(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0011】
第1の例において、本発明は、フィルムを製造する方法であって、
(i)組成物(C)であって、
− −SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]、および
− 液体媒体[媒体(L)]であって、前記媒体(L)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の少なくとも1つのアルキルカーボネートを含む液体媒体[媒体(L)]
を含む、好ましくはそれらからなる組成物(C)を提供する工程と;
(ii)工程(i)で提供された組成物(C)を処理してフィルムにする工程と;
(iii)工程(ii)で提供されたフィルムを乾燥させる工程と
を含む方法に関する。
【0012】
本発明の組成物(C)は、本発明によるフィルムを製造する方法での使用に特に好適である。
【0013】
本発明の組成物(C)は、容易に処理してフィルムにすることができ、それによって連続した均一なフィルムを有利に提供する。
【0014】
第2の例において、本発明は、本発明の方法によって得られるフィルムに関する。
【0015】
本発明のフィルムは、典型的には、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]を含む少なくとも1つの層を含み、好ましくはそれからなる。
【0016】
本発明のフィルムは、有利には緻密質フィルムである。
【0017】
本発明の目的のために、用語「緻密質」は、有限寸法の空洞、細孔または穴を含まない完全に一様な構造を有する均一フィルムを意味することを意図する。
【0018】
緻密質フィルムは、したがって、多孔質フィルムから区別され、ここで、用語「多孔質」は、有限寸法の複数の空洞、細孔または穴を含有するフィルムを意味することを意図する。
【0019】
第3の例において、本発明は、電流コレクタを含む電極であって、前記電流コレクタが、
− 少なくとも1つのリチウム層、および
− 前記少なくとも1つのリチウム層に接着されたフィルムであって、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]を含む少なくとも1つの層を含む、好ましくはそれからなるフィルム
を含む電極に関する。
【0020】
本発明の電極の電流コレクタは、典型的には、
− 少なくとも1つ金属層、
− 前記少なくとも1つの金属層に接着された少なくとも1つのリチウム層、および
− 前記少なくとも1つのリチウム層に接着されたフィルムであって、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]を含む少なくとも1つの層を含む、好ましくはそれからなるフィルム
を含む。
【0021】
本発明の電極の電流コレクタの金属層は、好ましくは銅およびステンレス鋼からなる群から選択される金属からなる。
【0022】
本発明の電極の電流コレクタの金属層は、典型的には金属箔または金属グリッドのいずれかの形態である。
【0023】
第4の例において、本発明は、したがって、本発明の電極を製造する方法に関する。
【0024】
本発明の第1実施形態によれば、電極を製造する方法は、
(i−1)少なくとも1つのリチウム層を含む電流コレクタを提供する工程と;
(ii−1)上に定義されたような組成物(C)を提供する工程と;
(iii−1)工程(ii−1)で提供された組成物(C)を、工程(i−1)で提供された電流コレクタの少なくとも1つのリチウム層上へ塗布し、それによってフィルムを提供する工程と;
(iv−1)工程(iii−1)で提供されたフィルムを乾燥させる工程と
を含む。
【0025】
本発明のこの第1実施形態による方法によって得られる電極は、有利には本発明の電極である。
【0026】
本発明のこの第1実施形態による方法の工程(i−1)の下で、電流コレクタは、典型的には、
− 少なくとも1つの金属層、および
− 前記少なくとも1つの金属層に接着された少なくとも1つのリチウム層
を含む。
【0027】
本発明のこの第1実施形態による方法の工程(i−1)の下で、電流コレクタの金属層は、存在する場合には、好ましくは銅およびステンレス鋼からなる群から選択される金属からなる。
【0028】
本発明のこの第1実施形態による方法の工程(i−1)の下で、電流コレクタの金属層は、存在する場合には、典型的には金属箔または金属グリッドのいずれかの形態である。
【0029】
本発明の第2実施形態によれば、電極を製造する方法は、
(i−2)少なくとも1つのリチウム層を含む電流コレクタを提供する工程と;
(ii−2)フィルムを提供する工程であって、前記フィルムが、
(i)上に定義されたような組成物(C)を提供する工程と;
(ii)工程(i)で提供された組成物(C)を処理してフィルムにする工程と;
(iii)工程(ii)で提供されたフィルムを乾燥させる工程と
を含む方法によって得られる、工程と;
(iii−2)工程(ii−2)で提供されたフィルムを、工程(i−2)で提供された電流コレクタの少なくとも1つのリチウム層上へ適用する工程と
を含む。
【0030】
本発明のこの第2実施形態による方法によって得られる電極は、有利には本発明の電極である。
【0031】
本発明のこの第2実施形態による方法の工程(i−2)の下で、電流コレクタは、典型的には、
− 少なくとも1つの金属層、および
− 前記少なくとも1つの金属層に接着された少なくとも1つのリチウム層
を含む。
【0032】
本発明のこの第2実施形態による方法の工程(i−2)の下で、電流コレクタの金属層は、存在する場合には、好ましくは銅およびステンレス鋼からなる群から選択される金属からなる。
【0033】
