特許第6644613号(P6644613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井住友建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6644613-ブレース 図000002
  • 特許6644613-ブレース 図000003
  • 特許6644613-ブレース 図000004
  • 特許6644613-ブレース 図000005
  • 特許6644613-ブレース 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644613
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ブレース
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
   E04B1/58 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-68554(P2016-68554)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179871(P2017-179871A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】小坂 英之
(72)【発明者】
【氏名】新上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 知己
(72)【発明者】
【氏名】土居 和雅
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−041481(JP,A)
【文献】 特開2009−174173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/18 − 1/30
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側鋼管と、
該外側鋼管の長手方向に沿った一部の区間にて該外側鋼管の内部に配置されてなる内側鋼材と、
該内側鋼材に接触して該内側鋼材からの押圧力を受けるように、前記外側鋼管の長手方向に沿った一部の区間であって前記内側鋼材が配置されていない区間にて該外側鋼管の内部に充填されてなる流体又はセメント硬化体からなる充填体と、
前記外側鋼管の両端にそれぞれ取り付けられると共に建物の躯体に取り付けられる取付部と、を備え、
地震発生時にブレースに作用する圧縮力が、前記取付部を介して前記内側鋼材、前記充填体及び前記外側鋼管に作用するように構成したことを特徴とするブレース。
【請求項2】
前記充填体は、セメント硬化体であって、前記外側鋼管の内周面が接触し得る位置に配置されて該外側鋼管の内周面に接触することに基づき該外側鋼管が座屈するのを阻止するように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のブレース。
【請求項3】
請求項1記載のブレースを製造するにあたり、
外側鋼管の内部であって該外側鋼管の長手方向に沿った一部の区間に内側鋼材を配置する工程と、
建物の躯体に取り付けられる取付部を前記外側鋼管の両端にそれぞれ取り付けて該外側鋼管の両端の鋼管開口部を閉塞して該外側鋼管の内部を略密閉空間とする工程と、
該外側鋼管又は該取付部に形成された流体充填用貫通孔から該外側鋼管の内部であって前記内側鋼材が配置されていない区間に流体を充填する工程と、
前記流体充填用貫通孔を閉塞して前記流体が前記外側鋼管の外部に漏れないようにし、及び/又は該流体をセメント硬化体に硬化させることに基づき、該流体又は該セメント硬化体が前記内側鋼材に接触して該内側鋼材からの押圧力を受けるようにする工程と、
を備えたことを特徴とするブレースの製造方法。
【請求項4】
前記流体充填用貫通孔から充填した前記流体が前記内側鋼材の外周面と前記外側鋼管の内周面との間の隙間に侵入しないように、該隙間及び/又は該隙間の近傍に封止部材を配置する工程、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のブレースの製造方法。
【請求項5】
前記流体が、セメント硬化体に硬化する前のペースト状のものである場合に、
前記流体充填用貫通孔、前記鋼管開口部又は他の貫通孔を介して前記外側鋼管の内周面であって前記流体が接触する面に潤滑剤を塗布する工程を、該流体を該外側鋼管の内部に充填する前に行う、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のブレースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管等により構成されて建物の躯体に取り付けられるブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の躯体に取り付けられるブレースについては種々の構造のものが提案されていた(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図4(a)は、建物の躯体にブレースが取り付けられている様子の一例を示す側面図であり、同図(b)は、該ブレースの拡大図であり、同図(c)は、そのP−P断面図である。