(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切断刃(16〜19)の固定刃(22・26)と可動刃(23・27)が、かみそりヘッド(2)に対して上下動可能に弾性支持されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
図1ないし
図13は、本発明に係る電気かみそりの実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。
図2、
図3において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1で上下動可能かつ左右傾動可能に支持したかみそりヘッド2を備えている。かみそりヘッド2は本体ケース1の上部に設けられる。本体ケース1の内部には、モーター3、2次電池4、および制御基板5などの電装品が配置されている。制御基板5には、モーター3への通電状態を切換えるスイッチや、電池残量を発光表示するLED6などが実装されている。本体ケース1の前面には、先のスイッチを切換え操作するスイッチボタン8が配置されている。また、
図3に示すように、本体ケース1の後面側には、きわ剃り刃9と、きわ剃り刃9を駆動位置へ押し上げ操作するスライドノブ10が設けられている。この実施例では、かみそりヘッド2が本体ケース1で、上下動可能かつ左右傾動可能に支持してある電気かみそりについて説明するが、かみそりヘッド2は本体ケース1に固定してあってもよい。
図1、
図2において、符号3aはモーター3の出力軸である。
【0018】
図3に示すようにかみそりヘッド2は、ヘッドベース13と、同ベース13に着脱可能に装着される固定刃ホルダー14を基体にして構成されており、ヘッドベース13は、モーターホルダー(図示していない)に固定したケース体15に締結固定されている。モーターホルダーの下部と本体ケース1の間に、かみそりヘッド2を上下動可能かつ左右傾動可能に支持するフロート構造が設けられている。固定刃ホルダー14には、前側から順に仕上げ剃り用の第1メイン刃(切断刃)16と、粗剃り用のセンター刃(切断刃)17と、仕上げ剃り用の第2メイン刃(切断刃)18と、粗剃り用のサブ刃(切断刃)19が配置されている。
【0019】
図4に示すように各メイン刃16・18は、網刃からなる固定刃(外刃)22と、固定刃22の内面に摺接するスリット刃からなる可動刃(内刃)23を備えており、主に短毛を仕上げ切断する。固定刃22は固定刃フレーム24に固定されて逆U字状に湾曲しており、可動刃23は可動刃フレーム25に固定されて逆U字状に湾曲している。第1メイン刃16と第2メイン刃18は同じ大きさになっており、両者の外形寸法に違いはない。
【0020】
センター刃17およびサブ刃19は、それぞれスリット刃からなる固定刃26と、固定刃26の内面に摺接する櫛刃からなる可動刃27を備えており、主に長毛やくせ髭を切断する。固定刃26は固定刃フレーム28に支持されており、可動刃27は可動刃フレーム29でそれぞれ支持されている。各固定刃フレーム24・28は、固定刃支持ベース30に組付けられている。この状態の各固定刃フレーム24・28は、固定刃支持ベース30と固定刃フレーム24・28の間に配置した弾性手段である固定刃ばね(ばね)31(
図5参照)で上方に押上げ付勢されて、各固定刃フレーム24・28の左右両端に設けたスライド片32が、固定刃支持ベース30に設けたガイド溝33の上端で受け止められている(
図6参照)。そのため、固定刃26および固定刃フレーム24・28は、肌面から押付け反力を受けるとき固定刃支持ベース30側(下方)へ沈込む。センター刃17およびサブ刃19の固定刃26を押し上げ付勢する固定刃ばね31のばね荷重は、各メイン刃16・18の固定刃22を押し上げ付勢する固定刃ばね31のばね荷重より小さく設定されている。これは、センター刃17およびサブ刃19の固定刃26を、各メイン刃16・18の固定刃22より沈ませやすくして、肌当りをソフトにするためである。スイッチボタン8を操作しモーター8を回転駆動することにより、固定刃22・26の内面にて可動刃23・27が摺動する。
【0021】
各固定刃22・26には、ひげ導入用の刃穴(スリットを含む)を形成するが、センター刃17およびサブ刃19の個々の刃穴の開口面積を、第1メイン刃16および第2メイン刃18の個々の刃穴の開口面積より大きくして、より大量のひげを導入しやすくしている。とくに、かみそりヘッド2の後端に配置したサブ刃19の個々の刃穴の開口面積は、他の切断刃の個々の刃穴の開口面積に比べて最大となっており、長宅やくせ毛を効果的に導入して早剃りを行えるようになっている。
【0022】
図6ないし
図8に示すように、ヘッドベース13の左右には、ヘッドベース13に装着した固定刃ホルダー14を分離不能にロック保持する取外しボタン36が左右スライド自在に組まれて、ボタンばね37で外方に向けて押出し付勢されている。本実施例におけるボタンばね37は、金属製のコイルばねであるが、これに限定されず、金属製の板ばね、樹脂製のコイルばね等であってもよい。また、取外しボタン36と一体で構成されるばねであってもよい。取外しボタン36は、ボタン本体38と、ボタン本体38の上部に設けた垂直の受壁39と、ボタン本体38の下部に設けた係合爪40と、ボタン本体38の前後に設けた係合段部41を一体に備えたプラスチック成形品からなる。ヘッドベース13には、係合爪40に対応する係合溝42が形成され、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの内面には、係合段部41に対応する係合爪43が形成されている。ボタン本体38および後述する分離突起47は、ホルダー側枠14aに設けた操作窓44から側外方へ突出している(
図6参照)。なお、かみそりヘッド2が本体ケース1に固定してある電気かみそりの場合には、上記のヘッドベース13に相当する部分は、固定刃ホルダー14が装着される本体ケース1側の構造体となる。
【0023】
固定刃支持ベース30は左右横長の四角枠体からなり、その左右の側端枠30aに弾性変形可能な逆J字状の取外しアーム46が一体に設けられており、同アーム46の下端から半円状の分離突起47が外側方へ向かって突設されている。側端枠30aの外側面には、受壁39用の逃げ凹部48が形成されており、先のガイド溝33が側端枠30aの前後に形成されている。取外しアーム46の外側面には、固定刃ホルダー14の側端枠14aの内面に凹み形成した係合凹部49と係合する係合爪50が形成されている。
【0024】
固定刃支持ベース30に各メイン刃16・18の固定刃フレーム24と、センター刃17およびサブ刃19の固定刃フレーム28を組付け、この状態の固定刃支持ベース30を固定刃ホルダー14の内面に下面側から組付けることにより、各固定刃22・22・26・26を固定刃ホルダー14と一体化できる。この状態では、
図6に示すように、取外しアーム46の係合爪50が固定刃ホルダー14の内面の係合凹部49と係合している。また、固定刃支持ベース30が組付けられた固定刃ホルダー14をヘッドベース13に組み付けることにより、
図6に示すように固定刃ホルダー14の係合爪43が取外しボタン36の係合段部41と係合して、分離不能に保持固定されている。さらに、取外しアーム46の下部内面が、取外しボタン36の受壁39で受止められている。
【0025】
かみそりヘッド2の内部の毛屑を除去し、あるいは耐用期間が過ぎたメイン刃16・18や、センター刃17およびサブ刃19を交換する場合には、取外しボタン36と分離突起47を同時に操作して、固定刃ホルダー14をヘッドベース13から取外す。詳しくは、
図7に示すように、一方の親指と人差し指で取外しボタン36を掴み、他方の親指と人差し指で分離突起47を掴んで、ボタンばね37の付勢力と取外しアーム46の弾性力に抗して両者36・47を同時に押込み操作する。このとき、分離突起47に加わった押込み力は、受壁39を介して取外しボタン36に作用する。そのため、単に取外しボタン36のみを押込み操作する場合に比べて、取外しボタン36に作用する押込み力が約2倍になる状態で、取外しボタン36を確実にしかも軽快に押込み操作して、取外しボタン36の係合段部41を係合爪43から離脱させ、固定刃ホルダー14をヘッドベース13から取外すことができる。
【0026】
