特許第6644850号(P6644850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644850二次上りリンクパイロットチャネルによる送信電力制御のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644850
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】二次上りリンクパイロットチャネルによる送信電力制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/40 20090101AFI20200130BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20200130BHJP
   H04W 52/14 20090101ALI20200130BHJP
【FI】
   H04W52/40
   H04W16/32
   H04W52/14
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-180218(P2018-180218)
(22)【出願日】2018年9月26日
(62)【分割の表示】特願2017-504076(P2017-504076)の分割
【原出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2019-17095(P2019-17095A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】62/029,268
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/803,874
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】カーメラ・コッゾ
(72)【発明者】
【氏名】ペン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオレイ・ティエ
【審査官】 三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−064315(JP,A)
【文献】 RAN WG1,LS on Progress in RAN1 #77 for the UMTS Heterogeneous Networks Enhancements WI[online],3GPP TSG-RAN WG1#77 R1-142618,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_77/Docs//R1-142618.zip>,2014年 5月23日
【文献】 QUALCOMM Europe,On F-DPCH power control (or lack thereof)[online],3GPP TSG-RAN WG1#43 R1-051482,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_43/Docs/R1-051482.zip>,2005年11月11日
【文献】 Ericsson,On Reliability of Uplink Control Channels in Heterogeneous Network Deployments[online],3GPP TSG-RAN WG1#76b R1-141687,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76b/Docs/R1-141687.zip>,2014年 4月 4日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電力制御(TPC)を行うように構成されたユーザ機器(UE)を動作させるための方法であって、
前記UEにより、非サービング高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セルからの第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信するステップと、
前記UEにより、前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、上りリンク専用物理制御チャネル(DPCCH)の送信電力を調整するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
サービングHS−DSCHセルからの第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信するステップと、
値+1に設定された前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、前記DPCCHの前記送信電力を調整するステップと、
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サービングHS−DSCHセルからの第3の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信するステップと、
前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2および第3の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、上りリンク二次専用物理制御チャネル(DPCCH2)の送信電力を調整するステップと、
をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールド、および前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、前記DPCCHによって搬送されたTPCコマンドを決定するステップをさらに有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルはF−DPCH1であり、前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルはF−DPCHNON−SERVINGである、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
送信電力制御(TPC)を行うように構成された装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに接続され、前記プロセッサが実行するプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
を具備し、
