(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記攪拌手段による攪拌が所定時間行われるよう設定されるとともに、当該所定時間経過後、前記判断手段により前記溶解槽内に供給された水の量に対する前記溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量が適切でないと判断された場合、その旨を報知することを特徴とする請求項1記載の溶解装置。
前記溶解槽内に投入された前記透析用粉末薬剤の量を入力する入力手段を具備するとともに、前記判断手段は、当該入力手段で入力された入力値と前記液位検出手段により検出された液位とに基づいて、透析用粉末薬剤の投入量の適宜を判断し得ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の溶解装置。
前記液位検出手段により検出された液位に基づいて、前記溶解槽内で生成された透析用原液の容量を算出し得ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の溶解装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、溶解槽内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断することが困難であったので、作業者が間違った量の透析用粉末薬剤を投入してしまった場合、不適切な濃度の透析用原液が生成されてしまうという問題があった。また、透析用原液の電導度を測定し、その測定値に基づいて透析用粉末薬剤の投入量の適否を判断することも考えられるが、その場合、攪拌生成後に初めて投入量の適否が判断できることから、投入量が不適切と判断されると、攪拌生成作業をもう一度やり直す必要があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、溶解槽内に投入した透析用粉末薬剤の量の適否を簡易な構成で精度よく判断することができる溶解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、透析用粉末薬剤を溶解して透析用原液を得るための溶解装置において、前記透析用粉末薬剤を収容し得る溶解槽と、前記溶解槽に前記透析用粉末薬剤を溶解するための水を供給するための給水ラインと、前記溶解槽内の溶液を攪拌し得る攪拌手段と、前記溶解槽内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能な液位検出手段と、前記液位検出手段により検出された液位に基づいて、前記溶解槽内に供給された水の量に対する前記溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得る判断手段とを備え、前記判断手段は、
前記撹拌手段による前記溶液の撹拌を行う前において、前記溶解槽内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合の液位の理論値と、前記液位検出手段により検出された液位の実測値とを比較し、
又は前記攪拌手段による前記溶液の攪拌が終了した後において、前記溶解槽内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合の液位の理論値と、前記液位検出手段により検出された液位の実測値とを比較し、当該液位の理論値と実測値との差から前記溶解槽内に供給された水の量に対する前記溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の過不足量を算出し得ることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶解装置において、前記攪拌手段による攪拌が所定時間行われるよう設定されるとともに、当該所定時間経過後、前記判断手段により前記溶解槽内に供給された水の量に対する前記溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量が適切でないと判断された場合、その旨を報知することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の溶解装置において、前記溶解槽内に投入された前記透析用粉末薬剤の量を入力する入力手段を具備するとともに、前記判断手段は、当該入力手段で入力された入力値と前記液位検出手段により検出された液位とに基づいて、透析用粉末薬剤の投入量の適宜を判断し得ることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の溶解装置において、前記液位検出手段により検出された液位に基づいて、前記溶解槽内で生成された透析用原液の容量を算出し得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、溶解槽内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能な液位検出手段と、液位検出手段により検出された液位に基づいて、溶解槽内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得る判断手段とを備えたので、溶解槽内に投入した透析用粉末薬剤の量の適否を簡易な構成で精度よく判断することができる。
