(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644771
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステム、並びに、放射線療法計画コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20200130BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61B5/055 350
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-512037(P2017-512037)
(86)(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公表番号】特表2017-527368(P2017-527368A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2015069916
(87)【国際公開番号】WO2016034568
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】14183412.7
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/045,138
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】515205886
【氏名又は名称】インパック メディカル システムズ、 インク.
【氏名又は名称原語表記】IMPAC MEDICAL SYSTEMS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥマ ウィクリフ アデル
(72)【発明者】
【氏名】ハルコラ アンヌマリア ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】モロウ ミシェル
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−236018(JP,A)
【文献】
特表2012−531223(JP,A)
【文献】
特表2013−511361(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0273795(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/044635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61N 5/10
G01R 33/20 ― 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号を送信及び/又は受信するための少なくとも1つのアンテナであって、前記アンテナはアンテナ部品を含む、アンテナと、
前記アンテナ部品を包囲するカバーであって、前記カバーは中心部と外縁とを含み、前記カバーの厚さ及び/又は密度は、空気と比較して前記包囲するカバー間の放射線減衰の差を補うために、前記中心部から前記外縁に向かう方向に減少する、カバーと、
を含む、磁気共鳴放射線療法システムと組み合わせて使用され、治療の供給時に前記磁気共鳴放射線療法システム内に配置される、磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステム。
【請求項2】
前記包囲するカバーは、テーパ状の縁を含む、請求項1に記載の磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステム。
【請求項3】
前記包囲するカバーの前記厚さ及び/又は密度は、アンテナ部品の近く及びアンテナ部品に向かう方向に増加する、請求項1又は2に記載の磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステム。
【請求項4】
放射線療法中に設定が使用されると、送達されたフルエンス分布が、所定の範囲内の計画されたフルエンス分布に類似するように、放射線療法システムの当該設定を計算する計画モジュールと、
アンテナシステムの位置、厚さの空間的変動及び/又は密度の空間的変動に関する情報を含む、アンテナシステム情報モジュールと、
を含む、磁気共鳴誘導放射線療法を計画するための、放射線療法計画コンピュータプログラムであって、
前記計画モジュールは、包囲するカバーと空気との放射線減衰の差を補うために、請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステムの位置、厚さの空間的変動及び/又は密度の空間的変動を考慮し、前記設定を計算する、
放射線療法計画コンピュータプログラム。
【請求項5】
