(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知した場合に、前記排液配管を介して該抽気タンクから液冷媒を排出することを特徴とする請求項1又は2に記載の抽気装置。
前記制御部は、前記抽気タンクから液冷媒を排出した後に、該抽気タンク内の圧力が所定値以下まで下がらない場合に、該抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断することを特徴とする請求項3に記載の抽気装置。
前記制御部は、前記抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断した場合に、前記排気配管から前記抽気タンク内のガスを外部へと排出することを特徴とする請求項4に記載の抽気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フロートによる液位検知方法は、フロートが浮き沈みを繰り返す機械的な作動構造を有するため、摺動部分の摩耗等が発生し、一定期間ごとのメンテナンスが必要とされる。また、フロート部は冷媒液面と接する必要があるため、メンテナンス時には冷媒系統内を開放して内部を確認しながら作業を行う必要がある。
このように、フロートを用いた液位検知は、メンテナンスが定期的に必要となるだけでなく煩雑な作業を伴うという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フロート式の液面センサを用いることなく液冷媒の液位を検知できるメンテナンス性に優れた抽気装置およびこれを備えた冷凍機ならびに抽気装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の抽気装置およびこれを備えた冷凍機ならびに抽気装置の制御方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる抽気装置は、冷凍機から冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスを抽気する抽気配管と、前記抽気配管から抽気された前記混合ガスを貯留する抽気タンクと、前記抽気タンク内を冷却して前記混合ガス中の冷媒を凝縮させる冷却伝熱面が該抽気タンク内で高さ方向に向けて設置された冷却器と、前記抽気タンク内の液冷媒を前記冷凍機へ排出する排液配管と、前記抽気タンク内の前記混合ガス中の不凝縮ガスを外部へ排出する排気配管と、前記抽気タンク内の圧力を計測する抽気タンク用圧力センサと、前記冷却器によって前記抽気タンク内を冷却して前記冷媒を凝縮させる時に、前記抽気タンク用圧力センサの計測値が下降した後に上昇して所定値以上となったことにより、該抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
冷却器によって抽気タンク内を冷却すると、抽気タンク内の圧力が減少するので、冷凍機の冷媒系統(例えば凝縮器)との差圧が形成され、抽気配管を介して冷凍機から抽気タンクへと冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスが引き込まれる。抽気タンク内では、冷却器によって混合ガス中の冷媒が凝縮されて液冷媒となり抽気タンクの下方に蓄積される。一方、抽気タンク内に導かれた混合ガス中の不凝縮ガスは冷却器によって冷却されても凝縮されずにガスのまま抽気タンク内に滞留する。これにより、抽気タンク内で冷媒と不凝縮ガスが分離される。分離された不凝縮ガスは、排気配管を介して外部へと放出される。抽気タンク内に蓄積された液冷媒は、排液配管を介して冷凍機(例えば蒸発器)へと排出され、冷凍機にて再利用される。
冷却器の冷却伝熱面は、抽気タンク内で高さ方向に向けて設置されているので、抽気タンクの下方に蓄積された液冷媒の液位が上昇すると、冷却伝熱面が液冷媒で液没することになる。冷却伝熱面が液冷媒によって液没すると、混合ガスを冷却する伝熱面積が減少するため、凝縮能力が低下し、抽気タンク内の圧力が上昇する。このように、抽気タンク内を冷却すると抽気タンク内の圧力が低下するが、抽気タンク内での冷媒の凝縮が進むと、抽気タンクに液冷媒が蓄積されて冷却伝熱面を液冷媒が覆うことにより、抽気タンク内の圧力が上昇するという減少が生じる。そこで、抽気タンク用圧力センサで抽気タンク内の圧力を計測し、計測値が下降した後に上昇して所定値以上となったことを捉えて、抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知することとした。
