特許第6644688号(P6644688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク パテント ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644688
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】電子素子のための材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/54 20060101AFI20200130BHJP
   C07C 211/61 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 209/10 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 209/74 20060101ALI20200130BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 219/02 20060101ALI20200130BHJP
   C07D 209/80 20060101ALI20200130BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200130BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   C07C211/54CSP
   C07C211/61
   C07C209/10
   C07C209/74
   C09K11/06 690
   C07D307/91
   C07D333/76
   C07D209/86
   C07D219/02
   C07D209/80
   H05B33/22 D
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】117
(21)【出願番号】特願2016-539144(P2016-539144)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-502007(P2017-502007A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014003072
(87)【国際公開番号】WO2015086108
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】13005800.1
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルティノバ、イリナ
(72)【発明者】
【氏名】モンテネグロ、エルビラ
(72)【発明者】
【氏名】ムジカ−フェルナウド、テレサ
(72)【発明者】
【氏名】フォゲス、フランク
(72)【発明者】
【氏名】クロエベル、ヨナス・バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】スティーバー、フランク
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−530513(JP,A)
【文献】 特表2004−529937(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/120577(WO,A1)
【文献】 特表2012−532902(JP,A)
【文献】 特表2012−507590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物;
【化1】
式中、出現する記号と添え字には、以下が適用される:
Arは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基Rにより置換されてもよい6〜60個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
基ArとArは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1)〜(Ar−25)および(Ar−28)〜(Ar−33)の基から選ばれるか:
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
式中、末端単結合は窒素への基の結合位置を示し:
または
基-NArArは、以下の式(Ar1−1)〜(Ar1−19)の一つの基であり
【化3-1】
【化3-2】
、R、R、R、R、R、出現毎に同一であるか異なり、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または各場合に、1以上の基R10により置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
10、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の隣接する置換基R10は、たがいにモノもしくはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
iは、出現毎に、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
n、o、p、q、rは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり;
s、t、uは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
ここで、s+o≦4、p+t≦4およびr+u≦4であり;
およびさらに、u+t+s≦2である。
【請求項2】
式(2)、(3)、(4)または(5)の請求項1記載の化合物:
【化4】
式中、使用される記号は、請求項1で与えられる意味を有する。
【請求項3】
基Arは、以下の式(Ar3−1)〜(Ar3−12)の一つの基であることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物:
【化5】
式中、使用される記号は、請求項1で与えられる意味を有し、基は、任意の遊離位置でRにより置換されてよい。
【請求項4】
以下である請求項1〜3何れか1項記載の化合物:
Arは、出現毎に同一であるか異なり、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、i=1または2に対して、Arは、式(Ar3−1)〜(Ar3−12)の基から選ばれ;
【化6】
Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1)〜(Ar−25)および(Ar−28)〜(Ar−33)の基から選ばれるか;
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
または-NArArは、式(Ar1−1)〜(Ar1−19)の一つの基であり;
【化8-1】
【化8-2】
、R、R、R、R、出現毎に同一であるか異なり、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
または、が、(Ar1−1)、(Ar1−5)、(Ar1−9)、(Ar1−16)、(Ar1−17)、(Ar1−5a)、(Ar1−5b)、(Ar1−9a)、(Ar1−9b)、(Ar1−17a)、(Ar1−17b)、(Ar3−8)、(Ar3−8a)および(Ar3−8b)中の炭素ブリッジに結合する場合は、は、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれるか
【化9-1】
【化9-2】
または、が、(Ar1−2)、(Ar1−6)、(Ar1−10)、(Ar1−19)、(Ar1−6a)、(Ar1−6b)、(Ar1−10a)、(Ar1−10b)、(Ar3−9)および(Ar3−9a)中の窒素ブリッジに結合する場合は、は、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
【化10】
は、出現毎に同一であるか異なり、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または各場合に、1以上の基R10により置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
10、DF、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の隣接する置換基R10は、たがいにモノもしくはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
iは、出現毎に、0,1または2であり;
mは、0または1であり;
o、p、rは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
n、qは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
s、t、uは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり;
ここで、u+t+s≦2である。
【請求項5】
1-,3-もしくは4-位で反応性脱離基により置換されたジスピロ[フルオレン-9,9'-アントラセン-10',9"-フルオレン]誘導体の、
a)反応性脱離基により置換されたさらなる芳香族基へのカップリングに伴われる1級アミンへの、または
b)2級アミンへの、または
c)トリアリールアミン誘導体への
カップリングによる、請求項1〜4何れか1項記載の化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4何れか1項記載の少なくとも一つの化合物と少なくとも一つの溶媒とを含む調合物。
【請求項7】
請求項1〜4何れか1項記載の化合物または請求項6記載の調合物の、電子素子での使用。
【請求項8】
請求項1〜4何れか1項記載の少なくとも一つの化合物または請求項6記載の少なくとも一つの調合物を含む電子素子。
【請求項9】
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)から選ばれることを特徴とする、請求項8記載の電子素子。
【請求項10】
請求項1〜4何れか1項記載の化合物または請求項6記載の少なくとも一つの調合物が、正孔輸送もしくは正孔注入層において正孔輸送材料として、または電子ブロック層として、または励起子ブロック層として、または蛍光発光層のためのエミッターとして、または発光層におけるマトリックス材料として使用されることを特徴とし、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)から選ばれる請求項9記載の電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用のための材料とこれらの材料を含む電子素子に関する。
【0002】
電子素子での使用のための機能性化合物の開発は、現在集中的な研究主題である。ここで、その目的は、特に、たとえば、パワー効率、寿命または発光の色座標等の一以上の関連する点について、電子素子の改善された特性をもつ化合物を開発することである。
【0003】
本発明にしたがって、用語電子素子は、とりわけ、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の意味で使用される。
【0004】
特別な関心事は、OLEDと呼ばれる後者の電子素子での使用のための化合物の提供である。有機半導体が機能性材料として用いられるOLEDの一般的構造とその作用原理は、当業者に知られており、とりわけ、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO1998/27136に記載されている。ここで、用いられる発光材料は、蛍光発光に代わり燐光発光を呈する有機金属錯体とますますなっている(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6))。
