特許第6644678号(P6644678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644678CTLA−4およびCD40の両方に特異的に結合可能である二重特異性分子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644678
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】CTLA−4およびCD40の両方に特異的に結合可能である二重特異性分子
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20200130BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20200130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200130BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20200130BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20200130BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20200130BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20200130BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   C07K19/00ZNA
   C12N15/62 Z
   A61K38/17
   A61K39/395 N
   A61P35/00
   A61P35/02
   !C07K16/28
   !C07K14/705
   !C12N15/12
   !C12N15/13
【請求項の数】17
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2016-522480(P2016-522480)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公表番号】特表2016-529215(P2016-529215A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014063443
(87)【国際公開番号】WO2014207064
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月23日
(31)【優先権主張番号】1311487.1
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515358311
【氏名又は名称】アリゲーター バイオサイエンス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エルマーク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】フレブリング,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ノーレン,パー
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/061487(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/095412(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/003761(WO,A1)
【文献】 特開2013−099333(JP,A)
【文献】 Peach R. et al.,J. Biol. Chem.,Vol.270, No.36(1995),p.21181-21187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 19/00
C07K 14/705
C07K 16/28
C12N 15/09−15/62
A61K 38/17
A61K 39/395
A61P 35/00−35/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTLA−4およびCD40の両方に特異的に結合可能であるポリペプチドであって、
前記ポリペプチドは、B1およびB2を含み、
B1は、CD40に特異的な抗体、またはその抗原結合性断片であり、そしてCD40アゴニストであり、
B2は、CTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインであり、
i)配列番号3のアミノ酸配列、
ii)配列番号3のA24およびP25を欠くアミノ酸配列、または
iii)前記結合性ドメインが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、配列番号3のアミノ酸配列、もしくは配列番号3のA24およびP25を欠くアミノ酸配列と比較して少なくとも1つ(但し10個以下)のアミノ酸が置換しているアミノ酸配列であって前記置換は、F32I、Q48L、S49T、V54I、V64I、K74I/R、S77A、H79D/S/A、K103E、L107I/F/R、I111V、T118S、M120L、I121V、R122K/N、Q125E、N127S/DおよびA134Tから選択されるアミノ酸配列
を含むか、またはそれらからなり、
前記配列番号3の位置のナンバリングは24から始まる、
ポリペプチド。
【請求項2】
B1が、少なくとも1つの重鎖(H)および少なくとも1つの軽鎖(L)を含み、B2が、前記少なくとも1つの重鎖(H)または前記少なくとも1つの軽鎖(L)に結合している、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
B1が、
− 少なくとも1つの重鎖(H)および少なくとも1つの軽鎖(L)を含み、B2が、前記重鎖もしくは前記軽鎖のいずれかに結合しており、またはB1が、
− 2つの同一の重鎖(H)および2つの同一の軽鎖(L)を含み、B2が、両方の重鎖もしくは両方の軽鎖に結合している、
請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
N−C方向に書かれた以下の式:
(a)H−(X)n−B2、
(b)B2−(X)n−H、
(c)L−(X)n−B2、または
(d)B2−(X)n−L
(式中、Xはリンカーであり、nは0または1である)
により構成されるポリペプチド、
または式(a)から(d)のうちのいずれか1つにより構成されるポリペプチドからなるポリペプチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
Xが、アミノ酸配列SGGGGSGGGGS、SGGGGSGGGGSAP、NFSQP、KRTVAまたは(SG)mを有し、式中、m=1から7であるペプチドである、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
B2(iii)の前記アミノ酸配列における1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸が、配列番号3のアミノ酸配列、または配列番号3のA24およびP25を欠くアミノ酸配列と比較して置換されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
B2の前記アミノ酸配列が、配列番号8、6、7および9から24のうちのいずれかの1つから選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
B1が、表Aに示す抗体の3つの重鎖CDR配列および表Aに示す抗体の3つの軽鎖CDR配列を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチドであって、前記重鎖CDR配列および前記軽鎖CDR配列は、同一の抗体由来である、ポリペプチド
【請求項9】
B1が、ヒトFc領域または前記領域のバリアントを含み、前記領域が、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4領域である、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
配列番号56および配列番号61、
配列番号57および配列番号61、
配列番号58および配列番号62、
配列番号59および配列番号61、
配列番号60および配列番号61、
配列番号110および配列番号70、
配列番号111および配列番号72、
配列番号112および配列番号74、
配列番号113および配列番号76、
配列番号113および配列番号80、または
配列番号114および配列番号78
のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
個体における疾患または状態を治療または予防するための方法における使用のための、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
疾患または状態が癌である、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記方法が、前記ポリペプチドを全身にまたは局所に、たとえば腫瘍の部位にまたは腫瘍流入領域リンパ節内に投与することを含む、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項14】
癌が、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、肺癌、子宮頚癌、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、黒色腫、膀胱癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、皮膚癌、リンパ腫またはグリア芽腫である、請求項12または13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項16】
追加の治療的部分にコンジュゲートしている、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤または担体を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD40およびCTLA−4の両方、特にヒトCD40およびヒトCTLA−4の両方に特異的に結合する二重特異性分子に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、先進国世界における早死の主要な原因である。癌の免疫療法の目的は、腫瘍に対する身体による有効な免疫応答を開始することである。これは、たとえば、腫瘍抗原に対する寛容を破壊し、抗腫瘍免疫応答を増大させ、腫瘍部位における局所サイトカイン応答を刺激することにより達成されうる。長期持続性抗腫瘍免疫応答の重要なエフェクター細胞は、活性化腫瘍特異的エフェクターT細胞である。たとえば樹状細胞による、エフェクターT細胞の不完全な活性化は、非効率的な抗腫瘍応答をもたらすT細胞アネルギーを引き起こしうる一方で、樹状細胞による適切な誘導は、活性化エフェクターT細胞の強力な増殖を生じさせ、それにより腫瘍に対して免疫応答を再指示することができる。
【0003】
細胞表面CD40受容体分子は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFR)のメンバーであり、先天性および適応的免疫応答の両方における主要調節因子である。それは、ヒト抗原提示細胞、特にB細胞、樹状細胞およびマクロファージ上ならびに正常細胞、たとえば線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞および上皮細胞上に発現する。さらにそれは、すべてのBリンパ腫、固形腫瘍の30〜70%、黒色腫および癌腫を含む多様な腫瘍細胞上に発現する。
【0004】
CD154またはCD40Lと示されるCD40の天然リガンドは、成熟Tリンパ球上に主に発現する。CD40L媒介性シグナル伝達は、免疫細胞活性化、増殖、ならびにサイトカインおよびケモカインの産生を含む、複数の生物学的事象を誘発する。したがって、CD40受容体を介した刺激は、細胞および免疫機能を増強する。細胞媒介性免疫応答におけるその役割は、よく知られている。たとえば、CD40刺激を介した樹状細胞の活性化は、エフェクターT細胞の活性化を誘導する。したがって、CD40アゴニストでの処置は、免疫応答を再指示し、腫瘍に向けられるエフェクターT細胞を増殖する手段となりうる。
【0005】
いくつかの抗CD40抗体について抗腫瘍効果が報告されており、複数の機序が同定されている。CD40陰性腫瘍について、抗原提示細胞の活性化、特に腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)による活性の増加を伴う間接的効果が観察されている。CD40陽性腫瘍について、CD40抗体の腫瘍細胞への結合が細胞アポトーシスを誘導する、直接的な抗腫瘍性機構が観察されている。抗腫瘍活性のためのこれらの機構は、抗体媒介性細胞性細胞傷害(ADCC)の増強をもたらす体液性応答の刺激により補完されうる。しかしながら、抗CD40抗体の全身投与はまた、有害な副作用、たとえばショック症候群およびサイトカイン放出症候群と関連付けられる。
【0006】
T細胞受容体CTLA−4は、T細胞活性化の負の調節因子として役立ち、初期活性化後にT細胞表面上で上方制御される。抗原提示細胞が発現するCTLA−4受容体のリガンドは、B7タンパク質である。T細胞活性化の上方制御の原因である対応するリガンド受容体ペアは、CD28−B7である。CD28を介したシグナル伝達は共刺激経路を構成し、MHC複合体により提示される抗原ペプチドを認識するT細胞受容体を通じて、T細胞の活性化に続いて生じる。
【0007】
CTLA−4のB7−1および、またはB7−2リガンドとの相互作用を遮断することにより、免疫応答の通常のチェックポイントが除去されうる。臨床試験は、CTLA−4遮断が抗腫瘍効果をもたらすことを実証した。しかしながら、CD40については、抗CTLA−4抗体の投与は毒性副作用と関連付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CD40またはCTLA−4のいずれかを標的とする、既存の単一特異性薬物に代わる代替案が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、2種の免疫調節受容体、CTLA−4およびCD40を標的とする新規二重特異性結合分子を製造した。CTLA−4およびCD40は、好ましくはヒトのものであるが、他の哺乳動物、たとえば非ヒト霊長類またはマウスに由来するCTLA−4および/またはCD40であってもよい。非ヒト霊長類は、たとえば、カニクイザルであってもよい。
【0010】
癌患者に観察される免疫応答の抑制は、腫瘍抗原に特異的なT細胞のCTLA−4媒介性阻害を遮断することにより克服されうるのであり、同時に、CD40を標的とすることは、CD40を発現する樹状細胞、Bリンパ球およびマクロファージ細胞を増強する。これは、腫瘍に対する免疫応答をさらに促進する。
【0011】
本発明の二重特異性結合分子は、CD40発現抗原提示細胞およびCTLA−4発現T細胞を物理的に結合し、自然界には通常見出されない細胞−細胞シナプスを潜在的に創出することによる追加の治療効果を提供しうる。これは、殺腫瘍活性の即時発生のための非常に強力な免疫活性化をもたらす。本発明の二重特異性結合分子は、癌免疫療法において、CTLA−4またはCD40のいずれかを標的とする単一特異性薬物の組合せを含む治療レジメンよりも、高い強度および/または効率を示しうる。
【0012】
本発明の二重特異性結合分子は、ポリペプチドである。したがって、本発明は、ヒトCTLA−4およびヒトCD40の両方に特異的に結合可能であるポリペプチドであって、前記結合分子は、B1およびB2を含み、
B1は、ヒトCD40に特異的な抗体、またはその抗原結合性断片であり、
B2は、(i)配列番号3のアミノ酸配列、または(ii)結合性ドメインが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、配列番号3のアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸が変化しているアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる、ヒトCTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインである。B1のCD40結合性ドメインおよびB2のCTLA−4結合性ドメインは、本発明のポリペプチドにおける唯一の結合性ドメインであってもよい。
【0013】
個体における疾患または状態を治療または予防するための方法における使用のための本発明のポリペプチドがさらに提供される。
【0014】
個体における疾患または状態を治療または予防する方法であって、前記個体に本発明によるポリペプチドを投与し、それにより疾患または状態を治療または予防することを含む方法がさらに提供される。
【0015】
個体における疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における使用のための本発明のポリペプチドがさらに提供される。
【0016】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むベクターまたは細胞がさらに提供される。本発明のポリペプチドを製造する方法であって、細胞において前記ポリヌクレオチドを発現させることを含む方法がさらに提供される。
【0017】
本発明のポリペプチドおよび少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤または担体を含む組成物がさらに提供される。
【0018】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ヒトCTLA−4のアミノ酸配列である(GenBank:AAD00698.1に対応する)。
配列番号2は、ヒトCD28のアミノ酸配列である(GenBank:AAA51944.1に対応する)。
配列番号3は、N末端から23個のアミノ酸のシグナル配列を除く、ヒト野生型CD86の単量体細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号4は、N末端シグナル配列を含む、ヒト野生型CD86の単量体細胞外および膜貫通ドメインのアミノ酸配列である。本明細書におけるアミノ酸位置のすべてのナンバリングは、N末端から始まる配列番号4における位置に基づく。したがって、配列番号3のN末端のアラニンは24とナンバリングされる。