本発明のこの第2実施形態による方法の工程(i−2)の下で、電流コレクタの金属層は、存在する場合には、典型的には金属箔または金属グリッドのいずれかの形態である。
【0034】
本発明の第3実施形態によれば、電極を製造する方法は、
(i−3)フィルムを提供する工程であって、前記フィルムが、
(i)上に定義されたような組成物(C)を提供する工程と;
(ii)工程(i)で提供された組成物(C)を処理してフィルムにする工程と;
(iii)工程(ii)で提供されたフィルムを乾燥させる工程と
を含む方法によって得られる、工程と;
(ii−3)少なくとも1つのリチウム層を、工程(i−3)で提供されたフィルム上へ堆積させる工程と;
(iii−3)任意選択的に、少なくとも1つの金属層を、工程(ii−3)で提供された少なくとも1つのリチウム層上へ適用する工程と
を含む。
【0035】
本発明のこの第3実施形態による方法によって得られる電極は、有利には本発明の電極である。
【0036】
本発明のこの第3実施形態による方法の工程(iii−3)の下で、金属層は、存在する場合には、好ましくは銅およびステンレス鋼からなる群から選択される金属からなる。
【0037】
本発明のこの第3実施形態による方法の工程(iii−3)の下で、金属層は、存在する場合には、典型的には金属箔または金属グリッドのいずれかの形態である。
【0038】
第5の例において、本発明は、
(a)電流コレクタを含む電極であって、前記電流コレクタが、
− 少なくとも1つのリチウム層、および
− 前記少なくとも1つのリチウム層に接着されたフィルムであって、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]を含む少なくとも1つの層を含む、好ましくはそれからなるフィルム
を含む電極、
(b)正極、および
(c)セパレータ
を含む二次電池に関する。
【0039】
本発明の二次電池の電極(a)は、有利には本発明の電極である。
【0040】
本発明の二次電池の電極(a)は、典型的には本発明の二次電池での負極として動作する。
【0041】
本発明の二次電池の正極(b)は、典型的には電流コレクタを含む。
【0042】
本発明の目的のために、用語「二次」は、それを再充電するために外部電源を必要とする再充電可能な電池を意味することを意図する。電池は、典型的には、充電サイクルまたは放電サイクルのいずれかの間に電子が負極から正極に流れる電気化学プロセスを電気化学セルにおいて受ける。
【0043】
本発明の目的のために、用語「負極」は、酸化が起こる電気化学セルのアノードを意味することを意図する。
【0044】
本発明の目的のために、用語「正極」は、還元が起こる電気化学セルのカソードを意味することを意図する。
【0045】
本発明の目的のために、用語「電流コレクタ」は、電子が充電サイクルまたは放電サイクルのいずれかの間に流れることを可能にする導電性基材を意味することを意図する。
【0046】
本発明の二次電池は、好ましくは、
(a)電流コレクタを含む電極であって、前記電流コレクタが、
− 少なくとも1つのリチウム層、および
− 前記少なくとも1つのリチウム層に接着されたフィルムであって、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]を含む少なくとも1つの層を含む、好ましくはそれからなるフィルム
を含む電極、
(b)電流コレクタを含む正極であって、前記電流コレクタが少なくとも1つの硫黄層を含む、正極、および
(c)セパレータ
を含むリチウム−硫黄(Li−S)電池である。
【0047】
本発明のLi−S電池の電極(a)は、有利には本発明の電極である。
【0048】
本発明のLi−S電池の電極(a)は、典型的には本発明のLi−S電池の負極として動作する。
【0049】
意外にも、本発明のLi−S電池は、有利には従来のLi−S電池と比べて良好なまたは増加した容量値を維持しながら、不在のまたは減少したポリスルフィドシャトル機構を示すことが分かった。
【0050】
本出願人は、本発明の範囲を限定することなく、これが、本発明の電極であって、本発明の方法によって組成物(C)から得られる電極の固有の構造のためであると考えている。
【0051】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタは、典型的には、
− 少なくとも1つの炭素層、および
− 前記少なくとも1つの炭素層に接着された少なくとも1つの硫黄層
を含む。
【0052】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタは、少なくとも1つの金属層をさらに含んでもよい。
【0053】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタは、好ましくは、
− 少なくとも1つの金属層、
− 前記少なくとも1つの金属層に接着された少なくとも1つの炭素層、および
− 前記少なくとも1つの炭素層に接着された少なくとも1つの硫黄層
を含む。
【0054】
本発明のLi−S電池の正極(b)の硫黄層は、典型的には環状八硫黄(S
8)またはその環状S
12同素体のいずれかからできている。
【0055】
本発明のLi−S電池の正極(b)の炭素層は、存在する場合には、典型的には炭素質材料から、好ましくはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維からなる群から選択される炭素質材料ならびにニッケルおよびアルミニウム粉末または繊維などの金属粉末または繊維からでできている。
【0056】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタの金属層は、存在する場合には、好ましくはアルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼からなる群から選択される金属からなる。
