(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つの担持メタロセン触媒と、希釈剤と、場合に応じて用いられる一種または複数の共単量体と、必要に応じて用いる水素の存在下で、エチレンを重合してポリエチレン樹脂を製造する工程を含む、少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器でポリエチレン樹脂を製造する方法であって、
上記担持メタロセン触媒が固体担体と、助触媒と、少なくとも1種のメタロセンとを含み、上記固体担体の表面積が100m2/g〜350m2/gであり、そのD50値は4μm〜18μmであり、このD50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒子寸法と定義され、このD50はMalvern型アナライザのレーザー回折分析で測定されることを特徴とする方法。
上記メタロセン触媒がブリッジした未置換のビス−インデニルおよび/またはブリッジした未置換のビス四水素化(四水素化)インデニルを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で使用する本発明方法を説明する前に、本発明は特定のプロセス、ポリエチレン樹脂または物品に限定されるものではなく、そうしたプロセス、ポリエチレン樹脂または物品を種々変更できるということは理解できよう。また、本明細書で使用される用語は本発明を限定することを意図するものではな、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるということも理解すべきである。
【0012】
本発明方法の説明で使用する用語は、文脈が他の意味を示さない限り、以下の定義に従って解釈されるべきである。
本明細書で使用される単数形は、文脈が明確に指示しない限り、単数形および複数形の両方を含む。例えば、「樹脂」とは少なくとも1つの樹脂を意味する。
【0013】
本明細書で使用する「成る」「含む」という用語は「含む」「を含む」「から成る」と同義で、包括的またはオープンエンドで、追加の要素、構成または方法、ステップを排除するものではない。「含む」「から成る」という用語は「のみを含む」「のみから成る」という用語を含む。
【0014】
数値範囲を端点で示した場合には、それに包まれる全ての整数を含み、適切な場合には、その範囲内の小数点も含む(例えば、1〜5は、要素の数を表す場合には1、2、3、4を含み、例えば測定値を表す場合には、1.5、2、2.75および3.80を含む)。端点を記載した場合には端点自体の値も含まれる(例えば1.0〜5.0は1.0と5.0の両方を含む)。本明細書に記載の数値範囲はその中に包まれる全ての下位の範囲を含む。
【0015】
本明細書で「一つの実施形態」または「実施形態」とは、その実施形態に関連して記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通して記載の「一つの実施形態では」または「一つの実施形態においては」とは必ずしも全て同じ実施形態を参照するものである必要はなく、一つまたは複数の実施態様において、その特定の特徴、構造または特性を任意の適切な方法で当業者には明らかな方法で組み合わせることができまる。
【0016】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では他の実施形態に含まれる他の特徴を含むことができ、異なる実施形態を形成することができる。さらに、当業者が理解できる異なる実施形態の特徴の組合せも本発明の範囲内である。例えば、以下の記載の実施形態は特許請求の範囲の任意の組み合わせで使用できる。
他に定義しない限り、本発明の開示で使用される全ての用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的な技術用語および科学用語を意味する。
本発明をより良く理解をするために、以下の説明で使用する用語を定義する。
【0017】
以下、本発明の好ましい特徴事項(statement)(特徴)および実施形態を記載する。以下に記載する本発明の各特徴事項および実施形態は、明らかに逆でない限り、他の特徴事項および/または実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であるとして示した任意の特徴は、好ましいまたは有利であるとして示した任意の他の特徴事項と組み合わせることができる。
【0018】
本発明は、特に、以下の特徴事項および実施形態1〜47の1つまたは複数と、その他の特徴事項および/または実施形態との任意の組合せを含む。
【0019】
(1)少なくとも一つの担持メタロセン触媒と、希釈剤と、場合により一種または複数の共単量体および必要に応じて用いる水素との存在下で、エチレンを重合する工程を含む、少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器中でポリエチレンを製造する方法であって、
上記担持メタロセン触媒が固体担体と、助触媒と、少なくとも1種のメタロセンとを含み、
上記固体担体の表面積が100m
2/g〜500m
2/gの範囲、好ましくは150〜400m
2/g、好ましくは200〜350m
2/g、好ましくは200〜300m
2/g、好ましくは250〜300m
2/gで、D50(粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒子寸法として定義される)の値が3μm〜25μmの範囲である(このD50はMalvern型アナライザのレーザー回折分析で測定する)
【0020】
(2)少なくとも一つの担持メタロセン触媒と、希釈剤と、及び必要に応じて用いる水素の存在下でエチレンと場合によって使用する一種または複数の共単量体とを重合してポリエチレンを得る工程を含む、少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器中でポリエチレンを製造する方法において、
上記担持メタロセン触媒が固体担体と、助触媒と、少なくとも1種のメタロセンとを含み、
上記固体担体の表面積が100〜500m
2/gの範囲、好ましくは150〜400m
2/g、好ましくは200〜350m
2/g、好ましくは200〜300m
2/g、好ましくは250〜300m
2/g
2で、D50(粒子の50重量%がD50よりも小さいサイズを有する粒子寸法として定義される)の値が4μm〜8μmの範囲にある(D50はMalvern型アナライザのレーザー回折分析で測定する)。
【0021】
(3)少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器中で、少なくとも一種の担持メタロセン触媒と、希釈剤と、必要に応じて用いる水素の存在下でエチレンを必要に応じて用いる一種または複数の共単量体と一緒に重合する工程を含むポリエチレンを製造方法であって、
製造終了時のポリエチレンの珪素含有量が60重量ppm以下で、D50が少なくとも100且つ最大で400μmであり、ここで、D50は粒子の重量の50%がD50よりも小さい寸法を有する粒径として定義され、篩分け技術または光学測定法、好ましくは篩分け法によって測定される。
【0022】
(4)担持メタロセン触媒が固体担体と、助触媒と、少なくとも1種のメタロセンとを含む特徴事項3に記載の方法。
【0023】
(5)少なくとも一つの担持メタロセン触媒がシリカ含有固相担体と、アルモキサンと、少なくとも1種のメタロセンとを含むことを特徴とする特徴事項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
(6)少なくとも一つの担持メタロセン触媒がシリカ−およびチタニア−含有固体担体と、アルモキサンと、少なくとも1種のメタロセンとを含む特徴事項1〜5のいずれかに記載の方法。
【0025】
(7)担持触媒系のTi含有量が、担持メタロセン触媒の総重量に対して、0.1〜10重量%、例えば0.5〜5重量%、例えば1.0〜2.5重量%、好ましくは1.0〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5.0重量%であり、好ましくは、Ti含有量は担持メタロセン触媒の総重量に対して1.0〜5重量%、好ましくは1.0〜2.5重量%、より好ましくは1.0〜2.0重量%、例えば約1.5重量%である特徴事項6に記載の方法。
【0026】
(8)少なくとも1つの担持メタロセン触媒の固体担体の粒度分布のスパン値が2.0以下、好ましくはスパン値が少なくとも0.9且つ最大で1.3であり、スパンは下記で定義される特徴事項1〜7のいずれか一項に記載の方法:
(ここで、
D90は粒子の重量の90%がD90以下の寸法を有する粒径として定義され、
D10は粒子の重量の10%がD10以下の寸法を有する粒径として定義され、
D50は粒子の重量の50%がD50以下の寸法を有する粒径として定義され、
D90、D10およびD50はMalvern型アナライザのレーザー回折分析で測定される)
【0027】
少なくとも1つの担持メタロセン触媒の固体担体の平均細孔容積(average pore volume)が少なくとも1.0ml/g且つ最大で3.0ml/g、好ましくは少なくとも1.0ml/g且つ最大で2.5ml/g、より好ましくは少なくとも1.2且つ最大で2.0ml/gである特徴事項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
(10)プロセスメタロセン触媒が下記の式(I)または(II)の化合物である特徴事項1〜9のいずれか一項に記載の方法:
(Ar)
2MQ
2 (I)
R''(AR)
2MQ
2 (II)
(ここで、
式(I)のメタロセンはブリッジしていないメタロセンであり、式(II)のメタロセンはブリッジしたメタロセンで、式(I)または(II)のメタロセンは、互いに同一でも異なっていてもよいMに結合した2つのArを有し、
Arは芳香族の環、基または単位であり、各Arはシクロペンタジエニル、インデニル(IND)、テトラヒドロ
インデニル(THI)およびフルオレニルからなる群の中から独立して選択され、これらの基は必要に応じてハロゲン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルからなる群の中からそれぞれ独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されてもよく、上記ヒドロカルビルはB、Si、S、OFおよびPから成る群の中から選択される1種または複数の原子を含んでいてもよく、
Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムからなる群の中から選択される遷移金属で、好ましくはジルコニウムであり、
各Qはハロゲン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルボキシルおよび1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルからなる群の中から独立して選択され、上記ヒドロカルビルはB、Si、S、O、FおよびPから成る群の中から選択される1種または複数の原子を含んでいてもよく、
