特許第6644719号(P6644719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644719フルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法およびフルオレニリデンジアリルフェノール類
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644719
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】フルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法およびフルオレニリデンジアリルフェノール類
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/20 20060101AFI20200130BHJP
   C07C 39/23 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 39/42 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 51/377 20060101ALI20200130BHJP
   C07C 65/28 20060101ALI20200130BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   C07C37/20CSP
   C07C39/23
   C07C41/30
   C07C43/23 D
   C07C39/42
   C07C51/377
   C07C65/28
   !C07B61/00 300
【請求項の数】2
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-7328(P2017-7328)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-115129(P2018-115129A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591067794
【氏名又は名称】JFEケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】北原 芳徳
【審査官】 桜田 政美
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 37/20
C07C 39/23
C07C 39/42
C07C 41/30
C07C 43/23
C07C 51/377
C07C 65/28
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法であって、
【化1】
下記式(2)で表されるフルオレノン類と、
【化2】
下記式(3)で表されるアリルフェノール類とを、
【化3】
メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒および助触媒の存在下で反応させる反応工程を含み、
前記反応工程はアセトニトリルの単独溶媒またはトルエンおよび酢酸エチルの混合溶媒の存在下で行われ、
前記メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒は、スルホン酸類および強酸性陽イオン交換樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記助触媒は、チオール類およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記酸触媒の量が前記式(2)で表される化合物1モルに対して0.01モル〜10モルであり、
前記助触媒の量が前記式(2)で表される化合物1モルに対して0.001モル〜1.0モルであり、
前記式(3)で表される2−アリルフェノール類と前記溶媒との合計質量が、前記式(3)で表される2−アリルフェノール類の質量1質量部に対して、1質量部超、20質量部以下である、前記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法。
ただし、前記式(1)および前記式(2)において、Rはフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換しうる置換基であり、Rはフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換しうる置換基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシ基およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種であり、mおよびnは、それぞれ独立に、0≦m≦4、0≦n≦4を満たす整数であり、m≧2であるとき、m個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、n≧2であるとき、n個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。また、前記式(1)および前記式(3)において、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基および水素原子からなる群から選択される1種である。
【請求項2】
下記式で表される化合物
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法およびフルオレニリデンジアリルフェノール類に関する。
【背景技術】
【0002】
9,9−ジフェニルフルオレン骨格を有する化合物を原料または原料の一部として使用すると、樹脂の耐熱性、光学特性(高屈折率など)の特性を付与または改善することが知られている。
【0003】
そのモノマーを樹脂化するために、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アリル基、エポキシ基、酸無水物、ハロゲン、ホウ素酸エステル、などの反応性の官能基を導入するのが一般的であり、それぞれのモノマーごとに特徴的な樹脂が開発されている。
【0004】
例えば、9,9−ジフェニルフルオレンの2つのフェニル基に置換基を持つモノマーとしては、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビス(フェノキシエタノール)フルオレン(BPEF)は透明性ポリマー(例えば、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂)のモノマーとして、ビス(アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BAHF)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン無水物(BPAF)はポリイミド樹脂のモノマーとしての利用が開示されている。
【0005】
またそれらの反応性官能基に加えて、アルキル基、フェニル基、一部のハロゲン、アルコキシ基、など反応性の低い官能基を導入したモノマーも多数知られており、有用な樹脂の原料としての例示がされている。このように、多官能性の9,9−ジフェニルフルオレン化合物は樹脂のモノマーや工業原料として有用である。
【0006】
フルオレニリデンジアリルフェノール(別名:9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン、略称:BAPF)は、光硬化樹脂、ウエハ加工体、および接着剤のモノマーとしての利用が記載されている(特許文献1)。
【0007】
フルオレニリデンジアリルクレゾール(別名:9,9−ビス(3−アリル−6−メチルフェノール)フルオレン)、BAPFのヒドロキシ基をグリシジルエーテル基に変換した化合物、およびBAPFにさらにアリル基を導入した化合物もまた、樹脂モノマーとしての用途が開示されている(特許文献2、特許文献3)。
【0008】
これらのことから、樹脂の機能改善のためにはモノマーの多官能基化の手法が有効であるといえ、複数の官能基を有するBAPF類の提供が求められる。
【0009】
フルオレニリデンジアリルフェノール(別名:9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン、略称:BAPF)をフルオレノン類(2)から製造する方法として、まずフルオレノン類(2)とフェノール類とを縮合させて9,9−ビスフェノールフルオレン(BPF)類(4)を合成し、次いで、BPF類(4)とハロゲン化アリルとを反応させてジアリルエーテル(5)を合成し、さらに高温化でクライゼン転移をさせることにより、フルオレニリデンジアリルフェノール類(1)を製造する方法が一般的である(特許文献4、特許文献5)。合成例として、フルオレノン(下記式(2)においてm=n=0)と2−アリルフェノールまたは2−アリル−5メチル−フェノールを原料として合成した、9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレンの2種類のフルオレニリデンジアリルフェノール類が開示されている。
【0010】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015−179692号公報
【特許文献2】特開2014−062055号公報
【特許文献3】特開2014−084351号公報
【特許文献4】特開平3−243606号公報
【特許文献5】特開平10−077338号公報
【特許文献6】特開2000−026349号公報
【特許文献7】特開2003−221352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、この方法ではフルオレノン類(2)からフルオレニリデンジアリルフェノール類(1)まで3工程かかって煩雑である。
【0013】