前記プログラムは、前記装置に、
非サービング高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セルから第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信させ、
前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、上りリンク専用物理制御チャネル(DPCCH)の送信電力を調整させるための命令を有する、装置。
【請求項7】
前記プログラムは、サービングHS−DSCHセルから第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信し、値+1に設定された前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、前記DPCCHの前記送信電力を調整するための命令を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プログラムは、前記サービングHS−DSCHセルから第3の下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信し、前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2および第3の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、上りリンク二次専用物理制御チャネル(DPCCH2)の送信電力を調整するための命令を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プログラムは、前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールド、および前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、前記DPCCHによって搬送されたTPCコマンドを調整するための命令を有する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記サービングHS−DSCHセルからの前記第2の下りリンクフラクショナル制御チャネルはF−DPCH1であり、前記非サービングHS−DSCHセルからの前記第1の下りリンクフラクショナル制御チャネルはF−DPCHNON−SERVINGである、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
送信電力制御(TPC)を行うように構成された装置であって、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段又はユニットを備える装置。
【請求項12】
コンピュータに請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にデジタル通信に関し、特に二次上りリンクパイロットチャネルによる送信電力制御のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力NodeB(マクロノード)と低出力ノード(LPN)との混合配備である異種ネットワーク(Hetnet)の配備は、ネットワーク容量およびカバレッジを増強することを目的とする。マクロノードおよびLPNの間の送信電力の差は、ULおよびDLに異なるカバレッジ領域を生じさせる。
【0003】
マクロノードおよびLPNの間のソフトハンドオーバ領域を考慮すると、より支配的なノードであるマクロノードがサービングノードになる可能性が高い。しかし、LPNで受信された信号はマクロノードで受信された信号よりも格段に強い。上りリンク(UL)中のパイロットチャネルで受信された信号対雑音比(SNR)を考慮すると、マクロノードとLPNの両方がユーザ機器(UE)の送信電力レベルを制御することができるので、UEの送信電力は、主にLPNによって駆動される。その結果、ハイブリッド自動再送要求受信通知(HARQ−ACK)およびチャネル品質インディケータ(CQI)を搬送する高速専用物理制御チャネル(HS−DPCCH)は、サービングマクロノードで確実に復号化されるとは限らない。このシナリオでは、低信頼なHARQ−ACK復号、特に不連続送信(DTX)エラーに対する頻繁なACKは不必要な再送信を生じさせ、下りリンク(DL)のスループット性能を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例示的な実施形態は、二次上りリンクパイロットチャネルによる送信電力制御のためのシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的な実施形態によれば、チャネル品質を推定するように構成されたユーザ機器(UE)を動作させるための方法が提供される。本方法は、UEにより、非サービングセルから下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信するステップと、UEにより、指定された期間にわたる下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質を推定するステップと、UEにより、下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質に従って、下りリンク同期プリミティブを導出するステップとを有する。
【0006】
別の例示的な実施形態によれば、送信電力制御(TPC)を行うように構成されたユーザ機器(UE)を動作させるための方法が提供される。本方法は、UEにより、サービング高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セルから第1の下りリンクフラクタル制御チャネル、および非サービングHS−DSCHセルから下りリンクフラクタル制御チャネルを受信するステップと、UEにより、非サービングHS−DSCHセルからの下りリンクフラクタル制御チャネル中のTPCフィールドに従って、上りリンク専用物理制御チャネル(DPCCH)の送信電力を決定するステップとを有する。
【0007】
