カソード層及び/又は電解質層の堆積層の緻密化>
本発明の特定の実施形態では、堆積層、すなわちアノード層、カソード層、及び/又は電解質層は、空洞、孔、亀裂その他の欠陥を最小限にするために、加熱処理及び/又は機械的圧縮によって緻密化される。堆積層の緻密化ステップは、以下により行われ得る:
i.機械的手段による、特に一軸圧縮による。適用される圧力は、好ましくは、10〜100MPaの間である。50MPa程度の値が非常に良好な結果を与える。他の実施形態で適用される圧力は250MPaより大きいか、又は400MPaよりもさらに大きい。ii.加熱処理による。温度は堆積させる粉末の化学組成に強く依存する。堆積された材料の性質に応じて、コーティングの性質の劣化を防止するために、制御された雰囲気を維持することも有用である。
iii.加熱及び機械的手段の組み合わせによる、特に加圧焼結による。
【0104】
本発明の別の実施形態では、堆積されたアノード層及びカソード層は、それらが堆積後に直接緻密かつコンパクトであり得る場合には、堆積後に加熱及び/又は機械的な圧縮を受けない。実際、アノード層とカソード層は、非常に小さい粒子サイズ、典型的には50nm未満の粒子サイズのコロイド懸濁液から電気泳動により堆積された場合、及び懸濁液がほとんど又は全く安定剤を含有しないとき(数ppmのオーダー)、堆積したナノ粒子は、堆積ステップ中に印加される電界により作用する静電圧の影響下で、固まり始め、直接高密度の堆積層を形成し始める。このメカニズムは、堆積した粒子が絶縁性で、小さく、融点が低い場合に、高い電場で堆積されるとより顕著になる。従って、このようなナノ粒子懸濁液によれば、ほとんど欠陥のない、薄く高密度の堆積層の形成が可能になる。圧密化に伴う制約が大幅に低減され、これにより、圧密化後に、亀裂や層の厚さ方向に起こる小さな残留収縮のない薄く緻密な層を形成することができる。
【0105】
いくつかの場合には、圧密化が乾燥中に開始される場合であっても、それより高い温度で加熱処理をすることによって圧密化を完了させることが好ましい。
【0106】
さらに、このような材料の電気泳動堆積は、金属基板及び/又は金属化フィルム上に直接行うことができ、圧密化温度に伴う製造上の制約や収縮に伴う問題を有する、インク中に含有される粉末を焼結する通常の技術とは異なる。
【0107】
電池の層が堆積される基板は、一般に、金属導電性材料で構成されている。基板が金属である場合には、表面特性の酸化劣化の危険性を避けるために、電池の製造中に高温に加熱することは回避することが好ましい。表面酸化の減少は、電気的な接触抵抗を低減するのに特に有益であり、このことはエネルギー生産及び/又は貯蔵装置の動作に必要不可欠である。
【0108】
上述のごとく、非常に高品質の電気泳動層、特にコンパクトな層を得ることは、加熱処理の時間と温度を低下させ、そのような処理による収縮を制限することができ、均質なナノ結晶構造を得ることができる。これにより、欠陥のない緻密な層を得ることができる。
【0109】
本発明者らは、堆積させる粒子のサイズが小さい程、加熱処理温度は低下し、又は粒子サイズが100nm未満、好ましくは50nm未満である場合には任意工程にまでなることを見出した。従って、高い加熱処理温度及び/又は時間を必要とすることなく、5%未満又は更に2%程度の気孔率の、薄いか又は比較的厚い層の堆積層を形成することができる。また、低温で堆積層を圧縮するこの技術によれば、かなり収縮の危険性を減少させる。また、電池の電解質層と電極層のセラミック堆積層を圧密化するために、非常に複雑で高価な熱処理サイクルを使用する必要がなくなる。
【0110】
機械的及び/又は加熱緻密化工程において、必要に応じて、粒子の緻密化のメカニズムに影響を与える可能性がある粒子表面上の汚染の発生を回避するために、真空又は不活性雰囲気下で作業することが効果的であり得る。
【0111】
本発明に係る方法で使用されるような粒子サイズでは、熱処理によって緻密化するのための主要な駆動力は表面エネルギーの増加である。このことは、粒子サイズが減少すると、緻密化温度が急激に低下することに反映される。しかしながら、緻密化温度の減少が効果的であるためには、最初に粒子がコンパクトな積層構造で機械的に圧縮され、及び/又は堆積される必要があり得る。この場合、これらの粒子間の機械的接触の積算は、緻密化を引き起こすための拡散プロセスを促進することができる。さらに、堆積層を圧縮するために、一般的に加圧操作が行われる。この加圧(カレンダ)による圧縮技術は、ミクロンサイズかそれより大きい粒子により形成された堆積層に好適である。
