(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
別段に定義のない限り、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の関連する実施形態が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0011】
本明細書に使用される際にかつ添付の特許請求の範囲では、単数形の「a」、「または」、および「the」は、コンテキストが別段に明確に示さない限り、複数の指示対象を含むということに留意しなければならない。それゆえ、例えば、「an抗体」とは、複数のそのような抗体を含む。また、本明細書に使用される際に、「および/または」とは、挙げられた項目のうち1つまたは複数のいずれかおよび全ての可能な組合せを、ならびに代替的に(「または」で)解釈される場合には組合せの欠落を、参照および包含する。
【0012】
本明細書に使用される際に「少なくとも1つ」とは、列挙された要素のうち「1つまたは複数の」を意味することが意図される。
【0013】
本明細書に使用される際に、用語「実質的に含まない」とは、所与の物質または細胞のタイプを含まないかまたはその物質または細胞のタイプをほぼ含まないこと、例えば約1%未満の所与の物質または細胞のタイプを有することを含む。
【0014】
本明細書に使用される際に、用語の血管内皮成長因子「VEGF」とは、特にまたは文脈上別段に示さない限り、VEGFファミリーの任意の天然の、バリアントの、もしくは合成のVEGF ポリペプチド、またはその断片を指す。VEGFファミリーは、7つのメンバー:VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−G、およびPLGFを含み、全てのメンバーは、8つの不変のシステイン残基を含むシステインknotモチーフから構成される共通のVEGF相同ドメインを有し、上記システイン残基は、各単量体内の保存された中心の4つの撚り合わされたβシートの一端にある分子間および分子内のジスルフィド結合に関与し、この単量体は、逆平行に並走した配向で二量体化して、血管形成に関係する[Hoeben, A., et al. (2004) Vascular endothelial growth factor and angiogenesis. Pharmacol. Rev. 56, 549-580に概説されており、分子間および分子内ジスルフィド結合を有するシステインknotモチーフの3D構造に関するHoebenら(2004)の
図1を参照されたい]。VEGFファミリー内の各メンバーは、別個の遺伝子によってコードされている。しかし、各メンバーは、選択的スプライシングまたはタンパク質分解ゆえに、複数の異なるアイソフォームを含むことがある。
【0015】
好適な一実施形態では、VEGFとは、VEGF−Aおよび血管形成を促進および維持する際に役割を果たすそのアイソフォームである。例えば、文献中に「−A」の標示のないVEGFとしても参照されるVEGF−A遺伝子の一次転写物の選択的スプライシングによって、異なるVEGF−Aアイソフォームをコードする異なるVEGF−AのmRNAが生じるが、これらのアイソフォームは、多くの場合、単に続けて番号の付されたVEGFとして標示され、各種アイソフォームは、VEGF−A遺伝子の選択的スプライシングされたエクソン8aまたは8bの存在に応じて、血管形成促進性または抗血管形成性を有する。特に興味深いのは、選択的スプライシングされたエクソン8aの翻訳から生じるVEGF−Aアイソフォームであるが、これらのアイソフォームは、一般に血管形成促進性であって、一般に抗血管形成性であるエクソン8bのものとは対照的である。ヒトでは、選択的スプライシングから生じるエクソン8aを含むVEGF−Aアイソフォームは、VEGF−A
121(多くの場合、VEGF
121ともよばれる)、VEGF−A
145(多くの場合、VEGF
145ともよばれる)、VEGF−A
148(多くの場合、VEGF
148ともよばれる)、VEGF−A
165(多くの場合、VEGF
165ともよばれる)、VEGF−A
183(多くの場合、VEGF
183ともよばれる)、VEGF−A
189(多くの場合、VEGF
189ともよばれる)、およびVEGF−A
206(多くの場合、VEGF
206ともよばれる)[Nowak, D. G., et al. (2008) Expression of pro- and anti-angiogenic isoforms of VEGF is differentially regulated by splicing and growth factors. J. Cell Sci. 121, 3487-3495]を含む。VEGF−Aの各アイソフォームにおいてVEGFに続く番号は、分泌に続くシグナル配列の切断後のアミノ酸の数を指す。そして、この番号は、下付きまたは一列で、例えばそれぞれVEGF
121またはVEGF121などとされることがある。齧歯類、例えばマウスなどでは、これらのVEGFアイソフォームのオルソログは、1つ少ないアミノ酸を含有する。VEGFは、常態ではホモ二量体の糖タンパク質であり、ヘパリン結合能の異なるアイソフォームを有する。比較的大きく塩基性の高いVEGF
189アイソフォームおよびVEGF
206アイソフォームは、細胞外マトリックス(ECM)にある細胞表面のヘパリン含有プロテオグリカンに強固に結合し、一方で、酸性のVEGF
121アイソフォームは、ヘパリン結合能を欠き、自由に拡散可能である。VEGF
165アイソフォームは、かなりの割合がヘパリンおよびECMに結合する、中間的な性質を有する。選択的スプライシングによって生産されるVEGFアイソフォーム以外に、ECM結合性のVEGFアイソフォームは、タンパク質分解を受けて、高い分裂促進活性を有する生物活性断片を生成することがあり、そのようなものとしては、例えば、ヒトVEGF−AアイソフォームのVEGF165またはVEGF189のタンパク質分解から生じるVEGF
110またはVEGF100などがある[Ferrara, N., Gerber, H.-P., and LeCouter, J. (2003) The biology of VEGF and its receptors. Nature Medicine 9, 669-676;上記Hoeben,A.ら(2004)も参照されたい]。VEGF100以外に、天然のタンパク質分解または人造のどちらかによる、VEGF遺伝子ファミリーに由来するVEGFタンパク質のいかなる断片も、それに対して抗体が生じるかまたは向けられる限り、VEGFであるものと考えられてもよく、VEGFタンパク質断片は、血管形成、黄斑変性症、腫瘍、またはヒトの疾患を促進および維持する際の役割を有する。
【0016】
対象または培養細胞からVEGFタンパク質を単離すること以外に、VEGFタンパク質は、組換えDNAの方法によって生産されることがある。例えば、いかなるVEGFアイソフォームまたは断片またはバリアントについてのVEGFタンパク質も、当技術分野に公知であるように、細菌、酵母、昆虫細胞、もしくは哺乳類細胞で生産されるか、または無細胞の翻訳抽出物もしくは転写−翻訳カップリング抽出物でのin vitroで生産されることがある。細菌細胞での生産の場合は、細菌で生産されて結果として得られる組換えVEGFタンパク質は、同じ一次アミノ酸配列を有することができるが、哺乳類細胞から単離されるVEGFタンパク質とは異なり、グリコシル化などの翻訳後修飾を欠くことがある。しかし、本願の開示は、天然の供給源から単離されるVEGF以外に、細菌細胞で生産されるか、in vitroの無細胞翻訳系もしくは転写−翻訳カップリング系を用いるなどin vitroで生産されるか、または組換えの方法によって生産される、VEGFを包含する。VEGF抗原は、天然に発生したVEGF分子であっても、組換え分子であっても、合成分子であってもよい。VEGF抗原は、無傷のVEGFタンパク質上でも、VEGFアイソフォーム上でも、VEGFの断片上でも、VEGFの一部分に由来する配列を有するペプチド上でも存在していてよい。
【0017】
本明細書に使用される際に、「野生型VEGF配列」とは、一般に、天然に発生したVEGFアイソフォームに見られるか、または哺乳類細胞におけるVEGF遺伝子の一次転写物のプロセッシングに続くVEGF mRNAの翻訳に由来するか、または任意のVEGF cDNAの翻訳に由来する、一次アミノ酸配列を指す。VEGF cDNAは、例えば、マウス細胞またはヒト細胞などの哺乳類細胞からのポリソームのVEGF mRNAの逆転写によって、得られることがある。
【0018】
本明細書に使用される際に、「抗体」は、モノクローナル抗体(例えば完全長または無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体(例えば、結合価に応じた2つ以上の抗原との会合、およびアビディティの増加、例えば二価のIgG抗体に対し一価のそのFab抗体断片を比べて観察されるものなどを、可能にするような同じ特異性の2つ以上の抗原結合部位を有する抗体)、多特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限りは二重特異性抗体)を含み、また、ある種の抗体断片(本明細書にさらに詳細に記載されるような)を含むことがある。抗体は、ヒトの、ヒト化の、親和性の成熟したおよび/または合成のものとすることができる。抗体は、当技術分野に公知の任意の方法によって、例えば、動物内でin vivoで、組織もしくは細胞の培養で、または酵素法および/もしくは化学合成法によるin vitroタンパク質合成系で、生産されることがある。組換えDNAの方法は、抗体の生産で使用されることがあり、結果として得られる抗体は、組換え抗体であるものと考えられてもよい。組換え抗体は、細菌内に生産されるなど、動物生産物を含まずに生産されることがある。抗体またはその断片は、バクテリオファージの表面に提示されることがある。
【0019】
「抗体断片」または「複数の抗体断片」とは、抗体の一部分のみであり、この一部分は、無傷の抗体に存在する際に常態ではその一部分に関連する少なくとも1つの、好ましくは多数または全ての機能を保持する。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、およびFv断片;ダイアボディ;線状抗体;単鎖Fv(scFv)抗体分子を含めた単鎖抗体分子;同じ特異性を有する多数コピーの同じ抗体断片から形成される多価抗体;および抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0020】
合成の ヒト抗VEGF抗体としては、1つまたは複数の 超可変領域またはその相補性決定領域(CDR)に1つまたは複数の変化を含む「親和性の成熟した」抗体が挙げられ、そのような変化の結果として、それらの変化を持たない親抗体に比べて、VEGFに対する抗体の親和性が向上する。抗体の可変領域に見られるCDRは、Kabat法またはIMGT法によって画定されることがある[Martin, A. C. R. (1996) Accessing the Kabat Antibody Sequence Database by Computer PROTEINS: Structure, Function and Genetics 25: 130-133; Johnson, G. and Wu, T. T. (2004) The Kabat Database and a Bioinformatics Example. Methods in Molecular Biology 248: 11-25; Kabat, E. A.,Wu, T. T., Perry, H., Gottesman, K., and Foeller, C. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., NIH Publication No. 91–3242, Bethesda, MD.; MacCallum, R. M., Martin, A. C. R. and Thornton, J. T. (1996) Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography. J. Mol. Biol. 262, 732-745; Lefranc, M.-P., Pommié, C., Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V. and Lefranc, G. (2003) IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains. Dev. Comp. Immunol. 27: 55-77; およびLefranc, M.-P. (2005) IMGT, the international ImMunoGeneTics information system(登録商標). Nucleic Acids Res. 33: D593-D597; Lefranc, M.-P. et al. (2009) IMGT(登録商標), the international ImMunoGeneTics information system(登録商標). Nucleic Acids Res. 37: D1006-D1012]。抗体の特異性は、Kabat法またはIMGT(登録商標)法を含めた複数の方法によって画定され得る一連のCDRによって画定または記載されることがある。
