(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644553
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】成形品取出機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/42 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
B29C45/42
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-2539(P2016-2539)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2017-121770(P2017-121770A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】株式会社ユーシン精機
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】森 隆行
【審査官】
関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−240290(JP,A)
【文献】
実開昭63−170208(JP,U)
【文献】
特開2004−114547(JP,A)
【文献】
特開2003−300232(JP,A)
【文献】
特開2014−104598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記射出ユニット、前記可動ユニット及び前記型締めユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
前記前後移動体に前記左右方向に移動可能に支持された左右フレームと、
前記左右フレームに沿って前記左右方向に移動する左右移動体と、
前記左右移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記左右フレームの移動、前記左右移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機であって、
前記前後移動体が前記前後フレームの前記前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、前記前後移動体が前記末端部から前記前方側に突出することなく前記前後フレーム上に位置し、前記左右フレームが前記前後フレームの上方で前記左右方向に移動可能に前記前後移動体の上に支持され、且つ前記前後フレームが位置する前記第2の空間領域以下の空間領域に前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、前記左右フレーム及び前記左右移動体の少なくとも一方が前記左右方向に移動したときに、前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前記前後フレームとが干渉しないように、前記前後フレームの長さ、前記前後移動体、前記左右フレーム、前記左右移動体及び前記上下アームの形状寸法がそれぞれ定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項2】
射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を、前記可動ユニット及び前記型締めユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
前記前後移動体に支持され且つ前記前後フレームと交差する左右フレームと、
前記左右フレームに沿って前記左右方向に移動する左右移動体と、
前記左右移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記左右移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機であって、
前記前後移動体が前記前後フレームの前記前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、前記前後移動体が前記末端部から前記前方側に突出することなく前記前後フレーム上に位置し、前記左右フレームが前記前後フレームの上方に位置して前記前後フレームと交差するように前記前後移動体の上に支持され、且つ前記前後フレームが位置する前記第2の空間領域以下の空間領域に前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、前記左右移動体が前記左右方向に移動したときに、前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前記前後フレームとが干渉しないように、前記前後フレームの長さ、前記前後移動体、前記左右フレーム、前記左右移動体及び前記上下アームの形状寸法がそれぞれ定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項3】
射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記射出ユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
前記前後移動体に前記左右方向に移動可能に支持された左右フレームと、
前記左右フレームに沿って前記左右方向に移動する左右移動体と、