【0057】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタの金属層は、存在する場合には、典型的には金属箔または金属グリッドか金属フォームのいずれかの形態である。
【0058】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタの金属層がアルミニウムからなる場合、それは、通常、金属箔または金属グリッドのいずれかの形態である。
【0059】
本発明のLi−S電池の正極(b)の電流コレクタの金属層がニッケルからなる場合、それは、通常、金属箔、金属グリッド、または金属フォームのいずれかの形態である。
【0060】
本発明の組成物(C)は、有利には溶液の形態である。
【0061】
本発明の目的のために、用語「溶液」は、典型的には溶媒と言われる媒体(L)中の、典型的には溶質と言われる、少なくとも1つのポリマー(F)の一様に分散した混合物を意味することを意図する。用語「溶媒」は、その通常の意味で本明細書では用いられる、すなわち、それは、溶質を溶解させることができる物質を意味する。結果として生じる混合物が無色透明であり、かつ相分離が系中で全く見えない場合に溶液と言うことは常識である。相分離は、溶液がポリマー凝集体の形成のために混濁するかもしくは曇る点または溶液がゲルに変わる点(多くの場合「曇り点」と言われる)と見なされる。
【0062】
媒体(L)は、典型的には少なくとも1つのアルキルカーボネートから本質的になる。
【0063】
アルキルカーボネートは、典型的には式(I)の線状アルキルカーボネートおよび式(II)の環状アルキレンカーボネート:
(式中、
互いに等しいかまたは異なるR
aおよびR
bは、独立して、C
1〜C
6アルキル基、好ましくはC
1〜C
4アルキル基、より好ましくはC
1〜C
2アルキル基であり、
R
cは、水素原子またはC
1〜C
6アルキル基、好ましくは水素原子またはC
1〜C
4アルキル基、より好ましくは水素原子またはC
1〜C
2アルキル基である)
からなる群から選択される。
【0064】
媒体(L)は、前記媒体(L)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の上に定義されたような式(I)の少なくとも1つの線状アルキルカーボネートおよび/または上に定義されたような式(II)の少なくとも1つの環状アルキレンカーボネートを含んでもよい。
【0065】
アルキルカーボネートは、好ましくは、ジメチルカーボネートまたはエチルメチルカーボネートなどの式(I)の線状アルキルカーボネートおよびエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなどの環状アルキレンカーボネートからなる群から選択される。
【0066】
媒体(L)は、少なくとも1つのアルキルエーテルをさらに含んでもよい。
【0067】
媒体(L)が少なくとも1つのアルキルエーテルをさらに含む場合、前記媒体(L)は、
− 前記媒体(L)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の少なくとも1つのアルキルカーボネート、および
− 前記媒体(L)の総重量を基準として、最大でも50重量%の少なくとも1つのアルキルエーテル
を典型的には含む、好ましくはそれらから本質的になる。
【0068】
アルキルエーテルは、典型的には線状アルキルエーテルおよび環状アルキレンエーテルからなる群から選択される。
【0069】
アルキルエーテルは、好ましくは、1,2−ジメトキシエタンまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルなどの線状アルキルエーテルおよび1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフランなどの環状アルキレンエーテルからなる群から選択される。
【0070】
媒体(L)は、有利には水を含まない。
【0071】
媒体(L)はまた、有利には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジエチルホルムアミドからなる群から選択される有機溶媒を含まない。
【0072】
本発明の目的のために、用語「フルオロポリマー」は、少なくともフッ素化モノマー[モノマー(F)]に由来する繰り返し単位を含む骨格を含むポリマーを意味することを意図する。
【0073】
用語「フッ素化モノマー[モノマー(F)]」は、本明細書により、少なくとも1つのフッ素原子と、任意選択的に少なくとも1つの水素原子とを含むエチレン性不飽和モノマーを意味することを意図する。
【0074】
用語「少なくとも1つのフッ素化モノマー」は、ポリマー(F)が1つまたは2つ以上のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含んでいてもよいことを意味すると理解される。本文の残りにおいて、表現「フッ素化モノマー」は、本発明の目的のために、複数形および単数形の両方で理解される、すなわち、それらは、上に定義されたような1つまたは2つ以上のフッ素化モノマーの両方を意味すると理解される。
【0075】
ポリマー(F)は、典型的には、
− 少なくとも1つの−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属でる)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]、および
− 少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(F)]
に由来する繰り返し単位を含む。
【0076】
好適なモノマー(FM)の非限定的な例は、
− 式CF
2=CF(CF
2)
pSO
