(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644738
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】スライドレールアセンブリのための同期システム
(51)【国際特許分類】
A47B 88/40 20170101AFI20200130BHJP
A47B 88/49 20170101ALI20200130BHJP
【FI】
A47B88/04 E
A47B88/08
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-144058(P2017-144058)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-153606(P2018-153606A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】106109440
(32)【優先日】2017年3月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】梁 秀江
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−526565(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/192153(WO,A1)
【文献】
特表2011−514218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00〜88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具システムに適用可能な同期システムであって、
当該同期システムは、
前記家具システムの第1のスライドレールアセンブリに取り外し可能に接続される第1の同期装置と、
前記家具システムの第2のスライドレールアセンブリに取り外し可能に接続される第2の同期装置とを含み、
前記第1のスライドレールアセンブリ及び前記第2のスライドレールアセンブリの各々は、第1のレールと、該第1のレールに対して移動可能な第2のレールとを含み、
当該同期システムは、
前記第1のスライドレールアセンブリの前記第2のレール及び前記第2のスライドレールアセンブリの前記第2のレールが同期して動くのを可能にするために、前記第1の同期装置と前記第2の同期装置との間に取り外し可能に取り付けられる同期ロッドを含み、
前記第1のスライドレールアセンブリは、開放機構を含み、該開放機構は、弾性部材と、該弾性部材を係止するように構成される係止部材とを含み、前記第1の同期装置は、ハウジングと、該ハウジングに取り付けられる駆動部材とを含み、該駆動部材は、前記第1のスライドレールアセンブリの前記第2のレール及び前記第2のスライドレールアセンブリの前記第2のレールを第1の方向と反対の第2の方向に沿って移動させるよう、前記弾性部材が弾性力を解放するのを可能にするために、前記第2のレールが前記第1の方向に沿って所定の位置から前記第1のレールに対して移動するのに応答して、前記弾性部材を係止解除するために前記係止部材を前記駆動部材に対して移動させるように構成される、
同期システム。
【請求項2】
前記駆動部材は、弾性構成を含み、前記駆動部材は、前記弾性構成の弾性力に応答して前記ハウジングに対して初期状態に保持される、請求項1に記載の同期システム。
【請求項3】
前記第1の同期装置は、作動部材を更に含み、前記第2のレールが前記第1の方向に沿って前記所定の位置から前記第1のレールに対して移動するプロセスの間に、前記作動部材は、前記第1のレールの部分に当接して、前記駆動部材に適用される作用力を生成することで、前記駆動部材はもはや前記初期状態になく、前記作用力に応答して前記係止部材を駆動するように構成される、請求項2に記載の同期システム。
【請求項4】
前記ハウジングは、第1の側板と、該第1の側板に接続される第2の側板とを含み、前記駆動部材及び前記作動部材は、それぞれ前記第1の側板及び前記第2の側板に移動可能に取り付けられる、請求項3に記載の同期システム。
【請求項5】
前記駆動部材及び前記作動部材は、それぞれ前記第1の側板及び前記第2の側板に対して旋回させられ、前記駆動部材は、第1の限定構成によって定められる限定的な範囲内で前記第1の側板に対して移動可能であり、前記作動部材は、第2の限定構成によって定められる限定的な範囲内で前記第2の側板に対して移動可能である、請求項4に記載の同期システム。
【請求項6】
前記第1の同期装置は、前記作動部材に接続される支持ベースを更に含み、前記同期ロッドは、前記支持ベースに取り外し可能に接続される、請求項5に記載の同期システム。