前記左右移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記左右フレームの移動、前記左右移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機であって、
前記前後移動体が前記前後フレームの前記前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、前記前後移動体が前記末端部から前記前方側に突出することなく前記前後フレーム上に位置し、前記左右フレームが前記前後フレームの上方で前記左右方向に移動可能に前記前後移動体の上に支持され、且つ前記前後フレームが位置する前記第2の空間領域以下の空間領域に前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、前記左右フレーム及び前記左右移動体の少なくとも一方が前記左右方向に移動したときに、前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前記前後フレームとが干渉しないように、前記前後フレームの長さ、前記前後移動体、前記左右フレーム、前記左右移動体及び前記上下アームの形状寸法がそれぞれ定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項4】
射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の前記成形型の開閉方向を前後方向と定義し、前記射出ユニットが位置する方向を後方及び前記型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前記前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前記前後方向及び前記左右方向と直交する方向を上下方向と定義したときに、前記樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、前記樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも前記射出ユニットに沿って前記前後方向に延びる前後フレームと、
前記前後フレームに沿って前記前後方向に移動する前後移動体と、
前記前後移動体に支持され且つ前記前後フレームと交差する左右フレームと、
前記左右フレームに沿って前記左右方向に移動する左右移動体と、
前記左右移動体に前記上下方向に移動可能に支持された上下アームと、
前記上下アームの先端に設けられた取り出しヘッドと、
前記前後移動体の移動、前記左右移動体の移動、前記上下アームの移動及び前記取り出しヘッドの動作を制御する制御部を具備してなる成形品取出機であって、
前記前後移動体が前記前後フレームの前記前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、前記前後移動体が前記末端部から前記前方側に突出することなく前記前後フレーム上に位置し、前記左右フレームが前記前後フレームの上方に位置して前記前後フレームと交差するように前記前後移動体の上に支持され、前記前後フレームが位置する前記第2の空間領域以下の空間領域に前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、前記左右移動体が前記左右方向に移動したときに、前記取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前記前後フレームとが干渉しないように、前記前後フレームの長さ、前記前後移動体、前記左右フレーム、前記左右移動体及び前記上下アームの形状寸法がそれぞれ定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項5】
前記左右フレームの長手方向の中央部が前記前後移動体に支持されている請求項2または4に記載の成形品取出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂射出成形機の上に設けられて樹脂射出成形機によって成形された樹脂成形品を成形型の上方から取り出す成形品取出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2012−240290号公報の
図1に示された成形品取出機は、樹脂射出成形機の固定プラテンに一端部が固定された支持フレームの他端部に対して、樹脂射出成形機の操作側にて樹脂射出成形機の中心軸線と一致する前後方向で、型開した金型と射出ユニットに至る長さからなる前後フレーム(19)の中心部を固定している。そして前後フレーム(19)上を前後方向へ往復移動する前後走行体(21)に対し、左右フレーム(25)を左右方向へ移動するように支持する。さらに左右フレーム(25)に対して左右走行体(29)を左右方向へ往復移動するように支持し左右走行体(29)に対して下部に樹脂成形品(37)を保持する保持部材(取り出しヘッド)(39)が設けられた上下アーム(33)を昇降するように支持する。この従来の成形品取出機では、樹脂成形品を保持した上下アーム(33)の保持部材(39)を金型上方と前後フレーム(19)を乗り越えて樹脂成形機外の操作側又は反操作側の間で移動して樹脂成型品の取出しを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−240290号公報