一つの例示的な実施形態によれば、送信電力制御(TPC)を行うために構成されたユーザ機器(UE)を動作させるための方法が提供される。本方法は、UEにより、サービング高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セルからの第1の下りリンクフラクショナル制御チャネル、サービングHS−DSCHセルからの第2の下りリンクフラクショナル制御チャネル、および非サービングHS−DSCHセルからの下りリンクフラクショナル制御チャネルのうちの少なくとも1つからのTPCフィールドの第1の合成に従って、上りリンク専用物理制御チャネル(DPCCH)の送信電力を決定するステップと、UEにより、DPCCHの送信電力がどのように決定されたかについてのスイッチを示す信号を受信するステップと、UEにより、サービングHS−DSCHセルからの第1の下りリンクフラクショナル制御チャネル、サービングHS−DSCHセルからの第2の下りリンクフラクショナル制御チャネル、および非サービングHS−DSCHセルからの下りリンクフラクショナル制御チャネルのうちの少なくとも1つからのTPCフィールドの第2の合成に従って、DPCCHの送信電力を決定するステップとを有する。
【0008】
一つの例示的な実施形態によれば、ユーザ装置(UE)は、チャネル品質を推定するために設けられる。UEは、プロセッサと、プロセッサに接続され、プロセッサによって実行されるためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とを有する。プログラムは、UEに、非サービングセルからの下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信させ、指定された期間にわたる下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質を推定させ、下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質に従って下りリンク同期プリミティブを導出させる命令を有する。
【0009】
一つの例示的な実施形態によれば、送信電力制御(TPC)を行うためにユーザ機器(UE)が設けられる。UEは、プロセッサと、プロセッサに接続され、プロセッサによって実行されるためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とを有する。プログラムは、UEに、サービング高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セルから第1の下りリンクフラクショナル制御チャネル、および非サービングHS−DSCHセルから下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信させ、非サービングHS−DSCHセルからの下りリンクフラクショナル制御チャネルのTPCフィールドに従って、上りリンク専用物理制御チャネル(DPCCH)の送信電力を決定させる命令を有する。
【0010】
本開示およびその利点のより完全な理解のために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る例示的な通信システムを示す。
図2】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る、制御チャネル間の電力制御の関係を強調するメッセージ交換図を示す。
図3A】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る、DPCCH2が連続的に送信される状況下で存在する制御信号を強調する通信システムを示す。
図3B】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る、DPCCH2が連続的に送信される状況下で起こるメッセージ交換図を示す。
図4A】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る第3の例示的な実施形態で説明されるような状況下で存在する制御信号を強調する通信システムを示す。
図4B】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る第3の例示的な実施形態で説明されるような状況下で起こるメッセージ交換図を示す。
図5A】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る第5の例示的な実施形態で説明されるような状況下で存在する制御信号を強調する通信システムを示す。
図5B】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る第5の実施形態で説明されるような状況で起こるメッセージ交換図を示す。
図6】本明細書で説明する例示的な実施形態に係る、下りリンク同期プリミティブを導出するUEで発生する例示的な処理のフロー図を示す。
図7】本明細書に記載の例示実施形態に係る、DPCCHに対する電力制御を行うUEで発生する例示的な処理のフロー図を示す。
図8】本明細書に開示される装置および方法を実施するために使用されうる処理システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
現在の例示的な実施形態の動作およびその構成を、以下に詳しく説明する。しかしながら、本開示は、種々の具体的な状況で具現化することができる多くの適用可能な独創的な概念を提供することを理解されたい。説明される具体的な実施形態は、本明細書で開示された実施形態を動作させるための本開示の具体的な構成および方法の単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0013】
一実施形態は、二次上りリンクパイロットチャネルによる送信電力制御に関する。例えば、UEは、非サービングセルによって送信される下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信し、指定された期間にわたる下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質を推定し、そして下りリンクフラクショナル制御チャネルの推定品質に従って、下りリンク同期プリミティブを導出する。
【0014】
実施形態は、特定の状況における例示的な実施形態に関して説明され、すなわち、二次上りリンクパイロットチャネルによって送信電力制御を行う通信システムの実施形態に関して説明される。実施形態は、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、IEEE802.11等の規格に準拠する通信システムや、技術標準や、二次上りパイロットチャネルによる送信電力制御を行う、標準非準拠の通信システムに適用されうる。
【0015】
図1は、例示的な通信システム100を示す。通信システム100は、UE105、マクロノード110、およびLPN115やLPN117のような複数のLPNを有する。一般に、マクロノードは、基地局、NodeB、発展型NodeB(eNB)、通信コントローラ、基地端末局、アクセスポイント、高出力ノード等と称することもある。同様に、LPNは、ピコセル、フェムトセル、遠隔無線ヘッド(RRH)等と称することもあり、UEは、移動局、移動体、端末、加入者、ユーザ等と称することもある。
