特許第6644876号(P6644876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644876少なくとも1つの反射剤の油性分散体を封入するマイクロカプセルを含む、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644876
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの反射剤の油性分散体を封入するマイクロカプセルを含む、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲル
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/11 20060101AFI20200130BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200130BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20200130BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   A61K8/11
   A61Q19/00
   A61Q1/00
   A61K8/20
   A61Q1/02
   A61K8/31
   A61K8/37
   A61K8/81
   A61K8/73
   A61K8/19
   A61K8/36
【請求項の数】22
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2018-511218(P2018-511218)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2018-529665(P2018-529665A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2015070177
(87)【国際公開番号】WO2017036540
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・リカール
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・ゴールドステイン
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−505317(JP,A)
【文献】 特開昭61−047410(JP,A)
【文献】 特表2012−533611(JP,A)
【文献】 特表2018−532701(JP,A)
【文献】 特表2018−529664(JP,A)
【文献】 特表2018−529669(JP,A)
【文献】 佐藤孝俊,香粧品科学,2001年 9月20日,第4刷,p.78-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲルの形態の組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、
a)1つの水相;および
b)少なくとも1つの親水性ゲル化剤、および
c)以下のものを含む少なくともマイクロカプセル:
− 少なくとも1つの油中の少なくとも1つの反射剤の分散体を少なくとも含む内側コア、および
− 前記コアを取り囲む壁形成性ポリマー材料で形成された少なくとも1つの外側シェルであって、
i)少なくとも1つの壁形成性ポリマーを含み、かつ
ii)任意選択により、少なくとも1つの可塑剤および/または少なくとも1つの不透明な物質および/または少なくとも1つの脂肪酸塩
を含んでいてもよい外側シェルを含み、
前記反射剤が、オキシ塩化ビスマスであり、
前記分散体の前記油が、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、ヒマシ油、またはそれらの任意の組合せから選択される、組成物。
【請求項2】
前記分散体の前記油が、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
反射剤の量が、前記分散体の総重量の、50重量%〜90重量%の範囲である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記反射剤粒子対油の重量比が、1.5/1〜5/1の範囲である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
反射剤の前記油性分散体が、分散体の総重量に対して、28重量%〜32重量%のヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中の、68重量%〜72重量%のオキシ塩化ビスマスを含有する分散体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記外側シェルを形成する前記壁形成性ポリマーが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、セルロースエーテルもしくはエステル、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記壁形成性ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(PMMA/MA)、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、酢酸セルロースから選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記不透明な物質が、TiO、酸化亜鉛、アルミナ、窒化ホウ素、タルク、雲母およびそれらの任意の組合せから選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪酸塩が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記マイクロカプセルが、以下のものを含み、
− 前記マイクロカプセルの総重量に対して、20重量%〜90重量%の範囲内の量の、反射剤の前記油性分散体によって構成される前記内側コア、
− 前記外側シェルの前記壁形成性ポリマーが、総マイクロカプセル重量に対する重量基準で、5%〜30%の範囲内であり;
− 任意選択的に、前記外側シェル中の不透明な物質の量が、前記マイクロカプセルの総重量に対して、1重量%〜50重量%の範囲内であり、および/または
− 任意選択的に、総マイクロカプセル重量に対して、0.05重量%5重量%の範囲内の量の前記脂肪酸塩;および/または
− 任意選択的に、前記可塑剤が、前記マイクロカプセルの総重量に対して、0.5重量%〜約30重量%の範囲内である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記マイクロカプセルが、単層マイクロカプセルである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記マイクロカプセルが、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される前記内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、前記外側シェルが、前記マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量のPMMAを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記マイクロカプセルが、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される前記内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、前記外側シェルが、ステアリン酸マグネシウムを含まず、前記マイクロカプセルの総重量に対して、10重量%〜50重量%の範囲内の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、1%〜10%の範囲内の量のエチルセルロースを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記マイクロカプセルが、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される前記内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、前記外側シェルが、前記マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%の範囲内の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量のポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記マイクロカプセルが、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される前記内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、前記外側シェルが、前記マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%の範囲内の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量のPMMA/MAを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記マイクロカプセルが、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される前記内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、前記外側シェルが、ステアリン酸マグネシウムもTiOも含まず、前記マイクロカプセルの総重量に対して、1重量%〜20重量%の量の可塑剤、および、壁形成性材料として、5重量%〜20重量%の範囲内の量のポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記親水性ゲル化剤が、合成ポリマーゲル化剤、天然または天然由来のポリマーゲル化剤、混合シリケートおよび焼成シリカ、およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの着色剤を含有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
2〜8個の炭素原子を含む少なくとも1つのモノアルコールを含有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの充填剤を含有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの非乳化オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための化粧方法であって、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物の、前記ケラチン物質への塗布を含む化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲルの形態の組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、
a)1つの水相;および
b)少なくとも1つの親水性ゲル化剤、および
c)以下のものを含む少なくともマイクロカプセル:
− 少なくとも1つの油中の、少なくとも1つの反射剤、特にオキシ塩化ビスマスの分散体を少なくとも含む内側コア、および
− 前記コアを取り囲む壁形成性ポリマー材料で形成された少なくとも1つの外側シェルであって、
i)少なくとも1つの壁形成性ポリマーを含み、かつ
ii)任意選択により、少なくとも1つの可塑剤および/または少なくとも1つの不透明な物質および/:または少なくとも1つの脂肪酸塩
を含んでいてもよい外側シェルを含む組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための化粧方法であって、上述される組成物の、前記ケラチン物質、特に皮膚への塗布を含む化粧方法に関する。
【背景技術】
【0003】
消費者は、自然な輝きおよび有利には健康的な輝きにより、ケラチン物質、特に皮膚の外観、特に表面の外観(視覚的および/または触覚的)および/または皮膚の色合い(明るさまたは皮膚に対する光効果を含む)を向上させる新規な化粧品を求めている。
【0004】
「光」または「光効果」とは、本発明によれば、光反射特性、拡散反射を意味し、皮膚上で持続する。実際に、皮膚は、入射光の一部を自然に反射する。本発明に係る「光効果」は、この反射を増加させることができ、それにより、メイクアップがより明るく、より輝いた状態になる。
【0005】
「健康的な輝き」とは、くすんだ顔色が改善された(彩度の低減(desaturating)または色効果およびくすみ防止の実現)自然な皮膚の呈色を意味する。
【0006】
化粧用配合物中のオキシ塩化ビスマス(CI 77163)のような反射剤の使用は、周知であり、特に、(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。
【0007】
粉末または凝集体としてのオキシ塩化ビスマス(CI 77163)のような反射剤の使用は、ファンデーションにおいて、ある感覚(ソフトな感触)をもたらす充填剤として知られている。この化合物はまた、流体、あるいはコンパクトパウダーなどの製品中で、真珠光沢として感知され得る、断続的で非連続的な繻子のような効果(satin effect)をもたらし得る。しかしながら、水分および油を吸収するその能力のため、粉末形態または凝集体のオキシ塩化ビスマスは、白くなり、皮膚に塗布した後の製品の最終的な外観表示および爽やかさ(freshness)などの官能特性に影響を与える傾向がある。さらに、粉末形態は、より明るく、より輝いた状態を得るために、より細かい粒径に粉砕する産業的制約が要求される。
【0008】
最終的な外観表示の白色化および粒径の産業的制約のこれらの問題を修正するために、例えば、公開番号(特許文献3)を有する米国特許出願にあるように、極性油中のオキシ塩化ビスマス分散体のようなオキシ塩化ビスマス(CI 77163)を使用することが提案されている。
【0009】
しかしながら、水性ゲルに使用されるこの油性分散体は、油の存在下でレオロジーおよびゲル状の質感を調節および改変し、明度を低下させ、塗布可能時間のような塗布中および/または塗布後の官能特性、メイクアップの爽やかさ、滑らかさ、べたつかない感触、均一性を改変する傾向を有する。
【0010】
先行技術において、特に、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)の文献において、オキシ塩化ビスマスまたはオキシ塩化ビスマスを含有する真珠層顔料として、マイクロカプセル中の反射剤を使用することが提案されている。
【0011】
化粧用配合物では、視覚効果を提供する化粧活性剤(cosmetically active agent)を、その塗布前にカプセル中に保持することが一般に非常に望ましい。このような剤の封入は、化粧用配合物の長期の視覚効果を維持するため;封入された剤を、配合物中の他の剤との相互作用から保護するため;塗布前に活性剤の視覚効果を遮蔽するため;配合物中の活性剤の安定性を維持するため、および/または塗布時のみに、封入された活性剤を放出するために考えられる。単層マイクロカプセル化による保護/遮蔽の有効性は、マイクロカプセル化された成分の化学構造、分子量および物理的特性に応じて決まる。
【0012】
着色剤および/または顔料および視覚効果を与える他の剤を含む様々な化粧活性剤を封入する微粒子が、当該技術分野において記載されている。
【0013】
(特許文献8)および(特許文献9)には、「活性化可能な」休止(dormant)着色粒子または顔料、ならびにそれらを含み、かつ着色基本相、および前記基本相中に分散された着色剤封入基材粒子をさらに含む化粧用配合物が開示されている。封入された着色剤は、機械的作用が化粧用配合物に加えられたときに基本相中に放出され、基本相の色中に意図した色合いを生じさせることが記載されるが、着色剤封入基材粒子は、放出された着色剤を閉じ込め、基本相の色中にわずかな色合いを生じさせる。封入された顔料は、コアセルベーション法によって作製される。
【0014】
(特許文献10)には、同様の色が持続可能なベース化粧用配合物であって、マイクロカプセル化された材料のざらざらした感触を最小限に抑えるために揮発性溶媒をさらに含む配合物が開示されている。封入された顔料の放出から得られる色は、組成物自体の色と全く同じである。放出により、元のベースカラーの新たな強度が与えられる。
【0015】
(特許文献11)には、着色剤と組み合わされたポリマーで被覆された粒子状充填剤を含む着色された化粧用組成物、および装飾化粧品におけるそれらの用途が開示されている。
【0016】
公開番号(特許文献12)および(特許文献13)を有する米国特許出願には、ポリマーマトリクス、好ましくは、封入された着色剤を長期の使用時でも放出させない架橋ポリマーマトリクス中にマイクロカプセル化された異なる着色剤の飛散防止ブレンドを含む微粒子を含有するパーソナルケアまたは化粧用組成物が開示されている。マトリクスポリマーは、封入された着色剤のブレンドが、化粧用組成物の塗布時に、化粧品自体および皮膚の呈色を提供するように、好ましくは、透明または半透明である。公開番号(特許文献13)を有する米国特許出願に開示される微粒子は、マトリクス全体にわたって分配された二次粒子(すなわち、マトリクスポリマーのものと異なる疎水性ポリマー)をさらに含有する。
【0017】
(特許文献14)には、第1の着色剤、および第1の着色剤と異なる溶媒和された第2の着色剤を含有するマイクロカプセルを含有する装飾化粧用組成物が開示されている。マイクロカプセルが破裂すると、封入された顔料の着色が、組成物中に加えられ、それによって、その色特性を変化させる。
【0018】
(特許文献15)には、少なくとも2つの着色剤のブレンドとそれらを含む組成物とを含有する剛性で破裂不可能なマイクロカプセルであって、皮膚への塗布時にそれらの色を変化させないマイクロカプセルが開示されている。このマイクロカプセルは、80℃より高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含む架橋ポリマーマトリクスの使用のため、破裂不可能である。
【0019】
(特許文献16)には、単層および二層マイクロカプセル、ならびに非塩素化溶媒を用いた溶媒除去方法による物質のマイクロカプセル化のための方法が開示されている。この方法は、元の物理的および/または化学的特性、生物学的活性、およびプロセス中の原料の安全性の変化を引き起こさない物理的プロセスに基づいている。
【0020】
(特許文献17)には、皮膚上での擦り込みまたは押圧などのわずかな機械的作用によって破裂し、それによって、それらの封入された内容物を直ちに放出するように設計された二層および/または三層マイクロカプセルが開示されている。これらのマイクロカプセルは、非塩素化溶媒を用いた溶媒除去方法によって調製される。この方法は、マイクロカプセルに対する物理的安定性、活性剤を閉じ込める高い能力、マイクロカプセル内の活性剤の保護、および水性調製物中の外部の水相への、マイクロカプセル化された活性剤の拡散の防止を提供する。
【0021】
(特許文献18)には、1つまたは複数のマイクロカプセル化された着色剤を含有する二層の破裂可能なマイクロカプセルを含む皮膚/局所適用のための化粧用組成物が開示されている。皮膚に塗布されると、このような組成物は、前記組成物に含まれる活性物質の皮膚への送達を示す、即座の色変化効果を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際公開第2004/041234号パンフレット
【特許文献2】米国特許第7033614号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0269752号
【特許文献4】米国特許出願公開第2010095868号明細書
【特許文献5】米国特許第7622132号明細書
【特許文献6】国際公開第09079135号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第1518903B1号明細書
【特許文献8】米国特許第5,320,835号明細書
【特許文献9】米国特許第5,382,433号明細書
【特許文献10】国際公開第98/5002号パンフレット
【特許文献11】米国特許第5,380,485号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2005/0031558号
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/0276774号
【特許文献14】米国特許第4,756,906号明細書
【特許文献15】国際公開第2004/075679号パンフレット
【特許文献16】米国特許第6,932,984号明細書
【特許文献17】米国特許第7,838,037号明細書
【特許文献18】国際公開第2009/138978号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、上述される欠点を有さない、反射剤をベースとする水性ゲルの形態の新規な組成物を発見する必要性がある。
【0024】
塗布前に、反射剤の視覚効果を効率的に遮蔽し、および/または塗布時のみに、封入された活性剤を放出し得る、適切な封入形態の反射剤を前記組成物に使用する必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本出願人は、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲルであって、生理学的に許容される媒体中に、
a)1つの水相;および
b)少なくとも1つの親水性ゲル化剤、および
c)以下のものを含む少なくともマイクロカプセル:
− 少なくとも1つの油中の、少なくとも1つの反射剤、特にオキシ塩化ビスマスの分散体を少なくとも含む内側コア、および
− 前記コアを取り囲む壁形成性ポリマー材料で形成された少なくとも1つの外側シェルであって、
i)少なくとも1つの壁形成性ポリマーを含み、かつ
ii)任意選択により、少なくとも1つの可塑剤および/または少なくとも1つの不透明な物質および/:または少なくとも1つの脂肪酸塩
を含んでいてもよい外側シェルを含む水性ゲルによって、この目的が達成され得ることを意外にも発見した。
【0026】
本発明に係る水性ゲルは、高い明るさおよび高い爽やかさを与えることを可能にする。
【0027】
後述される本発明のマイクロカプセルは、少なくとも1つの油中の反射剤の分散体を少なくとも含有し、前記分散体を高い充填量(例えば、マイクロカプセルの総重量の50%超、60%およびさらには70%超で封入することを可能にする。前記マイクロカプセルは、製造および貯蔵プロセス中に安定しており、最小限の漏れでまたは漏れなしでカプセル中に反射剤の封入された油性分散体を維持し、弱いせん断力で破裂可能であり、したがって、皮膚へのマイクロカプセルの塗布時に封入された剤の即座の放出を可能にする。これにより提供される得られるマイクロカプセルは、必要に応じて、破裂前に反射剤の光反射の遮蔽効果をさらに提供し得る。
【0028】
この発見は、本発明の基礎である。
【0029】
本発明は、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための水性ゲルの形態の組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、
a)1つの水相;および
b)少なくとも1つの親水性ゲル化剤、および
c)以下のものを含む少なくともマイクロカプセル:
− 少なくとも1つの油中の、少なくとも1つの反射剤、特にオキシ塩化ビスマスの分散体を少なくとも含む内側コア、および
− 前記コアを取り囲む壁形成性ポリマー材料で形成された少なくとも1つの外側シェルであって、
i)少なくとも1つの壁形成性ポリマーを含み、かつ
ii)任意選択により、少なくとも1つの可塑剤および/または少なくとも1つの不透明な物質および/:または少なくとも1つの脂肪酸塩
を含んでいてもよい外側シェルを含む組成物に関する。
【0030】
本発明はまた、ケラチン物質をケアし、および/またはメイクアップするための化粧方法であって、上述される組成物の、前記ケラチン物質、特に皮膚への塗布を含む化粧方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
「生理学的に許容される媒体」は、色、香りおよび好ましい感触を有し、この組成物の使用を消費者に断念させる傾向がある許容できない不快感(ヒリヒリ感、こわばり(tautness)、発赤)を生じない、ケラチン物質と適合する任意の媒体を意味する。
【0032】
本発明に関して、「ケラチン物質」という用語は、皮膚、特に、顔、頬、手、身体、脚、眼の周り、眼瞼および唇のような部位を意味する。
【0033】
「水性ゲル」という用語は、コロイド懸濁液から形成された粘弾性の塊を含有する連続した水相を含む組成物を意味する。本発明のゲルの粘度は、Rheometric Scientific社製のRheomat RM180機械(2または3で運転)を用いて25℃で測定され、その値は、一般に、少なくとも60モバイルUD 2(単位偏差)である。
【0034】
マイクロカプセル
本発明の実施形態によって提供されるマイクロカプセルは、反射剤、特にオキシ塩化ビスマスの少なくとも封入された(包まれた、閉じ込められた)油性分散体を含有する一般に閉じられた構造である粒子(例えば、ほぼ球形の粒子)である。マイクロカプセルは、一般に、コアシェル構造特徴を有し、すなわち、各マイクロカプセルは、ポリマーシェル、およびシェルによって包まれた反射剤の少なくとも1つの油性分散体を含むコアから構成される。
【0035】
マイクロカプセルのシェルは、典型的に、壁形成性材料として適用され、封入された物質の膜として働く。ある実施形態において、外側シェルは、任意選択的に、脂肪酸塩と組み合わせて、シェル中に不透明な物質を含むことによって、いくらかの不透明性、あるいは反射剤の遮蔽効果を示す。
【0036】
外側シェルは、その硬さを制御する可塑剤をさらに含んでもよく、マイクロカプセルが、皮膚上での擦り込みまたは押圧などの際に破裂可能であるように設計される。
【0037】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、マイクロカプセルは、内側コアを包む単一の外側シェルを含む単層マイクロカプセルである。
【0038】
ある他の実施形態において、マイクロカプセルは、内側コアを包むシェルを包むさらなる1つまたは複数の層を含む、二層、または三層、または多層マイクロカプセルである。
【0039】
多層マイクロカプセルは、本明細書に記載されるように、第1の壁形成性材料から構成される第1のシェルによって包まれる、オキシ塩化ビスマスの油性分散体を含むコアを含む内側コアマイクロカプセル、および本明細書に記載される単層マイクロカプセル(反射剤含有内側コア、および第1の壁形成性材料の第1のシェルを含む)を包むものと考えられ得る、前記第1のシェルを包む第2の壁形成性材料から構成される少なくとも1つのさらなるシェルを含むものとして取り上げられる。
【0040】
多層マイクロカプセル中の各シェルは、典型的に、壁形成性材料(例えば、第1、第2、第3などの外側シェルをそれぞれ形成する第1、第2、第3などの壁形成性材料)として独立して適用され、封入された物質の膜として働く。ある実施形態において、これらの実施形態に係る多層マイクロカプセル中の外側シェルの1つまたは複数、またはそれぞれが、その中に含まれる不透明な物質によって任意選択的に不透明であり、および/または本明細書に記載される脂肪酸塩をさらに含有する。
【0041】
本発明の実施形態のマイクロカプセルは、使用の中でも特に、局所、例えば、化粧品、薬用化粧品および医薬品(例えば、皮膚用)用途に含まれるのに好適である。皮膚に塗布されるとき、マイクロカプセルは、皮膚上での擦り込みまたは押圧などのせん断力の付加の際に破裂可能であるが、それらは、塗布前に、配合物自体の中で無傷のままである。マイクロカプセルは、単離/ろ過、乾燥、ふるい分けなどの製造プロセス中、および/または貯蔵中の、シェルの破壊および内容物の認識を避けるのに十分に硬い。
【0042】
ある実施形態において、本明細書に記載されるオキシ塩化ビスマスの油性分散体を封入するマイクロカプセルは、本明細書において後述され、後続の実施例節において例示されるように、溶媒除去方法によって調製される。
【0043】
ある実施形態において、本明細書に記載されるマイクロカプセルの平均サイズは、10μm〜400μm、より好ましくは、50μm〜350μm、より特定的には、50μm〜250μm、有利には、90μm〜250μm、より有利には、100μm〜200μmの範囲内である。
