【実施例】
【0173】
VIII.実施例
以下の実施例は、ある特定の作用実施態様の特異的な特性及び一般的なプロトコールを説明するために提供される。本発明の範囲は、以下の実施例により例示される特性に限定されない。
【0174】
実施例1
QMPの合成及び特徴決定
合成材料及び方法。NMRデータは、Topspin(Bruker)を稼働するBruker 400MHz Spectrometerで収集した。化学シフトは、
1H(CDCl
3では7.26ppm、DMSO−d
6では2.50ppm、CD
3ODでは3.31ppm)及び
13C(CDCl
3では77.0ppm、DMSO−d
6では39.51ppm、CD
3ODでは49.15ppm)の重水素化溶媒共鳴を参照した。化学シフトは、
31P(H
3PO
4では0ppm)及び
19F(トリフルオロ酢酸では76.55ppm)の外部基準を参照した。MSデータは、Mass Center(JEOL)を稼働するJEOL ESI−TOF(AccuTOF JMS−T100LC)により収集した。分取HPLCは、Empower 3(Waters)を稼働するWaters Sunfireカラム(分取C
18 OBD 10μm 50×250mm)を有するWaters 2535により実施した。全ての化学薬品は、商業供給者から購入し、別途示されない限り、受け取ったままで使用した。
スキーム1
【0175】
化合物2。5−ニトロサリチルアルデヒド(1)(10.0g、59.8mmol)を、丸底フラスコ中でCH
2Cl
2(100mL)に懸濁し、続いてトリエチルアミン(12.1g、120mmol)及びクロロリン酸ジエチル(15.5g、89.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に反応混合物を0.5MのHCl(100mL)で抽出し、有機層を収集し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により2つのバッチで精製して、化合物2を無色の粘性油状物(15.4g、収率85%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.37 (s, 1H), 8.70 (dd, J = 8.4 Hz及び1.0 Hz, 1H), 8.42 (dd, J = 9.0 Hz及び2.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 9.0 Hz及び1.0 Hz, 1H), 4.28 (m, 4H), 1.37 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 186.2, 156.64, 156.58, 129.9, 127.5, 127.4, 124.5, 122.1, 122.0, 65.7, 65.6, 16.1, 16.0;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
11H
15NO
7P
+の計算値304.1、実測値303.7。
【0176】
化合物3。化合物2(3.50g、11.5mmol)を、丸底フラスコ中でTHF及びMeOH(1:1、40mL)の混合物に溶解し、続いてNaBH
4(655mg、17.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に溶液を0.5MのHCl(40mL)で停止させ、得られた溶液をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、化合物3を無色の粘性油状物(2.55g、収率73%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.39 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.13 (dd, J = 9.0 Hz及び2.8 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 9.0 Hz及び1.0 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.24 (m, 4H), 1.37 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 152.6, 152.5, 145.1, 134.6, 134.5, 125.3, 124.3, 121.1, 121.0, 65.65, 65.59, 59.3, 16.12, 16.06;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
11H
17NO
7P
+の計算値306.1、実測値305.7。
【0177】
化合物4。化合物3(2.00g、6.55mmol)を、丸底フラスコ中でEtOAc(50mL)に溶解し、続いてPd/C(200mg)を加えた。フラスコを密閉し、H
2環境下で16時間撹拌し、その時点で反応混合物をCH
2Cl
2(10mL)で希釈した。次にへら先のセライトを加え、反応混合物を濾過した。濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去して、無色の油状物を得た。油状物を、丸底フラスコ中でDMF(20mL)に溶解し、続いてDMAP(80mg、0.655mmol)、EDAC(1.38g、7.21mmol)及びN−boc−アミノカプロン酸(1.67g、7.21mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、続いてH
2O(20mL)で停止させた。得られたエマルションをEtOAc(3×100mL)で抽出し、有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、化合物4を無色の粘性油状物(2.08g、収率65%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.90 (s, 1H), 7.64 (dd, J = 8.4 Hz及び2.4 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 9.0 Hz及び1.0 Hz, 1H), 4.84 (br s, 1H), 4.55 (s, 2H), 4.41 (br s, 1H), 4.16 (m, 4H), 3.02 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.27 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.63 (m, 2H), 1.44-1.40 (m, 11H), 1.38-1.32 (m, 8H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 172.0, 156.1, 143.6, 143.5, 136.25, 133.01, 132.96, 121.3, 120.69, 120.67, 120.3, 79.0, 65.07, 65.01, 59.5, 40.3, 36.9, 29.6, 28.3, 26.2, 25.1, 16.0, 15.9;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
22H
37N
2NaO
8P
+の計算値511.2、実測値510.5。
【0178】
化合物5。化合物4(600mg、1.23mmol)を、密閉シンチレーションバイアル中でCH
2Cl
2(10mL)に溶解し、氷浴で0℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(三フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄、Sigma−Aldrichから入手可能、299mg、1.35mmol)を滴加し、反応容器を密閉した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、続いてH
2O(10mL)で停止させた。有機層を分離し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により精製して、化合物5を無色の粘性油状物(420mg、収率70%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.69 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.44 (dd, J = 9.0及び0.8 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 9.0 Hz及び1.0 Hz, 1H), 5.38 (d, J = 76 Hz, 2H), 4.71 (br s, 1H), 4.18 (m, 4H), 3.06 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.29 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.66 (m, 2H), 1.47-1.41 (m, 11H), 1.35-1.31 (m, 8H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 171.8, 156.1, 144.06, 144.01, 143.99, 143.94, 135.8, 127.74, 127.67, 127.57, 127.50, 121.3, 120.92, 120.85, 120.06, 80.5, 78.9, 64.9, 64.8, 40.4, 36.9, 29.7, 28.3, 26.3, 25.0, 16.02, 15.95;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
22H
37FN
2O
7P
+の計算値491.2、実測値491.5。
【0179】
化合物6。化合物5(140mg、0.286mmol)を、シンチレーションバイアル中でCH
2Cl
2(3mL)に溶解し、続いて臭化トリメチルシリル(131mg、0.857mmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で16時間撹拌し、この時点で反応をMeOH(3mL)で停止させた。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により直接精製して、化合物6を白色の固体(61mg、収率64%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.68 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.49 (d, J = 48 Hz, 2H), 2.94 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.42 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.78-1.66 (m, 4H), 1.51-1.43 (m, 2H);
31P NMR (162 MHz, CD
3OD) δ -4.83;
19F NMR (376 MHz, CD
3OD) δ -77.5.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
13H
21FN
2O
5P
+の計算値335.1、実測値334.7。
13C NMRは、低い可溶性及びシグナルの欠如によって決定されなかった。
【0180】
化合物6へのコンジュゲーションの例:
化合物7。化合物6(50mg、0.15mmol)を、シンチレーションバイアル中でDMF(2mL)に溶解し、続いてNHS−ビオチン(60mg、0.16mmol)及びトリエチルアミン(76mg、0.75mmol)を加えた。反応容器を密閉し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により直接精製して、化合物7を白色の固体(46mg、収率58%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.93 (s, 1H), 7.75 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.53 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.44 (d, J = 47.6 Hz, 2H), 4.36 - 4.24 (m, 1H), 4.17 - 4.06 (m, 1H), 3.09 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 3.02 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 2.81 (dd, J = 12.4, 5.0 Hz, 1H), 2.57 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.28 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.03 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.67 - 1.18 (m, 12H).
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 171.8, 171.1, 162.7, 135.6, 120.7, 120.4, 119.7, 119.6, 80.5, 78.9, 61.0, 59.2, 55.4, 38.3, 36.2, 35.2, 29.0, 28.2, 28.0, 26.1, 25.3, 24.8.
