特許第6644868号(P6644868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66448683次元物体を付加製造するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644868
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】3次元物体を付加製造するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20200130BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20200130BHJP
   B29C 64/30 20170101ALI20200130BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200130BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B29C64/153
   B29C64/30
   B33Y30/00
   B22F3/105
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-505421(P2018-505421)
(86)(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公表番号】特表2018-525523(P2018-525523A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2017054497
(87)【国際公開番号】WO2017157647
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2018年2月1日
(31)【優先権主張番号】102016104677.9
(32)【優先日】2016年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーク・フランク
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/071183(WO,A1)
【文献】 特開2015−193187(JP,A)
【文献】 特開2015−151566(JP,A)
【文献】 特表2010−509090(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/042657(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/197426(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16,3/105
B29C 64/00−64/40
B29C 67/00−67/24
B33Y 30/00,50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体(2)を付加製造するためのシステム(1)であって、
形材料(4)及び付加製造された物体(2)の少なくとも一方を収容するように設けられた収容室を有している、少なくとも1つの移動可能なモジュール式機能ユニットと
なくとも1つのトンネル部分(22)を有し、前記少なくとも1つのモジュール式機能ユニットが、前記トンネル部分(22)の中で移動可能である、トンネル構造部(21)と、
ネルギ・ビーム(5)を用いて、形成された造形材料層を選択的に層から層へと連続的に照射して、それに伴い硬化させることによって、3次元物体(2)を付加製造するように設けられた、少なくとも1つの装置(3)であって、前記装置(3)接続部分(26)を有し、前記接続部分(26)を介して前記装置(3)が前記トンネル構造部(21)に接続可能であるか、又は接続されていることによって、モジュール式機能ユニットが前記装置(3)を出て前記トンネル構造部(21)の中に、又は前記トンネル構造部(21)を出て前記装置(3)の中に移動可能である、少なくとも1つの装置(3)と、
填及び排出デバイス(13)であって、前記充填及び排出デバイス(13)の充填領域(14)内に移動される機能ユニットの収容室内に造形材料(4)を充填するように、及、前記充填及び排出デバイス(13)排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室にある造形材料(4)を排出するように、設けられ前記充填及び排出デバイス(13)接続部分(26)を有し、前記接続部分(26)を介して前記充填及び排出デバイス(13)が前記トンネル構造部(21)に接続可能であるか、又は接続されていることによって、モジュール式機能ユニットが前記充填及び排出デバイス(13)を出て前記トンネル構造部(21)の中に、又は前記トンネル構造部(21)を出て前記充填及び排出デバイス(13)の中に移動可能である、充填及び排出デバイス(13)、又は、
充填デバイス(13)であって、前記充填デバイス(13)の充填領域(14)内に移動される機能ユニットの収容室内に造形材料(4)を充填するように設けられ、前記充填デバイス(13)は接続部分(26)を有し、前記接続部分(26)を介して前記充填デバイス(13)が前記トンネル構造部(21)に接続可能であるか、又は接続されていることによって、モジュール式機能ユニットが前記充填デバイス(13)を出て前記トンネル構造部(21)の中に、又は前記トンネル構造部(21)を出て前記充填デバイス(13)の中に移動可能である、充填デバイス(13)
のいずれかと、
を含み、
前記少なくとも1つの装置(3)が前記トンネル構造部(21)に動作可能に連結され、前記充填及び排出デバイス(13)又は充填デバイス(13)が前記トンネル構造部(21)に動作可能に連結されることで、モジュール式機能ユニットが前記トンネル構造部(21)を通って、前記充填及び排出デバイス(13)又は充填デバイス(13)から前記少なくとも1つの装置(3)の中に、或いは、前記少なくとも1つの装置(3)から前記充填及び排出デバイス(13)又は充填デバイス(13)の中に移動可能である、
システム(1)。
【請求項2】
前記充填及び排出デバイス(13)が、不活性化が可能なハウジング構造部(20)の中に配置又は形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置された検出デバイス(29)をさらに含み、前記検出デバイス(29)が、
前記充填及び排出デバイス(13)の充填領域(14)内及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットを検出すること、
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの少なくとも1つの機能要素の、少なくとも1つの状態パラメータを検出すること
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室の、少なくとも1つの状態パラメータを検出すること
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室内に収容されている造形材料(4)の充填状態を検出すること、及
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室内に収容されている造形材料(4)の少なくとも1つの状態パラメータを検出すること
の少なくとも一つを行うよう設けられている請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニット収容室を調温すること、及、前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)に移動される機能ユニットの収容室内に収容されている造形材料(4)を調温すること、の少なくとも一つを行うよう設けられている、前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置された調温デバイス(31)をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニット収容室を不活性化するように設けられている、前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置された不活性化デバイス(32)をさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室内に充填されるべき造形材料(4)をふるい分けること、及、前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットの収容室から排出される造形材料(4)をふるい分けること、の少なくとも一つを行うよう設けられている、前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置されたふるい分けデバイス(36)をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記充填領域(14)及び/又は排出領域(15)内に移動される機能ユニットを位置がずれないように固定するように設けられている、前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置されたロッキング・デバイス(33)であって少なくとも1つのロック要素(34)を含むロッキング・デバイス(33)をさらに含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記充填及び排出デバイス(13)前記調温デバイス(31)前記不活性化デバイス(32)前記ふるい分けデバイス(36)、及び前記ロッキング・デバイス(33)の少なくとも1つを、前記検出デバイス(29)の少なくとも1つの検出結果に基づいて制御するための、前記充填及び排出デバイス(13)に対して配置される制御デバイス(35)をさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