【0016】
通信システムは多数のUEと通信可能な複数のノードを用いうることが理解されるが、簡略化のためにただ1つのマクロノードと、2つのLPNと、1つのUEとが図示されている。
【0017】
UE105、マクロノード110、およびLPN115と117の間で交換される制御チャネルを、図1にさらに示す。制御チャネルは、高速下りリンク共有チャネル(HS−DPCCH)152を復調するための通信チャネルを推定する際に支援するために位相基準として機能する、ULにおける二次専用物理制御チャネル2(DPCCH2)150を有しうる。DPCCH2 150は、マクロノード110により電力制御される。ULにおける一次パイロットチャネル(DPCCH)154は、拡張DPCCH(E−DPCCH)および拡張専用物理データチャネル(E−DPDCHs)の復調を支援するための位相基準として機能する。DPCCH2 150を導入しても、ULデータの復号性能は影響を受けない。DPCCH2 150は、パイロットシンボルおよび送信電力制御(TPC)シンボルを搬送する。
【0018】
DPCCH154の送信電力は、サービングHS下りリンク共有チャネル(HS−DSCH)セル(図1にマクロノード110として示す)、ならびに非サービングHS−DSCHセル(図1にLPN115、117として示す)により送信されたTPCコマンドによって制御される。拡張専用チャネル(E−DCH)デカップリングが動作している場合は、非サービングHS−DSCHセルはE−DCHセルとも称される。
【0019】
HS−DSCHセルからのTPCコマンドは、フラクショナル専用物理チャネル1(F−DPCH1)156上で搬送され、非サービングHS−DSCHセルからのTPCコマンドは、F−DPCHNON−SERVING158上で搬送される。非サービングHS−DSCHセルが複数存在する場合、図1に示すように、複数のF−DPCHNON−SERVING158が存在し、各F−DPCHNON−SERVING158によって搬送されたTPCコマンドは独立している。
【0020】
DPCCH2 150の送信電力は、サービングHS−DSCHセルによって送られたTPCコマンドによって制御される。HS−DSCHセルからのTPCコマンドは、F−DPCH2 160上で搬送される。F−DPCH1 156とF−DPCH2 160はどちらも、サービングHS−DSCHセルから送信され、非衝突リソースがF−DPCH1 156およびF−DPCH2 160のために使用される。DPCCH2 150が、F−DPCH1156およびF−DPCH2 160のためのTPCコマンドを搬送する。DPCCH154が、非サービングHS−DSCHによって送信された複数のF−DPCHNON−SERVING158の少なくとも1つのためのTPCコマンドを搬送する。
【0021】
図2は、制御チャネル間の電力制御の関係を強調するメッセージ交換図200を示す。メッセージ交換図200は、UE205、マクロノード210、およびLPN215との間で交換される制御チャネルを掲示する。DPCCH2 250は、HS−DPCCH252を復調するための位相基準を提供するために用いられる。DPCCH2 250は、F−DPCH1 256およびF−DPCH2 260のためのTPCコマンドを有する。F−DPCH1 256は、DPCCH254のためのTPCコマンドを有する。DPCCH254は、F−DPCHNON−SERVING258ためのTPCコマンドを有する。F−DPCH1 256は、DPCCH254のためのTPCコマンドを有し、一方、F−DPCH2 260は、DPCCH2 250のためのTPCコマンドを搬送する。
【0022】
HS−DPCCHは、2スロットのチャネル品質インディケータ(CQI)および/またはプリコーディング制御インディケータ(PCI)フィールドと、1スロットのハイブリッド自動再送要求(HARQ)−受信通知(ACK)フィールドとから成る。HARQ−ACKフィールドは、UEで受信したHS−PDSCHデータに対する正および/または負の受信通知(ACKおよび/またはNACK)応答を搬送する。その応答は、UEがHS−PDSCHデータを受信した後にのみ送信される。CQIおよび/またはPCIフィールドは、下りリンクチャネルに対するCQIおよび/またはPCIを搬送する。HS−DPCCHは、通信システムまたはそのオペレータによって指定された一定の送信周期で送信される。
【0023】
各無線フレーム(無線通信システムにおいて送信される情報の基本構成)の間、UEはF−DPCH1の同期状態をチェックする。同期状態は、同期中および同期外れ状態をそれぞれ表すCPHY同期INDとCPHY同期外れINDプリミティブを用いて上位層に示される。
【0024】
同期状態を通知するためには、いくつかの実施可能な基準がある。第1の基準では、UEが、指定された期間にわたる、関連するサービングHS−DSCHセルから受信したF−DPCH1フレームのTPCフィールドの品質がしきい値Qinよりも良好であると推定すれば、CPHY同期INDプリミティブを用いて同期中状態が通知される。第2の基準では、同期中状態と同期外れ状態の両方が通知されうる。同期中状態は第1の基準で説明したように通知され、一方同期外れ状態は、UEが、指定された期間にわたる、関連するサービングHS−DSCHセルから受信したF−DPCH1フレームのTPCフィールドの品質がしきい値Qoutよりも悪いと推定すれば、CPHY同期外れINDプリミティブを用いて通知される。
【0025】
図3Aは、DPCCH2が連続的に送信される状況下で存在する制御信号を強調する通信システム300を示す。通信システム300は、UE305、マクロノード310、およびLPN315を有する。図3Aに示すように、マクロノード310はUE305に対するサービングHS−DSCHセルとして動作しており、LPN315はUE305に対する非サービングHS−DSCHセルとして動作している。制御チャネルは、DPCCH2 325、F−DPCH2 327、F−DPCH1 329、DPCCH331、およびF−DPCHNON−SERVING333を有する。
【0026】
図3Bは、DPCCH2が連続的に送信される状況下で起こるメッセージ交換図350を示す。メッセージ交換図350は、UE305、マクロノード310、およびLPN315との間で交換される制御チャネルを掲示する。
【0027】
一般に、HS−DPCCH送信は連続的に行われ(HS−DPCCHは、送信時間間隔(TTI)毎に送信される)、DPCCH2送信もまた連続的に行われる。このような状況において、UE305、マクロノード310、およびLPN315との間で交換される制御チャネルは、F−DPCH2(イベント355として示す)、DPCCH2(イベント360として示されている)、F−DPCH1(イベント365として示す)、F−DPCHNON−SERVING(イベント370として示す)、およびDPCCH(イベント375として示す)を含みうる。