【0005】
先行技術にしたがうと、正孔輸送層または正孔注入層で使用される正孔輸送材料は、特に、少なくとも2個のトリアリールアミノ基か、または少なくとも1つのトリアリールアミノ基と少なくとも1つのカルバゾール基の何れかを含むトリアリールアミン誘導体である。これらの化合物は、ジアリールアミノ置換トリフェニルアミン(TAD)から、ジアリールアミノ置換ビフェニル誘導体(TAD型)から、またはこれら基本化合物の組み合わせから誘導されることが多い。さらに、たとえば、2もしくは4個のジアリールアミノ基により置換されたスピロビフルオレン誘導体が使用される(たとえば、EP 676461もしく US 7,714,145にしたがうもの)。これらの化合物の場合に、蛍光OLEDの場合と燐光OLEDの場合の両方で、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用における効率、寿命と駆動電圧に関して、また、昇華に対する熱安定性に関して、改善のニーズが引き続き存在する。
【0006】
したがって、本発明の目的は、蛍光もしくは燐光発光OLED、特に、燐光発光OLEDにおいて、たとえば、正孔輸送もしくは励起子ブロック層における正孔輸送材料として、または発光層におけるマトリックス材料としての使用に適する化合物の提供である。
【0007】
驚くべきことに、以下により詳細に説明されるある種の化合物が、この目的を実現し、有機エレクトロルミッセンス素子において、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、顕著な改善をもたらすことが見出された。これは、特に、本発明の化合物の正孔輸送材料としてまたはマトリックス材料としての使用に関して、蛍光もしくは燐光発光エレクトロルミッセンス素子にあてはまる。材料は、一般的に高い熱安定性を有し、それゆえ、分解することなく、残留物のないように、昇華することができる。したがって、本発明は、これらの材料とこのタイプの化合物を含む電子素子に関する。
【0008】
WO 02/088274 A1の明細書は、特に、アントラセン単位上で置換されたジスピロ[フルオレン9,9'-アントラセン-10',9"-フルオレン]誘導体の合成を示す。
【0009】
明確さのために、ジスピロ[フルオレン9,9'-アントラセン-10',9"-フルオレン]骨格の番号付けを以下に示す。
【0010】
【化1】
【0011】
したがって、本発明は、式(1)の化合物に関し;
【0012】
【化2】
【0013】
式中、出現する記号と添え字には、以下が適用される:
Arは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、Arは、基Eにより、Arおよび/またはArに連結してよく;
Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、ArとArは、互いに連結してよく、および/または基Eにより、Arは、Arに連結してよく、および/またはArは、Arに連結してよく;
Eは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、O、SおよびNRより成る基から選ばれ;
、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rまたは2個以上の隣接する置換基R、2個以上の隣接する置換基R、2個以上の隣接する置換基Rまたは2個以上の隣接する置換基Rまたは2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を随意に形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R、N(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を随意に形成してよく;
は、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、置換基Rと隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を随意に形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、Si(R10、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々、1以上の基R10により置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、Si(R10、C=NR10、P(=O)(R10)、SO、SO、NR10、O、SもしくはCONR10で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基R10により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基R10により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に1以上の基R10により置換されてよい5〜60個の芳香族もしくは複素環式芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基R10により置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を随意に形成してよく;
10は、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の隣接する置換基R10は、たがいにモノもしくはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
iは、出現毎に、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
n、o、p、q、rは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり;
s、t、uは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
ここで、s+o≦4、p+t≦4およびr+u≦4であり;
およびさらに、u+t+s≦2である。
【0014】
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して、本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0015】
ここで、アリール基は、単純な芳香族環すなわちベンゼン、または、縮合(環縮合)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリンもしくはカバゾールの何れかの意味で使用される。本出願の意味での縮合(環縮合)芳香族ポリ環は、互いに縮合した2以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。たとえば、ビフェニル、フルオレン等の単結合を介して互いに結合する芳香族環も、逆にアリールもしくはヘテロアリール基を指すのではなく、芳香族環構造を指す。
【0016】
本発明の意味でのヘテロアリール基は、芳香族環もしくはポリ環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は、好ましくは、N、OまたはSから選ばれる。ヘテロアリール基は、たとえば、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合(環縮合)複素環式芳香族ポリ環、たとえば、カルバゾールもしくはキノリンである。
【0017】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基にあてはまる。
【0018】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp混成のC、SiもしくはO原子、sp混成のC原子またはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により結合されていてもよい構造の意味で使用される。したがって、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、2個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造と解されることを意図される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはクアテルフェニル等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造と解される。ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、定義によりアミノ基を含まない。したがって、トリアリールアミノ基は、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の定義には含まれない。
【0019】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義され基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-もしくはtrans-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0020】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニル基の意味で使用される。1〜40個の炭素原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0021】
2以上の基が互いに環を形成してもよいという表現は、本説明の目的のために、とりわけ、2以上の基が互いに化学結合により連結する意味で使用される。これは、以下のスキームにより示される:
【0022】
【化3】
【0023】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、2個の基の1つが水素である場合には、
第2の基は、水素原子が結合位置で結合して環を形成する。これは、以下のスキームにより示される:
【0024】
【化4】
【0025】
本発明の好ましい1態様では、s+t+uは、0または1である。そのとき、化合物は、1もしくは2個のジアリールアミノ基を含む。
【0026】
本発明のさらに好ましい1態様では、m、n、o、p、q、rは、同一であるか異なり、0または1であり、好ましくは、m、o、p、rは、0であり、非常に特に好ましくは、m、o、p、rは、0であり、およびn、qは、0または1である。
【0027】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)中の全ての添え字iは、出現毎に同一であり、すなわち、全ての添え字iは、たとえば、値0を有する。iが0である場合には、窒素原子は、基本構造に直接結合する。
【0028】
本発明のさらに好ましい1態様では、少なくとも一つの基-(ArNArArは、合計で少なくとも18個の芳香族環原子、特に好ましくは、少なくとも18〜50個未満の芳香族環原子を含む。
【0029】
好ましい1態様では、式(1)の化合物は、以下の式(2)〜(5)の一つの化合物であり:
【0030】
【化5】
【0031】
式中、記号と添え字は、式(1)と同じ意味を有する。
【0032】
特に好ましい1態様では、式(1)の化合物は、以下の式(6)〜(28)の一つの化合物であり:
【0033】
