(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
なお、本発明において、範囲を「〜」を用いて表した場合は、その範囲には「〜」の両側を含むものとする。
【0023】
[フルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法]
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法は、式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法であって、式(2)で表されるフルオレノン類と、式(3)で表されるアリルフェノール類とを、メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒の存在下で反応させる反応工程を含む。
【0025】
また、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法において、上記酸触媒の量は、式(2)で表される化合物1モルに対して0.001モル〜20モルである。
【0026】
〈R
1、R
2、mおよびn〉
上記式(1)および上記式(2)において、R
1はフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換しうる置換基であり、R
2はフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換しうる置換基である。ここで、「置換しうる」とは、置換する場合および置換しない場合があることを表す。
【0027】
上記R
1および上記R
2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0028】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(プロパン−1−イル基)、イソプロピル基(プロパン−2−イル基)、ブチル基(ブタン−1−イル基)、t−ブチル基(2−メチルプロパン−2−イル基)等のC
1−12アルキル基などが挙げられ、好ましくはC
1−8アルキル基であり、より好ましくはC
1−4アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、いっそう好ましくはメチル基である。
【0029】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、および3,5−ジメチルフェニル基等のC
6−10アリール基が挙げられる。
【0030】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびt−ブトキシ基等のC
1−6アルコキシ基が挙げられる。
【0031】
上記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、および3,5−ジメチルフェノキシ基等のC
6−10アリールオキシ基が挙げられる。
【0032】
上記アルカノイル基としては、例えば、アセチル基等が挙げられる。
【0033】
上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、およびフッ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0034】
mおよびnは、それぞれ独立に、0≦m≦4および0≦n≦4を満たす整数である。
すなわち、上記R
1がフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換する場合、いずれか1つ以上の位置に置換することができ、上記R
2がフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換する場合、いずれか1つ以上の位置に置換することができる。
m≧2であるとき、m個のR
1のそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、n≧2であるとき、n個のR
2のそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
なお、mおよびnは、それぞれ独立に、好ましくは0または1である。
【0035】
〈R
3〉
上記式(1)および上記式(3)において、R
3は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、水素原子およびハロゲン原子からなる群から選択される1種である。
【0036】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(プロパン−1−イル基)、イソプロピル基(プロパン−2−イル基)、ブチル基(ブタン−1−イル基)、t−ブチル基(2−メチルプロパン−2−イル基)等のC
1−12アルキル基などが挙げられ、好ましくはC
1−8アルキル基であり、より好ましくはC
1−4アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、いっそう好ましくはメチル基である。
【0037】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、および3,5−ジメチルフェニル基等のC
6−10アリール基が挙げられる。
【0038】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびt−ブトキシ基等のC
1−6アルコキシ基が挙げられる。
【0039】
上記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、および3,5−ジメチルフェノキシ基等のC
6−10アリールオキシ基が挙げられる。
【0040】
上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、およびフッ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0041】
〈メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒〉
式(2)で表されるフルオレノン類と式(3)で表されるアリルフェノール類との反応は、メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒(以下、単に「酸触媒」という場合がある。)の存在下で行われる。
【0042】
上記酸触媒としては、酸触媒および固体酸触媒が挙げられる。
【0043】
《液体酸触媒》
上記液体酸触媒としては、遊離酸の構造式中に“−SO
3H”部分を持つ酸およびその水溶液、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素およびフッ化水素など)の水溶液、過ハロゲン酸(例えば、過塩素酸および次亜塩素酸など)の水溶液、硝酸またはその水溶液、リン酸(オルトリン酸)またはその水溶液、ホウ酸(オルトホウ酸)の水溶液、ケイ酸(例えば、オルトケイ酸、メタケイ酸およびメタ二ケイ酸など)の水溶液、三フッ化ホウ素の水溶液、塩化スズ(II)の水溶液、および塩化チタン(IV)またはその水溶液、カルボン酸およびその水溶液などが挙げられる。
【0044】
上記遊離酸の構造式中に“−SO