【0028】
マクロノード310(サービングHS−DSCHセルとして動作する)およびUE305の挙動の概要は次の通りである。
−マクロノード310は、F−DPCH1およびF−DPCH2を送信し、
−UE305は、マクロノード310(サービングHS−DSCHセル)からF−DPCH2上で搬送されたTPCコマンドに従って、DPCCH2の上りリンク送信電力を決定する。UE305はまた、マクロノード310(サービングHS−DSCHセル)からF−DPCH1上で搬送されたTPCコマンド、およびLPN315(非サービングHS−DSCHセル)からのF−DPCHNON−SERVINGの合成に従って、DPCCHの上りリンク送信電力を決定する。UE305は、メッセージ360(DPCCH2)および375(DPCCH)の中にTPCコマンドを有する。
【0029】
しかし、CQIおよび/またはPCIの通知が長い送信周期で構成され、UEが、延長された時間の間、HS−PDSCHを受信しない場合、UEは複数のTTIの間HS−DPCCHの送信を停止する。そのため、DPCCH2も送信されない。DPCCH2が存在しないことは、以下のようにいくつかの複雑さを招きうる。
−通常DPCCH2によって搬送されるTPCコマンドは、下りリンク送信が途切れている間はサービングHS−DSCHセルに対して利用できないので、サービングHS−DSCHセルによって送信されるF−DPCH1の品質が低信頼になる。F−DPCH1の品質が低信頼であれば、UEは同期外れ状態を通知しうる。
−DPCCHの電力は、サービングHS−DSCHセルからのF−DPCH1、および非サービングHS−DSCHセルのうちの少なくとも1つからのF−DPCHNON−SERVINGの合成に従って制御されるので、DPCCHに対する電力制御が低信頼になる。F−DPCH1は、DPCCH2上で搬送されるTPCコマンドの欠損から低信頼になるので、F−DPCH1およびF−DPCHNON−SERVINGの合成もまた、低信頼になる。
【0030】
例示的な実施形態によれば、DPCCH2が送信されない場合の、サービングHS−DSCHセルによって送信されるF−DPCH1の低信頼な品質、およびDPCCHのための低信頼な電力制御の問題を解決するシステムおよび方法が提示される。例示的な実施形態は、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、3GPP LTE、IEEE802.11のような異種または同種の通信システムや、eNB、NodeB、基地局、LPN、UEのような通信システムおよび装置に実装されうる。
【0031】
CPHY同期外れINDプリミティブの通知を潜在的に回避するために、UEは、TPCシンボルが存在することが分かっている指定されたスロット数にわたるF−DPCH1のTPCフィールドの品質を推定しうる。DPCCH2が送信されると、F−DPCH1がサービングHS−DSCHセルによって送信され、UEはTPCシンボルの存在する時刻を知る。DPCCH2が送信されない場合、UEは、同期プリミティブを導出するためのF−DPCH1の品質(TPCシンボルの品質)を推定しようとはしない。これにより、不必要な同期外れ通知を防止しうる。しかしながら、上述したDPCCHのための電力制御の低信頼性に関する問題は解決されない。
【0032】
例示的な実施形態によれば、例えばUMTS通信システムにおいて、二次上りリンクパイロットチャネルの存在下で、上りリンク電力制御および下りリンク同期が提示される。二次上りリンクパイロットチャネルの送信パターンは、上りリンク電力制御ループと、TPCコマンドを搬送する下りリンクチャネルの送信とに強い影響を与える。
【0033】
DPCCH2は連続的には送信されないという仮定の下で、例えば、HS−DPCCHを送信する時だけにDPCCH2が送信され、DPCCH2が送信されない期間では、UEはサービングHS−DSCHセルからのTPCコマンドが低信頼でありうることを知る。したがって、UEは、DPCCH2が送信されない上りリンクスロットに関連した下りリンクスロットにおける、サービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCH1およびF−DPCH2に含まれるTPCコマンドを無視する。UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセル(すなわち、サービングE−DCHセル)から受信したTPCコマンドを合成して、DPCCHの電力を制御する。
【0034】
サービングHS−DSCHセルからのTPCコマンドが低信頼であることが既知の場合(DPCCH2が送信されない場合等)、サービングHS−DSCHセルはその送信電力を節約するためにF−DPCH1およびF−DPCH2の送信を停止しうる。UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルから受信したTPCコマンドを合成して、DPCCHの電力を制御する。
【0035】
第1の例示的な実施形態によれば、DPCCH2がHS−DPCCHとともにのみ送信される状況では、DPCCH2が送信されない場合、サービングHS−DSCHセルからのF−DPCH1およびF−DPCH2は低信頼であろうことから、サービングHS−DSCHセルおよびUEは以下のように振る舞う。
−サービングHS−DSCHセル:
−F−DPCH1はサービングHS−DSCHセルによって送信され、F−DPCH2はサービングHS−DSCHセルによって送信され、またはF−DPCH2はサービングHS−DSCHセルによって送信されない。
−UE:
−UEは、しばらくはF−DPCH1上のTPCコマンドの品質が低信頼であることを前提とし、UEは、DPCCHの電力制御のためのTPCの合成に非サービングHS−DSCHセルから受信したTPCコマンドのみを用いる。
−あるいは、UEはF−DPCH1上のTPCコマンドは常に+1であることを前提として、DPCCHの電力制御のためのTPCの合成に、非サービングHS−DSCHのセルから受信されたTPCコマンドとともにF−DPCH1上のTPCコマンドを使用する。
【0036】
第2の例示的な実施形態によれば、DPCCH2がHS−DPCCHとともにのみ送信されるような状況では、DPCCH2が送信されない場合、サービングHS−DSCHセルからのF−DPCH1およびF−DPCH2は低信頼であろうことから、サービングHS−DSCHセルおよびUEは、以下のように振る舞う。
−サービングHS−DSCHセル:
−F−DPCH1は、HS−DPCCHまたはDPCCH2が送信されない上りリンクスロットに関連する下りリンクスロット内のサービングHS−DSCHセルによって送信されず、