この従来の製造方法には、中間体のジアリルエーテル(5)から(1)を合成する工程(クライゼン転移反応)では180℃〜220℃の高温が必要であるため、熱動力費がかかってコストが高くなるだけでなく、操業には常に潜在的な危険が伴うといった問題点がある。さらに、この高温反応に対応する反応器は一般的に数百L〜2m程度の大きさのものが多く、大量生産には向かないという問題点もある。
【0014】
一方で、9,9−ビスフェノールフルオレン類の一般的な合成法として、フルオレノン類とフェノール類を硫酸や塩化水素などの強酸と作用させる縮合反応が知られている(特許文献6、特許文献7)。しかしながら文献・特許を調べると置換基としてアリル基を持つ9,9−ビスフェノールフルオレン類をこの縮合反応で合成した例は無い。
【0015】
一般に2重結合を持つ化合物と置換フェノールは酸触媒によって重合を起こしてフェノール樹脂を生成することが知られているため、分子内に2重結合とフェノール部位を持つアリルフェノール類(3)に硫酸などの強酸を作用させるとフェノール樹脂が生成すると容易に推測される。そのため、これまでフルオレノン類とアリルフェノール類の縮合反応でフルオレニリデンジアリルフェノール誘導体を合成した例が無かったものと考えられる。
【0016】
したがって、本発明の第一の目的は、フルオレニリデンジアリルフェノール類の安全かつ安価な製造方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、工業原料として有用なフルオレニリデンジアリルフェノール類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、本発明の第一の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、下記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法において、下記式(2)で表されるフルオレノン類と、下記式(3)で表されるアリルフェノール類とを、メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒の存在下で反応させる反応工程を含み、酸触媒の量が式(2)で表される化合物1モルに対して0.001モル〜20モルである、フルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法によれば、重合反応よりも縮合反応が優先して進行し、クライゼン転移反応を行う必要がなく、フルオレニリデンジアリルフェノール類の安全かつ安価な製造方法を提供することができることを知得し、本発明の第一の目的を達成することができた。
また、本発明者は、下記式(4)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類が工業原料として有用であることを知得し、本発明の第二の目的を達成することができた。
【0018】
【化2】
【0019】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1] 下記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法であって、
【化3】
下記式(2)で表されるフルオレノン類と、
【化4】
下記式(3)で表されるアリルフェノール類とを、
【化5】
メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒の存在下で反応させる反応工程を含み、
上記酸触媒の量が上記式(2)で表される化合物1モルに対して0.001モル〜20モルである、上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法。
ただし、上記式(1)および上記式(2)において、Rはフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換しうる置換基であり、Rはフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換しうる置換基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種であり、mおよびnは、それぞれ独立に、0≦m≦4、0≦n≦4を満たす整数であり、m≧2であるとき、m個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、n≧2であるとき、n個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。また、上記式(1)および上記式(3)において、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、水素原子およびハロゲン原子からなる群から選択される1種である。
[2] 上記反応工程が溶媒の存在下で行われ、
上記式(3)で表される2−アリルフェノール類と上記溶媒との合計質量が、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類の質量1質量部に対して、1質量部超、20質量部以下である、上記[1]に記載の製造方法。
[3] 上記酸触媒がスルホン酸類である、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 下記式(4)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類。
【化6】
ただし、上記式(4)において、Rはフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換しうる置換基であり、Rはフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換しうる置換基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種であり、mおよびnは、それぞれ独立に、0≦m≦4、0≦n≦4を満たす整数であり、m≧2であるとき、m個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、n≧2であるとき、n個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、水素原子およびハロゲン原子からなる群から選択される1種であり、m=n=0であるとき、Rは水素原子またはメチル基ではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フルオレニリデンジアリルフェノール類の安全かつ安価な製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、工業原料として有用なフルオレニリデンジアリルフェノール類を提供することができる。
【0021】
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法では、酸触媒の量を原料であるフルオレノン類1モルに対して0.001モル〜20モルの範囲内とすることにより、室温程度の温度でフルオレニリデンジアリルフェノール類を合成することができるため、作業の安全性確保とコスト削減を行うことができる。
また、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類は、ビフェニルフルオレンに特有の高耐熱性や光学特性(低複屈折、高屈折率)を有する樹脂または樹脂改質剤として有用であるばかりでなく、樹脂に対して各官能基に特有の性質(溶剤可溶性、樹脂相溶性、酸性、接着性など)を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
なお、本発明において、範囲を「〜」を用いて表した場合は、その範囲には「〜」の両側を含むものとする。
【0023】
[フルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法]
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法は、式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法であって、式(2)で表されるフルオレノン類と、式(3)で表されるアリルフェノール類とを、メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒の存在下で反応させる反応工程を含む。
【0024】
【化7】
【0025】
また、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法において、上記酸触媒の量は、式(2)で表される化合物1モルに対して0.001モル〜20モルである。
【0026】
〈R、R、mおよびn〉
上記式(1)および上記式(2)において、Rはフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換しうる置換基であり、Rはフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換しうる置換基である。ここで、「置換しうる」とは、置換する場合および置換しない場合があることを表す。
【0027】
上記Rおよび上記Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0028】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(プロパン−1−イル基)、イソプロピル基(プロパン−2−イル基)、ブチル基(ブタン−1−イル基)、t−ブチル基(2−メチルプロパン−2−イル基)等のC1−12アルキル基などが挙げられ、好ましくはC1−8アルキル基であり、より好ましくはC1−4アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、いっそう好ましくはメチル基である。
【0029】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、および3,5−ジメチルフェニル基等のC6−10アリール基が挙げられる。
【0030】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびt−ブトキシ基等のC1−6アルコキシ基が挙げられる。
