特許第6644673号(P6644673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644673有機エレクトロルミッセンス素子のための材料の調製用の合成構築ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644673
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミッセンス素子のための材料の調製用の合成構築ブロック
(51)【国際特許分類】
   C07C 255/51 20060101AFI20200130BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 253/14 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 253/20 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 255/52 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 255/54 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 255/58 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 209/88 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 209/94 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 213/57 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 241/12 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 307/77 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20200130BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   C07C255/51
   C07B61/00 300
   C07C253/14
   C07C253/20
   C07C253/30
   C07C255/52
   C07C255/54CSP
   C07C255/58
   C07D209/88
   C07D209/94
   C07D213/57
   C07D239/26
   C07D241/12
   C07D251/24
   C07D307/77
   C07D307/91
   C07D333/76
   C07D487/04 137
   C07D491/048
   C07D495/04 103
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】9
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2016-504508(P2016-504508)
(86)(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公表番号】特表2016-516084(P2016-516084A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】EP2014000481
(87)【国際公開番号】WO2014146750
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月22日
【審判番号】不服2018-16897(P2018-16897/J1)
【審判請求日】2018年12月19日
(31)【優先権主張番号】13001485.5
(32)【優先日】2013年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】パルハム、アミア・ホサイン
(72)【発明者】
【氏名】ヤトシュ、アンヤ
【合議体】
【審判長】 瀬良 聡機
【審判官】 天野 宏樹
【審判官】 齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−137855(JP,A)
【文献】 特表2011−521894(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/015567(WO,A1)
【文献】 特表2010−518067(JP,A)
【文献】 特開2014−135466(JP,A)
【文献】 特開2019−73520(JP,A)
【文献】 米国特許第4556426(US,A)
【文献】 Chao Huang,et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,Elsevier Science, 2013.2.16, vol.23, No.8, p.2399−2403
【文献】 William P.Heilman, et al., Journal of Medicinal Chemistry, 1978, vol.21, No.9, p.906−913
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAPlus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1a)〜(1d)、(1f)〜(1h)、式(2a)〜(2f)、(2h)〜(2l)および式(3a)〜(3f)の化合物から選ばれる化合物;
【化1-1】
【化1-2】
式中、以下が使用される記号と添え字に適用され;
