(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1側面部及び第2側面部と、前記第1側面部と前記第2側面部との間に延在する底面部と、少なくとも前記第1側面部、前記第2側面部及び前記底面部によって囲まれる内側スペースと外部とを連通可能な袋口部とを有する包装袋であって、液体を含む内容物を前記内側スペースにおいて保持する包装袋の真空処理を行う真空包装方法であって、
前記底面部が前記内側スペースに向かって突出するように前記底面部に折り目を形成する工程と、
真空処理チャンバーを構成する第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記折り目が形成された前記包装袋を前記第1チャンバー部材及び前記第2チャンバー部材によって包み込む工程と、
前記包装袋が配置された前記真空処理チャンバーの内側を真空にする工程と、を含む真空包装方法。
前記底面部に前記折り目を形成する前に、第1調整位置に配置される第1調整位置決め部材を前記第1側面部に接触させるとともに、第2調整位置に配置される第2調整位置決め部材を前記第2側面部に接触させる工程を更に含む請求項1に記載の真空包装方法。
前記第1側面部及び前記第2側面部の一方の側縁部から他方の側縁部に向かって延在する板状の折り込み部材を、外部から前記底面部に押し当てることによって、前記折り目が前記底面部に形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空包装方法。
包装袋の少なくとも第1側面部、第2側面部及び底面部によって囲まれる内側スペースに、前記包装袋に設けられる袋口部を介し、液体を含む内容物を充填する充填装置と、
移動可能な折り込み部材を有し、前記内側スペースにおいて前記内容物を保持する前記包装袋の前記底面部に前記折り込み部材を外部から押し当てて前記底面部を前記内側スペースに向けて突出させて前記底面部に折り目を形成する底面部折り込み装置と、
第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材によって構成される真空処理チャンバーを有し、前記第1チャンバー部材及び前記第2チャンバー部材のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記折り目が形成された前記包装袋を前記第1チャンバー部材及び前記第2チャンバー部材によって包み込んだ後に、前記真空処理チャンバーの内側を真空にする真空処理装置と、を備える真空包装機。
前記底面部折り込み装置は、前記折り込み部材を、前記折り込み部材が前記底面部に押し当てられて前記底面部が前記内側スペースに向けて突出される上昇端位置と、前記折り込み部材が前記底面部から離される下降端位置との間で移動させる昇降駆動装置を更に有し、
前記折り込み部材は、前記第1側面部及び前記第2側面部の一方の側縁部から他方の側縁部に向かって延在する板状を有する請求項5〜7のいずれか一項に記載の真空包装機。
前記底面部折り込み装置は、前記複数の第1支持装置のうち、前記包装袋に前記内容物が充填される位置よりも下流に位置する第1支持装置によって支持される前記包装袋の前記底面部に前記折り込み部材を押し当てて前記折り目を形成する請求項9に記載の真空包装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
折り込み可能に形成された底面部(袋底)を有する自立可能な包装袋(以下、「自立袋」とも称する)は、内容物の充填に先立って底面部が開かれて拡げられ、内容物の充填に必要とされる内容積が確保される。そして、底面部の拡張が維持された状態で内容物が自立袋内に充填され、その後に真空処理チャンバーにおいて袋内の真空処理及び袋口のシール処理が行われる。
【0006】
真空処理チャンバーは、少なくとも一方が可動に設けられた一対の開閉部材によって構成することができる。内容物を保持する自立袋は、一対の開閉部材が開かれた状態で一対の開閉部材間に配置され、その後、一対の開閉部材が閉じられることによって真空処理チャンバー内に配置される。
【0007】
ところで、底面部が拡げられた状態で内容物を保持する自立袋は、折り込み部が底面部に形成されていない一般的な平袋と比較し、拡張方向の厚み(特に底面部近傍の厚み)が大きくなる。そのため、そのような自立袋を一対の開閉部材間に配置した状態で当該一対の開閉部材を閉じると、自立袋が一対の開閉部材の内面に接触し、当該自立袋(特に底面部近傍)が押し潰されてしまうことがある。底面部が水平方向へ幅広に延在した状態で自立袋が水平方向へ押し潰される場合には、当該底面部が突っ張りの役割を果たしてしまうため、底面部を折り曲げるのに比較的大きな力を要する。そのため、そのような底面部の突っ張り力に抗して自立袋を押し潰すと、自立袋内の内容物に比較的大きな力が作用し、内容物に勢いがついてしまう。
【0008】
内容物が固形物のみであったり、内容物に含まれる液体が少量であったりする場合には、自立袋の押し潰しに伴う内容物の勢いの影響は比較的小さく、問題も生じにくい。しかしながら内容物に多量の液体が含まれる場合には、自立袋が押し潰されて内容物に大きな勢いがついてしまうと、意図せずに袋口から液体が飛び出てしまうことがある。また袋口から液体が飛び出なかったとしても、自立袋内で液体が勢いよく上昇して袋口近傍のシール処理予定部に液体が付着することがあり、この場合には噛み込み等のシール不良がもたらされるという問題がある。
【0009】
なお、同じサイズの自立袋が使用され且つ自立袋に充填する液体量が同じであっても、自立袋の柔軟性のために、底面部の拡張状態や内容物の保持状態(例えば自立袋内における内容物の納まり具合)等に応じて、実際の自立袋の厚みは変動する。そのため、連続的に処理される複数の自立袋の厚みは一定せず、上述のように袋口から液体が飛び出たり、シール処理予定部に液体が付着したりするという問題が散発的に生じる。
【0010】
これらの問題を解決するため、真空処理チャンバーの容積を大きくして、一対の開閉部材が閉じられた際に自立袋が一対の開閉部材に接触しないようにする対策が考えられる。しかしながら、真空処理チャンバーの容積を大きくすると、減圧に要する時間が長くなるため、生産性が低下する。
【0011】
また、汎用されている既存のロータリー型の真空包装機が有する小容積の真空処理チャンバーを大容積の新たな真空処理チャンバーに交換することで、真空処理チャンバーの容積を大型化することも考えられる。しかしながら、ロータリー型の真空包装機には一般に複数の真空処理チャンバーが搭載されているため、真空処理チャンバーの交換を行う場合には、真空包装機が有する全ての真空処理チャンバーの交換が必要になり、必然的にコストが高くなってしまう。