図中の符号Aは、建物の躯体を示し、符号21は、該躯体Aに取り付けられているブレースを示し、符号23は、軸力が作用する鋼製芯材(H形鋼)を示し、符号24は、該鋼製芯材23を覆うように取り付けられたコンクリート部材を示し、符号22は、該コンクリート部材24の外周を覆って補強する鋼管を示している。今、地震が起こって図示のブレース21に圧縮力や引張力が作用すると、それらの力は前記鋼製芯材23にて受け止められ、建物が補強されることとなる。なお、該鋼製芯材23を覆うように前記コンクリート部材24や鋼管22が取り付けられているため、該鋼製芯材23に圧縮力が作用したとしても該コンクリート部材24等によって該鋼製芯材23の座屈は阻止されることとなる。
【0004】
また、図5は、ブレースの従来構造の他の例を示す部分断面図であり、図中の符号32は、引張力や圧縮力を受けるための外側鋼管(軸力管)を示し、符号33は、該外側鋼管32の全長に亘って配置されて該外側鋼管32を補剛する内側鋼管(補剛管)を示し、符号35は、建物に取り付けるための取付部を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−31654号公報
【特許文献2】特許5034579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図4(a)(b)に例示するブレース21においては複数の鋼製部品22,23が全長に亘って配置されており、図5に例示するブレース31においても複数の鋼製部品32,33が全長に亘って配置されているが、これらの鋼製部品は価格が高いものであり、その分、ブレース21,31は高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消することのできるブレースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、図1及び図2(c)に例示するものであって、外側鋼管(2,12)と、
該外側鋼管(2,12)の長手方向(x)に沿った一部の区間(dx1)にて該外側鋼管(2,12)の内部に配置されてなる内側鋼材(3,13)と、
該内側鋼材(3,13)に接触して該内側鋼材(3,13)からの押圧力を受けるように、前記外側鋼管(2,12)の長手方向(x)に沿った一部の区間(dx2)であって前記内側鋼材(3,13)が配置されていない区間(dx2)にて該外側鋼管(2,12)の内部に充填されてなる流体又はセメント硬化体からなる充填体(4,14)と、
前記外側鋼管(2,12)の両端にそれぞれ取り付けられると共に建物の躯体(不図示)に取り付けられる取付部(5,15)と、を備えたことを特徴とするブレース(1,11)に関する。
【0009】
本発明の第2の観点は、前記充填体(4,14)が、セメント硬化体であって、前記外側鋼管(2,12)の内周面が接触し得る位置に配置されて該外側鋼管(2,12)の内周面に接触することに基づき該外側鋼管(2,12)が座屈するのを阻止するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点は、図3(b)に例示するように、外側鋼管(12)の内部であって該外側鋼管(12)の長手方向(x)に沿った一部の区間(dx1)に内側鋼材(13)を配置する工程と、
建物の躯体に取り付けられる取付部(15)を前記外側鋼管(12)の両端にそれぞれ取り付けて該外側鋼管(12)の両端の鋼管開口部を閉塞して該外側鋼管(12)の内部を略密閉空間とする工程と、
該外側鋼管(12)又は該取付部(15)に形成された流体充填用貫通孔(16)から該外側鋼管(12)の内部であって前記内側鋼材(13)が配置されていない区間(dx2)に流体を充填する工程(矢印B参照)と、
前記流体充填用貫通孔(16)を閉塞して前記流体が前記外側鋼管(12)の外部に漏れないようにし、及び/又は該流体をセメント硬化体に硬化させることに基づき、該流体又は該セメント硬化体が前記内側鋼材(13)に接触して該内側鋼材(13)からの押圧力を受けるようにする工程(図3(c)参照)と、を備えたことを特徴とするブレース(11)の製造方法に関する。
【0011】
本発明の第4の観点は、前記流体充填用貫通孔(16)から充填した前記流体が前記内側鋼材(13)の外周面と前記外側鋼管(12)の内周面との間の隙間に侵入しないように、該隙間及び/又は該隙間の近傍に封止部材(図3(b)(c)の符号17参照)を配置する工程、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の観点は、前記流体が、セメント硬化体に硬化する前のペースト状のものである場合に、
前記流体充填用貫通孔(16)、前記鋼管開口部又は他の貫通孔を介して前記外側鋼管(12)の内周面であって前記流体が接触する面に潤滑剤(図3(a)の符号18参照)を塗布する工程を、該流体を該外側鋼管(12)の内部に充填する前に行うことを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