31P NMR (162 MHz, DMSO-d
6) δ -5.21;
19F NMR (376 MHz, DMSO-d
6) δ -76.57.MS(ESI)m/z(M−H)
− C
23H
33FN
4O
7PS
−の計算値559.2、実測値559.0。
スキーム2
【0181】
化合物9。N−boc−チラミン(10.0g、42.1mmol)8を、還流冷却器を備えた丸底フラスコ中でCHCl
3(80mL)に溶解し、続いてH
2O(40mL)を加えた。次に粉末NaOH(16.8g、421mmol)を加え、反応混合物を、油浴中で激しく撹拌しながら60℃に加熱した。1時間後、NaOHの第2の部分(8.4g、210mmol)を加え、撹拌を更に1時間続けた。1時間後、NaOHの第3の部分(8.4g、210mmol)を加え、撹拌を更に5時間続けた。次に反応混合物を0.5MのHClで抽出し、有機層を収集し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、化合物9をオフホワイトの低融点の固体(5.43g、収率49%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.9 (s, 1H), 9.86 (s, 1H), 7.36 (d, J = 20 Hz, 2H), 6.94 (d, J = 20 Hz, 1H), 4.58 (br s, 1H), 3.34 (br s, 2H), 2.79 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.43 (s, 9H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 196.5, 160.3, 155.9, 137.6, 133.4, 130.4, 120.5, 117.8, 79.4, 41.7, 35.1, 28.4;MS(ESI)m/z(M−H)
− C
14H
18NO
4−の計算値264.1、実測値264.1。
【0182】
化合物10。化合物9(2.00g、7.54mmol)を、丸底フラスコ中でCH
2Cl
2(50mL)に懸濁し、続いてトリエチルアミン(1.53g、15.1mmol)及びクロロリン酸ジエチル(1.95g、11.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。次に反応混合物を0.5MのHCl(50mL)で抽出し、有機層を収集し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、化合物10を無色の粘性油状物(2.20g、収率73%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.3 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.38-7.34 (m, 2H), 4.66 (br s, 1H), 4.21 (m, 4H), 3.32 (br s, 2H), 2.78 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.38-1.30 (m, 15H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 188.4, 155.7, 151.4, 151.3, 136.5, 136.0, 128.6, 127.10, 127.04, 121.17, 121.14, 79.2, 65.03, 64.97, 41.4, 35.3, 28.3, 16.02, 15.95;MS(ESI)m/z(2M+Na)
+ C
36H
56N
2NaO
14P
2+の計算値825.3、実測値825.3。
【0183】
化合物11。化合物10(1.00g、2.49mmol)を、丸底フラスコ中でTHF及びMeOH(1:1、10mL)の混合物に溶解し、続いてNaBH
4(141mg、3.74mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。次に溶液を0.5MのHCl(10mL)で停止させ、得られた溶液をCH
2Cl
2(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、化合物11を無色の粘性油状物(540mg、収率53%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.29 (s, 1H), 7.14 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.60 (br s, 1H), 4.27 (m, 4H), 3.37 (br s, 2H), 2.80 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.39 (t, J = 6.8 Hz, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 155.8, 146.9, 146.8, 136.8, 133.04, 133.00, 131.4, 129.5, 121.12, 121.10, 79.3, 65.13, 65.07, 60.2, 41.6, 35.5, 28.4, 16.11, 16.04;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
18H
31NO
7P
+の計算値404.2、実測値404.2。
【0184】
化合物12。化合物11(250mg、0.620mmol)を、密閉シンチレーションバイアル中でCH
2Cl
2(5mL)に溶解し、氷浴で0℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(三フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄、Sigma−Aldrichから入手可能、151mg、0.682mmol)を滴加し、反応容器を密閉した。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、続いてH
2O(5mL)で停止させた。有機層を分離し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により精製して、化合物12を無色の粘性油状物(110mg、収率44%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.30-7.25 (m, 2H), 7.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.45 (d, J = 48 Hz, 2H), 4.70 (br s, 1H), 4.25-4.17 (m, 4H), 3.34 (br s, 2H), 2.78 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.34 (t, J = 6.8 Hz, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 155.8, 146.91, 146.86, 146.84, 146.79, 136.0, 130.3, 129.7, 129.6, 127.6, 127.5, 127.4, 127.3, 119.9, 80.5, 79.2, 78.8, 64.82, 64.76, 41.6, 35.3, 28.2, 16.0, 15.9;MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
18H
30FNO
6P
+の計算値406.2、実測値405.7。
【0185】
化合物13。化合物12(110mg、0.247mmol)を、シンチレーションバイアル中でCH
2Cl
2(1mL)に溶解し、続いて臭化トリメチルシリル(TMSB)(113mg、0.740mmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で16時間撹拌し、この時点で反応をMeOH(1mL)で停止させた。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により直接精製して、化合物13を白色の固体(45mg、収率72%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.25 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 7.17 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.38 (d, J = 48 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.83 (t, J = 7.6 Hz, 2H);
31P NMR (162 MHz, DMSO-d
6) δ 0.22;
19F NMR (376 MHz, DMSO-d
6) δ -75.6.MS(ESI)m/z(M−H)
− C
9H
12FNO
4P
−の計算値248.0、実測値248.0。
13C NMRは、低い可溶性及びシグナルの欠如によって決定されなかった。
【0186】
化合物13への検出可能標識コンジュゲーションの例:
化合物14。化合物13(15mg、0.060mmol)を、シンチレーションバイアル中でDMF(2mL)に溶解し、続いてNHS−ビオチン(23mg、0.066mmol)及びトリエチルアミン(18mg、0.18mmol)を加えた。反応容器を密閉し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACN)により直接精製して、化合物14を白色の固体(25mg、収率86%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.33-7.21 (m, 3H), 5.42 (d, J = 48 Hz, 2H), 4.52-4.49 (m, 1H), 4.31-4.28 (m, 1H), 3.43-3.40 (m, 2H), 3.19-3.17 (m, 1H), 2.96-2.92 (m, 1H), 2.83-2.79 (m, 2H), 2.72 (d, J = 13 Hz, 1H), 2.15 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.71-1.57 (m, 4H), 1.48-1.38 (m, 2H);
13C NMR (125 MHz, CD
3OD) δ 176.3, 166.3, 149.15, 149.09, 149.04, 137.4, 131.4, 130.9, 130.8, 129.7, 129.6, 129.5, 129.4, 121.5, 81.8, 80.1, 63.6, 61.8, 57.1, 41.8, 41.2, 36.9, 35.8, 29.8, 29.6, 27.1;
31P NMR (162 MHz, CD
3OD) δ -5.12;
19F NMR (376 MHz, CD
3OD) δ -77.3.MS(ESI)m/z(M−H)
ー C
19H
26FN
3O
6PS
−の計算値474.1、実測値474.0。
【0187】
化合物13への検出可能標識コンジュゲーションの追加の例が、スキーム3に示されている
スキーム3
追加のQMPは、スキーム4−10に従って合成することができる。
スキーム4
【0188】
化合物15を、THF及びメタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理して、化合物16を形成する。次に化合物16を、最初に、DMF中において1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)などのカルボジイミド架橋剤の存在下でN−ヒドロキシスクシンイミドにより処理して、活性化された酸を形成する(示されず)。次に、活性化された酸を、DMF中においてトリエチルアミンなどの塩基の存在下で1−BOCペンタンジアミンと反応させて、化合物17を形成する。次に化合物17を、上記のスキーム2において化合物10を作製するのに使用された方法により、ジクロロメタン中のクロロリン酸ジエチル及びトリエチルアミンと反応させて、化合物18を形成する。次に化合物18を、ジクロロメタン中のDeoxo−fluor(登録商標)と反応させて、化合物19を形成し、これを次に臭化トリメチルシリル(TMSB)と反応させて、脱保護アミン化合物20を形成する。次に化合物20をビオチンにコンジュゲートして、化合物21を形成する。化合物19、20及び21を作製する方法は、上記のスキーム2において化合物12、13及び14に使用されたものと同じである。
スキーム5
【0189】
化合物23。フェノール(22)(75.3g、800mmol)、グリオキシル酸一水和物(9.21g、100mmol)、トリブチルアミン(17.6g、22.6mL、95mmol)、Al
2(SO
4)
3(3.33g、5mmol)及びH
2O(4mL)を丸底フラスコ中で合わせ、反応混合物を50℃で8時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、続いて1MのNaOH(100mL)を加え、1,2−ジクロロエタン(3×100mL)で抽出した。次にNaOH層を、濃HClの注意深い添加によりpH=2に酸性化した。得られた溶液をEtOAc(5×200mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。次に溶媒を減圧下で除去して、化合物23を粘性の明褐色油状物(13.4g、収率80%)として得た。
【0190】
化合物24。化合物23(12.0g、71.4mmol)及びN−boc−ジアミノヘキサン(23.2g、107mmol)をDMF(125mL)に溶解し、続いてHOBt(965mg、7.14mmol)、EDAC(20.5g、107mmol)及び最後にDIEA(13.8g、18.6mL、107mmol)を連続して加えた。反応混合物をN
2下で16時間撹拌し、続いて減圧下でDMFを約25mLに低減した。次に得られた混合物を1MのHCl(100mL)で停止させ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から5:95)により3つの別々の等しい部分で精製して、化合物24を無色の粘性油状物(16.0g、収率61%)として得た。MS(ESI)m/z(M+2H−boc)
+ C
14H
23N
2O
3+の計算値267.2、実測値266.6。
【0191】
化合物25。化合物24(13.0g、35.5mmol)をEtOAc(25mL)に溶解し、N
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にトリエチルアミン(10.8g、14.8mL、107mmol)を加え、10分間撹拌した。次にクロロリン酸ジエチル(6.73g、7.69mL、39.0mmol)を5分間かけて滴加した。反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で4時間撹拌した。次に反応混合物を1MのHCl(200mL)で停止させ、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 340、ヘキサン:EtOAcの1:0から5:95)により精製して、化合物25を無色の粘性油状物(16.2g、収率91%)として得た。MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