機能ユニットを移動させるように設けられた、トンネル構造部側に配置又は形成される少なくとも1つの搬送手段(25)、及、前記機能ユニットを移動させるように設けられた、機能ユニット側に配置又は形成される少なくとも1つの搬送手段(25)、の少なくとも一方を含む、搬送デバイス(24)をさらに含む、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの移動可能なモジュール式機能ユニットが、
造形モジュールとして形成される機能ユニット(12a)であって、前記造形モジュールは、前記造形モジュール(2a)の本体に対して移動可能であるように支承された造形プレート(27)を収容するように設けられた収容室を含み、前記造形プレート(27)の上で、1つの3次元物体(2)を付加製造可能である、機能ユニット(12a)
計量供給モジュールとして形成される機能ユニット(12b)であって、前記計量供給モジュールは、3次元物体(2)を付加製造する際に硬化されることになる造形材料(4)を収容するように設けられた収容室(5)と、3次元物体(2)を付加製造する際に硬化されることになる造形材料(4)の所定量を計量して前記収容室から供給する計量供給デバイスとを含む、機能ユニット(12b)
オーバフロー・モジュールとして形成される機能ユニット(12c)であって、前記オーバフロー・モジュールは、3次元物体(2)を付加製造する際に硬化されない造形材料(4)を収容するように設けられた収容室を含む、機能ユニット(12c、及び
ハンドリング・モジュールとして形成される機能ユニット(12d)であって、前記ハンドリング・モジュールは、付加製造される少なくとも1つの物体(2)を収容するように設けられた収容室を含む、機能ユニット(12d)
の少なくとも1つを含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元物体を付加製造するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元物体を付加若しくは創成的に製造するためのこのようなシステムは、それ自体と知られている。当該システムには、何よりも特に3次元物体を付加製造するための様々な装置が含まれている。製造されることになる3次元物体は、相応の装置を用いて付加製造される。
【0003】
当該システムにおいて、モジュール式の機能ユニットを導入することが知られている。当該機能ユニット、例えば造形モジュール、計量供給モジュール、オーバフロー・モジュール(Ueberlaufmodule)は典型的に、1回の付加造形工程の枠内で硬化されることになる造形材料、又は1回の付加造形工程の枠内では硬化されない造形材料を収容するための1つの収容室を有している。それぞれの収容室の充填工程及び/又は排出工程は、これらを問題なく自動化できるというわけにはいかないために、往々にして時間がかかることがある。
【0004】
当該システムには、3次元物体の付加製造の半自動化又は全自動化の可能性を考慮した改良発展が常に求められている。これは、それぞれの機能ユニット側収容室の充填工程及び/又は排出工程についても言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、これに対して一段と改良された、3次元物体を付加製造するためのシステムを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の3次元物体を付加製造するためのシステムにより解決される。それぞれの従属請求項は、このシステムの特殊な実施形態に関するものである。
【0007】
ここに説明されるシステムは、一般には3次元物体を、即ち例えば技術的造形部品若しくは技術的造形部品群を、付加若しくは創成的に製造するために利用されるものである。
【0008】
このシステムには、ある1つの硬化可能な造形材料から成る個々の造形材料層を、少なくとも1つのエネルギ・ビームを用いて選択的に層から層へと連続的に照射して、それに伴い硬化させることによって、少なくとも1つの3次元物体(以下では略して「物体」と呼ぶ)を付加製造するための、少なくとも1つの装置が含まれている。この硬化可能な造形材料は、金属粉、プラスチック粉、及び/又はセラミックス粉であり得る。金属粉、プラスチック粉、又はセラミックス粉は、異なる金属、プラスチック、又はセラミックスの粉末混合物であるとの解釈も許すものである。この限りにおいて、金属粉である場合は、これが少なくとも1つの金属合金から成る粉末で。このエネルギ・ビームは、レーザ・ビームであり得る。したがって、この装置は、選択的レーザ溶融方法(略してSLM法)又は選択的レーザ焼結方法(略してSLS法)を実行するための、装置であり得る。したがって、本システムは、選択的レーザ溶融方法(略してSLM法)又は選択的レーザ焼結方法(略してSLS法)を実行するための、装置であり得る。
【0009】
1つの物体を製造するために硬化されることになるそれぞれの造形材料層は、その物体に関する様々な造形データに基づいて、選択的に層から層へと連続的に照射されて、それに伴い選択的に層から層へと連続的に硬化されるようになっている。これらの造形データは、一般には製造されることになる物体の幾何デザイン若しくは幾何構造のデザインを説明したものである。これらの造形データは、例えば製造されることになる物体のCADデータであり得、若しくはそのようなデータがこれに包含され得る。
【0010】
装置には、付加造形プロセスを実行するために典型的に必要とされる機能コンポーネントが全て含まれている。当該機能コンポーネントに数えられるのは、例えば、1つの造形平面内で選択的に照射されることになる造形材料層を形成するための、1つのコーティング・デバイス、及び、このコーティング・デバイスを用いて1つの造形平面内に形成された、選択的に照射されることになる造形材料層を選択的に照射する1つのエネルギ・ビームを生成するための、例えば、レーザ・ダイオード素子として形成された、又はそのようなものを内蔵した、1つ又は複数の照射素子が含まれる、1つの照射デバイスである。これらの機能コンポーネントは、典型的には、この装置の1つの、場合によっては機械ハウジングであると呼んだりみなしたりすることもできる、典型的には不活性化が可能である(innertisierbar)、ハウジング構造部の中に配置されている。
【0011】
システムには、さらにその上に、少なくとも1つのモジュール式の機能ユニット(「機能ユニット」)が含まれている。任意の機能ユニットのこのモジュール式構成は、内部にそれぞれの機能ユニットのそれぞれの機能構成部品が収容される、「モジュール」と呼ぶことができるハウジング構造部からもたらされるものである。このハウジング構造部により、機能ユニットの外側の幾何デザインが決定される。以下では例示的に当該機能ユニットを列挙する:
【0012】
機能ユニットの1つは、一種の造形モジュールとして形成されてよい。造形モジュールには、典型的にはチャンバ状である1つの収容室(「造形チャンバ」)内に、この造形モジュールの1つの本体に対して移動可能であるように、特に上下位置を調節可能であるように支承された、少なくとも1つの造形プレート又は担持プレートが含まれており、その上で、少なくとも1つの3次元物体の付加構成を行うことができるようになっている。造形モジュールは、3次元物体の付加製造の枠内では特に、1回の付加造形工程を実行する間に製造されることになる1つの物体を支承するために利用されるようになっている。
【0013】
機能ユニットの1つは、一種の計量供給モジュールとして形成されてよい。計量供給モジュールには、ある1つの3次元物体の1回の付加製造の枠内で硬化されることになる造形材料を収容するように設けられた、典型的にはチャンバ状である少なくとも1つの収容室、及び場合によっては、ある1つの物体の1回の付加製造の枠内で硬化されることになる造形材料の所定量を計量して収容室から供給するための、1つの計量供給デバイスが含まれている。計量供給モジュールは、3次元物体の付加製造の枠内では特に、コーティング・デバイスを用いて、定義済みの1つの造形材料層を形成しながら1つの造形平面内に一様に分散される、硬化されることになる造形材料の所定量を準備(計量供給)するために利用されるようになっている。
【0014】
