(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに連結されて走行する搬送台車の走行経路に対し、搬送台車上のワークに対する作業装置の往復移動経路が互いに平行に配設され、前記作業装置を前記往復移動経路の始端位置から終端位置まで作業対象の搬送台車と同期走行させる同期前進走行手段と、前記作業装置を前記往復移動経路の終端位置から始端位置まで高速後退走行させる高速後退走行手段とが設けられた搬送作業設備であって、前記搬送台車上には、ワーク積載領域と搬送台車側辺との間に作業領域が確保され、前記往復移動経路は、作業装置の一部又は全体が搬送台車上の前記作業領域の上に重なるように設けられ、前記同期前進走行手段は、搬送台車の上部に設けられた伝動部材と当該伝動部材によって後押しされるように作業装置の底部に設けられた受動部とから成る伝動手段と、この伝動手段を前記往復移動経路の始端位置で伝動状態に切り換えると共に当該伝動手段を前記往復移動経路の終端位置で伝動解除状態に切り換える伝動状態切り換え手段とから構成されている搬送作業設備において、
前記往復移動経路は、前記搬送台車の走行経路脇に設置された架台から当該搬送台車の上側に張り出す片持ち状支持フレーム上に敷設された作業装置支持用ガイドレールによって構成されている、搬送作業設備。
前記伝動手段の伝動部材は、上昇限の作用姿勢と下降限の退避姿勢との間で、搬送台車の床面に設けられた開口部を通じて上下揺動可能に軸支され、この伝動部材が下降限の退避姿勢にあるとき、この伝動部材の上端部が前記開口部を床面と面一の状態で塞ぐように構成されている、請求項1に記載の搬送作業設備。
前記伝動手段の受動部には、この受動部に当接する作用姿勢の前記伝動部材の上端部を当該受動部との間で挟み付ける挟持部材が併設され、この挟持部材は、前記伝動部材の上端部を挟持する作用位置と、前記伝動部材と干渉しない退避位置との間で位置切り換え自在に構成されている、請求項2に記載の搬送作業設備。
前記伝動手段の受動部は昇降部材に取り付けられ、この昇降部材が下降限にあるとき、前記受動部と挟持部材とで伝動部材の上端部を挟持出来るように構成されると共に、前記昇降部材が上昇限にあるとき、前記受動部が、作用位置にある前記伝動部材に対し上方に離間するように構成し、前記受動部には、伝動部材との相対上下移動時に自転する伝動部材受け止め用ローラーが軸支されている、請求項3に記載の搬送作業設備。
前記伝動部材にはカム従動ローラーが取り付けられ、前記伝動状態切り換え手段は、前記カム従動ローラーを介して伝動部材を作用姿勢に切り換え保持するように前記作業装置の往復移動経路に沿って敷設された固定カムレールによって構成されている、請求項2〜4の何れか1項に記載の搬送作業設備。
前記伝動部材にはカム従動ローラーが取り付けられ、前記伝動状態切り換え手段は、前記カム従動ローラーを介して伝動部材を作用姿勢に切り換え保持するように前記作業装置の往復移動経路に沿って敷設された固定カムレールによって構成され、前記挟持部材が受動部との間で伝動部材の上端部を挟み付けたとき、作用姿勢にある伝動部材が上動して前記カム従動ローラーが前記固定カムレールから離れるように構成されている、請求項3又は4に記載の搬送作業設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の搬送作業設備では、搬送台車と作業装置とが横側部同士互いに係合して、作業装置が搬送台車と同期走行するのであるから、搬送台車から作業装置に推力が伝達されるときに作業装置には水平方向の回転力が働き、搬送台車側には反力として同様の水平方向回転力が働くことになる。このような水平方向回転力は、作業装置や搬送台車の車輪やガイドレールとの間に水平横向きの摩擦力が作用して、円滑な走行を妨げるなどの種々の問題点につながっている。このため同期走行させる作業装置として大型大重量のものが利用出来なかった。更に、搬送台車の走行経路脇に作業装置の往復移動経路が並ぶことになるので、この作業装置が存在する領域では設備の横巾が非常に大きくなるばかりでなく、作業装置が搬送台車上のワーク支持部に対するワークの積み降ろしを行う設備では、搬送台車上のワーク支持部を、作業装置の往復移動経路がある側に大きく片寄せて配設しなければならないので、先に説明したような部品や自動工具を搬送台車上の作業者に提供するための部品等提供用作業装置も同期走行させるためには、この部品等提供用作業装置をワークの積み降ろし用作業装置のある側とは反対側に配設しなければならない。搬送台車の走行経路を往行路と復行路とが並列する循環経路に構成する一般的なレイアウトでは、当該循環経路の往行路と復行路との間の閉じた直線状領域内に例えば前記部品等提供用作業装置を配設しなければならず、実用的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる搬送作業設備を提案するものであって、本発明に係る搬送作業設備は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、互いに連結されて走行する搬送台車(1)の走行経路に対し、搬送台車(1)上のワークに対する作業装置(3)の往復移動経路が互いに平行に配設され、前記作業装置(3)を前記往復移動経路の始端位置から終端位置まで作業対象の搬送台車(1)と同期走行させる同期前進走行手段と、前記作業装置(3)を前記往復移動経路の終端位置から始端位置まで高速後退走行させる高速後退走行手段(シリンダーユニット(35))が設けられた搬送作業設備
