(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リジッド部に、固体撮像素子等の半導体素子が複数搭載された場合、素子が搭載される領域の平坦性が充分でないと、例えば、複数の固体撮像素子のそれぞれの光学的調整が難しくなり、複数の固体撮像素子を備えた回路基板の取り扱いが複雑になってしまう。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、素子が搭載される領域の平坦性を向上させた回路基板及び半導体モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回路基板は、配線基材と、補強部とを具備する。上記補強部は、上記配線基材の第1部分に埋設され第1主面と上記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状の補強部材と、上記第1主面及び上記第2主面に設けられた配線層と、上記第1主面上に複数の半導体素子が直接的または間接的に搭載される素子搭載部とを有する。
このような回路基板であれば、配線基材に埋設された板状の補強部材上に、複数の半導体素子が直接的または間接的に搭載される素子搭載部が配置されるので、素子搭載部の平坦性が向上する。これにより、複数の半導体素子のそれぞれの段差が緩和される。この結果、素子搭載部に搭載された半導体素子の取り扱いが容易になる。さらに、板状の補強部材は、一体に構成されているので、補強部材による放熱効果が向上する。
【0008】
上記の回路基板においては、上記補強部材及び上記素子搭載部のそれぞれを上記補強部の厚み方向に投影した場合、上記素子搭載部は、上記補強部材の領域内に包含されてもよい。
このような回路基板であれば、補強部材及び素子搭載部のそれぞれを補強部の厚み方向に投影した場合、補強部材の主面内に素子搭載部が収まるので、素子搭載部の平坦性が向上する。さらに、素子搭載部を包含する補強部材は、一体に構成されているので、補強部材による放熱効果が向上する。
【0009】
上記の回路基板においては、上記補強部は、上記複数の半導体素子のそれぞれに電気的に接続されるボンディングパッドをさらに有してもよく、上記ボンディングパッドは、上記第1主面上の上記配線層に配置されてもよい。
このような回路基板であれば、複数のボンディングパッドが補強部材上に配置されるので、各ボンディングパッドの下地の強度が増加する。これにより、ボンディングパッドにボンディングワイヤを接合する際に、ボンディングパッドのずれが抑制される。
【0010】
上記の回路基板においては、上記配線基材は、上記第1部分から延在する第2部分を有してもよく、上記第2部分は、可撓性を有してもよい。
このような回路基板であれば、回路基板は、リジッド部のほか、可撓性を有するフレキシブル部を有することになる。
【0011】
上記の回路基板においては、上記素子搭載部は、上記第1主面上の上記配線層の表面に配置されてもよい。
このような回路基板であれば、配線基材に埋設された板状の補強部材上に、複数の半導体素子が間接的に搭載される素子搭載部が配置されるので、素子搭載部の平坦性が向上する。
【0012】
上記の回路基板においては、上記配線層は、上記補強部材の上記第1主面を露出させる凹部を有してもよく、上記凹部内に上記複数の半導体素子が配置されてもよい。
このような回路基板であれば、配線基材に埋設された板状の補強部材上に、複数の半導体素子が直接的に搭載される素子搭載部が配置されるので、素子搭載部の平坦性がさらに向上する。さらに、複数の半導体素子の放熱効果が向上する。
【0013】
上記の回路基板においては、上記凹部は、複数に分割され、分割された複数の凹部内に上記複数の半導体素子のそれぞれが個別に収容されてもよい。
このような回路基板であれば、分割された複数の凹部内に複数の半導体素子のそれぞれが個別に搭載されるので、複数の半導体素子間にもボンディングパッドを形成することができる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る半導体モジュールは、配線基材と、回路基板と、複数の半導体素子とを具備する。上記回路基板は、補強部を有し、上記補強部は、上記配線基材の第1部分に埋設され第1主面と上記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状の補強部材と、上記第1主面及び上記第2主面に設けられた配線層と、上記第1主面上に複数の素子が直接的または間接的に搭載される素子搭載部とを有する。上記複数の半導体素子は、上記素子搭載部に搭載される。