【0031】
上記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、および3,5−ジメチルフェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基が挙げられる。
【0032】
上記アルカノイル基としては、例えば、アセチル基等が挙げられる。
【0033】
上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、およびフッ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0034】
mおよびnは、それぞれ独立に、0≦m≦4および0≦n≦4を満たす整数である。
すなわち、上記Rがフルオレニリデン基の1位〜4位の水素原子に置換する場合、いずれか1つ以上の位置に置換することができ、上記Rがフルオレニリデン基の5位〜8位の水素原子に置換する場合、いずれか1つ以上の位置に置換することができる。
m≧2であるとき、m個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、n≧2であるとき、n個のRのそれぞれは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
なお、mおよびnは、それぞれ独立に、好ましくは0または1である。
【0035】
〈R
上記式(1)および上記式(3)において、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、水素原子およびハロゲン原子からなる群から選択される1種である。
【0036】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(プロパン−1−イル基)、イソプロピル基(プロパン−2−イル基)、ブチル基(ブタン−1−イル基)、t−ブチル基(2−メチルプロパン−2−イル基)等のC1−12アルキル基などが挙げられ、好ましくはC1−8アルキル基であり、より好ましくはC1−4アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、いっそう好ましくはメチル基である。
【0037】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、および3,5−ジメチルフェニル基等のC6−10アリール基が挙げられる。
【0038】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびt−ブトキシ基等のC1−6アルコキシ基が挙げられる。
【0039】
上記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、および3,5−ジメチルフェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基が挙げられる。
【0040】
上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、およびフッ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0041】
〈メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒〉
式(2)で表されるフルオレノン類と式(3)で表されるアリルフェノール類との反応は、メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒(以下、単に「酸触媒」という場合がある。)の存在下で行われる。
【0042】
上記酸触媒としては、酸触媒および固体酸触媒が挙げられる。
【0043】
《液体酸触媒》
上記液体酸触媒としては、遊離酸の構造式中に“−SOH”部分を持つ酸およびその水溶液、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素およびフッ化水素など)の水溶液、過ハロゲン酸(例えば、過塩素酸および次亜塩素酸など)の水溶液、硝酸またはその水溶液、リン酸(オルトリン酸)またはその水溶液、ホウ酸(オルトホウ酸)の水溶液、ケイ酸(例えば、オルトケイ酸、メタケイ酸およびメタ二ケイ酸など)の水溶液、三フッ化ホウ素の水溶液、塩化スズ(II)の水溶液、および塩化チタン(IV)またはその水溶液、カルボン酸およびその水溶液などが挙げられる。
【0044】
上記遊離酸の構造式中に“−SOH”部分を持つ酸としては、具体的には、例えば、硫酸、ハロゲン化スルホン酸類(クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸等)、アルキルスルホン酸類(メタンスルホン酸などのC1−4アルキルスルホン酸等)、ハロアルキルスルホン酸類(トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸などのC1−4ハロアルキルスルホン酸等)および芳香族スルホン酸類(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等)などが挙げられる。ここで、化合物の構造式中にスルホン酸基(スルホキシ基)を持つ有機化合物を有機スルホン酸という場合がある。
なお、本明細書において、硫酸(HSO)、ハロゲン化スルホン酸類(X−SOH;X=F,Cl,Br,I)、および有機スルホン酸類(R−SOH;R=C1−4アルキル基、ハロゲン化C1−4アルキル基,置換または無置換のフェニル基等の有機基)を総称して、スルホン酸類という場合がある。
【0045】
また、上記硫酸またはその水溶液としては、希硫酸、濃硫酸および発煙硫酸等が挙げられる。
さらに、反応系において硫酸に転化可能であることから、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用することもできる。
硫酸の濃度は、特に限定されないが、HSO換算で、好ましくは80質量%〜99質量%であり、より好ましくは90質量%〜98質量%(濃硫酸)である。
【0046】
上記カルボン酸としては、具体的には、例えば、アルキルカルボン酸類(酢酸、プロピオン酸などのC1−4アルキルカルボン酸等)、ハロアルキルカルボン酸類(トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のC1−4ハロアルキルカルボン酸)および芳香族カルボン酸類(安息香酸、サリチル酸、フタル酸等)などが挙げられる。
なお、本明細書において、これらのカルボン酸を総称してカルボン酸類という場合がある。
【0047】
上記酸触媒としては、スルホン酸類とカルボン酸類との間では、スルホン酸類が好ましい。これは、スルホン酸類の酸解離定数がカルボン酸類の酸解離定数よりも大きく、スルホン酸類の方が触媒活性が高いため、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との反応速度が大きくなり、さらに収率も向上するからである。
【0048】
《固体酸触媒》
上記固体酸触媒としては、例えば、金属化合物(SiO、Al、TiO、Fe、ZrO、SnOおよびV等の酸化物、SiO−Al、SiO−TiO、TiO−ZrO、およびSiO−ZrO等の複合酸化物、ZnS等の硫化物、CaSO、Fe(SO、CuSO、NiSO、Al(SO、MnSO、BaSO、CoSO、およびZnSO等の硫酸塩、P、Mo、V、WまたはSi等の元素を含有するポリ酸、粘土鉱物(酸性白土、モンモリロナイト等)、ゼオライトなど)、陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0049】
(陽イオン交換樹脂)
上記陽イオン交換樹脂(「カチオン型イオン交換樹脂」または「酸型イオン交換樹脂」等という場合がある。)としては、強酸性陽イオン交換樹脂および弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0050】
上記強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーなどの架橋ポリスチレンのスルホン化物、スルホン酸基または−CFCFSOH基を有する含フッ素樹脂([2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとのブロック共重合体(例えば、デュポン社製のナフィオン))等の含フッ素イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0051】
上記弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、カルボン酸基を有するイオン交換樹脂(メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー等)などが挙げられる。
【0052】
これらの陽イオン交換樹脂の中でも強酸性イオン交換樹脂、特にスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを基体または母体とする強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0053】
陽イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂であってもよいし、ポーラス型イオン交換樹脂であってもよい。
【0054】
上記ゲル型イオン交換樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー等のポリマーを基体とし、ミクロポアーを有するイオン交換樹脂である。
上記ミクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは0.5nm〜5.0nm(5Å〜50Å)であり、より好ましくは1.0nm〜4.0nm(10Å〜40Å)であり、さらに好ましくは1.5nm〜3.0nm(15Å〜30Å)である。
【0055】
上記ポーラス型イオン交換樹脂は、ミクロポアーの他にマクロポアーを有するイオン交換樹脂である。