であって、前記搬送台車(1)上には、ワーク積載領域(ワーク支持部(20))と搬送台車側辺との間に
作業領域(26)が確保され、前記往復移動経路は、作業装置(3)の一部又は全体が搬送台車(1)上の前記作業領域(26)の上に重なるように設けられ、前記同期前進走行手段は、搬送台車(1)の上部に設けられた伝動部材(28)と当該伝動部材(28)によって後押しされるように作業装置(3)の底部に設けられた受動部(40)とから成る伝動手段(27)と、この伝動手段(27)を前記往復移動経路の始端位置で伝動状態に切り換えると共に当該伝動手段(27)を前記往復移動経路の終端位置で伝動解除状態に切り換える伝動状態切り換え手段(固定カムレール(52))とから構成されている
搬送作業設備において、
前記往復移動経路は、前記搬送台車(1)の走行経路脇に設置された架台(38a)から当該搬送台車(1)の上側に張り出す片持ち状支持フレーム(38)上に敷設された作業装置支持用ガイドレール(39)によって構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、搬送台車と同期走行させる作業装置はその一部又は全体が搬送台車上の前記作業領域の上に重なるように設けられているので、この作業装置の往復移動経路のある領域での設備の横巾を狭くすることが出来る。そして作業装置と搬送台車とを係合させて作業装置を搬送台車と同期走行させるための前記伝動手段は、上下に重なる搬送台車の上部と作業装置の底部とを互いに係合させるものであるから、作業装置と搬送台車とを横側部同士で互いに係合させる構成と比較して、搬送台車から作業装置に推力を伝達させるときに作業装置や搬送台車に水平方向の回転力を働かせることが無いか又はその回転力を小さく出来る。従って、作業装置や搬送台車の円滑な走行を妨げるなどの問題点を解消乃至は抑制出来ると共に、大型大重量となる作業装置でも問題なく実施することが出来る。更に、搬送台車の走行経路を往行路と復行路とが並列する循環経路に構成する一般的なレイアウトにおいても、搬送台車上のワーク支持部を、往行路と復行路との間の直線状領域に隣接する搬送台車内側辺に片寄せて配置し、このワーク支持部に対するワークの積み降ろし用作業装置は、前記ワーク支持部と搬送台車外側辺との間の作業領域の上に重なるように配設して、ワーク支持部に対するワークの積み降ろしを問題なく行えるように構成すると共に、ワークの積み降ろし用作業装置から離れた走行経路上の搬送台車に対し部品や自動工具を搬送台車上の作業者に提供するための部品等提供用作業装置の往復移動経路も、搬送台車外側辺の外側に並設して、当該部品等提供用作業装置とワーク支持部上のワークとの間の搬送台車上に横巾の広い作業領域を確保することが出来る。
【0007】
上記本発明を実施する場合、具体的には、前記伝動手段(27)の伝動部材(28)は、上昇限の作用姿勢と下降限の退避姿勢との間で、搬送台車(1)の床面に設けられた開口部(32)を通じて上下揺動可能に軸支され、この伝動部材(28)が下降限の退避姿勢にあるとき、この伝動部材(28)の上端部(28d)が前記開口部(32)を床面と面一の状態で塞ぐように構成することが出来る。この構成によれば、作業装置が連動状態にない搬送台車のワーク積載領域と搬送台車側辺との間の
作業領域を平坦な床面とすることが出来、当該
作業領域での搭乗作業者による作業を安全に行える。更に、前記伝動手段(27)の受動部(40)には、この受動部(40)に当接する作用位置の前記伝動部材(28)の上端部(28d)を当該受動部(40)との間で挟み付ける挟持部材(43)を併設し、この挟持部材(43)は、前記伝動部材(28)の上端部(28d)を挟持する作用位置と、前記伝動部材(28)の上下揺動経路から離れた退避位置との間で位置切り換え自在に構成することが出来る。この構成によれば、作業装置が慣性で同期対象の搬送台車より先行移動することもなく、作業装置を同期対象の搬送台車と完全に一体化させることが出来る。
【0008】
又、前記伝動手段(27)の受動部(40)は昇降部材(41)に取り付け、この昇降部材(41)が下降限にあるとき、前記受動部(40)と挟持部材(43)とで伝動部材(28)の上端部(28d)を挟持出来るように構成すると共に、前記昇降部材(41)が上昇限にあるとき、前記受動部(40)が、作用位置にある前記伝動部材(28)に対し上方に離間するように構成し、前記受動部(40)には、伝動部材(28)との相対上下移動時に自転する伝動部材受け止め用ローラー(42)を軸支することが出来る。この構成によれば、伝動部材を作用姿勢から退避姿勢に切り換えなくとも前記昇降部材を下降限から上昇限に切り換えることによって搬送台車に対する作業装置の切り離しが行えるので、搬送台車やその走行経路側に伝動部材を退避姿勢に切り換える駆動手段を設けなくとも、搬送台車に対する作業装置の切り離しをタイミング良く実行させることが容易になる。