【0044】
本明細書全体を通して、「平均」サイズは、マイクロカプセルの平均サイズを意味する。マイクロカプセルのサイズは、レーザー分布サイズ方法によって、特に、値D[50]およびD[90]を測定することによって測定され得る。
【0045】
D50は、マイクロカプセルの50%を超えないサイズを意味し、D90は、マイクロカプセルの90%を超えないサイズを意味する。
【0046】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、外側シェルは、壁形成性材料に加えて、本明細書に記載される、脂肪酸塩、および不透明な物質を含む。
【0047】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、本明細書に記載されるマイクロカプセルは、X−rite測定において決定される明度値(L)の正シフト(デルタ)によって反映されるように、オキシ塩化ビスマスの油性分散体の発光効果の遮蔽を示す。
【0048】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、本明細書に記載されるマイクロカプセルは、皮膚に塗付されるとき、破裂または破壊可能であり;すなわち、本明細書に記載されるマイクロカプセルは、それを含む配合物中でおよび工業プロセス中に無傷のままであるが、皮膚上で押圧されるかまたは擦り込まれたときに容易に破壊される。局所適用前のマイクロカプセルの非破壊性は、例えば、室温および40℃で5〜10分間にわたって40〜600(または80〜100)rpmでの低いせん断混合に供されるとき、ベースクリームまたはローション中のマイクロカプセルが、それらのサイズおよび形状を維持する能力を(例えば、光学顕微鏡を用いて)監視することによって日常的に評価される。マイクロカプセルサイズの10%未満の変化は、日常的な工業プロセスの際のマイクロカプセルの非破壊性を示す。
【0049】
内側コア:
本明細書に記載されるマイクロカプセル中の内側コアは、少なくとも1つの油中の少なくとも1つの反射剤の分散体を少なくとも含む。
【0050】
a)反射剤
本明細書において使用される際に、「反射剤」は、それが塗布される基材の拡散光反射を増加させる剤を表す。本明細書に記載される反射剤は、典型的に、ケラチン基材、特に皮膚、より特定的に顔の皮膚の光反射を増加させることが意図される。
【0051】
本発明のある実施形態によれば、反射剤は、寸法および配列(例えば層状構造)、ならびに他の物理的および化学的特徴によって特徴付けられる粒子を含むか、またはそのような粒子の形態であってもよく、これは、表面に塗付されるとき、肉眼で確認できる十分な強度を有する入射光の反射を引き起こす。結果として、反射剤は、それが塗布される基材に、輝いて見えることによってそれらの周囲とのコントラストを成す明るさの点を提供する。
【0052】
ある実施形態において、反射剤は、皮膚上に連続した拡散反射を提供し、塗布されるとき、顔の皮膚に光効果または光度を与える。
【0053】
本明細書に記載される「光反射」または「光効果」または「光度」または「発光効果」は、後続の実施例節に記載されるように決定され得る。
【0054】
例示的な反射剤は、オキシ塩化ビスマスである。
【0055】
他の例示的な反射剤としては、限定はされないが、無機真珠層、金属の輝きを有する粒子、雲母および他の無機顔料、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0056】
本発明のこれらの実施形態に関して使用可能な無機顔料としては、限定はされないが、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、フェリックブルー(ferric blue)、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルーおよびクロム水和物が挙げられる。
【0057】
本発明のこれらの実施形態に関して使用可能なさらなる顔料としては、限定はされないが、絹雲母/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカ型、またはBaSO/TiO/FeSO型、シリカ/酸化鉄型の顔料構造、または酸化鉄を含有するシリカ微小球が挙げられる。
【0058】
「真珠層」という用語は、天然由来(例えば、特定の軟体動物によってその殻中で生成される)または合成され、光学干渉を特徴とすることによって色効果を示す虹色または非虹色の粒子を表す。「真珠層」という用語は、本明細書において「真珠層顔料」とも呼ばれる。
【0059】
例示的な真珠層顔料としては、限定はされないが、酸化鉄で被覆されたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆されたチタン雲母、酸化クロムで被覆されたチタン雲母、有機染料で被覆されたチタン雲母およびさらにオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠層顔料が挙げられる。これらはまた、その表面で、金属酸化物および/または有機着色剤の少なくとも2つの連続層が重ねられた雲母粒子であり得る。
【0060】
さらなる例示的な真珠層としては、限定はされないが、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料でまたはオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母が挙げられる。
【0061】
市販されている真珠層としては、例えば、BASF社によって販売されるTimica、FlamencoおよびDuochrome(雲母ベースの)真珠層、Merck社によって販売されるTimiron真珠層、Eckart社によって販売されるPrestige雲母ベースの真珠層、天然雲母をベースとする以下の真珠層:Sun Chemical社製のSunpearl、Kobo社製のKTZおよびSun Chemical社製のSunprizma、Sun Chemical社によって販売される合成雲母をベースとするSunshineおよびSunprizma真珠層、ならびにMERCK社によって販売される合成雲母をベースとするTimiron Synwhite真珠層が挙げられる。
【0062】
より具体的な例としては、特に、Brilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)およびMonarch gold 233X(Cloisonne)の名称でBASF社によって販売される金色の真珠層;特に、Bronze fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)の名称でMerck社によって、およびSuper bronze(Cloisonne)の名称でBASF社によって販売される青銅色の真珠層;特に、Orange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)の名称でBASF社によって、およびPassion orange(Colorona)およびMatte orange(17449)(Microna)の名称でMerck社によって販売されるオレンジ色の真珠層;特に、Nuantique copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)の名称でBASF社によって販売される茶色がかった真珠層;特に、Copper 340A(Timica)の名称でBASF社によって販売される銅色を帯びた真珠層;特に、Sienna fine(17386)(Colorona)の名称でMerck社によって販売される赤色を帯びた真珠層;特に、Yellow(4502)(Chromalite)の名称でBASF社によって販売される黄色を帯びた真珠層;特に、Sunstone G012(Gemtone)の名称でBASF社によって販売される金色を帯びた赤色がかった真珠層;特に、Tan opale G005(Gemtone)の名称でBASF社によって販売されるピンク色の真珠層;特に、Nu antique bronze 240 AB(Timica)の名称でBASF社によって販売される金色を帯びた黒色の真珠層;特に、Matte blue(17433)(Microna)の名称でMerck社によって販売される青色の真珠層;特に、Xirona Silverの名称でMerck社によって販売される銀色を帯びた白色の真珠層;および特に、Indian summer(Xirona)の名称でMerck社によって販売される金緑色で、ピンク色とオレンジ色を帯びた真珠層、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
本発明の実施形態に関して使用可能な金属の輝きを有する例示的な粒子としては、限定はされないが、少なくとも1つの金属の粒子および/または少なくとも1つの金属誘導体の粒子、少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの金属酸化物、金属ハロゲン化物または金属硫化物を含む金属の輝きを有する少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、単一材料または複数材料の有機または無機基材を含む粒子、および前記粒子の混合物が挙げられる。
【0064】
このような粒子中に存在し得る例示的な金属としては、限定はされないが、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、TeおよびSe、およびそれらの混合物または合金、好ましくは、Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、MoおよびCrおよびそれらの混合物または合金が挙げられる。
【0065】
金属の輝きを有する例示的な粒子としては、限定はされないが、アルミニウム粒子、例えば、Siberline社によってStarbrite 1200 EAC(登録商標)の名称で、およびEckart社によってMetalure(登録商標)の名称で販売されるもの;銅または合金混合物の金属粉末で作製された粒子、例えば、Radium Bronze社によって販売される整理番号2844、金属顔料、例えば、アルミニウムまたは青銅、例えば、Eckart社からRotosafe 700の名称で販売されるもの、Eckart社からVisionaire Bright Silverの名称で販売されるシリカ被覆アルミニウム粒子、および金属合金粒子、例えば、Eckart社からVisionaire Bright Natural Goldの名称で販売されるシリカ被覆青銅(銅および亜鉛の合金)粉末が挙げられる。
【0066】
他の粒子は、ガラス基材、例えば、Microglass Metashineの名称でNippon Sheet Glass社によって販売されるもの、Merck社製のXirona、Merck社製のRonastar、BASF社製のReflecksおよびBASF社製のMirageを含むものである。
【0067】
さらなる例示的な反射剤としては、角度依存性(goniochromatic)着色剤、例えば、多層干渉構造および液晶着色剤が挙げられる。
【0068】
他の反射剤は、当業者によって容易に認識されるであろう。
【0069】
本発明の好ましい実施形態によれば、反射剤は、オキシ塩化ビスマスである。
【0070】
b)分散体中で使用される油
本発明によれば、「油」という用語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である、水と非混和性の非水性化合物を意味する。
【0071】
好ましい実施形態によれば、油は、極性油である。
【0072】
本明細書において使用される際に「極性油」という用語は、25℃で、16を超える、分散力相互作用に特徴的な溶解度パラメータδ、および厳密に0を超える、極性相互作用に特徴的な溶解度パラメータδを有する任意の油を指す。溶解度パラメータδおよびδは、Hansen分類にしたがって定義される。例えば、これらの極性油は、エステル、トリグリセリドおよびエーテルから選択され得る。
【0073】
Hansen三次元溶解空間における溶解度パラメータの定義および計算は、C.M.Hansenによる論文:“The three dimensional solubility parameters”,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0074】
このHansen空間によれば:
− δは、分子の影響の際に誘発される双極子の形成に由来するLondon分散力を特徴付け;
− δは、永久双極子間のDebye相互作用力およびさらに誘起双極子と永久双極子との間のKeesom相互作用力を特徴付け;
− δは、特異的な相互作用力(水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプタなど)を特徴付け;
− δは、等式:δ=(δ+δ1/2によって決定される。
【0075】
パラメータδ、δ、δおよびδは、(J/cm1/2で表される。
【0076】
極性油は、好ましくは、δ>6を有する油から選択される。
【0077】
これらの極性油は、植物、鉱物または合成由来のものであり得る。
【0078】
極性油は、好ましくは、不揮発性極性炭化水素系油から選択されるであろう。
【0079】
「極性炭化水素系油」という用語は、炭素および水素原子、および任意選択的に、酸素および窒素原子から本質的に形成されるか、あるいはそれらによって構成され、かつケイ素またはフッ素原子を含有しない極性油を意味する。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含有し得る。
【0080】
「不揮発性油」という用語は、少なくとも数時間にわたって室温および大気圧で皮膚またはケラチン繊維上に留まり、特に、10−3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0081】
不揮発性極性炭化水素系油は、以下の油から特に選択され得る:
− 炭化水素系極性油、例えば、特にその脂肪酸がC〜C36、特にC18〜C36の範囲の鎖長を有し得る、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、これらの油は、場合により、直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和であり;これらの油は、特に、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ごま油(820.6g/mol)、トウモロコシ油、杏仁油、ヒマシ油、シア脂油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロー油(marrow oil)、クロフサスグリ油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイナッツ油、トケイソウ油またはジャコウバラ油;あるいはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって販売されるもの、またはDynamit Nobel社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)の名称で販売されるものであり得;
− 10〜40個の炭素原子を含有する合成エーテル、例えば、ジカプリリルエーテル;
− 式RCOOR’(式中、RCOOが、2〜40個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R’が、1〜40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表す)の炭化水素系エステル、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸またはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタノエート、および特にヘプタン酸イソステアリル、アルコールまたは多価アルコールオクタノエート、デカノエートまたはリシノレエート(ricinoleate)、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4−ジヘプタン酸およびパルミチン酸2−エチルヘキシル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2−ジエチルへキサン酸プロピレングリコール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリルおよびネオペンタン酸2−オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルおよびイソノナン酸オクチル、エルカ酸オレイル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ステアリン酸イソセチル、ネオペンタン酸イソデシル、ベヘン酸イソステアリル、およびミリスチン酸ミリスチル;
− 12〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノールおよびオレイルアルコール;
− 高級C12〜C22脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸、およびそれらの混合物;
− 12〜26個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えば、オレイン酸;
− 2つのアルキル鎖が場合により同一または異なる炭酸ジアルキル、例えば、CognisによってCetiol CC(登録商標)の名称で販売される炭酸ジカプリリル;および
− 芳香族エステル、例えば、トリメリット酸トリデシル、安息香酸C12〜C15アルコール、安息香酸2−フェニルエチル、およびサリチル酸ブチルオクチル、
− 水酸化エステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセロール−2、
− C24〜C28分枝鎖状脂肪酸または脂肪アルコールのエステル、例えば、特許出願欧州特許出願公開第0 955 039号明細書に記載されているもの、および特に、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリス(2−デシル)テトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2またはテトラキス(2−デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル、
− 二量体ジオールとモノカルボン酸またはジカルボン酸とのエステルおよびポリエステル、例えば、二量体ジオールと脂肪酸とのエステル、および二量体ジオールと二量体ジカルボン酸とのエステル、例えば、Nippon Fine Chemical社によって販売され、特許出願米国特許出願公開第2004−175 338号明細書(その内容が参照により本出願に援用される)に記載されているLusplan DD−DA5(登録商標)およびLusplan DD−DA7(登録商標)、
− およびそれらの混合物。
【0082】
好ましい実施形態において、油は、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、(またはヒドロキシステアリン酸オクチル)、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、ヒマシ油、またはそれらの任意の組合せから選択され、より特定的には、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、(またはヒドロキシステアリン酸オクチル)である。
【0083】
マイクロカプセルの内側コアを作製するのに使用される反射剤の油性分散体の好ましい実施形態において、分散体中の反射剤の量は、分散体の総重量の、50重量%〜90重量%、より好ましくは、60重量%〜80重量%、より特定的には、65重量%〜75重量%の範囲である。したがって、油の量は、それぞれ分散体の総重量に対して、10重量%〜50重量%、より好ましくは、20重量%〜40重量%、より特定的には、25重量%〜35重量%の範囲である。
【0084】
好ましい実施形態において、反射剤粒子対油の重量比は、1.5/1〜5/1、より好ましくは、1.5/1〜3/1、特に、2/1〜4/1、より特定的には、2/1〜3/1の範囲である。
【0085】
本発明の特定の形態によれば、反射剤の油性分散体分散体は、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル中のオキシ塩化ビスマスの分散体、より特定的には、分散体の総重量に対して、28重量%〜32重量%のヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中の68重量%〜72重量%のオキシ塩化ビスマスを含有する分散体である。
【0086】
このような分散体は、特に、MERCK社によって商品名Biron Liquid Silver(登録商標)またはTimiron(登録商標)Liquid Silverで販売される。
【0087】
本発明の好ましい実施形態によれば、反射剤の油性分散体によって構成されるマイクロカプセルの内側コアの量は、マイクロカプセルの総重量に対して、20重量%〜90重量%%、より好ましくは、30重量%〜90重量%%、特に、40重量%〜90重量%、より特定的には、50重量%〜90重量%、より良好には、60重量%〜90重量%、より有利には、70重量%〜90重量%%、より有利には、70重量%〜80重量%、より特に有利には、60重量%〜80重量%の範囲内である。
【0088】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、マイクロカプセルは、1つのみのタイプの反射剤または2つ以上の反射剤の混合物を含有し、個々に封入されるか、および/または反射剤の1つまたは複数のブレンドが、マイクロカプセルの内側コア中に封入され得る。当業者は、皮膚に対する所望の効果を生じさせるように反射剤および反射剤の組合せを選択する方法を認識するであろう。
【0089】
壁形成性材料
a)壁形成性ポリマー
壁形成性材料は、本発明の実施形態のマイクロカプセルの外側シェルを形成し、封入された物質(反射剤)の膜として働く。本発明の実施形態によれば、外側シェルを形成する壁形成性材料は、壁形成性ポリマーまたはコポリマーを含む。本発明の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、外側シェルの1つまたは複数が、少なくとも1つの不透明な物質および/または少なくとも1つの脂肪酸塩をさらに含み、任意選択的に、少なくとも1つの可塑剤をさらに含み得る。
【0090】
本明細書において「壁形成性ポリマー材料」とも呼ばれる「壁形成性ポリマー」という語句は、本明細書において定義されるように、ポリマー材料(例えば、ポリマーまたはコポリマー)または2つ以上の異なるポリマー材料の組合せを指し、これは、単層マイクロカプセルの外壁もしくは層もしくはシェル、または、多層マイクロカプセルの場合、さらに内側コアと外(最外)層との間の1つまたは複数の中間シェルの成分を形成する。単層マイクロカプセルに関して、「ポリマーシェル」という用語は、内側コアを包む、壁形成性ポリマーから構成されるポリマー層を指す。多層マイクロカプセルに関して、「ポリマーシェル」という用語は、内側コアを包む、または先にあるポリマー層を包む、ポリマー層のいずれかを指す。
【0091】
ある実施形態において、壁形成性ポリマーは、工業プロセスにおいて配合されながら加えられるせん断力を維持するが、それにもかかわらず、皮膚に塗布される(例えば、擦り込まれるかまたは押圧される)とき破裂可能なマイクロカプセルを提供するように選択される。
【0092】
ある実施形態において、壁形成性ポリマー材料は、水素結合を形成することが可能な十分な量の官能基を含有するポリマーを含む。
【0093】
ある実施形態において、1つまたは複数の外側シェルを形成するポリマー材料は、独立して、総ポリマー重量の4〜40重量パーセントを特徴とする水素結合形成官能基を含む。水素結合形成官能基としては、限定はされないが、酸素、硫黄および/または窒素などの1つまたは複数の電子供与原子を含む官能基が挙げられる。
【0094】
ある実施形態において、水素結合形成基としては、カルボン酸、カルボキシレート、ヒドロキシ、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0095】
ある実施形態において、外側シェルを形成する壁形成性ポリマー材料の1つまたは複数、またはそれぞれが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、セルロースエーテルまたはエステル、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0096】
例示的な壁形成性ポリマー材料としては、限定はされないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(例えば、1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウム−エチルメタクリレートクロリド)(例えば、1/2/0.1)(Eudragit(登録商標)RSPOとしても知られている)、ポリ(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−co−(メチルメタクリレート)(例えば、1/2/1)、ポリ(スチレン)−co−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミドのコポリマー、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、PLA(ポリ(乳酸)、PGA(ポリ(グリコリド)、PLGA(ポリ(ラクチド)−co−ポリ(グリコリド)またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0097】
本明細書に記載されるポリマーおよびコポリマーの任意の組合せが、本明細書に記載される壁形成性材料のために考えられる。
【0098】
ある実施形態において、外側シェルの壁形成性ポリマー材料は、セルロースエーテルまたはエステル、例えば、限定はされないが、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロースおよび酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。セルロースエーテルまたはエステルが、ポリマー材料に使用される場合、それは、好ましくは、水素結合を形成するために空いている4〜20%のヒドロキシル基(例えば、アルキル化またはアシル化されていないヒドロキシル基)を含有する。
【0099】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、外側シェルの壁形成性材料は、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、例えば、例えば、Eudragit(登録商標)RSPOを含む。本発明の他の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、外側シェルの壁形成性材料は、上記のポリマーの組合せ、例えば、限定はされないが、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RSPO)と、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)または酢酸セルロースのいずれかとの組合せを含む。
【0100】
2つのポリマー材料が、壁形成性材料として使用される場合、その間の重量比は、10/1〜1/1の範囲であり得、例えば、5/1、4/1、3/1、2/1、または3/2の範囲であり得る。
【0101】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、壁形成性材料は、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)であるかまたはそれを含む。
【0102】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、壁形成性材料は、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(PMMA/MA)であるかまたはそれを含む。
【0103】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、壁形成性材料は、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RSPO)であるかまたはそれを含む。
【0104】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、壁形成性材料は、酢酸セルロースであるかまたはそれを含む。