上記ミクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは0.5nm〜5.0nm(5Å〜50Å)であり、より好ましくは1.0nm〜4.0nm(10Å〜40Å)であり、さらに好ましくは1.5nm〜3.0nm(15Å〜30Å)である。
また、上記マクロポアーの平均孔径は、特に限定されないが、好ましくは5.0nm〜10.0nm(50Å〜100Å)であり、より好ましくは7.0nm〜95.0nm(70Å〜950Å)であり、さらに好ましくは10.0nm〜90.0nm(100Å〜900Å)であり、いっそう好ましくは15.0nm〜85.0nm(150Å〜850Å)であり、よりいっそう好ましくは20.0nm〜80.0nm(200Å〜800Å)である。
【0056】
また、ポーラス型イオン交換樹脂の多孔度は、特に限定されないが、好ましくは0.03cm/g〜0.60cm/gであり、より好ましくは0.05cm/g〜0.55cm/gであり、さらに好ましくは0.10cm/g〜0.50cm/gであり、いっそう好ましくは0.15cm/g〜0.45cm/gであり、よりいっそう好ましくは0.20cm/g〜0.40cm/gである。
【0057】
上記陽イオン交換樹脂の架橋度は、特に限定されないが、ジビニルベンゼンコポリマー(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマーなど)を基体とする陽イオン交換樹脂においては、架橋度(ジビニルベンゼンの場合)は、好ましくは1%〜30%であり、より好ましくは1.2%〜25%であり、さらに好ましくは1.5%〜20%であり、いっそう好ましくは2%〜13%であり、よりいっそう好ましくは3%〜12.5%であり、さらにいっそう好ましくは3.5%〜12%である。
なお、フルオレノンとフェノール類との反応では、通常、ポーラス型イオン交換樹脂を用いるが、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、特定の架橋度を有する陽イオン交換樹脂(ポーラス型イオン交換樹脂、ゲル型イオン交換樹脂)の使用により、効率よく反応が進行する場合がある。
【0058】
上記陽イオン交換樹脂のイオン交換容量は、特に限定されないが、好ましくは0.2当量/L以上であり、より好ましくは0.3当量/L〜8当量/Lであり、さらに好ましくは0.4当量/L〜5当量/Lであり、いっそう好ましくは0.5当量/L〜4当量/Lであり、よりいっそう好ましくは0.6当量/L〜3当量/Lであり、さらにいっそう好ましくは0.7当量/L〜2.5当量/Lであり、よりさらにいっそう好ましくは0.8当量/L〜2等量/Lであり、特に好ましくは1当量/L〜1.7等量/Lである。
【0059】
陽イオン交換樹脂の形態は、フルオレノン類(2)とアリルフェノール類(3)との反応の効率、イオン交換樹脂と反応液との分離などに悪影響がなければ、特に限定されないが、好ましくは粒状であり、より好ましくは微粒状である。
また、粒状または微粒状の陽イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、無定形状、球状、多角体状、またはペレット状などであってもよい。
粒状の陽イオン交換樹脂の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm〜1.5mmであり、より好ましくは0.15mm〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.2mm〜1mmであり、いっそう好ましくは0.25mm〜0.8mmであり、よりいっそう好ましくは0.3mm〜0.6mmである。
【0060】
上記陽イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、バイエル社(ランクセス社)製の「レバチットK1131」、「レバチットK1221」、「レバチットK2361」、「レバチットK2420」、「レバチットK2431」、「レバチットK2620」、「レバチットK2649」;オルガノ社製の「アンバーリスト31」、「アンバーリスト131」、「アンバーリスト121」、「アンバーリスト15JWet」、「アンバーリスト31Wet」;三菱化学(株)製の「ダイヤイオンSK104H」、「ダイヤイオンSK1BH」、「ダイヤイオンSK112H」、「ダイヤイオンPK208LH」、「ダイヤイオンPK216LH」、「ダイヤイオンRCP160M」;デュポン社製の「ナフィオン」などが挙げられる。
【0061】
《酸触媒の併用》
上記酸触媒は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
《酸強度の調節》
また、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノールの製造方法においては、酸強度を調節する目的で、酸触媒とともに、塩基および塩類の一方または両方を用いてもよい。
上記塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アンモニア、およびアミン類などが挙げられる。これらの塩基は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記塩類としては、例えば、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、および酢酸塩などが挙げられる。これらの塩類は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
《酸触媒の量》
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法の反応工程において、上記酸触媒の量は、上記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.001モル〜20モルであり、好ましくは0.01モル〜10モルであり、より好ましくは0.1モル〜5モルであり、さらに好ましくは0.5モル〜2モルである。
上記酸触媒の量がこの範囲内であると、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との反応が効率よく進行し、上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類を安全かつ安価に製造することができる。
【0064】
なお、本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、酸触媒の種類、量および濃度は反応に影響を与えることがある。
酸触媒の強度が強い場合は、副原料(3)や生成物(1)のアリル基がフェノール部位と反応してフェノール樹脂を生成してしまうことがある。特に、酸触媒の強度がさらに強いときは、反応熱によって内容物が急激に加熱されて沸騰するという現象が起こって極めて危険であることがある。
また、ハロゲン化水素を加熱条件化で使用した場合は、原料および/または生成物のアリル基がハロゲン化されて、フルオレニリリデンジアリルフェノール類の得量が少なくなることがある。
また、酸として硝酸を単独で使用した場合は、原料のアリルフェノール類のニトロ化が優先して進行するため、目的物の得量が少なくなることがある。
【0065】
〈助触媒〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒に加えて、チオール類を助触媒として用いることが好ましい。
【0066】
上記助触媒としては、従来公知のチオール類を用いることができ、特に限定されないが、例えば、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、アルキルメルカプタン、アラルキルメルカプタン、およびこれらのチオール類の塩などが挙げられる。
【0067】
上記メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、およびメルカプト安息香酸などが挙げられる。
【0068】
上記メルカプトスルホン酸としては、例えば、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0069】
上記アルキルメルカプタンとしては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、およびドデシルメルカプタンなどが挙げられ、好ましくはC1−20アルキルメルカプタンであり、より好ましくはC1−16アルキルメルカプタンである。
【0070】
上記アラルキルメルカプタンとしては、例えば、ベンジルメルカプタンなどが挙げられる。
【0071】
これらのチオール類の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウム、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムなどのナトリウム塩など)が例示できる。
【0072】
上記チオール類は1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
上記チオール類としては、メルカプトカルボン酸が好ましく、β−メルカプトプロピオン酸が特に好ましい。
【0074】
上記チオール類の使用量は、特に限定されないが、上記式(2)で表されるフルオレノン類1モルに対して、好ましくは0.001モル〜1.0モルであり、より好ましくは0.01モル〜0.1モルである。
【0075】
〈溶媒〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記メルカプト基を有する化合物を除く酸触媒に加えて、溶媒を用いることが好ましい。
【0076】
上記溶媒としては、上記式(2)で表されるフルオレノン類(主原料)と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類(副原料)との反応を阻害しない溶媒、すなわち、主原料、副原料、酸触媒、および、使用する場合は助触媒と非反応性の溶媒であれば特に限定されないが、例えば、炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン類、ハロゲン化炭化水素、およびニトロ基を有する炭化水素などが挙げられる。