3M(式中、pは、0〜10、好ましくは1〜6に含まれる整数であり、より好ましくはpは2または3に等しく、Mはアルカリ金属である)スルホニルハライドフルオロオレフィン;
− 式CF
2=CF−O−(CF
2)
mSO
3M(式中、mは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜4に含まれる整数であり、さらにより好ましくはmは2に等しく、Mはアルカリ金属である)のスルホニルハライドフルオロビニルエーテル;
− 式:
CF
2=CF−(OCF
2CF(R
F1))
w−O−CF
2(CF(R
F2))
ySO
3M(式中、wは、0〜2に含まれる整数であり、互いに等しいかまたは異なるR
F1およびR
F2は、独立して、F、Cl、または1つもしくは複数のエーテル酸素原子で任意選択的に置換されたC
1〜C
10フルオロアルキル基であり、yは0〜6の整数であり、Mはアルカリ金属であり;好ましくはwは1であり、R
F1は−CF
3であり、yは1であり、R
F2はFである)のスルホニルハライドフルオロアルコキシビニルエーテル;
− 式CF
2=CF−Ar−SO
3M(式中、ArはC
5〜C
15芳香族またはヘテロ芳香族置換基であり、Mはアルカリ金属である)のスルホニルハライド芳香族フルオロオレフィン
からなる群から選択される。
【0077】
本発明の目的のために、用語「アルカリ金属」は、Li、Na、K、RbおよびCsからなる群から選択される金属を意味することを意図する。アルカリ金属は、好ましくは、Li、NaおよびKからなる群から選択される。
【0078】
モノマー(FM)は、好ましくは、式CF
2=CF−O−(CF
2)
m−SO
3Li(式中、mは、1〜6、好ましくは2〜4に含まれる整数である)のフルオロビニルエーテルからなる群から選択される。
【0079】
モノマー(FM)は、より好ましくはCF
2=CF−OCF
2CF
2−SO
3Liである。
【0080】
好適なモノマー(F)の非限定的な例は、
− テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびヘキサフルオロイソブチレンなどのC
2〜C
8フルオロオレフィン;
− フッ化ビニリデン;
− クロロトリフルオロエチレンおよびブロモトリフルオロエチレンなどのC
2〜C
8クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1はC
1〜C
6フルオロアルキル、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7である)のフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOR
O1(式中、R
O1は、1つまたは複数のエーテル基を有するC
1〜C
12フルオロ−オキシアルキル基、例えばパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基である)のフルオロ−オキシアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6フルオロアルキル基、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、または1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
6フルオロオキシアルキル基、例えば−C
2F
5−O−CF
3である)のフルオロアルキル−メトキシ−ビニルエーテル;
− 式:
(式中、互いに等しいかまたは異なるR
f3、R
f4、R
f5、R
f6のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1つまたは複数のエーテル酸素原子を任意選択的に含むC
1〜C
6フルオロアルキル基、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、−OCF
3、−OCF
2CF
2OCF
3である)
のフルオロジオキソール
からなる群から選択される。
【0081】
モノマー(F)は、好ましくは、
− C
2〜C
8フルオロオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレンおよび/またはヘキサフルオロプロピレン;
− クロロトリフルオロエチレンおよび/またはブロモトリフルオロエチレンなどのクロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C
2〜C
6フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1はC
1〜C
6フルオロアルキル基、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7である)のフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOR
O1(式中、R
O1は、1つまたは複数のエーテル基を有するC
1〜C
12フルオロオキシアルキル基、例えばパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基である)のフロオロ−オキシアルキルビニルエーテル
からなる群から選択される。
【0082】
モノマー(F)は、より好ましくはテトラフルオロエチレンである。
【0083】
ポリマー(F)は、好ましくは、
− 式CF
2=CF−O−(CF
2)
m−SO
3Li(式中、mは1〜6、好ましくは2〜4の整数である)のフルオロビニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー(FM)、および
− テトラフルオロエチレン
に由来する繰り返し単位を含む。
