【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図4(a)に例示するような被測定体D3の場合、該被測定体D3の裏側(図示の下側)から吸引される空気Mは前記空間A3にそのまま吸引されることとなるので、気密性を正確に評価することが出来るが、
図4(b)に例示するような被測定体D4の場合には、隙間部H4は複雑に分岐しているために、該被測定体D4の裏側(図示の下側)から吸引される空気Mだけでなく横からの空気Nも前記空間A3に吸引されることとなり、該横からの空気Nがノイズ成分となってしまい、気密性を正確に評価することができないという問題があった。つまり、
図4(a)(b)に例示する方法によれば、気密性の評価は被測定体の隙間部の形状の影響を受けることとなってしまい、気密性を正確に測れたり測れなかったりするという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消することのできる気密性評価装置、及び気密性評価方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、
図1及び
図2(a)(b)に例示するものであって、被測定体(D1,D2)の気密の度合いを評価する気密性評価装置(1,11)において、
前記被測定体(D1,D2)の表面(図示上側の面)の一部であって気密の度合いを評価したい部分(E1)に密着させることによって該被測定体(D1,D2)と共に略密閉された第1密閉空間(A1)を形成する略椀状の第1チャンバー(C11,C21)と、
前記被測定体(D1,D2)の表面の一部であって該被測定体(D1,D2)を貫通するように孔部又は隙間部(
図1の符号H1、及び
図2(a)(b)の符号H2参照)が形成されている部分(E2)に密着させることによって該被測定体(D1,D2)と共に略密閉された第2密閉空間(A2)を形成する略椀状の第2チャンバー(C12,C22)と、
前記第1密閉空間(A1)及び前記第2密閉空間(A2)の空気を吸引するようにそれらの密閉空間(A1,A2)に連結される少なくとも1つの吸気手段(2A,2B)と、
前記第1密閉空間(A1)の気圧である第1気圧(P1)と前記第2密閉空間(A2)の気圧である第2気圧(P2)との差圧であるチャンバー間差圧(ΔPC)を取得するためのチャンバー間差圧取得手段(3)と、
該チャンバー間差圧取得手段(3)で取得したチャンバー間差圧(ΔPC)が略ゼロとなるように、前記吸気手段(2A)によって前記第1密閉空間(A1)から吸引する空気の風量、及び/又は該吸気手段(2B)によって前記第2密閉空間(A2)から吸引する空気の風量を調整する風量調整手段(4)と、
前記被測定体(D1,D2)の裏面側(図示下側であって、符号A3で示す側)の気圧(P3)と前記第1気圧(P1)との差圧である表裏差圧(ΔP)を取得するための表裏差圧取得手段(5)と、
前記吸気手段(2A)によって前記第1密閉空間(A1)から吸引される空気の風量(Q)を計測する風量計測手段(6)と、
前記表裏差圧取得手段(5)によって取得した表裏差圧(ΔP)と前記風量計測手段(6)によって計測した風量(Q)と下式(1)及び下式(2)とからαAの値を演算する演算手段(7)と、
を備え、
該演算手段(7)が演算したαAの値によって気密の度合いを評価するように構成されたことを特徴とする。
【数1】
【数2】
【0009】
本発明の第2の観点は、
図1に例示するものであって、前記第2チャンバー(C12)は、前記第1チャンバー(C11)よりも大きくて該第1チャンバー(C11)を囲繞するように配置されてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点は、被測定体(D1,D2)の気密の度合いを評価する気密性評価方法において、
前記被測定体(D1,D2)の表面の一部であって気密の度合いを評価したい部分(E1)に略椀状の第1チャンバー(C11,C21)を密着させることによって該被測定体(D1,D2)と共に略密閉された第1密閉空間(A1)を形成する工程と、
前記被測定体(D1,D2)の表面の一部(E2)に略椀状の第2チャンバー(C12,C22)を密着させることによって該被測定体(D1,D2)と共に略密閉された第2密閉空間(A2)を形成する工程と、
前記第1密閉空間(A1)及び前記第2密閉空間(A2)の空気を吸引するように少なくとも1つの吸気手段(2A,2B)をそれらの密閉空間(A1,A2)に連結する工程と、
前記第1密閉空間(A1)の気圧である第1気圧(P1)と前記第2密閉空間(A2)の気圧である第2気圧(P2)との差圧であるチャンバー間差圧(ΔPC)を取得する工程と、
該取得したチャンバー間差圧(ΔPC)が略ゼロとなるように、前記吸気手段(2A)によって前記第1密閉空間(A1)から吸引する空気の風量、及び/又は該吸気手段(2B)によって前記第2密閉空間(A2)から吸引する空気の風量を調整する工程と、
前記被測定体(D1,D2)の裏面側の気圧(P3)と前記第1気圧(P1)との差圧である表裏差圧(ΔP)を取得する工程と、
前記吸気手段(2A,2B)によって前記第1密閉空間(A1)から吸引される空気の風量(Q)を計測する工程と、
前記表裏差圧(ΔP)と前記風量(Q)と下式(1)及び下式(2)とからαAの値を演算する工程と、
を備え、
該演算したαAの値によって気密の度合いを評価することを特徴とする。
【数3】
【数4】
【0011】
本発明の第4の観点は、前記第2チャンバー(C12)は、前記第1チャンバー(C11)よりも大きくて該第1チャンバー(C11)を囲繞するように配置することを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の観点は、前記第2チャンバー(C12,C22)は、前記被測定体(D1,D2)の表面の一部であって該被測定体(D1,D2)を貫通するように孔部又は隙間部(
図1の符号H1、及び
図2(a)(b)の符号H2参照)が形成されている部分(E2)に密着させることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の観点は、
図2(a)(b)に例示するものであって、前記第1チャンバー(C21)は、前記被測定体(D2)の表裏を貫通するように形成されたスリット状の隙間部(H2)の一部(E1)を覆うように配置し、
前記第2チャンバー(C22)は、該第1チャンバー(C21)に隣接させた状態で前記隙間部(H2)の別の部分(E2)を覆うように配置することを特徴とする。
【0014】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。