(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の酢酸塩、アンモニアまたは有機塩基の中から選択される有機塩基または無機塩基の存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
pHが2〜10の範囲で、任意に塩基の存在下で、水相および有機相からなる少なくとも二相の混合物中で、20℃において0〜30g/lの水溶解性を有するキノンまたはカルボニル化合物と、ヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩とから始まる、オキシムまたはオキシムO−メチルエーテルの製造における、リン酸エステルの使用であって、前記リン酸エステルが、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸、ジ−n−ブチルリン酸、モノ−n−ブチルリン酸およびモノオレイルリン酸からなる群から選択される、前記使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水難溶性カルボニル化合物と、ヒドロキシルアミン塩もしくはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩またはヒドロキシルアミンの遊離塩基とを、特定のリン酸エステルまたはその塩の存在下で反応させることによる、特定のオキシムおよびオキシムO−メチルエーテルの改善された製造方法に関する。
【0002】
オキシムおよびオキシムO−メチルエーテルの製造方法は公知である(例えば、Houben Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Vol. E14b, pp. 287-384, 1990, Patai Series, The Chemistry of Hydroxylamines, Oximes and Hydroxamic Acids, pp. 163-231, Wiley 2009参照)。公知の代表的なオキシム物質類はシクロヘキサノンオキシムであり、これはポリアミド製造の前駆体である。オキシムおよびオキシムエーテルは、例えば、植物保護剤および医薬品の有効成分の製造における中間体として重要な役割を担っている。
【0003】
オキシムおよびオキシムO−メチルエーテルは、多くの場合、カルボニル化合物とヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミンO−メチルエーテルとを反応させることによって製造される。ヒドロキシルアミンは、もし遊離塩基として使用するのであれば、通常は50%水溶液として市販されている。遊離塩基は非常に反応性が高く、そのため技術的に取り扱いが難しい。反応において、特に工業規模では、ヒドロキシルアミン塩およびヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩はともにより簡単に取り扱うことができ、さらに、大幅に費用効率が高い。公知の塩は、ヒドロキシルアンモニウムの硫酸塩および塩化物、ならびにヒドロキシルアミンO−メチルエーテルの塩酸塩である。工業的な反応においては、例えば固体または水溶液として使用することができることから、取り扱いが容易な使いやすい出発物質を使用することが常に有利である。
【0004】
カルボニル化合物と、ヒドロキシルアミン塩もしくはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩またはヒドロキシルアミンの遊離塩基との反応においては、ヒドロキシルアミンおよびその塩の特性に起因して、強い極性溶媒を使用しなければならない。使用される溶媒としては水、アルコールまたはアルコール/水混合物、ピリジンまたはDMSOが挙げられる(Houben Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Vol. X/4, 1968, pp. 55-91, Chem. Ind. 240, 1969参照)。このような溶媒を使用する場合でも、特定の安価なヒドロキシルアンモニウム硫酸塩は、特に水への溶解性が非常に低いカルボニル化合物を使用する場合には、これらの条件下では十分に反応しないことが多く、そのため、合成する場合には通常ヒドロキシルアンモニウム塩化物が使用される。さらに、極性溶媒を使用した反応の後、通常、所望の生成物に加えて当量の塩、強極性溶媒および任意に水を含む複合反応混合物が生成する。このような反応混合物は、一般的にさらなる工程に供するには適していない。しかしながら、塩水溶液が分離および処理される前に、例えば蒸留によって、極性溶媒を完全に除去しなければならないことから、このような反応混合物を完成させるのは、特に工業的製造においては複雑であり高価である。有機溶媒を含まないが、相間移動触媒として長鎖パーフルオロ化カルボン酸が添加された水における製造工程は、Russian Journal of Applied Chemistry, Vol. 75, 511, 2002に記載されている。この製造方法の不利な点は、高価なパーフルオロ化化合物を使用すること、および、反応条件下で液体であるカルボニル化合物に使用が限定されることにある。
【0005】
