(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下に分離可能な複数の円筒状の分割篩枠からなる篩枠体と、前記篩枠体に組み込まれる網具とを備え、前記網具上に投下された分級対象の粉体に対し前記篩枠体を介して振動を与えて篩い分けるようにした振動篩機であって、
前記網具は、
外周面が前記分割篩枠の径方向外側に向けて露出するように前記分割篩枠によって挟持される円環状の網具フレームと、
前記網具フレームに張設される補強網と、
前記補強網を覆うとともに前記網具フレームの外周面に垂れ掛けるように被せられる篩過網と、
前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に装着される締付バンドとを備えてなり、
前記網具フレームは、断面四角環状の角パイプ材を円環状に曲成してなるもの、又は断面L字形のアングル材を円環状に曲成してなるものであり、且つ前記分割篩枠によって挟持される被挟持面部が、当該網具フレームの中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されている振動篩機。
上下に分離可能な複数の円筒状の分割篩枠からなる篩枠体と、前記篩枠体に組み込まれる網具とを備え、前記網具上に投下された分級対象の粉体に対し前記篩枠体を介して振動を与えて篩い分けるようにした振動篩機であって、
前記網具は、
外周面が前記分割篩枠の径方向外側に向けて露出するように前記分割篩枠によって挟持される円環状の網具フレームと、
前記網具フレームに張設される補強網と、
前記補強網を覆うとともに前記網具フレームの外周面に垂れ掛けるように被せられる篩過網と、
前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に装着される締付バンドとを備えてなり、
前記網具フレームは、上下方向に所定間隔をあけて配されて前記分割篩枠によって挟持される上側円環状板面部及び下側円環状板面部と、前記上側円環状板面部及び下側円環状板面部の外周縁同士を連結する外側円筒部と、前記上側円環状板面部及び下側円環状板面部の内周縁同士を連結する内側円筒部とを有し、断面四角環状の角パイプ材を円環状に曲成してなるものであり、且つ前記上側円環状板面部及び下側円環状板面部が、当該網具フレームの中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されている振動篩機。
上下に分離可能な複数の円筒状の分割篩枠からなる篩枠体と、前記篩枠体に組み込まれる網具とを備え、前記網具上に投下された分級対象の粉体に対し前記篩枠体を介して振動を与えて篩い分けるようにした振動篩機であって、
前記網具は、
外周面が前記分割篩枠の径方向外側に向けて露出するように前記分割篩枠によって挟持される円環状の網具フレームと、
前記網具フレームに張設される補強網と、
前記補強網を覆うとともに前記網具フレームの外周面に垂れ掛けるように被せられる篩過網と、
前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に装着される締付バンドとを備えてなり、
前記網具フレームは、前記分割篩枠によって挟持される円環状板面部と、前記円環状板面部の外周縁から下方に突設される外側円筒部とを有し、断面L字形のアングル材を円環状に曲成してなるものであり、且つ前記円環状板面部が、当該網具フレームの中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されている振動篩機。
前記締付バンドは、前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に巻かれるバンド部材と、前記バンド部材の外周面側に付設され、前記バンド部材のバンド径の大きさを調節するバンド径調節機構とを備えてなる請求項1〜3の何れか一項に記載の振動篩機。
前記バンド径調節機構は、前記バンド部材の一端側に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに回転自在に支承され、前記ハウジングの内部に配されるウォーム歯を有するスピンドルと、前記バンド部材の他端側に前記ウォーム歯と噛合するように形成される複数のウォーム溝とを備えてなり、前記ウォーム歯と前記ウォーム溝との噛合を解除するように前記スピンドルを操作することにより、前記網具フレームに対し前記締付バンドが取り外し可能に構成される請求項4に記載の振動篩機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の振動篩機100では、分級対象の粉体の篩い分けに実質的に機能しない網具フレーム104が完全に篩枠体101(上側分割篩枠101a)の枠内に配されるため、粉体の篩い分けに実質的に機能する補強網105及び篩過網106の有効面積が、篩枠体101の枠内に配された網具フレーム104の分だけ減ることになり、分級対象の粉体を効率良く篩い分けることができないという問題点がある。