【請求項7】
家具システムに適用可能な同期システムであって、
ハウジングと、
該ハウジングに対して移動可能な駆動部材とを含み、
前記家具システムは、第1のレールと、第2のレールと、開放機構とを有する、第1のスライドレールアセンブリを含み、前記第2のレールは、前記第1のレールに対して移動可能であり、前記開放機構は、弾性部材と、該弾性部材を一時的に係止するように構成される係止部材とを含み、
前記ハウジングは、前記第2のレールに取り外し可能に接続され、
前記駆動部材は、前記第2のレールを第2の方向に沿って前記第1のレールに対して移動させるよう、前記弾性部材が弾性力を解放するのを可能にするために、前記第2のレールが第1の方向に沿って所定の位置から前記第1のレールに対して移動するのに応答して、前記弾性部材を係止解除するために前記係止部材を移動させるように構成される、
同期装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記第2のレールの少なくとも1つの取付け構成に対応する少なくとも1つの相補的な取付け構成を有する、請求項7に記載の同期装置。
【請求項9】
前記駆動部材は、弾性構成を更に含み、前記駆動部材は、前記弾性構成の弾性力に応答して前記ハウジングに対して初期状態に保持される、請求項8に記載の同期装置。
【請求項10】
前記駆動部材に隣接する作動部材を更に含み、該作動部材は、前記駆動部材がもはや前記初期状態にないよう、前記駆動部材を駆動するように構成される、請求項9に記載の同期装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、第1の側板と、該第1の側板に対して曲げられた第2の側板とを含み、前記駆動部材及び前記作動部材は、それぞれ前記第1の側板及び前記第2の側板に対して移動可能に取り付けられる、請求項10に記載の同期装置。
【請求項12】
前記駆動部材及び前記作動部材は、それぞれ前記第1の側板及び前記第2の側板に対して旋回させられ、前記駆動部材は、第1の限定構成によって定められる限定的な範囲内で前記第1の側板に対して移動可能であり、前記作動部材は、第2の限定構成によって定めら得る限定的な範囲内で前記第2の側板に対して移動可能である、請求項11に記載の同期装置。
【請求項13】
前記家具システムは、第2のスライドレールアセンブリを更に含み、該第2のスライドレールアセンブリは、第1のレールと、前記第2のスライドレールアセンブリの前記第1のレールに対して移動可能な第2のレールとを有し、前記第1のスライドレールアセンブリの前記第2のレール及び前記第2のスライドレールアセンブリの前記第2のレールは、同期して動かされるよう、同期ロッドを通じて接続される、請求項7に記載の同期装置。
【請求項14】
前記作動部材に接続される支持ベースと、該支持ベースに取り外し可能に接続される同期ロッドとを更に含み、前記家具システムは、第2のスライドレールアセンブリを更に含み、該第2のスライドレールアセンブリは、第1のレールと、前記第2のスライドレールアセンブリの前記第1のレールに対して移動可能な第2のレールとを有し、前記第1のスライドレールアセンブリの前記第2のレール及び前記第2のスライドレールアセンブリの前記第2のレールは、同期して動かされるよう、前記同期ロッドを通じて接続される、請求項10に記載の同期装置。
【請求項15】
スライドレールに取り付けられるように構成されるハウジングであって、前記スライドレールは、開放機構を含み、該開放機構は、弾性部材と、該弾性部材を係止するように構成される係止部材とを含む、ハウジングと、
該ハウジングに対して移動可能な駆動部材であって、前記弾性部材が前記スライドレールに適用される弾性力を解放するのを可能にするために、前記弾性部材を係止解除するために前記係止部材を駆動部材に対して移動させるように構成される、駆動部材とを含む、
同期装置。
【請求項16】
前記ハウジングに取り付けられる同期ロッドを更に含み、前記ハウジングは、前記スライドレールに取り外し可能に接続され、当該同期装置は、弾性構成を更に含み、前記駆動部材は、前記弾性構成の弾性力に応答して前記ハウジングに対して初期状態に保持される、請求項15に記載の同期装置。
【請求項17】
作動部材を更に含み、該作動部材は、前記係止部材を更に駆動するために、前記駆動部材がもはや前記初期状態にないよう、前記駆動部材を駆動するように構成される、請求項16に記載の同期装置。
【請求項18】
前記ハウジングは、第1の側板と、第2の側板とを含み、前記駆動部材及び前記作動部材は、それぞれ前記第1の側板及び前記第2の側板に移動可能に取り付けられ、前記駆動部材は、第1の限定構成によって定められる限定的な範囲内で前記第1の側板に対して移動可能であり、前記作動部材は、第2の限定構成によって定められる限定的な範囲内で前記第2の側板に対して移動可能である、請求項17に記載の同期装置。