今回、少なくとも2つの液体相(少なくとも1つの二相系)の混合物であって、所望のオキシムまたは所望のオキシムO−メチルエーテルが高い化学収率および高い転換率で製造され得る混合物中で反応が行われる、改善された方法によって先行技術の不利な点が解消された。特に、本発明の方法によれば、原理上、すべての水難溶性カルボニル化合物(具体的にはアルデヒド、ケトンおよびキノン)とヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩とを良好に反応させることができる。
【0006】
本発明は、式(Va)のオキシムまたは式(Vb)のオキシムO−メチルエーテル
【化1】
[式中、
R
3は、C
1−C
12−アルキル、C
3−C
12−シクロアルキル、C
2−C
20−アルケニル、C
6−C
14−アリール、C
1−C
6−アルキルアリール、5〜10員ヘテロ環およびC
1−C
6−アルキルヘタリールであり、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基またはヘテロ環基またはアルキルヘタリール基は、ハロゲン、CN、NO
2、C
1−C
6−アルキル、C
1−C
6−ハロアルキル、−OH、−OR、−COOR、=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSO、RSO
2、−OAr、カルボニル、=NOHの中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく;
R
4は、ハロゲン、C
1−C
18−アルキル、C
3−C
12−シクロアルキル、C
6−C
14−アリール、C
1−C
6−アルキルアリール、COOR、CONH
2、CONHR、CONRR’であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または基RもしくはR’は、ハロゲン、CN、NO
2、C
1−C
6−アルキル、C
1−C
6−ハロアルキル、OH、OR、COOR、C=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSO、RSO
2、OAr、カルボニル、=N−OHの中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、かつ、
RおよびR’は、互いに独立して、非置換または置換C
1−C
6−アルキルであり;
または、
R
3およびR
4は、一緒になって、3〜10個の炭素原子を有する非置換もしくは置換シクロアルキル基、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたは単環もしくは二環テルペン、または、置換または非置換の5〜10員ヘテロ環を形成する]
の製造方法であって、
キノンまたは式(II)のカルボニル化合物
【化2】
[式中、基R
3およびR
4は、上記で規定した通りであり、化合物(II)は、20℃において、0〜30g/l、好ましくは0〜20g/lの水溶解性を有する]
と、
式(III)のヒドロキシルアミンの遊離塩基、またはヒドロキシルアミン塩もしくは式(IV)のヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩
【化3】
[式中、
R
5は水素であり、
R’
5は、水素またはメチルであり、
B
−は、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および酢酸塩の中から選択されるアニオンである]
とを、一般式(I)のリン酸エステルまたはその塩
【化4】
[式中、
XはOHであり、かつ、
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
20−アルケニル、C
3−C
12−シクロアルキル、フェニルまたはC
1−C
6−アルキルフェニルであり、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基は、それぞれについて、ハロゲン、CNおよびNO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、フェニル基は、C
1−C
6−アルキルおよび/またはC
1−C
6−ハロアルキルで、さらに一または多置換されていてよい]
の存在下で、水相および有機相からなる少なくとも二相の混合物中で反応させることを含み、前記反応中の水相のpH(室温)が2〜10の範囲である方法を提供する。
【0007】
反応は、pHが2〜10の範囲、好ましくは3〜8の範囲において達成され、前記反応は、任意に塩基の存在下で、少なくとも二相の混合物中で行われ、前記少なくとも二相の混合物は水相および有機相からなり、かつ、前記有機相は、本発明により使用され得る溶媒または溶媒混合物からなる。有機相は反応物、すなわちカルボニル化合物により形成されていてもよい。
【0008】
本発明はまた、pH(室温)が2〜10の範囲で、任意に塩基の存在下で、水相および有機相からなる少なくとも二相の混合物中で、20℃において0〜30g/lの水溶解性を有するキノンまたはカルボニル化合物と、ヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩とから始まる、オキシムおよびオキシムO−メチルエーテルの製造における、一般式(I)のリン酸エステル
【化5】
[式中、
XはOHであり、
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
20−アルケニル、C
3−C
12−シクロアルキル、フェニルまたはC
1−C