【0009】
又、前記伝動部材(28)にはカム従動ローラー(31)を取り付け、前記伝動状態切り換え手段は、前記カム従動ローラー(31)を介して伝動部材(28)を作用姿勢に切り換え保持するように前記作業装置(3)の往復移動経路に沿って敷設された固定カムレール(52)によって構成することが出来る。この構成によれば、搬送台車やその走行経路側に伝動部材を退避姿勢に切り換える駆動手段を設ける場合と比較して非常に安価に実施することが出来る。このカム従動ローラー(31)と固定カムレール(52)とで伝動部材(28)の姿勢切り換えを行う構成において、前記のように受動部(40)に当接する作用位置の前記伝動部材(28)の上端部(28d)を当該受動部(40)との間で挟み付ける挟持部材(43)を併用する場合、この挟持部材(43)が受動部(40)との間で伝動部材(28)の上端部(28d)を挟み付けたとき、作用姿勢にある伝動部材(28)が上動して前記カム従動ローラー(31)が前記固定カムレール(52)から離れるように構成することが出来る。この構成によれば、搬送台車側の伝動部材によって作業装置を同期駆動するときに、伝動部材を作用姿勢に切り換えた固定カムレール側に継続的に大きな負荷が作用することを回避することが出来るだけでなく、場合によっては、固定カムレールを作業装置の往復移動経路の始端位置側にのみ設置して、コストを低減することも可能である。
【0010】
尚、
本発明においては、前記作業装置(3)の往復移動経路は、搬送台車(1)の走行経路脇に設置された架台(38a)から当該搬送台車(1)の上側に張り出す片持ち状支持フレーム(38)上に敷設された作業装置支持用ガイドレール(39)によって構成
しているので、前記作業装置(3)が、搬送台車(1)上のワーク支持部(20)との間でワークを受け渡しするワーク移載手段(36A〜37B)を備えたワーク移載作業装置であるときは、搬送台車(1)の走行経路脇には、前記架台(38a)上に一部又は全部が重なるように設置されたワーク搬送用のコンベヤ(53,54)を設け、このコンベヤ(53,54)と作業装置(3)上の前記ワーク移載手段(36A〜37B)との間でワークの移載が行えるように構成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、1は搬送台車であって、直線状の往行経路部と直線状の復行経路部とが並列すると共に両経路部が両端でUターン経路部によって連結された循環走行経路上を互いに連結された状態で走行するものであり、この
図1に示すワーク移載設備は、前記往行経路部と復行経路部の何れか一方又はその両方の経路終端付近に設けられる。このワーク移載設備は、搬送台車1の走行経路の外側(並列する往復両経路部間の閉領域のある側とは反対の外側、以下同じ)に配設されたもので、ワーク搬送コンベヤ2と、搬送台車1上に重なるように設けられたワーク移載用作業装置3とから構成されている。
【0013】
各搬送台車1は、
図4A〜
図5Aに示すように左右一対前後二組の車輪4と垂直支軸で軸支されたガイドローラー5、及び一側辺に走行方向と平行に配置された摩擦駆動用帯状板6を備えた架台部7の上に床板8を敷設したものであって、車輪4は、この搬送台車1の走行経路に沿って敷設された左右一対の帯板状レール板9の上に転動自在に載置され、ガイドローラー5は、両帯板状レール板9の中間位置に搬送台車1の走行経路に沿って敷設された溝形ガイドレール10内に自転可能に遊嵌し、この搬送台車1の走行経路中の適当箇所には、前記摩擦駆動用帯状板6を介してこの搬送台車1を駆動推進させる摩擦駆動手段11が配設されている。この摩擦駆動手段11は従来周知のもので、摩擦駆動用帯状板6に圧接してモーター駆動される摩擦駆動輪12と、この摩擦駆動輪12との間で摩擦駆動用帯状板6を挟むバックアップロードバー13とから構成されている。
【0014】
搬送台車1の床板8は、前記ガイドローラー5を下端に軸支する垂直支軸14と同心状で180度を超える周長の突曲円弧縁15aを備えた前側張出床板部15と、この前側張出板部15の後ろ側に連なる後側床板部16とから成り、この後側床板部16の互いに平行な直線状の左右両側辺間の横巾は、前側張出床板部15の直径より小さく、当該左右両側辺の内、外側の側辺(摩擦駆動用帯状板6のある側、以下同じ)は、前側張出板部15の突曲円弧縁15aと接線方向につながっている。又、後側床板部16の後側辺は、前記前側張出床板部15の突曲円弧縁15aより若干曲率の大きな凹曲円弧縁16aとなっており、架台部7は、この凹曲円弧縁16aの内側領域内に張り出している。この架台部7の前記垂直支軸14を前端に備えた前後方向の棒状主材17の後端には、前記後側床板部16の凹曲円弧縁16aの円弧中心と同心状に、後ろ側の搬送台車1の前記垂直支軸14が貫通する連結用軸孔18が設けられている。ガイドローラー5が下端に軸支された前記垂直支軸14は、棒状主材17の前端の垂直な連結用軸孔19に対し、ガイドローラー5と共に上下方向に抜き差し自在なものである。
【0015】