【0084】
ポリマー(F)の当量は、その酸型へ変換された場合、有利には1000g/eq未満、好ましくは900g/eq未満、より好ましくは800g/eq未満、さらにより好ましくは700g/eq未満である。
【0085】
ポリマー(F)の当量は、その酸型へ変換された場合、有利には少なくとも400g/eq、好ましくは少なくとも450g/eq、より好ましくは少なくとも500g/eqである。モノマー(FM)は、典型的には、ポリマー(F)の当量が、その酸型へ変換された場合、有利には1000g/eq未満、好ましくは900g/eq未満、より好ましくは800g/eq未満、さらにより好ましくは700g/eq未満であるような量でポリマー(F)中に存在する。モノマー(FM)は典型的には、ポリマー(F)の当量が、その酸型へ変換された場合に、有利には少なくとも400g/eq、好ましくは少なくとも450g/eq、より好ましくは少なくとも500g/eqであるような量でポリマー(F)中に存在する。
【0086】
本発明の目的のために、用語「当量」は、1当量のNaOHを中和するのに要する酸型のポリマー(F)の重量と定義され、ここで、用語「酸型」は、前記ポリマー(F)の官能基が全て−SO
3H型であることを意味する。
【0087】
ポリマー(F)は、典型的には、当技術分野で公知の任意の重合法によって得られる。
【0088】
ポリマー(F)は、好ましくは、当技術分野で公知の任意の重合法により、−SO
2X官能基(式中、Xはハロゲン原子であり、好ましくはXはフッ素原子である)を含むフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含むフルオロポリマーから得られる。そのようなフルオロポリマーの好適な製造方法は、例えば、欧州特許出願公開第1323751 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)2003年7月2日および欧州特許出願公開第1172382 A号明細書(AUSIMONT S.P.A.)2002年1月16日に記載されているものである。
【0089】
組成物(C)は、
− 組成物(C)の総重量を基準として、1重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜20重量%の少なくとも1つのフルオロポリマー[ポリマー(F)]であって、−SO
3M官能基(式中、Mはアルカリ金属である)を含む少なくとも1つのフッ素化モノマー[モノマー(FM)]に由来する繰り返し単位を含むフルオロポリマー[ポリマー(F)]、および
− 組成物(C)の総重量を基準として、70重量%〜99重量%、好ましくは80量%〜99重量%の液体媒体[媒体(L)]であって、前記液体媒体(L)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の少なくとも1つのアルキルカーボネートを含む液体媒体[媒体(L)]
を好ましくは含み、より好ましくはそれらからなる。
【0090】
本発明によるフィルムを製造する方法の工程(ii)の下で、工程(i)で提供された組成物(C)は、典型的には任意の好適な技法を用いることにより、好ましくはテープキャスティング、浸漬コーティング、スピンコーティングまたはスプレーコーティングにより処理されてフィルムになる。
【0091】
本発明によるフィルムを製造する方法の工程(iii)の下で、工程(ii)で提供されたフィルムは、典型的には25℃〜200℃に含まれる温度で乾燥される。
【0092】
本発明によるフィルムを製造する方法の工程(iii)の下で、乾燥は、大気圧下または真空下のいずれかで行うことができる。あるいは、乾燥は、改善雰囲気下で、例えば、典型的にはとりわけ水分を除かれた(0.001%v/v未満の水蒸気含有量)不活性ガス下で行うことができる。乾燥温度は、本発明のフィルムからの媒体(L)の蒸発による除去を達成するように選択されるであろう。
【0093】
本発明の第1実施形態による電極を製造する方法の工程(iii−1)の下で、工程(ii−1)で提供された組成物(C)は、典型的には、スピンコーティング、スプレーコーティング、ドロップコーティング、浸漬コーティングおよびドクターブレードなどの任意の好適な技法により、好ましくはドクターブレードにより、工程(i−1)で提供された電流コレクタの少なくとも1つのリチウム層上へ塗布される。
【0094】
本発明の第1実施形態による電極を製造する方法の工程(iv−1)の下で、工程(iii−1)で提供されたフィルムは、典型的には25℃〜200℃に含まれる温度で乾燥される。
【0095】
本発明の第1実施形態による電極を製造する方法の工程(iv−1)の下で、乾燥は、大気圧下または真空下のいずれかで行うことができる。あるいは、乾燥は、改善雰囲気下で、例えば、典型的にはとりわけ水分を除かれた(0.001%v/v未満の水蒸気含有量)不活性ガス下で行うことができる。乾燥温度は、本発明の電極からの媒体(L)の蒸発による除去を達成するように選択されるであろう。
【0096】
本発明の第2実施形態による電極を製造する方法の工程(iii−2)の下で、工程(ii−2)で提供されたフィルムは、典型的には、積層などの任意の好適な技法により、工程(i−2)で提供された電流コレクタの少なくとも1つのリチウム層上へ適用される。
【0097】
積層は、典型的には、層を積み重ね、それによってアセンブリを提供し、および任意選択的にそのようにして得られたアセンブリを20℃〜120℃に含まれる温度でプレスする工程を含む。
【0098】
本発明の第3実施形態による電極を製造する方法の工程(ii−3)の下で、少なくとも1つのリチウム層は、典型的には、物理蒸着、特に真空蒸着、または無電解析出などの任意の好適な技法により、好ましくは真空蒸着により、工程(i−3)で提供されたフィルム上へ堆積される。