6−アルキルフェニルであり、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基は、それぞれについて、ハロゲン、CNおよびNO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、フェニル基は、C
1−C
6−アルキルおよび/またはC
1−C
6−ハロアルキルで、さらに一または多置換されていてよい]
の使用に関する。
【0009】
本発明の方法においては、好ましくは一般式(I)のリン酸エステルおよびまたその塩
【化6】
[式中、
XはOHであり;かつ、
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素、C
1−C
18−アルキル、C
2−C
20−アルケニル、C
3−C
12−シクロアルキル、フェニルまたはC
1−C
6−アルキルフェニルであり、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基は、それぞれについて、F、Cl、Br、I、CN、NO
2から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、フェニルは、メチル、エチル、プロピルまたはブチル、および/または、CF
3、CH
2F、CHF
2、CH
2CF
3またはCH
2−CHF
2で、さらに一または多置換されていてよい]
が用いられ、リン酸エステルはモノまたはジエステルであってもよい。
【0010】
式(I)のリン酸エステル
【化7】
[式中、
XはOHであり;かつ、
R
1およびR
2は、互いに独立して、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルまたは9−オクタデセニルである]
が特に好ましい。
【0011】
基R
1およびR
2は、使用される溶媒中、または、溶媒が存在しない場合には関連する反応物中で、リン酸エステルが十分に溶解性となるものが選択される。
【0012】
基R
1およびR
2は、好ましくはエチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルおよび9−オクタデセニルである。
【0013】
式(I)のリン酸エステルは、特に好ましくはジ(2−エチルヘキシル)リン酸、ジ−n−ブチルリン酸、モノ−n−ブチルリン酸またはモノオレイルリン酸であり、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸が非常に好ましい。
【0014】
本明細書において、用語「リン酸エステル」を使用する場合は、リン酸のモノまたはジエステルおよびその塩を包含する。
【0015】
XがOHである式(I)のリン酸エステルの塩は、ヒドロキシル基が脱プロトン化し、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはホウ素−アルミニウム族の金属(いわゆる土類金属)が対イオン(例えば、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+およびAl
3+)として存在する塩を意味すると理解される。本発明において、XがOHである式(I)の化合物が塩として用いられるか、または脱イオン化形態で用いられるかは重要ではない。式(I)のリン酸エステルの異なる塩の混合物もまた使用することができる。
【0016】
本発明の方法によれば、式(I)のリン酸エステルは、カルボニル化合物に対して、具体的には式(II)のカルボニル化合物またはキノンに対して、0.05mol%または0.01mol%〜10mol%の範囲、好ましくは0.05mol%または0.01mol%〜5mol%の範囲の量、特に好ましくは0.05mol%または0.01mol%〜2mol%の範囲の量で使用される。
【0017】
水に難溶性のカルボニル化合物とヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩との反応において、リン酸エステルは反応媒介物質およびカチオン捕捉剤として機能する。リン酸ジエステルは公知の化合物であり、特に代表的なものは金属抽出剤として一般的に使用されている(Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry,
36, 189, 1974)。公知の代表的なものは、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸およびジ−n−ブチルリン酸である。
【0018】
式(II)のアルデヒド、ケトン、およびキノンを本発明の方法において使用し得る。これらのカルボニル化合物の誘導体、例えば、水和物、硫酸水素塩付加化合物、アセタール、イミンおよびチオケトンおよびエナミンも、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミンO−メチルエーテルと所望の反応をして、オキシムまたはオキシムO−メチルエーテルを生成することから、本発明のカルボニル化合物に包含される。同様に、カルボニル化合物の前駆体としてのジェミナル(geminal)なジハロ化合物も、本発明の方法の一部である。この場合、ハロゲンは塩素または臭素であり得る。
【0019】
本発明の方法において、式(II)の有機カルボニル化合物またはキノンが使用され得、これらは20℃で0〜30g/lの水溶解性を有する。20℃で0〜20g/l、特に好ましくは0〜10g/l、非常に好ましくは0〜3g/lの水溶解性を有する化合物(II)またはキノンが好ましい。