【請求項19】
前記作動部材に接続される支持ベースを更に含み、前記同期ロッドは、前記支持ベースを通じて前記ハウジングに取り付けられる、請求項17に記載の同期装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期システムに関し、より具体的には、2つのスライドレールアセンブリが同期して動くのを可能にする同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットシステムのような家具システムにおいて、引出しは、通常、一対のスライドレールアセンブリを通じてキャビネットに対して開かれ或いは引っ込められる。キャビネットに対する引込み位置から引出しを開くのを助けることができる製品は、現在市場で既に提供されており、その製品はいわゆる押し開き製品(push-open product)である。米国特許出願公開第2012/0038255A1号は、家具部用の排出装置を開示している。具体的には、可動家具部(5)の両側に配置された2つの排出装置(1,2)とバネ荷重エゼクタ(13)とを含む構成が開示されている。排出装置(1,2)は、心臓湾曲形状のスリット付きガイド経路(10)を通じて位置(E)で一時的に係止されるように構成されるラッチ要素(18)を含み、排出装置(1,2)は、可動家具部(5)を押すことによって係止解除され得る。2つの排出装置(1,2)のガイドキャリッジ(17)が、同期ロッド(6)を通じて互いに接続される。この事例は参考のために提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,534,781号明細書
【特許文献2】米国特許第8,950,833号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0219727A1号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、2つのスライドレールアセンブリが同期して動かされるのを可能にする同期システムに関する。
【0005】
本発明の実施態様によれば、同期システムが家具システムに適用可能である。同期システムは、家具システムの第1のスライドレールアセンブリに取り外し可能に接続される第1の同期装置と、家具システムの第2のスライドレールアセンブリに取り外し可能に接続される第2の同期装置とを含み、第1のスライドレールアセンブリ及び第2のスライドレールアセンブリの各々は、第1のレールと、第1のレールに対して移動可能な第2のレールとを含み、同期システムは、第1のスライドレールアセンブリの第2のレール及び第2のスライドレールアセンブリの第2のレールが同期して動くのを可能にするために、第1の同期装置と第2の同期装置との間に取り外し可能に取り付けられる同期ロッドを含む。
【0006】
好ましくは、第1のスライドレールアセンブリは、開放機構を含む。開放機構は、弾性部材と、弾性部材を係止するように構成される係止部材とを含む。第1の同期装置は、ハウジングと、ハウジングに取り付けられる駆動部材とを含む。駆動部材は、第1のスライドレールアセンブリの第2のレール及び第2のスライドレールアセンブリの第2のレールを第1の方向と反対の第2の方向に沿って移動させるよう、弾性部材が弾性力を解放するのを可能にするために、第2のレールが第1の方向に沿って所定の位置から第1のレールに対して移動するのに応答して、弾性部材を係止解除するために係止部材を移動させるように構成される。
【0007】
好ましくは、駆動部材は、弾性構成を含む。駆動部材は、弾性構成の弾性力に応答してハウジングに対して初期状態に保持される。
【0008】
好ましくは、第1の同期装置は、作動部材を更に含む。第2のレールが第1の方向に沿って所定の位置から第1のレールに対して移動するプロセスの間に、作動部材は、第1のレールの部分に当接して、駆動部材に適用される作用力を生成することで、駆動部材はもはや初期状態になく、作用力に応答して係止部材材を駆動するように構成される。
【0009】
好ましくは、ハウジングは、第1の側板と、第1の側板に接続される第2の側板とを含む。駆動部材及び作動部材は、それぞれ第1の側板及び第2の側板に移動可能に取り付けられる。
【0010】
好ましくは、駆動部材及び作動部材は、それぞれ第1の側板及び第2の側板に対して旋回させられる。駆動部材は、第1の限定構成によって定められる限定的な範囲内で第1の側板に対して移動可能であり、作動部材は、第2の限定構成によって定められる限定的な範囲内で第2の側板に対して移動可能である。