しかしながら機能ユニットの1つは、他にも1種のオーバフロー・モジュールとして形成されてよい。オーバフロー・モジュールには、ある1つの3次元物体の1回の付加製造の枠内では硬化されない造形材料を収容するように設けられた、典型的にはチャンバ状である少なくとも1つの収容室が含まれている。このオーバフロー・モジュールは、3次元物体の付加製造の枠内では特に、この付加製造のためには硬化されない、装置の1つの造形チャンバ又はプロセス・チャンバから取り除かれなければならない、若しくは取り除かれた造形材料を収容するために利用されるようになっている。
【0015】
他にも機能ユニットの1つは、1種の操作モジュール又はハンドリング・モジュールとして形成されてよい。操作モジュール又はハンドリング・モジュールには、少なくとも1つの付加製造される物体を収容するように設けられた、典型的にはチャンバ状である少なくとも1つの収容室が含まれている。この物体を「アンパック(Auspacken)」するために、適切なインタフェースを介して、この収容室の内部に到達若しくはアクセスできるようにしてよい。この到達若しくはアクセスは、オペレータ(「グローブ・ボックス」)により、又はロボットにより、行われてよい。
【0016】
各々の機能ユニットは、その具体的な機能上の構成形態に関係なく、移動可能となっている;以下で明らかにされるように、各々の機能ユニットは、システムの様々な定置式の、即ち不動式の、典型的には基礎に固定接続された構成部品間を(往復)移動できるようになっている。
【0017】
システムにはさらにその上に、少なくとも1つの充填及び/又は排出デバイスが含まれている。この充填及び/又は排出デバイスは、この充填及び/又は排出デバイスの1つの充填領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室に造形材料を充填するように、及び/又は、この充填及び/又は排出デバイスの1つの排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室にある造形材料を排出するように設けられており、したがって、そのために1つの充填領域及び/又は1つの排出領域を有している。場合によっては、充填領域と排出領域とを組み合わせた1つの領域、即ち造形材料を充填することも、また造形材料を排出することも可能である1つの領域が、存在してもかまわない。この充填及び/又は排出デバイスは、最低でも当該充填工程を考慮すると、「タンク・ステーション(Tankstation)」と呼べるものである。
【0018】
この充填領域内では、この充填領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室に造形材料を充填することができる。この充填領域には、少なくとも1つの適切な充填デバイスが形成され含まれている。この充填デバイスには、収容室にその都度充填されることになる造形材料を搬送するための、少なくとも1つの搬送デバイスが含まれている。搬送デバイスは、例えば造形材料を収容室内にその都度充填するための充填(吹込み)流を発生するように設けられた、流れ発生デバイスとして形成されてよい。流れ発生装置は、例えばブロワ・デバイスとして形成されたものであるか、又はそのようなものがこれに含まれていてよい。
【0019】
1つの排出領域内では、この排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室内にある造形材料を排出することができる。この排出領域には、少なくとも1つの適切な排出デバイスが含まれている。この排出デバイスには、収容室からその都度排出されることになる造形材料を搬送するための、少なくとも1つの搬送デバイスが含まれている。そのためにこの排出デバイスは、収容室から造形材料をその都度排出するための排出(吸込み)流を発生するように設けられた、1つの流れ発生デバイスとして形成されてよい。流れ発生デバイスは、例えばポンプ・デバイスとして形成されたものであるか、又はそのようなものがこれに含まれていてよい。
【0020】
当然ながら充填及び/又は排出デバイスには、複数の(化学的に)異なる造形材料を貯蔵することができるが、それにより異なる機能ユニットに異なる造形材料を個別に充填することが可能となる。充填領域内に移動される第1の機能ユニットには、例えばいずれかの鋼粉を充填し、この充填領域内又はさらにもう1つの充填領域内に移動される第2の機能ユニットには、例えばいずれかのアルミニウム粉を充填することができる。これと同様に異なる機能ユニットを個別に排出することも可能である;したがって(化学的に)異なる造形材料を異なる機能ユニットから排出し、互いから切り離して貯蔵し、さらに処理する等々、が可能となる。
【0021】
充填及び/又は排出デバイスは、不活性化が可能な1つのハウジング構造部の中に配置又は形成されていると好適である。充填及び/又は排出デバイスに付属するこのハウジング構造部は、不活性化が可能である、即ちその中に不活性雰囲気を形成して維持することができるようになっている。これと同様に、このハウジング構造部の中には、ある1つの所定の圧力レベル、即ち正圧又は負圧が形成されて維持されてよい。
【0022】
システムにはさらにその上に、1つのトンネル構造部が含まれている。このトンネル構造部は少なくとも1つのトンネル部分を有しており、その中を、若しくはこれを通り、少なくとも1つの機能ユニットが移動できるようになっている。各々のトンネル部分の中には、少なくとも1つの移動経路又は移動軌跡(以下では「移動経路」)が形成又は配置されており、これに沿って機能ユニットはトンネル部分を通り移動できるようになっている。当然ながらトンネル部分の中には、最低でも部分的に、複数の移動経路を、即ち例えば隣接して、特に平行に配置される移動経路を、1つ又は複数の平面内に形成又は配置することも可能である。相応の移動経路により、機能ユニットは、それぞれのトンネル部分の中を、又はこれを通り、導かれながら移動できるようになっている。
【0023】
このトンネル構造部、若しくはこれに付属するトンネル部分は、システムの少なくとも2つの異なる定置式構成部品を、直接、又は間接的に、即ち例えば少なくともさらにもう1つのトンネル部分及び/又はさらにもう1つのシステムの定置式構成部品を間に挟んで、互いに接続するという機能を担っている。システムのそれぞれの定置式構成部品がこのように接続されることによって、それぞれの機能ユニットは、システムのそれぞれの定置式構成部品間で往復移動を行うことができる。それぞれの機能ユニットは、特に全自動化方式でトンネル構造部を通り移動できるようになっている。1つ又は複数のトンネル部分を介して、例えばシステムに付属している、3次元物体を付加製造するためのある1つの定置式装置(「造形ステーション」)が、システムに付属しているある1つの充填及び/又は排出デバイス(「タンク・ステーション」)に接続されてよい。1つの造形ステーションと1つのタンク・ステーション間の機能ユニットの移動については、別途例を挙げて後述するものとする。
【0024】
基本的には、1つの機能ユニットが、システムのある1つの第1の定置式構成部品を出て、システムのさらにもう1つの定置式構成部品の中に戻るように移動する際に辿る移動経路は、この機能ユニットが、この定置式構成部品を出て、装置のこのさらにもう1つの定置式構成部品の中に移動した際に辿った移動経路とは別ものであってもよい。ある1つの機能ユニットの、システムのそれぞれの定置式構成部品間の1つの移動経路の選択は、複数の所定の機能ユニットの所定の優先順位に基づいて行われてよい。優先順位が高い機能ユニットのためには、優先順位が低い機能ユニットのためのものよりも移動距離が短い、若しくはより高速型の、移動経路が選択されてよい。同様に優先順位が高い機能ユニットは、優先順位が低い機能ユニットと比較して、より高速で移動してよい。
【0025】
それぞれの機能ユニットを移動させるために、システムには少なくとも1つの搬送デバイスが含まれている。この搬送デバイスは、少なくとも1つの機能ユニットを移動させる駆動力を発生させることができる、1つの(モータ駆動式の)駆動デバイスに連結されてよい。
【0026】
この搬送デバイスには、機能ユニットを移動させるように設けられた、トンネル側に配置又は形成される少なくとも1つの搬送手段が含まれていてよい。そのような搬送手段は、例えば機械的な搬送手段、即ち例えばベルト・コンベヤ、チェーン・コンベヤ、又はローラ・コンベヤであり得るが、この搬送手段は、各々のトンネル部分の内部でそれが空間的にどのように延伸しているかにより、1つの搬送路、ひいては1つの移動経路を定義するようになっており、機能ユニットは、この移動経路に沿って移動できるようになっている。相応の搬送手段が、例えば床面側又は壁面側で、1つのトンネル部分の1つの壁面のところに配置又は形成されてよい。
【0027】
この、又は任意の搬送デバイスには、これを実装した機能ユニットを移動させるように設けられた、機能ユニット側に配置又は形成される少なくとも1つの搬送手段が含まれていてよい。そのような搬送手段は、例えば各々の機能ユニットに組み込まれている(電動)モータ駆動式の駆動デバイスであり得る。そのようにして、例えば1本の鉛直軸周りに様々な回転運動を行うことができるために、機能ユニットの運動自由度を拡張することができる。
【0028】