Lは、単結合またはNR、BR、P(=O)R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキレンもしくはアルキリデン基(各場合に、一以以上の基Rにより置換されてよく、ここで1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R)、C=O、-O-、-S-もしくは-CONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる2価基であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、NAr、N(R(ここで、Rは、Hではない。)、C(=O)Ar、C(=O)R、BR、P(=O)Ar、PAr、Si(R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、2〜10個のC原子を有するアルケニル基(夫々1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、RC=CRもしくはOで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Dで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよいか、
または2つの隣接する基Rは、互いに式(4)の環を形成し:
【化2】
式中、破線の結合は、ベンゼン骨格への基の結合を示し、およびさらに、
Eは、C(R、NR、O、S、BRまたはSi(Rより成る基から選ばれ;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じN原子もしくはP原子に結合する2つの基Arは、単結合により、またはN(R)、C(R、O、SもしくはBRから選ばれるブリッジにより互いにブリッジされてもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、Cl、Br、I、CN、NO、N(R、P(=O)(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造(さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、単環もしくは多環式の脂肪族環構造をたがいに形成してよく、
ただし、以下の化合物は除外される。
【化3】
【請求項2】
基R、RもしくはRのいずれもが、6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まないことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
少なくとも一つの基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれるか、または少なくとも一つの置換基Rは、式(7)〜(18)の基の一つから選ばれることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物:
【化4】
式中、使用される記号は、請求項1記載の意味を有し、は、基の結合位置を示し、およびさらに、
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ただし、1、2または3個の基Aは、Nであり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜16個の芳香族環原子を有する2価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
mは、0または1である。
【請求項4】
少なくとも一つの基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいカルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、インドール誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体もしくはジベンゾチオフェン誘導体から選ばれるか、または少なくとも一つの置換基Rは、-NArであり、ここで2個の基Arは、NR、O、S、C(RしくはBRから選ばれる基により互いにブリッジされてもよいことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物:
式中、使用される記号は、請求項1および2記載の意味を有する。
【請求項5】
置換基Rは、式(19)〜(33)の基から選ばれることを特徴とする、請求項4記載の化合物:
【化5-1】
【化5-2】
中、使用される記号は、請求項1または2の引用請求項記載の意味を有し、およびさらに、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜16個の芳香族環原子を有する2価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Gは、NR、OまたはSから選ばれ
式中、各場合に、1または2個の基CRは、Nにより置き代えられてよい。
【請求項6】
以下の反応工程を含む、請求項1〜何れか1項記載の化合物の製造方法:
a)フルオロ-メタ-キシレンの酸化によりカルボン酸を得る工程、および
b)カルボン酸官能基のニトリル基への変換工程。
【請求項7】
触媒の存在下、フルオロ-メタ-ジハロベンゼン誘導体とZn(CN)およびZnとの反応による、請求項1〜何れか1項記載の化合物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜何れか1項記載の化合物の求核芳香族置換反応における出発材料としての使用。
【請求項9】
請求項1〜何れか1項記載の化合物と求核剤との反応による、式(34)または式(35)または式(36)の化合物の製造方法:
【化6】
式中、Nuは、求核基であり、nは、0または1であり、ただし、nが0の場合にはLは存在せず、さらに、ただし、nが1の場合には、Lは、各場合に、基Rに代わりベンゼン骨格に結合し、それゆえに対応する基Rは存在せず、使用されるその他の記号は、請求項1〜5の各引用請求項記載の意味を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、有機エレクトロルミッセンス素子のための電子的に活性な材料の調製用の合成構築ブロックとして使用することができる化合物に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として用いられる有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO1998/27136に記載されている。目下、ドナー-アクセプター置換ベンゼン誘導体、特に、アクセプター基が互いにメタ位にあるシアノ基であり、ドナー基がカルバゾール誘導体であるものが、この目的のために、用いられる。このような化合物の例は、C. Adachi et al., Nature 2012, 492, 234-238に記載されている。しかしながら、ここでは、対称的に置換された化合物の合成だけが記載されている。さらに、生成物のクロマトグラフ精製が必要であり、特に、工業的な規模での精製をより困難にした。したがって、そこから所望の電子的に活性な化合物を高収率および高純度で合成することができる入手可能な化合物を有することが望まれる。
