(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図4に従って、風車管理システムの一実施形態を説明する。本実施形態では、雷の発生状況に応じて、風力発電に用いる風車の運転を管理するための風車管理システムとして説明する。
【0018】
図1に示すように、風車10、センサ15、落雷検知部16、管理サーバ20、管理者端末30を用いる。
風車10は、風力発電に用いる発電装置である。
センサ15は、大気中の電位勾配(大気電位勾配)を計測する計測装置である。雷雲に電気(電荷)が溜まると、雲と大地の間に静電界(大気電位勾配)が発生する。これを連続測定し、雷の兆候を把握することができる。大気電位勾配の計測は、周囲の電界を検出できるため、すべての風車10に対して設置するのではなく、10〜20機程度の風車群について、1箇所〜数箇所のセンサ15を設置すればよい。
落雷検知部16は、風車10における落雷を検知する検出装置である。本実施形態では、風車10の塔体に設けられロゴスキーコイルにより電流を測定して、落雷を検知する。
【0019】
管理サーバ20は、天候に応じて、風車の運転管理を支援するコンピュータである。この管理サーバ20は、制御部21、落雷情報記憶部22、計測情報記憶部23を備えている。
【0020】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等から構成された制御手段として機能し、後述する処理(落雷情報取得段階、電界計測段階、判断基準設定段階、風車制御段階等を含む処理)を行なう。このための風車管理プログラムを実行することにより、制御部21は、落雷情報取得部211、電界計測部212、判断基準設定部213、風車制御部214等として機能する。
【0021】
落雷情報取得部211は、風車における落雷を検知する処理を実行する。本実施形態では、風車10の塔体に設けられたロゴスキーコイルを用いて、風車10の落雷を検知する。そして、落雷情報取得部211は、落雷を検知した時刻及び風車に関する情報を落雷情報記憶部22に記録する。更に、落雷情報取得部211は、落雷を検知した場合には、管理者端末30に通知を行なうとともに、風車10の運転中には運転停止を指示する。なお、風車10の運転停止中の場合には、この運転停止状態を維持する。
【0022】
電界計測部212は、センサ15から、定期的に大気電位勾配に関する情報を取得する処理を実行する。そして、電界計測部212は、計測日時、大気電位勾配に関する情報を計測情報記憶部23に記録する。
【0023】
判断基準設定部213は、風車の稼動、停止を判断する判断基準を設定する処理を実行する。この判断基準設定部213は、判断基準を設定する場合に用いる予測率基準値、停止時間基準値に関する情報を保持している。
風車制御部214は、落雷の発生の可能性に基づいて、風車の稼動、停止を制御する処理を実行する。
【0024】
落雷情報記憶部22には、落雷状況を管理するための落雷管理レコードが記録される。この落雷管理レコードは、落雷検知部16において落雷を検知した場合に記録される。落雷管理レコードは、落雷日時、風車コードに関するデータを含んで構成される。
【0025】
落雷日時データ領域には、落雷を検知した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
風車コードデータ領域には、落雷があった風車10を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0026】
計測情報記憶部23には、センサ15を用いて、時系列に計測した大気電位勾配に関する計測管理レコードが記録される。この計測管理レコードは、センサ15から大気電位勾配に関する情報を取得した場合に記録される。計測管理レコードは、計測日時、大気電位勾配に関するデータを含んで構成される。
【0027】
計測日時データ領域には、センサ15を用いて大気電位勾配を計測した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
大気電位勾配データ領域には、センサ15を用いて計測した大気電位勾配に関するデータが記録される。
【0028】
例えば、
図4(a)に、落雷情報記憶部22に記録されている落雷管理レコード221の具体例を示す。
また、
図4(b)に、計測情報記憶部23に計測管理レコードを時系列に並べた時系列情報231を示す。
【0029】
管理者端末30は、風車を用いた風力発電事業の管理者が用いるコンピュータ端末である。この管理者端末30は、キーボードやポインティングデバイス等、各種指示を入力するための入力部や、情報処理結果を出力するための出力部を備えている。
【0030】
次に、上記のように構成された管理サーバ20において、風車10の運転を管理する場合の処理手順について、
図2〜
図4を用いて説明する。
(判断基準設定処理)
まず、
図2を用いて、判断基準設定処理を説明する。
ここでは、まず、管理サーバ20の制御部21は、大気電位勾配の計測結果の読み出し処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、計測情報記憶部23から、所定期間の計測管理レコードを取得する。
【0031】
次に、管理サーバ20の制御部21は、落雷時点の特定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、落雷情報記憶部22から落雷管理レコードを取得し、落雷を検出した日時(落雷日時)を特定する。そして、判断基準設定部213は、大気電位勾配の時系列情報(変化履歴)において、落雷日時を特定する。
上記具体例では、
図4(c)に示すように、落雷管理レコード221に記録された落雷時刻を、時系列情報231において特定する。
【0032】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、大気電位勾配の変化履歴において、落雷日時の大気電位勾配の絶対値について、統計値を算出する。この統計値としては、例えば、大気電位勾配の絶対値の最小値を用いることができる。そして、判断基準設定部213は、算出した統計値を判断基準候補として特定する。そして、判断基準候補(算出した統計値)以上の大気電位勾配の場合に、判断基準候補を満たすと判定する。