23H
40N
2O
8P
+の計算値503.5、実測値503.2。
【0192】
化合物26。化合物25(13.0g、25.9mmol)を無水CH
2Cl
2(100mL)に溶解し、続いてN
2下で氷浴により−40℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(6.02g、5.01mL、27.2mmol)を、15分間かけて滴加した。反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で1時間撹拌した。次に反応混合物を飽和NaHCO
3溶液で停止させ、続いてCH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 340、CH
2Cl
2:MeOHの1:0から92:8)により精製して、化合物26を明黄色の粘性油状物(11.5g、収率85%)として得た。MS(ESI)m/z(M+2H−boc)
+ C
18H
31FN
2O
5P
+の計算値405.2、実測値405.0。
【0193】
化合物27。化合物26(11.0g、21.8mmol)を無水CHCl
3(20mL)に溶解し、続いてN
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にTMSBr(16.7g、14.3mL、109mmol)を、10分間かけて滴加した。次に反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で16時間撹拌した。反応混合物をMeOH(50mL)で停止させ、溶液を減圧下で除去した。残留物を、分取RP−HPLC(C
18、50×250mm、40mL/分、H
2O中0.05%のTFA:CH
3CNの40分間かけて99:1から5:95)を使用して5つの等量で精製して、化合物27を白色の固体(4.20g、収率55%)として得た。MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
14H
22FN
2O
5P
+の計算値349.3、実測値348.9。
【0194】
化合物27へのコンジュゲーションの例:化合物28。5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン(500mg、1.16mmol)を無水DMSO(5mL)に溶解し、続いてDMAP(213mg、1.74mmol)及び炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(327mg、1.28mmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。次に化合物27(446mg、1.28mmol)を加え、続いてDIEA(750mg、1.01mL、5.80mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をMeOH(5mL)で希釈し、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により精製して、化合物28を暗紫色の固体(625mg、収率71%)として得た。MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
39H
43FN
4O
9P
+の計算値761.3、実測値761.3。
【0195】
化合物29は、化合物21と同じ方法で作製され、化合物30は、下記の化合物37と同じ方法で作製される。
スキーム6
【0196】
化合物32。4−ヒドロキシマンデル酸(31)(11.0g、59.1mmol)及びN−boc−ジアミノヘキサン(141.1g、65.0mmol)をDMF(125mL)に溶解し、続いてHOBt(800mg、5.91mmol)、EDAC(17.0g、88.7mmol)及び最後にDIEA(11.5g、15.4mL、88.7mmol)を連続して加えた。反応混合物をN
2下で16時間撹拌し、続いて減圧下でDMFを約25mLに低減した。次に得られた混合物を1MのHCl(100mL)で停止させ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から5:95)により3つの別々の等しい部分で精製して、化合物32を無色の粘性油状物(18.7g、収率86%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.28 (s, 1H), 7.07 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.81 (br s, 1H), 6.64 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 4.87 (s, 1H), 4.78 (br s, 1H), 4.57 (br s, 1H), 3.23-3.11 (m, 2H), 2.99-2.97 (m, 2H), 1.42-1.35 (m, 13H), 1.18 (br s, 4H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 173.4, 162.7, 157.0, 128.2, 115.8, 79.4, 73.8, 40.34, 39.2, 36.5, 31.5, 29.7, 29.2, 28.4, 26.2, 26.1.MS(ESI)m/z(M+2H−boc)
+ C
14H
23N
2O
3+の計算値267.2、実測値266.6。
【0197】
化合物33。化合物32(18.5g、50.5mmol)をEtOAc(25mL)に溶解し、N
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にトリエチルアミン(25.6g、35.2mL、253mmol)を加え、10分間撹拌した。次にクロロリン酸ジエチル(9.15g、7.69mL、53.0mmol)を5分間かけて滴加した。反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で4時間撹拌した。次に反応混合物を1MのHCl(200mL)で停止させ、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 340、ヘキサン:EtOAcの1:0から5:95)により精製して、化合物33を無色の粘性油状物(22.6g、収率89%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.36 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.14 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.66 (br s, 1H), 4.85 (s, 1H), 4.64 (br s, 2H), 4.20-4.13 (m, 4H), 3.24-3.20 (m, 2H), 3.08-3.03 (m, 2H), 1.40-1.25 (m, 23H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 172.1, 156.1, 150.5, 150.4, 136.9, 128.1, 120.04, 119.99, 79.1, 73.2, 64.8, 64.71, 64.65, 40.1, 39.1, 29.8, 29.2, 28.4, 26.04, 25.98, 16.07, 16.00;
31P NMR (162 MHz, CDCl
3) δ -5.9.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
23H
40N
2O
8P
+の計算値503.5、実測値503.2。
【0198】
化合物34。化合物33(21.5g、42.3mmol)を無水CH
2Cl
2(100mL)に溶解し、続いてN
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(10.4g、8.68mL、47.1mmol)を、15分間かけて滴加した。反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で1時間撹拌した。次に反応混合物を飽和NaHCO
3溶液で停止させ、続いてCH
2Cl
2(3×100mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 340、CH
2Cl
2:MeOHの1:0から92:8)により精製して、化合物34を明黄色の粘性油状物(14.9g、収率69%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.36 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.81 (br s, 1H), 5.67 (d, 2H, J = 48 Hz), 4.73 (br s, 1H), 4.20-4.10 (m, 4H), 3.26-3.20 (m, 2H), 3.05-2.98 (m, 2H), 1.50-1.20 (m, 23H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 168.2, 168.0, 155.9, 151.28, 151.25, 151.21, 151.18, 131.7, 131.5, 128.03, 127.97, 119.95, 119.90, 91.9, 90.0, 78.7, 64.55, 64.48, 40.1, 38.7, 29.7, 29.1, 28.2, 26.07, 25.98, 15.90, 15.83;
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -175.5;
31P NMR (162 MHz, CDCl
3) δ -6.0.MS(ESI)m/z(M+2H−boc)
+ C
18H
31FN
2O
5P
+の計算値405.2、実測値405.0。
【0199】
化合物35。化合物34(3.20g、6.34mmol)を無水CHCl
3(20mL)に溶解し、続いてN
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にTMSBr(4.85g、4.19mL、31.7mmol)を10分間かけて滴加した。次に反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で16時間撹拌した。反応混合物をMeOH(20mL)で停止させ、溶液を減圧下で除去した。残留物をMeOH(10mL)に取り、得られた混合物を、氷水(100mL)の撹拌フラスコに滴加して、高粘度の白色沈殿物をもたらした。固体を真空濾過により収集し、冷水で洗浄した。得られた白色の固体を高真空下で乾燥させて、化合物35を白色の固体(1.50g、収率68%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.32 (t, 1H, J = 5.4 Hz), 8.17 (br s, 3H), 7.36 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 5.72 (d, 2H, J = 48 Hz), 3.13-3.07 (m, 2H), 2.29 (br s, 2H), 1.35-1.20 (m, 4H), 1.05-1.00 (m, 2H), 0.90-0.84 (m, 2H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 168.3, 168.1, 154.7, 129.6, 129.4, 127.23, 127.18, 91.4, 89.6, 38.3, 37.1, 28.6, 26.9, 25.5, 24.9;
19F NMR (376 MHz, DMSO-d
6) δ -174.2;
31P NMR (162 MHz, DMSO-d
6) δ -4.8.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
14H
22FN
2O
5P
+の計算値349.3、実測値348.9。
【0200】
化合物35へのコンジュゲーションの例:化合物36。5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン(500mg、1.16mmol)を無水DMSO(5mL)に溶解し、続いてDMAP(213mg、1.74mmol)及び炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(327mg、1.28mmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。次に化合物35(446mg、1.28mmol)を加え、続いてDIEA(750mg、1.01mL、5.80mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をMeOH(5mL)で希釈し、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により精製して、化合物36を暗紫色の固体(625mg、収率71%)として得た。MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
39H
43FN
4O
9P
+の計算値761.3、実測値761.3。
【0201】
化合物37。アミノ−peg
8−酸(511mg、1.16mmol)を、無水DMSO(10mL)及びDIEA(449mg、605μL、3.47mmol)の溶液に加え、続いて澄んだ溶液が観察されるまで超音波処理した。次に塩化ダブシル(750mg、2.32mmol)を15分間かけて10個の等しい部分で加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次にDMAP(212mg、1.74mmol)を加え、続いて炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(327mg、1.28mmol)を15分間かけて10個の等しい部分で加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。次に化合物35(446mg、1.28mmol)を加え、続いてDIEA(750mg、1.01mL、5.80mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をMeOH(5mL)で希釈し、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により精製して、化合物37を暗橙色の粘性油状物(735mg、アミノ−peg
8−酸に基づいて収率60%)として得た。MS(ESI)m/z(M+2H)
2+ C
47H
74FN
6O