【0112】
凝集及び凝集間の空孔の存在も緻密化に影響を与える。これらのサイズが大きいほど、分散距離が増加するとともに、良い緻密化を得るための緻密化温度が高くなる。従って、ナノ粒子を電気泳動で堆積させると、機械的圧縮工程なしでも球体の緻密な積層構造の理論学的な密度(74%)に近づけることができる。
【0113】
電気泳動により得られた堆積層が有意な緻密さを持ち、蒸発させる溶媒の量が少なくてすむことは、乾燥後の亀裂の発生リスクを極めて実質的に制限する。また、粒子のサイズが小さいことと、比表面積が大きいことは、加熱処理による圧密化工程(この意味で「焼結」と呼ばれることがある)を促進させる傾向がある。
【0114】
従って、堆積層の加熱処理による緻密化は、必要であれば、0.7T、さらには0.5T、又は0.3Tを超えない温度で行われ得る。ここで、Tは堆積した粒子の化学組成と同じ化学組成のバルク材料の融点又は分解温度(℃で表される)である。複数の粒子が共堆積された場合は、それらのうち最も融けやすいものについて考慮しなければならない。さらに、この緻密化温度を低下させるためには、さらにこの緻密さを増加させる及び/又は緻密化方法を促進させて空孔のない層の形成を促進するのに役立ち得る点欠陥を形成するために、この堆積層に機械的圧縮を加えることも可能である。そのような製造方法は、低融点のアルミニウム帯材等の基板に直接使用され得る。
【0115】
ナノ粒子が表面の汚染の影響を受けやすい場合は、好ましくはこれらの圧密化処理は、真空中又は不活性雰囲気下で行われる。
【0116】
<Ms結合材料層の堆積>
それぞれの導電性基板上にアノード層及びカソード層を電気泳動により堆積させる工程の後に、又はアノード層及び/又はカソード層上に電解質層を堆積させる工程の後に、特に粒子「P+」「P−」及び「Pn」のサイズが極めて小さい、すなわち粒子サイズが100nm未満、好ましくは50nm未満の場合には、得られた層は緻密であり得る。本発明者らは、層を互いに組み合わせることは困難であり、従って、それらを結合させるためには、熱的及び/又は機械的に大量のエネルギーを供給する必要があることを見出している。層を組み合わせるために高温を使用することは、極めて不利である。なぜなら、それらの層が酸化され、層内で相互拡散の問題が生じると、集電体は大幅に劣化し得るからである。
【0117】
本発明の本質的な態様によれば、電気泳動堆積法により得られた層の積み重ねを容易にするために、前記スタッキング工程の前に、Ms結合材料料の層が次の表面上に堆積される:
−直接電気泳動により得られたアノード層又はカソード層の表面上;又は、
−電気泳動により得られた電解質層で被覆されたアノード層及び/又はカソード層の表面上;又は、
−電解質層で被覆されたアノード層の表面上に、及び電気泳動によって得られたカソード層の表面上;又はアノード層の表面上に、及び電気泳動により得られた電解質層でコーティングされたカソード層の表面上。
【0118】
Ms結合材料層は、電解質のように、良いリチウムイオン伝導性である必要がある。
【0119】
堆積される結合材料層の融点は、それが接触している層のものよりも低い必要がある。これは、Ms材料の選択だけでなく、層内でのそれらの形状に起因し得る。特に、ナノ粒子の形状で存在する材料の融点が高密度の材料の融点よりも低いことが知られており、このことはナノ粒子の高表面エネルギーに関連する。
【0120】
効果的な実施形態では、Ms結合材料は、例えば電気泳動により、ナノ粒子を含む層の形状で堆積され、及び/又は非常に薄い層(例えば50nm又は20nm未満の厚さ)の形で堆積され、ステップd)での熱処理温度を低下させる。そして、2つの緻密層の少なくとも一方上にMs結合材料層を堆積させることにより、これらの2つの緻密層を対向して積層することが可能であり、これにより、これらの2つの緻密層を密着させることができる熱処理温度Tは、緻密層を構成する材料の溶融温度よりも低くなる。
【0121】