また、篩枠体101に網具102を組み込む際に、網具102の締付バンド107が篩枠体101に干渉する虞があるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、分級対象の粉体を従来よりも効率良く篩い分けることができるとともに、締付バンドが篩枠体に干渉することなく網具を篩枠体に組み込むことができる振動篩機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る振動篩機の特徴構成は、
上下に分離可能な複数の円筒状の分割篩枠からなる篩枠体と、前記篩枠体に組み込まれる網具とを備え、前記網具上に投下された分級対象の粉体に対し前記篩枠体を介して振動を与えて篩い分けるようにした振動篩機であって、
前記網具は、
外周面が前記分割篩枠の径方向外側に向けて露出するように前記分割篩枠によって挟持される円環状の網具フレームと、
前記網具フレームに張設される補強網と、
前記補強網を覆うとともに前記網具フレームの外周面に垂れ掛けるように被せられる篩過網と、
前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に装着される締付バンドと、
を備えることにある。
【0009】
本構成の振動篩機によれば、網具フレームがその外周面を分割篩枠の径方向外側に向けて露出するように複数の分割篩枠によって挟持されるので、分級対象の粉体の篩い分けに実質的に機能しない網具フレーム104が篩枠体101(上側分割篩枠101a)の枠内に配される構成の従来の振動篩機100(
図11参照)と比べて、粉体の篩い分けに実質的に機能する補強網及び篩過網の有効面積が広くなるとともに、網具フレームの外周面側に装着される締付バンドが分割篩枠の径方向外側に向けて露出されることになる。従って、分級対象の粉体を従来よりも効率良く篩い分けることができるとともに、締付バンドが篩枠体に干渉することなく網具を篩枠体に組み込むことができる。
【0010】
本発明に係る振動篩機において、
前記網具フレームは、前記分割篩枠によって挟持される被挟持面部が、当該網具フレームの中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
本構成の振動篩機によれば、反りを有する網具フレームが複数の分割篩枠によって挟持されると、反りがなくなるように網具フレームが変形し、これに伴って、篩過網の全体が網具フレームの径方向外側に引っ張られる。これにより、補強網を覆うように網具フレームに被せられた篩過網が高いテンションを保った状態で補強網に密着されて、篩過網が補強網によって安定的に支えられることになり、篩過網の分級性能が十全に発揮されるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る振動篩機において、
前記締付バンドは、前記網具フレームの外周面との間に前記篩過網を挟み込むように前記網具フレームの外周面側に巻かれるバンド部材と、前記バンド部材の外周面側に付設され、前記バンド部材のバンド径の大きさを調節するバンド径調節機構とを備えてなることが好ましい。
【0013】
本構成の振動篩機によれば、網具フレームの外周面との間に篩過網を挟み込むように網具フレームの外周面側に巻かれるバンド部材のバンド径の大きさがバンド径調節機構によって調節されるので、使用する篩過網のメッシュや線径の変更があっても網具フレームに篩過網を締付バンドによって容易に緊縛・固定することができる。
【0014】
本発明に係る振動篩機において、
前記バンド径調節機構は、前記バンド部材の一端側に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに回転自在に支承され、前記ハウジングの内部に配されるウォーム歯を有するスピンドルと、前記バンド部材の他端側に前記ウォーム歯と噛合するように形成される複数のウォーム溝とを備えてなり、前記ウォーム歯と前記ウォーム溝との噛合を解除するように前記スピンドルを操作することにより、前記網具フレームに対し前記締付バンドが取り外し可能に構成されることが好ましい。
【0015】
