特許第6644595号(P6644595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644595
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】出入口開閉体の閉じ装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20200130BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20200130BHJP
   E05F 3/00 20060101ALI20200130BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20200130BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   E05F1/12
   E05F1/16 B
   E05F3/00 Z
   E05F7/00 Z
   H02K7/18 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-55487(P2016-55487)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-166300(P2017-166300A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227157
【氏名又は名称】日鍛バルブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】三上 真行
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開平1−119778(JP,U)
【文献】 特開2010−246223(JP,A)
【文献】 特開2003−13667(JP,A)
【文献】 特開2005−124347(JP,A)
【文献】 特開平9−177425(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0024831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
H02K 7/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の上部と該出入口を開閉する出入口開閉体との間に介在されて、該出入口開閉体の開閉動を許容する一方で、開かれた状態の該出入口開閉体に対して閉じ方向の付勢力を付与する出入口開閉体の閉じ装置において、
前記出入口の上部又は前記出入口開閉体の上部のうちのいずれか一方の取付け部に、該一方の取付け部に沿うようにして取付けられる本体ケースと、
前記本体ケースの伸び方向一端側内部に、軸線方向を該本体ケースの伸び方向に対して直交する方向に向けつつ、回転可能に支持される第1回転軸と、
前記第1回転軸と前記本体ケースとの間に介装され、該第1回転軸の回転に伴ってねじられるねじりばねと、
前記本体ケース内に、その伸び方向他端側において配置される発電機と、
前記回転軸側から前記発電機側に向けて伸びるように配設されると共に該第1回転軸と該発電機との並設方向に変位動可能とされ、該第1回転軸と該発電機との並設方向への変位動を該回転軸及び該発電機に対して回転として伝達する伝達部材と、
前記本体ケースに、前記発電機と前記第1回転軸との間において前記伝達部材に沿うようにして形成される開口と、
前記本体ケースの開口を利用して、前記出入口の上部又は前記出入口開閉体の上部のうちの他方の取付け部と前記伝達部材とを連結して、前記出入口開閉体の開閉動を前記伝達部材に該伝達部材の変位動として伝達する入力部材と、
が備えられている、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記伝達部材として巻回部材が用いられることにより、前記第1回転軸と前記発電機とが連係されている、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記本体ケースの伸び方向他端側内部に前記第2回転軸が、前記第1回転軸に対して平行に対向しつつ回転可能に支持され、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とに対して、巻回部材が巻回され、
前記第2回転軸にギアが取付けられ、
前記発電機の入力軸に、前記ギアよりも小径とされた入力ギアが取付けられ、
前記入力ギアと前記ギアとが噛合されている、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2回転軸と前記ギアとの間に、ワンウェイクラッチが介装され、
