(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、金属マンガン、若しくは、鉄及び/又はニッケルと金属マンガンとの混合物の溶射によって前記基材に塗布される、
請求項1又は4記載の方法。
前記金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、金属マンガン、若しくは、鉄及び/又はニッケルと金属マンガンとの混合物の肉盛溶接によって前記基材に塗布される、
請求項1又は4記載の方法。
【背景技術】
【0002】
アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴(Alkalische Zink- und Zinklegierungsbaeder )は、典型的には可溶性亜鉛アノード(loeslichen Zinkanoden)では作動しない。可溶性亜鉛アノードでは、アノード作動中に亜鉛が電気化学的にZn(II)に酸化される。形成されたZn(II)イオンは、周囲の水酸化物イオンと共に可溶性亜鉛酸塩錯体Zn[(OH)
4]
2を形成する。亜鉛は、電気化学的溶解に加えて、アルカリ性環境によって、水素を形成し、Zn(II)に酸化される。これは、亜鉛アノードが上述のレドックス反応によって付加的に化学溶解することを意味し、それは亜鉛合金電解質中のZn(II)濃度の制御されない増加をもたらす。
【0003】
これは、一方ではプロセス信頼性の低下を、そして他方では亜鉛合金電解質中の濃度比を正確に調整することができように追加の溶解亜鉛含有量を特定するためのさらなる分析を行わなければならない必要性を生じさせる。
【0004】
従って、アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴は通常不溶性アノードで作動され、そして亜鉛はしばしば別個の亜鉛溶解タンクに溶解されてZn(II)を形成して浴に添加される。
【0005】
従って、アノード材料としては、導電性でありかつ少なくとも塩基に対して化学的に不活性である材料が使用される。これらには、とりわけ、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、コバルト、又はこれらの金属の合金などの金属が含まれる。例えば、アノード材料としてのニッケルの好ましい特性を使用するが、他方でコストを節約するためのさらなる方法は、例えば、30μm層厚のニッケル堆積物(Nickelauflagen)を有するガルバニック・ニッケルメッキ鋼アノード(galvanisch vernickelter Stahlanoden)(光沢ニッケルメッキ鋼アノード)の使用である。主反応として不溶性アノードでは、酸素の酸化的形成が起こる。
【0006】
亜鉛又は亜鉛合金被膜のガルバニック堆積のためのアルカリ性コーティング浴の作動の際に、亜鉛又は亜鉛合金電解質に加えて、錯化剤、光沢剤及び湿潤剤のような有機浴添加物が通常使用される。
【0007】
実際には、酸素生成が不溶性アノードの表面上でだけ選択的に行われない(nicht nur selektiv)ことは避けられない。一部には、有機浴添加物の不所望なアノード酸化も起こる。これは、この分解(Zersetzung)に基づいて、アルカリ性コーティング浴中の亜鉛又は亜鉛合金電解質に対する浴添加剤の濃度比がもはや正しくないことを意味し、それが添加剤を補充しなければならない理由である。この過程でプロセスコストは必然的に上昇する。
【0008】
有機浴添加物のアノード酸化によって、さらに、シュウ酸塩、炭酸塩等のような不所望な副生成物が形成される可能性があり、それはガルバニックコーティングプロセスに障害的に作用する可能性がある。
【0009】
特にアミン含有錯化剤を用いて作業するアルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴において、アミン含有添加剤の不所望なアノード酸化によって、シアン化物の形成の増加が観察されることがある。
【0010】
アミン含有錯化剤は、例えば亜鉛ニッケル合金被膜のガルバニック堆積のコーティング浴中で使用される。ニッケルは、アルカリ性媒体中で周囲の水酸化物イオンと難溶性の水酸化ニッケル錯体を形成するNi(II)の形態で使用される。従って、アルカリ性亜鉛ニッケル電解質は、ニッケルをNi(II)の形態で溶液にするために、水酸化物イオンよりもNi(II)が錯化される特別な錯化剤を含まなければならない。その際、好ましくは、トリエタノールアミン(Triethanolamin)、エチレンジアミン(Ethylendiamin)、ジエチレントリアミン(Diethylentetramin)のようなアミン化合物(Amin-Verbindungen)、又はエチレンジアミンの同族化合物(homologe Verbindungen des Ethylendiamins)、例えば、ジエチレントリアミン(Diethylentriamin)、テトラエチレンペンタミン(Tetraethylenpentamin)等のアミン化合物が用いられる。
【0011】
アミン含有錯化剤を有する亜鉛ニッケル合金被膜を堆積させるために、かかるコーティング浴を作動させるとき、新たな生成と除去の平衡(ein Gleichgewicht aus Neubildung und
Ausschleppung)が達成されるまで、実際の電解質において1000mg/lまでのシアン化物の値を設定することができる。シアン化物の形成は多くのの理由で不利である。
【0012】
アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴、及び作動中に発生する濯ぎ排水を処分するときには、一定の限度を満たし、監視しなければならない。排水中のシアン化物負荷に対して一般的に要求される限界は1 mg/Lである。国の又は地域の法律に基づけば、排水中のシアン化物負荷の許容限度は依然としてこのレベルを下回ることができる。それ故形成されたシアン化物は労力をかけて解毒されなければならない。これは実際には、例えば、 次亜塩素酸ナトリウム(Natriumhypochlorit)、過酸化水素(Wasserstoffperoxid)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(Natriumperoxodisulfat)、ペルオキソ一硫酸カリウム(Kaliumperoxomonosulfat)又は類似の化合物との、酸化によって行われる。加えて、取り除かれたれた電解質(der ausgeschleppte Elektrolyt)はシアン化物に加えて他の酸化可能な物質を含むので、シアン化物含有量から理論的に求められるよりよりはるかに多くの酸化剤が完全な酸化のために消費される。
【0013】
上記の態様に加えて、シアン化物形成の増加は、浴添加剤との不所望な錯体が形成され得るという問題をさらに引き起こす。
【0014】
技術的な観点から、シアン化物含有量は亜鉛ニッケル電解質を使用するとき非常に不利である。なぜなら、ニッケルは形成されたシアン化物イオンと共に安定なテトラシアノニッケル酸錯体Ni[(CN)
4]
2−を形成するからであり、それによりこの錯体内で結合されたニッケルは除去のためにもはや利用できない。実行中の電解質分析では、シアン化物錯体によるものとアミンニッケル錯体によるものとを区別することができないので、電解質中のシアン化物含有量の増加はプロセスの安全性の低下を意味する。
【0015】
10〜16重量%のニッケルの割合での亜鉛ニッケル合金被膜の堆積は、鉄系材料製の部品上に非常に良好な耐食保護(Korrosionsschutz)をもたらし、それ故に技術的防食にとって非常に重要である。部品、特に自動車製造用付属品のコーティングには、コーティングすべき部品の複雑な三次元形状でも均一な層厚分布を確保するために、強アルカリ性電解質が亜鉛ニッケル合金被膜の堆積に使用される。所定の耐食性を達成するために、部品上の最小層厚が維持されなければならず、これは通常5〜10μmである。
【0016】
全電流密度範囲にわたって10〜16重量%ニッケルの要求される合金組成を満たすためには、作動中にニッケル濃度を電解質中のシアン化物濃度に応じて調整しなければならない。なぜなら、ニッケルのシアン化物錯化部分は堆積に利用できないからである。電解質中のシアン化物含有量が増加すると、層中のニッケル含有量を一定に保つために、ニッケル含有量はそれに応じて調整されなければならない。必要な合金組成を維持するために、電解質へのニッケル塩の予定外の添加を行わなければならない。適した補助溶液は、高い水溶性を有するニッケル塩である。その際、有利には、硫酸ニッケル溶液を種々のアミン化合物と組み合わせて使用することができる。
【0017】
市販の亜鉛ニッケル合金浴(亜鉛ニッケル合金浴SLOTOLOY ZN 80、Schloetter社)の350mg/lのシアン化物濃度の効果は、以下の実施例では表1に示される。
【0018】
【表1】
【0019】
上記実験は、新しく調製した亜鉛ニッケル合金浴(neu angesetzten Zinknickellegierungsbad)SLOTOLOY ZN 80に350mg/lのシアン化物を意図的に添加することは、2A/dm
2の堆積電流密度におけるニッケル取り込み率(Nickeleinbaurat)を14.3重量%から8.1重量%に減少させることを示している。合金組成を10〜16重量%の特定の範囲内に戻すためには、0.6g/lのニッケルの添加が必要である。これは、新出発剤(Neuansatz)に対して、電解液中のニッケル含有量が2倍になることを意味する。
