特許第6644763号(P6644763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644763
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】精製アルカリ土類金属炭酸塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20200130BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20200130BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200130BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200130BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   C01F11/18 M
   H01L33/50
   G02F1/1333 500
   H05B33/14 A
   H05B33/02
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-503910(P2017-503910)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公表番号】特表2017-530075(P2017-530075A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015066622
(87)【国際公開番号】WO2016012438
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】14178196.3
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハルディングハウス, フェルディナント
(72)【発明者】
【氏名】ボンマン, エーリク
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルス, アヒム
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−062199(JP,A)
【文献】 特開平10−017323(JP,A)
【文献】 特表2013−540687(JP,A)
【文献】 特表2005−507357(JP,A)
【文献】 特開昭55−023055(JP,A)
【文献】 特開昭53−024261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00−17/00
G02F 1/1333
H01L 27/32
33/00
33/48−33/64
51/50
H05B 33/00−33/28
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製アルカリ土類金属炭酸塩を製造するための方法であって、
a)アルカリ土類金属炭酸塩を焼成する工程と、
b)前記焼成されたアルカリ土類金属炭酸塩を、塩を含む水性相で洗浄する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記アルカリ土類金属炭酸塩が、BaCOおよび/またはSrCOである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)の前記焼成手順が、150〜1000℃の温度で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)の前記水性相に含まれる前記塩が、炭酸塩、塩化物、臭化物、リン酸塩またはクエン酸塩、好ましくは炭酸である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩が、アルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程b)の前記水性相中の塩の含有量が、前記工程a)の焼成生成物の全硫黄含有量に基づいて計算して、1〜200化学量論的当量、好ましくは10〜20化学量論的当量に相当する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)が繰り返される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)の前記焼成手順に供給される前記アルカリ土類金属炭酸塩が、200〜1700ppmの全硫黄含有量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)後の前記アルカリ土類金属炭酸塩が、0.1〜200ppmの全硫黄含有量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程a)の前記焼成手順に供給される前記アルカリ土類金属炭酸塩が、12〜30μmの粒子サイズD90値および2.5〜9μmの粒子サイズD50値を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程a)の前記アルカリ土類金属炭酸塩が、焼成後に700〜1100μmの粒子サイズD90値および350〜750μmの粒子サイズD50値を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記精製アルカリ土類金属炭酸塩が、ガラス、セラミックス、エレクトロニクスの分野における生成物および/またはデバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、セラミックキャパシタまたはテレビジョンスクリーンの製造において使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製アルカリ土類金属炭酸塩の製造方法、前記方法により得られ得る精製アルカリ土類金属炭酸塩、ならびにエレクトロニクスおよびガラスの分野における生成物およびデバイスの製造におけるその使用に関する。
