【実施例1】
【0022】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る転倒検知装置をラバーコーンに使用した実施例を示す斜視図である。
【0023】
図1に示す実施例において、転倒検知装置1は、ラバーコーン3のベース部32に着脱自在に装着される上記の装置であって、スイッチ機構11を収容する内ケース13と、その内ケース13を収容する外ケース14を設けている。外ケース14には、該ケースの底面より下方に突出して設けられ、ラバーコーン3のベース部31の底面に係止される一対の係止片151,151と、これらの係止片に架け渡されたバネ部材16と、を備えている。
【0024】
一般的にラバーコーン3は、円錐状の本体部31と板状のベース部32とで構成されている。ラバーコーン3は、本体部31にベース部32が着脱自在に設けられているものの他、本体部31とベース部32とが一体的に成形されていてもよい。本実施例において、ベース部32には、4つの角部及び各辺の中央部に脚部33を備えている。
【0025】
本実施例において、スイッチ機構11は、可動部材111に対して該可動部材111の押下状態を解除する方向に弾性力を付勢する弾性部材を備えると共に、可動部材111の押下動作及び押下解除動作に伴って発電する電磁誘導型発電素子を備えている。
図4に示すように、スイッチ機構11は、向かい合う側面に一対の棒状の可動部材111を設けている。可動部材111は、上下方向に変位可能に設けてあり、スイッチ機構11に内蔵された弾性部材(図示ぜず)によって押下状態を解除する方向(
図4及び
図5の下方)に弾性力が付されている。
【0026】
また、スイッチ機構11は、可動部材111の押下動作及び押下解除動作に伴って、電磁誘導型発電素子により発電される電力を利用して信号を無線送信する低消費電力型の無線通信機構を備えている。スイッチ機構11は、可動部材111の押下動作と押下解除動作に伴って発電される電力のパルスの極性を検出し、押下時と押下解除時とでは異なる信号を無線送信するように構成している。本実施例において、転倒検知装置1は、可動部材111の押下解除動作に伴って送信される無線信号を転倒検知信号として設定している。
【0027】
また、スイッチ機構11は、転倒検知信号と共に信号が発信された転倒検知装置1を特定するための識別信号を無線送信する機能を備えていてもよい。このスイッチ機構11には、例えばEnOcean社製のPTM210Jを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
図4に示すように、作動部材12は、支軸121と、作動部122と、検出片124の先端に嵌着された接地部123と、を有する。作動部材12は、例えばステンレス製板材を成形してなり、支軸121を含む環状体と、支軸121の反対側に延設されて先端部に接地部123を嵌着した検知片124から構成されている。作動部材12は、環状体の支軸121側に、内ケース13と係合して位置決めされる位置決め孔125を備えている。
【0029】
また、作動部材12は、支軸121と直交する方向の環状体の両側部を、スイッチ機構11の両側面に設けられた可動部材111,111と同じ間隔で形成すると共に、該側部の中央部より検知片124側を切り欠いて、作動部122を形成している。作動部材12は、
図5に示すように、支軸121を中心に回動したとき、作動部122がスイッチ機構11の可動部材111の中央部を押圧して、可動部材111を押下操作する。また、作動部122は、作動部材12において、支軸121からの回動半径が接地部123の回動半径の半分より小さくなる位置に形成されている。
【0030】
内ケース13は、内ケース本体部131と蓋部132から構成され、スイッチ機構11と接地部123を除く作動部材12を収容している。内ケース本体部131は、作動部材12の位置決め孔125に係合する係合突起135と、作動部材12の検知片124をケース外に導くための開口部137と、スイッチ機構11を把持する把持突起138を備えている。開口部137には、作動部材12の検知片124を挿通させるための切り込みを設けたシールゴム133が嵌着されており、内ケース13内に埃や水が侵入するのを防いでいる。
【0031】
蓋部132には、作動部材12の支軸121を載置する載置台136が設けられている。内ケース本体部131と蓋部132との接合面にはシールリング134が設けられ、シールゴム133と共に内ケース13内に埃や水が侵入するのを防いでいる。
【0032】
スイッチ機構11は、把持突起138,138に把持されて、内ケース13内に収容されている。作動部材12は、位置決め孔125を係合突起135に係合させると共に、支軸121を載置台136に載置して、内ケース13内に収容されている。また、作動部材12は、弾性部材によって押下状態を解除する方向に弾性力を付勢された可動部材111によって、接地部123をラバーコーン3の底面より下方に突出させる方向に回動している。