このように、フロート式の液面センサを用いることなく抽気タンク内の液冷媒の液位を抽気タンク用圧力センサによって検出することができるので、メンテナンス性に優れた抽気装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の抽気装置は、冷凍機から冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスを抽気する抽気配管と、前記抽気配管から抽気された前記混合ガスを貯留する抽気タンクと、前記抽気タンク内を冷却して前記混合ガス中の冷媒を凝縮させる冷却器と、前記抽気タンク内の液冷媒を前記冷凍機へ排出する排液配管と、前記抽気タンク内の前記混合ガス中の不凝縮ガスを外部へ排出する排気配管と、前記冷却器の冷却能力と、冷媒の凝縮潜熱とから算出した前記抽気タンク内の冷媒凝縮量が所定値以上となったことにより、該抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
冷却器によって抽気タンク内を冷却すると、抽気タンク内の圧力が減少するので、冷凍機の冷媒系統(例えば凝縮器)との差圧が形成され、抽気配管を介して冷凍機から抽気タンクへと冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスが引き込まれる。抽気タンク内では、冷却器によって混合ガス中の冷媒が凝縮されて液冷媒となり抽気タンクの下方に蓄積される。一方、抽気タンク内に導かれた混合ガス中の不凝縮ガスは冷却器によって冷却されても凝縮されずにガスのまま抽気タンク内に滞留する。これにより、抽気タンク内で冷媒と不凝縮ガスが分離される。分離された不凝縮ガスは、排気配管を介して外部へと放出される。抽気タンク内に蓄積された液冷媒は、排液配管を介して冷凍機(例えば蒸発器)へと排出され、冷凍機にて再利用される。
抽気タンク内に導かれた冷媒の凝縮量は、冷却器の冷却能力と、冷媒の凝縮潜熱とから算出することができる。そこで、このように算出された凝縮量から抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知することとした。
このように、フロート式の液面センサを用いることなく抽気タンク内の液冷媒の液位を計算によって検出することができるので、メンテナンス性に優れた抽気装置を提供することができる。
【0011】
さらに、本発明の抽気装置では、前記制御部は、前記抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知した場合に、前記排液配管を介して該抽気タンクから液冷媒を排出することを特徴とする。
【0012】
上述のように抽気タンク内での液冷媒の液位の上昇が検知されると、排液配管から液冷媒が冷媒系統へと排出される。これにより、冷凍機から取り出した冷媒を戻すことができる。
【0013】
さらに、本発明の抽気装置では、前記制御部は、前記抽気タンクから液冷媒を排出した後に、該抽気タンク内の圧力が所定値以下まで下がらない場合に、該抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断することを特徴とする。
【0014】
抽気タンクから液冷媒を排出すると、冷却器の冷却伝熱面の液没が解消されて冷却能力が回復するので、抽気タンク内の圧力は降下することになる。しかし、抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると、不凝縮ガスが冷却伝熱面を覆い伝熱性能が阻害されることになる。したがって、液冷媒の排液後に抽気タンク内の圧力が所定値以下まで下がらない場合には、抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断することができる。
【0015】
さらに、本発明の抽気装置では、前記制御部は、前記抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断した場合に、前記排気配管から抽気タンク内のガスを外部へと排出することを特徴とする。
【0016】
抽気タンク内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断した場合には、排気配管から抽気タンク内のガスを外部へと排出することによって、抽気タンクから不凝縮ガスを除去する。これにより、冷却器の伝熱性能を回復するとともに、冷凍機の冷媒系統内に侵入した不凝縮ガスを冷媒から分離して外部へと排出することができる。