3H”部分を持つ酸としては、具体的には、例えば、硫酸、ハロゲン化スルホン酸類(クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸等)、アルキルスルホン酸類(メタンスルホン酸などのC
1−4アルキルスルホン酸等)、ハロアルキルスルホン酸類(トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸などのC
1−4ハロアルキルスルホン酸等)および芳香族スルホン酸類(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等)などが挙げられる。ここで、化合物の構造式中にスルホン酸基(スルホキシ基)を持つ有機化合物を有機スルホン酸という場合がある。
なお、本明細書において、硫酸(H
2SO
4)、ハロゲン化スルホン酸類(X−SO
3H;X=F,Cl,Br,I)、および有機スルホン酸類(R−SO
3H;R=C
1−4アルキル基、ハロゲン化C
1−4アルキル基,置換または無置換のフェニル基等の有機基)を総称して、スルホン酸類という場合がある。
【0045】
また、上記硫酸またはその水溶液としては、希硫酸、濃硫酸および発煙硫酸等が挙げられる。
さらに、反応系において硫酸に転化可能であることから、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用することもできる。
硫酸の濃度は、特に限定されないが、H
2SO
4換算で、好ましくは80質量%〜99質量%であり、より好ましくは90質量%〜98質量%(濃硫酸)である。
【0046】
上記カルボン酸としては、具体的には、例えば、アルキルカルボン酸類(酢酸、プロピオン酸などのC
1−4アルキルカルボン酸等)、ハロアルキルカルボン酸類(トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のC
1−4ハロアルキルカルボン酸)および芳香族カルボン酸類(安息香酸、サリチル酸、フタル酸等)などが挙げられる。
なお、本明細書において、これらのカルボン酸を総称してカルボン酸類という場合がある。
【0047】
上記酸触媒としては、スルホン酸類とカルボン酸類との間では、スルホン酸類が好ましい。これは、スルホン酸類の酸解離定数がカルボン酸類の酸解離定数よりも大きく、スルホン酸類の方が触媒活性が高いため、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との反応速度が大きくなり、さらに収率も向上するからである。
【0048】
《固体酸触媒》
上記固体酸触媒としては、例えば、金属化合物(SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、Fe
2O
3、ZrO
2、SnO
2およびV
2O
5等の酸化物、SiO
2−Al
2O
3、SiO
2−TiO
2、TiO
2−ZrO
2、およびSiO
2−ZrO
2等の複合酸化物、ZnS等の硫化物、CaSO
4、Fe
2(SO
4)
3、CuSO
4、NiSO
4、Al
2(SO
4)
3、MnSO
4、BaSO
4、CoSO
4、およびZnSO
4等の硫酸塩、P、Mo、V、WまたはSi等の元素を含有するポリ酸、粘土鉱物(酸性白土、モンモリロナイト等)、ゼオライトなど)、陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0049】
(陽イオン交換樹脂)
上記陽イオン交換樹脂(「カチオン型イオン交換樹脂」または「酸型イオン交換樹脂」等という場合がある。)としては、強酸性陽イオン交換樹脂および弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0050】
上記強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーなどの架橋ポリスチレンのスルホン化物、スルホン酸基または−CF
2CF
2SO
3H基を有する含フッ素樹脂([2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとのブロック共重合体(例えば、デュポン社製のナフィオン))等の含フッ素イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0051】
上記弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、カルボン酸基を有するイオン交換樹脂(メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー等)などが挙げられる。
【0052】
これらの陽イオン交換樹脂の中でも強酸性イオン交換樹脂、特にスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを基体または母体とする強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0053】
陽イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂であってもよいし、ポーラス型イオン交換樹脂であってもよい。
【0054】
上記ゲル型イオン交換樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー等のポリマーを基体とし、ミクロポアーを有するイオン交換樹脂である。
上記ミクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは0.5nm〜5.0nm(5Å〜50Å)であり、より好ましくは1.0nm〜4.0nm(10Å〜40Å)であり、さらに好ましくは1.5nm〜3.0nm(15Å〜30Å)である。
【0055】
上記ポーラス型イオン交換樹脂は、ミクロポアーの他にマクロポアーを有するイオン交換樹脂である。
上記ミクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは0.5nm〜5.0nm(5Å〜50Å)であり、より好ましくは1.0nm〜4.0nm(10Å〜40Å)であり、さらに好ましくは1.5nm〜3.0nm(15Å〜30Å)である。
また、上記マクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは5.0nm〜10.0nm(50Å〜100Å)であり、より好ましくは7.0nm〜95.0nm(70Å〜950Å)であり、さらに好ましくは10.0nm〜90.0nm(100Å〜900Å)であり、いっそう好ましくは15.0nm〜85.0nm(150Å〜850Å)であり、よりいっそう好ましくは20.0nm〜80.0nm(200Å〜800Å)である。
【0056】
また、ポーラス型イオン交換樹脂の多孔度は、特に限定されないが、好ましくは0.03cm
3/g〜0.60cm
3/gであり、より好ましくは0.05cm
3/g〜0.55cm
3/gであり、さらに好ましくは0.10cm
3/g〜0.50cm
3/gであり、いっそう好ましくは0.15cm
3/g〜0.45cm
3/gであり、よりいっそう好ましくは0.20cm
3/g〜0.40cm
3/gである。
【0057】
上記陽イオン交換樹脂の架橋度は、特に限定されないが、ジビニルベンゼンコポリマー(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマーなど)を基体とする陽イオン交換樹脂においては、架橋度(ジビニルベンゼンの場合)は、好ましくは1%〜30%であり、より好ましくは1.2%〜25%であり、さらに好ましくは1.5%〜20%であり、いっそう好ましくは2%〜13%であり、よりいっそう好ましくは3%〜12.5%であり、さらにいっそう好ましくは3.5%〜12%である。