システム内で、特にトンネル構造部の中で移動される各機能ユニットの移動は全て、1つの中央制御デバイスを介して制御されるが、これは好適にもそれぞれの機能ユニットと直接、又は間接的に、例えば無線ベースで通信するようになっており、そのためにそれぞれの機能ユニットには、適切な通信デバイスが備えられ得る。この制御デバイスの中には、システム若しくはトンネル構造部の内部のそれぞれの機能ユニットの移動に関連した情報が全て、即ち特にそれぞれの運動情報、即ち例えば速度情報、それぞれの位置情報、即ち例えば初期位置と目標位置の情報、それぞれの優先順位情報等々が、好適には存在している。システム内若しくはトンネル構造部内を移動する各機能ユニットの様々な移動の制御は、全自動方式で行われてよい。
【0029】
各々のトンネル部分は1つの空隙を限定しており、その内部を少なくとも1つの機能ユニットが移動できるようになっている。因みに、少なくとも1つの機能ユニットが、トンネル部分の内部を、又はこれを通り移動可能であること、という条件付きで、各々のトンネル部分の幾何構造上の構成形態は任意に選定することができる。各々のトンネル部分は、例えば円形の、丸みを帯びた、又は角張った断面を有していてよい。各々のトンネル部分は、その長手方向の長さについては、最低でも部分的に、特に完全に、直線状に、又は最低でも部分的に、特に完全に、屈曲又は湾曲して延びるように形成されてよい。当然ながら各々のトンネル部分は、それぞれのトンネル部分を形成しながら互いに接続可能な、又は互いに接続されている、複数のトンネル部分セグメントから形成されてよい。
【0030】
各々のトンネル部分は、例えばこれに対して角度を成して延びる少なくともさらにもう1つのトンネル部分に通じていてよい。トンネル構造部は、鉄道交通から知られる線路システム又はレール・システムに類似して複数の定義済みの位置で互いに通じるトンネル部分を含み得る。複数のトンネル部分が、最低でも部分的に、並置されて、重なり合って、若しくは積み重ねられて、延びていてよい。したがって、このトンネル構造部は、最低でも部分的に、並置されて、重なり合って、若しくは積み重ねられて、またそれ故に異なる(水平及び/又は鉛直)平面内に延びている、複数のトンネル部分を含み得る。
【0031】
各々のトンネル部分は、不活性化が可能であり得、即ちその中に不活性雰囲気が形成されて維持されてよい。これと同様に各々のトンネル部分の中には、ある1つの所定の圧力レベル、即ち例えば正圧又は負圧が形成されて維持されてよい。
【0032】
トンネル構造部に接続できるようにするためには、システムの個々の、複数の、又は全ての定置式構成部品に1つの接続部分が備えられるとよく、これらの構成部品は、この接続部分を介してトンネル構造部に接続可能であるか、又は接続されてよい。
【0033】
具体的には装置に少なくとも1つの接続部分が備えられており、これを介して装置はトンネル構造部に接続可能であるか、又は接続されている。それにより機能ユニットは、装置を出てトンネル構造部の中に、又はトンネル構造部を出て装置の中に移動できるようになっている。
【0034】
この装置に類似して、充填及び/又は排出デバイスにも少なくとも1つの接続部分が備えられており、これを介して充填及び/又は排出デバイスはトンネル構造部に接続可能であるか、又は接続されている。それにより機能ユニットは、この充填及び/又は排出デバイスを出てトンネル構造部の中に、又はトンネル構造部を出て充填及び/又は排出デバイスの中に、移動できるようになっている。したがって、機能ユニットは、トンネル構造部を介して、装置と充填及び/又は排出デバイス間を往復移動可能である。
【0035】
他にも、システムのそれぞれの定置式構成部品の中に、特に装置の中に、若しくは充填及び/又は排出デバイスの中に、トンネル構造部の少なくとも1つのトンネル部分を配置又は形成して、これを、それぞれの接続部分を介して、システムのそれぞれの定置式構成部品、特に装置、若しくは充填及び/又は排出デバイスの外部に配置又は形成されている少なくとも1つのトンネル部分と連絡させるようにしてもよい。
【0036】
具体的には、例えば「空の」計量供給モジュールが、装置を出て、即ち例えば装置の内部に位置する1つのトンネル部分を出て、このトンネル構造部を通り充填及び/又は排出デバイスの中に、即ち例えば充填及び/又は排出デバイスの内部に位置する1つのトンネル部分の中に移動されて、そこで充填されてから、このトンネル構造部を通り装置の中に戻るように移動してよい。これに類似して、「満杯の」オーバフロー・モジュールは、装置を出てトンネル構造部を通り充填及び/又は排出デバイスの中に移動され、そこで排出されてから、トンネル構造部を通り装置の中に戻るように移動してよい。
【0037】
総じて、特に3次元物体の付加製造の自動化の可能性を考慮して改善された、3次元物体を付加製造するためのシステムが存在する。自動化が可能であるのは特に、それぞれの機能ユニットの充填工程及び/又は排出工程である。特に3次元物体の自動化が可能な付加量産を考慮すると、このシステムの有意性が明らかである。
【0038】
充填及び/又は排出デバイスに対して、1つの検出デバイスが配置されてよい。この検出デバイスには、典型的にハードウェア及び/又はソフトウェアにより実行される少なくとも1つの検出素子が含まれている。この検出デバイスを介して、様々な検出パラメータを検出可能であるが、それにより充填及び/又は排出デバイスの機能性及び実用性が向上する。検出デバイスにより検出された検出パラメータは全て、1つの、場合によってはワイヤレス方式の、データ・ネットワーク若しくは通信ネットワークを介して、少なくとも1つの通信相手に、即ち例えばシステムの1つの中央制御デバイスに、転送されてよい。
【0039】
この検出デバイスは、充填及び/又は排出デバイスの1つの充填領域内及び/又は1つの排出領域内に移動される1つの機能ユニットを検出するように設けられていてよい。それにより相応に設けられた1つの検出デバイスを介して、機能ユニットが充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動されているかどうかを検出することができる。充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットが検出される場合は、さらに引き続いて、機能ユニットが具体的にどの種類のものであるのかを検出できるようにしてよい。充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域に移動される1つの機能ユニットの検出は、その種類の検出と並び、例えば光学方式で、即ち例えば光スキャン工程を利用して、又は機械方式で、即ち例えば1つの充填領域及び/又は排出領域内に配置又は形成された1つの重量センサ系に作用するこの機能ユニットの重量を検出することによって、行われてよい。
【0040】
この検出デバイスは、(他にも)充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの少なくとも1つの機能要素の少なくとも1つの状態パラメータ、特に作動信頼性を検出するように設けられていてよい。したがって、相応に設けられた1つの検出デバイスを介して、機能ユニットの所定の機能要素の所定の状態パラメータ、特に作動信頼性を検出することができる。造形モジュールを例にとると、例えば移動可能に支承された造形プレートに規定通りの作動信頼性が与えられているかどうかを検出することができる。そのためにこの検出デバイスは、例えば適切な制御情報を、移動可能に支承された造形プレートに連結された1つの駆動装置に伝送して、例えばこれらの制御情報により決まる駆動条件下で、造形プレートの移動の、場所及び/又は時間で分解した検出(監視)を実行してよい。造形プレートのこの移動の検出結果から、造形プレートの移動可能支承部の作動信頼性を推論することが可能になる。
【0041】
この検出デバイスは、(他にも)充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの、特に最低でも部分的に充填材料で充填された1つの収容室の内部の、少なくとも1つの、特に物理的な状態パラメータを検出するように設けられていてよい。相応に設けられた検出デバイスを介して、機能ユニット側の収容室の内部の所定の、即ち特に物理的な状態パラメータを、即ち例えば雰囲気、圧力、湿度、温度等々を検出することができる。計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると、例えばそれぞれの収容室の内部にどのような雰囲気、圧力、湿度、温度等々が与えられているかを検出することができる。ある1つの収容室の内部の状態パラメータの検出結果から、特にその機能ユニット内にある造形材料の品質若しくは加工性若しくはリサイクル性を推論することが可能になる。当該状態パラメータの検出は、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該状態パラメータを検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子を用いて行われてよい。一般に機能ユニット側のインタフェースは、例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0042】