【化6-1】
【0034】
【化6-2】
【0035】
【化6-3】
【0036】
【化6-4】
【0037】
【化6-5】
【0038】
式中、記号と添え字は、式(1)と同じ意味を有する。
【0039】
さらに特に好ましい1態様では、式(1)の化合物は、以下の式(6a)〜(28a)の一つの化合物であり:
【0040】
【化7-1】
【0041】
【化7-2】
【0042】
【化7-3】
【0043】
【化7-4】
【0044】
【化7-5】
【0045】
式中、記号と添え字は、式(1)と同じ意味を有する。
【0046】
本発明の好ましい1態様では、基-NArArまたは基-(ArNArArは、存在する場合には、1,3もしくは4に位置し、少なくとも一つのさらなる基-NArArまたは基-(ArNArArは、1",2",5",7"もしくは8"の一つに位置する。2個の基は、特に好ましくは、4と5、4と4"、4と5"、4と2"、4と7"、3と4"、3と5"、3と2"、3と7”、1と4"、1と5"、1と2"、1と7"'に位置する。特に好ましいのは、丁度2個の基-NArArまたは基-(ArNArArを含む化合物である。したがって、好ましいのは、式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(13)、(14)、(15)、(19)、(20)、(21)、(25)、(26)、(27)および(28)の化合物であり、特に好ましいのは、式(6a)、(7a)、(8a)、(9a)、(10a)、(11a)、(13a)、(14a)、(15a)、(19a)、(20a)、(21a)、(25a)、(26a)、(27a)および(28a)の化合物である。
【0047】
本発明の化合物は、2個以上の式(1)の置換アイソマーの混合物の形態であってもよい。置換アイソマーは、基本構造上で同じ基を有するが、基本構造上で異なる位置に配置される化合物の意味で使用される。これらは、好ましくは、少なくとも一つのフルオレン単位および/またはアントラセン単位上に、相互に鏡像置換パターンを有する置換アイソマーである。これは、たとえば、一方の化合物の1'位での置換基が、他方の化合物の8'位の置換に対応することを意味する。同じことが、また、2'/7'、3'/6'、4'/5'、5'/4'、6'/3'、2'/7'、1'/8'および/または1"/8"、2"/7"、3"/6"、4"/5"、5"/4"、6"/3"、7"/2"、8"/1"位置での各々の置換基にあてはまり、ここで、第1の数は、一方の化合物の置換基の位置を示し、第2の数は、他方の化合物の置換基の位置を示す。置換アイソマーの位置1、2、3、4、5、6、7および8での置換パターンは、好ましくは、同一である。
【0048】
したがって、たとえば、化合物(7)の合成の場合には、式(8)の対応する置換アイソマーを得ることができる。アイソマーが分離されない場合には、本発明の化合物は、式(7)と(8)の置換アイソマーの混合物の形態である。
【0049】
立体中心が存在する場合には、化合物は、エナンチオマー混合物の形態でまたは純粋なエナンチオマーの形態で、またはジアステレオマーと純粋なジアステレオマーの混合物の形態であってもよい。化合物は、複数の本発明の化合物の混合物の形態で用いられることもできる。
【0050】
本発明のさらに好ましい1態様では、qとnは、夫々、0または1である。RとRは、存在するならば、特に好ましくは、2'、3'、6'および/または7'位に配置される。
【0051】
本発明の好ましい1態様では、基ArとArは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1)〜(Ar−33)を有する基から選ばれ:
【0052】
【化8-1】
【0053】
【化8-2】
【0054】
【化8-3】
【0055】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、破線の結合(または末端単結合)は窒素への基の結合位置を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよいが、好ましくは、置換されない。
【0056】
本発明の特に好ましい1態様では、基ArとArは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1)〜(Ar−33)の構造を有する基から選ばれ、ここで、一般式は、以下の式(Ar−1a)〜(Ar−33a)の好ましい態様により置き代えられる(たとえば、Ar−2は、(Ar−2a)、(Ar−2b)、(Ar−2c)により置き代えられる。)。
【0057】
【化9-1】
【0058】
【化9-2】
【0059】
【化9-3】
【0060】
【化9-4】
【0061】
【化9-5】
【0062】
【化9-6】
【0063】
【化9-7】
【0064】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、破線の結合(または末端単結合)は窒素への基の結合位置を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されない。
【0065】
本発明のさらに特に好ましい1態様では、基ArとArは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1a)〜(Ar−33a)の構造を有する基から選ばれる。
【0066】
式(Ar−14a)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−14a1)により示される。式(Ar−14b)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−14b1)により示される。式(Ar−14c)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−14c1)により示される。式(Ar−14d)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−14d1)により示される。式(Ar−15a)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−15a1)により示される。式(Ar−15b)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−15b1)により示される。式(Ar−15c)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−15c1)により示される。式(Ar−15d)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−15d1)により示される。式(Ar−16a)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−16a1)により示される。式(Ar−16b)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−16b1)により示される。式(Ar−16c)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−16c1)により示される。式(Ar−16d)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−16d1)により示される。式(Ar−17a)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−17a1)、(Ar−17a2)および(Ar−17a3)により示される。式(Ar−17b)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−17b1)により示される。式(Ar−17c)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−17c1)および(Ar−17c2)により示される。式(Ar−17d)の基の特に好ましい構造は、以下の式(Ar−17d1)により示される。
【0067】
【化10-1】
【0068】
【化10-2】
【0069】
【化10-3】
【0070】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、破線の結合(または末端単結合)は窒素への基の結合位置を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されない。
【0071】
上記に示される式(Ar−1)〜(Ar−33)の2個の基ArとArは、所望により互いに組み合わせることができる。ここで、式(Ar−1)、(Ar−2)、(Ar−3)、(Ar−4)、(Ar−8)、(Ar−9)、(Ar−10)、(Ar−11)、(Ar−12)、(Ar−13)、(Ar−14)、(Ar−15)、(Ar−16)、(Ar−17)および(Ar−29)が特に好ましい。
【0072】
したがって、非常に特に好ましい基-NArArは、ArとArの以下の組み合わせを有する基である。
【0073】
【化11-1】
【0074】
【化11-2】
【0075】
【化11-3】
【0076】
非常に好ましい基-NArArは、上記示される表からの組み合わせを有する基であり、式(Ar−1)、(Ar−2)、(Ar−3)、(Ar−4)、(Ar−8)、(Ar−9)、(Ar−10)、(Ar−11)、(Ar−12)、(Ar−13)、(Ar−14)、(Ar−15)、(Ar−16)、(Ar−17)および(Ar−29)に代えて、各々の式の好ましい式、たとえば、(Ar−2a)、(Ar−2b)または(Ar−2c)は、各場合に(Ar−2)に代えて用いられる。
【0077】
式(1)〜(28)または(6a)〜(28a)の化合物中の基ArとArが、基Eにより互いに結合する場合には、基-NArArは、好ましくは、以下の式(Ar1−1)〜(Ar1−19)の一つの構造を有する。
【0078】
【化12-1】
【0079】
【化12-2】
【0080】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、破線の結合(または末端単結合)は、基本構造もしくはArへの結合位置を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。
【0081】
本発明の特に好ましい1態様では、(Ar1−5)、(Ar1−6)、(Ar1−7)、(Ar1−8)、(Ar1−9)、(Ar1−10)、(Ar1−11)、(Ar1−12)、(Ar1−14)、(Ar1−15)および(Ar1−17)の化合物は、以下の式を有する化合物から選ばれ:
【0082】
【化13-1】
【0083】
【化13-2】
【0084】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、破線の結合(または末端単結合)は、基本構造もしくはArへの結合位置を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されない。
【0085】
式(1)〜(28)または(6a)〜(28a)の化合物中の基Arが、基EによりArに結合する場合には、基-Ar-NArArは、好ましくは、以下の式(Ar2−1)〜(Ar2−9)の一つの構造を有し、破線の結合は基本構造もしくは次のAr単位への結合を示す。同様の状況が、Arへの基Ar結合にあてはまる。
【0086】
【化14】
【0087】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有する。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されていない。
【0088】
式(Ar2−9)の好ましい態様は、以下の式に示される。
【0089】
【化15】