【0077】
上記炭化水素類としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ならびに、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0078】
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびグリセリン等が挙げられる。
【0079】
上記エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、および炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0080】
上記エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジグライム、テトラヒドロフラン、およびジオキサン等が挙げられる。
【0081】
上記アミド類としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のN−モノまたはジC1−4アルキルホルムアミドなど、N−メチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミド等のN−モノまたはジC1−4アルキルアセトアミドなど、ならびにN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0082】
上記ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、およびベンゾニトリル等が挙げられる。
【0083】
上記スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0084】
上記スルホラン類としては、例えば、スルホラン等の環状スルホンなどが挙げられる。
【0085】
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0086】
上記ニトロ基を有する炭化水素としては、例えば、ニトロメタン等のニトロアルキル化合物など、およびニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物などが挙げられる。
【0087】
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記溶媒を用いず、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類を溶媒の代用として用いることもできるが、上記式(2)で表されるフルオレノン類(主原料)と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類(副原料)および溶媒の量比は、主原料と副原料の反応に大きな影響を与えることがある。
すなわち、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計の割合が少なすぎると、発熱を伴う重合反応が優先して非常に危険な場合があり、上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計の割合が多すぎると、反応の進行が遅くなる場合がある。
上記式(3)で表される2−アリルフェノール類および溶媒の合計は、上記式(2)で表されるフルオレノン類に対して、好ましくは1質量部超、20質量部であり、より好ましくは2〜10質量部である。
【0088】
〈反応工程〉
反応工程の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは−80℃〜150℃であり、より好ましくは−30℃〜100℃であり、さらに好ましくは−10℃〜80℃であり、いっそう好ましくは常温(5℃〜35℃,JIS Z 8703:1983)である。
反応温度が−80℃以上であると、反応を完結させることができ、収率が向上する。
反応温度が150℃以下であると、反応副生物を減少させることができ、純度が向上する。
【0089】
反応工程の反応時間は、原料の種類、原料の濃度、反応温度、溶剤の種類、酸の種類、および酸の濃度などによって調整することができ、特に限定されないが、好ましくは5分〜240時間であり、より好ましくは1時間〜72時間であり、さらに好ましくは1時間〜24時間である。
【0090】
反応工程は、反応液を撹拌しながら反応を行ってもよい。
また、反応工程は、不活性ガス雰囲気で行ってもよいし、非不活性ガス雰囲気下(例えば、空気中)で行ってもよい。
また、反応工程は、減圧下、常圧下または加圧下で行ってもよい。
また、反応工程は、脱水剤の投入、減圧、または加熱などの方法で、脱水しながら行ってもよい。
また、反応工程は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
【0091】
反応工程において、上記式(2)で表されるフルオレノン類と上記式(3)で表される2−アリルフェノール類との量比は、特に限定されないが、フルオレノン類1モルに対して、2−アリルフェノール類が、好ましくは0.5モル以上であり、より好ましくは0.7モル〜20モルであり、さらに好ましくは1.2モル〜10モルであり、いっそう好ましくは1.7モル〜10モルである。
【0092】
〈精製工程〉
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類の製造方法においては、上記反応工程の後に、精製工程を行ってもよい。
【0093】
反応終了後の反応混合物(反応混合液)には、上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類以外に、未反応の主原料(上記式(2)で表されるフルオレノン類)および副原料(上記式(3)で表される2−アリルフェノール類)、2−アリルフェノール類と酸触媒との反応生成物、酸触媒、チオール類(使用した場合)、溶媒(使用した場合)、ならびに水などが含まれる。
このような反応混合物から上記式(1)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類を分離(精製)するには、慣用の方法、例えば、中和、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を利用できる。
例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて中和する方法など)により酸触媒(およびチオール類)を除去したのち、濃縮により式(3)で表される2−アリルフェノール類を除去し、常法により結晶化させ、分離(精製)してもよい。
【0094】
[フルオレニリデンジアリルフェノール類]
本発明のフルオレニリデンジアリルフェノール類は、下記式(4)で表される化合物である。
【0095】
【化8】
【0096】
〈R、R、R、mおよびn〉
上記式(4)において、RおよびRは、上記式(1)中のRおよびRと、それぞれ、同義である。
【0097】
上記式(4)において、Rは、上記式(1)中のRと同義である。
【0098】
上記式(4)において、mおよびnは、上記式(1)中のmおよびnと、それぞれ、同義である。
ただし、Rが水素原子またはメチル基である場合、mおよびnは同時に0でない。換言すれば、m=n=0である場合、Rは水素原子およびメチル基のいずれでもない。
【0099】
〈具体例〉
上記式(4)で表されるフルオレニリデンジアリルフェノール類の例は、以下に掲げるものである。
【0100】
(1)Rが水素原子であるとき
4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=メチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=メチル基,2位および7位に置換]
4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=エチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=エチル基,2位および7位に置換]
4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0101】
4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=フェニル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=フェニル基,2位および7位に置換]
【0102】
4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=塩素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=塩素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=臭素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=臭素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=ヨウ素原子,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=臭素原子,2位に置換;R=ヨウ素原子,7位に置換]
【0103】
4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=シアノ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=シアノ基,2位および7位に置換]
【0104】
4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=メトキシ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0105】