−F−DPCH2はサービングHS−DSCHセルによって送信され、またはF−DPCH2はサービングHS−DSCHセルによって送信されない。
−UE:
−UEは、しばらくはF−DPCH1上のTPCコマンドの品質が低信頼であることを前提とし、UEは、DPCCHの電力制御のためのTPCの合成に非サービングHS−DSCHセルから受信したTPCコマンドのみを用いる。
【0037】
第3の例示的な実施形態によれば、DPCCH2がHS−DPCCHとともにのみ送信される場合では、サービングHS−DSCHセルおよびUEは、以下のように振る舞う。
−サービングHS−DSCHセル:
−F−DPCH1は送信されない。
−UE:
−UEは、サービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCH2によって搬送されたTPCコマンドに従ってDPCCH2の上りリンク送信電力を決定し、
−UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCHNON−SERVINGによって搬送されたTPCコマンドに従ってDPCCHの上りリンク送信電力を決定する。
【0038】
図4Aは、第3の例示的な実施形態で説明したような状況において存在する制御信号を強調する通信システム400を示す。通信システム400は、UE405、マクロノード410、およびLPN415を有する。図4Aに示すように、マクロノード410はUE405に対するサービングHS−DSCHセルとして動作しており、LPN415はUE405に対する非サービングHS−DSCHセルとして動作している。制御チャネルは、DPCCH2 420、F−DPCH2 422、UE405からLPN415までのDPCCH424、およびF−DPCHNON−SERVING426を有する。UE405からマクロノード410までの制御チャネルDPCCH428、およびF−DPCH1 430は存在しない。図4Bは、第3の例示的な実施形態で説明したような状況で起こるメッセージ交換図450を示す。メッセージ交換図450は、UE405、マクロノード410、およびLPN415との間で交換される制御チャネルを掲示する。UE405、マクロノード410、およびLPN415の間で交換される制御チャネルは、F−DPCH2(イベント455として示す)、DPCCH2(イベント460として示す)、F−DPCHNON−SERVING(イベント470として示す)、およびUE405とLPN415との間のDPCCH(イベント475として示す)を含みうる。制御チャネルF−DPCH1は存在しない(線引きして消したイベント465として示す)。
【0039】
第4の例示的な実施形態によれば、DPCCH2がHS−DPCCHとともにのみ送信される場合では、サービングHS−DSCHセルおよびUEは、以下のように振る舞う。
−サービングHS−DSCHセル:
−F−DPCH2が送信されると、F−DPCH1が送信される。F−DPCH1によって搬送されたTPCコマンドは、F−DPCH2によって搬送されたTPCコマンドと同じである。
−UE:
−UEは、例えばF−DPCH1および/またはF−DPCH2から受信したTPCコマンドのソフト合成によって、サービングHS−DSCHセルからF−DPCH1および/またはF−DPCH2によって搬送されたTPCコマンドに従って、DPCCH2の上りリンク送信電力を決定し、
−UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルからF−DPCHNON−SERVINGによって搬送されたTPCコマンドに従って、DPCCHの上りリンク送信電力を決定する。
【0040】
第5の例示的な実施形態によれば、DPCCH2がHS−PDCCHとともにのみ送信される場合では、サービングHS−DSCHセルおよびUEは、以下のように振る舞う。
−サービングHS−DSCHセル:
−F−DPCH1は、DPCCHによって搬送されたTPCにより電力制御され、
−F−DPCH2は、DPCCH2上で搬送されるTPCにより電力制御される。
−UE:
−UEは、サービングHS−DSCHセルからF−DPCH2によって搬送されたTPCコマンドに従って、DPCCH2の上りリンク送信電力を決定し、
UEは、サービングHS−DSCHからF−DPCH1によって搬送されたTPCコマンド、および非サービングHS−DSCHからのF−DPCHNON−SERVINGの合成に従って、DPCCHの上りリンク送信電力を決定し、
−上りリンクのPDCCHによって搬送されたTPCコマンドに関して、UEは非サービングHS−DSCHセルからのF−DPCHNON−SERVING、およびサービングHS−DSCHセルからのF−DPCH1の両方を考慮するが、これは、DPCCH上のTPCコマンドが、F−DPCH1およびF−DPCHNON−SERVINGの両方の信頼性を保証すべきであることを意味する。これにより、F−DPCH1の信頼性は、一般的に、DPCCH2を送信しなくても保証されることができる。DPCCH2の電力制御ループおよびDPCCHの電力制御ループは、互いに分離されている。
【0041】
図5Aは、第5の例示的な実施形態で説明したような状況において存在する制御信号を強調する通信システム500を示す。通信システム500は、UE505、マクロノード510、およびLPN515を有する。図5Aに示すように、マクロノード510はUE505に対するサービングHS−DSCHセルとして動作しており、LPN515はUE505に対する非サービングHS−DSCHセルとして動作している。制御チャネルは、DPCCH2 520、F−DPCH2 522、F−DPCH1 526、DPCCH524、およびF−DPCHNON−SERVING528を含む。図5Bは、第5の例示的な実施形態で説明したような状況で起こるメッセージ交換図550を示す。メッセージ交換図550は、UE505、マクロノード510、およびLPN515との間で交換される制御チャネルを掲示する。UE505、マクロノード510、およびLPN515の間で交換される制御チャネルは、F−DPCH2(イベント555として示す)、DPCCH2(イベント560として示す)、F−DPCH1(イベント565として示す)、F−DPCHNON−SERVING(イベント570として示す)、およびUE505とLPN515との間のDPCCH(イベント575として示す)を含みうる。
【0042】
第6の実施形態によれば、サービングHS−DSCHセルによるF−DPCH1の送信のための複数の実施可能な構成と、UEによるTPCコマンドの合成とは指定され、サービングHS−DSCHセルおよびUEは、異なる構成との間で切り換えられることができる。実施可能な構成の例としては、第1から第5の例示的な実施形態に開示されている構成がある。
【0043】