前記ワンウェイクラッチは、前記第2回転軸が前記ねじりばねの付勢力及び前記巻回部材に基づき回転されるときにのみ、該第2回転軸の回転を前記ギアに伝達するように設定されている、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記本体ケースが、前記出入口の上部に取付けられ、
前記入力部材が、前記伝達部材と前記出入口開閉体の上部とを連結している、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記出入口開閉体として、ドアが用いられ、
前記入力部材として、アームが用いられ、
前記アームの一端部が前記伝達部材に対して回動可能に連結されていると共に、該アームの他端部が前記他方の取付け部に対して回動可能に連結されている、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記出入口開閉体として、引き戸が用いられる、
ことを特徴とする出入口開閉体の閉じ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入口開閉体の閉じ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出入口を開閉するために、ドア、引き戸等の出入口開閉体が用いられている。この出入口開閉体の上部と出入口上部との間には、一般に、閉じ装置(ドアクローザ、引き戸クローザ)が介在されており、その閉じ装置により、人によって開けられた入口開閉体は自動的に閉められることになる。
【0003】
ところで、近時、出入口開閉体の開閉動に着目し、発電機能を備える閉じ装置が開発されつつある。例えば特許文献1には、これまでの閉じ装置にケースを新たに取付け、そのケース内に、出入口開閉体の開閉動に伴い回転する入力軸を進入させる一方、そのケース内に発電機と増速機とを収納し、その発電機と入力軸とを増速機を介して連係させるものが提案されている。これによれば、出入口開閉体の開閉動に伴って回転する入力軸の回転数が低くても、その入力軸の回転数が増速機により高められ、発電機においては、その発電に適した回転数となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5453603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記出入口開閉体の閉じ装置においては、発電機が十分に動作するためには、増速機を複数(多数)のギアを用いて構成し、その複数のギアにより、入力軸からの回転数を高めなければならない。このため、部品点数が多くなるばかりか、一連の各部品の組付けも容易でないものとなっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、発電量を極力確保しつつ、部品点数を低減させると共に組付け作業性を向上させることができる出入口開閉体の閉じ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明にあっては、次の(1)〜(7)のような構成とされている。
(1)出入口の上部と該出入口を開閉する出入口開閉体との間に介在されて、該出入口開閉体の開閉動を許容する一方で、開かれた状態の該出入口開閉体に対して閉じ方向の付勢力を付与する出入口開閉体の閉じ装置において、
前記出入口の上部又は前記出入口開閉体の上部のうちのいずれか一方の取付け部に、該一方の取付け部に沿うようにして取付けられる本体ケースと、
前記本体ケースの伸び方向一端側内部に、軸線方向を該本体ケースの伸び方向に対して直交する方向に向けつつ、回転可能に支持される第1回転軸と、
前記第1回転軸と前記本体ケースとの間に介装され、該第1回転軸の回転に伴ってねじられるねじりばねと、
前記本体ケース内に、その伸び方向他端側において配置される発電機と、
前記回転軸側から前記発電機側に向けて伸びるように配設されると共に該第1回転軸と該発電機との並設方向に変位動可能とされ、該第1回転軸と該発電機との並設方向への変位動を該回転軸及び該発電機に対して回転として伝達する伝達部材と、
前記本体ケースに、前記発電機と前記第1回転軸との間において前記伝達部材に沿うようにして形成される開口と、
前記本体ケースの開口を利用して、前記出入口の上部又は前記出入口開閉体の上部のうちの他方の取付け部と前記伝達部材とを連結して、前記出入口開閉体の開閉動を前記伝達部材に該伝達部材の変位動として伝達する入力部材と、
が備えられている構成とされている。
【0008】
この構成によれば、出入口開閉体の開閉動に伴い、入力部材がその開閉動を伝達部材に変位動として伝達することになり、この伝達部材の変位動により発電機が回転され、発電機は発電することになる。