R''は2つのAr基をブリッジする二価の基または単位で、C1−C20アルキレン、ゲルマニウム、シリコン、シロキサン、アルキルホスフィンおよびアミンからからなる群の中から選択され、このR''はハロゲン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルからなる群の中から選択される1つまたは複数の置換基によって独立して置換されていてもよく、上記ヒドロカルビルはB、Si、S、O、FおよびPから成る群の中から選択される1種または複数の原子を含んでいてもよい)
【0029】
(11)メタロセン触媒が下記の式(III)または(IV)のいずれかから選択される化合物である特徴事項1〜10のいずれか一項に記載の方法:
(ここで、
式(III)または(IV)の各Rは水素またはXR'
Vから独立して選択され、互いに同じでも異なっていてもよく、ここで、Xは周期律表の第14族、酸素または窒素から選択され、各R'は水素又は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素から選択され、互いに同じでも異なっていてもよく、v+1はXの原子価であり、R''は2つのインデニルまたは四水素化インデニル間の構造ブリッジで、C1−C4アルキレン基、ジアルキルゲルマニウム、シリコンまたはシロキサンまたはアルキルフォスフィンまたはアミン基から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、Qはハロゲンまたは1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基で、好ましくは、QはF、CIまたはBrで、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムからなる群の中から選択される遷移金属で、好ましくはジルコニウムである)
【0030】
(12)メタロセン触媒がブリッジしていない置換ビス−インデニルおよび/またはブリッジした置換ビス−四水素化インデニルを含む特徴事項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
(13)メタロセン触媒がブリッジした未置換のビス四水素化インデニルを含む特徴事項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
(14)メタロセン触媒が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(Cp
2ZrCl
2)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド(Cp
2TiCl
2)、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(Cp
2HfCl
2)、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド。エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデン−1−イル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレン−9−イル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチル[1−(4−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレン−9−イル)ジルコニウムジクロリドから成る群の中から選択される少なくとも一つの化合物である特徴事項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
(15)メタロセン触媒がエチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドまたはエチレン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライドをから成る特徴事項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
(16)少なくとも1つの担持メタロセン触媒の固体担体のD50が8.0〜15.0μmの範囲にある特徴事項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【0035】
(17)コモノマーが1−ブテンである特徴事項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
(18)希釈剤がヘキサン、イソヘキサンまたはヘプタンから選択される特徴事項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
(19)重合プロセスを少なくとも一種の防汚剤の存在下で行う特徴事項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
(20)重合プロセスを互いに直列に接続された少なくとも2つの連続攪拌槽型反応器中で実施する特徴事項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
(21)ポリエチレンが単峰性分子量分布を有する特徴事項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
(22)ポリエチレンが二峰性の分子量分布を有する特徴事項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
(23)担持メタロセン触媒の固体担体がシリカ含有担体である特徴事項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
(24)担持メタロセン触媒の固体担体が少なくとも20重量%の珪素を含有するシリカ含有担体、例えばシリカを少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは、好ましくは非晶質シリカを100重量%含む特徴事項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
(25)担持メタロセン触媒の固体担体の表面積が少なくとも100m
2/g、例えば少なくとも150m
2/g、好ましくは少なくとも200m
2/g、好ましくは少なくとも400m
2/g、好ましくは最大で350m
2/g、好ましくは最大で300m
2/g、例えば100〜500m
2/g、例えば150〜400m
2/g、好ましくは200〜350m
2/g、例えば200〜300m
2/g、好ましくは250〜300m
2/gであり、この比表面積は周知のBET法を用いたN
2の吸着で測定する特徴事項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
(26)担持メタロセン触媒の固体担体がシリカ含有担体で、このシリカ含有担体のD50が3.0〜25.0μmの範囲、好ましくは4.0μm〜23.0μm、好ましくは4.0μm〜20.0μm、好ましくは4.0μm〜18.0μm、好ましくは6.0μm〜15.0μm、好ましくは5.0μm〜15.0μm、好ましくは7.0μm〜15.0μmである特徴事項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
(27)固体担体の表面積が100〜400m
2/gの範囲、好ましくは100〜350m
2/gの範囲、好ましくは100〜300m
2/g、好ましくは200〜300m
2/g、好ましくは250〜300m
2/gで、D50値が5.0μm〜25.0μmの範囲、好ましくは6.0μm〜20.0μm、好ましくは7.0μm〜20.0μm、好ましくは8.0μm〜20.0μm、好ましくは8.0μm〜15.0μmである特徴事項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
(28)担持メタロセン触媒の固体担体がシリカ含有担体で、このシリカ含有担体の平均細孔容積が少なくとも1.0ml/gかつ最大で3.0ml/g、好ましくは少なくとも1.0ml/gかつ最大で2.5ml/g、好ましくは少なくとも1.2且つ最大で2.0ml/gである特徴事項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
(29)少なくとも1つの担持メタロセン触媒が下記工程:
a)比表面積が100m
2/g〜500m
2/g、好ましくは150m
2/g〜400m
2/g、より好ましくは200m
2/g〜350m
2/gで、D50が少なくとも3.0μm且つ最大で25.0μm、好ましくは4.0μm且つ最大で23.0μm、好ましくは4.0μm〜20.0μm、好ましくは4.0〜18.0μm、好ましくは4.0〜15.0μmであるシリカ含有担体をチタン化して、担体にチタン化合物を含浸させてチタン化シリカ含有触媒担体を形成し、担持触媒系はアルモキサンとメタロセンとを含む、
方法によって得られるアルモキサンと少なくとも1種のメタロセンを含むシリカとチタニアを含む担体を含む、特徴事項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
(30)チタン化合物がR
3xTi(OR
4)
yおよび/または(R
3O)
xTi(OR
4)
yから選択され、ここで、R
3とR
4は1〜12個の炭素原子を含むヒドロカルビル基、ハロゲン、好ましくは塩素およびフッ素および水素から選択され、互いに同じでも異なっていてもよく、xは0〜4、yは0〜4で、y+xは4に等しい特徴事項29に記載の方法。
【0049】
(31)チタン化合物が式Ti(OR
5)
4の化合物(ここで、各R
5は3〜5個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基およびそれらの混合であり、互いに同一でも異なっていてもよい特徴事項29または30に記載の方法。
(32)チタン化合物がTi(OC
4H
9)
4、Ti(OC
3H
7)
4およびこれらの混合物から選択される特徴事項29〜31のいずれか一項に記載の方法
(33)チタン化合物がTi(OC
4H
9)
4およびTi(OC
3H
7)
4を含む混合物ある特徴事項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
(34)直列に接続された少なくとも2つの連続攪拌槽型反応器中でスラリー条件下で実施される特徴事項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
(35)重合プロセスを0.1〜50ppm、好ましくは1.0〜20ppm、好ましくは1.0〜10.0ppm、好ましくは2.0〜6.0ppm、好ましくは2.0〜5.0ppmの少なくとも一つの防汚剤の存在下で行う特徴事項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