前記磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステムの前記空間的変動は、放射線ビームの減衰の空間的変動を緩やかにする、請求項4に記載の放射線療法計画コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴画像の分野におけるデバイス及びコンピュータプログラム製品に関する。より詳細には、本発明は、磁気共鳴画像誘導放射線療法においてその応用を見出す。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線療法は、リスク描写の腫瘍及び臓器のため並びに治療ガイダンスのためのCT及びコーンビームCT撮像に基づく。磁気共鳴画像(MRI)の優れた軟組織コントラストによって、MRIベースの放射線療法はますます普及している。腫瘍制御と正常組織合併症との最良のバランスを可能な限り保つためには、放射線量は腫瘍内で高く、正常組織ではできるだけ低くすべきである。更に、十分なMR画像品質を維持すると同時に、放射線量の送達は正確で予測可能である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、本開示の実施形態は、十分なMR画像品質を尚達成しながら、放射線療法に関する上述の問題の少なくとも1つに対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つの態様は、磁気共鳴放射療法システムと組み合わせて使用される、磁気共鳴送信及び/又は受信アンテナシステムに関する。アンテナシステムは、無線周波数信号を送信及び/又は受信する少なくとも1つのアンテナを含み、アンテナはアンテナ部品を含む。アンテナシステムは、アンテナ部品を包囲するカバーを更に含み、アンテナ部品及び/又は空気と比較して、包囲するカバー間の放射線減衰の差を補うために、包囲するカバーは、アンテナ部品の隣及び/又は表面の外縁に向かって空間的に変動する厚さ及び/又は密度を有する。
【0005】
本開示の別の態様は、磁気共鳴誘導放射線療法を計画するための放射線療法治療計画コンピュータプログラム製品に関する。放射線療法中にこれらの設定が使用されると、照射線量の分布が、所定の範囲内の計画されたフルエンス分布に類似するように、コンピュータプログラム製品は、放射線療法システムの当該設定を計算する計画モジュールを含む。更に、コンピュータプログラム製品は、アンテナシステムの位置、厚さの空間的変動及び/又は密度
の空間的変動に関する情報を含むアンテナシステム情報モジュールを含む。計画モジュールは、送信又は受信アンテナシステムの、位置、厚さの空間的変動及び/又は密度の空間的変動を考慮し、包囲するカバーと空気又はアンテナ部品の放射係数との間の放射線減衰の差を補うために、設定を計算する。コンピュータプログラム製品は、本明細書に開示された任意のアンテナシステムと組み合わせて使用され得る。
【0006】
MRI誘導放射線療法中、送信及び/又は受信アンテナシステムは、治療される患者の上又は近くに配置され得る。患者の近くへのアンテナのこの配置は、画質の改善をもたらす。しかし、MR誘導放射線療法の設定でのそうすることによって、アンテナシステム自体は、放射線ビーム経路内に直接配置され、高い放射線フルエンスにさらされる。放射線ビームの一部は、アンテナシステムを通って移動し得る一方で、放射線ビームの別の部分は、アンテナシステムを通過し得ない。空気とアンテナシステムとの放射線減衰係数の差により、アンテナシステムは周囲の空気よりもビームを減衰させる。したがって、放射線ビーム内にアンテナシステムが存在すると、患者の内部のアンテナシステムの背後で測定された線量プロファイルの突然の変化をもたらし得る。
【0007】
アンテナシステムは、少なくとも1つのアンテナを含む。アンテナは、導体等のアンテナ部品を含む。アンテナは好ましくはコイルである。アンテナシステムは、アンテナ部品を包囲するカバーを更に含む。また、包囲するカバーとアンテナ及びアンテナ部品との放射線減衰係数、ひいてはその結果生じる放射線減衰は、異なり得る。したがって、アンテナ部品の存在もまた、患者の内部のアンテナシステムの背後で測定された線量プロファイルの突然の変化をもたらし得る。これらの効果は、放射線療法中に送達される線量の精度を低下し得、アンテナシステムの正確な配置に実際の線量をより依存させるようにし得る。これらの効果は、包囲するカバーによって形成される表面の外縁に向かって、包囲するカバーの厚さ及び/又は密度を変化させ、アンテナ部品の隣の包囲するカバーの厚さ及び/又は密度を変化させることによって補償されることができる。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、包囲するカバーの厚さ及び/又は密度は、包囲するカバーの中心部から外縁に向かう方向に減少する。ビームが空気とアンテナシステムの縁との境界を横切る際の減衰の変化は、フルエンスプロファイルに突然の変化をもたらし、結果として望ましくない線量の送達をもたらし得る。中心部から縁に向かう方向における、包囲するカバーの厚さ及び/又は密度の減少は、フルエンスプロファイルの望ましくない突然の変化を減少させる。一実施形態では、包囲するカバーの厚さ及び/又は密度の減少は、好ましくは緩やかである。これにより、照射線量の分布の、アンテナシステムの配置における誤差に対する精度が低くなり、その後、放射線量の分布がより正確で予測可能になる。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、包囲するカバーの厚さ及び/又は密度は、アンテナ部品のかなり近く及びアンテナ部品に向かう方向に増大する。例えばアンテナ部品は、囲っている包囲するカバーよりも高い放射線減衰を持つだろう。従って、導体のようなアンテナ部品の存在は、アンテナシステムにおける突然の密度ピークを生じ、よって、放射線減衰の急な増大となる。アンテナ部品のかなり近く及びアンテナ部品に向かう方向に包囲するカバーの厚さ及び密度を増大することにより、アンテナ部品により生じる突然の密度ピークは補償できる。従って、アンテナシステムにより生じる放射線減衰の突然の強い増大は、より緩やかになることができる。