その一方で、出入口開閉体の開閉動を、入力部材、伝達部材等を利用して、発電機に伝達する構成であることから、複数(多数)のギアを用いて増速機を構成する必要がなくなり、これに伴い、それら複数のギアの組付け等も不要となる。
また、出入口開閉体の閉動作時に、ねじりばねの付勢力を、伝達部材、入力部材等を用いて出入口開閉体に伝達する構成とされて、多数のギア群を用いる構成(増速機)の場合のようにギア群の小さくない摩擦抵抗を考慮することが必要でなくなる。これにより、出入口開閉体を確実に閉じるようにするために、ねじりばねのばね係数を増大させることも、発電機として、発電抵抗が低いもの(磁気ブレーキが低いもの)を用いることも必要でなくなる。
さらに、入力部材が出入口開閉体の開閉動と伝達部材の変位動とを関連付ける構成であることから、出入口開閉体の開閉動を入力軸を介してギア群(増速機)に伝達するものとは異なり、本体ケースを、その第1回転軸の軸線方向をどの方向に向けて配置しようとも、出入口開閉体の開閉動を入力部材を介して伝達部材に容易に伝達できる。
【0009】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記伝達部材として巻回部材が用いられることにより、前記第1回転軸と前記発電機とが連係されている構成とされている。
この構成によれば、第1回転軸と発電機との間にギア群(増速機)を用いる必要がなくなり、そのようなギア群(増速機)を用いるものに比して、軽量化を図ることができる。このため、仮に、本体ケース(本体ケース及び収納物)を出入口開閉体側に取付けるとしても、出入口開閉体の重量の増加を抑えることができ、出入口開閉体を確実に閉じるようにするために、ねじりばねとして、ばね係数を大幅に増大させたものを用いることも、発電機として、発電抵抗がかなり低くなるもの(磁気ブレーキが低いもの)を用いることもなくすことができる。
【0010】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記本体ケースの伸び方向他端側内部に前記第2回転軸が、前記第1回転軸に対して平行に対向しつつ回転可能に支持され、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とに対して、巻回部材が巻回され、
前記第2回転軸にギアが取付けられ、
前記発電機の入力軸に、前記ギアよりも小径とされた入力ギアが取付けられ、
前記入力ギアと前記ギアとが噛合されている構成とされている。
この構成によれば、入力部材が、出入口開閉体の開閉動と巻回部材の構成部の変位動とを関連付け、第2回転軸、ギア及び入力ギアが、巻回部材の構成部の変位動と発電機(入力ギア)の回転とを関連付けることになり、当該閉じ装置が組み込まれるとしても、出入口開閉体を開閉動させることができると共に、その出入口開閉体の開閉動に伴い、発電機の入力軸を回転させることができる。しかも、第2回転軸におけるギアと発電機における入力ギアとの大小関係に基づき、発電機の入力軸において増速を図ることができる。このため、当該閉じ装置として好ましいものを具体的に提供できる。
【0011】
(4)前記(3)の構成の下で、
前記第2回転軸と前記ギアとの間に、ワンウェイクラッチが介装され、
前記ワンウェイクラッチは、前記第2回転軸が前記ねじりばねの付勢力及び前記巻回部材に基づき回転されるときにのみ、該第2回転軸の回転を前記ギアに伝達するように設定されている構成とされている。
この構成によれば、出入口開閉体の閉動作時にのみ、発電機が発電され、出入口開閉体の開動作時には、発電機の発電抵抗(磁気ブレーキ)が作用しないことから、出入口開閉体の開動作時に必要となる押圧力を低減させることができる。このため、発電量の確保、部品点数の低減、組付け作業性の向上等を図りつつ、出入口開閉体の開動作を行わせる者の負担を軽減できる。
【0012】
(5)前記(1)の構成の下で、
前記本体ケースが、前記出入口の上部に取付けられ、
前記入力部材が、前記伝達部材と前記出入口開閉体の上部とを連結している構成とされている。
この構成によれば、出入口開閉体の重量を増大させる必要がなくなり、ねじりばねとして、ばね係数を増大したものを用いることも、発電機として、発電抵抗(磁気ブレーキ)を低下させたものを用いることも回避できる。
【0013】
(6)前記(1)の構成の下で、
前記出入口開閉体として、ドアが用いられ、
前記入力部材として、アームが用いられ、
前記アームの一端部が前記伝達部材に対して回動可能に連結されていると共に、該アームの他端部が前記他方の取付け部に対して回動可能に連結されている構成とされている。
この構成によれば、出入口開閉体としてドアが用いられる場合であっても、前述の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0014】