【0021】
抗体の抗原結合領域は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRによって形成される抗原結合部位を含むことがある。
【0022】
障害または疾患とは、本発明の抗VEGF抗体/組成物または方法を用いる治療から利益を得ることになる状態である。これには、慢性および急性の障害または疾患が含まれ、そのようなものとしては、問題になっている障害に哺乳動物を罹り易くする病理学的な状態が挙げられる。本明細書中の治療される障害の非限定的な例としては、細胞増殖性の障害が挙げられる。細胞増殖性の障害としては、滲出型加齢性黄斑変性症、糖尿病性黄斑症、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)における黄斑浮腫、虹彩新血管新生、病理学的近視に起因する脈絡膜の新血管新生、成熟児網膜症、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、網膜新血管新生、経扁平部硝子体切除(PPV)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、またはがんなどの疾患が挙げられ得る。
【0023】
本明細書に使用される際に、「治療すること」とは、疾患または障害または疾患もしくは障害の生物学的徴候のうち1つもしくは複数を寛解させるための;(a)疾患もしくは障害に繋がるかもしくは関与する生物学的カスケードの1つもしくは複数の点、または(b)疾患もしくは障害の生物学的徴候のうちの1つもしくは複数を直接的または間接的に妨げるための;疾患もしくは障害に関連する症状、作用、もしくは副作用のうち1つもしくは複数、または症状もしくは障害もしくはその治療のうち1つまたは複数を軽減するための;疾患または障害または疾患もしくは障害の生物学的徴候のうち1つもしくは複数の増悪を遅らせるための、療法を使用することを意味する。治療には、臨床的に意義のある応答を惹起することが含まれる。望ましい治療の効果としては、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の漸減、転移の防止、疾患の増悪の減速、病態の寛解または緩和、および緩解または予後の改善が挙げられる。実施形態によっては、本発明の抗体は、疾患または障害の発達を遅延させるために使用される。例えば、眼の状態の治療は、状態の症状を改善し、状態の重症度を低減し、状態の増悪の過程を変え、および/または基本状態を改善することがある。治療はまた、疾患または障害に罹っている対象のために生活の質を改善することを含むことがある(例えば、がんに罹っている対象は、本明細書に記載される本発明の組成物を用いて対象が免疫される際に副作用を引き起こす抗がん薬を、より低い用量で受けることがある)。本明細を通じて、本発明の組成物およびその使用のための方法は、適した治療をそれを必要とする対象に提供するために提供および選択される。
【0024】
「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトとしてもよい。哺乳動物としては、以下に限定されないが、家畜動物(ウシ、ヒツジ、およびヤギなど)、競技動物、ペット(ネコ、イヌ、ウマなど)、霊長類動物(サル、ゴリラ、およびチンパンジー)、マウス、ならびにラットが挙げられる。
【0025】
本明細書に使用される際に、「有効量」とは、必要な投薬量および期間で、所望の治療的または予防的な結果を達成するのに有効な量を指す。
【0026】
本明細書に記載される本発明がさらに充分に理解されるものとなるように、以下の記載を示す。
【0027】
本発明の組成物およびそれを作製する方法
この発明は、新規の抗VEGF抗体;およびそのような新規の抗VEGF抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド、およびそれらを含む医薬組成物を含めた組成物を包含する。用語「医薬製剤」、「医薬組成物」、および「剤形」とは、本明細書では互換的に使用され、対象への投与に適した形態で本発明の活性成分(複数可)を含有する組成物を指す。
【0028】
本明細書に使用される際に、組成物は、VEGFに結合する1つもしくは複数の本発明の抗体、および/またはVEGFに結合する1つもしくは複数の抗体をコードする配列を含む1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、緩衝剤を含めて、医薬的に許容可能な賦形剤など、当技術分野に周知の適した担体をさらに含むことがある。
【0029】
ほんの一例として、抗体とは、2つの免疫グロブリン軽鎖と2つの免疫グロブリン重鎖とを接合することによって作出されることがあるYの形状をとり得るタンパク質であり、1つの軽鎖が1つの重鎖に会合して、そのタンパク質の1本の腕を形成する。2本の腕は、一方の重鎖と他方との会合を介して接合する。典型的には、抗体の各腕は、同じ抗原を認識し、会合している軽鎖および重鎖の可変領域によって形成された抗原結合部位を介して抗原上のエピトープに結合する。エピトープに結合する軽鎖および重鎖の可変領域の一部分は、超可変領域または「相補性決定領域(CDR)」とよばれる。具体的な抗原への抗体の特異性は、超可変領域またはCDRのアミノ酸配列に依存し、これらの配列は、異なる結合特異性を有する抗体間で最も大きな可変性を示す。残りの非超可変領域または非CDRは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。例えば、各軽鎖および各重鎖については、CDR1〜3とよばれる、可変領域のアミノ末端からカルボキシル末端までの3つのCDRがあり、それらは4つのFR、すなわちFR1〜4によって隔てられている。軽鎖CDRを重鎖CDRと区別するために、軽鎖CDR1〜3は、CDRL1〜CDRL3、または代替的にCDR−L1からCDR−L3と称される。同様に、重鎖CDR1〜3は、CDRH1〜CDRH3またはCDR−H1からCDR−H3と称される。軽鎖可変領域内の4つのFRは、FRL1〜FRL4またはFR−L1からFR−L4と称される。さらに、重鎖可変領域内の4つのFRは、FRH1〜FRH4またはFR−H1からFR−H4と称される、したがって、典型的な可変領域は、軽鎖についてFRL1−CDRL1−FRL2−CDRL2−FRL3−CDRL3−FRL4の順番でアミノ末端からカルボキシル末端まで付加することによって形成される。同様に、重鎖は、FRH1−CDRH1−FRH2−CDRH2−FRH3−CDRH3−FRH4の順番で形成される。軽鎖可変領域には、カッパまたはラムダの軽鎖定常領域が続き、軽鎖を完成させる。一方で、重鎖可変領域は、そのC末端で、定常領域であるCH1、CH2、およびCH3に接合され、定常領域は、CH1とCH2との間にヒンジ領域を伴い、ヒンジ領域は、第2の重鎖のヒンジ領域とのストランド間架橋に関与するシステイン残基(複数可)を有する。重鎖定常領域の配列は、免疫グロブリンのクラス(IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)を決定し、各クラス内でサブクラス(例えばIgGクラスでは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のサブクラス)を決定する。
【0030】
免疫グロブリンの軽鎖および重鎖の相補性決定領域(CDR)または超可変領域は、Elvin A.Kabatおよび同僚らによる配列比較[Kabat, E.A., Wu, T. T., Perry, H. M., Gottesman, K. S. and Foeller, C. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Volumes 1-3. 5
th edition. NIH Publication No. 91-3242 (ISBN: 094137565X, 9780941375658)]を、各CDRとの関連性に応じて、特異的FRと称される非CDR配列と行うことに基づいて、画定されることがある。代替的に、免疫グロブリンのCDRを特定するための別の方法が、Marie−Paule Lefrancおよび同僚らによって開発され、IMGT(登録商標)図およびCDRを特定するための方法を生み出した[Lefranc, M.-P., et al. (1999) IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucl. Acids Res. 27, 209-212; Lefranc, M.-P., et al. (2015) IMGT(登録商標), the international ImMunoGeneTics(登録商標) information system 25 years on. Nucl. Acids Res. 43, D413-D422]。CDRを特定するためのKabat法とIMGT法のどちらも本明細書に使用されている。どちらの方法も、一致するCDR配列か、CDR配列間の重複か、または他方の方法による対応のCDRに対し決定されたCDR配列を完全な形で含有する1つのCDR配列のどれかを生じる。両方の方法によって特定されたCDR配列が同じ長さを産生できないかまたは重複している場合には、フレームワーク領域(デフォルトでは可変領域内のCDRの外側またはCDR間の領域)は、サイズが一致しないか、同様に重複配列を持つものとなる。
【0031】
一実施形態では、本発明は、以下の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを有する、単離された抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントを提供する:アミノ酸31位のヒスチジンからアミノ酸35位のヒスチジン(配列番号1)を含むCDRH1、アミノ酸50位のチロシンからアミノ酸66位のグリシンを含むCDRH2(配列番号1)、およびアミノ酸99位のヒスチジンからアミノ酸109位のチロシンを含むCDRH3(配列番号1)。
【0032】
本発明の抗VEGF抗体のバリアントとしては、あるアミノ酸配列を含む抗体が挙げられ得るが、この配列では、1つまたは複数のアミノ酸残基が、本明細書に開示されるYバリアントのうちいずれかのアミノ酸配列と比べて異なり(例えば実施例3および
図9Cおよび
図16を参照)、例えば、フレームワーク領域内への挿入、フレームワーク領域からの欠失、および/またはフレームワーク領域中での置換の生じたアミノ酸残基があるために変わっているが、CDR領域内への挿入、CDR領域からの欠失、および/またはCDR領域中での置換の生じたアミノ酸残基はない(例えば、KabatナンバリングとIMGTナンバリングのどちらかにより画定されるか;またはChothia体系などの任意の他のCDR特定システム)。バリアントとしては、Fab断片および単鎖Fv(scFv)断片などの抗体断片が挙げられる。バリアントとしては、融合タンパク質、例えば
図12および
図13にあるようなものなどがさらに挙げられ得る。本明細書に開示されるバリアントおよび抗体は、組換えDNAの方法によって生産されることがある。
【0033】
本発明の単離された抗体の一部分は、CDR領域、重鎖および/もしくは軽鎖の可変ドメイン、またはVEGFに結合する抗体鎖の一部分など、有用な免疫学的に機能的な断片を含むか、または抗原または抗原上のエピトープへの結合性の特異性をもたらす(例えばVEGFを認識し結合する)。本発明の抗体がキャメルケースで表記される可能性があることは、当業者には明確となる。
【0034】
例えば、単離され抗体またはその一部分もしくはバリアントは、その生産環境から隔てられているおよび/または回収されたものである。生産環境とは、細胞ベース、例えば細胞でもよいし、無細胞、例えばin vitro翻訳もしくは転写−翻訳カップリングの無細胞系でもよい。好適な実施形態では、抗体は、(a)例えばLowry法により決定されるところの約95重量%超の抗体まで、および最も好ましくは約99重量%超まで、または(b)還元または非還元の条件下のSDS−PAGEで均一となるまで、精製されることになる。本明細書に使用される際に、用語「約」とは、数字表記、例えば温度、時間、量、濃度、およびその他、範囲を含めて、それらの前に使用される際には、(+)または(−)の10%、5%または1%で変わり得る近似値を標示する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、以下の超可変領域または相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する、単離された抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントを提供する:アミノ酸24位のアルギニンからアミノ酸34位のアラニン(配列番号3)を含むCDRL1、アミノ酸50位のリジンからアミノ酸56位のアラニン(配列番号3)を含むCDRL2、およびアミノ酸89位のグルタミンからアミノ酸97位のスレオニン(配列番号3)を含むCDRL3。