上記構成の搬送台車1は、前側の搬送台車1の連結用軸孔18の上に後ろ側の搬送台車1の連結用軸孔19を同心状に重ね、これら両連結用軸孔18,19を貫通するように、垂直支軸14を下端のガイドローラー5と共に差し込んで固定することにより、前後に隣り合う搬送台車1同士が、垂直支軸14の周りに水平に相対揺動自在に連結される。このとき、後ろ側の搬送台車1の前側張出床板部15は、前側の搬送台車1の後側床板部16における凹曲円弧縁16aの内側領域内に張り出している架台部7上に相対摺接自在に支持され、走行経路中のUターン経路部を走行するときには、後ろ側の搬送台車1の床板8の前端の突曲円弧縁15aが前側の搬送台車1の床板8の後端の凹曲円弧縁16aに隣接して、その円弧中心の周りに水平に相対回転することになる。又、搬送台車1の走行経路中の直線状の往復両経路部では、各搬送台車1の外側の摩擦駆動用帯状板6が走行方向と平行に直線状に連続することになり、摩擦駆動手段11により各搬送台車1を連続的に前進走行駆動させることが出来る。
【0016】
以上のように互いに連結されて帯状に連なった状態で走行経路上を走行させることが出来る各搬送台車1上には、床板8の内側(摩擦駆動用帯状板6のある側とは反対側、以下同じ)半分の領域のセンター寄りの位置には、ワーク支持部20が設けられている。このワーク支持部20は、パンタグラフ機構21によって昇降自在に支持されたワーク支持台22と、このワーク支持台22を突き上げにより上昇させる、片側にのみ折曲自在な駆動チエン23、及び当該駆動チエン23を突き上げ引き戻し駆動する駆動手段24から構成されている。ワーク支持台22は、搬送台車1の走行方向に長い矩形版状のワーク搭載パレット25を、上昇限位置に保持されているワーク支持台22に対する外側から左右水平方向に移載可能に構成されている。
【0017】
搬送台車1の床板8上のワーク支持部20の周囲の領域は、作業者が搭乗してワーク支持部20上にワーク搭載パレット25を介して支持されたワークに対する各種作業を行うための平坦な作業床となっているが、この実施例では、前記作業床の内、ワーク支持部20の外側にある左右横巾の広い領域を特に作業領域26と称する。そして1台おきに位置する搬送台車1には、その作業領域26の左右横巾の中央付近に、
図1に示すワーク移載設備におけるワーク移載用作業装置3との伝動手段27を構成する伝動部材28が設けられている。
【0018】
前記伝動部材28は、
図8及び
図9Aに示すように、架台部7の下側に取り付けられた左右一対の軸受け板29間に、後端部が左右向きの水平支軸30によって上下揺動自在に軸支されたもので、前端部の片側には、水平支軸30と平行な水平支軸で軸支されたカム従動ローラー31が設けられ、当該前端部から前記水平支軸30と同心状に上方後方に延出する円弧形延出部28aを備えている。この伝動部材28が水平支軸30の周りで上方に揺動したとき、前記円弧形延出部28aが貫通昇降揺動する開口部32が床板8に設けられ、伝動部材28の下方への揺動を制限する前後位置調整自在なボルト利用の下降限ストッパー33が、軸受け板29間の後端部下側に取り付けられ、伝動部材28が自重によって下降限ストッパー33に受け止められる下降限の退避姿勢となったとき、円弧形延出部28aの上端面28bが床板8の表面と面一の状態で開口部32を閉じるように構成されている。伝動部材28の上昇限は、当該伝動部材28の前端部から前方に突設された当接部28cが軸受け板29の前端部間に設けられた上昇限ストッパー34の下側に当接することによって決められ、このとき伝動部材28は、その上端部28dが開口部32を上方に貫通して床板8の上方一定高さに達する上昇限の作用姿勢になる。伝動部材28の上端部28dには、この伝動部材28が上昇限の作用姿勢になったときに、床板8に対し垂直な前方正面向きとなる当接面28eが設けられている。
【0019】
図1に示すように、ワーク移載用作業装置3は、直列する4台の搬送台車1の全長よりも長い長さの台車3a上に、後ろ側2台のワーク引き取り移載手段36A,36Bと、前側2台のワーク押し乗せ移載手段37A,37Bが、搬送台車1の間隔と同一間隔で設けられている。このワーク移載用作業装置3の台車3aは、
図7に示すように、搬送台車1の走行経路の外側に設置された架台38aから搬送台車1の前記作業領域26の上側に張り出す片持ち状支持フレーム38上に敷設された左右一対の作業装置支持用ガイドレール39によって、搬送台車1の1台分の長さの往復移動経路上で往復移動自在に支持されると共に、ワーク移載用作業装置3を往復移動経路の終端位置から始端位置まで高速後退走行させる高速後退走行手段として、ワーク移載用作業装置3の台車3aと架台38aとの間にシリンダーユニット35が介装されている。
【0020】
ワーク移載用作業装置3は、台車3a上の各移載手段36A〜37Bを含む全体が搬送台車1の前記
作業領域26の上に重なる横巾を有する。そして各移載手段36A〜37Bは、搬送台車1上のワーク支持部20において上昇限高さに保持されているワーク支持台22に対応する高さにあって、当該ワーク支持台22との間でワーク搭載パレット25を水平左右方向に横動移載出来るものである。
【0021】