【0090】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有する。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されていない。
【0091】
基Arは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜18個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0092】
本発明のさらに特に好ましい1態様では、添え字iは、1または2であり、基Arは、以下の式(Ar3−1)〜(Ar3−12)の一つの基であり、
【0093】
【化16】
【0094】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、2個の破線の結合(または末端単結合)は隣接する基への結合を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されない。
【0095】
式の好ましい態様は、以下の式(Ar3−1a)〜(Ar3−12a)により示され:
【0096】
【化17-1】
【0097】
【化17-2】
【0098】
式中、使用される記号は、上記で与えられる意味を有し、2個の破線の結合(または末端単結合)は隣接する基への結合を示す。ここで、基は、遊離位置でRにより置換されてよい。それらは、好ましくは、置換されない。
【0099】
各基(Arに対して、最大一つのArは、式(Ar3−9)、(Ar3−12)、(Ar3−9a)、または(Ar3−12a)の基であることが好ましい。
【0100】
が、N(Rである場合は、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Rは、そこで、特に好ましくは、Rに代えてRにより置換されてよい式(Ar1)〜(Ar33)の構造もしくはそれらの好ましい態様から選ばれる。
【0101】
好ましい態様によれば、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、Si(R、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を随意に形成してよい。
【0102】
の上記定義によれば、式(1)の化合物は、化合物中に明確に示されたものとは別のさらなるアリールアミノ基を含まない。
【0103】
本発明の好ましい1態様では、式(1)〜(28)または(6a)〜(28a)の化合物中のR、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Si(R、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に1以上の隣接しないCH基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R〜RまたはRとRは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよい。
【0104】
本発明の特に好ましい1態様では、式(1)〜(28)または(6a)〜(28a)の化合物中のR、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R〜RまたはRとRは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよい。本発明の非常に特に好ましい1態様では、式(1)〜(28)または(6a)〜(28a)の化合物中のR〜Rは、Hである。
【0105】
本発明のさらに好ましい1態様では、ArもしくはArもしくはArに結合する基Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基から選ばれる。
【0106】
本発明のさらに好ましい1態様では、窒素に直接結合するArもしくはArのアリール基のオルト位で結合する少なくとも一つの基Rは、水素または重水素ではない。これは、特に、さらなるアリール基が、アリール基上のオルト位で既に結合していない場合、たとえば、式(Ar−2c)の場合にあてはまる。
【0107】
さらに、フルオレンの9位での2個の置換基Rが、一緒になって、好ましくは、3〜8個のC原子を有する、特に好ましくは、5もしくは6個のC原子を有するシクロアルキル環を形成することが好ましい可能性がある。
【0108】
さらに好ましい1態様では、式(Ar1−1)、(Ar1−5)、(Ar1−9)、(Ar1−16)、(Ar1−17)、(Ar1−5a)、(Ar1−5b)、(Ar1−9a)、(Ar1−9b)、(Ar1−17a)、(Ar1−17b)、(Ar2−1)、(Ar3−8)、(Ar3−8a)および(Ar3−8b)中の炭素ブリッジに結合するRは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、上記定義されるとおり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれる。ここで、2個の基Rは、上記所与のRの定義に加え、脂肪族また芳香族であってよい環構造を互いに形成してもよい。スピロ構造が環形成により形成される。
【0109】
さらに好ましい1態様では、式(Ar1−2)、(Ar1−6)、(Ar1−10)、(Ar1−19)、(Ar1−6a)、(Ar1−6b)、(Ar1−10a)、(Ar1−10b)、(Ar2−2)、(Ar3−9)および(Ar3−9a)中の窒素ブリッジに結合するRは、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、上記定義のとおりであり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造、特に、6〜24個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0110】
さらに好ましい1態様では、RとRは、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む場合には、式(Ar−1)〜(Ar−33)、特に、好ましくは、(Ar−1)〜(Ar−10)の基とこれらの基の好ましい態様から選ばれる。基RとRは、好ましくは、複素環式芳香族環構造を含まない。
【0111】
真空蒸発により加工される化合物に対しては、アルキル基は、4個を超えないC原子、特に好ましくは、1個を超えないC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、10個までのC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル基により置換された、またはオリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルもしくはクアテルフェニル基で置換された化合物も適している。
【0112】
本発明の好ましい態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または各場合に、1以上の基R10により置換されてよい6〜30個のC原子を有する式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0113】
本発明の好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または各場合に、上記定義されるとおりであり、1以上の基R10により置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0114】
本発明の特に好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または上記定義されるとおりである16〜18個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0115】
本発明のさらに好ましい1態様では、基R〜Rは、12個を超える芳香族環原子を含む縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まない。
【0116】
本発明のさらに好ましい1態様では、2個以上の隣接する基R〜Rおよび隣接する基RおよびRは、モノあるいはポリ環式の芳香族環構造を形成しない。
【0117】
好ましいのは、上記言及した好ましい態様が同時に生じる式(1)、(2)〜(28)および(6a)の化合物である。したがって、特に好ましいのは、以下である化合物である。
【0118】
Arは、出現毎に同一であるか異なり、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、i=1または2に対して、Arは、式(Ar3−1)〜(Ar3−12)の基および式(Ar3−1a)〜(Ar3−12a)の好ましい態様から選ばれ、ここで、Arは、基Eにより、Arに連結してよく;
Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、式(Ar−1)〜(Ar−33)の基およびその好ましい態様から選ばれる芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるか;
またはN-ArArは、式(Ar1−1)〜(Ar1−19)の一つの基およびその好ましい態様であるか;
またはAr-NArArは、式(Ar2−1)〜(Ar2−9)の一つの基およびその好ましい態様であり;
Eは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、O、SおよびNRから選ばれ;
、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Si(R、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R〜RもしくはRとRは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を随意に形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Si(R、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、1以上の基Rにより置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を随意に形成してよいか;
または(Ar1−1)、(Ar1−5)、(Ar1−9)、(Ar1−16)、(Ar1−17)、(Ar1−5a)、(Ar1−5b)、(Ar1−9a)、(Ar1−9b)、(Ar1−17a)、(Ar1−17b)、(Ar2−1)、(Ar3−8)、(Ar3−8a)および(Ar3−8b)中の炭素ブリッジに結合するRは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個の基Rは、脂肪族もしくは芳香族であってよい環構造を互いに形成してもよいか;
または(Ar1−2)、(Ar1−6)、(Ar1−10)、(Ar1−19)、(Ar1−6a)、(Ar1−6b)、(Ar1−10a)、(Ar1−10b)、(Ar2−2)、(Ar3−9)および(Ar3−9a)中の窒素ブリッジに結合するRは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ、夫々、1以上の基R10により置換されてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、互いにモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造を形成してよく;