配列番号5は、Peach et al (Journal of Biological Chemistry 1995, vol 270(36), 21181-21187)に開示のヒトCD86の細胞外ドメインの変異体形態のアミノ酸配列である。野生型配列の位置79のHは、配列番号5の配列の対応する位置において、Aで置換される。この変化は、本明細書においてH79Aと呼ばれる。本明細書において参照される他のアミノ酸置換全体を通じて、同じ命名法が使用される。位置のナンバリングは、上述のとおり配列番号4に基づく。
配列番号6から24は、本発明の特定のタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号25から43はそれぞれ、配列番号6から24のそれぞれのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号44は、ヒトCD86の全長アミノ酸配列である(GenBank:ABK41931.1に対応する)。
配列番号45は、ヒトCD40のアミノ酸配列である(GenBank:AAH12419.1に対応する)。
配列番号46から49は、本発明のポリペプチドにおいて使用できる様々なリンカーである。
配列番号50、51および52はそれぞれ、抗体A2−54の重鎖のCDR1、2および3のアミノ酸配列である。
配列番号53、54および55はそれぞれ、抗体A2−54の軽鎖のCDR1、2および3のアミノ酸配列である。
配列番号56から60および110から114は、本発明の例示的ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号61は、抗体A2−54の重鎖のアミノ酸配列である。
配列番号62は、抗体A2−54の軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号63は、配列番号61をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号64は、配列番号62をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号65から69および115から119はそれぞれ、配列番号56から60および110から114をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号70、72、74、76、78、80、82、84、86および88は、本明細書に開示の抗体の重鎖のアミノ酸配列である。
配列番号71、73、75、77、79、81、83、85、87および89は、本明細書に開示の抗体の軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106および108は、本明細書に開示の抗体の重鎖配列をコードする核酸配列である。
配列番号91、93、95、97、99、101、103、105、107および109は、本明細書に開示の抗体の重鎖配列をコードする核酸配列である。
配列番号120は、マウスCTLA−4のアミノ酸配列である(UniProtKB/Swiss−Prot:P09793.1に対応する)。
配列番号121は、マウスCD28のアミノ酸配列である(GenBank:AAA37395.1に対応する)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ELISA結合アッセイにより決定した、本発明のポリペプチドのCTLA−4結合性ドメインのCTLA−4結合特性を示す図である。
図2】ELISA阻害アッセイにより決定した、本発明のポリペプチドのCTLA−4結合性ドメインのCTLA−4結合特性を示す図である。
図3】本発明の例示的ポリペプチドの構造のスキーム図を示す図である。Aは956/530および957/530、Bは959/530および960/530、Cは958/531である。抗CD40抗体可変ドメインを黒、定常ドメインを白で塗っている。CTLA−4結合性ドメインを斜線で陰にしている。
図4】本明細書に開示のヒト野生型CD86アミノ酸配列のスキーム図を提供する図である。Aは、N末端シグナル配列なしのヒトCD86の単量体可溶性細胞外ドメインのアミノ酸配列であり(配列番号3)、Bは、N末端シグナル配列を含む、ヒト野生型CD86の単量体細胞外および膜貫通ドメインのアミノ酸配列であり(配列番号4)、Cは、ヒトCD86の全長アミノ酸配列である(Genbank ABK41931.1、配列番号44)。Aの配列は、太字で示す位置24および25のN末端のアラニンおよびプロリンを任意選択で欠いていてもよい。BおよびCにおけるシグナル配列を下線で示す。アミノ酸位置のナンバリングは、N末端から始まる配列番号4および44に基づく。
図5】ELISA結合アッセイにより決定した、本発明の例示的ポリペプチドのCTLA−4結合特性を示す図である。
図6】ELISA結合アッセイにより決定した、本発明の例示的ポリペプチドのCD40結合特性を示す図である。
図7】ELISAアッセイにおいてCTLA−4およびCD40の両方と同時に結合する本発明の例示的ポリペプチドの能力を示す図である。
図8】表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定した、CTLA−4およびCD40の両方と同時に結合する本発明の例示的ポリペプチドの能力を示す図である。
図9】本発明の例示的ポリペプチドによる結合の結果としてのCD40発現およびCTLA−4発現細胞間相互作用を示す、代表的なFACSプロットである。
図10】B細胞増殖により示される、免疫活性化を誘導する本発明の例示的ポリペプチドの能力を示す図である。本発明のポリペプチド957/530について、相乗効果が観察される。
図11】本発明のポリペプチドがヒトおよびマウスCTLA−4の両方について類似した強度の結合親和性を有することを実証する、阻害ELISAの結果を示す図である。
図12】ELISA結合アッセイにより決定した、本発明の例示的ポリペプチドのCD40結合特性を示す図である(A〜C)。
図13】ELISA結合アッセイにより決定した、本発明の例示的ポリペプチドのCTLA−4結合特性を示す図である(A〜F)。
図14】表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定した、CTLA−4およびCD40の両方と同時に結合する本発明の例示的ポリペプチドの能力を示す図である。
図15】本発明の例示的ポリペプチドのインビボ抗腫瘍効果を示す図である。対照に対する生存率の増加(上パネル)および腫瘍体積の減少(下パネル)を実証する。
図16】本発明の例示的ポリペプチドでの処置が、インビボでの免疫記憶を確立したことを示す図である。あらかじめ処置したマウスは、対照に対する生存率が増加(上パネル)し、腫瘍体積が減少(下パネル)した。
図17】本発明の例示的ポリペプチドが、対応する単一特異性抗体と比較して、B細胞増殖を誘導する効率を増加させたことを示す図である。y軸は、本発明の各ポリペプチドについて、その対応する単一特異性抗体に対するB細胞増殖における平均倍率変化(mean fold change)を示す。
図18】本発明の例示的ポリペプチドが、対応する単一特異性抗体と比較して、ヒトPBMCにおける免疫細胞の活性化を誘導する効率を増加させたことを示す図である。y軸は、本発明の各ポリペプチドについて、その対応する単一特異性抗体に対するIL2産生における平均倍率変化を示す。
図19】CD83発現(y軸)の増加により示されるように、本発明の例示的ポリペプチドが、(トランスの)別の細胞集団上のCTLA−4との同時架橋により増強される、CD40を介したB細胞活性化を誘発することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の生成物および方法の異なる用途が、当技術分野における特定のニーズに合わせて調整されうることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は、本発明の特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定を意図していないこともまた理解されるべきである。
【0021】
加えて、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、特に内容上明示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「阻害因子(an inhibitor)」への言及は、2つ以上のかかる阻害因子を含む、または、「オリゴヌクレオチド(an oligonucleotide)」への言及は、2つ以上のかかるオリゴヌクレオチドを含む、等といったことになる。
【0022】
「ポリペプチド」は、本明細書においてその最も広い意味で使用され、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログ、または他のペプチド模倣物の化合物を指す。したがって、「ポリペプチド」という用語は、短いペプチド配列ならびにより長いポリペプチドおよびタンパク質も含む。本明細書において使用される「アミノ酸」という用語は、DまたはL光学異性体の両方を含む天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド模倣物を指す。
【0023】
本明細書において上または下のいずれであっても引用される刊行物、特許および特許出願は、ここにそれらの全体が参照により組み込まれる。
【0024】
本発明部分B1のポリペプチド−CD40に特異的な抗体
B1は、ヒトCD40に特異的な、抗体、またはその抗原結合性断片である。本明細書において言及される「抗体」という用語は、抗体全体およびそれらの任意の抗原結合性断片(すなわち、「抗原結合性部分」)または単鎖を含む。抗体は、ジスルフィド結合により相互に接続した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合性部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略す)および重鎖定常領域を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略す)および軽鎖定常領域を含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含有する。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに分割されうる。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
【0025】
抗体の「抗原結合性断片」という用語は、抗原、たとえばCD40に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片により遂行できることが示されている。抗体の「抗原結合性部分」という用語に包含される結合性断片の例には、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片および単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。単鎖抗体、たとえばscFv、および重鎖抗体、たとえばVHH、およびラクダ抗体もまた、抗体の「抗原結合性部分」という用語に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来技術を使用して得られ、断片は完全な抗体と同様に有用性についてスクリーニングされてもよい。
【0026】
本発明のポリペプチドは、任意の抗CD40抗体、またはその抗原結合性断片を組み込んでいてもよい。かかる抗CD40抗体は、好適な手段により製造できる。たとえば、かかる抗体は、組換え手段により調製、発現、創出または単離でき、たとえば(a)目的の免疫グロブリン遺伝子のためのトランスジェニックまたはトランスクロモソーマルである動物(たとえば、マウス)またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)目的の抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、たとえばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換え、組合せ抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段により調製、発現、創出または単離された抗体である。あるいは、非ヒト動物をCD40で免疫化すること、またはインビトロでヒトリンパ球をCD40で免疫化することを含む方法により、抗CD40抗体を製造できる。
【0027】
抗体は、典型的には、少なくとも1つの重鎖可変ドメイン(V)および少なくとも1つの軽鎖可変ドメイン(V)を含む。抗体は、Fc領域、好ましくはヒトFc領域、または前記領域のバリアントを含みうる。Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4領域、好ましくはIgG1またはIgG4領域であってもよい。Fc領域のバリアントは、典型的には、様々な親和性で、Fc受容体、たとえばFcガンマRおよび/または新生仔Fc受容体(FcRn)と結合し、ポリペプチドの機能および/または半減期の改善を提供する。半減期は、未変性Fc領域を含むポリペプチドの半減期に対して、増加しても減少してもよい。
【0028】
本発明のポリペプチドにおける組込みに好ましい抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を、表Aに示す。各配列内で、CDR配列を下線で示す。配列はすべて、左から右にNからCの方向に提示されている。したがって、各配列内を左から右に読んで、CDR1は第1の下線配列、CDR2は第2の下線配列、CDR3は第3の下線配列である。定常ドメインをイタリックで示す。
【0029】
【表1-1】
【0030】
【表1-2】
【0031】
【表1-3】
【0032】
【表1-4】
【0033】
抗体A2−54の重鎖のCDRもまた、配列番号50、51および52に示す。軽鎖のCDRもまた、配列番号53、54および55に示す。A2−54の6つのCDRすべてもまた、以下の表に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
抗体は、表Aに配列を示す重鎖のうちのいずれか1つのアミノ酸配列、または任意のその断片もしくはバリアントを含んでいてもよい。抗体は、表Aに配列を示す軽鎖のうちのいずれか1つのアミノ酸配列、または任意のその断片もしくはバリアントを含んでいてもよい。前記重鎖または前記軽鎖の好ましい断片は、可変領域である。
【0036】
抗体は、表Aに示す抗体のうちのいずれか1つの重鎖(またはその断片もしくはバリアント)および軽鎖(またはその断片もしくはバリアント)の両方を含んでいてもよい。
【0037】
抗体は、表Aに示す重鎖または軽鎖アミノ酸配列のうちの1つの断片を含んでいてもよい。たとえば、本発明の抗体は、前記アミノ酸配列に由来する少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも18個、少なくとも20個または少なくとも25個の連続するアミノ酸の断片を含んでいてもよい。かかる断片は、好ましくは、下に論じる機能のうちの1つまたは複数、たとえばCD40に結合する能力を保持する。
【0038】
抗体は、表Aに示す軽鎖または重鎖配列のうちのいずれか1つに由来する1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのCDR配列を含んでいてもよい。抗体は、表Aに示すCDR配列から選択される1つまたは複数の重鎖CDR配列および、代わりにまたは加えて、1つまたは複数の軽鎖CDR配列を含んでいてもよい。抗体は、表Aに示す抗体のうちのいずれか1つの重鎖CDR配列のうちの1つ、2つまたは3つすべて、および、代わりにまたは加えて、表Aに示す同じ前記抗体の軽鎖CDR配列のうちの1つ、2つまたは3つすべてを含んでいてもよい。本発明の抗体は、好ましくは、表Aに示す抗体の6つのCDR配列すべてを含む。たとえば、本発明の抗体は、表Aに示す抗体1107/1145の6つのCDR配列すべてを含んでいてもよい。
【0039】
あるいは抗体は、上述の特定の配列のうちの1つのバリアントであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。たとえば、バリアントは、任意の上のアミノ酸配列の置換、欠失または付加バリアントであってもよい。
【0040】
バリアント抗体は、上で論じた特定の配列および断片からの1個、2個、3個、4個、5個、10個まで、20個まで、30個までまたはそれを超えるアミノ酸置換および/または欠失を含んでいてもよい。「欠失」バリアントは、個々のアミノ酸の欠失、アミノ酸の小グループ、たとえば2個、3個、4個または5個のアミノ酸の欠失、またはより大きなアミノ酸領域の欠失、たとえば特定のアミノ酸ドメインもしくは他の特徴の欠失を含んでいてもよい。「置換」バリアントは、好ましくは、1つまたは複数のアミノ酸の、同数のアミノ酸との置換えおよび保存アミノ酸置換の生成を伴う。たとえば、アミノ酸は、類似の特性を有する代替アミノ酸、たとえば別の塩基性アミノ酸、別の酸性アミノ酸、別の中性アミノ酸、別の荷電アミノ酸、別の親水性アミノ酸、別の疎水性アミノ酸、別の極性アミノ酸、別の芳香族アミノ酸または別の脂肪族アミノ酸で置換されてもよい。好適な置換基を選択するために使用できる20の主なアミノ酸のいくつかの特性は、以下のとおりである。
【0041】
【表3】
【0042】
好ましい「誘導体」または「バリアント」には、天然アミノ酸の代わりに、配列に現れるアミノ酸がその構造類似体であるものが含まれる。配列に使用されるアミノ酸はまた、誘導体化または修飾、たとえば標識化されていてもよく、但し、抗体の機能が有意に悪影響を受けることはない。
【0043】
上述の誘導体およびバリアントは、抗体の合成中に、または、製造後修飾により、または、抗体が組換え形態であるときには、既知の技術である部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、もしくは核酸の酵素的切断および/もしくは結合を使用して調製されてもよい。
【0044】
好ましくは、バリアント抗体は、本明細書に開示の抗体のVもしくはVドメイン、またはその断片に対して60%超、または70%超、たとえば75または80%、好ましくは85%超、たとえば90または95%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有する。このレベルのアミノ酸同一性は、関連する配列番号の配列の全長または配列の一部、たとえば全長ポリペプチドのサイズに応じて、20個、30個、50個、75個、100個、150個、200個またはそれを超えるアミノ酸にわたって見出されうる。