(7)前記(1)の構成の下で、
前記出入口開閉体として、引き戸が用いられる構成とされている。
この構成によれば、出入口開閉体として引き戸が用いられる場合であっても、前述の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたことから、本発明によれば、発電量を極力確保しつつも、部品点数を低減させると共に組付け作業性を向上させることができる出入口開閉体の閉じ装置を提供できる。
また、多数のギア群を用いる構成の場合のようにギア群の小さくない摩擦抵抗を考慮する必要がなくなり、出入口開閉体を確実に閉じるようにするために、ねじりばねのばね係数を増大させたり、発電機として、発電抵抗が低いもの(磁気ブレーキが低いもの)を用いたりする必要がなくなることから、出入口開閉体の開動作時の押圧力負担が増大することを防止できると共に、発電量が減少することを防止できる。
さらに、入力部材が出入口開閉体の開閉動と伝達部材の変位動とを関連付ける構成であることから、出入口開閉体の開閉動を入力軸を介してギア群(増速機)に伝達するものとは異なり、本体ケースの取付け自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ドア開口上縁部とドアとの間に介在された第1実施形態に係るドアクローザ(閉じ装置)を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係るドアクローザを示す縦断面図。
図3図2の一部破断底面図。
図4】第2実施形態に係る引き戸クローザを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は、壁体2に開口された矩形状の出入口としてのドア開口、符号3は、そのドア開口1を開閉する出入口開閉体としてのドアである。ドア3は、その幅方向基端部がヒンジ4を介して壁体2(ドア開口1側縁部1a)に取付けられ、ドア3は、そのドア3がヒンジ4を中心として回動することにより、ドア開口1を開閉することになる。
【0018】
前記ドア開口1の上部としての室内側上縁部(以下、ドア開口上縁部という)1bと前記ドア3の内面上部3aとの間に、図1に示すように、出入口開閉体の閉じ装置として、実施形態に係るドアクローザ5が介在されている。ドアクローザ5は、ドアクローザ本体6と、該ドアクローザ本体6に対してスライド可能且つ屈曲動可能に連係される入力部材としてのアーム7と、を備えており、このドアクローザ本体6とアーム7との関係により、ドア3の開閉動が許容されることになっている。
【0019】
前記ドアクローザ本体6は、図1図3に示すように、外形を形成するものとして、長尺な箱状本体ケース8を備えている。本体ケース8は、本実施形態においては、ドア開口上縁部1b(壁体2)に取付けられており、その本体ケース8は、その伸び方向をドア開口上縁部1bに沿う方向に向けた状態で伸ばされている。このため、本体ケース8は、ドア開口上縁部1bに取付けられる後壁部9と、その後壁部9に対向して配置される前壁部10と、その前壁部10と後壁部9との間を上側において跨ぐ上壁部11と、前壁部10と後壁部9との間を下側において跨ぐ下壁部12と、前、後壁部10、9及び上、下壁部11、12の左右端を閉塞する左右各端壁部13,14と、を備えており、このうち、下壁部12には、その幅方向中央位置において、本体ケース8の伸び方向に伸びる開口としての挿通孔15が形成されている。
【0020】
前記本体ケース8内には、図1図2に示すように、第1、第2回転軸として、一対の回転軸16,17が備えられている。一対の回転軸16,17のうち、一方の回転軸(第1回転軸)16は、本体ケース8の伸び方向一方側(図2中、右側)において配置されている。この一方の回転軸16は、その軸線方向が上下方向に向けられ、その上端部は上壁部11に回転可能に支持され、その下端部は下壁部12に回転可能に支持されている。他方の回転軸17(第2回転軸)は、本体ケース8の伸び方向他方側(図2中、左側)において配置されている。この他方の回転軸17も、その軸線方向が上下方向に向けられ、その上端部は上壁部11に回転可能に支持され、その下端部は下壁部12に回転可能に支持されている。本実施形態においては、一方の回転軸16が、本体ケース8の伸び方向一方側の端壁部13に極力、近づけられ、他方の回転軸17は、本体ケース8の伸び方向他方側の端壁部14よりも、多少、本体ケース8の伸び方向内方に位置されている。
【0021】
前記一対の各回転軸16(17)には、図2図3に示すように、プーリ18,19が相対回転不能にそれぞれ取付けられている。各プーリ18(19)は、いずれも、下壁部12に近づけた状態で配置されており、この両プーリ18,19の周面は、互いに対向されている。この各プーリ18(19)には、歯付きベルトに対応した歯付きプーリが用いられている。