このような半導体モジュールであれば、配線基材に埋設された板状の補強部材上に、複数の素子が直接的または間接的に搭載される素子搭載部が配置されるので、素子搭載部の平坦性が向上する。さらに、板状の補強部材は、一体に構成されているので、補強部材による放熱効果が向上する。
【0015】
上記の半導体モジュールにおいては、上記複数の半導体素子のそれぞれは、固体撮像素子であってもよい。
このような半導体モジュールであれば、素子搭載部に複数の固体撮像素子が実装されても、複数の固体撮像素子のそれぞれの光学的調整が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明によれば、素子が搭載される領域の平坦性を向上させた回路基板及び半導体モジュールが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る回路基板の構成を示す概略平面図である。
図2(a)は、
図1におけるA−A線方向断面図である。
図2(b)は、
図1におけるB−B線方向断面図である。
なお、各図においてX軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する3軸方向を示しており、Z軸方向は、回路基板1の厚み方向に相当する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の回路基板1は、第1基板本体10と、第2基板本体20とを有する。回路基板1は、典型的には、制御基板30と一体的に構成されるが、制御基板30とは別部品として構成されてもよい。
【0023】
回路基板1の第2基板本体20の表面には、2つの半導体素子271、272が搭載されている。半導体素子271、272は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary MOS)等の固体撮像素子(光学センサ)である。半導体素子271、272の各々の撮像面271a、272aが相互に平行となるように、第2基板本体20上に半導体素子271、272が搭載される。2つの半導体素子271、272の下方には、補強部材23が配置されている。
【0025】
図2(a)、(b)に示すように、第1基板本体10は、第2基板本体20と制御基板30との間を接続する。第1基板本体10は、可撓性配線基材11を含み、回路基板1におけるフレキシブル部を構成する。可撓性配線基材11は、典型的には、X軸方向に長手方向、Y軸方向に幅方向を有する。可撓性配線基材11において、長手方向の第1部分(第1端部11a側)は、第2基板本体20に組み込まれ、第1部分から延在した第2部分(第2端部11b側)は、制御基板30に接続される。
【0026】
可撓性配線基材11は、
図2(a)、(b)に示すように、樹脂コア110と、樹脂コア110の両面に設けられた配線層111、112と、配線層111、112を被覆する絶縁層113、114とを有する積層体である。
【0027】
樹脂コア110は、例えば、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート等の単層又は多層の可撓性プラスチックフィルムで構成される。配線層111、112は、典型的には、銅やアルミニウム等の金属材料で構成される。また、絶縁層113、114は、接着層を有するポリイミド等の可撓性プラスチックフィルムで構成される。
【0028】
配線層111は、樹脂コア110の適宜の位置に設けられたスルーホールあるいはビアを介して配線層112に電気的に接続される。可撓性配線基材11の配線層は、図示する2層に限られず、1層又は3層以上であってもよい。
【0030】
第2基板本体20は、配線層28と、補強部材23と、可撓性配線基材11の第1端部11aとを有する。すなわち、可撓性配線基材11の第1端部11aは、補強部材23とともに第2基板本体20の芯材(コア)を構成する。回路基板1においては、配線層28と補強部材23とによって補強部12が構成される。補強部12は、回路基板1におけるリジッド部である。また、本実施形態では、第2基板本体20に組み込まれた第1端部11aの可撓性配線基材11の部分を単に配線基材11と呼ぶ場合がある。