10は、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、または6〜30個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の隣接する置換基R10は、モノもしくはポリ環式の脂肪族環構造をたがいに形成してよく;
iは、出現毎に、0,1または2であり;
mは、0または1、好ましくは、0であり;
o、p、rは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2、好ましくは、0であり;
n、qは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2、好ましくは、0または1であり;
s、t、uは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり;
ここで、u+t+s≦2である。
【0119】
上記言及した化合物は、2個以上の置換アイソマーの混合物の形態であってもよい。
【0120】
本発明の1態様では、上記言及した選好は、所望のとおりに、互いに組み合わせることができる。
【0121】
式(1)の化合物の好ましい構造の例は、以下の表に示される。化合物は、基本構造(6a)、(7a)、(8a)、(10a)、(15a)および(21a)を基礎としている。結合セルは、基がEを介して互いに結合することを意味している。
【0122】
【化18-1】
【0123】
【化18-2】
【0124】
【化18-3】
【0125】
【化18-4】
【0126】
【化18-5】
【0127】
ここで、式中のnとqは、値0または1をとり得る。式中のRとRは、好ましくは、式(Ar1)〜(Ar33)の基から、特に好ましくは、式(Ar1)〜(Ar10)の基から選ばれる。
【0128】
上記示された態様にしたがう好ましい化合物または電子素子で好ましくは、用いることのできる化合物の例は、以下の構造(1)〜(98)の化合物である。
【0129】
【化19-1】
【0130】
【化19-2】
【0131】
【化19-3】
【0132】
【化19-4】
【0133】
【化19-5】
【0134】
【化19-6】
【0135】
【化19-7】
【0136】
【化19-8】
【0137】
【化19-10】
【0138】
【化19-11】
【0139】
【化19-12】
【0140】
本発明の化合物の合成は、先行技術から知られたプロセスと反応タイプ、たとえば、臭素化、ウルマンアリール化、フリーデルクラフツ反応、パラジウム触媒分子間C-Hアリール化、ブフバルトカップリングおよびスズキカップリングおよびグリニャール反応等により実行することができる。特に、化合物は、スキーム1に示されたとおりに、アミノ基の導入により対応するハロゲン置換基本構造から合成することができる。ここで、スキーム1a)に示されたとおりに、最初に置換基Arと共に1級アミンを導入し、さらなるカップリング反応で基Arを導入することも可能である。同様に、スキーム1b)に示されたとおりに、2級アミンArArNHを一工程で直接導入することも可能である。基本構造上の適切な基Xは、たとえば、Cl、Br、I、トリフレートもしくはトシレート等の反応性脱離基である。適切なカップリング反応は、たとえば、ハートウイッグブフバルトカップリングもしくはウルマンカップリング反応である。これらのカップリング反応のために使用することのできる反応条件は、有機合成の当業者に知られている。
【0141】
【化20】
【0142】
iが1または2である化合物に対して、基Ar-NAr-Arが、同様に、金属触媒カップリング反応、たとえば、スズキカップリングまたはスチルカップリングにより導入することができる。
【0143】
したがって、本発明は、さらに、1-,3-もしくは4-位で脱離基により置換されたジスピロ[フルオレン-9,9'-アントラセン-10',9"-フルオレン]誘導体の、
a)反応性脱離基により置換されたさらなる芳香族基へのカップリングに伴われる1級アミンへの、または
b)2級アミンへの、または
c)トリアリールアミン誘導体への
カップリングによる、式(1)の化合物の製造方法に関する。
【0144】
ここで、反応性脱離基は、好ましくは、Cl、Br、I、トリフレートもしくはトシレートから選ばれ、またはスズキカップリングに対しては、ボロン酸もしくはボロン酸誘導体、特に、ボロン酸エステルから選ばれる。
【0145】
カップリング反応は、好ましくは、ハートウイッグブフバルトカップリングから、ウルマンカップリングから、またはスズキカップリングから選ばれる。
【0146】
ジスピロ[フルオレン-9,9'-アントラセン-10',9"-フルオレン]骨格は、好ましくは、古典的なスピロ合成に類似して構築される。
【0147】
【化21】
【0148】
ここで、基本構造上の異なる置換パターンを、対応する置換ビフェニルに使用により得ることができる。
【0149】
一以上の置換基を有する基本構造の合成において、特に、多置換ビフェニルを使用する場合に、置換アイソマーを、スピロ炭素の形成の間に形成し得る。化合物が精製されない場合には、それらは、混合物の形態で用いることもできる。
【0150】
上記に示された合成プロセスは、例示的特徴を有し、本発明の化合物のある種の態様の合成のために有利であるならば、有機合成分野の当業者により適切な方法で変形することができる。
【0151】
上記記載の本発明の化合物は、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用され得る。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合を含むアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環付加、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド等、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0152】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(1)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合(複数の結合)は、式(1)中で任意の所望の遊離位置に位置することができる。本発明の化合物の結合により、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の部分または主鎖の部分である。
【0153】
本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも三個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。
【0154】
本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。
【0155】
直鎖状の結合された構造においては、式(1)の単位は、たがいに直接結合するか、または二価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。
【0156】
分岐および樹状構造においては、5個以上の式(1)の単位は、三価もしくはより多価の基、たとえば、3価もしくはより多価の芳香族または複素環式芳香族基により結合してもよく、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。
【0157】
本発明の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(1)の反復単位にあてはまる。
【0158】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2000/22026にしたがうもの)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがうもの)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがうもの)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはW02004/113468にしたがうもの)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがうもの)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO 2007/006383にしたがうもの)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがうもの)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがうもの)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO2007/017066にしたがうもの)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがうもの)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO2006/03000にしたがうもの)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものを通常含む。
【0159】
本発明のポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0160】
本発明のポリマーおよびオリゴマーは、一以上のタイプのモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(1)の反復単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のとおりである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0161】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブッフバルト重合により本発明のポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーを製造する方法に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に知られた方法または類似方法により製造され得る。適切な方法は、文献、たとえば、Frechet, Jean M. J.; Hawker, Craig J., "Hyperbranched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers"、 Reactive & Functional Polymers (1995), 26(1-3), 127-36; Janssen, H. M.; Meijer, E. W.、 "The synthesis and characterization of dendritic molecules", Materials Science and Technology (1999), 20 (Synthesis of Polymers), 403-458; Tomalia, Donald A., "Dendrimer molecules", Scientific American (1995), 272(5), 62-6、WO 2002/067343 A1およびWO 2005/026144 A1等に記載されている。
【0162】