4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=ニトロ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0106】
4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;1位に置換]
4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基,2位に置換]
4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;3位に置換]
4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;4位に置換]
4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0107】
4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=ヒドロキシ基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0108】
4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=1,n=0;R=アセチル基,2位に置換]
4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノール [m=n=1;R=R=アセチル基,2位および7位に置換]
【0109】
(2)Rがメチル基であるとき
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノール [m=1,n=0;R=メチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=メチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=エチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=エチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0110】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=フェニル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=フェニル基,2位および7位に置換]
【0111】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=塩素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=塩素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=臭素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=臭素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=ヨウ素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=臭素原子,2位に置換;R=ヨウ素原子,7位に置換]
【0112】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=シアノ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=シアノ基,2位および7位に置換]
【0113】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=メトキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0114】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=ニトロ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0115】
2,2’−ジアリル−4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;1位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基,2位に置換][m=1,n=0;R=カルボキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;3位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;4位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0116】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=ヒドロキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0117】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=1,n=0;R=アセチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルジフェノール [m=n=1;R=R=アセチル基,2位および7位に置換]
【0118】
(3)Rがメトキシ基であるとき
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシフェノール [m=1,n=0;R=メチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=メチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=エチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジエチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=エチル基,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−プロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジプロピル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=プロピル基(プロパン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヘキシル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=ヘキシル基(ヘキサン−1−イル基),2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−オクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジオクチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=オクチル基(オクタン−1−イル基),2位および7位に置換]
【0119】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−フェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=フェニル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジフェニル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=フェニル基,2位および7位に置換]
【0120】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−クロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=塩素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジクロロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=塩素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=臭素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジブロモ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=臭素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=ヨウ素原子,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=ヨウ素原子,2位および7位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ブロモ−7−ヨード−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=臭素原子,2位に置換;R=ヨウ素原子,7位に置換]
【0121】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−シアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=シアノ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジシアノ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=シアノ基,2位および7位に置換]