【0017】
また、本発明の冷凍機は、上記のいずれかに記載の抽気装置を備えていることを特徴とする。
【0018】
上記のいずれかの抽気装置を備えているので、メンテナンス性に優れた冷凍機を提供することができる。
【0019】
また、本発明の抽気装置の制御方法は、冷凍機から冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスを抽気する抽気配管と、前記抽気配管から抽気された前記混合ガスを貯留する抽気タンクと、前記抽気タンク内を冷却して前記混合ガス中の冷媒を凝縮させる冷却伝熱面が該抽気タンク内で高さ方向に向けて設置された冷却器と、前記抽気タンク内の液冷媒を前記冷凍機へ排出する排液配管と、前記抽気タンク内の前記混合ガス中の不凝縮ガスを外部へ排出する排気配管と、前記抽気タンク内の圧力を計測する抽気タンク用圧力センサとを備えた抽気装置の制御方法であって、前記冷却器によって前記抽気タンク内を冷却して前記冷媒を凝縮させる時に、前記抽気タンク用圧力センサの計測値が下降した後に上昇して所定値以上となったことにより、該抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の抽気装置の制御方法は、冷凍機から冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスを抽気する抽気配管と、前記抽気配管から抽気された前記混合ガスを貯留する抽気タンクと、前記抽気タンク内を冷却して前記混合ガス中の冷媒を凝縮させる冷却器と、前記抽気タンク内の液冷媒を前記冷凍機へ排出する排液配管と、前記抽気タンク内の前記混合ガス中の不凝縮ガスを外部へ排出する排気配管とを備えた抽気装置の制御方法であって、前記冷却器の冷却能力と、冷媒の凝縮潜熱とから算出した前記抽気タンク内の冷媒凝縮量が所定値以上となったことにより、該抽気タンク内の液冷媒の液位の上昇を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
抽気タンク内の圧力の変化によって液冷媒の液位を検知し、または、抽気タンクを冷却する冷却器の冷却能力及び冷媒の凝縮潜熱によって液冷媒の液位を検知することにより、フロート式の液面センサを用いることなく液冷媒の液位を検出することができるので、メンテナンス性に優れた抽気装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の抽気装置を用いた冷凍機の概略構成が示されている。同図に示すように、冷凍機1は、ターボ冷凍機とされており、冷媒を圧縮するターボ式の圧縮機11と、圧縮機11によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を凝縮する凝縮器12と、凝縮器12からの液冷媒を膨張させる膨張弁13と、膨張弁13によって膨張させられた液冷媒を蒸発させる蒸発器14と、冷凍機1の冷媒系統内に侵入した空気(不凝縮ガス)を大気へ放出する抽気装置15と、冷凍機1が備える各部の制御を行う制御装置(制御部)16とを主な構成として備えている。
冷媒としては、例えばHFO−1233zd(E)といった低圧冷媒が用いられており、運転中には蒸発器等の低圧部が大気圧以下となる。
【0024】
圧縮機11は、インバータモータ20により駆動される多段遠心圧縮機である。インバータモータ20は、制御装置16によってその出力が制御されている。
【0025】
凝縮器12は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。凝縮器12には、冷媒を冷却するための冷却水が内部を流通する冷却水用伝熱管12aが挿通されている。冷却水用伝熱管12aには、冷却水往き配管22aと冷却水戻り配管22bとが接続されている。冷却水往き配管22aを介して凝縮器12に導かれた冷却水は、冷却水戻り配管22bを介して図示しない冷却塔に導かれ外部へと排熱した後に、冷却水往き配管22aを介して再び凝縮器12へと導かれるようになっている。
冷却水往き配管22aには、冷却水を送水する冷却水ポンプ(図示せず)と、冷却水入口温度Tcinを計測する冷却水入口温度センサ23aとが設けられている。冷却水戻り配管22bには、冷却水出口温度Tcoutを計測する冷却水出口温度センサ23bと、冷却水流量F2を計測する冷却水流量センサ24とが設けられている。