たとえば、スピンンコーティングによるまたは印刷法による液相からの本発明の化合物の加工のために、本発明の化合物の調合物が必要となる。これらの、調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンであり得る。この目的のためには、2以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-,m-,もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチル-メチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンおよび任意のこれら溶媒の混合物より成る群から選ばれ得る。
【0163】
したがって、本発明は、少なくとも一つの式(1)の化合物、少なくとも一つの式(1)の化合物または少なくとも一つの式(1)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンに関する。このタイプの溶液を製造することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0164】
本発明の化合物は、電子素子での使用のために適している。ここで、電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子である。しかしながら、素子は、無機材料または無機材料から完全に構築される層を含んでもよい。
【0165】
したがって、本発明は、さらに、電子素子における本発明の化合物の使用と一以上の本発明の化合物を含む電子素子自体に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および特に好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)より成る群から選ばれる。特に好ましいのは、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、ここで、発光層、正孔輸送層もしくは別の層であってよい少なくとも一つの有機層は、少なくとも一つの本発明の化合物を含む。
【0166】
有機エレクトロルミッセンス素子と発光電子化学電池は、種々の用途、たとえば、照明用途もしくは医療および/または美容用途の、たとえば、光治療における単色もしくは多色表示装置に用いることができる。
【0167】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、有機エレクトロルミネセンス素子は、さらなる層を含んでもよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合から選ばれる。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はなく、層の選択は使用される化合物と、特に、エレクトロルミッセンス素子が蛍光もしくは燐光であるかに常に依存することが指摘されねばならない。
【0168】
有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色、黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、これらの層の少なくとも一つの層は、少なくとも一つの本発明の化合物を含み、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。本発明の化合物は、代替としておよび/または追加的に正孔輸送層中におよび/または中間層中に存在してもよい。白色発光の生成のために、色発光する複数のエミッター化合物に代えて、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物も適している可能性がある。ここで、全発光層が蛍光発光であること、または全発光層が燐光発光であること、または一以上の発光層が蛍光発光であり一以上の他の層が燐光発光であることも可能である。
【0169】
上記示された態様にしたがう本発明の化合物は、その正確な構造に応じて、種々の層で用いることができる。好ましいのは、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロック層中で正孔輸送材料として、または蛍光もしくは燐光エミッター、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含む有機エレクトロルミッセンス素子である。上記示された好ましい態様は、有機電子素子における材料に使用にもあてはまる。
【0170】
本発明の好ましい1態様では、一般式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、正孔輸送もしくは正孔注入層中で正孔輸送材料もしくは正孔注入材料として用いられる。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であってよい。本発明の意味での正孔注入層は、アノードに直接隣接する層である。本発明の意味での正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。正孔輸送層は、発光層に直接隣接してよい。式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、正孔輸送材料としてまたは正孔注入材料として使用されるならば、それらは、電子受容体化合物で、たとえば、F-TCNQまたはEP1476881もしくはEP1596445に記載されるとおりの化合物でドープされるのが好ましい可能性がある。
【0171】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、US2007/0092755に記載されたとおりのヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせて、正孔輸送材料として使用される。ここで、ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、特に、好ましくは、別の層中で使用される。
【0172】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、正孔輸送層中で正孔輸送材料として使用されるならば、化合物は、正孔輸送層中で純粋材料として、すなわち100%の割合で使用されるか、一以上のさらなる化合物と組み合わせて正孔輸送層中で使用され得る。
【0173】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、電子ブロック層中で用いられる。電子ブロック層は、アノード側で発光層に直接隣接する層の意味で使用される。
【0174】
特に好ましいのは、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様の正孔輸送層もしくは電子ブロック層中での使用である。
【0175】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、発光層中で、蛍光もしくは燐光化合物、特に、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層を含んでもよく、もしくは複数の発光層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0176】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、発光層中で、発光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、好ましくは、一以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて使用される。本発明の意味での燐光発光は、スピン多重度>1を有する励起状態から、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスの意味で使われる。本出願の目的のために、遷移金属もしくはランタノイドをもつすべてのルミネッセンス錯体、特に、すべてのイリジウム、白金および銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0177】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を、99.9〜1重量%、好ましくは、99〜10重量%、特に、好ましくは、97〜60重量%、特に、95〜80重量%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、エミッターを0.1〜99重量%、好ましくは、1〜90重量%、特に、好ましくは、3〜40重量%、特に、5〜20重量%含む。上記に示された限界は、特に、層が溶液から適用される場合にあてはまる。層が、真空蒸発により適用される場合には、同じ数値が適用され、この場合に、パーセンテージは、各場合に体積%を示す。
【0178】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、その割合が系中でより少ない成分であり、マトリックス材料は、系中でその割合がより多い成分である。しかしながら、個々の場合では、系中の単一のマトリックス材料の割合は、単一のドーパントの割合よりも少なくてよい。
【0179】
本発明の好ましい1態様では、一般式(1)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:10〜1:1、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。
【0180】
混合マトリックス系は、一以上のドーパントを含んでよい。ドーパント化合物もしくは複数のドーパント化合物は、本発明にしたがって、エミッターのための上記示された割合を有する。
【0181】
混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子に用いられる。
【0182】
本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる、特に、適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 04/013080、WO 04/093207、WO 06/005627もしくはWO 10/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 05/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 08/086851に開示されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 07/063754もしくはWO 08/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109もしくはWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 07/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 05/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 06/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 10/15306、WO 07/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 09/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうフルオレン誘導体、たとえば、US 2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107もしくは未公開出願DE 10201005697.9にしたがう架橋カルバゾール誘導体。たとえば、WO 10/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 10/054730にしたがうジアザホスホール誘導体である。さらに、たとえば、WO 2010/108579に記載されたとおり、正孔輸送性も電荷輸送性も有さない電気的に中性なコホストを使用することも同様に可能である。