【0020】
亜鉛ニッケル合金電解質中のシアン化物の蓄積もまた、堆積物の光学的外観に悪影響を及ぼし得る。高電流密度範囲において、乳白色の/かすんだ堆積が発生し得る。これは、高用量の光沢剤によって、部分的には、修正され得る。しかしながら、この方法は光沢剤の消費量の増加とそれに伴う追加の堆積費用に結びつく。
【0021】
亜鉛ニッケル合金電解質中のシアン化物濃度が約1000mg/lの値に達すると、電解質を部分的に更新する(erneuern)ことが必要になるかもしれず、それはまたプロセスコストを増大させる。さらに、かかる部分的な浴の更新の際には、大量の廃電解質が生じ、これは労力を払って処分されなければならない。
【0022】
・文献
従来技術には上記の問題を解決するための多くの出発点が、ある。:
【0023】
EP1344850B1には、カソード空間及びアノード空間がイオン交換膜によって分離された方法が記載されている。これによって錯化剤がカソード空間からアノードに達できることを防止する。これによってシアン化物の形成が防止される。
プラチナで被覆したチタンアノードが、アノードとして用いられる。アノード液は、酸性であり、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、アミドスルホン酸及び/又はホスホン酸を含む。
【0024】
EP1292724B1には、類似の方法が記載されている。ここでも同様に、カソード空間及びアノード空間は、イオン交換膜によって分離される。ナトリウム又は水酸化カリウム溶液がアノード液として用いられる。アノードとしては、金属又は金属被覆が、ニッケル、コバルト、鉄、クロム又はそれらの合金からなる群から選択される。
【0025】
両方の方法において、シアン化物の形成が低減される。両方の方法の不利な点は、イオン交換膜の組み込むために非常に高い投資コストが生じるということである。さらにまた、アノード液の別個の循環のためのもう一つの装置が設けられなければならない。さらに、イオン交換膜の組み込みは、亜鉛ニッケル堆積のための方法では通常実現することができない。生産性を向上させ、それによってコーティングコストを削減するために、ラックが密接に懸下される場合に層厚分布を最適化するために、しばしば補助アノードが使用される。技術的な理由から、これらの補助アノードをイオン交換膜によって分離することはここでは不可能である。従って、この用途ではシアン化物の形成を完全に回避することはできない。
【0026】
EP1702090B1は、開放多孔性材料によってカソード空間とアノード空間との分離が設けられている方法に関するものである。セパレータは、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン、若しくは、ポリテトラフルオロエチレンから成る。孔直径は10nmから50μmの間の寸法を有する。膜を通る電荷輸送が陽イオン又は陰イオンの交換によって行われるイオン交換膜の使用とは対照的に、開放多孔性セパレーターを使用した場合、それはセパレータを通る電解質輸送によってのみ行われることができる。アノード液からカソード液を完全に分離することは不可能である。それ故、アミンがアノードに到達し、そこで酸化されることを完全に防止することはできない。従って、シアン化物の形成は、この方法を用いて完全に除外されることができない。
【0027】
さらに、この方法の不利な点は、非常に小さい孔直径(例えば10 nm)を有するセパレータが用いられる場合、電解質の交換及び従って電流の伝送が非常に阻害されるということであり、それは過電圧に至る。主張によると過電圧は5ボルト未満であるはずだが、高々5ボルトの浴電圧であったとしても、カソード空間とアノード空間との分離の無しに動作する方法と比較すると、依然として2倍近くにもなる。このことによって、亜鉛ニッケル層の堆積中にはるかに高いエネルギー消費がもたらされる。さらに、最高5ボルト高い浴電圧は電解質の強い加熱も引き起こす。一定の合金組成物を堆積させるためには、電解質温度は+/− 2℃の範囲内で一定に保たれるべきであるので、より高い浴電圧を印加するときには相当の労力で電解質を冷却しなければならない。セパレータは過電圧の形成を防ぐことができる50ミクロンの孔直径を有することもできると記載されてはいるものの、比較的大きな孔直径は、今度はカソード空間とアノード空間との間の実質的に妨げのない電解質交換を可能にし、従ってシアン化物の形成を防ぐことができない。
【0028】
EP1717353B1には類似の概念が記載されている。ここでは、アノード空間及びカソード空間は、濾過膜によって分離される。濾過膜の孔のサイズは、0.1〜300nmの範囲である。その際、カソード空間からアノード空間への電解質のある程度の移行は、故意に受け入れられる。
【0029】
特定の有機光沢剤が用いられる場合、EP1344850又はEP1292724による膜方法が使用されるときには、亜鉛ニッケル電解質は十分に機能しない。これらの光沢剤は明らかにそれらの完全な効果を生じさせるために、アノード活性化を必要とする。この反応は、EP1717353に記載されているように濾過膜を使用するときに保証される。しかしながら、これはシアン化物の形成が完全に避けられないことも意味する。EP1717353の表4から、濾過膜を50Ah/lの浴負荷で使用すると、63mg/lのシアン化物の新たな形成が起こることが分かる。濾過膜を使用しないと、他の点では同一の条件下で647mg/lのシアン化物が新たに形成される。従って、濾過膜の使用は、シアン化物の形成を約90%減少させることができるが、それを完全には防止することはできない。
【0030】
上述の全ての膜方法は、さらに、亜鉛ニッケル電解質の浴容器内でかなりのスペースを必要とするという欠点を有する。従って、既存のシステムへの後からの追加的なインストールは、スペースの制限により通常不可能である。
【0031】
さらに、DE10345594A1には、固定床アノード(Festbettanode)及びカソードを含む水溶液中のシアン化物のアノード酸化(anodischen Oxidation)のためのセルが記載されており、アノードの粒子床(Partikelbett)は、マンガンの粒子又はチタン酸化物の粒子又はこれらの粒子の混合物からなることを特徴とする。公報には、この方法が廃液中のシアノメタレート錯体を制限するのに適していることを記載している。従って、DE10345594A1に記載されているシアン化物含有水溶液の処理における目的は、既に存在しているシアン化物及びシアノメタレート錯体を廃液から除去することにある。これは、そもそもシアン化物の生成が防止されるべきであるという本発明の目的とは対照的である。
【発明の概要】
【0033】
・課題
本発明が解決しようとする課題は、亜鉛及び亜鉛合金電解質と有機浴添加物とを含むアルカリ性コーティング浴から亜鉛及び亜鉛合金被覆をガルバニック堆積させるための方法を提供することであり、それは、低減されたアノード酸化及びそれに伴う、例えば、錯化剤、光沢剤、界面活性剤等の有機浴添加物の低減された分解(Abbau)をもたらし、並びに、シアン化物のような不所望な分解生成物の低減された形成をもたらす。本発明による方法は、追加の労力なしに、既存のアルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴に統合されることができ、方法の著しくより経済的な作動を可能にすべきものである。
【0034】
・課題を解決する方法及び詳細な説明
上記の課題は、亜鉛及び亜鉛合金電解質と有機浴添加物とを含むアルカリ性コーティング浴から亜鉛及び亜鉛合金被覆をガルバニック堆積させるための方法の提供により解決され、アルカリ性コーティング浴におけるアノードとして、浴内に不溶性の、金属マンガン(metallisches Mangan)及び/又はマンガン酸化物含有電極が使用され、電極は、
1) 金属マンガン又はマンガン含有合金から製造されており、マンガン含有合金は少なくとも5重量%のマンガンを含むか、又は
2) 導電基材及びその上に塗布された金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングから製造されており、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に関して、少なくとも5重量%のマンガンを含むか、又は、
3) 金属マンガン及び/又はマンガン酸化物と、導電性材料とを含む複合材料から製造されており、複合材料は、金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に関して、少なくとも5重量%のマンガンを含む。
【0035】
驚くべきことに、不溶性の金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有電極の使用は、上述したように、錯化剤、光沢剤、界面活性剤等の有機浴添加物の分解の減少に非常にプラスに作用することが見出された。このことは、アミン含有錯化剤を有するコーティング浴に特に有利である。なぜなら、アミン化合物の減少した分解の結果として、同時にシアン化物濃度の顕著な減少も生じるからである。
【0036】
分光学的試験は、シアン化物の減少した形成並びに有機浴添加物の減少した分解に対する決定的な成分がマンガン酸化物であることを示した。しかしながら、金属マンガンも使用されることができる。なぜなら、亜鉛及び亜鉛合金電解質内でアノードとして作動する間に、マンガン酸化物は、しばしば黒褐色の膜の形態で、その場で形成されるからである。形成されたマンガン酸化物は、異なる酸化状態で存在することができる。