篩枠体に網具を組み込んで振動篩機を作動させると、篩枠体の周辺機器、例えば、上下の分割篩枠を締結する締結具等にバンド径調節機構が干渉する虞がある場合、篩枠体を分解してバンド径調節機構が締結具等に干渉しないように網具を置き直すような大掛かりな作業を要することになるが、本構成の振動篩機によれば、網具フレームに対し締付バンドのみを取り外して、バンド径調節機構が締結具等に干渉しないように装着し直すだけで、バンド径調節機構の締結具等への干渉を容易に避けることができる。
【0016】
本発明に係る振動篩機において、
前記分割篩枠は、上下に互いに隣接する上側分割篩枠及び下側分割篩枠を含み、
前記上側分割篩枠は、その本体部分を構成する上側分割篩枠本体の下端部から径方向外側に張り出すフランジ部を有し、
前記下側分割篩枠は、その本体部分を構成する下側分割篩枠本体の上端部から径方向外側に張り出すフランジ部を有し、
前記上側分割篩枠及び前記下側分割篩枠におけるそれぞれの前記フランジ部によって前記網具フレームが挟持されることが好ましい。
【0017】
本構成の振動篩機によれば、上側分割篩枠における上側分割篩枠本体の下端部から径方向外側に張り出されるフランジ部と、下側分割篩枠における下側分割篩枠本体の上端部から径方向外側に張り出されるフランジ部とによって網具フレームが上下から挟持されるので、網具フレームが完全に上下の分割篩枠本体の枠外に配される一方、分級対象の粉体の篩い分けに実質的に機能する補強網及び篩過網が上下の分割篩枠本体の枠内全域に配されることになる。これにより、粉体の篩い分けに機能する補強網及び篩過網の有効面積の最大化を図ることができ、分級対象の粉体をより効率良く篩い分けることができる。
【0018】
本発明に係る振動篩機において、
前記上側分割篩枠及び前記下側分割篩枠におけるそれぞれの前記フランジ部には、前記網具と密着するようにパッキンが装着されることが好ましい。
【0019】
本構成の振動篩機によれば、上側分割篩枠及び下側分割篩枠におけるそれぞれのフランジ部にパッキンを介して網具が密着されるので、各分割篩枠と網具との間から分級対象の粉体が漏れるのを確実に防ぐことができる。
【0020】
本発明に係る振動篩機において、
前記網具フレームは、上下方向に所定間隔をあけて配されて前記分割篩枠によって挟持される上側円環状板面部及び下側円環状板面部と、前記上側円環状板面部及び下側円環状板面部の外周縁同士を連結する外側円筒部と、前記上側円環状板面部及び下側円環状板面部の内周縁同士を連結する内側円筒部とを有し、断面四角環状の角パイプ材を円環状に曲成してなるものであることが好ましい。
【0021】
本構成の振動篩機によれば、網具の軽量化を図りつつ、分割篩枠によって挟持されても使用不可となるまで押し潰されないような強度を容易に確保することができる。
【0022】
本発明に係る振動篩機において、
前記網具フレームは、前記分割篩枠によって挟持される円環状板面部と、前記円環状板面部の外周縁から下方に突設される外側円筒部とを有し、断面L字形のアングル材を円環状に曲成してなるものであることが好ましい。
【0023】
本構成の振動篩機によれば、網具フレームにおける、構造上、中空部を有しない円環状板面部が複数の分割篩枠によって挟持されることによって網具が篩枠体に固定されるので、篩枠体に網具を固定する際に網具フレームが使用不可となるまで押し潰されるような変形を確実に防止することができ、網具フレームに緊縛・固定された篩過網のテンションが網具フレームの変形に起因して緩むのを未然に防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る振動篩機において、
前記網具フレームの外径は400〜1140mmであり、前記網具フレームの内径は352〜1080mmであり、
前記網具フレームにおける前記反りの大きさは、前記被挟持面部における前記網具フレームの径方向の一方端側と他方端側との高低差で規定され、前記高低差が0.5〜1.5mmであることが好ましい。
【0025】
本構成の振動篩機によれば、反りを有する網具フレームが複数の分割篩枠によって挟持されて反りがなくなるまで網具フレームが変形した際に、篩過網の全体が網具フレームの径方向外側に適切な張力で引っ張られることになり、篩過網を損傷することなく高いテンションを保った状態で補強網に確実に密着させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の振動篩機の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0028】
〔第一実施形態〕
図1には、本発明の第一実施形態に係る振動篩機を示す図で、平面図(a)及び正面図(b)がそれぞれ示されている。また、
図2には、同振動篩機を示す図で、
図1(b)のA矢視図(a)及び