(36)工程終了時のポリエチレンのD50が少なくとも100μm且つ最大で400μm、好ましくは最大で350μm、好ましくは最大で300μm、好ましくは最大で250μmである特徴事項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
(37)工程終了時のポリエチレンの珪素含有量が60重量ppm以下、好ましくは55重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、例えば5〜60重量ppm、例えば5〜55重量ppm、例えば5〜50重量ppmである特徴事項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
(38)工程終了時のポリエチレンのD50が少なくとも100μm且つ最大で400μmで、珪素含有量が60重量ppm以下、例えばD50が少なくとも100μm且つ最大で350μm、好ましくは少なくとも100μm且つ最大で300μm、好ましくは少なくとも100μm且つ最大で250μmで、ケイ素含有量が60重量ppm以下、好ましくは55重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下である特徴事項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
(39)特徴事項1〜38のいずれか一項に記載の方法に従って製造したポリエチレン。
【0052】
(40)少なくとも1種のCSTRで少なくとも一種の担持メタロセン触媒の存在下で製造したポリエチレンであって、ポリエチレンのD50が100〜400μmの範囲であり、このD50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒径として定義され、好ましくは、ポリエチレンのD50は最大で350μm、好ましくは300μm、好ましくは250μmであるポリエチレン。
【0053】
(41)少なくとも1種のCSTRで少なくとも一種の担持メタロセン触媒の存在下で製造したポリエチレンであって、ポリエチレンのSi含有量が最大で60重量ppm、例えば最大で55重量ppm以下、例えば最大で50重量ppm以下、例えば5〜60重量ppm、例えば5〜55重量ppm、例えば5〜50重量ppmであるポリエチレン。
(42)ポリエチレンが二峰性の分子量分布を有する特徴事項39〜41のいずれか一項に記載のポリエチレン。
(43)ポリエチレンのD50が100〜400μmの範囲で、Si含有量が60重量ppm以下である特徴事項39〜42のいずれか一項に記載のポリエチレン。
【0054】
(44)ポリエチレンのD50が最大で350μm、例えば最大で300μmで例えば最大で250μmで、Si含有量が最大で60重量ppm以下、例えば最大で55ppm、例えば最大で50重量ppm、例えば5〜60重量ppm、例えば5〜55重量ppm、例えば5〜50重量ppmである特徴事項39〜43のいずれか一項に記載のポリエチレン。
(45)ASTM規格D−1505に従って23℃で測定したポリエチレンの密度が少なくとも940g/cm
3である特徴事項39〜44のいずれか一項に記載のポリエチレン。
【0055】
(46)特徴事項1〜38のポリエチレンまたは特徴事項39〜45のいずれか一項に記載の方法に従って製造したポリエチレンから成る物品。
(47)フィルム、パイプ、好ましくはPERT(高温耐性ポリエチレン)パイプ、射出成形品、射出延伸ブロー成形品、回転成形品、キャップおよびクロージャ、繊維、シート、容器およびフォームを含む群の中から選択される特徴事項46に記載の物品。
【0056】
本発明は、少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器中でポリエチレンを製造する工程を含む方法を提供する。この本発明方法は、少なくとも一つの連続撹拌タンク反応器中で少なくとも一つ種の担持メタロセン触媒、希釈剤および任意成分の水素の存在下で、エチレンを必要に応じて用いる一種または複数のコモノマーと一緒に重合してポリエチレンを得る、ポリエチレンを製造する工程を含み、担持メタロセン触媒は固体担体、助触媒および少なくとも1種のメタロセンを含み、担持メタロセン触媒の表面積は100〜500m
2/gの範囲にあり、固体担体のD50値は3μm〜25μmの範囲、好ましくは4μm〜18μm、例えば4μm〜15μmで、このD50は粒子の50重量%がD50よりも小さい粒径を有する粒子径として定義され、D50はMalvern型分析でレーザー回折分析によって測定される。
【0057】
本発明方法は少なくとも一種の担持メタロセン触媒と、希釈剤と、場合により用いられる一種または複数の共単量体と、必要に応じて用いる水素の存在下でエチレンを重合することを含む。
【0058】
本明細書で使用する「触媒」という用語は、重合反応の速度を変化させる物質を意味する。本発明にはエチレンを重合してポリエチレンにするのに適した触媒が適用可能で、本発明は特にメタロセン触媒に、特に担持メタロセン触媒に関する。
【0059】
メタロセン触媒は、一つ以上のリガンドに結合した金属原子を有する任意の遷移金属複合体を意味する。メタロセン触媒は周期律表の第IV族遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウムの化合物であり、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルまたはこれらの誘導体の1つまたは2つの基からなる金属化合物と配位子と配位構造を有する。メタロセンの構造および幾何学的形状は、所望するポリマーに応じて生産者の特定のニーズに合うように変えることができる。メタロセンはポリマーの分岐および分子量分布を制御することができる単一の金属サイトを含む。モノマーは金属とポリマーの成長鎖との間に挿入される。
【0060】
本発明の一つの実施形態では、メタロセン触媒は下記の式(I)または(II)の化合物である:
(Ar)
2MQ
2 (I)
R’’(Ar)
2MQ
2 (II)
[ここで、
式(I)のメタロセンは非ブリッジのメタロセン、式(II)のメタロセンはブリッジしたメタロセンであり、
式(I)または(II)のメタロセンはMに結合した2つのArを有し、このMは互いに同一でも異なっていてもよく、
Arは芳香環、基または単位で、各Arはシクロペンタジエニル、インデニル(IND)、テトラヒドロ
インデニル(THI)およびフルオレニルからなる群の中から互いに独立して選択され、これらはハロゲン、ヒドロシリル、SiR’’'
3(ここで、R’’'は1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルである)および1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルからなる群の中から選択される1つま複数の置換基で置換されてもよく、上記ヒドロカルビルはB、Si、S、O、F、ClおよびPからなる群の中から選択される1つまたは複数の原子を含んでいてもよく、
Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムからなる群の中から選択される遷移金属、好ましくはジルコニウムであり、
各Qはハロゲン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルボキシおよび1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルからなる群の中から互いに独立して選択され、上記ヒドロカルビルは必要に応じてB、Si、S、O、F、ClおよびPから成る群の中から選択される1つまたは複数の原子を含んでいてもよく、
R’’は2つのAr基をブリッジする2価の基または単位で、C
1−C
20アルキレン、ゲルマニウム、シリコン、シロキサン、アルキルホスフィン、アミン、からなる群の中から選択され、このR’’はハロゲン、ヒドロシリル、SiR
3(Rは1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル)からなる群の中から互いに独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、上記のヒドロカルビルはB、Si、S、O、F、ClおよびPから成る群の中から選択される1つまたは複数の原子を含んでいてもよい]
【0061】
「1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル」という用語は、直鎖または分岐鎖のC
1−C
20アルキル、C
3−C
20シクロアルキル、C
6−C
20アリール、C
7−C
20アルキルアリールおよびC
7−C
20アリールアルキルまたはこれらの任意の組合せを含む群の中から選択される単位を意味する。典型的なヒドロカルビル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、セチル、2−エチルヘキシル、フェニルである。
【0062】
本明細書で使用する「1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルボンシ」という用語は式ヒドロカルビル−O−有する単位を表し、このヒドロカルビルは上記のように1〜20個の炭素原子を有する。好ましいヒドロカルボンシ基はアルキルオキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルコキシ基を含む群の中から選択され、好ましくはメトキシ、エトキシ、ブトキシおよびアミルオキシである。
【0063】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「アルキル」という用語は1つ以上の炭素原子、例えば1〜12個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子、例えば1〜4個の炭素原子を有する単一の炭素−炭素結合によって結合された直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。炭素原子の下に付けた下付き文字はその基に含まれることができる炭素原子の数を表す。例えば、C
1〜12アルキルは炭素数が1〜12のアルキル基を意味する。アルキル基の例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、ペンチル、その鎖異性体、ヘキシルおよびその鎖異性体、ヘプチルおよびその鎖異性体、オクチルおよびその鎖異性体、ノニルおよびその鎖異性体、デシルおよびその鎖異性体、ウンデシルおよびその鎖異性体、ドデシルおよびその鎖異性体である。アルキル基は一般式C
nH
2n+1を有する。
【0064】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「シクロアルキル」という用語は飽和または部分的に飽和な環式アルキル基を表す。シクロアルキル基は一般式C
nH
2n-1を有する。本明細書で使用される炭素原子の後の下の下付き文字はその基に含まれる炭素原子の数を意味する。C
3-6シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルが挙げられる。