16PS
2+の計算値530.2、実測値530.3。
スキーム7
【0202】
化合物38。化合物32(4.49g、12.3mmol)をEtOAc(25mL)に溶解し、続いてイミダゾール(2.08g、30.6mmol)及びTBS−Cl(4.61g、30.6mmol)を加えた。反応容器を密閉し、室温で4時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をMeCN:H
2O(10:1、20mL)の混合物に取った。次にDBU(1.87g、12.3mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に反応混合物をEtOAc(50mL)及び1MのHCl(3×50mL)で抽出した。有機層を収集し、MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から1:4)により精製して、化合物38を無色の油状物(5.10g、収率86%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.89 (br s, 1H), 7.06 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.01 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 6.54 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 4.95 (s, 1H), 4.62 (br s, 1H), 3.30-3.20 (m, 2H), 3.09-3.01 (m, 2H), 1.55-1.46 (m, 13H), 1.28 (s, 4H), 0.88 (s, 9H), 0.05 (s, 3H), -0.12 (s, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 173.3, 156.7, 130.5, 127.6, 115.6, 79.2, 75.6, 40.4, 38.8, 29.9, 29.5, 28.4, 26.3, 25.7, 18.1, -4.7, -5.3.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
25H
45N
2O
5Si
+の計算値481.3、実測値481.3。
【0203】
化合物39。化合物38(1.75g、3.64mmol)、TBABr(2.35g、7.28mmol)及びアセトブロモ−α−D−ガラクトシド(2.99g、7.28mmol)を丸底フラスコ中で合わせ、CH
2Cl
2(25mL)に溶解した。次にNaOH(5wt%、12mL)の水溶液を加え、反応混合物を室温で4時間激しく撹拌した。次に反応混合物をブライン(50mL)で希釈し、CH
2Cl
2(3×50mL)で抽出した。有機層を収集し、MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から1:4)により精製して、化合物39を無色の油状物(2.45g、収率83%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.34 (dd, 2H, J = 8.8 Hz及び2.0 Hz), 6.93 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.82-6.78 (m, 1H), 5.49-5.41 (m, 2H), 5.06 (dd, 1H, J = 14 Hz及び3.6 Hz), 5.03-5.00 (m, 2H), 4.55 (br s, 1H), 4.25-4.00 (m, 3H), 3.33-3.25 (m, 1H), 3.17-3.02 (m, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.04 (s, 6H), 1.99 (s, 3H), 1.50-1.40 (m, 13H), 1.29 (br s, 4H), 0.91 (s, 9H), 0.06 (s, 3H), -0.06 (s, 3H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 171.9, 170.3, 170.2, 170.0, 169.3, 156.66, 156.64, 155.9, 134.86, 136.84, 127.34, 127.28, 116.7, 99.60, 99.57, 79.0, 75.1, 75.0, 70.92, 70.89, 70.8, 68.6, 66.8, 61.3, 40.3, 38.7, 29.9, 29.5, 28.4, 26.4, 26.3, 25.7, 20.7, 20.6, 20.5, 18.1, -4.8, -5.4.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
39H
63N
2O
14Si
+の計算値811.4、実測値811.7。
【0204】
化合物40。化合物39(2.15g、2.65mmol)をTHF(20mL)に溶解し、続いてN
2でパージし、氷浴で0℃に冷却した。次にTBAF(THF中1M、2.65mL、2.65mmol)を5分間かけて滴加した。反応混合物をN
2下において0℃で15分間撹拌し、続いて飽和NaHCO
3溶液(25mL)で停止させた。得られた懸濁液をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機物を合わせ、MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から1:9)により精製して、化合物40を無色の油状物として得て、それを高真空に曝露すると白色の泡状物になった(1.55g、収率84%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.35 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.99 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.36 (d, 1H, J = 5.6 Hz), 5.50-5.43 (m, 2H), 5.10 (dd, 1H, J = 10 Hz及び3.2 Hz), 5.05-4.98 (m, 2H), 4.57 (br s, 1H), 4.25-4.02 (m, 3H), 4.04 (br s, 1H), 3.30-3.20 (m, 2H), 3.21-3.03 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.05-2.00 (m, 9H), 1.53-1.33 (m, 13H), 1.32-1.20 (m, 4H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 172.1, 170.4, 170.2, 170.1, 169.4, 157.0, 156.1, 134.65, 134.63, 128.2, 117.2, 117.1, 99.62, 99.60, 79.2, 73.53, 73.49, 71.0, 70.8, 68.6, 66.8, 61.3, 40.0, 39.2, 29.8, 29.2, 28.4, 25.9, 20.70, 20.65, 20.64, 20.56.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
33H
49N
2O
14+の計算値697.3、実測値697.5。
【0205】
化合物41。化合物40(1.22g、1.75mmol)を無水CH
2Cl
2(20mL)に溶解し、続いてN
2下で氷浴により0℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(426mg、355μL、1.93mmol)を5分間かけて滴加した。反応混合物を氷浴から取り出し、N
2下で15分間撹拌した。次に反応混合物を飽和NaHCO
3溶液(20mL)で停止させ、続いてCH
2Cl
2(3×50mL)で抽出した。有機物を収集し、合わせ、MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage Snap 50、ヘキサン:EtOAcの1:0から1:9)により精製して、化合物41を無色の油状物として得て、それを高真空に曝露すると白色の泡状物になった(840mg、収率69%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.35 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.99 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.63 (br s, 1H), 5.69 (d, 1H, J = 5.6 Hz), 5.50-5.41 (m, 2H), 5.08 (dd, 1H, J = 10 Hz及び3.6 Hz), 5.03 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.58 (br s, 1H), 4.23-4.01 (m, 3H), 4.04 (br s, 1H), 3.30-3.23 (m, 2H), 3.12-3.01 (m, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.02-1.96 (m, 9H), 1.58-1.25 (m, 17H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 170.3, 170.1, 170.0, 169.3, 168.4, 168.2, 162.4, 157.62, 157.60, 157.57, 156.0, 129.94, 129.91, 129.75, 129.72, 128.31, 128.24, 128.18, 116.90, 116.89, 99.3, 92.27, 92.23, 90.40, 90.37, 79.0, 70.99, 70.98, 70.7, 68.5, 66.8, 61.3, 40.2, 38.9, 36.4, 31.2, 29.9, 29.3, 28.3, 26.2, 26.1, 20.62, 20.57, 20.48;
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -175.2, -175.6.MS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
33H
47FN
2NaO
13+の計算値721.3、実測値721.2。
【0206】
化合物42。化合物41(300mg、0.429mmol)をTEA:MeOH:H
2O(1:8:1、2mL)の混合物に溶解し、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、続いてTFA:CH
2Cl
2(1:1、5mL)の溶液を加えた。反応容器を密閉し、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの60分間かけて99:1から5:95)により精製して、化合物42を白色の固体(75mg、収率41%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.43 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.67 (br s, 3H), 7.35 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.05 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 5.77 (d, 1H, J = 48 Hz), 5.18 (s, 1H), 4.95-4.80 (m, 2H), 4.67 (s, 1H), 4.53 (s, 1H), 3.70 (s, 1H), 3.60-3.25 (m, 7H), 3.20-3.05 (m, 2H), 1.55-1.38 (m, 4H), 1.37-1.20 (m, 4H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 168.8, 167.7, 158.0, 129.2, 129.0, 128.6, 128.5, 116.1, 100.6, 91.50, 91.45, 89.69, 89.63, 75.5, 73.3, 70.2, 68.1, 60.3, 38.8, 38.1, 28.7, 26.9, 25.7, 25.4;
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -170.4, -170.5.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
20H
32FN
2O
7+の計算値431.2、実測値431.1。
【0207】
化合物42へのコンジュゲーションの例:化合物43。化合物42(5mg、12μmol)を無水DMSO(1mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(6mg、8μL、58μmol)及び最後にCy5−NHSエステル(7mg、12μmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をMeOH(1mL)で希釈し、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により直接精製して、化合物43(TFA塩)を青色の固体(8mg、収率68%)として得た。MS(ESI)m/z(M)
+ C
52H
68FN
4O
8+の計算値895.5、実測値895.2。
スキーム8
【0208】
化合物44。化合物32(200mg、0.546mmol)を、丸底フラスコ中でEtOAc(1mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(166mg、1.64mmol)及び塩化プロピオニル(56mg、0.600mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に反応混合物を0.5MのHCl(5mL)及びEtOAc(3×10mL)で抽出し、有機層を収集し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAcの1:0から1:9)により精製して、化合物44を白色の固体(210mg、収率91%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3CN) δ 7.42 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.14 (br s, 1H), 7.06 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 5.34 (br s, 1H), 4.96 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 4.51 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 3.15 (q, 2H, J = 6.8 Hz), 2.97 (q, 2H, J = 6.8 Hz), 2.58 (q, 2H, J = 7.6 Hz), 1.42-1.30 (m, 13H), 1.29-1.12 (m, 7H);