【0022】
前記両プーリ18,19には、図2図3に示すように、伝達部材及び巻回部材としての帯状のベルト20が巻回されている。このベルト20は、前記各プーリ18(19)に対応して、その内面に歯が取付けられた歯付きベルトとされており、このベルト20の歯と各プーリ18(19)の歯とが噛み合うことにより、ベルト20の変位量が各回転軸16(17)の回転量として効果的に伝達されることになっている。本実施形態においては、ベルト20としてゴム製のものが用いられており、ベルト20と各プーリ18(19)との間で摩擦音、こすれ音等が発生することが抑制されることになっている。また、このベルト20の使用に伴う伸びを考慮し、テンションプーリ等の緊張状態調整手段を設けることが好ましい。
このベルト20は、プーリ18,19間において、対向して配設される一対のベルト部20a,20b(図2においては、ベルト20を破断して図示)を備えており、そのうちのベルト部20aに連結具21が取付けられている。この連結具21は、ベルト部20aに一体化するための取付け部21aと、その取付け部21aから下方に伸びて下壁部12の挿通孔15から外方に突出する支持軸部21bと、を備えており、支持軸部21bは、ベルト部20aの変位動(移動)に伴い、挿通孔15によりその挿通孔15の伸び方向に案内されることになっている。
【0023】
前記一方の回転軸16と前記上壁部11との間には、図2に示すように、ねじりばね22が介装されている。本実施形態においては、ねじりばね22の一端が上壁部11に係止され、その他端がプーリ18に係止されている。これにより、前記連結具21がケース本体8の伸び方向一方側(図2中、右側)に向けて移動し、これに伴い、ベルト部20aが変位動して、プーリ18及び一方の回転軸16が回転された場合には、ねじりばね22はねじられ、そのねじりばね22に付勢力(反発力)が蓄積されることになる。このねじりばね22の付勢力は、後述するように、ドア3を閉方向に回動させるために利用されるが、そのねじりばね22としては、伝達機構として多数のギアを用いずその抵抗を考慮する必要がなくなることから、ばね係数を比較的小さくしたものが用いられている。
【0024】
他方、前記本体ケース8内には、図2図3に示すように、前記他方の回転軸17よりも該本体ケース8の伸び方向他方側において発電機(ダイナモ)23が配置されている。発電機23は、その入力軸23aを下方に向けた状態で本体ケース8の上壁部11内面に固定されており、その入力軸23aには比較的小さめの入力ギア24が取付けられている。この発電機23は、その入力軸23aが回転するとき、その内部において磁気ブレーキ(発電抵抗)を発生させることになっている。
他方の回転軸17には、前記入力ギア24よりも径が大きいギア25が取付けられている。このギア25の歯数は、入力ギア24の歯数よりも多くされており、そのギア25が入力ギア24に噛合されている。このギア25の内周面と他方の回転軸17との間にはワンウェイクラッチ26が介在されており、このワンウェイクラッチ26により、他方の回転軸17が、その軸線を中心として、図3中、時計方向(ドア3の閉方向)に回転したときにのみ、他方の回転軸17の回転がギヤ25、入力ギア24を介して発電機23に伝達され、他方の回転軸17がその軸線を中心として、図3中、反時計方向(ドア3の開方向)に回転したときには、他方の回転軸17の回転は、発電機23には伝達されないことになっている。
【0025】
前記本体ケース8内には、図2図3に示すように、バッテリ27が設けられている。バッテリ27は、前記一対の回転軸16,17間であって、ベルト20よりも上方側に配置されており、そのバッテリ27は、上壁部11等に固定されている。このバッテリ27は、発電機23と電線28を介して接続されており、発電機23において発電されると、それに基づき、バッテリ27は充電されることになる。このバッテリ27は、非常時のランプの点灯、アラームの作動等、各種機器を動作させるための電源として用いられる。
【0026】
前記アーム7は、図1に示すように、前記連結具21と前記ドア内面上部3aとを連結している。アーム7は、細幅の帯板形状をもって伸びる構成とされており、そのアーム7の板面は、上下方向に向けられている。このアーム7は、その一端部が、前記本体ケース8における下壁部12下方側において、連結具21の支持軸部21bに相対回動可能に連結され、アーム7の他端部は、ドア内面上部3aに取付けられたブラケット29に回動可能に支持されている。この場合、ブラケット29は、板材を直角に折曲した構成とされている。その一方の折曲板部29aの板面が、ドア3の幅方向基端側(ヒンジ4側)において、そのドア3の内面上部3aに取付けられ、他方の折曲板部29bの板面が、ドア3の肉厚方向において、そのドア3の上端面に連続するように配置されている。この他方の折曲板部29b上に支持軸31が設けられ、その支持軸31にアーム7の他端部が回動可能に支持されている。