【0010】
例えば、アンテナシステムを通過する放射線ビームが、放射線療法治療計画コンピュータプログラムによってコイルの減衰を補うために調整される場合、空気と包囲するカバーとの間の移行は、送達される照射線量の望ましくない挙動を少なくする。中心部から縁に向かう方向に包囲するカバーの厚さ及び/又は密度が減少するアンテナシステムと、でアンテナシステムの減衰を補うための放射線ビームの調整とを組み合わせることは、そのような望ましくない挙動を更に低減し得る。同様に、1つ以上のアンテナ部品の存在によってもたらされる放射線減衰の効果も補償できる。
【0011】
本開示の追加の目的及び利点は、以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には説明から明らかになり、又は本開示の実施によって習得され得る。本開示の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素及び組合せによって実現され、達成される。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示的及び説明的なものに過ぎず、特許請求された本発明を限定するものではないことを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を示し、説明と共に、開示された原理を説明する役割を果たす。
【0014】
【
図1】磁気共鳴画像において使用するためのアンテナシステムを図式的に示す。
【
図2】放射線療法中に使用される送信及び/又は受信アンテナシステムを図式的に例示的に示す。
【
図3A】放射線ビーム内へのアンテナシステムの配置の効果を図式的に示す。
【
図3B】放射線ビーム内へのアンテナシステムの配置の効果を図式的に示す。
【
図4A】様々な状況での、放射線減衰において厚さ及び密度の増加を伴うアンテナシステムの効果を図式的に示す。
【
図4B】様々な状況での、放射線減衰において厚さ及び密度の増加を伴うアンテナシステムの効果を図式的に示す。
【
図5A】放射線減衰において厚さ及び密度が増加するアンテナシステムの位置を変化する効果を図式的に示す。
【
図5B】放射線減衰において厚さ及び密度が増加するアンテナシステムの位置を変化する効果を図式的に示す。
【
図6】アンテナ部品の近く及びアンテナ部品に向かって包囲するカバーの厚さ及び密度の増加を伴う送信及び/又は受信アンテナシステムを図式的に示す。
【
図7】磁気共鳴誘導放射線療法を計画するための放射線療法治療計画コンピュータプログラム製品を図式的に示す。
【
図8】
図7の放射線療法治療計画コンピュータプログラム製品で使用されるMRI線形加速器の実施形態を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。便宜上、同一又は類似の部分を参照するために図面全体にわたって同じ参照番号が使用される。開示された原理の例及び特徴が本明細書に記載されているが、開示された実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、修正、適合及び他の実施が可能である。また、「comprising」、「having」、「containing」、及び「including」という文言、並びに他の類似の型は、意味が同等であり、これらの単語の何れか1つに続く1つの項目又は複数の項目は、そのような1つの項目又は複数の項目の網羅的なリストであることを意図するものではなく、掲げられた1つの項目又は複数の項目のみに限定されることを意味する。そして、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されていない限り、複数の言及を含む。
【0016】
図1aは、磁気共鳴画像での使用のためのアンテナシステム10を図式的に示す。アンテナシステム10は、アンテナ12と、アンテナ12を保護及び/又は支持するための包囲するカバー14とを含む。アンテナシステム10は、例えばアンテナシステムに電力を供給するための、電子機器16及びケーブル18を更に含む。
図1bに示す包囲するカバー14は、中心部19と4つの外縁13とを含む。
【0017】
図2は、放射線療法中に送信及び/又は受信アンテナシステム10がどのように使用されることができるかを図式的に示す。アンテナシステム10は、患者(図示せず)の上側又は下側のMRI放射線療法システムのボア内に配置される。例示的なMRI放射線療法システムが