【0036】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体またはその一部分は、
図16に太字で示されるIMGTナンバリングに従って画定される以下のCDRアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン:アミノ酸配列GFDLDHYSを含むCDRH1、アミノ酸配列IYPSYGYTを含むCDRH2、およびアミノ酸配列ARHAWYYGWGLDYを含むCDRH3と;
図16に太字で示されるIMGTナンバリングに従って画定される以下のCDRアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン:アミノ酸配列QAAYGRを含むCDRL1、アミノ酸配列KASを含むCDRL2、およびアミノ酸配列QQRGWYLFTを含むCDRL3とをさらに含むことがある。
【0037】
追加の一実施形態は、以下のCDRアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインをさらに含む、抗VEGF抗体またはその一部分を提供する:アミノ酸31位のヒスチジンからアミノ酸35位のヒスチジン(配列番号1)を含むCDRH1、アミノ酸50位のチロシンからアミノ酸66位のグリシンを含むCDRH2(配列番号1)、およびアミノ酸99位のヒスチジンからアミノ酸109位のチロシンを含むCDRH3(配列番号1)。
【0038】
本発明は、ヒト化抗VEGF抗体またはその一部分を提供する。本発明の抗VEGF抗体は、VEGF誘導性の血管形成をin vivoで阻害する。
【0039】
また、本発明は、合成のヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントを提供する。一実施形態では、それは、以下の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン:アミノ酸24位のアルギニンからアミノ酸34位のアラニン(配列番号3)を含むCDRL1またはその一部分、アミノ酸50位のリジンからアミノ酸56位のアラニン(配列番号3)を含むCDRL2またはその一部分、およびアミノ酸89位のグルタミンからアミノ酸97位のスレオニン(配列番号3)を含むCDRL3またはその一部分と;以下の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン:アミノ酸31位のヒスチジンからアミノ酸35位のヒスチジンを含むCDRH1(配列番号1)またはその一部分、アミノ酸50位のチロシンからアミノ酸66位のグリシンを含むCDRH2(配列番号1)またはその一部分、およびアミノ酸99位のヒスチジンからアミノ酸109位のチロシンを含むCDRH3(配列番号1)またはその一部分とを含む。
【0040】
本発明の抗VEGF抗体の例としては、以下に限定されないが、配列番号21〜28にそれぞれ示されるようなバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、および220が挙げられる。
【0041】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)を含む重鎖フレームワーク領域(FR)1であるFRH1のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0042】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)を含む重鎖フレームワーク領域(FR)2であるFRH2のアミノ配列さらに含むことがある。
【0043】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)を含む重鎖フレームワーク領域(FR)3であるFRH3のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0044】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)を含む重鎖フレームワーク領域(FR)4であるFRH4のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0045】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列をさらに含むことがある:アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)を含むFRH1、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)を含むFRH2、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)を含むFRH3、およびアミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)を含むFRH4。
【0046】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)を含む軽鎖フレームワーク領域(FR)1であるFRL1のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0047】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)を含む軽鎖フレームワーク領域(FR)2であるFRL2のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0048】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)を含む軽鎖フレームワーク領域(FR)3であるFRL3のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0049】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、アミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)を含む軽鎖フレームワーク領域(FR)4であるFRL4のアミノ配列をさらに含むことがある。
【0050】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列をさらに含むことがある:アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)を含むFRL1、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)を含むFRL2、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)を含むFRL3、およびアミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)を含むFRL4。
【0051】
さらに追加の一実施形態では、抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、以下をさらに含むことがある:(c)以下のフレームワーク領域のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン:アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)を含むFRL1またはその一部分、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)を含むFRL2またはその一部分、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)を含むFRL3またはその一部分、およびアミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)を含むFRL4またはその一部分;ならびに(d)以下のフレームワーク領域のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン:アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)を含むFRH1またはその一部分、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)を含むFRH2またはその一部分、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)を含むFRH3またはその一部分、およびアミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)を含むFRH4またはその一部分。
【0052】
本発明はまた、単離された抗VEGF抗体およびポリヌクレオチドの実施形態も包含する。本発明はまた、実質的に純粋な抗体およびポリヌクレオチドの実施形態も包含する。
【0053】
本発明の抗VEGF抗体は、モノクローナル(例えば完全長または無傷のモノクローナル抗体)であることがある。本発明の一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体は完全長抗体である。さらに、一実施形態では、完全長抗体は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号1に示される重鎖とを含む。別の実施形態では、完全長抗体は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号1に示される重鎖、アミノ酸24位のアスパラギン酸からアミノ酸237位のシステイン(配列番号17)を含む軽鎖とアミノ酸24位のグルタミン酸からアミノ酸251位のスレオニン(配列番号18)を含む重鎖(例えば重鎖Fab216;
図16)、またはアミノ酸24位のアスパラギン酸からアミノ酸237位のシステイン(配列番号76)を含む軽鎖(例えば軽鎖Fab216;
図16)とアミノ酸24位のグルタミン酸からアミノ酸251位のスレオニン(配列番号78)を含む重鎖(例えば重鎖Fab216;
図16)を含む。
【0054】
また、本発明の範囲内に包含されるのは、本明細書に示される抗VEGF抗体のFab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、およびF(ab’)
2断片である。これらの抗体断片は、酵素消化などの旧来の手段によって作出することができるか、または組換え手法によって、ならびに化学的な方法の使用を介して、生成されることがある。例えば、Fab’−SH、すなわち2つの重鎖間のストランド間架橋における役割を果たすシステイン位などに還元SH基を有するFab’は、組換え手法によって、またはF(ab’)
2抗体断片のジスルフィド結合を還元することによる化学的な方法によって、生産されることがある。そのような抗体断片は、キメラ体であってもヒト化体であってもよい。Fab断片およびscFv断片は、親IgGに比べて保持性および内部移行性が向上するように、化学的なまたは遺伝子による架橋によって二量体、三量体、または四量体を形成するよう工学的に改変されることがある。これらの断片は、下記に記載される診断目的および治療目的に有用である。
【0055】
Fv断片は、抗原認識性および抗原結合性の完全な部位を含有する。単鎖Fv種では、軽鎖および重鎖が「二量体の」構造で会合するように、単一の重鎖および単一の軽鎖の可変ドメインが、ペプチドリンカーによって共有結合により連結されていることがある。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面に抗原結合部位を画定するのは、この立体配置にある。合わせて、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なCDRを3つのみ含む半分のFv)であっても、全結合部位よりも親和性が低いとはいえ、抗原を認識し結合する能力を有する。
【0056】