【0033】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補における事前予測率の算出処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、この判断基準候補を満たす大気電位勾配において、落雷を検知した場合と、落雷を検知しなかった場合の数を算出する。そして、判断基準設定部213は、落雷回数を検出回数で除算することにより、事前予測率を算出する。
【0034】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補における停止時間の算出処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、所定期間(例えば1か月)において、この判断基準候補を超えた大気電位勾配の値を検出していた時間帯を特定する。そして、判断基準設定部213は、特定した時間帯を合計した停止時間を算出する。
【0035】
次に、管理サーバ20の制御部21は、事前予測率は基準値より大きいかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、算出した事前予測率と予測率基準値とを比較する。
【0036】
ここで、事前予測率が基準値以下の場合(ステップS1−6において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理(ステップS1−3)を実行する。この場合には、制御部21は、判断基準候補の大気電位勾配の値を、所定割合で低下させた値を、判断基準候補として特定して、ステップS1−3以降の処理を実行する。
【0037】
一方、事前予測率が基準値よりも高い場合(ステップS1−6において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、停止時間は基準値より短いかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、ステップS1−5において算出した停止時間と停止時間基準値とを比較する。
【0038】
ここで、停止時間は基準値以上と判定した場合(ステップS1−7において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理(ステップS1−3)を実行する。
【0039】
一方、停止時間は基準値より短いと判定した場合(ステップS1−7において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準の決定処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、メモリに仮記憶した判断基準候補を判断基準(大気電位勾配の値)として決定し、風車制御部214に引き継ぐ。この場合、風車制御部214は、引き継いだ判断基準をメモリに記録する。
【0040】
(風車運転制御処理)
次に、
図3を用いて、風車運転制御処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、大気電位勾配の計測情報の取得処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の電界計測部212は、センサ15において計測した大気電位勾配を取得し、計測日時、大気電位勾配に関する情報を計測情報記憶部23に記録する。更に、電界計測部212は、取得した大気電位勾配を風車制御部214に引き継ぐ。
【0041】
次に、管理サーバ20の制御部21は、取得した大気電位勾配は、運転停止の判断基準を満たすかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の風車制御部214は、取得した大気電位勾配と、メモリに記憶した判断基準とを比較する。ここでは、取得した大気電位勾配が、メモリに記憶した判断基準(大気電位勾配の値)を超えた場合に、運転停止の判断基準を満たすと判定する。
【0042】
取得した大気電位勾配は、運転停止の判断基準を満たすと判定した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、運転停止処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の風車制御部214は、各風車10に対して、運転停止を指示する。
【0043】
次に、管理サーバ20の制御部21は、大気電位勾配の計測情報の取得処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の風車制御部214は、センサ15において計測した大気電位勾配を取得する。
【0044】
次に、管理サーバ20の制御部21は、取得した大気電位勾配は、運転再開の判断基準を満たすかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の風車制御部214は、取得した大気電位勾配と、メモリに記憶した判断基準とを比較する。ここでは、取得した大気電位勾配が、メモリに記憶した判断基準(大気電位勾配の値)以下となった場合に、運転再開の判断基準を満たすと判定する。
【0045】
ここで、取得した大気電位勾配は、運転再開の判断基準を満たさないと判定した場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、大気電位勾配の計測処理(ステップS2−4)に戻る。
【0046】
一方、取得した大気電位勾配は、運転再開の判断基準を満たすと判定した場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、運転再開処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の風車制御部214は、各風車10に対して、運転再開を指示する。
【0047】
本実施形態の風車管理システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21が、大気電位勾配の計測結果の読み出し処理(ステップS1−1)、落雷時点の特定処理(ステップS1−2)、判断基準候補の設定処理(ステップS1−3)を実行する。これにより、落雷時の大気電位勾配に基づいて、判断基準候補を決定することができる。
【0048】