一実施形態では、2つの同一の材料の機械的な積み重ねを提供するための本発明に係る方法の可能性を示しているが、Ms結合材料として、電解質材料のナノメートル粒子の薄層を緻密化された電解質層上に堆積され、その後、前記薄い結合材料層上に、第2の電解質緻密化層が(典型的には機械的に)積層され、そして、このアセンブリは、熱処理及び/又は機械的な緻密化処理に供され、その間結合材料は、2つの電解質層間の密着を確実化させる。この密着は、おそらく、それが接触している、可融性は低いが化学的に同一の層の方向に向かう、より融けやすい結合材料の拡散又は移動機構により生じる。
【0122】
一般に、電気泳動により得られた前記層を積層して組み立てられるように、前記Ms結合材料層は、以下の材料の1つ以上から選ばれる:
a)Li3.6Ge0.60.4;LiO−Nb;LiSiO;LiO;Li14Zn(GeO;Li0.35La0.55TiO;Li0.5La0.5TiO;LiLaZr12;Li5+xLa(Zr.A2−x)O12(但し、式中A=Sc、Ti、V、Y、Nb、Hf、Ta、Al、Si、Ga、Ge、Sn及び1.4≦x≦2)から選ばれる酸化物系材料;
b)LiN;LiPO4−xΝ2x/3、LiSiO4−x2x/3、LiGeO4−x2x/3(但し、式中0<x<4)又はLiΒO3−xΝ2x/3(但し、式中0<x<3)から選ばれる窒化物又は酸窒化物系材料;リチウム及びリン酸窒化物系材料(いわゆるLiPON)で、シリコン(いわゆるLiSiPON)、ホウ素(いわゆるLiPONB)、硫黄(いわゆるLiPONS)又はアルミニウム(いわゆるLiPAON)又はアルミニウム、ホウ素、硫黄及び/又はシリコンの組み合わせを含有し得る;リチウム及びホウ素酸窒化物系材料(いわゆるLiBON)で、シリコン(いわゆるLiSiBON)、硫黄(いわゆるLiBONS)又はアルミニウム(いわゆるLiBAON)又はアルミニウム、硫黄及びシリコンの組み合わせを含有し得る;及びより具体的にはLiPO系の材料で、但し、式中x〜2.8及び2y=3z但し0.16≦z≦0.46;又はLiPO但し(2x+3y+2z)=(5+w)及び3.2≦x≦3.8;0.13≦y≦0.4;0≦z≦0.2;2.9≦w≦3.3;又はLiAl又はN但し(5x+3y)=5;(2u+3v+2w)=(5+t);2.9≦t≦3.3;0.84≦x≦0.94;0.094≦y≦0.26;3.2≦u≦3.8;0.13≦v≦0.46;0≦w≦0.2;又はLi1.9Si0.21.01.11.0;又はLi2.9PO3.30.46
c)Li1−yM’、但しM=Si,Ge,Sn及びM’=P,Al,Zn,Ga,Sb;LiS;B;P;70LiS−30P;LiSn;Li10GePSi;LiPS;Li25Ge250.75;Li10MP12、但しM=Si,Ge,Sn、及びLiSとP,GeS,Ga又はSiSの中の化合物の1つとの混合物;から選ばれる硫黄系材料
d)LiPO;LiTi(PO;Li1+xAl2−x(PO但しM=Ge,Ti,及び/又はHf並びに0<x<1);Li1.3Al0.3Ti1.7(PO;Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(但し0<x<1及び0<y<1);Li1+x+z(Gei−yTi2−xSi3−z12(但し0<x<0.8,0<y<1.0,0<z<0.6);2(LiTiSi12)−APO;LiAlz−yGa(PO又はLiAlz−yGa(BO又はLiGez−ySiSw(PO)c又はLiGeSi(BO又はより一般的にはLiz−yM’Sw(PO)c又はLiz−yM’(BO)c但し4<w<20,3<x<10,0<y<1,1<z<4及び0<c<20及びM又はM’でAl,Si,Ge,Ga,P,Zn,Sbから選ばれる;から選ばれるリン酸又はホウ酸系材料
e)LiSとLiPO,LiPO2x/3,LiSiO4−x2x/3,LiGeO4−x2x/3但し0<x<4又はLiB03−x2x/3但し0<x<3の中の化合物の1つとの混合物;LiS及び/又はB,SiS,P,GeS,Ga及びケイ酸リチウムLiSiO、ホウ酸リチウムLiBO又はリン酸リチウムLiPOなどのLiMO型化合物の混合物;から選ばれる混合材料。
【0123】