Fab断片は、単一の抗原結合部位と残りの「Fc」断片とを含有する。Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1定常ドメイン(CH1)とを含有する。Fab’断片は、本明細書に包含され、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む数残基が重鎖のCH1ドメインのカルボキシ末端に付加される点で、Fab断片とは異なる。F(ab’)
2抗体断片は、本明細書に包含され、ヒンジのシステインを間に有する一対のFab’断片である。抗体断片の他の化学的カップリングは、公知であり、本明細書に包含される。
【0057】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、各種クラスに割り付けることができる。例えば、本発明の抗体は、免疫グロブリンクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMのいずれかであることがある。さらに、これらのクラスの中で、それらをさらに、例えばIgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、IgA
2のいずれかを含めたサブクラス(アイソタイプ)に分類することができる。各種クラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμのいずれかであることがある。
【0058】
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に発生した変異を除いて同一である。それゆえ、修飾語「モノクローナル」とは、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。
【0059】
本発明の抗VEGFモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製することができるか、または組換えDNAの方法によって作製することがある。
【0060】
さらに、本発明の抗VEGF抗体は、1つまたは複数の所望の活性を持つ合成の抗体クローンをスクリーニングするためのコンビナトリアルライブラリーを用いることによって、作製することができる。原理としては、ファージ被覆タンパク質に融合された様々な抗体可変領域(Fv)の断片を提示するファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることによって、合成の抗体クローンを選択する。そのようなファージライブラリーを、所望の抗原に対するアフィニティクロマトグラフィーによってパニングする。所望の抗原に結合可能なFv断片を発現しているクローンは、抗原に吸着され、それゆえにライブラリー中の非結合性クローンから分離される。次いで、結合性クローンを、抗原から溶離し、抗原の吸着/溶離のサイクルを追加することによってさらに濃縮することができる。本発明の抗VEGF抗体のいずれも、目的のファージクローンを選択するのに適した抗原スクリーニング手順を設計した後、目的のファージクローン由来のFv配列とKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md. (1991), vols. 1-3に記載されている適した定常領域(Fc)配列とを用いて完全長の抗VEGF抗体クローンを構築することによって、得ることができる。
【0061】
本発明のキメラ抗体は、ヒトおよび非ヒトの一部分を含む免疫グロブリン分子である。キメラ抗体の抗原連結領域(可変領域)は、非ヒト源(例えばマウス)を由来とすることができ、キメラ抗体の定常領域は、生物学的エフェクター機能を免疫グロブリンに付与する定常領域は、ヒト源を由来とすることができる。キメラ抗体は、非ヒト抗体分子の抗原結合特異性と、ヒト抗体分子により付与されるエフェクター機能とを有するべきである。
【0062】
概して、キメラ抗体を生産するのに使用される手順は、以下のステップを含む可能性がある:
a)抗体分子の抗原結合部分をコードする正しい遺伝子セグメントを特定しクローニングすること;この遺伝子セグメント(重鎖のVDJ、すなわち可変性多様性接合領域、または軽鎖のVJ、すなわち可変性接合領域、または単純にVもしくは可変領域として知られる)は、cDNAとゲノムのどちらの形態でもよい;
b)定常領域またはその所望の一部の遺伝子セグメントをクローニングすること;
c)転写および翻訳の可能な形態で完全なキメラ抗体がコードされるように、可変領域を定常領域にライゲーションすること;
d)選択マーカーとプロモーター、エンハンサー、およびポリ(A)付加配列などの遺伝子制御領域とを含有するベクター内にこの構築物をライゲーションすること;
e)この構築物を細菌中で増幅すること;
f)このDNAを真核細胞内に、最も多くは哺乳類リンパ球内に導入すること(トランスフェクション);
g)選択マーカーを発現している細胞を選択すること;
h)所望のキメラ抗体を発現している細胞をスクリーニングすること;および
k)適切な結合特異性およびエフェクター機能について抗体を試験すること。
【0063】
本発明は、多くのタイプのベクターを包含する。用語ベクターとは、タンパク質コード情報を宿主細胞内に移送するのに使用される任意の分子または実体であり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス、コスミド、およびファージミドが挙げられる。さらに、ある特定のベクターは、動作可能に連結されている遺伝子の発現を導くことが可能である。そのようなベクターは、本明細書に組換え発現ベクターまたは発現ベクターとして言及されている。概して、組換えDNA手法の際の使用のための発現ベクターは、プラスミドの形態であることがある。
【0064】
いくつかの別々の抗原結合特異性を持つ抗体は、キメラタンパク質を生産するように、これらのプロトコールによって操作されている[例えば抗TNP:Boulianne et al.,
Nature 312:643 (1984);および抗腫瘍抗原:Sahagan et al.,
J. Immunol. 137:1066 (1986)]。同様に、いくつかの異なるエフェクター機能は、抗原結合領域をコードするものに新しい配列を連結することによって達成されている。これらのいくつかは、酵素[Neuberger et al.,
Nature 312:604 (1984)]、別の種由来の免疫グロブリン定常領域、および別の免疫グロブリン鎖の定常領域[Sharon et al.,
Nature 309:364 (1984); Tan et al.,
J. Immunol. 135:3565-3567 (1985)]を含む。さらに、遺伝子改変を標的とするための相同組み換えを用いた、抗体分子を改変するためのおよびキメラ抗体分子を生産するための手順が、記載されている[Fell et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8507-8511 (1989)]。
【0065】
抗体の抗原結合ドメインは、約110アミノ酸の2つの可変(V)領域、すなわち軽鎖(VL)および重鎖(VH)由来の各1つから形成され、どちらも3つの超可変ループまたは相補性決定領域(CDRs)を呈する。可変ドメインは、VHおよびVLが可撓性の短いペプチドを介して共有結合により連結されている単鎖Fv(scFv)断片としても、それらがそれぞれ定常ドメインに融合されて非共有結合的に相互作用しているFab断片としても、ファージ上に機能的に提示することができる。「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖で存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーは、scFvを抗原結合に望ましい構造に形成することを可能にする。本明細書に使用される際に、ファージクローンをコードするscFvとファージクローンをコードするFabは、合わせて「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と称される。
【0066】
「超可変領域」とは、配列内で超可変性のある、および/または構造的に画定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域である。概して、抗体は、6つの超可変領域を含むことがある。これらは、H1、H2、H3と称する3つの領域を可変重鎖(VH)に含む。さらに、可変軽鎖(VL)には、L1、L2、L3と称する3つがある。数多くの超可変領域の表現が使用されており、本明細書に包含される。例えば、Kabatの相補性決定領域(CDR)は、配列の可変性に基づくことから、使用されることがある[Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)]。
【0067】
VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングすることができる。次いで、クローンを、ファージライブラリー中でランダムに組み換えて、抗原結合クローンについて探索してもよい。免疫された供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、免疫原に対する高い親和性の抗体をもたらす。あるいは、ナイーブなレパートリーをクローニングして、免疫を行うことなく、広範な非自己抗原ならびに自己抗原に対する単一のヒト抗体源をもたらすことができる。最後に、幹細胞から再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含有するPCRプライマーを用いることによって、可変性の高いCDR3領域をコードするように、およびin vitroで再編成を達成するように、ナイーブライブラリーを合成により作製することもできる。
【0068】
繊維状ファージを使用して抗体断片を提示してもよい。抗体断片は、次いで、単鎖Fv断片として提示することができる。VHドメインおよびVLドメインは、可撓性のポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖上で、またはFab断片として連結してもよく、上記Fab断片では、一方の鎖は繊維状ファージのpIIIに融合され、他方は細菌宿主細胞のペリプラズム内に分泌され、ペリプラズムでは、Fab被覆タンパク質のアセンブリが構築され、このアセンブリは、いくつかの野生型被覆タンパク質との置き換えによってファージ表面に提示されてゆく。
【0069】
概して、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒトまたは動物から採取した免疫細胞から得られる。抗VEGFクローンを選好する偏りのあるライブラリーが望ましい場合は、対象は、VEGFを用いて免疫されて抗体応答を生じ、脾臓細胞および/または循環B細胞、他の末梢血リンパ球s(PBL)をライブラリー構築用に回収する。好適な一実施形態では、抗VEGFクローンを選好する偏りのあるヒト抗体遺伝子断片ライブラリーは、VEGFの免疫がVEGFに対するヒト抗体を生産するB細胞を生じるよう、機能的なヒト免疫グロブリン遺伝子のアレイを担持する(そして機能的な内在性抗体生産系を欠いている)遺伝子導入マウスに抗VEGF抗体の応答を生じることによって得られる。ヒト抗体を生産する遺伝子導入マウスの作出は、下記に記載されている。
【0070】
核酸(本明細書ではポリヌクレオチドとも称される)は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよび他の類似体を含んでいてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断していてもよい。ポリヌクレオチドは、合成後にさらに修飾されていてもよく、そのようなものとしては、例えば、標識体とのコンジュゲーションを介するものがある。
【0071】
本発明のペプチドまたはポリペプチドの配列に関連するアミノ酸配列のパーセント同一性は、配列のアラインメント後に本発明の特定のペプチドまたはポリペプチドの配列中のアミノ酸残基との同一性を共有する、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、必要に応じて、上記アラインメントは、最大のパーセント配列同一性を得るようにギャップを含む。