【0003】
したがって、本発明の目的は、一方で、良好な収率と純度で材料を調製することができ、他方で、当業者に、OLEDの製造のための材料のより大きな可能性のある選択を可能とするために、有機エレクトロルミッセンス素子での使用のための電子的に活性な成分の調製用の製造のための合成中間体として適する化合物を提供することである。
【0004】
驚くべきことに、以下により詳細に説明されるある種の化合物がこの目的を達成し、OLEDでの使用のためのドナー-アクセプター置換材料の調製のために極めて高度に適することが、見出された。これらの化合物において、フッ素置換基を、求核芳香族置換において温和な反応条件下で求核剤により選択的に高収率で置き代えることができる。したがって、本発明は、これらの化合物に関する。
【0005】
本発明は、式(1)、式(2)または式(3)の化合物に関し;
【化1】
【0006】
式中、以下が使用される記号と添え字に適用され;
Lは、単結合または2,3,4,5もしくは6価基であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、Cl、Br、I、NAr、N(R(ここで、Rは、Hではない。)、C(=O)Ar、C(=O)R、BR、P(=O)Ar、PAr、OAr、SAr、S(=O)Ar、S(=O)Ar、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよく;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じN原子もしくはP原子に結合する2つの基Arは、単結合により、またはN(R)、C(R、O、SもしくはBRから選ばれるブリッジにより互いにブリッジされてもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(R、P(=O)(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造(さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、単環もしくは多環式の脂肪族環構造をたがいに形成してよく;
nは、0、1、2、3、4または5であり、ただし、nが0の場合にはLは存在せず、さらに、ただし、nが1以上の場合には、Lは、各場合に、基Rに代わりベンゼン骨格に結合し、それゆえに対応する基Rは存在せず:
ただし、以下の化合物は除外される。
【化2】
【0007】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個のC原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合(縮合環化)アリールもしくはヘテロアリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかの意味で使用される。たとえば、ビフェニル等の単結合により互いに結合する芳香族基は、逆にアリールもしくはヘテロアリール基ではなく、その代わり芳香族環構造とみなされる。
【0008】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、2〜60個の芳香族環原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、C、NあるいはO原子のような非芳香族単位により連結されていてもよい構造の意味で使用される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、短いアルキル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されことを意図している。
【0009】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、もしくはアルキル基もしくはアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するチオアルキル基は、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。一般的に本発明にしたがうアルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基は、直鎖ア、分岐あるいは環状であってよく、ここで、1以上の隣接しないCH基は、上記言及した基で置き代えられてよく、さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO、好ましくは、F、ClもしくはCN、特に、好ましくは、CNで置き代えられてよい。
【0010】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記言及した基Rもしくは炭化水素基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-もしくはtrans-インデノフルオレン、cis-もしくはtrans-インデノカルバゾール、cis-もしくはtrans-インドロカルバゾール、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスリオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0011】
本発明の1態様では、Rが、出現毎に同一であるか異なり、カルバゾールもしくは置換カルバゾールであり、各々窒素原子を介して骨格に結合する式(1)、(2)または(3)の化合物は、本発明から除外される。
【0012】
本発明の好ましい1態様では、nは、0、1、2または3、特に、好ましくは、0、1または2、非常に、特に、好ましくは、0または、1、特に、nは、0である。Lは、単結合、またはn=1に対して2価基、n=2に対して3価基等である。
【0013】