【0002】
高純度のアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、SrCO3およびBaCO3は、エレクトロニスおよびガラス産業におけるアルカリ土類金属炭酸塩の用途で非常に重要である。特に、ガラスおよびエレクトロニクスの分野、例えば、バッテリ、サーミスタ、キャパシタ、セラミック電気部品およびラジオ部品におけるこのような炭酸塩の使用が低い硫黄含有量を必要とするので、アルカリ土類金属炭酸塩中の全硫黄含有量の減少は関心事である。アルカリ土類金属炭酸塩の他の用途、例えば、セラミックス、顔料、ゴム、塗料または溶接棒も、低い硫黄含有量から利益を受ける。硫黄含有量は、通常アルカリ土類金属炭酸塩中で高いが、その炭酸塩が典型的には、アルカリ土類金属硫酸塩の硫化物への還元、その後のアルカリ土類金属炭酸塩への炭酸化によって生成されるからである。硫黄含有不純物によるアルカリ土類金属炭酸塩生成物の汚染は、この方法において固有のものである。他の方法の工程または代替の方法も、硫黄含有不純物による汚染をもたらし得る。アルカリ土類金属炭酸塩からの他の不純物、例えば、ナトリウム含有不純物の量を減少させることはさらに望ましい。
【0003】
日本特許第1031673号公報には、BaSとCO2との反応に塩基性化合物を添加し、得られたBaCO3を酸素不含ガスストリーム中で加熱し、その後、洗浄および乾燥させることが記載されている。得られた生成物は、170ppmの硫黄含有量を有する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、具体的にはアルカリ土類金属炭酸塩の硫黄含有量を減少させるために、アルカリ土類金属炭酸塩を精製するための改良された方法を提供することである。他の不純物もこの方法によって減少させることができる。したがって、本発明による方法は、
a)前記アルカリ土類金属炭酸塩を焼成する工程と、
b)焼成されたアルカリ土類金属炭酸塩を、塩を含む水性相で洗浄する工程と
を含む。
【0005】
本発明はさらに、本発明による方法によって得られ得る精製アルカリ土類金属炭酸塩、ならびにエレクトロニクスおよびガラス産業における生成物およびデバイスの製造におけるその使用に関する。
【0006】
「硫黄含有量を減少させること」または「不純物を減少させること」は、本発明の根本的な化学的概念が、このような不純物の、酸化状態の還元を意味する、化学的還元に制限されるか、またはそれのみに基づくことを暗示しないことが留意されるべきである。この文脈において、「減少させること」または「減少」は、精製アルカリ土類金属炭酸塩が、この方法に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩よりも、より低い量の不純物、特に硫黄不純物を含有することをむしろ意味し;前記不純物の含有量は減少する。他方で、これは、化学的還元方法が、本発明による不純物含有量の減少に関与し得ることを排除しない。
【0007】
本発明において、アルカリ土類金属炭酸塩は、式MCO(式中、Mは、アルカリ土類金属としても知られる、化学的周期系の第2の主族の金属である)の化合物を示すことを意図する。本発明による好ましいアルカリ土類金属炭酸塩は、BaCOおよびSrCOである。2種以上の土類金属炭酸塩の混合物も、用語「アルカリ土類金属炭酸塩」に含まれる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による方法の工程a)に供給される、アルカリ土類金属炭酸塩、または2種以上のアルカリ土類金属炭酸塩の混合物は、MSOの還元によってしばしば製造されるMSから製造される。
【0009】
本発明において、「硫黄含有量」は、ppmで表される。それは、臭素水溶液の添加、HClの添加、形成される不溶性MSO4のその後の回収および重量分析によって、アルカリ土類金属炭酸塩試料中のすべての硫黄不純物を酸化することによって測定される。試料中のMSO4の含有量は、重量%で表され、全硫黄含有量は、係数0.1373で乗じることによってこの量から計算される。重量%は、ppmとして表されもよく、ここで、1重量%は、10,000ppmである。硫黄含有量は、以下の手順に従って好適に決定することができる。
【0010】
