(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る補強構造を示す正面図である。
図1に示すように、補強構造100は、基礎部110、人通孔120、および補強材130を備えている。
【0025】
基礎部110は、Tの字を逆さにした断面形状の鉄筋コンクリートが連続して設けられた布基礎であり、基礎の底辺部であるフーチング部111、および基礎部110の最上端までの立ち上がり部112を備えている。
基礎部110の内部には鉄筋が配筋されているが、鉄筋の配筋については後述する。
【0026】
人通孔120は、立ち上がり部112に設けられた床下点検のために人が床下へ入る矩形状の穴であり、人が通りやすいように人通孔120の上部は基礎部110の最上端を開口するかたちで開けられている。
【0027】
通常基礎の形成には、まず砕石工事を行うことで地盤を締め固め、その後に基礎の底面を平らにするために捨てコンクリートを打設、墨出し後に鉄筋を組む配筋工事を行い、配筋された鉄筋を囲うように基礎を形成するための型枠を設置する。設置された型枠内にコンクリートを打設し、打設したコンクリートの硬化後に型枠を解体することで基礎が形成され、その後立ち上がり部112の上辺面が水平になるようにモルタルで天端ならしを行う。
【0028】
人通孔120は、基礎形成後にコンクリートを切削することで穴を開けることもできるが、基礎は内部に鉄筋が配筋されており、鉄筋を切断することの無いように、あらかじめコンクリート打設前に型枠等で人通孔120を形成しておくとよい。
【0029】
補強材130は、鋼材を曲げ加工したものであり、例えば山形鋼などを人通孔120の側面上部を覆うように立ち上がり部112の片側側面に設置する。
【0030】
また補強材130の人通孔120を遮る部分にはアーチ状の切り欠きが設けられ、人が少しでも通りやすいように、人通孔120の高さを高くする加工が設けられている。
【0031】
補強材130の一部にはあらかじめ穴131が開けられており、ボルト等で立ち上がり部112に固定する。固定方法については後述する。
【0032】
図2は、第1の実施の形態に係る補強構造を示す断面図である。
図2(A)は、第1の実施の形態に係る補強構造の人通孔を含まない部位の断面図である。
【0033】
図2(A)に示すように、基礎部110の内部には鉄筋140が配筋されている。
フーチング部111の内部には、長手方向左右に2本の第一下部主筋141が配筋されている。またフーチング部111に水平でかつ長手方向に向かって複数等間隔にスラブ筋142が配筋され、第一下部主筋141とスラブ筋142とが各々直角になるように固定されている。
【0034】
立ち上がり部112の中心には基礎部110の長手方向に対して垂直でかつ等間隔に肋筋147が配筋され、スラブ筋142の中心に固定されている。
【0035】
また肋筋147とスラブ筋142との交点には、基礎部110の長手方向に向かって第二下部主筋143が配筋され固定されている。
【0036】
人通孔120の下面と第二下部主筋143との間には、基礎部110の長手方向に腹筋144が配筋されている。
【0037】
また肋筋147の上部には、基礎部110の長手方向に向かって上から第一上部主筋145および第二上部主筋146が配筋され、肋筋147の上部に各々固定されている。
【0038】
また肋筋147を中心に第一下部主筋141、第二下部主筋143、第一上部主筋145、および第二上部主筋146が固定されていない側に斜筋148が固定されている。
【0039】
補強材130は、例えば山形鋼であって一方の面は立ち上がり部112の側面に固定され、他方の面は上面向きに、立ち上がり部112の上面より下になるように設置し、立ち上がり部112の側面に備えられた固定具150で固定されている。
【0040】
固定具150は雌ねじ部材151とボルト152とを備えている。雌ねじ部材151例えばインサートであり、立ち上がり部112の内部に埋設されている。補強材130は、この立ち上がり部112に埋設された雌ねじ部材151にボルト152で締結され固定されている。詳しい構造については後述する。
【0041】
図2(B)は、第1の実施の形態に係る補強構造の人通孔を含む部位の断面図である。