図1(b)のB−B線断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0029】
<振動篩機の概略説明>
図1(a)及び(b)に示されるように、第一実施形態の振動篩機1Aは、機体高さを低く抑えることが可能な直下型のもので、例えば、医薬品、食料品、鉱産物、金属、樹脂原材料等の各種の粉体を振動により分級する機能を有している。この振動篩機1Aは、架台2の上方に配される振動プレート3を備えている。
【0030】
<振動プレート>
振動プレート3は、後述する篩容器6を取り付けるための取付用孔を中央に有する平面視八角リング形状で所要厚みの板状部材からなるものである。振動プレート3と架台2との間には、振動プレート3の周方向に沿って複数(本例では12本)の圧縮コイルばね(弾性支持体)4が所定の配置で配設されており、これらの圧縮コイルばね4によって振動プレート3が振動自在に支持されている。
【0031】
振動プレート3には、その外周縁に沿って補強板5が設けられている。この補強板5は、振動プレート3の外周縁形状に合わせて帯状板材を折り曲げ形成してなるものであって、振動プレート3の略全周に亘って振動プレート3の下側板面から鉛直下方に突出するように固着されている。これにより、振動プレート3の重量増を抑えつつ振動プレート3の剛性を向上させることができる。従って、高出力の振動モータ30を採用したとしても、振動プレート3が撓んだり、捩りが生じたりするのを未然に防ぐことができ、これによって高出力の振動モータ30の採用が可能となり、分級能力の向上を図ることができる。
【0032】
<篩容器>
振動プレート3の取付用孔には、篩容器6が組み付けられている。篩容器6は、主として、分級対象の粉体が投入される上下に開口した篩枠体7と、篩枠体7の上側開口に着脱可能に装着される蓋体8とにより構成されている。蓋体8の中央部には、分級対象の粉体の投入口8aが形成されている。
【0033】
<篩枠体>
図2(a)及び(b)に示されるように、篩枠体7は、上下に分離可能な上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとを組み合わせて構成されている。
【0034】
図2(b)に示されるように、上側分割篩枠7aは、上下に開口された円筒形状の上側分割篩枠本体10と、上側分割篩枠本体10の下端部から周方向全域に亘って径方向外側に張り出されるフランジ部11と、上側分割篩枠本体10の上端部から周方向全域に亘って外向きで上方に傾斜するように張り出されるテーパフランジ部12とにより構成されている。この上側分割篩枠7aのフランジ部11には、全周に亘って円環状のパッキン13が装着されている。
【0035】
図2(a)に示されるように、上側分割篩枠7aにおける前後方向の一側(
図2(a)において左側)には、上側分割篩枠本体10の円筒壁面から突出するように排出ダクト14が取り付けられている。この排出ダクト14は、分級処理の際に後述する網具40上に残留している残留粉体を外部へと導出する役目をする。
【0036】
図2(b)に示されるように、下側分割篩枠7bは、下側分割篩枠本体20と、上側分割篩枠7aにおけるフランジ部11に対応するように下側分割篩枠本体20の上端部から周方向全域に亘って径方向外側に張り出されるフランジ部21とにより構成されている。この下側分割篩枠7bのフランジ部21には、全周に亘って円環状のパッキン22が装着されている。
【0037】
下側分割篩枠本体20は、上下に開口された円筒形状の円筒部25を有し、
図2(a)に示されるように、この円筒部25の下側に下方に向けて先細る漏斗状のシュート部26を一体的に連設し、このシュート部26の下側にそのシュート部26内の粉体を下方へと落下・排出する排出口部27を一体的に連設して構成されている。
【0038】
<振動モータ>
図1(a)及び(b)に示されるように、下側分割篩枠7bには、左右方向に貫通するようにビーム部材28が配設され、このビーム部材28の両端にそれぞれモータ取付板29が固着され、各モータ取付板29に振動モータ30が取り付けられている。各振動モータ30は、図示による詳細説明は省略するが、ロータ軸の両端部に設けられた偏心錘の回転により振動を発生させるものである。
【0039】
図2(a)に示されるように、振動モータ30においては、そのロータ軸の軸線S
Rが水平軸線S