13C NMR (101 MHz, CD
3CN) δ 174.1, 173.0, 157.0, 151.6, 139.5, 128.8, 122.7, 78.98, 74.2, 41.0, 39.6, 30.7, 30.2, 28.7, 28.2, 27.07, 27.03, 9.36.MS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
22H
34N
2NaO
6+の計算値445.2、実測値445.2
【0209】
化合物45。化合物44(200mg、0.473mmol)を、密閉シンチレーションバイアル中でCHCl
3(5mL)に溶解し、氷浴で0℃に冷却した。次にDeoxo−fluor(登録商標)(110mg、0.497mmol)を滴加し、反応容器を密閉した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、続いて0.5MのHCl(5mL)で停止させた。有機層を分離し、MgSO
4で乾燥した。懸濁液を濾過し、濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAcの1:0から1:9)により精製して、化合物45を白色の固体(155mg、収率77%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.39 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.04 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.81 (br s, 1H), 5.68 (d, 1H, J = 48 Hz), 4.77 (br s, 1H), 3.21 (q, 2H, J = 6.0 Hz), 3.00-2.95 (m, 2H), 2.52 (q, 2H, J = 7.6 Hz), 1.42-1.30 (m, 13H), 1.29-1.11 (m, 7H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ172.5, 168.1, 167.9, 155.9, 151.19, 151.17, 132.4, 132.2, 127.53, 127.47, 121.5, 91.9, 90.0, 78.6, 40.02, 38.65, 29.7, 29.1, 28.2, 27.4, 26.0, 25.9, 8.7;
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -178.0.MS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
22H
33FN
2NaO
5+の計算値447.2、実測値447.1。
【0210】
化合物46。化合物45(100mg、0.236mmol)を、シンチレーションバイアル中でCH
2Cl
2:TFAの1:1混合物(1mL)に溶解した。バイアルを密閉し、室温で30分間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物は、続く合成工程に適した純度であることが見出された。化合物46を粘性油状物として得て、TFA塩と決定された(100mg、収率97%)。少量の試料を、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により精製して、分析試料を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.42 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.09 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 6.98 (br s, 1H), 5.72 (d, 1H, J = 48 Hz), 3.23 (br s, 2H), 2.57 (q, 2H, J = 7.6 Hz), 1.60-1.40 (m, 4H), 1.39-1.15 (m, 7H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 173.1, 169.0, 168.8, 151.52, 151.50, 132.5, 132.3, 128.0, 127.9, 121.9, 91.9, 90.1, 39.6, 38.7, 28.7, 27.6, 26.9, 25.5, 25.2, 8.9;
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ-177.5.MS(ESI)m/z(M+H)
+ C
17H
26FN
2O
3+の計算値325.2、実測値325.2。
【0211】
化合物46へのコンジュゲーションの例:化合物47。化合物46(TFA塩、10mg、23μmol)を無水DMSO(1mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(7mg、10μL、68μmol)及び最後にCy5−NHSエステル(15mg、25μmol)を加えた。反応容器を密閉し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をMeOH(1mL)で希釈し、分取RP−HPLC(H
2O中0.05%のTFA:ACNの40分間かけて99:1から5:95)により直接精製して、化合物47(TFA塩)を青色の固体(12mg、収率58%)として得た。MS(ESI)m/z(M)
+ C
49H
62FN
4O
4+の計算値789.5、実測値789.1。
スキーム10
レゾルフィンを、クロロホルム及び水中の水酸化ナトリウムで処理して、アルデヒド48を形成する。次にアルデヒド48を、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤の存在下で化合物20と反応させて、化合物49を形成する。
スキーム11
【0212】
アジドアルキン「クリック」化学による、1,2,3−トリアゾリルリンカーを含有するQMの合成
化合物57は、スキーム11に示されている反応順序により調製される。最初に、サリチルアルデヒド(50)を、臭化エチニルマグネシウム(51)と反応させて、化合物52を得る。次に化合物52を、クロロリン酸ジエチル(53)及びDeoxofluor(登録商標)と順に反応させて、化合物54を得る。化合物54をTMSBrで脱保護して、リン酸アリール55を得る。最後に、化合物55を末端アジド官能化レポーター分子(N
3−R
4、化合物56)と反応させて、1,2,3−トリアゾリルリンカーを含有するQMレポーターコンジュゲート(57)を得る。
【0213】
実施例2
QMPを使用する標的検出
QMPの一般的免疫組織化学(IHC)プロトコール。別途特定のない限り、全てのIHC染色実験は、VENTANA BenchMark(登録商標)XT自動組織染色プラットフォームにより実施し、これらのプラットフォームに使用された試薬は、Ventana Medical Systems,Inc.(Tucson,AZ,USA、“Ventana”)からのものであった。ポリクローナルヤギ抗ウサギ抗体、ヤギ抗マウス抗体、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)及びアルカリホスファターゼ(AP)は、Roche Diagnostics(Mannheim,Germany)から得た。
【0214】
以下の共通の工程を実施した。(1)EZ Prep洗剤溶液(Ventana Medical Systems,Inc.(VMSI)、#950−101)による脱パラフィン(75℃、20分間)、(2)Reaction Buffer(VMSI #950−300)による洗浄、(3)Cell Conditioning 1(VMSI #950−124)による抗原回収(100℃、時間は目的の抗原に応じて決まる)、(4)洗浄(工程2と同じ)、(5)後に続くHRP検出工程のプロトコールのため、内在性ペルオキシダーゼを、iVIEW阻害剤(VMSI,E253−2187)の使用により不活性化した(37℃、4分間)、(6)洗浄(工程2と同じ)、(7)一次抗体(Ab)インキュベーション(37℃、時間は、一次抗体に応じて、8−32分間)及び(8)洗浄(工程2と同じ)。後に続く全ての試薬インキュベーション工程は、工程(2)の洗浄によって別々に分けられた。
【0215】
図4及び5に説明されているように、2つの実験染色プロトコールを使用した。一次抗体(抗標的抗体)インキュベーション及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗種抗体を用いる二次抗体インキュベーションが続いた(37℃、8分間)(
図4)。一次抗体インキュベーション及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗種抗体を用いる二次抗体インキュベーションが続いた(37℃、8分間)。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を加えた(37℃、8分間)(
図5)。
【0216】
検出1−HRP DAB。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液(VMSI #860−015)で洗浄した。QMP試薬を100mMのCHES(3−シクロ−ヘキシルアミノ−エチルスルホン酸)、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer(VMSI #253−2182)、続く100μLのハプテン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。化合物29は、この方法に使用できる例示的なハプテンQMPである。沈着したハプテンを、続いてマウス抗ハプテンHRPコンジュゲート(又はストレプトアビジンHRP)により結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリン(Hematoxylin II,VMSI #790−2208)により対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagent(VMSI #760−2037)と共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にスライドを、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
図13(A)は、この方法により染色されたスライドの例示的な顕微鏡写真を示す。
【0217】
検出2−APレッド。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。QMP試薬を100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのハプテン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。化合物29は、この方法に使用できる例示的なハプテンQMPである。沈着したハプテンを、続いてマウス抗ハプテンAPコンジュゲート(又はストレプトアビジンAPコンジュゲート)により結合させ(37℃、8分間)、検出は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのナフトールAS−TRリン酸エステル及び200μLのファストレッドKLの添加(37℃、16分間)により達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。スライドを洗剤水混合物ですすぎ、空気乾燥し、手作業によりカバーガラスで覆った。
図14(B)−14(D)は、この方法により染色されたスライドの例示的な顕微鏡写真を示す。
【0218】
検出3−量子ドット。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。QMP試薬を100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのハプテン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。化合物29は、この方法に使用できる例示的なハプテンQMPである。沈着したハプテンを、続いて、マウス抗ハプテン量子ドットコンジュゲート(又はストレプトアビジン量子ドットコンジュゲート)とのインキュベーション(37℃、32分間)により可視化した。スライドをReaction Bufferで洗浄し、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
図15Cは、この方法により染色されたスライドの例示的な顕微鏡写真を示す。
【0219】
検出4−蛍光団。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをクエン酸ナトリウムバッファー(saline sodium citrate buffer)(SSC、VMSI#950−110)で洗浄した。QMP試薬を250mMのTris、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLの蛍光団標識QMP(濃度<50μM)の添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。化合物28は、この方法に使用できる例示的な蛍光団QMPである。スライドをReaction Bufferで洗浄し、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。スライドを、適切なフィルターセットを使用する蛍光顕微鏡法により観察した。
図15Aは、この方法により染色されたスライドの例示的な顕微鏡写真を示す。
【0220】
検出5−色素産生QMP。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSSCで洗浄した。QMP試薬を250mMのTris、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLの発色団標識QMP(濃度>50μM)の添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。化合物30は、この方法に使用できる例示的な色素原QMPである。幾つかの場合において、染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。スライドを洗剤水混合物ですすぎ、次に一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。スライドを明視野顕微鏡法により観察した。
図16(A)は、この方法により染色されたスライドの例示的な顕微鏡写真を示す。