上記した第1,3及び4の観点によれば、前記内側鋼材は前記外側鋼管の長手方向に沿った一部の区間だけに配置されていて該外側鋼管の全長に亘っては配置されていないため、該内側鋼材を該外側鋼管の全長に亘って配置した場合に比べてコストを削減することができる。
【0015】
上記した第2の観点によれば、前記外側鋼管の内周面が前記充填体に接触することに基づき該外側鋼管の座屈が阻止される。
【0016】
上記した第5の観点によれば、前記外側鋼管の内周面に前記セメント硬化体が付着することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係るブレースの構成の一例を示す断面図である。
図2図2(a)〜(c)は、本発明に係るブレースの製造方法の一例を示す断面図である。
図3図3(a)〜(c)は、本発明に係るブレースの製造方法の他の例を示す断面図である。
図4図4(a)は、建物の躯体にブレースが取り付けられている様子の一例を示す側面図であり、同図(b)は、該ブレースの拡大図であり、同図(c)は、そのP−P断面図である。
図5図5は、ブレースの従来構造の他の例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図3に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明に係るブレースは、図1及び図2(c)に符号1及び11で例示されるものであって、
・ 外側鋼管2,12と、
・ 該外側鋼管2,12の内部に配置されてなる内側鋼材3,13と、
・ 該内側鋼材3,13に接触して該内側鋼材3,13からの押圧力を受けるように前記外側鋼管2,12の内部に充填(配置)されてなる充填体4,14と、
・ 建物の躯体(不図示)に取り付けられる取付部5,15と、
を備えている。
【0020】
なお、これらの外側鋼管2,12は円筒状であっても角筒状(例えば、四角筒状や、五角筒状や、その他の角筒状)であっても良い。
【0021】
また、前記内側鋼材3,13は、前記外側鋼管2,12の長手方向xに沿った一部の区間dx1に配置されている。図1及び図2(c)に示す例では、該内側鋼材3,13は前記外側鋼管2,12の一端部の1箇所に配置されているが、もちろんこれに限られるものではない。例えば、前記外側鋼管2,12の両端部の2箇所に配置されていても良く、該端部以外の1箇所又は複数箇所に配置されていても良く、該外側鋼管2,12の端部を含む複数の箇所に配置されていても良い。これらの内側鋼材3,13は、地震等によって圧縮力を受けた場合に降伏する材料であれば良い。該内側鋼材3,13の形状はどのような形状であっても良く、円筒状や角筒状の鋼管であっても、断面がH形やI形や十字形等の形鋼であっても良い。
【0022】
上述した充填体4,14は、前記外側鋼管2,12の長手方向xに沿った一部の区間dx2であって前記内側鋼材3,13が配置されていない区間dx2のほぼ全区間に配置されている。つまり、前記外側鋼管2,12の長手方向xに沿った方向には、前記内側鋼材3,13か前記充填体4,14のいずれか一方が配置されていることになる。該充填体4,14は流体(好ましくは、グラウトなどの流動性の液体)又はセメント硬化体で構成されている。ここで、本明細書におけるセメント硬化体とは、セメントペースト、セメントモルタル、およびセメントコンクリートの硬化体を総称するものである。また、このセメント硬化体は、鉄筋や鋼材を有していても良く、例えば、プレストレストコンクリート杭(いわゆるPHC杭)などのプレキャスト部材であっても良い。さらに、本明細書における流体は、粘土などの粘性体や、前記セメント硬化体に硬化する前のペースト状のものも含む概念である。前記充填体4,14としてセメント硬化体を使用する場合、該充填体4,14と前記内側鋼材3,13とは連結されていなくて単に接触しているだけでも良い。該充填体4,14と該内側鋼材3,13とが連結されていない場合には、前記ブレース1,11に作用した引張力は前記外側鋼管2,12のみで受けることとなり、該充填体4,14と該内側鋼材3,13とが連結されている場合には、前記ブレース1,11に作用した引張力は該外側鋼管2,12だけでなく該充填体4,14や該内側鋼材3,13でも受けることとなる。
【0023】
また、前記取付部5,15は、前記外側鋼管2,12の両端にそれぞれ取り付けておくと良い。該取付部5,15の形状はどのような形状であっても良い。この取付部5,15は、前記外側鋼管2,12の両端にそれぞれ溶接されていると良い。また、一方の取付部5,15と前記内側鋼材3,13とは溶接等によって接続されていても良いが、接続されていなくても良い。
【0024】