上記のように、固定刃ホルダー14を取外した状態では、かみそりヘッド2の内部が開放されるので、毛屑を清掃除去し、あるいは全ての可動刃23・23・27・27を交換することができる。また、固定刃ホルダー14を保持した状態で、一対の分離突起47を押し込み操作することにより、固定刃支持ベース30を固定刃ホルダー14から取外して、固定刃支持ベース30および固定刃22・26の清掃や交換を行うことができる。また、固定刃ホルダー14を保持した状態で、一対の分離突起47を押し込み操作することにより、取外しアーム46の係合爪50と固定刃ホルダー14に形成された係合凹部49との係合状態を解除することができ、固定刃支持ベース30を固定刃ホルダー14から下向きに取外すことができる。これにより、固定刃支持ベース30および固定刃22・26の清掃や交換を行うことができる。このように、固定刃22・26を支持する固定刃フレーム24・28および固定刃フレーム24・28を支持する固定刃支持ベース30を固定刃ホルダー14から着脱操作する取外しアーム46と分離突起47が、取外しボタン36の押込みをサポートする操作手段を兼ねているので、着脱構造を簡素化することができる。なお、本実施例では、このように取外しアーム46と分離突起47を兼用の操作手段としたが、これに限定されるものではない。例えば、固定刃ホルダー14に対して固定刃支持ベース30を着脱構造とせず固定構造としたうえで、取外しアーム46と分離突起47を固定刃ホルダー14の内壁に直接固定した構造として、取外しボタン36の押込みを専用にサポートする操作手段とすることができる。この場合も取外しボタン36の突出端よりも外方に分離突起47の突出端が位置するように設定する方が好ましい。取外しアーム46は、本実施例では、弾性変形可能な逆J字状の構造体となっているが、これに限定されず、弾性変形可能であれば、例えば、I字状(直線状)の構造体であってもよい。さらに、取外しアーム46は、コイルばねまたは板状ばねと、受壁39を押圧するアーム片を有する横臥したハット型のベース体との組み合わせ構造であってもよい。この場合、ハット型のベース体の頂部に一体で分離突起47を設ければよい。
【0027】
各メイン刃16・18とセンター刃17およびサブ刃19の合計4個の可動刃23・27を左右および前後に往復駆動するために、モーター3と可動刃23・27の間に可動刃駆動構造を設けている。この実施例では、第1メイン刃16とセンター刃17で前側の切断刃群C1を構成し、第2メイン刃18とサブ刃19で後側の切断刃群C2を構成し、各切断刃群C1・C2ごとに可動刃駆動構造D1・D2を設けている。
図1および
図9において可動刃駆動構造D1・D2は、モーター3と、モーター3と可動刃23・27の間に配置されるカム構造(動作変換構造)および駆動レバー55・56と、駆動レバー55・56の揺動動作を可動刃23・27に伝動する4個の連結ピン(連結体)57・58・59・60などで構成する。カム構造は、モーター3の出力軸3aに固定した偏心カム62・63と、各駆動レバー55・56の揺動先端に形成したカム溝64・65で構成する。
【0028】
図1に示すように、前側の切断刃群C1に対応する可動刃駆動構造D1の駆動レバー55は、モーター3の中心軸線を通り左右に延びる垂直平面より前側に配置されて、その前端が揺動中心軸68で左右揺動可能に軸支されている。また、後側の切断刃群C2に対応する可動刃駆動構造D2の駆動レバー56は、モーター3の中心軸線を通り左右に延びる垂直平面より後側に配置されて、その後端が揺動中心軸69で左右揺動可能に軸支されている。なお、揺動中心軸68・69はヘッドベース13に設けた前後一対のブラケット70・70に固定されている。
図9に示すように、一対の駆動レバー55・56の揺動先端にはそれぞれ受動腕71・72が設けられており、各受動腕71・72の板面に、各偏心カム62・63と係合するカム溝64・65が形成されている。各受動腕71・72は、モーター3の中心軸上で上下に間隔をあけて隣接する状態で設けられている。このように、可動刃駆動構造D1と可動刃駆動構造D2は、モーター3を共通の駆動源としており、1個のモーター3のみで4個の可動刃23・27を往復駆動する。
【0029】
前側の駆動レバー55には、同レバー55の往復動作を第1メイン刃16とセンター刃17の可動刃23・27に伝動する連結ピン(連結体)57・58が所定の間隔をあけて固定されている。また、後側の駆動レバー56には、同レバー56の往復動作を第2メイン刃18とサブ刃19の可動刃23・27に伝動する連結ピン(連結体)59・60が、所定の間隔をあけて固定されている。このように、各連結ピン57〜60の配置位置を異ならせることにより、各連結ピン57・58と揺動中心軸68の間の前後距離が異なり、各連結ピン59・60と揺動中心軸69の間の前後距離が異なることになる。
図5に示すように、各連結ピン57〜60の上端は、各可動刃フレーム25・25・29・29に設けた連結穴73〜76に係合しており、両者の間には各可動刃23・27を固定刃22・26へ向かって押し上げ付勢する弾性手段である可動刃ばね(ばね)77が配置されている。センター刃17およびサブ刃19の可動刃27を押し上げ付勢する可動刃ばね77のばね荷重は、各メイン刃16・18の可動刃23を押し上げ付勢する可動刃ばね77のばね荷重より小さく設定されている。これにより、センター刃17およびサブ刃19の固定刃26を、各メイン刃16・18の固定刃22より沈ませやすくして、肌当りをソフトにすることができる。なお、可動刃駆動構造D1・D2の構成部品の内、モーター3を除く各部材はケース体15の内部に収容されて、ケース体15の上面をシールするパッキン(図示していない)で封止されており、各連結ピン57・58・59・60のみがパッキンを貫通して、各可動刃23・27に駆動レバー55・56の揺動動作を伝動する。
【0030】
ひげ剃り時には、前側の可動刃駆動構造D1の駆動レバー55と、後側の可動刃駆動構造D2の駆動レバー56をモーター動力で同時に揺動駆動して、4個の各可動刃23・27を往復駆動する。このとき、モーター3の回転方向は、一方向(
図1に向かって時計回転方向)であるので、各駆動構造D1・D2における駆動レバー55・56は、互いに逆向きに同期した状態で揺動駆動され、前側の切断刃群C1の可動刃23・27と、後側の切断刃群C2の可動刃23・27は、互いに逆向きに往復駆動される。そのため、前後の可動刃23・27が往復移動するときの振動を互いに打消し合って肌面に不快な振動が作用するのを解消でき、より滑らかにひげ切断を行うことができる。
【0031】
また、
図10に示すように、各可動刃23・27は、対応する固定刃22・26に対して左右に往復移動しながら、僅かに前後移動する。そのため、各可動刃23・27は、固定刃22・26に捕捉されたひげを、引切り作用を発揮して、ひげ切断を円滑にしかも的確に行える。また、前側の切断刃群C1においては、駆動レバー55の揺動中心軸68の中心から各連結ピン57・58の中心までの前後距離が異なるため、揺動中心軸68に近い側の可動刃23の左右の往復ストロークS1、および前後移動量T1は、揺動中心軸68から遠い側の可動刃27の左右の往復ストロークS2、および前後移動量T2に比べて小さくなる。後側の切断刃群C2においても同様の差が生じる。
【0032】
詳しくは、前側の切断刃群C1においては、センター刃17の可動刃27の左右ストロークS2と前後移動量T2と往復速度が、第1メイン刃16の可動刃23の左右ストロークS1と前後移動量T1と往復速度より大きくなる。そのため、センター刃17で長毛やくせ髭を効果的に切断したのち、前後に隣接する各メイン刃16・18で短毛を効果的に仕上げ切断できる。また、後側の切断刃群C2においては、第2メイン刃18の可動刃23の左右ストロークS2と前後移動量T2と往復速度が、サブ刃19の可動刃27の左右ストロークS1と前後移動量T1と往復速度がより大きくなる。後側の切断刃群C2におけるサブ刃19の可動刃27を駆動する連結ピン60と揺動中心軸69の中心間距離は、第2メイン刃18の可動刃23を駆動する連結ピン59と揺動中心軸69の中心間距離より小さい。そのため、サブ刃19の可動刃27には、第2メイン刃18の可動刃23に比べて、より大きな揺動トルクが作用する。そのため、刃穴の開口面積が大きなサブ刃19の固定刃26に捕捉された長宅やくせ毛を効果的に切断して、効率よくひげ切断を行える。
【0033】