【0031】
配線層28は、絶縁層211、212と、配線221、222と、絶縁層251、252を含む。配線層28は、第1端部11aの第1主面11u(上面)及び第2主面11d(下面)、及び補強部材23の第1主面23u(上面)及び第2主面23d(下面)に設けられている。
【0032】
絶縁層211は、補強部材23の第1主面23u側に配置されと、絶縁層212は、補強部材23の第2主面23d側に配置される。絶縁層211、212は、第2基板本体20の外形を構成し、その平面形状は、典型的には、
図1に示すようにX軸方向に長手の矩形状に形成される。絶縁層211、212の大きさは特に限定されず、例えば、長辺が10〜30mm、短辺が10〜20mm、厚みが0.2〜0.5mmとされる。可撓性配線基材11の第1端部11aは、
図1に示すように、第2基板本体20と同一の形状、大きさに形成されるが、これに限られず、第2基板本体20よりも大きく、又は小さく形成されてもよい。
【0033】
絶縁層211、212は、合成樹脂材料によって構成される。合成樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、BTレジン等の汎用の熱硬化性樹脂材料が用いられる。これらの合成樹脂材料には、所望とする機械的強度を付与するために、例えば、ガラス繊維やガラスクロス、酸化物粒子等のフィラー(充填材)が含有されていてもよい。絶縁層211、212はそれぞれ同一の樹脂材料で構成されてもよいし、相互に異なる樹脂材料で構成されてもよい。
【0034】
配線221、222は、いわゆる導体パターンである。さらに、配線221と、配線222との間は、層間接続部223によって電気的に接続されている。配線221、222は、第1基板本体10を構成する可撓性配線基材11に電気的に接続される。
【0035】
配線221、222は、絶縁層211、212の表面に形成され、その一部は、絶縁層211、212の適宜の位置に形成されたビアを介して補強部材23に電気的に接続される。補強部材23は、配線221、222のいずれかの一部として構成されてもよく、例えば、接地用配線の一部として用いられてもよい。特に、補強部材23が接地電位で構成されている場合、回路基板1内に補強部材23を避けて接地用配線を引き回す手間が省け、さらに、補強部材23によって回路基板1外または半導体素子271、272からの電磁波が遮蔽される。また、補強部材23は、第2基板本体20に搭載される半導体素子の放熱用部品として用いられてもよい。なお、Z軸方向における補強部材23と半導体素子271、272との間の距離は、例えば、15μm〜100μmであるが、この数値に限らない。
【0036】
配線221、222は、典型的には、銅、アルミニウム等の金属材料あるいは金属ペーストの硬化物で構成される。配線221、222は、主として、第2基板本体20の表面に実装された半導体素子271、272のボンディングパッド261に電気的に接続されたり、当該半導体素子を可撓性配線基材11に電気的に接続する再配線層等を構成したりする配線221、222の表面には、絶縁層251、252が設けられる。絶縁層251、252のそれぞれは、適宜の位置に配線221、222の表面の一部が露出する開口部を有してもよい。
【0037】
配線221、222は、単層構造に限られず、多層構造であってもよい。また、配線221、222の双方が設けられる場合に限られず、いずれか一方のみが設けられてもよい。
【0038】
配線221、222は、絶縁層251、252によって被覆されている。ボンディングパッド261は、補強部材23の第1主面23u上の配線層28に配置されている。例えば、ボンディングパッド261は、絶縁層251上に配置されている。
【0039】
補強部材23は、可撓性配線基材11の第1端部11aに埋設されている。補強部材23は、第1主面23uと、第2主面23uとを有する板状の補強部材である。補強部材23は、第2基板本体20に所望の強度を付与するためのものである。
【0040】
補強部材23は、例えば、金属製、セラミック製等である。但し、回路基板1の電気的特性、放熱性の観点からは、補強部材23は、金属製であることが好ましい。例えば、補強部材23は、電気、熱の良導体で構成され、典型的には銅(Cu)で構成されるが、これ以外にも、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の他の金属材料で構成されてもよい。