【0012】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、液体を含む内容物を保持する包装袋を真空処理チャンバーに収容する際に、液体が包装袋から飛び出したり意図しない袋口部近傍箇所に付着したりすることを、生産性を低下させることなく低コストに防ぐことができる真空包装方法及び真空包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、第1側面部及び第2側面部と、第1側面部と第2側面部との間に延在する底面部と、少なくとも第1側面部、第2側面部及び底面部によって囲まれる内側スペースと外部とを連通可能な袋口部とを有する包装袋であって、液体を含む内容物を内側スペースにおいて保持する包装袋の真空処理を行う真空包装方法であって、底面部が内側スペースに向かって突出するように底面部に折り目を形成する工程と、真空処理チャンバーを構成する第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、折り目が形成された包装袋を第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材によって包み込む工程と、包装袋が配置された真空処理チャンバーの内側を真空にする工程と、を含む真空包装方法に関する。
【0014】
底面部に折り目を形成する前に、第1調整位置に配置される第1調整位置決め部材を第1側面部に接触させるとともに、第2調整位置に配置される第2調整位置決め部材を第2側面部に接触させる工程を更に含んでもよい。
【0015】
底面部に折り目を形成する前に、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材のうちの少なくともいずれか一方が退避位置に配置された状態で、第1調整位置決め部材と第2調整位置決め部材との間に包装袋が配置され、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材のうちの少なくともいずれか一方を退避位置から移動させて、第1側面部が第1調整位置に配置される第1調整位置決め部材によって接触されるとともに、第2側面部が第2調整位置に配置される第2調整位置決め部材によって接触されてもよい。
【0016】
第1側面部及び第2側面部の一方の側縁部から他方の側縁部に向かって延在する板状の折り込み部材を、外部から底面部に押し当てることによって、折り目が底面部に形成されてもよい。
【0017】
本発明の他の態様は、包装袋の少なくとも第1側面部、第2側面部及び底面部によって囲まれる内側スペースに、包装袋に設けられる袋口部を介し、液体を含む内容物を充填する充填装置と、移動可能な折り込み部材を有し、内側スペースにおいて内容物を保持する包装袋の底面部に折り込み部材を外部から押し当てて底面部を内側スペースに向けて突出させて底面部に折り目を形成する底面部折り込み装置と、第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材によって構成される真空処理チャンバーを有し、第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、折り目が形成された包装袋を第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材によって包み込んだ後に、真空処理チャンバーの内側を真空にする真空処理装置と、を備える真空包装機に関する。
【0018】
真空包装機は、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材を有する底面部位置決め装置を更に備え、折り込み部材は、第1調整位置に配置される第1調整位置決め部材が第1側面部に接触しているとともに第2調整位置に配置される第2調整位置決め部材が第2側面部に接触している状態で、底面部に押し当てられ、折り目が底面部に形成されてもよい。
【0019】
第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材のうちの少なくともいずれか一方は、位置決め駆動装置に連結されて移動可能に設けられ、位置決め駆動装置は、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材のうちの少なくともいずれか一方を移動させることで、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材のうちの少なくともいずれか一方が包装袋から離間している状態と、第1調整位置決め部材及び第2調整位置決め部材の両者が包装袋に接触している状態とを切り替えられてもよい。
【0020】
底面部折り込み装置は、折り込み部材を、折り込み部材が底面部に押し当てられて底面部が内側スペースに向けて突出される上昇端位置と、折り込み部材が底面部から離される下降端位置との間で移動させる昇降駆動装置を更に有し、折り込み部材は、第1側面部及び第2側面部の一方の側縁部から他方の側縁部に向かって延在する板状を有してもよい。
【0021】
真空包装機は、包装袋を支持するための複数の第1支持装置を具備する第1ロータリーと、包装袋を支持するための複数の第2支持装置を具備する第2ロータリーと、複数の第1支持装置のうち第1受け渡し位置に位置する第1支持装置から包装袋を受け取って、複数の第2支持装置のうち第2受け渡し位置に位置する第2支持装置に当該包装袋を渡す袋受け渡し装置と、を備え、充填装置は、複数の第1支持装置のうちの少なくともいずれかによって支持される包装袋に内容物を充填し、真空処理チャンバーは複数設けられ、当該複数の真空処理チャンバーのそれぞれに対して複数の第2支持装置が割り当てられてもよい。
【0022】
底面部折り込み装置は、複数の第1支持装置のうち、包装袋に内容物が充填される位置よりも下流に位置する第1支持装置によって支持される包装袋の底面部に折り込み部材を押し当てて折り目を形成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、折り目が形成された包装袋が第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材によって包み込まれるため、第1チャンバー部材及び第2チャンバー部材が包装袋の側面部を押圧して当該包装袋の底面部を折り曲げるのに要する力が小さくて済む。したがって、包装袋の底面部を折り曲げる際に包装袋内の内容物に加えられる力の勢いを抑えることができる。これにより、液体を含む内容物を保持する包装袋を真空処理チャンバーに収容する際に、意図せずに液体が包装袋から飛び出したり袋口部近傍箇所に付着したりすることを、生産性を低下させることなく低コストに防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0026】
図1は、真空包装機10の一例を示す概略平面図である。本実施形態の真空包装機10では、液体を含む内容物を包装袋内に充填する処理(内容物充填処理;ステーションA4及びステーションA5参照)、当該内容物を内側スペースにおいて保持する包装袋の当該内側スペースを真空状態にする処理(真空処理;ステーションB3〜ステーションB5参照)、及び当該内容物を保持する包装袋の袋口部をシールして真空状態の包装袋の内側スペースを密閉する処理(シール処理;ステーションB6参照)が順次行われる。なおここでいう「充填」及び「充填する」の用語は広義に解釈され、例えば、包装袋内のスペースの全部を内容物で満たす場合だけを指すのではなく、包装袋内のスペースの一部に内容物が位置するように内容物が包装袋内に供給される場合も指す。
【0027】
特に本実施形態の真空包装機10では自立型の包装袋が扱われる。この自立型の包装袋は、後述の
図6及び
図7に示されるように、表面及び裏面を構成する第1側面部104及び第2側面部105と、第1側面部104と第2側面部105との間に延在する底面部101と、少なくとも第1側面部104、第2側面部105及び底面部101によって囲まれる内側スペースSと外部とを連通可能な袋口部103とを有する。