【0011】
好ましくは、第1の同期装置は、前記作動部材に接続される支持ベースを更に含む。同期ロッドは、支持ベースに取り外し可能に接続される。
【0012】
本発明の他の実施態様によれば、同期システムが家具システムに適用可能である。同期装置は、ハウジングと、ハウジングに対して移動可能な駆動部材とを含む。家具システムは、第1のレールと、第2のレールと、開放機構とを有する、第1のスライドレールアセンブリを含む。第2のレールは、第1のレールに対して移動可能である。開放機構は、弾性部材と、弾性部材を一時的に係止するように構成される係止部材とを含む。ハウジングは、第2のレールに取り外し可能に接続される。駆動部材は、第2のレールを第2の方向に沿って第1のレールに対して移動させるよう、弾性部材が弾性力を解放するのを可能にするために、第2のレールが第1の方向に沿って所定の位置から第1のレールに対して移動するのに応答して、弾性部材を係止解除するために係止部材を移動させるように構成される。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、同期装置が、スライドレールに取り付けられるように構成されるハウジングであって、スライドレールは、開放機構を含み、開放機構は、弾性部材と、弾性部材を係止するように構成される係止部材とを含む、ハウジングと、ハウジングに対して移動可能な駆動部材であって、弾性部材がスライドレールに適用される弾性力を解放するのを可能にするために、弾性部材を係止解除するために係止部材を移動させるように構成される、駆動部材とを含む。
【0014】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、様々な図及び図面に例示されている好適な実施形態の以下の詳細な記述を判読した後に、当業者に疑いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施態様に従った2つの第1の家具部と第2の家具部とを含む家具システムを示す図である。
【0016】
【
図2】本発明の実施態様に従った第1の家具部の一方のない
図1の家具システムを示す図であり、同期システムが2つのスライドレールアセンブリの間に取り付けられている。
【0017】
【
図3】本発明の実施態様に従った同期装置の分解図である。
【0018】
【
図4】本発明の実施態様に従った同期装置を示す図である。
【0019】
【
図5】本発明の実施態様に従って作動させられる前の同期装置を示す図である。
【0020】
【
図6】本発明の実施態様に従って作動させられた後の同期装置を示す図である。
【0021】
【
図7】本発明の実施態様に従ったスライドレールアセンブリの分解図である。
【0022】
【
図8】本発明の実施態様に従ったスライドレールアセンブリを示す図である。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図11】本発明の実施態様に従った第1のレールに対する所定の位置に配置されたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【0026】
【0027】
【
図13】本発明の実施態様に従った第1の方向に沿って第1のレールに対して移動するように押されたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【0028】
【0029】
【
図15】本発明の実施態様に従った弾性部材の弾性力を解放することを通じて第2の方向に沿って第1のレールに対して移動させられたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【0030】
【0031】
【
図17】本発明の実施態様に従った第2の方向に沿って第1のレールに対して更に移動させられたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【0032】
【0033】
【
図19】本発明の実施態様に従った所定の位置に配置された第1の家具部を示す図である。
【0034】
【
図20】本発明の実施態様に従った第2の方向に沿って移動させられた第1の家具部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示すように、家具システム20は、第1のスライドレールアセンブリ22と、第2のスライドレールアセンブリ24とを含む。第1のスライドレールアセンブリ22及び第2のスライドレールアセンブリ24は、第1の家具部26が、第2の家具部28に対して容易に動かされるのを可能にする。第1の家具部26は、引出しであってよく、第2の家具部28は、キャビネットであってよいが、本発明はそれに限定されない。