【0041】
補強部材23の平面形状は、特に限定されず、例えば、可撓性配線基材11の第1端部11aの内部に収容可能な大きさの矩形状に形成される。補強部材23の大きさは、特に限定されず、例えば、各辺の長さが5mm〜20mm、厚みが0.1mm〜0.4mmとされる。
【0042】
補強部材23を可撓性配線基材11の第1端部11aのほぼ全領域をカバーできる大きさで形成されることで、補強部材23は第2基板本体20の芯材としての機能を効果的に果たすことができる。また、補強部材23の全体が第1端部11aの内部に収容されることで、補強部材23が第1端部11aの周縁部から露出することを防ぎ、第2基板本体20の周縁部の絶縁性を確保することができる。
【0043】
補強部材23の厚みは、特に限定されず、本実施形態では可撓性配線基材11と同等の厚みとされる。補強部材23の両面は、絶縁層211、212で被覆されるため、第2基板本体20の両面からの補強部材23の露出が防止される。
【0044】
補強部材23は、可撓性配線基材11の第1端部11aの面内に形成された収容部213に内蔵される。収容部213は、補強部材23を収容し得る大きさの有底又は無底の凹部からなり、本実施形態では、第1端部11aを貫通する矩形の開口部(無底の凹部)で構成される。
【0045】
補強部材23には、その面内を貫通する溝231が設けられてよい。例えば、補強部材23は、溝231の内部に充填された第1絶縁材241と、補強部材23の外周面と収容部213の内周面との間に充填された第2絶縁材242とを介して、第1端部11aの内部に固定されている。
【0046】
また、補強部材23には、その面内を貫通する単数又は複数の貫通孔232が設けられてよい。例えば、貫通孔232は、補強部材23の面内の適宜の位置に形成され、補強部材23の周縁部と溝231の形成領域との間に設けられる。貫通孔232は、層間接続部223を収容し得る大きさの丸孔で形成される。層間接続部223は、典型的には、貫通孔232の内周面に絶縁層を挟んで形成された銅メッキで構成される。上記絶縁層としては、例えば、第1絶縁材241で構成される。
【0047】
本実施形態において、第1絶縁材241は、絶縁層211、212を構成する樹脂材料よりも熱膨張係数が小さく、かつ、弾性率が高い樹脂材料で構成される。
【0048】
第1絶縁材241が絶縁層211、212よりも熱膨張係数が小さい樹脂材料で構成されることにより、収容部213と補強部材23との間の密着性を確保でき、第2基板本体20の反りを抑制することが可能となる。また、第1絶縁材241が、絶縁層211、212よりも弾性率が高い樹脂材料で構成されることにより、第1絶縁材241の剛性が高まり、第2基板本体20の強度の向上を図ることができる。
【0049】
第1絶縁材241を構成する材料は、特に限定されず、例えば、絶縁層211、212を構成する樹脂材料と同種の材料であってもよい。この場合、絶縁層211、212よりもフィラーの含有量を高めることで、絶縁層211、212よりも熱膨張係数が小さく、かつ、弾性率が高い第1絶縁材241を構成することができる。
【0050】
一方、第2絶縁材242は、絶縁層211、212を構成する樹脂材料よりも弾性率が低い材料で構成される。これにより、第2基板本体20の周縁部に加わる曲げ応力が第2絶縁材242で緩和されるため、収容部213に対する補強部材23の剥離を抑えることが可能となる。また、第2絶縁材242は、絶縁層211、212よりも吸水率の低い材料で構成されてもよい。これにより、第2絶縁材242の吸水による体積膨張あるいは膨潤が抑えられる。
【0051】
第2絶縁材242を構成する材料は、特に限定されないが、可撓性配線基材11との親和性が高い材料が好ましく、例えば、エポキシ、ポリイミド、液晶ポリマー、BTレジン、PPS等が挙げられる。
【0052】
第2絶縁材242は、補強部材23の外周面と収容部213の内周面との間に充填される。第2絶縁材242は、補強部材23の外周面の全周にわたって設けられる必要はなく、少なくとも可撓性配線基材11の第2端部11b側に設けられてもよい。これにより、例えば、第1基板本体10からの引張応力等を第2絶縁材242で吸収あるいは緩和でき、第2基板本体20の破損や第1端部11aからの補強部12の離脱を抑制することが可能となる。