【0099】
真空蒸着は、典型的には、リチウム源などの金属源を真空チャンバー中でその溶融温度を超えて加熱し、それによって蒸発した金属粒子を提供し、それが次に典型的には基材上へ凝縮して固体状態になる工程を含む。
【0100】
無電解析出は、典型的には、リチウム塩のリチウムカチオンが、好適な化学還元剤の存在下で、その酸化状態からその元素状態へ還元されるめっき浴で実施される。
【0101】
本発明の第3実施形態による電極を製造する方法の工程(iii−3)の下で、少なくとも1つの金属層は、積層などの任意の好適な技法により、工程(ii−3)で提供された少なくとも1つのリチウム層上へ適用され得る。
【0102】
積層は、典型的には、層を積み重ね、それによってアセンブリを提供し、および任意選択的にそのようにして得られたアセンブリを20℃〜120℃に含まれる温度でプレスする工程を含む。
【0103】
本発明の目的のために、用語「セパレータ」は、電解質イオンがそれを通って流れることを可能にしながら、電気化学セルのカソードからアノードを物理的かつ電気的に分離することができるフィルムを意味することを意図する。
【0104】
本発明の二次電池のセパレータ(c)は、典型的には、電極(a)のフィルムと正極(b)との間に接着されている。
【0105】
本発明の二次電池のセパレータ(c)は、典型的には多孔質セパレータである。
【0106】
本発明の二次電池のセパレータ(c)は、典型的にはポリオレフィンからできており、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンからできている。
【0107】
本発明の二次電池は、典型的には電解質媒体[媒体(E)]で満たされている。
【0108】
媒体(E)は、典型的には金属塩を含む。金属塩は、典型的にはMeI、Me(PF
6)
n、Me(BF
4)
n、Me(ClO
4)
n、Me(ビス(オキサラト)ボレート)
n(「Me(BOB)
n」)、MeCF
3SO
3、Me[N(CF
3SO
2)
2]
n、Me[N(C
2F
5SO
2)
2]
n、R
FがC
2F
5、C
4F
9、CF
3OCF
2CF
2であるという状態でMe[N(CF
3SO
2)(R
FSO
2)]
n、Me(AsF
6)
n、Me[C(CF
3SO
2)
3]
n、Me
2S
n(式中、Meは金属、好ましくは遷移金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、より好ましくはMeはLi、Na、K、Csであり、nは前記金属の原子価であり、典型的にはnは1または2である)からなる群から選択される。
【0109】
金属塩は、好ましくは、LiI、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、リチウムビス(オキサラト)ボレート(「LiBOB」)、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、R
FがC
2F
5、C
4F
9、CF
3OCF
2CF
2である状態でM[N(CF
3SO
2)(R
FSO
2)]
n、LiAsF
6、LiC(CF
3SO
2)
3、Li
2S
nおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0110】
媒体(E)は、典型的には、アルキルカーボネート、アルキルエーテル、スルホン、イオン液体、フッ素化アルキルカーボネートおよびフッ素化アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒をさらに含む。
【0111】
本発明のある実施形態によれば、媒体(E)は、式Li
2S
n(式中、nは1に等しいかまたは2以上であり、好ましくはnは1〜12に含まれる)の少なくとも1つのポリスルフィドをさらに含んでもよい。
【0112】
本出願人は、本発明の範囲を限定することなく、二次電池の運転中に充電サイクルまたは放電サイクルのいずれかで、式Li
2S
n(式中、nは1に等しいかまたは2以上であり、好ましくはnは1〜12に含まれる)の少なくとも1つのポリスルフィドが電解質媒体[媒体(E)]中に存在するため、硫黄層は、有利には前記二次電池の正極上へ、典型的には前記二次電池の正極の少なくとも1つの炭素層上へ堆積すると考えている。
【0113】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0114】
本発明は、以下の実施例に関連してこれからより詳細に説明されるが、実施例の目的は、例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0115】
ポリマー(F−1)の製造
(A)−SO
2F型のポリマー前駆体の製造
22リットルのオートクレーブ中に、以下の試薬:11.5リットルの脱塩水、980gのCF
2=CF−O−CF
2CF
2−SO
2Fおよび3100gのCF
2ClO(CF
2CF(CF
3)O)
n(CF
2O)
mCF
2COOK(平均分子量:521;比n/m:10)の5重量%水溶液を装入した。470rpmで攪拌されるオートクレーブを60℃の温度に加熱し、次に6g/リットルの過硫酸カリウムを含有する150mlの水溶液を加えた。圧力を、テトラフルオロエチレン(TFE)を導入することによって12絶対バールの値に維持した。反応器への1200gのTFEの添加後、220gのCF
2=CF−O−CF
2CF
2−SO