代替の実施形態では、前記Ms結合材料層は、リチウム塩含浸ポリマーの少なくとも1つを含み/からなり、前記ポリマーは、好ましくはポリエチレンオキシド、ポリイミド類、ビニリデンポリフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン類により形成される群から選ばれ、前記リチウム塩は、好ましくはLiCl、LiBr、LiI、Li(ClO)、Li(BF)、Li(PF)、Li(AsF)、Li(CHCO)、Li(CFSO)、Li(CFSON、Li(CFSO、Li(CFCO)、Li(B(C)、Li(SCN)、Li(NO)から選ばれる。
【0124】
前記Ms結合材料層の堆積は、以下の技術のいずれか1つにより行われる:
i.真空蒸着法、特に物理蒸着法、化学蒸着法、又はプラズマ促進化学蒸着法、
ii.ゾル−ゲル堆積法、
iii.懸濁ナノ粒子堆積法、特にインク法、ディップ法、遠心(スピンコート)法、及びラングミュア−ブロジェット法、
iv.エレクトロスプレー法
v.エアゾル堆積法、又は、
vi.電気泳動堆積法。
【0125】
電極の良好な性能を確保するために、これらの堆積層は、好ましくは200nm未満、さらにより好ましくは100nm未満の薄さにして、電池セルに過剰な抵抗効果をもたらさないようにするべきである。
【0126】
ゾル−ゲル堆積技術は、Ms結合材料の緻密な堆積層を形成することができる。この手法は、200nm未満の厚さを有する層の製造に好適である。
【0127】
これは、予めMs結合材料料のナノ粒子を好適な液体に含む懸濁液を使用して、その液体を後で蒸発させることにより、Ms結合材料層を堆積させることも可能である。この技術は、特に、インク法、ディップ法、スピンコート法、又はラングミュア−ブロジェット法を含む。
【0128】
エレクトロスプレー堆積技術もまた、ナノ粒子の形態でMs結合材料料の堆積層を形成するために使用され得る。この堆積は、乾燥後のMs結合材料の表面層を形成するために、電界の影響下で反応する化合物の噴霧によって行われ、表面上で、乾燥後にMs結合材料層を形成する。この堆積技術は、論文「エレクトロスプレー法によるLiMnの薄膜製造」(J. of Aerosol Science、Vol.25、第6号、p.1229−1235)に記載されている。
【0129】
別の実施形態では、Ms結合材料のナノ粒子の堆積は、「エアロゾル」堆積技術によって形成され得る。容器内に含まれるMs材料のナノ粒子は、その容器内に圧縮ガスを吹き込むことによって移動する。凝集体を破壊し、制御された粒子サイズの流れを確保するために、解凝集装置が粒子ジェット上に配置され得る。
【0130】
最後に、アノード層、カソード層及び電解質層を形成するために上述したように、電気泳動堆積技術によれば、薄いMs結合材料層を得ることができる。
【0131】
電気泳動により得られた層の少なくとも1つの表面上にMs材料層を堆積した後、この層が対向して積層され、機械的に圧縮され、及び/又は加熱処理され、積層全固体多層構造を有する電池が得られる。好ましくは、組み立てられた層の加熱処理は、Ms結合材料の融点又は分解温度(℃)の、好ましくは0.7倍を超えない、より好ましくは0.5倍、(さらに好ましくは0.3倍)を超えない温度Tで行われる。
【0132】
効果的なことに、組み立てられる層の機械的圧縮は、10〜100MPa、好ましくは10〜50MPaの圧力で実施される。
【0133】
Ms結合材料層の全体の厚さも、組み立てられる層の性質に依存する。例えば、それぞれ電解質層で被覆されたカソード層とアノード層とをアセンブルしたい場合、Ms結合材料層の厚さが非常に薄く、すなわち100nm未満、好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは30nm未満でなければならず、これにより、得られた電解質層は良好なイオン伝導性を保持する。最後に、電解質層で被覆されていないアノード層(又はカソード層)をアセンブルしたい場合、Ms結合材料層の厚さは、100nm未満、好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは30nm未満である。効果的には、Ms材料粒子の大きさは、そのMs材料が堆積される層の厚みよりも小さい。
【0134】
<電池の組立>
図6及び図7は、本発明に係る方法の異なる実施形態における電池の製造工程を模式的に示している。これらの実施形態は、限定されないが、例示として与えられている。