ワーク移載用作業装置3の高速後退走行手段としてのシリンダーユニット35は、ワーク移載用作業装置3が搬送台車1から推力を受けて同期走行しているときは、フリーの状態になってワーク移載用作業装置3の走行に追従して伸長動作を行う。又、後述するように、ワーク移載用作業装置3を搬送台車1と同期走行させる段階であっても、必要に応じて同期走行速度よりも高速でワーク移載用作業装置3を同期走行方向に高速で走行させる手段としてシリンダーユニット35を利用することも出来る。
【0022】
上記のワーク移載用作業装置3における台車3aには、前記伝動部材28を備えた前後2台の搬送台車1が、ワーク引き取り移載手段36A,36Bの内の前側のワーク引き取り移載手段36Aと、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bの内の前側のワーク押し乗せ移載手段37Aに対応する位置にあるとき、これら前後2台の搬送台車1の伝動部材28に対応する2箇所に、当該伝動部材28と共にワーク移載用作業装置3との伝動手段27を構成する受動部40が設けられている。
【0023】
前記受動部40は、
図8〜
図9Bに示すように、昇降部材41と、この昇降部材41の下端に左右向きの水平支軸によって軸支された伝動部材受け止め用ローラー42によって構成され、この受動部40に挟持部材43が併設されている。受動部40の昇降部材41は、台車3aに固定された支持用垂直板44にスライドレール45とこれに嵌合するスライドブロック46を介して昇降自在に支持されると共に、支持用垂直板44との間に介装されたシリンダーユニット47により下降限位置と上昇限位置との間で昇降駆動される。伝動部材受け止め用ローラー42は、昇降部材41が下降限位置にあるとき、前進走行してくる搬送台車1の作用姿勢にある伝動部材28の上端部28d(当接面28e)を受け止めることが出来る。挟持部材43は、支持用垂直板44から突設された軸受け部材48の先端下側に垂直支軸49によって水平揺動自在に軸支されたもので、支持用垂直板44との間に水平に介装されたシリンダーユニット50によって、挟持姿勢と退避姿勢との間で水平揺動駆動される。この挟持部材43には、当該挟持部材43がシリンダーユニット50によって挟持姿勢に切り換えられたとき、シリンダーユニット47により下降限位置に切り換えられた受動部40の伝動部材受け止め用ローラー42との間で、搬送台車1の作用姿勢にある伝動部材28の上端部28dを挟み付ける挟持部43aが付設されている。
【0024】
図6に示すように、搬送台車1の走行経路上には、搬送台車1が備える伝動部材28を制御する伝動状態切り換え手段51としての固定カムレール52が敷設されている。この固定カムレール52は、伝動部材28が有するカム従動ローラー31を押し上げて当該伝動部材28を作用姿勢に切り換えるものであって、ワーク移載用作業装置3(台車3a)がその往復移動経路の始端位置にあるときのワーク引き取り移載手段36Aが備える受動部40より上手側に適当距離だけ離れた位置から、ワーク移載用作業装置3(台車3a)がその往復移動経路の終端位置にあるときのワーク押し乗せ移載手段37Aが備える受動部40より少し下手側に離れた位置までの長さを有するもので、始端側には、伝動部材28が有するカム従動ローラー31を徐々に押し上げられるように緩い角度の昇り勾配部を備えている。
【0025】
図1に示すワーク搬送コンベヤ装置2は、ワーク移載用作業装置3(台車3a)がその往復移動経路の始端位置にあるとき(
図1は終端位置にある状態を示している)のワーク引き取り移載手段36Aに接続するワーク搬出用コンベヤ53と、ワーク押し乗せ移載手段37Aに接続するワーク搬入用コンベヤ54、及びワーク搬出用コンベヤ53とワーク搬入用コンベヤ54との間に配設されたワーク昇降搬送手段55から構成されている。ワーク引き取り移載手段36A,36Bは、搬送台車1のワーク支持部20(上昇限位置のワーク支持台22)上からワーク搭載パレット25を引き込む一対のワーク搭載パレット引き込み手段56と、このワーク搭載パレット引き込み手段56によって引き込んだワーク搭載パレット25をワーク搬出用コンベヤ53のある側へ横送り搬送する二列のローラーコンベヤユニット57を備え、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bは、ワーク搬入用コンベヤ54から受け継いだワーク搭載パレット25を搬送台車1のワーク支持部20(上昇限位置のワーク支持台22)のある側へ横送り搬送する二列のローラーコンベヤユニット58と、このローラーコンベヤユニット58で搬送したワーク搭載パレット25を搬送台車1のワーク支持部20(上昇限位置のワーク支持台22)上に押し乗せるワーク搭載パレット押し乗せ手段59を備えている。
【0026】
ワーク搬出用コンベヤ53は、ワーク引き取り移載手段36A,36Bの一対のローラーコンベヤユニット57に接続する一対のローラーコンベヤユニット60と、この一対のローラーコンベヤユニット60間で昇降自在に設けられて、上昇位置にあるとき、ローラーコンベヤユニット60上から受け取った二つのワーク搭載パレット25をワーク昇降搬送手段55上へ送り出す二列の昇降ローラーコンベヤユニット61を備え、ワーク搬入用コンベヤ54は、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bの一対のローラーコンベヤユニット58に接続する一対のローラーコンベヤユニット62と、この一対のローラーコンベヤユニット62間で昇降自在に設けられて、上昇位置にあるとき、ワーク昇降搬送手段55上から受け取った二つのワーク搭載パレット25をローラーコンベヤユニット62上へ送り出す二列の昇降ローラーコンベヤユニット63を備えている。