図2(B)に示すように、フーチング部111の内部には、長手方向左右に2本の第一下部主筋141が配筋されている。またフーチング部111に水平でかつ長手方向に向かって複数等間隔にスラブ筋142が配筋され、第一下部主筋141とスラブ筋142とが各々直角になるように固定されている。
【0042】
立ち上がり部112には人通孔120が形成されており、立ち上がり部112の中心には基礎部110の長手方向に対して垂直でかつ等間隔に肋筋147が配筋され、人通孔120に到達しない長さでスラブ筋142に固定されている。
【0043】
また肋筋147とスラブ筋142との交点には、基礎部110の長手方向に向かって第二下部主筋143が配筋され固定されている。
【0044】
肋筋147の上端付近には、基礎部110の長手方向に向かって腹筋144が配筋され、肋筋147に固定されている。
【0045】
立ち上がり部112の上部側面には補強材130が備えられ、立ち上がり部112に接した補強材130の一面にはアーチ状の切り欠きが設けられているため、補強材130の一面は短く加工されている。
【0046】
図3は、第1の実施の形態に係る組立配筋を示す正面図である。
図3に示すように、フーチング部111の内部に基礎部110の長手方向に向かって第一下部主筋141および第二下部主筋143が配筋され、第一下部主筋141および第二下部主筋143と垂直方向に挟まれる状態で、スラブ筋142が一定の間隔で配筋され各々が固定されている。
【0047】
肋筋147は、スラブ筋142と同間隔であり、立ち上がり部112と同方向に配筋されスラブ筋142に固定されている。
【0048】
肋筋147の上部には基礎部110の長手方向に向かって第一上部主筋145が配筋され、各々の肋筋147に固定されている。第一上部主筋145の下には基礎部110の長手方向に向かって第二上部主筋146が配筋され、同様に各々の肋筋147に固定されている。
【0049】
人通孔120は、立ち上がり部112の所望の位置に設け、立ち上がり部112の上面が開放される形で矩形孔を設ける。
【0050】
ここで人通孔120を設けるべき所望の位置にあたる第一上部主筋145および第二上部主筋146を、あらかじめ人通孔120の横幅と同じ長さだけ切断しておく。
【0051】
第一上部主筋145および第二上部主筋146が、肋筋147との交点に満たない長さで切断された場合、つまり切断部が肋筋147から飛び出している場合は、
図3の点線で示されるように見切り筋として肋筋147を片側または両側に配筋し、第一上部主筋145、第二上部主筋146、第一下部主筋141、および第二下部主筋143との交点で固定する。
【0052】
この際、
図3のように人通孔120の位置を人通孔120の左右どちらかの肋筋147に近接した交点に合わせて設けることで、見切り筋として新たに配筋する肋筋147を片側だけにすることができる。
【0053】
斜筋148は、人通孔120の下部および人通孔120を下側かつ左右から挟みこむように配筋され、第一下部主筋141または第二下部主筋143との交点を45度上向きに第二上部主筋まで屈曲させた鉄筋を配筋し、肋筋147および第二上部主筋146との交点を固定する。
【0054】
腹筋144は、立ち上がり部112内部でかつ人通孔120の下部に基礎部110の長手方向に配筋され、肋筋147および斜筋148との交点で固定する。
【0055】
補強材130を固定するための穴131と同じ位置に雌ねじ部材151を配設し、第一上部主筋145に固定する。
【0056】
配筋工事が完成したら、基礎部110を形成する型枠および人通孔120を形成する型枠を設置し、型枠内部にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化後に型枠を解体することで基礎部110を形成することが出来る。
【0057】
また本実施例は、人通孔120の上部の第一上部主筋145および第二上部主筋146が繋がっていないのが利用上の必須条件であるが、そのため人通孔120に上からの荷重が加わると、基礎の曲げモーメントを負担するはずの上部の鉄筋が配筋されていないので、人通孔120の下部に応力が集中してしまう。その結果、人通孔120の下部の隅角部にかかるせん断応力によって亀裂が発生し、フーチング部111が破損しやすくなってしまう。
【0058】
この人通孔120の下部の隅角部に作用するせん断応力を、斜筋148を配筋することで抵抗することができる。
【0059】
図4は、市販品の固定具の一例を示す取付断面の詳細図である。