【0028】
図1に示す真空包装機10は、所謂2ロータリー型の真空包装機であり、充填ロータリー11(第1ロータリー)及び真空ロータリー12(第2ロータリー)と呼ばれる2つのロータリーを備える。
【0029】
充填ロータリー11は、機台24上に設けられ間欠的に回転可能な第1回転テーブル13と、包装袋を支持するための複数のグリッパー対(第1支持装置)65とを具備し、包装袋を所定の円弧軌道に沿って間欠的に移送する。充填ロータリー11によって移送される包装袋に対しては、内容物充填処理を含む所定の包装処理が行われる。
【0030】
真空ロータリー12は、機台24上に設けられ間欠的に回転可能な第2回転テーブル29と、包装袋を支持するための複数の真空グリッパー(第2支持装置;後述の
図11の符号「120」参照)とを具備し、充填ロータリー11から送られてくる包装袋を所定の円弧軌道に沿って連続的又は間欠的に移送する。真空ロータリー12によって移送される包装袋に対しては、真空処理及びシール処理を含む所定の包装処理が行われる。
【0031】
充填ロータリー11と真空ロータリー12との間には、袋受け渡し装置28が設けられる。袋受け渡し装置28は、充填ロータリー11から包装袋を受け取って、真空ロータリー12に包装袋を渡す。
【0032】
本例の充填ロータリー11には8箇所のステーションA1〜A8が設けられ、これらのステーションA1〜A8と同数(
図1に示す例では8組)の左右一対のグリッパー対65が第1回転テーブル13に等間隔に設けられる。各グリッパー対65は、第1回転テーブル13の間欠的な回転に応じて、これらのステーションA1〜A8の各々において順次停止する。同様に、真空ロータリー12には10箇所のステーションB1〜B10が設けられ、これらのステーションB1〜B10と同数(
図1に示す例では10組)の真空グリッパー及び真空処理チャンバー130(すなわち第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32)が第2回転テーブル29に等間隔に設けられる。複数の真空処理チャンバー130のそれぞれに対して真空グリッパーが割り当てられ、本例の真空処理チャンバー130及び真空グリッパーは1対1で対応する。各真空グリッパー及び割り当てられた真空処理チャンバー130は、第2回転テーブル29の間欠的な回転に応じて、一体的に移動し、ステーションB1〜B10の各々において順次停止する。なお真空グリッパー及び真空処理チャンバー130が一体的に移動するとは、真空グリッパー及び真空処理チャンバー130が一緒に移動することを意味し、相互に対応する真空処理チャンバー130及び真空グリッパーは第2回転テーブル29の回転によって一緒に搬送され、ステーションB1〜B10の各々において間欠的に停止する。
【0033】
充填ロータリー11に設けられるステーションA1では空袋供給工程が行われ、袋マガジン14に保持されている空の包装袋がグリッパー対65に供給される。グリッパー対65は、例えば吸盤等の吸着手段によって持ち上げられた包装袋の両側縁部(後述の
図6の符号「102」参照)を挟み込んで、包装袋の袋口部が鉛直方向上側を向くように、包装袋を吊り下げ状態で支持する。本例の包装袋は、袋口部が閉じられるとともに底面部が折り畳まれて全体が薄く平たい状態で袋マガジン14に収容されており、ステーションA1においても平たい状態でグリッパー対65によって支持される。包装袋の底面部の具体的な折り畳み状態は特に限定されないが、典型的には、底面部において一方の側縁部から他方の側縁部に向かって折り目が形成され、当該折り目で底面部を折り畳むことができる。
【0034】
ステーションA2では印字工程が行われ、グリッパー対65に支持された包装袋に対し、製造年月日や賞味期限等の各種情報が印字される。
【0035】
ステーションA3では開口工程及び底面部拡張工程が行われ、追従式開口ガイド装置16によって包装袋の袋口部が開けられるとともに、拡張装置18によって包装袋の底面部(袋底部)が拡げられる。すなわち包装袋は、ステーションA1からステーションA3に至る間は底面部が折り畳まれて平たい状態でグリッパー対65によって移送されるが、ステーションA3において袋口部が開かれるとともに底面部が拡げられて厚みが増した状態にされる。そしてステーションA3以降では、包装袋は、基本的に底面部が拡げられた状態で移送される。
【0036】
ステーションA4では固形物充填工程が行われ、内容物のうち固形物が、充填ファンネル20から袋口部を介して包装袋内に充填される。なお、包装袋内に充填すべき内容物に固形物が含まれない場合には、このステーションA4における固形物充填工程は省略され、グリッパー対65に支持された包装袋は後段のステーションA5に移送される。
【0037】
ステーションA5では液体充填工程が行われ、内容物のうち液体(液状物)が、充填ノズル22及び充填ポンプ23により、袋口部を介して包装袋内に充填される。ここでいう液体は、広義に解釈することが可能であり、衝撃等の力が加えられるによって流動的に形状が変動しうる物体を含みうる概念である。例えば、ゲル状の物体がステーションA5において包装袋内に充填されてもよい。
【0038】
このように本実施形態では充填ファンネル20、充填ノズル22及び充填ポンプ23によって充填装置19が構成され、充填装置19は、包装袋に設けられる袋口部を介し、液体を含む内容物を包装袋の内側スペースに充填する。なお本例では、内容物のうち液体と固体とを異なるステーションで別個の工程で包装袋に充填しているが、液体及び液体以外の物質(固体及び気体を含む)を同じステーションで同じ工程で包装袋に充填してもよい。また内容物を構成する他の物質(例えば気体)を包装袋内に注入するための他のステーションが、別個に設けられてもよい。
【0039】
ステーションA6では袋口部緊張工程、底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程が行われる。袋口部緊張工程では、グリッパー対65を構成するグリッパー同士が離反するように移動され、包装袋の袋口部が閉じられて緊張状態に置かれる。この袋口部緊張工程は、前段のステーションA5において行われてもよいし、ステーションA5とステーションA6との間で行われてもよい。すなわち袋口部緊張工程は、包装袋内への内容物の充填が終わった後に実施することができ、特に包装袋内に気体が注入される場合には、当該気体の拡散を防ぐために、当該気体の注入直前又は直後、或いは当該気体の注入中に袋口部緊張工程が行われることが好ましい。
【0040】
底面部位置決め工程では、包装袋の表面及び裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105(
図6及び7参照))に一対の位置決め部材(
図2の符号「55」及び「56」参照)を当接させて、包装袋の底面部101の厚み方向に関する位置決めが行われる。底面部折り込み工程では、拡げられた状態の包装袋の底面部に対して下方から底面部折り込み装置26の折り込み部材(