【0012】
また、判断手段は、溶解槽内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合の液位の理論値と、液位検出手段により検出された液位の実測値とを比較し、当該液位の理論値と実測値との差から溶解槽内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得るので、投入された透析用粉末薬剤の量の適否をより精度よく判断することができる。
【0013】
さらに、判断手段は、液位の理論値と実測値との差から溶解槽内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の過不足量を算出し得るので、投入された透析用粉末薬剤の量の適否に加え、不足量又は過多量を把握することができ、適正とするために透析用粉末薬剤又は水をどの程度追加すべきか報知させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、攪拌手段による攪拌が所定時間行われるよう設定されるとともに、当該所定時間経過後、判断手段により溶解槽内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量が適切でないと判断された場合、その旨を報知するので、投入された透析用粉末薬剤の量が適切でない透析用原液を透析治療装置側に送液してしまうのを防止することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量を入力する入力手段を具備するとともに、判断手段は、当該入力手段で入力された入力値と液位検出手段により検出された液位とに基づいて、透析用粉末薬剤の投入量の適宜を判断し得るので、溶解装置に対して透析用粉末薬剤の投入量を確実に把握させることができ、透析用粉末薬剤の投入量の適否を精度よく判断させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、液位検出手段により検出された液位に基づいて、溶解槽内で生成された透析用原液の容量を算出し得るので、液位検出手段について、投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するための手段として機能させるのに加え、溶解槽内で生成された透析用原液の容量を算出するための手段として機能させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る溶解装置は、透析用粉末薬剤を溶解し透析用原液を得るものであって、
図1、2に示すように、透析用粉末薬剤を収容し得る溶解槽2及び補助溶解槽3と、これら溶解槽2及び補助溶解槽3のそれぞれに透析用粉末薬剤を溶解するための水を供給するための給水ラインL1、L2と、溶解槽2及び補助溶解槽3内の液体を攪拌し得る攪拌手段4、5と、液位検出手段6と、記憶手段8及び算出手段9を有した判断手段7と、入力手段10と、表示手段11とから主に構成される。
【0019】
溶解槽2は、重炭酸ナトリウムを含まないもの(A剤)又は重炭酸ナトリウム(B剤)の2種類のうち何れかから成る透析用粉末薬剤を投入可能な収容空間を有するとともに、給水源Aから延設された給水ラインL1が接続されている。かかる給水ラインL1には、電磁弁等から成るバルブV1が配設されており、このバルブV1を開状態とすることにより溶解槽2内に給水可能とされている。しかして、給水源Aから所定量の水を溶解槽2内に供給して収容させた後、その水の量に対して決められた量(規定量)の透析用粉末薬剤を溶解槽2に投入して攪拌することにより、所定量及び所定濃度の透析用原液を得ることができる。
【0020】
補助溶解槽3は、溶解槽2に投入される透析用粉末薬剤と同種の透析用粉末薬剤を投入可能な空間を有すると共に、溶解槽2の攪拌ラインL3から延設された給水ラインL2が接続されている。かかる給水ラインL2には、電磁弁等からなるバルブV2が配設されており、このバルブV2を開状態にすることにより、溶解槽2より補助溶解槽3内に給水可能とされている。かかる補助溶解槽3は、溶解槽2に比べて相対的に容量が小さなタンクとされ、オーバーフローラインL5にて溶解槽2に接続されている。
【0021】
しかして、補助溶解槽3に予め透析用粉末薬剤を投入しておき、治療時、溶解槽2に定められた十分な量の給水を行い、給水ラインL2から給水しつつ攪拌するとともに、攪拌ラインL3に配設されたバルブV3を閉状態にして、オーバーフローラインL5を介して溶解槽2にも溶解液を送液することにより、溶解槽2と補助溶解槽3との両方によって所定量及び所定濃度の透析用原液を生成する。そして、先ず溶解槽2内の透析用原液を透析治療装置側(透析液供給装置等)に送液し、当該溶解槽2が空になると、補助溶解槽3内の透析用原液を継続して送液することができる。なお、補助溶解槽3内の透析用原液を送液している間、溶解槽2に透析用粉末薬剤を投入して溶解させることで、当該溶解槽2単独で透析用原液を生成することができる。
【0022】
よって、補助溶解槽3を具備することにより、治療前(治療前日の夜等)においては、補助溶解槽3に透析用粉末薬剤が投入された状態で溶解槽2に対する洗浄や消毒等を行わせることができるとともに、治療中においては、貯槽として機能させることができる。また、本実施形態に適用される透析用粉末薬剤は、溶解袋に所定量毎に袋詰めされており、作業者が溶解袋を破り、内部の透析用粉末薬剤を溶解槽2又は補助溶解槽3に投入するようになっている。