当然ながらこの検出デバイスは、(他にも)充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室内に収容されている1つの造形材料のある1つの、特に物理的な状態パラメータを検出するように設けられていてよい。相応に設けられた検出デバイスを介して、一般には所定の、即ち特に物理的な状態パラメータを、即ち例えば1つの機能ユニット側収容室の内部にある1つの造形材料の密度、湿度、温度等々を検出することができる。計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると、例えば造形材料に関してどのような密度、湿度、温度が与えられているかを検出することができる。1つの収容室内の状態パラメータの検出結果から、特にその機能ユニット内にある造形材料の品質若しくは加工性若しくはリサイクル性を推論することが可能になる。当該状態パラメータの検出は再び、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該状態パラメータを検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子を用いて行われてよい。機能ユニット側のインタフェースも再び、例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0043】
最後にこの検出デバイスは、(他にも)充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室内の1つの造形材料の充填状態を検出するように設けられていてよい。したがって、相応に設けられた検出デバイスを介して、1つの機能ユニット側収容室にある1つの造形材料の充填状態を検出することができる。したがって、計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると、それぞれの収容室の内部にどのような充填状態が与えられているかを検出することができる。これらの充填状態の検出結果から、特に計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールに充填又は排出が必要であることを推論することができる。当該充填状態の検出は、ここでも、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該充填状態を検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子を用いて行われてよい。機能ユニット側のインタフェースは、ここでも例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0044】
相応に設けられた検出デバイスを介して検出可能なそれぞれの検出パラメータに鑑みて、充填及び/又は排出デバイスにはさらにその上に、例えば1つの機能ユニット側収容室内に充填されなければならない、若しくは1つの機能ユニット側収容室から排出されなければならない造形材料の品質若しくは加工性若しくはリサイクル性に影響を与えるために、それぞれ検出された検出パラメータに基づいて、所定の対策を講じることができるようにするために利用される、特定のデバイスが含まれているか、又は最低でもそのようなものが充填及び/又は排出デバイスに接続されてよい:
【0045】
例えば、充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室を調温するように、及び/又は、充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室内に収容されている1つの造形材料を調温するように設けられた、1つの調温デバイスが、充填及び/又は排出デバイスに対して配置可能であるか、又は配置されてよい。典型的に1種の加熱であると解釈することができる収容室若しくは造形材料のこの調温は、例えばこの機能ユニットを(直接)調温することにより、及び/又は、機能ユニット側に備えられる調温手段、即ち例えば発熱体を制御(起動)することにより、行われてよい。機能ユニットを調温するためには、この調温デバイスにより、適切な接続手段若しくはインタフェースを介して、相応に調温された調温用流体が、例えば機能ユニット側の1つの調温通路構造部の中に装入されてよい。機能ユニット側に備えられた調温手段を制御(起動)するためには、この調温デバイスから、適切な接続手段若しくはインタフェースを介して、単なる電源供給のことでもあると解釈することができる制御情報が、機能ユニット側に備えられるそれぞれの調温手段に伝送されてよい。
【0046】
さらにその上に、充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの、少なくとも1つの、特に最低でも部分的に造形材料で充填された収容室を不活性化するように設けられている、1つの不活性化デバイスが、充填及び/又は排出デバイスに対して配置可能であるか、又は配置されてよい。任意の収容室を不活性化するためには、この不活性化デバイスにより、適切な接続手段若しくはインタフェース及びこれらに連結可能な又は連結されている吸引デバイスを介して、例えば空気のような非不活性ガス若しくはガス混合物が収容室から吸い出される、及び/又は、これらに連結可能な又は連結されている複数のブロワ・デバイスにより、例えばアルゴン、二酸化炭素、窒素等のような不活性ガス若しくはガス混合物が収容室内に装入されてよい。
【0047】
他にもさらに、充填領域及び/又は排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室内に充填されなければならない造形材料をふるい分けるように、及び/又は、充填領域及び/又は排出領域内に移動される1つの機能ユニットの1つの収容室から排出される造形材料をふるい分けるように設けられた、1つのふるい分けデバイスが、充填及び/又は排出デバイスに対して配置されてよい。相応のふるい分けデバイスであれば、1つの機能ユニット側収容室内に充填されなければならない造形材料、及び/又は1つの機能ユニット側収容室から排出される造形材料を、ふるい分けることが可能である。場合によってはモータ駆動式のこのふるい分けデバイスに、ある1つの所定の粒度(級)をふるいにかけて取り除くように設けられた、場合によってはモータ駆動式の、少なくとも1つのふるい分け要素が含まれていてよい。
【0048】
他にもさらに、充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットを、その位置がずれないように固定するように設けられた、1つのロッキング・デバイスが、充填及び/又は排出デバイスに対して配置可能であるか、又は配置されてよい。相応のロッキング・デバイスであれば、充填及び/又は排出デバイスの充填領域若しくは排出領域内に移動される1つの機能ユニットの、充填領域及び/又は排出領域に対する位置合わせ及び配置を、正確かつ安定的に行うことが可能になり、それにより充填及び/又は排出デバイスの信頼性が向上する。このロッキング・デバイスには、ロック状態においては、機能ユニットの配置及び位置合わせが正確かつ安定的に行われているように、ロック対象である機能ユニットに作用するようになっている、例えば機械的なピン、突起等々、又は磁化可能な又は磁気性の磁石要素の形態をとる、少なくとも1つの、特に機械的及び/又は磁気的に作用する、ロック要素が含まれていてよい。当然ながら機能ユニット側には、これに対応する、例えば機械式ロック・ピン用の受入れ穴の形態をとる、又は磁化可能な又は磁気性の磁石要素の形態をとる、特に機械式若しくは磁気性の、相方のロック要素が備えられていてよい。
【0049】
充填及び/又は排出デバイスの動作を、即ち特にこの充填及び/又は排出デバイスの上述の任意選択のデバイス、即ち調温デバイス、不活性化デバイス、又はロッキング・デバイスの内、少なくとも1つの動作も含めて、制御するために、充填及び/又は排出デバイスには1つの制御デバイスが含まれていてよい。この制御は、検出デバイスが存在する場合は、それを介して検出される少なくとも1つの検出パラメータに基づいて行われてよい。例えば、必要に応じてある1つの造形材料の調温を行うために、この造形材料のある1つの検出された温度に基づいて、1つの調温デバイスの動作制御が行われてよい。これと同様に、必要に応じて1つの機能ユニット側収容室の不活性化を行うために、この収容室の内部のある1つの検出された雰囲気及び/又はある1つの検出された圧力に基づいて、1つの不活性化デバイスの動作制御が行われてよい。
【0050】
本発明を、図面に示される実施例に基づいて、より詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】1つの実施例に従った3次元物体を付加製造するためのシステムの原理図である。
図2図1に示される実施例に従ったシステムの断片の原理図である。
図3】1つの実施例に従った充填及び/又は排出デバイスの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1には、1つの実施例に従った、3次元物体2、即ち例えば技術的造形部品若しくは技術的造形部品群を付加製造するためのシステム1を上から見た原理図が示される。
【0053】