【0045】
アミノ酸配列との関連で、「配列同一性」は、以下のパラメータでClustalW(上のThompson et al., 1994)を使用して評価したときに表示値を有する配列を指す。
【0046】
ペアワイズアラインメントパラメータ−メソッド:アキュレート、マトリクス:PAM、ギャップオープンペナルティ:10.00、ギャップエクステンションペナルティ:0.10、
【0047】
マルチプルアラインメントパラメータ−マトリクス:PAM、ギャップオープンペナルティ:10.00、ディレイに対する%同一性:30、ペナライズエンドギャップ:オン、ギャップセパレーションディスタンス:0、ネガティブマトリクス:no、ギャップエクステンションペナルティ:0.20、残基特異的ギャップペナルティ:オン、親水性ギャップペナルティ:オン、親水性残基:GPSNDQEKR。特定の残基における配列同一性は、単純に誘導体化された同一の残基を含むことが意図されている。
【0048】
したがって、本発明は、特定の重鎖および軽鎖アミノ酸配列、ならびに、これらの鎖の機能または活性を維持するそれらのバリアントおよび断片を有する抗体を提供する。
【0049】
したがって、抗体は、
(a)配列番号61、70、72、74、76、78、80、82、84、86もしくは88のうちのいずれか1つの重鎖アミノ酸配列、
(b)抗体がCD40に特異的に結合する能力を保持する、(a)の少なくとも7個のアミノ酸の断片、たとえば可変領域、または
(c)抗体がCD40に特異的に結合する能力を保持する、(a)の配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する(a)のバリアント
を含んでいてもよい。
【0050】
抗体は、
(a)配列番号62、71、73、75、77、79、81、83、85、87もしくは89のうちのいずれか1つの軽鎖アミノ酸配列、
(b)抗体がCD40に特異的に結合する能力を保持する、(a)の少なくとも7個のアミノ酸の断片、たとえば可変領域、または
(c)抗体がCD40に特異的に結合する能力を保持する、(a)の配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する(a)のバリアント
を含んでいてもよい。
【0051】
抗体は、本明細書に記載の任意の特定の抗体、断片およびバリアントと同じエピトープに結合してもよい。好ましくは、それは、表Aに示す抗体、または表Aに示す抗体の6つのCDRすべてを有する抗体と同じエピトープに結合する。
【0052】
抗体、またはその抗原結合性断片は、一定の好ましい結合特性および機能効果を有し、それらを下でより詳細に説明する。前記抗体、またはその抗原結合性断片は、好ましくは、本発明のポリペプチドの一部として組み込まれるときに、これらの結合特性および機能効果を保持する。
【0053】
抗体は、好ましくは、CD40に特異的に結合し、すなわち、それはCD40に結合するが、他の分子に結合しないか、またはより低い親和性で他の分子に結合する。本明細書において使用されるCD40という用語は、典型的には、ヒトCD40を指す。ヒトCD40の配列は、配列番号45に記載されている。抗体は、他の哺乳動物に由来するCD40、たとえば非ヒト霊長類(たとえばカニクイザル)またはマウスに由来するCD40に対して、一定の結合親和性を有していてもよい。抗体は、好ましくは、細胞の表面上に局在するときに、ヒトCD40に結合する。
【0054】
抗体は、その自然状態でCD40、特に細胞の表面上に局在するCD40に結合する能力を有する。好ましくは、抗体はCD40に特異的に結合する。すなわち、本発明の抗体は、好ましくは、それが別の分子に結合するよりも大きな結合親和性でCD40に結合する。
【0055】
「細胞の表面上に局在する」によって、CD40の1つまたは複数の領域が細胞表面の外面上に存在するように、CD40が細胞と関連付けられることが意図される。たとえば、CD40は、細胞原形質膜内に挿入(すなわち、膜貫通タンパク質として適応)され、1つまたは複数の領域が細胞外表面上に存在してもよい。これは、細胞によるCD40の発現の過程で生じうる。したがって、一実施形態において、「細胞の表面上に局在する」は、「細胞の表面上に発現する」を意味することもある。あるいは、CD40は、細胞の外側にあって、共有結合性および/またはイオン性相互作用がそれを細胞表面の特定の領域(複数可)に局在させてもよい。
【0056】
抗体は、CD40を発現する細胞の活性を調節してもよく、前記調節は、前記細胞の活性の増加または減少である。細胞は、典型的には、樹状細胞またはB細胞である。
【0057】
CD40を介したシグナル伝達が生じるときに、専門のAPC、たとえば樹状細胞が活性化し、これは、免疫細胞活性化、増殖、ならびにサイトカインおよびケモカインの産生を含む、複数の生物学的事象を誘発する。CD40と関連付けられる樹状細胞活性化を決定するための方法は、当技術分野において知られており(たとえば、Schonbeck et al., 2001, Cell Mol Life Sci., 58:40-43;van Kooten et al., 2000, J. Leuk., Biol., 67: 2-17に論じられている)、下でさらに記載する。
【0058】
組換えCD40Lまたは抗CD40抗体によるヒトB細胞の刺激は、表面マーカー、たとえばCD23、CD30、CD80、CD86、FasおよびMHC IIの上方制御、可溶性サイトカイン、たとえばIL−6、TNF−γおよびTNF−αの分泌、ならびに同型凝集を誘導する。CD40関連B細胞活性化を決定するための方法は、当技術分野において知られており、下でさらに記載する。
【0059】
樹状細胞およびB細胞の活性を調節する抗体の能力を決定するための方法およびアッセイは、当技術分野においてよく知られている。たとえば、樹状細胞の活性化は、細胞表面マーカー、たとえばCD86およびCD80のレベルを測定することにより、ならびに/またはT細胞からのIFNγの抗CD40抗体誘導性分泌を測定することにより評価でき、これらパラメータのいずれかの増加は活性化の増加を示し、減少は活性化の減少を表す。同様に、B細胞の活性化を調節する抗体の能力は、細胞表面マーカー(たとえばCD86)のレベルを測定することにより、ならびに/または抗CD40抗体誘導性B細胞増殖を測定することにより評価でき、これらパラメータのいずれかの増加は活性化の増加を示し、減少は活性化の減少を表す。
【0060】
「結合活性」および「結合親和性」という用語は、抗体分子の、標的に結合するまたは結合しない傾向性を指すことが意図されている。結合親和性は、抗体およびその標的について解離定数(Kd)を決定することにより定量できる。同様に、抗体の、その標的に対する結合の特異性は、抗体および別の非標的分子に関する解離定数と比較した、抗体のその標的に対する比較解離定数(Kd)の観点から定義できる。
【0061】
典型的には、標的に関する抗体のKdは、他の非標的分子、たとえば無関係の物質または環境中の並存物質に関するKdの2分の1、好ましくは5分の1、より好ましくは10分の1である。より好ましくは、Kdは、50倍分の1、より一層好ましくは100分の1、さらに一層好ましくは200分の1である。
【0062】
この解離定数の値は、よく知られている方法により直接的に決定でき、Caceci et al. (Byte 9:340-362, 1984)に記載の方法等により、複雑な混合物についてさえも計算できる。たとえば、Kdは、二重フィルターニトロセルロースろ過結合アッセイ、たとえばWong & Lohman (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 5428-5432, 1993)により開示のものを使用して確立できる。リガンド、たとえば抗体の標的に対する結合能力を評価するための他の標準的アッセイが当技術分野において知られており、たとえば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー解析が含まれる。抗体の結合動態(たとえば結合親和性)もまた、当技術分野において知られている標準的アッセイ、たとえばBiacore(商標)システム解析により評価できる。
【0063】
抗体の標的に対する結合が、その標的の別の既知のリガンド、たとえば別の抗体による標的への結合と比較される、競合結合アッセイを実施できる。50%阻害が生じる濃度はKiとして知られている。理想的条件下で、KiはKdと等しい。Ki値は、Kdより低くなることは決してなく、したがって、Kiの測定は、Kdの上限を与えるために都合よく代替される。
【0064】
本発明の抗体は、好ましくは、別の非標的分子に結合する親和性の少なくとも2倍、10倍、50倍、100倍またはそれを超える親和性で、その標的に結合可能である。
【0065】
抗体は、ヒト抗体であってもよい。本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図されている。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(たとえば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはインビボでの体細胞変異により導入される変異)を含んでいてもよい。しかしながら、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、別の哺乳動物種、たとえばマウスの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことは意図されていない。
【0066】
本発明部分B2のポリペプチド−CTLA−4に特異的な結合性ドメイン
CD86およびCD80は、本明細書において、B7タンパク質(それぞれB7−2およびB7−1)と呼ばれうる。これらのタンパク質は、抗原提示細胞上に発現し、T細胞受容体CD28およびCTLA−4と相互作用する。CD28へのB7分子の結合は、T細胞活性化を促進する一方で、CTLA−4へのB7分子の結合は、T細胞の活性化のスイッチをオフにする。B7タンパク質とCD28および/またはCTLA−4との間の相互作用は、免疫活性化および調節において重要な役割を果たす共刺激シグナル伝達経路を構成する。したがって、B7分子は、経路の一部であり、免疫阻害を解き、それにより患者における免疫を増強するための操作が可能である。
【0067】
CD86タンパク質は単量体であり、2つの細胞外免疫グロブリンスーパーファミリードメインからなる。CD86の受容体結合性ドメインは、典型的なIgVセット構造を有しており、一方で膜近接ドメインは、C1セット様構造を有する。CD80およびCD86の構造は、それら自体で、またはCTLA−4との複合体において決定されてきた。CD80およびCD86分子上の接触残基は、可溶性細胞外ドメインにあり、ほとんどがベータシートに位置し、(CDR様)ループには位置しない。
【0068】
配列番号3は、ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメインのアミノ酸配列である。この野生型配列は、位置24および25のN末端のアラニンおよびプロリンを任意選択で欠いていてもよい。これらのアミノ酸はそれぞれ、本明細書においてA24およびP25と呼ばれうる。
【0069】
本発明のポリペプチドの部分B2は、CTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインである。前記結合性ドメインは、CD28にもまた結合してもよい。本明細書において使用されるCTLA−4という用語は、典型的にはヒトCTLA−4を指し、本明細書において使用されるCD28という用語は、典型的にはヒトCD28を指す。ヒトCTLA−4およびヒトCD28の配列はそれぞれ、配列番号1および2に記載されている。本発明のポリペプチドの部分B2は、他の哺乳動物に由来するCTLA−4またはCD28、たとえば霊長類またはマウスCTLA−4またはCD28に対して、一定の結合親和性を有していてもよい。
【0070】
本発明のポリペプチドの部分B2は、その自然状態でCTLA−4、特に細胞の表面上に局在するCTLA−4に結合する能力を有する。「細胞の表面上に局在する」によって、CTLA−4の1つまたは複数の領域が細胞表面の外面上に存在するように、CTLA−4が細胞と関連付けられることが意図される。たとえば、CTLA−4は、細胞原形質膜内に挿入(すなわち、膜貫通タンパク質として適応)され、1つまたは複数の領域が細胞外表面上に存在してもよい。これは、細胞によるCTLA−4の発現の過程で生じうる。したがって、一実施形態において、「細胞の表面上に局在する」は、「細胞の表面上に発現する」を意味することもある。あるいは、CTLA−4は、細胞の外側にあって、共有結合性および/またはイオン性相互作用がそれを細胞表面の特定の領域(複数可)に局在させてもよい。
【0071】
本発明のポリペプチドの部分B2は、
(i)配列番号3のアミノ酸配列、または
(ii)前記結合性ドメインが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、配列番号3のアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸が変化しているアミノ酸配列
を含むか、またはそれらからなっていてもよい。換言すれば、B2は、(i)ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメイン、または(ii)ポリペプチドバリアントが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、前記可溶性細胞外ドメインのポリペプチドバリアントを含むか、またはそれらからなる、ヒトCTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインである。
【0072】
したがって、本発明のポリペプチドの部分B2は、ヒト野生型CD86と同じ標的結合特性を有していてもよく、またはヒト野生型CD86の標的結合特性と比較して異なる標的結合特性を有していてもよい。かかる特性を比較する目的のため、「ヒト野生型CD86」は典型的には、前のセクションに記載したとおり、ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメインを指す。
【0073】
ヒト野生型CD86は、2つの標的、CTLA−4およびCD28に特異的に結合する。したがって、本発明のポリペプチドの部分B2の結合特性は、これら標的のそれぞれに結合するポリペプチドの能力の個別の測定値として表すこともできる。たとえば、ヒト野生型CD86の単量体細胞外ドメインのポリペプチドバリアントは、好ましくは、野生型ヒトCD86のCTLA−4に対する結合親和性よりも高い結合親和性でCTLA−4に結合する。かかるポリペプチドはまた、任意選択で、野生型ヒトCD86のCD28に対する結合親和性よりも低い結合親和性でCD28に結合してもよい。
【0074】
リガンドの標的に対する結合能力を評価するための標準的アッセイが当技術分野においてよく知られており、たとえば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー解析が含まれる。ポリペプチドの結合動態(たとえば結合親和性)もまた、当技術分野において知られている標準的アッセイ、たとえば表面プラズモン共鳴解析(SPR)により評価できる。
【0075】
「結合活性」および「結合親和性」という用語は、ポリペプチド分子の、標的に結合するまたは結合しない傾向性を指すことが意図されている。結合親和性は、ポリペプチドおよびその標的について解離定数(Kd)を決定することにより定量できる。より低いKdは、標的に対するより高い親和性を示す。同様に、ポリペプチドの、その標的に対する結合の特異性は、ポリペプチドおよび別の非標的分子に関する解離定数と比較した、ポリペプチドのその標的に対する比較解離定数(Kd)の観点から定義できる。
【0076】
解離定数Kdの値は、よく知られている方法により直接的に決定でき、Caceci et al. (Byte 9:340-362, 1984)に記載の方法等により、複雑な混合物についてさえも計算できる。たとえば、Kdは、二重フィルターニトロセルロースろ過結合アッセイ、たとえばWong & Lohman (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 5428-5432, 1993)により開示のものを使用して確立できる。ポリペプチドの標的に対する結合が、その標的の別の既知のリガンド、たとえば別のポリペプチドによる標的への結合と比較される、競合結合アッセイを実施できる。この場合、野生型ヒトCD86の可溶性細胞外ドメイン(任意選択で、NまたはC末端で検出可能ドメイン、たとえばFcドメインまたはIgドメインに連結している)は、好適な代替リガンドである。50%阻害が生じる濃度はKiとして知られている。理想的条件下で、KiはKdと等しい。Ki値は、Kdより低くなることは決してなく、したがって、Kiの測定は、Kdの上限を与えるために都合よく代替される。
【0077】
結合親和性の代替的測定値には、EC50またはIC50が含まれる。この文脈において、EC50は、ポリペプチドが固定量の標的に対してその最大結合の50%を達成する濃度を示す。IC50は、ポリペプチドが固定量の標的に対する固定量の競合物の最大結合の50%を阻害する濃度を示す。両方の場合において、より低いレベルのEC50またはIC50は、標的に対するより高い親和性を示す。リガンドのその標的に対するEC50およびIC50の値は両方とも、よく知られている方法、たとえばELISAにより決定できる。ポリペプチドのEC50およびIC50を評価するのに好適なアッセイは、実施例に記載されている。
【0078】
本発明のポリペプチドの部分B2は、CTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインである。これは、それが好ましくは、別の分子に結合するよりも大きな結合親和性でCTLA−4に結合することを意味する。部分B2は、好ましくは、野生型ヒトCD86のCTLA−4に対する結合親和性と同じか、またはそれよりも高い結合親和性で、CTLA−4に結合する。
【0079】