なお、フルオレノンとフェノール類との反応では、通常、ポーラス型イオン交換樹脂を用いるが、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、特定の架橋度を有する陽イオン交換樹脂(ポーラス型イオン交換樹脂、ゲル型イオン交換樹脂)の使用により、効率よく反応が進行する場合がある。
【0058】
上記陽イオン交換樹脂のイオン交換容量は、特に限定されないが、好ましくは0.2当量/L以上であり、より好ましくは0.3当量/L〜8当量/Lであり、さらに好ましくは0.4当量/L〜5当量/Lであり、いっそう好ましくは0.5当量/L〜4当量/Lであり、よりいっそう好ましくは0.6当量/L〜3当量/Lであり、さらにいっそう好ましくは0.7当量/L〜2.5当量/Lであり、よりさらにいっそう好ましくは0.8当量/L〜2等量/Lであり、特に好ましくは1当量/L〜1.7等量/Lである。
【0059】
陽イオン交換樹脂の形態は、フルオレノン類(2)とアリルフェノール類(3)との反応の効率、イオン交換樹脂と反応液との分離などに悪影響がなければ、特に限定されないが、好ましくは粒状であり、より好ましくは微粒状である。
また、粒状または微粒状の陽イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、無定形状、球状、多角体状、またはペレット状などであってもよい。
粒状の陽イオン交換樹脂の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm〜1.5mmであり、より好ましくは0.15mm〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.2mm〜1mmであり、いっそう好ましくは0.25mm〜0.8mmであり、よりいっそう好ましくは0.3mm〜0.6mmである。
【0060】
上記陽イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、バイエル社(ランクセス社)製の「レバチットK1131」、「レバチットK1221」、「レバチットK2361」、「レバチットK2420」、「レバチットK2431」、「レバチットK2620」、「レバチットK2649」;オルガノ社製の「アンバーリスト31」、「アンバーリスト131」、「アンバーリスト121」、「アンバーリスト15JWet」、「アンバーリスト31Wet」;三菱化学(株)製の「ダイヤイオンSK104H」、「ダイヤイオンSK1BH」、「ダイヤイオンSK112H」、「ダイヤイオンPK208LH」、「ダイヤイオンPK216LH」、「ダイヤイオンRCP160M」;デュポン社製の「ナフィオン」などが挙げられる。
【0061】
《酸触媒の併用》
上記酸触媒は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
《酸強度の調節》
また、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノールの製造方法においては、酸強度を調節する目的で、酸触媒とともに、塩基および塩類の一方または両方を用いてもよい。
上記塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アンモニア、およびアミン類などが挙げられる。これらの塩基は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記塩類としては、例えば、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、および酢酸塩などが挙げられる。これらの塩類は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
《酸触媒の量》
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法の反応工程において、上記酸触媒の量は、上記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.001モル〜20モルであり、好ましくは0.01モル〜10モルであり、より好ましくは0.1モル〜5モルであり、さらに好ましくは0.5モル〜2モルである。
上記酸触媒の量がこの範囲内であると、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との反応が効率よく進行し、上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類を安全かつ安価に製造することができる。
【0064】
なお、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、酸触媒の種類、量および濃度は反応に影響を与えることがある。
酸触媒の強度が強い場合は、副原料(3)や生成物(1)のアリル基がフェノール部位と反応してフェノール樹脂を生成してしまうことがある。特に、酸触媒の強度がさらに強いときは、反応熱によって内容物が急激に加熱されて沸騰するという現象が起こって極めて危険であることがある。
また、ハロゲン化水素を加熱条件化で使用した場合は、原料および/または生成物のアリル基がハロゲン化されて、フルオレニリリデンジアリルフェノール類の得量が少なくなることがある。
また、酸として硝酸を単独で使用した場合は、原料のアリルフェノール類のニトロ化が優先して進行するため、目的物の得量が少なくなることがある。
【0065】
〈助触媒〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒に加えて、チオール類を助触媒として用いることが好ましい。
【0066】
上記助触媒としては、従来公知のチオール類を用いることができ、特に限定されないが、例えば、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、アルキルメルカプタン、アラルキルメルカプタン、およびこれらのチオール類の塩などが挙げられる。
【0067】
上記メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、およびメルカプト安息香酸などが挙げられる。
【0068】
上記メルカプトスルホン酸としては、例えば、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0069】
上記アルキルメルカプタンとしては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、およびドデシルメルカプタンなどが挙げられ、好ましくはC
1−20アルキルメルカプタンであり、より好ましくはC
1−16アルキルメルカプタンである。
【0070】
上記アラルキルメルカプタンとしては、例えば、ベンジルメルカプタンなどが挙げられる。
【0071】
これらのチオール類の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウム、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムなどのナトリウム塩など)が例示できる。