Lに対してなす角度θが55°〜65°の範囲に設定され、本例ではθ=60°で傾斜配置されている。なお、左右それぞれの振動モータ30において、一方の振動モータ30と他方の振動モータ30とは、互いに逆位相をなすように、つまり左右方向の一側から見たときに、鉛直面上に投影された一方の振動モータ30と他方の振動モータ30とが水平角度に対し左右対称(同角)で配置されている。こうして、必要な水平方向の振動成分を確保しつつ鉛直方向の振動成分を最大限確保することができ、波動運動で後述する網具40上の粉体が激しく跳ね上げられ、後述する網43,44に衝突することによって、粉体粒子の凝集が解砕・分散されるため、分級能力をより向上させることができる。
【0040】
<蓋体と上側分割篩枠との接合構造>
図2(b)に示されるように、蓋体8の外周縁と上側分割篩枠7aのテーパフランジ部12との間には、両者の隙間を密封する蓋パッキン31がリングプレート32に支持された状態で介挿されている。蓋体8と上側分割篩枠7aとの突合せ部分には、蓋体8の外周縁と上側分割篩枠7aのテーパフランジ部12とを挟むことができる断面Vの字状の締結バンド33が巻き掛けられ、この締付バンド33で緊縛することにより、蓋体8と上側分割篩枠7aとを締結することができる一方、この締付バンド33の緊縛を解除することにより、上側分割篩枠7aに対して蓋体8を取り外すことができるようになっている。
【0041】
<網具>
図2(b)に示されるように、篩枠体7における上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとの間には、網具40が組み込まれている。網具40は、主として、網具本体41を構成する網具フレーム42及び補強網43と、篩過網44と、締付バンド45とにより構成されている。
【0042】
<網具フレーム>
図3に示されるように、網具フレーム42は、上側円環状板面部42a、下側円環状板面部42b、外側円筒部42c及び内側円筒部42dを有し、断面四角環状の角パイプ材を円環状に曲成してなるものである。こうして、網具40の軽量化を図りつつ、分割篩枠7a,7bによって挟持されても使用不可となるまで押し潰されないような強度を容易に確保することができる。
【0043】
網具フレーム42が分割篩枠7a,7bによって挟持される際には、上側円環状板面部42aが上側分割篩枠7aのフランジ部11に対向するとともに、下側円環状板面部42bが下側分割篩枠7bのフランジ部21に対向し、これら円環状板面部42a,42bがパッキン13,22を介して分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21に挟持される。こうして、網具フレーム42が完全に分割篩枠本体10,20の枠外に配され、分級対象の粉体の篩い分けに実質的に機能する補強網43及び篩過網44が上下の分割篩枠本体10,20の枠内全域に配されることになり、粉体の篩い分けに機能する補強網43及び篩過網44の有効面積の最大化を図ることができ、分級対象の粉体をより効率良く篩い分けることができる。また、分割篩枠7a,7bと網具40との間から分級対象の粉体が漏れるのをパッキン13,22によって確実に防ぐことができる。なお、上側円環状板面部42a及び下側円環状板面部42bが、本発明の「被挟持面部」に相当する。
【0044】
外側円筒部42cは、上側円環状板面部42a及び下側円環状板面部42bの外周縁同士を連結し、分割篩枠7a,7bの径方向外側に臨ませるように配されている。一方、内側円筒部42dは、上側円環状板面部42a及び下側円環状板面部42bの内周縁同士を連結し、分割篩枠7a,7bの径方向内側に臨ませるように配されている。
【0045】
図5(a)に示されるように、網具フレーム42において、外径(φD)は400〜1140mmの範囲に設定され、内径(φd)は352〜1080mmの範囲に設定されている。
【0046】
図5(b)に示されるように、網具フレーム42は、分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持される円環状板面部42a,42bが、当該網具フレーム42の中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されている。この網具フレーム42における反りの大きさは、円環状板面部42a,42bにおける網具フレーム42の径方向の一方端側と他方端側との高低差ΔHで規定され、高低差ΔHが0.5〜1.5mmに設定されている。なお、説明の都合上、
図5(b)では上側円環状板面部42aの高低差ΔHのみを示して網具フレーム42の反りの大きさを規定したが、下側円環状板面部42bの高低差で網具フレーム42の反りの大きさを規定しても良い。
【0047】
このような反りを有する網具フレーム42が分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持されると、反りがなくなるように網具フレーム42が変形し、これに伴って、