【0072】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも91%のパーセント同一性を有するアミノ酸配列を具現する。別の実施形態では、本発明は、約92〜98%の範囲のパーセント同一性を有するアミノ酸配列を具現する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも99%のパーセント同一性を有するアミノ酸配列を具現する。一実施形態では、本発明のアミノ酸配列は、本発明に示される全体配列の一部分のみ、例えば欠失を含む。そのような欠失は、内部にあっても端部にあってもよい。一実施形態では、本発明のアミノ酸配列は、追加のアミノ酸を含み、その追加のアミノ酸は、本発明のアミノ酸配列内に挿入されるか、または端部に付加される。一実施形態では、本発明は、アミノ酸置換を具現し、その置換は、VEGFへの結合およびVEGF機能の中和には干渉しない。そのような置換は多くの場合、保存されたアミノ酸置換であり、置換しているアミノ酸は、機能的に等価な生理化学的性質を有し、例えば脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、ヒドロキシルまたは硫黄/セレン含有(セリンシステイン、セレノシステイン、スレオニン、メチオニン)、環状(プロリン)、芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、塩基性(ヒスチジン、リジン、アルギニン)、および酸性、およびそれらのアミド(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミン)などである。
【0073】
抗体可変遺伝子のセグメント(VHセグメントおよびVLセグメントを含む)をコードする核酸は、目的とする細胞から回収されて増幅されてもよい。例えば、(天然と合成のどちらかの)ナイーブライブラリーによって生産される抗体は、中程度の親和性(約10
6から10
7M
−1のK
d−1)を持つ可能性があるが、二次ライブラリーを構築し再選択することによって、親和性成熟もin vitroで模倣させることができる。さらに、選択された個々のFvクローンにおいて、例えば目的とするCDRにわたって広がるランダム配列を担持するプライマーを用いたPCRを使用して、1つまたは複数のCDRをランダムに変異させて、親和性のさらに高いクローンをスクリーニングすることによって、親和性成熟を行うことができる。別の有効なアプローチは、免疫されていないドナーから得られた天然に発生したVドメインバリアントのレパートリーを有するファージディスプレイによって選択されたVHドメインまたはVLドメインを組み換えて、何巡かの鎖の再シャッフリングにてさらに高い親和性をスクリーニングすることである。この手法によって、約10
−9Mの範囲のK
dというさらに高い親和性を持つ抗体および抗体断片の生産が可能になる。
【0074】
例えば、本発明の抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約50nMを超えないK
(d)値でヒトVEGFに結合することがある。別の一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約10nMを超えないK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに別の実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約2.5nMを超えないK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに進んだ一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約0.5nMを超えないK
(d)値でヒトVEGFに結合する。追加の一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約0.15nMを超えないK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに追加の実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、5pMと150pMトの間のK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに別の一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約0.15nMのK
(d)値でヒトVEGFに結合する。別のさらに進んだ実施形態では、本発明の抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、90pM
+20pMのK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに別の一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約25pMのK
(d)値でヒトVEGFに結合する。一実施形態では、本抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、約10pMのK
(d)値でヒトVEGFに結合する。さらに別の実施形態では、本発明の抗VEGF抗体、その一部分またはバリアントは、ヒトVEGFに対する親和性がラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]またはベバシズマブ[アバスチン(登録商標);Roche]よりも高く、K
(d)値がラニビズマブまたはベバシズマブよりも3倍を超えて低い。さらに進んだ一実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも4倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも10倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも50倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも約55倍低い。さらに別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がベバシズマブ[アバスチン(登録商標);Roche]よりも10倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がベバシズマブ[アバスチン(登録商標);Roche]よりも50倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がベバシズマブ[アバスチン(登録商標);Roche]よりも100倍を超えて低い。別の実施形態では、本抗体またはその一部分もしくはバリアントは、ヒトVEGFに対する相対K
(d)値がベバシズマブ[アバスチン(登録商標);Roche]よりも約110倍低い。
【0075】
さらに進んだ一実施形態では、抗体またはその一部分もしくはバリアントは、in vitroで内皮細胞のVEGF誘導性増殖を阻害するための約200pMを超えないEC50値を有する。さらに、追加の一実施形態、抗体またはその一部分もしくはバリアントは、in vitroで内皮細胞のVEGF誘導性増殖の阻害に、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも有効である。さらに別の実施形態では、in vitroで内皮細胞のVEGF誘導性増殖を阻害するための相対IC50値は、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]より約1.5倍低い。
【0076】
一実施形態では、本発明は、安定性の増加した抗体を提供する。一実施形態では、抗VEGF抗体またはそのバリアントの一部分は、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも安定性が高い。別の実施形態では、抗VEGF抗体またはそのバリアントの一部分は、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも貯蔵寿命が長い
【0077】
一実施形態では、本発明は、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも熱安定性の増加した抗体を提供する。例えば、本発明のヒト化抗VEGF抗体の融解温度は、ラニビズマブ[ルセンティス(登録商標);NovartisおよびRoche]よりも約1.5℃高いことがある。
【0078】
一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、BSAまたはFcに結合しない。
【0079】
本発明のVEGFに対する抗体をコードするDNA分子の構築の後、DNA分子は、プラスミドなどの発現ベクター内の発現制御配列に動作可能に連結され、この制御配列は、ベクターで形質転換された宿主細胞によって認識される。概して、プラスミドベクターは、宿主細胞に適合する種に由来する複製配列および制御配列を含有する。ベクターは、通常は、複製部位だけでなく、形質転換細胞で表現型選択を可能にすることができるタンパク質をコードする配列も担持する。原核宿主細胞および真核宿主細胞での発現に適したベクターは、当技術分野に公知であり、そのいくつかは、本明細書にさらに記載されている。真核生物、例えば酵母、または哺乳動物などの多細胞生物由来の細胞などが使用されることがある。
【0080】
宿主細胞は、この発明の上記の発現ベクターまたはクローニングベクターを用いてトランスフェクションされ、好ましくは形質転換されて、従来の栄養培地中で培養されるが、この培地は、プロモーターを誘導するために、形質転換体を選択するために、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために、適切であるように改変されている。
【0081】
トランスフェクションとは、どのコード配列も実際に発現されるか否かに関わらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを指す。非常に数多くのトランスフェクションの方法が、当業者に公知であり、そのようなものとしては、例えば、CaPO
4沈殿およびエレクトロポレーションがある。トランスフェクションの成功は、一般に、このベクターの動作を示す任意の標示が宿主細胞内で起こった際に認識される。トランスフェクションのための方法は、当技術分野に周知である。
【0082】
形質転換とは、DNAが染色体外因子としてまたは染色体組み込み物によって複製可能となるように、DNAを生物内に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、そのような細胞に適切な標準的な手法を用いて、形質転換が行われる。形質転換のための方法は、当技術分野に周知であり、いくつかは本明細書にさらに記載されている。
【0083】
本発明のVEGFに対する抗体を生産するために使用される原核宿主細胞は、前掲のSambrookらに概ね記載されるように培養することができる。
【0084】
哺乳類宿主細胞が、VEGFに対する抗体を生産するために使用されることがあり、種々の培地中で培養されることがあるが、この培地は当技術分野に周知であり、そのいくつかは本明細書に記載されている。
【0085】
この開示で言及される宿主細胞は、in vitro培養での細胞、ならびに宿主動物内にある細胞を包含する。本発明のVEGFに対する抗体の精製を、技術分野で認識されている方法を用いて達成してもよく、そのいくつかは本明細書に記載されている。精製された抗体は、ファージディスプレイクローンのアフィニティクロマトグラフィーにより分離に用いるのに適したマトリックスに付加することができ、そのようなものとしては、例えばアガロースビーズ、アクリルアミドビーズ、ガラスビーズ、セルロース、様々なアクリルコポリマー、ヒドロキシルメタクリレートゲル、ポリアクリルコポリマーおよびポリメタクリルコポリマー、ナイロン、中性担体およびイオン性担体などがある。
【0086】
ファージライブラリー試料は、固相を用いて、ファージ粒子の少なくとも一部分の結合に適した条件下で、固定化VEGFに接触させられてもよい。通常は、pH、イオン強度、温度などを含めた条件が、生理的条件を模倣するように選択される。固相に結合しているファージは、洗浄され、次いで溶出されてもよい。ファージは、一巡りの選択で濃縮される可能性があり、濃縮されれば、細菌培養で成長させて、さらに何巡かの選択に供することができる。VEGFに対し異なる親和性を持つファージ抗体の間では、親和性が僅かに異なっていても、選択することが可能である。
【0087】
標的抗原に対する抗VEGF mAbの反応性は、複数の周知の手段によって確定されてもよく、そのようなものとしては、VEGFタンパク質、ペプチド、VEGF発現細胞、またはその抽出物を必要に応じて用いる、ウェスタンブロット、免疫沈降、ELISA、およびFACS解析が挙げられる。そのようなアッセイの例は、下記の実施例1に提示されている。
【0088】
本発明の抗体またはその断片は、それが結合する細胞に対し、細胞分裂抑制性であることがある。本明細書に使用される際に、「細胞分裂抑制性である」とは、その抗体がVEGF陽性細胞の成長を阻害できるが必ずしも死滅できる訳ではないことを意味する。
【0089】