上記のように構成した電気かみそりは、センター刃17およびサブ刃19の固定刃26がスリット刃として構成してあるため肌当りが悪く、網刃構造の固定刃22に比べて滑らかな肌当り感が得られにくい。しかも、全ての可動刃23・27が前後に振動するので、ひげ剃り後にヒリヒリ感を生じやすい傾向がある。こうした使用感を改善し、滑らかな肌当り感を得るために、各メイン刃16・18の固定刃22の左右両端と、センター刃17およびサブ刃19の固定刃26の左右両端のそれぞれに、肌当り突部81〜84を設けている。具体的には、各メイン刃16・18の固定刃22を支持する固定刃フレーム24において、左右の側端枠24aの上端に各固定刃22の頂部より上方へ突出する肌当り突部81・83を設けている。また、センター刃17およびサブ刃19の固定刃26を支持する固定刃フレーム28において、左右の側端枠28aの上端に各固定刃26の頂部より上方へ突出する肌当り突部82・84を設けている。
【0034】
上記の寸法関係を整理すると
図11に示す通りとなる。まず、可動刃23・27の往復移動方向と平行で、可動刃23・27の摺動面より下方に位置する仮想基準線Pを想定する。この仮想基準線Pから、粗剃り用のセンター刃17およびサブ刃19の固定刃26に設けた肌当り突部82・84の頂部までの上下高さをH1とし、仮想基準線Pから仕上げ剃り用の第1、第2のメイン刃16・18の固定刃22に設けた肌当り突部81・83の頂部までの上下高さをH2とするとき、不等式(H1>H2)を満足するように各肌当り突部83・84を配置する。また、仮想基準線Pから仕上げ剃り用の第1、第2のメイン刃16・18の固定刃22の頂部までの上下高さをH3とし、仮想基準線Pから粗剃り用のセンター刃17およびサブ刃19の固定刃26の頂部までの上下高さをH4とするとき、不等式(H3≧H4)を満足するように各固定刃22・26を配置する。なお、仮想基準線Pから仕上げ剃り用の第1、第2のメイン刃16・18の固定刃22の頂部までの上下高さH3は、仮想基準線Pから仕上げ剃り用の第1、第2のメイン刃16・18の固定刃22に設けた肌当り突部81・83の頂部までの上下高さH2より僅かに小さく設定してある(H2>H3)。
【0035】
上記のように、肌当り突部83・84を肌当り突部81・83より上方に突出させ、さらに、固定刃22の頂部を固定刃26の頂部より上方に位置させると、肌面がセンター刃17およびサブ刃19の固定刃26に先当りするのを解消して、肌面が後者の固定刃26のスリット内に大きく落ち込むのを解消できる。従って、ひげ剃り時の肌当り感を滑らかなものとして、ひげ剃り後にヒリヒリ感が生じるのを解消できる。
【0036】
通常のひげ剃り時には、かみそりヘッド2を各可動刃23・27の往復動方向と直交する前後方向へ移動させるが、かみそりヘッド2を各可動刃23・27の往復動方向に沿って移動させながらひげ切断を行うことがある。こうした場合に、各固定刃22・26を円滑に沈み込ませて肌当りをソフトなものとするために、かみそりヘッド2を前後方向から見るときの側端枠24a・28a(肌当り突部81〜84)に、頂部から側端部にわたって下り傾斜する傾斜面85・86を形成している。この実施例では、第1メイン刃16、センター刃17、および第2メイン刃18に設けた傾斜面85を、頂部から側端へ向かって下り傾斜状に形成し、その上下端を丸めるようにした。また、
図6に示すように、かみそりヘッド2を前後方向から見るとき傾斜面85は、外突湾曲面状の傾斜面で形成されている。
【0037】
図12に示すように、かみそりヘッド2を前後方向から見るときサブ刃19の傾斜面86は、外突湾曲面状の傾斜面で形成して、その左右中央の溝(凹部)80内に配置した金属製のローラー87が肌当り突起84として機能するようにした。つまり、頂部から側端部にわたって下り傾斜する外突湾曲状の傾斜面86で形成される側端枠28aにローラー87が設けられている。換言すれば、かみそりヘッド2の外方に向けて下り傾斜する外突湾曲状の傾斜面86で形成される側端枠28aにローラー87が設けられている。そして、
図12に示すようにローラー87の周面は肌当り面となっており、傾斜面86に沿って外突湾曲状に傾斜している。すなわち、ローラー87の周面は、外方に向けて下り傾斜する外突湾曲状の傾斜面となっている。ローラー87は、概略横臥した截頭円錐状のローラーとなっている。それぞれ切断刃16〜19において左右2個ある側端枠24a・28aの一方側の側端枠24a・28aについて、外突湾曲面状の傾斜面が左右方向(幅方向)の大半に亘って設けられている。これにより、よりソフトな肌当りとすることができる。ローラー87はピン(回転軸)88で水平軸回りに回転自在に軸支されており、その周面は外突湾曲面状の傾斜面86と面一になっている。ピン88は、溝80の左右に形成された穴80aに挿通されることで、その軸方向が、左右方向と一致する向きとなるように側端枠28aの溝80を跨ぐ状態で配設されている。したがって、ローラー87は側端枠28aに左右方向の水平軸回りに回転可能な状態で取り付けられる。また、ローラー87は、固定されたピン88に対してベアリングを介して回転可能に設けることもできる。本実施例では、側端枠28aにピン88を固定したうえで、固定されたピン88に対して回転可能にローラー87を軸支しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ピン88とローラー87を一体で構成したうえで、側端枠28aのピン88を支持する穴80aにベアリング等の軸受を配し、この軸受でピン88を支持するように構成してローラー87を回転可能に支持した構造であってもよい。また、本実施例では、ピン88の両端部を支持した両持ち支持構造となっているが、ピン88の一方の端部のみを支持した片持ち支持構造であってもよい。この場合、支持されない側のピン88の端部に亘ってローラー87を設けることができるので、肌面との接触面積を増加することができ、より肌当りをソフトなものとすることができる。
【0038】
図13に示すように、ローラー87の後部周面を固定刃ホルダー14の後面側に突出させるために、固定刃ホルダー14の後枠の左右両側にローラー窓(切欠部)89が形成されている。
図5および
図11に示すように、ローラー87の後部周面および傾斜面86からなる肌当り突部84aが固定刃26の後面より後方へ突出させてあるので、肌当り突部84a、つまりローラー87の後部周面および傾斜面86を肌面に先当りさせて、肌面が固定刃26のスリットに直接押付けられるのを解消し、サブ刃19の肌当りをソフトなものとすることができる。ローラー87を利用して肌面にプラス極性とマイナス極性の微弱電流を供給するために、本体ケース1の内部に電流供給源90を設け、電流供給源90から導出したリード線91をピン88に接続している。微弱電流は、モーター3が運転状態にあるとき、ピン88を介してローラー87に出力されて、肌面に電流刺激を付与する。
【0039】
肌面に電流を供給できれば、ローラー87は、金属製に限定されず導電性樹脂であってもよい。さらに、ローラー87は、金属製の円筒状あるいは截頭円錐状のホイールの周りに導電ゴム製の円筒状あるいは截頭円錐状のタイヤを外嵌した構成であってもよい。また、本実施例では、一方のローラー87をプラス極性に、他方のローラー87をマイナス極性としているが、これに限定されるものではなく、グリップ兼用の本体ケース1の表面に金属製、導電ゴム製または導電樹脂からなる導電性部材を設け、これをグリップ電極とする。そして、2個のローラー87をともにプラス極性またはマイナス極性とし、グリップ電極を2個のローラー87の反対極性となるマイナス極性またはプラス極性として、人体を介して肌面に電流を供給する構成とすることができる。この場合、ローラー87は一対である必要はなく、左右どちらか1個のローラー87を配設した構造であってもよい。なお、肌面に電流を供給しない構成であれば、ローラー87は導電性を有するものでなくてもよく、ローラー87は、樹脂製の円筒状あるいは截頭円錐状のローラーであってもよく、あるいは樹脂製の円筒状あるいは截頭円錐状のホイールの周りにゴム製の円筒状あるいは截頭円錐状のタイヤを外嵌したローラーであってもよい。ローラー87の周面(肌当り面)に、天然ゴム、シリコーンゴム、エラストマー樹脂などのような摩擦係数の大きい弾性部材(滑り止め手段)を設けることで、肌面から受ける摩擦力によりローラー87を回転しやすくすることができる。これによりかみそりヘッド2をより滑らかに移動させることができる。さらに、ローラー87は、側端枠28aに設ける溝(凹部)80の形状を内凹みのドーム型凹部とし、このドーム型凹部に、球体(ボール)を設けたローラー構造であってもよい。この場合、球体は、ドーム型凹部に対して抜け出し不能で、かつ全方位に転動可能な状態で設けられる。要するに、ローラー87は、転がる構造であれば、軸回りに回転する回転構造に限定されるものではない。