【0023】
攪拌手段4は、溶解槽2内に収容された液体(溶液)を攪拌するためのもので、本実施形態においては、循環ラインL3の先端に接続されたノズルから成る。この循環ラインL3は、溶解槽2の底面から延設され、その先端が当該溶解槽2内に配設された攪拌手段4に接続された循環流路から成るとともに、流路の途中にポンプP1が配設されたものである。しかして、ポンプP1を駆動させると、溶解槽2の液体が攪拌手段4から噴出して循環し得るので、当該溶解槽2内の液体を攪拌することができるのである。
【0024】
攪拌手段5は、補助溶解槽3内に収容された液体(溶液)を攪拌するためのもので、本実施形態においては、給水ラインL2の先端に接続されたノズルから成る。この給水ラインL2は、溶解槽2の攪拌ラインL3から延設され、その先端が当該補助溶解槽3内に配設された攪拌手段5に接続されている。しかして、溶解槽2に定められた十分な量の給水を行い、その後バルブV2を開きポンプP1を駆動させると、溶解槽2の液体が攪拌手段5から噴出して、当該補助溶解槽3内の透析用粉末薬剤を攪拌するとともに、攪拌ラインL3に配設されたバルブV3を閉状態にして、オーバーフローラインL5を介して溶解槽2にも溶解液を送液し、溶解槽2と補助溶解槽3との両方によって攪拌溶解を行う。
【0025】
なお、本実施形態に係る攪拌手段4、5は、循環流路から成る循環ラインL3、給水ラインL2の先端に接続されたノズルから成るものとされているが、溶解槽2及び補助溶解槽3内の溶液を攪拌し得るものであれば、他の形態のもの(例えば、溶解槽2及び補助溶解槽3内で回転駆動可能なインペラ等)としてもよい。また、溶解槽2及び補助溶解槽3の上部に液体をシャワー状に噴出し得るシャワー手段を設け、循環ラインL3、給水ラインL2の先端に当該シャワー手段を接続するようにしてもよい。
【0026】
液位検出手段6は、溶解槽2に配設されたセンサから成るもので、溶解槽2内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能なものである。本実施形態に係る液位検出手段6は、溶解槽2の収容空間内において鉛直方向に延設された変位部6aと、溶解槽2内に収容された液体の液面に浮きつつ変位部6aに沿って上下移動可能な浮き手段6bとを有した磁歪式リニア変位センサで構成されており、浮き手段6bの変位部6aに対する位置を連続的且つリアルタイムに検出することにより、液面(すなわち液位)を検知可能とされている。
【0027】
なお、液位検出手段6は、溶解槽2内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能なものであれば、接触式又は非接触式のどちらのタイプでもよく、本実施形態の如く浮き手段による磁歪式リニア変位センサの他、超音波センサ等により構成するようにしてもよい。また、本実施形態においては、液位検出手段6が溶解槽2のみに配設されているが、当該溶解槽2と共に補助溶解槽3にも配設するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態に係る溶解装置1の筐体部には、入力手段10と、表示手段11とが配設されている。入力手段10は、操作者が入力操作可能な操作スイッチやタッチパネル等により構成されたもので、本実施形態においては、溶解槽2又は補助溶解槽3内に投入された透析用粉末薬剤の量を入力し得るものとされている。表示手段11は、液晶モニタ等により構成されたもので、溶解作業に関する種々表示を行い得るものとされている。
【0029】
ここで、本実施形態に係る溶解装置1は、液位検出手段6、入力手段10及び表示手段11等と電気的に接続された判断手段7を具備している。かかる判断手段7は、例えばマイコン等から成るもので、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得るよう構成されている。
【0030】
本実施形態に係る判断手段7は、溶解槽2内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合(すなわち、所定量の水に対して予め定められた規定量の透析用粉末薬剤が投入された場合)の液位の理論値と、液位検出手段6により検出された液位の実測値とを比較し、当該液位の理論値と実測値との差から溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得るものとされている。なお、「溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否」を判断することにより、同時に、「溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量に対する溶解槽2内に供給された水の量の適否」も判断することができる。
【0031】