図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の成形品取出機では、樹脂成形品を保持した上下アーム(33)の保持部材を前後フレーム(19)を乗り越えて樹脂成形機外の操作側と反操作側との間で移動させる構造を採用しているため、上下アームの上下方向の移動範囲が広くなり、成形品取出機の高さ方向の設置スペースを低くすることに限界があった。そのため天井高さが低い工場では、樹脂成形機外の操作側と反操作側との間で構造樹脂成形品を保持した上下アーム(33)の保持部材を移動させる成形品取出機を使用することができない問題があった。また特許文献1に記載の成形品取出機のように、樹脂成形品を保持した上下アーム(33)の保持部材を、前後フレーム(19)を乗り越えさせる構造では、前後フレームの前方側の端部よりも前方側の位置に保持部材を移動させることができず可動範囲を広げることに限界があった。
【0005】
本発明の目的は、従来よりも成形品取出機の高さ方向の設置スペースを低くすることができて、しかも取り出した樹脂成形品を樹脂射出成形機から従来よりも離れた位置に搬送することを可能にする成形品取出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書では、射出ユニットと型締めユニットとの間に成形型を有する可動ユニットを備えた樹脂射出成形機の成形型の開閉方向を前後方向と定義し、射出ユニットが位置する方向を後方及び型締めユニットが位置する方向を前方と定義し、さらに前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向と定義し、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向と定義する。本発明が改良の対象とする成形品取出機は、前後フレームと、前後移動体と、左右フレームと、左右移動体と、上下アームと取り出しヘッドと、制御部とを備えている。前後フレームは、樹脂射出成形機の固定プラテンに固定された支持フレームに固定されて、樹脂射出成形機が位置する第1の空間領域よりも上側に位置する第2の空間領域内を少なくとも射出ユニット及び可動ユニットに沿って前後方向に延びる。前後移動体は、前後フレームに沿って前後方向に移動する。左右フレームは、前後移動体に左右方向に移動可能に支持される。左右移動体は、左右フレームに沿って左右方向に移動する。上下アームは、左右移動体に上下方向に移動可能に支持される。そして取り出しヘッドは、上下アームの先端に設けられる。そして制御部は、前後移動体の移動、左右フレームの移動、左右移動体の移動、上下アームの移動及び取り出しヘッドの動作を制御する。
【0007】
本発明では、前後移動体が前後フレームの前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、
前後移動体が末端部から前方側に突出することなく前後フレーム上に位置し、左右フレームが前後フレームの上方で左右方向に移動可能に前後移動体の上に支持され、且つ前後フレームが位置する第2の空間領域以下の空間領域に取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、左右フレーム及び左右移動体の少なくとも一方が左右方向に移動したときに、取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前後フレームとが干渉しないように、前後フレームの長さ、前後移動体、左右フレーム、左右移動体及び上下アームの形状寸法がそれぞれ定めている。
【0008】
このようにすると、前後移動体が前方側の末端部よりも後方側に位置し且つ前後フレームが位置する第2の空間領域以下の空間領域に取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置していて、その状態から左右フレーム及び左右移動体の少なくとも一方が左右方向に移動したときに、取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前後フレームとが干渉する状態であっても、前後移動体が前後フレームの前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、左右フレーム及び左右移動体の少なくとも一方が左右方向に移動したときに、取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前後フレームとが干渉しないように、前後フレームの長さ、前後移動体、左右フレーム、左右移動体及び上下アームの形状寸法をそれぞれ定めているので、上下アームを上方に移動させることなく、上下アームを前後フレームの反対側に移動させることができる。その結果、従来よりも成形品取出機の高さ方向の設置スペースを低くすることができ、前後フレームの前方にも作業スペースを広げることができる。
【0009】
左右フレームは、前後移動体に支持されて、前後フレームと交差するだけでもよい。すなわち左右フレームが前後移動体に左右方向に移動可能に支持されていなくてもよい。この場合には、前後移動体が前後フレームの前方側の末端部またはその近傍に位置しているときに、
前後移動体が末端部から前方側に突出することなく前後フレーム上に位置し、左右フレームが前後フレームの上方に位置して前後フレームと交差するように前後移動体の上に支持され、且つ前後フレームが位置する第2の空間領域以下の空間領域に取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態で、左右移動体が左右方向に移動したときに、取り出しヘッドまたは前記取り出しヘッドに保持された樹脂成形品と前後フレームとが干渉しないように、前後フレームの長さ、前後移動体、左右フレーム、左右移動体及び上下アームの形状寸法がそれぞれ定められればよい。
【0010】
前後フレームの長さは、成形品の取出を可能にする長さであればよく、少なくとも射出ユニットに沿って前後方向に延びていればよい。