【0221】
実施例3
ジフルオロQMPビオチンにより増幅されたHRP DAB(
図17)
(a)ultraViewコントロール(
図17(A))。組織を一般手順に記載されたように脱パラフィンし、続いてProtease 1(VMSI #760−2018)により抗原を回収した(37℃、8分間)。マウス抗EGFR抗体インキュベーション(37℃、32分間)及び洗浄の後には、HRPにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。抗原を、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートして(37℃、4分間)、ヘマトキシリン色相を青色に変えた。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0222】
(b)QMP増幅DAB(
図17(B))。組織を一般手順に記載されたように脱パラフィンし、続いてProtease 1により抗原を回収した(37℃、8分間)。マウス抗EGFR抗体インキュベーション(37℃、32分間)及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。ジフルオロQMPビオチンを100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのビオチン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したハプテンを、続いてストレプトアビジンHRPコンジュゲートにより結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0223】
IHC染色についてQM前駆体を評価すると、脱離基が何であるかがQMPの活性に影響を及ぼしたことが見出された。2つのリン酸エステル保護オルトQM前駆体を、ベンジルモノフルオロ(スキーム1、化合物7)及びベンジルジフルオロ(化合物58)の官能基を含有する4−ニトロサリチルアルデヒド出発材料に基づいて調製した。
【0224】
両方の化合物は、フッ化物を脱離基として利用するが、ジフルオロ化合物58から誘導されるQMの反応性は、ジェミナルフッ素原子により提供される電子安定性に起因して、モノフルオロ7より顕著に低いはずである。事実、以前の報告は、幾つかのモノフルオロ前駆体から誘導されたQMが、酵素活性のプローブとして過剰な反応性があり、活性部位標識、続く酵素阻害をもたらしうることを示唆している。したがって、ジフルオロQM前駆体化合物58を、最初に、FFPE扁桃組織への核マーカーBCL6をモデル系として使用して、FFPE組織へのIHC染色性能について評価した。ビオチン標識ジフルオロQM前駆体は、後に続くジアミノベンジジン(DAB)検出を使用したビオチン可視化により明らかなように、試料に成功裏に結合した。
図18は、pH=8.5でのTrisバッファー中のジフルオロQM前駆体の様々な濃度での検出レベルを説明する顕微鏡写真提供する(A−DABコントロール、B−1μM、C−10μM及びD−20μM)。加えて、20μMを超えるジフルオロQM前駆体化合物58のスライド上での濃度が利用されたとき、DABコントロール試料と比較して、シグナルの有意な増幅が観察された。しかし、シグナル拡散の増加も全ての場合において観察され、顕著な望ましくないオフターゲット染色をもたらした。
【0225】
ジフルオロQM前駆体によるシグナルの拡散は、2つの動力学的要因の組み合わせによって生じうることが示唆された。(1)リン酸エステル基の切断後の脱離基放出及び後に続くQM形成の速度、並びに(2)組織の求核種による又は反応媒体におけるQM停止の速度。ジフルオロQM前駆体化合物58の場合では、ジェミナルフッ素原子が、両方の要因を減速したかもしれない安定化を提供し、標的部位からの許容されない拡散をもたらした。反応媒体のpHを増加することによって、QM形成と停止の両方の速度は加速され、より良好な染色結果をもたらしうると仮定された。(1)では、よりアルカリ性のpHが、リン酸エステルの切断後に脱プロトン化フェノールの集団を増加し、したがってフッ化物放出及びQM形成を助長する。(2)では、pHの増加が水及びバッファー(Tris)の両方からの利用可能な失活種の集団を増加し、QMが、求核種と反応する前に標的から拡散できる距離を有効に減少する。
【0226】
シグナル拡散に対するpHの効果を試験するため、ジフルオロQM前駆体化合物58をAPの作用範囲内の様々なpHレベルで前述のように沈着させた(7−12であり、pH=8.5及び11に最大活性の2つの肩があった)。FFPE扁桃組織への核マーカーBCL6をモデルとして再び選択した。陽性染色が全てのpH範囲にわたって観察されたが、全体的なシグナルと拡散の均衡が見られた。
図19(A)−19(H)は、様々なpHのTrisバッファー中の20μMのQM前駆体の検出レベルの顕微鏡写真を提供する。(A)DABコントロール、(B)pH=7.0、(C)pH=8.0、(D)pH=8.5、(E)pH=9.0、(F)pH=10.0、(G)pH=11.0、(H)pH=12.0。拡散は、pHが増加すると減少するように思われる。pH7では、オンターゲット染色はほとんど観察されず、ほぼ均一のシグナルが組織切片全体にわたって見られた。pHが上昇すると、オフターゲット染色は徐々に減少したが、全体的なシグナル拡散及びオフターゲット染色は、pH12でも有意のままであった。増幅のレベルは、pHが8.5に上昇したときのみに増加し、残りの範囲では徐々に減少した。この効果は、酵素活性と、反応媒体中のQM失活種の集団との組み合わせに起因しうる。最適なAP反応条件をはるかに下回るpHレベル(7.0)では、APの活性は減少し、低いシグナルをもたらした。pHは増加したが(8.0−8.5)、TrisのほぼpKa(8.1)のままであると、APの活性は、反応媒体中の失活種の集団より速く増加し、シグナルの有意な増加をもたらした。pHを更に上昇させると(9−10)、失活種集団が増加し、同時にAP活性が減少し、シグナルの減少をもたらした。APはTris中においてpH11で最大活性を有したが、染色強度に僅かな減少が観察され、それは、増加したAP活性により克服できなかった過剰に多い失活種の集団に起因する可能性が最も高い(8.5から11へのpHの上昇は、[Tris塩基]を約50%増加し、AP活性はわずか約20%しか増加しない)。pH範囲の上限であっても、ジフルオロQM前駆体化合物58からの拡散は、IHCの臨床的使用には依然として大きすぎたことが決定された。これは、ジフルオロに基づいたQMPがIHC試薬としての使用に適していると示唆したBobrowの開示と対照的である。
【0227】
より安定性の低いモノフルオロQM前駆体7を利用することによって、拡散は上記に記載された理由によって低減されうることが示唆された。IHC染色を、最初に典型的なAP IHC条件下(Trisバッファー中pH8.5)でFFPE扁桃組織に核マーカーBCL6を使用して広い濃度範囲にわたって実施して、モノフルオロQM前駆体7の最適濃度を決定した(データ示されず)。驚くべきことに、ジフルオロQM前駆体58(20μM)と比較したとき、はるかに低い濃度のモノフルオロQM前駆体7(250nM)が、所望の増幅レベルを得るために必要であった。加えて、全体的な拡散は、ジフルオロQM前駆体58と比較して大きく低減されたが、幾らかの拡散及びオフターゲット染色がpH=8.5で依然として明白であった。拡散及びオフターゲット染色を低減する努力において、pH範囲(7−12)をTrisバッファーにおいて試験した(
図20A−20(H):(A)DABコントロール、(B)pH=7.0、(C)pH=8.0、(D)pH=8.5、(E)pH=9.0、(F)pH=10.0、(G)pH=11.0、(H)pH=12.0)。低いpH(7.0−8.0)では、有意な拡散が見られ、ジフルオロQM前駆体58において観察されたものと類似した染色を作り出した。しかし、拡散及びオフターゲット染色は、pHが上昇すると、シグナル全体に許容されない減少を有することなく徐々に低減された。pH10では、拡散及びオフターゲット染色はほぼ排除され、DABコントロールに匹敵する特異性を伴った高レベルのシグナルを有する染色を生じた。pHを更に11−12に増加すると、より鮮明な青色ヘマトキシリン対比染色により明白なように、僅かに綺麗になった染色をもたらした。しかし、シグナル全体の僅かな低減が、これらの高いpHレベルにおいて観察された。
【0228】
実施例4
第四級アミン脱離基を有するQMPビオチンにより増幅されたHRP DAB(
図21)
(a)ultraViewコントロール(
図21(A))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、HRPにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。抗原を、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートして(37℃、4分間)、ヘマトキシリン色相を青色に変えた。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0229】
(b)キノンメチドアナログ前駆体増幅DAB(
図21(B)−(D))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。ピリジンQMPビオチン(100μM)(
図21(B))又はDABCO QMPビオチン(100μM)(
図21(C))又はトリエチルアミンQMPビオチン(100μM)(
図21(D))を、100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのビオチン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したハプテンを、続いてストレプトアビジンHRPコンジュゲートにより結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0230】
これらの結果は、コントロールと比較したとき、この用途におけるLGとしての第四級アミンの準最適性能を実証している。ピリジン、DABCO及びトリエチルアミンQMPビオチン誘導体は、コントロールスライド(
図21(A))と比較すると、全て、はるかに低い染色強度及び大きな拡散シグナルを示した(
図21(B)−(D))。
【0231】
実施例5
様々な脱離基を有するQMPビオチンにより増幅されたHRP DAB(
図22)
(a)ultraViewコントロール(
図22(A))。実施例4(a)を参照すること。
【0232】
(b)QMP増幅DAB(
図22(B)−22(D))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMPビオチン(400μM)(
図22(B))又は酢酸エステルQMPビオチン(100μM)(
図22(C))又はメトキシQMPビオチン(100μM)(
図22(D))を、100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのビオチン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したビオチンを、続いてストレプトアビジンHRPコンジュゲートにより結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0233】
2つの準最適及び1つの最適なLGがこの実施例に示されている。酢酸エステルLGを有するQMPビオチン(
図22(C))は、弱い非常に拡散されたシグナルを生成し、メトキシLGを有するQMPビオチンは、十分に分解されたシグナルを示すが、低い強度を有した(
図22(D))。QMPビオチンのモノフルオロLG誘導体(
図22(B))は、コントロールスライド(
図22(A))以上の強度を有する十分に分解されたシグナルを実証している。評価した全てのLG基のうち、モノフルオロが最良の性能を提示する。
【0234】
実施例6
異なるリンカーを有するQMPビオチンにより増幅されたHRP DAB(
図23)
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。マウス抗Bcl−2抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMPビオチン(アニリンアミドを有する(
図23(A))、安息香酸アミド(
図23(B))又はチラミドアミドリンカー(
図23(C))(100nM)を、100mMのCHES、H10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのビオチン標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したビオチンを、続いてストレプトアビジンHRPコンジュゲートにより結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0235】
この実験は、QMPビオチンの機能性染色性能に対する、穏やかな電子求引基(EWG)及び電子供与基(EDG)の繊細な効果を実証している。安息香酸アミドリンカー(化合物21、
図21(A))は、穏やかなEWGであり、より多くの拡散、より少ない分解シグナルをもたらす。中性(アニリンアミド(化合物7、
図2(A)))又は穏やかなEDG(チラミドアミド(化合物14、
図2(A)))である他のリンカーは、十分に分解したシグナルを生成する。強いEDG(例えば、メトキシ)又はEWG(例えば、ニトロ)による他の実験(ここに含まれない)は、染色性能に対してはるかに多くの有害作用を示す。このことは、QMP中間体の反応性に対する電子の影響及び染色性能に対する効果を説明している。
【0236】
実施例7
モノフルオロ−QMP−NPにより増幅されたAPファストレッド(
図14)
ファストレッドコントロール(
図14(A))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗CD−10抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギ抗ウサギポリクローナル抗体によるインキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を加えた(37℃、12分間)。検出は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのナフトールAS−TRリン酸エステル及び200μLのファストレッドKLの添加(37℃16分間)によって達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。スライドを洗剤水混合物ですすぎ、空気乾燥し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0237】
QMP増幅ファストレッド(