具体的には、判断手段7は、溶解槽2内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合(すなわち、所定量の水に対して予め定められた規定量の透析用粉末薬剤が投入された場合)の液位の理論値を記憶する記憶手段8と、該記憶手段8にて記憶された液位の理論値と液位検出手段6により検出された液位の実測値とを比較(例えば、液位の理論値と液位の実測値との減算や比を算出)する算出手段9とを具備しており、液位の理論値と実測値とが略同一であれば、給水量に対する透析用粉末薬剤の投入量が適正であると判断するようになっている。
【0032】
一方、本実施形態においては、溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量(具体的には、使用した溶解袋の数)を入力手段10にて入力させるとともに、当該入力手段10で入力された入力値と液位検出手段6により検出された液位とに基づいて、透析用粉末薬剤の投入量の適宜を判断し得るものとされている。すなわち、判断手段7は、入力手段10で入力された入力値(溶解袋の数)にて透析用粉末薬剤の投入量(溶解袋の数×1つの溶解袋の容量)を把握し、その入力値と給水量とを比べて「適否」を判断するのである。これにより、溶解装置に対して透析用粉末薬剤の投入量を確実に把握させることができ、透析用粉末薬剤の投入量の適否を精度よく判断させることができる。
【0033】
そして、判断手段7は、液位の実測値が液位の理論値より大きい値の場合、給水量に対する透析用粉末薬剤の投入量が過多である(投入すべき透析用粉末薬剤より多い)と判断するとともに、液位の実測値が液位の理論値より小さい場合、給水量に対する透析用粉末薬剤の投入量が不足である(投入すべき透析用粉末薬剤より少ない)と判断し、給水量に対する透析用粉末薬剤の量が何れも「適正」でないと判断するようになっている。
【0034】
さらに、本実施形態に係る判断手段7の算出手段9は、液位の理論値と実測値との差から溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の過不足量(不足量又は過多量)を算出し得るよう構成されている。これにより、投入された透析用粉末薬剤の量の適否に加え、不足量又は過多量を把握することができ、適正とするために透析用粉末薬剤又は水をどの程度追加すべきか報知させることができる。
【0035】
またさらに、本実施形態に係る判断手段7の算出手段9は、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内で生成された透析用原液の容量を算出し得るよう構成されている。溶解槽2内で生成された透析用原液の容量を算出することにより、例えば透析治療が終了するまで透析用原液が足りるか否かを判断することができる。したがって、液位検出手段6について、投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するための手段として機能させるのに加え、溶解槽2内で生成された透析用原液の容量を算出するための手段として機能させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る溶解装置1は、攪拌手段4による攪拌が所定時間行われるよう設定されるとともに、当該所定時間経過後、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量が適切でないと判断された場合、その旨を報知するようになっている。当該報知は、例えば表示手段11による表示の他、音声によるお知らせ、ブザー等の警告音等であってもよい。
【0037】
さらに、本実施形態においては、溶解槽2内に水及び透析用粉末薬剤が収容された状態であって攪拌手段4による攪拌前に、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するよう構成されており、記憶手段8には、水に透析用粉末薬剤が全く溶けていないときの液位(未溶解時の液位)が「液位の理論値」として記憶されている。
【0038】
次に、本実施形態に係る溶解装置1の制御内容(溶解槽2単独による透析用原液の作製)について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、作業者は、投入する透析用粉末薬剤の量(すなわち、使用する溶解袋の数)を入力手段10にて入力(S1)した後、バルブV1を開状態とすることで溶解槽2内に所定量の水を供給させ(S2)、入力手段10に入力した量(溶解袋)の透析用粉末薬剤を溶解槽2に投入する(S3)。
【0039】
そして、液位検出手段6にて透析用粉末薬剤の投入直後の液位を検出し(S4)、その検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断手段7にて判断する(S5)。このS5にて透析用粉末薬剤の量が適正であると判断されると、S6に進み、ポンプP1を駆動して攪拌手段4を作動させ、溶解槽2内の水及び透析用粉末薬剤を攪拌して溶解させることにより所定濃度の透析用原液を作製する。
【0040】
一方、S5にて透析用粉末薬剤の量が適正でないと判断されると、S7に進み、液位検出手段6にて検出された液位が規定より低いか否かが判断され、低いと判断されると、透析用粉末薬剤の投入量が不足していると判断できるので、S8に進み、算出手段9にて当該不足量を算出するとともに、その不足量に応じた追加投入量(追加する溶解袋の数)を表示手段11にて表示することで追加投入を指示する。
【0041】