約25gのMCO3を、コンマの後の4桁まで正確に、600mLのビーカー中に秤量した。250mlの蒸留水、ろ紙片、および一連のろ紙を加えた。水中の臭素の100mLの飽和溶液を添加し、続いて、30mLの濃HClを注意深く添加した。400mLの全体積に達するように蒸留水を加えた。ビーカーを加熱し、それにより、溶液の体積を100〜150mLに減少させた。この混合物をろ紙を介して濾過し、濾液が塩化物を含まなくなるまで、残渣を高温蒸留水で洗浄した。一定重量に達するまで炉中800〜900℃で、風袋が秤量されたPtるつぼの中でろ紙を燃焼させた。風袋を秤量した空のるつぼに対しての重量差がMSOの含有量であり、秤量されたMCO試料の硫黄含有量を計算するために使用した。
【0011】
他のカチオン性不純物、例えば、Na、Li、Ni2+、Mn2+、Fe3+、Al3+などは、試料MCO3の水性HClによる温浸後にICP−OE分光法によって好適に決定することができる。
【0012】
一般に、工程a)で本方法に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩は、不純物、特に硫黄不純物を含有する。工程a)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩の全硫黄含有量、または他の不純物中の含有量は、広範な値を有し得る。本発明の1つの態様において、本発明による方法の工程a)で供給されるアルカリ土類金属炭酸塩は、一般に全硫黄含有量Aを含有する。Aは、ppmで表される。この態様において、Aは、一般に200〜1700ppmの値を有する。しばしば、Aは、200ppm以上である。好ましくは、Aは、250ppm以上である。さらにより好ましくは、Aは、270ppm以上である。最も好ましくは、Aは、300ppm以上である。一般に、Aは、1700ppm以下である。よりしばしば、Aは、1650ppm以下である。好ましくは、Aは、1600ppm以下である。より好ましくは、Aは、1550ppm以下である。最も好ましくは、Aは、1500ppm以下である。
【0013】
一般に、工程a)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩の粒子サイズは、広範な値を有し得る。本発明の1つの実施形態において、本方法の工程a)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩は、特定の粒子サイズを有する。しばしば、本発明による方法の工程a)に供給される、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子は、12〜30μmのD90値を有する。しばしば、D90値は、12μm以上である。好ましくは、D90値は、13μm以上である。さらにより好ましくは、D90値は、14μm以上である。最も好ましくは、D90値は、15μm以上である。一般に、D90値は、30μm以下である。よりしばしば、D90値は、29μm以下である。好ましくは、D90値は、28μm以下である。より好ましくは、D90値は、27μm以下である。最も好ましくは、D90値は、26μm以下である。D90値は、全粒子の90%が、D90値以下の粒子サイズを有することを決定する。しばしば、本発明による方法の工程a)に供給される、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子は、2.5〜9μmのD50値を有する。しばしば、D50値は、2.5μm以上である。好ましくは、D50値は、3μm以上である。さらにより好ましくは、D50値は、3.5μm以上である。最も好ましくは、D50値は、4μm以上である。一般に、D50値は、9μm以下である。よりしばしば、D50値は、8.5μm以下である。好ましくは、D50値は、8μm以下である。より好ましくは、D50値は、7.5μm以下である。最も好ましくは、D50値は、7μm以下である。D50値は、全粒子の50%が、D50以下の粒子サイズを有することを決定する。粒子サイズは、レーザ回折によって好適に決定される。
【0014】
一般に、工程a)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩のBET値は、広範な値を有し得る。本発明の1つの実施形態において、工程a)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩は、1〜10g/mのBET値を有する。BET値は、粒子の比表面積を表し、粒子の表面上の気体分子の物理的吸着によって測定される。BETは、Brenauer−Emmet−Teller(BET)の方法に従ってN2等温吸着によって好適に測定される。
【0015】
本発明の方法によれば、アルカリ土類金属炭酸塩は、工程a)で本方法に供給され、このアルカリ土類金属炭酸塩は焼成される。「焼成」は、熱処理プロセスを示すことが意図され、これは、好ましくは酸素を含む気体の存在下で行われる。本発明の別の態様において、焼成は、酸素を含まない不活性雰囲気で行われる。焼成は、好適な反応器、例えば、高炉、回転炉、多段炉、および流動床反応器を含む様々な設計の、キルンまたは焼成炉と称されることもある、炉または反応器で行われる。焼成は、連続的にまたはバッチ式で行われてもよい。焼成温度は、炭酸塩が分解しないように選択される。一般に、焼成温度は、セ氏150温度〜セ氏1000温度である。一般に、焼成温度は、セ氏150温度以上である。好ましくは、焼成温度は、セ氏300温度以上である。最も好ましくは、焼成温度は、セ氏500温度以上である。しばしば、焼成温度は、セ氏1000温度以下である。好ましくは、焼成温度は、セ氏950温度以下である。最も好ましくは、焼成温度は、セ氏900温度以下である。一般に、焼成温度は、30分〜3時間保持される。しばしば、焼成温度は、30分以上保持される。好ましくは、焼成温度は、45分以上保持される。最も好ましくは、焼成温度は、1時間以上保持される。しばしば、焼成温度は、3時間以下保持される。好ましくは、焼成温度は、2.5時間以下保持される。最も好ましくは、焼成温度は、2時間以下保持される。