【0105】
総マイクロカプセル重量に対する外側シェルの壁形成性ポリマーの量(重量/重量)は、5重量%〜30重量%、より好ましくは、約5重量%〜20重量%、特に、約5重量%〜約15重量%、より特定的には、約5重量%〜約10重量%の範囲内であり得る。
【0106】
ある実施形態において、壁形成性材料が、酢酸セルロースなどのセルロースエステルである場合、外側シェルは、本明細書に記載される脂肪酸塩を含まなくてもよい。あるこのような実施形態において、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して、10重量%超の量、例えば、20重量%〜40重量%、より好ましくは、30重量%〜40重量%の範囲の量で、TiOなどの不透明な物質を含む。
【0107】
壁形成性材料が酢酸セルロースである場合の実施形態において、酢酸セルロースの量は、例えば、組成物の総重量に対して、5重量%〜10重量%、より好ましくは、5重量%〜8重量%、特に、5重量%であり得る。
【0108】
多層マイクロカプセルに関連する実施形態において、本明細書に記載されるマイクロカプセルにおける外側シェルのそれぞれにおける壁形成性材料(例えば、内側コアの第1の壁形成性材料、内側コアを包む第1の外側シェルの第2の壁形成性材料、および任意選択的に、第1の外側シェルを包む第2の外側シェルの第3の壁形成性材料など)は、同じかまたは異なり得る。
【0109】
b)不透明な物質:
本明細書に記載される単層マイクロカプセルの外側シェルは、不透明、半不透明または非不透明(透明)であり得る。ある実施形態において、外側シェルは、不透明であり、したがって、反射剤によって与えられる光反射を遮蔽する。
【0110】
ある実施形態において、本明細書に記載される多層マイクロカプセルの外側シェルの1つまたは複数が、不透明、半不透明または非不透明(透明)であり得る。ある実施形態において、外側シェル(例えば、最外シェル)の1つまたは複数が、不透明であり、したがって、反射剤によって与えられる光反射を遮蔽する。
【0111】
本発明のある実施形態において、マイクロカプセルの外側シェルの不透明性は、不透明な物質を含むことによって得られる。
【0112】
本明細書において使用される際に、「不透明な物質」は、不透明であり、かつそれを通る光の少なくとも70%を遮断する物質である。
【0113】
したがって、不透明な外側シェルは、70%〜100%の光を遮断する。半不透明な外側シェルは、50%までの光を遮断する。非不透明なまたは透明な外側シェルは、それを通る光の30%以下を遮断する。
【0114】
「不透明性」および「不透明な」という用語は、本明細書において、例えば、日光などの紫外・可視光を指す。
【0115】
例示的な不透明な物質としては、限定はされないが、TiO、酸化亜鉛、アルミナ、窒化ホウ素、タルク、雲母およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0116】
外側シェルにおける不透明な物質の総量は、マイクロカプセルの総重量に対して、1重量%〜50重量%、より好ましくは、1重量%〜40重量%、より特定的には、10重量%〜40重量%の範囲内である。
【0117】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、不透明な物質は、TiOであるかまたはそれを含み、ある実施形態において、TiOの量は、マイクロカプセルの総重量の、1重量%〜約30重量%、好ましくは、10重量%〜40重量%の範囲内である。
【0118】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、不透明な物質は、TiOであるかまたはそれを含み、ある実施形態において、TiOの量は、マイクロカプセルの総重量に対して約10重量%である。
【0119】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、不透明な物質は、TiOであるかまたはそれを含み、ある実施形態において、TiOの量は、マイクロカプセルの総重量に対して約35重量%である。
【0120】
ある実施形態において、外側シェルは、本明細書に記載される不透明な物質を含まない。
【0121】
c)脂肪酸塩:
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、外側シェルは、任意選択的に、それぞれの実施形態のいずれか1つにおける本明細書に記載される不透明な物質を含み、および/またはその代わりに、またはそれに加えて、それぞれの実施形態のいずれか1つにおける本明細書に記載される脂肪酸塩をさらに含む。
【0122】
脂肪酸塩は、長い疎水性炭化水素鎖(例えば、4〜30個の炭素原子の長さを有する)カルボキシレートアニオン(脂肪酸アシル)および以下の式:
(R−C(=O)−O−)(n+)
(式中、Rが、4〜30個の炭素原子の置換または非置換、直鎖状または分枝鎖状炭化水素鎖であり、Mが、カチオン、好ましくは、金属カチオンであり、nが、カチオンと相互作用する脂肪酸アシルの数を表す整数であり、カチオンの電荷数(例えば、1、2、3など)も表す)に示されるカチオンを含む。
【0123】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかに使用可能な脂肪酸塩は、1〜3つの脂肪酸アシル鎖を含有してもよく、各鎖は、独立して、4〜30個または8〜24個の炭素原子(C8〜C24)の長さを含む。したがって、脂肪酸塩は、一価、二価もしくは三価金属イオンの塩または有機カチオンの塩であり得る。
【0124】
一価金属イオンは、例えば、Na、K、Cs、Liであり得;二価金属イオンは、Mg2+、Ca2+、Fe(II)、Co2+、Ni2+、Cu2+、Mn2+、Cd2+、Sr2+またはZn2+から選択され;三価金属イオンは、例えば、Fe(III)、La3+、Eu3+またはGd3+であり得;有機カチオンは、例えば、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウムまたはアルソニウムであり得る。
【0125】
脂肪酸アシルは、限定はされないが、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレライド酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸およびエルカ酸などの脂肪酸に由来し得る。他の脂肪酸も考えられる。
【0126】
例示的な脂肪酸塩としては、限定はされないが、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リノール酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、アラキドン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、リノール酸マグネシウム、アラキドン酸カルシウム、ミリストオレイン酸カルシウム、リノール酸ナトリウム、リノール酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ラウリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、およびミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0127】
好ましい実施形態において、脂肪酸塩は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0128】
脂肪酸塩は、通常、総マイクロカプセル重量に対して、0.05重量%〜5重量%、より好ましくは、0.1重量%〜4.5重量%、特に、0.2重量%〜4重量%、より特定的には、0.5%〜4%、有利には、0.5重量%〜3.0重量%、より有利には、0.75重量%〜3.0重量%、特により有利には、1.0重量%〜3.0重量%、より良好には、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量であり、特に、1.0重量%である。
【0129】
何らかの特定の理論に制約されるものではないが、脂肪酸塩のカチオンが、不透明な物質の粒子および任意選択的に壁形成性ポリマーの遊離カルボン酸および/またはヒドロキシル基を引き付け、内側コアへの不透明な物質およびポリマー材料の両方のより良好な付着をもたらし、それによって、内側コア中に存在するオキシ塩化ビスマスの油性分散体の効率的な遮蔽を提供することが想定される。
【0130】
脂肪酸塩は、不透明な物質とともにまたはそれを伴わずに、封入された材料、および壁形成性ポリマーと一緒に、有機相に加えられながら、単層マイクロカプセルの調製に使用され得る。有機相が水相と接触すると、脂肪鎖は、自然に、封入された物質を包み込み、それらの極性/イオン性頭部基が、反対に荷電した不透明な物質ならびにポリマーにおける反対に荷電した基と相互作用し、それによって、封入された材料を含むコアを取り囲む不透明なポリマーエンベロープの形成を促す。
【0131】
d)可塑剤:
本発明の実施形態のいずれかのある実施形態において、マイクロカプセルの外側シェルは、可塑剤をさらに含む。
【0132】
本明細書および当該技術分野において、「可塑剤」は、組成物の可塑性または流動性を増加させる物質を表す。本発明の実施形態に関して、可塑剤が、マイクロカプセルの外側シェルの物理的特性および弾性のレベルを制御するために、壁形成性材料に加えられる。
【0133】
例示的な可塑剤としては、限定はされないが、クエン酸トリエチル、トリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、アセチルクエン酸トリエチル、パラフィン油、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。例示的実施形態において、可塑剤は、クエン酸トリエチルである。
【0134】
可塑剤の量は、マイクロカプセルの総重量に対して、0.5重量%〜約30重量%、好ましくは、0.5重量%〜20重量%、より好ましくは、1.0重量%〜20重量%、特に、5重量%〜15重量%、より特定的には、5重量%〜10重量%の範囲内であり得、有利には、10重量%である。
【0135】
マイクロカプセルの例示的な組成物:
本発明の最も好ましい実施形態において、本明細書に記載されるマイクロカプセルは、内側コアとして、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、内側コアの量は、マイクロカプセルの総重量に対して、少なくとも50重量%、より好ましくは、60〜80重量%(例えば、60%、または70%、または79%、または80%)である。
【0136】
特に、マイクロカプセルは、単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、および5重量%〜15重量%の範囲内の量のTiOを含む。
【0137】
これらの実施形態のいくつかにおいて、壁形成性ポリマーの量は、マイクロカプセルの総重量に対して5重量%〜15重量%の範囲である。
【0138】
これらの実施形態のいくつかにおいて、壁形成性ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)またはメチルメタクリル酸とアクリル酸とのコポリマーまたはアクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマーから選択される。
【0139】
本発明のある例示的実施形態において、マイクロカプセルは、単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して30重量%〜40重量%の範囲内の量のTiOを含み、脂肪酸塩を含まない。これらの実施形態のいくつかにおいて、壁形成性ポリマーは、酢酸セルロースなどのセルロースエステルである。
【0140】
ある例示的実施形態において、本明細書に記載されるマイクロカプセルは、単層マイクロカプセルであり、マイクロカプセルの総重量に対して、約60〜80重量%の量の本明細書に記載される反射剤、5〜10重量%の量の壁形成性ポリマーまたはコポリマー、0〜1重量%の量のステアリン酸マグネシウム、および0〜35重量%の量のTiOを含む。
【0141】
本発明の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、単層マイクロカプセルである。
【0142】
本発明の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%、より好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲内の量、より特定的には、10重量%の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量のPMMAを含む。例示的なこのような組成物は、以下の実施例1に示される。マイクロカプセルを調製するのに使用される原料(オキシ塩化ビスマスの油性分散体)の量は、マイクロカプセルの総重量の79重量%である。
【0143】
本発明の別の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、ステアリン酸マグネシウムを含まず、マイクロカプセルの総重量に対して、10重量%〜50重量%、より好ましくは、10%〜40%、より特定的には、20重量%〜40重量%、有利には、30重量%〜40重量%の範囲内の量、より有利には、25重量%の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、1重量%〜10重量%の範囲内の量、より好ましくは、5重量%の量のエチルセルロースを含む。例示的なこのような組成物は、以下の実施例2に示される。マイクロカプセルを調製するのに使用される原料(反射剤の油性分散体)の量は、マイクロカプセルの総重量の60重量%である。
【0144】
本発明の別の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量のEUDRAGIT(登録商標)RS PO(ポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)を含む。例示的なこのような組成物は、以下の実施例3に示される。マイクロカプセルを調製するのに使用される原料(オキシ塩化ビスマスの油性分散体)の量は、マイクロカプセルの総重量に対して79重量%である。
【0145】
本発明の別の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、マイクロカプセルの総重量に対して、1.0重量%〜2.0重量%の範囲内の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜20重量%、より好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲内の量、より特定的には、10重量%の量のTiO、および、壁形成性ポリマーとして、5重量%〜20重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量のPMMA/MAを含む。例示的なこのような組成物は、以下の実施例4に示される。マイクロカプセルを調製するのに使用される原料(オキシ塩化ビスマスの油性分散体)の量は、マイクロカプセルの総重量の79重量%である。
【0146】
本発明の別の好ましい実施形態において、マイクロカプセルは、60〜80重量%の量でヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に分散されたオキシ塩化ビスマスによって構成される内側コアを含む単層マイクロカプセルであり、外側シェルは、ステアリン酸マグネシウムもTiOも含まず、マイクロカプセルの総重量に対して、1重量%〜20重量%、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量の可塑剤、および、壁形成性材料として、5重量%〜20重量%の範囲内の量、より好ましくは、10重量%の量のEUDRAGIT(登録商標)RS PO(ポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)を含む。例示的なこのような組成物は、以下の実施例5に示される。マイクロカプセルを調製するのに使用される原料(オキシ塩化ビスマスの油性分散体)の量は、マイクロカプセルの総重量の80重量%である。
【0147】
マイクロカプセルの調製方法:
本発明の実施形態に係るマイクロカプセルの調製に使用される方法は、例えば、米国特許第6,932,984号明細書および同第7,838,037号明細書および国際公開第2012/156965号パンフレット(これらは、本明細書に完全に記載されているかのように参照により援用される)に開示されるマイクロカプセル化溶媒除去方法を修正したものである。この技術によれば、活性成分は、マイクロカプセルのコア中に見られる。この技術は、製造中、および長期間の貯蔵中の、化学および架橋反応、分解、色変化または有効性の低下からマイクロキャップされた(micro−capped)各成分を遮断する。
【0148】
溶媒除去方法は、以下のように4つの主な工程に基づいている:
(i)反射剤の封入された油性分散体、および壁形成性ポリマー材料、および任意選択的に、不透明な物質および/または脂肪酸塩、および水に部分的に混和性の有機溶媒を含む均一な有機溶液を調製する工程;
(ii)乳化剤を含有し、有機溶液の同じ有機溶媒で飽和され、任意選択的に、不透明な物質を含む水性連続相のエマルジョンを調製する工程;
(iii)均一な有機溶液を、高せん断撹拌下で水性エマルジョンと混合し、それによって、エマルジョンを形成する工程;および
(iv)工程(iii)において形成されたエマルジョンに、エマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始させる量の水を加えることによって有機溶媒を抽出し、それによって、マイクロカプセルを得る工程。
【0149】
多層(例えば、二層および三層)マイクロカプセルの場合、マイクロカプセルは、まず、工程(i)〜(iv)にしたがって形成された単層マイクロカプセルの表面を修飾し、次に、内側コアマイクロカプセルが、壁形成性材料と一緒に有機溶液中に分散されるとき、表面修飾された内側コアマイクロカプセルを、工程(i)〜(iv)の1つまたは複数のサイクルに供することによって形成される。
【0150】
ある実施形態において、本発明の実施形態に係るマイクロカプセルは、以下の工程を含む修正された溶媒除去方法によって調製され得る:
(a)反射剤の油性分散体、および壁形成性ポリマーまたはコポリマー、任意選択的に、脂肪酸塩、および任意選択的に、不透明な物質および/または可塑剤、および第1の水に部分的に混和性の有機溶媒を含む有機相を、前記有機溶媒で飽和され、乳化剤を含む水溶液と接触させ、それによって、エマルジョンを得る工程;および
(b)形成されたエマルジョンに、エマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始させる量の水を加え、それによって、マイクロカプセルを得る工程。
【0151】
さらなる工程において、マイクロカプセルは、工程(b)にしたがって単離され、乾燥され、ふるい分けされ、それによって、マイクロカプセルの自由流動性の粉末が得られる。
【0152】
これらの工程は、以下のようにさらに詳述される:
工程(a)において調製される均一な溶液は、水に部分的に混和性であり、かつ壁形成性ポリマーを溶解または分散させることが可能である有機溶媒中で、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれか1つに記載される壁形成性ポリマー材料の有機溶液または分散体を調製することによって得られる。例示的実施形態において、有機溶媒は、局所適用のための承認された有機溶媒、例えば、限定はされないが、酢酸エチル、エタノール、ギ酸エチル、またはそれらの任意の組合せである。ある実施形態において、有機溶媒は、酢酸エチルである。
【0153】
脂肪酸塩は、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれか1つに記載されるとおりである。不透明な物質は、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれか1つに記載されるとおりである。好ましい実施形態において、不透明な物質はTiOである。
【0154】
可塑剤が使用される場合、それは、通常、トリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、パラフィン油、またはそれらの任意の組合せから選択される。有機溶液の成分は、均一になるまで混合/撹拌され、任意選択的に、透明な、溶液または分散体が得られる。
【0155】
水性連続相は、有機溶液を形成する有機溶媒で飽和され、典型的に、乳化剤、および任意選択的に、不透明な物質(マイクロカプセルに含まれ、有機相に含まれない場合)を含む。
【0156】
有機溶液または分散体および水性連続相は、低せん断撹拌下で混合され、それによって、エマルジョンが形成される。
【0157】
工程(b)において、所定の量の水を、(a)において調製されたエマルジョンに加え、それによって、有機溶媒を抽出し、マイクロカプセルを形成させる。本発明の実施形態に関して、「低せん断撹拌」という用語は、約100〜800rpm、好ましくは、約300〜600rpmでの混合を指す。
【0158】
ある実施形態において、マイクロカプセルが、多層マイクロカプセルである場合、本方法は、(c)任意選択的に、第2、第3などの有機相および水性連続相を用いて、工程(a)および(b)を繰り返して、それによって、多層マイクロカプセルを得る工程をさらに含む。
【0159】
親水性ゲル化剤
「親水性ゲル化剤」という用語は、本発明の意味の範囲内で、本発明に係る組成物の水相をゲル化することが可能な化合物。
【0160】
ゲル化剤は、親水性であり、したがって、組成物の水相中に存在する。
【0161】
ゲル化剤は、水溶性または水分散性であり得る。
【0162】
上述されるように、本発明に係る組成物の水相は、少なくとも1つの親水性ゲル化剤でゲル化される。
【0163】
親水性ゲル化剤は、合成ポリマーゲル化剤、天然または天然由来のポリマーゲル化剤、混合シリケートおよび焼成シリカ、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0164】
これらの親水性ゲル化剤は、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性であり得る。
【0165】
好ましくは、親水性ゲル化剤は、合成ポリマーゲル化剤から選択され得る。本発明に係ると見なされる合成ポリマー親水性ゲル化剤は、粒子状であってもまたは粒子状でなくてもよい。
【0166】
本発明の意味の範囲内で、この用語は、粒子状ポリマーが、粒子の形態、好ましくは、球形であることを意味する。
【0167】
天然または天然由来のポリマーゲル化剤
本発明に好適なポリマー親水性ゲル化剤は、天然または天然由来のものであり得る。
【0168】
本発明の意味の範囲内で、「天然」という用語は、天然ポリマーゲル化剤の修飾によって得られるポリマーゲル化剤を意味する。
【0169】
これらのゲル化剤は、粒子状または非粒子状であり得る。
【0170】
具体的には、これらのゲル化剤は、多糖のカテゴリーに入る。
【0171】
一般に、多糖は、いくつかのカテゴリーに分類され得る。
【0172】
そして、本発明に好適な多糖は、ホモ多糖、例えば、グルカン、マンナンおよびガラクタン、またはヘミセルロースの形態のヘテロ多糖であり得る。
【0173】
同様に、それは、アラビアガムおよびアミロペクチンの形態の直鎖状または分枝鎖状多糖、およびでんぷんの複合形態であり得る。
【0174】
特に、本発明に好適な多糖は、それらがでんぷんであるか否かに応じて区別され得る。
【0175】
A.でんぷん多糖
このカテゴリーの代表例として、特に、天然でんぷん、加工でんぷんおよび粒子状でんぷんが挙げられる。
【0176】
天然でんぷん
本発明に使用されるでんぷんは、より特定的には、化学式(C10の、α(1,4)結合によって結合される無水グルコース単位(デキストロース)である基本単位からなるポリマーの高分子形態である。これらの単位およびそれらのアセンブリの数は、直鎖状に連鎖した約600〜1,000個のグルコース分子から形成されたアミロース分子、およびおよそ25個のグルコース残基ごとに分岐したアミロペクチンポリマー(α結合(1.6)を区別する。全鎖は、10000〜100000個のグルコース残基であり得る。
【0177】
でんぷんは、特に、“Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical TECHNOLOGY,3rd edition,volume 21,pages 492−507,Wiley Interscience,1983’に記載されている。
【0178】
アミロースおよびアミロペクチンの相対的比率ならびにそれらの重合度は、でんぷんの植物起源に応じて変化する。平均して、天然でんぷんの試料は、約25%のアミロースおよび75%のアミロペクチンを含む。
【0179】
場合により、フィトグリコーゲン(でんぷんの0%〜20%)の存在があり、これは、10〜15個のグルコース残基ごとに分岐したアミロペクチンの類似体である。
【0180】
でんぷんは、半結晶性顆粒の形態であり得る:アミロペクチンは、シート状に組織化され、アミロースは、異なる層間にあまり組織化されていない非晶質領域を形成する。
【0181】
アミロイドーシスは、ターン当たり6つのグルコースになるように、直鎖らせん(right propeller)に組織化される。それは、酵素、アミラーゼの作用によって、アミロペクチンの形態である場合に特に容易に同化されたグルコースへと解離する。実際に、らせん形成は、酵素によるでんぷんの利用しやすさを促進しない。
【0182】
でんぷんは、一般に、冷水に不溶性の白色の粉末の形態であり、基本的な粒径は、3〜100μmである。
【0183】
それを熱水で処理することによって、でんぷんが得られる。それは、そのゲル化および増粘特性のために産業において使用される。
【0184】
本発明に使用されるでんぷん分子は、植物として、穀類または塊茎を有し得る。したがって、でんぷんは、例えば、トウモロコシ、コメ、キャッサバ、ラピオカ、オオムギ、ジャガイモ、コムギ、ソルガム、エンドウマメのでんぷんから選択される。
【0185】
天然でんぷんは、CargillによってC AmilogelTM、Cargill GelTM、C GelTM、Cargill GumTM、DryGelTM、C Pharm GelTMの名称で、RoquetteによってAmidonの名称で、およびNational StarchによってPure Tapiocaの名称で販売される製品によって例示される。
【0186】
加工でんぷん
本発明の組成物に使用される加工でんぷんは、以下の反応:アルファ化、分解(酸加水分解、酸化、デキストリン化)、置換(エステル化、エーテル化)、架橋(エステル化)、漂白のうちの1つまたは複数によって加工され得る。
【0187】
より特定的には、これらの反応は、以下のように行われ得る:
− でんぷん顆粒を分割する(例えば、乾燥ドラム中で乾燥および加熱する)ことによるアルファ化;
− 非常に急速な冷却による老化(demotion)を引き起こす酸加水分解;
− 酸性媒体中での高温におけるデキストリン化(加水分解、次に再重合);
− でんぷん分子のヒドロキシル基と反応することが可能であり、したがって一緒に結合される官能化剤(functional agent)(例えばグリセリルおよび/またはホスフェートを有する)による架橋;
官能基、特に、C1〜C6アシル(アセチル)、C1〜C6ヒドロキシアルキル(ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)カルボキシメチル、オクテニルをグラフト化するためのアルカリ媒体中でのエステル化。
【0188】
特に、リン化合物、(タイプA−O−PO−(OX)の)リン酸一デンプン、(タイプA−O−PO−(OX)−O−Aの)リン酸二デンプンあるいはリン酸三デンプン(タイプA−O−PO−(O−A)またはそれらの混合物と架橋することによって得ることができる。
【0189】
Xが、特に、アルカリ金属(例えばナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、アンモニウム塩、アミン塩、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−アミノ1,2−プロパンジオール、塩基性アミノ酸、例えば、リジン、アルギニン、サルコシン、オルニチンまたはシトルリンから得られるアンモニウムを示す。
【0190】
リン化合物は、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、オキシ塩化リンまたはトリメタリン酸ナトリウムであり得る。
【0191】
でんぷん分子は、トウモロコシ、ジャガイモ、オートムギ、コメ、タピオカ、ソルガム、オオムギまたはコムギを含むでんぷんなどの任意の植物源に由来し得る。上記のでんぷんの加水分解物も使用され得る。