本発明によれば、地震発生時に前記ブレース1,11に作用する引張力は前記取付部5,15を介して前記外側鋼管2,12に作用し、該ブレース1,11に作用する圧縮力は前記取付部5,15を介して前記内側鋼材3,13や前記充填体4,14や前記外側鋼管2,12に作用するようになっているので、該ブレース1,11によって建物の補強をすることができる。なお、該ブレース1,11に作用する引張力が一定以上になると前記外側鋼管2,12が降伏して地震のエネルギーを吸収し、該ブレース1,11に作用する圧縮力が一定以上になると前記内側鋼材3,13が降伏して地震のエネルギーを吸収することとなる。この場合、該内側鋼材3,13の長さや横断面積(具体的には、該内側鋼材3,13の横断面積と前記外側鋼管2,12の横断面積との相対比)は適切な値に設定しておくと良い。例えば、前記内側鋼材3,13は、圧縮力を受けた場合に座屈しないように短くしておくと良いが、近接配置した前記外側鋼管2,12によって座屈を阻止できる場合には該内側鋼材3,13をある程度までは長くできる。また、該内側鋼材3,13の横断面積の方を該外側鋼管2,12の横断面積よりも大きくして、該内側鋼材3,13の軸剛性が該外側鋼管2,12の軸剛性よりも高くなるようにすると良い。
【0025】
前記内側鋼材3,13は、鉄鋼を機械加工等したものであるので、流体又はセメント硬化体からなる前記充填体4,14に比べて高価である。しかし、本発明においては、前記内側鋼材3,13は前記外側鋼管2,12の長手方向xに沿った一部の区間dx1だけに配置されていて該外側鋼管2,12の全長に亘っては配置されていないため、該内側鋼材3,13を該外側鋼管2,12の全長に亘って配置した場合に比べてコストを削減することができる。
【0026】
なお、前記充填体4,14としてセメント硬化体(ペースト状のものではなく硬化した状態のセメント硬化体)を配置する場合、該セメント硬化体の外周面と該外側鋼管2,12の内周面とを接触させても、或いはそれらの間に多少の隙間を設けていてもどちらでも良いが、該外側鋼管2,12に所定以上の圧縮力が作用した場合に該外側鋼管2,12の内周面が接触し得る位置に該充填体4,14を配置しておいて、該充填体4,14が該外側鋼管2,12の内周面に接触することに基づき該外側鋼管2,12の座屈が阻止されるようにしておくと良い。
【0027】
一方、本発明に係るブレースの製造方法は、
図3(b)に例示するように、上述した内側鋼材13を前記外側鋼管12の内部に配置する工程と、
・ 前記外側鋼管12の両端の鋼管開口部を閉塞して該外側鋼管12の内部を略密閉空間とするように、上述した取付部15を該両端にそれぞれ取り付ける工程と、
・ 該外側鋼管12に形成された流体充填用貫通孔16から該外側鋼管12の内部であって前記内側鋼材13が配置されていない区間dx2に流体を充填する工程(図3(b)の矢印B参照)と、
を備えている。この場合、前記内側鋼材13は、前記外側鋼管12の内部であって、該外側鋼管12の長手方向xに沿った一部の区間dx1に配置すると良い。また、前記取付部15は、建物の躯体(不図示)に取り付ける構造のものであれば良い。さらに、上述のように充填した流体を流体のままで充填体14として使用する場合には、前記流体充填用貫通孔16を閉塞して前記流体が前記外側鋼管12の外部に漏れ出ないようにすると良い。また、該充填した流体が、セメント硬化体に硬化する前のペースト状のものであって、該流体をセメント硬化体に硬化させて充填体14として使用する場合には、前記流体充填用貫通孔16を閉塞してもしなくても良い。そして、前記充填体14(つまり、該流体又は該セメント硬化体)が前記内側鋼材13に接触するようにして、該内側鋼材13からの押圧力を該充填体14が受けるようにすると良い。なお、図3(b)(c)に例示する流体充填用貫通孔16は前記外側鋼管12に形成されているが、もちろんこれに限られるものではなく、前記取付部15に形成されていても良い。
【0028】
本発明によれば、上述と同様の効果を得ることができる。すなわち、前記内側鋼材13は前記外側鋼管12の長手方向xに沿った一部の区間dx1だけに配置されていて該外側鋼管12の全長に亘って配置されていないため、該内側鋼材13を該外側鋼管12の全長に亘って配置した場合に比べてコストを削減することができる。
【0029】
ところで、図3(b)(c)に例示するように、前記内側鋼材13の外周面と前記外側鋼管12の内周面との間の隙間の近傍に円板状の封止部材17を配置して、前記流体充填用貫通孔16から充填した前記流体が前記隙間に侵入しないようにすると良い。また、前記内側鋼材13の外周面と前記外側鋼管12の内周面との間の隙間に円筒状の封止部材を配置するようにしても良い。該封止部材は、前記隙間への流体の侵入を阻止できる材料であれば何でも良く、例えば、発泡スチロールでも良い。
【0030】
一方、セメント硬化体に硬化する前のペースト状のものを前記流体として前記流体充填用貫通孔16から充填する場合には、前記流体充填用貫通孔16、前記鋼管開口部又は他の貫通孔(不図示)を介して前記外側鋼管12の内周面であって前記流体が接触する面に潤滑剤(図3(a)の符号18参照)を塗布する工程を実施するようにすると良い。この工程は、前記流体を前記外側鋼管12の内部に充填する前に行うと良い。そのようにした場合には、該外側鋼管12の内周面に前記セメント硬化体が付着することを防止できる。
【符号の説明】
【0031】
1 ブレース
2 外側鋼管
3 内側鋼材
4 充填体
5 取付部
11 ブレース
12 外側鋼管
13 内側鋼材
14 充填体
15 取付部
16 流体充填用貫通孔
17 封止部材
18 潤滑剤
dx1 内側鋼材が配置されている区間
dx2 充填体が配置されている区間
x 外側鋼管の長手方向
図1
図2
図3
図4
図5