図14(B)−14(D))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗CD−10、マウス抗Bcl−2又はマウス抗Her3抗体インキュベーション(37℃、32分間)及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗ウサギ又は抗マウス抗体によるインキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を、三次抗体として使用した(37℃、12分間)。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMP−NP(100nM)を、100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのNP標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したハプテンを、続いてマウス抗ハプテンAPコンジュゲートにより結合させ(37℃、12分間)、検出は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのナフトールAS−TRリン酸エステル及び200μLのファストレッドKLの添加(37℃、16分間)により達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。スライドを洗剤水混合物ですすぎ、空気乾燥し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0238】
この実施例は、いったんレポーター(この場合ではNPハプテン)が、QMP方法論により沈着されると、DABに代替する検出系も使用できることを実証している。この場合、抗NP APコンジュゲートを使用して、APファストレッド化学により標的を可視化している。
図14(B)は、コントロールスライド(
図14(A))よりもシグナルに有意な増幅を示している。
図14(C)及び14(D)は、通常は弱く可視化されるビオマーカーBcl2及びHer3の強い強度での染色を示している。
【0239】
実施例8
モノフルオロ−QMP蛍光団及びモノフルオロ−QMP−NPにより増幅された量子ドット(
図15)
(a)QMP蛍光団(
図15(A)、15(B))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。マウス抗Bcl−2抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を加えた(37℃、12分間)。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMP−TAMRA(
図15(A))又はモノフルオロQMP−Alexa Fluor(登録商標)700(
図15(B))を、100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLの蛍光団標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。スライドをReaction Bufferで洗浄し、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。スライドを、適切なフィルターセットを使用する蛍光顕微鏡法により観察した。
【0240】
(b)QMP増幅量子ドット(
図15(C))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。マウス抗Bcl−2抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を加えた(37℃、12分間)。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMP−NPを100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのNP標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したハプテンを、続いて、マウス抗NP量子ドット525コンジュゲートとのインキュベーション(37℃、32分間)により可視化した。スライドをReaction Bufferで洗浄し、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。スライドを、適切なフィルターセットを使用する蛍光顕微鏡法により観察した。
【0241】
蛍光団をQMP分子においてレポーターとして使用すると(
図15(A)及び15(B))、結果を、増幅された蛍光シグナルを生成する任意の更なる検出化学により可視化することができる。QMP−NPは、ストレプトアビジン量子コンジュゲートを使用して、蛍光的に検出することができる、このことは、実施例3−6に概説されているHRP/DAB法と比較して、沈着したハプテンを検出する代替的な方法を提供する。このことは、QMP方法論が、明視野及び暗視野(蛍光)増幅シグナルの両方を生成するために使用できること、並びに現存の検出化学と連動するように容易に適合されることを説明している。
【0242】
実施例9
QMP−NPにより増幅されたHRP DAB(
図13、24−25)
(a)ultraViewコントロール(
図13(B)、
図24(A)−24(B);24(B)は黒色枠で区別された24(A)の領域をより高い倍率で示す)。実施例4(a)を参照すること。
【0243】
(b)QMP増幅DAB(
図13(A)、
図25(A)−25(B);24(B)は黒色枠で区別された25(A)の領域をより高い倍率で示す)。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、APにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSpecial Stains洗浄液で洗浄した。モノフルオロQMP−NP(100nM)を、100mMのCHES、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度を100nMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのNP標識QMPの添加及び37℃で16分間のインキュベーションによって達成した。沈着したハプテンを、続いてマウス抗NP HRPコンジュゲートにより結合させ(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物によって可視化した。硫酸銅の添加(37℃、4分間)により、DABの色調を強めた。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0244】
この実施例は、QMP−NPを使用するシグナルの増幅、続くHRP/DAB検出を実証している。シグナル強度は大きいが、追加的なバックグランドは生成されず、シグナル局在化はコントロールスライドと同等である。
【0245】
実施例10
発色団検出可能標識部分を有するQMP(
図16)
発色団検出可能標識部分を有するQMP(
図16(A)−16(D))。組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ニトロピラゾール(NP)によりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗ウサギによる二次インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、APコンジュゲートマウス抗NPモノクローナル抗体を加えた(37℃、12分間)。APコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSSCで洗浄した。モノフルオロQMP−PEG8−ダブシル(250μM)(
図16(A))又はモノフルオロQMP−TAMRA(250μM)(
図16(B))又はモノフルオロQMP−Cy5(250μM)(
図16(C))又はモノフルオロQMPローダミン110(250μM)(
図16(D))を、250mMのTris、pH10.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLの適切なQMPの添加及び37℃で32分間のインキュベーションによって達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にスライドを一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0246】
実施例2−9は、QMPレポーターを現存の検出化学(HRP/DAB及びAP/ファストレッド)により、並びに蛍光により直接的に、可視化できることを実証した。この実施例は、大きな消衰係数を有する発色団がレポーター分子である場合、増幅QMPシグナルを明視野顕微鏡法により直接見ることができることを実証している。異なる吸収波長を有する発色団を選択することによって、広範囲の別々の色を作り出すことができる(
図16(A)−(D))。複数の色素産生検出系を生成するために異なるレポーターを有する単一のコア分子(QMP)を使用する能力は、多重適用において基本的に重要なものである。以前は、新たな色素産生検出系を生成するために、新たな化学を発明する必要があり、それぞれの酵素には異なる手法が必要であった。異なるレポーター分子及び/又は異なる酵素認識基を有する単一のQMPコア分子を使用する能力は、多重明視野(及び蛍光)アッセイにおける新たなツールを提供する。
【0247】
実施例11
捕捉実験
染色及び停止の機構を探求するため、染色実験で利用したものと類似した条件下で、溶液相においてモノフルオロQM前駆体7により形成されたQM中間体を捕捉する試みを行った(
図26)。QM前駆体7をpH10のTrisバッファーに溶解し、続いて触媒量のAPを加えた。反応の進行をHPLC−MSでモニターした(
図27)。10分以内に、Tris付加物7−トリスへの完全な変換が観察された(
図27(C))。APの不在下では、反応は発生せず、所望の反応条件下での高レベルの安定性を示唆した(
図27(B))。これらの結果は、QM媒介染色の提案された機構を強く支持し、Tris塩基がIHC染色条件下での失活種の主な供給源であることを解明している。
【0248】
追加の捕捉実験を実施して、リン酸エステル、ガラクトシド及び酵素認識基として酢酸エステルを含むQM前駆体から、溶液中にキノンメチドを生成し、捕捉する能力を実証した。それぞれのQM前駆体を、対応する酵素により溶液中で処理し、反応進行をHPLC−MSによりモニターした(データ示されず)。それぞれの基質を、同族酵素に適したpH(アルカリホスファターゼでは10、β−ガラクトシダーゼでは8.0及びリパーゼでは8.0)で250mMのTris溶液中で1mMに希釈し、続いて溶液中の酵素の最終濃度が1mMになるように同族酵素を加えた。反応を室温で30分間インキュベートし、この時点でHPLC−MSを実施した。それぞれの場合において、Tris付加物が検出され、QMが成功裏に形成されたことを実証した。
【0249】
実施例12
安定性
本開示の1つの態様は、活性化酵素との相互作用において反応が素早く進行すべきという点で、十分に不安定な化合物が好まれるが、この不安定性は、本明細書に記載されているように、意図される使用の範囲内で有用な組成物を作製する目的と均衡しなければならない。特に、自動IHC及びISHにおける検出試薬としてのこれらの試薬の使用は、有意な期間にわたって試薬を貯蔵及び使用できる臨床医に輸送することができるように、試薬が容器内で十分に安定していることが必要である。この種類の組成物の関連する貯蔵寿命は、12か月間、18か月間、24か月間又はそれ以上の安定性である。貯蔵条件は特定的でありうるが、臨床機器への試薬の使用は、多くの場合、試薬が十分な室温安定性を有することが必要となる。1つの実施態様において、本開示の組成物は、自動IHC及びISHに適した安定性を有する。自動ISH及びIHCへの適合性は、絶対安定性を必要とせず、むしろ、試薬の使用が試薬の分解により悪影響を受けないように、確立された時間の後に実質的な量の化合物が残っていることに留意するべきである。
【0250】
ここで
図28を参照すると、適切な安定性について試験された化合物の4つの構図が示されている。
図28(A)は、TAMRAにコンジュゲートしたパラ二置換QMPであり、(B)は、ダブシルにコンジュゲートしたパラ二置換QMPであり、(C)は、ダブシルにコンジュゲートしたオルト二置換QMPであり、(D)は、Cy5にコンジュゲートしたオルト二置換QMPである。ここで表1を参照すると、
図28(A)及び(B)に示されている化合物の常温(20−25℃)での水中安定性が示されている。QMP色素コンジュゲートの分解は、色素が何であるかとは無関係であると思われる。特定の理論又は機構に限定されることなく、分解の主な様式は、水によるフッ化物の置き換えが、組織を染色する能力を有さない化合物を生成することであると理解された。スキーム14は、代表的なQMPのAが加水分解によって、非染色化合物Bになることを示す。
スキーム14
化合物は、素早く分解しすぎて、バッファーされていない水溶液に貯蔵できないことが見出された。特に、
図28(A)のQMPの約42%及び
図28(B)のQMPの約44%のみが、12日後に残っていることが観察された。試薬を自動染色液に使用し、新たに合成された試薬と比較して、シグナルが減少したことが確認された。
加水分解の問題を回避するため、1つの解決策は、化合物を、無水の非求核有機溶媒(例えば、DMSO又は炭酸プロピレン)に貯蔵することであった。表1は、
図28(A)及び(B)の化合物を3つの高温(30、45及び60℃)で貯蔵した加速安定性試験のデータを示す。ここでも、異なる色素コンジュゲートの動作は、化合物のQMP部分が同一に保たれると、非常に類似している。高温では、異なる分解経路が観察された(スキーム15)。特に、微量の水を有するDMSO中の高温でのQMPの分解は、フルオロ基及びリン酸エステルの両方を加水分解することが見出された。DMSO中に貯蔵したとき、QMP材料を、使用時に近づいた染色バッファーで希釈した。幾つかの自動染色液は、試薬を調製する前希釈工程が可能であり、したがって、この手法は、化合物の意図される使用の範囲内で稼働できる様式で必要とされる長期間の安定性を提供することが理解される。
スキーム15
【0251】
これらの化合物の水性安定性を更に調査するため、
図28(A)の化合物を3つの異なるバッファーに様々なpHで貯蔵した(表2を参照すること)。バッファー溶液のpHが低いと、活性染色化合物の貯蔵寿命を延ばすことが観察された。
分解経路及び特徴を理解するため、溶媒系を、QMP化合物の貯蔵寿命を延長する目的で設計した。本明細書のバッファーAと呼ばれる、DMSOと10mMのグリシンとの50/50混合物のバッファー(pH2.0)を含む溶媒系は、適切な安定性を示すことが発見された。表3は、化合物が異なる温度(2、25、37及び45℃)で、DMSOと10mMのグリシンとの50/50混合物のバッファー(pH2.0)に貯蔵された加速安定性試験のデータを示す。高温では、
図3Cに記載されている分解経路が依然として観察された。しかし、通常の貯蔵条件(2−25℃)では、QMの分解速度は、100%水性系と比較して低減されている。
表3は、同じDMSOと10mMのグリシンとの50/50混合物のバッファー(pH2.0)中における代替的なQMP化合物(
図28(C)及び(D)に示されている)の安定性データも示す。初期データは、オルトQMPがこれらの貯蔵条件下でパラQMPよりも改善された安定性を有することを示している。
【0252】
実施例13−塩及び補助因子