【0036】
図2に示すように、第1のスライドレールアセンブリ22の構造的構成は、第2のスライドレールアセンブリ24の構造的構成と実質的に同一である。具体的には、第1のスライドレールアセンブリ22及び第2のスライドレールアセンブリ24の各々は、第1のレール30と、第1のレール30に対して可動な第2のレール32とを含む。好ましくは、第1のスライドレールアセンブリ22及び第2のスライドレールアセンブリ24の各々は、第1のレール30に対する第2のレール32の走行距離を伸ばすために、第1のレール30と第2のレール32との間に可動に取り付けられる第3のレール34を更に含む。第1のレール30は、第2の家具部28に固定的に取り付けられ、第2のレール32は、第1の家具部26を支持するように構成される(
図1を参照のこと)。第1の同期装置36と第2の同期装置200とを含む本発明の同期システム35は、家具システム20に適用可能である。例えば、移動中の2つの第2のレール32の安定性を向上させるために、第1のレールアセンブリ22の第2のレール32及び第2のレールアセンブリ24の第2のレール32を同期して動かすことができるように、第1の同期装置36は、第1のスライドレールアセンブリ22の上に配置され、第2の同期装置200は、第2のスライドレールアセンブリ24の上に配置される。本発明の同期システム35は、第1の同期装置36と第2の同期装置200との間に取り外し可能に取り付けられる同期ロッド38を更に含む。同期ロッド38は、第1の接続ベース40a及び第2の接続ベース40bをそれぞれ通じて第1の同期装置36及び第2の同期装置200に取り外し可能に接続される。本実施態様では、第1の同期装置36及び第2の同期装置200は対称的に配置されるので、第2の同期装置200のコンポーネント(構成部品)及び構成(配置)は、第1の同期装置36のコンポーネント(構成部品)及び構成(配置)と類似する。簡素化のために、第1の同期装置36のコンポーネント及び構成のみを例示している。しかしながら、他の実施態様では、第2の同期装置200のコンポーネント及び構成は、第1の同期装置36のコンポーネント及び構成と異なり得る。
【0037】
図3及び
図4に示すように、第1の同期装置36は、ハウジング42と、駆動部材44とを含む。好ましくは、第1の同期装置36は、作動部材46を更に含む。
【0038】
ハウジング42は、第1の側板48と、第1の側板48に接続された第2の側板50とを含む。好ましくは、第2の側板50は、第1の側板48に対して垂直に曲げられる。或いは、第2の側板は、第1の側板48に実質的に垂直に接続される。
【0039】
駆動部材4は、ハウジング42に対して可動である。本実施態様において、駆動部材44は、ハウジング42に可動に取り付けられる。好ましくは、駆動部材44は、シャフト部材52によってハウジング42の第1の側板48に旋回させられ、駆動部材44は、第1の制限構成54によって定められる限定的な範囲内で第1の側板48に対して移動可能である。本実施態様において、ハウジング42の第1側板48は、L形状の突起54aを有し、駆動部材は、2つの壁54bと、2つの壁54bの間に配置された凹部54cとを有する。突起54a、2つの壁54b及び凹部54cは、第1の制限構成54を形成する。その場合、凹部54cは、突起54aを収容するように構成される。好ましくは、凹部54cは、実質的に湾曲形状に配置され、凹部54cは、凸部54aよりも大きい。代替的な実施形態において、ハウジング42の第1の側板48は、2つの壁54bと、2つの壁54bの間に配置された凹部54cとを有することができ、駆動部材44は、突起54aを有することができる。しかしながら、駆動部材44ハウジング42の第1の側板48に対して限定的な範囲内で移動可能であるのを可能にする構成は、上記の実施態様に限定されない。更に、駆動部材44は、弾性構成56と、駆動構成58と、弾性構成56と駆動構成58との間に配置された本体部60とを含む。その場合、本体部60は、シャフト部材52によってハウジング42の第1の側板48に対して旋回させられる。本体部60は、接触壁62を有する。好ましくは、駆動部材44が弾性構成56の弾性力に応答して初期状態に保持されるように、例えば、ハウジング42に対する初期位置に保持されるように、弾性構成56及び駆動構成58は、本体部60に接続され、弾性脚のような弾性構成56は、ハウジング42の第2の側板50に向かって面し且つ接触する。好ましくは、駆動部材44は、プラスチック材料のようなフレキシブルな材料で作られ、弾性構成56、駆動構成58及び本体部60は、一体成形品に一体形成される。
【0040】