【0072】
上記チオール類は1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
上記チオール類としては、メルカプトカルボン酸が好ましく、β−メルカプトプロピオン酸が特に好ましい。
【0074】
上記チオール類の使用量は、特に限定されないが、上記式(2)で表されるフルオレノン類1モルに対して、好ましくは0.001モル〜1.0モルであり、より好ましくは0.01モル〜0.1モルである。
【0075】
〈溶媒〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒に加えて、溶媒を用いることが好ましい。
【0076】
上記溶媒としては、上記式(2)で表されるフルオレノン類(主原料)と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類(副原料)との反応を阻害しない溶媒、すなわち、主原料、副原料、酸触媒、および、使用する場合は助触媒と非反応性の溶媒であれば特に限定されないが、例えば、炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン類、ハロゲン化炭化水素、およびニトロ基を有する炭化水素などが挙げられる。
【0077】
上記炭化水素類としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ならびに、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0078】
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびグリセリン等が挙げられる。
【0079】
上記エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、および炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0080】
上記エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジグライム、テトラヒドロフラン、およびジオキサン等が挙げられる。
【0081】
上記アミド類としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のN−モノまたはジC
1−4アルキルホルムアミドなど、N−メチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミド等のN−モノまたはジC
1−4アルキルアセトアミドなど、ならびにN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0082】
上記ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、およびベンゾニトリル等が挙げられる。
【0083】
上記スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0084】
上記スルホラン類としては、例えば、スルホラン等の環状スルホンなどが挙げられる。
【0085】
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0086】
上記ニトロ基を有する炭化水素としては、例えば、ニトロメタン等のニトロアルキル化合物など、およびニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物などが挙げられる。
【0087】
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記溶媒を用いず、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類を溶媒の代用として用いることもできるが、上記式(2)で表されるフルオレノン類(主原料)と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類(副原料)および溶媒の量比は、主原料と副原料の反応に大きな影響を与えることがある。
すなわち、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計の割合が少なすぎると、発熱を伴う重合反応が優先して非常に危険な場合があり、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計の割合が多すぎると、反応の進行が遅くなる場合がある。
上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計は、上記式(2)で表されるフルオレノン類に対して、好ましくは1質量部超、20質量部であり、より好ましくは2〜10質量部である。
【0088】
〈反応工程〉
反応工程の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは−80℃〜150℃であり、より好ましくは−30℃〜100℃であり、さらに好ましくは−10℃〜80℃であり、いっそう好ましくは常温(5℃〜35℃,JIS Z 8703:1983)である。
反応温度が−80℃以上であると、反応を完結させることができ、収率が向上する。
反応温度が150℃以下であると、反応副生物を減少させることができ、純度が向上する。
【0089】
反応工程の反応時間は、原料の種類、原料の濃度、反応温度、溶剤の種類、酸の種類、および酸の濃度などによって調整することができ、特に限定されないが、好ましくは5分〜240時間であり、より好ましくは1時間〜72時間であり、さらに好ましくは1時間〜24時間である。
【0090】
反応工程は、反応液を撹拌しながら反応を行ってもよい。
また、反応工程は、不活性ガス雰囲気で行ってもよいし、非不活性ガス雰囲気下(例えば、空気中)で行ってもよい。
また、反応工程は、減圧下、常圧下または加圧下で行ってもよい。
また、反応工程は、脱水剤の投入、減圧、または加熱などの方法で、脱水しながら行ってもよい。
また、反応工程は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
【0091】
反応工程において、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との量比は、特に限定されないが、フルオレノン類1モルに対して、2−アリルフェノール類が、好ましくは0.5モル以上であり、より好ましくは0.7モル〜20モルであり、さらに好ましくは1.2モル〜10モルであり、いっそう好ましくは1.7モル〜10モルである。
【0092】
〈精製工程〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記反応工程の後に、精製工程を行ってもよい。
【0093】
反応終了後の反応混合物(反応混合液)には、上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類以外に、未反応の主原料(上記式(2)で表されるフルオレノン類)および副原料(上記式(3)で表される2−アリルフェノール類)、2−アリルフェノール類と酸触媒との反応生成物、酸触媒、チオール類(使用した場合)、溶媒(使用した場合)、ならびに水などが含まれる。