そして、S9にて作業者による入力操作を待ち、入力操作が行われると、その入力が作業を継続する旨の指示であるか否かが判断される(S10)。S10にて作業を継続する旨の指示が入力されたと判断されると、S3に進み、表示手段11で表示された追加投入量の透析用粉末薬剤を溶解槽2に投入させる。なお、S10にて作業を継続しない旨の指示が入力されたと判断されると、S11に進み、溶解槽2内の溶液を廃棄させる。
【0042】
また、S7にて液位検出手段6にて検出された液位が規定より高いと判断されると、透析用粉末薬剤の投入量が過多である(給水量が不足している)と判断できるので、S12に進み、算出手段9にて当該過多量を算出するとともに、その過多量に応じた誤投入量(誤って使用した溶解袋の数)を表示手段11にて表示する。そして、S13にて作業者による入力操作を待ち、入力操作が行われると、その入力が作業を継続する旨の指示であるか否かが判断される(S14)。
【0043】
S14にて業を継続する旨の指示が入力されたと判断されると、S15に進み、給水量に適合する透析用粉末薬剤の投入量(溶解袋の数)に入力値が変更され、S2に戻ることとなる。なお、S14にて作業を継続しない旨の指示が入力されたと判断されると、S16に進み、溶解槽2内の溶液を廃棄させる。以上で、攪拌手段4による攪拌前に、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するための制御が終了することとなる。
【0044】
上記実施形態によれば、溶解槽2内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能な液位検出手段6と、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得る判断手段7とを備えたので、溶解槽2内に投入した透析用粉末薬剤の量の適否を簡易な構成で精度よく判断することができる。
【0045】
特に、本実施形態に係る判断手段7は、溶解槽2内に供給された水の量に対して投入された透析用粉末薬剤の量が適正である場合の液位の理論値と、液位検出手段により検出された液位の実測値とを比較し、当該液位の理論値と実測値との差から溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得るので、投入された透析用粉末薬剤の量の適否をより精度よく判断することができる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、攪拌手段4による攪拌が所定時間行われるよう設定されるとともに、当該所定時間経過後、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量が適切でないと判断された場合、その旨を報知するので、投入された透析用粉末薬剤の量が適切でない透析用原液を透析治療装置側(透析液供給装置等)に送液してしまうのを防止することができる。なお、攪拌のための所定時間は、予め記憶されていてもよく、或いは入力手段10にて入力するものであってもよい。
【0047】
またさらに、本実施形態においては、溶解槽2内に水及び透析用粉末薬剤が収容された状態であって攪拌手段4による攪拌前に、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するので、透析用原液の生成作業前に確実に透析用粉末薬剤の投入量の適否を判断することができ、投入量が適正でないと判断された場合であっても攪拌作業を繰り返し行わせる必要がないことから作業性を向上させることができる。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態に係る溶解装置1の制御内容について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。ここで、本実施形態においては、攪拌手段4による攪拌後に、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するよう構成されており、記憶手段8には、水に透析用粉末薬剤が完全に溶け
たときの液位(溶解時の液位)が「液位の理論値」として記憶されている。
【0049】
先ず、作業者は、投入する透析用粉末薬剤の量(すなわち、使用する溶解袋の数)を入力手段10にて入力(S1)した後、バルブV1を開状態とすることで溶解槽2内に所定量の水を供給させ(S2)、入力手段10に入力した量(溶解袋)の透析用粉末薬剤を溶解槽2に投入する(S3)。そして、S4にてポンプP1を駆動して攪拌手段4を作動させ、溶解槽2内の水及び透析用粉末薬剤を所定時間攪拌して溶解させることにより溶液(透析用原液)を作製する。
【0050】
その後、液位検出手段6にて水及び透析用粉末薬剤の攪拌終了後の液位を検出し(S5)、その検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断手段7にて判断する(S6)。このS6にて透析用粉末薬剤の量が適正であると判断されると、一連の攪拌及び溶解作業が終了することとなる。
【0051】