【0011】
上下アームと取り出しヘッドとの間に反転部が配置されている場合にも、本発明は当然にして適用できる。
【0012】
左右フレームが移動しないように左右フレームが前後移動体に支持される場合、左右フレームの長手方向の中央部が前後移動体に支持されているのが好ましい。このようにすると、汎用性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)乃至(C)は、樹脂射出成形機に対して配置した成形品生産設備を正面右前方側から見た斜視図、正面図及び平面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、成形品生産設備の左側面図及び右側面図である。
【
図3】(A)乃至(E)は、成形品取出機で成形品を取り出した後の動作状態を時間の経過を追って示す図である。
【
図5】(A)及び(B)は、第2の実施の形態の正面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の成形品取出機の実施の形態について説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1(A)乃至(C)は、本発明の第1の実施の形態の成形品取出機1の可動ユニット32を透明な状態で示した樹脂射出成形機3に対して配置した成形品生産設備5を正面右前方側から見た斜視図、後方側から見た斜視図、正面図及び平面図である。
図1(A)乃至(C)においては、上下アーム19が最上方位置にある。
図2(A)及び(B)は、成形品生産設備5の左側面図及び右側面図である。
【0016】
樹脂射出成形機3は射出ユニット31と型締めユニット33との間に成形型を有する可動ユニット32を備えている。射出ユニット31には、射出用モータや、計量用モータ及びノズルタッチ用モータ等の各種のモータが備わっている。透明な状態で示した可動ユニット32は、2プレート型の成形型(固定型と可動型)を備えている。また型締めユニット33には、型締用モータ及び突出し用モータ等が備わっている。そして、各モータはモータ駆動装置により駆動制御される。
【0017】
本実施の形態では、
図1(A)に示したように、樹脂射出成形機3の可動ユニット32の成形型の開閉方向を前後方向(X方向)と定義し、さらに前後方向と直交し且つ水平方向に延びる方向を左右方向(Y方向)と定義し、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向(Z方向)と定義する。また射出ユニット31が位置する方向を後方及び型締めユニット33が位置する方向を前方と定義する。
【0018】
成形品生産設備5は、樹脂射出成形機3の左右方向(Y方向)の一方の側方に、成形品取出機1で取り出した樹脂成形品を置くベルトコンベア51と、残部を廃棄する廃棄箱53を備えている。また
図1(A)乃至(C)には、樹脂射出成形機3の前方にも樹脂成形品を置く成形品置き場55を図示してある。
【0019】
成形品取出機1は、前後フレーム11と、前後移動体13と、左右フレーム15と、左右移動体17と、上下アーム19と、反転部20と、取り出しヘッド21と、制御部23とを備えている。前後フレーム11は、樹脂射出成形機3の固定プラテン34に固定された支持フレーム35に固定されており、樹脂射出成形機3が位置する第1の空間領域SA1よりも上側に位置する第2の空間領域SA2内を射出ユニット31、可動ユニット32及び型締めユニット33に沿って前後方向(X方向)に延びている。図示しない駆動源を備えた前後移動体13は、前後フレーム11に沿って前後方向に移動する。左右フレーム15は、前後移動体13に左右方向に移動可能に支持されている。図示しない駆動源を備えた左右移動体17は、左右フレーム15に沿って左右方向に移動する。上下アーム19は、左右移動体17に上下方向に移動可能に支持されている。そして取り出しヘッド21は、上下アーム19の先端に設けられている。そして制御部23は、前後移動体13の移動、左右フレーム15の移動、左右移動体17の移動、上下アーム19の移動及び取り出しヘッド21の動作を制御する。
【0020】
本実施の形態では、前後移動体13が前後フレーム11の前方側の末端部11Aまたはその近傍に位置しているときに、
前後移動体13が末端部11Aから前方側に突出することなく前後フレーム11上に位置し、左右フレーム15が前後フレーム11の上方で左右方向に移動可能に前後移動体13の上に支持され、且つ前後フレーム11が位置する第2の空間領域SA2以下の空間領域SA1に上下アーム19の先端が位置している状態から左右フレーム15及び左右移動体17の少なくとも一方が左右方向(Y方向)に移動したときに、取り出しヘッド21または前記取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11とが干渉する状態から、制御部23により前後移動体13の移動、左右フレーム15の移動及び左右移動体17の移動だけを制御して、上下アーム19と前後フレーム11とを干渉させずに上下アーム19を前後フレーム11の前方側の末端部11Aの前方を移動させることを可能にするように、前後フレーム11の長さ、前後移動体13、左右フレーム15、左右移動体17及び上下アーム19の形状寸法がそれぞれ定めている。なお制御回路は、制御部23以外の部分に分散して配置されていてもよいのは勿論である。
【0021】