【0037】
以下では、上述の金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有電極の実施形態がより詳細に説明される。
【0038】
・固体電極(Vollelektroden)
本発明による方法においては、金属マンガン又はマンガン含有合金から製造され、アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴内での不溶性アノードとしての用途に適している電極が考慮される。マンガン含有合金は、好ましくは、マンガン含有鋼合金又はマンガン含有ニッケル合金から選択される。本発明による方法において、マンガン含有合金鋼の使用は、特に好ましい。マンガン含有合金の合金割合は、少なくとも5重量%のマンガン、好ましくは10〜90重量%のマンガン、より好ましくは50〜90重量%のマンガンのマンガン含有量を有する。市販の鋼電極は、例えば、12重量%のマンガン(材料番号1.3401を有するx120Mn12)又は50重量%のマンガン(鏡鉄)のマンガン量を有する。
【0039】
・コーティングされた基材電極(Beschichtete Traegerelektroden)
上述の金属マンガン又はマンガン含有合金から製造された固体電極に加えて、アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴中で不溶性アノードとして使用するのに適した、導電性基材材料に金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングを塗布した電極も考えられる。基材材料は、好ましくは鋼、チタン、ニッケル又はグラファイトから選択される。本発明による方法では、基材材料として鋼を使用することは特に好ましい。金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に基づいて、少なくとも5重量%のマンガン、好ましくは10〜100重量%のマンガン、より好ましくは50〜100重量%のマンガン、特に好ましくは80〜100重量%のマンガンのマンガン含有量を有する。
【0040】
金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングが基材の表面にどのように塗布されるかは、それが固着性(haftfest)である限り、決定的なものではない。従って、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、種々の方法、とりわけ、溶射、肉盛溶接、又は物理蒸着(英語でphysical vapor depositionのPVD)等の蒸着によって、基材の上に塗布されることができる。金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングの層厚は、重要ではなく、方法に応じて数ナノメートル(例えばPVD法による)から数ミリメートル(例えば溶射法による)の範囲であり得る。
【0041】
・熱溶射(Thermisches Spritzen)
既に上述したように、金属マンガン又はマンガン酸化物含有コーティングは熱溶射によって基材上に塗布されることができる。熱溶射に使用されるマンガン含有コーティング材料は、金属マンガンからなることもできるし、金属マンガンに加えて鉄及び/又はニッケルを含有する混合物からなることもできる。
【0042】
熱溶射に使用されるマンガン含有コーティング材料は、有利には80重量%以上のマンガン、好ましくは90重量%以上のマンガン、特に好ましくは100重量%のマンガンの、マンガン含有量を有する。
【0043】
マンガン含有コーティング材料は、好ましくは溶射に適した形態、例えば粉末又はワイヤとしての形態で使用される。
【0044】
通常は、熱溶射中に、溶射バーナー(Spritzbrenners)の内部又は外部で加熱され、溶け始め、溶解し、溶融した溶射粒子(erhitzte an-, ab- bzw. aufgeschmolzene
Spritzpartikel)は、噴霧ガス(Zerstaeubergas)(例えば、圧縮空気又は、窒素及びアルゴン等の不活性ガス)によって加速される。その結果、主に機械的クランプによって、基材表面と固着性の金属マンガン及び/又はマンガン酸化物層との良好な接合が形成される。
【0045】
基材表面上への特に良好な層付着(Schichthaftung)を達成するために、追加の手段をとることができる。例えば、コーティングされるべき基材は、熱溶射プロセスの前にコランダムビーム(ここでビーム材料はジルコニウムコランダムである)によって粗面化することができる。他の可能性は、基材と金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングとの間に追加のプライマー(Haftgrundes)を配置することである。プライマーは、例えばニッケルからなることができる。プライマーを使用することによって、基材上への溶射層の付着性はさらに改善される。プライマーは、好ましくは、マンガン含有コーティング材料を熱溶射する前に、基材上に直接、面状に(flaechig)塗布される。プライマーは、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングと同じ溶射方法、例えば火炎溶射(Flammspritzen)又はアーク溶射(Lichtbogenspritzen)によって生成されることができる。通常、プライマーは50〜100ミクロンの層厚で生成される。プライマーが使用される場合、マンガン含有コーティング材料は通常、プライマー上に直接熱溶射される
【0046】
プライマーが使用されない場合、マンガン含有コーティング材料は通常、コーティングされるべき基材上に直接熱溶射される。
【0047】
マンガン含有コーティング材料は、従来の溶射法(Spritzverfahren)によって基材上に熱的に吹き付けられることができる。これらは、とりわけ:アークワイヤ溶射(Lichtbogen-Drahtspritzen)、サーモスプレー・粉末溶射(Thermo-Spray-Pulverspritzen)、火炎溶射(Flammspritzen)、高速火炎溶射(Hochgeschwindigkeits-Flammspritzen)、プラズマ溶射(Plasma-Spritzen)、自溶ロッド溶射(Autogenes Stabspritzen)、自溶ワイヤ溶射(Autogenes Drahtspritzen)、レーザー溶射(Laserstrahlspritzen)、冷間ガス溶射(Kaltgasspritzen)、デトネーション溶射(Detonationsspritzen)、及びPTWA溶射(プラズマ移行型ワイヤーアーク(Plasma Transferred Wire Arc))等である。これらの方法は、それ自体は当業者に知られている。マンガン含有コーティング材料は、特に火炎溶射又はアーク溶射によって基材に塗布することができる。粉末マンガン含有コーティング材料の使用のためには、特に火炎溶射が適している。
【0048】
粉末火炎溶射では、自己溶融性と自己付着性との間で粉末が区別される。自溶性の粉末は、通常、追加の熱後処理を必要とし、それによって溶射層の基材への付着性が著しく高められる。熱後処理は、通常、アセチレン酸素バーナー(Acetylen-Sauerstoff-Brennern)を用いて実施される。熱後処理によって溶射層が気密性かつ液密性(sowohl gas- als auch fluessigkeitsdicht)になるので、マンガン含有コーティング材料は好ましくは粉末火炎溶射を用いて基材上に塗布される。
【0049】
技術的見地から、上述の方法を用いて、50μmから数ミリメートルまでの層厚を基材上に塗布することができる。
【0050】
また、溶射は、空気雰囲気下で実施されることも、不活性ガス雰囲気下でも実施されることもできる。これは通常、噴霧ガスの種類によって調整されることができる。噴霧ガスとして窒素又はアルゴンのような不活性ガスを使用する場合、マンガン含有コーティング材料の酸化は広範囲で防止される。このように、例えば、金属マンガン又はマンガン合金製のマンガン層を基材上に塗布することができる。本発明による方法において、ガルバニック堆積プロセスの過程で、基材アノード上に堆積されたマンガン又はマンガン合金層を有する基材アノードにおいて、マンガン酸化物が形成され、これは活性な表面を構成する。あるいは、これらは基材上に予め塗布することもできる。これは、ガルバニック堆積プロセスの間に、最初に活性表面が形成される必要がないという利点を有し、その結果、プラスの効果、即ち、有機浴添加物のアノード酸化の抑制が短時間の後すでに見ることができる。例えば圧縮空気の使用によって、使用されたマンガン含有コーティング材料から、高温によって、酸化生成物が形成され、酸化生成物はつやのある薄層の(des Belages mit der Schmelze)表面に凝固し、従って固着性のフィルムを形成する。空気雰囲気下で溶射されたマンガン含有コーティング材料は、従って、基材上に塗布された層として、金属マンガンと、場合によっては鉄及び/又はニッケルとに加えて、マンガン酸化物及び場合によっては鉄酸化物及び/又はニッケル酸化物若しくはそれらの組み合わせも含む。
【0051】
・肉盛溶接(Auftragsschweissen)