好ましくは、本発明のポリペプチド部分B2のヒトCTLA−4に対するKdは、野生型ヒトCD86のヒトCTLA−4に関するKdの2分の1以下、2.5分の1以下、3分の1以下、3.5分の1以下、4分の1以下、4.5分の1以下、5分の1以下、5.5分の1以下、8分の1以下または10分の1以下である。最も好ましくは、部分B2のヒトCTLA−4に関するKdは、野生型ヒトCD86のヒトCTLA−4に関するKdの5分の1以下または10分の1以下であると考えられる。ポリペプチドのCTLA−4に関するKdを決定するための好ましい方法は、たとえばBiacore(商標)システムを用いたSPR解析である。ポリペプチドのSPR解析に好適なプロトコルは、実施例に記載されている。
【0080】
好ましくは、本発明のポリペプチド部分B2のヒトCTLA−4に対するEC50は、同条件下の野生型ヒトCD86のヒトCTLA−4に関するEC50の3分の2以下、2分の1以下、3分の1以下、5分の1以下、10分の1以下、12分の1以下、14分の1以下、15分の1以下、17分の1以下、20分の1以下、25分の1以下または50分の1以下である。最も好ましくは、部分B2のヒトCTLA−4に関するEC50は、同条件下の野生型ヒトCD86のヒトCTLA−4に関するEC50の10分の1以下または25分の1以下である。ポリペプチドのCTLA−4に関するEC50を決定するための好ましい方法は、ELISAを介する。ポリペプチドのEC50の評価における使用のために好適なELISAアッセイは、実施例に記載されている。
【0081】
好ましくは、ヒトCTLA−4との結合について野生型ヒトCD86と競合するとき、本発明のポリペプチド部分B2のヒトCTLA−4に関するIC50は、同条件下の野生型ヒトCD86のIC50の2分の1以下、3分の1以下、4分の1以下、5分の1以下、10分の1以下、13分の1以下、15分の1以下、50分の1以下、100分の1以下、または300分の1以下である。最も好ましくは、部分B2のIC50は、同条件下の野生型ヒトCD86のIC50の10分の1以下または300分の1以下である。本発明のポリペプチドのIC50を決定するための好ましい方法は、ELISAを介する。本発明のポリペプチドのIC50の評価における使用のために好適なELISAアッセイは、実施例に記載されている。
【0082】
本発明のポリペプチドの部分B2はまた、CD28と特異的に結合してもよい。すなわち、部分B2は、それがCTLA−4以外の別の分子に結合するよりも大きな結合親和性でCD28に結合してもよい。部分B2は、野生型ヒトCD86のヒトCD28に対する親和性よりも低い親和性でヒトCD28に結合してもよい。好ましくは、部分B2のヒトCD28に関するKdは、野生型ヒトCD86のヒトCD28に関するKdよりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍高い。
【0083】
本発明のポリペプチドの部分B2の結合特性はまた、2つの標的、CTLA−4およびCD28に結合するポリペプチドの能力の相対的測定値として表することもできる。すなわち、部分B2の結合特性は、CTLA−4に結合するポリペプチドの能力に対する、CD28に結合するその能力の相対的測定値として表することもできる。好ましくは、部分B2は、CTLA−4に対してCD28に結合するヒト野生型CD86の相対的能力と比較して、CTLA−4に対してCD28に結合する相対的能力が増加する。
【0084】
同じパラメータ(たとえばKd、EC50)を使用して、CTLA−4およびCD28の両方に対するポリペプチドの結合親和性が評価されるとき、各標的に対するポリペプチドの相対的結合能力は、各標的についてのパラメータの値の単純な比としてすることもできる。この比は、ポリペプチドの結合比または結合強度比と呼ばれうる。結合親和性を評価するために使用される多くのパラメータ(たとえばKd、EC50)について、より低い値がより高い親和性を示す。この場合には、CTLA−4に対するCD28の結合親和性の比は、好ましくは、以下の式により算出される単一の数値として表される。
結合比=[CD28に対する結合親和性]÷[CTLA−4に対する結合親和性]
あるいは、より高い値がより高い親和性を示すパラメータを使用して結合親和性が評価される場合、上の式の逆数が好ましい。いずれの文脈においても、本発明のポリペプチドの部分B2は、好ましくは、ヒト野生型CD86よりも高い結合比を有する。所定のポリペプチドの結合比と別のポリペプチドの結合比との直接的な比較は、典型的には、結合親和性を評価して両方のポリペプチドの結合比を算出するために、同じパラメータが使用されることが必要であることが認められる。
【0085】
好ましくは、ポリペプチドの結合比は、ポリペプチドの各標的に対するKdを決定し、次に式[CD28に対するKd]÷[CTLA−4に対するKd]により比を算出することにより算出される。この比は、ポリペプチドのKd結合比と呼ばれうる。ポリペプチドの標的に対するKdを決定するための好ましい方法は、たとえばBiacore(商標)システムを用いたSPR解析である。本発明のポリペプチドのSPR解析のための好適なプロトコルは、実施例に記載されている。この方法により算出される本発明のポリペプチドの部分B2の結合比は、好ましくは、同じ方法により算出される野生型ヒトCD86の結合比よりも少なくとも2倍または少なくとも4倍高い。
【0086】
あるいは、ポリペプチドの結合比は、ポリペプチドの各標的に対するEC50を決定し、次に式[CD28に対するEC50]÷[CTLA−4に対するEC50]により比を算出することにより算出されてもよい。この比は、ポリペプチドのEC50結合比と呼ばれうる。ポリペプチドの標的に対するEC50を決定するための好ましい方法は、ELISAを介する。本発明のポリペプチドのEC50の評価における使用のための好適なELISAアッセイは、実施例に記載されている。この方法により算出される本発明のポリペプチド部分B2の結合比は、同じ方法により算出される野生型ヒトCD86の結合比よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍または少なくとも10倍高い。
【0087】
本発明のポリペプチドの部分B2は、CTLA−4に結合するための別のポリペプチドと交差競合する(cross-compete)する能力を有する。たとえば、部分B2は、CTLA−4に結合するための配列番号6から24のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと交差競合してもよい。かかる交差競合ポリペプチドは、標準的な結合アッセイにおいて同定されてもよい。たとえば、交差競合を実証するために、SPR解析(たとえばBiacore(商標)システムを用いたもの)、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーを使用できる。
【0088】
上の機能特性に加えて、本発明のポリペプチドの部分B2は、一定の好ましい構造特性を有する。B2は、(i)ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメイン、または(ii)ポリペプチドバリアントが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、前記可溶性細胞外ドメインのポリペプチドバリアントを含むか、またはそれらからなるかのいずれかである。
【0089】
ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメインのポリペプチドバリアントは、ヒト野生型CD86のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列、具体的には、任意選択でA24およびP25を欠く、ヒト野生型CD86の可溶性細胞外ドメインのアミノ酸配列(配列番号3)を含むか、またはそれからなる。特に、バリアントは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して少なくとも1つのアミノ酸が変化しているアミノ酸配列を含む。「変化している」により、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して少なくとも1つのアミノ酸が欠失しているか、挿入されているか、または置換されていることが意図されている。「欠失している」により、アミノ酸配列が1アミノ酸短くなるように、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)に存在する少なくとも1つのアミノ酸が除去されていることが意図されている。「挿入されている」により、アミノ酸配列が1アミノ酸長くなるように、少なくとも1つの追加のアミノ酸が配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)中に導入されていることが意図されている。「置換されている」により、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)の少なくとも1つのアミノ酸が、代替アミノ酸に置き換えられていることが意図されている。
【0090】
本明細書におけるアミノ酸は、下に記載するように、完全名、3文字の略号または1文字の略号で呼ばれうる。
【0091】
【表4】
【0092】
典型的には、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個または9個のアミノ酸が変化している。典型的には、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、2個または1個以下のアミノ酸が変化している。任意のこれらの下限が、任意のこれらの上限と組み合わされて、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して許容される変化の数の範囲を定義してもよいことが認められる。したがって、たとえば、本発明のポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して許容されるアミノ酸変化の数が、2から3、2から4、2から5、2から6、2から7、2から8、2から9、2から10、3から4、3から5、3から6等の範囲である、アミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0093】
配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、少なくとも2個のアミノ酸が変化していることが特に好ましい。好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して許容されるアミノ酸変化の数は、2から9、2から8または2から7の範囲である。
【0094】
上述の数および範囲は、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較した欠失、挿入または置換の任意の組合せで達成できる。たとえば、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、欠失のみ、挿入のみ、もしくは置換のみ、または欠失、挿入もしくは置換の任意の混合があってもよい。好ましくは、バリアントは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、すべての変化が置換であるアミノ酸配列を含む。すなわち、配列番号3の配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、アミノ酸が欠失も挿入もされていない配列である。好ましいバリアントのアミノ酸配列において、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のアミノ酸が置換されており、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、アミノ酸が欠失も挿入もされていない。
【0095】
好ましくは、配列番号3の配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較した変化は、配列番号3のFGループ領域(位置114から121)および/またはベータシート領域にある。ベータシート領域の鎖は、配列番号3に以下の位置を有する。すなわち、A:27〜31、B:36〜37、C:54〜58、C’:64〜69、C’’:72〜74、D:86〜88、E:95〜97、F:107〜113、G:122〜133。
【0096】
最も好ましくは、配列番号3の配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較した変化は、32、48、49、54、74、77、79、103、107、111、118、120、121、122、125、127または134から選択される1つまたは複数の位置にある。本明細書におけるアミノ酸位置のすべてのナンバリングは、配列番号4においてN末端から始めてアミノ酸を数えることに基づく。したがって、配列番号3のN末端の最初の位置は24とナンバリングされる(図4のスキーム図を参照のこと)。
【0097】
特に好ましい挿入には、位置116と117との間に挿入される単一の追加アミノ酸、および/または、位置118と119との間に挿入される単一の追加アミノ酸が含まれる。挿入されるアミノ酸は、好ましくは、チロシン(Y)、セリン(S)、グリシン(G)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)である。
【0098】
特に好ましい置換は、位置122においてであり、これはアルギニン(R)である。本発明のポリペプチドは、好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、位置122が置換されているアミノ酸配列を含む。位置122における最も好ましい置換は、アルギニン(R)を、リジン(K)またはアスパラギン(N)と置き換えるものであり、好ましい順に並べている。この置換は、R122K/Nと呼ばれうる。
【0099】
他の好ましい置換は、位置107、121および125におけるものであり、これらはそれぞれ、ロイシン(L)、イソロイシン(I)およびグルタミン酸(Q)である。位置122における置換に加えて、本発明のポリペプチドは、好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列(またはA24およびP25を欠く前記配列)と比較して、位置107、121および125におけるアミノ酸のうちの少なくとも1つもまた置換されているアミノ酸配列を含む。本発明のポリペプチドのアミノ酸配列はまた、位置32、48、49、54、64、74、77、79、103、111、118、120、127および134のうちの1つまたは複数において置換されていてもよい。
【0100】
位置107における最も好ましい置換は、ロイシン(L)を、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)またはアルギニン(R)と置き換えるものであり、好ましい順に並べている。この置換は、L107I/F/Rと呼ばれうる。類似の表示法が本明細書に記載の他の置換のために使用される。位置121における最も好ましい置換は、イソロイシン(I)を、バリン(V)と置き換えるものである。この置換は、I121Vと呼ばれうる。位置125における最も好ましい置換は、グルタミン(Q)を、グルタミン酸(E)と置き換えるものである。この置換は、Q125Eと呼ばれうる。
【0101】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列において好ましくありうる他の置換は、以下を含む。すなわち、F32I、Q48L、S49T、V54I、V64I、K74I/R、S77A、H79D/S/A、K103E、I111V、T118S、M120L、N127S/DおよびA134T。
【0102】
ヒト野生型CD86の前記可溶性細胞外ドメインの特に好ましいバリアントは、配列番号6から24の以下のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むか、またはそれからなる。
【0103】
【表5】
【0104】
配列番号6から14に示すアミノ酸配列は、追加の残基APをN末端に任意選択で含んでいてもよい。配列番号15から24に示すアミノ酸配列は、残基APをN末端に任意選択で欠いていてもよい。いずれかの場合において、これらの残基は、配列番号3のA24およびP25に相当する。
【0105】
本発明のポリペプチドの部分B2は、ヒト野生型CD86の前記可溶性細胞外ドメインの上述のバリアントの任意のものを含んでいてもよいか、またはそれからなっていてもよい。すなわち、本発明のポリペプチドの部分B2は、配列番号6から24のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含んでいてもよいか、またはそれからなっていてもよい。
【0106】
結合性ドメインは、たとえばCTLA−4を発現する細胞、たとえばT細胞に投与されるとき、CTLA−4からのシグナル伝達を調節してもよい。好ましくは、結合性ドメインは、前記シグナル伝達を減少させ、すなわちそれを阻害または遮断し、それにより前記細胞の活性化を増加させる。薬剤(たとえば結合性ドメイン)の投与の結果としてのCTLA−4シグナル伝達および細胞活性化における変化は、任意の好適な方法により決定されてもよい。好適な方法には、薬剤の存在下または好適な対照の存在下で、T細胞の表面上に発現するCTLA−4に結合し、それを通じてシグナル伝達する(たとえばラージ細胞上の)膜結合性CD86の能力のアッセイが含まれる。対照の存在下でのT細胞IL−2産生のレベルおよび/またはT細胞増殖に対する、薬剤の存在下でのT細胞IL−2産生のレベルの増加またはT細胞増殖の増加は、CTLA−4を通じたシグナル伝達の減少および細胞活性化の増加を示す。このタイプの典型的なアッセイは、US20080233122の実施例9に開示されている。
【0107】
本発明のポリペプチド
本発明のポリペプチドは、ヒトCTLA−4およびヒトCD40の両方に特異的に結合可能であり、B1およびB2を含み、
B1は、ヒトCD40に特異的な抗体、またはその抗原結合性断片であり、
B2は、
(i)配列番号3のアミノ酸配列、または
(ii)前記結合性ドメインが、野生型ヒトCD86よりも高い親和性でヒトCTLA−4と結合するという条件で、配列番号3のアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸が変化しているアミノ酸配列
を含むか、またはそれらからなる、ヒトCTLA−4に特異的なポリペプチド結合性ドメインである。CTLA−4およびCD40の両方に特異的に結合可能であることにより、各部分について上述の定義により、部分B1がCD40に特異的に結合し、部分B2がCTLA−4に特異的に結合することが意図されている。好ましくは、部分B1およびB2のそれぞれの標的に対する結合特性は、それらが本発明のポリペプチドの一部として存在するときに、別々の部分として存在するときの部分B1およびB2の前記特性と比較して、変化しないか、または実質的に変化しない。本発明のポリペプチドの一部として存在するときの部分B1およびB2の結合特性は、任意の好適なアッセイにより評価できる。特に、それぞれ別々の部分についての上述のアッセイはまた、それらが本発明のポリペプチドの一部として存在するときのB1およびB2にも適用されうる。本発明のポリペプチドの結合特性を評価するための好適なアッセイはまた、実施例に記載されている。