凝縮器12には、凝縮器12内の凝縮圧力Pcを計測する凝縮器圧力センサ25が設けられている。
これらセンサ23a,23b,24,25の計測値は、制御装置16へと送信されるようになっている。
【0026】
膨張弁13は、電動式とされており、制御装置16によって開度が設定されるようになっている。
【0027】
蒸発器14は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。蒸発器14には、冷媒と熱交換する冷水が内部を流通する冷水用伝熱管14aが挿通されている。冷水用伝熱管14aには、冷水往き配管32aと冷水戻り配管32bとが接続されている。冷水往き配管32aを介して蒸発器14に導かれた冷水は、定格温度(例えば7℃)まで冷却され、冷水戻り配管32bを介して図示しない外部負荷に導かれて冷熱を供給した後に、冷水往き配管32aを介して再び蒸発器14へと導かれるようになっている。
冷水往き配管32aには、冷水を送水する冷水ポンプ(図示せず)と、冷水入口温度Tinを計測する冷水入口温度センサ33aとが設けられている。冷水戻り配管32bには、冷水出口温度Toutを計測する冷水出口温度センサ33bと、冷水流量F1を計測する冷水流量センサ34とが設けられている。
蒸発器14には、蒸発器14内の蒸発圧力Peを計測する蒸発器圧力センサ35が設けられている。
これらセンサ33a,33b,34,35の計測値は、制御装置16へと送信されるようになっている。
【0028】
凝縮器12と蒸発器14との間には、抽気装置15が設けられている。抽気装置15には、凝縮器12から冷媒と不凝縮ガス(空気)を含む混合ガスを導く抽気配管17が接続されている。抽気配管17には、混合ガスの流通および遮断を制御するための抽気電磁弁(抽気弁)18が設けられている。この抽気電磁弁18の開閉は、制御装置16によって制御される。
抽気装置15には、抽気装置15内で凝縮させた液冷媒を蒸発器14へ排出する排液配管19が接続されている。排液配管19には、液冷媒の流通および遮断を制御するための排液電磁弁(排液弁)21が設けられている。この排液電磁弁21の開閉は、制御装置16によって制御される。
【0029】
図2には、抽気装置15周りの構成が示されている。抽気装置15は、抽気配管17から導かれた冷媒と不凝縮ガスを含む混合ガスを貯留する抽気タンク40を備えている。抽気タンク40には、抽気タンク40内を冷却する冷却器42と、抽気タンク40内を加熱するヒータ44とが設けられている。
【0030】
冷却器42は、ペルチェ素子を備えており、ペルチェ素子によって冷却された冷却伝熱面42aが抽気タンク40内に露出するように設けられている。冷却伝熱面42aは、抽気タンク40の上下方向に沿って設けられている。冷却器42のペルチェ素子には、図示しない給電部が接続されている。制御装置16によって給電部に流す電流を制御することで、冷却器42の起動及び停止が切り替えられるようになっている。また、冷却器42のペルチェ素子には、冷却伝熱面42aにて吸熱した熱を外部へ放出する放熱部(図示せず)が設けられている。放熱部には、冷却水を通水させる水冷装置が設けられており、一定温度にて放熱されるようになっている。なお、放熱部は、水冷装置を備えない空冷式としても良い。
【0031】
ヒータ44は、例えば電気式ヒータとされており、抽気タンク40の底部に取り付けられている。制御装置16によってヒータ44の起動及び停止が制御されるようになっている。
【0032】
抽気タンク40には、抽気タンク40内の圧力Ptを検出する抽気タンク用圧力センサ46と、抽気タンク40内の温度Ttを検出する抽気タンク用温度センサ48とが設けられている。これらセンサ46,48の計測値は、制御装置16へと送信されるようになっている。
抽気タンク40の上部には、抽気タンク40内のガス(主として不凝縮ガス)を排出する排気配管50が接続されている。排気配管50には、ガスの流通および遮断を制御するための排気電磁弁(排気弁)52が設けられている。この排気電磁弁52の開閉は、制御装置16によって制御される。
【0033】
制御装置16は、各センサから受信した測定値や上位システムから送られてくる負荷率などに基づいて圧縮機11の回転数などを制御する機能や、抽気装置15の制御機能などを有している。
【0034】
制御装置16は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等かを備えている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