図2の符号「59」参照)が押し当てられ、底面部を鉛直方向上方へ包装袋の内側に向けて所定量折り込む。そして、この包装袋の底面部の折り込みが完了した後に、折り込み部材は退避位置に下降され、一方の位置決め部材も退避位置に移動される。このように底面部折り込み装置26は、包装袋の搬送方向(すなわち第1回転テーブル13の回転方向)に関して充填装置19よりも下流側に設けられ、包装袋に内容物が充填される位置よりも下流に位置するグリッパー対65によって支持される包装袋の底面部に折り込み部材を押し当てて折り目を形成する。
【0041】
なお、ステーションA6で行われるこれらの底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程の詳細及び底面部折り込み装置26の具体的な構成については、後述される。
【0042】
ステーションA7では受け渡し工程が行われ、袋受け渡し装置28は、第1回転テーブル13に設けられる複数のグリッパー対65(第1支持装置)のうちステーションA7(第1受け渡し位置)に配置されるグリッパー対65から包装袋を受け取る。袋受け渡し装置28は、充填ロータリー11のグリッパー対65から受け取った包装袋を、真空ロータリー12の第2回転テーブル29に設けられる複数の真空グリッパーのうちステーションB1(第2受け渡し位置)に配置される真空グリッパーに渡す。なお袋受け渡し装置28の具体的な構成は特に限定されず、第1回転テーブル13に設けられるグリッパー対65の構成及び第2回転テーブル29に設けられる真空グリッパーの構成に応じた任意の構成によって袋受け渡し装置28を設けることができる。例えば、グリッパー対65が包装袋の両側縁部を把持するように構成され、真空グリッパーが包装袋のうち上縁部よりも下方の部分を挟み込むように構成される場合、袋受け渡し装置28は包装袋の上縁部を把持する構成とすることが可能である。
【0043】
本例のステーションA8では特段の処理が行われることなく、ステーションA8から後段のステーションA1にグリッパー対65が送られるが、ステーションA8において特定の処理が行われてもよい。
【0044】
一方、真空ロータリー12に設けられるステーションB1では、袋受け入れ工程及び袋保持工程が行われる。すなわち、第2回転テーブル29に対して固定的に設けられた第1チャンバー部材(本体側チャンバー)31の内側に設けられた真空グリッパー(チャンバー側グリッパー)が、ステーションB1において袋受け渡し装置28から包装袋を受け取って支持する。具体的には、真空グリッパーは、包装袋の袋口部が鉛直方向上側を向くように、包装袋の上縁部よりも下方の部分を挟み込んで、包装袋を吊り下げ状態で支持する。なお真空グリッパーの具体的な構成は特に限定されず、例えば特許2538473号公報に示される把持装置のように、包装袋の幅方方向(すなわち一方の側縁部から他方の側縁部に向かう方向)へ包装袋を挟み込むことで包装袋を支持することができるグリッパーを、真空グリッパーとして好適に用いることができる。
【0045】
ステーションB2では整形工程が行われ、後段の真空処理に先立って、真空グリッパーにより支持される包装袋の形が整形装置(図示省略)により整えられる。
【0046】
ステーションB3では、チャンバー内密閉工程及び予備真空工程が行われる。チャンバー内密閉工程では、可動式の第2チャンバー部材(蓋側チャンバー)32が固定式の第1チャンバー部材31に向かって移動し、第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって構成される真空処理チャンバー130が閉じられて密閉される。予備真空工程では包装袋に対する予備的な真空処理が行われ、真空処理装置(後述の
図11の符号「115」参照)によって、密閉された真空処理チャンバー130内が所定圧まで減圧されて真空状態にされる。なおここでいう真空状態とは、標準大気圧よりも圧力が低い状態を指す。
【0047】
ステーションB4では一次真空工程が行われ、ステーションB5では二次真空工程が行われる。これらの一次真空工程及び二次真空工程の各々においても、真空処理装置によって真空処理チャンバー130内が所定圧まで減圧されて包装袋の真空処理が行われ、包装袋の内側スペースが所望の真空圧に調整される。
【0048】
ステーションB6では袋口部シール工程が行われ、真空処理チャンバー130内に配置されたシール処理部(
図11の符号「156」及び「157」参照)によって包装袋の袋口部がシールされ、包装袋は密封される。
【0049】
ステーションB7ではシール部冷却工程が行われ、ステーションB8ではシール部冷却工程及び大気開放工程が行われる。これらのステーションB7、B8で行われるシール部冷却工程では、任意の方法によって包装袋のシール部分を冷却することができる。例えば、冷却具が当該シール部分に押し当てられたり、冷却用エアがシール部分に吹き付けられたりすることで、シール部分の温度が下げられる。また大気開放工程では、真空処理チャンバー130内を大気に開放し、真空処理チャンバー130内が大気圧に戻される。
【0050】
ステーションB9ではチャンバー開放工程及び製品袋放出工程が行われ、第2チャンバー部材32が開動作を行って真空グリッパーに支持された包装袋が露出され、包装袋が真空グリッパーから開放されて「内容物を保持し真空処理が施された包装袋(すなわち製品袋)」が搬出コンベア36上に放出される。搬出コンベア36上に放出された包装袋は、搬出コンベア36によって後段に送られる。
【0051】
上述のように本例の真空包装機10では、充填ロータリー11(ステーションA1〜A8)及び真空ロータリー12(ステーションB1〜B10)において、各種の処理が連続的に行われる。例えば、充填装置19(充填ファンネル20、充填ノズル22及び充填ポンプ23)は、充填ロータリー11の複数のグリッパー対65のうち少なくともいずれかによって支持される包装袋(図示の例ではステーションA4及びA5に配置されるグリッパー対65によって支持される包装袋)に内容物を充填する。また真空処理装置115は、真空ロータリー12の複数の真空グリッパーのうちの少なくともいずれかによって支持される包装袋(図示の例ではステーションB3〜B5に配置される真空グリッパーによって支持される包装袋)を第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包み込んだ状態で、当該包装袋が配置される真空処理チャンバー130の内側を真空にする。
【0052】
また本実施形態の真空包装機10では、液体を含む内容物の包装袋内への充填後であって、内容物を保持する包装袋を真空処理チャンバー130によって包み込む前に、底面部折り込み装置26によって包装袋の底面部に折り目が形成され、当該底面部は包装袋100の内側スペースSに向けて少しだけ折り込まれる。これにより、包装袋の底面部の折り込みに要する包装袋の側面部からの力を小さくすることができ、包装袋の側面部からの力によって包装袋内の内容物に加えられる勢いを効果的に抑制できる。したがって、液体を含む内容物を保持する包装袋を真空処理チャンバー130に収容する際に包装袋が押圧されても、液体が包装袋から飛び出したり袋口部近傍箇所に付着したりしないようにすることができる。
【0053】
なお、真空包装機10を構成する各装置は制御盤34によって制御され、制御盤34の制御下で充填ロータリー11を構成する各装置及び真空ロータリー12を構成する各装置が連動して動作する。
【0054】
次に、底面部折り込み装置26の具体的な構成例について説明する。
【0055】
<位置決め処理及び底面部折り込み処理>