マグネシウムは、アルカリホスファターゼ(AP)に必要な補助因子であり、したがって、APによるQMPの代謝回転速度は、マグネシウムの濃度によって左右されることが予測される。しかし、染色の質に対するマグネシウム塩の濃度の驚くべき効果が発見された。ここでも、シグナル強度は、マグネシウムの補助因子としての役割によって、マグネシウムの濃度が増加すると改善されることが理解された。しかし、シグナルの質が改善されることは予測されなかった。特に、改善された質は、シグナル局在化、離散及び拡散低減であった。事実、これらの質は、より大きなシグナル強度が標的位置からにじみ出す可能性がある又はにじみ出るのを見ることができるようになる可能性があるので、マグネシウムの増加により実際に減少しうることが予測された。ここで
図29(A)−29(B)を参照すると、0.125Mの塩化マグネシウム(
図29(B))及び1.05Mの塩化マグネシウム(
図29(A))の単一変動要因を有する、QMP−TAMRAを有するCD8の存在により染色された扁桃組織の顕微鏡写真が示されている。顕微鏡写真及びその複写は、望むほど劇的に有意な差を示さないが、1.05Mの塩化マグネシウム試料は、0.125Mのマグネシウム試料と比較して、はるかに良好な染色の質を示した。実例的な実施態様において、本開示の方法及び組成物は、約0.1M、0.25M、0.5M、1.0M又は1.25Mを超える、塩化マグネシウムなどの塩を含む。他の実施態様において、本開示の方法及び組成物は、約0.1Mから約2M、約0.25Mから1.5M、約0.5Mから約1.25M又は約1.0Mの塩化マグネシウムを含む。類似した効果も、NaCl濃度に関して観察されたが、効果はそれほど大きくなかった。
【0253】
塩化マグネシウム濃度研究と組み合わせた、この組み合わせデータは、少なくとも2つの構成成分が存在しうる現在のキット配置をもたらし、第1は、pH調整剤(0.5MのTris、pH10.0)であり、第2は、有機溶媒(例えば、DMSO)及び10mMのグリシン(pH2.0)と1.0Mまでの塩化マグネシウムとの組み合わせで処方されたQMPである。
【0254】
実施例14
β−ガラクトシダーゼトリガー及び発色団レポーター部分を有するQMP(
図30)
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体インキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ビオチンによりハプテン標識されたヤギポリクローナル抗ウサギによる二次インキュベーション(37℃、8分間)が続いた。洗浄した後、β−ガラクトシダーゼ(β−Gal)コンジュゲートストレプトアビジン(Life Technologies #S−931)を加えた(37℃、32分間)。β−Galコンジュゲートとインキュベートした後、スライドをSSCで洗浄した。モノフルオロβ−Gal−QMP−Cy5(125μM)(
図30(A)−30(B))又はβ−Gal−QMP−Cy3(100μM)(
図30(C))を、250mMのTris、pH8.0、0.05%のBrij−35に溶解した。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLの適切なβ−Gal−QMPの添加及び37℃で32分間のインキュベーションによって達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagent(37℃、4分間)(
図30(B)−30(C))又はRed Counterstain II(VMSI #780−2218)(37℃、4分間(
図30(A))と共にインキュベートした。次にスライドを洗剤水混合物ですすぎ、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0255】
β−ガラクトシダーゼは、以前は検出試薬として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(BCIG)を用いるIHC検出における酵素であった。しかし、1つの色のみが利用可能であり、一定しておらず、不十分な感受性しかなく、スライドの処理後に徐々に消失する(又は洗い流される)傾向がある。
図30(A)−30(C)の例は、アルコール脱水に感受性がなく、良好な感受性を有し、広範囲の色を生成するように容易に修飾できるβ−ガラクトシダーゼに基づいた色素産生IHC検出系を示す。
【0256】
実施例15
AP及びβ−Gal誘発性QMPの同時検出による二重染色(
図31)
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗Ki−67抗体及びマウス抗Bcl−6抗体とのインキュベーション(37℃、16分間)、並びに洗浄の後には、ビオチンにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体及びAPにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗マウス抗体を用いる二次抗体インキュベーション(37℃、12分間)が続いた。その後にスライドをβ−Galコンジュゲートストレプトアビジンと共にインキュベートし(37℃、32分間)、続いてSSCで洗浄した。ホスホ−QMP−Cy5及びβ−Gal−QMP−Peg8−ダブシルを、250mMのTris、pH8.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度をそれぞれ250μMにした。QMP代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのQM混合物の添加及び37℃で60分間のインキュベーションによって達成した。染色組織切片を、修飾メイヤーヘマトキシリンにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを洗剤水混合物ですすぎ、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0257】
多重アッセイに複数の酵素を使用する幾つかの利点は、アッセイ時間の全体的な低減及び酵素不活性下/溶出工程の低減である。この実施例は、両方の酵素検出が同時に実施される二重色素産生IHC検出系を示す。この結果は、それぞれのQMPの同族酵素への特異性及び検出が両方とも妨げられることなく生じるのに十分な結合部位が利用可能であることも実証している。
【0258】
実施例16
HRP、AP及びβ−Gal基質の同時検出による三重染色(
図32)
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗PRインキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ビオチンにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体(37℃、8分間)、その後にウサギ血清(37℃、8分間)を用いる二次抗体インキュベーションが続いた。洗浄した後、ベンゾフラン(BF)標識ウサギ抗ER及びジニトロフェノール(DNP)標識ウサギ抗HER2を、同時にインキュベートした(37℃、16分間)。次に3つの酵素コンジュゲート:β−Galコンジュゲートストレプトアビジン、マウス抗BFにコンジュゲートしたHRP及びマウス抗NPにコンジュゲートしたAPを適用し(37℃、32分間)、続いてSSCで洗浄した。β−Gal−QMP−Cy5及びホスホ−QMP−PEG8−ダブシルを、250mMのTris、pH8.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度をそれぞれ300μMにした。色素原代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのQMP混合物、100μLのDISCOVERY Purple(VMSI #760−229)及び100μLのH
2O
2(0.01%)の添加、並びに37℃で32分間のインキュベーションによって達成した。染色組織切片を、Hematoxylin IIにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを洗剤水混合物ですすぎ、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0259】
この実施例は、全ての酵素検出が同時に実施される三重色素産生IHC検出系を示す。この結果は、それぞれのQMPの同族酵素への特異性を裏付けている。QMP検出が妨げられることなく生じるのみならず、HRP/チラミド検出が依然として進行しうるという事実も、十分な結合部位が利用可能であることを示している。
【0260】
実施例17
HRP(2回)、AP及びβ−Gal基質の連続検出による四重染色(
図33−34)
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、回収した。ウサギ抗PRインキュベーション(37℃、16分間)及び洗浄の後には、ビオチンにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ウサギ抗体(37℃、8分間)、その後にウサギ血清(37℃、8分間)を用いる二次抗体インキュベーションが続いた。洗浄した後、ベンゾフラザン(BF)標識ウサギ抗ER、NP標識ウサギ抗Ki67及びジニトロフェノール(DNP)標識ウサギ抗HER2を、同時にインキュベートした(37℃、16分間)。マウス抗DNPにコンジュゲートしたHRPを加え(37℃、8分間)、過酸化水素及びDABの添加(37℃、8分間)によりHRPから生じた褐色沈殿物を介して、それを硫酸銅により更に色調を強めることによって可視化した。次にストレプトアビジンにコンジュゲートしたβ−Gal、マウス抗BFにコンジュゲートしたHRP及びマウス抗NPにコンジュゲートしたAPを適用した(37℃、32分間)。HRPを、100μLのDISCOVERY Purple(VMSI #760−229)及び100μLのH
2O
2(0.01%)の添加(37℃、32分間)により検出し、続いてSSCで洗浄した。β−Gal−QMP−Cy5及びホスホ−QMP−PEG8−ダブシルを、250mMのTris、pH8.0、0.05%のBrij−35に溶解して、最終濃度をそれぞれ300μMにした。色素原代謝回転は、100μLのAP Enhancer、続く100μLのQM混合物の添加及び37℃で32分間のインキュベーションによって達成した。染色組織切片を、Hematoxylin IIにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを洗剤水混合物ですすぎ、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
【0261】
実施例18
色素産生ISH(
図35(A)−35(B))
組織を、一般手順に記載されたように脱パラフィンし、続いてCell Conditioning 2(VMSI #950−123)(90℃、28分間)で前処理し、Protease 3(VMSI #780−4149)(37℃、20分間)で処理した。DIG標識した17番染色体プローブ(VMSI #760−1224)を組織に適用し、変性させ(80℃、20分間)、44℃で6時間かけてハイブリダイズした。SSCによる76℃での3回の厳密な洗浄の後、試料を、マウス抗DIG抗体(37℃、20分間)、続いてAPコンジュゲートヤギ抗マウス抗体(37℃、24分間)と共にインキュベートした。ホスホ−QMP−PEG8−ダブシル及びホスホ−QMP−Cy5を、1:1のDMSO:10mMグリシンのバッファー(pH2.0)に溶解して、最終濃度を、120μMのQMP−ダブシル及び1mMの塩化マグネシウムを有する30μMのQMP−Cy5にした。SSCで洗浄した後、200μLのpH調整溶液(500mMのTris、pH10.0)及び100uLのQMP混合物を加えた(37℃、32分間)。染色組織切片を、Hematoxylin IIにより対比染色し(37℃、4分間)、次にBluring Reagentと共にインキュベートした(37℃、4分間)。次にこれらを洗剤水混合物ですすぎ、一連の段階的なエタノールで脱水し、キシレンで透徹し、手作業によりカバーガラスで覆った。
ISH増幅では、オルトQMP化合物は、パラQMP化合物よりも良好な性能を示した。パラQMP化合物は、ISHシグナルを生成したが、強度は低く、染色された細胞の数(細胞適用範囲)は、一定ではなく、シグナルの質は最適ではなかった。オルトQMP化合物は、細胞適用範囲の増加及び分散が低減したはるかに良好なシグナル分解を有する強い強度のシグナルを生成した。
【0262】
実施例19
HRP(2回)及びAP(2回)の連続検出による四重染色(
図36)
図36は、交換された及び/又は異なる色の組み合わせによる、同じバイオマーカー(FFPE乳房組織におけるHer2(膜)、Ki−67(核)、ER(核)及びPR(核))を示す4つの異なる染色プロトコール(A−D)の例を提供する(40×倍率)。3つの核マーカー及び1つの膜マーカーであったので、幾つかプロトコールにおいてDABをHer2膜染色に使用して、DABと他の色との重複を回避することが可能であった。核検出のミックス(黄色、青色及び紫色)は、強度に応じて異なる色の組み合わせを生成した。
【0263】
アッセイは、2つのHRPに基づいた検出及び2つのAP QMPに基づいた検出を使用したバイオマーカーの連続検出を含んだ。これは、開示されている検出系の柔軟性及び交換可能性を実証した。
【0264】
実施例20
HRP(2回)及びAP(2回)の連続検出による四重染色(
図37)
図37は、交換された及び/又は異なる色の組み合わせによる、同じバイオマーカー(FFPE扁桃組織におけるCD3(膜)、CD8(膜)、CD20(膜)(又はCD68(膜))及びFoxP3(核))を示す異なる染色プロトコール(A−B又はC−D)の例を提供する(5×倍率)。2つのHRPに基づいた検出及び2つのAP QMPに基づいた検出を使用した連続検出を利用し、開示されている検出系の柔軟性及び交換可能性を更に実証した。
【0265】
実施例21
実施例10に概説されたプロトコールに従って、乳房組織を、濃度500μMの化合物36(
図38(A))又は濃度400μMの化合物28(
図38(B))の何れかを使用して、マウス抗Eカドヘリンモノクローナル一次抗体(Ventana #790−4497)により染色した。両方とも同等の結果を与えることが予測されたが、驚くべきことに、化合物28(オルトQMP)は、化合物36(パラQMP)よりも良好な性能を示した。染色の質(シグナル局在化及び離散)は、両方の化合物で同じであったが、染色強度は、化合物36より20%低い濃度で使用しても、化合物28の方が高かった。
【0266】
オルトQMP化合物は、以前に記載された何れの化合物と比較しても、IHC染色性能、ISH染色性能における有意な改善及び改善された水性安定性を提供する。
【0267】
開示されている発明の原理が適用されうる多くの可能な実施態様を考慮すると、実例実施態様は、本発明の単なる好ましい例であり、本発明の範囲を限定するものと受け止めるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により確定される。したがって、本発明は、全て特許請求の範囲及びその精神の範囲内にあることが主張される。