【0135】
各ステップで得られた生成物は、本発明の第1実施形態に係る図1A図1Dに概略的に示されている(図6)。ステップ1.A及び1.Bに示すように、カソード24及びアノード21の層が導電性基板20上に電気泳動的に堆積される。アノード層21について図1Aに示すように、この堆積は導電性基板の両側に対して行うことができる。ステップ2.A及び2.Bでは、電気泳動により堆積された層を乾燥させる。
【0136】
本発明の特定の実施形態では、堆積層は、ステップ3.A及び3.Bにおいて、機械的及び/又は熱的手段によって緻密化される。この機械的な緻密化により、バルク体の理論密度の90%より大きい、さらには95%より大きい密度を得ることができる。乾燥は、機械的な緻密化の前又は後に行われ得る。カソード層及び/又はアノード層が、乾燥工程の後に、緻密且つコンパクトである場合には、ステップ3.A及び3.Bは、不要である。
【0137】
ステップ4.A及び4.Bでは、電解質層22がアノード21及びカソード24のそれぞれの上に堆積される(図6)。その厚さは3μm未満であることが好ましいである。図1Bに概略的に示すように、この堆積はまた電極のエッジを覆う。この電極のエッジの絶縁性により、短絡の危険性及びリーク電流の危険性が回避される。また、これにより、封止化が簡素化される。ある種のリチウムイオン伝導性セラミック及び/又はガラスセラミックもまた外部環境からセルを保護し得る。従って、ポリマー又はシリコーンの形の単一の封止層を、電池セルを保護するために使用することができる。ステップ5.A及び5.Bでは、前記電解質層を乾燥させる。
【0138】
本発明の特定の実施形態では、堆積層は、ステップ6.A及び6.Bにおいて、機械的及び/又は熱的手段によって緻密化される。得られた電解質層が、乾燥工程後に既に緻密且つコンパクトな場合、このステップは不要である。
【0139】
別の実施形態では、図7に示すように、電解質層22はカソード24上にのみ堆積される。その厚さは、好ましくは1μm未満である。図1Bに概略的に示すように、この堆積層はまた電極のエッジを覆う。この電極のエッジの絶縁性により、短絡の危険性及びリーク電流の危険性が回避される。ステップ5.Aでは、前記電解質層を乾燥させる。
【0140】
ステップ7.A及び7.B(図6,7)において、Ms結合材料の層が電気泳動法により得られた前記2層の少なくとも1つの表面に堆積され、対向して積層される。
【0141】
ステップ8.A及び8.Bでは、図1D又は図1Fに示すように、電極のエッジはカットされている。効果的には、帯材に接続されているエッジは、エッジ上が電解質で被覆された3つのエッジを残すようにカットされている。この電解質が誘電体物質である場合、次のスタッキング工程で、セルの片側のアノード接触及び反対側のカソード接触のみ各々さらすことができ、これにより、電池要素の並列な組立体を形成し、より高容量の電池セルを形成することができる。図1D又は図1Fは、カット後のそのようなセルの断面を模式的示している:基板20は、カソード層21で被覆され(ここでは両側に)、エッジ23でカットされる。ステップ9では、スタックが形成され、そのスタックの両側に交互に一連のカットされたアノード21のエッジ23及びカソード24のエッジが存在し、任意で電解質層22で覆われ、及び任意でMs結合材料層25で被覆されている。図2は2つの基板20のスタックを示しており、これらの基板の一方は、両面に、電解質層22とその電解質層22の片側の面にMs結合材料層25とで被覆されたアノード層21を有しており、上記基板の他方は、電解質層22とその電解質層22の片側の面にMs結合材料層25とで被覆されたカソード層24を有しており、各々アノード21及びカソード24上に堆積され、各々Ms結合材料25で被覆された電解質層22の2つの面は、共通の界面26を形成するように互いに配置されている。
【0142】
ステップ10において、熱処理及び/又は機械的圧縮が行われることにより、対向してスタックされた2層間の接触が促進されて、これによりスタックされた多層構造の電池を得ることができる。
【0143】