【0027】
ワーク昇降搬送手段55は、昇降キャレッジ64上に、ワーク搬出用コンベヤ53の上昇限にある二列の昇降ローラーコンベヤユニット61とワーク搬入用コンベヤ54の上昇限にある二列の昇降ローラーコンベヤユニット63とに両端が接続する二列の搬送ライン65a,65bを備えたローラーコンベヤユニット65を搭載したものであり、
図7に示すように、昇降キャレッジ64を昇降ガイド支柱66に沿って昇降させることにより、昇降キャレッジ64(ローラーコンベヤユニット65)上と別の階の搬送経路との間でワーク搭載パレット25を移載することが出来る。
【0028】
以上のように構成された搬送作業設備の使用方法の一例を説明すると、各搬送台車1は、
図2A〜
図3Cに示す定位置P1から定位置P5の方に移動する方向に走行経路上を定速度で連続走行しており、定位置P1に上手側から接近走行する搬送台車1上の作業済みドアは、ワーク移載用作業装置3のワーク引き取り移載手段36A,36Bによって搬送台車1上から降ろされ、ワーク支持部20が空になった搬送台車1には、次のワーク押し乗せ移載手段37A,37Bによって作業前ドアがワーク支持部20上に移載される。
【0029】
以下、
図2A〜
図3Cに基づいて具体的に説明すると、
図2A、
図2B、及び
図3Cに示すように、ワーク移載用作業装置3(台車3a)が往復移動経路の始端位置にあるとき、ワーク引き取り移載手段36Aは定位置P2、ワーク引き取り移載手段36Bは定位置P1、ワーク押し乗せ移載手段37Aは定位置P4、ワーク押し乗せ移載手段37Bは定位置P3にあって、定位置P5が空いている。尚、この実施例では、各搬送台車1は、ワークとしての自動車のドアがセットされたワーク搭載パレット25を、ワーク支持部20上で支持した状態で循環走行経路上で搬送するものであり、その搬送途中にワーク支持部20の周囲の作業床に搭乗した作業者がワーク支持部20上のドアに対する各種作業を行うことが出来る。具体的には、伝動部材28を備えた前側搬送台車1によってフロントドアが搬送され、伝動部材28を持たない後ろ側搬送台車1によってリヤドアが搬送されるものとし、
図2A〜
図3Cでは、作業前/作業済みフロントドアがセットされたワーク搭載パレット25を、作業前/作業済みワーク搭載パレットF1〜Fyで示し、作業前/作業済みリヤドアがセットされたワーク搭載パレット25を、作業前/作業済みワーク搭載パレットR1〜Ryとして説明する。
【0030】
図2Aに示すように、ワーク移載用作業装置3(台車3a)が往復移動経路の始端位置で待機しているとき、ワーク引き取り移載手段36A,36Bは空き状態であり、ワーク押し乗せ移載手段37Aのローラーコンベヤユニット58上には、作業前ワーク搭載パレットFxが移載され、ワーク押し乗せ移載手段37Bのローラーコンベヤユニット58上には、作業前ワーク搭載パレットRxが移載されている。この状態では、ワーク移載用作業装置3(台車3a)が備える伝動手段27の受動部40は、定位置P2,P4に位置しており、
図8に実線で示すように、各受動部40の伝動部材受け止め用ローラー42は、昇降部材41によって下降限位置にあり、挟持部材43は、
図9Bに仮想線で示すように、シリンダーユニット47によって退避位置に切り換えられている。一方、
図2Aに示す状態では、作業済みワーク搭載パレットF1を搬送する前側の搬送台車1が定位置P2の手前を定位置P1に向かって走行しており、作業済みワーク搭載パレットR1を搬送する後ろ側の搬送台車1が定位置P1の手前を定位置P1に向かって走行している。そして先にワーク引き取り移載手段36A,36Bで作業済みフロントドア及び作業済みリヤドアを降ろして空き状態となった前後2台の搬送台車1が定位置P4,P3の手前をこれら定位置P4,P3に向かって走行している。
【0031】
一方、各定位置P1〜P4のそれぞれ手前位置を走行している4台の搬送台車1の内、定位置P2の直前位置を走行している搬送台車1、即ち、作業済みワーク搭載パレットF1を搬送する前側の搬送台車1と、定位置P4の直前位置を走行している空き状態の搬送台車1には、伝動手段27の伝動部材28が取り付けられており、これら伝動部材28は、定位置P1を通過するときに固定カムレール52の上にカム従動ローラー31が乗り上げ、搬送台車1の走行に伴って伝動部材28が下降限の退避姿勢から重力に抗して水平支軸30の周りに上動し、床板8の開口部32を閉じていた円弧形延出部28aの上端部28dが床板8から上方の一定高さまで上昇して作用姿勢に切り換わっている。従って、これら作用姿勢に切り換わった伝動部材28を備えた搬送台車1が定位置P2,P4の手前から定位置P2,P4に到達したとき、往復移動経路の始端位置で待機しているワーク移載用作業装置3(台車3a)の前後2つの受動部40の下降限位置に切り換わっている伝動部材受け止め用ローラー42に伝動部材28上端部28dの当接面28eが衝突する。当該受動部40に併設されている挟持部材43は、退避位置に切り換えられているので、伝動部材28は挟持部材43の横側方を通過する。