(2)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補における事前予測率の算出処理(ステップS1−4)、事前予測率は基準値より大きいかどうかについての判定処理(ステップS1−6)を実行する。これにより、事前予測率を考慮して、判断基準を決定することができる。
【0049】
(3)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補における停止時間の算出処理(ステップS1−5)、停止時間は基準値より小さいかどうかについての判定処理(ステップS1−7)を実行する。これにより、停止時間を考慮して、判断基準を決定することができる。
【0050】
(4)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、大気電位勾配の計測処理(ステップS2−1)、運転停止の判断基準を満たすかどうかについての判定処理(ステップS2−2)を実行する。運転停止の判断基準を満たすと判定した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、運転停止処理を実行する(ステップS2−3)。これにより、落雷の可能性がある場合には、風車10の運転を停止することができる。
【0051】
(5)本実施形態では、取得した大気電位勾配が、運転再開の判断基準を満たすと判定した場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、運転再開処理を実行する(ステップS2−6)。これにより、落雷の可能性が低くなった場合には、風車10の運転を再開することができる。
【0052】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、落雷検知部16には、ロゴスキーコイルを用いた。落雷検知部16は、ロゴスキーコイルに限らず、磁界センサを用いてもよい。
【0053】
また、カメラを用いて、落雷を検知するようにしてもよい。この場合には、各風車10を撮影できる位置にカメラを配置し、各風車10を撮影した動画を記録する。ここで、複数の風車10を一度に撮影できる位置にカメラを配置してもよい。この場合には、画像内に写り込んだ各風車10の位置を記憶させておく。そして、動画の中に、風車10への落雷が含まれている画像に基づいて、撮影時刻(落雷時刻)及び落雷した風車10を特定する。
【0054】
・上記実施形態では、事前予測率が基準値よりも高い場合、停止時間は基準値より短いと判定した場合(ステップS1−6,S1−7において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準の決定処理を実行する(ステップS1−8)。これに代えて、風車10の管理者が、判断基準を決定するようにしてもよい。
【0055】
図5を用いて、風車10の管理者が判断基準を決定する判断基準設定処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−1、S1−2と同様に、大気電位勾配の計測結果の読み出し処理(ステップS3−1)、落雷時点の特定処理(ステップS3−2)を実行する。
【0056】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の特定処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、大気電位勾配の変化履歴において、落雷日時の大気電位勾配の絶対値の最小値及び最大値を算出する。そして、判断基準設定部213は、最小値〜最大値の間で複数の判断基準候補を特定し、メモリに記録する。
【0057】
次に、管理サーバ20の制御部21は、メモリに記録された判断基準候補を処理対象として順次、特定し、以下の処理を繰り返す。
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−4と同様に、判断基準候補における事前予測率の算出処理を実行する(ステップS3−4)。この場合、制御部21の判断基準設定部213は、処理対象の判断基準候補について事前予測率を算出し、判断基準候補に関連付けて、メモリに仮記憶する。
【0058】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−5と同様に、判断基準候補における停止時間の算出処理を実行する(ステップS3−5)。この場合、制御部21の判断基準設定部213は、処理対象の判断基準候補について停止時間を算出し、判断基準候補に関連付けて、メモリに仮記憶する。
以上の処理を、メモリに記録されたすべての判断基準候補について終了するまで繰り返す。
【0059】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補に応じて事前予測率、停止時間の出力処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、判断基準候補に関連付けて、メモリに仮記憶した事前予測率、停止時間の一覧表を作成し、管理者端末30のディスプレイに出力する。
【0060】
次に、管理サーバ20の制御部21は、判断基準の決定処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、風車10の管理者は、管理者端末30のディスプレイに出力された一覧表を確認する。そして、事前予測率及び停止時間に基づいて、判断基準候補の中から、風車10の運転停止に用いる判断基準を選択する。この場合、制御部21の判断基準設定部213は、管理者端末30において、一覧表中で選択された判断基準候補を取得し、風車制御部214に引き継ぐ。
これにより、風車10の管理者の判断に基づいて、判断基準を決定することができる。
【0061】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、判断基準の決定処理を実行する(ステップS1−8)。ここで、事前予測率、停止時間に基づいて判断基準を決定する。この場合、停止時間による損失に基づいたコスト評価に基づいて判断基準を決定するようにしてもよい。具体的には、管理サーバ20に、発電情報記憶部を設ける。この発電情報記憶部には、発電量の時系列情報を記録する。そして、判断基準設定部213は、判断基準に基づいて、風車10の運転停止期間を特定する。次に、判断基準設定部213は、この運転停止期間の発電量を、発電情報記憶部から取得し、この発電量、売電単価に基づいて、運転停止による損失金額を算出する。この損失金額が金額基準値以下の場合に判断基準を決定する。また、この損失金額を管理者端末30に出力して、管理者の判断を仰ぐようにしてもよい。