【0020】
従って、本発明において用いられる化合物(II)またはキノンは水に対して難溶解性または不溶性である。式(II)の化合物で、式中、
R
3が、C
1−C
12−アルキル、C
3−C
12−シクロアルキル、C
2−C
12−アルケニル、C
6−C
12−アリール、C
1−C
6−アルキルアリール、5〜6員ヘテロ環およびC
1−C
4−アルキルヘタリールであり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ヘテロ環基またはアルキルヘタリール基は、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、メチル、エチル、プロピル、ブチル、CF
3、CH
2F、CHF
2、CH
2CF
3、CH
2−CHF
2、CHCl
2、−OH、−OR、−OAr、カルボニル、COOR、=NOH、=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSO、RSO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、かつ、
R
4が、水素、C
1−C
12−アルキル、C
3−C
12−シクロアルキル、C
6−C
12−アリール、C
1−C
6−アルキルアリール、COOR、CONH
2、CONHR、CONRR’であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または基RもしくはR’が、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、メチル、エチル、プロピル、ブチル、CF
3、CH
2F、CHF
2、CH
2CF
3、CH
2−CHF
2、CHCl
2、OH、OR、OAr、カルボニル、COOR、=N−OH、=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSO、RSO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、かつ、
RおよびR’が、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチルである
ことが好ましい。
【0021】
式(II)の化合物で、式中、
R
3が、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、フラン、チオフェン、ピリミジン、オキサゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、キノリンであり、これらが、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、メチル、エチル、プロピル、ブチル、CF
3、CH
2F、CHF
2、CH
2CF
3、CH
2−CHF
2、OH、OR、COOR、=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSOまたはRSO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく;
R
4が、水素、C
1−C
12−アルキル、C
3−C
12−シクロアルキル、フェニル、C
1−C
6−アルキルフェニル、COOR、CONH
2、CONHR、CONRR’であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、フェニルアルキル基、または基RもしくはR’は、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、メチル、エチル、プロピル、ブチル、CF
3、CH
2F、CHF
2、CH
2CF
3、CH
2−CHF
2、OH、OR、COOR、=N−OR、CONH
2、CONHR、CONRR’、SR、RSO、RSO
2の中から選択される1または複数の置換基により置換されていてもよく、かつ、
RおよびR’が、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチルである
ことが特に好ましい。
【0022】
同様に、式(II)の化合物で、式中、
R
3およびR
4が、一緒になって、炭素原子を3〜10個有する非置換または置換シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたは単環もしくは二環テルペン、または、置換または非置換の5〜10員ヘテロ環を形成することが好ましい。特に好ましくは、例えば、4−メチルアセトフェノン、3−トリフルオロメチルアセトフェノンまたは2,2−ジクロロ−4−メチルアセトフェノン、α,α−ジクロロアセトフェノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、ベンゾフラン−3−オン、4−t−ブチルシクロヘキサノンまたはDL−カンファーまたはベンゾキノンである。
【0023】
4−メチルアセトフェノン、3−トリフルオロメチルアセトフェノン、α,α−ジクロロアセトフェノン、ベンゾフラン−3−オン、3,3−ジメチル−2−ブタノンまたはDL−カンファーなどの式(II)の化合物が特により好ましい。
【0024】