熱溶射法に加えて、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物を含有するコーティングは、溶接クラッディング(Schweissplattieren)とも称される肉盛溶接によっても塗布されることができる。肉盛溶接に使用されるマンガン含有コーティング材料は、金属マンガンからなることもできるし、金属マンガンに加えて鉄及び/又はニッケルを含有する混合物からなることもできる。
【0052】
マンガン含有コーティング材料は、有利には80重量%以上のマンガン、好ましくは90重量%以上のマンガン、特に好ましくは100重量%のマンガンの、マンガン含有量を有する。
【0053】
マンガン含有コーティング材料は、好ましくは肉盛溶接に適した形態で、例えば粉末、ワイヤ、ロッド、テープ、ペースト又はフラックス入りワイヤとして使用される。
【0054】
通常、肉盛溶接では、コーティング材料もコーティングすべき基材の薄い表面層も適切なエネルギー源によって溶融され、冶金学的に相互に結合される。コーティング材料の基材材料との拡散及び混合によって、固着性(haftfeste)の非多孔質(porenfreie)の層が生成される。肉盛溶接の際に基材の表面が溶融するという点で、肉盛溶接は溶射とは本質的に異なる。
【0055】
マンガン含有コーティング材料は、従来の肉盛溶接方法によって基材に塗布することができる。そのための適切なエネルギー源には、とりわけ、アーク、炎、ジュール熱、プラズマビーム、レーザービーム及び電子ビームが挙げられる。これらのエネルギー源は、それ自体は当業者に知られている。
【0056】
技術的な観点から、上述の方法によって1mm以上の比較的厚い層厚を基材に塗布することができる。この目的のために、エネルギー源は、基材上で往復運動(Pendelbewegungen)するように案内され、それによってマンガン含有コーティング材料は、個々の位置(Lage)に塗布される。
【0057】
さらに、肉盛溶接は、熱溶射と同様に、空気雰囲気下でも、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも実施することもできる。不活性ガス雰囲気下で、例えば金属マンガン又はマンガン合金のマンガン層を基材に塗布することができる。空気雰囲気下では、高温によって、使用されるマンガン含有コーティング材料から酸化生成物が形成される。すると、空気雰囲気下で形成された層は、金属マンガンと、場合によって鉄及び/又はニッケルと、に加えて、マンガン酸化物も含み、さらに、場合によって酸化鉄及び/又は酸化ニッケル、又は、それらの組み合わせを含む。
【0058】
・気相堆積(Gasphasenabscheidung)
金属マンガン又はマンガン酸化物含有コーティングは、気相堆積(例えば物理気相堆積(PVD))によって基材に塗布されることもできる。
【0059】
物理気相堆積のために使用されるマンガン含有コーティング材料は、通常は金属マンガンであるが、この方法のために適した別のマンガン含有固体が使用されることもできる。
【0060】
マンガン含有コーティング材料は、従来の気相堆積方法によって基材に塗布されることができる。物理気相堆積方法は、以下の方法を含む:例えば熱蒸着、電子ビーム蒸着、レーザービーム蒸着及びアーク蒸着、スパッタリング及びイオンプレーティング並びにこれらの方法の反応性変形例。
【0061】
通常は、PVD方法では、後にマンガン含有固体としてコーティングされるべき基材の表面に堆積させるために、マンガン含有コーティング材料は、レーザービーム、磁気偏向イオン、電子の衝突によって、又は、アーク放電によって、霧状に飛散され(例えばスパッタの場合)又は気相にされる(例えば蒸着の場合)。
【0062】
ガス状のマンガン含有コーティング材料が、コーティングされるべき基材にも達するように、方法は約10
−4〜10Paの低減された圧力において行われなければならない。
【0063】
技術的な観点から、PVD方法を用いれば、基材上に100nm〜2mmの層厚を塗布することができる。
【0064】
・複合アノード(Verbundanoden)
マンガン含有固体電極と、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物でコーティングされた基材電極とに加えて、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物と導電性材料とを含む複合材料を含む電極も考えられる。導電性材料としては、例えば、炭素、好ましくはグラファイトを用いることができる。
【0065】
金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有複合材料は、好ましくは金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に基づいて、少なくとも5重量%のマンガン、好ましくは少なくとも10重量%のマンガン、より好ましくは少なくとも50重量%のマンガンのマンガン含有量を有する。
【0066】
かかるマンガン含有複合電極の製造方法は、特に制限されない。従って、焼結又は結合剤を用いた加圧のような、一般的な方法が適している。さらに、マンガン含有複合電極は、発泡金属に金属マンガン又はマンガン酸化物を含侵させること(Einlagern)によっても製造することができる。これらの方法は、それ自体は当業者に知られている。
【0067】
・亜鉛及び亜鉛合金浴(Zink- und Zinklegierungsbaeder)
アルカリ性電解質から亜鉛及び亜鉛合金被覆をガルバニック堆積する本発明による方法において、亜鉛及び亜鉛合金浴は、アルカリ性であり、錯化剤、光沢剤、湿潤剤等の有機浴添加物を含む限り特に限定されない。
【0068】
本発明による方法のための典型的な亜鉛及び亜鉛合金浴は、例えばアルカリ性亜鉛ニッケル合金浴である。かかる亜鉛ニッケル合金浴は、アノードとして接続された基板上にアルカリ性亜鉛ニッケル電解質から亜鉛ニッケル合金被覆を堆積させるために使用される。これは、新出発剤中に、亜鉛として計算して、5〜15g/l、好ましくは6〜10g/lの範囲の亜鉛イオン濃度、及び、ニッケルとして計算して、0.5〜3g/l、好ましくは0.6〜1.5g/lの範囲のニッケルイオン濃度を含む。亜鉛ニッケル電解液の製造に用いられる亜鉛及びニッケル化合物は、特に限定されない。例えば、硫酸ニッケル(Nickelsulfat)、塩化ニッケル(Nickelchlorid)、スルファミン酸ニッケル(Nickelsulfamat)又はメタンスルホン酸ニッケル(Nickelmethansulfonat)が用いられることができる。硫酸ニッケルの使用は、特に好ましい。
【0069】
さらに、アルカリ性亜鉛及び亜鉛合金浴は、例えば錯化剤、光沢剤、界面活性剤等の有機浴添加物をさらに、含む。
【0070】
特に、亜鉛ニッケル電解質を使用する場合、錯化剤の添加は避けられない。なぜなら、ニッケルは両性(amphoter)ではなく、従ってアルカリ性電解質に溶解しないからである。従って、アルカリ性亜鉛ニッケル電解質は、ニッケルのための特定の錯化剤を含んでいる。錯化剤は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。好ましくは、トリエタノールアミン(Triethanolamin)、エチレンジアミン(Ethylendiamin)、テトラヒドロオキソプロピルエチレンジアミン(Tetrahydroxopropylethylendiamin)(Lutron Q 75)、ジエチレントリアミン(Diethylentetramin)等のアミン化合物(Aminverbindungen)、又は、ジエチレンアミン(Diethylentriamin)、テトラエチレンペンタミン(Tetraethylenpentamin)等のエチレンジアミンの同族化合物(homologe Verbindungen des Ethylendiamins)が使用される。錯化剤及び/又はこれらの錯化剤の混合物は、通常5〜100g/l、好ましくは10〜70g/l、より好ましくは15〜60g/lの範囲の濃度で使用される。
【0071】
さらに、亜鉛及び亜鉛合金浴には、通常、付加的に光沢剤が使用されている。これらは特に限定されず、公知の光沢剤を使用することができる。光沢剤として好ましくは、ベンジルピリジニウムカルボキシレート(Benzylpyridiniumcarboxylat)又はピリジニウム‐N‐プロパン‐3‐スルホン酸(Pyridinium-N-propan-3-sulfonsaeure)(PPS)のような芳香族又はヘテロ芳香族化合物が使用される。
【0072】
さらに、本発明による方法で使用される電解質は塩基性である。pH値を調整するために、例えば、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを使用することができるが、これらに限定されない。水酸化ナトリウムは、特に好ましい。水性アルカリ性溶液のpH値は通常10以上であり、好ましくは12以上、又は、特に好ましくは13以上である。従って、亜鉛ニッケル浴は通常80〜160g/lの水酸化ナトリウムを含有する。これは、約2〜4モルの溶液に相応する。
【0073】
・ カソード又はコーティングされるべき基板(Kathoden bzw. zu beschichtende Substrate)
カソードとして接続される基板は特に限定されず、アルカリ性電解質から亜鉛又は亜鉛合金被覆を堆積させるためのガルバニックコーティングプロセスにおいてカソードとして使用するのに適した任意の公知の材料を使用することができる。従って、本発明による方法では、例えば、鋼、硬化鋼、鍛造又はダイカスト亜鉛の基板をカソードとして使用することができる。