本発明のFvクローンをコードするDNAは、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をコードする公知のDNA配列と組み合わせて、完全長または部分長の重鎖および/または軽鎖をコードするクローンを形成することができる。どのアイソタイプの定常領域も、この目的のために使用することができ、そのようなものとしては、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEの定常領域が挙げられ、そのような定常領域は、任意のヒトまたは動物種から得ることができることが認識されよう。好適な一実施形態では、ヒト可変DNA由来のFvクローンをヒト定常領域のDNAに融合して、全ての完全長または部分長のヒトの重鎖および/または軽鎖のコード配列(複数可)を形成する。
【0090】
抗体断片
本願発明は抗体断片を包含する。全抗体に比べてサイズの小さな抗体断片は、いくらかの利点を有する。例えば、断片によって、さらに速やかなクリアランスが可能になることがあり、全抗体に比べた際に目的の部位へのアクセスの改善に繋がることがある。
【0091】
例えば、一実施形態では、抗体断片とは、配列番号3の1位のアスパラギン酸で始まり107位のリジンで終わるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号1の1位のグルタミン酸で始まり120位のセリンで終わるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとを含むFabである。
【0092】
別の実施形態では、Fab断片は、配列番号5に示されるアミノ酸を含むFc領域に接合されている。
【0093】
さらに別の実施形態では、抗体のバリアントは、本発明の抗体の抗原結合領域を含む組換えタンパク質である。例えば、バリアントは、配列番号9の241位のアスパラギン酸で始まり483位のセリンで終わるアミノ酸配列を含む、scFvであることがある。本発明のさらに別の一実施形態では、scFvは、Fc領域に接合される。ほんの一例として、Fc領域に接合されているscFvは、配列番号9に示されるアミノ酸を含むことがある。
【0094】
抗体断片の生産のための様々な手法がある。本抗体または断片は、組換え手段によって生産されることがある。例えば、これらの断片は、組換え宿主細胞によって直接的に生産することができる。Fab抗体断片、Fv抗体断片、およびScFv抗体断片は全て、例えば大腸菌内で発現しそこから分泌させることができるが、それゆえ比較的簡便にこれらの断片を大量に生産することが可能である。抗体断片は、本明細書に議論されている抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片を大腸菌から直接的に回収し、化学的にカップリングしてF(ab’)
2断片を形成することができる。別のアプローチによれば、F(ab’)
2断片を、組換え宿主細胞の培養物から直接的に単離することができる。抗体断片の生産のための他の手法は、熟練した実務者に明らかとなろう。他の実施形態では、選択される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。FvおよびsFvは、定常領域を欠いた無傷の連結部位を有した唯一の種であり、それゆえ、それらは、in vivoでの使用中の非特異的結合を低減するのに適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のどちらかでのエフェクタータンパク質の融合体を産生するために構築されることがある。
【0095】
合成のヒト抗VEGF抗体
本発明は、VEGFに結合する抗体(例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、合成抗体、およびヒト化抗体)をさらに提供する。最も好適な抗体は、VEGFに選択的に結合するものとなり、VEGFではないタンパク質には結合しない(または弱く結合する)ものとなる。最も好適な抗体は、VEGFに特異的に結合するものとなる。用語「特異的に結合する」とは、その抗体が大部分でVEGFに結合することを意味することが意図されている。具体的に想定される抗VEGF抗体としては、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにこれらの抗体の抗原結合ドメインおよび/または1つまたは複数の相補性決定領域を含有するそれらの断片(例えば組換えタンパク質)が挙げられる。これらの抗体は、任意の供給源から得ることができ、そのようなものとしては、例えばラット、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、マウス、またはヒトがある。
【0096】
一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体は、抗VEGF中和抗体であることがある。一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体は、VEGFタンパク質に特異的に結合し、例えば、VEGF誘導性の血管形成をin vivoで阻害する。当業者が理解するものとなるように、本発明の抗体が向けられるVEGFタンパク質の領域またはエピトープは、意図されている適用によって変わることがある。
【0097】
例えば、生きたがん細胞上または眼細胞上の膜結合型VEGFの検出のためのイムノアッセイで使用することを意図される抗体は、膜結合型VEGF上のアクセス可能なエピトープに向けられるべきである。異なるVEGFアイソフォームは、細胞膜結合のための潜在性が異なることがある。例えば、比較的大きく塩基性の高いVEGF
189アイソフォームおよびVEGF
206アイソフォーム(VEGF−Aのアイソフォーム)は、細胞外マトリックス(ECM)にある細胞表面のヘパリン含有プロテオグリカンに強固に結合し、それゆえ細胞に強固に結合するのが見られるが、一方で、VEGF
121アイソフォーム(VEGF−A
121)は、ヘパリン結合能を欠き、自由に拡散可能である。VEGF
165アイソフォーム
*VEGF−A
165)は、かなりの割合がヘパリンおよびECMに結合する、中間的な性質を有する。そのような抗体の例は、以降の実施例に記載されている。他のエピトープを認識する抗体は、分泌されたVEGFタンパク質またはその断片を検出するために、損傷または乾燥した細胞内のVEGFを特定するのに有用であることがある。
【0098】
本発明の抗VEGF抗体は、診断アッセイ、イメージング法、眼疾患の治療、視覚機能障害の治療、失明の防止、がんの管理の際の治療方法において、特に有用であることがある。本発明は、VEGFタンパク質の検出およびがんの診断に有用な様々な免疫学的アッセイを提供する。そのようなアッセイは、一般に、VEGFタンパク質を認識して結合することの可能な1つまたは複数の抗VEGF抗体を含み、当技術分野に周知の様々な免疫学的アッセイのフォーマットを包含し、そのようなものとしては、以下に限定されないが、様々なタイプの沈殿、凝集、補体結合、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫蛍光アッセイ(ELIFA)[H. Liu et al. Cancer Research 58: 4055-4060 (1998)、免疫組織化学分析などが挙げられる。
【0099】
一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体およびその断片[例えばFv,Fab’,F(ab’)2]およびそのバリアント(例えばscFv)は、網膜障害、加齢性黄斑変性症(AMD)、黄斑変性症、滲出型加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)における黄斑浮腫、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症(RVO)に続発する、虹彩新血管新生、網膜新血管新生、病理学的近視に起因する脈絡膜新血管新生、黄斑浮腫、未熟児網膜症(ROP)、成熟児網膜症、経扁平部硝子体切除(PPV)、血管新生緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、および血管新生に伴う眼疾患から選択される疾患を治療するために治療的に使用されることがある。本発明の抗VEGF抗体およびその断片およびそのバリアントは、前述の疾患または状態に先立つ増悪を防止するおよび停止させるするために使用されることがある。
【0100】
治療有効量の本発明の物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストは、個体の病態、年齢、性別、および体重、ならびに物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストが個体内で所望の応答を惹起する能力などの要因によって変わることがある。治療有効量とは、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの任意の毒性または有害な作用を治療上有益な作用が上回るものでもある。予防的有効量とは、所望の予防の結果を達成するのに必要な投薬量でおよび期間の間に有効である量を指す。典型的には、予防的用量が疾患の早期のステージの前またはその時に対象で使用されることから、予防的有効量は治療有効量よりも低いことがあるが、必ずしもそういう訳ではない。
【0101】
一実施形態では、本発明の抗VEGF抗体およびその断片[例えばFv、Fab’、F(ab’)2]は、がんの存在を検出するために使用される。本発明の抗VEGF抗体およびその断片は、VEGFを発現し、VEGFに応答し、VEGF依存的な血管形成関与する眼細胞または内皮細胞の存在を検出するために使用されることがある。様々な生体試料内でのそのようなVEGF陽性(+)細胞の存在が、VEGF抗体を用いて検出されることがあり、そのような試料としては、血清、硝子体液、眼、前立腺、および他の組織生検検体、骨や尿などの他の組織が挙げられる。さらに、抗VEGF抗体は、様々なイメージング法に、例えばインジウム−111(または他の同位体)をコンジュゲーションされた抗体を用いた免疫シンチグラフィーなどに、使用されることがある。
【0102】
抗VEGF抗体はまた、VEGFタンパク質およびペプチドを精製するための、ならびにVEGFホモログおよび関連分子を単離するための方法に使用されることがある。例えば、一実施形態では、VEGFタンパク質を精製する方法は、固体マトリックスにカップリングされている抗VEGF抗体を、VEGFを含有する溶解物または他の溶液と共に、抗VEGF抗体のVEGFへの結合を可能にする条件下でインキュベーションすること;固体マトリックスを洗浄して不純物を除外すること;およびカップリングされている抗体からVEGFを溶離することを含む。さらに、抗VEGF抗体は、セルソーティングおよび精製の手法を用いてVEGF陽性細胞を単離するために、使用されることがある。
【0103】
一実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5aおよび表5cに示されるような以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。別の実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5bおよび表5dに示されるような以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0104】
一実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5aまたは表5cに示されるようなアミノ酸配列を含むバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の軽鎖のいずれかを含む。別の実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5bまたは表5dに示されるようなアミノ酸配列を含むバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の重鎖のいずれかを含む。
【0105】
一実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5aに示される以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、表5bに示される以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む対応の重鎖可変ドメインとを含む。
【0106】
一実施形態では、VEGFに特異的に認識し結合する単離されたヒト抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントは、表5cに示されるような以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、表5dに示されるような以下のバリアント201、202、203、204、205、206、207、208、209、212、213、214、215、216、217、218、219、または220の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を含む対応の重鎖可変ドメインとを含む。