【0192】
加工でんぷんは、CargillによってC Tex−Instant(アルファ化アジペート)、C StabiTex−Instant(アルファ化ホスフェート)、CPolarTex−Instant(アルファ化ヒドロキシプロピル)Set C(酸加水分解、酸化)、C size(酸化)、C BatterCrisp(酸化)、C DRYset(デキストリン化)、CTexTM(アセチル化アジピン酸二デンプン)、CPolarTexTM(ヒドロキシプロピルリン酸二デンプン)、C StabiTexTM(リン酸二デンプン、アセチル化リン酸二デンプン)の名称で販売される製品、リン酸二デンプンまたはリン酸二デンプンに富む化合物については、Avebe社によってPREJEL整理番号VA−70−T AGGL(糊化ヒドロキシプロピル化キャッサバリン酸二デンプン)またはPREJEL TK1(糊化キャッサバリン酸二デンプン)またはPREJEL 200(糊化キャッサバアセチル化リン酸二デンプン)で提供される製品として、またはNational Starch製のSTRUCTURE ZEA(糊化トウモロコシリン酸二デンプン)によって例示される。
【0193】
糊化トウモロコシリン酸二デンプンは、好ましくは、特に、National Starch製のSTRUCTURE ZEAが使用されるであろう。
【0194】
B.非でんぷん多糖
一般に、非でんぷん多糖は、微生物によって産生される多糖;藻類から単離される多糖、高等植物の多糖、例えば、均質な多糖、特に、セルロースおよびその誘導体、不均質な多糖、例えば、アラビアガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、およびそれらの誘導体;およびそれらの混合物から選択され得る。
【0195】
特に、多糖は、グルカン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロースおよびそれらの誘導体、特に、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、および、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、アラビノガラクタン、グリコサミノグリカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッチガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えば、グアーガムおよびそれらの非イオン性誘導体、特に、ヒドロキシプロピルグアー、およびイオン性誘導体、微生物由来のバイオ多糖ガム、特に、スクレログルカンガムまたは、ムコ多糖、および特に、コンドロイチン硫酸およびそれらの混合物から選択され得る。
【0196】
これらの多糖は、尿素基、ウレタンを含み、または加水分解反応、酸化、エステル化、エーテル化、硫酸化、リン酸化、アミノ化、アミド化またはアルキル化またはこれらの変化のいくつかによって化学修飾され得る。
【0197】
このようなゲル化剤は、水相の総重量に対して、0.1重量%〜8重量%の固形分、特に、0.1重量%〜6重量%の量で実現され得る。
【0198】
より詳細には、本発明に好適なこれらの多糖は、それらが、微生物由来か、藻類由来かおよび高等植物由来かに応じて区別され得、以下に詳述される。
【0199】
微生物によって産生される多糖
サクシノグリカン
サクシノグリカンは、細菌発酵によって産生される高分子量の細胞外ポリマーであり、八糖の繰返し単位(8つの糖の繰り返し)からなる。サクシノグリカンは、例えば、RhodiaによってRheozanの名称で販売される。
【0200】
スクレログルカン
スクレログルカンは、単位β−Dグルカンからなる非イオン性分枝鎖状ホモ多糖である。分子は、β結合(1,3)によって結合されたD−グルコース単位で作製された直鎖状の主鎖からなり、3つの単位のうちの1つが、結合β(1,6)によって側鎖D−グルコース単位に結合される。スクレログルカンおよびそれらの調製のより完全な説明は、米国特許第3,301,848号明細書に見出される。
【0201】
スクレログルカンは、例えば、Alban Muller CompanyによってAmigumの名称で、またはCargillによってCS(商標)Actigumの名称で販売される。
【0202】
藻類から単離される多糖
ガラクタン
本発明の多糖は、特に、ガラクタン寒天から選択され得る。
【0203】
寒天型のガラクタンは、紅藻類(紅藻網(Rhodophyceae))のいくつかの種の細胞壁に含まれる多糖ガラクトースである。それらは、基本骨格がβ鎖(1,3)D−ガラクトピラノースおよびα(1,4)3−6−アンヒドロガラクトースであるポリマー基から形成され、これらの単位は、規則的にまたは交互に反復している。寒天のファミリー内の相違は、メチル化または溶媒和カルボキシエチル化基の有無による。これらのハイブリッド構造は、通常、藻の種および収穫期に応じて、様々なパーセンテージで存在する。
【0204】
寒天は、40000〜300000g.mol−1の高分子量の多糖(アガロースおよびアガロペクチン)の混合物である。それは、通常、オートクレーブ処理によって藻の抽出汁を製造し、約2%の寒天を含むこれらの汁を処理して、寒天を抽出することによって得られる。
【0205】
寒天は、B & V Agar Producersグループによって、Gold Hagar Agariteの名称で、およびHispanagar societyによってGrand Agar、およびSetexam社によってAgar−Agar、QSA(Quick Soluble Agar)およびPuragarの名称での製品である。
【0206】
ファーセレラン
ファーセレランは、紅藻ファーセラリア・ファスティギアータ(Furcellaria fasztigiata)から商業的に得られる。ファーセレランは、例えば、East−Agar societyによって製造される。
【0207】
高等植物の多糖
このカテゴリーの多糖は、均質な多糖(1種の単糖)およびいくつかの種類の単糖の不均質な化合物に分類され得る。
【0208】
a)均質な多糖およびそれらの誘導体
本発明に係る多糖は、セルロースおよび誘導体またはフルクタンから選択され得る。
【0209】
セルロースおよび誘導体
本発明に係る多糖はまた、セルロースまたはその誘導体、特に、セルロースエステルまたはエーテル(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ニトロセルロース)であり得る。
【0210】
本発明は、セルロース会合性ポリマーも含有し得る。セルロース化合物とは、その構造中に、グリコシドβ(1,4)結合によって統合される残基アンヒドログルコピラノース(AGU)の直鎖を含有する本発明の多糖の任意の化合物を意味する。繰返し単位は、セロビオース二量体である。AGUは、椅子型配座にあり、3つのヒドロキシル基:2つの第二級アルコール(2および3位に)および第一級アルコール(6位)を有する。このように形成されるポリマーは、水素結合などの分子間結合によって互いに結合され、それによって、繊維性セルロースに構造を与える(繊維当たり約1500個の分子)。
【0211】
重合度は、セルロースの起源に応じて大きく異なり;その値は、数百から数万まで様々であり得る。
【0212】
セルロースは、以下の化学構造を有する:
【化1】
セルロースのヒドロキシル基は、部分的にまたは完全に異なる化学試薬と反応して、独自の特性を有するセルロース誘導体を提供し得る。セルロース誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性であり得る。これらの誘導体の中でも、セルロースエーテル、セルロースエステルおよびセルロースエステルのエーテルがある。
【0213】
非イオン性セルロースエーテルの中でも、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース;ヒドロキシアルキル、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル;混合セルロースヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシブチルメチルセルロースが挙げられる。
【0214】
アニオン性セルロースエーテルの中でも、カルボキシアルキルセルロースおよびそれらの塩が挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロースおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらのナトリウム塩が挙げられる。
【0215】
カチオン性セルロースエーテルの中でも、架橋または非四級化ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0216】
四級化剤は、特に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドまたは脂肪族アミン、例えば、ラウリルアミンまたはステアリルアミンであり得る。他のカチオン性セルロースエーテルとして、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0217】
四級化セルロース誘導体は、特に、以下のものである:
− 少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含有するアルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリール基で修飾された四級化セルロース、またはそれらの混合物;
− 少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含有するアルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリール基で修飾された四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはそれらの混合物。
【0218】
上記の四級化セルロースまたはヒドロキシエチルセルロースによって担持されたアルキル基は、好ましくは、8〜30個の炭素原子を含有する。
【0219】
アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチルまたはアントリルを示す。
【0220】
脂肪鎖C8〜C30の四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例として、Amerchol社によって販売される製品Quatrisoft LM 200、LM−X 529−18 QUATRISOFT−A、LM−X QUATRISOFT 529−18Bアルキル(C12)およびQUATRISOFT LM−X 529−8(C18アルキル)、ならびにCroda社によって販売される製品Crodacel QM、CRODACEL QLアルキル(C12)およびCRODACEL QS(C18アルキル)が挙げられる。
【0221】
セルロース誘導体の中でも、以下のものも挙げられる:
− 少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で修飾されたセルロース、例えば、少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば、アルキル、特に、C8〜C22アリールアルキルまたはアルキルアリール基で修飾されたヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社によって販売されるNatrosol Plus Grade330CS(C16アルキル)、および
− アルキルフェノールエーテルのポリアルキレングリコール基で修飾されたセルロース、例えば、Amerchol社によって販売される製品Amercell Polymer HM−1500(ノニルフェノールのポリエチレングリコール(15)エーテル)。
【0222】
セルロースエステルの中でも、無機セルロースエステル(ニトレート、サルフェート、ホスフェートまたはセルロース...)、セルロースの有機酸エステル(モノアセテート、トリアセテート、アミドプロピオネート、アセテートブチレート、アセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートトリメリテート...)および混合エステル有機/無機セルロース、例えば、セルロースおよびアセテートブチレートサルフェートアセテートプロピオネートサルフェートがある。セルロースエーテルエステルの中でも、フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびエチルセルロースサルフェートが挙げられる。
【0223】
本発明のセルロース化合物は、非置換セルロースおよび置換セルロースから選択され得る。
【0224】
セルロースおよび誘導体は、FMC BiopolymersによってAvicel(微結晶性セルロース、MCC)の名称で、Noviant(CP−Kelco)社によってCekol(カルボキシメチルセルロース)の名称で、Akzo NobelによってAkucell AF(カルボキシメチルセルロースナトリウム)の名称で、DowによってMethocelTM(セルロースエーテル)およびEthocelTM(エチルセルロース)の名称で、Hercules AqualonからAqualon(登録商標)(カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、Benecel(登録商標)(メチルセルロース)、BlanoseTM(カルボキシメチルセルロース)、Culminal(登録商標)(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、Klucel(ヒドロキシプロピルセルロース)、Polysurf(登録商標)(セチルヒドロキシエチルセルロース)およびNatrosol(登録商標)CS(ヒドロキシエチル)の名称で販売される製品によって例示される。
【0225】
b)不均質な多糖およびそれらの誘導体
本発明にしたがって使用される多糖は、カシアガム、カラヤガム、コンニャク、トラガカント、タラ、アラビアガムまたはアカシアなどのガムであり得る。
【0226】
アラビアガム
アラビアガムは、マグネシウムとカルシウムとの混合物のカリウム塩の形態の高度に分岐した酸多糖である。遊離酸(アラビン酸)のモノマー成分は、D−ガラクトース、L−アラビノース、L−ラムノースおよびD−グルクロン酸である。
【0227】
ガラクトマンナン(グアー、ローカストビーン、フェヌグリーク、タラガム)および誘導体(ホスフェートグアー、ヒドロキシプロピルグアー...)
ガラクトマンナンは、貯蔵糖質を構成するマメ科植物の種子の胚乳から抽出される非イオン性多糖である。
【0228】
ガラクトマンナンは、主鎖にα(1,6)で結合された単一の単位D−ガラクトピラノースから構成された側分枝を担持している、β(1,4)で結合されたD−マンノピラノース単位の主鎖からなる高分子である。様々なガラクトマンナンは、第1に、ポリマー中に存在するα−D−ガラクトピラノース単位の割合によって、および第2に、マンノース鎖に沿ったガラクトース単位の分布に関する著しい相違によって区別される。
【0229】
マンノース/ガラクトース比(M/G)は、グアーガムについて約2、タラガムについて3およびローカストビーンガムについて4である。
【0230】
ガラクトマンナンは、以下の化学構造を有する:
【化2】
【0231】
グアー
グアーガムは、2:1の範囲のマンノース:ガラクトースの比率によって特徴付けられる。ガラクトース基は、マンノース鎖に沿って規則的に分布される。
【0232】
本発明にしたがって使用されるグアーガムは、非イオン性、カチオン性またはアニオン性であり得る。本発明によれば、化学修飾されているかまたは非修飾の非イオン性グアーガムが使用され得る。
【0233】
非修飾非イオン性グアーガムは、例えば、Unipektin社によってVidogum GH、GおよびVidogum Vidocremの名称で、およびRhodiaによってJaguarの名称で、Danisco社によってMeypro(登録商標)Guarの名称で、CargillによってVISCOGUMTMの名称で、およびAqualonによってSupercol(登録商標)グアーガムの名称で販売される製品である。
【0234】
本発明にしたがって使用される加水分解された非イオン性グアーガムは、例えば、DaniscoによってMeyprodor(登録商標)の名称で販売される製品によって代表される。
【0235】
本発明に使用される修飾された非イオン性グアーガムは、好ましくは、ヒドロキシアルキル基C1〜C6アルキル(その中でも、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル基が挙げられる)で修飾される。
【0236】
任意選択的に、ヒドロキシアルキル基で修飾されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodiaによって商標Jaguar HP 60、HP Jaguar 105およびJaguar HP 120(ヒドロキシプロピルグアー)で、またはAqualonによってN−Hance HP(登録商標)(ヒドロキシプロピルグアー)の名称で販売される。
【0237】
カチオン性ガラクトマンナンガムは、好ましくは、1.5meq/g以下、より特定的には、0.1〜1meq/gのカチオン性電荷密度を有する。電荷密度は、ケルダール法にしたがって決定され得る。それは、通常、約3〜9のpHに相当する。
【0238】
一般に、本発明の意味の範囲内で、「カチオン性ガラクトマンナンガム」という用語は、カチオン性基および/またはカチオン性基にイオン化される基を含有する任意のガラクトマンナンガムを意味する。
【0239】
好ましいカチオン性基は、第一級、第二級、第三級および/または第四級を含むものから選択される。
【0240】
使用されるカチオン性ガラクトマンナンガムは、一般に、500〜約5×106、好ましくは、10〜約3×10の平均分子量を有する。本発明に使用されるカチオン性ガラクトマンナンガムは、例えば、カチオン性トリ(C1〜C4)アンモニウムを含むガムである。好ましくは、これらのガムのヒドロキシル官能基の数基準で2%〜30%は、トリアルキルアンモニウムカチオン性基を有する。
【0241】
これらのトリアルキルアンモニウム基の中でも、最も特定的に、トリメチルアンモニウムおよびトリエチルアンモニウム基が挙げられる。さらにより好ましくは、これらの基は、修飾ガラクトマンナンガムの総重量の5重量%〜20重量%を表す。
【0242】
本発明によれば、カチオン性ガラクトマンナンガムは、好ましくは、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基を含むグアーガム、すなわち、例えば、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムで修飾されたグアーガムである。
【0243】
これらのガラクトマンナンガム、特に、カチオン性基で修飾されたグアーは、それ自体で既に公知の製品であり、例えば、米国特許第3,589,578号明細書および米国特許第4 031 307号明細書に記載されている。このような製品はまた、RhodiaによってEXCEL商標Jaguar、Jaguar C13 S、Jaguar C 15、Jaguar C 17およびJaguar C162(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)で、DegussaによってAmilan(登録商標)Guar(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)の名称で、およびAqualonによってN−Hance(登録商標)3000(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)の名称で販売される。
【0244】
本発明に使用されるアニオン性グアーガムは、カルボン酸、スルホン酸、スルフェン酸、リン酸、ホスホン酸またはピルビン酸に由来する基を含むポリマーである。好ましくは、アニオン性基は、カルボン酸基である。アニオン性基はまた、酸塩、特に、ナトリウム、カルシウム、リチウムまたはカリウムの形態であり得る。
【0245】
本発明にしたがって使用されるアニオン性グアーガムは、好ましくは、カルボキシメチル化グアー誘導体(カルボキシメチルグアーまたはカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー)である。
【0246】
カロブガム
ローカストビーンガムは、カロブ樹(イナゴマメ(Ceratonia siliqua))の種子から抽出される。本発明に使用される非修飾カロブガムは、例えば、CargillによってViscogum(商標)の名称で、Unipektin社によってL Vidogumの名称で、DaniscoによってGrinsted(登録商標)LBGの名称で販売される。
【0247】
本発明に使用するために化学修飾されたカロブガムは、例えば、Toho CompanyによってCatinal CLB(カロブヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)の名称で販売されるカチオン性ローカストビーンによって代表され得る。
【0248】
タラガム
本発明に関して使用されるタラガムは、例えば、Unipektin社によってVidogum SPの名称で販売される。
【0249】
グルコマンナン(コンニャクガム)
グルコマンナンは、約50または60個の単位ごとに分岐を有するD−マンノースおよびD−グルコースからなる高分子量多糖(500000<グルコマンナン<2百万)である。それは、木材中に見られるが、コンニャクガムの主成分でもある。コンニャク(コンニャク(Amorphophallus konjac))は、サトイモ科(Araceae)の植物である。
【0250】
本発明にしたがって使用される製品は、例えば、Shimizu societyによってPropol(登録商標)およびRheolex(登録商標)の名称で販売される。
【0251】
他の多糖
本発明にしたがって有用な他の多糖、France−Chitin社によって販売されるもののようなキチン(ポリ−N−アセチル−D−グルコサミン、β(1,4)−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコース)、キトサンおよび誘導体(キトサン−β−グリセロホスフェート、カルボキシメチルキチンなど)も挙げられる。
【0252】
II.合成ポリマーゲル化剤
本発明の意味の範囲内で、この用語は、合成ポリマーが、天然でないか、または天然源のポリマーに由来しないことを意味する。
【0253】
合成ポリマー親水性ゲル化剤は、特に以下に定義されるような、架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー;会合性ポリマー、特に、ポリウレタン型会合性ポリマー;ポリアクリルアミド;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋および/または中和されたポリマーおよびコポリマー;修飾または非修飾の架橋された;カルボキシビニルポリマー、およびそれらの混合物から有利に選択される。
【0254】
A.粒子状合成ポリマーゲル化剤
それらは、好ましくは、架橋ポリマーから選択される。それは、特に、粒子状形態の、好ましくは、部分的に中和されたまたは中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0255】
一実施形態によれば、本発明に係る粒子状ゲル化剤は、架橋ポリアクリル酸ナトリウムから選択される。好ましくは、それは、乾燥または非水和状態で、100μmを超えない、好ましくは、50μm以下の平均サイズを有する。平均粒径は、レーザー粒度分析または当業者に公知の他の同様の方法によって測定される質量平均直径(D50)である。
【0256】
したがって、好ましくは、本発明に係る粒子状ゲル化剤は、好ましくは、100μm以下の平均サイズ(平均直径)を有する粒子の形態、より好ましくは、球形の粒子形態の架橋ポリアクリル酸ナトリウムから選択される。
【0257】
架橋ポリアクリル酸ナトリウムの例としては、AveciaによってOctacare X100、X110およびRM100の名称で販売されるもの、SNFによってFlocare GB300およびFlosorb 500の名称で販売されるもの、BASFによってLuquasorb 1003、Luquasorb 1010、Luquasorb Luquasorb 1280および1110の名称で販売されるもの、Grain Processing社によってWater Lock G400およびG430(INCI名:アクリルアミド/ナトリウムアクリレートコポリマー)の名称で販売されるものが挙げられる。
【0258】
また、例えば、Sumitomo Seikaによって提供されるSH 10 AQUAKEEP(登録商標)NFの名称で販売されるものなどの例示的な架橋ポリアクリレート微小球。
【0259】
このようなゲル化剤は、水相の総重量に対して、0.1重量%〜5重量%の固形分の量、特に、0.3重量%〜2重量%、および特に、水相の総重量に対して、約0.5重量%〜1.7重量%の量で実現され得る。
【0260】
B.非粒子状合成ポリマーゲル化剤
このゲル化剤ファミリーは、以下のサブファミリーにおいて詳述され得る:
1.会合性ポリマー、
2.ポリアクリルアミドならびに架橋および/または中和された2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸のポリマーおよびコポリマー、および
3.修飾または非修飾カルボキシビニルポリマー。
【0261】
1.会合性ポリマー
本発明の趣旨では、「会合性ポリマー」という用語は、その構造中に、少なくとも1つの脂肪鎖および少なくとも1つの親水性部分を含む任意の両親媒性ポリマーを意味する。本発明に係る会合性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性であり得る。
【0262】
B1.会合性アニオン性ポリマー
挙げられる会合性アニオン性ポリマーの中でも、少なくとも1つの親水性単位、および少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位を含むもの、より特定的には、親水性単位が、不飽和エチレン性アニオン性モノマー、より特定的には、ビニルカルボン酸、最も特定的に、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの混合物によって形成されるもの、および脂肪鎖アリルエーテル単位が、以下の式(I):
CH=C(R’)CHOBR(I)
(式中、R’が、HまたはCHを示し、Bが、エチレンオキシ基を示し、nが、ゼロであるか、または1〜100の範囲の整数を示し、Rが、8〜30個の炭素原子、好ましくは、10〜24個、さらにより特定的には、12〜18個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選択される炭化水素系基を示す)のモノマーに相当するものがある。
【0263】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、欧州特許第0 216 479号明細書における乳化重合プロセスにしたがって、記載され、調製される。
【0264】
同様に挙げられる会合性アニオン性ポリマーの中でも、無水マレイン酸/C30〜C38α−オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えば、Newphase Technologies社によってPerforma V 1608の名称で販売される製品(無水マレイン酸/C30〜C38α−オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー)がある。
【0265】
会合性アニオン性ポリマーの中でも、好ましい実施形態によれば、それらのモノマーの中でも、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸およびα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とオキシアルキレン化脂肪アルコールとのエステルを含むコポリマーを使用することが可能である。優先的に、これらの化合物は、モノマーとして、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とC1〜C4アルコールとのエステルも含む。
【0266】
挙げられるこのタイプの化合物の例は、メタクリル酸/エチルアクリレート/オキシアルキレン化ステアリルメタクリレート(20個のOE単位を含む)ターポリマーである、Roehm & Haas社によって販売されるAculyn 22(登録商標)、またはAculyn 28(メタクリル酸/エチルアクリレート/オキシエチレン化ベヘニルメタクリレート(25個のOE)ターポリマー)を含む。