作動部材46は、ハウジング42に対して移動可能である。本実施態様において、作動部材46は、駆動部材44に隣接して、ハウジング42に移動可能に取り付けられる。好ましくは、第1の同期装置36は、作動部材46に接続された支持ベース63を含み、作動部材46及び支持ベース63は、ハウジング42の第2の側板50に移動可能に取り付けられ、第2の側板50の2つの両側にそれぞれ配置される。具体的には、作動部材46及び支持ベース63は、旋回部材64によってハウジング42の第2の側板50に旋回させられ、作動部材46及び支持ベース63は、第2の限定構成66によって定められる限定的な範囲内で第2の側板50に対して移動可能である。本実施態様において、ハウジング42の第2の側板50は、少なくとも1つの細長い孔66aを有し、作動部材46及び支持ベース63の一方には、少なくとも1つの細長い孔66aの部分を貫通するように構成された少なくとも1つのピン部材66bが配置される。少なくとも1つの細長い孔66a及び少なくとも1つのピン66bは、第2の制限構成66を形成する。好ましくは、少なくとも1つの細長い孔66aは、実質的に湾曲形状に配置される。代替的な実施態様において、ハウジング42の第2の側板50は、ピン部材66bを有することができ、作動部材46及び支持ベース63の各々は、細長い孔66aを有することができる。しかしながら、作動部材46及び支持ベース63が限定的な範囲内でハウジング42の第2の側板50に対して移動可能であることを可能にする構成は、上記の実施態様によって限定されない。好ましくは、作動部材46は、作動部68を有する。作動部68は、駆動部材44の接触壁62に対応する位置に配置される。好ましくは、同期ロッド38は、多角形輪郭のような、非円形の輪郭を有する。同期ロッド38は、第1の接続ベース40aを通じて支持ベース63に取り外し可能に接続される。詳細には、第1の連結ベース40aは、本体部41と、本体部41に接続されたヘッド部43とを有する。接続のために同期ロッド38を収容室45に挿入し得るように、本体部41は、同期ロッド38の輪郭に対応する収容室45を有する。ヘッド部43は、長方形のような非円形の形状を有する。支持ベース63は、その中にヘッド部63を取り付けるためのノッチ65を有する。第1の接続ベース40aを支持ベース63に取り外し可能に接続し得るように、ヘッド部43をクランプするために一対のクランプ部67がノッチ65の2つの側から延ばされている。
【0041】
図5及び
図6に示すように、力Fが作動部材46に加えられると、作動部材46は、第1の回転方向R1に沿ってハウジング42の第2の側板50に対して回転させられ、作動部材46は、駆動部材44が力Fに応答して第2の回転方向R2に沿ってハウジング42の第1の側板48に対して回転させられるように、作動部68を通じて駆動部材44の接触壁62を更に押す。即ち、駆動部材44は、作動部材46によって駆動させられ、もはや初期状態にない。一方、弾性構成56は、(
図6に示すように)弾性力を蓄積するために、力Fに応答してハウジング42の第2の側板50に当接する。作動部材46が第1の回転方向R1に沿って回転させられるに応答して、支持ベース63及び同期ロッド38も第1の回転方向R1に沿って回転させられる。更に、力Fが作動部材46にもはや加えられないときには、駆動部材44が(
図5に示すように)弾性構成56の弾性力に応答してハウジング42の第1の側板48に対する初期状態に再度保持されるように、弾性構成56は弾性力を直ちに解放する。
【0042】
図7及び
図8に示すように、第1のスライドレールアセンブリ22は、第1のレール30と、第2のレール32と、第3のレール34とを含む。好ましくは、第1のレール30は、突出ブロック又は延出壁のような、ブロック構成70を有する。ブロック構成70を第1のレール30の部分として見ることができるように、ブロック構成70は、第1のスライドレールアセンブリ22の第1のレール30上に一体的に形成されてよく、或いは第1のスライドレールアセンブリ22の第1のレール30に取り付けられた追加的なコンポーネントであってよい。好ましくは、第1のスライドレールアセンブリ22は、開放機構74を更に含む(
図9を参照のこと)。本実施形態において、開放機構74は、第2のレール32に取り付けられ、ロック部材76を含む。好ましくは、第2のレール32は、開口78を有し、ブロック部材76は、開口78に隣接する。
【0043】
第1の同期装置36は、第1のレールアセンブリ22の第2のレール32に取り外し可能に接続される。同様に、