【0016】
焼成プロセスは、好ましくは周囲圧力下で行われる。高圧または低圧(真空)での焼成も可能である。
【0017】
焼成生成物は、一般に、焼成工程に供給される粒子と比較して焼成プロセス中により大きい粒子を形成することを示すことを意図する、顆粒特性を有する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むことなく、硫黄不純物は、工程b)で使用される水性金属塩相に可溶性である硫黄不純物に焼成の間に変換され、焼成操作の間に焼成粒子の表面にさらに移動し、それにより、工程b)での洗浄操作に利用しやすくなると考えられる。驚くべきことに、1種以上の金属塩を含有する水性相で焼成生成物を洗浄することは、焼成生成物の全硫黄含有量を著しく減少させることがわかった。他の不純物も、減少させることができる。この顕著な効果は、未焼成アルカリ金属炭酸塩を洗浄することと比較してかなりより良好な結果を与える。
【0018】
一般に、焼成生成物である、工程b)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩の粒子サイズは、広範な範囲を有し得る。本発明の1つの実施形態において、本方法の工程b)に供給されるアルカリ土類金属炭酸塩は、特定の粒子サイズを有する。
【0019】
しばしば、本発明による方法の工程b)に供給される、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子は、700〜1100μmのD90値を有する。しばしば、D90値は、725μm以上である。好ましくは、D90値は、750μm以上である。さらにより好ましくは、D90値は、775μm以上である。最も好ましくは、D90値は、800μm以上である。一般に、D90値は、1100μm以下である。よりしばしば、D90値は、1075μm以下である。好ましくは、D90値は、1050μm以下である。より好ましくは、D90値は、1025μm以下である。最も好ましくは、D90値は、1000μm以下である。D90値は、全粒子の90%が、D90以下の粒子サイズを有することを決定する。しばしば、本発明による方法の工程b)に供給される、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子は、350〜750μmのD50値を有する。しばしば、D50値は、350μm以上である。好ましくは、D50値は、360μm以上である。さらにより好ましくは、D50値は、370μm以上である。最も好ましくは、D50値は、380μm以上である。一般に、D50値は、750μm以下である。よりしばしば、D50値は、740μm以下である。好ましくは、D50値は、730μm以下である。より好ましくは、D50値は、720μm以下である。最も好ましくは、D50値は、710μm以下である。D50値は、全粒子の50%が、D50以下の粒子サイズを有することを決定する。粒子サイズは、レーザ回折によって好適に決定される。
【0020】
好ましくは、焼成は、任意選択の前プロセス工程後に乾燥されなかったアルカリ土類金属炭酸塩に対して行われる。しばしば、この前プロセス工程は、MS溶液からのアルカリ土類炭酸塩の沈殿である。MCOが生成される、任意選択の前プロセス工程の化学的性質とは無関係に、一般にアルカリ土類金属炭酸塩は、焼成工程前に10〜60重量%の水含有量を有する。しばしば、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、12重量%以上である。好ましくは、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、10重量%以上である。最も好ましくは、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、15重量%以上である。しばしば、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、60重量%以下である。好ましくは、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、55重量%以下である。より好ましくは、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、52重量%以下である。最も好ましくは、焼成工程前のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、50重量%以下である。本発明の別の態様において、焼成操作前の乾燥アルカリ土類金属炭酸塩に水を添加して、上述の水含有量を達成することができる。本発明のさらなる態様において、例えば、その全体が参照により本明細書によって組み込まれる、米国特許第5366513号明細書に記載されたとおりに、アルカリ土類炭酸塩に結合剤を添加して、焼成操作における造粒効果を改善することができる。
【0021】