図2は、底面部折り込み装置26の一例を示す斜視図である。
図3は、
図2の底面部折り込み装置26を、
図2に示す矢印D1の方向に沿って上方から見た平面図である。
図4は、
図2の底面部折り込み装置26を、
図2に示す矢印D2の方向に沿って側方から見た側方図である。
図5は、
図2の底面部折り込み装置26を、
図2に示す矢印D3の方向に沿って側方から見た側方図である。
【0056】
本実施形態の底面部折り込み装置26は、底面部位置決め装置54とともに設けられる。ステーションA6に配置されたグリッパー対65によって支持される包装袋100(すなわち同じ位置に配置される包装袋100)に対し、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54によって底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程が行われる。
【0057】
図示の底面部折り込み装置26は、真空包装機10の機台24(
図1参照)に固定される土台41と、土台41に固定される第1取付プレート43とを備える。第1取付プレート43は、土台41から鉛直方向上向きに延在する鉛直部材と、当該鉛直部材の上部から水平方向に延在する水平部材とを有する。第1取付プレート43の水平部材には第1エアシリンダ45が固定され、第1エアシリンダ45の第1エアシリンダ軸46が、当該水平部材に形成された孔を貫通して鉛直方向下向き(矢印「D1」参照)へ進退可能に突出する。第1エアシリンダ軸46の先端部には昇降プレート48が固定され、第1エアシリンダ45の本体部からの第1エアシリンダ軸46の突出量の変動に伴って昇降プレート48は昇降する。
【0058】
昇降プレート48上には、L字ブロック57及び第2取付プレート50が固定的に配置される。L字ブロック57は、昇降プレート48の上面に沿って水平方向に延在する水平部材と、当該水平部材の一端部から鉛直方向上向きに延在する鉛直部材とを有する。
【0059】
L字ブロック57の鉛直部材には折り込み部材59が固定されており、鉛直方向上側において折り込み部材59はL字ブロック57の鉛直部材よりも突出する。折り込み部材59は、板状を有し、ステーションA6(
図1参照)に配置されるグリッパー対65によって支持される包装袋の表面及び裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105(
図6及び7参照))の一方の側縁部から他方の側縁部に向かって延在するように配置される。折り込み部材59の鉛直方向上側の先端部は丸みを帯びており、折り込み部材59の先端部が包装袋の底面部に押し当てられた際における当該底面部の損傷が防がれている。
【0060】
L字ブロック57の水平部材には、第2調整位置決め部材56が固定されている。第2調整位置決め部材56は、L字ブロック57の水平部材から鉛直方向上向きに延在する鉛直部と、当該鉛直部の鉛直方向上側の端部に固定され水平方向に延在する水平部とを含む。なお本例の第2調整位置決め部材56は固定的に設けられており、主として第2調整位置決め部材56の水平部が包装袋の一方の側面部を支持する部材として機能する。
【0061】
一方、第2取付プレート50には第2エアシリンダ52が固定され、第2エアシリンダ52の本体部から水平方向(矢印「D2」参照)へ第2エアシリンダ軸53が進退可能に突出する。第2エアシリンダ軸53の先端には、第1調整位置決め部材55が固定されている。第1調整位置決め部材55は、第2エアシリンダ軸53の先端から鉛直方向上向きに延在する鉛直部と、当該鉛直部の上部から水平方向(矢印「D3」参照)に延在する水平部とを含む。
【0062】
第1調整位置決め部材55の水平部、第2調整位置決め部材56の水平部及び折り込み部材59は相互に平行に配置され、それぞれの延在方向は、ステーションA6(
図1参照)に配置されるグリッパー対65によって支持される包装袋の表面及び裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105)の一方の側縁部から他方の側縁部に向かう方向と略一致する。
【0063】
上述の構成を有する底面部折り込み装置26において、折り込み部材59は鉛直方向に関して昇降可能に設けられている。すなわち、第1エアシリンダ軸46の鉛直方向に関する突出量に応じて昇降プレート48及びL字ブロック57の鉛直方向の位置が決められ、折り込み部材59は、これらの昇降プレート48及びL字ブロック57とともに鉛直方向に関して上下に移動する。したがって第1エアシリンダ45は、折り込み部材59が包装袋の底面部に押し当てられる上昇端位置(第1昇降位置)と、折り込み部材59が当該底面部から離される下降端位置(第2昇降位置)との間で、折り込み部材59を移動させる昇降駆動装置44として機能する。このように底面部折り込み装置26は、第1エアシリンダ45によって折り込み部材59を駆動し、複数のグリッパー対65のうちの少なくともいずれかによって支持される「内側スペースにおいて内容物を保持する包装袋」(
図1に示す例ではステーションA6に配置される包装袋)の底面部に、折り込み部材59を外部から押し当てる。これにより、包装袋の底面部を内側スペースに向けて突出させて、当該底面部に折り目が形成される。
【0064】
また本実施形態の底面部折り込み装置26は、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56を含む底面部位置決め装置54と一体的に設けられている。第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56のうち少なくともいずれか一方(図示の例では第1調整位置決め部材55)は、位置決め駆動装置51として機能する第2エアシリンダ52の第2エアシリンダ軸53に連結されて移動可能に設けられている。第2エアシリンダ52は、第2エアシリンダ軸53の突出量に応じて、第1調整位置決め部材55を第1側面部104に当接する位置(第1調整位置(後述の
図8の符号「P1」参照))と第1側面部104から離間する位置(退避位置(後述の
図7の符号「P3」参照))との間で移動させる。このように第2エアシリンダ52は、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56のうち少なくともいずれか一方(本例では第1調整位置決め部材55)が包装袋から離間している状態と、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56の両者が包装袋に接触している状態とを切り替えられる。
【0065】
そして、第1調整位置に配置される第1調整位置決め部材55が包装袋の第1側面部に接触しているとともに第2調整位置に配置される第2調整位置決め部材56が包装袋の第2側面部に接触している状態で、折り込み部材59が包装袋の底面部に押し当てられ、折り目が当該底面部に形成される。このように底面部位置決め装置54によって包装袋の位置を調整した状態で、折り込み部材59を包装袋の底面部に押し当てることで、包装袋の底面部の所望位置に的確に折り目を形成することができる。
【0066】
次に、
図2〜
図5に示す底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の具体的な作動について説明する。
【0067】