特定の実施形態では、好ましくはスタッキング後であり且つターミナルが付加される前に、セラミック又はガラスセラミック層を堆積させることによりスタックを封止し、電池セルの大気からの保護を確実化することが効果的である。これらの封止層は化学的に安定で、高温に耐性が高く、大気雰囲気に対して不透過性でなければならない(バリア層)。これらの層は、効果的には、接触可能なスタック表面の全てを覆うことができる化学気相堆積(CVD)によって堆積させることができる。従って、封止はスタック上に直接行うことができ、これによりコーティングは、存在し得る空孔全てに浸透することができる。効果的には、外部環境からの電池セルの保護を強化するために、第1の封止層の上に、第2の封止層を堆積させることができる。典型的には、この第2の層の堆積は、シリコーン含浸によって行うことができる。高温に耐性があることにより、ガラス転移を起こすことなく、回路基板に半田付けすることによって、電池を容易に組み立てることができるという理由に基づいて、そのような材料の選択が行われる。
【0144】
効果的なことに、電池の封止化は、スタックの6つの面のうちの4面上で行われる。封止層はスタックの周囲を囲んでおり、大気からの保護は、ターミナルにより得られる層により確実に維持される。
【0145】
いったんスタックが行われ、スタックの封止工程が行われる場合はその封止工程後に、ターミナル(電気接点)35,36が付加され、カソード、アノード、及び集電体が覆われる(絶縁性電解質により被覆されない)。これらの接触領域は、電流を集電するためにスタックの対向する側に存在するだけでなく、図3に示すように、同じ側及び隣接する側に存在する。
【0146】
ターミナル35,36を形成するために、任意で被覆されたスタックは、一体の電池体を得ることができるカッティング面によりカットされ、電池の接続(+)及び(−)のカッティング面のそれぞれが覆われる。そして、接続は当業者に公知のプラズマ蒸着技術により金属化され得る。ターミナル35,36は好ましくは、電池の半田付けを容易にする外側のスズ層と、そのスズ層の下側にあり且つ電池セルを熱的に保護するためのニッケル層とにより構成される。
【0147】
従って、本発明の方法によれば、全てが互いに並列に接続された複数の基本セルにより構成される全固体三次元電池の製造が可能となる。
【0148】
本発明に係る製造方法は、以下の理由により多くの利点を有している:
(i)高温を使用することなく、コンパクトな全固体電池を製造できる;
(ii)使用される温度が低いため、界面での相互拡散や固相反応のリスクを制限する;(iii)組立工程中の電極及び電解質層の収縮に伴う亀裂の危険性がなく全固体電池を製造できる;
(iv)本発明による方法は、基本セルのアセンブリによって全固体コンパクト電池を製造することができる。実際、本発明の方法によれば、全固体電池セルの三次元アセンブリを可能にする。全てのセルの一段階アセンブリによれば、全てが互いに並列に接続された複数の基本セルからなる全固体一体型電池を製造することができる。この基本セルは互いに独立していない。
【0149】
本発明による方法によれば、スタッキングと全固体組立体の構造により硬さが与えられるため、固い基板を使用しないことができる。また、この製造技術によれば、極めて薄い金属化フィルム上に形成することができ、これにより極めて高容量の且つ高エネルギー密度の電池セルを得ることができる。
【0150】
また、この技術は、内部短絡の危険性がなく、自己放電量の小さい完全に安全な電池を製造することができる。
【0151】
最後に、本方法により得られた電池は、高容量且つ高エネルギー密度であることを特徴とし、その物理的及び化学的特性が変化することなく極端な温度条件においても作動することができる。
【実施例】
【0152】
本発明は、2つの実施例(実施例1,2)により上に示されているが、しかしながら、いずれの場合も決して本発明を制限するものではない。実施例1は、アルミニウムで作られ、アノード又はカソード集電体として作用する基板を備えた多層セルを有する電池を得る方法が記載されている。実施例2は、銅で作られ、アノード又はカソード集電体として作用する基板を備えた多層セルを有する電池を得るための方法を記載する;この方法は、さらに、多層セルの封止工程を含む。
【0153】
[実施例1]
a)基材の作製