図4に示すように、補強材130は固定具150によって立ち上がり部112固定されている。
【0060】
立ち上がり部112の上辺面には、上辺面が水平になるようにモルタル113によって天端ならしが施されている。このモルタル113が上面に残る程度の高さで補強材130の一面が立ち上がり部112の側面に設置され固定具150によって固定されている。
【0061】
固定具150は、雌ねじ部材151およびボルト152で構成されている。雌ねじ部材151は鋼を圧延して表面に凹凸の突起を設けた棒状の鋼材であり、例えば異形棒鋼を加工したものである。雌ねじ部材151の一端は長さ方向に複数の切り込みが入れられ、放射状に曲げられている。この放射状に曲げられた部位が立ち上がり部の内部に埋設され、確実な引き抜け防止を図っている。
【0062】
またこの放射状に曲げられた部位に、第一上部主筋145、第二上部主筋146、または後に説明するアンカー筋149を挟みこむように固定することで、コンクリート打設時も雌ボルト149が移動せずにコンクリート内部に埋設することができる。
【0063】
また雌ねじ部材151の他端には雄ボルトと同じ径のネジ穴が形成されており、補強材130を挟んで雄ボルトを締め付けることで補強材130を立ち上がり部112に固定することができる。
【0064】
図4では、固定具150を立ち上がり部112の側面に設け、山形鋼である補強材130を立ち上がり部112の側面に固定したが、固定具150を立ち上がり部112の上面に設け、例えば溝形鋼である補強材130を立ち上がり部112に被せて立ち上がり部112の上面にある固定部で補強材130を固定することもできる。
【0065】
また、本実施例では補強材130を立ち上がり部112の片側の側面に設けたが、人通孔120の周囲の強度を上げるため、立ち上がり部112の両側面にそれぞれ雌ねじ部材151を埋設し、または両側にネジ穴を備えた雌ねじ部材151を立ち上がり部112の内部に埋設し、その設置した両側面の雌ねじ部材151にそれぞれ補強材130をボルト152によって固定してもよい。
【0066】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の耐震構造は、補強材の取付方法および人通孔の形状が異なること以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0067】
図5は、第2の実施の形態に係る補強構造を示す正面図である。
図5に示すように、補強構造100は、基礎部110、人通孔120、および補強材130を備えている。
【0068】
人通孔120は、人が通りやすいように人通孔120の上部は基礎部110の最上端を開口するかたちで開けられている。
【0069】
また人通孔120の下部の隅角部にかかるせん断応力を分散させるため、人通孔120の下部隅角部は半楕円の形状をしている。
【0070】
補強材130は、鋼材を曲げ加工したものであり、例えば溝形鋼などを人通孔120の上部を覆うように立ち上がり部112に設置する。
【0071】
また補強材130の人通孔120を遮る部分にはアーチ状の切り欠きが設けられ、人が少しでも通りやすいように、人通孔120の高さを高くする加工が設けられている。
【0072】
補強材の一部にはあらかじめ図示しない穴131が開けられており、立ち上がり部112の上面に埋設された雌ねじ部材151にボルト152を締結することで補強材130を立ち上がり部112に固定する。
【0073】
この際、ボルト152の頭部が立ち上がり部112の上面から突出してしまうので、立ち上がり部112の上面かつ補強材130と重なる部分周囲に切欠き部114を設ける。これによりボルト152の頭部と他の部材との干渉を回避することが出来る。
【0074】
図6は、第2の実施の形態に係る補強構造を示す断面図である。
図6(A)は、第2の実施の形態に係る補強構造の人通孔を含まない部位の断面図である。
【0075】
図6(A)に示すように、基礎部110の内部には鉄筋140が配筋されている。
フーチング部111の内部には、長手方向左右に2本の第一下部主筋141が配筋されている。またフーチング部111に水平でかつ長手方向に向かって複数等間隔にスラブ筋142が配筋され、第一下部主筋141とスラブ筋142とが各々直角になるように固定されている。
【0076】