【0035】
上述した冷凍機1は、低圧冷媒を用いているので、運転中に負圧部から不凝縮ガスである空気が冷凍機1内に侵入する。負圧部としては、主として蒸発器等の冷凍サイクル時に相対的に低圧となる領域が挙げられるが、冬期には凝縮器12も負圧となり得る。冷凍機1内に侵入した空気は、主に、凝縮器12内に蓄積されることになる。抽気装置15は、凝縮器12内に蓄積された空気を所定の間隔で運転させて冷凍機1内の空気を外部へと排出する。
【0036】
次に、
図3〜
図5を用いて、抽気装置15の動作について説明する。
表1には、以下に説明する各ステップにおけるペルチェ素子、各電磁弁等の動作状態がまとめられている。下表において、○印はONまたは開を示し、●印はOFFまたは閉を示す。
【表1】
【0037】
冷凍機1の運転中で、不凝縮ガスである空気の冷凍機1内への侵入量が所定値未満の場合には、抽気装置15は停止状態とされる(ステップS1)。このとき、冷却器42のペルチェ素子はOFFとされ、抽気電磁弁18及び排気電磁弁52は閉とされ、排液電磁弁21は開とされ、ヒータ44はOFFとされている。
【0038】
ステップS2では、冷凍機1の冷媒系統内に侵入する空気量の計算を以下のように行う。制御装置16は、凝縮器圧力センサ25から凝縮圧力Pcと、蒸発器圧力センサ35から蒸発圧力Peとを取得し、凝縮器12と蒸発器14における大気圧との差圧の計算を下式のように行う。
差圧(凝縮器)=大気圧―凝縮圧力Pc ・・・(1)
差圧(蒸発器)=大気圧−蒸発圧力Pe ・・・(2)
そして、式(1)及び式(2)に基づき、空気侵入量(瞬時値)を下式のように算出する。
空気侵入量(瞬時値)=f(差圧) ・・・(3)
すなわち、空気侵入量(瞬時値)は差圧の関数(例えば差圧の1/2乗の関数)とされ、凝縮器12における空気侵入量と蒸発器14における空気侵入量との和とする。
そして、冷凍機1の冷媒系統に侵入した空気量(積算値)は、空気侵入量(瞬時値)を時間で積分した値として算出される。
空気侵入量(積算値)=Σ空気侵入量(瞬時値) ・・・(4)
【0039】
上記のように算出した空気侵入量(積算値)が、予め決められた設定値を超えると(ステップS3)、抽気装置15の起動準備が行われる(ステップS4)。具体的には、冷却器42のペルチェ素子をONとし、排液電磁弁21を閉とする。これにより、抽気タンク40内は閉空間となり、ペルチェ素子による冷却によって冷却伝熱面42aから吸熱が行われる。冷却伝熱面42aからの吸熱によって、抽気タンク40内の温度が低下するとともに、抽気タンク40内の圧力も低下する。
凝縮器圧力センサ25によって得られた凝縮圧力Pcから抽気タンク用圧力センサ46によって得られた抽気タンク圧力Ptを引いた値が設定値を超えた場合に(ステップS5)、抽気電磁弁18を開とする(ステップS6)。
【0040】
抽気電磁弁18を開とすることによって、凝縮器12と抽気タンク40との差圧に応じて、凝縮器12から抽気配管17を介して冷媒と空気を含む混合ガスが抽気タンク40内へと流れ込む。抽気タンク40内では、冷却伝熱面42aからの冷却によって、冷媒が凝縮温度以下まで冷却されて液化される。一方、不凝縮ガスである空気は、冷却伝熱面42aからの冷却によっても凝縮されずにガス状態のまま抽気タンク40内に滞留する。
以下に説明するように、2通りの方法で、抽気タンク40内で凝縮されて抽気タンク40の下方に蓄積された液冷媒の液位を検知する。
【0041】
[圧力変化による液位検知(ステップS7)]
ステップS7に示すように、凝縮器圧力センサ25によって得られた凝縮圧力Pcから抽気タンク用圧力センサ46によって得られた抽気タンク圧力Ptを引いた値が設定値を超えた場合に、抽気タンク40内における液冷媒の液位が上昇したと判断する。この設定値は、予め試験等によって決定されている。
【0042】
冷却伝熱面42aは、抽気タンク40内で高さ方向に向けて設置されている(
図2参照)ので、抽気タンク40の下方に蓄積された液冷媒の液位が上昇すると、冷却伝熱面42aが液冷媒で下方から液没することになる。冷却伝熱面42aが液冷媒によって液没すると、ガスを冷却する伝熱面積が減少するため、凝縮能力が低下する。凝縮能力が低下すると、抽気タンク40内の圧力Ptが上昇して、凝縮器12の凝縮圧力Pcとの差圧が小さくなる。このように、抽気タンク40内を冷却すると抽気タンク40内の圧力が低下するが、抽気タンク40内での冷媒の凝縮が進むと、抽気タンク40に液冷媒が蓄積されて冷却伝熱面42aを液冷媒が覆うことにより、抽気タンク40内の圧力Ptが上昇するという減少が生じる。そこで、抽気タンク用圧力センサ46で抽気タンク40内の圧力Ptを計測し、計測値が下降した後に上昇して所定値以上となり凝縮圧力Pcとの差圧が設定値を超えたことを捉えて、抽気タンク40内の液冷媒の液位の上昇を検知する。