【0065】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「アリール」という用語は芳香環に由来する基、例えばフェニル、ナフチル、インダニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル等を意味する。本明細書で使用される炭素原子の後の下付き文字はその基に含まれる炭素原子数を意味する。
【0066】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「アルキルアリール」という用語は、上記で定義のアリール基の水素原子をアルキル基で置換したものを示す。炭素原子の後の下付き文字はその基に含まれる炭素原子数を意味する。
【0067】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「アリールアルキル」という用語は、上記で定義のアルキル基の水素原子をアリール基で置換したものを示す。炭素原子の後の下付き文字はその基に含まれる炭素原子数を意味する。C
6-10アリールC
1-6アルキル基の例としてはベンジル、フェネチル、ジベンジルメチル、メチルフェニルメチル、3−(2−ナフチル)−ブチル等が挙げられる。
【0068】
本明細書で自分自体または別の置換基の一部として使用する「アルキレン」という用語は二価のアルキル基、すなわち他の2つの基への結合に2つの単結合を有する基を意味する。アルキレン基は直鎖でも分枝鎖でもよく、置換されていてもよい。アルキレン基の非限定的な例としてはメチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2−CH
2−)、メチルメチレン(−CH(CH
3)−)、1−メチルエチレン(−CH(CH
3)−CH
2−)、n−プロピレン(−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチル(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)、3−メチルプロピレン(−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、n−ブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルブチレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−)、4−メチルブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、ペンチレンとその鎖異性体、ヘキシレンとその鎖異性体、ヘプチレンとその鎖異性体、オクチレンとその鎖異性体、ノニレンとその鎖異性体、デシレンとその鎖異性体、ウンデシレンとその鎖異性体、ドデシレンとその鎖異性体が挙げられる。炭素原子の後の下付き文字はその基に含まれる炭素原子数を意味する。C
1-C
20アルキレンの例は1〜20個の炭素原子を有するアルキレンである。
【0069】
典型的なハロゲン原子には塩素、臭素、フッ素およびヨウ素が含まれ、フッ素および塩素が好ましい。
【0070】
メタロセンはブリッジしたビス−インデニルおよび/またはブリッジしたビス四水素化(tetrahydrogenated)インデニル成分を含むのが好ましい。一つの実施形態では、メタロセンは下記式(III)または(IV)のいずれかから選択できる。
【0071】
(ここで、各Rは水素またはXR'
Vから独立して選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、Xは周期律表の第14族(好ましくは炭素)、酸素または窒素から選択され、各R'は水素又は1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、v+1はXの原子価であり、好ましくは、Rは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル基であり、R''は2つのインデニルまたは四水素化インデニル間の構造ブリッジで、C1〜C4アルキレン基、ジアルキルゲルマニウム、珪素またはシロキサンまたはアルキルフォスフィンまたはアミン基からなり、Qは1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基またはハロゲンであり、好ましくはQはF、ClまたはBrであり、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムからなる群の中から選択される遷移金属であり、好ましくはジルコニウムである。
【0072】
各インデニルまたはテトラヒドロインデニル成分は縮合環のいずれかの一つまたは複数の位置で同一または互いに異なるRで置換されていてもよい。各置換基は独立して選択される。
【0073】
シクロペンタジエニル環が置換されている場合には、その置換基はオレフィンモノマーの金属Mへの配位に影響を与えるようなバルキーな(かさばる)ものではないのが好ましい。シクロペンタジエニル環上の置換基XR'vはメチルであるのが好ましい。より好ましくは、シクロペンタジエニル環の少なくとも1つ、より好ましくは両方が置換されていないのが好ましい。
【0074】
特に好ましい実施形態では、メタロセンはブリッジした非置換のビス−インデニルおよび/またはビス−四水素化インデニルすなわち全てのRが水素である。より好ましくは、メタロセンはブリッジした非置換のビス−四水素化インデニルから成る。
【0075】
別の特に好ましい実施形態では、メタロセン触媒はブリッジした未置換のビス−四水素化インデニルから成る。
【0076】
メタロセン触媒の例には以下が含まれるが、それらに限定されるものではない:ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(Cp
2ZrCl
2)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド(Cp
2TiCl
2)、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(Cp
2HfCl
2)。ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4、5,6、7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデン−1−イル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレン−9−イル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル[1−(4−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレン−9−イル)ジルコニウムジクロリド。最も好ましいメタロセンはエチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライドである。
【0077】
本明細書で使用するメタロセン触媒は固体担体上に設けられる。シリカは粒状、凝集物、ヒュームド、その他の形態にすることができる。この固体担体はメタロセン触媒の成分と化学的に非反応性の不活性な有機または無機の固体にすることができる。
【0078】
担持触媒に適した担体材料には固体無機酸化物、例えばシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化トリウムの他にシリカと1種または複数の第2族または第13族金属の酸化物の混合酸化物、例えばシリカ−アルミナ混合酸化物がある。最も好ましいのはシリカ化合物である。
【0079】
好ましい担体は、少なくとも20重量%のシリカの、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも50重量%の非晶質シリカを含む。このシリカ含有担体は一種または複数のアルミナ、マグネシア、ジルコニアを含むことができる。
【0080】
好ましい担体はシリカ担体すなわち本質的に100重量%がシリカである担体またはシリカ−チタニアまたはシリカ−アルミナ担体である。シリカアルミナ担体の場合、担体のアルミナの含有量は15%重量以下であるのが好ましい。
【0081】
本発明の担持メタロセン触媒の固体担体の表面積は100m
2/g〜500m
2/gの範囲であるのが好ましく、好ましくは多孔性担体の表面積が100m
2/g〜500m
2/gの範囲であるのが好ましく、好ましい固体担体は100m
2/g〜500m
2/gの表面積を有する多孔質シリカ担体である。適したシリカ担体は例えば非晶質シリカで、その表面積は少なくとも100m
2/g且つ最大で500m
2/gである。表面積は、少なくとも150m
2/g、好ましくは少なくとも200m
2/gで、好ましくは最大で400m
2/g、好ましくは最大で350m
2/g、好ましくは最大で300m
2/g、例えば100〜500m
2/g、例えば150〜400m
2/g、例えば200〜350m
2/g、例えば200〜300m
2/g、例えば250〜300m
2/gである。比表面積は周知のBET法を用いたN
2吸着で測定される。本明細書での表面積は任意成分の触媒活性化剤(共触媒)を含まない固体担体で測定した表面領域であることは理解すべきである。
【0082】
表面積は細孔容積と一緒に例えばAutosorb 6アナライザーr (Quantachrome Corporation, Boynton Beach, Florida, USA)を用いて窒素多孔度測定法によって測定できる。測定前に、サンプル測定器のガス放出ステーションで350℃で4時間ガス抜きする。(ガス抜きしたサンプルを収容した)サンプルチューブを分析ステーションへ移し、液体窒素に沈め、窒素等温線分析する。表面積はBET理論を用いて計算する。データポイントP/Poレンジ0.05〜0.30(P/P0=相対圧力)。測定した細孔容積を吸着レグ上に0.98のP/POで記録する。
【0083】
本発明では担体のD50は担体のD50値は3μm〜25μmの範囲にある。D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒子径と定義される。いくつかの実施形態では、D50は最大で23μm、好ましくは最大で20μm、好ましくは最大で18μm、好ましくは最大で15μmである。いくつかの好ましい実施形態では、担体はD50が少なくとも3.0μm、好ましくは少なくとも4.0μm、好ましくは少なくとも4.5μm、最も好ましくは少なくとも4.0μm且つ最大で15.0μmである非晶質シリカである。好ましくは、担体のD50は4.0μm〜23.0μmの範囲、好ましくは4.0μm〜20.0μm、好ましくは4.0μm〜18.0μm、好ましくは4.0μm〜15.0μmである。この固体担体のD50は任意成分の触媒活性化剤(共触媒)を含まない固体担体で測定したD50であることを理解すべきである。
【0084】