立ち上がり部112の中心には基礎部110の長手方向に対して垂直でかつ等間隔に肋筋147が配筋され、スラブ筋142の中心に固定されている。
【0077】
また肋筋147とスラブ筋142との交点には、基礎部110の長手方向に向かって第二下部主筋143が配筋され固定されている。
【0078】
人通孔120の下面と第二下部主筋143との間には、基礎部110の長手方向に腹筋144が配筋されている。
【0079】
また肋筋147の上部には、基礎部110の長手方向に向かって上から第一上部主筋145および第二上部主筋146が配筋され、肋筋147の上部に各々固定されている。
【0080】
立ち上がり部112の上面には補強材130が設置され、立ち上がり部112に埋設される雌ねじ部材151にボルト152で補強材130が固定されている。
【0081】
補強材130は例えば溝形鋼であって、補強材130の凹部が立ち上がり部112の上面に覆いかぶさるように設置され、立ち上がり部112の上部に埋設された雌ねじ部材151にボルト152を締結することで補強材130を立ち上がり部112に固定している。
【0082】
図6(B)は、第2の実施の形態に係る補強構造の人通孔を含む部位の断面図である。
図6(B)に示すように、フーチング部111の内部には、長手方向左右に2本の第一下部主筋141が配筋されている。またフーチング部111に水平でかつ長手方向に向かって複数等間隔にスラブ筋142が配筋され、第一下部主筋141とスラブ筋142とが各々直角になるように固定されている。
【0083】
立ち上がり部112には人通孔120が形成されており、立ち上がり部112の中心には基礎部110の長手方向に対して垂直でかつ等間隔に肋筋147が配筋され、人通孔120に到達しない長さでスラブ筋142に固定されている。
【0084】
また肋筋147とスラブ筋142との交点には、基礎部110の長手方向に向かって第二下部主筋143が配筋され固定されている。
【0085】
肋筋147の上端付近には、基礎部110の長手方向に向かって腹筋144が配筋され、肋筋147に固定されている。
【0086】
立ち上がり部112の上面にはボルト152の頭部を回避する高さの切欠き部114が設けられ、両側面をアーチ状に切り欠きした補強材130が補強材130の凹部を立ち上がり部112の上部を覆い被せるように設置してある。立ち上がり部112上面に埋設される雌ねじ部材151にボルト152で補強材130を固定する。
【0087】
図7は、第2の実施の形態に係る組立配筋を示す正面図である。
図7に示すように、フーチング部111の内部に基礎部110の長手方向に向かって第一下部主筋141および第二下部主筋143が配筋され、第一下部主筋141および第二下部主筋143と垂直方向に挟まれる状態で、スラブ筋142が一定の間隔で配筋され各々が固定されている。
【0088】
肋筋147は、スラブ筋142と同間隔であり、立ち上がり部112と同方向に配筋されスラブ筋142に固定されている。
【0089】
肋筋147の上部には基礎部110の長手方向に向かって第一上部主筋145が配筋され、各々の肋筋147に固定されている。第一上部主筋145の下には基礎部110の長手方向に向かって第二上部主筋146が配筋され、同様に各々の肋筋147に固定されている。
【0090】
人通孔120は、立ち上がり部112の所望の位置に設け、立ち上がり部112の上面が開放される形で半楕円孔を設ける。
【0091】
人通孔120の中央付近で、第一上部主筋145および第二上部主筋146を切断し、人通孔120の下部中央から45度左右に広がった先の交点を支点に、斜め下45度に第一上部主筋145および第二上部主筋146を屈曲させる。
【0092】
腹筋144は、立ち上がり部112内部でかつ人通孔120の下部に基礎部110の長手方向に配筋され、肋筋147および斜筋148との交点で固定する。
【0093】
人通孔120の上部左右の肋筋147、第一上部主筋145、または第二上部主筋146に雌ねじ部材151を固定する。本実施例のように、人通孔120の上部左右の第一上部主筋145、または第二上部主筋146を人通孔120の下部に向かって屈曲させて斜筋としているため、雌ねじ部材151を固定する位置に第一上部主筋145、または第二上部主筋146が存在しない場合がある。その際は、人通孔120の上部左右の肋筋147の上部に、基礎部110の長手方向に向かって雌ねじ部材151を固定するためのアンカー筋149を肋筋147に配筋し固定する。雌ねじ部材151を埋設する位置にアンカー筋149を配筋することで、雌ねじ部材151を所望の位置に固定することができる。