【0040】
上記の傾斜面85・86の傾斜下端は、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの頂部より下方に位置させている。これは、傾斜面85・86の傾斜下端が肌面に食い込むのを防いで、肌当り感を滑らかにするためである。
図6、
図12に示すように、かみそりヘッド2を前後方向から見るときのホルダー側枠14aの上部には、頂部の側から側端部の側にわたって下り傾斜するホルダー傾斜面94が形成されている。このホルダー傾斜面94を通り、固定刃22・26の上方へ延びる仮想傾斜面Qを想定するとき、先の傾斜面85・86は仮想傾斜面Qより下方に位置している。これは、ホルダー側枠14aの上方に突出する傾斜面85・86が、ホルダー傾斜面94よりも先に肌面に当たるのを避けて、肌当り感を滑らかにするためである。
【0041】
先に説明した肌当り突部82・84は、センター刃17、サブ刃19の固定刃26より上側へ突出しているため、肌当り突部82・84が固定刃26に先行して肌面に当たって、肌面を大きく凹ませてしまうおそれがある。こうした事態を避けるために、センター刃17、サブ刃19の固定刃フレーム28の側端枠28aと固定刃26の間の内隅部に、固定刃26の側端外面を覆う緩衝部95を形成している。
図12および
図13に示すように、緩衝部95には、肌当り突部84から固定刃26へ向かって下り傾斜する緩衝傾斜面96が形成されており、この傾斜面96は固定刃26の前上隅から上面を経て後面に至る状態で形成されている。
【0042】
以上のように構成した電気かみそりによれば、4個の切断刃16〜19の各可動刃23・27を可動刃駆動構造D1・D2で左右および前後に往復駆動するので、ひげ切断時の可動刃23・27に引切り作用を発揮させて、ひげ切断を円滑にしかも的確に行うことができる。また、各切断刃16〜19の固定刃フレーム24・28の側端枠24a・28aに肌当り突部81〜84を設けて、肌面がセンター刃17およびサブ刃19の固定刃26に食い込むのを規制するので、ひげ剃り時の肌面に対する負担を軽減できる。さらに、肌面を肌当り突部81〜84で受け止めて、肌面が粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26に強く押付けられるのを規制できるので、可動刃23・27が前後振動することに伴う、ひげ剃り後のヒリヒリ感を解消でき、全体として電気かみそりの使用感を改善し、滑らかな肌当り感を得ることができる。
【0043】
以下に可動刃駆動構造の別の実施例、および肌当り突部の別の実施例について説明する。各実施例においては、主に実施例1と異なる構造や機能を説明し、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
(別実施例1)
図14は切断刃群C1・C2と可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例1を示す。そこでは、前側の切断刃群C1を3個の切断刃16・17・20で構成し、後側の切断刃群C2を2個の切断刃18・19で構成した。また、前側の駆動レバー55に固定した3個の連結ピン57・58・61の中心間距離L2と、前側の揺動中心軸68の中心と同中心軸68に最も近い連結ピン57の中心間距離L1を同じに設定した。中心間距離L1・L2を1とするとき、後側の駆動レバー56に固定した2個の連結ピン59・60の中心間距離L3は1.2とし、後側の揺動中心軸69の中心と同中心軸69に最も近い連結ピン60の中心間距離L4は1.5とした。
【0044】
上記のように、各切断刃16〜20に対応する連結ピン57〜61等の中心間距離L1〜L4が大小に異ならせていると、揺動中心軸68・69からの距離に応じて、可動刃23・27の左右ストロークSと前後移動量T、および往復速度と揺動トルクを大小に異ならせることができる。このように実施例2では、各連結ピン57〜61の配置位置を異ならせることにより、前後の駆動レバー55・56における各連結ピン57・58・61・59・60と揺動中心軸68の間の前後距離を全て異ならせて、5個の可動刃23・27の駆動位置が異なるようにした。
図14では、前側の切断刃群C1を、2個のメイン刃からなる切断刃16・20と、これら両者の間に配置したセンター刃からなる切断刃17で構成したが、メイン刃とセンター刃の組み合わせは必要に応じて自由に変更できる。例えば、3個のメイン刃のみで前側の切断刃群C1を構成してもよい。同様に、後側の切断刃群C2は、2個のメイン刃のみ、あるいは2個のサブ刃のみで構成してあってもよく、そのことは以下の実施例についても同じとする。
【0045】
(別実施例2)
図15は切断刃群C1・C2と可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例2を示す。そこでは、前側の切断刃群C1と後側の切断刃群C2を実施例1と同様に構成するが、後側の駆動レバー56を、モーター3の中心軸線と直交するかみそりヘッド2の前後中心軸に対して傾斜させる点が、実施例1の可動刃駆動構造D2と異なる。また、前側の駆動レバー55を駆動する偏心カム62を上側に、後側の駆動レバー56を駆動する偏心カム63を下側に設けている。なお、実施例1および2の可動刃駆動構造D1・D2においては、各偏心カム62・63のカム中心とモーター3の出力軸3aの軸中心が、モーター3の中心軸線と直交するかみそりヘッド2の前後中心軸上にあるとき、前後の駆動レバー55・56は、かみそりヘッド2の前後中心軸に沿って直線状に重なる。しかし、この実施例3においては、前後の駆動レバー55・56がかみそりヘッド2の前後中心軸に沿って直線状に重なることはない。
【0046】
上記のように、後側の駆動レバー56の揺動中心軸69の中心位置が、前側の揺動中心軸68の中心位置に対して左右いずれかへずらしていると、後側の駆動レバー56で駆動される可動刃23・27の前後移動量Tを、前側の駆動レバー55で駆動される可動刃23・27の前後移動量Tに比べて大きくすることができる。反面、各揺動中心軸68・69から連結ピン57〜60までの中心間距離が同じ条件で設定されている場合には、後側の駆動レバー56で駆動される可動刃23・27の左右ストロークSは、前側のそれに比べて小さくなる。
【0047】
(別実施例3)
図16は可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例3を示す。そこでは、前後の揺動中心軸68・69の中心位置が、かみそりヘッド2の前後中心軸上にあるとき、モーター3の中心位置をかみそりヘッド2の前後中心軸線の側方へずらして、前後の駆動レバー55・56のそれぞれを、かみそりヘッド2の前後中心軸に対して傾斜させるようにした。この場合の前側の切断刃群C1の可動刃23・27の動作特性と、後側の切断刃群C2の可動刃23・27の動作特性は同じであり、各駆動構造D1・D2における駆動レバー55・56は、互いに逆向きに同期した状態で揺動駆動される。
【0048】
(別実施例4)
図17および
図18は、切断刃群C1と可動刃駆動構造D1を変更した別実施例4を示す。そこでは、かみそりヘッド2に1個の切断刃群C1のみを設けるようにした。切断刃群C1は、メイン刃18とサブ刃19で構成し、駆動レバー56の揺動中心軸69に近い側の固定刃26をスリット刃で形成した。また、揺動中心軸69に近い側の固定刃26の個々の刃穴の開口面積を、揺動中心軸69から遠い側の固定刃22の個々の刃穴の開口面積より大きく設定した。このように、固定刃26をスリット刃で形成し、さらに個々の刃穴の開口面積を大きく設定することにより、より多くの長毛やくせ毛を導入して、早剃りを行うことができる。また、揺動中心軸69に近い側の固定刃26の個々の刃穴の開口面積を大きく設定するので、より多くの長毛やくせ毛が刃穴の導入された場合でも、駆動レバー56のモーメントアームが小さい分だけ負荷を小さくして、モーター3の負担を軽減できる。可動刃駆動構造D1は、駆動レバー56と、同レバー56に固定した2個の連結ピン59・60と、モーター3の出力軸3aに固定した偏心カム63と、駆動レバー56の下面に形成したカム溝65などで構成した。モーター3の中心位置は、前後の連結ピン59・60の前後中央に位置させている。この実施例における前後の可動刃23は、駆動レバー56に連動して左右方向へ同期して往復揺動するが、前側の可動刃23に比べて後側の可動刃23の揺動ストロークは小さくなる。