本発明のさらに好ましい1態様では、Lは、単結合、NR、BR、P(=O)R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキレンもしくはアルキリデン基(各場合に、一以上の基Rにより置換されてよく、ここで1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R)、C=O、-O-、-S-もしくはCONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Lは、特に、好ましくは、単結合、NR、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキレンもしくはアルキリデン基(ここで1以上の隣接しないCH基は、-O-で置き代えられてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。上記記載のとおり、nが0の場合にはLは存在せず、nが1以上の場合には、Lは、各場合に、基Rの1つに代わりベンゼン骨格に結合する。nが2である場合には、好ましい基Lは、さらに、N、BまたはP=Oであってよい。
【0014】
式(1)の化合物の好ましい態様は、n=0に対して、以下の式(1a)〜(1e)の化合物、nが1以上に対して、以下の式(1f)〜(1h)の化合物である。式(2)の化合物の好ましい態様は、n=0に対して、以下の式(2a)〜(2g)の化合物、nが1以上に対して、以下の式(2h)〜(1l)の化合物である。式(3)の化合物の好ましい態様は、nが1以上に対して、以下の式(3a)〜(3f)の化合物である。
【化3-1】
【化3-2】
【0015】
式中、RとLは、上記の意味を有する。モノマー構造、すなわち、式(1a)〜(1e)および式(2a)〜(2g)の構造においては、基Rは、好ましくは、HでもDでもない。
【0016】
上記言及したとおり、複数の隣接する基Rは、互いに環を形成し、それにより、たとえば、縮合ベンゾ基の形成を通じてナフタレンを全体として形成してもよい。好ましいのは、縮合脂肪族環の形成であり、ここで、環構造は、好ましくは、合計で5〜7個の環原子を有する。隣接基Rの環形成を通じて形成される好ましい縮合環構造は、さらに、以下の式(4)の構造であり
【化4】
【0017】
式中、Rは、上記意味を有し、破線の結合は、ベンゼン骨格への基の結合を示し、およびさらに、
Eは、C(R、NR、O、S、BRまたはSi(R、好ましくは、NR、OまたはSより成る基から選ばれる。
【0018】
式(4)の基を含む式(1)の好ましい態様は、以下の式(5a)および(5b)の化合物であり、式(4)の基を含む式(2)の好ましい態様は、以下の式(6a)および(6b)の化合物であり、
【化5】
【0019】
式中、使用される記号は、上記意味を有する。
【0020】
ここで、ここで、各場合に、n=0である構造だけが示される。完全に対応して、構造は、nが1以上である式(4)の単位を含んでもよい。
【0021】
好ましい基Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、NAr、C(=O)Ar、P(=O)Ar、PAr、Si(R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、2〜10個のC原子を有するアルケニル基(夫々1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、RC=CRまたはOで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよい。
【0022】
特に、好ましい基Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、NAr、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜8個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよい単環もしくは多環式の脂肪族、芳香族あるいは複素環式芳香族環構造を随意に形成してよい。
【0023】
好ましいArは、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する、特に、好ましくは、5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。ここで、Arは、好ましくは、2個を超える6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まない。特に、Arは、好ましくは、2個以上の6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まない。
【0024】
Rが、アルキル基である場合、このアルキル基はベンジル性プロトンを有さないこと、すなわち、水素原子は、ベンゼン環に直接結合する炭素原子に結合しないことが好ましい。これは、たとえば、tert-ブチル等の3級アルキル基の使用により達成される。
【0025】
Rが、Si(Rであるならば、この基中のRは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する、特に、好ましくは、1〜4個のC原子を有するアルキル基である。
【0026】
本発明の好ましい1態様では、少なくとも一つの基Rは、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造またはジアリールアミノ基NArである。
【0027】
Rが、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、これは、上記記載のとおり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を有する。好ましいより芳香族もしくは複素環式芳香基Rは、ベンゼン、ビフェニル、特に、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特に、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、クアテルフェニル、特に、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニル、1-,2-,3-もしくは4-スピロビフルオレン、1-,2-,3-もしくは4-フルオレン、1-もしくは2-ナフチル、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントレン、トリフェニレンまたは2もしくは3個のこれらの基の組み合わせから選ばれ、それぞれは、1以上の基Rにより置換されてよい。