【0074】
上記の方法に加えて、本発明はさらに、亜鉛及び亜鉛合金電解質と有機浴添加物とを有するアルカリ性コーティング浴から亜鉛及び亜鉛合金被覆をガルバニック堆積させるためのアノードとして、
1)金属マンガン又はマンガン含有合金の使用であって、マンガン含有合金は少なくとも5重量%のマンガンを含む、使用か、又は
2)導電基材と、その上に塗布された金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングと、の使用であって、金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有コーティングは、好ましくは金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に基づいて、少なくとも5重量%のマンガンを含む、使用か、又は、
3)金属マンガン及び/又はマンガン酸化物と、導電性材料と、を含む複合材料の使用であって、複合材料は、好ましくは金属マンガン及びマンガン酸化物に由来するマンガンの総量に基づいて、少なくとも5重量%のマンガンを含む、使用に関する。
【0075】
さらに、アノードとして上述したような不溶性の金属マンガン及び/又はマンガン酸化物含有電極を含む、亜鉛及び亜鉛合金化電解質と有機浴添加物とを含むアルカリ性コーティング浴から亜鉛及び亜鉛合金被覆を堆積させるためのガルバニック装置が提供される。
【0076】
本発明による装置は、アノード空間及びカソード空間が膜及び/又はセパレータによって相互に分離されることを必要としない。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下では、本発明が実施例によってさらに詳細に説明される。
【0078】
・実施例
・試験実施例1.1
負荷試験(Belastungsversuche)は、異なるアノード材料を用いて、アルカリ性亜鉛ニッケル電解質SLOTOLOY ZN 80(Schloetter社)によって行われた。
一定のカソード電流密度及びアノード電流密度を用いた堆積挙動は、長期間にわたって分析された。
印加電流量の関数として、亜鉛ニッケル電解質は、アノード上に生成される分解生成物、例えばシアン化物に関して調査された。
さらに、有機錯生成剤及び光沢剤の分析が実施された。
【0079】
テスト条件:
基本的浴調製物(Grundbadansatz)(2リットルのSLOTOLOY ZN 80)は以下の組成を有していた:
Zn: ZnOとして7.5g/l
Ni: NiSO
4×6H
2Oとして0.6g/l
NaOH: 120g/l
SLOTOLOY Zn 81: 40ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 82: 75ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 87: 2.5ml/l(基礎光沢添加物(Grundglanzadditiv))
SLOTOLOY Zn 83: 2.5ml/l(基礎光沢添加物)
SLOTOLOY Zn 86: 1.0ml/l(トップ光沢剤(Spitzenglanzbildner))
【0080】
上述した基本的基本的浴調製物は、以下を含む:
10.0g/lのDETA(ジエチレントリアミン(Diethylentriamin))、9.4g/lのTEA(85重量%のトリエタノールアミン(Triethanolamin))、40.0g/lのLutronQ75(BASF;75重量%のテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン(Tetrahydroxopropylethylendiamin))及び370mg/lのPPS(1‐(3‐スルホプロピル)‐ピリジニウム‐ベタイン((1-(3-Sulfopropyl)-pyridinium-betain))。
【0081】
浴の温度は、35℃に調整された。電流収集板コーティング(Stromausbeuteblechbeschichtung)中の撹拌速度は、250〜300rpmであった。負荷板コーティング(Belastungsblechbeschichtung)中の撹拌速度は、対照的に0rpmであった。アノード及びカソードの電流密度は、一定に保たれた。カソード側の電流密度はIk=2.5A/dm
2であった。アノード側の電流密度はIa=15A/dm
2であった。
【0082】
以下のアノード材料及びカソード材料が使用された:
【0083】
カソード材料:DIN EN 10139/10140による冷間圧延鋼板(品質:DC03LC MA RL)。
【0084】
アノード材料:比較例アノード1:材料番号1.0330又はDC01を有する鋼(組成:C 0.12%;Mn 0.6%;P 0.045%;S 0.045%);市販入手可能
【0085】
比較例アノード2:光沢ニッケルメッキ鋼;(Schloetter社のSLOTONIK20電解質でコーティングされている)30μmの光沢ニッケルの層堆積物(Schichtauflage)を有する鋼(材料番号1.0330);
製造:J. N. Unruh, Tabellenbuch Galvanotechnik, 第7版, EUGEN G. LEUZE Verlag, Bad Saulgau, ページ515参照。
【0086】
比較例アノード3:熱溶射によって塗布された鉄酸化物層を有する鋼(材料番号1.0330)(以下では、「Fe酸化物アノード」として記載される);
製造:2mm厚の鋼板(材料番号1.0330)が脱脂され、ガラスビーズ(直径150〜250μm)噴射され、続いて圧縮空気によって付着残留物が取り除かれた。その後、鋼板は、プライマーの改善のためにアーク溶射を用いてまずニッケルで溶射された。その際、ニッケルワイヤはアーク(バーナーヘッドにおける温度3000〜4000℃)内で溶融し、スパッタリングとしての圧縮空気(6bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された(aufgespritzt)。続いて、鉄酸化物層は同様にアーク溶射によって塗布された。そこで、鉄ワイヤ(0.7重量%のMn,0.07重量%のC及び残余のFeを有する、所謂鉄アークワイヤ;直径1.6mm)はアーク(バーナーヘッドにおける温度3000〜4000℃)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(6bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された。旋回動作によって、均一な、約300μmの厚さの溶射された鉄酸化物層が生成されるまでコーティングされた。
【0087】
本発明によるアノード1:熱溶射によって塗布されたマンガン酸化物層を有する鋼(材料番号1.0330)(以下では、「Mn酸化物アノード」として定義される);
製造:2mm厚の鋼板(材料番号1.0330)が脱脂され、コランダムビーム(Korundstrahlen)(ビーム材料(Strahlgut)はここではジルコニウムコランダムである)で粗面化され、続いて圧縮空気によって付着残留物が取り除かれた。その後、鋼板は、アーク溶射を用いたプライマーの改善のために、まずニッケルで溶射された。その際、ニッケルワイヤはアーク(バーナーヘッドにおける温度3000〜4000℃)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(6bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された。続いて、マンガン酸化物層は、粉末火炎溶射によって溶射された。その際、金属マンガン粉末(Sigma Aldrichの、−325メッシュ、≧99%)は、アセチレン酸素炎(バーナー炎の温度は3160℃であった)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(最大3bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された。旋回動作によって、均一な、約250μmの厚さの溶射されたマンガン酸化物層が生成されるまでコーティングされた。
【0088】
それぞれ5Ah/lの量の電流を流した後、以下の光沢剤又は微粒子添加剤を亜鉛ニッケル電解質中にドーピングした(zudosiert):
SLOTOLOY Zn 86:1ml(1l/10kAhの添加量に相当)
SLOTOLOY Zn 83:0.3ml(0.3l/10kAhの添加量に相当)
【0089】
それぞれ2.5Ah/lの電流量を流した後、堆積板(カソード)上に存在する堆積された亜鉛ニッケル合金は計量(Auswaage)により求められた。亜鉛ニッケル電解質内での堆積によって欠ける(fehlende)総金属量は、85重量%の亜鉛及び15重量%のニッケルに換算された(例えば、1.0gの亜鉛ニッケル合金の堆積された総金属量は850mgの亜鉛及び150mgのニッケルに割り当てられた)。
【0090】
電解質内で使用された亜鉛は亜鉛酸化物として添加され、使用されたニッケルはニッケル含有流体濃縮物SLOTOLOY ZN85によって補充された。SLOTOLOY Zn85内には、硫化ニッケル、アミントリエタノールアミン(Amine Triethanolamin)、ジエチレントリアミン(Diethylentriamin)及びLutron Q75が含まれる(1mlのSLOTOLOY Zn85は63mgのニッケルを含む)。