異なる構成の間の切り換えは、明示的にまたは黙示的にトリガされうる。例示的な例として、構成の切り換えの明示的なトリガでは、上位層の信号通信(無線リソース制御(RRC)の信号通信等)が、通信システムからUEに送られて、UEに異なる構成に切り換えるように指示する。あるいは、物理(PHY)層の信号通信(HS共有制御チャネル(HS−SCCH)オーダー等)が、通信システムからUEに送られて、UEに異なる構成に切り換えるように指示されうる。例示的な例として、構成の切り換えの黙示的なトリガでは、少なくとも1つのパラメータが、構成の切り換えをトリガするしきい値として決定されうる。例えば、CQIサイクルの長さが測定基準として設定され、CQIサイクルの長さが指定されたしきい値よりも大きい場合には、UEは異なる構成に切り換える。指定されたしきい値は、上位層やPHY層と信号通信してネットワークによって伝達されてもよく、または通信システムおよびUEによって予め決められてもよい。
【0044】
第7の例示的な実施形態によれば、DPCCH2が連続的には送信されず、F−DPCH1がサービングHS−DSCHセルによって常に送信される場合には、UEは以下のように振る舞う。
−第1の選択肢では、UEは、F−DPCH1送信がDPCCH2送信に関連付けられている、前回の所定のスロット数にわたる、サービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出する。UEは、前回の所定のスロット数にわたるサービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出し、DPCCH2は送信されない。
−第2の選択肢では、UEは、F−DPCH1送信がDPCCH2送信に関連付けられている、前回の所定のスロット数にわたる、サービングHS−DSCHセル、および非サービングHS−DSCHからのF−DPCHNON−SERVINGから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出する。UEは、前回の所定のスロット数にわたる、サービングHS−DSCHセル、および非サービングHS−DSCHからのF−DPCHNON−SERVINGから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出し、DPCCH2は送信されない。
−第3の選択肢では、UEは、F−DPCH1送信がDPCCH2送信に関連付けられている、前回の所定のスロット数にわたる、非サービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCHNON−SERVINGの品質から下りリンク同期プリミティブを導出する。UEは、前回の所定のスロット数にわたる非サービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出し、DPCCH2は送信されない。
【0045】
第8の例示的な実施形態によれば、DPCCH2が連続的には送信されず、関連するDPCCH2が送信された場合のみにF−DPCH1が送信される場合には、UEは以下のように振る舞う。
−第1の選択肢では、UEは、F−DPCH1が存在することが既知である所定のスロット数にわたる、サービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCH1の品質から下りリンク同期プリミティブを導出する。
−第2の選択肢では、UEは、F−DPCH1が存在することが既知である所定のスロット数にわたる、サービングHS−DSCHセル、および非サービングHS−DSCHセルからのF−DPCHNON−SERVINGから推定されるF−DPCH1の品質からの下りリンク同期プリミティブを導出する。
−第3の選択肢では、UEは、F−DPCH1が存在することが既知である所定のスロット数にわたる、非サービングHS−DSCHセルから推定されるF−DPCHNON−SERVINGの品質から下りリンク同期プリミティブを導出する。
【0046】
図6は、UEが下りリンク同期プリミティブを導出する際になされる例示的な処理600のフロー図を示す。UEはDPCCH2が送信されない状況で下りリンク同期プリミティブを導出するので、処理600は、サービングHS−DSCHセルおよび非サービングHS−DSCHセルが資するUEで起こる処理を示す。
【0047】
処理600は、DPCCH2が送信されているかどうかを決定するためのUEによるチェック(ブロック605)から開始しうる。DPCCH2が送信されていない場合には、UEは非サービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCHNON−SERVINGを受信する(ブロック610)。UEは、所定のスロット数にわたる非サービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCHNON−SERVINGの品質(推定品質)から下りリンク同期プリミティブを導出する(ブロック615)。UEが下りリンク同期プリミティブを導出するために用いるスロットの数は、通信システムの技術規格またはオペレータによって指定されうる。UEはまた、所定のスロット数にわたるサービングHS−DSCHセルによって送信されたF−DPCH1の品質を利用して、下りリンク同期プリミティブを導出しうる。非サービングHS−DSCHセルが複数存在している場合には、UEは、所定のスロット数にわたる複数の非サービングHS−DSCHのセルによって送信された全てのF−DPCHNON−SERVINGのサブセットの品質を利用して、下りリンク同期プリミティブを導出ししうる。
【0048】
ブロック605において、DPCCH2が送信されている場合、ブロック610および615はバイパスされる。代わりに、UEは、F−DPCH1のTPCフィールドを使用して下りリンク同期プリミティブを導出しうる。
【0049】
図7は、UEがDPCCHの電力制御を行う際になされる例示的な処理700のフロー図を示す。処理700は、サービングHS−DSCHセルと非サービングHS−DSCHセルが資するUEがDPCCHに対する電力制御を行う際になされる処理を示す。
【0050】