【0028】
基Rが、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、化合物は、好ましくは、2個を超える6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まない。特に、Rは、2個以上の6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まないことが好ましい。式(1)、式(2)または式(3)の化合物またはその好ましい態様は、特に、好ましくは、基R、RもしくはRのいずれにおいても、6員環が互いに直接縮合した縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まない。
【0029】
適切で好ましい芳香族環構造Rは、以下の式(7)〜(14)の基であり
【化6】
【0030】
式中、使用される記号は、上記の意味を有し、は、式(7)〜(14)の基の結合位置を示す。
【0031】
適切な電子不足基Rは、以下の式(15)〜(18)の基であり、
【化7】
【0032】
式中、Rは、上記の意味を有し、は、式(15)〜(18)の基の結合位置を示し、およびさらに、
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ただし、2または3個の基Aは、Nであり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜16個の芳香族環原子を有する2価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
mは、0または1である。
【0033】
式(15)の好ましい基は、以下の式(15a)〜式(15g)の基であり、
【化8】
【0034】
式中、使用される記号は、上記の意味を有する。
【0035】
式(15a)中の基Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニルである。これらは、好ましくは、式(7)〜(14)中で上記示されるのと同じ構造を有し、ここで、基Rは、基Rの代わりに結合する。
【0036】
式(15b)〜(15g)中の基Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に、H、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニルである。これらは、好ましくは、式(7)〜(14)中で上記示されるのと同じ構造を有し、ここで、基Rは、基Rの代わりに結合する。
【0037】
さらに、好ましくは式(1)、(2)または(3)の化合物中の少なくとも一つの基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいトリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、インドール誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体もしくはジベンゾチオフェン誘導体から選ばれるか、または少なくとも一つの置換基Rは、-NArであり、ここで2個の基Arは、NR、O、S、C(R、Si(RもしくはBRから選ばれる基により互いにブリッジされてもよい。これらの基は、好ましくは、式(19)〜(33)の基から選ばれ、
【化9-1】
【化9-2】
【0038】
式中、使用される記号は、上記の意味を有し、およびさらに、
Gは、NR、OまたはSより成る基から選ばれる。
【0039】
さらに、好ましくは、上記言及した構造中の1または2個の基CRは、Nにより置き代えられてよい。
【0040】
上記言及した構造上の好ましい置換基Rは、H、CN、1〜10個のC原子を有するアルキル基(1以上の基Rにより置換されてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0041】
EがBRであるならば、Rは、好ましくは、1以上の基Rにより置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基である。H以外の置換基R、たとえば、アルキル基、CNまたはアリール基は、特に、好ましくは、アリールもしくはヘテロアリール基にホウ素原子への結合に対するオルト両位置で結合する。
【0042】
EがC(RもしくはSi(Rであるならば、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各々1以上の基Rにより置換されてよいアルキル基またはアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで2個以上のRは、互いに環構造を形成してもよい。
【0043】
EがNRであるならば、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各々1以上の基Rにより置換されてよいアルキル基またはアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで2個以上のRは、互いに環構造を形成してもよい。
【0044】
上記言及した好ましい態様は、所望のとおり、互いに組み合わされてよい。本発明の特に、好ましい1態様では、上記言及した選好が同時に生じる。
【0045】
上記態様にしたがう好ましい化合物の例は、以下の構造1〜246の化合物である。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【化10-7】
【化10-8】
【化10-9】
【化10-10】
【化10-11】
【化10-12】
【化10-13】
【化10-14】
【化10-15】
【化10-16】
【化10-17】
【化10-18】
【0046】
本発明の化合物は、たとえば、スキーム1と2で概説される合成経路により調製することができる。
【化11】
【0047】