粒径はISO規格13320:2009(粒度分析−レーザー回折法)に従って測定できる。例えば、D50はレーザー回折法で測定できる。Malvernレーザー回折システムを有利に使用できる。好ましくは、担体粒子サイズは、Malvern型分析器でのレーザー回折法によって測定できる。担持触媒をシクロヘキサン中に懸濁させて、Malvern型分析器でレーザー回折分析して粒径を測定できる。適したMalvernシステムはMalvern2000、Malvern MasterSizer、(例えばMasterSize S)、Malvern2600、Malvern3600シリーズ等である。これらの機器およびその操作マニュアルはISO規格13320の要件を満たし、さらにはその設定値を上回る。Malvern MasterSizer(例えばMalvern Mastersizer S)は適切な光学的手段を使用し、Mieの理論を用いることで、下端範囲、例えば平均粒径が8μmの範囲でのD50をより正確に測定できるので有用である。
いくつかの好ましい実施形態では、ISO規格13320:2009(粒度分析−レーザー回折法)に従ったMastersizer Sで測定し、Mieの理論を用いた担体の50が最大で25μm、好ましくは最大で23μm、好ましくは最大で20μm、好ましくは最大で18、好ましくは最大で15μmである。D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法の粒度として定義される。D50値が3μm〜25μmの範囲にある本発明に適したシリカ担体の非限定的な例としてはPQ Corporation社から市販のシリカ担体PD−10001がある(D50=約12.5μm、表面積=285m
2/g)。
【0085】
このような小さい粒径の触媒は脱ガス性を改善し、汚染を減少させる。また、小さい粒径の触媒を用いることで下流のプロセスも改善される。さらに、触媒の粒径が小さくなることでポリエチレンの特性も改良され、その改良されたポリエチレンから特性がより良好な物品を製造できる。
【0086】
一つの実施形態では、担持メタロセン触媒の担体の平均細孔容積は1.0〜3.0ml/gの範囲にあり、好ましくは、多孔質シリカ担体の平均細孔容積は1.0〜2.5ml/gの範囲内にある。細孔容積が1.2〜2.0ml/gの担体が好ましい。この細孔容積は直径1000A以下の細孔に対するBJH法を用いたN
2脱着で測定される。いくつかの好ましい実施形態では、担体は平均細孔容積が少なくとも1.0ml/g且つ最大で3.0ml/g、好ましくは少なくとも1.0ml/g且つ最大で2.5ml/g、より好ましくは少なくとも1.2ml/g且つ最大で2.0ml/gの非晶質シリカである。気孔率が極端に小さい担体ではメルトインデックス性能が失なわれ、活性が低下する。
【0087】
好ましい実施形態では、固体担体はシリカ・チタニア含有担体である。このシリカ・チタニア含有担体の表面積は100〜500m
2/gの範囲にあるのか好ましく、好ましくは少なくとも150m
2/g、より好ましくは少なくとも200m
2/g、好ましくは最大で400m
2/g、より好ましくは最大で350m
2/g、より好ましくは最大で300m
2/g、例えば、100m
2/g〜500m
2/g、例えば、150m
2/g〜400m
2/g、例えば200m
2/g〜350m
2/g、例えば、200m
2/g〜300m
2/g、好ましくは250m
2/g〜300m
2/gである。
【0088】
上記のシリカ・チタニア含有担体のD50値は3μm〜25μmの範囲内にあるのが好ましい。好ましくは、シリカ・チタニア含有担体のD50は最大で23μm、好ましくは最大で20μm、好ましくは最大で18μm、好ましくは最大で15μmである。好ましくは、シリカ・チタニア含有担体のD50は少なくとも3.0μm、好ましくは少なくとも4.0μm、好ましくは少なくとも4.5μm、より好ましくは少なくとも4.0μm且つ最大で15.0μmである。
【0089】
上記のシリカ・チタニア含有担体の平均細孔容積は少なくとも1.0ml/g且つ最大で3.0ml/g、好ましくは少なくとも1.0ml/g且つ最大で2.5ml/グg、好ましくは少なくとも1.2ml/g且つ最大で2.0ml/gであるのが好ましい。
【0090】
好ましい実施形態では、上記シリカ・チタニア含有担体は以下の工程を含む方法で調製できる:比表面積が100m
2/g〜500m
2/g、好ましくは150m
2/g〜400m
2/g、より好ましくは200m
2/g〜350m
2/g
2で、D50が少なくとも3.0μm且つ最大で25.0μm、好ましくは5.0μm〜23.0μm、好ましくは5.0μmから20.0μm、好ましくは5.0μm〜18.0μm、好ましくは5.0μm〜15.0μmであるシリカ含有担体をチタン化する。実際には、上記担体にチタン化合物、好ましくは一般式R
3xTi(OR
4)
yおよび(R
3O)
xTi(OR
4)
yから選択されるチタン化合物(ここで、R
3とR
4は1〜12の炭素原子を含むヒドロカルビル基、ハロゲン、好ましくは塩素およびフッ素および水素から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、xは0〜4、yは0〜4であり、y+xは4に等しい)を含浸させてチタン・シリカ含有触媒担体を形成する。
いくつかの好ましい実施形態では、シリカ含有担体の平均細孔容積は少なくとも1.0ml/g且つ最大で3.0ml/g、好ましくは少なくとも1.0ml/g〜2.5ml/g、好ましくは少なくとも1.2ml/g且つ最大で2.0ml/gである。シリカ含有担体は上記のように商業的に入手で、また、公知の種々の技術、例えばゲル化、沈殿および/または噴霧乾燥で調製できるがこれらに限定されるものではない。
【0091】
上記シリカ含有担体にはR
3xTi(OR
4)
yおよび(R
3O)
xTi(OR
4)
yから選択される1つまたは複数のチタン化合物を付けるのが好ましい。ここで、R
3とR
4は1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ハロゲン、好ましくは塩素およびフッ素および水素から選択され、互いに同じでもことなっていてもよく、xは0〜4、yは0〜4であり、y+xは4に等しい。チタン化合物は一般式のTi(O
5)
4を有するチタンテトラアルコキシドからなる群から選択されるのが好ましい。ここで、各R
5はアルキルまたは3〜5個の炭素原子を有するシクロアルキル基およびこれらの混合物にすることができ、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0092】
担体に含浸されるチタン化合物はアルキルチタネート、例えばTi(OC
4H
9)
4、Ti(OC
3H
7)
4から選択するのが好ましい。より好ましくは、アルキルチタネートの混合物、例えばTi(OC
4H
9)
4とTi(OC
3H
7)
4との混合物を用いる。最も好ましくは、この混合物のTi(OC
4H
9)
4に対するTi(OC
3H
7)
4の重量比は20/80である。担体のアルキルチタネートによる含浸は有機溶媒、例えばヘキサンまたはイソヘキサン等に希釈剤にチタン化合物を懸濁させた、水性溶媒中に溶解させた懸濁液を導入して行うのが好ましい。懸濁液は担体に滴下するのが好ましい。その後、懸濁液を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間混合するのが好ましい。
【0093】
実施形態では、担持触媒中のチタンの最終的な存在量(Ti量)は、担持メタロセン触媒の総重量に対して少なくとも0.1重量%である。得られた担持触媒系のTi含有量は、担持メタロセン触媒の総重量に対して、0.1〜12重量%、好ましくは0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜10重量%、例えば1.0〜10重量%、例えば重量0.5〜5.0重量%である。最も好ましいTi含有量は1.0〜5重量%、好ましくは1.0〜2.5重量%、より好ましくは1.0〜2.0重量%、例えば約1.5重量%である。
【0094】
この方法はチタン含浸触媒担体を乾燥させる工程をさらに含むことができる。
【0095】
チタン化後に担体を乾燥する、好ましくは少なくとも100℃、好ましくは少なくとも270℃、好ましくは少なくとも250℃の温度まで加熱して乾燥するのが好ましい。このステップは一般に少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、最も好ましくは少なくとも4時間続ける。この乾燥は乾燥した不活性ガスおよび/または空気、好ましくは窒素雰囲気下で行うことができる。乾燥を流動床で行うこともできる。
【0096】
含浸と任意工程の乾燥後、チタン触媒担体は周囲温度(室温)で乾燥した不活性雰囲気下、例えば窒素下で保存できる。
【0097】
別の実施形態では、シリカ・チタニア含有担体を以下の工程:溶液中でチタン前駆体とシリカ前駆体をゲル化(すなわち共沈)する工程を含む方法によって製造できる。シリカ前駆体は一般式:R
1nSi(OR
2)
mまたは(R
1O)
nSi(OR
2)
mを有する一つまたは複数の群の中から選択することができる。ここで、R
1とびR
2は1〜12個の炭素数を有する炭化水素基、ハロゲンおよび水素からなる群の中から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜4、mは0〜4であり、m+nは4に等しい。
【0098】
チタン前駆体は、後でゲルの酸化チタンに変換可能な任意の形で共沈殿させることができる。それに適した化合物にはチタンの無機および有機化合物、例えばハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、アルキルチタン酸塩、アルコキシド、酸化物等が含まれる。好ましいチタン化合物は含浸工程で説明したものと同じである。チタン前駆体とシリカ前駆体の共沈は溶液中で、好ましくは酸性または塩基性環境下で行うことができる。担持触媒系の共沈担体は以下の手順を用いて得ることができる:溶液中でチタニアとシリカの前駆体を共沈させてゲルを生成させ、このゲルをエージングする。ゲルを洗浄して望ましくない塩を除去し、ゲルを乾燥して共沈降シリカ・チタニア含有担体を得る。担持触媒系の共沈担体は、シリカ前駆体の水溶液を強酸、例えば硫酸中のチタニア前駆体の溶液と混合して、最初にゲルを形成することで調製することもできる。この混合は適切な攪拌条件下に行なう。形成されたゲル中のシリカ−チタニアの濃度は0.1〜12重量%にすることができる。一つの実施形態では、ゲルのpHは3〜9である。混合温度は広範囲の温度を使用することができる。この温度範囲は0℃〜約80℃にすることができる。ゲル化後、混合物を熟成させることができる。これは約20℃〜100℃以下の範囲の温度で行うことができる。熟成時間は少なくとも10分、例えば少なくとも1時間にすることができる。エージング後、ゲルを撹拌してスラリーにする。このスラリーを水およびアンモニウム塩溶液または希釈した酸で数回洗浄してゲル中のアルカリ金属の含有量(望ましくない塩)を例えば約0.1重量%まで低減させる。各種のアンモニウム塩、希釈酸溶液を用いることができるが、好ましいアンモニウム塩はその後の乾燥時に分解、揮発する硝酸アンモニウムおよび有機酸のアンモニウム塩である。水は任意の適切な方法、例えば水に可溶な有機化合物(通常液体)で洗浄してゲルから除去するか、有機化合物、例えば酢酸エチルを用いた共沸蒸留によって除去できる。残った溶媒は乾燥、例えば空気中で少なくとも110℃、好ましくは少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも200℃に乾燥して除去できる。このステップは一般に少なくとも1時間続ける。乾燥は窒素のような乾燥した不活性ガスおよび/または空気雰囲気中で行うことができる。乾燥を流動床で行うこともできる。D50が3μm〜25μmの共沈降シリカ・チタニア担体を得るために乾燥を噴霧乾燥で行うことができる。