【0183】
同様に、混合物中で2以上の燐光エミッターを使用することも可能である。この場合、より短い波長で発光するエミッターが、混合物中でコホストとして機能する。
【0184】
用語燐光ドーパントは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態またはより高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0185】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光ドーパントは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0186】
本発明の意味で、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。
【0187】
燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742に見出すことができる。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術により使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が、本発明の素子での使用に適切である。当業者は進歩性を行使することなく、OLED中で本発明の化合物と組み合わせてさらなる燐光錯体を用いることもできる。
【0188】
適切な燐光エミッター化合物の明確な例は、以下の表に示される燐光ドーパントである。
【0189】
【化22-1】
【0190】
【化22-2】
【0191】
【化22-3】
【0192】
【化22-4】
【0193】
【化22-5】
【0194】
【化22-6】
【0195】
【化22-7】
【0196】
【化22-8】
【0197】
【化22-9】
【0198】
【化22-10】
【0199】
本発明のさらなる1態様では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、別の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まない、換言すれば、たとえば、WO 2005/053051に記載されているとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、WO 2009/030981に記載されているとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0200】
さらに、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を、正孔輸送層もしくは励起子ブロック層中で、および発光層中でマトリックスとして使用することも可能である。
【0201】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常用いられる全ての材料を使用することが可能である。したがって、当業者は、進歩性を必要とすることなく、本発明の式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて有機エレクトロルミッセンス素子のための公知の材料を用いることができるであろう。
【0202】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、中間層に用いられる。中間層は、複数の発光層を含む有機エレクトロルミッセンス素子、たとえば、各場合に一つの赤色発光層、一つの緑色発光層および一つの青色発光層を含む白色発光OLEDに、好ましくは、用いられる。中間層は、特に好ましくは、2個の発光層の間に配置される。本発明の好ましい態様にしたがって、本発明の化合物を含む中間層は、一つの赤色発光層、一つの緑色発光層および一つの青色発光層を含む白色発光OLEDの青色発光層と緑色発光層との間に配置される。ここで、特に好ましくは、青色発光層は蛍光発光層であり、緑色発光層は燐光発光層である。
【0203】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、より好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、ジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、2個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、ピレンに、好ましくは、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましい蛍光ドーパントは、たとえば、WO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンおよびインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンおよびベンゾインデノフルオレンジアミンと、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンおよびジベンゾインデノフルオレンジアミンである。さらに好ましいのはWO 2010/ 012328に開示された縮合炭化水素である。
【0204】
適切な蛍光ドーパントは、さらに、JP 20061001973、WO 2004/047499、WO 2006/098080、WO 2007/065678、US 2005/0260442およびWO 2004/092111に開示されたこれら構造の誘導体である。
【0205】
好ましくは、蛍光ドーパントのための適切なマトリックス材料は、種々の物質クラスからの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがうもの)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがうもの)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがうもの)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがうもの)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがうもの)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239にしたがうもの)のクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用されることを意図している。
【0206】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがってこれらの層に使用される他の材料である。
【0207】
カソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属から成る金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また適切なのは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgもしくはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、たとえば、Ca/Ag、Ba/AgもしくはMg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を、金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なのは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0208】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。好ましくは、アノードは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的のために適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)を可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。
【0209】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明の素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0210】
好ましい1態様では、本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とし、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満で可能でもある。
【0211】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により適用されることを特徴とし、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。この方法の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0212】
さらに好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、より好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。この目的のためには、可溶性の式(1)の化合物が必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により実現することができる。
【0213】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華法により適用することが、さらに好ましい。
【0214】
また可能なのは、たとえば、一以上の層が溶液から適用され、一以上のさらなる層が気相堆積により適用される。したがって、たとえば、発光層を溶液から適用し、電子輸送層を気相堆積により適用することができる。これらのプロセスは一般的に当業者に知られており、進歩性を必要とすることなく、本発明の化合物を含む有機エレクトロルミッセンス素子に適用することができる。
【0215】
本発明は、さらに、式(1)の化合物もしくは上記示されたその好ましい態様と少なくとも一つのさらなる化合物とを含む混合物に関する。さらなる化合物は、たとえば、本発明の化合物がマトリックス材料として使用されるならば、蛍光もしくは燐光ドーパントであり得る。そこで、混合物は、また、追加的なマトリックス材料としてさらなる材料を含んでよい。
【0216】
本発明による化合物と本発明による有機エレクトロルミッセンス素子は、先行技術を凌駕する以下の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0217】
1.本発明による化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子において、正孔輸送層もしくは正孔注入層での使用のために非常に高度に適している。本発明の化合物がルミッセンスを消光しないことから、それらは、特に、また、燐光発光層に直接隣接する層での使用のためにも適している。
【0218】