上記のように抽気タンク40内の液冷媒の液位の上昇を検知したら、ステップS10へと進み、排液を行う。
【0043】
[計算による液位検知(ステップS8及びS9)]
計算による液冷媒の液位検知では、ステップS8に示すように、冷媒凝縮量の計算を行う。
先ず、冷媒凝縮量(瞬時値)を算出するために、抽気タンク40内の温度を得る。具体的には、抽気タンク用温度センサ48によって抽気タンク温度Ttを得る。抽気タンク用温度センサ48を用いない場合には、抽気タンク用圧力センサ46によって得られる抽気タンク圧力Ptから抽気タンク温度を計算してもよい。具体的には、抽気タンク圧力Ptから得られる飽和温度を抽気タンク温度とする。
【0044】
そして、冷却器42の冷却能力と、冷媒の凝縮潜熱から冷媒凝縮量(瞬時値)を得る。
冷却器42で用いるペルチェ素子の冷却能力は、吸熱側温度と放熱温度との差、ペルチェ素子に流れる電流で決まる。放熱温度(冷却水温度または外気温度)、ペルチェ素子に流れる電流を一定とすると、吸熱側温度(≒抽気タンク内温度Tt)の関数として冷却能力Qp_W[W]が下式のように算出される。
Qp_W=f(Tt) ・・・(5)
冷媒の凝縮潜熱Q_LH[kJ/kg]は、飽和温度(飽和圧力)におけるガスエンタルピと液エンタルピとの差であるため、下式のように冷媒ごとに抽気タンク内温度Ttの関数として定義される。
Q_LH=f(Tt) ・・・(6)
上記の通り得られた冷却能力Qp_Wと凝縮潜熱Q_LHとによって、冷媒凝縮量(瞬時値)G_in_ref[kg/h]が以下の通り算出される。
G_in_ref=Qp_W/Q_LH×3600/10
3 ・・・(7)
上式(7)にて得られた冷媒凝縮量(瞬時値)を時間で積分することによって、冷媒凝縮量(積算値)が得られる。
冷媒凝縮量(積算値)=Σ冷媒凝縮量(瞬時値) ・・・(8)
【0045】
そして、冷媒凝縮量(積算値)が設定値を超えると(ステップS9)、抽気タンク40内の液冷媒の液位が上昇したと判断し、ステップS10へと進み、排液を行う。
【0046】
ステップS10では、排液電磁弁21を開として、抽気タンク40内の液冷媒の排出を行う。抽気タンク40内の液冷媒は、排液配管19を通り、蒸発器14へと導かれる。
【0047】
ステップS10にて排液電磁弁21を開としてから一定時間経過した後に、排液電磁弁21を閉じ、排液を終了する(ステップS11)。この一定時間は、冷凍機1設置前の試験等によって予め設定しておく。
【0048】
次に、抽気タンク40内に蓄積された不凝縮ガスである空気を、排気配管50を介して外部(大気)へ排出するか否かの判断を、以下の2通りの方法で検出することによって行う。
[圧力変化による検出(ステップS12)]
ステップS10にて抽気タンク40から液冷媒を排出すると、冷却器42の冷却伝熱面42aの液没が解消されて冷却能力が回復するので、抽気タンク40内の圧力は降下することになる。しかし、抽気タンク40内に不凝縮ガスである空気が所定量以上滞留していると、空気が冷却伝熱面42aを覆い伝熱性能が阻害されることになる。したがって、液冷媒の排液後に抽気タンク40内の圧力が所定値以下まで下がらない場合には、抽気タンク40内に空気が所定量以上滞留していると判断することができる。そこで、ステップS12にて、凝縮器圧力センサ25によって得られた凝縮圧力Pcから抽気タンク用圧力センサ46によって得られた抽気タンク圧力Ptを引いた差分値が設定値を超えたままの場合、すなわち、抽気タンク圧力Ptが所定値以下に下がらない場合に、抽気タンク40内に空気が所定量以上滞留していると判断する。
抽気タンク40内に空気が所定量以上滞留していると判断した場合には、ステップS15に進み、排気の準備を行う。
【0049】
[計算による検出(ステップS13及びS14)]
ステップS13では、計算によって抽気タンク40内の空気の滞留量である抽気タンク内空気量(積算値)を得る。具体的には、上述したステップS2にて算出した空気侵入量(積算値)に基づいて算出する。そして、抽気タンク内空気量(積算値)が設定値を超えた場合(ステップS14)には、抽気タンク40内に空気が所定量以上滞留していると判断し、ステップS15に進み、排気の準備を行う。