本発明の1つの態様において、アルカリ土類金属炭酸塩は、焼成工程後に冷却される。冷却は、例えば、焼成装置を冷却することによって能動的に、または熱源を取り除き、放置して、焼成装置中での生成物を冷却することによって受動的に、のいずれかで行うことができる。しばしば、焼成生成物は、焼成後に周囲温度に冷却される。好ましくは、焼成生成物は、5℃以上の温度に冷却される。より好ましくは、焼成生成物は、10℃以上の温度に冷却される。最も好ましくは、焼成生成物は、15℃以上の温度に冷却される。好ましくは、焼成生成物は、95℃以下の温度に冷却される。より好ましくは、焼成生成物は、80℃以上の温度に冷却される。最も好ましくは、焼成生成物は、65℃以上の温度に冷却される。
【0022】
本発明による方法において、焼成され、任意選択で冷却されたアルカリ土類金属炭酸塩は、少なくとも1種の金属塩を含有する水性相で工程b)において洗浄される。一般に、工程b)で使用される水性相中に含有される少なくとも1種の金属塩は、金属塩に含まれるカチオンの硫酸塩が、1種以上のアルカリ土類金属炭酸塩に含まれるアルカリ土類金属カチオンの硫酸塩よりも水中でより高い溶解度を有するように選択される。この文脈において、「より高い溶解度」は、1種以上の金属塩中のカチオンの硫酸塩または硫酸塩類が、1種以上のアルカリ土類金属炭酸塩に含まれる1種以上のアルカリ土類金属カチオンの硫酸塩または硫酸塩類よりも25℃でg/100g水中のより高い溶解度を有することを示すことを意図する。好ましくは、工程b)の水性相中に含有される金属塩のカチオンは、Na+、K+、Li+、Cs+、Rb+からなる群である、アルカリ金属の群から選択される。Na+およびLi+は、好ましいカチオンであり、Na+は、最も好ましいカチオンである。工程b)での水性相に含有される金属塩のアニオンは、一般に炭酸塩、塩化物、臭化物、リン酸塩およびクエン酸塩からなる群から選択され、ここで、炭酸塩が好ましい。工程b)での水性相に含有される最も好ましい金属塩は、Na2CO3である。1種以上の金属塩の混合物も、用語「金属塩」によって示される。
【0023】
工程b)の水性相は、焼成アルカリ土類金属炭酸塩の硫黄含有量に関係する、金属塩の含有量を有する。一般に、工程b)の水性相は、少なくとも1化学量論的当量の金属塩を含有する。例証として、化学量論的当量は、上で説明されたとおりの重量分析により測定されて試料中に存在するMSOの理論モル当たり、カチオンが二価である場合、1モルの金属塩カチオン、またはカチオンが一価である場合、2モルの金属塩カチオンを示す。好ましくは、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、3化学量論的当量以上である。最も好ましくは、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、6化学量論的当量以上である。しばしば、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、30化学量論的当量以下である。好ましくは、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、25化学量論的当量以下である。最も好ましくは、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、21化学量論的当量以下である。最も好ましい態様において、工程b)での水性相中の金属塩含有量は、10〜20化学量論的当量である。
【0024】
工程b)が、MCO3を水性相と一緒に攪拌することによりMCO3のバッチで行われるバッチプロセスにおいて、工程b)での水性相の体積は、一般にMCO3のバッチのバルク堆積の1体積当量以上である。水性相の体積は、水性相が添加されたもののバッチの撹拌性によって主として決定される。水性相の体積は、好ましくはMCO3のバッチのバルク体積の1.5体積当量以上である。水性相の体積は、しばしばMCO3のバッチのバルク体積の8体積当量以下である。好ましくは、水性相の体積は、しばしばMCO3のバッチのバルク体積の5体積当量以下である。より好ましくは、水性相の体積は、しばしばMCO3のバッチのバルク体積の3体積当量以下である。
【0025】
工程b)での水性相の温度は、一般に0℃〜X℃であり、ここで、Xは、アルカリ金属塩を含有する水性洗浄溶液の沸点を示す。しばしば、水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、5℃以上である。より好ましくは、水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、10℃以上である。最も好ましくは、水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、15℃以上である。一般に水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、X℃以下である。より好ましくは、水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、(X−5)℃以下である。最も好ましくは、水性相の温度および/または工程b)での水性相の添加後に維持される温度は、(X−10)℃以下である。