このようにすると、取り出しヘッド21または前記取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11´とが干渉する状態から、制御部23により前後移動体13の移動、左右フレーム15の移動及び左右移動体17の移動だけを制御して、上下アーム19と前後フレーム11とを干渉させずに上下アーム19を前後フレーム11の前方側の末端部11Aの前方を移動させることになるので、取り出しヘッド21を、前後フレーム11を乗り越えさせる必要がない。そのため従来よりも成形品取出機1の高さ方向の設置スペースを低くすることができ、
図1(C)に示すように前後フレーム11の前方領域R1[成形品置き場55の領域]及び前後フレーム11の側方領域R2にも作業スペースを広げることができる。
【0022】
図3(A)乃至(E)には、成形品取出機1で成形品を取り出した後の動作状態を時間の経過を追って示してある。
図3(A)の状態では、前後移動体13が前方側の末端部よりも後方側に位置し且つ前後フレーム11が位置する第2の空間領域SA2以下の空間領域に上下アーム19の先端が位置していて、その状態から左右フレーム15及び左右移動体17の少なくとも一方が左右方向に移動したときに、上下アーム19と前後フレーム11とが干渉する。そこで
図3(B)及び(C)に示すように、前後移動体13が前後フレームの前方側の末端部11Aまたはその近傍に位置しているときに、左右フレーム15及び左右移動体17が左右方向に移動しても、上下アーム19と前後フレーム11とが干渉しないように、前後フレーム11の長さ、前後移動体13、左右フレーム15、左右移動体17及び上下アーム19の形状寸法をそれぞれ定めているので、上下アーム19を上方に移動させることなく、上下アーム19を前後フレーム11の末端部11Aの前方を通過させて反対側に移動させることができる。その後、前後フレーム11に沿って前後移動体13を後方に移動させる[
図3(D)及び(E)]。
【0023】
図4は、前後フレーム11
´の長さを短くした第2の実施の形態の斜視図であり、
図5(A)及び(B)は第2の実施の形態の正面図及び平面図である。第2の実施の形態において、
図1乃至
図3に示した第1の実施の形態と同様の部分には、
図1乃至
図3に付した符号と同じ符号を付してあり、異なる部分には
図1乃至
図3に付した符号にダッシュを付してある。本実施の形態では、前後フレーム11´が、射出ユニット31に全体的に沿い、前後フレーム11´の一部が可動ユニット32の一部に沿って延びている点で、第1の実施の形態と相違する。その他の点は、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態においても、前後移動体13が前後フレーム11´の前方側の末端部11´Aまたはその近傍に位置しているときに、
前後移動体13が末端部11´Aから前方側に突出することなく前後フレーム11´上に位置し、左右フレーム15が前後フレーム11´の上方に位置して前後フレーム11´と交差するように前後移動体13の上に支持され、前後フレーム11´が位置する第2の空間領域SA2以下の空間領域SA1に取り出しヘッド21または取り出しヘッドに保持された樹脂成形品が位置している状態から左右フレーム15及び左右移動体17の少なくとも一方が左右方向(Y方向)に移動したときに、取り出しヘッド21´または取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11とが干渉する状態から、制御部23により前後移動体13の移動、左右フレーム15の移動及び左右移動体17の移動だけを制御して、取り出しヘッド21または取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11´とを干渉させずに上下アーム19を前後フレーム11´の前方側の末端部11´Aの前方を移動させることを可能にするように、前後フレーム11´の長さ、前後移動体13、左右フレーム15、左右移動体17及び上下アーム19の形状寸法をそれぞれ定めている。
【0024】
その結果、取り出しヘッド21または取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11´とが干渉する状態から、制御部23により前後移動体13の移動、左右フレーム15の移動及び左右移動体17の移動だけを制御して、取り出しヘッド21または取り出しヘッド21に保持された樹脂成形品と前後フレーム11´とを干渉させずに上下アーム19を前後フレーム11´の前方側の末端部11´Aの前方を移動させることになるので、取り出しヘッド21を、前後フレーム11´を乗り越えさせる必要がない。そのため従来よりも成形品取出機1の高さ方向の設置スペースを低くすることができ、
図5(B)に示すように前後フレーム11´の前方領域R3にも作業スペースを広げることができる。
【0025】
上記第1及び第2の実施の形態では左右フレーム15を移動可能にしているが、左右フレーム15を前後移動体13に固定した状態にしてもよい。この場合には、左右フレーム15の中央部が前後移動体13に対して固定状態になるようにするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、従来よりも成形品取出機の高さ方向の設置スペースを低くすることができ、前後フレームの前方にも作業スペースを広げることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 成形品取出機
3 樹脂射出成形機
5 成形品生産設備
11,11´ 前後フレーム
11A,11´A 末端部
13 前後移動体
15 左右フレーム
17 右移動体
19 上下アーム
21 取り出しヘッド
23 制御部
31 射出ユニット
32 可動ユニット
33 型締めユニット
34 固定プラテン
35 支持フレーム
51 ベルトコンベア
53 廃棄箱