【0107】
ヒト化抗体およびヒト抗体
本願発明は、新規のヒト化抗VEGF抗体を包含する。ヒト化抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を含有するキメラ抗体である。例えば、ヒト化抗体とは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、そのグロブリンでは、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト霊長類、マウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基に置き換えられている。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基が、対応の非ヒト残基に置き換えられていることがある。さらに、抗体の性能をいっそう磨き上げるために、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含むことがある。このヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むことがある。キメラ抗体は、特定の種に由来するかまたは特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応の配列に、一致するかまたは相同である、重鎖および/または軽鎖の一部分を含むことがあるが、その一方で、鎖(複数可)の残りは、別の種に由来するかまたは別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体ならびにそのような抗体の断片が所望の生物活性を示す限り、それらの対応の配列に一致するかまたは相同である。
【0108】
本発明の完全ヒト抗VEGFモノクローナル抗体を生産するための方法としては、ファージディスプレイ法および遺伝子導入法が挙げられる。例えば、本発明の完全ヒト抗VEGFモノクローナル抗体は、大規模なヒトIg遺伝子コンビナトリアルライブラリー(すなわちファージディスプレイ)を採用したクローニング技術を用いて生成されることがある。本発明の完全ヒト抗VEGFモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するように遺伝子操作された遺伝子導入マウスを用いて生産されることもある。
【0109】
二重特異性抗体
二重特異性抗体とは、抗VEGFのモノクローナルの、好ましくは本発明のヒト抗体またはヒト化抗体であり、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。この場合では、結合特異性のうち一方はVEGFに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。例示的な二重特異性抗体は、VEGFタンパク質の2つの異なるエピトープに結合するものと思われる。
【0110】
本発明の一実施形態では、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原に対する結合特異性を有し、一方の抗原は、本発明の抗体が結合するものである。例えば、二重特異性抗体は、CDRH1[例えばアミノ酸31位からアミノ酸35位のヒスチジン(配列番号1)]もしくはその一部分、CDRH2[例えばアミノ酸50位のチロシンからアミノ酸66位のグリシン(配列番号1)]もしくはその一部分、CDRH3[例えばアミノ酸99位のヒスチジンからアミノ酸109位のチロシン(配列番号1)]もしくはその一部分、CDRL1[例えばアミノ酸24位のアルギニンからアミノ酸34位のアラニン(配列番号3)]もしくはその一部分、CDRL2[例えばアミノ酸50位のリジンからアミノ酸56位のアラニン(配列番号3)]もしくはその一部分、またはCDRL3[例えばアミノ酸89位のグルタミンからアミノ酸97位のスレオニン(配列番号3)]もしくはその一部分、またはそれらの組合せのアミノ酸配列を含む、アミノ酸配列を含むことがある。
【0111】
二重特異性抗体はまた、VEGF発現する細胞に細胞毒性剤を局在化させるために使用されることがある。これらの抗体は、VEGFに結合する腕と、細胞毒性剤(例えばサポリン、抗インターフェロン−アルファ、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、または放射活性同位体ハプテン)を結合する腕とを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体としても抗体断片[例えばF(ab’
2二重特異性抗体]としても調製することができる。二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野に公知である。2を超える結合価の抗体が想定される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。
【0112】
抗体のバリアント
実施形態によっては、本明細書に記載される抗VEGF抗体のアミノ酸配列の改変(複数可)が想定される。本抗体のアミノ酸配列のバリアントは、例えば、適切なヌクレオチド変換を本抗体の核酸内に導入することによって、またはペプチド合成によって、調製されてもよい。そのような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはその中の残基の置換が挙げられる。どの組合せの欠失、挿入、および置換も、最終的な構築物が所望の特性を有するという条件で、その最終的な構築物に到達するように作製される。
【0113】
さらに、本発明の免疫グロブリンポリペプチドのFc領域に1つまたは複数のアミノ酸改変を導入することによって得られる、Fc領域バリアントを想定する。Fc領域バリアントは、ヒンジのシステインを含めた1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えばヒトのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含むことがある。この記載および当技術分野の教示によれば、実施形態によっては、本発明の方法で使用される抗体は、野生型のカウンターパート抗体に比べて、例えばFc領域中に、1つまたは複数の変更を含むことがあることが想定される。
【0114】
核酸、ベクター、宿主細胞、および組換え方法
本発明の別の態様は、抗VEGF抗体およびその断片をコードする様々な核酸分子を、好ましくは単離された形態で提供し、そのような分子としては、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、および関連分子、本抗VEGF抗体をコードする配列に相補的な核酸分子またはその一部、および本抗VEGF抗体をコードする核酸にハイブリダイズするものが挙げられる。特に好適な核酸分子は、本明細書に開示されるヒトまたはマウスのDNA配列に実質的に一致するか相補的であるヌクレオチド配列を有するものとなる。特に想定されるのは、天然の供給源由来か合成であるかを問わず、ゲノムDNA、cDNA、リボザイム、およびアンチセンス分子、ならびに代替の骨格をベースとするかまたは代替の塩基を含む核酸である。
【0115】
本発明は、本願発明の抗VEGF抗体コード核酸分子の断片をさらに提供する。本明細書に使用される際に、抗VEGF抗体コード核酸分子の断片とは、抗VEGF抗体コード配列全体の小さな一部分を指す。断片のサイズは、その意図される使用によって決まるものとなる。
【0116】
一実施形態では、本発明は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードする、単離された核酸を提供する。本発明の一実施形態では、前記特異的な結合部は、抗体の抗原結合部分を含み、その際に、本抗体の抗原結合部分の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分は、91位のシトシンで始まり105位のシトシンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む免疫グロブリン重鎖のCDRH1もしくはその一部分と、148位のチミンで始まり198位のシトシンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖のCDRH2もしくはその一部分と、295位のシトシンで始まり327位のシトシンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖のCDRH3もしくはその一部分とを含み;および/または本抗体の抗原結合部分の免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分は、70位のシトシンで始まり102位のシトシンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖のCDRL1もしくはその一部分と、148位のアデニンで始まり168位のシトシンまでの(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖のCDRL2もしくはその一部分と、265位のシトシンで始まり291位のグアニンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖のCDRL3もしくはその一部分を含む。
【0117】
例えば、本発明の抗VEGF抗体をコードする核酸分子は、その核酸分子がVEGF抗体以外のポリペプチドをコードする混入した核酸分子から実質的に分離されている際には、単離されているものと考えられてもよい。当業者は、核酸の単離の手順を簡単に利用して、単離されたVEGF抗体コード核酸分子を得ることができる。高度な純度を達成することが望ましい一方で、単離された核酸は、単離された核酸であるために、純粋である必要も絶対的な純度を達成する必要もない。
【0118】
別の実施形態では、上記の(a)または(b)に示されたようなどの核酸配列も、同じアミノ酸配列をコードする等価な核酸配列に置き換えられることがある。さらに追加の一実施形態では、本抗体は、ヒトまたはヒト化の定常領域をさらに含む。例えば、このヒトまたはヒト化の定常領域は、IgG1の定常領域であることがある。別の例では、このヒトまたはヒト化の定常領域は、IgG4の定常領域である。
【0119】
本発明の一実施形態では、単離された核酸は、配列番号16に示される配列を含む。
【0120】
さらに別の実施形態では、単離された核酸配列は、配列番号9に示されるような721位のグアニンで始まり1449位のチミンまでの核酸配列を含む単鎖Fv分子またはその一部分である、特異的な結合部をコードする。さらに別の追加の実施形態では、特異的な結合部は、配列番号1および3で示される核酸配列を含むFab、またはその一部分(複数可)である。さらに別の一実施形態では、抗体の重鎖は、配列番号16に示されるような70位のグアニンで始まり711位のチミンまでのアミノ酸配列と、配列番号16にある897位のグアニンで始まり1580位のアデニンまでの核酸配列とを含む、FRのアミノ酸配列またはその一部分(複数可)を含む。別の実施形態では、特異的な結合部は、配列番号16に示されるような1位のアデニンで始まり711位のチミンまでの核酸配列と、配列番号16にある828位のアデニンで始まり1580位のアデニンまでの核酸配列とを含む、Fabまたはその一部分(複数可)である。
【0121】
さらに別の実施形態では、特異的な結合部は、配列番号16に示される核酸配列を含むFabまたはその一部分である。
【0122】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり90位のチミンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖フレームワーク領域(FR)1であるFRH1をさらに含む。
【0123】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする106位のチミンで始まり147位のアデニンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖フレームワーク領域(FR)2であるFRH2をさらに含む。
【0124】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする199位のシトシンで始まり294位のシトシンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖フレームワーク領域3であるFRH3をさらに含む。