【0108】
本発明のポリペプチドの部分B1は、抗体、またはその抗原結合性断片であり、これは典型的には、少なくとも1つの重鎖(H)および/または少なくとも1つの軽鎖(L)を含む。本発明のポリペプチドの部分B2は、B1の任意の部分に結合していてもよいが、典型的には、前記少なくとも1つの重鎖(H)または少なくとも1つの軽鎖(L)に、好ましくはNまたはC末端のいずれかにおいて結合していてもよい。本発明のポリペプチドの部分B2は、直接的にまたは任意の好適な結合分子(リンカー)を介して間接的に、そのように結合していてもよい。
【0109】
部分B1は、好ましくは、少なくとも1つの重鎖(H)および少なくとも1つの軽鎖(L)を含み、部分B2は、好ましくは、前記重鎖(H)または前記軽鎖(L)のいずれかのNまたはC末端に結合している。B1の例示的抗体は、2つの同一の重鎖(H)および2つの同一の軽鎖(L)からなる。かかる抗体は、典型的には、2本のアームとして構成され、そのそれぞれが、ヘテロ二量体として連結した1つのHおよび1つのLを有し、2本のアームは、H鎖間のジスルフィド結合により連結している。したがって、抗体は、事実上、2つのH−Lヘテロ二量体から形成されるホモ二量体である。本発明のポリペプチドの部分B2は、かかる抗体の両方のH鎖もしくは両方のL鎖、または1つのH鎖のみ、もしくは1つのL鎖のみと結合していてもよい。
【0110】
したがって、あるいは本発明のポリペプチドは、CTLA−4に特異的な少なくとも1つのポリペプチド結合性ドメインが結合している抗CD40抗体、またはその抗原結合性断片として記載されうるのであり、これは、ヒト野生型CD86の単量体可溶性細胞外ドメインまたはそのバリアントを含むか、またはそれらからなる。B1およびB2の結合性ドメインは、本発明のポリペプチドの唯一の結合性ドメインであってもよい。
【0111】
本発明のポリペプチドは、N−C方向に書かれた以下の式:
(a)H−(X)n−B2、
(b)B2−(X)n−H、
(c)L−(X)n−B2、または
(d)B2−(X)n−L
(式中、Hは抗体の(すなわちB1の)重鎖であり、Lは抗体の(すなわちB1の)軽鎖であり、Xはリンカーであり、nは0または1である)のうちのいずれか1つにより構成されるポリペプチドを含んでもよい。リンカー(X)がペプチドである場合、それは、典型的には、アミノ酸配列SGGGGSGGGGS、SGGGGSGGGGSAP、NFSQP、KRTVAまたは(SG)mを有し、式中、m=1から7である。
【0112】
本発明はまた、式(a)から(d)のうちのいずれかにより構成されるポリペプチドからなるポリペプチドを提供する。前記ポリペプチドは、単量体として提供されてもよく、多量体タンパク質、たとえば抗体の成分として存在していてもよい。前記ポリペプチドは、単離されていてもよい。かかるポリペプチドの例は、配列番号56から60および110から114として提供される。
【0113】
部分B2は、本発明のポリペプチドの任意の部分、またはリンカーに、任意の好適な手段により結合していてもよい。たとえば、ポリペプチドの様々な部分が、化学的結合により、たとえばペプチド結合で連結していてもよい。したがって、本発明のポリペプチドは、任意選択でペプチドリンカーにより連結している、B1(またはその構成部分)およびB2を含む融合タンパク質を含むか、またはそれからなってもよい。かかる融合タンパク質において、B1のCD40結合性ドメインおよびB2のCTLA−4結合性ドメインは、唯一の結合性ドメインであってもよい。
【0114】
分子をポリペプチドに結合するための他の方法は、当技術分野において知られている。たとえば、カルボジイミド結合(Bauminger & Wilchek (1980) Methods Enzymol. 70, 151-159)を、ドキソルビシンを含む様々な薬剤を、抗体またはペプチドに結合するために使用できる。水溶性カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)が、機能的部分を結合部分に結合するために特に有用である。さらなる例として、結合は、過ヨウ素酸ナトリウム酸化とそれに続く適切な反応物の還元的アルキル化により、またはグルタルアルデヒド架橋により達成できる。しかしながら、どの方法が選択されるかにかかわらず、部分B1およびB2が、本発明のポリペプチドの一部として存在するときに、好ましくは、それらの標的結合特性を保持または実質的に保持するかどうかの決定がなされるべきであることが認められる。
【0115】
本発明のポリペプチドを(直接的または間接的に)別の分子に結合するために、同じ技術が使用できる。他の分子は、治療剤または検出可能な標識でありうる。好適な治療剤には、細胞傷害性部分または薬物が含まれる。
【0116】
本発明のポリペプチドは、単離または実質的に単離された形態で提供できる。実質的に単離されていることにより、任意の周囲の媒体からの、完全ではないが実質的なポリペプチドの単離がありうることが意図されている。ポリペプチドは、それらの意図された使用に干渉しない担体または希釈剤と混合されていてもよく、それでも実質的に単離されているとみなされる。
【0117】
本発明の例示的ポリペプチドは、下に示す配列番号56から60のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。
【0118】
【表6-1】
【0119】
【表6-2】
【0120】
【表6-3】
【0121】
【表6-4】
【0122】
本発明のポリペプチドは、任意の好適な手段により製造できる。たとえば、ポリペプチドの全部または一部が、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチドを含む細胞により融合タンパク質として発現されていてもよい。
【0123】
あるいは、部分B1およびB2は、分離して製造でき、その後一緒に連結される。連結は、任意の好適な手段により、たとえば上述の化学的結合法およびリンカーを使用して達成できる。部分B1およびB2の分離製造は、任意の好適な手段により達成できる。たとえば、下でより詳細に説明するとおり、任意選択で別々の細胞における別々のヌクレオチドからの発現による。
【0124】
ポリヌクレオチド、ベクターおよび細胞
本発明はまた、本発明のポリペプチドの全部または一部をコードするポリヌクレオチドに関する。したがって、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の任意のポリペプチド、またはB1の全部もしくは一部またはB2の全部もしくは一部をコードしていてもよい。「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さの核酸の重合体形態、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはそれらの類似体を指す。ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子、遺伝子断片、メッセンジャーRNA(mRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、単離または実質的に単離された形態で提供できる。実質的に単離されていることにより、任意の周囲の媒体からの、完全ではないが実質的なポリペプチドの単離がありうることが意図されている。ポリヌクレオチドは、それらの意図された使用に干渉しない担体または希釈剤と混合されていてもよく、それでも実質的に単離されているとみなされる。
【0125】
選択されたポリペプチドを「コードする」核酸配列は、適切な調節配列の制御下に置かれたときに、インビボでポリペプチドに転写(DNAの場合)および翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンにより決定される。本発明の目的のため、かかる核酸配列には、ウイルス、原核生物または真核生物mRNAに由来するcDNA、ウイルスまたは原核生物DNAまたはRNAに由来するゲノム配列、および合成DNAまでもが含まれうるが、これに限定されるものではない。転写終結配列は、コーディング配列の3’側に位置する。
【0126】
抗体の重鎖または軽鎖アミノ酸配列の例をコードする代表的なポリヌクレオチドは、下に記載の配列のうちのいずれか1つを含むか、またはそれからなっていてもよい。
【0127】
【表7-1】
【0128】
【表7-2】
【0129】
【表7-3】
【0130】
【表7-4】
【0131】
【表7-5】
【0132】
【表7-6】
【0133】
部分B2の例をコードする代表的なポリヌクレオチドは、下に記載の配列番号25から43のうちのいずれか1つを含むか、またはそれからなっていてもよい。
【0134】
【表8-1】
【0135】
【表8-2】
【0136】
【表8-3】
【0137】
配列番号56から60および110から114のポリペプチドをコードする代表的なポリヌクレオチドは、下に記載の配列番号65から69および115から119のうちのいずれか1つを含むか、またはそれからなっていてもよい
【0138】
【表9-1】
【0139】
【表9-2】
【0140】
【表9-3】
【0141】
【表9-4】
【0142】
【表9-5】
【0143】
【表9-6】
【0144】
【表9-7】
【0145】
あるいは、好適なポリヌクレオチド配列は、これらの特定のポリヌクレオチド配列のうちの1つのバリアントであってもよい。たとえば、バリアントは、任意の上の核酸配列の置換、欠失または付加バリアントであってもよい。バリアントポリヌクレオチドは、配列表に記載した配列からの1個、2個、3個、4個、5個、10個まで、20個まで、30個まで、40個まで、50個まで、75個までまたはそれを超える核酸置換および/または欠失を含んでいてもよい。
【0146】
好適なバリアントは、本明細書に開示の核酸配列のうちのいずれか1つのポリヌクレオチドと少なくとも70%相同、好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは少なくとも95%、97%または99%それと相同であってもよい。好ましくは、これらのレベルの相同性および同一性が、少なくともポリヌクレオチドのコーディング領域に関して存在する。相同性の測定方法は、当技術分野においてよく知られており、本発明の文脈において、相同性は核酸同一性に基づき算出されることが当業者により理解される。かかる相同性は、少なくとも15個、好ましくは少なくとも30個、たとえば少なくとも40個、60個、100個、200個またはそれを超える連続ヌクレオチドの領域にわたって存在していてもよい。かかる相同性は、未修飾ポリヌクレオチド配列の全長にわたって存在していてもよい。
【0147】
ポリヌクレオチド相同性または同一性の測定方法は、当技術分野において知られている。たとえば、UWGCGパッケージは、相同性を算出するために使用できるBESTFITプログラムを提供する(たとえばそのデフォルト設定で使用される)(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387-395)。
【0148】
PILEUPおよびBLASTアルゴリズムもまた、相同性またはラインアップ配列(line up sequences)を算出するために(典型的にはそれらのデフォルト設定で)、たとえばAltschul S.F. (1993) J Mol Evol 36:290-300;Altschul, S, F et al (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載のとおり使用できる。
【0149】
BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて誰でも入手可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列の同じ長さのワードとアラインしたときに、いくつかの正の閾値スコアTと一致するかまたはそれを満たす、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコアリング配列ペア(HSP)を同定することを伴う。Tは、近傍ワードスコア閾値(neighbourhood word score threshold)(Altschul et al、上に記載)と呼ばれる。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含有するHSPを見つけるためのサーチを開始するためのシードとして働く。ワードヒットは、蓄積アラインメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に伸長される。各方向のワードヒットの伸長は、1つまたは複数の負のスコアリング残基アラインメントの蓄積により、蓄積アラインメントスコアが0以下になるとき、またはいずれかの配列の末端に到達するときに、停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラムは11のワード長(w)、50のBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919を参照のこと)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0150】
BLASTアルゴリズムは、2配列間の類似性の統計的解析を実施する。たとえば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照のこと。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の尺度の1つは、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然で生じる確率の指標を提供する。たとえば、配列が別の配列に類似するとみなされるのは、第1の配列を第2の配列と比較した最小和確率が、約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合である。
【0151】
ホモログは、関係するポリヌクレオチドにおける配列と、3個、5個、10個、15個、20個またはそれを超えるよりも少ない変異(そのそれぞれが、置換、欠失または挿入であってもよい)で異なっていてもよい。これらの変異は、ホモログの、少なくとも30個、たとえば少なくとも40個、60個または100個を超える連続ヌクレオチドの領域にわたって測定されてもよい。
【0152】
一実施形態において、バリアント配列は、遺伝コードの冗長性ゆえに、配列表に記載の特定の配列から変化してもよい。DNAコードは、4つの主な核酸残基(A、T、CおよびG)を有し、これらを、生物の遺伝子にコードされたアミノ酸、タンパク質を表す3文字のコドンを「つづる」ために使用する。DNA分子に沿ったコドンの直線配列は、それらの遺伝子によりコードされたタンパク質におけるアミノ酸の直線配列に翻訳される。コードは高度に縮重しており、20の天然アミノ酸をコードする61個のコドンおよび「終止」シグナルを表す3つのコドンがある。したがって、ほとんどのアミノ酸が、2つ以上のコドンによりコードされており、実際のところいくつかは、4つ以上の異なるコドンによりコードされている。したがって、本発明のバリアントポリヌクレオチドは、同じポリペプチド配列を本発明の別のポリヌクレオチドとしてコードしうるが、同じアミノ酸をコードする異なるコドンの使用により、異なる核酸配列を有しうる。
【0153】
したがって、本発明のポリペプチドは、それをコードし、発現可能なポリヌクレオチドから製造できるか、またはその形態で送達できる。
【0154】
本発明のポリヌクレオチドは、例としてSambrook et al (1989, Molecular Cloning - a laboratory manual; Cold Spring Harbor Press)に記載のとおり、当技術分野においてよく知られている方法により合成できる。
【0155】
本発明の核酸分子は、挿入配列に作動可能に連結されている制御配列を含み、それゆえインビボでの本発明のポリペプチドの発現を可能にする、発現カセットの形態で提供できる。これらの発現カセットは今度は、典型的には、ベクター(たとえば、プラスミドまたは組換えウイルスベクター)内に提供される。かかる発現カセットは、宿主対象に直接投与できる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを、宿主対象に投与できる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、遺伝子ベクターを使用して調製および/または投与される。好適なベクターは、十分量の遺伝情報を運搬可能であり、本発明のポリペプチドの発現を可能にする任意のベクターでありうる。
【0156】
したがって、本発明は、かかるポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む。かかる発現ベクターは、分子生物学の分野における常法により構築され、たとえば、プラスミドDNAおよび適切なイニシエーター、プロモーター、エンハンサーおよび他の要素、たとえば必要でありうるポリアデニル化シグナルの使用を伴いうるのであり、これらは、本発明のペプチドの発現を可能にするために正しい方向で配置される。他の好適なベクターは、当業者にとって明らかである。この点に関するさらなる例として、本発明者らはSambrook et al.を参照する。
【0157】
本発明はまた、本発明のポリペプチドを発現するように改変された細胞を含む。かかる細胞は、一過性の、または好ましくは安定的な高等真核細胞株、たとえば哺乳動物細胞もしくは昆虫細胞、下等真核細胞、たとえば酵母菌、または原核細胞、たとえば細菌細胞を含む。本発明のポリペプチドをコードするベクターまたは発現カセットの挿入により改変できる細胞の特定の例には、哺乳動物HEK293T、CHO、HeLa、NS0およびCOS細胞が含まれる。好ましくは、選択される細胞株は、安定的であるだけでなく、ポリペプチドの成熟グリコシル化および細胞表面発現を可能にするものである。
【0158】
本発明のかかる細胞株は、本発明のポリペプチドを製造するために常法を使用して培養でき、本発明の抗体を対象に送達するために治療的または予防的に使用できる。あるいは、本発明のポリヌクレオチド、発現カセットまたはベクターを、エクスビボで対象に由来する細胞に投与し、その後細胞を対象の身体に戻すことができる。