【0053】
また、補強部材23と収容部213との間における上記一端部の全領域が第2絶縁材242で充填される場合に限られず、
図2(a)、(b)に示すように、第1絶縁材241と第2絶縁材242との積層部243が設けられてもよい。この場合、当該領域は、適度な剛性と適度な弾性とを合わせ持つことから、可撓性配線基材11と補強部12との間の接続信頼性を高めることが可能となる。
【0054】
なお、要求される特性や仕様等に応じて、第2絶縁材242は、省略されてもよく、第2絶縁材242に代えて第1絶縁材241が補強部材23と収容部213との間に充填されてもよい。また、積層部243も必要に応じて省略されてもよく、上記一端部の全領域は第1絶縁材241又は第2絶縁材242で充填されてもよい。
【0055】
また、本実施形態に係る回路基板1は、素子搭載部40を有する。素子搭載部40は、補強部材23の第1主面23u上の配線層28の表面に配置されている。すなわち、素子搭載部40は、補強部材23の第1主面23u上に位置している。補強部材23上には、配線層28を介して複数の半導体素子271、272が間接的に搭載される。半導体素子271、272は、例えば、固体撮像素子である。さらに、複数の半導体素子271、272のそれぞれは、ボンディングワイヤ265を介してボンディングパッド261に電気的に接続されている。回路基板1と複数の半導体素子271、272とを含めて、半導体モジュールとすることができる。
【0056】
素子搭載部40の平面形状は、特に限定されず、補強部材23の平面形状に応じて設定される。例えば、補強部材23及び素子搭載部40のそれぞれを補強部12の厚み方向(Z軸方向)に投影した場合、素子搭載部40は、補強部材23の領域内に包含されている。例えば、素子搭載部40は、補強部材23の内部に収容可能な大きさの矩形状に形成される。素子搭載部40の大きさは、特に限定されず、例えば、各辺の長さが5mm〜20mm以下に設定される。
【0058】
制御基板30は、IC等の集積回路やその周辺部品等が搭載されるメイン基板に相当し、第1基板本体10を介して第2基板本体20と電気的に接続される。制御基板30は、典型的には、第2基板本体20よりも大面積の両面基板で構成される。
【0059】
制御基板30は、可撓性配線基材11の第2端部11bと、その両面にそれぞれ設けられた多層配線部31、32との積層体で構成される。多層配線部31、32は、典型的には、ビルドアップ法によって作製される。多層配線部31、32を構成する層間絶縁膜は、ガラスエポキシ系のリジッド性を有する材料で構成されてもよく、この場合、制御基板30はリジッド基板として構成される。
【0061】
回路基板1の製造方法について説明する。
【0062】
図3(a)〜
図4(d)は、回路基板の製造方法を説明する主な工程の概略断面図である。
【0063】
まず、
図3(a)、(b)に示すように、第1基板本体10を構成する可撓性配線基材11の第1端部11a側の所定領域に、補強部材23を収容するための収容部213(凹部)が形成される。収容部213の形成方法は特に限定されず、打ち抜き、切削等の機械加工やレーザ加工等の適宜の手法が採用可能である。
【0064】
続いて
図3(c)に示すように、可撓性配線基材11の一方の面(図中下面)に、収容部213を被覆する絶縁層212が形成される。絶縁層212の形成方法は特に限定されず、塗布法、転写法、ラミネート法等の適宜の手法が採用可能である。
【0065】
続いて
図3(d)に示すように、収容部213の内周面であって絶縁層212との境界部に第2絶縁材242を構成する材料が塗布される。その後、
図4(a)に示すように、収容部213内の絶縁層212上に補強部材23が配置されるとともに、補強部材23の外周面部と収容部213の内周面との間に第2絶縁材242が所定の高さに充填される。なお、この場合、第2絶縁材242の一部が補強部材23と絶縁層212との間に介在していても構わない。
【0066】
次いで
図4(b)に示すように、補強部材23の溝231と貫通孔232に、第1絶縁材241を構成する材料が充填される。この際、補強部材23の外周面と収容部213の内周面と第2絶縁材242との間の隙間にも第1絶縁材241が設けられることで、第1及び第2絶縁材241、242の積層構造からなる積層部243が形成される。