図2に示すように、第2の同期装置200は、第2のスライドレールアセンブリ24の第2のレール32に取り外し可能に接続される。更に、第1の同期装置36のハウジング42及び第2のレール32は、対応する取付け構成を有する。本実施態様において、ハウジング42は、少なくとも1つの第1の取付け構成80を有し、第2のレール32は、少なくとも1つの第2の取付け構成82を有する。例えば、少なくとも1つの第1の取付け構成80及び少なくとも1つの第2の取付け構成82は、フック及び突起の組み合わせであり得る。或いは、第1の同期装置36を第1のレールアセンブリ22の第2のレール32に取り付けることができ或いは第1のレールアセンブリ22の第2のレール32から取り外すことができるように、少なくとも1つの第1の取付け構成80及び少なくとも1つの第2の取付け構成82は、ネジ及びネジ穴の組み合わせであり得る。
【0044】
図10に示すように、第1の同期装置36が第1のレールアセンブリ22の第2のレール32に取り付けられるとき、第1の同期装置36の駆動部材44は、第1のレールアセンブリの第2のレール32の開口78に隣接する。駆動部材44の弾性構成56は、ハウジング42の第2の側板50に向かって面し、ハウジング42の第2の側板50と接触する。他方、駆動部材44の駆動構成58は、開放機構75の係止部材76に向かって面し、開放機構75の係止部材76に隣接する。
【0045】
図11及び
図12に示すように、開放機構74は、バネのような弾性部材84を含む。開放機構74の係止部材76は、弾性部材84が弾性力を蓄積するのを可能にするために、弾性部材84を一時的に係止(ロック)するように構成される(そのような構成は当業者に周知であり、簡素化のために、更なる例示を提供しない)。第2のレール32が第1のレール30に対して(引込み位置のような)所定の位置Pに位置付けられるとき、使用者は、第2のレール32を第1の方向D1に沿って第1のレール30に対して動かすために、第1の方向D1に沿って第2のレール32に力を加え得る。
【0046】
図11、
図13及び
図14に示すように、第2のレール32が、第1の方向D1に沿って所定の位置Pから第1のレール30に対して移動するプロセスの間に、第1の同期装置36は、弾性部材84を係止解除(アンロック)するように構成される。具体的には、駆動部材44は、第2のレール32が第1の方向D1に沿って所定の位置Pから第1のレール30に対して動くのに応答して弾性部材84を係止解除するために、係止部材76を移動させるように構成される。例えば、第1の同期装置36の作動部材46(
図5において力Fが加えられる部分のような作動部材46の部分のみが図示されている)は、作用力に応答して作動部材46が駆動部材44を押すように、第1のレール30のブロック構成70に当接して(
図5中の力Fのような)作用力を生成する。
【0047】
図13、
図15及び
図16に示すように、作動部材46が駆動部材44を押した後、駆動部材44は移動させられて、もはや初期状態にないことで、駆動部材44の駆動構成58は、弾性部材84を係止解除するために、(係止部材76を係止位置から離れる方向に移動させることのように)係止部材76の係止解除部77を通じて移動し得るよう、係止部材76を駆動し得る。よって、第2のレール32を第1の方向D1と反対の第2の方向D2に沿って第1のレールに対して動かすために、弾性部材84は、弾性力F1が第2のレール32に適用されるよう、弾性力F1を解放し得る。
【0048】
図15、
図17及び
図18に示すように、弾性部材84が、第2のレール32に適用されるよう弾性力F1を解放した後、第2のレール32は、弾性力F1に応答して、第2の方向D2に沿って第1のレール30に対して動かされる。
【0049】
図19及び
図20に示すように、第1の家具部26が所定の位置Pに配置されるときに、第1の家具部26が、第1のスライドレールアセンブリ22及び第2のスライドレールアセンブリ24の第2のレール32を通じて第1の方向D1に沿って第1のスライドレールアセンブリ22及び第2のスライドレールアセンブリ24の第1のレール30に対して動かされ得るよう、使用者は、第1の方向D1に沿って第1の家具部26上の任意の位置に力を加え得る。開放機構74の弾性部材84の弾性力F1を解放することを通じて、第1の家具部26は、第2の方向D2に沿って動くように排出され得る。その場合、第1のスライドレールアセンブリ22の第2のレール32及び第2のスライドレールアセンブリ24の第2のレール32は、同期して動かされるために、同期システム35の同期ロッド38を通じて接続される(
図2及びそのような動作についての関連する記述を参照のこと。簡素化のために、更なる例示は提供されていない)。従って、使用者が、第1の方向D1に沿って(第1の家具部26の正面パネル27上のような)第1の家具部26上の左側又は右側のような任意の位置に力を加えるときに、第1の家具部26(又は第2のレール32)は、弾性部材84を係止解除するよう開放機構74の係止部材76を移動させるために、第1の方向D1に沿って(引込位置のような)所定の位置Pから第2の家具部28(又は第1のレール30)に対して動かされ得る。即ち、同期ロッド38を通じて、第2の家具部28に対する第1の家具部26の押し開き(push-open)機能の確実性が向上させられ得る。