【0091】
NaOH含有量は、それぞれ10Ah/lの後に酸塩基滴定により特定され、それぞれ120g/lに調整された。
【0092】
実験手順及び結果:
50Ah/l及び100Ah/lの電流量が流された後、それぞれ、形成されたシアン化物の量が特定された。分析評価の結果を浴負荷の関数として、表2に示す。
【0094】
シアン化物の特定は、Dr.Lange社(現Hach社)の容易に遊離可能なシアン化物(fuer leicht freisetzbare Cyanide)に対するキュベット試験LCK319を用いて実施された。容易に遊離可能なシアン化物は、その際、反応によってガス状のHCNに変換され、膜を通過して指示薬キュベットに移される。その後、指示薬の色変化を測光的に評価する。
【0095】
表2に示されているように、本発明によるMn酸化物アノードを使用した場合のシアン化物の生成が最も少ない。100Ah/lの電流を流した後でさえ、本発明によるMn酸化物を使用した場合のシアン化物含有量は比較例アノード1〜3と比べて半分にしか達しない。
【0096】
さらに、50Ah/l及び100Ah/lの電流量を流した後に、それぞれ、まだ存在する錯化剤の量が特定された。
分析評価の結果は、浴負荷の関数として、表3においてまとめられている。
【0098】
表3に示されるように、本発明によるMn酸化物アノードを使用した場合、顕著により少ないアミン(DETA及びTEA)が消費された。
100Ah/lの電流を流した後でさえ、本発明によるMn酸化物を使用した場合のDETA及びTEAの消費は比較例アノード1〜3と比べて顕著に少なかった。
【0099】
試験実施例1.2
テスト条件:
試験実施例1.2は、試験実施例1.1に記載されたのと同じ条件の下で実施された。
【0100】
実験手順及び結果:
1dm
2の板表面積を有する、カソードとして接続された、平坦な冷間圧延鋼板(DIN EN 10139/10140;人室:DC03 LC MA RL)は、比較例アノード1〜3及び本発明によるMn酸化物アノードを使用して、亜鉛ニッケル電解質でコーティングされた。
その際、電流収集及びニッケル合金割合は、開始状態(Ausgangszustand)で、かつ、100Ah/lの電流量が流された後に、0.25、2.5及び4A/dm
2のカソード電流密度において特定される。
【0101】
電流収集及びニッケル合金割合の特定の結果は、浴負荷の関数として、表4〜7に示される。
【0106】
表7は、本発明によるMn酸化物アノードを使用することによって、ほぼ同一のニッケル合金割合において、印加されたカソード電流密度に応じて、100Ah/l負荷後に、通常標準アノードとして使用されている比較例アノード2(光沢ニッケルメッキされた鋼;表5参照)と比較して、3〜8%だけ高い電流収集が得られたということを示す。
【0107】
本発明によるMn酸化物アノードを使用することによって、実際に、より短い時間において、部品上に所定の層厚を得ることができる。
これは、プロセス費用の著しい削減をもたらす。
【0108】
試験実施例1.3
テスト条件:試験実施例1.3は、試験実施例1.1に記載されたのと同じ条件の下で実施された。
【0109】
100Ah/l負荷の後に、亜鉛ニッケル電解質の体積は、DIN 50957に従ってハルセル試験(Hullzellentest)によって検査された。
電解質温度は35°Cに調整された。
250mlのハルセルが使用された。
DIN EN 10139/10140による冷間圧延鋼板(品質:DC03LCMARL)はカソード板として使用された。
セル電流は、その際、2Aであり、コーティング時間は15分であった。
【0110】
試験結果:
ハルセルコーティングの結果は、浴負荷の関数として、光学系及び合金分布を特定するために、ダイアグラム1及び2が示される。
【0111】
ダイアグラム1は、比較例アノード1〜3によって作動され、浴でコーティングされた試験板の結果を示す。
ダイアグラム2は、本発明によるMn酸化物アノードによって作動され、浴でコーティングされた試験板の結果を示す。
【0114】
本発明によるMn酸化物によって作動されたハルセル板(ダイアグラム2参照)は、100Ah/lの後、全電流密度領域にわたって、均一な、半光沢乃至光沢のある外観を示し、これは、まだ存在する破壊されていない浴添加剤に関する尺度である。
【0115】
比較例アノード1〜3の亜鉛ニッケル電解質によるハルセル板は、<2A/dm
2の範囲(板の右端から4cm〜板の右端の距離に相当)において半光沢乃至光沢のある外観を示した。
板の残りの領域は、セミマット乃至マットである。
【0116】
試験実施例1.1〜1.3から、本発明によるMn酸化物アノードの使用が有機浴添加物の消費に良い影響を及ぼすことが見て取れる。
顕著により少ないアミン含有錯化剤、特にDETA及びTEAが、使用され、プロセスコストの減少へと導く。
さらに、顕著に減少したシアン化物の形成が観察され得る。
さらに、本発明によるMn酸化物アノードを使用することによって100Ah/lの後、電流密度に応じて、比較例アノード2を用いるよりも3〜8%高い電流収集を達成することができ、それはさらにプロセスコストを著しく減少させる。
以上の点に加えて、本発明のMn酸化物アノードを用いた100Ah/l負荷の後においても、比較例アノード1〜3を用いた場合と比較して光沢性の低下が生じない。
【0117】
・試験実施例2
負荷試験は、異なるアノード材料を用いて、アルカリ性亜鉛ニッケル電解質SLOTOLOY ZN 210(Schloetter社)によって行われた。一定のカソード電流密度及びアノード電流密度を用いた堆積挙動は、長期間にわたって分析された。印加電流量の関数として、亜鉛ニッケル電解質は、アノード上に生成される分解生成物、例えばシアン化物に関して調査された。さらに、有機錯生成剤及び光沢剤の分析が実施された。
【0118】
テスト条件:
基本的浴調製物(2リットルのSLOTOLOY Zn 210)は以下の組成を有していた:
Zn: ZnOとして7.5g/l
Ni: NiSO
4×6H
2Oとして1.0g/l
NaOH: 120g/l
SLOTOLOY Zn 211: 100ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 211: 30ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 215: 14ml/l(ニッケル溶液)
SLOTOLOY Zn 213: 2.5ml/l(基礎光沢添加物
SLOTOLOY Zn 216: 0.2ml/l(トップ光沢剤)
【0119】
上述した基本的基本的浴調製物は、以下を含む:
22.4g/lのTEPA(テトラエチレンペンタミン(Tetraethylenpentamin))、10.2g/lのTEA(85重量%)及び5.4g/lのLutron Q 75(BASF、75重量%のテトラヒドロオキソプロピルエチレンジアミン(Tetrahydroxopropylethylendiamin))及び75mg/lのPPS(1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム‐ベタイン((1-(3-Sulfopropyl)-pyridinium-betain)))。
【0120】
浴の温度は、28℃に調整された。負荷板コーティング中の撹拌速度は、対照的に0rpmであった。
アノード及びカソードの電流密度は、一定に保たれた。カソード側の電流密度はIk=2.0A/dm
2であった。アノード側の電流密度はIa=12.5A/dm
2であった。
【0121】
以下のアノード材料及びカソード材料が使用された:
【0122】
カソード材料:DIN EN 10139/10140による冷間圧延鋼板(品質:DC03LCMARL)。
【0123】
アノード材料:
比較例アノード2:光沢ニッケルメッキ鋼;(Schloetter社のSLOTONIK 20電解質でコーティングされている)30μmの光沢ニッケルの層堆積物を有する鋼(材料番号1.0330);
製造:J. N. Unruh, Tabellenbuch Galvanotechnik, 第7版, EUGEN G. LEUZE Verlag, Bad Saulgau, ページ515参照。
【0124】
本発明によるアノード2:材料番号1.3401又はX120Mn12を有する鋼(組成:C 1.2%;Mn 12.5%;Si 0.4%;P 0.1%;s 0.04%);市販入手可能(以下では、「マンガン合金アノード」として記載される。)
【0125】
それぞれ2.5Ah/lの量の電流を流した後、以下の光沢剤又は微粒子添加剤を亜鉛ニッケル電解質中にドーピングした:
SLOTOLOY Zn 214:0.25ml(1l/10kAhの添加量に相当)
SLOTOLOY Zn 216:0.1ml(0.3l/10kAhの添加量に相当)
【0126】
それぞれ2.5Ah/lの電流量を流した後、堆積板(カソード)上に存在する堆積された亜鉛‐ニッケル合金は計量により求められた。
亜鉛ニッケル電解質内での堆積によって不足する総金属量は、85重量%の亜鉛及び15重量%のニッケルに換算された(例えば、1.0gの亜鉛ニッケル合金の堆積された総金属量は850mgの亜鉛及び150mgのニッケルに割り当てられた)。
【0127】
電解質内で消費されるニッケルは、ニッケル含有流体濃縮物SLOTOLOY Zn 215によって補充された。