スキーム1で示される合成は、2-フルオロ-メタ-キシレン誘導体から出発し、基Rは上記定義されるとおりである。置換基Rの正確な構造に応じて、ここで、保護基も必要である。適切な保護基は、有機合成の当業者に知られている。これらは、第1工程で酸化され、対応するイソフタール酸を得る。適切な酸化剤は、たとえば、過マンガン酸塩、クロム酸塩、ペルオキソ2硫酸塩、過硫酸塩(オキソン)、過塩素酸塩、塩素酸塩、過酸化水素もしくは酸素等の無機酸化剤、または過酸もしくは過カルボン酸等の有機酸化剤である。次工程では、カルボン酸基は、たとえば、塩化チオニル、塩化ホスホリルもしくは塩化オキサリル等の無機酸塩化物の作用により、随意に、DMF等の活性化剤の存在下、対応するカルボン酸塩化物に変換される。次工程では、カルボン酸塩化物は、アンモニアの作用によりカルボン酸アミドに変換される。これは、脱水され、たとえば、塩化チオニル、塩化ホスホリルもしくは塩化オキサリル等の無機酸塩化物の作用により、随意に、DMF等の活性化剤の存在下、脱水剤の作用によりニトリルを得る。
【0048】
同様の反応シークエンスを、6-フルオロ-メタ-キシレン誘導体から出発して、実施することもできる。
【0049】
Rが、Cl、Brもしくはヨウ素であるならば、化合物を、スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャ−ル-クロス、ヘック、ソノガシラ、ブッフバルト等のカップリングのような当業者に知られた、C-CもしくはC-Nカップリング反応により、さらに官能化することができる。最初にハロゲン官能基をボロン酸誘導体に変換することも可能である。これらのハロゲンもしくはボロン酸置換化合物は、これらの上記言及したカップリング反応を、対応する2置換、3置換等の基Lと共に実行することもできることから、対応する2量体、3量体等の構造、すなわち、nが1以上である式(1)、(2)および(3)の構造のための出発材料としても適している。
【化12】
【0050】
スキーム2で示される合成は、2-フルオロ-1,3-ジハロベンゼン誘導体から出発し、ここで、Halは、Cl、BrもしくはIであり、基Rは上記定義されるとおりである。置換基Rの正確な構造に応じて、ここで、保護基も必要である。適切な保護基は、有機合成の当業者に知られている。これらは、亜鉛と触媒の存在下、Zn(CN)と反応し、対応するシアノ化合物を得る。触媒として適切なものは、ホスフィンリガンドを有するパラジウム化合物、たとえば、XPhosをもつPd(OAc)である。
【0051】
同様の反応シークエンスを、6-フルオロ-1,3-ジハロベンゼン誘導体から出発して、実施することもできる。
【0052】
したがって、本発明は、さらに、以下の反応工程を含む、式(1)、(2)および(3)の化合物の製造方法に関する:
a)フルオロ-メタ-キシレンの酸化によりカルボン酸を得る工程、および
b)カルボン酸官能基のニトリル基への変換工程。
【0053】
したがって、本発明は、なおさらに、触媒の存在下、フルオロ-メタ-ジハロベンゼン誘導体とZn(CN)およびZnとの反応による、式(1)、(2)および(3)の化合物の製造方法に関する。
【0054】
本発明の化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子で用いることができる材料の合成中間体として適している。これらの化合物のフッ素置換基は、求核芳香族置換(SN2芳香族)における求核剤により選択的に置き代えることができる反応性脱離基である。
【0055】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物の求核芳香族置換反応における出発材料としての使用に関する。
【0056】
本発明は、なおさらに式(1)または式(2)または式(3)の化合物と求核剤との反応による式(34)、式(35)または式(36)の化合物の製造方法に関し、
【化13】
【0057】
式中、Nuは、求核基であり、使用されるその他の記号は、上記の意味を有する。
【0058】
この反応は、求核芳香族置換である、このタイプの反応は、当業者に知られ、当業者は、どの構造が求核剤であるかを承知している。
【0059】
本発明の製造方法の反応生成物である(34)、式(35)または式(36)の化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用のために適している。本発明の意味での電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子である。ここで、素子は、無機材料または完全に無機材料から構築される層を含んでもよい。
【0060】
本発明の化合物は、一以上の以下の驚くべく優位性により、先行技術とは区別される。
【0061】
1.本発明の化合物は、求核芳香族置換反応において、温和な反応条件下で高収率で高選択的に反応することができる。ここで、反応生成物は、極めて高い純度で精製され、常に材料の損失に関連する複雑な精製を不必要とするか、少なくとも僅かな程度でだけ必要とする。特に、材料のクロマトグラフ精製は必要ではない。
【0062】
2.本発明の化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子で用いることができる材料の合成のための価値ある前駆体である。
【0063】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。当業者は、開示された範囲の全般にわたって本発明を実施するために説明を使用することができ、発明性を要することなく、本発明の化合物をさらに製造し、電子素子にそれらを使用し、本発明の製造法を使用することができよう。
【0064】
例:
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。溶媒及び試薬を、たとえば、Sigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。個々の化合物に対して示されている角括弧中のそれぞれの番号は、文献から公知ではあるが、市場で入手可能ではない化合物のCAS番号に関連する。
【0065】
A:合成:
例S1:5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル、S1
【化14】
【0066】
a)S1a:5-ブロモ-2-フルオロイソフタール酸、S1a
【化15】
【0067】
H. G. Menzella, J. Med. Chem., 2009, 52 (6), 1518に類似の手順。