【0049】
(別実施例5)
図19は切断刃群C1・C2と可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例5を示す。そこでは、前側の切断刃群C1を3個の切断刃16・17・20で構成し、後側の切断刃群C2を3個の切断刃18・19・21で構成した。駆動レバー55は、全ての切断刃16〜21と直交する状態で1個のみ設け、その前後中央部を支軸101でシーソー揺動できるように軸支した。また、駆動レバー55の後部下面にカム溝102と、同溝102を駆動する偏心カム103を設け、偏心カム103をモーター3で回転駆動するようにした。支軸101と、同軸101に隣接する連結ピン61・59の中心間距離L1は、前後に隣接する連結ピン57〜61・66の中心間距離L1と同じにした。この実施例では、前側の切断刃群C1の可動刃23・27と、後側の切断刃群C2の可動刃23・27は、互いに逆向きに往復揺動する。
【0050】
(別実施例6)
図20および
図21は、可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例6を示す。そこでは、前側の切断刃群C1を2個の切断刃16・17で構成し、後側の切断刃群C2を2個の切断刃18・19で構成した。また、前側の駆動レバー55と、後側の駆動レバー56を、前後の切断刃群C1・C2の間に設けた支軸101で揺動可能に軸支し、各駆動レバー55・56をそれぞれ専用のモーター3で実施例5と同じ構造のカム構造で揺動駆動できるようにした。この場合の可動刃駆動構造D1・D2は、それぞれ専用のモーター3・3で駆動レバー55・56を揺動駆動するので、前後のモーター3・3の駆動回転数を変更することにより、前後の切断刃群C1・C2の可動刃23・27の往復速度を自由に調整することができる。
【0051】
(変形例1)
図22は、肌当り突部を変更した変形例1を示す。そこでは、ローラー87を傾斜面86に形成した凹部106に収容し、その上周面を傾斜面86より上方へ突出させるようにした。ただし、実施例1と同様に、ローラー87の上周面は、ホルダー傾斜面94を通る仮想傾斜面Qより下方に位置させている。また、実施例1と同様にローラー87の周面が、傾斜面86に沿って傾斜している。上記のようにローラー87の上周面が傾斜面86より上方へ突出していると、傾斜面86より先にローラー87が肌面に当たって、肌面との摩擦力でローラー87が遊転するので、ひげ剃り時の肌当りをソフトで滑らかなものとすることができる。また、ローラー87が肌面に当たった状態では、ローラー87が回転してかみそりヘッド2を軽快に動かしながら、ひげ切断を行うことができる。
【0052】
(別実施例7)
図23は、可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例7を示す。そこでは、モーター3の出力軸3aに駆動ギヤ108を固定し、同ギヤ108の前後に配置した従動ギヤ109・110に偏心カム62・63を設けて、前後の駆動レバー55・56を互いに逆向きに同期した状態で往復揺動できるようにした。なお、偏心カム62・63は、前側の偏心カム62が時計の文字盤の3時の位置にあるとき、後側の偏心カム62が9時の位置に位置するように、各従動ギヤ109・110を駆動ギヤ108に噛み合わせている。この実施例においては、偏心カム62・63とカム溝64・65が可動刃駆動構造D1・D2の動作変換機構を構成している。
【0053】
(別実施例8)
図24は、可動刃駆動構造D1・D2を変更した別実施例8を示す。そこでは、前後の駆動レバー55・56をリニアモーター(モーター)112で往復駆動するようにした。リニアモーター112は、前後の駆動レバー55・56の揺動先端に固定した可動磁石113と、可動磁石113と正対するヘッドベース13に配置した固定電磁石114を備えており、前後の駆動レバー55・56を必要な駆動パターンで往復駆動することができる。例えば、前後の駆動レバー55・56を互いに逆向きに同期した状態で駆動でき、あるいは前後の駆動レバー55・56の往復ストロークや、往復速度を異ならせた状態で駆動することができる。この実施例では、リニアモーター112がモーター3と動作変換構造を兼ねている。このように、本発明の電気かみそりは、リニアモーター112を動力源とする可動刃駆動構造D1・D2も含むこととする。
【0054】
上記の実施例では、偏心カム62・63とカム溝64・65で動作変換構造を構成したがその必要はなく、動作変換構造は、クランクと往復揺動する駆動レバー55・56、クランクとベルクランク(駆動レバー55・56に相当)、板カムとその周面に外接するベルクランクなどで構成することができる。また、上記の実施例では、連結ピン57〜61・66を駆動レバー55・56に固定したが、その必要はなく、各連結ピン57〜61・66は可動刃フレーム25・29に固定し、あるいは可動刃フレーム25・29と一体に形成してあってもよい。メイン刃16・18の可動刃23はスリット刃である必要はなく、半円状の小刃群を備える可動刃であってもよい。連結体57〜60は、ピン状に形成する以外に。中空軸状や断面が多角形状の軸で形成することができる。
【0055】
実施例1においては、サブ刃19にのみローラー87を設けたが、ローラー87は第1メイン刃16、センター刃17、第2メイン刃18にも設けることができる。その場合には、各切断刃16〜19に設けたローラーの後部周面および傾斜面86を肌面に先当りさせて、肌面が固定刃22・26の刃穴およびスリットに直接押付けられるのを解消して、各切断刃16〜19の肌当りをソフトなものとすることができる。また、全ての切断刃16〜19にローラー87を設け、さらに全ての切断刃16〜19を上下動可能に弾性支持すると、肌当りをさらにソフトなものとすることができる。実施例1においては、固定刃22・26の頂部より上方へ突出する肌当り突部81〜84としているが、これに限定されるものではなく、固定刃22・26の頂部と同一面となる肌当り突部81〜84であってもよい。切断刃16〜19の肌への沈み込みによって肌当り突部81〜84が肌面に当たりさえすれば、場合によっては、肌当り突部81〜84は固定刃22・26の頂部よりも下方に位置する形態であってもよい。
【0056】
上記実施例、別実施例、変形例では、可動刃23・27を往復動させて固定刃22・26に摺動させたレシプロ方式の電気かみそりであったが、本発明は、ドラム状の可動刃を横軸まわりに回転させて固定刃に摺動させたロータリー方式の電気かみそりに適用することができる。仕上げ剃り用の切断刃の可動刃と、粗剃り用の切断刃の可動刃は、どちらもロータリー方式であってもよいし、仕上げ剃り用の切断刃の可動刃がロータリー方式で、粗剃り用の切断刃の可動刃がレシプロ方式であってもよい。複数個の切断刃は、2個の仕上げ剃り用の切断刃と2個の粗剃り用の切断刃で構成されていたが、1個の仕上げ剃り用の切断刃と1個の粗剃り用の切断刃で構成されたものであってもよく、さらに2個の仕上げ剃り用の切断刃と1個の粗剃り用の切断刃で構成されたものであってもよい。複数の切断刃の数や配列は本発明の主旨を逸脱しない限り種々変更できる。また、上記実施例、別実施例、変形例では、かみそりヘッド2に複数個の切断刃16〜19が設けられていたが、これに限定されず、かみそりヘッド2に1個の切断刃を設けた構造にも本発明は適用できる。
【0057】
実施例1では、切断刃19の固定フレーム28にのみ緩衝部95が設けられていたが、すべての切断刃16〜19の固定フレーム24・28に緩衝部95が設けることができる。すべての切断刃16〜19の固定フレーム24・28に緩衝部95が設けた場合は、すべての緩衝部95に緩衝傾斜面96を形成することが好ましい。
【0058】
上記実施例、別実施例、変形例は以下の態様で実施することができる。