SLOTOLOY Zn 215内には、硫化ニッケル、アミントリエタノールアミン(Amine Triethanolamin)、テトラエチレンペンタミン(Tetraethylenpentamin)及びLutron Q 75が含まれる(1mlのSLOTOLOY Zn 215は70mgのニッケルを含む)。
【0128】
NaOH含有量は、それぞれ10Ah/lの後に酸塩基滴定により特定され、それぞれ120g/lに調整された。
【0129】
全コーティング期間中、亜鉛ニッケル電解質中の亜鉛含有量をできる限り一定に保つために、無電流に相当する亜鉛ペレット(stromlos entsprechend Zinkpellets)が電解液に導入された。
ここで、電解質のアルカリ性に基づいて、亜鉛の溶解が生じる。
ここでも、亜鉛含有量は、定期的に分析的に滴定を用いて実験室で分析された
【0130】
実験手順及び結果:
50Ah/lの電流量を流した後に、形成されたシアン化物の量が特定された。
分析評価の結果を浴負荷の関数として、表8に示す。
【0132】
シアン化物の特定は、Dr.Lange社(現Hach社)の容易に遊離可能なシアン化物に対するキュベット試験LCK319を用いて実施された。
容易に遊離可能なシアン化物は、その際、反応によってガス状のHCNに変換され、膜を通過して指示薬キュベットに移される。
その後、指示薬の色変化を測光的に評価する。
【0133】
表8に示されるように、本発明によるマンガン合金アノードを使用して、比較例アノード2(光沢ニッケルメッキ鋼)の場合よりもはるかに少ないシアン化物生成が実現された。
【0134】
さらにまた、50Ah/lの電流量を流した後に、まだ存在する添加剤の量が特定された。
例えばTEPA及びTEA等のアミン含有錯化剤、及び、例えばPPS等の光沢剤のような有機浴添加物の分析測定の結果は、表9に浴負荷の関数として示される。
【0136】
表9に示されているように、本発明によるマンガン合金アノードを使用すると、比較例アノード2を使用した場合よりも顕著に少ないアミン(TEPA及びTEA)及びPPSが消費された。
従って、これらの材料は本発明によるマンガン合金アノードで酸化されにくい(weniger stark oxidiert)。
【0137】
・試験実施例3
本発明によるマンガン合金アノードは、高光沢ニッケルメッキ鋼からなる比較例アノード2と、テクニカルセンター内で比較された。
そのために、まず新しく調整されたSLOTOLOY Zn 80電解液(Schloetter社)は、約6か月間、高光沢ニッケルメッキ鋼製の4つの標準アノード(比較例アノード2)で作動され、そこで、亜鉛ニッケル電解質中の372mg/lのシアン化物含有量が達成された。
6ヵ月後に、高光沢ニッケルメッキ鋼製の標準アノードは、本発明によるマンガン合金アノードを交換された。
亜鉛ニッケル電解質はその後さらに4か月間、同一条件に置かれた。
【0138】
テスト条件:
基本的浴調製物(200リットルのSLOTOLOY ZN 80)は以下の組成を有していた:
Zn: ZnOとして7.5g/l
Ni: NiSO
4×6H
2Oとして0.6g/l
NaOH: 110g/l
SLOTOLOY Zn 81: 40ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 82: 75ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 87: 2.5ml/l(基礎光沢添加物)
SLOTOLOY Zn 83: 2.5ml/l(基礎光沢添加物
SLOTOLOY Zn 86: 1.0ml/l(トップ光沢剤)
【0139】
上述した基本的基本的浴調製物は、以下を含む:
10.0 g/lのDETA(ジエチレントリアミン)、9.4g/lのTEA(85重量%のトリエタノールアミン)、40.0g/lのLutronQ75(BASF;75重量%のテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン)及び370mg/lのPPS (1‐(3‐スルホプロピル)‐ピリジニウム‐ベタイン)。
【0140】
浴体積は、200リットルであった。
浴の温度は、33℃に調整された。
アノード及びカソードの電流密度は、一定に保たれた。
カソード側の電流密度はIk=2.5A/dm
2であった。アノード側の電流密度はIa=25A/dm
2であった。
毎月のバス負荷は、25000Ahであった。
【0141】
以下のアノード材料及びカソード材料が使用された:
カソード材料:DIN EN 10139/10140による冷間圧延鋼板(品質:DC03LCMARL)。
【0142】
アノード材料:
比較例アノード2:光沢ニッケルメッキ鋼;30μmの層厚の光沢ニッケルを有する(Schloetter社のSLOTONIK 20電解質でコーティングされている)鋼(材料番号1.0330);
製造:J. N. Unruh, Tabellenbuch Galvanotechnik, 第7版, EUGEN G. LEUZE Verlag, Bad Saulgau, ページ515参照。
【0143】
本発明によるアノード2:材料番号1.3401又はX120Mn12を有する鋼(組成:C 1.2%;Mn 12.5%;Si 0.4%;P 0.1%;s 0.04%);市販入手可能(以下では、「マンガン合金アノード」として記載される。)
【0144】
テクニカルセンターでの負荷は、実用的な条件下で行われた。即ち、 浴添加剤、金属及び苛性ソーダ溶液が連続的に補給された。
【0145】
それぞれ5Ah/lの量の電流を流した後、以下の光沢剤又は微粒子添加剤を亜鉛ニッケル電解質中にドーピングした:
【0146】
光沢ニッケルメッキ鋼アノード(比較例アノード2)を用いた作動の場合:
SLOTOLOY Zn 86:100ml(1l/10kAhの添加量に相当)
SLOTOLOY Zn 83:60ml(0.6l/10kAhの添加量に相当)
【0147】
本発明によるマンガン合金アノード(本発明によるアノード2)を用いた作動の場合:
SLOTOLOY Zn 86:60ml(0.6l/10kAhの添加量に相当)
SLOTOLOY Zn 83:60ml(0.6l/10kAhの添加量に相当)
【0148】
添加剤SLOTOLOY ZN 86の分量(Dosiermenge)は、ここでは意図的に減らされた。本発明によるマンガン合金アノードでは、添加剤分解(Zusatzabbau)が少ないからである。
【0149】
電解質内で消費されるニッケルは、ニッケル含有流体濃縮物SLOTOLOY Zn 85によって補充された。
SLOTOLOY Zn 85内には、硫化ニッケル、アミントリエタノールアミン、ジエチレントリアミン及びLutron Q 75が含まれる(1mlのSLOTOLOY Zn 85は63mgのニッケルを含む)。
ここで、ニッケルの必要量は、適切な分析法(例えばICP、AAS)によって特定された。
【0150】
全コーティング期間中、亜鉛ニッケル電解質中の亜鉛含有量をできる限り一定に保つために、無電流に相当する亜鉛ペレットが電解液に導入された。
ここで、電解質のアルカリ性に基づいて、亜鉛の溶解が生じる。
ここでも、亜鉛含有量は、定期的に分析的に滴定を用いて実験室で分析された。
全コーティング期間中に電解質の水酸化ナトリウム含有量をできるだけ一定に保つために、
水酸化ナトリウム含有量は、定期的に(5Ah/l後毎)分析的に滴定を用いて実験室で分析され、それに応じて補充された。
【0151】
さらに、過剰な炭酸塩が除去された。
電解質の長期にわたる作動の間に浴の炭酸含有量が上昇することは、当業者にとって公知である。
これを、炭酸ナトリウム60g/l未満の値に保つことができるようにするために、所謂凍結分離器(Ausfriergeraete)によって炭酸塩を一定の間隔で分離した。
実際的な条件下では、除去損失及び必要な炭酸塩の凍結分離によって電解質の若干の希釈(eine gewisse Verduennung)が起こる。
【0152】
実験手順及び結果:
新しく調製したSLOTOLOY ZN 80電解質は、高光沢ニッケルメッキ鋼製の4つの標準アノード(比較例アノード2)で作動され、約6ヶ月後に372mg/lのシアン化物含有量を示した。
この期間の後、高光沢ニッケルメッキ鋼製の標準アノードを本発明によるマンガン合金アノードと交換した(表10において「開始」として定義される)。
亜鉛ニッケル電解質はその後さらに4か月間、同一条件に置かれた。
それぞれ1ヶ月の間隔で、シアン化物含有量及び有機浴添加物に対する本発明によるマンガン合金アノードの影響が調査された。
【0153】
有機浴添加物及びシアン化物の分析測定の結果を浴負荷の関数として表10に列挙する。
【0155】
シアン化物の特定は、Dr.Lange社(現Hach社)の容易に遊離可能なシアン化物に対するキュベット試験LCK319を用いて実施された。
容易に遊離可能なシアン化物は、その際、反応によってガス状のHCNに変換され、膜を通過して指示薬キュベットに移される。
その後、指示薬の色変化を測光的に評価する。
【0156】
表10から、本発明によるマンガン合金アノードでは、電解質中のシアン化物含有量が試験期間(4ヶ月)内において著しく低下することが分かる。
【0157】
本発明のマンガン合金アノードを用いた作動中、堆積された層の光沢度はシアン化物含有量が減少するにつれて増加した。
【0158】
実験の全過程を通して堆積されたガルバニック層の均一な光沢度を維持するという前提の下で、それ故に、PPSのような微粒子及び光沢添加剤の添加を著しく減らすことができた。 なぜなら、より少ない微粒子及び光沢剤添加剤しか消費されないからである。