処理700は、DPCCH2が送信されているかどうかを決定するためのUEによるチェック(ブロック705)から開始しうる。DPCCH2が送信されていない場合には、UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルが送信したTPCコマンドを受信する(ブロック710)。UEは、少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルが送信したTPCコマンドを使用して電力制御を行う(ブロック715)。UEはまた、サービングHS−DSCHセルによって送信されたどのTPCコマンドに+1のような指定値を設定してもよく、それらを少なくとも1つの非サービングHS−DSCHセルによって送信されたTPCコマンドと合成して電力制御を行う。UEは、別のフラクショナル制御チャネル上のサービングHS−DSCHセルによって送信されたTPCコマンドを使用して電力制御を行いうる。UEは、サービングHS−DSCHセルによって送信された複数のフラクショナル制御チャネルからのTPCコマンドを使用して電力制御を行いうる。UEは、サービングHS−DSCHセルによって送信されたフラクショナル制御チャネルからのTPCコマンドと、非サービングHS−DSCHセル(潜在的に1つ以上)によって送信された制御チャネルとを使用して電力制御を行いうる。UEが電力制御を行う方法は、明示的または黙示的なトリガによって変更されうる。
【0051】
ブロック705において、DPCCH2が送信されている場合、ブロック710および715はバイパスされる。代わりに、UEは、F−DPCH1のTPCコマンドを使用して電力制御を行いうる。
【0052】
図8は、本明細書に開示される装置および方法を実施するために使用されうる処理システム800のブロック図である。いくつかの実施形態では、処理システム800はUEを有する。特定の装置は、示された全ての要素、または要素のサブセットのみ、および装置毎に異なる統合化のレベルを利用しうる。さらに、装置は、複数の処理部、プロセッサ、メモリ、送信機、受信機等の複数の要素例を有しうる。処理システムは、ヒューマンインターフェース部815(スピーカ、マイク、マウス、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、プリンタ等を含む)等の、1つ以上の入出力デバイスを備える処理部805や、表示部810等を有しうる。処理部は、中央演算処理装置(CPU)820、メモリ825、大容量記憶装置830、ビデオアダプタ835、およびバス845に接続された入出力インターフェース840を有しうる。
【0053】
バス845は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、ビデオバス等を含む1つ以上の任意のタイプのバスアーキテクチャでありうる。CPU820は、任意のタイプの電子データ処理装置を有しうる。メモリ825は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、同期式DRAM(SDRAM)、読出し専用メモリ(ROM)、それらの組み合わせ等のような任意のタイプのシステムメモリを有しうる。一実施形態では、メモリ825は、起動時に使用するROM、およびプログラムの実行の際に使用されるプログラムおよびデータのストレージのためのDRAMを有しうる。
【0054】
大容量記憶装置830は、データ、プログラム、およびその他の情報を格納し、バス845を介してアクセス可能なデータ、プログラム、およびその他の情報を生成するように構成された任意のタイプの記憶装置を有しうる。大容量記憶装置830は、例えば、1つ以上のソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ等を有しうる。
【0055】
ビデオアダプタ835および入出力インターフェース840は、外部入出力装置を処理部800へ接続するインターフェースを提供する。図示されるように、入出力デバイスは例えば、ビデオアダプタ835に接続された表示部810、および入出力インターフェース840に接続されたマウス/キーボード/プリンタ815である。他の装置が処理部800に接続されてもよく、追加的なまたはより少ないインターフェース装置が利用されてもよい。例えば、ユニバーサルシリアスバス(USB)等のシリアルインターフェース(図示せず)が、プリンタのためのインターフェースを提供するために使用されうる。
【0056】
処理部800はまた、イーサネット(登録商標)ケーブル等の有線リンク、および/または、ノードや異なるネットワーク855にアクセスするための無線リンクを有しうる、1つ以上のネットワークインターフェース850を有する。ネットワークインターフェース850は、処理部800がネットワーク855を介して遠隔装置と通信することを可能にする。例えば、ネットワークインターフェース850は、1つ以上の送信機/送信アンテナおよび1つ以上の受信機/受信アンテナを介した無線通信を提供しうる。一実施形態においては、処理部800は、データ処理と、他の処理部、インターネット、遠隔記憶設備等の遠隔装置との通信とのために、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク855に接続される。
【0057】
いくつかの実施形態では、処理部800は、チャネル品質を推定するために構成されたUEを有する。処理部800は、非サービングセルから下りリンクフラクショナル制御チャネルを受信するための受信モジュールと、指定された期間にわたる下りリンクフラクショナル制御チャネルの品質を推定するための推定モジュールと、下りリンク同期を導出するための導出部とを有する。いくつかの例示的な実施形態では、処理部800は、実施形態で説明したステップの任意の1つのステップ、またはそれらのステップの組み合わせを実行するために、他のまたは追加の要素を有しうる。
【0058】
本開示およびその利点を詳細に説明したが、様々な変更、置換および修正が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく行われうることを理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
100 通信システム
110 マクロノード
200 メッセージ交換図
210 マクロノード
300 通信システム
310 マクロノード
350 メッセージ交換図
355 イベント
360 イベント、メッセージ
365 イベント
370 イベント
375 イベント
400 通信システム
410 マクロノード
450 メッセージ交換図
455 イベント
460 イベント
465 イベント
470 イベント
475 イベント
500 通信システム
510 マクロノード
550 メッセージ交換図
555 イベント
560 イベント
565 イベント
570 イベント
575 イベント
600 処理
700 処理
800 処理システム
800 処理部
805 処理部
810 表示部
815 プリンタ
815 ヒューマンインターフェース部
820 CPU
825 メモリ
830 大容量記憶装置
835 ビデオアダプタ
840 入出力インターフェース
845 バス
850 ネットワークインターフェース
855 ワイドエリアネットワーク
855 ネットワーク
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8