【0159】
医薬製剤、治療的使用、および患者群
別の一態様において、本発明は、本明細書に記載の本発明の分子、たとえばポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび細胞を含む組成物を提供する。たとえば、本発明は、1つまたは複数の本発明の分子、たとえば1つまたは複数の本発明のポリペプチドと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
【0160】
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合性である、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。好ましくは、担体は、非経口、たとえば静脈内、筋内または皮下投与(たとえば注射または注入による)に好適である。投与経路に応じて、ポリペプチドを物質で被覆して、ポリペプチドを不活性化または変性させうる酸および他の自然条件の作用からポリペプチドを保護できる。
【0161】
好ましい薬学的に許容される担体には、水性担体または希釈剤が含まれる。本発明の組成物において用いることのできる好適な水性担体の例には、水、緩衝水および生理食塩水が含まれる。他の担体の例には、エタノール、ポリオール、(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、植物油、たとえばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが含まれる。たとえば、被覆剤、たとえばレシチンの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持できる。多くの場合、組成物中に等張剤、たとえば、糖、多価アルコール、たとえばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0162】
本発明の組成物は、薬学的に許容される抗酸化剤をさらに含んでいてもよい。これらの組成物は、補助剤、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤をさらに含有していてもよい。微生物の存在の防止は、上の滅菌手順、ならびに、様々な抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の含有の両方により確保できる。等張剤、たとえば糖、塩化ナトリウム等を組成物中に含むこともまた所望されてもよい。加えて、吸収を遅らせる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの含有により、注射可能な医薬形態の持続的吸収がもたらされうる。
【0163】
治療組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で滅菌され、安定的でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の秩序立った構造として製剤化できる。
【0164】
滅菌注射可能溶液は、活性物質(たとえばポリペプチド)を必要な量で、上に挙げた成分の1つまたは組合せとともに適切な溶媒中に組み込むことにより調製でき、必要であれば、続けて滅菌精密ろ過できる。一般に、分散液は、基本の分散媒体および上に挙げたものからの必要な他の成分を含有する滅菌媒体中に活性物質を組み込むことにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、好適な調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、それらは、活性物質と任意の追加の所望の成分との粉末を、以前に滅菌ろ過したそれらの溶液からもたらす。
【0165】
特に好ましい組成物は、全身投与または局所投与のために製剤化される。局所投与は、腫瘍の部位においてであっても、腫瘍流入領域リンパ節内にであってもよい。組成物は、好ましくは、一定期間にわたる徐放のために製剤化できる。したがって、組成物は、マトリクス促進徐放において、またはその一部として提供できる。好ましい徐放マトリクスは、モンタニドまたはγ−ポリグルタミン酸(PGA)ナノ粒子を含んでいてもよい。任意選択で持続的な期間にわたる本発明のポリペプチドの局所放出は、CTLA−4アンタゴニストの投与と関連付けられる潜在的な自己免疫副作用を減少させうる。
【0166】
本発明の組成物は、本発明のポリペプチドとともに追加の活性成分を含んでいてもよい。上述のとおり、本発明の組成物は、1つまたは複数の本発明のポリペプチドを含んでいてもよい。本発明の組成物は、追加の治療剤または予防剤をさらに含んでいてもよい。
【0167】
ポリペプチドまたは他の本発明の組成物および使用説明書を含むキットも本発明の範囲内である。キットは、1つまたは複数の追加の試薬、たとえば上で論じた追加の治療剤または予防剤をさらに含んでいてもよい。
【0168】
本発明によるポリペプチドは、治療または予防において使用されてもよい。治療用途において、ポリペプチドまたは組成物は、障害または状態にすでに罹患している対象に、状態または1つもしくは複数のその症状を治癒、緩和または部分的抑止するのに十分な量で投与される。かかる治療処置は、疾患症状の重症度の減少、または症状のない期間の頻度もしくは持続性の増加をもたらしうる。これを達成するのに適切な量は、「治療有効量」として定義される。予防用途において、ポリペプチドまたは組成物は、まだ障害または状態の症状を示していない対象に、症状の発症を予防するか、または遅滞させるのに十分な量で投与される。かかる量は、「予防有効量」として定義される。対象は、任意の好適な手段により、疾患または状態を発症するリスクのあるものとして同定されてもよい。
【0169】
特に、本発明のポリペプチドは、癌の治療または予防において有用でありうる。したがって、本発明は、癌の治療または予防における使用のための本発明のポリペプチドを提供する。本発明はまた、個体に本発明のポリペプチドを投与することを含む、癌を治療または予防する方法を提供する。本発明はまた、癌を治療または予防するための医薬の製造における使用のための本発明のポリペプチドを提供する。
【0170】
癌は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、肺癌、子宮頚癌、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、黒色腫、膀胱癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、皮膚癌、リンパ腫またはグリア芽腫であってもよい。
【0171】
本発明のポリペプチド、または前記ポリペプチドを含む組成物は、1つまたは複数の投与経路を介して、当技術分野において知られている1つまたは複数の多様な方法を使用して投与できる。当業者により認められているとおり、投与の経路および/または方式は、所望の結果に応じて変化する。全身投与または局所投与が好ましい。局所投与は、腫瘍の部位においてであっても、腫瘍流入領域リンパ節内にであってもよい。本発明のポリペプチドまたは組成物のための好ましい投与方式には、注射または注入による、静脈内、筋内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口投与方法が含まれる。本明細書において使用される「非経口投与」という文言は、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与方式を意味する。あるいは、本発明のポリペプチドまたは組成物は、非経口でない方式、たとえば局所、表皮または粘膜投与方式を介して投与できる。
【0172】
本発明のポリペプチドの好適な用量は、熟練の医師により決定できる。本発明の医薬組成物における活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物、および投与方式について、患者に対して毒性を有することなしに、所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分の量を得るために変化しうる。選択される用量レベルは、用いられる特定のポリペプチドの活性、投与経路、投与時間、ポリペプチドの排出率、治療期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および以前の病歴等、医療分野でよく知られている要因を含む、多様な薬物動態学的要因に依存すると考えられる。
【0173】
本発明のポリペプチドの好適な用量は、たとえば、治療される患者の体重1kg当たり約0.1μgから約100mgの範囲であってもよい。たとえば、好適な用量は、1日当たり体重1kg当たり約1μgから約10mg、または1日当たり体重1kg当たり約10gから約5mgであってもよい。
【0174】
投与計画は、最適な所望の反応(たとえば、治療反応)を提供するために調整されてもよい。たとえば、単回ボーラスを投与でき、複数回に分けられた用量を経時的に投与でき、または治療状況の要求に示されるとおり用量を比例的に減少または増加させることができる。投与の簡便性および用量の均一性のために、非経口組成物を用量単位形態で製剤することがとりわけ有利である。本明細書において使用される用量単位形態は、治療される対象のための単回用量に合わせて物理的に区分された単位を指し、各単位は、必要な医薬担体とともに所望の治療効果をもたらすよう算出された所定の量の活性化合物を含有する。
【0175】
ポリペプチドを、単回投与または複数回投与で投与できる。複数回投与は、同じまたは異なる経路を介して、同じまたは異なる部位に投与できる。あるいは、ポリペプチドは、上述の徐放製剤として投与でき、この場合には、より低い頻度の投与が必要である。用量および頻度は、患者におけるポリペプチドの半減期および所望の治療期間に応じて変化しうる。投与の用量および頻度はまた、処置が予防的か治療的かどうかに応じて変化しうる。予防的用途においては、相対的に低い用量を、相対的に低い頻度の間隔で長期間にわたり投与できる。治療的用途においては、相対的に高い用量を、たとえば患者が疾患の症状の部分または完全寛解を示すまで投与できる。
【0176】
2種以上の薬剤の併用投与が、数多くの異なる仕方で達成できる。一実施形態において、ポリペプチドおよび他の薬剤を単一の組成物において一緒に投与できる。別の一実施形態において、ポリペプチドおよび他の薬剤を、別々の組成物において併用療法の一部として投与できる。たとえば、調節因子を、他の薬剤の前、後、またはそれと同時に投与できる。
【0177】
本発明のポリペプチドまたは組成物は、ヒトCD40およびヒトCTLA−4を発現する細胞集団の活性化を増加させる方法であって、前記細胞集団に、本発明のポリペプチドまたは組成物を、前記細胞と本発明のポリペプチドとの間の相互作用を許容するのに好適な条件下で投与することを含む方法においても使用されうる。細胞集団は、典型的には、CTLA−4を発現する少なくともいくつかの細胞、典型的にはT細胞、およびCD40を発現する少なくともいくつかの細胞、典型的には抗原提示細胞、たとえばB細胞を含む。この方法は、典型的には、エクスビボで実施される。
【0178】
本発明を、以下の実施例によりさらに例示するが、これらはさらに限定するものと解釈されるべきではない。本出願において引用されるすべての図およびすべての参考文献、特許および公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
実施例
【0179】
実施例1から4−部分B2のためのCD86のポリペプチドバリアントの開発
【実施例1】
【0180】
第1選択
イントロダクション
ポリペプチドバリアントの製造のための出発物質は、ヒトCD86の単量体可溶性細胞外結合性ドメインであった。すなわち、ヒトCD86のCTLA−4結合性ドメインである。このドメインのアミノ酸配列およびCTLA−4と複合したCD86の構造モデル(Schwartz et al; Nature 2001; 410(6828) p604-608)を、候補ポリペプチドの4つの異なる出発ファージディスプレイライブラリーを設計するために使用した。すなわち、AL−1014−01、AL−1014−02、AL−1014−03およびAL−1014−04である。標準的プロトコルを使用し、候補ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を使用して、ファージディスプレイライブラリーを製造した。候補ポリペプチドのアミノ酸配列は、下に記載のとおり設計した。
【0181】
ライブラリー設計
ライブラリーAL−1014−01の設計の主目的は、CTLA−4との相互作用のための、CD86の結合性ドメインの結合表面の増加を提供することであった。この目的のため、CD86のFGループ(位置114から121、図4におけるナンバリング)における様々な残基を変異のため選択した。FGループの伸長を可能にする2つの挿入もまた導入した。CD86の野生型配列に対する位置および導入変異を、下の表1に要約した。各位置において許容される可変性が示される。表1に示すすべての可能な変異の組合せから生じるすべての可能なポリペプチドをコードするヌクレオチドを設計し、AL−1014−01ファージディスプレイライブラリーを標準的プロトコルにより製造するために使用した。
【0182】
【表10】
【0183】
ライブラリーAL−1014−02において、CTLA−4に面するCD86の結合表面におけるアミノ酸位置が、野生型アミノ酸と非常に限定された数の相同残基との間で変化することを可能にし、CD86のベータシート表面に最小限の構造摂動を導入した。ライブラリーAL−1014−02の位置および導入変異を、表2に示す。位置79の変異は、CD86のCTLA−4に対する結合に好ましく寄与することが報告されており(Peach et al; Journal of Biological Chemistry 1995; 270 p21181-21187)、この位置もまたライブラリーにおいて変化することを可能にした。各位置において許容される可変性が示される。表2に示すすべての可能な変異の組合せから生じるすべての可能なポリペプチドをコードするヌクレオチドを設計し、AL−1014−02ファージディスプレイライブラリーを標準的プロトコルにより製造するために使用した。表2はまた、対応するヌクレオチド配列において示された変異を表すのに使用されたIUPAC−IUBコードを示す。IUPAC−IUBコードは、典型的には、所定の位置における複数のヌクレオチドの可能性を定義するために使用され、ヌクレオチド配列において不完全に特定されている塩基のために認められている命名規則のセットに基づく(Biochem. J., 1985, 229, 281-286;Eur. J. Biochem., 1985, 150, 1-5; J. Biol. Chem., 1986, 261, 13-17;Mol. Biol. Evol., 1986, 3, 99-108;Nucl. Acids Res., 1985, 13, 3021-3030;Proc. Nat. Acad. Sci. (U. S.), 1986, 83, 4-8;およびBiochemical Nomenclature and Related Documents 2nd edition, Portland Press, 1992, pp 122-126を参照のこと)。これらの実験において使用されたIUPAC−IUBコードを下の表2に要約する。
【0184】
【表11】
【0185】
【表12】
【0186】
さらに2つのライブラリーを設計した。これら2つのライブラリーにおいて、CD86のIgGVドメイン全体が、野生型CD86をコードするヌクレオチド配列を取り上げ、変異バイアスを最小化するためにエラープローンPCR法セットアップを使用することにより、ランダム化された。得られた変異体ヌクレオチド配列を、ファージディスプレイライブラリーを標準的プロトコルにより製造するために使用した。
【0187】
3つの異なるランダム変異誘発ライブラリーを生成し、そのうち2つを選択した。ランダム化ラウンド2からAL−1014−03を取り上げ、ランダム化ラウンド3はAL−1014−04を提供した。
【0188】
AL−1014−1、AL−1014−2、AL−1014−3およびAL−1014−04を、ファージミドベクターへとクローニングすることにより製造し、標準的プロトコルによりファージストックを生成した。
【0189】
選択方略
本実施例において適用した選択方略は、6回のラウンド(R1からR6)からなり、これを表3に要約する。
【0190】
【表13】
【0191】
選択の第1ラウンド(R1)は、出発ライブラリーAL−1014−01、AL−1014−02、AL−1014−03およびAL−1014−04のメンバーを、ビオチン化CTLA4−Fcγ(50nM)へのバインダーのために富化した。機能的バインダーのための富化をシークエンシングにより確認した。
【0192】
R1からのアウトプットは、機能的バインダーのために富化された、各出発ライブラリーからのファージクローンのプールであった。ライブラリーAL−1014−03およびAL−1014−04からのアウトプットを、その後組み合わせて新しいライブラリーAL−1014−05とした。ライブラリーAL−1014−01、AL−1014−02およびAL−1014−04からのアウトプットを、組み合わせて新しいライブラリーAL−1014−06とした。次に、ライブラリーAL−1014−05およびAL−1014−06のメンバーを、5回の追加スクリーニングラウンド(R2からR6)にかけて、CTLA−4への結合の増加およびCD28への結合の減少について選択した。
【0193】
追加の5回の選択ラウンドのための方略は、親和性、オンレート、オフレート、選択性、多量体化およびエピトープ維持の特性の改善を特に目的とした選択圧を適用するというものであった。
【0194】
親和性の増加についての選択は、各ラウンドの抗原濃度を下げることにより達成した。選択は、50nM CTLA−4で始まり、5nMに下げてこれをラウンドR2、R4およびR5で維持し、その後最終ラウンド(R6)でCTLA−4濃度は2nMであった。オンレートの増加についての選択は、ビオチン化CTLA−4でのインキュベーション時間を短縮することにより達成した。オフレートの減少についての選択は、洗浄ステップ中のストリンジェンシーを増加させることにより達成した。CTLA−4の選択性の増加(およびCD28への結合親和性の減少)についての選択は、過量の非ビオチン化CD28−Fc中でインキュベートすることにより達成した(R2、R4、R5およびR6において)。マウスCTLA−4への結合親和性の維持は、選択抗原としてビオチン化マウスCTLA−4をヒトCTLA−4の代わりに使用したラウンド(R3)を含めることにより確保した。マウスCTLA−4への親和性が維持されて、マウスモデルにおける概念実証実験を可能にすることを保証するために、このステップを含めた。結合力効果について選択することは、非ビオチン化CTLA−4を、ビオチン化CTLA−4でのインキュベーション開始の5分後に導入することにより回避した(R5およびR6において)。選択緩衝液への非ビオチン化Fcγ(IgG)の添加を、CTLA−4抗原のFc融合部分へのバインダーを選択するのを回避するために実施した。