なお本例では、これらの底面部位置決め装置54及び底面部折り込み装置26により行われる底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程に先立って、包装袋の袋口部を閉じる袋口部緊張工程が行われ、底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程が行われる間は包装袋の袋口部103は閉じられた状態を維持する。そして、底面部折り込み工程に先立って底面部位置決め工程が行われ、包装袋100の表裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105)に一対の位置決め部材(すなわち第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56)を押し当てて、包装袋100の厚み方向に関して底面部101(特に折り込み部材59が押し当てられる部位)の位置決めが行われる。
【0068】
図6〜
図10には、底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程における底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の挙動が示されている。
図6は、
図1に示すステーションA6に包装袋100が配置された状態での、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54を示す平面図である。
図7は、
図6の断面線VII−VIIに沿った包装袋100、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の断面図である。
図8は、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56がそれぞれ第1調整位置P1及び第2調整位置P2に配置された状態での、包装袋100、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の断面図である。
図9は、包装袋100の底面部101に折り込み部材59が押し当てられた状態での、包装袋100、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の断面図である。
図10は、包装袋100の底面部101に折り目110が形成された後の、包装袋100、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54の断面図である。
【0069】
なお
図7〜
図10には、包装袋100の内側スペースSに収容される内容物63が液体のみで構成されている例が示されているが、内容物63が液体以外の固形物等を含む場合も、以下に説明する底面部位置決め工程及び底面部折り込み工程は同様にして行われる。
【0070】
図6及び
図7に示すように、ステーションA6に送られてくる包装袋100の内側スペースSには内容物63が収容されており、ステーションA6において包装袋100の底面部101は、内容物63の重みによって略水平に拡がった状態を有する。
【0071】
また、グリッパー対65によって両側縁部102が支持された包装袋100がステーションA5(
図1参照)からステーションA6に送られてくる際には、第2エアシリンダ軸53が水平方向に比較的大きく突出し、第1調整位置決め部材55は退避位置P3に配置される(
図7参照)。第1調整位置決め部材55が退避位置P3に配置されている状態では、底面部101が拡がった状態の包装袋100の厚みよりも大きな間隔が、第1調整位置決め部材55と第2調整位置決め部材56との間に形成される。これにより包装袋100を、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56と干渉させずに、ステーションA6の所定の処理位置に配置することができる。
【0072】
固定的に設けられる第2調整位置決め部材56は、ステーションA5からステーションA6に移送される包装袋100の移動をガイドする。特に第2調整位置決め部材56の水平部の前段側(すなわちステーションA5側)の端部(
図6に示す例では第2調整位置決め部材56の右側端部)は、包装袋100の円弧状の搬送軌道に応じた角度を持って配置され、第2調整位置決め部材56と包装袋100との干渉が効果的に防がれている。そして第2調整位置決め部材56は、ステーションA6に配置された包装袋100の第2側面部105(特に底面部101の近傍領域)と当接する。これにより包装袋100は第2調整位置決め部材56によって支持され、包装袋100の厚み方向への意図しない動きが防がれている。
【0073】
なお包装袋100がステーションA5からステーションA6に移送される際には、折り込み部材59が包装袋100と干渉しないように、第1エアシリンダ軸46が鉛直方向下向きに比較的大きく突出し、折り込み部材59の先端部は鉛直方向に関して包装袋100(特に底面部101)から離間した位置に配置される。
【0074】
このように
図6及び
図7に示すように、折り込み部材59によって包装袋100の底面部101に折り目を形成する前に、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56のうち少なくともいずれか一方(本例では第1調整位置決め部材55)が退避位置P3に配置された状態で、第1調整位置決め部材55と第2調整位置決め部材56との間に包装袋100が配置される。
【0075】
そして
図8に示すように、折り込み部材59によって包装袋100の底面部101に折り目を形成する前に、第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56のうち少なくともいずれか一方(本例では第1調整位置決め部材55)を退避位置P3から移動させて、包装袋100の第1側面部104が第1調整位置P1に配置される第1調整位置決め部材55によって接触及び支持されるとともに、第2側面部105が第2調整位置P2に配置される第2調整位置決め部材56によって接触及び支持される。
【0076】
具体的には、第2エアシリンダ52の本体部からの第2エアシリンダ軸53の突出量を小さくすることで、第1調整位置決め部材55を包装袋100の第1側面部104に向けて移動させる。これにより包装袋100(特に底面部101近傍の部分)は第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56によって挟まれ、包装袋100の厚み方向(
図8の矢印「D4」参照)への位置ずれを防ぎつつ、底面部101の厚み方向に関する中央領域を折り込み部材59のほぼ真上に正確に配置することができる。
【0077】
そして
図9に示すように、包装袋100の第1側面部104及び第2側面部105の一方の側縁部102から他方の側縁部102に向かう方向(すなわち
図9の紙面と垂直な方向)へ延在する板状の折り込み部材59を、包装袋100の底面部101に外部から押し当てることによって、折り目110が底面部101に形成される。具体的には、第1エアシリンダ45の本体部からの第1エアシリンダ軸46の突出量を小さくすることで、昇降プレート48、L字ブロック57及び折り込み部材59を包装袋100の底面部101に向けて移動させる。これにより折り込み部材59は包装袋100の底面部101の略中央部分を押圧し、底面部101が包装袋100の内側スペースSに向かって突出するように、底面部101に折り目110が形成される。