図5(c)に示されるように、篩過網44の全体が網具フレーム42の径方向外側に適切な張力で引っ張られる。これにより、補強網43を覆うように網具フレーム42に被せられた篩過網44が損傷することなく高いテンションを保った状態で補強網43に密着されて、篩過網44が補強網43によって安定的に支えられることになり、篩過網44の分級性能が十全に発揮される。
【0048】
<補強網>
図4(a)に示されるように、補強網43は、網具フレーム42の開口を塞ぐように張設され、網具フレーム42の開口に張った状態で例えばシーム溶接等の固着手段によって内側円筒部42dの上縁部に固着されている。補強網43としては、例えばステンレス製で網目が比較的荒目のものが用いられる。
【0049】
<篩過網>
篩過網44は、補強網43を覆うとともに補強網43上から網具フレーム42の外周面に垂れ掛けられるように網具本体41に被せられている。篩過網44としては、補強網43よりも網目が細かいシート状の例えばナイロン製(ステンレス製でも勿論可)のものが用いられる。そして、篩過網44を間に挟むように網具フレーム42(外側円筒部42c)の外周面側に巻き掛けられる締付バンド45の締め付けにより、篩過網44が網具本体41に緊縛・固定される一方、締付バンド45を緩めることにより、篩過網44を網具本体41から取り外すことができるように、篩過網44が網具本体41に着脱可能に装着されている。
【0050】
こうして、網具フレーム42に張設される補強網43が篩過網44を下側から支える補強材として機能し、補強網43を覆うように網具本体41に着脱可能に装着される篩過網44が粉体の分級処理に実質的に貢献する網として機能するようにされているので、篩過網44を交換するだけで網具40の機能回復を図る網換えを容易に行うことができる。
【0051】
<締付バンド>
図4(b)及び(c)に示されるように、締付バンド45は、バンド部材46及びバンド径調節機構47により構成されている。
【0052】
<バンド部材>
バンド部材46は、網具フレーム42(外側円筒部42c)の外周面との間に篩過網44を挟み込むように網具フレーム42の外周面側に巻くことができるように環状に曲げ成形されてなり、例えばステンレス等の金属材料によって作製されている。
【0053】
<バンド径調節機構>
バンド径調節機構47は、バンド部材46の外周面側に付設されており、ハウジング48、スピンドル49及び複数のウォーム溝50を備え、バンド部材46のバンド径の大きさを調節する機能を有している。ここで、ハウジング48は、バンド部材46の一端側に取り付けられている。スピンドル49は、ハウジングに回転自在に支承される軸部を有し、軸部の外周には、ハウジング48の内部に配される図示されないウォーム歯が形成されている。複数のウォーム溝50は、バンド部材46の他端側にスピンドル49のウォーム歯と噛合するように形成されている。
【0054】
バンド径調節機構47においては、バンド部材46の他端側をハウジング48内に挿入し、ウォーム溝50とスピンドル49のウォーム歯とが噛合するようにスピンドル49を操作することにより、網具フレーム42に対し締付バンド45が使用可能な状態となる。この状態において、スピンドル49を例えばボルトを締めるように回転操作すると、スピンドル49のウォーム歯とこれに噛合するウォーム溝50とによるねじ送り作用でバンド部材46が縮径するようにバンド部材46の他端側が一端側に沿うように移動されて、バンド部材46の内方に配された被緊縛物(本例では篩過網44)が締め付けられる。こうして、使用する篩過網44のメッシュや線径の変更があっても網具フレーム42に篩過網44を締付バンド45によって容易に緊縛・固定することができる。
【0055】
バンド径調節機構47において、スピンドル49のウォーム歯とウォーム溝50との噛合を解除するようにスピンドル49を操作することにより、網具フレーム42に対し締付バンド45を取り外すことができる。
【0056】
<上側分割篩枠と下側分割篩枠との接合構造>
図2(a)及び(b)に示されるように、上側分割篩枠7aの外周面には、周方向に所定ピッチで複数の掛止ブラケット60が突設されている。この掛止ブラケット60は、上側分割篩枠7aの径方向外側に開放された受入口60aの両側に一対の掛止部60bを設けてなるものである。
【0057】
振動プレート3の上面には、該振動プレート3側に伏臥させた伏臥状態位置と、該振動プレート3と掛止ブラケット40との間に掛け渡すように起立される起立状態位置との間で揺動自在なスイングボルト61が設置されている。そして、起立状態位置にある各スイングボルト61に螺合して掛止ブラケット60に着座するナット62の締め付けにより、上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとが締結されるようになっている。