【0027】
これにより、ドア3の開閉動に伴い、アーム7の一端部が、支持軸部21bに対して回動しつつ、挿通孔15(本体ケース8)の伸び方向に往復動し、アーム7の他端部はブラケット29上の支持軸31に対して回動することになる。また、ドア3が、ドア開口1に対して最大限(例えば120〜130°程度)開かれたときには、アーム7は、その一端部が挿通孔15の伸び方向一端側(図2中、右端側)に位置して、ドア開口1に対して、そのドア3の角度よりも多少、小さい角度姿勢をとり、ドア3によりドア開口1が閉じられたときには、アーム7は、その一端部が挿通孔15の伸び方向他端側(図2中、左端側)に位置して、その略全体が本体ケース8の下方領域に位置する姿勢を取る。
【0028】
次に、上記ドアクローザ5の作用について説明する。
上記のようにして組み付けられたドアクローザ5においては、ドア3が開かれると、そのドア3の開方向への回動に伴い、アーム7は、その他端部がブラケット29上の支持軸31に対して相対的に回動すると共に、その一端部が回動しつつ挿通孔15(本体ケース8)の伸び方向一端側(図2中、右端側)に向けて引っ張られる(移動される)。これに伴い、ベルト20におけるベルト部20aが本体ケース8の伸び方向一端側に移動されることになり、そのベルト部20aの移動により一方の回転軸16は、ねじりばね22の反発力に抗しながらそのねじりばね22をねじる。これにより、ねじりばね22は、付勢力(反発力)を蓄積することになる。
このとき、ベルト20により他方の回転軸17がその軸線を中心として回転されることになるが、ワンウェイクラッチ26により、その他方の回転軸17の回転は、発電機23には伝達されず、発電機23においては、発電が行われない。このため、発電機23においては、磁気ブレーキは発生せず、ドア3を開くために必要となる押圧力は、磁気ブレーキにより増大されることはない。
【0029】
ドア3が開かれた後、そのドア3に対して外力が作用しなくなると、蓄積されたねじりばね22の付勢力(反発力)に基づき、一方の回転軸16がその軸線を中心として回転されることになり、ベルト部20aに取付けられた連結具21は、挿通孔15の伸び方向他方側に移動する。これにより、アーム7の一端部も、同方向に引っ張られることになり、アーム7は、ドア3をヒンジ4を中心として閉方向に回動させる。この結果、ドア3はドア開口1を閉じることになり、アーム7は本体ケース8の下方領域に収まることになる。
勿論この場合、ドア3の開閉度合いに応じて、アーム7の姿勢が変化するが、その各状態を許容するために、アーム8の他端部はブラケット29上の支持軸31に対して相対回動することになる。
【0030】
また、上記ドア3の閉動作時には、ベルト20の駆動が、プーリ18,19、他方の回転軸17、さらには、ワンウェイクラッチ26、入力ギア24,25を介して発電機23の入力軸23aに伝達されることになり、発電機23において、発電が行われる。これにより、バッテリ27が充電されることになり、そのバッテリ27は各種機器の駆動電源として機能する。
特に本実施形態においては、発電機23の入力軸23aの回転数は、ドア3閉動作時におけるベルト20の変位動量だけによって決定されるものではなく、その変位動量に基づいて決定された他方の回転軸17の回転数を、ギア25と24により増大(増速)させたものとされている。このため、発電機23による発電量は、ドア3閉動作時におけるベルト20の変位動量だけによるものに比して高められることになる。
【0031】
また、上記ドア3の閉動作時には、発電機23において、発電に伴い、磁気ブレーキが発生する。このため、ドア3の閉動作時には、ねじりばね22の付勢力が、磁気ブレーキにより減衰されることになり、ドア3は、オイルダンパを用いなくても、ゆっくり静かに、安全な速度をもって閉じることになる。
【0032】
したがって、上記ドアクローザ5においては、ドアの開閉動を、多数のギアではなく、主として、アーム7、ベルト20等を用いて発電機23に伝達する構成としていることから、発電機能を確保する場合であっても、多数のギアを用意する必要がなくなり、それら多数のギアを組付けて増速機を構成する必要がなくなる。このため、当該ドアクローザ5においては、発電量を極力確保しつつ、部品点数を低減させることができると共に組付け作業性を向上させることができる。
【0033】