【0067】
その後、可撓性配線基材11の他方の面(図中上面)に、補強部材23を被覆する絶縁層211が形成される。絶縁層211の形成方法は特に限定されず、絶縁層212の形成方法と同様な手法が採用可能である。
【0068】
続いて
図4(c)に示すように、絶縁層211、212の表面に、配線221、222及び層間接続部223が形成される。配線221、222は、メッキ法、エッチング法等の適宜のパターン形成方法が採用可能であり、その一部は、絶縁層211、212に形成されたビアを介して補強部材23に接続される。層間接続部223は、補強部材23の貫通孔232に充填された第1絶縁材241に貫通孔を形成し、その内壁面に導体層をメッキ成長させたり、導体ペーストを充填したりすることによって形成される。
【0069】
続いて
図4(d)に示すように、絶縁層211、212を部分的に被覆する絶縁層251、252がそれぞれ形成され、さらに、第1基板本体10の形成領域内にある絶縁層211、212が部分的に除去される。これにより、第1基板本体10及び第2基板本体20、及び制御基板30を備えた回路基板1が作製される。
【0070】
この後、配線層28上の素子搭載部40に、ボンディングパッド261が形成され、素子搭載部40に、半導体素子271、271が接着剤、両面テープ等(図示しない)を介して実装される(
図2(a)、(b))。さらに、ワイヤボンディングによって、半導体素子271、271と、ボンディングパッド261とがボンディングワイヤ265を介して電気的に接続される。
【0071】
以上のように構成される本実施形態の回路基板1において、第2基板本体20は、可撓性配線基材11の第1端部11aに埋設された板状の補強部材23を有しているため、第2基板本体20の強度が向上する。
【0072】
さらに、回路基板1によれば、一体構造の補強部材23上に素子搭載部40が配置されているので、素子搭載部40の平坦性が向上する。
【0073】
例えば、補強部材が分割され、分割された補強部材のそれぞれに固体撮像素子が個別に搭載されると、複数の固体撮像素子のそれぞれにおける高さがずれる可能性がある。この場合、複数の固体撮像素子のそれぞれの光学的調整が難しくなり、複数の固体撮像素子を備えた回路基板の取り扱いが複雑になってしまう。
【0074】
これに対して、回路基板1によれば、板状で一体構造の補強部材23上に素子搭載部40を設け、この素子搭載部40に複数の固体撮像素子を配置する。これにより、複数の固体撮像素子のそれぞれの高さがずれにくくなり、複数の固体撮像素子のそれぞれの撮像面が補強部材23の第1主面23uに対して平行に配置される。これにより、複数の固体撮像素子の光学的調整が容易になる。さらに、一体構造の補強部材23を素子搭載部40下に配置すれば、補強部材23による放熱効果も向上し、複数の固体撮像素子の温度上昇が抑えられる。
【0075】
また、回路基板1においては、複数のボンディングパッド261が素子搭載部40に配置されるので、ボンディングパッド261の下地の強度も強くなっている。これにより、ボンディングワイヤ265をボンディングパッド261に接合する際には、ボンディングワイヤ265と接触するボンディングパッド261がずれにくくなる。ここで、ボンディングパッド261のずれとは、例えば、ボンディングパッド261の沈み、横ずれ等である。
【0077】
図5は、第2実施形態に係る回路基板の構成を示す概略断面図である。
図5は、
図1におけるB−B線方向断面図に対応している。
【0078】
本実施形態の回路基板2は、第1基板本体10と、第2基板本体20とを有する点で第1実施形態と共通する。但し、回路基板2は、半導体素子271、272のそれぞれが配線層28に埋設された点で、第1実施形態と異なる。
【0079】
本実施形態において、配線層28は、補強部材23の第1主面23uが露出する凹部281を有する。素子搭載部40は、凹部281を含む。本実施形態においては、凹部281の底部が素子搭載面となる。
【0080】
凹部281には、複数の半導体素子271、272のそれぞれが纏めて収容される。半導体素子271は、その底面からの少なくとも一部が凹部281内に収容されてもよく、完全に凹部281内に埋まるように収容されてもよい。同様に、半導体素子272は、その底面からの少なくとも一部が凹部281内に収容されてもよく、完全に凹部281内に埋まるように収容されてもよい。