【0032】
往復移動経路の始端位置で待機していたワーク移載用作業装置3(台車3a)は、上記作用により、定位置P2,P4に到達した2台の搬送台車1の作用姿勢にある伝動部材28から、下降限の作用位置にある受動部40の伝動部材受け止め用ローラー42を介して2台の搬送台車1の前進力を受け取り、当該2台の搬送台車1と一体に同期走行を始めることになる。この状況になった直後に、各受動部40に併設されている挟持部材43をシリンダーユニット50によって退避位置から水平に作用位置まで垂直支軸49の周りに回動させることにより、
図8の実線と
図9Bの仮想線で示すように、伝動部材28の上端部28dを受動部40の伝動部材受け止め用ローラー42と挟持部材43の挟持部43aとの間で挟持させることが出来る。この挟持部材43の挟持動作によって、ワーク移載用作業装置3と2台の搬送台車1とが完全に一体化されて、搬送台車1に対するワーク移載用作業装置3の同期走行を確実に行わせることが出来る。
【0033】
尚、伝動部材28が固定カムレール52とカム従動ローラー31を介して上向きに上動して作用姿勢に切り換わったときは、カム従動ローラー31は固定カムレール52の上面を転動しているが、このとき伝動部材28の上昇限を決める当接部28cと上昇限ストッパー34との間に少し隙間が残っているように構成すると共に、カム従動ローラー31が固定カムレール52の上面に乗っているときの伝動部材上端部28dの当接面28eの角度を上方ほど前方に位置する方向に若干傾斜させ、更には伝動部材受け止め用ローラー42と伝動部材上端部28dの当接面28eとの当接高さよりも挟持部材43の挟持部43aと伝動部材上端部28dの後端角部との当接高さを若干低くして、挟持部材43が伝動部材28の上端部28dを受動部40の伝動部材受け止め用ローラー42との間で挟み付けたときに伝動部材28に上向きの回転力が作用するように構成し、この回転力で伝動部材28が更に若干上動して当接部28cが上昇限ストッパー34に当接したとき、
図8に示すように、伝動部材28のカム従動ローラー31が固定カムレール52の上面から若干浮き上がっているように構成することが出来る。
【0034】
上記のように往復移動経路の始端位置で待機していたワーク移載用作業装置3が、
図2Bに示すように、定位置P2,P4に到達した2台の搬送台車1から伝動部材28と受動部40を介して前進方向の推力を受けて、搬送台車1と一体に同期走行を開始するのであるが、ワーク移載用作業装置3が同期走行を開始した直後から、
図2Cに示すように、ワーク移載用作業装置3のワーク引き取り移載手段36A,36Bとワーク押し乗せ移載手段37A,37Bが稼働する。即ち、ワーク引き取り移載手段36A,36Bのワーク搭載パレット引き込み手段56が、これらワーク引き取り移載手段36A,36Bの内側に隣接している2台の搬送台車1のワーク支持部20上の作業済みワーク搭載パレットF1,R1をローラーコンベヤユニット57上に引き込むと共に、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bのローラーコンベヤユニット58とワーク搭載パレット押し乗せ手段59とにより、当該ローラーコンベヤユニット58上に移載されていた作業前ワーク搭載パレットFx,Rxが、これらワーク押し乗せ移載手段37A,37Bの内側に隣接している2台の搬送台車1のワーク支持部20上に押し乗せられる。
【0035】
ワーク移載用作業装置3が搬送台車1との同期走行を開始した後、ワーク移載用作業装置3が、搬送台車1の1台分の長さに相当する往復移動経路長さの半分近くまで同期走行が進んだ段階が、
図3Aに示されている。この段階では、図示のようにワーク引き取り移載手段36A,36Bでは、ワーク搭載パレット引き込み手段56が元の待機位置まで後退復帰しており且つ作業済みワーク搭載パレットF1,R1がローラーコンベヤユニット57上の終端位置まで送られ、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bでは、ワーク搭載パレット押し乗せ手段59が元の待機位置まで後退復帰している。この段階に達したとき、ワーク引き取り移載手段36Aとワーク押し乗せ移載手段37Aとに対応する位置にある2台の搬送台車1の伝動部材28とワーク移載用作業装置3側の前後2つの受動部40との連動状態を解除すべく、挟持部材43をシリンダーユニット50によって作用位置から退避位置(
図9の仮想線参照)に切り換えると共に、受動部40(伝動部材受け止め用ローラー42)をシリンダーユニット47により上昇限の退避位置に切り換えた後、今までワーク移載用作業装置3の同期走行に追従して伸長動作を行っていたシリンダーユニット35を強制的伸長動作に切り換え、当該シリンダーユニット35によりワーク移載用作業装置3を往復移動経路の終端位置まで高速前進走行させる(
図3B参照)。
【0036】