図8に示される。この場合、放射線療法システム23は、線形加速器であるが、例えば、他の任意のX線又はガンマ線放射システムであることもできる。線形加速器は、X線41のビームを生成し、X線41は、アンテナシステム10を通って、位置Xにあるアンテナシステム10の下に位置する患者に移動する。MRIシステムの受信コイルは、治療され撮像された解剖学的構造の近くに配置され、画質を最大にし、MRI放射線療法システムが放射線ビームに対して効果的なMRガイダンスを提供することを可能にする。その結果、受信コイルは放射線ビーム経路内に配置され、結果的にコイルがビームを減衰し、また、放射線治療の送達中に考慮されなければならない放射線療法において非理想性をもたらす。
【0018】
図3は、アンテナシステム10を放射線ビーム内に配置する効果を図式的に示す。アンテナシステム10は、
図2に示されるように、X線ビーム41内に配置される。
図3に戻ると、例えば、一定の所望のフルエンスは放射線療法治療計画システム(
図7参照)によって望まれ得る。治療計画を作成する際、アンテナシステム10は、治療の供給中に既知の位置に配置され得ると仮定される。実際には、アンテナが治療の供給時に放射線療法システム23内に配置される際、治療計画によって仮定される既知の位置から数ミリメートル離れて配置され得る。この位置の変化により、治療計画システムは、正しいレベルの放射線フルエンスを提供するために、治療の供給時にアンテナの「真の」位置を修正することができない。
【0019】
図3Aに示されるように、アンテナシステム10の存在は、所望のフルエンス430に影響を及ぼす。アンテナシステム10の一端は、ライン位置iに対応する第1の位置「A」に配置される。アンテナシステム10が「A」に配置された際の、アンテナシステム10と患者との間の対応するフルエンスプロファイル(例えば、当技術分野で知られているように、フルエンスは単位時間当たりの単位面積当たりのエネルギー密度である)が、ライン43aによって示される。アンテナシステム10の存在は、ライン43aによって示されるように、位置iでのフルエンスプロファイルの凹みをもたらす。位置iでのフルエンスプロファイルの突然の変化(例えば、減衰プロファイルのステップ(階段))は好ましくない。
図3Bは、第1の位置「A」(治療計画システムによって仮定される)から第2の位置「B」(例えば、治療時における実際の位置)へのアンテナシステム10の動きを示す。アンテナシステム10の位置の変化は、ライン43bによって示されるように、位置iiでのフルエンスプロファイルの変化をもたらす。アンテナシステム10の存在は、緩和される必要のある放射線ビーム41の、望ましくない減衰をもたらす。フルエンスプロファイルは、放射線ビーム経路41内に配置されたアンテナシステム10(例えば、受信コイル)の正確な位置に大きく依存する。誤差曲線440によって示されるように、提供されるフルエンス内に、アンテナシステム10の減衰に対応する突然の凹み44が存在する。減衰は、コイルの「真の」位置(例えば、治療の供給時におけるコイルの位置)が放射線療法計画システムに知られていない際に、放射線フルエンス内に非理想性をもたらす。
【0020】
図4は、放射線ビーム41内のアンテナシステム10の異なる位置において、放射線減衰において厚さ及び密度の増加を伴うアンテナシステム10の効果を、図式的に示す。
図3と同様、
図4は、放射線計画システムによって所望されるフルエンスが一定の430である一実施形態を例示する。便宜上、
図3の誤差曲線440が
図4に繰り返し示される。アンテナシステムが放射線ビーム41の誤差の大きさを減少させることが望まれている。
【0021】
図4Aは、本開示の一実施形態によるアンテナシステム10を示し、包囲するカバーの厚さは、中心部19から外縁32に向かう方向に徐々に単調に減少する。一実施形態では、包囲するカバーはテーパ状の縁(例えば、テーパリングが内側(底部)、外側(上部)、又はその両方にあり得る)を有する。好ましい実施形態では、テーパは上部(例えば、外側)にあり得る。その結果、コイルの位置においてアンテナシステム10によってもたらされる減衰が依然として存在する(フルエンスプロファイル43c参照)。しかし、包囲するカバーの厚さが変化するため、減衰の程度はより緩やかになる。ビーム経路41内での治療の供給時10におけるアンテナシステムの実際の位置による望ましくない挙動の最小化は、所望の誤差曲線441の深さを望ましくない誤差曲線440の深さよりも浅くすることによって達成される。これは、厚さ(又は密度)の変化を有するアンテナシステム10を利用することによって達成される。
【0022】
上述のように、アンテナシステム10は、典型的に、仮定される第1の位置「A」(例えば、治療計画システムによって仮定される位置)から、
図4Bに示される第2の位置「B」(例えば、治療の供給時における実際の位置)へのいくらかの移動を有する。したがって、ライン43c及び43dに示されるように、フルエンスプロファイルは変化する。利点は、所望の誤差曲線441によって示されるように、アンテナシステムによってもたらされる任意の減衰が広がり、より浅い深さを示すことである。
【0023】
図5は、一実施形態において、治療計画システムによって仮定されるアンテナシステム10のテーパ部の位置が、治療の供給時にアンテナシステムが配置される際に、アンテナシステムのテーパ部と重ならない際の、フルエンスへの効果を、図式的に示す。
図3及び
図4に先に示され、
図5に便宜上示されるように、所望のフルエンス430は一定であり、望ましくない誤差440はフルエンス内の凹みである。更に、