【0050】
ステップS15では、抽気タンク40内のガスの排気準備を行う。具体的には、冷却器42のペルチェ素子をOFFとし、抽気電磁弁18を閉とし、ヒータ44をONとする。これにより、抽気タンク40内が密閉された上で内部の温度が上昇するので、抽気タンク40内の圧力が上昇する。そして、抽気タンク用圧力センサ46から得られた抽気タンク圧力Ptが上昇し、大気圧に対して所定値αだけ高い設定値(大気圧+α)を超えた場合(ステップS16)に、ステップS17に進み、排気開始を行う。
【0051】
ステップS17では、排気電磁弁52を開とし、ヒータ44をOFFとする。これにより、排気配管50を介して抽気タンク40内の空気を主成分とするガスが外部(大気)へと放出される。このときにヒータ44をOFFとしているのは、抽気タンク40内に残存している冷媒を必要以上に外部へと放出しないためである。
【0052】
そして、抽気タンク40内の圧力が大気圧に対して所定値βだけ高い設定値(大気圧+β)を下回った場合(ステップS18)に、ステップS19へと進む。この設定値を大気圧よりも所定値βだけ高い圧力としたのは、大気圧を下回るまで排気電磁弁52を開としておくと、大気が逆流して抽気タンク40内に導かれてしまうのを防止するためである。
ステップS19では、排気電磁弁52を閉として、排気を終了させる。
【0053】
次に、ステップS20以降へ進み、抽気装置15の停止の判断を行う。
ステップS20では、排気配管50を介して外部(大気)へと排出した空気の総量である排出空気量(積算値)を算出する。具体的には以下の通りである。
先ず、抽気タンク40内の空気密度ρ_t_air[kg/m
3]を得るために、抽気タンク40内の冷媒飽和圧力Pt_ref[MPa(abs)]を算出する。抽気タンク40内の冷媒飽和圧力Pt_refは、抽気タンク40内の温度Tt相当の飽和圧力とする。飽和圧力と飽和温度との関係式は、冷媒ごとに飽和温度の関数として下式の通り定義できる。
Pt_ref=f(Tt) ・・・(9)
そうすると、抽気タンク40内の空気分圧Pt_air[MPa(abs)]は、抽気タンク圧力Pt(全圧)を用いて、下式のように算出できる。
Pt_air=Pt−Pt_ref ・・・(10)
したがって、抽気タンク40内の空気質量w_t_air[kg]は、理想気体の状態方程式から、下式の通りとなる。
w_t_air=Pt_air×Vt×M_air/(R×Tt) ・・・(11)
ここで、Vtは抽気タンク40の容積[m
3]、M_airは空気の分子量[kg/mol]、Rはガス定数、Ttは抽気タンク40内の温度[K]である。
よって、抽気タンク40内の空気密度ρ_t_airは、下式の通りとなる。
ρ_t_air=w_t_air/Vt ・・・(12)
【0054】
以上のように抽気タンク40内の空気密度ρ_t_airが得られたら、排出空気量w_ex_air[kg]を算出する。
排出ガス体積V_ex[m
3]は、抽気タンク40内の圧力Ptと大気圧Paとの差圧と、ステップS17において排気電磁弁52を開としていた時間Time_ex[sec]から推定する。
V_ex=f(Pt−Pa,Time_ex) ・・・(13)
なお、排出ガス体積V_exは、上式(13)に代えて、抽気タンク40の容積Vtと、排気前後の圧力差から求めても良い。
上式で得られた排出ガス体積V_exと抽気タンク40内の空気密度ρ_t_airを用いて、排出空気量w_ex_airを下式のように算出する。
w_ex_air=V_ex×ρ_t_air ・・・(14)
【0055】
上式(14)で得られた排出空気量w_ex_airは、1回の排気あたりの値であるから、複数回の排気を行った場合には、排出空気量w_ex_airに対して排気回数nを乗じて得られた値が排出空気量(積算値)となる。
排出空気量(積算値)=w_ex_air×n ・・・(15)
このように排出空気量(積算値)が得られると、ステップS21へ進む。
【0056】
ステップS21では、排出空気量(積算値)がステップS2で得られた侵入空気量(積算値)を超えたか否かを判断する。
排出空気量(積算値)が侵入空気量(積算値)を超えた場合は、十分に排気が行われたとして、ステップS23へと進み、抽気装置15の停止を行う。
【0057】
一方で、排出空気量(積算値)が侵入空気量(積算値)を超えていない場合は、ステップS4へ戻り、上述した抽気、排液及び排気を繰り返す。