【0195】
温度感受性の減少および融点の潜在的増加が、増加した温度(60℃)で選択ステップを導入することにより得られた(R4)。低pHでの親和性の増加に、より低いpHでの選択ラウンドを導入することにより対処した(R6)。
【0196】
選択ラウンド後、R5およびR6からの個々のファージクローンを、従来の親和性ELISAアッセイにおけるハイスループットスクリーニングにより解析した。アッセイは、CTLA−4またはCD28のいずれかに対するファージの結合を測定するサンドイッチELISAであった。簡潔に述べると、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を、一晩4℃でインキュベートすることにより、CTLA4−Fcγ(Orencia、Apoteket)またはCD28−Fcγ(R&D systems 342−CD)のいずれかでコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%粉乳(Semper)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料または対照をウェルに添加した。試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。検出抗体、マウス抗M13−HRP(GE Healthcare、#27−9421−01)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。
【実施例2】
【0197】
選択されたポリペプチドの発現およびリクローニング
実施例1から選択されたファージクローンを、標準的プロトコルにより、融合タンパク質フォーマット内にリクローニングし、各クローンをγ2/γ4 Fcに融合した。融合タンパク質をHEK293細胞内で発現させた。細胞の培養上清を回収し、下に記載の方法によりELISAおよびBiacore(商標)の両方を使用して発現した融合タンパク質をアッセイした。結果を表4に示し、これはまた各クローンに存在する変異を示す。ELISAアッセイ(907)で最も性能の良いクローンは、野生型タンパク質CD86よりもほぼ10倍高いEC50結合比を有していた。Biacore(商標)アッセイ(904)で最も性能の良いクローンは、野生型タンパク質CD86よりも4倍超高いKd結合比を有していた。
【0198】
結合ELISA
96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を、一晩4℃でインキュベートすることにより、CTLA4−Fc(Fitzgerald#30R−CD152)またはCD28−Fc(R&D systems 342−CD)のいずれかでコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料または対照(1/5に連続希釈 200〜0.001μg/ml)をウェルに添加した。試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。検出抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fcγ−HRP(Jackson、#109−035−098)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。EC50値をCTLA4およびCD28の両方について算出した。結合比(EC50結合比=[CD28に対するEC50]÷[CTLA−4に対するEC50])を、各ポリペプチドについて算出し、表4に示した。
【0199】
Biacore(商標)
CTLA4−Fc(Fitzgerald#30R−CD152)またはCD28−Fc(R&D systems 342−CD)を、従来のアミン結合を使用してBiacore(商標)センサーチップ、CM5に固定化した。CD86変異体分子および対照(1/2に連続希釈 100〜1.5nM)を、HBs−P(GE、BR−1003−69)における結合について流速30μl/mlで解析した。会合が3分間、解離が10分間続いた。5mM NaOHを30秒間使用して再生を2度実施した。動態パラメータおよび親和性定数を、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して算出した。結合比(Kd結合比=[CD28に対するKd]÷[CTLA−4に対するKd])を、各ポリペプチドについて算出し、表4に示した。
【0200】
【表14】
【0201】
表5は、選択されたクローンのそれぞれにおける変異および位置を要約する。クローン900、901、904、906、907、908、910、915および938についての完全アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号6から14として提供する。
【0202】
【表15】
【実施例3】
【0203】
拡張されたライブラリー多様性および反復選択およびスクリーニング。
ライブラリー製造
2つのさらなるライブラリーAL−1014−11およびAL−1014−12の出発物質は、実施例1および2において同定された6つのクローン、すなわち、901、904、906、907、908、915であった。リアセンブリPCRステップ(reassembly PCR step)に含まれる変異オリゴでのエラープローンPCRにより、WO2002048351、WO200309734、およびWO2007057682に記載のプロトコルに従い追加の多様性を生じた。適用されたオリゴは、CD86分子のホットスポット領域における変異を含んでいた。各ライブラリーからおよそ20個のクローンをシークエンシングした。2つのライブラリーは、組換えクローン、エラープローンPCR生成クローン、および変異オリゴの導入により製造されたクローンを含有していた。各クローンは、CD86の野生型配列と比較して平均して3個〜11個の変異を含有していた。
【0204】
選択方略
実施例1に記載の選択ラウンドR2からR6を、ライブラリーAL−1014−11およびAL−1014−12の両方に適用した。最後の2回のラウンドにおいて選択されたクローンをシークエンシングし、組換えおよび新規変異が得られたことを確認した。
【0205】
選択されたクローンの評価
最後の2回の選択ラウンドからのおよそ1250個のクローンを、ファージストックとして発現させ、CTLA−4およびCD28との結合について、実施例1に記載の同じハイスループットスクリーニングELISAにより解析した(データは示さず)。クローンをそれらのCTLA−4およびCD28との結合に基づき順位付けした。上位10個のクローンを、CTLA−4への高い結合性およびCD28への低い結合性の基準に基づき選択した。これらクローンの配列を決定し、それぞれをHEK293細胞からガンマ2/ガンマ4融合として、実施例2に記載のとおり発現させた。
【0206】
表6は、上位10個のクローンのそれぞれにおける変異および位置を要約する。クローン1038、1039、1040、1041、1042、1043、1044、1045、1046および1047についての完全アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号15から24として提供する。
【0207】
【表16】
【実施例4】
【0208】
上位10個のポリペプチドのさらなる評価
実施例3において選択された10個のクローンそれぞれからのポリペプチドを、さらに以下のとおり特徴付けた。
【0209】
発現および精製
各クローンをコードするプラスミドを、Freestyle 293−T細胞(Invitrogen)に標準的プロトコルによりトランスフェクトし、上清を6日目に回収した。ポリペプチドおよび対照を、プロテインAカラム(GE Healthcare#17−0402−01)を使用して親和性精製した。
【0210】
結合ELISA
実施例2に記載のプロトコルと同様に、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を、4℃で一晩インキュベートすることにより、CTLA4−Fc(Fitzgerald#30R−CD152)またはCD28−Fc(Simon Davis、オクスフォード大学の好意により提供)のいずれかでコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料または対照(1/3に連続希釈 50000〜0001nM)をウェルに添加した。試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。検出抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fcγ−HRP(Jackson、#109−035−098)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。
【0211】
CTLA−4結合ELISAの結果を図1に示す。EC50値を算出し、表7に示す。すべての分子は、野生型およびH79Aの両方よりも良好なEC50値を示し、2から67倍の間の改善であった。CD28の結合性は低すぎて検出できなかった(データは示さず)。
【0212】
【表17】
【0213】
阻害ELISA
96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を4℃で一晩インキュベートすることにより、野生型CD28−Fc(R&D Systems#7625−B2)でコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。試料(CD86変異体または野生型タンパク質、1/4に連続希釈 30000から0.3ng/ml)をビオチン化CTLA4(Fitzgerald#30R−CD152)で、室温で1時間インキュベートし、次に混合物をELISAプレートのブロッキングされたウェルに添加した。検出をストレプトアビジン−HRP(Pierce#21126)で実施し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。結果を表2に示す。IC50値を算出し、表8に示す。すべての分子は、野生型およびH79Aの両方よりも良好なIC50値を示し、最良の変異体CD86分子のICは、野生型と比較して100倍超改善した。
【0214】
【表18】
【0215】
Biacore(商標)
実施例2におけるように、CTLA4−Fc(Fitzgerald#30R−CD152)またはCD28−Fc(Simon Davis、オクスフォード大学の好意により提供)のいずれかを、従来のアミン結合を使用してBiacore(商標)センサーチップ、CM5に固定化した。CD86変異体分子および対照(1/3に連続希釈 1000〜4nM)を、HBs−P(GE、BR−1003−69)における結合について流速30μl/mlで解析した。会合が3分間、解離が10分間続いた。5mM NaOHを30秒間使用して再生を2度実施した。動態パラメータおよび親和性定数を、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して算出した。
【0216】
CTLA−4に対するそれぞれの選択されたクローンおよび野生型CD86のCTLA−4の結果を表9に要約する。各クローンに存在する変異もまた示す。Peach et al (Journal of Biological Chemistry 1995, vol 270(36), 21181-21187)からのH79A変異のみを含むクローンもまた、比較のために含めた。CD28の結果は示さない。なぜなら、ほとんどの場合、CD28に対する親和性は弱すぎてこのプロトコルにより決定できなかったからである。しかしながら、それが決定できた場合には、選択されたCD86クローンのCD28に対する親和性は、CTLA−4に関するものの100分の1以下である。
【0217】
選択されたクローンがマウスCTLA−4にも結合することもまた決定した(データは示さず)。
【0218】
【表19】
【実施例5】
【0219】
例示的二重特異性分子のクローニングおよび構築
本発明による二重特異性ポリペプチドを、図3に示すスキーム図により、表Aに記載のとおり製造した。
【0220】
【表20】
【0221】
変異ヒトCD86可変可溶性ドメイン(B2)、リンカー(X)および制限酵素部位をコードする配列を、インシリコで設計した。配列を、Eurofins MWG Operon(エーバースベルク、ドイツ)から注文し、CD40結合抗体(A2−54、Ellmark et al.,Immunology, 108, 452-457, 2003)の重鎖または軽鎖を含有するベクター内にクローニングした。次に、ベクターをFreestyle 293細胞(Invitrogen Corp.、カールズバッド、米国)内に、製造者の指示に従いトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を培養して回収した。細胞によりもたらされた二重特異性構築物をプロテインAカラム(HisTrapプロテインA、GE Helthcare)上で、標準的方法により精製した。
【実施例6】
【0222】
例示的二重特異性分子の特徴付け
実施例5において製造されたポリペプチドの等電点を、GP−MAWソフトウェアを使用して決定し、下に示す。
【0223】
【表21】
【0224】
動的光散乱、DLSを、凝集作用を研究し、分子量を確認するために、標準的プロトコルにより使用した。1mg/mlの濃度で試験された2つの代表的ポリペプチド、956/530および957/530については、凝集は観察されなかった。956/530および957/530について観察されたMwはそれぞれ、265kDaおよび282kDaであった。
【0225】
動的光散乱を、Malvern Zetasizer NanoシリーズZEN1600(ウースターシャー、英国)およびMalvern低容積クオーツバッチキュベット(ZEN2112)を製造者の指示に従い使用して測定した。Biozym製200μl滅菌およびダストフリーピペットチップ、カタログ番号720328を、各移動ステップで使用した。干渉するダスト粒子を、解析前に5分間、13000rpmでの試料の遠心分離により除去した。
【実施例7】
【0226】
例示的二重特異性分子の二重結合特異性の実証
CTLA−4への結合
実施例5においてもたらされたポリペプチドのCTLA−4への結合を、標準的結合ELISAにより評価した。簡潔に述べると、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を4℃で一晩インキュベートすることにより、CTLA4−Fc(Fitzgerald#30R−CD152)でコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料または対照(1/に連続希釈 50000〜0001nM)をウェルに添加した。CD40のための単一特異性抗体(530/531:A2−54)を対照として使用した。試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。検出抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fcγ−HRP(Jackson、#109−035−098)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(PerkinElmer)で検出した。結果を図5に示す。図5Aにおいて、異なる濃度の二重特異性分子の、ELISAプレート上にコーティングされたCTLA−4に対する結合が示される。図5Bにおいて、1つの固定濃度(100ng/ml)の二重特異性分子の、ELISAプレート上にコーティングされたCTLA−4に対する結合が示される。二重特異性分子は、CTLA−4に特異的に結合する。
【0227】
CD40への結合
実施例5においてもたらされたポリペプチドのCD40への結合を、標準的結合ELISAにより評価した。簡潔に述べると、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を4℃で一晩インキュベートすることにより、CD40−Fc(Ancell#504−820)でコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料または対照(1/2に連続希釈、0.2μg/mlで開始)をウェルに添加した。アミノ酸配列配列番号8の単離ポリペプチド(可溶性CTLA−4結合性ドメイン参照番号904)を対照として使用した。なぜならそれは、CTLA−4のみに特異的に結合するからである。
【0228】
試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。検出抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fcγ−HRP(Jackson、#109−035−098)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。結果を図6に示す。図6Aにおいて、異なる濃度の二重特異性分子の、ELISAプレート上にコーティングされたCD40に対する結合が示される。図6Bにおいて、1つの固定濃度(100ng/ml)の二重特異性分子の、ELISAプレート上にコーティングされたCD40に対する結合が示される。二重特異性分子は、CD40に特異的に結合する。
【0229】
CD40およびCTLA−4に対する二重結合
実施例5において製造されたポリペプチドの、CD40およびCTLA−4の両方に対する同時結合を評価するために、二重ELISAを開発した。簡潔に述べると、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を4℃で一晩インキュベートすることにより、CD40−Fc(Ancell#504−820)でコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。プレートを再び洗浄し、試料(957/530、956/530)または対照(0.2μg/ml)をウェルに添加した。単一特異性抗CD40抗体を対照として使用した(A2−54)。試料を1時間室温でインキュベートし、次に洗浄した。次に、ビオチン化CTLA4−Fc(Orencia、Bristol−Mayers Squibb)(1/4に連続希釈 3.4〜215nM)を添加した。次にストレプトアビジン−HRP(Pierce#21126)を添加し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。結果を図7に示し、これは、二重特異性分子が2つの抗原に同時に結合することを実証する。