まず、15μm厚のアルミニウム帯材を準備する。帯材は、皺が形成されることなくアルミニウム帯材を保持するための強固な構造を形成するように、アンワインダ内に配置され、保持枠上に配置される。この保持枠は、外側の絶縁性表面を有する;しかしながら、内部の導電性表面は、アルミニウム帯材と電気的に接触しており、その上に電圧を印加することができる。
【0154】
b)LiTi12ナノ粒子のコロイド懸濁液の作製/アノード層の堆積/そのアノード層上への電解質層の堆積
先に調製したアルミニウム基板上にアノード電極を形成するために、以下の化学組成を有するナノ粒子のエタノール中のコロイド懸濁液を調製した:2g/LのLiTi12、0.02g/Lのカーボンブラック粉末、0.3g/LのLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、及び数ppmのクエン酸。このコロイド懸濁液の粒子サイズは、20〜70nmである。このコロイド懸濁液から、該懸濁液に含まれるナノ粒子の電気泳動による堆積が、アルミニウム基板上に行われる。アノード層の堆積は、80Vの電圧で行われる。オーブンで乾燥させた後、この堆積層は、40MPaの一軸圧力の下、400℃で熱処理することにより圧密化される。
【0155】
アノード電極を形成した後、電解質層が、Li1.3Al0.3Ti1.7(POの懸濁液から電気泳動により表面に堆積される。これはエタノール中、10g/LのLi1.3Al0.31.7(POの粒子の懸濁液である。粒子サイズは30nm、成膜条件は、10Vで30秒であり、これにより約0.5μmの厚さを有するフィルムを得ることができる。その後、電解質層は乾燥され、50MPaの下で加圧される。
【0156】
c)LiMn1.5Ni0.4Cr0.1ナノ粒子のコロイド懸濁液の作製/カソード層の堆積/アノード層(the anode layer)への電解質層の堆積
第2の帯材上に、LiMn1.5Ni0.4Cr0.1のナノ粒子の懸濁液の電気泳動堆積により正極が形成される。5g/Lに等しい濃度のLiMn1.5Ni0.4Cr0.1ナノ粒子と数ppmのアセチルアセトン系の安定化剤を含むLiMn1.5Ni0.4Cr0.1のアセトン懸濁液が使用される。使用される堆積条件は、カソード層を得るために、100Vで30秒間である。乾燥後、層は300℃に加熱され、50MPaの下に一軸圧縮処理により圧密化される。
【0157】
カソード電極を形成した後、電解質層がLi1.3Al0.3Ti1.7(POの懸濁液の電気泳動によりその表面に堆積される。これは、10g/LのLi1.3Al0.3Ti1.7(POエタノール液である。粒子サイズは30nm、成膜条件は、10Vで30秒であり、これにより約0.5μmの厚さを有するフィルムを得ることができる。その後、電解質層は乾燥され、50MPaの下で加圧される。
【0158】
d)Ms結合材料層の堆積
2つの固体電解質の表面における2つの半電極の組立体の形成を容易にするために、当該表面のそれぞれにまずLiPOのナノ粒子を堆積させる。この堆積は、エタノールのLiPOナノ粒子の懸濁液中に電解質で被覆された電極を浸漬することにより行われる。粒子サイズは約15nmである。固体電解質フィルムで被覆された電極は、LiPOのコロイド懸濁液中に浸漬され、100mm/分の速度で取り除かれる。そして、堆積厚さは50nmである。
e)半電極の組立
2つの半電極の組立は、80MPaにおいて、350℃まで100℃/分の速度で昇温させ、その後5分間その温度を維持し、組立体を冷却するアニール処理により行われる。最後に、2つの半電極が加圧下で熱処理されることによって対向して組み立てられる。
[実施例2]
a)基材の作製
まず、5μm厚さの銅帯材を準備する。この銅帯材は、その平滑面は電解研磨により前もって滑らかにされ、金属化により形成された100nmのクロム(Cr)薄膜で被覆されている。帯材は、皺が形成されることなくアルミニウム帯材を保持するための強固な構造を形成するように、アンワインダ内に配置され、保持枠上に配置される。この保持枠は、外側の絶縁性表面を有する;しかしながら、内部の導電性表面は、クロム被覆銅帯材と電気的に接触しており、その上に電圧を印加することができる。
【0159】
b)LiTi12ナノ粒子のコロイド懸濁液の作製/アノード層の堆積/そのアノード層上への電解質層の堆積