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、工程b)は、焼成アルカリ土類金属炭酸塩に水性相を添加することによって、または代わりに、水性相に焼成アルカリ土類金属炭酸塩を添加することによって行われる。撹拌は、添加の間および/または後に適用される。撹拌時間はしばしば、30秒〜6時間である。好ましくは、撹拌時間は、1分以上である。より好ましくは、撹拌時間は、5分以上である。最も好ましくは、撹拌時間は、10分以上である。好ましくは、撹拌時間は、5時間以下である。より好ましくは、撹拌時間は、3時間以下である。最も好ましくは、撹拌時間は、1時間以下である。本発明の別の態様において、工程b)は、焼成アルカリ土類金属炭酸塩をすすぎ洗いすることによって、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩をフィルタ上にまたは別の固体/液体分離装置中に置き、アルカリ土類金属炭酸塩に水性相を添加し、アルカリ土類金属炭酸塩の床(bed)を通過させた後にアルカリ土類金属炭酸塩から使用済み洗浄溶液を分離することによって行うことができる。本発明のさらに別の態様において、水性相中の焼成アルカリ土類金属炭酸塩の懸濁液は撹拌され、次いで、濾過され、アルカリ土類金属炭酸塩の床はすすぎ洗いされる。工程b)の1つ以上が、任意選択でその後に行われ、有利には、工程間でアルカリ土類金属炭酸塩から使用済み水性相を分離する。任意選択で、アルカリ土類金属炭酸塩は、繰り返された工程b)間で、水で洗浄される。工程b)が1回以上繰り返される場合、アルカリ土類金属炭酸塩は、繰り返される工程b)間で、乾燥工程、例えば、熱、真空または空気流の適用に任意選択でかけられるが、これは好ましくない。工程b)または複数の工程b)は、バッチ式にまたは連続的に行うことができる。
【0027】
工程b)でのアルカリ土類金属炭酸塩の洗浄を完了後、使用済み水性相は、アルカリ土類金属から好適に分離される。使用済み水性相を分離するための好適な方法としては、例えば、濾過、スピニングまたはデカンティングが挙げられる。
【0028】
本発明の1つの好ましい実施形態において、アルカリ土類金属炭酸塩は、工程b)後に水性洗浄剤で洗浄される。好ましくは、水性洗浄剤は水である。用語「水」は、任意の品質の水(例えば、脱イオン水、精製水、蒸留水、再蒸留水、濾過水、工業プロセスからの水、または同様に、都市用水、水道水、硬水、軟水)を示すことを意図する。本発明の別の態様において、工程b)のアルカリ土類金属炭酸塩は、塩を含有する水性洗浄剤で工程b)後に洗浄される。しばしば、水もしくは水性相の温度および/または水もしくは水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、5℃以上である。より好ましくは、水性洗浄剤の温度または水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、10℃以上である。最も好ましくは、水性洗浄剤の温度および/または水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、15℃以上である。一般に、水性洗浄剤の温度および/または水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、Y℃以下であり、ここで、Yは、水性洗浄剤の沸騰温度であり、例えば、水が水性洗浄剤として使用される場合、Y=100である。より好ましくは、水性洗浄剤の温度および/または水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、(Y−2)℃以下である。最も好ましくは、水もしくは水性相の温度および/または水性洗浄剤の添加後に維持される温度は、(Y−10)℃以下である。水性洗浄剤を使用する洗浄工程は、工程b)として同じ反応器中で、または工程b)後にアルカリ土類金属炭酸塩から金属塩を含有する使用済み水性相を分離するために使用される液体/固体分離装置中で行われることが好ましい。任意選択で、アルカリ土類金属炭酸塩は、工程b)後に水性洗浄剤で洗浄するための好適な反応器に移すこともできる。水性洗浄剤は、濾過、スピニングおよびデカンティングからなる群から選択される好適な技術によって洗浄を完了した後、アルカリ土類金属炭酸塩から分離することができる。アルカリ土類金属炭酸塩から工程b)の水性相を分離し、アルカリ土類金属炭酸塩を水性洗浄剤で洗浄する、1つ以上の工程b)は、任意の好適な順序で組み合わせることができる。アルカリ土類金属炭酸塩から工程b)の水性相を分離し、アルカリ土類金属炭酸塩を水性洗浄剤で洗浄する、1つ以上の工程b)が組み合わせられる場合、アルカリ土類金属炭酸塩は、好ましくは工程間で乾燥されないが、必要に応じて部分的または完全な乾燥を行うことができる。驚くべきことに例えば、工程b)での水性相中に含有される金属塩からの、カチオン性不純物の量は、特に工程b)での水性洗浄溶液中のソーダ灰の使用の場合、著しくは高くなく、特に水が工程b)後の洗浄工程で使用される場合、減少することさえあり得る。NaCOが工程b)での水性相中に含有される場合、アルカリ土類金属炭酸塩の最終ナトリウム含有量は、しばしば150ppm以下である。好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩の最終ナトリウム含有量は、120ppm以下である。最も好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩の最終ナトリウム含有量は、100ppm以下である。