本発明において好適な式(IV)のヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩は、それらの塩化物、硫酸塩または酢酸塩である。他の鉱酸により形成される他の塩もまた好適であり選択され得る。ヒドロキシルアンモニウム硫酸塩、ヒドロキシルアンモニウム塩化物およびこれらのO−メチルエーテルが本発明において好ましい。
【0025】
ヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩が使用される場合、反応により遊離する酸が、塩基(アルカリ土類水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、アンモニアまたはアミンなどの有機または無機塩)を添加することにより捕捉される。本発明においては、NaOHまたはKOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウムが好ましい。特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸水素塩または酢酸塩を塩基として用いる場合には、使用される塩基の量は様々であってよい。ヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩に対して、具体的には、式(IV)のヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩に対して0.5〜1.2当量の量で塩基を用いることが有利であることが見出されている。塩基は、純粋な物質として、または溶液として、好ましくは水溶液として等量で用いられ得る。
【0026】
本発明の方法によれば、非常に効率的かつ経済的な方法により、ベースとなるカルボニル化合物、具体的には式(II)のカルボニル化合物またはキノンから、オキシムおよびオキシムO−メチルエーテルを製造することができる。
【0027】
本発明により製造される式(Va)および(Vb)の化合物は、可能性のある異なる異性体、特に立体異性体、例えばEおよびZ異性体、トレオおよびエリトロ異性体ならびに光学異性体、もし適切な場合には互変異性体の混合物として存在してもよい。EおよびZ異性体はともに本出願に包含され、トレオおよびエリトロ異性体、ならびに光学異性体もまた同様に包含され、これらの異性体の混合物、および可能性のある互変異性体もまた包含される。
【0028】
本発明において、反応中のpHを適切に調節することが、式(I)の化合物の活性を確保するために重要である。ヒドロキシルアミン塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩が使用される場合、反応により遊離する酸は塩基を添加することにより捕捉される。ヒドロキシルアンモニウムの弱酸塩またはヒドロキシルアミンO−メチルエーテルの弱酸塩、すなわち、B
−が弱塩基、例えば酢酸塩のアニオンである式(IV)の化合物が使用される場合、後者は適切ではない。その結果、塩の添加は省略してもよい。
【0029】
本発明の反応において用いられ得る無機または有機塩基は、工業的に容易に入手可能であり安価である。特に好適なものは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、単案水素カリウム)、アルカリ金属の酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウム)、アンモニア、または有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン)である。NaOHまたはKOH、ナトリウムおよびカリウムの炭酸塩、炭酸水素塩および酢酸塩が本発明において好ましい。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを水溶液として用いることが好ましい。
【0030】
反応中の水相のpHが所望の範囲に維持される場合、塩基は常に添加される。
【0031】
本発明の反応において、一般的な溶媒のほとんど(例えば、脂肪族および脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エステル、アルコール、エーテルおよびニトリル)を使用することができ、それによって、工業的な方法において、後続する反応が他の溶媒を用いて行われる場合であっても、面倒な溶媒の変更をする必要がない。溶媒を選択する上で重要なことは、溶媒および水が、適用される反応条件において適度に大きな溶解度ギャップを有していることである。
【0032】
本発明の反応は、2つの溶液相、すなわち水相および有機相からなる少なくとも二相系において行われる。水相は原則的にヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミンO−メチルエーテルおよび/またはこれらの塩を含み、塩が反応物中に存在する場合には、中和反応の生成物としてさらなる塩を任意に含む。
【0033】
本発明において想定される水相は、式(III)または(IV)の化合物の水溶液を用いて、および/または、水溶液の形態の塩を用いて、および/または、水を添加することによって生成する。この場合、有機相に加えて、均一な水溶液が存在することは必ずしも必要としない。2つの液相および1つの固相の混合物も同様に用いることができ、本発明の方法の一部である。従って、水相の割合は広い範囲で様々であってよい。通常、この割合は、撹拌性などの、このような混合物の工業上の実現可能性によって導かれる。