かみそりヘッド2に、固定刃22・26と可動刃23・27を有する切断刃16〜19が配置されており、
切断刃16〜19の固定刃22・26は、固定刃フレーム24・28で支持されており、
固定刃22・26の左右両端に、固定刃フレーム24・28の側端枠24a・28aが位置しており、
かみそりヘッド2を前後方向から見るときの側端枠24a・28aに、頂部から側端部にわたって下り傾斜する傾斜面85・86が形成されており、
すなわち、側端枠24a・28aに、外方に向けて下り傾斜する傾斜面85・86が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、側端枠24a・28aの頂部から側端部にわたって下り傾斜する傾斜面85・86を形成すると、すなわち、側端枠24a・28aに、外方に向けて下り傾斜する傾斜面85・86が形成されていると、かみそりヘッド2を左右方向に移動させながらひげ剃りを行う場合に、肌当りをソフトなものにすることができる。
【0059】
上記構成であって、
傾斜面85・86が、外突湾曲面状の傾斜面で形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、傾斜面85・86を外突湾曲面状の傾斜面で形成すると、傾斜面85・86に接触する肌面の滑り移動を円滑に行って、肌当りをさらにソフトで滑らかなものとすることができる。
【0060】
上記構成であって、
固定刃フレーム24・28が、かみそりヘッド2に着脱可能に装着した固定刃ホルダー14で支持されており、
傾斜面85・86の傾斜下端が、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの頂部より下方に位置されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、傾斜面85・86の傾斜下端を、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの頂部より下方に位置させると、ひげ剃り時にホルダー側枠14aの頂部が、傾斜面85・86の傾斜下端より先に肌面に接触して、傾斜面85・86の傾斜下端が肌面に接触するのを阻止できる。従って、傾斜面85・86の傾斜下端が肌面に食い込むのを防いで、肌当り感を滑らかにすることができる。
【0061】
上記構成であって、
かみそりヘッド2を前後方向から見るときのホルダー側枠14aの上部に、頂部の側から側端部の側にわたって下り傾斜するホルダー傾斜面94が形成されており、
すなわち、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの上部に、外方に向けて下り傾斜するホルダー傾斜面94が形成されており、
ホルダー傾斜面94を通り、固定刃26の上方へ延びる仮想傾斜面Qを想定するとき、前記傾斜面85・86が仮想傾斜面Qより下方に位置されていることを特徴とする電気かみそり。
傾斜面85・86が、ホルダー傾斜面94を通る仮想傾斜面Qより下方に位置させてあるのは、かみそりヘッド2を左右方向に移動させながらひげ切断を行う場合に、ホルダー傾斜面94を肌面に接触させたのち、傾斜面85・86を肌面に接触させるためである。このように、ホルダー傾斜面94を肌面に先当りさせたのち、傾斜面85・86を肌面に接触させるようにすると、ひげ剃り時の肌当りをソフトで滑らかなものとすることができる。
【0062】
上記構成であって、
切断刃16〜19の固定刃22・26と可動刃23・27が、かみそりヘッド2に対して上下動可能に弾性支持されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、固定刃22・26と可動刃23・27を上下動可能に弾性支持すると、ひげ剃り時の肌当りをソフトなものとすることができる。
【0063】
さらに、上記実施例、別実施例、変形例は以下の態様で実施することができる。
かみそりヘッド2に固定刃22・26と可動刃23・27を有する複数個の切断刃16〜19が配置されており、
可動刃23・27を往復駆動する可動刃駆動構造D1・D2が、モーター3と、モーター3の動力を可動刃23・27に伝動する駆動レバー55・56、および連結体57〜60を備えており、
駆動レバー55・56は、各可動刃23・27の往復方向と交差する状態で配置されて、一端が揺動中心軸68・69で往復揺動可能に支持されており、
各可動刃23・27と上下に対向する駆動レバー55・56の長手方向の複数個所に、連結体57〜60が配置されており、
各連結体57〜60と揺動中心軸68・69との間の距離が異ならせてあることを特徴とする電気かみそり。
このように、可動刃23・27を駆動レバー55・56で揺動駆動すると、複数の可動刃23・27を左右方向に往復移動しながら、同時に前後動することができるので、ひげ切断時の可動刃23・27に引切り作用を発揮させて、ひげ切断を円滑にしかも的確に行うことができる。また、各連結体57〜60と揺動中心軸68・69との間の距離を異ならせて、駆動レバー55・56で駆動される可動刃23・27の左右ストロークが大小に異なるようにした。こうした可動刃駆動構造D1・D2によれば、左右ストロークが小さい側の可動刃23・27の往復速度を、従来の可動刃の往復速度と同じにした場合に、左右ストロークが大きい側の可動刃23・27の往復速度を早くして、効果的にひげ切断を行うことができる。
【0064】
上記構成であって、
各固定刃22・26にひげ導入用の刃穴が形成されており、
駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69に近い側の固定刃22・26の刃穴の開口面積が、駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69から遠い側の固定刃22・26の刃穴の開口面積より大きく設定されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、揺動中心軸68・69から遠い側の固定刃22・26の刃穴の開口面積に比べて、揺動中心軸68・69に近い側の固定刃22・26の刃穴の開口面積が大きく設定してあると、開口面積が大きい分だけより多くのひげを導入して、早剃りを行うことができる。また、揺動中心軸68・69に近いほど揺動トルクが大きいので、固定刃22・26から導入した大量のひげを確実に切断して、モーター3の駆動負荷を軽減できる。
【0065】
上記構成であって、
駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69に近い側の固定刃22・26がスリット刃で形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、揺動中心軸68・69に近い側の固定刃22・26をスリット刃で形成すると、固定刃22・26が網刃で形成してある場合に比べて、くせ毛や長毛をスリット刃でより確実に捕捉して、固定刃22・26の内部へ的確に導入できる。従って、ユーザーのひげが濃い場合や、くせ毛が多い場合であっても、ひげ切断を効果的に行うことができる。
【0066】
上記構成であって、
かみそりヘッド2に複数個の切断刃16〜19からなる一対の切断刃群C1・C2が配置されて、個々の切断刃群C1・C2ごとに可動刃駆動構造D1・D2が設けられており、
一方の切断刃群C1の可動刃駆動構造D1を構成する駆動レバー55と、他方の切断刃群C2の可動刃駆動構造D2を構成する駆動レバー56を、各可動刃駆動構造D1・D2で互いに逆向きに同期した状態で揺動駆動することを特徴とする電気かみそり。
このように、駆動レバー55・56を互いに逆向きに同期した状態で揺動駆動すると、可動刃23・27が往復移動するときの振動を互いに打消し合うことができるので、肌面に不快な振動が作用するのを解消でき、より滑らかにひげ切断を行うことができる。
【0067】
上記構成であって、
一方の切断刃群C1の可動刃駆動構造D1を構成する駆動レバー55の揺動中心軸68と、他方の切断刃群C2の可動刃駆動構造D2を構成する駆動レバー56の揺動中心軸69が、モーター3を間にして分離配置されており、
前記可動刃駆動構造D1・D2は、モーター3の回転動力を往復揺動動作に変換する動作変換構造を備えており、