【0068】
663.8g(4.2モル)の過マンガン酸カリウムを、激しく撹拌しながら、90℃に温められた、203.1g(1モル)の5-ブロモ-2-フルオロ-m-キシレン[99725-44-7]と2000mlの水との混合物へ、スプーンで添加する(注意:僅かに発熱反応)。添加が完了したとき、反応混合物を還流下で、さらに12時間撹拌する。混合物を70℃まで冷ましておき、形成された二酸化マンガンをセライト層を通して、吸引濾過し、各回、300mlの温水で二度濯ぎ、撹拌しながら300mlの濃HClを用いて酸性にする。水相を冷ましておき、沈殿した生成物を次いで、吸引濾過し、各回、300mlの水で三度濯ぎ、次いで、真空で乾燥させる。収率:205.7g(782ミリモル)、78%。純度:H−NMRによると約98%。
【0069】
以下の化合物を同じように調製する:
【化16-1】
【化16-2】
【0070】
b)S1b:5-ブロモ-2-フルオロイソフタロイルクロリド、S1b
【化17】
【0071】
W. P. Heilmann, J. Med. Chem., 1978, 21 (9), 906に類似の手順。
【0072】
20滴のDMFを、撹拌しながら、131.5g(500ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタール酸(S1a)と、500mlの塩化チオニルとの混合物へ添加し、その混合物を次いで、70℃までゆっくりと温める。HClの発生が完了したとき、混合物をさらに4時間撹拌し、余分な塩化チオニルを次いで、残留物が凝固して淡黄色の結晶塊が得られるまで、蒸留させる。さらに精製することなく、酸塩化物を使用する。収率:定量的。純度:H−NMRによると約98%。
【0073】
以下の化合物を同じように調製する:
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【0074】
c)S1c:5-ブロモ-2-フルオロイソフタルアミド、S1c
【化19】
【0075】
W. P. Heilmann, J. Med. Chem., 1978, 21 (9), 906に類似の手順。
【0076】
300mlのジオキサン中の150.0g(500ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタロイルクロリド(S1b)の溶液を、温度が50℃を超えないように氷冷しながら激しく撹拌した300mlの濃水酸化アンモニウムと800mlのジオキサンとの混合物へ滴下する。発熱反応が完了したとき、冷却槽を移動し、混合物を内部温度が25℃に到達するまでさらに撹拌し、沈殿した固形物を吸引濾過し、200mlの水で三度洗浄し、次いで真空で乾燥させる。収率:87.5g(335ミリモル)67%。純度:H−NMRによると約98%。
【0077】
以下の化合物を同じように調製する:
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【0078】
d)S1:5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル、S1
【化21】
【0079】
W. P. Heilmann, J. Med. Chem., 1978, 21 (9), 906に類似の手順。
【0080】
65.3g(250ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタールアミド(S1c)と、142ml(1.5モル)の塩化ホスホリルと、10滴のDMFとの混合物を、激しく撹拌しながら、ゆっくりと90℃まで加熱する。HClの発生が完了したとき、反応混合物を冷まし、次いで、5kgの氷と1000mlの水との混合物中へと注ぐ。沈殿した生成物を濾過し、各回、200mlの水で三度洗浄し、真空で乾燥させる。クロロベンゼンからの再結晶化により、精製を行う。収率:49.5g(220ミリモル)88%。純度:H−NMRによると約98%。
【0081】
以下の化合物を同じように調製する:
【化22-1】
【化22-2】
【0082】
S10:5-フェニル-2-フルオロイソフタロニトリル、S10
【化23】
【0083】
変形例A:
22.5g(100ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)と、14.6g(120ミリモル)のフェニルボロン酸[98-80-6]と、42.5g(200ミリモル)のリン酸三カリウムと、1.8g(6ミリモル)のトリ-o-トリホスフィンと、224mg(1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、200mlのトルエンと、50mlのジオキサンと、200mlの水との混合物を、5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)が消費されるまで(約6時間)還流下で加熱する。冷却後、水相を分離させ、有機相をセライトベッドを通して濾過してパラジウムを除去し、濾過物を各回、200mlの水で三度と、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させる。溶媒の除去後に得られた残留物を、DMFから二度、再結晶化させる。収率:15.1g(68ミリモル)68%。純度:H−NMRによると約99%。
【0084】
変形例B:
22.5g(100ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)と、14.6g(120ミリモル)のフェニルボロン酸と、17.5g(300ミリモル)のフッ化カリウム、無水物と、263mg(1.3ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、224mg(1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、250mlのTHFとの混合物を、5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)が消費されるまで(約2時間)還流下で加熱する。冷却後、混合物をセライトベッドを通して濾過し、200mlのTHFで濯いで塩とパラジウムとを除去する。濾過物を蒸発乾固させ、残留物を200mlの水/EtOH(1:1、vv)の混合物と共に撹拌することにより洗浄し、固形物を吸引濾過し、各回、100mlのエタノールで三度洗浄し、真空で乾燥させる。このようにして得られた固形物をDMFから二度、再結晶化させる。収率:16.9g(76ミリモル)76%。純度:H−NMRによると約99%。反復する再結晶化またはクロマトグラフによって、および真空での分別昇華によって、さらに精製を行うことができる。