【0081】
すなわち、回路基板2においては、複数の半導体素子271、272は、補強部材23の第1主面23u上に直接的に搭載される。複数の半導体素子271、272と、補強部材23との間には、接着剤、ハンダ層、金属ペースト等の接合材275が設けられてもよい。特に、半導体素子を構成する半導体基板と補強部材23との直接的な電気的な接続を図るときは、接合材275としてハンダ層、金属ペーストを用いることが望ましい。なお、補強部材23の第1主面23uに、下層からNi層/Au層、Ag層/Pd層/Au層等の鍍金を施してもよい。
【0082】
このような回路基板2であれば、板状の補強部材23の第1主面23u上に、複数の固体撮像素子が直接的に搭載されるので、複数の固体撮像素子のそれぞれの高さがよりずれにくく、複数の固体撮像素子のそれぞれの撮像面が補強部材23の第1主面23uに対してよりに平行に配置される。さらに、複数の固体撮像素子は、直接的に補強部材23上に設けられるので、補強部材23による放熱効果がさらに向上し、複数の固体撮像素子の温度上昇がより確実に抑えられる。
【0083】
また、回路基板2を用いれば、複数の半導体素子271、272のそれぞれの少なくとも一部が凹部281内に収容され、ボンディングワイヤ265の高さがより低くなることから、半導体モジュールの薄型化を図ることができる。
【0084】
また、回路基板2においては、半導体素子272、272の下に剛性の高い補強部材23が存在するため、第2基板本体20に作用する外力、温度変化に起因する変形から半導体素子271、272を確実に保護することができる。
【0086】
図6は、第3実施形態に係る回路基板の構成を示す概略断面図である。
図6は、
図1におけるB−B線方向断面図に対応している。
【0087】
本実施形態の回路基板3は、第1基板本体10と、第2基板本体20とを有する点で第1、2実施形態と共通し、複数の半導体素子271、272を収容する凹部281を有する点で第2実施形態と共通する。但し、回路基板3においては、凹部281が複数に分割さている点で、第1、2実施形態と異なる。
【0088】
回路基板3においては、凹部281が凹部281aと、凹部281bとを有する。回路基板3においては、複数の凹部281a、281bのそれぞれに、複数の半導体素子271、272のそれぞれが個別に搭載される。
【0089】
このような回路基板であれば、凹部281が複数に分割されるので、凹部281a、281b間に配線層28が残存し、この配線層28上にボンディングパッド261を形成することができる。すなわち、複数の半導体素子271、272間にもボンディングパッド261を配置することができる。これにより、ボンディングパッド261の配置の自由度が向上する。
【0091】
図7は、第4実施形態に係る回路基板の構成を示す概略断面図である。
図7は、
図1におけるB−B線方向断面図に対応している。
【0092】
回路基板4において、収容部213に補強部材23が収容されている点で回路基板1と共通する。但し、回路基板4においては、補強部材23の主面23u、23dに、配線225、226が設けられている。例えば、収容部213において補強部材23の第1主面23uに絶縁層215が設けられ、第2主面23dに絶縁層216が設けられている。さらに、絶縁層215には、配線225が設けられ、絶縁層216には、配線226が設けられている。配線225は、例えば、ビアを介して配線221に電気的に接続され、配線226は、例えば、ビアを介して配線222に電気的に接続されている。
【0093】
補強部材23の両主面23u、23dに配線225、226を配置した構成は、第2実施形態の回路基板2、第3実施形態の回路基板3に複合させてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合させることができる。
【0095】
例えば、以上の実施形態では、第2基板本体20及び補強部材23の平面形状がいずれも矩形状に形成されたが、これに限られず、矩形以外の多角形、円形その他の幾何学的形状に形成されてもよい。
【0096】
また、可撓性配線基材11の第2端部11bに制御基板30が設けられたが、制御基板30に代えて、コネクタ等のコンタクト部品が設けられてもよい。