一方、S6にて透析用粉末薬剤の量が適正でないと判断されると、S7に進み、液位検出手段6にて検出された液位が規定より低いか否かが判断されるとともに、図示しない電導度計にて検出された濃度が所定より低いか否かが判断される。S7にて、液位検出手段6にて検出された液位が規定より低く、且つ、電導度計にて検出された濃度が所定より低いと判断されると、透析用粉末薬剤の投入量が不足していると判断できるので、S8に進み、算出手段9にて当該不足量を算出するとともに、その不足量に応じた追加投入量(追加する溶解袋の数)を表示手段11にて表示することで追加投入を指示する。
【0052】
そして、S9にて作業者による入力操作を待ち、入力操作が行われると、その入力が作業を継続する旨の指示であるか否かが判断される(S10)。S10にて作業を継続する旨の指示が入力されたと判断されると、S3に進み、表示手段11で表示された追加投入量の透析用粉末薬剤を溶解槽2に投入させる。なお、S10にて作業を継続しない旨の指示が入力されたと判断されると、S11に進み、溶解槽2内の溶液を廃棄させる。
【0053】
また、S7にて液位検出手段6にて検出された液位が規定より高く、且つ、電導度計にて検出された濃度が所定より高いと判断されると、透析用粉末薬剤の投入量が過多である(給水量が不足している)と判断できるので、S12に進み、算出手段9にて当該過多量を算出するとともに、その過多量に応じた誤投入量(誤って使用した溶解袋の数)を表示手段11にて表示する。そして、S13にて作業者による入力操作を待ち、入力操作が行われると、その入力が作業を継続する旨の指示であるか否かが判断される(S14)。
【0054】
S14にて業を継続する旨の指示が入力されたと判断されると、S15に進み、給水量に適合する透析用粉末薬剤の投入量(溶解袋の数)に入力値が変更され、S2に戻ることとなる。なお、S14にて作業を継続しない旨の指示が入力されたと判断されると、S16に進み、溶解槽2内の溶液を廃棄させる。以上で、攪拌手段4による攪拌後に、判断手段7により溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するための制御が終了することとなる。
【0055】
上記実施形態によれば、先の実施形態と同様、溶解槽2内に供給された水又は溶液の液位を連続的且つリアルタイムに検出可能な液位検出手段6と、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得る判断手段7とを備えたので、溶解槽2内に投入した透析用粉末薬剤の量の適否を簡易な構成で精度よく判断することができる。
【0056】
特に、本実施形態によれば、S7にて、液位検出手段6にて検出された液位が規定より低いか否かの判断に加え、電導度計にて検出された濃度が所定より低いか否かの判断がなされているので、当該液位の相違が透析用粉末薬剤の溶け残りに起因しているのか否かをも判別することができ、より精度が高い判断手段7による判断を行わせることができるのである。なお、S7において、先の実施形態と同様、液位検出手段6にて検出された液位が規定より低いか否かの判断のみ行わせるものとしてもよい。
【0057】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断し得る判断手段を具備したものであれば、液位の理論値と実測値との差を算出するものに限らず、他のパラメータから判断するものとしてもよい。また、本実施形態においては、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽2内に投入された透析用粉末薬剤の過不足量を算出手段9にて算出しているが、当該算出を行わず、透析用粉末薬剤の投入量の適否のみを判断するものとしてもよい。
【0058】
なお、本実施形態においては、溶解槽2に加えて補助溶解槽3を具備しているが、溶解槽2のみを具備したもの、或いは補助溶解槽3にも溶解槽2と同様の液位検出手段6を具備させ、その液位検出手段6を判断手段7に電気的に接続したもの等としてもよい。さらに、2つの溶解槽のそれぞれで透析用粉末薬剤を溶解して透析用原液を生成し得るものとし、それら溶解槽から透析治療装置側(透析液供給装置等)に対して交互に送液し得るものとしてもよい。また、本実施形態においては、溶解槽2及び補助溶解槽3に同種の透析用粉末薬剤を投入して溶解するものとしているが、溶解槽2と補助溶解槽3がそれぞれ独立して溶解が可能な配管構成であれば、互いに異なる透析用粉末薬剤(A剤とB剤)をそれぞれ投入して溶解可能なものとしてもよい。
【0059】
さらに、判断手段7は、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内に供給された水の量に対する溶解槽内に投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断しているが、液位検出手段6により検出された液位に基づいて、溶解槽2内で生成された溶液における透析用粉末薬剤の溶け残りの有無の判断も併せて行うものとしてもよい。この場合、判断手段7は、透析用粉末薬剤が水に完全に溶解したときの液位の理論値と、液位検出手段6により検出された液位の実測値とを比較し、当該液位の理論値と実測値との差から透析用粉末薬剤の溶け残りの有無を判断するのが好ましい。これにより、液位検出手段6について、投入された透析用粉末薬剤の量の適否を判断するための手段として機能させるのに加え、透析用粉末薬剤の溶け残りの有無を判断するための手段として機能させることができる。