【0058】
こうして、スイングボルト61に対するナット62の締め付けによって上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとが確実に締結されるので、高出力の振動モータ30の採用で鉛直方向の振幅が増大したとしても、上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとの接合部分に緩みが生じることがなく、該緩みに起因する鉛直方向の振動運動のロスを未然に防ぐことができる。また、仮に、上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとの突合せ部分から篩過網44がはみ出した状態でスイングボルト61に対するナット62の締め付けを行ったとしても、該突合せ部分にスイングボルト61が直接触れて締付けている訳ではなく、該突合せ部分にスイングボルト61からの軸力を上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとを介して間接的に作用させることで締め付けているので、篩過網44を噛み込んで破損するようなことがない。
【0059】
<網換え作業>
次に、第一実施形態の振動篩機1Aにおいて、網具40の機能回復を図る網換え作業に伴う篩過網44の取付作業について説明する。
【0060】
まず、
図6(a)に示されるように、下側分割篩枠7bのフランジ部21に装着されたパッキン22上に、網具フレーム42が下側分割篩枠本体20(
図2(b)参照)と同心をなすように網具本体41を置く。
【0061】
次いで、
図6(a)〜(b)に示されるように、網具本体41の補強網43上に篩過網44を被せ、補強網43上から網具フレーム42(
図6(a)参照)の外周面側に垂れ掛けるようにした状態の篩過網44を網具フレーム42との間に挟むように締付バンド45を網具フレーム42の外周面側に巻き掛け、
図6(b)〜
図7(a)に示されるように、バンド径調節機構47のスピンドル49を例えばボルトを締めるように締付工具65を用いて回転操作し締付バンド45のバンド部材46を縮径して篩過網44を締め付けることにより、篩過網44を網具本体41(網具フレーム42)に緊縛・固定する。なお、篩過網44において、締付バンド45からはみ出している余分な部分は、適宜にカットする、又は折り畳んで後述する作業で上側分割篩枠7aを置く際に、上側分割篩枠7aの内部に収容するようにされる。
【0062】
次いで、
図7(b)に示されるように、上側分割篩枠7aのフランジ部11に装着されたパッキン13が篩過網44を介して網具フレーム42の全域に当接し、かつ上側分割篩枠本体10が網具フレーム42と同心をなすように、上側分割篩枠7aを網具40の上に置く。
【0063】
次いで、
図8(a)〜(b)に示されるように、各スイングボルト61を順次に起立状態位置として掛止ブラケット60に掛け渡し、各スイングボルト61に螺合するナット62を締め付けていって掛止ブラケット60に着座させ、掛止ブラケット60に着座したナット62を更に締め付けて、上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとの突合せ部分にスイングボルト61からの軸力をそれら分割篩枠体7a,7bを介して間接的に作用させることで締め付けて、上側分割篩枠7aと下側分割篩枠7bとを締結する。こうして、網換え作業に伴う篩過網44の取付作業が完了するとともに、振動篩機1Aとして使用可能な状態となる。このとき、振動篩機1Aを作動させると、篩枠体7の周辺機器、例えばスイングボルト61にバンド径調節機構47が干渉する虞がある場合、篩枠体7を分解してバンド径調節機構47がスイングボルト61に干渉しないように網具40を置き直すような大掛かりな作業を要することになるが、バンド径調節機構47におけるスピンドル49のウォーム歯とウォーム溝50との噛合を解除するようにスピンドル49を操作することにより、網具フレーム42に対し締付バンド45のみを取り外して、バンド径調節機構47がスイングボルト61に干渉しないように装着し直すだけで、バンド径調節機構47のスイングボルト61への干渉を容易に避けることができる。
【0064】
<分級処理動作>
上記の篩過網44の取付作業によって使用可能な状態とされた振動篩機1Aにおいて、分級対象の粉体を上側分割篩枠7aの中に投入する。次いで、上側分割篩枠7aに蓋体8を装着し、両者を締付バンド33にて締結する。そして、左右の振動モータ30を同期作動させることにより、網具40上に投下された分級対象の粉体に振動を与えて篩い分ける。