図5Aは、治療計画システムによって仮定される位置「A」に配置されたアンテナシステム10を示し、アンテナシステム10は、中心部19から外縁32に向かう方向に徐々に単調に減少する包囲するカバーの厚さを有する。得られたフルエンスは、曲線43eによって示される。曲線43eによって示されるように、フルエンスは、点Xから点Yに落ちる。このフルエンスの低下は、アンテナシステム10の減衰に対応する深さを有する。
【0024】
図5は、一実施形態において、治療計画システムによって仮定されるアンテナシステム10のテーパ部の位置が、治療の供給時にアンテナシステムが配置される際に、アンテナシステムのテーパ部と重ならない際の、フルエンスへの効果を、図式的に示す。
図3及び
図4に先に示され、
図5に便宜上示されるように、所望のフルエンス430は一定であり、望ましくない誤差440はフルエンス内の凹みである。更に、
図5Aは、治療計画システムによって仮定される位置「A」に配置されたアンテナシステム10を示し、アンテナシステム10は、中心部19から外縁32に向かう方向に徐々に単調に減少する包囲するカバーの厚さを有する。得られたフルエンスは、曲線43eによって示される。曲線43eによって示されるように、フルエンスは、点Xから点Yに落ちる。このフルエンスの低下は、アンテナシステム10の減衰に対応する深さを有する。
【0025】
アンテナシステム10(例えば、3〜5cm)の機械的配置に関する任意の不正確性の効果は、厚さ又は密度(例えば、又はテーパリング)の変化を伴うアンテナシステムを利用することによって、最小化され得る。一実施形態では、テーパ部が長いほど、誤差曲線441の深さが浅くなる。
【0026】
図6は、アンテナ部品の近く及びアンテナ部品に向かって、厚さ及び密度の増加を伴う、送信及び/又は受信アンテナシステムを図式的に示す。
図5Aは、PCBトレース51の形態に高密度導体材料を含むアンテナシステムを示し、
図5Bは、ワイヤ52の形態に高密度導体材料を含むアンテナシステムを示す。両方のアンテナ部品(例えば、PCBトレース51及び高密度ワイヤ52)が包囲するカバー14と比較してより高い放射線減衰係数を有するために、送達されたフルエンスと治療計画システムによって計画された所望のフルエンスとの差が、治療の供給時におけるアンテナ部品の位置が治療計画システムが仮定したものと異なるという事実により、生じる。効果を最小化することは、実質的にアンテナ部品の近く及びアンテナ部品に向かう方向への包囲するカバーの厚さ53の増加、又は、実質的にアンテナ部品の近く及びアンテナ部品に向かう方向への包囲するカバーの密度54の増加のいずれかによって、実行されることができる。
【0027】
図7は、磁気共鳴誘導放射線療法を計画する放射線療法計画コンピュータプログラム製品を図式的に示す。放射線療法計画コンピュータプログラム製品60は、放射線療法システムの設定を計算する計画モジュール61を含み、放射線療法中にこれらの設定が使用されると、送達されたフルエンス分布が、所定の範囲内の計画されたフルエンス分布に類似する。計画モジュール61は、アンテナシステムの
位置、厚さの空間的変動及び/又は密度の空間的変動に関する情報を、アンテナシステム情報モジュール62から受信する。計画モジュール61は、アンテナシステムの
位置、厚さの空間的変動及び/又は密度の空間的変動を考慮し、包囲するカバーと空気及び/又はアンテナ部品との放射線減衰の差を補うように設定を計算する(例えば、空気とコイルの縁との境界において、調和しないフルエンス送達をもたらす、減衰の突然の段差がある)。例えば、計算された設定は、治療中にアンテナシステムの外縁の近くにフルエンス勾配が配置されるようなものであり得る。
【0028】
図8は、
図7の放射線療法計画コンピュータプログラム製品と共に動作するMRI線形加速器(MRI85)である、放射線療法デバイス23の実施形態を示す。線形加速器81を使用する実施形態において、治療計画によって決定された放射線フルエンスを受けるために、患者は患者テーブル82上に配置され得る。線形加速器は、放射線ビームを生成する放射線ヘッド84を含み得る。放射線ヘッド全体は、水平軸を中心に回転可能であり得る。放射線ヘッドによって生成される軸とビーム中心との交差点は、通常、「アイソセンタ」と呼ばれる。患者テーブル82は、患者がアイソセンタに又はアイソセンタに近接して腫瘍部位と共に配置されることができるように、電動化され得る。放射線ヘッド84は、回転ガントリ83に取り付けられ得、治療計画に従って複数の様々な線量を患者に提供する。
【0029】
本発明は、図及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であって、制限的でないとみなされるべきである。更に、本開示の明細書及び実施につき、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、開示されたシステム、製品及び方法に対して様々な修正及び変更が可能であることを考慮することは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書及び実施例は、例示的なものに過ぎず、本開示の真の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの等価物によって示される。