【0267】
同様に挙げられる会合性アニオン性ポリマーの例は、不飽和オレフィン性カルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位、および不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルなどのタイプのみの少なくとも1つの疎水性単位を含むアニオン性ポリマーを含む。挙げられる例は、米国特許第3 915 921号明細書および同第4 509 949号明細書にしたがって、記載され、調製されるアニオン性ポリマーを含む。
【0268】
同様に挙げられる会合性アニオン性ポリマーは、アニオン性ターポリマーを含む。
【0269】
本発明にしたがって使用されるアニオン性ターポリマーは、遊離形態の酸官能基を有する少なくとも1つのモノマー(1)であって、N,N−ジメチルアクリルアミドおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートから選択される非イオン性モノマー(2)で部分的または完全に塩にされたものと、以下の式(I):
【化3】
(式中、Rが、水素原子を表し、Rが、直鎖状または分枝鎖状C2〜C8アルキル基を表し、nが、1〜10の範囲の数を表す)の少なくとも1つのポリオキシエチレン化アルキルアクリレートモノマー(3)との直鎖状または分枝鎖状および/または架橋ターポリマーである。
【0270】
「分枝鎖状ポリマー」という用語は、このポリマーが水に溶解されるとき、低い速度勾配で非常に高い粘度をもたらす高度の絡み合いを得るように側鎖を有する非直鎖状ポリマーを示す。
【0271】
「架橋ポリマー」という用語は、水に不溶性であるが、水中で膨潤性であり、化学ゲルの生成をもたらす、三次元網目構造の形態の非直鎖状ポリマーを示す。
【0272】
モノマー(1)の酸官能基は、特に、スルホン酸またはホスホン酸官能基であり、前記官能基は、遊離形態または部分的もしくは完全に塩にされた形態である。
【0273】
モノマー(1)は、遊離形態または部分的もしくは完全に塩にされた形態の、スチレンスルホン酸、エチルスルホン酸および2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸(アクリロイルジメチルタウレートとしても知られている)から選択され得る。それは、アニオン性ターポリマー中に、好ましくは、5mol%〜95mol%、より特定的には、10mol%〜90mol%のモル比で存在する。モノマー(1)は、より特定的には、遊離形態または部分的もしくは完全に塩にされた形態の、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸である。
【0274】
部分的または完全に塩にされた形態の酸官能基は、好ましくは、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩、アンモニウム塩、アミノアルコール塩、例えば、モノエタノールアミン塩、またはアミノ酸塩、例えば、リジン塩である。
【0275】
モノマー(2)は、好ましくは、アニオン性ターポリマー中に、4.9mol%〜90mol%、より特定的には、9.5mol%〜85mol%、さらにより特定的には、19.5mol%〜75mol%のモル比で存在する。
【0276】
式(I)中、挙げられる直鎖状C8〜C16アルキル基の例は、オクチル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルおよびヘキサデシルを含む。
【0277】
式(I)中、挙げられる分枝鎖状C8〜C16アルキル基の例は、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、4−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、15−メチルペンタデシル、16−メチルヘプタデシルおよび2−ヘキシルオクチルを含む。
【0278】
本発明の特定の形態によれば、式(I)中、Rが、C12〜C16アルキル基を示す。
【0279】
本発明の特定の形態によれば、式(I)中、nが、3〜5の範囲である。テトラエトキシ化ラウリルアクリレートは、より特定的には、式(I)のモノマーとして使用される。
【0280】
式(I)のモノマー(3)は、好ましくは、アニオン性ターポリマー中に、0.1mol%〜10mol%、より特定的には、0.5mol%〜5mol%のモル比で存在する。
【0281】
本発明の特定の形態によれば、アニオン性ターポリマーは、0.005mol%〜1mol%、好ましくは、0.01mol%〜0.5mol%、より特定的には、0.01mol%〜0.25mol%の、使用されるモノマーの総量に対して表される割合で、ジエチレンまたはポリエチレン化合物で架橋および/または分岐されている。
【0282】
架橋剤および/または分岐剤は、好ましくは、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルオキシ酢酸またはその塩、例えば、ジアリルオキシ酢酸ナトリウム、テトラアリルオキシエタン、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびメチレンビス(アクリルアミド)、またはそれらの混合物から選択される。
【0283】
アニオン性ターポリマーは、錯化剤、移動剤(transfer agent)または連鎖抑制剤(chain−limiting agent)などの添加剤を含有し得る。
【0284】
より特定的には、アンモニウム塩の形態に部分的または完全に塩にされた2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル]アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびテトラエトキシ化ラウリルアクリレートの、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたアニオン性ターポリマーが使用され、これは、例えば、SEPPIC社によって商標Sepimax Zen(登録商標)で販売される製品などのINCI名ポリアクリレートクロスポリマー−6である。
【0285】
カチオン性会合性ポリマー
挙げられるカチオン性会合性ポリマーは、アミン側基を有するポリアクリレートを含む。
【0286】
四級化または非四級化アミン側基を有するポリアクリレートは、例えば、ステアレス−20(ポリオキシエチレン化(20)ステアリルアルコール)などのタイプの疎水性基を含有する。
【0287】
挙げられるアミノ側鎖を有するポリアクリレートの例は、National Starch社製のポリマー8781−121Bまたは9492−103である。
【0288】
非イオン性会合性ポリマー
非イオン性会合性ポリマーは、以下のものから選択され得る:
− ビニルピロリドンと、脂肪鎖を含有する疎水性モノマーとのコポリマー;
− C1〜C6メタクリレートまたはアルキルアクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー;
− 親水性メタクリレートまたはアクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートのコポリマー;
− 会合性ポリウレタン。
【0289】
会合性ポリウレタンは、鎖中に、通常、ポリオキシエチレン化の性質を有する親水性配列(ポリウレタンは、ポリエーテルポリウレタンと呼ばれ得る)、および脂肪族鎖単独および/または脂環式および/または芳香族配列であり得る疎水性配列の両方を含む非イオン性ブロックコポリマーである。
【0290】
特に、これらのポリマーは、親水性配列によって隔てられた、C6〜C30炭素原子を有する少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を含み、炭化水素鎖は、ペンダント鎖または親水性配列の末端における鎖であり得る。特に、1つまたは複数のペンダント鎖が提供されることが可能である。さらに、ポリマーは、親水性配列の一端または両端に炭化水素鎖を含み得る。
【0291】
会合性ポリウレタンは、トリブロックまたはマルチブロックとして配列され得る。疎水性ブロックは、鎖の各端部にあってもよく(例えば:親水性の中央ブロックを含むトリブロックコポリマー)または端部および鎖中の両方に分配され得る(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらのポリマーはまた、グラフトポリマーまたは星形ポリマーであり得る。
【0292】
好ましくは、会合性ポリウレタンは、親水性配列が、50〜1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン化鎖であるトリブロックコポリマーである。一般に、会合性ポリウレタンは、親水性ブロック間のウレタン結合を含み、名称はこれに由来する。
【0293】
好ましい実施形態において、ゲル化剤として、非イオン性会合性ポリウレタンポリマーが使用される。
【0294】
本発明に使用される非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの例として、Elementisによって販売されるRheolate(登録商標)FX 1100(ステアレス−100/PEG 136/HDI(ヘキサメチルジイソシアネート)コポリマー)、Rheolate(登録商標)205尿素官能基、またはRheolates(登録商標)208、204または212、同様にAcrysol(登録商標)RM 184またはRM 2020 Acrysol(登録商標)も使用することができる。
【0295】
Akzoの製品Elfacos(登録商標)T210アルキル鎖C12〜C14および製品Elfacos(登録商標)T212 C16〜18アルキル鎖(PPG−14−Palmeth 60ヘキシルジカルバメート)も挙げられる。
【0296】
水中20%の固形分で販売される、C20アルキル鎖およびウレタン結合を含むRohm & Haasからの製品DW 1206B(登録商標)も使用することができる。特に、水または含水アルコール媒体中の、これらのポリマーの溶液または分散体を使用することも可能である。このようなポリマーの例としては、Elementisによって販売されるRheolate(登録商標)255 Rheolate(登録商標)278およびRheolate 244が挙げられる。Rohm & Haas社によって販売される製品DW 1206FおよびDW 1206Jを使用することもできる。
【0297】
本発明にしたがって使用される会合性ポリウレタンは、特に、G.Fonnum、J.BakkeおよびFk.Hansenによる論文、Colloid Polym.Sci,271,380−389(1993)に記載されているものである。
【0298】
より特定的には、本発明によれば、(i)150〜180モルのエチレンオキシドを含む少なくとも1つのポリエチレングリコール、(ii)ステアリルアルコールまたはデシルアルコール、および(iii)少なくとも1つのジイソシアネートを含む少なくとも3つの化合物の重縮合によって得ることが可能な会合性ポリウレタンを使用することもできる。
【0299】
このようなポリウレタンポリエーテルは、特に、Aculyn(登録商標)46およびAculyn(登録商標)44の名称でRohm & Haas社によって販売される。Aculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)および水(81%)のマトリックス中15重量%で、ポリエチレングリコール150または180molのエチレンオキシドと、ステアリルアルコールと、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、Aculyn(登録商標)44は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中35重量%の、150または180molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物である。
【0300】
特に、水または含水アルコール媒体中の、これらのポリマーの溶液または分散体を使用することも可能である。このようなポリマーの例としては、Elementis製のSER AD FX1010、SER AD FX1035およびSER AD 1070、Elementisによって販売されるRheolate(登録商標)255、278およびRheolate(登録商標)Rheolate(登録商標)244が挙げられる。Rohm & Haas製の製品Aculyn(登録商標)44、Aculyn(登録商標)46、DW 1206FおよびDW 1206J、およびAcrysol(登録商標)RM 184、あるいはBorchers製のBorchi Gel LW 44、およびそれらの混合物も使用され得る。
【0301】
両性会合性ポリマー
本発明の会合性両性ポリマーの中でも、架橋または非架橋の、分枝鎖状または非分枝鎖状両性ポリマーが挙げられ、これは、以下のものの共重合によって得られる:
1)式(IVa)または(IVb):
【化4】
(式中、同一または異なっていてもよいRおよびRが、水素原子またはメチル基を表し;
同一または異なっていてもよいR、RおよびRが、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表し;
Zが、NH基または酸素原子を表し;
nが、2〜5の整数であり;
A−が、有機酸または無機酸に由来するアニオン、例えば、メトサルフェートアニオンまたはハロゲン化物、例えば、塩化物または臭化物である)の少なくとも1つのモノマー;
2)式(V):
【化5】
(式中、同一または異なっていてもよいRおよびR10が、水素原子またはメチル基を表し;
Z1が、基OHまたは基NHC(CHCHSOHを表す)の少なくとも1つのモノマー;
3)式(VI):
【化6】
(式中、同一または異なっていてもよいRおよびR10が、水素原子またはメチル基を表し、Xが、酸素または窒素原子を示し、R11が、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基を示す)の少なくとも1つのモノマー;
4)任意選択的に、少なくとも1つの架橋剤または分岐剤;式(IVa)、(IVb)または(VI)のモノマーの少なくとも1つは、8〜30個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪鎖を含み、式(IVa)、(IVb)、(V)および(VI)のモノマーの前記化合物は、場合により、例えば、C1〜C4アルキルハライドまたはC1〜C4ジアルキルサルフェートで四級化される。
【0302】
本発明の式(IVa)および(IVb)のモノマーは、好ましくは、以下のものによって形成される群から選択される:
− ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、
− ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、
− ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、
− ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドまたはジメチルアミノプロピルアクリルアミド、これらは、任意選択的に、例えば、C1〜C4アルキルハライドまたはC1〜C4ジアルキルサルフェートで四級化される。
【0303】
より特定的には、式(IVa)のモノマーは、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから選択される。
【0304】
本発明の式(V)の化合物は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−メチルクロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸によって形成される群から選択される。より特定的には、式(V)のモノマーは、アクリル酸である。
【0305】
本発明の式(VI)のモノマーは、好ましくは、C12〜C22、より特定的には、C16〜C18アルキルアクリレートまたはメタクリレートによって形成される群から選択される。
【0306】
架橋剤または分岐剤は、好ましくは、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、アリルメタクリレート、n−メチロールアクリルアミド、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびアリルスクロースから選択される。
【0307】
本発明に係るポリマーは、他のモノマー、例えば、非イオン性モノマー、特に、C1〜C4アルキルアクリレートまたはメタクリレートも含有し得る。
【0308】
これらの両性ポリマーにおけるカチオン性電荷/アニオン性電荷の数の比率は、好ましくは、約1に等しい。
【0309】
会合性両性ポリマーの重量平均分子量は、500超、好ましくは、10000〜10000000、さらにより優先的に、100000〜8000000の重量平均分子量を有する。
【0310】
好ましくは、本発明の会合性両性ポリマーは、1mol%〜99mol%、より優先的に、20mol%〜95mol%、さらにより優先的に、25mol%〜75mol%の式(IVa)または(IVb)の化合物を含有する。
【0311】
それらは、好ましくは、1mol%〜80mol%、より優先的に、5mol%〜80mol%、さらにより優先的に、25mol%〜75mol%の式(V)の化合物も含有する。式(VI)の化合物の含量は、好ましくは、0.1mol%および70mol%、より優先的に、1mol%〜50mol%、さらにより優先的に、1mol%〜10mol%である。架橋剤または分岐剤は、それが存在する場合、好ましくは、0.0001mol%〜1mol%、さらにより優先的に、0.0001mol%〜0.1mol%である。
【0312】
好ましくは、式(IVa)または(IVb)の化合物と、式(V)の化合物との間のモル比は、20/80〜95/5、より優先的に、25/75〜75/25の範囲である。
【0313】
本発明に係る会合性両性ポリマーは、例えば、特許出願国際公開第98/44012号パンフレットに記載されている。
【0314】
本発明にしたがって特に好ましい両性ポリマーは、アクリル酸/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/ステアリルメタクリレートコポリマーから選択される。
【0315】
好ましい実施形態によれば、会合性ポリマーは、非イオン性会合性ポリマー、より特定的には、会合性ポリウレタン、例えば、ElementisによってRheolate FX 1100の名称で販売されるステアレス−100/PEG−136/HDIコポリマーから選択される。
【0316】
このような会合性ポリマーは、水相の総重量に対して、0.1重量%〜8重量%の固形分、好ましくは、約3重量%の割合で有利に使用される。
【0317】
2.ポリアクリルアミドおよび架橋および/または中和された2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー
本発明のための水性ゲル化剤として好適な、使用されるポリマーは、アンモニア水以外の無機塩基、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで部分的にまたは完全に中和された形態の、少なくとも2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))モノマーを含む架橋または非架橋ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0318】
それらは、好ましくは、完全にまたはほぼ完全に中和され、すなわち、少なくとも90%中和される。
【0319】
本発明に係るこれらのAMPS(登録商標)ポリマーは、架橋または非架橋であり得る。
【0320】
ポリマーが架橋される場合、架橋剤は、ラジカル重合によって得られるポリマーを架橋するのに一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択され得る。
【0321】
挙げられる架橋剤の例は、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、または多官能性アルコールの他のアリルもしくはビニルエーテル、およびさらにリン酸および/またはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、またはこれらの化合物の混合物を含む。
【0322】
本発明の好ましい一実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般に、ポリマーに対して、0.01mol%〜10mol%、より特定的には、0.2mol%〜2mol%の範囲である。
【0323】
本発明に使用するのに好適なAMPS(登録商標)ポリマーは、水溶性または水分散性である。この場合、それらは、以下のもののいずれかである:
− AMPSモノマーのみ、およびそれらが架橋される場合、上述されるものなどの1つまたは複数の架橋剤を含む「ホモポリマー」;
− またはAMPS(登録商標)から、および1つまたは複数の親水性または疎水性エチレン性不飽和モノマーおよびそれらが架橋される場合、上述されるものなどの1つまたは複数の架橋剤から得られるコポリマー。
【0324】
前記コポリマーが、疎水性エチレン性不飽和モノマーを含む場合、これらのモノマーは、脂肪鎖を含まず、好ましくは、少量で存在する。
【0325】
本発明の趣旨では、「脂肪鎖」という用語は、少なくとも7個の炭素原子を含有する任意の炭化水素系鎖を意味することが意図される。
【0326】
「水溶性または水分散性」という用語は、1%に等しい質量濃度で、25℃で水相に導入されるとき、肉眼的に均一でかつ透明な溶液、すなわち、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも70%の、厚さ1cmの試料を介して、500nmに等しい波長で、最大光透過率値を有する溶液を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0327】
本発明に係る「ホモポリマー」は、好ましくは、架橋され、中和され、それらは、以下の工程を含む調製方法にしたがって得られる:
(a)遊離形態のAMPSなどのモノマーを、tert−ブタノールまたは水およびtert−ブタノールの溶液に分散または溶解させる;
(b)(a)において得られたモノマー溶液または分散体を、90%〜100%の範囲のポリマーのスルホン酸官能基の中和度を得ることを可能にする量の、1つまたは複数の無機または有機塩基、好ましくは、アンモニア水NH3で中和する;
(c)架橋モノマーを、(b)において得られた溶液または分散体に加える;
(d)標準的なラジカル重合を、10〜150℃の範囲の温度で、ラジカル開始剤の存在下で行い;ポリマーを、tert−ブタノールベースの溶液または分散体中で沈殿させる。
【0328】
本発明に係る水溶性または水分散性AMPS(登録商標)コポリマーは、水溶性エチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー、またはそれらの混合物を含有する。
【0329】
水溶性コモノマーは、イオン性または非イオン性であり得る。
【0330】
イオン性水溶性コモノマーの中でも、例えば、以下の化合物およびそれらの塩が挙げられる:
− (メタ)アクリル酸、
− スチレンスルホン酸、
− ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸、
− ビニルホスホン酸、
− マレイン酸、
− イタコン酸、
− クロトン酸、
− 以下の式(A)の水溶性ビニルモノマー:
【化7】
式中:
− Rが、H、−CH、−Cおよび−Cから選択され;
− Xが、
− −OR型のアルキルオキシドから選択され、ここで、Rが、1〜6個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和炭化水素系基であり、少なくとも1つのスルホン酸基(−SO−)および/または硫酸基(−SO−)および/またはリン酸基(−PO−)で置換される。
【0331】
非イオン性水溶性コモノマーの中でも、例えば、以下のものが挙げられる:
− (メタ)アクリルアミド、
− N−ビニルアセトアミドおよびN−メチル−N−ビニルアセトアミド、
− N−ビニルホルムアミドおよびN−メチル−N−ビニルホルムアミド、
− 無水マレイン酸、
− ビニルアミン、
− 4〜9個の炭素原子を含有する環状アルキル基を含むN−ビニルラクタム、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ブチロラクタムおよびN−ビニルカプロラクタム、
− 式CH=CHOHのビニルアルコール、
− 以下の式(B)の水溶性ビニルモノマー:
【化8】
式中:
− Rが、H、−CH、−Cおよび−Cから選択され;
− Xが、
− −OR4型のアルキルオキシドから選択され、ここで、R4が、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和炭化水素系基であり、ハロゲン(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素)原子;ヒドロキシル(−OH)基;エーテルで任意選択的に置換される。
【0332】
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、およびエチレングリコールの、ジエチレングリコールのまたはポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0333】
脂肪鎖を含まない疎水性コモノマーの中でも、例えば、以下のものが挙げられる:
− スチレンおよびその誘導体、例えば、4−ブチルスチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエン;
− 式CH=CH−OCOCHの酢酸ビニル;
− 式CH=CHOR(ここで、Rが、1〜6個の炭素を含有する、直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和炭化水素系基である)のビニルエーテル;
− アクリロニトリル;
− カプロラクトン;
− 塩化ビニルおよび塩化ビニリデン;
− 重合後に、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランおよびシリコーンメタクリルアミドなどのシリコーンポリマーをもたらすシリコーン誘導体;
− 以下の式(C)の疎水性ビニルモノマー:
【化9】
式中:
− Rが、H、−CH、−Cおよび−Cから選択され;
− Xが、
− −OR型のアルキルオキシドから選択され、ここで、R5が、1〜6個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状、飽和または不飽和炭化水素系基である。
【0334】
例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0335】
本発明の水溶性または水分散性AMPS(登録商標)ポリマーは、好ましくは、50000g/mol〜10000000g/mol、好ましくは、80000g/mol〜8000000g/mol、さらにより好ましくは、100000g/mol〜7000000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0336】
本発明に係る水溶性または水分散性AMPSホモポリマーとして、例えば、ナトリウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートの架橋または非架橋ポリマー、例えば、商品Simulgel 800(CTFA名:ナトリウムポリアクリロイルジメチルタウレート)で使用されるもの、架橋アンモニウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートポリマー(INCI名:アンモニウムポリジメチルタウラミド)、例えば、欧州特許第0 815 928 B1号明細書に記載されるもの、および例えば、Clariant社によって商標Hostacerin AMPS(登録商標)で販売される製品が挙げられる。
【0337】
本発明に係る水溶性または水分散性AMPSコポリマーとして、挙げられる例は、以下のものを含む:
− 架橋アクリルアミド/ナトリウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートコポリマー、例えば、商品Sepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜C14イソパラフィン/ラウレス−7)で使用されるもの、またはSEPPIC社によってSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレート/イソヘキサデカン/ポリソルベート−80)の名称で販売される商品に使用されるもの;