先に調製した基板上にアノード電極を形成するために、以下の化学組成を有するナノ粒子のエタノール中のコロイド懸濁液を調製した:10g/LのLiTi12ナノ粉末、及び数ppm(<10ppm)のクエン酸。
【0160】
この懸濁液の粒子サイズは、20〜70nmである。このコロイド懸濁液から、該懸濁液に含まれるナノ粒子の電気泳動による堆積が、基板上に行われる。アノード層の堆積は、90V/cmの電圧で行われる。堆積層は、乾燥され、450℃で10分間圧密化される。
【0161】
アノード電極を形成した後、固体電解質層が、Li3.6Si0.60.4のナノ粒子のコロイド懸濁液から電気泳動により表面に堆積される。この懸濁液はエタノール中、10g/Lの乾燥抽出物を有し、30nmの粒子サイズで作製される。この層は、30Vで10秒間堆積される。電解質層は、300℃で10分間加熱処理することにより乾燥され、圧密化される。
【0162】
c)LiMn1.5Ni0.5ナノ粒子のコロイド懸濁液の作製
第2の帯材上に、LiMn1.5Ni0.5ナノ粒子の懸濁液の電気泳動堆積により正極が形成される。コロイド懸濁液は5:1混合溶媒(ブタノン:エタノール)中、安定化剤として数ppm(<10ppm)のアセチルアセトンと10g/Lの乾燥抽出物を含んで作製される。カソード層を得るために、使用される堆積条件は、150V/cmで数秒間であり、その後カソード層は450℃で10分間加熱処理することにより圧密化される。
【0163】
d)Ms結合材料層の堆積
2つの固体電解質の表面における2つの半電極の組立体の形成を容易にするために、カソード上にまずLi3.6Si0.60.4のナノ粒子を堆積させる。この堆積は、エタノールのLi3.6Si0.60.4ナノ粒子の懸濁液中にカソードを浸漬することにより行われる。粒子サイズは約20nmである。カソードは、Li3.6Si0.60.4のコロイド懸濁液中に浸漬され、100mm/分の速度で取り除かれる。そして、堆積厚さは50nmである。
【0164】
e)多層セル形成のための半電極の組立
スタックさせる前に、作製する電池のサイズに応じた切り抜きを形成するために、固体電解質膜で被覆されたアノードとカソードはパンチングされる。これらのパターン(図8及び図9、符号B参照)は、互いに隣接し、電池のサイズを決定する3つの切り抜きを含む。第2のスロット(図8及び図9、符号A参照)は、コンポーネントの封止下に必要な成分の透過を確実化することができるように、未切断側に形成された。
【0165】
Ms接着材料の堆積は、この電極パンチング工程の前又は後に行うことができる。そして、アノード電極とカソード電極は、複数の基本セルのスタックを形成するように、交互にスタックされる。図9に示すように、アノードとカソードの切り抜きパターンは、「ヘッド−トゥ−テール」配置に設定された。そして、このスタックは、一体型の固い多層積層構造を得るために、50MPaで加圧されるとともに、350℃で10分間加熱された。
【0166】
次に、この積載されたシートの組立体は、内側や切り抜き領域を含む、スタック表面全体を覆う保護封止材料の堆積層を形成するために、真空下で堆積チャンバ内に配置された。切り抜きA(図8,9参照)は、積層された層の内部表面に堆積された材料の浸透を促進させる。この保護材料は、プラズマ促進化学気相蒸着により蒸着されたヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)のコーティングであってもよい。この第一のコーティング層により、外部環境、特に水分から電池セルを保護することができる。そして、15μmのシリコーンの第2の層は、機械的損傷から電池を保護する層で電池セルを被覆するために、インジェクションにより形成される。
【0167】
この電池セル組立体は、スタック及びコーティングされ、そして一体型電池コンポーネントを得ることができるカッティング面により切り抜かれ、両側で、電池の接続(+)及び(−)のカッティング面の各々が覆われる。そして、これらの接続は、図1に示す電池コンポーネントを得るために、プラズマ蒸着技術により金属化される。ターミナルは、電池セルを熱的に保護するニッケル層と、得られた電池の半田付けを容易にするスズ層とにより構成される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10