【0034】
反応および/または反応物質中に任意に存在する溶媒、すなわち、式(II)のカルボニル化合物もしくはキノン、または生成物(式(Va)もしくは(Vb)の化合物)は有機相を形成する。式(Va)、(Vb)および(II)の化合物自体が反応条件下で液体有機相を形成する場合、有機溶媒の添加は省略してもよい。
【0035】
本発明における溶媒は、カルボニル化合物および式(Va)または(Vb)の生成物が容易に溶解できるようなものが選択される。使用可能な有機溶媒は、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソデカン、イソドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−プロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(メチルt−ブチルエーテル)、ジ−n−ブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピオニトリル、ブチロニトリルである。好ましい溶媒は、メチルシクロヘキサン、トルエン、酢酸n−ブチルt−ブチルメチルエーテル(メチルt−ブチルエーテル)、石油エーテル、リグロインおよびベンジンである。使用される溶媒の量はとても広い範囲で様々であってよく、カルボニル化合物および式(Va)または(Vb)の生成物の溶解度に応じて決められる。
【0036】
好ましい溶媒は、メチルシクロヘキサン、トルエン、酢酸n−ブチル、ブタノールまたはメチルtert−ブチルエーテルである。
【0037】
式(III)または(IV)の化合物は、好ましくは水溶液中に添加される。
【0038】
本発明の方法における反応温度は、各反応混合物中の式(II)のカルボニル化合物またはキノンの反応性に応じて決められる。反応温度は、0℃〜200℃または0℃〜160℃の範囲である。反応温度は、好ましくは20℃〜150℃の範囲であり、特に好ましくは40℃〜120℃の範囲である。特に、反応は、0℃〜160℃の範囲の反応温度で行われ;反応温度は、好ましくは30℃〜120℃の範囲であり、非常に好ましくは40℃〜100℃の範囲である。
【0039】
本発明の方法が105℃よりも高い温度で行われる場合、加圧手順が特定の態様において本発明の方法の一部となる。
【0040】
例えば、20mol%を超えるような若干の超過は完全な変換にとって有利であるかもしれないが、使用される式(III)および(IV)の化合物の量は、有利には化学量論要件に近接して維持される。経済的であるとは言えないが、より大きく超過して使用することは何らの不利もなく可能である。
【0041】
式(IV)の化合物は、固体としてまたは水溶液として、同様の方法により使用し得る。水溶液が使用される場合、2〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜50重量%の広い濃度範囲で変更し得る。
【0042】
本発明の方法の1つの構成[A]において、式(II)のカルボニル化合物またはキノンは、式(III)または(IV)の化合物、溶媒、水、式(I)のリン酸エステル、および任意に塩基とともに充填され、反応温度に供される。このような手順は、連続プロセスおよびバッチ式プロセスの変形の両方において行うことができる。
【0043】
本発明の方法の1つの構成[B]において、式(II)のカルボニル化合物またはキノンは、溶媒、水および式(I)のリン酸エステルとともに充填され、式(III)または(IV)の化合物、および任意に塩基が所望の反応条件下で添加される。
【0044】
本発明の方法の1つの構成[C]において、式(III)または(IV)の化合物は、溶媒、水および式(I)のリン酸エステルとともに充填され、式(II)の化合物またはキノン、および任意に塩基が反応条件下で添加される。
【0045】
本発明の方法の1つの構成[D]において、式(III)および/または(IV)の化合物は、溶媒、水、式(I)のリン酸エステル、および任意に塩基とともに充填され、式(II)の化合物またはキノンが添加される。
【0046】
[A]〜[D]のいずれの構成を使用するかは、物質の特性や、方法の操作安全性などの要素により決定される。好ましい方法の構成は、方法が進行しているときの反応熱の安定的な除去を確保し得るものであり、それは1つの反応成分を充填して他の反応成分を添加するか、またはすべての反応成分を並行して添加することにより可能となる。
【0047】
本発明の方法を以下の実施例において説明するが、本発明の方法が実施例に限定されることを意図しない。
【0048】
実施例における反応混合物は、HPLCまたはGCの領域%により解析した。
【0049】
HPLC法:カラム Kinetex 2.6u C18 100A
温度 50℃
溶離液 水/0.1% H
3PO
4(90%)、CH
3CN(10%)
波長 220nm
【0050】
GC法:カラム DB1/DB−1701
長さ、ID、フィルム 10m、0.1mm、0.1μm
注入器 スプリット/スプリット比1:50
定流量;流速0.45ml/分
温度250℃、注入量0.2μl
移動相 水素
検出器 FID−温度320℃
オーブン温度プログラム 50℃〜320℃(30K/分)
【実施例】
【0051】
実施例1