2Fを、オートクレーブに供給される200gのTFE毎に加えた。攪拌を284分後に止め、オートクレーブを冷却し、TFEをガス抜きすることによって内圧を下げた。4000gの総量のTFEを供給した。28重量%の濃度のラテックスが得られた。このラテックスの一部を次に凍結および解凍することによって凝固させ、回収したポリマーを水で洗浄し、150℃で40時間乾燥させた。ラテックスの残量を16時間窒素バブリング下に保持して残留モノマーを重合物から取り除き、次に48時間プラスチックタンク中で凍結させた。水の蒸発後、凝固したポリマー前駆体を脱塩水で数回洗浄し、80℃で48時間オーブン中で乾燥させ、それによって乾燥粉末を得た。ポリマーを次に5Nl/時間のガス流で10時間にわたり80℃および周囲圧力でMonel反応器において窒素とフッ素ガスとの混合物(50/50)で処理し、次に80℃で24時間換気オーブン中で乾燥させた。同じ手順を用いて、反応剤供給比を変えることによって異なる当量を有する−SO
2F型のポリマー前駆体を製造することができる。
【0116】
(B)−SO
3Li型のポリマーの製造
そのようにして得られた−SO
2F型のポリマー前駆体を、80℃でNaOH溶液(10重量%のNaOHポリマーの1Kg当たり10リットルの溶液)で10時間処理し、次に水のpHが9未満になるまで脱塩水で数回洗浄した。ポリマーを次に−SO
3H型への完全な交換を得るためにHNO
3(20重量%)で処理した。ポリマーを水でリンスし、80℃で20時間換気オーブン中で乾燥させた。過剰量のLi
2CO
3を次に、−SO
3H基を全て−SO
3Li型へ変換するために周囲温度での攪拌下において水性分散系に加えた。CO
2泡の発生が見られた。ポリマー粉末を次に水でリンスし、80℃で20時間換気オーブン中で乾燥させた。
【0117】
ポリマー(F−1)の当量の測定
フィルムを、本明細書で上に詳述されたような手順(A)に従って得られた乾燥ポリマーの試料から、粉末を270℃で5分間にわたりプレス中で加熱することによって製造した。フィルム試料(10cm×10cm)をカットし、80℃で24時間水中の10重量%KOH溶液で処理し、次に、純水で洗浄した後、周囲温度で20重量%HNO
3溶液で処理した。フィルムを最後に水で洗浄した。この手順を用いて、ポリマーの官能基が−SO
2F型から−SO
3H型へ変換された。150℃で真空乾燥させた後、フィルムを標準NaOH溶液(例えばNaOH 0.1N)で滴定した。
【0118】
実施例1
プロピレンカーボネート中に5重量%の、660g/eqの当量を有するポリマー(F−1)を含有する溶液を、80℃での撹拌下において4時間後に調製した。そのようにして得られた溶液は、無色透明であり、均一であった。
【0119】
実施例2
プロピレンカーボネート中に10重量%の、870g/eqの当量を有するポリマー(F−1)を含有する溶液を、80℃での撹拌下において4時間後に調製した。そのようにして得られた溶液は、無色透明であり、均一であった。
【0120】
比較例1
実施例1の下で詳述されたのと同じ手順に従ったが、ジメチルスルホキシドを使用した。
【0121】
比較例2
実施例1の下で詳述されたのと同じ手順に従ったが、N−メチル−2−ピロリドンを使用した。
【0122】
実施例3 − フィルムの製造
20μmの厚さを有するフィルムを、テープキャスティングおよび乾燥(120℃で真空下において48時間)により、実施例1に従って調製された溶液を使用して製造した。
【0123】
実施例4 − 負極の製造
リチウム電極を、所望の寸法にカットされたリチウム箔を含む電流コレクタを使用して製造した。実施例1に従って調製された溶液を次に電流コレクタのリチウム箔上へドクターブレード技法によってコーティングし、次に60℃で(最初にアルゴン下で、次に真空下で)乾燥させ、それによって約30μmの最終厚さを有する保護層を提供した。そのようにして得られたアセンブリをカットし、それによって14mmの直径を有するリチウム層、および前記リチウム層に接着された16mmの直径を有する保護フィルムを含む負極を提供した。
【0124】
実施例5 − 負極の製造
実施例3に従って製造されたフィルムを真空下で乾燥させて微量の水を除去した。約1μm以下の厚さのリチウム金属蒸着を真空蒸着法によってフィルム上で行った。リチウム/保護フィルムスタックを次にカットしてリチウム電極にした。
【0125】
比較例3
実施例4の下で詳述されたのと同じ手順に従ったが、比較例1に従って調製された溶液を使用した。
【0126】
比較例4
実施例4の下で詳述されたのと同じ手順に従ったが、比較例2に従って調製された溶液を使用した。
【0127】
硫黄正極の製造
硫黄電極を、カーボンブラック粉末(10重量%)と、硫黄粉末(80重量%)と、ポリフッ化ビニリデンバインダー(10重量%)とをN−メチル−2−ピロリドン中で混合することによって製造した。スラリーを次に100μmの厚さまで20μmのアルミ箔上へコーティングした。55℃で乾燥させた後、電極の厚さは、約1.8mg/cm
2の硫黄のローディングで約15μmであった。
【0128】
実施例6 − Li−S電池の製造
コイン電池をグローブボックス中で制御雰囲気下で組み立てた。実施例4に従って製造されたリチウム電極をカットして14mmディスクにし、次に真空下で乾燥させた。アセンブリを、CR2032コイン電池ケーシングを用いて製造し、前記アセンブリは、連続して、14mmの直径を有する硫黄正極、16.5mmの直径を有するポリプロピレン製の多孔質セパレータおよび実施例4に従って製造された負極を含んだ。テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン(DIOX)(容積で50/50)中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)1Mを含有する電解質媒体を、そのようにして得られたセルへ含浸させた。セルを次にグローブボックス中で密封し、次にC/10でLi+/Liに対して1.5V〜3Vでサイクルさせた。
【0129】
実施例7 − Li−S電池の製造