図3Bに示すように、ワーク移載用作業装置3が往復移動経路の終端位置に達したとき、定位置P1〜P4に位置していたワーク引き取り移載手段36A,36B及びワーク押し乗せ移載手段37A,37Bが定位置P2〜P5まで進んでおり、ワーク引き取り移載手段36Bがワーク搬出用コンベヤ53に接続すると共にワーク押し乗せ移載手段37Bがワーク搬入用コンベヤ54に接続する状態になる。この段階で、ワーク引き取り移載手段36Bのローラーコンベヤユニット57とワーク搬出用コンベヤ53のローラーコンベヤユニット60を稼働させて、作業済みワーク搭載パレットR1をワーク引き取り移載手段36B上からワーク搬出用コンベヤ53上の手前定位置に移載すると共に、ワーク搬入用コンベヤ54のローラーコンベヤユニット62上において並列状態で待機していた2つの作業前ワーク搭載パレットRy,Fyを、当該ローラーコンベヤユニット62とワーク押し乗せ移載手段37Bのローラーコンベヤユニット57とを稼働させて、作業前ワーク搭載パレットRyのみをワーク押し乗せ移載手段37B上に移載し、後続の作業前ワーク搭載パレットFyを作業前ワーク搭載パレットRyのあった位置まで横動させる。
【0037】
次の段階では、伸長限にあったシリンダーユニット35を収縮限まで収縮動作させて、往復移動経路の終端位置にあったワーク移載用作業装置3を、
図3Cに示すように、元の待機位置まで高速後退走行させる。ワーク移載用作業装置3が元の待機位置に復帰することにより、定位置P2〜P5に位置していたワーク引き取り移載手段36A,36B及びワーク押し乗せ移載手段37A,37Bが元の定位置P1〜P4に復帰するので、ワーク引き取り移載手段36Aのローラーコンベヤユニット57上の終端位置で待機していた作業済みワーク搭載パレットF1を、前記ローラーコンベヤユニット57と外側に隣接しているワーク搬出用コンベヤ53のローラーコンベヤユニット60とによって、ワーク搬出用コンベヤ53上の手前定位置まで搬送移載する。この動作により、ワーク搬出用コンベヤ53上の手前定位置に移載されていた作業済みワーク搭載パレットR1が、ワーク搬出用コンベヤ53上の奥側定位置まで移動する。
【0038】
一方、元の定位置P4に復帰したワーク押し乗せ移載手段37Aはワーク搬入用コンベヤ54と接続状態に復帰するので、この段階で、ワーク押し乗せ移載手段37Aのローラーコンベヤユニット58とワーク搬入用コンベヤ54のローラーコンベヤユニット62とを稼働させて、ワーク搬入用コンベヤ54の手前定位置で待機していた作業前ワーク搭載パレットFyをワーク押し乗せ移載手段37A上に移載する。以上の動作により、往復移動経路の始端位置に復帰したワーク移載用作業装置3では、最初の
図2Aに示した状況と同様に、ワーク引き取り移載手段36A,36Bは空き状態であり、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bは、そのローラーコンベヤユニット58上に作業前ワーク搭載パレットFy、Ryが移載された状態になる。
【0039】
尚、
図3Cに示すように、ワーク搬出用コンベヤ53のローラーコンベヤユニット60上に並列状態で移載された作業済みワーク搭載パレットR1,F1は、昇降ローラーコンベヤユニット61を上昇限まで上昇させて当該昇降ローラーコンベヤユニット61上に移し替えた後、この上昇限にある昇降ローラーコンベヤユニット61と同一レベルまで下降させたワーク昇降搬送手段55の昇降キャレッジ64上のローラーコンベヤユニット65と前記昇降ローラーコンベヤユニット61とを稼働させることにより昇降キャレッジ64上に移載し、このワーク昇降搬送手段55によって目的階に搬送することが出来る。又、空き状態になったワーク搬入用コンベヤ54上には、ワーク昇降搬送手段55の昇降キャレッジ64上に移載されて別の階から搬送されてきた二列一組の作業前ワーク搭載パレットを、当該昇降キャレッジ64上のローラーコンベヤユニット65とワーク搬入用コンベヤ54の上昇限まで上昇させた昇降ローラーコンベヤユニット63とによってワーク搬入用コンベヤ54上に移載すると共に昇降ローラーコンベヤユニット63の下降により、ワーク押し乗せ移載手段37A,37Bへ作業前ワーク搭載パレットを搬入するためのローラーコンベヤユニット62上に移載することが出来る。
【0040】
又、ワーク引き取り移載手段36A,36Bが備えるワーク搭載パレット引き込み手段56は、
図1及び
図6などに示すように、ワーク搭載パレット25の四隅に立設されたピン25aの内、引き込み側の両側一対のピン25aを引っ掛けて引き込むための逆止レバー56aを備えたものであり、ワーク搭載パレット押し乗せ手段59は、
図1などに示すように、ワーク搭載パレット25の側辺を直接押す一対のプッシャー59aを備えたものである。勿論、取り扱われるワークのサイズや形態、重量などに応じて、搬送台車1上のワーク支持部20やワーク移載用作業装置3の具体的構成は変わるものであり、上記実施例で説明した構成は一例に過ぎない。又、本発明における作業装置としては、搬送台車1上との間でワークを移載するワーク移載用作業装置3に限定されない。勿論、作業装置としてワーク移載用作業装置3を使用するとしても、上記実施例で説明したワーク移載用作業装置3は一例に過ぎない。