【0078】
折り込み部材59が包装袋100の底面部101を押圧すると、底面部101の折れ曲がりに応じて、包装袋100の第1側面部104及び第2側面部105が第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56より離間する方向(すなわち内側方向)へ移動し、包装袋100の内側スペースSの容積が減少する。そのため、この内側スペースSにおいて内容物63の液体の液面が上昇するが(
図9に示す液面L1及び液面L2参照)、液体が急激に上昇すると液体の動きに勢いがついてしまい、本来意図していない袋口部103近傍のシール処理予定部に液体が付着してしまったり、袋口部103から液体が飛び出たりすることがある。シール処理予定部に液体が付着すると、後段のシール処理を適切に行うことができず、シール強度の不足等のシール不良を招きうる。また袋口部103から液体が飛び出ると、装置が汚染されるだけではなく、その包装袋100自体を不良品として扱わなければならない場合もある。そのため折り込み部材59は、包装袋100の底面部101に対して穏やかに接触するとともに、底面部101の押し上げスピードが速くなり過ぎないようにすることが好ましい。
【0079】
そして、折り込み部材59によって包装袋100の底面部101に所望の折り目110を形成したら、
図10に示すように、折り込み部材59は下降されて底面部101から離間させられる。具体的には、第1エアシリンダ45の本体部からの第1エアシリンダ軸46の突出量を大きくすることで、昇降プレート48、L字ブロック57及び折り込み部材59を鉛直方向下向きに移動させる。
【0080】
なお包装袋100の底面部101から折り込み部材59が離間しても、底面部101に形成された折り目110は消えず、底面部101が内側スペースSに向かって突出した状態が維持される。
【0081】
このようにして底面部101に折り目110が形成された包装袋100は、その後、後段のステーションA7に送られ、袋受け渡し装置28によって真空ロータリー12に移送される。
【0082】
なお、上述の例の底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54は、充填ロータリー11側において包装袋100に内容物63が充填される位置(
図1のステーションA4及びステーションA5差参照)よりも下流側の位置(
図1のステーションA6参照)に設置されているが、他の位置に設けられてもよい。すなわち、包装袋100に内容物63を充填した後、且つ、包装袋100が真空処理チャンバー130(すなわち第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32)によって包み込まれる前の、任意の位置において底面部折り込み処理及び位置決め処理を行うことができる。例えば、真空ロータリー12側において、真空処理が行われるステーション(本例ではステーションB3〜ステーションB5)よりも上流側に底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54が設けられてもよいし、充填ロータリー11と真空ロータリー12との間において、底面部折り込み装置26及び底面部位置決め装置54が設けられてもよい。
【0083】
<真空処理及びシール処理>
次に、真空ロータリー12における真空処理及びシール処理の具体例について説明する。
【0084】
図11は、真空ロータリー12に設けられる真空処理装置115の構成例を示す側方断面図である。
【0085】
本例の真空処理装置115は、第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって構成される真空処理チャンバー130と、真空処理チャンバー130内の圧力(気圧)を調整する圧力調整部135と、真空処理チャンバー130内に配置される包装袋100を保持する真空グリッパー120(チャンバー内グリッパー)と、を備える。
【0086】
真空処理チャンバー130は、第2回転テーブル29に固定される第1チャンバー部材31と、第1チャンバー部材31に対して相対的に移動可能に設けられる第2チャンバー部材32と、第1チャンバー部材31と第2チャンバー部材32との間に配置されるチャンバーパッキン133とを有する。本例のチャンバーパッキン133は、第2チャンバー部材32の外縁部に取り付けられている。開閉動作可能に設けられる第2チャンバー部材32の外縁部が第1チャンバー部材31の外縁部に押し当てられることによって、第2チャンバー部材32と第1チャンバー部材31との間はチャンバーパッキン133によって封止される。
【0087】
包装袋100の底面部101には、上述の底面部折り込み装置26(
図2〜
図10参照)によって形成された折り目110が付与されており、底面部101が内側スペースSに向かって折れ曲がった状態で包装袋100は真空処理チャンバー130内に配置されている。
【0088】
真空グリッパー120は、具体的な構成は特に限定されないが、真空処理チャンバー130内に配置され、包装袋100の袋口部103の全域を塞がないように包装袋100を把持する。したがって真空グリッパー120は、真空処理チャンバー130内において包装袋100の内側が袋口部103を介して包装袋100の外側と連通するように、内側スペースSに内容物63が配置された包装袋100を吊り下げ状態で把持する。
【0089】
また真空処理チャンバー130内には、シール処理部を構成するシールヒーター部156及びシール受台157が配置される。
【0090】
シールヒーター部156は、第2チャンバー部材32に取り付けられ、発熱する。シール受台157は、第1チャンバー部材31に取り付けられ、真空処理チャンバー130の外側に設けられる受台エアシリンダ158によって駆動され、シールヒーター部156に接近する方向及び離間する方向へ移動可能に設けられている。シール受台157が駆動されて包装袋100の袋口部103を介してシールヒーター部156に押しつけられることで、シールヒーター部156とシール受台157との間に挟まれる包装袋100が溶けて袋口部103がシール(加熱溶着)される。このように本例では、シールヒーター部156、シール受台157及び受台エアシリンダ158が「包装袋100の袋口部103をシールするシール処理部」として機能し、このシール処理部は、包装袋100の内側を負圧にした後に袋口部103をシールする。
【0091】
圧力調整部135は、第1チャンバー部材31に取り付けられ、真空処理チャンバー130内(すなわち第1チャンバー部材31と第2チャンバー部材32とにより囲まれる空間)に連通する。例えば、第1チャンバー部材31を貫通するように内部流路が形成されたパイプであって当該内部流路が真空処理チャンバー130内と連通するように設けられたパイプに対してロータリーバルブを介して連結される真空ポンプによって、圧力調整部135を構成することもできる。なお、圧力調整部135は制御盤34によって制御される。
【0092】
第2チャンバー部材32は連結リンク137を介して開閉アーム138に取り付けられ、開閉アーム138は連結リンク142を介して昇降軸143に取り付けられる。また開閉アーム138にはアーム開閉軸141を介して蓋部支持部材139が取り付けられ、蓋部支持部材139には蓋部開閉支点軸140を介して第2チャンバー部材32が取り付けられる。