コイン電池をグローブボックス中で制御雰囲気下で組み立てた。実施例3に従って製造されたフィルムをカットして16.5mmディスクにし、次に真空下で乾燥させた。アセンブリを、CR2032コイン電池ケーシングを用いて製造し、前記アセンブリは、連続して、14mmの直径を有する硫黄正極、16.5mmの直径を有するポリプロピレン製の多孔質セパレータ、16.5mmの直径を有する実施例3に従って製造されたフィルムおよび16mmの直径を有するリチウム電極を含んだ。テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン(DIOX)(容積で50/50)中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)1Mを含有する電解質媒体を、そのようにして得られたセルへ含浸させた。セルを次にグローブボックス中で密封し、次にC/10でLi+/Liに対して1.5V〜3Vでサイクルさせた。
【0130】
比較例5
10.4重量%の790の当量を有するポリマー(F−1)、75.0重量%の水および14.6重量%のn−プロパノールを含む混合物を調製し、その後、室温でポリプロピレン製の多孔質セパレータの円形試料(重量:170mg、面積:95cm
2、厚さ:30μm)上へ落とした。その後、そのようにして得られた湿ったセパレータを次の昇温:65℃で1.5時間、90℃で1.5時間および160℃で15分を用いてオーブン中で乾燥させた。乾燥後、増量およびSEM分析は、ポリプロピレン支持体上に最初に存在した細孔を覆う緻密質の均一なポリマーフィルム(両側に0.25mg/cm
2)の存在を裏付けた。アセンブリを、CR2032コイン電池ケーシングを用いて製造し、前記アセンブリは、連続して、14mmの直径を有する硫黄正極、16.5mmの直径を有するそのようにして得られたセパレータおよび16mmの直径を有するリチウム電極を含んだ。テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン(DIOX)(容積で50/50)中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)1Mを含有する電解質媒体を、そのようにして得られたセルへ含浸させた。セルを次にグローブボックス中で密封し、次にC/10でLi+/Liに対して1.5V〜3Vでサイクルさせた。
【0131】
比較例6
コイン電池をグローブボックス中で制御雰囲気下で組み立てた。アセンブリを、CR2032コイン電池ケーシングを用いて製造し、前記アセンブリは、連続して、14mmの直径を有する硫黄正極、16.5mmの直径を有するポリプロピレン製の多孔質セパレータおよび16mmの直径を有するリチウム電極を含んだ。テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン(DIOX)(容積で50/50)中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)1Mを含有する電解質媒体を、そのようにして得られたセルへ含浸させた。セルを次にグローブボックス中で密封し、次にC/10でLi+/Liに対して1.5V〜3Vでサイクルさせた。
【0132】
比較例7
Li/Sセルを、実施例6の下で詳述されたのと同じ手順に従って、しかし比較例3に従って製造されたリチウム電極を使用して製造した。
【0133】
比較例8
Li/Sセルを、実施例6の下で詳述されたのと同じ手順に従って、しかし比較例4に従って製造されたリチウム電極を使用して製造した。
【0134】
電気化学的測定
電気化学的測定は、1.5V〜3Vにおいて室温およびC/100でCR2032コイン電池で行った。結果を本明細書で下の表1に示す。表1に報告されるデータは、並行して実施された2つのセル試験測定の平均値を表す。比放電容量値[mAh/gのS]は、Li−Sコイン電池での硫黄利用の百分率を表す。容量保持率値[%]は、Li−Sコイン電池の充電/放電サイクル時の初期比放電容量値の保持率を表す。容量保持率値が高いほど、セルのサイクル寿命はより良好である。クーロン効率値[%]は、放電中に復元可能である充電中に貯蔵された電荷の分率を表す。
【0136】
比較例6、7および8のLi−Sコイン電池の電気化学的測定に相当するランは、ポリスルフィドシャトル機構のために第1サイクル後に止めた。同様に、比較例5のLi−Sコイン電池の電気化学的測定に相当するランは、ポリスルフィドシャトル機構のために第2サイクル後に止めた。
【0137】
比較例5、6、7および8のLi−Sコイン電池の充電/放電曲線によって示されるように、セルの低下したクーロン効率をもたらす無限充電閾値が正式に記録された。
【0138】
対照的に、良好な容量保持率およびクーロン効率(少なくとも50サイクルまで後)が、本発明による実施例6および7のLi−Sコイン電池によってとりわけ具体化されるように、本発明のLi−S電池の電気化学的測定の間にわたって観察された。理論に制約されることなく、これは、本発明によるセルでの不在のまたは非常に減少したポリスルフィドシャトル機構を示唆する。
【0139】
さらに、本明細書で上の表1に示されるように、本発明による実施例7のLi−Sコイン電池は、比較例5、6、7および8のLi−Sコイン電池のいずれかによってとりわけ具体化されるように、従来のLi−S電池と比べてより高い比放電容量値およびより高いクーロン効率値の両方を成功裡に示した。
【0140】
さらに、本明細書で上の表1に示されるように、本発明による実施例7のLi−Sコイン電池は、比較例5のLi−Sコイン電池によってとりわけ具体化されるように、従来のLi−S電池と比べて良好なまたはより高い容量保持率値を成功裡に示した。
【0141】
上記を全て考慮して、本発明のLi−S電池は、従来のLi−S電池と比べて良好なまたは増加した容量値を維持しながら、不在のまたは減少したポリスルフィドシャトル機構を成功裡に示した。