− AMPS(登録商標)とビニルピロリドンまたはビニルホルムアミドとのコポリマー、例えば、Clariant社によってAristoflex AVC(登録商標)(CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー)の名称で販売される商品に使用されるものであるが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで中和されたもの;
− AMPS(登録商標)とナトリウムアクリレートとのコポリマー、例えば、AMPS/ナトリウムアクリレートコポリマー、例えば、SEPPIC社によってSimulgel EG(登録商標)の名称で、または商標Sepinov EM(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー)で販売される商品に使用されるもの;
− AMPS(登録商標)とヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー、例えば、AMPS(登録商標)/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー、例えば、SEPPIC社によってSimulgel NS(登録商標)(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー(および)スクアラン(および)ポリソルベート60)の名称で販売される商品に使用されるもの、または例えば、ナトリウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーの名称で販売される製品、例えば、商品Sepinov EMT 10(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー)。
【0338】
好ましくは、ナトリウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーの名称で販売される製品、例えば、商品Sepinov EMT 10(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー)が、本発明に係る水溶性または水分散性AMPSコポリマーとして使用される。
【0339】
一般に、本発明に係る水相は、その総重量に対して、0.1重量%〜8重量%の固形分、好ましくは、0.2重量%〜5重量%、より優先的に、0.7重量%〜2.5重量%のポリアクリルアミドおよび/または架橋および/または中和された2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマーを含み得る。
【0340】
3.修飾または非修飾カルボキシビニルポリマー
修飾または非修飾カルボキシビニルポリマーは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはそれらのエステルから選択される少なくとも1つのモノマー(a)と、疎水性基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(b)との重合から得られるコポリマーであり得る。
【0341】
「コポリマー」という用語は、2つのタイプのモノマーから得られるコポリマー、および3つ以上のタイプのモノマーから得られるもの(3つのタイプのモノマーから得られるターポリマーなど)の両方を意味する。
【0342】
それらの化学構造は、より特定的には、少なくとも1つの親水性単位および少なくとも1つの疎水性単位を含む。「疎水性基または単位」という用語は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは、10〜30個の炭素原子、特に、12〜30個の炭素原子、より優先的に、18〜30個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状または分枝鎖状炭化水素系鎖を有する基を意味する。
【0343】
好ましくは、これらのコポリマーは、以下のものの重合から得られるコポリマーから選択される:
− 以下の式(1):
【化10】
(式中、Rが、HまたはCHまたはC、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸またはエタクリル酸モノマーを示す)の少なくとも1つのモノマー、および
− 以下の式(2):
【化11】
(式中、Rが、HまたはCHまたはC(すなわち、アクリレート、メタクリレートまたはエタクリレート単位)、好ましくは、H(アクリレート単位)またはCH(メタクリレート単位)を示し、Rが、C10〜C30、好ましくは、C12〜C22アルキル基を示す)のモノマーに対応する不飽和カルボン酸(C10〜C30)アルキルエステル型の少なくとも1つのモノマー。
【0344】
不飽和カルボン酸(C10〜C30)アルキルエステルは、好ましくは、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびドデシルアクリレート、および対応するメタクリレート、例えば、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレートおよびドデシルメタクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0345】
好ましい実施形態によれば、これらのポリマーは架橋される。
【0346】
このタイプのコポリマーの中でも、より特定的には、以下のものを含むモノマー混合物の重合から得られるポリマーが使用される:
− 本質的に、アクリル酸、
− 上記の式(2)(式中、R2が、HまたはCH3を示し、R3が、12〜22個の炭素原子を含有するアルキル基を示す)のエステル、
(iii)および周知の共重合性ポリエチレン不飽和モノマー、例えば、フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートまたはメチレンビスアクリルアミドである架橋剤。
【0347】
このタイプのコポリマーの中でも、より特定的には、95重量%〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4重量%〜40重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)および0重量%〜6重量%の架橋重合性モノマー、あるいは上述されるものなどの、98重量%〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1重量%〜4重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)および0.1重量%〜0.6重量%の架橋重合性モノマーからなるものが使用される。
【0348】
上記のポリマーの中でも、本発明にしたがって最も特に好ましいものは、アクリレート/C10〜C30−アルキルアクリレートコポリマー(INCI名:アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー)、例えば、Lubrizol社によって、商標Pemulen TR−1、Pemulen TR−2、Carbopol 1382、Carbopol EDT 2020およびCarbopol Ultrez 20 Polymer、さらにより優先的に、Pemulen TR−2で販売される製品である。
【0349】
修飾または非修飾カルボキシビニルポリマーの中でも、ポリアクリル酸ナトリウム、例えば、90%の固形分および10%の水を含有するCosmedia SP(登録商標)の名称で販売されるもの、または約60%の固形分を含有する逆エマルジョンとしてのCosmedia SPL(登録商標)、油(水素化ポリデセン)および界面活性剤(PPG−5ラウレス−5)(両方ともCognis社によって販売される)も挙げられる。
【0350】
少なくとも1つの極性油を含む逆エマルジョンの形態の部分的に中和されたポリアクリル酸ナトリウム、例えば、BASF社によってLuvigel(登録商標)EMの名称で販売される製品も挙げられる。
【0351】
修飾または非修飾カルボキシビニルポリマーはまた、架橋(メタ)アクリル酸ホモポリマーから選択され得る。
【0352】
本特許出願の趣旨では、「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリルまたはメタクリル」を意味する。
【0353】
挙げられる例は、LubrizolによってCarbopol 910、934、940、941、934 P、980、981、2984、5984およびCarbopol Ultrez 10 Polymerの名称で、または3V−SigmaによってSynthalen(登録商標)K、Synthalen(登録商標)LまたはSynthalen(登録商標)Mの名称で販売される製品を含む。
【0354】
修飾または非修飾カルボキシビニルポリマーの中でも、特に、Lubrizol社によって販売されるCarbopol(CTFA名:カルボマー)およびPemulen(CTFA名:アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー)が挙げられる。
【0355】
修飾または非修飾カルボキシビニルポリマーは、水相の重量に対して0.1重量%〜5重量%の固形分、特に、0.3重量%〜1重量%の割合で、好ましくは、水相の重量に対して約1重量%の割合で存在し得る。
【0356】
有利には、親水性ゲル化剤は、架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー;ポリアクリルアミドおよび架橋および/または中和された2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー;修飾または非修飾カルボキシビニルポリマー、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの合成ポリマーゲル化剤である。
【0357】
より特定的には、それは、少なくとも2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーまたはコポリマー、会合性ポリウレタンおよび/または架橋ポリアクリル酸ナトリウムである。
【0358】
III.他の親水性ゲル化剤
これらのゲル化剤は、より特定的には、混合シリケートおよびヒュームドシリカから選択される。
【0359】
III.混合シリケート
本発明の趣旨では、「混合シリケート」という用語は、アルカリ金属(例えばNa、Li、K)またはアルカリ土類金属(例えばBe、Mg、Ca)、遷移金属およびアルミニウムから選択されるいくつか(2つ以上)のタイプのカチオンを含有する天然または合成由来の任意のシリケートを意味する。
【0360】
特定の実施形態によれば、混合シリケートは、粒子の総重量に対して少なくとも10重量%の少なくとも1つのシリケートを含有する固体粒子の形態である。本明細書の残りの部分において、これらの粒子は、「シリケート粒子」と呼ばれる。
【0361】
好ましくは、シリケート粒子は、粒子の総重量に対して1重量%未満のアルミニウムを含有する。さらにより好ましくは、それらは、粒子の総重量に対して0重量%〜1重量%のアルミニウムを含有する。
【0362】
好ましくは、シリケート粒子は、粒子の総重量に対して、少なくとも50重量%、さらに良好には、少なくとも70重量%のシリケートを含有する。粒子の総重量に対して少なくとも90重量%のシリケートを含有する粒子が特に好ましい。
【0363】
特に、これは、シリケート、またはシリケートと、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、アルミニウムと、もしくは鉄との混合物である。
【0364】
好ましくは、それは、ナトリウム、マグネシウムおよび/またはリチウムシリケートである。
【0365】
良好な化粧特性を確実にするために、これらのシリケートは、一般に、微粉化形態、特に、2nm〜1μm(2nm〜1000nm)、好ましくは、5nm〜600nm、さらにより優先的に、20〜250nmの範囲の平均サイズを有する粒子の形態である。
【0366】
シリケート粒子は、任意の形態、例えば、球形、フレーク状、針状、小板状、ディスク状もしくは小葉状の形態、または全体的にランダムな形態を有し得る。好ましくは、シリケート粒子は、ディスク状または小葉状の形態を有する。
【0367】
また、粒子の「平均サイズ」という用語は、個々の粒子における2つのちょうど反対側の点間を測定することを可能にする最大寸法(長さ)の数平均サイズを意味する。サイズは、例えば、透過電子顕微鏡法によって、またはBET方法によって比表面積を測定することによって、あるいはレーザー粒径分析計によって決定され得る。
【0368】
粒子が、ディスク状または小葉状の形態である場合、それらは、一般に、約0.5nm〜5nmの範囲の厚さを有する。
【0369】
シリケート粒子は、例えば、その様々な成分の熱溶融によって得られる、金属または半金属酸化物との合金からなり得る。粒子が、このような金属または半金属酸化物も含む場合、それは、好ましくは、ケイ素、ホウ素またはアルミニウム酸化物から選択される。
【0370】
本発明の特定の実施形態によれば、シリケートは、フィロシリケート、すなわち、SiO4四面体が小葉として組織化され、小葉間に金属カチオンが封入された構造を有するシリケートである。
【0371】
本発明に使用するのに好適な混合シリケートは、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライトおよびサポナイトから選択され得る。
【0372】
本発明の好ましい実施形態によれば、使用される混合シリケートは、より特定的には、ヘクトライトおよびベントナイト、さらに良好には、ラポナイトから選択される。
【0373】
したがって、本発明の組成物に特に好ましいシリケートの群は、ラポナイトの群である。ラポナイトは、モンモリロナイトのものと同様の層構造を有する、場合によりリチウムも含有するケイ酸マグネシウムナトリウムである。ラポナイトは、ヘクトライトとして知られている天然鉱物の合成形態である。この群のシリケートの合成源は、製品の組成の良好な制御を可能にするため、天然形態を上回るかなりの利点を有する。さらに、ラポナイトは、天然鉱物であるヘクトライトおよびベントナイトの粒径よりはるかに小さい粒径を有するという利点を有する。
【0374】
特に挙げられるラポナイトは、Rockwood Additives Limited社によって、以下の名称:Laponite(登録商標)XLS、Laponite(登録商標)XLG、Laponite(登録商標)RD、Laponite(登録商標)RDSおよびLaponite(登録商標)XL21(これらの製品は、ケイ酸マグネシウムナトリウムおよびケイ酸マグネシウムナトリウムリチウムである)で販売される製品を含む。
【0375】
このようなゲル化剤は、水相の総重量に対して0.1重量%〜8重量%の固形分、特に、0.1重量%〜5重量%、および特に、水相の総重量に対して0.5重量%〜3重量%の割合で使用され得る。
【0376】
III.B 親水性ヒュームドシリカ
本発明に係るヒュームドシリカは、親水性である。
【0377】
親水性ヒュームドシリカは、水素および酸素の存在下で、1000℃における連続火炎(continuous flame)中での、四塩化ケイ素(SiCl4)の熱分解によって得られる。本発明にしたがって使用され得る親水性のヒュームドシリカの中でも、特に、DegussaまたはEvonik−Degussa社によって商標Aerosil(登録商標)90、130、150、200、300および380で、またはCabot社によってCarbosil H5の名称で販売される製品が挙げられる。
【0378】
このようなゲル化剤は、水相の総重量に対して0.1重量%〜10重量%の固形分、特に、0.1重量%〜5重量%および特に、水相の総重量に対して0.5重量%〜3重量%の割合で使用され得る。
【0379】
化粧用組成物
本発明に係る組成物は、水性または含水アルコールローションまたはセラムであり得る。
【0380】
水相
本発明に係る組成物の水相は、水および任意選択的に、水溶性溶媒を含む。
【0381】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、かつ水混和性(25℃および大気圧で、50重量%超の水と混和性)である化合物を示す。
【0382】
本発明の組成物に使用され得る水溶性溶媒はまた、揮発性であり得る。
【0383】
本発明に係る組成物に使用され得る水溶性溶媒の中でも、特に、2〜8個の炭素原子を含有する低級モノアルコール、例えば、2〜8個の炭素原子を含有する、エタノールおよびイソプロパノール、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよびジプロピレングリコール、C3およびC4ケトンおよびC2〜C4アルデヒドが挙げられる。
【0384】
本発明に係るゲルは、重量総重量を基準にして、一般に、40重量%以上、好ましくは、50重量%以上、より特定的には、55重量%以上の割合の水相を含む。
【0385】
別の実施形態の変形によれば、本発明に係る組成物の水相は、少なくとも1つのC2〜C32ポリオールを含み得る。
【0386】
本発明の趣旨では、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するものと理解されるべきである。
【0387】
好ましくは、本発明に係るポリオールは、室温で、液体形態で存在する。
【0388】
本発明に使用するのに好適なポリオールは、アルキル鎖上に、少なくとも2つの−OH官能基、特に、少なくとも3つの−OH官能基、より特定的には、少なくとも4つの−OH官能基を有する、直鎖状、分枝鎖状または環状の、飽和または不飽和アルキル型の化合物であり得る。
【0389】
本発明に係る組成物の配合物に有利に好適なポリオールは、特に、2〜32個の炭素原子、好ましくは、3〜16個の炭素原子を示すものである。
【0390】
有利には、ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、例えば、グリセロールオリゴマー、例えば、ジグリセロール、およびポリエチレングリコール、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0391】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリオールは、エチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロールおよびポリエチレングリコール、およびそれらの混合物から選択される。
【0392】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくともプロピレングリコールを含み得る。
【0393】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくともグリセロールを含み得る。
【0394】
本発明に好適な水は、フローラルウォーター、例えば、コーンフラワーウォーターおよび/またはミネラルウォーター、例えば、Vittel製の水、Lucas製の水またはLa Roche Posay製の水、および/または熱水であり得る。
【0395】
アルコールを含む組成物
本発明の特定の形態によれば、組成物は、2〜8個の炭素原子を含む少なくとも1つのモノアルコールを含有する。
【0396】
本発明の特定の形態によれば、組成物は、総重量に対して、0.5〜7%、好ましくは、1〜5重量%の、2〜8個の炭素原子を含む少なくとも1つのモノアルコールを含有する。
【0397】
本発明の組成物は、2〜8個の炭素原子、特に、2〜6個の炭素原子、特に、2〜4個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノアルコールを含む。
【0398】
本発明の組成物は、1つまたは複数のモノアルコールを含み得る。モノアルコールは、例えば、式RaOH(式中、Raが、2〜8個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状アルキル基である)によって表され得る。
【0399】
一価アルコールとして、エタノール、イソプロパノール、プロパノールまたはブタノールが挙げられる。
【0400】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、エタノールを含む。
【0401】
添加剤
本発明に係る組成物は、一般に、対象とするケラチン物質に適合された、特定のガレヌス形態(galenic form)の配合物に従来使用されるさらなる化粧成分も含有し得る。それらのさらなる化粧成分は、特に、選択された皮膜形成ポリマー、非イオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤、親水性または親油性ゲル化剤または増粘剤、分散剤、活性剤、日焼け止め剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、本発明の粒子以外の充填剤、殺菌剤、消臭剤、着色剤(顔料、真珠層、水溶性染料)、塩、およびそれらの混合物であり得る。
【0402】
着色剤
本発明の特定の形態によれば、組成物は、好ましくは、組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%の割合の、少なくとも1つの粒子状または非粒子状、水溶性または水不溶性着色剤を含有する。
【0403】
明らかな理由から、この量は、所望の色効果の強度および該当する着色剤によって与えられる色の強度に関して大きく変化しやすく、その調整は、明らかに、当業者の能力の範囲内である。
【0404】
本発明の趣旨では、「水溶性着色剤」という用語は、水相または水混和性溶媒に可溶であり、かつ色を与えることが可能な、任意の天然または合成の、一般に有機化合物を意味する。
【0405】
本発明に使用するのに好適な水溶性染料として、特に、合成または天然水溶性染料、例えば、FDC Red 4、DC Red 6、DC Red 22、DC Red 28、DC Red 30、DC Red 33、DC Orange 4、DC Yellow 5、DC Yellow 6、DC Yellow 8、FDC Green 3、DC Green 5、FDC Blue 1、ベタニン(ビートルート)、カルミン、銅クロロフィリン、メチレンブルー、アントシアニン(エノシアニン(enocianin)、黒ニンジン、ハイビスカスおよびニワトコ)、カラメルおよびリボフラビンが挙げられる。
【0406】
水溶性染料は、例えば、ビートルートジュースおよびカラメルである。
【0407】
粒子状着色剤は、特に、金属の色合いを有する、顔料、真珠層および/または粒子であり得る。
【0408】
「顔料」という用語は、水溶液に不溶性であり、それらを含有する組成物を着色するか、および/または不透明にすることが意図される白色または着色された無機または有機粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0409】
顔料は、白色または着色されていてもよく、無機および/または有機であり得る。
【0410】
本発明に使用され得る無機顔料として、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化セリウムまたは二酸化セリウムおよびさらに酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルーおよびクロム水和物、およびそれらの混合物が挙げられる。それはまた、例えば、絹雲母/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカ型のものであり得る構造を有する顔料であり得る。このような顔料は、例えば、Chemicals and Catalysts社によって整理番号Coverleaf NSまたはJSで販売され、30の領域のコントラスト比を有する。
【0411】
それらはまた、例えば、酸化鉄を含有するシリカ微小球型のものであり得る構造を有する顔料であり得る。この構造を有する顔料の例は、Miyoshi社によって整理番号PC Ball PC−LL−100 Pで販売される製品であり、この顔料は、鉄黄を含有するシリカ微小球から構成される。
【0412】
有利には、本発明に係る顔料はまた、酸化鉄および/または二酸化チタンである。
【0413】
「真珠層」という用語は、特に、特定の軟体動物によってその殻中で生成され、あるいは合成され、光学干渉によって色効果を有する、任意の形状の虹色または非虹色の粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0414】
本発明に係る組成物は、前記組成物の総重量に対して0重量%〜15重量%の真珠層を含み得る。
【0415】
真珠層は、真珠層顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆されたチタン雲母、酸化クロムで被覆されたチタン雲母、有機染料で被覆されたチタン雲母およびさらにオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠層顔料から選択され得る。それらはまた、その表面で、金属酸化物および/または有機染料の少なくとも2つの連続層が重ねられた雲母粒子であり得る。
【0416】
同様に挙げられる真珠層の例は、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料でまたはオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母を含む。
【0417】
市場で入手可能な真珠層の中でも、Engelhard社によって販売される真珠層Timica、FlamencoおよびDuochrome(雲母をベースとする)、Merck社によって販売されるTimiron真珠層、Eckart社によって販売されるPrestige雲母ベース真珠層、およびSun Chemical社によって販売されるSunshine合成雲母ベース真珠層が挙げられる。
【0418】
真珠層は、より特定的には、黄、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶、金および/または銅の色または色合いを有し得る。
【0419】
有利には、本発明に係る真珠層は、二酸化チタンまたは酸化鉄で被覆された雲母、およびさらにオキシ塩化ビスマスである。
【0420】
本発明の趣旨では、「金属の色合いを有する粒子」という用語は、性質、サイズ、構造および表面仕上げが、入射光を、特に非虹色に反射させる任意の化合物を意味する。
【0421】
本発明に使用され得る金属の色合いを有する粒子は、特に、以下のものから選択される:
− 少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの金属誘導体の粒子;
− 少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの金属誘導体を含む、金属の色合いを有する少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、単一材料または複数材料の有機または無機基材を含む粒子;および
− 前記粒子の混合物。
【0422】
前記粒子中に存在し得る金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、TeおよびSe、およびそれらの混合物または合金が挙げられる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、MoおよびCr、およびそれらの混合物または合金(例えば、青銅および真ちゅう)が好ましい金属である。「金属誘導体」という用語は、金属から誘導される化合物、特に、酸化物、フッ化物、塩化物および硫化物を示す。
【0423】
挙げられるこれらの粒子の例は、アルミニウム粒子、例えば、Siberline社によってStarbrite 1200 EAC(登録商標)の名称で、およびEckart社によってMetalure(登録商標)の名称で販売されるもの、および金属層で被覆されたガラス粒子、特に、特開平9−188830号公報、特開平10−158450号公報、特開平10−158541号公報、特開平7−258460号公報および特開平5−017710号公報の文献に記載されるものを含む。
【0424】
着色剤の疎水性処理
上述される粉状染料は、それらが本発明の組成物の油性相とより相溶性になるように、特に、それらが油による良好な湿潤性を有するように、疎水性剤で完全にまたは部分的に表面処理され得る。したがって、これらの処理された顔料は、油性相中で十分に分散される。疎水性処理された顔料は、特に、欧州特許出願公開第1 086 683号明細書の文献に記載されている。
【0425】