このような反応混合物から上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類を分離(精製)するには、慣用の方法、例えば、中和、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を利用できる。
例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて中和する方法など)により酸触媒(およびチオール類)を除去したのち、濃縮により式(3)で表される2−アリルフェノール類を除去し、常法により結晶化させ、分離(精製)してもよい。
【0094】
[フルオレニリデンジアリルフェノール類]
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類は、下記式(4)で表される化合物である。
【0096】
〈R
1、R
2、R
3、mおよびn〉
上記式(4)において、R
1およびR
2は、上記式(1)中のR
1およびR
2と、それぞれ、同義である。
【0097】
上記式(4)において、R
3は、上記式(1)中のR
3と同義である。
【0098】
上記式(4)において、mおよびnは、上記式(1)中のmおよびnと、それぞれ、同義である。
ただし、R
3が水素原子またはメチル基である場合、mおよびnは同時に0でない。換言すれば、m=n=0である場合、R
3は水素原子およびメチル基のいずれでもない。
【0099】
〈具体例〉
上記式(4)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の例は、以下に掲げるものである。
【0100】
(1)R
3が水素原子であるとき
4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=メチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メチル基,2位および7位に置換]
4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=エチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=エチル基,2位および7位に置換]
4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0101】
4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=フェニル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=フェニル基,2位および7位に置換]
【0102】
4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=塩素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=塩素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=臭素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=臭素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=ヨウ素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=臭素原子,2位に置換;R
2=ヨウ素原子,7位に置換]
【0103】
4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=シアノ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=シアノ基,2位および7位に置換]
【0104】
4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=メトキシ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0105】
4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=ニトロ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0106】
4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;1位に置換]
4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基,2位に置換]
4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;3位に置換]
4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;4位に置換]
4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0107】
4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=ヒドロキシ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0108】
4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R
1=アセチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R
1=R
2=アセチル基,2位および7位に置換]
【0109】
(2)R
3がメチル基であるとき
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノール [m=1,n=0;R
1=メチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=エチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=エチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0110】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=フェニル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=フェニル基,2位および7位に置換]
【0111】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=塩素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=塩素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=臭素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=臭素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヨウ素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=臭素原子,2位に置換;R
2=ヨウ素原子,7位に置換]