【0050】
従って、本発明の同期システムは、以下の点において特徴付けられる。
1.同期装置36、200は、(第2のレール32のような)スライドレールに取り外し可能に接続される。
2.(第1のスライドレールアセンブリ22の第2のレール32及び第2のスライドレールアセンブリ24の第2のレール32のような)2つのスライドレールは、同期して移動させられるために、同期システム35の同期ロッド38を通じて接続される。
3.同期ロッド38を通じて、第2の家具部28に対する第1の家具部26のプッシュ開放機能の信頼性を向上させ得る。
4.本発明の同期装置の取り外し可能な設計は、使用者が使用者要求に従って同期装置を追加的に装着するのを可能にする。
【0051】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の数多くの修正及び変更が行われる場合があることを直ちに観察するであろう。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲の境界によってのみ限定されるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
20 家具システム (furniture system)
22 第1のスライドレールアセンブリ (first slide rail assembly)
24 第2のスライドレールアセンブリ (second slide rail assembly)
26 第1の家具部 (first furniture part)
28 第2の家具部 (second furniture part)
30 第1のレール (first rail)
32 第2のレール (second rail)
35 同期システム (synchronization system)
36 第1の同期装置 (first synchronization device)
38 同期ロッド (synchronization rod)
40a 第1の接続ベース (first connecting base)
40b 第2の接続ベース (second connecting base)
42 ハウジング (housing)
41 本体部 (body part)
43 ヘッド部 (head part)
45 収容室 (accommodating room)
44 駆動部材 (driving member)
46 作動部材 (actuating member)
48 第1の側板 (first side plate)
50 第2の側板 (second side plate)
52 シャフト部材 (shaft member)
54 第1の限定構成 (first limiting feature)
54a 突起 (protrusion)
54b 壁 (walls)
54 凹部 (concave part)
56 弾性構成 (elastic feature)
58 駆動構成 (driving feature)
60 本体部 (main body part)
62 接触壁 (contact wall)
63 支持ベース (supporting base)
64 旋回部材 (pivoting member)
65 ノッチ (notch)
67 クランプ部 (clamping part)
66 第2の限定構成 (second limiting feature)
66a 細長い孔 (elongated hole)
66b ピン (pin member)
68 作動部 (actuating part)
70 ブロック構成 (blocking feature)
74 開放機構 (opening mechanism)
76 係止部材 (locking member)
77 係止解除部 (unlocking part)
78 開口 (opening)
80 第1の取付け構成 (first mounting feature)
82 第2の取付け構成 (second mounting feature)
84 弾性部材 (elastic member)
200 第2の同期装置 (second synchronization device)
D1 第1の方向 (first direction)
D2 第2の方向 (second direction)
F 力 (force)
R1 第1の回転方向 (first rotation direction)
R2 第2の回転方向 (second rotation direction)