疎水性処理剤は、シリコーン、例えば、メチコン、ジメチコンおよびパーフルオロアルキルシラン;脂肪酸、例えばステアリン酸;金属せっけん、例えば、ジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタメートのアルミニウム塩;パーフルオロアルキルホスフェート;ポリヘキサフルオロフルオロプロピレンオキシド;パーフルオロポリエーテル;アミノ酸;N−アシルアミノ酸またはそれらの塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、セバシン酸イソステアリル、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0426】
上に挙げられる化合物中で言及される「アルキル」という用語は、特に、1〜30個の炭素原子を含有する、好ましくは、5〜16個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0427】
充填剤
本発明の特定の形態によれば、組成物は、少なくとも1つの充填剤を含有する。
【0428】
本発明の趣旨では、「充填剤」という用語は、組成物の媒体中に分散された不溶性の形態である、任意の形態の無色または白色の固体粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0429】
無機または有機、天然または合成の性質を有するこれらの充填剤は、それらを含有する組成物に柔性を与え、メイクアップの結果にマット効果および均一性を与える。
【0430】
本発明に係る組成物中の充填剤は、層状形態(または小板状)、球形(または球状)、繊維またはこれらの明確な形態の中間の任意の他の形態であり得る。
【0431】
球形充填剤
本発明にしたがって使用される球形充填剤は、球形の形状またはほぼ球形の形状を有し、中空または中実であり得る。有利には、本発明の球形充填剤は、0.1μm〜250μm、好ましくは、1μm〜150μm、より好ましくは、10〜100μmの粒径(数平均直径)を有する。
【0432】
球形充填剤は、有機または無機微小球であり得る。有機球形充填剤として、例えば、ポリアミド粉末、特に、ナイロン(登録商標)粉末、例えば、ArkemaによってORGASOLの名称で販売されるナイロン−12またはポリアミド12;ポリエチレン粉末;ポリテトラフルオロエチレン粉末(Teflon );アクリルコポリマーをベースとする微小球、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートのコポリマー、Dow Corning社によってPolytrapの名称で販売されるコポリマー;膨張粉末、例えば、中空微小球、特に、Kemanord PlastによってExpancelの名称で、またはMatsumotoによってMicropearl F 80 EDの名称で販売される微小球;シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば、Toshiba SiliconeによってTospearlの名称で販売されるもの;MatsumotoによってMicrosphere M−100の名称で、またはWackerによってCovabead LH85の名称で販売されるポリメチルメタクリレート微小球;エチレンアクリレートコポリマー粉末、例えば、Sumitomo Seika ChemicalsによってFlobeadsの名称で販売されるもの;天然有機材料の粉末、例えば、架橋されたまたは他の形態の、特に、トウモロコシでんぷん、コムギまたはコメのでんぷん粉末、例えば、National StarchによってDry−FLOの名称で販売される、オクテニルコハク酸無水物で架橋されたでんぷんの粉末;8〜22個の炭素原子、好ましくは、12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸に由来する金属せっけん、例えば、ステアリン酸亜鉛、マグネシウムまたはリチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、Polyporus L 200(Chemdal Corporation)、ポリウレタン粉末、特に、Toshiki社によってPlastic Powder D−400(登録商標)またはPlastic Powder D−800(登録商標)の名称で販売される、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのポリマーとしてのトリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマーを含む架橋ポリウレタンの粉末、カルナウバマイクロワックス、例えば、Micro Powders社によってMicroCare 350(登録商標)の名称で販売されるもの、合成ワックスのマイクロワックス、例えば、Micro Powders社によってMicroEase 114S(登録商標)の名称で販売されるもの、カルナウバワックスとポリエチレンワックスとの混合物を含むマイクロワックス、例えば、Micro Powders社によってMicro Care 300(登録商標)および310(登録商標)の名称で販売されるもの、カルナウバワックスと合成ワックスとの混合物からなるマイクロワックス、例えば、Micro Powders社によってMicro Care 325(登録商標)の名称で販売されるもの、ポリエチレンマイクロワックス、例えば、Micro Powders社によってMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、および220L(登録商標)250S(登録商標)の名称で販売されるものが挙げられる。
【0433】
球形無機充填剤として、疎水性エアロゲルシリカ粒子が挙げられる。
【0434】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、有利には、200〜1500m/g、好ましくは、600〜1200m/g、さらに良好には、600〜800m/gの、単位質量(MS)当たりの比表面積を示す。単位質量当たりの比表面積は、“The Journal of the American Chemical Society”,Vol.60,page 309,February 1938に記載され、国際標準ISO 5794/1(Appendix D)に対応する、BET(ブルナウアー−エメット−テラー)方法と呼ばれる窒素吸収方法によって決定され得る。BET表面積は、前記シリカエアロゲル粒子の総表面積である。
【0435】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、好ましくは、平均直径(D[0,5])として表され、上述される方法にしたがって測定される、1500μm未満、好ましくは、1〜30μm、好ましくは、5〜25μm、好ましくは、5〜20μm、より好ましくは、5〜15μmのサイズを有する。
【0436】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、有利には、0.04〜0.10g/cm、好ましくは、0.05〜0.08g/cmの充填密度ρを有し得る。
【0437】
本発明に関して、充填密度ρは、以下のプロトコルを用いて評価され得、充填密度の前記プロトコル:
40gの粉末を、測定シリンダに注ぎ、次に、試験片を、STAV STAMPF Volumeter中のデバイス2003上に置く。次に、試験片を、一連の2500回の沈降(settlement)に供し(この操作を、2つの連続した試験間の体積の差が2%未満になるまで繰り返す);次に、充填粉末の最終体積Vfを、直接試験片上で測定する。充填密度は、質量比(m)/Vf、すなわち、40/Vf(Vfは、cmおよびmgで表される)によって決定される。
【0438】
一実施形態によれば、疎水性シリカエアロゲル粒子は、5〜60m/cm、好ましくは、10〜50m/cm、より好ましくは、15〜40m/cmの、単位体積SV当たりの比表面積を有する。単位体積当たりの比表面積は、等式:SV=ρSMによって求められ、式中、ρが、充填密度(g/cm)であり、SMが、上述されるように、m/gで表される単位質量当たりの表面積である。
【0439】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、好ましくは、シリル化シリカエアロゲル粒子(INCI名:シリル化シリカ)、特に、トリメチルシリル基で表面修飾された疎水性シリカエアロゲル(トリメチルシロキシ化シリカ)の粒子である。
【0440】
好ましい実施形態によれば、疎水性シリカエアロゲル粒子は、以下のものから選択され得る:
− 粒子が約1000μmの平均サイズおよび600〜800m/gの単位質量当たりの表面積を有する、Dow Corningによって商標VM−2260(INCI名シリル化シリカ)で販売されるエアロゲル、
− Cabot Aerogel TLD社によって、整理番号201、201およびEMT Aerogel、Aerogel TLD 203、Enova Aerogel MT 1100、Aerogel Enova MT 1200で販売されるエアロゲル。
【0441】
好ましい実施形態において、疎水性シリカエアロゲル粒子は、粒子が5〜15μmの範囲の平均サイズおよび600〜800m/gの単位質量当たりの表面積を有する、Dow Corningによって商標VM−2270(INCI名シリル化シリカ)で販売されるエアロゲルから選択される。
【0442】
球形無機充填剤として、シリカとして、Sunjin Chemicalによって販売されるSunsil 130(INCI名:シリカ)、および(ポリ)ビスマスオキシドなどの(ポリ)金属酸化物も挙げられる。
【0443】
層状充填剤
上述されるように、板状充填剤は、3つの寸法:長さ、幅および高さによって特徴付けられる、平行六面体形状(矩形または正方形面)、円盤状(円形面)または楕円体(楕円面)の充填剤である。形状が円形である場合、長さおよび幅は同一であり、ディスクの直径に相当する一方、高さは、ディスクの厚さに相当する。表面が楕円である場合、長さおよび幅はそれぞれ、楕円の主軸および副軸に相当し、高さは、ウエハによって形成される楕円ディスクの厚さに相当する。それが平行六面体である場合、長さおよび幅は、同一または異なる寸法を有することができ、長さおよび幅が同じサイズを有する場合、平行六面体の面の形状は正方形であり;他の場合、形状は矩形である。高さに関しては、それは、平行六面体の厚さである。
【0444】
本発明にしたがって使用される層状充填剤は、0.01〜100μm、好ましくは、0.1〜50μm、好ましくは、1〜50μmの範囲の長さを有する。小板は、0.01〜100μm、好ましくは、0.1〜50μm、好ましくは、1〜10μmの範囲の幅を有する。小板は、0.1nm〜1μm、好ましくは、1〜600nm、好ましくは、1〜500nmの高さ(厚さ)を有する。
【0445】
本発明の組成物に使用される層状充填剤として、フィロシリケート、例えば、タルク、雲母、パーライトおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0446】
タルクは、主に、アルミニウムシリケートを含む含水ケイ酸マグネシウムである。タルクの結晶構造は、シリカの層間の水滑石サンドイッチの反復層にある。タルクとして、Nippon TalcによってMicro Ace P3(INCI名:タルク)の名称で販売される製品、Luzenac 00 Imerys(INCI名:タルク)の名称で販売されるもの、またはImerysによってLuzenac Pharma M(INCI名:タルク)の名称で販売される製品が挙げられる。
【0447】
雲母は、任意選択的に、鉄および/またはアルカリ金属を含むアルミニウムシリケートである。それらは、薄い層(約1μm)に分割され得るという特性を有する。それらは、通常、最大寸法(長さ)について、5〜150μm、好ましくは、10〜100μm、より好ましくは、10〜60μmのサイズ、および0.1〜0.5μmの高さ(厚さ)を有する。雲母の中でも、金雲母、白雲母、フッ素金雲母、バーミキュライト、およびそれらの混合物が挙げられる。雲母として、Miyoshi KaseiによってS−sericite−152 BC(INCI名:雲母)の名称で販売される製品、BASF Personal Care Ingredientsによって販売されるMearlmica Treated SVA(INCI名:雲母(および)ラウロイルリジン)が挙げられる。
【0448】
フィロシリケートの中でも、パーライトも挙げられ、パーライトが好ましい。
【0449】
本発明にしたがって使用されるパーライトは、一般に、火山起源のアルミノシリケートであり、組成は以下のとおりである:
− 70.0〜75.0重量%のシリカSiO
12.0〜15.0重量%の酸化アルミニウムAlオキシド
− 3.0〜5.0%の酸化ナトリウムNa
− 3.0〜5.0%の酸化カリウムKO−0.5〜2%の酸化鉄Fe
− 0.2〜0.7%の酸化マグネシウムMgO
− 0.5〜1.5%の酸化カルシウムCaO
− 0.05〜0.15%の酸化チタンTiO
【0450】
パーライトは、第1の工程において、粉砕され、乾燥され、次に調整される(calibrated)。得られる生成物は、灰色でおよび約100μmのサイズの前記パーライト鉱石である。次に、パーライト鉱石は、膨張されて(1000℃/2秒)、程度の差はあるが白色の粒子が得られる。温度が850〜900℃に達すると、材料の構造中に閉じ込められた水が蒸発し、材料を、その元の体積を超えて膨張させる。本発明に係る膨張されたパーライト粒子は、米国特許第5,002,698号明細書に記載される膨張プロセスによって得ることができる。
【0451】
好ましくは、使用されるパーライト粒子は、破砕され;この場合、粉砕膨張パーライト(Expanded Perlite Milled)(EMP)と呼ばれる。それらは、好ましくは、0.5〜50μm、好ましくは、0.5〜40μmの中央径D50によって画定される粒径を有する。好ましくは、使用されるパーライト粒子は、10〜400kg/m(DIN 53468)、好ましくは、10〜300kg/mの範囲の、25℃でゆるく充填された、かさ密度を有する。
【0452】
好ましくは、WORLD MINERALS社によって商標OPTIMAT 1430 ORまたはOPTIMAT 2550で販売される膨張されたパーライト粒子が使用される。
【0453】
窒化ホウ素、絹雲母、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)粒子も挙げられる。
【0454】
本発明の好ましい実施形態によれば、層状充填剤は、タルク、雲母、パーライト、窒化ホウ素およびそれらの混合物から選択される。
【0455】
好ましい実施形態において、充填剤は、ポリアミド粉末、エラストマーオルガノポリシロキサン粉末、金属せっけん、シリカ、(ポリ)金属酸化物、疎水性シリカエアロゲル粒子、パーライト、タルク、雲母、窒化ホウ素およびその混合物、好ましくは、その混合物から選択される。
【0456】
好ましい実施形態において、充填剤は、Word Mineralsによって販売される、WORLD MINERALS社製のOPTIMAT 1430 ORまたはOPTIMAT 2550、Dow Corningによって販売されるVM−2270 Aerogel Fine Particles(INCI名:シリル化シリカ);Nippon Talcによって販売されるMicro Ace P3(INCI名:タルク);Sunjin Chemicalによって販売されるSunsil 130(INCI名:シリカ);Imerysによって販売されるLuzenac 00(INCI名:タルク);Arkemaによって販売されるOrgasol 2002(INCI名:ナイロン−12);Momentive Performance Materialsによって商標SOFTOUCH BORON NITRIDE POWDER CC6058で販売される窒化ホウ素、Stearinerie Duboisによって販売されるステアリン酸マグネシウム;Miyoshi Kaseiによって販売される絹雲母S−152−BC(INCI名:雲母);およびそれらの混合物、好ましくは、それらの混合物から選択される。
【0457】
充填剤の量は、例えば、組成物の総重量に対して、0.05〜10重量%、さらに良好には、0.1〜5重量%の範囲であり得る。
【0458】
非乳化オルガノポリシロキサンエラストマー
本発明の特定の形態によれば、組成物は、少なくとも1つの非乳化オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する。
【0459】
親油性ゲル化剤として使用可能なオルガノポリシロキサンエラストマーは、本発明に係る組成物に、良好な適用性を与えるという利点を有する。それは、塗布後に非常にソフトなマットさを与え、これは、皮膚への塗布に特に有利である。それはまた、ケラチン物質上に存在する毛穴を有効に隠すことを可能にし得る。本発明の組成物は、毛穴の遮蔽の良好な持ちを有する。
【0460】
「オルガノポリシロキサンエラストマー」または「シリコーンエラストマー」とは、粘弾性、および特にスポンジまたは可撓性球の稠度を有する、変形可能な可撓性オルガノポリシロキサンを指す。その弾性率は、この材料が変形に対して抵抗性であり、膨張および収縮の限られた能力を有するようなものである。この材料は、伸縮後にその元の形状を回復することが可能である。
【0461】
これは、特に、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0462】
したがって、オルガノポリシロキサンエラストマーは、特に、白金触媒の存在下における、ケイ素に結合された少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合されたエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの付加反応によって;または特に、有機スズ化合物の存在下における、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合された少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンとの間の脱水素架橋縮合反応によって;またはヒドロキシル末端基を有するジオルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノポリシランとの架橋縮合反応によって;または特に、有機過酸化物触媒の存在下における、オルガノポリシロキサンの熱架橋によって;またはガンマ線、紫外線または電子ビームなどの高エネルギー放射線によるオルガノポリシロキサンの架橋によって得ることができる。
【0463】
好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーは、例えば、欧州特許出願公開第295886号明細書に記載されるように、(A)それぞれケイ素に結合された少なくとも2つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、(B)ケイ素に結合された少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの、特に、(C)白金触媒の存在下における架橋付加反応によって得られる。
【0464】
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下における、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端を含むメチルヒドロポリシロキサンとの反応によって得ることができる。
【0465】
化合物(A)は、エラストマーオルガノポリシロキサンの形成のための基礎試薬であり、架橋は、触媒(C)の存在下における、化合物(A)と化合物(B)との付加反応によって行われる。
【0466】
化合物(A)は、各分子中で異なるケイ素原子に結合された少なくとも2個の水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。化合物(A)は、任意の分子構造、特に、直鎖または分枝鎖構造または環状構造を有し得る。化合物(A)は、25℃で、1〜50,000センチストークの範囲の粘度を有してもよく、特に、化合物(B)との良好な混和性を有する。化合物(A)のケイ素原子に結合された有機基は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル;置換アルキル基、例えば、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル;アリール基、例えば、フェニル、トリル、キシリル;置換アリール基、例えば、フェニルエチル;および置換一価炭化水素基、例えば、エポキシ基、カルボン酸エステル基またはメルカプト基であり得る。
【0467】
化合物(A)は、トリメチルシロキシ末端メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端を含有するジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマー、環状ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマーから選択され得る。
【0468】
化合物(B)は、好ましくは、少なくとも2つの低級アルケニル基(例えばC2〜C4)を有するジオルガノポリシロキサンであり;低級アルケニル基は、ビニル、アリル、およびプロペニルから選択され得る。これらの低級アルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子の任意の位置に配置され得るが、好ましくは、オルガノポリシロキサン分子の末端に配置される。オルガノポリシロキサン(B)は、分枝鎖構造、直鎖、環状または網目構造を有し得るが、直鎖構造が好ましい。化合物(B)は、液体状態からガム状態の範囲の粘度を有し得る。好ましくは、化合物(B)は、25℃で少なくとも100センチストークの粘度を有する。
【0469】
上記のアルケニル基に加えて、化合物(B)中のケイ素原子に結合された他の有機基は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはオクチル;置換アルキル基、例えば、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル;アリール基、例えば、フェニル、トリルまたはキシリル;置換アリール基、例えば、フェニルエチル;および置換一価炭化水素基、例えば、エポキシ基、カルボン酸エステル基またはメルカプト基であり得る。
【0470】
オルガノポリシロキサン(B)は、メチルビニルポリシロキサン、メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端を含むジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、末端基を含有するジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサントリメチルシロキシ末端基、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)−ポリシロキサンジメチルビニルシロキシ末端およびジメチルシロキサン−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン末端ジメチルポリシロキサンから選択され得る。
【0471】
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下における、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチル水素ポリシロキサンとの反応によって得ることができる。
【0472】
有利には、化合物(B)の分子当たりのエチレン基の数、および化合物(A)の分子当たりのケイ素原子に結合された水素原子の数の合計は、少なくとも5である。
【0473】
化合物(A)が、化合物(A)中のケイ素原子に結合された水素原子の総量と、エチレン性不飽和化合物(B)中の全てのこのような基の総量との間のモル比が、1.5/1〜20/1の範囲であるような量で加えられるのが有利である。
【0474】
化合物(C)は、架橋反応用の触媒であり、特に、塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、塩化白金酸−アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸−ジケトン、白金黒、および担体上の白金である。
【0475】
触媒(C)は、好ましくは、化合物(A)および(B)の総量の1000重量部当たり、クリーンな白金金属として0.1〜1000重量部、より好ましくは、1〜100重量部加えられる。エラストマーは、好ましくは、非乳化エラストマーである。
【0476】
「非乳化」という用語は、親水性鎖を含有しない、特に、ポリオキシアルキレン単位(特に、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン)またはポリグリセリル単位を含有しないオルガノポリシロキサンエラストマーを定義する。したがって、本発明の特定の一実施形態において、組成物は、ポリオキシアルキレン単位およびポリグリセリルパターンを含まないエラストマーオルガノポリシロキサンを含む。
【0477】
特に、本発明に使用されるシリコーンエラストマーは、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー−3(INCI名)から選択される。
【0478】
オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、少なくとも1つの炭化水素油および/またはシリコーン油に含まれるエラストマーオルガノポリシロキサンからなるゲルの形態で運ばれ得る。これらのゲルにおいて、オルガノポリシロキサン粒子は、非球形粒子であることが多い。
【0479】
非乳化エラストマーは、欧州特許第242 219号明細書、欧州特許第285 886号明細書、欧州特許第765 656号明細書および特開昭61−194009号公報に記載されている。シリコーンエラストマーは、一般に、ゲル、ペーストまたは粉末の形態であるが、好ましくは、シリコーンエラストマーが直鎖状シリコーン油(ジメチコン)または環状(例えば、シクロペンタシロキサン)、好ましくは、直鎖状シリコーン油中に分散されたゲルとしての形態である。
【0480】
使用され得る非乳化エラストマーとして、より特定的には、Shin Etsu社によって「KSG−6」、「KSG−15」、「KSG−16」、「KSG−18」、「KSG−41」、「KSG−42」「KSG−43」、「KSG−44」の名称で、Dow Corning社によって「DC9040」、「DC9041」の名称で、General Electric社によって「SFE 839」の名称で販売されるものである。
【0481】
特定の一実施形態において、シクロペンタジメチルシロキサン、ジメチコン、ジメチルシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコンおよびシクロメチコンを含む非網羅的なリストから選択されるシリコーン油、好ましくは、任意選択的にフッ素化された脂肪族基で、またはヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基などの官能基で任意選択的に修飾された、ポリジメチルシロキサン(PDMS)または25℃で1〜500cStの範囲の25℃での粘度を有するジメチコンから選択される直鎖状シリコーン油中に分散されたシリコーンエラストマーゲルを使用する。
【0482】
これらとしては、特に、INCI名を有する以下の化合物が挙げられる:
− ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、例えば、Shin−Etsuの「USG−105」および「USG−107A」;Dow Corningによる「DC9506」および「DC9701」、
− ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)ジメチコン、例えば、Shin Etsu社による「KSG−6」および「KSG−16」;
− ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)シクロペンタシロキサン、例えば、「KSG−15」;
− シクロペンタシロキサン(および)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning製の「DC9040」、「DC9045」および「DC5930」;
− ジメチコン(および)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning製の「DC9041」;
− ジメチコン(および)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning製の「Dow Corning silicone elastomer EL−9240(登録商標)Blend」(架橋(reticulated)ヘキサジエン/ポリジメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンの混合物(2cSt));