【0029】
本発明の1つの好ましい実施形態において、アルカリ土類金属炭酸塩は、アルカリ土類金属炭酸塩からの水性相の分離後、または工程b)の後でのアルカリ土類金属炭酸塩からの洗浄工程の水性洗浄剤の分離後の工程b)後に乾燥される。精製アルカリ土類金属炭酸塩の乾燥は、当業者に公知の方法によって、例えば、加熱、真空の適用、またはアルカリ土類金属炭酸塩を通してまたはその上へのガスの吹き付けからなる群から1つ以上の技術を選択することによって行うことができる。好ましい乾燥手順は、回転炉中で精製アルカリ土類金属炭酸塩を加熱することを含む。しばしば、乾燥温度は、装置にかかわらず、40℃〜300℃である。一般に、乾燥温度は、45℃以上である。より好ましくは、乾燥温度は、60℃以上である。最も好ましくは、乾燥温度は、80℃以上である。一般に、乾燥温度は、800℃以下である。好ましくは、乾燥温度は、500℃以下である。より好ましくは、乾燥温度は、230℃以下である。最も好ましくは、乾燥温度は、200℃以下である。残存水分含有量は、適切な乾燥条件、例えば、温度および時間を選択することによって望ましいレベルに調整することができる。一般に、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩は、10〜1000ppmの水含有量を有する。好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、10ppm以上である。さらにより好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、15ppm以上である。最も好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、20ppm以上である。好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、1000ppm以下である。さらにより好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属炭酸塩の水含有量は、950ppm以下である。最も好ましくは、乾燥後のアルカリ土類金属の水含有量は、900ppm以下である。
【0030】
本発明の1つの実施形態において、乾燥工程によって得られたアルカリ土類金属炭酸塩は、60℃〜850℃の温度での熱処理によって個別の造粒プロセスでさらに熱的に造粒することができる。
【0031】
本発明の別の実施形態において、乾燥および/またはその後の別個の造粒の間に、造粒助剤、例えば、NaOHまたはケイ酸ナトリウムが、アルカリ土類金属炭酸塩に添加される。
【0032】
本発明はさらに、以下の方法:
a)アルカリ土類金属炭酸塩を焼成することと、
b)焼成されたアルカリ土類金属炭酸塩を、塩を含む水性相で洗浄することと
によって得られ得る、精製アルカリ土類金属炭酸塩に関する。
【0033】
本方法の他の態様は、上述されている。
【0034】
本発明による方法によって得られ得る、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、特に全硫黄において、不純物の低い含有量を示す。アルカリ土類金属炭酸塩中の低い硫黄含有量が、特に、アルカリ土類金属炭酸塩が使用される、ガラスおよびエレクトロニス分野で望ましい。これまで、特にアルカリ土類金属炭酸塩が、MSから、または硫黄含有中間体もしくは出発原料を必要とする他の方法で製造される場合、驚くべきことに本発明によって示されたとおりの非常に低い量に全硫黄含有量を減少させることは可能でなかった。1つの態様において、本発明による方法よって得られ得るアルカリ土類金属炭酸塩は、CO2またはアルカリ土類金属炭酸塩との反応によってMSから製造される。MSはしばしば、MSOの還元によって製造される。一般に、精製アルカリ土類金属炭酸塩の全硫黄含有量は、0.1ppm〜200ppmである。しばしば、精製アルカリ土類金属炭酸塩の最終全硫黄含有量は、200ppm以下である。好ましくは、最終全硫黄含有量は、150ppm以下である。より好ましくは、最終全硫黄含有量は、100ppm以下である。最も好ましくは、全硫黄含有量は、80ppm以下である。しばしば、精製アルカリ土類金属炭酸塩の最終全硫黄含有量は、0.1ppm以上である。好ましくは、最終全硫黄含有量は、1ppm以上である。より好ましくは、最終全硫黄含有量は、2ppm以上である。最も好ましくは、全硫黄含有量は、3ppm以上である。
【0035】
一般に、精製アルカリ土類金属炭酸塩の粒子サイズは、広範な値を有し得る。本発明の1つの実施形態において、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、特定の粒子サイズを有する。
【0036】