【0093】
昇降軸143は、昇降軸連結部145に固定されるとともに、第2回転テーブル29に設けられる昇降軸支持部144によって昇降自在に保持され、昇降軸連結部145が昇降軸駆動部146により駆動されて昇降することで、昇降軸連結部145とともに昇降する。昇降軸143が最も上昇した位置(上昇端位置)に配置されると、第2チャンバー部材32がチャンバーパッキン133を介して第1チャンバー部材31に押し当てられて真空処理チャンバー130が閉じた状態になる。
【0094】
第2回転テーブル29には、第1チャンバー部材31が固定的に取り付けられるとともに、昇降軸143、連結リンク142、開閉アーム138及び連結リンク137を介して第2チャンバー部材32も連結されている。したがって図示しない駆動源に駆動されて第2回転テーブル29が間欠回転すると、第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32も第2回転テーブル29とともに間欠回転する。
【0095】
なお
図11には、包装袋100が第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包み込まれてはいるが、真空処理チャンバー130内が負圧に調整される前の状態(すなわち大気圧の状態)が示されている。
【0096】
上述の真空処理装置115によって行われる真空包装方法は、真空処理チャンバー130を構成する第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32のうちの少なくともいずれか一方(本例では第2チャンバー部材32)を移動させて、折り目110が形成された包装袋100を第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包み込む工程と、第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包装袋100を包み込んだ後に、包装袋100が配置された真空処理チャンバー130の内側を減圧して真空にする工程とを含む。
【0097】
すなわち真空ロータリー12のステーションB3(
図1参照)において、真空グリッパー120により包装袋100が支持され且つ第2チャンバー部材32が開かれている状態で、昇降軸駆動部146が昇降軸連結部145を駆動して昇降軸連結部145が鉛直方向上側に移動される。この昇降軸連結部145の上昇移動と連動して昇降軸143、連結リンク142、開閉アーム138、連結リンク137及び蓋部支持部材139が動き、第2チャンバー部材32が閉じられる。
【0098】
この際、真空グリッパー120によって支持されている包装袋100の第2チャンバー部材32側の側面部(
図11に示す例では第2側面部105)が、閉動作を行う第2チャンバー部材32にぶつかって押圧され、内容物63に力が加えられる場合がある。ただし本実施形態によれば、底面部101に折り目110が形成された包装袋100の第2側面部105が第2チャンバー部材32に押圧される。そのため、第2チャンバー部材32は底面部101からの抵抗を殆ど受けることなく側面部を押圧することができ、第2チャンバー部材32から包装袋100に対して過剰に大きな力が加えられずに、包装袋100を第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包み込むことができる。
【0099】
したがって、包装袋100を第1チャンバー部材31及び第2チャンバー部材32によって包み込む際に包装袋100内の内容物63の液体の水面を緩やかに上昇させることができる。これにより、シール処理予定部等の意図していない箇所に液体が付着したり、袋口部103から液体が飛び出たりすることを防げる。
【0100】
なおシール処理は、ステーションB3〜ステーションB5において真空処理が行われた後に、ステーションB6において行われ、真空グリッパー120によって支持されている包装袋100の袋口部103(すなわち第1側面部104及び第2側面部105)がシールヒーター部156とシール受台157とによって挟まれて加熱されることで行われる。
【0101】
以上説明したように本実施形態の真空包装方法及び真空包装機10によれば、包装袋100内に内容物63を充填した後であって真空処理チャンバー130内を密閉する前に、包装袋100の拡張された底面部101に下方から折り込み部材59が押し当てられて、底面部101が内側スペースSに向けて上方に所定量(少量)折り込まれ、底面部101に折り目110が形成される。これにより、包装袋100の表面及び裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105)から押圧力が加えられた際の底面部101からの抵抗力が弱められ、包装袋100内の内容物63に付与される力の勢いを抑えることができる。また包装袋100の底面部101に折り目110を形成することによって、厚み方向(
図8の矢印「D4」参照)に関する包装袋100のサイズ(厚み)を小さくすることができる。これにより、第2チャンバー部材32が閉動作を行う際に第2チャンバー部材32が包装袋100に接触する可能性を低減でき、第2チャンバー部材32が包装袋100に接触しても包装袋100が第2チャンバー部材32から受ける力を低減できる。このことによっても、第2チャンバー部材32の閉動作に伴って包装袋100内の内容物63に付与される力の勢いを抑えることができる。
【0102】
このように包装袋100内の内容物63に付与される力の勢いを抑えることで、液体を含む内容物63を保持する包装袋100を真空処理チャンバー130に収容する際に、液体が包装袋100から飛び出したり意図していない袋口部近傍箇所に付着したりすることを防ぐことができる。
【0103】
特に本実施形態の真空包装機10によれば、包装袋100の拡げられた底面部101に対して下方から折り込み部材59を押し当てるという極めてシンプルな方法で、上述の問題を解決することができる。そのため、全ての真空処理チャンバー130を大容積の真空処理チャンバーに置き換える場合に比べて、生産性を低下させることなく低コストに上述の問題を解決することができ、包装袋100に加えられるダメージも殆どない。
【0104】
また包装袋100の底面部101の折り込みに先立って、包装袋100の表面及び裏面(すなわち第1側面部104及び第2側面部105)に一対の位置決め部材(すなわち第1調整位置決め部材55及び第2調整位置決め部材56)を当接させ、底面部101がその厚み方向(
図8の矢印「D4」参照)で位置決めされる。これにより、折り込み部材59を底面部101の所定部位(折り目部位)に対して的確に接触及び押圧させることでき、底面部101の折り目110を所望位置に安定的に形成することができる。
【0105】
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0106】
例えば上述の例では本発明が2ロータリー型の真空包装機10に適用されているが、他のタイプの真空包装機10に対して本発明が適用されてもよく、例えば特公昭60−1211号公報に示されるような1ロータリー型の真空包装機に対して本発明が適用されてもよい。