【0112】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=シアノ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=シアノ基,2位および7位に置換]
【0113】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=メトキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0114】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=ニトロ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0115】
2,2’−ジアリル−4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;1位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基,2位に置換][m=1,n=0;R
1=カルボキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;3位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;4位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0116】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヒドロキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0117】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R
1=アセチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=アセチル基,2位および7位に置換]
【0118】
(3)R
3がメトキシ基であるとき
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシフェノール [m=1,n=0;R
1=メチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=エチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=エチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0119】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=フェニル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=フェニル基,2位および7位に置換]
【0120】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=塩素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=塩素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=臭素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=臭素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヨウ素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=臭素原子,2位に置換;R
2=ヨウ素原子,7位に置換]
【0121】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=シアノ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=シアノ基,2位および7位に置換]
【0122】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=メトキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0123】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=ニトロ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0124】
2,2’−ジアリル−4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;1位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;3位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=カルボキシ基;4位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0125】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=ヒドロキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0126】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R
1=アセチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R
1=R
2=アセチル基,2位および7位に置換]
【実施例】
【0127】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において各種GC純度測定ならびに1H−NMR測定は以下のようにして行った。
【0128】
[GC純度測定]
下記条件にて反応生成物のGC測定を行った。
使用機器:島津製作所 GC−2010
カラム:DB−5
GC純度はフルオレン誘導体のみのピークを検出した面積百分率である。
【0129】
[
1H−NMR測定]
下記条件にて反応生成物の
1H−NMR測定を行った。
使用機器:FT−NMR:Bruker Biospin, AVANCE
III−600 with Cryo Probe
測定条件:測定周波数 600MHz(
1H)
測定溶媒:CDCl
3
【0130】
(実施例1)
撹拌器を備えたナスフラスコに、純度99%のフルオレノン30.0g、2−アリルフェノール89.4g、およびβ−メルカプトプロピオン酸(β−MPA)0.88gを入れ、室温で濃塩酸(36質量%塩化水素水溶液)16.9gを加え、室温で24時間撹拌することにより、反応を行った。
反応液を一部取り出し、酢酸エチルで希釈して有機層を水洗したものをガスクロマトグラフィー(GC)で分析し、フルオレノン由来の化合物の面積比率(GC純度)を求めたところ、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が11%、フルオレノンが88%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0131】
(実施例2)
濃塩酸(36質量%塩酸)16.9gに代えてトリフルオロ酢酸38.0gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が4%、フルオレノンが95%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0132】