【0122】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=メトキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジメトキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=メトキシ基,2位および7位に置換]
【0123】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=ニトロ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=ニトロ基,2位および7位に置換]
【0124】
2,2’−ジアリル−4,4’−(1−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;1位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(3−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;3位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(4−カルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=カルボキシ基;4位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2,7−ジカルボキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=カルボキシ基,2位および7位に置換]
【0125】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−ヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=ヒドロキシ基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジヒドロキシ−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=ヒドロキシ基,2位および7位に置換]
【0126】
2,2’−ジアリル−4,4’−(2−アセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=1,n=0;R=アセチル基,2位に置換]
2,2’−ジアリル−4,4’−(2、7−ジアセチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシジフェノール [m=n=1;R=R=アセチル基,2位および7位に置換]
【実施例】
【0127】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において各種GC純度測定ならびに1H−NMR測定は以下のようにして行った。
【0128】
[GC純度測定]
下記条件にて反応生成物のGC測定を行った。
使用機器:島津製作所 GC−2010
カラム:DB−5
GC純度はフルオレン誘導体のみのピークを検出した面積百分率である。
【0129】
H−NMR測定]
下記条件にて反応生成物のH−NMR測定を行った。
使用機器:FT−NMR:Bruker Biospin, AVANCEIII−600 with Cryo Probe
測定条件:測定周波数 600MHz(H)
測定溶媒:CDCl
【0130】
(実施例1)
撹拌器を備えたナスフラスコに、純度99%のフルオレノン30.0g、2−アリルフェノール89.4g、およびβ−メルカプトプロピオン酸(β−MPA)0.88gを入れ、室温で濃塩酸(36質量%塩化水素水溶液)16.9gを加え、室温で24時間撹拌することにより、反応を行った。
反応液を一部取り出し、酢酸エチルで希釈して有機層を水洗したものをガスクロマトグラフィー(GC)で分析し、フルオレノン由来の化合物の面積比率(GC純度)を求めたところ、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が11%、フルオレノンが88%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0131】
(実施例2)
濃塩酸(36質量%塩酸)16.9gに代えてトリフルオロ酢酸38.0gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が4%、フルオレノンが95%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0132】
(実施例3)
濃塩酸16.9gに代えて85%リン酸(85質量%リン酸水溶液)38.4gを用い、80℃に加熱した以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が18%、フルオレノンが27%、その他のフルオレン化合物が55%であった。
【0133】
(実施例4)
濃塩酸16.9gに代えて85%リン酸38.4gおよび五酸化二リン22.7gの混合物を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が5%、フルオレノンが40%、その他のフルオレン化合物が55%であった。
【0134】
(実施例5)
濃塩酸16.9gに代えてメタンスルホン酸(MsOH)9.6gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が70%、フルオレノンが13%、その他のフルオレン化合物が17%であった。
【0135】
(実施例6)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸(98質量%)0.16gを用い、3日間撹拌した以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が44%、フルオレノンが53%、その他のフルオレン化合物が3%であった。
【0136】
(実施例7)
濃塩酸16.9gに代えて濃塩酸169gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が43%、フルオレノンが47%、その他のフルオレン化合物が10%であった。
【0137】
(実施例8)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸8.2gを用い、アセトニトリル30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が90%、フルオレノンが9%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
反応液に水を加えた後に酢酸エチルを120g加えてBAPFを抽出した。有機層が中性になるまで水で洗浄した後、有機層を真空で濃縮した。得られた濃縮液にキシレン90gおよびアセトン10gを加えてBAPF・アセトン包接結晶を析出させ、濾過・乾燥することによりBAPF・アセトン包接結晶を52g得た。
【0138】
(実施例9)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸8.2gを用い、メタノール30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が0.2%、フルオレノンが99.5%、その他のフルオレン化合物が0.3%であった。
【0139】
(実施例10)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸16.3gを用い、メタノール30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC面積比は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が20%、フルオレノンが79%、その他のフルオレン化合物が1%であった。
【0140】
(実施例11)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸9.8gと陽イオン交換樹脂(Amberlyst(アンバーリスト)15(H))5gを用い、トルエン15gと酢酸エチル15gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。なお、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15(H))は和光純薬工業(株)から購入し、使用前に真空乾燥して用いた。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC面積比は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が86%、フルオレノンが5%、その他のフルオレン化合物が9%であった。
【0141】
(実施例12)
濃塩酸16.9gに代えてp−トルエンスルホン酸・一水和物(TsOH・HO)31.7gを用い、溶媒として、酢酸エチル30gを加えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液中のフルオレノン由来の化合物のGC純度は、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)が21%、フルオレノンが77%、その他のフルオレン化合物が2%であった。
【0142】
(比較例1)
濃塩酸16.9gに代えてトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)625gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
トリフルオロメタンスルホン酸の添加と同時に激しい発熱が見られ、フラスコ内容物が噴出した。
発熱が収まった後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0143】
(比較例2)
濃塩酸16.9gに代えて濃硫酸407gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