各駆動レバー55・56を1個のモーター3で動作変換構造を介して同時に逆向きに揺動駆動することを特徴とする電気かみそり。
このように、一対の駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69を、モーター3を間にして分離配置し、各駆動レバー55・56を1個のモーター3で動作変換構造を介して同時に逆向きに揺動駆動すると、切断刃群C1・C2の可動刃23・27を1個のモーター3のみで往復駆動できる。従って、各駆動レバー55・56をそれぞれ専用のモーター3で駆動する場合に比べて、可動刃駆動構造D1・D2の構造を簡素化し、その全体コストを削減できる。
【0068】
上記構成であって、
動作変換構造が、モーター3の出力軸3aに固定した偏心カム62・63と、各駆動レバー55・56の揺動先端に形成したカム溝64・65で構成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、偏心カム62・63とカム溝64・65で構成した動作変換構造によれば、偏心カム62・63を回転駆動するだけで、モーター3の回転動力を揺動動作に変換して駆動レバー55・56を往復揺動できる。また、単純な構造の偏心カム62・63とカム溝64・65で、回転動力を揺動動作に変換できるので、動作変換構造の製造に要するコストを削減できるうえ、構造が単純な分だけ長期使用時の動作変換機能の信頼性を向上できる。
【0069】
上記構成であって、
一方の駆動レバー55と他方の駆動レバー56が、モーター3の中心軸線の前後に配置されており、
少なくとも前後いずれか一方の駆動レバー56が、モーター3の中心軸線と直交するかみそりヘッド2の前後中心軸に対して傾斜させていることを特徴とする電気かみそり。
このように、前後いずれか一方の駆動レバー56を、モーター3の中心軸線と直交するかみそりヘッド2の前後中心軸に対して傾斜させると、駆動レバー56が揺動するときの前後方向の移動成分を大きくして、可動刃23・27の前後ストロークを大きくすることができる。また、可動刃23・27の前後ストロークが大きい分だけ、可動刃23・27の引切り作用を増強して、ひげ切断をさらに効果的に行うことができる。
【0070】
上記構成であって、
一方の駆動レバー55と他方の駆動レバー56の複数個所に、それぞれ複数の連結体57〜60が配置されており、
各駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69の軸中心から、個々の連結体57〜60の中心までの距離を異ならせていることを特徴とする電気かみそり。
このように、各駆動レバー55・56の揺動中心軸68・69の軸中心から、個々の連結体57〜60の中心までの距離が異ならせてあると、可動刃23・27の左右方向の往復ストロークS1および前後移動量T1を、先の距離の違いに応じて大小に変化させることができる。従って、切断刃16〜19の構造や切断特性の違いに応じて、可動刃23・27の配置位置を好適化することにより、ひげ切断を円滑に、しかも的確に行うことができる。
【0071】
上記構成であって、
切断刃群C1・C2が、仕上げ剃り用の切断刃16・18と粗剃り用の切断刃17・19で構成されており、
仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22と可動刃23と、粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26と可動刃27のそれぞれが、かみそりヘッド2で上下動可能に支持されて、ばね31・77で押し上げ付勢されており、
仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22の左右両端と、粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26の左右両端のそれぞれに、各固定刃22・26を支持する固定刃フレーム24・28の側端枠24a・28aが設けられて、側端枠24a・28aの上端に各固定刃22・26の頂部より上方へ突出する肌当り突部81〜84が設けられており、
可動刃23・27の固定刃22・26に対する摺動面より下方に位置する水平の仮想基準線P(可動刃23・27の往復移動方向と平行な仮想基準線)を想定し、
仮想基準線Pから、粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26に設けた肌当り突部82・84の頂部までの上下高さをH1とし、仮想基準線Pから仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22に設けた肌当り突部81・83の頂部までの上下高さをH2とするとき、不等式H1>H2を満足するように各肌当り突部81〜84が配置されており、
仮想基準線Pから仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22の頂部までの上下高さをH3とし、仮想基準線Pから粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26の頂部までの上下高さをH4とするとき、不等式H3≧H4を満足するように各固定刃22・26が配置されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、固定刃フレーム24・28の側端枠24a・28aに肌当り突部81〜84を設ける電気かみそりにおいて、肌当り突部81〜84と固定刃22・26の頂部の高さ関係を(H1>H2)を満足するようにする。また、仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22の頂部と、粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26の頂部の高さ関係を(H3≧H4)を満足するようにする。こうした電気かみそりによれば、粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26に肌面が食い込むのを肌当り突部81〜84で規制できるので、ひげ剃り時の肌面に対する負担を軽減できる。
【0072】
上記構成であって、
かみそりヘッド2を前後方向から見るときの肌当り突部81〜84に、頂部から側端部にわたって下り傾斜する傾斜面85・86が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、肌当り突部81〜84の頂部から側端部にわたって下り傾斜する傾斜面85・86を形成すると、かみそりヘッド2を各固定刃22・26の長手方向に沿って移動させながらひげ切断を行う場合に、各固定刃22・26を円滑に沈み込ませて肌当りをソフトなものにすることができる。
【0073】
上記構成であって、
傾斜面85・86が、外突湾曲面状の傾斜面で形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、傾斜面85・86を外突湾曲面状の傾斜面で形成すると、傾斜面85・86に接触する肌面の滑り移動を円滑に行って、肌当りをさらにソフトで滑らかなものとすることができる。
【0074】
上記構成であって、
固定刃フレーム24・28がかみそりヘッド2に着脱可能に装着した固定刃ホルダー14で支持されており、
傾斜面85・86の傾斜下端が、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの頂部より下方に位置されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、傾斜面85・86の傾斜下端を、固定刃ホルダー14のホルダー側枠14aの頂部より下方に位置させると、ひげ剃り時にホルダー側枠14aの頂部が、傾斜面85・86の傾斜下端より先に肌面に接触して、傾斜面85・86の傾斜下端が肌面に接触するのを阻止できる。従って、傾斜面85・86の傾斜下端が肌面に食い込むのを防いで、肌当り感を滑らかにすることができる。
【0075】
上記構成であって、
かみそりヘッド2を前後方向から見るときのホルダー側枠14aの上部に、頂部の側から側端部の側にわたって下り傾斜するホルダー傾斜面94が形成されており、
ホルダー傾斜面94を通り、固定刃26の上方へ延びる仮想傾斜面Qを想定するとき、前記傾斜面85・86が仮想傾斜面Qより下方に位置されていることを特徴とする電気かみそり。