【0065】
振動モータ30から篩容器6には、縦方向の振動成分と横方向の振動成分とが伝達され、篩容器6の縦横の振動運動による波動運動で網具40上の粉体が激しく跳ね上げられ網43,44に衝突することで、粉体粒子の凝集が解砕・分散される。かかる分級処理で篩過網44を通過した粉体は、下側分割篩枠7bの排出口27から外部へと排出される。一方、篩過網44上に残留している残留粉体は、排出ダクト14を介して外部へと排出される。
【0066】
第一実施形態の振動篩機1Aによれば、網具フレーム42がその外周面を分割篩枠7a,7bの径方向外側に向けて露出するように分割篩枠7a,7bによって挟持されるので、分級対象の粉体の篩い分けに実質的に機能しない網具フレーム104が完全に篩枠体101(上側分割篩枠101a)の枠内に配される構成の従来の振動篩機100(
図11参照)と比べて、粉体の篩い分けに実質的に機能する補強網43及び篩過網44の有効面積が広くなるとともに、網具フレーム42の外周面側に装着される締付バンド45が分割篩枠7a,7bの径方向外側に向けて露出されることになる。従って、分級対象の粉体を従来よりも効率良く篩い分けることができるとともに、締付バンド45が篩枠体7に干渉することなく網具40を篩枠体7に組み込むことができる。
【0067】
〔第二実施形態〕
図9には、本発明の第二実施形態に係る振動篩機の要部拡大断面図が示されている。また、
図10には、第二実施形態の振動篩機で使用される網具フレームを示す図で、平面図(a)、縦断面図(b)及び篩過網の引張動作を説明するための模式図(c)がそれぞれ示されている。なお、第二実施形態の振動篩機において、第一実施形態の振動篩機と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第二実施形態の振動篩機に特有の部分を中心に説明することとする。
【0068】
図9に示されるように、第二実施形態の振動篩機1Bにおいて、網具70は、円環状の網具フレーム72に補強網43を張設してなる網具本体71を備えている。ここで、網具フレーム72は、分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持される円環状板面部72aと、円環状板面部72aの外周縁から下方に突設される外側円筒部72cとを有し、断面L字形の等辺山形鋼、いわゆるアングル材を円環状に曲成し、その両端を溶接してなるものである。こうして、構造上、中空部を有しない円環状板面部72aが分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持されることによって網具40が篩枠体7に固定されるので、篩枠体7に網具40を固定する際に網具フレーム72が使用不可となるまで押し潰されるような変形を確実に防止することができ、網具フレーム72に緊縛・固定された篩過網44のテンションが網具フレーム72の変形に起因して緩むのを未然に防ぐことができる。なお、円環状板面部72aが、本発明の「被挟持面部」に相当する。
【0069】
図10(a)に示されるように、網具フレーム72において、外径(φD)は400〜1140mmの範囲に設定され、内径(φd)は352〜1080mmの範囲に設定されている。
【0070】
図10(b)に示されるように、網具フレーム72は、分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持される円環状板面部72aが、当該網具フレーム72の中心側から径方向外側に向かって上向きに傾斜するような反りを有する形状に形成されている。この網具フレーム72における反りの大きさは、円環状板面部72aにおける網具フレーム72の径方向の一方端側と他方端側との高低差ΔHで規定され、高低差ΔHが0.5〜1.5mmに設定されている。
【0071】
このような反りを有する網具フレーム72が分割篩枠7a,7bのフランジ部11,21によって挟持されると、反りがなくなるように網具フレーム72が変形し、これに伴って、
図10(c)に示されるように、篩過網44の全体が網具フレーム42の径方向外側に適切な張力で引っ張られる。これにより、補強網43を覆うように網具フレーム42に被せられた篩過網44が損傷することなく高いテンションを保った状態で補強網43に密着されて、篩過網44が補強網43によって安定的に支えられることになり、篩過網44の分級性能が十全に発揮される。従って、第二実施形態の振動篩機1Bによっても、第一実施形態の振動篩機1Aと同様の作用効果を奏する。