濃硫酸の添加後、数秒経ってから激しい発熱が見られ、フラスコ内容物が噴出した。
発熱が収まった後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0144】
(比較例3)
濃塩酸16.9gに代えてp−トルエンスルホン酸(TsOH)717.5gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
24時間後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0145】
(比較例4)
濃塩酸16.9gに代えてメタンスルホン酸400gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
24時間後のフラスコ内容物は酢酸エチルに不溶の固体であり、BAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0146】
(比較例5)
濃塩酸16.9gに代えて濃硝酸(60質量%硝酸水溶液)437.5gを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
濃硝酸の添加と同時に激しい発熱が見られ、アリルフェノールのニトロ化が進行した。
反応混合物からBAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0147】
(比較例6)
濃塩酸16.9gに代えて酢酸(氷酢酸)250gを用いた以外は実施例1と同様にして24時間反応液を混合した。
24時間後のフラスコ内液からBAPF(9,9−ビス(3−アリルフェノール)フルオレン)は検出されなかった。
【0148】
【表1】
【0149】
(実施例13)
回転子を入れた50mLナスフラスコに、フルオレノン3g、2−アリル−6−メチルフェノール9.9g、β−メルカプトプロピオン酸0.1gを入れ、室温でメタンスルホン酸2gを加えて撹拌することにより反応を行った。反応終了後、水、酢酸エチルを加えて有機層を抽出して濃縮し、キシレンで再結晶することにより3.7gの2,2’−ジアリル−4,4’−(9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.74(d,J=6.6Hz,2H)、7.38−7.24(m,6H)、6.81(d,J=2.4Hz,2H)、6.77(d,J=2.4Hz,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.14−5.09(m,4H)、4.87(s,2H)、3.28(d,J=6.0Hz,2H)、2.09(s,6H)
【0150】
(実施例14)
アリルフェノール類として2−アリル−6−メトキシフェノールを10.9g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して4.5gの2,2’−ジアリル−4,4’−(9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメトキシフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.74(d,J=7.2Hz,2H)、7.37−7.32(m,4H)、7.26−7.23(m,2H)、6.64(s,2H)、6.47(s,2H)、5.94−5.88(m,2H)、5.55(s,2H)、4.98−4.95(m,4H)、3.64(s,6H)、3.29(d,J=6.0Hz,4H)
【0151】
(実施例15)
フルオレノン類として2−メチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリルフェノールを8.3g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して5.6gの4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.2Hz,1H)、7.61(d,J=7.2Hz,1H)、7.32−6.87(m,9H)、6.63(d,J=8.4,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.10−5.07(m,4H)、4.92(s,2H)、3.29(d,J=6Hz,4H)、3.29(s,3H)
【0152】
(実施例16)
フルオレノン類として2−メチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを8.5g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をキシレンで再結晶して4.1gの2,2’−ジアリル−4,4’−(2−メチル−9−フルオレニリデン)−6,6’−ジメチルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.2Hz,1H)、7.62(d,J=7.2Hz,1H)、7.33−7.13(m,5H)、6.82(d,J=1.8,2H)、6.76(d,J=1.8,2H)、5.97−5.90(m,2H)、5.14−5.10(m,4H)、4.87(s,2H)、3.29(d,J=6Hz,4H)、2.35(s,3H)、2.09(s,6H)
【0153】
(実施例17)
フルオレノン類として2−エチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.7g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して4.9gの4,4’−(2−エチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.8Hz,1H)、7.64(d,J=7.8Hz,1H)、7.32−6.87(m,9H)、6.40(d,J=9.0,2H)、5.95−5.89(m,2H)、5.09−5.06(m,4H)、4.91(s,2H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)、2.63(q,J=7.8,2H)、1.19(t,J=7.8,3H)
【0154】
(実施例18)
フルオレノン類として2,7−ジt−ブチルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを5.5g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して3.9gの4,4’−(2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.60(d,J=7.2Hz,2H)、7.38(d,J=1.2Hz,2H),7.34(dd,J=7.8Hz,1.8Hz,2H)、6.95(d,J=1.8Hz,2H)、6.90(dd,J=8.4Hz,1.6Hz,2H)、6.62(d,J=8.4Hz,2H)、5.94−5.88(m,2H)、5.05−5.02(m,4H)、4.87(s,2H)、3.28(d,J=6.0Hz,2H)、1.27(s,18H)
【0155】
(実施例19)
フルオレノン類として2−ブロモフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを6.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して3.1gの4,4’−(2−ブロモ−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=7.69(d,J=7.8Hz,2H)、7.59(d,J=8.4Hz,2H)、7.46−6.85(m,9H)、6.64(d,J=9.0Hz,2H)、5.96−5.89(m,2H)、5.10−5.07(m,4H)、4.96(s,2H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)
【0156】
(実施例20)
フルオレノン類として1−カルボキシルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して2.9gの4,4’−(1−カルボキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=8.00(d,J=7.8Hz,1H)、7.81−6.80(m,10H)、6.46(d,J=9.0Hz,2H)、5.87−5.81(m,2H)、4.97−4.95(m,4H)、4.84(s,2H)、3.20(d,J=6.0Hz,4H)
【0157】
(実施例21)
フルオレノン類として4−カルボキシルフルオレノンを3g、アリルフェノール類として2−アリル−6−フェノールを7.2g用いた以外は実施例13と同様に反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン・酢酸エチル溶媒)で精製して2.5gの4,4’−(4−カルボキシル−9−フルオレニリデン)ジアリルフェノールを得た。
H−NMR(CDCl−600MHz):δ(ppm)=8.52(d,J=9.0Hz,1H)、7.95(d,J=7.8,1H)、7.59(d,J=7.8Hz,1H)、7.36−6.59(m,10H)、5.96−5.89(m,2H),5.10−5.07(m,4H)、3.29(d,J=6.6Hz,4H)
【0158】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明の化合物は例えばインク材料、発光材料、有機半導体、ガス分離膜、コート剤、光硬化樹脂、ウエハ加工体、レンズ、偏光膜、複合シート、輝度向上フィルム、プリズムシート、反射防止フィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基盤用フィルム、ディスプレイ用フィルム、カラーフィルター、液晶表示装置用レジスト、相関絶縁膜、ソルダーレジスト、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに適応可能な樹脂原料又は樹脂添加剤として使用できる。特に、ウエハ加工体用の樹脂などに好適に利用できる。