【0230】
表面プラズモン共鳴解析
CTLA−4およびCD40に同時に結合する二重特異性分子の能力を、Biacore(商標)解析によりさらに確認した。CD40−Fc(R&D#1493−CD)を、従来のアミン結合を使用して、Biacoreセンサーチップ、CM5に固定化した。0.5μM二重特異性構築物(957/530)を、固定化CD40上に3分間注射し、解離を3分間続けた。2.17μMのCTLA4−Fc(Orencia、Bristol−Mayers Squibb)を、CD40二重特異性複合体上に3分間注射し、解離段階を3分間続けた。10mMグリシン、pH1.7を使用して、チップを最後に再生した。Biacore3000機器を、製造者のプロトコルにより使用した。結果を図8に示す。黒線は、二重特異性分子957/530のCD40に対する結合(時間75秒)、および、可溶性CTLA−4の注射時(時間400秒)、CD40およびCTLA−4に対する同時結合を示す。点線は、CD40のみに結合する対照Ab、単一特異性抗体(530/531、A2−54)の結合を示す。結果は、二重特異性分子が、CD40およびCTLA−4に同時に特異的に結合可能であることを実証する。
【実施例8】
【0231】
細胞により発現させられる標的に対する、例示的二重特異性分子の二重結合特異性の実証
WEHI細胞上に発現するヒトCD40およびHEK細胞上に発現するヒトCTLA−4に同時に結合する二重特異性抗体の能力を、インビトロでフローサイトメトリー解析により決定した。簡潔に述べると、WEHI−CD40細胞をPKH67(Sigma−Aldrich#MIDI67)で標識化し、HEK−CTLA4細胞をPKH26(Sigma−Aldrich#MINI26)で標識化し、細胞をPBS−2%BSAで洗浄した。1細胞タイプ当たり0.5×10個を、二重特異性ポリペプチド(957/530)と30分間室温で混合した。細胞を洗浄し、FACScalibur機器上で製造者の指示(Becton Dickinson、米国)に従い解析し、次に平均蛍光強度(「MFI」)を決定した。代表的なFACSプロットを図9に示す。これは、二重特異性ポリペプチドによる2つの標的への同時結合がインビトロで生じ、この二重特異性結合が、CTLA−4発現細胞とCD40発現細胞間の細胞−細胞接触をもたらすことを確認する。これは、蛍光顕微鏡法によりさらに確認された(示さず)。
【実施例9】
【0232】
ヒトB細胞の増殖を誘導する例示的二重特異性分子の能力の実証
末梢血からのバフィーコートを、スウェーデンのUppsala University Hospital Blood CenterおよびLund University Hospitalの健常血液ドナーから得た。ヒトPBMCをFicoll−Paque密度勾配遠心分離により単離した。CD19+B細胞を、MACSマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)で製造者の指示に従い単離した。CD19+細胞(5×10個/ウェル、>95%純度)を、R10培地中で10ng/mlのIL−4および本発明のポリペプチド(957/530)、またはCD40のための単一特異性抗体(530/531:A2−54)のいずれかの希釈系列とともに培養し、またはアミノ酸配列配列番号8の単離ポリペプチド(可溶性CTLA−4結合性ドメイン参照番号904)を対照として使用した。なぜならそれは、CTLA−4のみに特異的に結合するからである。48から72時間後、代謝活性をCellTiter−Glo(Promega、WI、米国)で測定した。GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.)を使用してEC50値を算出した。結果を表10に示す。本発明の二重特異性ポリペプチドは、ヒトB細胞の増殖の相乗的増加をもたらす。
【実施例10】
【0233】
カニクイザルCD40に対する交差反応性
カニクイザルCD40を発現する細胞に結合する例示的二重特異性ポリペプチドの能力を、カニクイザルCD40の細胞外部分をコードする遺伝子をトランスフェクトしたHEK細胞(ECACC、ソールズベリー、英国)に対する結合を測定することにより評価した。これらのHEK細胞は、それらの表面にカニクイザルCD40を発現する。二重特異性ポリペプチドの濃度は、1および10μg/mlであった。試験された5つの二重特異性ポリペプチドすべてが、カニクイザルCD40に結合した。結果を、下の表に示す。
【0234】
【表22】
【実施例11】
【0235】
マウスCTLA−4に対する交差反応性
本発明の例示的二重特異性ポリペプチドのマウスおよびヒトCTLA−4に対する相対親和性を、阻害ELISA結合アッセイを使用して調査した。試験された二重特異性ポリペプチドは、1140/1141(1140重鎖と組み合わされた配列番号113)であった。このポリペプチドのCTLA−4結合部分は、1040変異体CD86分子である。このCD86分子のCTLA−4結合特性は、抗体への結合による影響を受けない。
【0236】
簡潔に述べると、96ウェル平底高結合プレート(Greiner#655074)を4℃で一晩インキュベートし、ヒトCTLA−4(Fitzgerald)でコーティングした。プレートを洗浄し(洗浄緩衝液:PBS+0.05%Tween20(PBST)Medicago#09−9410−100)、次にPBST+3%BSA(Merck、#1.12018.0100)中でブロッキングした。
【0237】
試料(例示的ポリペプチド)を、室温で1時間、異なる濃度(1/4に連続希釈 30000から0.3ng/ml)の可溶性ビオチン化ヒトCTLA4(Fitzgerald#30R−CD152)または可溶性マウスCTLA−4(R&D systems)で事前インキュベートした。
【0238】
次に、混合物をELISAプレート中のブロッキングされたウェルに添加した。検出をストレプトアビジン−HRP(Pierce#21126)で実施し、その後SuperSignal Pico Chemiluminescent基質(Thermo#37069)を使用してプレートを展開し、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で検出した。結果を表11に示す。マウスおよびヒトCTLA−4で観察された阻害曲線は、2つの形態のCTLA−4に対する例示的ポリペプチドの結合親和性が類似した強度であることを実証する。
【実施例12】
【0239】
ヒトCD40への結合
ヒトCD40に結合する異なる例示的二重特異性ポリペプチドの能力を、標準的結合ELISAによりアッセイした。プロトコルは、上の実施例7に記載のとおりであった。結果を、図12A、BおよびCの用量反応曲線として示す。EC50値は0.3から14nMの範囲であった。試験された二重特異性ポリペプチドには、1107/1145(1107重鎖を有する配列番号110の二量体)、1136/1143(1143重鎖を有する配列番号111の二量体)、1132/1139(1132重鎖を有する配列番号112の二量体)、1140/1141(1140重鎖を有する配列番号113の二量体)、1150/1152(1150重鎖を有する配列番号114の二量体)および1134/1141(1134重鎖を有する配列番号113の二量体)が含まれる。
【実施例13】
【0240】
ヒトCTLA−4への結合
6つの異なる例示的二重特異性ポリペプチドを、ヒトCD40に結合するそれらの能力について、標準的結合ELISAを使用して試験した。プロトコルは、上の実施例7に記載のとおりであった。結果を、図13AからFの用量反応曲線として示す。実施例7からの例示的二重特異性分子(957/530)を、陰性対照としての抗CD40単一特異性抗体、A2−54とともに比較のために含めた。6つの試験されたポリペプチドすべてが、およそ0.02〜0.05μg/mlの範囲と算出されるEC50値を有していた。6つすべてが同じCD86バリアント(1040)を共有するので、これは、異なる抗体コンジュゲートがCTLA−4に結合するこのバリアントの能力に影響しないことを示す。試験された二重特異性ポリペプチドは、1107/1145(1107重鎖を有する配列番号110の二量体)、1136/1143(1143重鎖を有する配列番号111の二量体)、1132/1139(1132重鎖を有する配列番号112の二量体)、1140/1141(1140重鎖を有する配列番号113の二量体)、1150/1152(1150重鎖を有する配列番号114の二量体)および1134/1141(1134重鎖を有する配列番号113の二量体)であった。
【実施例14】
【0241】
CD40およびCTLA−4に対する二重結合
実施例13からの6つの異なる例示的二重特異性ポリペプチドを、CD40およびCTLA−4の両方に結合するそれらの能力について試験した。これを、表面プラズモン共鳴により、上の実施例7におけるのと同じプロトコルを使用して評価した。結果を表14に示す。動態パラメータおよび親和性定数を、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して算出し、下の表に示す。
【0242】
表面プラズモン共鳴(Biacore)により決定された、ヒトCD40への結合についての親和性定数。
【0243】
【表23】
【0244】
表面プラズモン共鳴(Biacore)により決定された、ヒトCTLA−4への結合についての親和性定数。
【0245】
【表24】
【実施例15】
【0246】
二重特異性ポリペプチドは、インビボで抗腫瘍効果を有する
例示的二重特異性ポリペプチド1140/1141(1140重鎖を有する配列番号113の二量体)の抗腫瘍効果を、マウス膀胱移行上皮癌細胞株、Mouse Bladder−49(MB49)細胞を接種したヒトCD40トランスジェニックマウスにポリペプチドを投与することにより研究した。処置は、統計的に有意な抗腫瘍有効性をもたらした。
【0247】
この実験に使用された動物モデルは、hCD40tgマウスの側腹部における2.5×10個のMB49細胞の注射により創出された。二重特異性ポリペプチドを、200pmol(42μg)の用量で接種後7日目および10日目に腫瘍周囲に投与し、腫瘍測定値をキャリパーにより得た。腫瘍成長および生存を経時的に追跡した。
【0248】
処置は、有意な抗腫瘍有効性をもたらし、図15AおよびBに示すとおり、生存が改善し、腫瘍体積が減少した。
【実施例16】
【0249】
二重特異性ポリペプチドは、インビボで抗腫瘍免疫記憶を確立する
膀胱癌について前に処置され二重特異性ポリペプチド1140/1141で治癒したマウスに、膀胱癌細胞で再免疫試験をした。二重特異性抗体クローンでの処置が、動物が再免疫試験されたときに、膀胱癌についての免疫記憶、したがって腫瘍に対する免疫を確立したことが示された。
【0250】
この実験のために、MB49再免疫試験を、(実施例15におけるように)以前に1140/1141での処置によりMB49腫瘍が治癒したhCD40tgマウスの側腹部における2.5×10個の細胞の注射により実施した。未処置(すなわち、以前にポリペプチドで処置または接種されていない)hCD40tgマウスを対照として使用した。キャリパーにより測定される腫瘍成長および生存を経時的に追跡した。
【0251】
図16AおよびBに示すとおり、以前に処置され、再免疫試験されたマウスは、100%の生存率を有しており、腫瘍は完全に消失した。したがってデータは、二重特異性ポリペプチドでの処置が、hCD40tgマウスにおけるMB49での腫瘍再免疫試験に対する統計的に有意な免疫を誘導することを示す。これは、免疫記憶の存在を実証する。この結果には臨床的関連性がある。なぜなら、抗腫瘍免疫記憶は、特に転移性腫瘍に対する長期持続処置効果を確立するために必要だからである。
【実施例17】
【0252】
B細胞増殖アッセイ
実施例13からの6つの異なる例示的二重特異性ポリペプチドを、ヒトB細胞を刺激するそれらの能力について試験した。各二重特異性ポリペプチドを、CTLA−4結合性ドメインを欠く対応する単一特異性抗体と直接比較した。
【0253】
RosetteSepヒトB細胞富化カクテル(Stemcell Technologies)を使用して白血球フィルターからのヒトB細胞を精製し、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare)を使用して密度分離した。B細胞純度を抗ヒトCD19−PE ab(Milteney)での染色により評価した。B細胞純度は、3つの実験の異なるドナー間で変化し、平均B細胞純度は69%であった。
【0254】
B細胞を96ウェルプレート上に、異なる濃度のCD40−CD86抗体およびヒトIL−4とともに播種した。プレートを加湿チャンバー内で、37℃、5%COで3日間インキュベートした。代謝活性を、B細胞増殖を反映するウェルのATP含有量を測定するCell titer Glo(Promega)発光で測定した。S2C6を参照抗体として使用した。S2C6は、B細胞増殖アッセイにおいてアゴニスト作用を有するマウス抗ヒトCD40抗体である(Koho, Can Imm Imm 1984)。
【0255】
各抗体の用量反応曲線を、graph Pad prism 4.0を使用してプロットした。各抗体の効率を、抗体のTOP値(可変用量反応曲線フィッティングを使用して算出されたもの)を、参照抗体S2C6のTOP値で割ることにより正規化した。
【0256】
図17に示すように、二重特異性ポリペプチドは、B細胞増殖アッセイにおいて、それらに対応するモノクローナル抗CD40抗体よりも高い効率を示したのであり、CTLA−4結合部分がB細胞増殖を刺激する能力に影響することを示唆する。この効果は、抗体のCD86部分に結合でき、それにより抗体の架橋を誘導する、CD28またはCTLA−4を発現する細胞(B細胞以外)の存在によるものでありうる。得られた免疫活性の増加は、インビボでのより強力な免疫活性化をもたらし、抗腫瘍活性の改善をもたらす潜在性を有する。
【実施例18】
【0257】
ヒトPBMCにおける免疫細胞の活性化
ヒトPBMCは、CD40を発現する抗原提示細胞およびCTLA−4を発現するT細胞を含有する。実施例13からの2つの例示的二重特異性分子(1134/1141および1140/1141)を、これら免疫細胞を活性化するそれらの能力についてアッセイした。各二重特異性ポリペプチドを、CTLA−4結合性ドメインを欠く対応する単一特異性抗体と直接比較した。
【0258】
白血球フィルターまたはバフィー血液(buffy blood)からのヒトPBMC(2〜4人のドナー/実験)を、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare)での密度分離を使用して精製した。PBMCをCD3で事前コーティング(一晩)した96ウェルプレート上に、異なる濃度の二重特異性ポリペプチドまたは対応する単一特異性抗体とともに播種した。T細胞刺激因子であるブドウ球菌エンテロトキシンA(staphylococcal enterotoxin A:SEA)を培養培地に添加した。プレートを加湿チャンバー内で、37℃、5%COで2日間インキュベートし、IL−2 ELISAキット(BD Pharmingen)を使用して上清中のIL−2濃度を測定した。試験された各濃度でのIL−2産生を、IL−2 ELISA標準曲線から算出した。
【0259】
各二重特異性ポリペプチドの、対応する単一特異性抗体に対する平均倍率変化を、各二重特異性ポリペプチドの2つの最高値の平均(TOP値)を対応する単一特異性抗体のTOP値で割ることにより算出した。2つの二重特異性ポリペプチドが、IL−2産生により測定される強力なT細胞活性化をもたらした。IL−2産生における平均倍率変化は、図18に示すとおり、単一特異性抗体に対して有意に高かった。
【0260】
二重特異性ポリペプチド1134/1141および1140/1141の抗CD40抗体部分が、CD40受容体に対するCD40L結合を遮断可能でないことが決定された(データは示さず)。したがって、これらの抗CD40抗体(およびCD40上の同じエピトープに結合する任意のもの)は、CTLA−4結合性ドメインを有する二重特異性フォーマットにおける使用のための特に好ましい特性を有する。二重特異性フォーマットにおいてCD40上のこの特定のエピトープに結合することは、驚くほど強力な免疫活性化を可能にし、これはインビボでの強力な抗腫瘍効果をもたらす潜在性を有する。
【実施例19】
【0261】
CTLA−4はB細胞の活性化を誘導した
免疫活性化を、ヒトCTLA−4を発現するように形質転換された細胞およびB細胞を、例示的二重特異性ポリペプチドとともにインキュベートすることにより、さらに調査した。
【0262】
2.5×10個のHEK野生型細胞(HEK−wt)またはCTLA−4をもたらすよう形質導入されたHEK細胞(CTLA4−HEK)を、96ウェルプレートのウェル内に播種した。異なる濃度の実施例13からの例示的二重特異性ポリペプチド(1140/1141)を、加湿チャンバー内、37℃、5%CO2での事前インキュベーション前に、細胞含有ウェルおよび空のウェルに添加した。2時間のインキュベーション後、2人の健常ドナーの白血球フィルターから単離された5×10個のB細胞を、各ウェルにIL−4(10ng/ml)とともに添加した。
【0263】
48時間のインキュベーション後、細胞を回収し、抗ヒトCD19−PE(B細胞)および活性化マーカー:抗ヒトCD83−APC(BD Biosciences)に対する抗体の共染色により、B細胞活性化を解析した。CD83発現の平均蛍光強度(MFI)を、FACSVerse上でフローサイトメトリーにより測定し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを解析し、Graphpad Prism 4を使用して統計解析を実施した。
【0264】
図19に示すとおり、CD83の上方制御の効率は、二重特異性ポリペプチドのCTLA4−HEKおよびB細胞との共培養時に、対照と比較して4〜14倍増加した。対照は、二重特異性ポリペプチドのHEK−wtおよびB細胞との共培養か、またはB細胞単独のいずれかであった。
【0265】
多くのCD40アゴニストが、最適活性を誘導するために抗体のFc部分を介した架橋を必要とすることが知られている(Li et al 20011, Science、White et al 2011 J Immunol)。二重特異性ポリペプチドのCTLA−4結合部分は、この架橋の増加を提供し、免疫活性化の増加をもたらしうる。免疫活性化の増加は、インビボでの抗腫瘍効果の増加をもたらしうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]