このシステム1には、硬化可能な造形材料4から成る個々の造形材料層を、エネルギ・ビーム5を用いて選択的に層から層へと連続的に照射して、それに伴い硬化させることによって、3次元物体2を付加製造するための、1つ又は複数の定置式装置3(「造形ステーション」)が含まれている(図2から、この装置3の機能のより詳細なディテールが明らかである)。この硬化可能な造形材料4は、例えば金属粉であり得る。このエネルギ・ビーム5は、レーザ・ビームであり得る。したがって、この装置3は、選択的レーザ溶融方法(略してSLM法)又は選択的レーザ焼結方法(略してSLS法)を実行するための、装置であり得る。したがって、このシステム1は、選択的レーザ溶融方法(略してSLM法)又は選択的レーザ焼結方法(略してSLS法)を実行するための、システムであり得る。
【0054】
この装置3には、各付加造形プロセスを実行するために必要とされる機能コンポーネントが全て含まれている。当該機能コンポーネントに数えられるのは1つの造形平面7内で選択的に照射されることになる造形材料層を形成するための、水平方向を向いた両方向矢印により示唆されるように移動可能に支承された1つのコーティング・デバイス6、及び、このコーティング・デバイス6を用いてこの造形平面7内に形成された、選択的に照射されることになる造形材料層を選択的に照射する1つのエネルギ・ビーム5を生成するための、例えば、レーザ・ダイオード素子として形成された、又はそのようなものを内蔵した、1つ又は複数の照射素子が含まれる、1つの照射デバイス8である。これらの機能コンポーネントは、装置3の1つのプロセス・チャンバ11を定義している1つのハウジング構造部10の中に配置されている。このプロセス・チャンバ11は不活性化が可能であり、したがって、このプロセス・チャンバ11の中に、保護ガス雰囲気、例えば一定のアルゴン雰囲気、及び/又は所定の圧力レベルを形成して維持することができるようになっている。
【0055】
システム1には複数のモジュール式の機能ユニット12が含まれている。これらの機能ユニット12のこのモジュール式構造は、内部にそれぞれの機能ユニット12のそれぞれの機能的構成部品が収容される、「モジュール」と呼ぶことができる、それぞれの機能ユニット12の外側の幾何デザインを(実質的に)決定づける(詳細には図示されない)1つのハウジング構造部からもたらされるものである。
【0056】
第1の例示的な機能ユニット12aは、1種の造形モジュールとして形成されている。そのような造形モジュールには、(詳細には図示されない)「造形チャンバ」と呼ぶこともできるチャンバ状の1つの収容室の中に、この造形モジュールの1つの本体に対して移動可能であるように、特に上下位置を調節可能であるように支承された、(詳細には図示されない)1つの造形プレート又は担持プレートが含まれており、その上で少なくとも1つの3次元物体2の付加構成を行うことができるようになっている。そのような造形モジュールは、3次元物体2の付加製造の枠内では特に、1回の付加造形工程を実行する間に製造されることになる1つの物体2を支承するために利用されるようになっている、図2に示される装置3を参照。システム1には、複数の当該第1の機能ユニット12aが付属していてよい。
【0057】
第2の例示的な機能ユニット12bは、1種の計量供給モジュールとして形成されている。そのような計量供給モジュールには、ある1つの3次元物体の1回の付加製造の枠内で硬化されることになる造形材料2を収容するように設けられた、(詳細には図示されない)1つのチャンバ状の収容室、及び、硬化されることになる造形材料2の所定量を計量して収容室から供給するための、(詳細には図示されない)1つの計量供給デバイスが含まれている。そのような計量供給モジュールは、3次元物体2の付加製造の枠内では、コーティング・デバイス6を用いて、定義済みの1つの造形材料層を形成しながら1つの造形平面7内に一様に分散される、硬化されることになる造形材料2の所定量を準備(計量供給)するために利用されるようになっている、図2に示される装置3を参照。システム1には、複数の当該第2の機能ユニット12bが付属していてよい。
【0058】
第3の例示的な機能ユニット12cは、1種のオーバフロー・モジュールとして形成されている。そのようなオーバフロー・モジュールには、ある1つの3次元物体2の1回の付加製造の枠内では硬化されない造形材料4を収容するように設けられた、(詳細には図示されない)1つのチャンバ状の収容室が含まれている。このオーバフロー・モジュールは、3次元物体2の付加製造の枠内では、硬化されない、装置3のプロセス・チャンバ11から取り除かれなければならない、若しくは取り除かれた造形材料4を収容するために利用されるようになっている。システム1には、複数の当該第3の機能ユニット12cが付属していてよい。
【0059】
第4の例示的な機能ユニット12dは、1種の操作モジュール又はハンドリング・モジュールとして形成されている。そのような操作モジュール又はハンドリング・モジュールには、少なくとも1つの付加製造される物体2を収容するように設けられた、(詳細には図示されない)少なくとも1つのチャンバ状の収容室が含まれている。この物体2を「アンパック」するために、適切なインタフェース(不図示)を介して、この収容室の内部に到達若しくはアクセスできるようにしてよい。この到達若しくはアクセスは、オペレータ(「グローブ・ボックス」)により、又はロボットにより、行われてよい。システム1には、複数の当該第4の機能ユニット12dが付属していてよい。
【0060】
以下で明らかにされるように、各々の機能ユニット12a〜12dは、システム1の様々な定置式の、即ち不動式の、典型的には基礎に固定接続された構成部品間を往復移動できるようになっている。
【0061】
システム1には、1つ又は複数の定置式充填及び/又は排出デバイス13が含まれている。この充填及び/又は排出デバイス13は、充填及び/又は排出デバイス13の1つの充填領域14内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室に造形材料4を充填するように、及び/又は、充填及び/又は排出デバイス13の1つの排出領域14内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室にある造形材料4を排出するように、設けられている。充填及び/又は排出デバイス13は、最低でもそれぞれの当該充填工程を考慮すると「タンク・ステーション」と呼べるものである。
【0062】
充填及び/又は排出デバイス13は、不活性化が可能な1つのハウジング構造部20の内部に形成されている。このハウジング構造部20の中には、不活性雰囲気若しくはある1つの所定の圧力レベル、即ち例えば正圧又は負圧を形成して維持できるようになっている。
【0063】
充填領域14の中では、この充填領域14内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室に造形材料4を充填することができる。図2に示す断片には、1つの第2の機能ユニット12b、即ち1つの計量供給モジュールの1つの収容室への造形材料4の充填が例示的に示されている。この充填領域14には、1つの充填デバイス16が含まれている。この充填デバイス16には、収容室にその都度充填されることになる造形材料4を搬送するための、1つの搬送デバイス17が含まれている。この搬送デバイス17は、例えば造形材料4を収容室内にその都度充填するための一定の充填(吹込み)流を発生するように設けられた、流れ発生デバイスとして、特にブロワ・デバイスとして、形成されてよい。
【0064】
この排出領域15の中では、この排出領域15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室内にある造形材料を排出することができる。図2に示す断片には、1つの第3の機能ユニット12c、即ち1つのオーバフロー・モジュールの1つの収容室からの造形材料4の排出が例示的に示されている。この排出領域15には1つの排出デバイス18が含まれている。この排出デバイス18には、収容室からその都度排出されることになる造形材料4を搬送するための1つの搬送デバイス19が含まれている。排出デバイス18は、例えば収容室から造形材料4をその都度排出するための一定の排出(吸込み)流を発生するように設けられた流れ発生デバイスとして、特にポンプ・デバイスとして、形成されてよい。
【0065】
充填及び/又は排出デバイス13には、複数の(化学的に)異なる造形材料4を貯蔵することができるが、それにより、異なる機能ユニット12a〜12dに異なる造形材料4を個別に充填することが可能となる。充填領域14内に移動される第1の機能ユニット12a〜12dには、例えばいずれかの鋼粉を充填し、充填領域14内に移動される第2の機能ユニット12a〜12dには、例えばいずれかのアルミニウム粉を充填することができる。これと同様に異なる機能ユニット12a〜12dを個別に排出することも可能である;したがって、(化学的に)異なる造形材料4を異なる機能ユニット12a〜12dから排出し、互いから切り離して貯蔵し、さらに処理する等々、が可能となる。
【0066】
システム1にはさらにその上に1つのトンネル構造部21が含まれている。このトンネル構造部21は複数のトンネル部分22を有しており、それらの中を、若しくはそれらを通り、それぞれの機能ユニット12a〜12dが移動できるようになっている。各々のトンネル部分22の中には、少なくとも1つの移動経路23が形成又は配置されており、機能ユニット12a〜12dはこれに沿ってトンネル部分22を通り移動できるようになっている。同じ1つのトンネル部分22の中には、最低でも部分的に、複数の移動経路23を、即ち例えば隣接して、特に平行に配置される複数の移動経路23を、1つ又は複数の平面内に形成又は配置することも可能である。相応の移動経路23により、機能ユニット12a〜12dは、それぞれのトンネル部分22の中を、又はこれを通り、導かれながら移動できるようになっている。