傾斜面85・86が、ホルダー傾斜面94を通る仮想傾斜面Qより下方に位置させてあるのは、かみそりヘッド2を各可動刃23・27の往復動方向に沿って移動させながらひげ切断を行う場合に、ホルダー傾斜面94を肌面に接触させたのち、傾斜面85・86を肌面に接触させるためである。このように、ホルダー傾斜面94を肌面に先当りさせたのち、傾斜面85・86を肌面に接触させるようにすると、固定刃22・26が肌面に強く押付けられるのを解消して、ひげ剃り時の肌当りをソフトで滑らかなものとすることができる。
【0076】
上記構成であって、
少なくとも粗剃り用の切断刃17・19の固定刃フレーム28の側端枠28aと固定刃26の間の内隅部に、固定刃26の側端外面を覆う緩衝部95が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、固定刃フレーム28の側端枠28aと固定刃26の間の内隅部に緩衝部95を設けると、固定刃26より上側へ突出している肌当り突部84が、固定刃26に先行して肌面に当たって、肌面を大きく凹ませてしまうのを緩衝部95で防止できる。また、肌当り突部84によって肌面が大きく凹んでしまうことがないので、ひげ剃り時の肌当りを滑らかなものとすることができる。
【0077】
上記構成であって、
緩衝部95に固定刃26へ向かって下り傾斜する緩衝傾斜面96が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、緩衝部95に緩衝傾斜面96を形成すると、肌当り突部84に連続する緩衝部95の面積を大きくできるうえ、肌当り突部84から固定刃26に至る緩衝傾斜面96の面変化を緩やかにして、ひげ剃り時の肌当りをさらにソフトで滑らかなものとすることができる。また、肌面が固定刃26の側から肌当り突部84へ向かって滑り移動するとき、肌面を緩衝傾斜面96で滑らかに案内して、肌面が肌当り突部84を乗越えるときの動作を円滑に行える。
【0078】
上記構成であって、
粗剃り用の切断刃19が、かみそりヘッド2の前端と後端の少なくともいずれか一方に配置されており、
粗剃り用の切断刃19の固定刃フレーム28の左右の側端枠28aに、前記切断刃19の固定刃26より前または後に突出する肌当り突部84aが形成されていることを特徴とする電気かみそり。
粗剃り用の切断刃19を、かみそりヘッド2の前端と後端の少なくともいずれか一方に配置し、切断刃19の固定刃フレーム28の左右の側端枠28aに、切断刃19の固定刃26より前または後に突出する肌当り突部84aを設けるようにした。こうした電気かみそりによれば、スリット刃からなる切断刃19の固定刃26に先行して、肌当り突部84aを肌面に接触させて、ひげ剃り時の肌当りをさらにソフトで滑らかなものとすることができる。
【0079】
上記構成であって、
固定刃ホルダー14の前後枠のいずれか一方に、肌当り突部84aを前後枠の外に突出させる切欠部89が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、固定刃ホルダー14に肌当り突部84a用の切欠部89を形成すると、切断刃19の固定刃26に先行して、肌当り突部84aを肌面に接触させて、ひげ剃り時の肌当りをさらにソフトで滑らかなものとすることができる。その際、固定刃ホルダー14が肌当り突部84aの露出に対して干渉しないため、コンパクトなかみそりヘッド2を構成できる。
【0080】
上記構成であって、
粗剃り用の切断刃17・19の固定刃26を押し上げ付勢するばね31のばね荷重が、仕上げ剃り用の切断刃16・18の固定刃22を押し上げ付勢するばね31のばね荷重より小さく設定されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、粗剃り用の固定刃26を押し上げ付勢するばね31の張力を、仕上げ剃り用の固定刃22を押し上げ付勢するばね31の張力より小さく設定すると、粗剃り用の固定刃26をより小さな外力で沈ませて、肌面に作用するばね31の張力を小さくできる。従って、肌面が大きな力で押返され、大きく凹み変形するのを解消して、粗剃り用の固定刃26の肌当りをソフトで滑らかなものとすることができる。
【0081】
上記構成であって、
肌当り突部81〜84・84aが、左右方向の水平軸回りに回転自在なローラー87で構成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、肌当り突起84を回転自在なローラー87で構成すると、かみそりヘッド2を肌面に沿って滑らせるときローラー87が回転することで、かみそりヘッド2を軽快に、しかも滑らかに移動させながらひげ切断を行える。また、ローラー87が回転する分だけ、かみそりヘッド2を肌面に沿って円滑に滑らせることができるので、ひげ剃りをより短い時間で軽快に行うことができる。
【0082】
上記構成であって、
ローラー87の周面が、傾斜面85・86と面一状に傾斜されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、ローラー87の周面を傾斜面86と面一状に傾斜させると、かみそりヘッド2がローラー87の中心軸に沿って移動操作されるような場合に、肌面がローラー87に引っ掛かるのを傾斜面86で防止できる。従って、必要時には肌面と接触したローラー87を回転させて、かみそりヘッド2の移動を円滑化しながら、ローラー87によって肌面の左右方向への滑り移動が妨げられるのを解消できる。
【0083】
上記構成であって、
一対のローラー87が導電性を備えており、
一対のローラー87にプラス極性とマイナス極性の微弱電流を供給する電流供給源90が設けられていることを特徴とする電気かみそり。
このように、導電性を備えた一対のローラー87と、各ローラー87に極性の異なる微弱電流を供給する電流供給源90を設けた電気かみそりによれば、肌面に電流刺激を付与しながらひげ切断を行うことができる。
【0084】
さらに、上記実施例、別実施例、変形例は以下の態様で実施することができる。
かみそりヘッド2に固定刃22・26と可動刃23・27を有する複数個の切断刃16〜19が配置されており、
固定刃22・26を支持する固定刃フレーム24・28が、それぞれ固定刃支持ベース30に装着されて、固定刃支持ベース30が固定刃ホルダー14に着脱可能に装着されており、
固定刃支持ベース30には左右一対の弾性変形可能な取外しアーム46と、同アーム46の係合を解除操作する左右一対の分離突起47が設けられて、取外しアーム46に設けた係合爪50が固定刃ホルダー14の係合凹部49と係合しており、
固定刃ホルダー14は、かみそりヘッド2のヘッドベース13に着脱可能に装着されており、
かみそりヘッド2のヘッドベース13には、ヘッドベース13に装着した固定刃ホルダー14の係合爪43と係脱する係合段部41を備えた一対の取外しボタン36が設けられて、取外しボタン36がボタンばね37で外向きに弾性付勢されており、
固定刃支持ベース30の取外しアーム46の内面は、取外しボタン36の上部に設けた受壁39で受け止められて、分離突起47が取外しボタン36の上部外面から固定刃ホルダー14の外方へ突出しており、
一方の手指で取外しボタン36を掴み、他方の手指で分離突起47を掴んで、取外しボタン36と分離突起47をボタンばね37の付勢力と取外しアーム46の弾性力に抗して同時に押込み操作して、固定刃ホルダー14をヘッドベース13から取外し操作することを特徴とする電気かみそり。
このように、かみそりヘッド2のヘッドベース13に固定刃ホルダー14用の取外しボタン36を設け、取外しボタン36による取外し動作を、固定刃支持ベース30に設けた分離突起47で補助するようにした電気かみそりによれば、両手を使って取外しボタン36を係合解除操作できる。詳しくは、一方の手指で取外しボタン36を掴み、他方の手指で分離突起47を掴んで、取外しボタン36と分離突起47をボタンばね37の付勢力と取外しアーム46の弾性力に抗して同時に押込み操作して、取外しボタン36を係合解除操作できる。従って、単に取外しボタン36のみを押込み操作する場合に比べて、取外しボタン36に作用する押込み力が増加する状態で、取外しボタン36を確実にしかも軽快に押込み操作して、取外しボタン36の係合段部41を係合爪43から離脱させ、固定刃ホルダー14をヘッドベース13から取外すことができる。