(実施例3)
濃塩酸16.9gに代えて85%リン酸(85質量%リン酸水溶液)38.4gを用い、80℃に加熱した以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が18%、フルオレノンが27%、その他のフルオレン化合物が55%であった。
【0133】
(実施例4)
濃塩酸16.9gに代えて85%リン酸38.4gおよび五酸化二リン22.7gの混合物を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が5%、フルオレノンが40%、その他のフルオレン化合物が55%であった。
【0134】
(実施例5)
濃塩酸16.9gに代えてメタンスルホン酸(MsOH)9.6gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が70%、フルオレノンが13%、その他のフルオレン化合物が17%であった。
【0135】
(実施例6)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸(98質量%)0.16gを用い、3日間撹拌した以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が44%、フルオレノンが53%、その他のフルオレン化合物が3%であった。
【0136】
(実施例7)
濃塩酸16.9gに代えて濃塩酸169gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が43%、フルオレノンが47%、その他のフルオレン化合物が10%であった。
【0137】
(実施例8)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸8.2gを用い、アセトニトリル30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が90%、フルオレノンが9%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
反応液に水を加えた後に酢酸エチルを120g加えてBAPFを抽出した。有機層が中性になるまで水で洗浄した後、有機層を真空で濃縮した。得られた濃縮液にキシレン90gおよびアセトン10gを加えてBAPF・アセトン包接結晶を析出させ、濾過・乾燥することによりBAPF・アセトン包接結晶を52g得た。
【0138】
(実施例9)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸8.2gを用い、メタノール30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が0.2%、フルオレノンが99.5%、その他のフルオレン化合物が0.3%であった。
【0139】
(実施例10)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸16.3gを用い、メタノール30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC面積比は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が20%、フルオレノンが79%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0140】
(実施例11)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸9.8gと陽イオン交換樹脂(Amberlyst(アンバーリスト)15(H))5gを用い、トルエン15gと酢酸エチル15gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。なお、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15(H))は和光純薬工業(株)から購入し、使用前に真空乾燥して用いた。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC面積比は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が86%、フルオレノンが5%、その他のフルオレン化合物が9%であった。
【0141】
(実施例12)
濃塩酸16.9gに代えてp−トルエンスルホン酸・一水和物(TsOH・H
2O)31.7gを用い、溶媒として、酢酸エチル30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が21%、フルオレノンが77%、その他のフルオレン化合物が2%であった。
【0142】
(比較例1)
濃塩酸16.9gに代えてトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)625gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
トリフルオロメタンスルホン酸の添加と同時に激しい発熱が見られ、フラスコ内容物が噴出した。
発熱が収まった後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0143】
(比較例2)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸407gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
濃硫酸の添加後、数秒経ってから激しい発熱が見られ、フラスコ内容物が噴出した。
発熱が収まった後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0144】
(比較例3)
濃塩酸16.9gに代えてp−トルエンスルホン酸(TsOH)717.5gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
24時間後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0145】
(比較例4)
濃塩酸16.9gに代えてメタンスルホン酸400gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
24時間後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0146】
(比較例5)
濃塩酸16.9gに代えて濃硝酸(60質量%硝酸水溶液)437.5gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
濃硝酸の添加と同時に激しい発熱が見られ、アリルフェノールのニトロ化が進行した。
反応混合物からBAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0147】
(比較例6)
濃塩酸16.9gに代えて酢酸(氷酢酸)250gを用いた以外は実施例1と同様にして24時間反応液を混合した。
24時間後のフラスコ内液からBAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0148】
【表1】