【0067】
図1を参照すると明らかであるように、1つのトンネル部分22は、例えばこれに対して角度を成して延びる少なくともさらにもう1つのトンネル部分22に通じていてよい。トンネル構造部21は、鉄道交通から知られる線路システム又はレール・システムに類似して複数の定義済みの位置で互いに通じるトンネル部分22を含む(これについては、図1に破線で示されるそれぞれの当該トンネル部分22も参照)。複数のトンネル部分22が、最低でも部分的に並置されて、重なり合って、若しくは積み重ねられて、延びていてよい。したがって、このトンネル構造部は、最低でも部分的に並置されて、重なり合って、又は積み重ねられて、またそれ故に異なる(水平及び/又は鉛直)平面内に延びている、複数のトンネル部分22を含み得る。
【0068】
これらのトンネル部分22は不活性化が可能であり得、即ちそれらの中に不活性雰囲気、ある1つの所定の圧力レベル、即ち例えば正圧又は負圧が形成されて維持されてよい。
【0069】
トンネル構造部21若しくはこれに付属するトンネル部分22は、システム1の異なる定置式構成部品を、即ち例えば装置3と充填及び/又は排出デバイス13とを、直接、又は間接的に、即ち例えば少なくともさらにもう1つのトンネル部分21及び/又はさらにもう1つのシステムの定置式構成部品を間に挟んで、互いに接続するという機能を担っている。システム1のそれぞれの定置式構成部品がこのように接続されることによって、それぞれの機能ユニット12a〜12dは、システム1のそれぞれの定置式構成部品間で往復移動を行うことができる。それぞれの機能ユニットは、特に全自動化方式でトンネル構造部21を通り移動できるようになっている。1つ又は複数のトンネル部分22を介して、例えばある1つの定置式装置3(「造形ステーション」)が定置式充填及び/又は排出デバイス13(「タンク・ステーション」)に接続されてよい。
【0070】
それぞれの機能ユニット12a〜12dを移動させるために、システム1には、機能ユニット12a〜12dを移動させる駆動力を発生させる1つの(モータ駆動式の)駆動デバイスに連結された、搬送デバイス24が含まれている。この搬送デバイス24には、機能ユニット12a〜12dを移動させるように設けられた、トンネル側に配置又は形成される1つの搬送手段25が含まれていてよい(図2を参照)。この搬送手段25は、例えば機械的な搬送手段、即ち例えば任意のベルト・コンベヤ、チェーン・コンベヤ、又はローラ・コンベヤであり得るが、搬送手段は、各々のトンネル部分22の内部でそれが空間的にどのように延伸しているかにより、1つの搬送路、ひいては移動経路23を定義するようになっており、機能ユニット12a〜12dは、この移動経路に沿って移動できるようになっている。図2を参照すると明らかであるように、当該搬送手段は、例えば床面側又は壁面側で、1つのトンネル部分21の1つの壁面のところに配置又は形成されてよい。
【0071】
他にも搬送デバイス24に、これを実装した機能ユニット12a〜12dを移動させるように設けられた、それぞれの機能ユニット側に配置又は形成される搬送手段25を含ませることも考えられる(図2を参照)。そのような搬送手段25は、例えば(詳細には図示されない)各々の機能ユニット12a〜12dに組み込まれている(電動)モータ駆動式の駆動デバイスであり得る。そのようにして、例えば1本の鉛直軸周りに様々な回転運動を行うことができるために、機能ユニット12a〜12dの運動自由度を拡張することができる。
【0072】
1つ又は複数の機能ユニット12a〜12dの、システム1のそれぞれの定置式構成部品間の1つの移動経路の選択は、所定の機能ユニット12a〜12dの所定の優先順位に基づいて行われてよい。優先順位が高い機能ユニット12a〜12dのためには、優先順位が低い機能ユニット12a〜12dのためのものよりも移動距離が短い、若しくはより高速型の、移動経路23が選択されてよい。同様に優先順位が高い機能ユニット12a〜12dは、優先順位が低い機能ユニット12a〜12dと比較して、より高速で移動されてよい。
【0073】
トンネル構造部21の中で移動される機能ユニット12a〜12dの移動は全て、1つの中央制御デバイス28を介して制御されるが、これは好適にもそれぞれの機能ユニット12a〜12dと直接、又は間接的に、例えば無線ベースで通信するようになっており、そのためにそれぞれの機能ユニット12a〜12dには、(詳細には図示されない)適切な通信デバイスが備えられ得る。この制御デバイス28の中には、トンネル構造部21の内部のそれぞれの機能ユニット12a〜12dの移動に関連した情報が全て、即ち特にそれぞれの運動情報、即ち例えば速度情報、それぞれの位置情報、即ち例えば初期位置と目標位置の情報、それぞれの優先順位情報等々が存在している。トンネル構造部21内を移動する機能ユニット12a〜12dの移動の制御は、全自動方式で行われてよい。
【0074】
トンネル構造部21に接続できるようにするために、システム1の定置式構成部品には1つの接続部分26が備えられ、これらの構成部品は、この接続部分26を介してトンネル構造部21に接続可能であるか、又は接続されてよい。図2を参照すると装置3の1つの接続部分26が明らかであるが、装置3はこれを介してトンネル構造部21に、即ち1つのトンネル部分22に、接続されている。当該機能ユニット12a〜12dは、装置3を出てトンネル構造部21の中に、又はトンネル構造部21を出て装置3の中に移動することができる。装置3に類似して、充填及び/又は排出デバイス13にも1つの接続部分26が備えられおり、これを介して充填及び/又は排出デバイス13はトンネル構造部21に、即ちトンネル部分22に、接続されている。それにより機能ユニット12a〜12dは、充填及び/又は排出デバイス13を出てトンネル構造部21の中に、又はトンネル構造部21を出て充填及び/又は排出デバイス13の中に、移動できるようになっている。
【0075】
システム1のそれぞれの定置式構成部品の中に、即ち例えば装置3の中に、若しくは充填及び/又は排出デバイス13の中にも同様に、トンネル構造部21の1つのトンネル部分22を配置又は形成して、これを、それぞれの接続部分26を介して、システム1のそれぞれの定置式構成部品の外部に配置又は形成されている1つのトンネル部分22と連絡させるようにしてもよい(図2を参照)。
【0076】
図3には、充填及び/又は排出デバイス13の原理図が示されるが、これに基づいて充填及び/又は排出デバイス13の明確な変更点を説明する。
【0077】
図3に示される充填及び/又は排出デバイス13に対しては、1つの検出デバイス29が配置されている。この検出デバイス29には、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより実行される複数の検出素子(不図示)が含まれており、これらを介して異なる検出パラメータを検出できるようになっている。検出デバイス29により検出された検出パラメータは全て、1つの、場合によってはワイヤレス方式の、データ・ネットワーク若しくは通信ネットワーク(不図示)を介して、少なくとも1つの通信相手に、即ち例えばシステム1の中央制御デバイス28に、転送されてよい。
【0078】
検出デバイス28は、充填領域14内及び/又は排出領域15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dを検出するように設けられていてよい。したがって、この検出デバイス28を介して、機能ユニット12a〜12dが充填領域若しくは排出領域14、15内に移動されているかどうかを検出することができる。充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dが検出される場合は、さらに引き続いて、機能ユニット12a〜12dが具体的にどの種類のものであるのかを検出できるようにしてよい。充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの検出は、その種類の検出と並び、光学方式で、即ち例えば光スキャン工程を利用して、又は機械方式で、即ち例えば1つの充填領域及び/又は排出領域14、15内に配置又は形成された1つの重量センサ系30に作用するこの機能ユニット12a〜12dの重量を検出することによって、行われてよい。
【0079】
検出デバイス29は、(他にも)充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの少なくとも1つの機能要素の少なくとも1つの状態パラメータ、特に作動信頼性を検出するように設けられていてよい。したがって、この検出デバイス28を介して、機能ユニット12a〜12dの所定の機能要素の所定の状態パラメータ、特に作動信頼性を検出することができる。造形モジュールを例にとると(第1の機能ユニット12aを参照)、例えば移動可能に支承された造形プレート又は担持プレート27に規定通りの作動信頼性が与えられているかどうかを検出することができる。そのためにこの検出デバイスは、例えば適切な制御情報を、造形プレート又は担持プレート27に連結された1つの駆動装置(不図示)に伝送して、例えばこれらの制御情報により決まる駆動条件下で、造形プレート27の移動の、場所及び/又は時間で分解した検出(監視)を実行してよい。