【0099】
担持メタロセン触媒は助触媒で活性化される。メタロセン触媒成分を活性化する共触媒はその目的のために知られた任意の共触媒、例えばアルミニウム含有共触媒、硼素含有共触媒またはフッ素化触媒にすることができる。アルミニウム含有共触媒はアルモキサン、アルキルアルミニウム、ルイス酸および/またはフッ素化触媒担体から成ることができる。
【0100】
一つの実施形態では、担持メタロセン触媒用の活性化剤としてアルモキサンを使用する。本明細書で使用する「アルモキサン」および「アルミノキサン」という用語は互いに交換可能に使用され、メタロセン触媒を活性化することができる物質を意味する。一つの実施形態では、アルモキサンはオリゴマーの直鎖および/または環状のアルキルアルモキサンから成る。一つの実施態様では、アルモキサンは下記の式(V)または(VI)で表される:
オリゴマーの直鎖アルモキサン
R(Al(R
a)−O)
x−AlR
a2 (V)
オリゴマーの環状アルモキサン
(−AI(R
a)−O−)
y (VI)
(ここで、
xは1〜40、好ましくは10〜20であり
yは3〜40、好ましくは3〜20であり
各R
aはC
1−C
8アルキルから互いに独立して選択され、好ましくはメチルである)
【0101】
好ましい実施形態では、アルモキサンはメチルアルモキサン(MAO)である。
【0102】
好ましい実施形態では、メタロセン触媒は、メタロセンと多孔質シリカ担体に結合したアルモキサンとから成る担持メタロセン−アルモキサン触媒である。メタロセン触媒はブリッジしたビス−インデニル触媒および/またはブリッジしたビス四水素化インデニル触媒であるのが好ましい。
【0103】
追加の共触媒として式:AlR
bで表される一つまたは複数のアルミニウムアルキルを使用することができる。ここで、R
bはハロゲンまたは1〜12個の炭素数を有するアルコキシまたはアルキル基から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、xは1〜3である。非限定的な例としてはトリエチルアルミニウム(TEAL)、トリ−iso−ブチルアルミニウム(TIBAL)、トリメチルアルミニウム(TMA)およびメチル−メチル−エチルアルミニウム(MMEAL)が挙げられる。特に適したものはトリアルキルアルミニウム、最も好ましいのはトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)およびトリエチルアルミニウム(TEAL)である。
【0104】
触媒担体をアルモキサンで処理する方法は当業者に公知の任意の方法で行うことができる。アルモキサン、好ましくは不活性希釈剤/溶媒、好ましくはトルエン中でMAOを触媒担体と混合するのが有利である。アルモキサンの堆積は60℃〜120℃の間の温度、好ましくは80℃〜120℃、最も好ましくは100℃〜120℃で起こる。MAOの量は所望のアルミニウム量に達するように計算する。
【0105】
本発明方法は、メタロセンを有する固体担体を処理する工程をさらに含むことができる。
【0106】
触媒担体は触媒活性化剤を用いた処理中(1−ポット法)またはその後のいずれかでメタロセンで処理する。当技術分野で公知の任意のメタロセン(異なるメタロセンの混合物を含む)を適用することができる。適切なメタロセンは本明細書の上記に記載した。
【0107】
担体のメタロセン処理は、所望のメタロセンをMAO変性担体と混合することによって行うのが有利である。この混合は少なくとも15分、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間の時間、室温で行うのが好ましい。
【0108】
特定の実施形態では、触媒のメタロセンによって与えられる遷移金属に対するアルモキサンによって与えられるアルミニウムのモル比は20〜200、例えば30〜150、好ましくは30〜100である。
【0109】
本発明の方法は、少なくとも1つの連続攪拌槽型反応器中で行われます。本明細書で使用する「連続撹拌槽型反応器」または「連続攪拌タンク反応器」または「CSTR」という用語は当技術分野で公知であり、攪拌手段を備えたタンクを意味し、一種または複数の試薬がタンクに連続に導入され、少なくとも一つの生成物流がタンクから連続的に除去される。
【0110】
CSTRは、通常、タンクと、反応体を混合する攪拌システムとを備えている。また、反応物質を導入し、生成物を取り出すための供給配管と出口配管も存在する。反応物を上部のポートを介して反応器に連続的に導入すると同時に、生成物を連続的に取り出すことができる。攪拌システムは攪拌機とよばれる撹拌翼を含むことができる。
【0111】
本発明は、ポリエチレンの製造方法を包含する。一つの実施形態では、例えば、少なくとも一つのCSTR、例えば、互いに直列に接続された少なくとも2つのCSTRでポリエチレンを製造することができる。
【0112】
好ましくは、本発明はスラリー条件下で少なくとも一つのCSTRでポリエチレンを製造する方法を包含する。より好ましくは、本発明はスラリー条件下で、互いに直列に接続された少なくとも2つのCSTR反応器中でポリエチレンを製造する方法を包含する。
【0113】
本明細書で使用される「スラリー」または「ポリマースラリー」または「重合スラリー」という用語は、実質的に少なくともポリマー固体と液体相、連続相である液相を含む多相組成物を意味する。固体は触媒とポリエチレン等の重合オレフィンを含む。液体は不活性希釈剤、例えばエチレン溶解モノマー、水素などの1種またはそれ以上のコモノマー、任意成分の分子量調節剤、例えば水素、帯電防止剤、防汚剤、スカベンジャーおよび他のプロセス添加剤を含む。
【0114】
本明細書で使用する「希釈剤」という用語は、液体状態、室温で液体であり、好ましくは、CSTRの圧力条件下で液体の希釈剤を意味する。本発明で使用するのに適した希釈剤は例えば、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素溶媒またはそのハロゲン化炭化水素であるが、これに限定されない。好ましい溶媒はC12以下の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素、C5−C9飽和脂環式または芳香族炭化水素またはC2−C6ハロゲン化炭化水素である。希釈剤の非限定的な例としてはイソヘキサン、ヘキサン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、テトラクロロエチレン、ジクロロエタンおよびトリクロロエタンが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、希釈剤はイソヘキサンであるが、他の希釈剤も同様に本発明で使用できることは明から明らかである。
【0115】
適切なエチレン重合にはエチレンモノマーの単独重合、エチレンと一種または複数の高級1−オレフィンコモノマーとの共重合が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0116】
本明細書で使用する「コモノマー」「共単量体」という用語は、エチレンモノマーとの重合に適したオレフィンコモノマーを意味する。コモノマーには脂肪族C3−C20アルファオレフィンが含まれるが、これに限定されるものではない。適切な脂肪族C3−C20アルファオレフィンの例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、イソヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンが挙げられる。「コポリマー」という用語は、同じポリマー鎖中で2つの異なるタイプを連結することによって作られるポリマーを意味する。「ホモポリマー」という用語はコモノマーの不存在下でエチレンモノマーを連結して作られるポリマーを意味する。本発明の一つの実施の形態ではコモノマーは1−ブテンである。
【0117】
好ましい実施形態では、重合に使用するのに適した反応物はエチレンモノマー、炭化水素希釈剤としてのイソヘキサン又はヘキサン、担持メタロセン触媒および任意成分の少なくとも1種のコモノマー、例えば1−ブテンを含む。
重合は広範囲の温度で行える。好ましい温度は65℃〜90℃の範囲である。より好ましい範囲は70℃〜85℃、より好ましくは73℃〜85℃である。
【0118】
反応器の圧力は0.65〜10バールの範囲に保つのが好ましい。
【0119】
本発明の一つの実施の形態では、本発明方法はエチレンをメタロセン触媒と接触させることを含む予備重合段階をさらに含む。一つの実施形態では、この予備重合は、重合反応器に比べて小さい寸法を有する反応器中で実施される。この予備重合をループ反応器またはCSTRで行うこともできる。
【0120】
本発明の一つの実施の形態では、ポリエチレンは単峰性分子量分布を有する。
【0121】
本発明の一つの実施の形態では、ポリエチレンは多峰性分子量分布を有する。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、ポリエチレンは二峰性の分子量分布を有する。
【0123】
「単峰性の分子量分布を有するポリエチレン」または「単峰性ポリエチレン」という用語は、そのポリエチレンがその分子量分布曲線において1つの極大値を有することを意味し、単峰性分布曲線としても定義される。「二峰性ポリエチレン」「二峰性分子量分布を有するポリエチレン」という用語はポリエチレンが2つの単峰性の分子量分布曲線の和である分布曲線を有することを意味する。「マルチモーダル分子量分布を有するポリエチレン」または「マルチモーダルポリエチレン製品」という用語は分布曲線が少なくとも2つ、好ましくは2つ以上の単峰性の分布曲線の和であるポリエチレンを意味する。
【0124】
本発明方法は、少なくとも一つの防汚剤の存在下で行うことができる。
本発明で使用される「防汚剤」という用語は反応器の内部壁の汚染を防止する材料を意味する。一つの実施形態では、防汚剤はカチオン剤、アニオン界面活性剤、非イオン性物質、有機物質、ポリマー剤またはそれらの混合物を含む。
【0125】
カチオン化剤の好ましい例は長鎖の好ましくはC
5−C
20炭化水素鎖の第四級アンモニウム、スルホニウムまたはホスホニウム塩、例えば塩化物、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸水素塩から選択できる。
【0126】