また、停止時間の代わりに、停止時間割合に基づいて判断基準を決定してもよい。この場合には、所定期間の風車10の運転時間において、停止時間の割合の基準値を用いる。
また、停止回数に基づいて判断基準を決定してもよい。停止や起動に作業負担や時間がかかる風車の場合には、停止回数に基づいた判定基準を用いることにより、効率的な運転制御を行なうことができる。
更に、停止時間、停止回数、コスト評価等の複数のパラメータを用いて判定基準を決定するようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理を実行する(ステップS1−3)。この場合、環境条件に基づいて、判断基準候補を特定するようにしてもよい。環境条件としては、気温、湿度、風向き、風速等の天候条件や、これらの天候条件の組み合わせを用いることができる。また、天候条件として、季節や暦を用いることもできる。このために、環境条件を計測するための環境条件取得部を設け、計測時刻とともに計測結果を環境条件情報記憶部に記録する。なお、風向きや風速に関する情報は、風車10から取得するようにしてもよい。
【0063】
次に、
図6を用いて、判断基準設定処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、環境条件の取得処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の判断基準設定部213は、環境条件情報記憶部に記録された環境条件の中で、判断基準を決定する環境条件を特定する。この場合、複数の代表的な環境条件を特定する。例えば、環境条件を、複数の温度帯や湿度範囲、風向き範囲、風速範囲に分類する。
【0064】
次に、管理サーバ20の制御部21は、環境条件毎に以下の処理を繰り返す。
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−1と同様に、大気電位勾配の計測結果の読み出し処理を実行する(ステップS4−2)。
【0065】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−2〜S1−5と同様に、落雷時点の特定処理(ステップS4−3)、判断基準候補の設定処理(ステップS4−4)、判断基準候補における事前予測率の算出処理(ステップS4−5)、判断基準候補における停止時間の算出処理(ステップS4−6)を実行する。
【0066】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−6と同様に、事前予測率は基準値より大きいかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−7)。ここで、事前予測率が基準値以下の場合(ステップS4−7において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理(ステップS4−4)を実行する。
【0067】
一方、事前予測率が基準値よりも高い場合(ステップS4−7において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、停止時間は基準値より短いかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−8)。
【0068】
ここで、停止時間は基準値以上と判定した場合(ステップS4−8において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、判断基準候補の設定処理(ステップS4−4)を実行する。
【0069】
一方、停止時間は基準値より短いと判定した場合(ステップS4−8において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS1−8と同様に、判断基準の決定処理を実行する(ステップS4−9)。この場合には、環境条件に関連付けて判断基準を決定する。
【0070】
以上の処理を、環境条件毎に繰り返す。この場合、判断基準設定部213は、メモリに仮記憶した判断基準候補を、環境条件に関連付けた判断基準を決定し、風車制御部214に引き継ぐ。この場合、風車制御部214は、引き継いだ判断基準をメモリに記録する。
【0071】
そして、風車運転制御処理においては、風車制御部214は、環境条件取得部から、現在の環境条件を取得し、この環境条件に関連付けた判断基準を用いて、風車10の運転、停止を判断する。
これにより、環境条件を考慮して、風車10の運転制御を行なうことができる。
【0072】
・上記実施形態においては、判定基準として、大気電位勾配の絶対値の最小値を用いた。判定基準値の決定方法はこれに限定されるものではなく、大気電位勾配の正値と負値とで、個別に異なる判定基準値を設定するようにしてもよい。
【0073】
・上記実施形態においては、運転停止の判断基準と運転再開の判断基準とで同じ値の大気電位勾配を設定した。ここで、運転停止の判断基準と運転再開の判断基準とは異なる値を設定するようにしてもよい。例えば、運転再開の判断基準(大気電位勾配の絶対値)を、運転停止の判断基準よりも低くしておく。
・上記実施形態においては、風車10を停止した後、取得した大気電位勾配が判断基準以下と判定した場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、運転再開処理を実行する(ステップS2−6)。ここで、取得した大気電位勾配が判断基準以下と判定した時から一定の猶予期間の経過後に、運転再開処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、メモリに記録された判断基準を用いて、風車10の運転停止処理(ステップS2−3)、運転再開処理(ステップS2−6)を実行する。この場合、判断基準として大気電位勾配の値を用いる。ここで、判断基準は、固定値に限定されるものではない。例えば、大気電位勾配の波形パターン(形状や傾き等)を用いることもできる。この場合には、判断基準設定処理において、落雷を検知したときのすべての波形パターンを特定して、この波形パターン群を判断基準候補として用いる。そして、波形パターン群の中で、事前予測率や停止時間の基準値を満たす判断基準を特定する。