2.本発明による化合物は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられると、非常に高い効率と長い寿命をもたらす。これは、特に、化合物がさらなるマトリックス材料と共に燐光エミッターと一緒に用いられると、あてはまる。
【0219】
3.本発明による化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子に用いられると、高い効率と、低い駆動電圧での急峻な電流/電圧曲線をもたらす。
【0220】
4.本発明による化合物は、高い温度安定性を有し、分解せず、残留物もなく昇華することができる。
【0221】
5.本発明による化合物は高い酸化安定性を有し、特に、これらの化合物の取り扱いと溶液のための貯蔵寿命に正の効果を有する。
【0222】
これらの上記優位性は、その他の電子素子の特性を損なうことはない。
【0223】
本発明は、以下の例で詳細に説明されるが、それにより限定するつもりではない。説明は、当業者が、開示された全範囲で実施し、進歩性を要することなく、さらなる化合物を調製し、それらを電子素子で使用し、本発明のプロセスで使用することを可能とする。
【0224】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。
【0225】

以下の合成を、別段の指定がない限り、保護ガス雰囲気下で実施する。出発材料をALDRICHまたはABCRから購入することができる(酢酸パラジウム(II)、トリ-o-トリルホスフィン、無機物、溶媒)。
【0226】
以下の表で、により示される化合物は、置換アイソマーの混合物の形態であることもできる。これは使用する出発材料にもすでに適用することができる。
【0227】
さらに、化合物は、随意に、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物の形態であることができる。
【0228】
例0
化合物(0−1)の合成
【0229】
【化23】
【0230】
37.4g(120ミリモル)の2,2’-ジブロモビフェニルを、加熱により乾燥させたフラスコ中で300mlの無水THF中で溶解させる。反応混合物を−78℃まで冷却する。この温度で、n-ヘキサン(119ミリモル)中、75mlのn-BuLiの15%溶液をゆっくりと滴下する。バッチを−70℃でさらに1時間撹拌する。22.9gのアントラキノン(CAS No.:84-65-1)(110ミリモル)をその後、100mlのTHF中に溶解させ、−70℃で滴下する。添加が完了したとき、反応混合物をゆっくりと室温まで温め、NHClを用いてクエンチし、その後ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。蒸発された溶液に対して500mlの酢酸を慎重に添加し、90mlの発煙HClをその後、添加する。バッチを75℃まで加熱し、この温度で4時間維持する。白色の固形物をこの時間中に沈殿させる。次いで、バッチを室温まで冷まし、沈殿した固形物を吸引濾過し、メタノールで濯ぐ。残留物を40℃で真空で乾燥させる。収率は44.4gである(105ミリモル)(理論値の87.5%)。
【0231】
以下の化合物(0−2)〜(0−3)を同じように調製する:
【0232】
【化24】
【0233】
例1
化合物(1−1)の合成
【0234】
【化25】
【0235】
37.4g(120ミリモル)の2,2’-ジブロモビフェニルを、加熱により乾燥させたフラスコ中で300mlの無水THF中で溶解させる。反応混合物を−78℃まで冷却する。この温度で、ヘキサン(119ミリモル)中、75mlのn-BuLiの15%溶液をゆっくりと滴下する。バッチを−70℃でさらに1時間撹拌する。37.8gのケトン誘導体(CAS No.:717881-21-5)(110ミリモル)をその後、100mlのTHF中に溶解させ、−70℃で滴下する。添加が完了したとき、反応混合物をゆっくりと室温まで温め、NHClを用いてクエンチし、その後ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。蒸発された溶液に対して500mlの酢酸を慎重に添加し、90mlの発煙HClをその後、添加する。バッチを75℃まで加熱し、この温度で4時間維持する。白色の固形物をこの時間中に沈殿させる。次いで、バッチを室温まで冷まし、沈殿した固形物を吸引濾過し、メタノールで濯ぐ。残留物を40℃で真空において乾燥させる。収率は61.4gである(理論値の81%)。
【0236】
以下の化合物(1−2)〜(1−10)を同じように調製する:
【0237】
【化26-1】
【0238】
【化26-2】
【0239】
【化26-3】
【0240】
例2
化合物(2−1)の合成
【0241】
【化27】
【0242】
12.9gのビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(36ミリモル)と20gの臭素誘導体(1−1)(36ミリモル)とを、600mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、Nで飽和させる。3.6ml(3.6ミリモル)の1Mのトリ-tert-ブチルホスフィン溶液と、0.4g(1.79ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を次いで添加する。8.59gのナトリウムtert-ブトキシド(89.4ミリモル)をその後添加する。反応混合物を保護雰囲気下で7時間、沸騰加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を、水で三度洗浄し、NaSOで脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。シリカゲルを通してトルエンと共に、粗生成物を濾過後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に高真空で昇華させる。純度は99.9%である。収率は25gである(理論値の85%)。
【0243】
以下の化合物(2−2)〜(2−23)を同じように調製する:
【0244】
【化28-1】
【0245】
【化28-2】
【0246】
【化28-3】
【0247】
【化28-4】
【0248】
【化28-5】
【0249】
【化28-6】
【0250】
例3
化合物3−1の合成
【0251】
【化29】
【0252】
26.3g(47ミリモル)の化合物(1−1)と、15g(47ミリモル)の3,6-ジフェニル-9H-カルバゾールと、29.2gのRbCOとを250mlのp-キシレン中に懸濁させる。0.95g(4.2ミリモル)のPd(OAc)と、12.6mlの1Mのトリ-tert-ブチルホスフィン溶液をこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、150mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物を高温のトルエンで抽出し、トルエン/ヘプタンから三度再結晶化させ、最後に高真空で昇華させると、18.5g(25.6ミリモル)が得られ、理論値の54.5%に対応する。純度は99.9%である。
【0253】
以下の化合物(3−2)〜(3−5)を同じように調製する:
【0254】
【化30】
【0255】
例4
化合物4−1の合成
【0256】
【化31】
【0257】
16.8g(30ミリモル)の化合物(1−1)と、10g(30ミリモル)のカルバゾール-ボロン酸とを、300mlのジオキサンと、9.1gのフッ化セシウム(60ミリモル)との中に懸濁させる。2.2g(3ミリモル)のビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジクロリドをこの懸濁液へ添加し、反応混合物を還流下で18時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、80mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物を高温のトルエンで抽出し、トルエン/ヘプタンから三度再結晶化させ、最後に高真空で昇華させると、15.9gが得られ、理論値の66.4%に対応する。純度は99.9%である。
【0258】
以下の化合物(4−2)〜(4−14)を同じように調製する:
【0259】
【化32-1】
【0260】
【化32-2】
【0261】
【化32-3】
【0262】
【化32-4】
【0263】
パートB:OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDとが、WO 04/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0264】
種々のOLEDについてのデータを、以下の本発明の例E1〜E9と参照例V1に提示する。使用する基板は、厚さ50nmの構造化されたITO(インジウムスズ酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは基本的に、次の層構造を有する:基板/p-ドープされた正孔輸送層A’(HIL1)/正孔輸送層A(HTL)/p-ドープされた正孔輸送層B(HIL2)/正孔輸送層C(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの製造に必要とされる材料を表1に示し、製造される種々の電子素子の構造を表2に示す。
【0265】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種のまたは複数のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB(5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEBが5体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層または正孔注入層も二種の材料の混合物から成ることができる。ここで、H2:H3(60%):TEG(10%)等の表現は、材料H2が30体積%の割合で層中に存在し、H3が60体積%の割合で層中に存在し、TEGが10体積%の割合で層中に存在することを意味する。
【0266】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)および電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。用語EQE@2mAは、2mAの電流密度における外部量子効率を示している。用語LT80@50mA/cmは、OLEDが一定電流で初期輝度の80%に低下するまでの寿命である。
【0267】
【表1-1】
【0268】
【表1-2】
【0269】
【表2】
【0270】
例1
青色一重項発光のOLEDでは、本発明による試料E1(6.6%)、E2(7.6%)、E3(8.5%)、E4(7.5%)、E5(7.5%)、E6(7.3%)、E7(7.1%)は、参照試料V1(6.2%)と比べて、10mA/cmにおいて、より高い量子効率を示す。50mA/cmにおける寿命LT80はさらに、本発明による試料E1(390時間)、E2(370時間)、E3(380時間)、E4(305時間)、E5(220時間)、E6(300時間)、E7(440時間)の場合、参照試料V1(135時間)の場合よりも、非常に良好である。
【0271】
例2
緑色燐光参照試料V2が製造され、本発明による試料E8およびE9と比較した。参照試料V2は、19.8%の外部量子効率と、2mA/cmの電流密度における135時間の寿命(LT80@20mA/cm)を有する。比較により、本発明による試料E8(19.2%)とE9(19.3%)は、同等の量子効率と、310時間(E8)および270時間(E9)の非常に良好な寿命を有する。