アニオン界面活性剤はサルフェート油、硫酸化アミド油、硫酸化エステル油、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレン−スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステル、例えばアルキルホスホネート、アルキルホスフェート、アルキルジチオカルバメートまたはこれらの混合物から選択できる。
【0127】
好適な非イオン性剤の例としては多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、例えばエトキシル化またはプロポキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール;ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸およびアルキルフェノールのエステル;脂肪酸とソルビトールエステルのグリセリルエステル、脂肪族アミンまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、脂肪酸アルキルジエタノールアミンのエステルまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
適切な有機金属剤の例はネオチタン酸塩およびジルコン酸塩またはこれらの混合物から選択できる。
【0129】
適切なポリマー物質の例としてはポリオキシアルキレン化合物、例えばポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーまたはこれらの混合物が挙げられる。例えば、適当なエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー防汚剤は一つまたは複数の−(CH
2−CH
2−O)
K−と、一つまたは複数の−(CH
2−CH
2−O)
n−を含むことができ、ここで、各kは1〜50であり、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、nは1〜50であり、これらはR'末端基およびR''末端基で終わり、ここで、R'末端基はOHまたは1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、R''末端基はHまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。一つの実施形態では、防汚剤はブロックポリマー、好ましくはトリブロックポリマーである。一つの実施形態では、防汚剤は下記一般式(VII)または(VIII)のブロックポリマーである:
R'−(CH
2−CH
2−O)
k−(CH
2−CH(R)−O)
n−(CH
2−CH
2−O)
m−R'' (VII)
R'−(CH
2−CH(R)−O)
n−(CH
2−CH
2−O)
b−(CH
2−CH(R)−O)
C−R'' (VIII)
(ここで、
Rはアルキル基、R'およびR''は末端基であり、kは1〜50であり、nは1〜50であり、mは1以上であり、aは1〜50であり、bは1〜50であり、cは0〜50であり、k、m、aおよびcは互いに同一でも異なってもよい)
【0130】
一つの実施形態では、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは、Rはメチル基であり、kは1以上であり、mは1以上である。別の実施形態では、aが0であるか、cが0である。好ましいR'およびR''はH、OH、アルキル、およびアルコキシ基を含む。好ましいアルキル基はC1−C3アルキル基である。好ましいアルコキシ基は炭素数が1〜3のアルコキシ基である。上記式(VII)および(VIII)でR'はOHまたはC1−C3アルコキシ基、OHまたはアルコキシ基であるのが好ましい。また、R''はHまたはアルキル基、好ましくはHまたは炭素数が1〜3のアルキル基であるのが好ましい。特に好ましいポリマーは一般式(IX)を有する:
R'−(CH
2−CH
2−O)
k−(CH
2−CH(CH
3)−O)
n−(CH
2−CH
2−O)
m−R'' (IX)
(ここで、R'、R''、k、nおよびmは上記定義のものであり、独立して選択される)
さらに好ましいポリマーは一般式(X)を有する:
OH−(CH
2−CH
2−O)
k−(CH
2−CH(R)−O)
n−(CH
2−CH
2−O)
m−H (X)
(ここで、R、k、nおよびmは上記定義のものであり、独立して選択される)
【0131】
a、b、c、k、n、mの好ましい値は上記の本発明防汚剤の好ましい分子量および上記防汚剤の好ましいエチレンオキシド含有量から導かれる。防汚剤のエチレンオキシドの重量%は5〜40%、好ましくは8〜30%、より好ましくは10〜20%、最も好ましくは約10%である。一つの実施形態では、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体の分子量(MW)は1000ダルトン以上、好ましくは2,000ダルトン、より好ましくは2000−4500ダルトンの範囲である。
【0132】
適した市販の防汚剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:アクゾノーベル社のArmostat(登録商標)(例えばArmostat 300(N、N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)(C
10−C
20)アルキルアミン、Armostat 410LM(ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアミン)およびArmostat(登録商標)600(N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン);ICI Americas社のChemax X997(登録商標)(>50%のジココアルキルジメチルアンモニウムクロライド、約35%の1−ヘキセン、<2%のイソプロパノールおよび<1%のヘキサン)、Atmer 163(N、N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)アルキルアミン)、Innospec社のStatsafe 6000(ドデシルベンゼンスルホン酸)、Octel Performance Chemical社のOctastat(登録商標)3000(約40〜50%のトルエン、約0−5%プロパン−2−オール、約5〜15%のDINNSA(ジノニルナフタスルホン酸)、約15〜30%の溶媒ナフサ、約1−10%のNを含む企業秘密ポリマーおよび約10〜20%のSを含む企業秘密ポリマー);BASF社のKerostate 8190(約10〜20%のアルケン(二酸化硫黄とのポリマー)、約3〜8%のベンゼンスルホン酸(4−C10−13−sec−アルキル誘導体)および有機溶剤);デュポン社のSTADIS(登録商標)450(約14重量%のポリブテン硫酸、約3重量%のアミノエタノールエピクロロヒドリンポリマー、約13重量%のアルキルベンゼンスルホン酸、約70重量%のトルエン、微量の脂肪族アルキルの第四級アンモニウム塩基およびプロピルアルコール);Uniqema社のSynperonic PEL121(エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシドブロック共重合体、約10%のプロピレンオキシド、MW約4400Da)等。防汚剤の好ましい例はドデシルベンゼンスルホン酸またはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体である。
【0133】
本発明で使用するのが好ましい防汚剤の例はSynperonic PEL121、Statsafe 6000、Pluromic31R1、STADIS450、ChemaxX997(登録商標)である。
【0134】
防汚剤は溶媒中に溶解し、溶媒含有組成物として反応器に供給するのが好ましい。溶媒はC4−C10脂肪族およびオレフィン系化合物から選択するのが好ましい。溶媒は不飽和(オレフィン)C4−C10の化合物から選択するのが好ましい。実施形態では、溶媒はヘキサン、イソヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサンまたはヘプタンから選択される。
【0135】
防汚剤は反応器中でポリマースラリー中の希釈剤に対して0.1〜50ppm、好ましくは1.0〜20ppm、好ましくは1.0〜10.0ppm、好ましくは2.0〜6.0ppmのレベルで使用される。
【0136】
本発明方法は平均粒径が小さい二峰性ポリエチレンの綿毛(フラフ)を製造できるという利点がなる。
【0137】
平均粒径が小さいポリエチレンの製造できることによって重合で使用した希釈剤をより良好かつ容易に除去することができる。また、綿毛粒子の寸法が小さいことによって沈降の問題を予防または低減でき、反応装置の固体およびレベルのコントロールがより良くできる。さらに、輸送ラインおよび排出ラインでの閉塞を最小限に抑えることができ、避けることができる。
【0138】
本発明の一つの実施形態では、ポリエチレンは粒状で、そのD50は100〜400μmである。ここで、D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒系と定義される。一つの実施形態では、ポリエチレンのD50は最大で350μm、好ましくは最大で300μm、好ましくは最大で250μmである。
【0139】
ポリエチレンの粒径の測定は篩分け技術で行える。この篩分けは較正篩セットを用いてASTM規格D−1921−89、プラスチック材料の粒径(篩分け分析)、方法Aに従って行うことができる。あるいは、粒径は光学的測定、好ましくはCamsizerを用いて測定することもできる。
【0140】
本発明の一実施形態では、「ポリエチレン」または「ポリエチレン樹脂」は綿毛または粉末の形態をしている。本発明では「樹脂」「粉末」または「綿毛」は重合反応器(直列に接続された複数の反応器の場合には最後の重合反応器)を出た後のポリマー材料と定義される。
【0141】
ポリエチレンのSi含有量は最大で60重量ppm、好ましくは5〜60重量ppmである。このSi含有量は蛍光X線(XRF)で測定される。
【0142】
いくつかの好ましい実施形態では、ポリエチレンのSi原子含有量は5〜60重量ppm、好ましくは5〜55重量ppm、より好ましくは5〜50重量ppmである。Si含有量は以下の手順に従ってX線蛍光(XRF)で測定される。
【0143】
1.
XRFでSi含有量を測定するために1mm厚のポリエチレン試料のディスクを作る
15gのポリエチレンを2枚の125μのMelimex401シートの間に配置し、それを2枚の金属プレートの間に置き、200℃に加熱し、圧縮する。圧力を4バールまで増加させた後、Xarver2518で2分間プレスする。試料が硬化するまで冷却してからMelimexシートを除去する。サンプルはまるまる。圧延サンプルを再度Melimexシート間に配置し、加熱加圧する。試料は再びまるまる。金属プレートの内側サポートに約1mmの金型を入れ、加熱と圧力を再度加える。4バールの圧力を最大10分間加える。サンプルを冷却し、金型から取り出し、直径50mm、厚さ1mmの3つのディスクを打ち抜く。
【0144】
2.