50gのメチルシクロヘキサン、75.1gのヒドロキシルアンモニウム硫酸塩の40%水溶液(分子量164.14に基づいて0.183mol)および0.6g(0.002mol)のジ(2−エチルヘキシル)リン酸(95%)を、ヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える250mlのガラス反応器に充填し、混合物を70℃まで加熱した。この温度で激しく撹拌しながら、47g(0.33mol)の4−メチルアセトフェノン(95%)を30分間にわたって、43.7g(0.35mol)の水酸化ナトリウム水溶液(32%)を20分間にわたって、定量ポンプを用いて一様に添加した。水酸化ナトリウム水溶液の添加が完了した後のpHは6.5であった。反応混合物を、70℃で60分間さらに撹拌した。その後、撹拌機を停止し、有機相を分離してHPLC(カラム:Kinetex 2.6u C18 100A、50℃、H
2O/CH
3CN、220nm)により解析した。
結果: 4−メチルアセトフェノン:0.2%(HPLCピーク領域)
4−メチルアセトフェノンオキシム、EおよびZ異性体の合計:
98.8%(HPLCピーク領域)
水相における反応物および生成物の割合はごく少量であった。
【0052】
実施例2(比較例)
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸を添加しないで行った点で異なる以外は実施例1と同様にして行った。
結果: 4−メチルアセトフェノン:56.6%(HPLCピーク領域)
4−メチルアセトフェノンオキシム、EおよびZ異性体の合計:
42.1%(HPLCピーク領域)
【0053】
実施例3
3−トリフルオロメチルアセトフェノンを使用した点で異なる以外は実施例1と同様にして行った。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
3−トリフルオロメチルアセトフェノン:0.2%(HPLCピーク領域)
3−トリフルオロメチルアセトフェノンオキシム:99.8%(HPLCピーク領域)
【0054】
実施例4(比較例)
3−トリフルオロメチルアセトフェノンを使用した点で異なる以外は実施例2と同様にして行った。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
3−トリフルオロメチルアセトフェノン:68.7%(HPLCピーク領域)
3−トリフルオロメチルアセトフェノンオキシム:31.3%(HPLCピーク領域)
【0055】
実施例5
3,3−ジメチル−2−ブタノンを使用し、変換の測定をGCで行った点で異なる以外は、実施例1と同様にして行った。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
3,3−ジメチル−2−ブタノン:<0.05%(GC、ピーク領域)
3,3−ジメチル−2−ブタノンオキシム:100%(GC、ピーク領域)
【0056】
実施例6(比較例)
3,3−ジメチル−2−ブタノンを使用し、変換の測定をGCで行った点で異なる以外は、実施例2と同様にして行った。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
3,3−ジメチル−2−ブタノン:36.8%(GC、ピーク領域)
3,3−ジメチル−2−ブタノンオキシム:63.2%(GC、ピーク領域)
【0057】
実施例7
DL−カンファーを使用し、添加工程および撹拌時の温度を85℃に維持した点で異なる以外は、実施例1と同様にして行った。変換はGCで測定した。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
DL−カンファー:12.6%(GC、ピーク領域)
DL−カンファーオキシム:87.4%(GC、ピーク領域)
【0058】
実施例8(比較例)
DL−カンファーを使用し、添加工程および撹拌時の温度を85℃に維持した点で異なる以外は、実施例2と同様にして行った。変換はGCで測定した。
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸の結果:
DL−カンファー:99.4%(GC、ピーク領域)
DL−カンファーオキシム:0.6%(GC、ピーク領域)
【0059】
実施例9−12(種々の触媒、表1)
50gのメチルシクロヘキサン、75.1gのヒドロキシルアンモニウム硫酸塩の40%水溶液(分子量164.14に基づいて0.183mol)および表1に記載された触媒(0.002mol)をヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える250mlのガラス反応器に充填し、混合液を70℃まで加熱した。続いて、この温度で激しく撹拌しながら、47g(0.33mol)の3−トリフルオロメチルアセトフェノン(95%)を30分間にわたって、43.7g(0.35mol)の水酸化ナトリウム水溶液(32%)を20分間にわたって、定量ポンプを用いて一定の速さで一様に添加した。反応混合物を、70℃で60分間さらに撹拌した。その後、撹拌機を停止し、有機相を分離してHPLCにより解析した。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例13−16(溶媒、表2)