また、ドア3の閉動作時に、ねじりばね22の付勢力をプーリ18,19、ベルト20、アーム7等を用いてドア3に伝達する構成とされて、多数のギア群を用いる構成の場合のようにギア群の小さくない摩擦抵抗を考慮する必要がないことから、ドア3を確実に閉じるようにするために、ねじりばね22のばね係数を増大させることも、発電機23として、磁気ブレーキが低いものを用いることも必要でなくなる。これにより、ドア3の開動作時に、そのドア3を開くための押圧力が増大することを防止できると共に、発電量が減少すること防止できる。
【0034】
さらに、本実施形態においては、発電機23、バッテリ27等を収納するドアクローザ本体6が、ドア3ではなく、ドア開口上縁部1bに設けられていることから、そのドアクローザ本体6の重量を壁体2に受け止めさせることができる。このため、ドア3は、ドアクローザ本体6の重量を受け止める必要がなくなり、この点からも、上述の内容(ドア3の開動作に必要な押圧力の増大防止、発電量の減少)に貢献することになる。
【0035】
さらにまた、アーム7がドア3の開閉動とベルト部20aの変位動とを関連付ける構成であることから、ドアの開閉動を入力軸(軸線が上下方向を向いた状態で配置)を介してギア群(増速機)に伝達するものとは異なり、本体ケース8を、ドア開口上縁部1bに回転軸16,17の軸線方向をどの方向に向けつつ取付けようとも、本体ケース8における後壁部9、前壁部10、上壁部11、下壁部12のいずれかに挿通孔15を形成し、その挿通孔15を利用することにより、本体ケース8に対するアーム7一端部のスライド可能状態を確保しつつ、そのアーム7の一端部を、ベルト20(連結具21)に簡単に連結することができる。これにより、本体ケース8の取付け自由度を高めることができる。
【0036】
加えて、本実施形態においては、ドアクローザ5における伝達機構として、ベルト20、プーリ18,19等が用いられ、多数のギアを用意してそれらを噛合させる伝達構造とはされていないことから、ドア3の開閉動を行うに際して、噛合音等が発生することを防止できる。特に本実施形態においては、ベルト20としてゴム製のものが用いられ、ドアクローザ5として、静粛性を高める観点からより好ましいものとなっている。
【0037】
しかも、ドアクローザ5の保守管理の点からは、基本的に、グリス等の潤滑剤を多くのギアに塗布する必要がないばかりか、簡単な構造に基づき、分解、組立を容易に行うことができ、保守点検に要する時間を短縮することができる。
【0038】
図4は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図4に示す第2実施形態は、引き戸30を対象とする引き戸クローザ(出入口開閉体の閉じ装置)50を示している。
この第2実施形態においては、引き戸開口100の室内側上縁部1bに、前記ドアクローザ本体6と実質的に同一の引き戸クローザ本体60が設けられている一方、引き戸30の内面上部にブラケット29が設けられ、そのブラケット29に入力部材としての連結部材70が上方に突出するようにして設けられている。この連結部材70は、引き戸クローザ本体60におけるベルト20(20a)に連結されており、引き戸30の開閉動が、連結部材70を介してベルト20(20a)に伝達されるように設定されている。これにより、この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を生じることになる。
尚、図4中、符号33は、引き戸30上端面に設けられるローラである。
【0040】
以上実施形態について説明したが、次の態様を行ってもよい。
(1)ドアクローザ本体6(引き戸本体60)をドア3(引き戸30)側に取付け、ブラケット29を壁体2側に取付けること。
(2)ベルト20を一方の回転軸16と発電機23の入力軸とに巻回すること。
(3)本体ケース8を、一方の回転軸16及び他方の回転軸17の軸線方向が水平方向に向くように配置すること。
(4)巻回部材として、ベルト20に代えて、チェーン等を用い、それに伴い、プーリ18,19に代えて、スプロケットを用いること。
(5)ドアクローザ本体6や引き戸クローザ本体60(本体ケース8)をドア開口上部(ドア開口上縁部1b)に取付ける態様として、そのドアクローザ本体6や引き戸クローザ本体60をそのドア開口上部に埋め込んで使用する態様を含むこと。
【符号の説明】
【0041】
1 ドア開口
1a ドア開口側縁部
1b ドア開口上縁部(ドア開口上部)
2 壁体
3 ドア(入口開閉体)
5 ドアクローザ
6 ドアクローザ本体
7 アーム(入力部材)
8 本体ケース
15 挿通孔(開口)
16 一方の回転軸(第1回転軸)
17 他方の回転軸(第2回転軸)
20 ベルト(伝達部材、巻回部材)
22 ねじりばね
23 発電機
23a 発電機の入力軸
24 入力ギア
25 ギア
30 引き戸(入口開閉体)
50 引き戸クローザ
60 引き戸クローザ本体
70 連結部材(入力部材)
100 引き戸開口
図1
図2
図3
図4