【0080】
検出デバイス29は、(他にも)充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの、特に最低でも部分的に充填材料4で充填された1つの収容室の内部の、少なくとも1つの、特に物理的な状態パラメータを検出するように設けられていてよい。この検出デバイス29を介して、機能ユニット側の収容室の内部の所定の、即ち特に物理的な状態パラメータを、即ち例えば雰囲気、圧力、湿度、温度等々を検出することができる。計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると(第2、第3の機能ユニット12b、12cを参照)、例えばそれぞれの収容室の内部にどのような雰囲気、圧力、湿度、温度等々が与えられているかを検出することができる。当該状態パラメータの検出は、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該状態パラメータを検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子を用いて行われてよい。一般に機能ユニット側のインタフェースは、例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0081】
さらにその上に検出デバイス29は、(他にも)充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室内に収容されている1つの造形材料4のある1つの、特に物理的な状態パラメータを検出するように設けられていてよい。この検出デバイス29を介して、一般には所定の、即ち特に物理的な状態パラメータを、即ち例えば1つの機能ユニット側収容室の内部にある1つの造形材料4の密度、湿度、温度等々を、検出することができる。計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると(第2、第3の機能ユニット12b、12cを参照)、例えばある1つの造形材料4に関してどのような密度、湿度、温度が与えられているかを検出することができる。当該状態パラメータの検出は再び、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該状態パラメータを検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子(不図示)を用いて行われてよい。機能ユニット側のインタフェースも再び、例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0082】
最後に検出デバイス29は、例えば(他にも)充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室内の1つの造形材料4のある1つの充填状態を検出するように設けられていてよい。したがって、この検出デバイス29を介して、1つの機能ユニット側収容室にある1つの造形材料4の様々な充填状態を検出することができる。したがって、計量供給モジュール又はオーバフロー・モジュールを例にとると(第2、第3の機能ユニット12b、12cを参照)、それぞれの収容室の内部にどのような充填状態が与えられているかを検出することができる。当該充填状態の検出は、ここでも、そのために備えられた機能ユニット側の1つのインタフェースを介して当該充填状態を検出するようになっている、適切な、例えば測定プローブのように形成された、検出素子(不図示)を用いて行われてよい。一般に機能ユニット側のインタフェースは、ここでも例えば1つの機能ユニット側収容室の表面及び/又は内部へのアクセス可能性により実現されたものであり得る。
【0083】
充填及び/又は排出デバイス13にはさらにその上に、例えば1つの機能ユニット側収容室内に充填されなければならない、若しくは1つの機能ユニット側収容室から排出されなければならない造形材料4の品質若しくは加工性若しくはリサイクル性に影響を与えるために、検出されたそれぞれの検出パラメータに基づいて、所定の対策を講じることができるようにするために利用される、特定のデバイスが含まれている。
【0084】
充填及び/又は排出デバイス13に対して、充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室を調温するように、及び/又は、充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室内に収容されている1つの造形材料4を調温するように設けられている、1つの調温デバイス31が配置されている。典型的に1種の加熱であると解釈することができる収容室若しくは造形材料4のこの調温は、例えばこの機能ユニット12a〜12dを(直接)調温することにより、及び/又は、機能ユニット側に備えられる複数の調温手段(不図示)、即ち例えば複数の発熱体を制御(起動)することにより、行われてよい。
【0085】
さらにその上に、充填及び/又は排出デバイス13に対して、充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの造形材料4で充填された1つの収容室を不活性化するように設けられた、1つの不活性化デバイス32が配置されている。ある1つの収容室を不活性化するためには、この不活性化デバイス31により、適切な接続手段(不図示)若しくはインタフェース及びこれらに連結可能な又は連結されている複数の吸引デバイス(不図示)を介して、例えば空気のような非不活性ガス若しくはガス混合物が収容室から吸い出される、及び/又は、これらに連結可能な又は連結されている複数のブロワ・デバイス(不図示)により、例えばアルゴン、二酸化炭素、窒素等のような不活性ガス若しくはガス混合物が収容室内に装入されてよい。
【0086】
充填及び/又は排出デバイス13に対して、他にもさらに、充填領域14内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室内に充填されなければならない造形材料4をふるい分けるように、及び/又は、排出領域15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの1つの収容室から排出される造形材料4をふるい分けるように設けられた、1つのふるい分けデバイス36が配置されている。モータ駆動式のこのふるい分けデバイス36により、1つの機能ユニット側収容室内に充填されなければならない造形材料4、及び/又は1つの機能ユニット側収容室から排出される造形材料4を、ふるい分けることが可能になる。ふるい分けデバイス36には、ある1つの所定の粒度(級)をふるいにかけて取り除くように設けられた、(詳細には図示されない)少なくとも1つのふるい分け要素が含まれている。
【0087】
充填及び/又は排出デバイス13に対して、他にもさらに、充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dを、その位置がずれないように固定するように設けられた、1つのロッキング・デバイスが配置されている。このロッキング・デバイス33により、充填領域若しくは排出領域14、15内に移動される1つの機能ユニット12a〜12dの、充填領域及び/又は排出領域14、15に対する位置合わせ及び配置を、正確かつ安定的に行うことが可能になる。ロッキング・デバイス33は、特に、ロック状態においては、ロック対象である機能ユニット12a〜12dの配置及び位置合わせが正確かつ安定的に行われているように、これに作用するようになっている、例えば機械的なピン又は磁石要素の形態をとる、機械的及び/又は磁気的に作用するロック要素34を含んでいる。
【0088】
充填及び/又は排出デバイス13の動作を、即ち調温デバイス31、不活性化デバイス32、ふるい分けデバイス36及びロッキング・デバイス33の動作も含めて制御するために、充填及び/又は排出デバイス13には、1つの専用の制御デバイス35が含まれていてよい。この制御は、検出デバイス29を介して検出される少なくとも1つの検出パラメータに基づいて行われてよい。
【0089】
特定の実施例に関して示される個々の、複数の、又は全ての特徴は、少なくとも1つの別の実施例にも転用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 装置
2 物体
3 装置
4 造形材料
5 エネルギ・ビーム
6 コーティング・デバイス
7 造形平面
8 照射素子
9 照射デバイス
10 ハウジング構造部
11 プロセス・チャンバ
12 機能ユニット
13 充填及び/又は排出デバイス
14 充填領域
15 排出領域
16 充填デバイス
17 搬送デバイス
18 排出デバイス
19 搬送デバイス
20 ハウジング構造部
21 トンネル構造部
22 トンネル部分
23 移動経路
24 搬送デバイス
25 搬送手段
26 接続部分
27 造形プレート/担持プレート
28 制御デバイス
29 検出デバイス
30 重量センサ系
31 調温デバイス
32 不活性化デバイス
33 ロッキング・デバイス
34 ロック要素
35 制御デバイス
36 ふるい分けデバイス
図1
図2
図3