【0094】
補強材130を固定するために、補強材130に形成される穴131と同じ間隔で、雌ねじ部材151を立ち上がり部112の上面に配設し、アンカー筋149に固定する。
【0095】
配筋工事が完成したら、基礎部110を形成する型枠および人通孔120を形成する型枠を設置し、型枠内部にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化後に型枠を解体することで基礎部110を形成することが出来る。
【0096】
また本実施例のように、斜筋を二段にすることによって斜筋の直交方向に働くせん断力に対抗し、人通孔120の周辺に生じる亀裂に備えることが出来る。
【0097】
図8は、補強材の取付方法の一例を示す斜視図である。
図8に示すように、人通孔120の上部に補強材130が設けられている。補強材130は例えば溝形鋼であって、補強材130が備える凹部を立ち上がり部112の上部を覆うように設置し、あらかじめ立ち上がり部112内部かつ両側面に埋設された雌ねじ部材151にボルト152で締結することで、補強材130は立ち上がり部112に固定されている。
【0098】
上記のように、固定部150の設置位置を基礎部110の側面にすることで、立ち上がり部112の上部で生じる他の部材との干渉を回避することも出来る。この際、補強材130の厚さだけ立ち上がり部112の上部が重なるが、その重なる部分だけ立ち上がり部112の上部を切り欠いておくこともできる。
【0099】
図9は、補強材の取付方法の一例を示す斜視図である。
図9に示すように、人通孔120の上部に補強材130が設けられている。補強材130は例えば山形鋼だって、補強材130が備える角部を立ち上がり部112の上部を覆うように設置し、あらかじめ立ち上がり部112内部かつ片側面に埋設された雌ねじ部材151にボルト152で締結することで、補強材130は立ち上がり部112に固定されている。
【0100】
上記のように、補強材130を立ち上がり部112に被せるように設置し、固定部150の設置位置を基礎部110の側面にすることで、立ち上がり部112の上部で生じる他の部材との干渉を回避することも出来る。この際、補強材130の厚さだけ立ち上がり部112の上部が重なるが、その重なる部分だけ立ち上がり部112の上部を切り欠いておくこともできる。
【0101】
図10は、補強材の取付方法の一例を示す斜視図である。
図10に示すように、人通孔120の上部に補強材130が設けられている。補強材130は例えば溝形鋼であって、補強材130が備える凹部を立ち上がり部112の上部を覆うように設置し、あらかじめ立ち上がり部112内部かつ上面に埋設された雌ボルトにボルト152で締結することで補強材130は立ち上がり部112に固定されている。
【0102】
上記のように、立ち上がり部112の上部と他の部材とに生じる干渉が問題ない場合には、立ち上がり部112に切り欠き部141を設けず、補強材130を立ち上がり部112の上面からボルト152で固定することも出来る。
【0103】
以上により、住宅基礎の立ち上がり部112の高さが低い場合でも、人が通り抜けることの出来る人通孔120の欠損を防止できる補強構造を形成することができる。
【0104】
尚、上記の鉄筋の配筋工事は、あらかじめ工場生産鉄筋ユニットとしてパネル化しておくこともできる。
【0105】
また中小建家の基礎のように立ち上がり部112の高さを高く設定できない基礎であっても、本発明によれば人通孔120の上辺を開放することによって人通孔120の高さを大きくすることができる。
【0106】
また本発明のように、上辺を開放された人通孔120の上辺部に補強材130をまたぐように立ち上がり部112に固定することで、基礎部110の上からの荷重による曲げモーメントおよびせん断力を基礎全体で負担することができる。
【0107】
これにより応力が集中することによって生じる人通孔120周囲の亀裂発生を抑止することができる。
【0108】
また人通孔120の周囲を1本または2本の斜筋を配筋することで、人通孔120の周囲の亀裂を抑止することが出来る。
【0109】
また本実施例では布基礎を例としてあげたが、ベタ基礎、独立基礎など他の基礎構造で実施することもできる。