従って、PPSを含有する添加剤SLOTOLOY ZN 86は、比較例アノード2での作動中の添加量100mlから、本発明によるマンガン合金アノードを使用することによって、60mlに減少させることができた。
【0159】
さらに、アミンDETA及びTEAは、本発明によるマンガン合金アノードを使用した方が、比較例アノード2よりも少量しか消費されないことが分かる。
【0160】
これらは、本発明によるマンガン合金アノードを使用することによって添加剤分解が減少することに関する2つの論拠である。
従って、有機的成分の制限された消費によって、プロセスコストにおける少なからぬコスト的利点を実現することができる
【0161】
・試験実施例4
負荷試験は、異なるアノード材料を用いて、アルカリ性亜鉛ニッケル電解質SLOTOLOY ZN 80(Schloetter社)によって行われた。
一定のカソード電流密度及びアノード電流密度を用いた堆積挙動は、長期間にわたって分析された。
印加電流量の関数として、亜鉛ニッケル電解質は、アノード上に生成される分解生成物、例えばシアン化物に関して調査された。
さらに、有機錯生成剤及び光沢剤の分析が実施された。
【0162】
テスト条件:
基本的浴調製物(2リットルのSLOTOLOY ZN 80)は以下の組成を有していた:
【0163】
Zn: ZnOとして7.5g/l
Ni: NiSO
4×6H
2Oとして0.6g/l
NaOH: 120g/l
SLOTOLOY Zn 81: 40ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 82: 75ml/l(錯化剤混合物)
SLOTOLOY Zn 87: 2.5ml/l(基礎光沢添加物)
SLOTOLOY Zn 83: 2.5ml/l(基礎光沢添加物
SLOTOLOY Zn 86: 1.0ml/l(トップ光沢剤)
【0164】
上述した基本的基本的浴調製物は、以下を含む:
10.0 g/lのDETA(ジエチレントリアミン)、9.4g/lのTEA(85重量%のトリエタノールアミン)、40.0g/lのLutronQ75(BASF;75重量%のテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン)及び370mg/lのPPS (1−(3−スルホプロピル)−ピリジニウム−ベタイン)。
【0165】
浴の温度は、35℃に調整された。
電流収集板コーティング中の撹拌速度は、250〜300rpmであった。
負荷板コーティング中の撹拌速度は、対照的に0rpmであった。
アノード及びカソードの電流密度は、一定に保たれた。
カソード側の電流密度はIk=2.5A/dm
2であった。アノード側の電流密度はIa=15A/dm
2であった。
【0166】
以下のアノード材料及びカソード材料が使用された:
【0167】
カソード材料:DIN EN 10139/10140による冷間圧延鋼板(品質:DC03LCMARL)。
【0168】
アノード材料:
比較例アノード2:光沢ニッケルメッキ鋼;(Schloetter社のSLOTONIK 20電解質でコーティングされている)30μmの光沢ニッケルの層堆積物を有する鋼(材料番号1.0330);
製造:J. N. Unruh, Tabellenbuch Galvanotechnik, 第7版, EUGEN G. LEUZE Verlag, Bad Saulgau, ページ515参照。
【0169】
本発明によるアノード3:熱溶射によって塗布されたマンガン鉄酸化物層を有する鋼(材料番号1.0330)(以下では、「Mn‐Fe酸化物アノード」として定義される);
製造:2mm厚の鋼板(材料番号1.0330)が脱脂され、コランダムビーム(ビーム材料はここではジルコニウムコランダムである)で粗面化され、続いて圧縮空気によって付着残留物が取り除かれた。
その後、鋼板は、アーク溶射を用いたプライマーの改善のために、まずニッケルで熱溶射された。
その際、ニッケルワイヤはアーク(バーナーヘッドにおける温度3000〜4000℃)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(6bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された。
続いて、マンガン鉄酸化物層は、粉末火炎溶射によって熱溶射された。
コーティング材料として、90重量%の金属マンガン粉末(−325メッシュ、≧99%、Sigma Aldrich製)及び10重量%の金属鉄粉末(−325メッシュ、≧97%、Sigma Aldrich製)を含む混合物が使用された。
その際、両粉末が溶射プロセスの前に均一に混ぜ合わせられたことに留意した。
その後、金属マンガン鉄混合物は、アセチレン酸素炎(バーナー炎の温度は3160℃であった)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(最大3bar)によって15〜20cmの距離において鋼板上に噴射された。
旋回動作によって、均一な、約250μmの厚さの溶射されたマンガン鉄酸化物層が生成されるまでコーティングされた。
【0170】
本発明によるアノード4:溶射によって塗布されたマンガン‐ニッケル酸化物層を有する鋼(材料番号1.0330)(以下では、「Mn‐Ni酸化物アノード」として記載される);
製造:2mm厚の鋼板(材料番号1.0330)が脱脂され、コランダムビーム(ビーム材料はここではジルコニウムコランダムである)で粗面化され、続いて圧縮空気によって付着残留物が取り除かれた。
その後、鋼板は、アーク溶射を用いたプライマーの改善のために、まずニッケルで熱溶射された。
その際、ニッケルワイヤはアーク(バーナーヘッドにおける温度3000〜4000℃)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(6bar)によって15〜18cmの距離において鋼板上に噴射された。
続いて、マンガン‐ニッケル酸化物層は、粉末火炎溶射によって溶射された。
コーティング材料として、80重量%の金属マンガン粉末(−325メッシュ、≧99%、Sigma Aldrich製)及び10重量%の金属ニッケル粉末(−325メッシュ、≧99%、Alfa Aesar製)を含む混合物が使用された。
その際、両粉末が溶射プロセスの前に均一に混ぜ合わせられたことに留意した。
その後、金属マンガン‐ニッケル混合物は、アセチレン酸素炎(バーナー炎の温度は3160℃であった)内で溶融し、噴霧ガスとしての圧縮空気(最大3bar)によって15〜20cmの距離において鋼板上に噴射された。
旋回動作によって、均一な、約250μmの厚さの溶射されたマンガン‐ニッケル酸化物層が生成されるまでコーティングされた。
【0171】
それぞれ5Ah/lの量の電流を流した後、以下の光沢剤又は微粒子添加剤を亜鉛ニッケル電解質中にドーピングした:
SLOTOLOY Zn 86:1ml(1l/10kAhの添加量に相当)
SLOTOLOY Zn 83:0.3ml(0.3l/10kAhの添加量に相当)
【0172】
それぞれ2.5Ah/lの電流量を流した後、堆積板(カソード)上に存在する堆積された亜鉛‐ニッケル合金は計量により求められた。
亜鉛ニッケル電解質内での堆積によって不足する総金属量は、85重量%の亜鉛及び15重量%のニッケルに換算された(例えば、1.0gの亜鉛ニッケル合金の堆積された総金属量は850mgの亜鉛及び150mgのニッケルに割り当てられた)。
電解質内で使用された亜鉛は亜鉛酸化物として添加され、使用されたニッケルはニッケル含有流体濃縮物SLOTOLOY ZN 85 によって補充された。
SLOTOLOY Zn 85内には、硫化ニッケル、アミントリエタノールアミン、ジエチレントリアミン及びLutron Q 75が含まれる(1mlのSLOTOLOY Zn 85は63mgのニッケルを含む)。
【0173】
NaOH含有量は、それぞれ10Ah/lの後に酸塩基滴定により特定され、それぞれ120g/lに調整された。
【0174】
実験手順及び結果:
50Ah/lの電流量を流した後に、形成されたシアン化物の量が特定された。
分析評価の結果を浴負荷の関数として、表11に示す。
【0176】
シアン化物の特定は、Dr.Lange社(現Hach社)の容易に遊離可能なシアン化物に対するキュベット試験LCK319を用いて実施された。
容易に遊離可能なシアン化物は、その際、反応によってガス状のHCNに変換され、膜を通過して指示薬キュベットに移される。
その後、指示薬の色変化を測光的に評価する。
【0177】
表11に示されるように、本発明によるアノード3及び4の使用の下で、比較例アノード2(光沢ニッケルメッキ鋼)の場合よりもはるかに少ないシアン化物生成が実現された。
【0178】
さらにまた、50Ah/lの電流量を流した後に、まだ存在する添加剤の量が特定された。
例えばLutronQ75及びDETA並びにTEA等のアミン含有錯化剤の分析測定の結果は、表12に浴負荷の関数として示される。
【0180】
表12に示すように、本発明のアノード3及び4を使用すると、比較例アノード2を使用するよりも顕著に少ないアミン(DETA及びTEA)が消費された。
その結果、これらの物質は、本発明によるアノード3及び4ではあまり強く酸化されず、従ってより少ない程度で補給(nachdosiert)されなければならない。
これは、プロセスコストの点で、少なからぬコスト上の利点を提供する。