− C4〜24アルキルジメチコン/ジビニルジメチコンクロスポリマー、例えば、Alzo社によるSilk NuLastic AM。
【0483】
本発明に有利に使用される直鎖状シリコーン油中に分散されたシリコーンエラストマーの例、特に、以下の整理番号のものが挙げられる:
− ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)ジメチコン、例えば、Shin Etsu社による「KSG−6」および「KSG−16」;
− ジメチコン(および)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning製の「DC9041」;および
− ジメチコン(および)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning製の「Dow Corning silicone elastomer EL−9240(登録商標)Blend」(ヘキサジエン/ポリジメチルシロキサンと架橋されたポリジメチルシロキサンの混合物(2cSt));
− ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(および)ジメチコン(および)フェニルビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、例えば、Shin Etsuによって販売されるKSG 18A)。
【0484】
オルガノポリシロキサンエラストマー粒子はまた、粉末形態で使用され得、Dow Corningによって「Dow Corning 9505 Powder」、「Dow Corning 9506 Powder」の名称で販売される粉末が挙げられ、これらの粉末は、INCI名:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。オルガノポリシロキサン粉末はまた、例えば、米国特許第5,538,793号明細書に記載されているように、シルセスキオキサン樹脂で被覆され得る。このようなエラストマー粉末は、Shin Etsu社によって「KSP−100」、「KSP−101」、「KSP−102」、「KSP−103」、「KSP−104」、「KSP−105」の名称、およびINCI名:ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーで販売される。
【0485】
本発明にしたがって有利に使用されるシルセスキオキサン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサン粉末の例としては、特に、Shin Etsuのブランド名「KSP−100」で販売されるもののような、オルガノポリシロキサンエラストマーINCI名ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーが挙げられる。好ましい親油性ゲル化剤型のオルガノポリシロキサンエラストマーとして、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(および)ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー−3(INCI名)、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(および)ジメチコン(および)フェニルビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)および特に、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)から選択される架橋オルガノポリシロキサンエラストマーが特に挙げられる。
【0486】
オルガノポリシロキサンは、好ましくは、組成物の総重量に対して1〜5重量%%の濃度で存在する。
【0487】
分散剤
有利には、本発明に係る組成物は、分散剤も含み得る。
【0488】
このような分散剤は、界面活性剤、オリゴマー、ポリマーまたはそれらのいくつかの混合物であり得る。
【0489】
特定の一実施形態によれば、本発明に係る分散剤は、界面活性剤である。
【0490】
活性剤
特定のケア用途の場合、本発明に係る組成物は、少なくとも1つの保湿剤(湿潤剤としても知られている)を含み得る。
【0491】
好ましくは、このような保湿剤は、グリセロールである。
【0492】
保湿剤は、前記組成物の総重量に対して、0.1重量%〜15重量%、特に、0.5重量%〜10重量%、あるいは1重量%〜6重量%の範囲の含量で、組成物中に存在し得る。
【0493】
本発明の組成物に使用され得る他の活性剤として、挙げられる例は、ビタミン、例えば、ビタミンA、C、E、B3、B5、Kおよびそれらの誘導体、特に、それらのエステル、ヒアルロン酸、日焼け止め剤、尿素およびその水酸化誘導体、例えば、National StarchによってHydrovanceの名称で販売されるN−(2−ヒドロキシエチル)尿素;サリチル酸、5−n−オクタノイルサリチル酸または商標MEXORYL SAB(登録商標)で販売されるカプリロイルサリチル酸;商標MEXORYL BB(登録商標)での、特に、水/1,2−プロパンジオールの混合物中30%の溶液中のC−β−D−キシロピラノシド−2−ヒドロキシ−プロパン;金属イオン封鎖剤、例えば、EDTA、およびそれらの混合物を含む。
【0494】
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1つの活性剤を含む。
【0495】
本発明に係る組成物中に存在する添加剤の性質および量を、その所望の化粧特性が添加剤によって影響されないように調整することは、当業者にとって日常的な作業に過ぎない。
【0496】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、アンチエイジング製品、セルフタンニング製品、日焼け止め製品のような、皮膚、特に、身体、脚または顔をケアするための組成物、スリミングのための組成物、皮膚の色を調節するための組成物の形態であり得る。
【0497】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、皮膚、特に、顔、眼瞼または眼の周りをメイクアップするための組成物の形態であり得る。したがって、それは、フェースライター(face lighter)、色付きBB(「Blamish Balm」)ゲル、アイライター(eye lighter)であり得る。
【0498】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、リップケア製品、グロスの形態であり得る。
【0499】
このような組成物は、特に、当業者の一般知識にしたがって調製される。
【0500】
特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通して、「〜を含む(comprising a)」という用語は、特に規定されない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であるものと理解されるべきである。
【0501】
「...〜...」および「...〜...の範囲の」という表現は、特に規定されない限り、限度値を含むことを意味するものと理解されるべきである。
【0502】
本発明は、実施例によってより詳細に例示される。特に記載されない限り、示される量は、重量パーセンテージとして表される。
【実施例】
【0503】
ここで、以下の実施例が参照され、実施例は、上記の説明と一緒に本発明のある実施形態を非限定的に例示する。
【0504】
材料および方法
− 酢酸エチルを、Gadot(Israel)から入手した。
− ステアリン酸マグネシウムを、FACI ASIA PACIFIC PTE Ltd.から入手した。
− 本明細書全体を通して二酸化チタンまたはTiO RC402とも呼ばれる酸化チタンを、Sachtleben Chemie GmbHから入手した。
− ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマス(Timiron(登録商標)Liquid Silverとして販売される)を、Merck KGaA(Darmstadt,Germany)から入手した。
− 使用されるポリビニルアルコール(PVA)は、Mowiol 4−88、KSE溶液4%(Kuraray America,Inc.,USA)であった。
− 酢酸セルロース398−10NFを、Eastman(USA)から入手した。
− (ポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)、EUDRAGIT(登録商標)RS POを、Evonik industries(Germany)から入手した。
− マイクロカプセルのサイズ分布を、HORIBA LA300を用いて測定した。
マイクロカプセルのゆるみかさ密度を、USP−NF<616>を用いて測定した。
【0505】
実施例1:ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを含有するPMMAマイクロカプセルの調製
1.1 有機相/マスターバッチ(MB)の調製
10グラムの壁形成性ポリマーポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を、撹拌しながら(10分間)、300グラムの酢酸エチル中に徐々に加え、得られた混合物を50℃に加熱し、混合物が均一で透明になるまで(約20分間)十分に撹拌することによって、有機相(本明細書において同義的に「マスターバッチ」(MB)と呼ばれる)を調製した。得られたポリマー溶液を25℃に冷却した。1グラムのステアリン酸マグネシウム(MgSt)を、約5分間にわたって撹拌しながら溶液に加えた。次に、10グラムの二酸化チタン(TiO2)を、約5分間にわたって撹拌しながら溶液に加え、次に、混合物を約8分間にわたって均質化した。
【0506】
ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル(79グラム)中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスの混合物を、約5分間にわたって撹拌しながら前の懸濁液に加えた。調製されたMBに含まれる成分のリストが、表1に示される。
【0507】
【表1】
【0508】
1.2 エマルジョンの調製
0.25%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を、水(1013グラム)を、PVA 4%の溶液(68グラム)と混合することによって調製した。酢酸エチル(120グラム)を水溶液に加え、その後、上の工程1.1のマスターバッチを、2分間にわたって約400RPMで撹拌しながら酢酸エチル/水エマルジョン中に徐々に加えた。マスターバッチとエマルジョンとの間の比率(w/w)は、1/3であった。調製されたエマルジョンに含まれる成分のリストが、表2に示される。
【0509】
【表2】
【0510】
1.3 有機溶媒の抽出
抽出溶液は、8775グラムの水と、225グラムのPVA溶液4%との混合物から構成された(抽出溶液中のPVAの最終濃度は、0.10%のPVAであった)。上の工程1.2のエマルジョン(1600グラム)を、手動ポンプを用いて150RPMで撹拌しながら15Lのバケツ中で抽出溶液中に徐々に加え、得られた混合物をさらに15分間にわたってさらに撹拌した。得られた混合物を、25℃で約24時間にわたって沈殿させた。抽出媒体に含まれる成分のリストが、表3に示される。
【0511】
【表3】
【0512】
1.4 マイクロカプセルの洗浄、乾燥およびふるい分け
上の工程1.3において得られたマイクロカプセルを、沈殿または真空ろ過のいずれかによって分離し、次に、乾燥させ、ふるい分けした。
【0513】
沈殿手順では、バケツからの上側液相をデカントし、残っている懸濁液を振とうし、乾燥容器に移した。
【0514】
ろ過手順では、上側相の液体をバケツからデカントし、残っている懸濁液を振とうし、次に、ろ過し、沈殿物を、400mlの水で、フィルタ上ですすいだ。懸濁液を乾燥容器に移した。乾燥段階では、マイクロカプセルを、48時間にわたってフリーズドライした(凍結乾燥した)。
【0515】
ふるい分け段階では、乾燥されたマイクロカプセルを、自動ふるい機「Ari j−Levy」、Sifter MIC.100を用いてふるい分けした。ふるい分けされたマイクロカプセルを、室温で適切な容器中で、または冷蔵庫中で貯蔵した。
【0516】
実施例2:ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを含有する酢酸セルロースマイクロカプセルの調製
2.1 有機相/マスターバッチ(MB)段階の調製
5グラムの壁形成性ポリマー酢酸セルロース398−10NF(CA)を、撹拌しながら(10分間)、300グラムの酢酸エチル中に徐々に加え、得られた混合物を、混合物が均一で透明になるまで(約20分間)撹拌することによって、有機相(本明細書において同義的に「マスターバッチ」(MB)と呼ばれる)を調製した。次に、30グラムの二酸化チタン(TiO2)を、約5分間にわたって撹拌しながら得られた溶液に加え、次に、混合物を約8分間にわたって均質化した。その後、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル(60グラム)中で予め分散されたオキシ塩化ビスマスの混合物を、約5分間にわたって撹拌しながら懸濁液に加えた。
【0517】
調製されたMBに含まれる成分のリストが、表4に示される。
【0518】
【表4】
【0519】
2.2 エマルジョンの調製
0.4%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を、水(972グラム)を、PVA 4%の溶液(108グラム)と混合することによって調製した。酢酸エチル(120グラム)を水相に加え、その後、上の工程3.1のマスターバッチを、2分間にわたって約400RPMで撹拌しながら酢酸エチル/水エマルジョン中に徐々に加えた。マスターバッチとエマルジョンとの間の比率(w/w)は、1/3であった。調製されたエマルジョンに含まれる成分のリストが、表5に示される。
【0520】
【表5】
【0521】
2.3 有機溶媒の抽出
抽出溶液は、8550グラムの水と、450グラムのPVA溶液4%との混合物から構成された(抽出流体中のPVAの最終濃度は0.20%のPVA)。上の工程3.2のエマルジョン(1600グラム)を、手動ポンプを用いて150RPMで撹拌しながら15Lのバケツ中で抽出溶液に徐々に加え、得られた混合物をさらに15分間にわたってさらに撹拌した。得られた混合物を、25℃で約24時間にわたって沈殿させた。調製された抽出媒体に含まれる成分のリストが、表6に示される。
【0522】
【表6】
【0523】
2.4 マイクロカプセルの洗浄、乾燥およびふるい分け
上の工程3.3において得られたマイクロカプセルを、実施例1について上述されるように、沈殿または真空ろ過のいずれかによって分離し、乾燥させ、ふるい分けした。
【0524】
実施例3:ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを含有するEUDRAGIT(登録商標)マイクロカプセルの調製
3.1 有機相/マスターバッチ(MB)段階の調製
10グラムの壁形成性ポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)(EUDRAGIT(登録商標)RS PO)を、撹拌しながら(10分間)、300.0グラムの酢酸エチル中に徐々に加え、50℃に加熱し、混合物が均一で透明になるまで(約20分間)十分に撹拌することによって、有機相(本明細書において同義的に「マスターバッチ」(MB)と呼ばれる)を調製した。得られたポリマー溶液を25℃に冷却した。1グラムのステアリン酸マグネシウム(MgSt)を、約5分間にわたって撹拌しながら溶液に加えた。次に、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル(79グラム)中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを、約5分間にわたって撹拌しながら懸濁液に加えた。MBの成分は、表7に示される。
【0525】
【表7】
【0526】
3.2 エマルジョンの調製
0.25%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を、水(844グラム)を、PVA 4%の溶液(56グラム)と混合することによって調製した。酢酸エチル(100グラム)を水相に加えた。10グラムの二酸化チタン(TiO2)を、約5分間にわたって撹拌しながら前の工程に加え、次に、混合物を約8分間にわたって均質化し、次に、上の工程4.1のマスターバッチを、2分間にわたって約400RPMで撹拌しながら酢酸エチル/水エマルジョン中に徐々に加えた。マスターバッチとエマルジョンとの間の比率(w/w)は、1/3であった。エマルジョンの成分は、表8に示される。
【0527】
【表8】
【0528】
3.3 有機溶媒の抽出
抽出流体は、6923グラムの水と、178グラムのPVA溶液4%との混合物から構成された(抽出流体中のPVAの最終濃度は0.10%のPVA)。上の工程4.2のエマルジョン(1333グラム)を、手動ポンプを用いて150RPMで撹拌しながら15Lのバケツ中で抽出流体中に徐々に加え、さらに15分間にわたってさらに撹拌した。得られた混合物を、25℃で約24時間にわたって沈殿させた。抽出媒体の成分は、表9に示される。
【0529】
【表9】
【0530】
3.4 マイクロカプセルの洗浄、乾燥およびふるい分け
上の工程3.3において得られたマイクロカプセルを、実施例1について上述されるように、沈殿または真空ろ過のいずれかによって分離し、乾燥させ、ふるい分けした。
【0531】
実施例4:ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを含有するPMMA/MAマイクロカプセルの調製
4.1 有機相/マスターバッチ(MB)段階の調製
10グラムの壁形成性ポリマーポリ(メタクリル酸−co−メチルメタクリレート)(PMMA/MA)を、撹拌しながら(10分間)、300.0グラムの酢酸エチル中に徐々に加え、50℃に加熱し、混合物が均一で透明になるまで(約20分間)十分に撹拌することによって、有機相(本明細書において同義的に「マスターバッチ」(MB)と呼ばれる)を調製した。得られたポリマー溶液を25℃に冷却した。1グラムのステアリン酸マグネシウム(MgSt)を、約5分間にわたって撹拌しながら溶液に加えた。その後、10グラムの二酸化チタン(TiO2)を、約5分間にわたって撹拌しながら加え、次に、混合物を約8分間にわたって均質化した。その後、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル(79グラム)中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを、約5分間にわたって撹拌しながら懸濁液に加えた。MBの成分は、表10に示される。
【0532】
【表10】
【0533】
4.2 エマルジョンの調製
0.25%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を、水(1013グラム)を、PVA 4%の溶液(68グラム)と混合することによって調製した。酢酸エチル(120グラム)を水相に加え、次に、上の工程1.1のマスターバッチを、2分間にわたって約400RPMで撹拌しながら酢酸エチル/水エマルジョン中に徐々に加えた。マスターバッチとエマルジョンとの間の比率(w/w)は、1/3であった。エマルジョンの成分は、表11に示される。
【0534】
【表11】
【0535】
4.3 有機溶媒の抽出
抽出流体は、8775グラムの水と、225グラムのPVA溶液4%との混合物から構成された(抽出流体中のPVAの最終濃度は0.10%のPVA)。上の工程1.2のエマルジョン(1600グラム)を、手動ポンプを用いて150RPMで撹拌しながら15Lのバケツ中で抽出流体中に徐々に加え、さらに15分間にわたってさらに撹拌した。得られた混合物を、25℃で約24時間にわたって沈殿させた。抽出媒体の成分は、表12に示される。
【0536】
【表12】
【0537】
4.4 マイクロカプセルの洗浄、乾燥およびふるい分け
上の工程4.3において得られたマイクロカプセルを、実施例1について上述されるように、沈殿または真空ろ過のいずれかによって分離し、乾燥させ、ふるい分けした。
【0538】
実施例5:ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル中に予め分散されたオキシ塩化ビスマスを含有するEUDRAGIT(登録商標)マイクロカプセルの調製
5.1 有機相/マスターバッチ(MB)段階の調製
10グラムの壁形成性ポリマーポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート−co−トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)(EUDRAGIT(登録商標)RS PO)を、撹拌しながら(10分間)、185.7グラムの酢酸エチル中に徐々に加え、50℃に加熱し、混合物が均一で透明になるまで(約20分間)十分に撹拌することによって、有機相(本明細書において同義的に「マスターバッチ」(MB)と呼ばれる)を調製した。得られたポリマー溶液を25℃に冷却した。10グラムのクエン酸トリエチルを、約5分間にわたって撹拌しながら溶液に加えた。その後、80グラムのオキシ塩化ビスマス(BiClO)を、約5分間にわたって撹拌しながら混合物に加え、次に、混合物を約8分間にわたって均質化した。MBの成分は、表13に示される。
【0539】
【表13】
【0540】
5.2 エマルジョンの調製
0.25%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を、水(723.2グラム)を、PVA 4%の溶液(48.2グラム)と混合することによって調製した。酢酸エチル(85.7グラム)を水相に加え、次に、上の工程6.1のマスターバッチを、10分間にわたって約400RPMで撹拌しながら酢酸エチル/水エマルジョン中に徐々に加えた。マスターバッチとエマルジョンとの間の比率(w/w)は、1:3であった。エマルジョンの成分は、表14に示される。
【0541】
【表14】
【0542】
5.3 有機溶媒の抽出
抽出流体は、5599グラムの水と、144グラムのPVA溶液4%との混合物から構成された(抽出流体中のPVAの最終濃度は0.10%のPVA)。上の工程6.2のエマルジョン(1449.2グラム)を、手動ポンプを用いて150RPMで撹拌しながら15Lのバケツ中で抽出流体中に徐々に加え、さらに15分間にわたってさらに撹拌した。得られた混合物を、25℃で約24時間にわたって沈殿させた。抽出媒体の成分は、表15に示される。
【0543】
【表15】
【0544】
5.4 マイクロカプセルの洗浄、乾燥およびふるい分け
上の工程5.3において得られたマイクロカプセルを、実施例1について上述されるように、沈殿または真空ろ過のいずれかによって分離し、乾燥させ、ふるい分けした。
【0545】
実施例6:特性評価
サイズ分布:
実施例1〜5において得られたマイクロカプセルのサイズ分布を測定し、得られたデータが以下に示される。
【0546】
本明細書全体を通して、「平均」直径は、マイクロカプセルの平均サイズを意味する。マイクロカプセルのサイズは、レーザー分布サイズ方法によって、特に、値D[50]およびD[90]を測定することによって測定され得る。D50は、マイクロカプセルの50%を超えないサイズを意味し、D90は、マイクロカプセルの90%を超えないサイズを意味する。
【0547】
実施例1に記載されるように得られたマイクロカプセルの直径は、約3μm〜約600μmの範囲であり、平均直径は、約175μmであり、マイクロカプセルのD50は、約155μmであり、マイクロカプセルのD90は、約320μmである。
【0548】
実施例3に記載されるように得られたマイクロカプセルの直径は、約3μm〜約500μmの範囲であり、平均直径は、約120μmであり、マイクロカプセルのD50は、約96μmであり、マイクロカプセルのD90は、約237μmである。
【0549】
実施例4に記載されるように得られたマイクロカプセルの直径は、約3μm〜約400μmの範囲であり、平均直径は、約120μmであり、マイクロカプセルのD50は、約106μmであり、マイクロカプセルのD90は、約195μmである。
【0550】
実施例5に記載されるように得られたマイクロカプセルの直径は、約3μm〜約250μmの範囲であり、平均直径は、約120μmであり、マイクロカプセルのD50は、約96μmであり、マイクロカプセルのD90は、約237μmである。
【0551】
ゆるみかさ密度:
実施例1において得られたマイクロカプセルのゆるみかさ密度は、約300〜約450グラム/リットル(約0.30〜約0.45グラム/cm)、または約300〜約380グラム/リットル(約0.30〜約0.38グラム/cm)または約300〜約340グラム/リットル(約0.30〜約0.4グラム/cm)の範囲であると測定された。
【0552】
実施例2において得られたマイクロカプセルのゆるみかさ密度は、約360〜約460グラム/リットル(約0.36〜約0.46グラム/cm)、または約380〜440グラム/リットル(約0.38〜約0.44グラム/cm)、または約400〜420グラム/リットル(約0.40〜約0.42グラム/cm)の範囲であると測定された。
【0553】
実施例3において得られたマイクロカプセルのゆるみかさ密度は、約140〜約360グラム/リットル(約0.14〜約0.36グラム/cm)、または約200〜300グラム/リットル(約0.20〜約0.30グラム/cm)、または約240〜約260グラム/リットル(約0.24〜約0.26グラム/cm)の範囲であると測定された。
【0554】
実施例5において得られたマイクロカプセルのゆるみかさ密度は、約420〜約560グラム/リットル(約0.42〜約0.56グラム/cm)、または約450〜約530グラム/リットル(約0.45〜約0.53グラム/cm)、または約480〜約500グラム/リットル(約0.48〜約0.50グラム/cm)の範囲であると測定された。
【0555】
遮蔽:
オキシ塩化ビスマスを封入することによって提供される遮蔽効果の定量的測定、CIE表色系(CIE Lカラースケールに基づく、ここで、Lが、明度を定義し、aが、赤色/緑色値を示し、bが、黄色/青色値を示す)を用いたX−Rite測定技術を使用した。これらの測定に適用される標準的な光源は日光であった。
【0556】
色の3つの視覚要素:色相(すなわち、対象の色をどのように感知するか)、彩度(色の鮮やかさまたはくすみ、すなわち、色が灰色または純色の色相のいずれかにどのくらい近いか)、および明度(すなわち、色が明るいかまたは暗いかを分類する)について測定された値/データを統合することによって、定量値を得た。
【0557】
以下の表16は、オキシ塩化ビスマス含有原料Timiron(登録商標)Liquid Silver(DL)に対する本発明のマイクロカプセルの、明度スケールLにおける明度の変化を示す。表XXXに示される正のDL値は、原料と比較して、本発明のマイクロカプセルの、明度スケールにおける、かなり明るく鮮やかな色の方向への変化を示し、これは、遮蔽効果を示す。
【0558】
【表16】
【0559】
光反射:
光反射は、ハロゲンランプを備えた偏光配光測定システムを用いて測定される。入力光および検出光の両方が、偏光される。可動検出器を用いて、入射光角度は45°であり、収束角は、20〜75°の範囲にわたる。検出偏光器は、平行または垂直偏光のいずれかを収集するように回転され得る。光の各量は、平行フィルタ光および垂直フィルタ光の量から計算され得る。
【0560】
内部反射光の量:
I内部反射光=2×I垂直
表面反射光の量:
I表面反射光=I平行−I垂直
全反射光の量:
I全反射光=I内部+I表面=I平行+I垂直
I直交:直交偏光フィルタを通過する光の量。
I平行:平行偏光フィルタを通過する光の量。
【0561】
【表17】
【表18】
【0562】
調製方法:
相Bの成分を、500mlのビーカー中で検量し、80℃に加熱した。一方、相Aを、沸騰させ、次に、相Bに加えた。得られた混合物をMorritzで撹拌し、65℃に冷却した。1リットルのビーカー中で、相Dを秤量し、撹拌し(Rayneri)、次に、前の調製物に加えた。カプセル中で、相Eを秤量し、次に、前の調製物に加えて、5.3に近いpHに到達させた。相Cを加えて、55℃になるまで撹拌しながら冷ました。次に、連続して加えられるFおよびGを、分離されたカプセル中で予め分散させた。得られた混合物を撹拌し、5分間維持した(Raynerie)。成分の量は、組成物の総重量に対する重量パーセンテージで表される。
【0563】
評価:
例6Aは、本発明に係る実施例6Bと対照的に、不均一な視覚的側面を示した。多くの灰色の点があった。この製品は、多くの渦巻を示し、色均一性が不十分であった。それは、良好な安定性、良好な色変換および均一性を示す実施例6Bと比較して許容できない。