また、排出空気量(積算値)が侵入空気量(積算値)を超えなかった場合であっても、ステップS22に示すように、予め設定された一定時間内の抽気タンク40内の空気分圧Pt_air(式(10)参照)の上昇が設定値以下の場合には、ステップS23へと進み、抽気装置15の停止を行う。このステップS22は、何らかの理由で、排出空気量(積算値)や侵入空気量(積算値)の計算が不正確であった場合であっても、抽気タンク40内の空気分圧の上昇が設定値以下であれば、抽気タンク40内の空気は略排気されていると判断できるからである。
【0058】
抽気装置15の停止を行うステップS23では、排液電磁弁21を開とする。これにより、抽気タンク40内を蒸発器14に連通させる。これは、抽気タンク40内が外気温度の影響によって圧力上昇することを防止するためである。
【0059】
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ステップS7にて説明したように、抽気タンク40内を冷却すると抽気タンク40内の圧力が低下するが、抽気タンク40内での冷媒の凝縮が進むと、抽気タンク40に液冷媒が蓄積され、高さ方向に向けて設置された冷却伝熱面42aを液冷媒が覆うことにより、抽気タンク40内の圧力Ptが上昇するという減少が生じる。この現象に着目し、抽気タンク用圧力センサ46で抽気タンク40内の圧力Ptを計測し、計測値が下降した後に上昇して所定値以上となり凝縮圧力Pcとの差圧が設定値を超えたことを捉えて、抽気タンク40内の液冷媒の液位の上昇を検知することとした。
このように、フロート式の液面センサを用いることなく抽気タンク40内の液冷媒の液位を検出することができるので、メンテナンス性に優れた抽気装置15を提供することができる。
【0060】
また、ステップS8及びS9にて説明したように、冷却器42のペルチェ素子の冷却能力と、冷媒の凝縮潜熱とから抽気タンク40内に導かれた冷媒の凝縮量を算出し、算出された凝縮量から抽気タンク40内の液冷媒の液位の上昇を検知することとした。
このように、フロート式の液面センサを用いることなく抽気タンク40内の液冷媒の液位を検出することができるので、メンテナンス性に優れた抽気装置15を提供することができる。
【0061】
また、ステップS12にて説明したように、抽気タンク40から液冷媒を排出すると、冷却伝熱面42aの液没が解消されて冷却能力が回復するので、抽気タンク40内の圧力Ptは降下することになるが、抽気タンク40内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると、不凝縮ガスが冷却伝熱面42aを覆い伝熱性能が阻害されることになる。この現象を捉えて、液冷媒の排液後に抽気タンク40内の圧力が所定値以下まで下がらない場合には、抽気タンク40内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していると判断することとした。これにより、抽気タンク40内に不凝縮ガスが所定量以上滞留していることを抽気タンクの圧力Ptによって簡便に判断することができ、また、ステップS13及びS14のような演算を待たずに速やかに不凝縮ガスを外部へと排気することができる。
【0062】
なお、
図1に示した冷凍機1の構成は一例であり、この構成に限定されない。例えば、水冷式の凝縮器12に代えて空気熱交換器を配置し、外気と冷媒との間で熱交換を行うような構成としてもよい。また、冷凍機1は冷却機能のみを有する場合に限定されず、例えば、ヒートポンプ機能のみ、或いは、冷却機能及びヒートポンプ機能の両方を有しているものであってもよい。
【0063】
また、抽気タンク40内の液冷媒の液位の上昇を判断する際に、圧力変化による液位検知(ステップS7)と計算による液位検知(ステップS8及びS9)とを併用して判断することとしたが、いずれか一方を用いることとしても良い。
【0064】
また、冷却器42に用いる冷却デバイスとしてペルチェ素子を用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、抽気タンク40内を冷媒の凝縮温度以下に冷却できるものであれば、他の冷却装置であっても良い。
【0065】
また、ヒータ44としては、電気式ヒータを用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、抽気タンク40内を加熱できるものであれば、高温冷媒が流れる伝熱管を用いたヒータなど他の形式のヒータであっても良い。