【0033】
外ケース14は、外ケース本体部141と蓋部142で構成され、スイッチ機構11が収容された内ケース13を収容する。外ケース14は、ラバーコーン3のベース部32の角部上面に装着できるように、ベース部32の角部に沿った形状に形成してある。また、外ケース14の外周部には、作動部材12の検知片124をケース外に導くための間隙部143が設けられている。
【0034】
図3において、15は、例えばステンレス製板材で形成された取付部材であり、外ケース本体部141の上面に螺子19で固定される。取付部材15の両端部は、外ケース14の底面より下方に突出し、ラバーコーン3のベース部31の底面に係止される一対の係止片151,151を形成している。バネ部材16は、例えばステンレス製のスプリングで両端にフックが設けられており、該フックを係止片151に設けられた取付孔152に掛止して、一対の係止片151,151に架け渡されている。
【0035】
外ケース14には、スイッチ機構11を収容した内ケース13が収容され、螺子18で固定されている。また、蓋部142は、外ケース本体部141に螺子17で開閉可能に固定されている。なお、内ケース13及び外ケース14の構成は、本実施例の構成に限定されるものではなく、スイッチ機構11を収容するケースを内ケース13と外ケース14の二重に構成しなくてもよい。
[監視システム]
【0036】
図6は、本発明に係る監視システムの一実施例を示す構成図である。
【0037】
本発明の監視システムは、上術の転倒検知装置1を備えたシステムであって、転倒検知装置1から無線送信される転倒検知信号を受信して警報音及び振動を発生させる受信機2を有している。
【0038】
受信機2は、作業者が携帯可能な無線通信機器であって、転倒検知信号を受信したときに、振動を発生させる振動モータ21と、警報音を発生させるブザー22と、を備えている。受信機2は、スイッチ機構11の可動部材111の押下解除動作に伴って送信される無線信号を転倒検知信号として認識するように設定されている。また、受信機2は、警報音及び振動を停止させる停止ボタンを備えている。
【0039】
また、受信機2は、転倒検知装置1から転倒検知信号と共に無線送信される識別信号を受信し、ラバーコーン3の転倒状態を検知した転倒検知装置1の識別情報を表示する表示部を備えていてもよい。本監視システムは、複数の作業員が受信機2を携帯できるように、複数の受信機2を備えていてもよい。なお、受信機2は、作業員にラバーコーン3が転倒したことを知らせることができればよく、実施例の形態に限定されるものではない。
【0040】
次に、本監視システムによるラバーコーンの転倒検知方法について説明する。
【0041】
転倒検知装置1を装着したラバーコーン3を、道路や工事現場などの規制場所に設置する。このとき、転倒検知装置1は、ラバーコーン3の底面より下方に突出している作動部材12の接地部123が道路などの設置面に接地し、ラバーコーン3の自重によって検知片124が押し上げられ、作動部材12が支軸121を中心に回動する(
図5の矢印方向)。スイッチ機構11は、作動部材12の回動に伴って、可動部材111が作動部122によって押され、押下状態になる。
【0042】
スイッチ機構11が可動部材111の押下動作に伴って送信する無線信号は、ラバーコーン3が正常に設置されていることを示す信号であるから、受信機2は該無線信号を受信しても警報音及び振動を発生させない。
【0043】
図6に示すようにラバーコーン3が転倒すると、該ラバーコーン3に装着された転倒検知装置1は、作動部材12の接地部123が道路などの設置面から離れることにより、作動部122に作用する回動力が無くなる。そのため、スイッチ機構11は、内蔵された弾性部材の弾性力によって可動部材111が押下状態から解除方向に変位する。このとき、スイッチ機構11は、可動部材111の押下解除動作に伴って転倒検知信号を無線送信する。
【0044】
受信機2は、スイッチ機構11から無線送信された転倒検知信号を受信すると、振動モータ21及びブザー22を作動させて、振動と共に警報音を発生させ、作業者にラバーコーン3が転倒したことを知らせる。受信機2は、作業者によって停止ボタンが押されると、振動モータ21及びブザー22の作動を停止させる。
【0045】
本発明の転倒検知装置1は、可動部材111の押下解除動作に伴って発電される電力を利用してラバーコーン3の転倒を検知すると共に、その電力を使用して転倒検知信号を無線送信することができるから、電源が不要となり、ラバーコーン3への装着が簡単でメンテナンスコストも低減することができる。