【0085】
以下の化合物を同じように調製する:
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【化24-4】
【化24-5】
【化24-6】
【化24-7】
【化24-8】
【化24-9】
【0086】
S49:5-(N-ジフェニルアミノ)-2-フルオロイソフタロニトリル、S49
【化25】
【0087】
22.5g(100ミリモル)の5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)と、20.3g(120ミリモル)のジフェニルアミンと、11.5g(120ミリモル)のナトリウム-tert-ブトキシドと、405mg(2ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、224mg(1モル)の酢酸パラジウム(II)と、300mlのトルエンとの混合物を、5-ブロモ-2-フルオロイソフタロニトリル(S1)が消費されるまで(約8時間)還流下で加熱する。冷却後、100mlの水を添加し、沈殿した固形物を吸引濾過し、各回、50mlのエタノールで三度洗浄し、真空で乾燥させる。このようにして得られた固形物を300mlのジクロロメタン中に溶解させ、溶液をセライトベッドを通して濾過して塩およびパラジウムを除去する。濾過物の蒸発後に得られた残留物を、ジオキサン/EtOHから二度、再結晶化させる。収率:22.9g(73ミリモル)73%。純度:H−NMRによると約99%。反復する再結晶化またはクロマトグラフィによって、および真空での分別昇華によって、さらに精製を行うことができる。
【0088】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化26-1】
【化26-2】
【化26-3】
【化26-4】
【化26-5】
【0089】
例S68:芳香族求核置換における合成構築ブロックの反応
【化27】
【0090】
変形例A:
20.1g(120ミリモル)のカルバゾール[51555-21-6]を、200mlのTHF中で、鉱油中60重量%で分散させた、4.8g(120ミリモル)の水酸化ナトリウムの激しく撹拌した懸濁液に対して、氷冷しながら、約+10℃にて、小分けして、添加する−注意!水素の発生!起泡!。添加が完了したとき、混合物をさらに30分間撹拌し、20.2g(100ミリモル)を、2-フルオロ-5-tert-ブチルイソフタロニトリル(S6)と共に、次いで、温度が+20℃を超えない速度で氷冷しながら、小分けして添加する。添加が完了したとき、混合物を+10℃でさらに2時間撹拌し、その後、冷却槽を移動し、混合物を20−25℃に温めておき、さらに2時間撹拌し、次いで、40℃でさらに12時間温める。室温まで冷ました後、混合物を30mlのMeOHを滴下することによりクエンチし、次いで、反応混合物を真空中で、実質的に蒸発乾固させる。残留物を、100mlのメタノールと100mlの水との混合物で二度、次いで200mlのメタノールで一度、上昇温度で撹拌することにより洗浄する。DMFからの五度の再結晶化と、二度の分別昇華により精製を行う(p約1×10−5ミリバール、T約180℃)。収率:23.1g(66ミリモル)66%。純度:H−NMRによると約99.9。
【0091】
変形例B:
変形例Aと類似の手順であるが、カルバゾールを最初にTHFに入れ、次いで、n−ヘキサン中、2.5モルの48ml(120ミリモル)のn−BuLiを滴下する。収率:20.6g(59ミリモル)59%。純度:H−NMRによると約99.9。
【0092】
変形例C:
20.1g(120ミリモル)のカルバゾール[51555-21-6]を、20.2g(100ミリモル)の2-フルオロ-5-tert-ブチルイソフタロニトリル(S6)と、31.8g(150ミリモル)のリン酸三カリウム、無水物と、100gのガラスビーズと共に激しく撹拌した懸濁液を、300mlのジメチルアセトアミド中で160℃で16時間、撹拌する。冷却後、500mlの水を添加し、沈殿した固形物を吸引濾過し、各回、100mlの水で二度、各回、100mlのメタノールで二度、洗浄し、次いで真空で乾燥させる。変形例Aと同じように、さらに精製する。収率:22.0g(63ミリモル)63%。純度:H−NMRによると約99.9。
【0093】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化28-1】
【化28-2】
【化28-3】
【0094】
例S76:クロロフルオロ芳香族化合物のパラジウム触媒シアノ化
【化29】
【0095】
M. Shevlin, Tetrahedron Letters, 2010, 51, 4833に類似の手順。
【0096】
触媒溶液:
28mlのN,N-ジメチルアセトアミド中の2.81gの濃硫酸の3mlの混合物を、60mlのN,N-ジメチルアセトアミド中の、2.73g(5.7ミリモル)のX−Phosと643mg(2.9ミリモル)の酢酸パラジウム(II)の溶液に添加し、混合物を80℃で30分間撹拌し、その期間に暗茶色の溶液が形成される。
【0097】
1mlの触媒溶液を、23.6g(143ミリモル)の1,3-ジクロロ-2-フルオロベンゼン[2268-05-5]と、20.2g(172ミリモル)のシアン化亜鉛(II)と、750mg(11.5ミリモル)の亜鉛末と、280mlのN,N-ジメチルアセトアミドとの激しく撹拌した混合物へ添加し、その混合物を120℃で3時間、撹拌する。反応が完了したとき、溶媒を実質的に真空で除去し、残留物を500mlの酢酸エチルに取込み、残された塩を濾過し、濾過物を300mlの水で三度、300mlの塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させる。溶媒の除去後に残された残留物はシクロヘキサンから、二度、再結晶化される。収率:15.8g(109ミリモル)76%。純度:H−NMRによると約97%。
【0098】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化30】