しばしば、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、700〜1100μmのD90値を有する。しばしば、D90値は、725μm以上である。好ましくは、D90値は、750μm以上である。さらにより好ましくは、D90値は、775μm以上である。最も好ましくは、D90値は、800μm以上である。一般に、D90値は、1100μm以下である。よりしばしば、D90値は、1075μm以下である。好ましくは、D90値は、1050μm以下である。より好ましくは、D90値は、1025μm以下である。最も好ましくは、D90値は、1000μm以下である。D90値は、全粒子の90%が、D90以下の粒子サイズを有することを決定する。しばしば、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、350〜750μmのD50値を有する。しばしば、D50値は、350μm以上である。好ましくは、D50値は、360μm以上である。さらにより好ましくは、D50値は、370μm以上である。最も好ましくは、D50値は、380μm以上である。一般に、D50値は、750μm以下である。よりしばしば、D50値は、740μm以下である。好ましくは、D50値は、730μm以下である。より好ましくは、D50値は、720μm以下である。最も好ましくは、D50値は、710μm以下である。D50値は、全粒子の50%が、D50以下の粒子サイズを有することを決定する。粒子サイズは、レーザ回折によって好適に決定される。最も好ましいものは、800〜1000μmのD90および500〜700μmのD50を有する精製アルカリ土類金属炭酸塩である。
【0037】
一般に、精製アルカリ土類金属炭酸塩のBET値は、広範な値を有し得る。本発明の1つの実施形態において、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、≦1g/mのBET値を有する。BET値は、粒子の比表面積を表し、粒子の表面上の気体分子の物理的吸着によって測定される。BETは、Brenauer−Emmet−Teller(BET)の方法に従ってN2等温吸着によって好適に測定される。
【0038】
本発明はさらに、ガラスまたはセラミックス製造およびエレクトロニクス産業における添加剤としての、本発明による方法によって得られ得る、精製アルカリ土類炭酸塩の使用に関する。添加剤として、本発明の方法によって得られ得る、精製アルカリ土類金属炭酸塩を用いて製造されるガラスは、テレビジョン製造、OLED(有機発光ダイオード)およびLCD(液晶ディスプレイ)デバイスに特に適している。ガラス製造の原理は、例えば、米国特許第5395806号明細書またはBeerkens,R.G.C.,Nijnatten,P.A.およびLe Bourthis,E.2011.Glass,2.Production,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている。しばしば、本発明による方法によって得られ得る1種以上のMCO3が、ガラス溶融物に添加されるか、またはその化合物と混合されて、ガラス製造工程で溶融される。例えば、添加物として、本発明による方法によって得られ得る、精製アルカリ土類金属炭酸を用いて製造されるセラミックスは、電子部品、例えば、キャパシタまたはサーミスタの製造に特に適している。例えば、米国特許出願公開第2009213527号明細書には、添加物としてBaCO3を使用して製造されるセラミックチップキャパシタが記載されている。一般に、セラミックス製造において、本発明による方法によって得られ得る、1種以上の精製アルカリ土類金属炭酸塩は、他のセラミックス前駆体と混合され、加熱されて、セラミック材料を形成する。本発明による方法によって得られ得る、精製アルカリ土類金属炭酸塩は、LED(発光ダイオード)製造のための蛍光体の製造で使用することもできる。例えば、独国特許第102010030473号明細書および欧州特許第2129740B1号明細書には、LED蛍光体製造での添加物としてのBaCO3およびSrCO3の使用が記載されている。しばしば、本発明の方法によって得られ得る1種以上のMCO3は、混合され、加熱されて、蛍光体材料または前駆体を形成する。上述の刊行物のすべては、参照により本明細書によって組み込まれる。
【実施例】
【0039】
アルカリ土類金属炭酸塩の焼成:
対応する硫酸塩の還元によって得られた、MSの溶液に、CO2を通した。得られたMCO3を濾過し、水で洗浄し、洗浄水をMCO3から分離した。回収されたMCO3を、酸素を含む雰囲気中で回転炉中約800℃に加熱した。焼成生成物を周囲温度に冷却した。
【0040】
焼成アルカリ土類金属炭酸塩の洗浄:
100gの生成物の試料を、ビーカーガラス中焼成MCO3の硫黄含有量に対して計算された10〜20化学量論的当量を含有するソーダの500mLの溶液に入れた。この懸濁液を25℃および約250rpmで15分間撹拌し、次いで、吸込みフィルタにより濾過した。残渣を3倍体積(MCO3体積と比較して)の高温純水で3回洗浄し、乾燥キャビネット中130℃で乾燥させた。
【0041】
【0042】
異なる温度での焼成アルカリ土類金属炭酸塩の洗浄:
100gの生成物の試料を、ビーカーガラス中焼成MCO3の硫黄含有量に対して計算された10〜20化学量論的当量を含有するソーダの500mLの溶液に入れた。この懸濁液を指示された温度および約250rpmで15分間攪拌し、次いで、吸込みフィルタにより濾過した。残渣を、3倍体積(MCO3体積と比較して)の高温純水で3回洗浄し、乾燥キャビネット中160℃で乾燥させた。
【0043】
焼成BaCO3の初期硫黄含有量:275ppm
20°で洗浄し、乾燥させた後の焼成BaCO3の最終硫黄含有量:140ppm
90°で洗浄し、乾燥させた後のBaCO3の最終硫黄含有量焼成:74ppm