Si含有量の測定
XRFはRXチューブとクロム陽極を搭載したPhilips PW 2400で測定し、PANanalyticalソフトウェア「SuperQ−software for xray analyzers」バージョン3.0およびX40を使用した。
【0145】
この方法では標準的参照としてSiドープ真珠(パール)(1000重量ppmのSiの水溶液から調製)の形で使用する。これはポリエチレン試料のSi含有量の0〜1050ppmの範囲をカバーする。これらのSi量は「X40」のソフトウェアアプリケーション22を使用して真珠の蛍光強度で決定する。
【0146】
サンプルのポリエチレンを入れたサンプルホルダーを真空下に維持する。サンプルホルダの内部表面は裸である。保持フィルムは使用しない。サンプルディスクの両面のSiの測定をSuperQ」ソフトウェアを使用して2回行う。各サンプルディスクで4つの測定を行う。結果はppmで表す。
【0147】
D50とXRFの測定は、反応装置からから得られたポリエチレン(綿毛)に対して行い、添加剤の添加や押出し、ペレット化の前に行う点に注意されたい。
【0148】
本発明はさらに、本発明方法に従って製造されたポリエチレンを包含する。本発明のポリエチレンは種々の用途に適している。
【0149】
本発明はさらに、少なくとも一種の担持メタロセン触媒の存在下で少なくとも1つのCSTR中で製造したポリエチレンを含み、このポリエチレンのD50は100〜400μmの範囲にある。D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい粒径として定義される。このポリエチレンのD50は最大で350μm、好ましくは最大で300μm、好ましくは最大で250μmであるのが好ましい。
【0150】
本発明はさらに、少なくとも一つのメタロセン担持触媒の存在下で少なくとも1つのCSTR中で製造したポリエチレンを含み、このポリエチレンのSi含有量は最大で60重量ppm、例えば最大で55重量ppm、好ましくは最大で50重量ppm、例えば5〜60重量ppm、例えば5〜55重量ppm、例えば5〜50重量ppmである。
【0151】
本発明はさらに、少なくとも一つの担持メタロセン触媒の存在下で少なくとも1つのCSTR中で製造したポリエチレンを含み、このポリエチレンのD50は100〜400μmの範囲、Si含有量は最大で60重量ppmである。D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有するため粒系として定義される。このポリエチレンのD50は最大で350μm、好ましくは最大で300μm、好ましくは最大で250μmで、Si含有量は最大で55重量ppm、例えば最大で50重量ppm、好ましく5〜60重量ppm、例えば5〜55重量ppm、例えば5〜50重量ppmである。
【0152】
一つの実施形態では、本発明方法に従って製造したポリエチレンは二峰性の分子量分布を有するポリエチレンを包含する。
【0153】
一つの実施形態では、コモノマーとして1−ブテンの存在下で本発明方法に従って製造したポリエチレンは二峰性の分子量分布を有するポリエチレンを包含する。
【0154】
別の実施形態では、本発明方法に従って製造したポリエチレンは単峰性の分子量分布を有するをポリエチレンを包含する。
【0155】
本発明者らは、本発明方法に従って製造したポリエチレンは改善された均一性を有し、加工の容易等の利点を有することを見出した。
【0156】
本発明はさらに、本発明方法に従って製造したポリエチレンから成る成形品を包含する。本発明のポリエチレンはその改良された機械的性質によって種々の用途に適する。好ましい物品はフィルム、パイプ、好ましくはパイプPE−RT(高温耐性ポリエチレン)、射出成形品、射出延伸ブロー成形品、キャップおよび封止具、繊維、シート、容器、発泡体、回転成形品である。ISO−1043−1に定義の高温耐性(PERT)のポリエチレンは高温パイプ用途などの高温用途のポリエチレン材料のクラスである。「高温耐性のポリエチレン」(PERT)という用語は、EN−ISO規格22391に従った耐熱性が有り且つ弛みに対する抵抗機能を満たすために添加剤を必要としないポリエチレンを意味する。
【0157】
別の実施形態では、本発明は少なくとも一つの連続攪拌槽型反応器で少なくとも1種の担持メタロセン触媒、希釈剤、一つまたは複数の任意成分の共単量体および必要に応じて用いる水素の存在下でエチレンを重合して製造したポリエチレンから成る物品を提供する。上記担持メタロセン触媒の担体のD50値は3μm〜25μmの範囲にあり、D50は粒子の50重量%がD50よりも小さい寸法を有する粒径として定義され、このD50はMalvern型分析器でのレーザー回折により測定し、担持メタロセン触媒の担体の表面積は100〜500m
2/gの範囲にある。
以下の本発明の非限定的な実施例を示す。
【実施例】
【0158】
[表1]は以下の実施例で使用したシリカ担体である。
【表1】
【0159】
担持メタロセン触媒系
本発明の担持触媒1(INV−1)
1
MAO処理
20gの乾燥したシリカPD−10001を500mLの丸底フラスコに導入し、トルエンを加え、懸濁液を100rpmで撹拌した。MAO(トルエン中30重量%)を滴下漏斗から滴下し、得られた懸濁液を4時間、110℃で(還流)加熱した。添加したMAOの量は所望のAl含有量に達するように計算した。還流後、懸濁液を室温まで冷却し、混合物をガラスフリットを通して濾過した。回収した粉末はトルエンおよびペンタンで洗浄した後、減圧下で一晩乾燥して、自由流動SMAに粉末を得た。
【0160】
2.
メタロセン処理
上記で得られた9.8gのSMAOシリカを250mLの丸底フラスコ中で80mLのトルエン中に懸濁させた後、得られたシリカ含有担体の懸濁液に20mLのトルエンに懸濁させた0.2gのエチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1インデニル)ジルコニウムジクロリドを添加した。得られた懸濁液は室温で2時間、100rpmで攪拌した。最後に、得られた触媒をトルエンおよびペンタンで洗浄し、濾過した後、一晩乾燥させて触媒INV−1を得た。
【0161】
本発明の担持触媒2(INV−2)
1.
担体改質
窒素流下でコンディショニングした250mLの丸底フラスコ中で25gのシリカPD−10001を60rpmで撹拌し、110℃で一晩乾燥した。190mlの乾燥したヘキサンを添加し、懸濁液を0℃に冷却し、3.2mLのVertecBip[Ti(OC
4H
9)
4対Ti(OC
3H
7)
4の重量比が20:80]に滴下して担体に含浸させた。懸濁液を0℃で20時間混合した。減圧下で溶媒を除去し、得られたシリカを450℃で4時間、窒素気流下で乾燥させた。得られたチタン含浸シリカのTi含有量は2重量%であった。
【0162】
2.
MAO処理
上記で得られた20gの変性シリカを500mLの丸底フラスコに入れ、500mLのトルエンを加え、懸濁液を100rpmで撹拌した。MAO(トルエン中30重量%)を滴下漏斗で滴下し、得られた懸濁液を110℃で4時間(還流)加熱した。添加したMAOの量は所望のAl含有量に達するように計算した。還流後、懸濁液を室温まで冷却し、混合物をガラスフリットを通して濾過した。回収した粉末をトルエンおよびペンタンで洗浄し、減圧下で一晩乾燥した。
【0163】
3.
メタロセン処理
上記で得られた9.8gのSMAOシリカを250mLの丸底フラスコ中で80mLのトルエンに懸濁させた。その後、懸濁させたシリカ含有担体に20mLのトルエンに懸濁させた0.2gのエチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1インデニル)ジルコニウムジクロリドを添加した。得られた懸濁液を室温で2時間、100rpmで攪拌した。最後に、得られた触媒をトルエンおよびペンタンで洗浄し、濾過し、一晩乾燥して、触媒INV−2を得た。
【0164】
比較例の担持触媒1(COMP−1)
1.
MAO処理
20gの乾燥したシリカH121Cを500mLの丸底フラスコに導入し、トルエンを加え、懸濁液を100rpmで撹拌した。MAO(トルエン中30重量%)を滴下漏斗で滴下し、得られた懸濁液を110℃で4時間(還流)加熱した。添加したMAOの量は所望のAl含有量に達するように計算した。還流後、懸濁液を室温まで冷却し、混合物をガラスフリットを通して濾過した。回収した粉末はトルエンおよびペンタンで洗浄し、減圧下で一晩乾燥させてSMAO自由流動粉末を得た。
【0165】
2.
メタロセン処理
上記で得られた9.8gのSMAOシリカを250mLの丸底フラスコ中で80mLのトルエン懸濁させた。このシリカ含有担体に20mLのトルエンに懸濁させた0.2gのエチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド懸濁液を添加した。得られた懸濁液を室温で2時間、100rpmで攪拌した。最後に、得られた触媒はトルエンおよびペンタンで洗浄し、濾過し、一晩乾燥させて触媒COMP−1を得た。
【0166】
比較例の担持触媒2(COMP−2)
触媒COMP−2はCOMP−1と同じ方法でES70Wシリカを使用して製造した。
【0167】
1.
単峰性の分子量分布を有するポリエチレンの製造方法
単峰性ポリエチレン樹脂を1つのCSTR中で製造した。反応条件とポリエチレンの特性は[表2]に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
本発明方法を用いることで、比較の方法に比べて平均粒径が小さい単峰性ポリエチレンの綿毛(フラフ)を製造できた。また、本発明のポリエチレンは触媒残留量が減少している。本発明触媒は比較例に比べて活性が高いことが分かる。活性はチタン触媒より少なくとも2倍高い。ポリエチレンの粒径が小さいため、重合で用いた希釈剤(ここではヘキサン)からの除去がより良く且つ簡単になる。粒径が小さくなったことで反応器中での固体とレベル制御がより良好になり、その結果、沈降の問題を防止または低減することができる。また、輸送ラインおよび取出しラインでの詰まりを最小化、さらには回避できる。
【0170】
二峰性分子量分布を有するポリエチレンの製造方法
二峰性分子量分布を有するポリエチレン樹脂を互いに直列に接続された2つのCSTRで製造した。このポリエチレンはフィルムの製造に適している。反応条件とポリエチレンの特性は[表3]に示す。
【0171】
【表3】
【0172】
本発明方法は比較例の方法に比べて平均粒径が小さい二峰性ポリエチレンフラフを製造できる。また、本発明のポリエチレンは触媒残留量が減少している。本発明の触媒は比較例の触媒と比較して活性が大幅に高く、さらに粒径の小さいポリエチレン粉末を製造できる。粒径が小さいポリエチレンは重合で用いた希釈剤(ここではヘキサン)からより良く且つ簡単に除去できる。粒径の小さいことによって反応器での固体およびレベル制御がより良好になり、沈降の問題を防止または低減できる。また、輸送ラインおよび放出ラインの閉塞を最小化、さらには回避できる。さらに、本発明方法で製造された二峰性ポリエチレンは均質性が良好で(ゲルが少ない)。