65mlの溶媒、75.1gのヒドロキシルアンモニウム硫酸塩の40%水溶液(分子量164.14に基づいて0.183mol)および0.6g(0.002mol)のジ(2−エチルヘキシル)リン酸を、ヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える250mlのガラス反応器に充填し、混合物を70℃(溶媒としてメチルt−ブチルエーテルを使用する場合、50℃)まで加熱した。続いて、この温度で激しく撹拌しながら、64g(0.33mol)の3−トリフルオロメチルアセトフェノン(98%)を60分間にわたって、43.7g(0.35mol)の水酸化ナトリウム水溶液(32%)を20分間にわたって、定量ポンプを用いて一定の速さで一様に添加した。反応混合物を、70℃(溶媒としてメチルt−ブチルエーテルを用いる場合、50℃)で60分間さらに撹拌した。その後、撹拌機を停止し、有機相を分離してHPLCにより解析した。結果を、実施例13−20についての表にまとめた。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例21
50gのトルエン、75.1gのヒドロキシルアンモニウム硫酸塩の40%水溶液(分子量164.14に基づいて0.183mol)および0.6g(0.002mol)のジ(2−エチルヘキシル)リン酸(95%)を、ヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える500mlのガラス反応器に充填し、混合物を40℃まで加熱した。この温度で激しく撹拌しながら、100gのトルエン中の45.6g(0.33mol)のベンゾフラン−3−オン(97%)を30分間にわたって、続いて、43.7g(0.33mol)の水酸化ナトリウム水溶液(32%)を20分間にわたって、定量ポンプを用いて一様に添加した。水酸化ナトリウム水溶液の添加が完了した後のpHは5.5であった。反応混合物を、40℃で60分間さらに撹拌した。撹拌混合物から試料を取り出してHPLC(カラム:Kinetex 2.6u C18 100A、50℃、H
2O/CH
3CN、220nm)により解析した。
結果: ベンゾフラン−3−オン:0.2%(HPLCピーク領域)
ベンゾフラン−3−オンオキシム、EおよびZ異性体の合計:97.5%(HPLCピーク領域)
【0064】
実施例22(比較例)
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸を添加しないで行った点で異なる以外は実施例21と同様にして行った。
結果: ベンゾフラン−3−オン:42.5%(HPLCピーク領域)
ベンゾフラン−3−オンオキシム:EおよびZ異性体の合計:54.3%(HPLCピーク領域)
【0065】
実施例23
30gのメチルシクロヘキサン、46.0gのヒドロキシルアミンO−メチルエーテル塩酸塩の25%水溶液および0.4g(0.001mol)のジ(2−エチルヘキシル)リン酸(95%)を、ヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える250mlのガラス反応器に充填し、混合物を70℃まで加熱した。続いて、この温度で激しく撹拌しながら、25g(0.13mol)の3−トリフルオロメチルアセトフェノン(98%)を60分間にわたって、16g(0.13mol)の水酸化ナトリウム水溶液(32%)を20分間にわたって、定量ポンプを用いて一定の速度で一様に添加した。反応混合物を、70℃で60分間さらに撹拌した。その後、撹拌機を停止し、有機相を分離してHPLCにより解析した。
結果: 3−トリフルオロメチルアセトフェノン:<0.1%(HPLCピーク領域)
4−トリフルオロメチルアセトフェノンオキシムO−メチルエーテル、EおよびZ異性体の合計:99.5%(HPLCピーク領域)
【0066】
実施例24(実施例23の比較例)
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸を添加しないで行った点で異なる以外は実施例21と同様にして行った。
結果: 3−トリフルオロメチルアセトフェノン:32.2%(HPLCピーク領域)
4−トリフルオロメチルアセトフェノンオキシムO−メチルエーテル、EおよびZ異性体の合計:68.2%(HPLCピーク領域)
【0067】
実施例25
70gのヒドロキシルアンモニウム硫酸塩の40%水溶液(分子量164.14に基づいて0.17mol)、28.1g(0.34mol)の酢酸ナトリウム(99%)、0.3g(0.001mol)のジ(2−エチルヘキシル)リン酸(95%)および30.8gのメチルシクロヘキサンを、ヒーティングジャケット、撹拌機および還流冷却器を備える250mlのガラス反応器に順々に充填した。混合物を70℃まで加熱し、35.0gの水酸化ナトリウム水溶液(30%)を用いてpHを6に調整した。続いて、30g(0.15mol)のα,α’−ジクロロメチルアセトフェノン(97%)を、70℃で30分間にわたって添加した。3時間の撹拌の後、代表的な試料を反応懸濁液から取り出してHPLC(カラム:Kinetex 2.6u C18 100A、50℃、H
2O/CH
3CN、220nm)により解析した。
結果: α,α’−ジクロロメチルアセトフェノン:4.2%(HPLCピーク領域)
フェニルグリオキサルジオキシム、異性体の合計:93.8%(HPLCピーク領域)
【0068】
実施例26(実施例25の比較例)
ジ(2−エチルヘキシル)リン酸を添加しないで行った点で異なる以外は実施例25と同様にして行った。
結果: α,α’−ジクロロメチルアセトフェノン:72.5%(HPLCピーク領域)
フェニルグリオキサルジオキシム、異性体の合計:24.7%(HPLCピーク領域)