【0149】
(実施例13)
回転子を入れた50mLナスフラスコに、フルオレノン3g、2−アリル−6−メチルフェノール9.9g、β−メルカプトプロピオン酸0.1gを入れ、室温でメタンスルホン酸2gを加えて撹拌することにより反応を行った。反応終了後、水、酢酸エチルを加えて有機層を抽出して濃縮し、キシレンで再結晶することにより3.7gの2,2’−ジアリル−4,4’−(9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.74(d,J=6.6Hz,2H)、7.38−7.24(m,6H)、6.81(d,J=2.4Hz,2H)、6.77(d,J=2.4Hz,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.14−5.09(m,4H)、4.87(s,2H)、3.28(d,J=6.0Hz,2H)、2.09(s,6H)
【0150】
(実施例14)
アリルフェノール類として2−アリル−6−メトキシフェノールを10.9g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して4.5gの2,2’−ジアリル−4,4’−(9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.74(d,J=7.2Hz,2H)、7.37−7.32(m,4H)、7.26−7.23(m,2H)、6.64(s,2H)、6.47(s,2H)、5.94−5.88(m,2H)、5.55(s,2H)、4.98−4.95(m,4H)、3.64(s,6H)、3.29(d,J=6.0Hz,4H)
【0151】
(実施例15)
フルオレノン類として2−メチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリルフェノールを8.3g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して5.6gの4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.2Hz,1H)、7.61(d,J=7.2Hz,1H)、7.32−6.87(m,9H)、6.63(d,J=8.4,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.10−5.07(m,4H)、4.92(s,2H)、3.29(d,J=6Hz,4H)、3.29(s,3H)
【0152】
(実施例16)
フルオレノン類として2−メチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを8.5g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をキシレンで再結晶して4.1gの2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.2Hz,1H)、7.62(d,J=7.2Hz,1H)、7.33−7.13(m,5H)、6.82(d,J=1.8,2H)、6.76(d,J=1.8,2H)、5.97−5.90(m,2H)、5.14−5.10(m,4H)、4.87(s,2H)、3.29(d,J=6Hz,4H)、2.35(s,3H)、2.09(s,6H)
【0153】
(実施例17)
フルオレノン類として2−エチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.7g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して4.9gの4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.8Hz,1H)、7.64(d,J=7.8Hz,1H)、7.32−6.87(m,9H)、6.40(d,J=9.0,2H)、5.95−5.89(m,2H)、5.09−5.06(m,4H)、4.91(s,2H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)、2.63(q,J=7.8,2H)、1.19(t,J=7.8,3H)
【0154】
(実施例18)
フルオレノン類として2,7−ジt−ブチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを5.5g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して3.9gの4,4’−(2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.60(d,J=7.2Hz,2H)、7.38(d,J=1.2Hz,2H),7.34(dd,J=7.8Hz,1.8Hz,2H)、6.95(d,J=1.8Hz,2H)、6.90(dd,J=8.4Hz,1.6Hz,2H)、6.62(d,J=8.4Hz,2H)、5.94−5.88(m,2H)、5.05−5.02(m,4H)、4.87(s,2H)、3.28(d,J=6.0Hz,2H)、1.27(s,18H)
【0155】
(実施例19)
フルオレノン類として2−ブロモフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを6.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して3.1gの4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.8Hz,2H)、7.59(d,J=8.4Hz,2H)、7.46−6.85(m,9H)、6.64(d,J=9.0Hz,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.10−5.07(m,4H)、4.96(s,2H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)
【0156】
(実施例20)
フルオレノン類として1−カルボキシルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して2.9gの4,4’−(1−カルボキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=8.00(d,J=7.8Hz,1H)、7.81−6.80(m,10H)、6.46(d,J=9.0Hz,2H)、5.87−5.81(m,2H)、4.97−4.95(m,4H)、4.84(s,2H)、3.20(d,J=6.0Hz,4H)
【0157】
(実施例21)
フルオレノン類として4−カルボキシルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して2.5gの4,4’−(4−カルボキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
1H−NMR(CDCl
3−600MHz):δ(ppm)=8.52(d,J=9.0Hz,1H)、7.95(d,J=7.8,1H)、7.59(d,J=7.8Hz,1H)、7.36−6.59(m,10H)、5.96−5.89(m,2H),5.10−5.07(m,4H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)
【0158】
【表2】