【0125】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする328位のチミンで始まり360位のグアニンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖フレームワーク領域4であるFRH4をさらに含む。
【0126】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり90位のチミンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖フレームワーク領域FRH1と、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする106位のチミンで始まり147位のアデニンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖フレームワーク領域FRH2と、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする199位のシトシンで始まり294位のシトシンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖フレームワーク領域FRH3と、アミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする328位のチミンで始まり360位のグアニンで終わる(配列番号1)核酸配列を含む重鎖フレームワーク領域FRH4とをさらに含み、重鎖フレームワーク領域FRH1からFRH4および重鎖相補性決定領域CDRH1からCDRH3をコードする核酸配列は、FRH1−CDRH1−FRH2−CDRH2−FRH3−CDRH3−FRH4の順番で接合されている。
【0127】
一実施形態では、単離された核酸は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸120位のセリン(配列番号1)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり360位のグアニンで終わる(配列番号1)重鎖可変領域の核酸配列を含む。
【0128】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり69位のシトシンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖フレームワーク領域1であるFRL1をさらに含む。
【0129】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする103位のチミンで始まり147位のシトシンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖フレームワーク領域2であるFRL2をさらに含む。
【0130】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする169位のグアニンで始まり264位のチミンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖フレームワーク領域3であるFRL3をさらに含む。
【0131】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする292位のチミンで始まり321位のアデニンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖フレームワーク領域4であるFRL4をさらに含む。
【0132】
一実施形態では、単離された核酸は、ヒトVEGFに結合する特異的な結合部の免疫グロブリン重鎖もしくはその一部分、免疫グロブリン軽鎖もしくはその一部分、または両方をコードし、抗体の抗原結合部分を含む前記特異的な結合部は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり69位のシトシンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖フレームワーク領域FRL1と、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする103位のチミンで始まり147位のシトシンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖フレームワークFRL2と、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする169位のグアニンで始まり264位のチミンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖フレームワークFRL3と、アミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする292位のチミンで始まり321位のアデニンで終わる(配列番号3)核酸配列を含む軽鎖フレームワークFRL4とをさらに含み、軽鎖フレームワーク領域FRL1からFRL4および軽鎖相補性決定領域CDRL1からCDRL3をコードする核酸配列は、FRL1−CDRL1−FRL2−CDRL2−FRL3−CDRL3−FRL4の順番で接合されている。
【0133】
一実施形態では、各CDRおよび各FRのアミノ酸配列をコードする核酸がIMGT法によって画定される、請求項4または68に記載の単離された核酸は以下の通りである:76位のグアニンで始まり99位のチミンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるCDRH1;151位のアデニンで始まり174位のチミンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるCDRH2;289位のグアニンで始まり327位のシトシンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるCDRH3;79位のシトシンで始まり96位のシトシンで終わる(SEQID核酸配列を含むIMGT定義によるCDRL1 148位のアデニンで始まり156位のシトシンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるCDRL2;265位のシトシンで始まり291位のグアニンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるCDRL3;アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸25位のセリン(配列番号79)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり75位のチミンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるFRH1;アミノ酸34位のイソロイシンからアミノ酸50位のチロシン(配列番号79)のアミノ酸配列をコードする100位のアデニンで始まり150位のシトシンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるFRH2;アミノ酸59位のチロシンからアミノ酸96位のシステイン(配列番号79)のアミノ酸配列をコードする175位のチミンで始まり288位のチミンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるFRH3;アミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号79)のアミノ酸配列をコードする328位のチミンで始まり360位のグアニンで終わる(配列番号79)核酸配列を含むIMGT定義によるFRH4;アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸26位のセリン(配列番号77)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり78位のチミンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるFRL1;アミノ酸33位のバリンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号77)のアミノ酸配列をコードする97位のグアニンで始まり147位のシトシンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるFRL2;アミノ酸53位のグルタミン酸からアミノ酸88位のシステイン(配列番号77)のアミノ酸配列をコードする157位のグアニンで始まり264位のチミンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるFRL3;および/またはアミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号77)のアミノ酸配列をコードする292位のチミンで始まり321位のアデニンで終わる(配列番号77)核酸配列を含むIMGT定義によるFRL4。
【0134】
一実施形態では、単離された核酸は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸107位のリジン(配列番号3)のアミノ酸配列をコードする1位のグアニンで始まり321位のアデニンで終わる(配列番号3)軽鎖可変領域の核酸配列を含む。
【0135】
本発明の追加の一実施形態では、核酸は、抗体である特異的な結合部をコードする。
【0136】
さらに別の実施形態では、本抗体の重鎖は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸120位のセリンまで(配列番号1)のFF03046−2のV
Hドメインと、アミノ酸121位のアラニンからアミノ酸218位のバリンまで(配列番号1)のヒトIgG1定常領域のCH1ドメインとを含み、本抗体の軽鎖は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸107位のリジンまで(配列番号3)のFF03046−2のV
Lドメインと、アミノ酸108位のアルギニンからアミノ酸214位のシステインまで(配列番号3)のヒトカッパ軽鎖定常領域とを含む。
【0137】
さらに別の実施形態では、本抗体の重鎖は、アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸120位のセリンまで(配列番号1)のFF03046−2のV
Hドメインと、アミノ酸121位のアラニンからアミノ酸218位のバリンまで(配列番号1)のヒトIgG1定常領域のCH1ドメインと、アミノ酸219位のグルタミン酸からアミノ酸228位のスレオニンまで(配列番号1)のヒトIgG1定常領域のヒンジ領域の一部分とを含み、本抗体の軽鎖は、アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸107位のリジンまで(配列番号3)のFF03046−2のV
Lドメインと、アミノ酸108位のアルギニンからアミノ酸214位のシステインまで(配列番号3)のヒトカッパ軽鎖定常領域とを含む。
【0138】
また、本発明は、本抗体の重鎖が、アミノ酸261位のグルタミン酸からアミノ酸380位のセリンまで(配列番号16)のFF03046−2のV
Hドメインと、アミノ酸381位のアラニンからアミノ酸478位のバリンまで(配列番号16)のヒトIgG1定常領域のCH1ドメインとを含み、本抗体の軽鎖が、アミノ酸24位のアスパラギン酸からアミノ酸130位のリジンまで(配列番号16)のFF03046−2のV
Lドメインと、アミノ酸131位のアルギニンからアミノ酸237位のシステインまで(配列番号16)のヒトカッパ軽鎖定常領域とを含む、実施形態を提供する。
【0139】
本発明は、本抗体の重鎖が、アミノ酸261位のグルタミン酸からアミノ酸380位のセリンまで(配列番号16)のFF03046−2のV
Hドメインと、アミノ酸381位のアラニンからアミノ酸478位のバリンまで(配列番号16)のヒトIgG1定常領域のCH1ドメインと、アミノ酸479位のグルタミン酸からアミノ酸488位のスレオニンまで(配列番号16)のヒトIgG1定常領域のヒンジ領域の一部分とを含み、本抗体の軽鎖が、アミノ酸24位のアスパラギン酸からアミノ酸130位のリジンまで(配列番号16)のFF03046−2のV
Lドメインと、アミノ酸131位のアルギニンからアミノ酸237位のシステインまで(配列番号16)のヒトカッパ軽鎖定常領域とを含む、実施形態を提供する。
【0140】
本発明は、配列番号16に示される配列を有する単離された核酸を提供する。
【0141】
一実施形態では、恒常的プロモーターを使用して、本発明の抗体、その一部分またはバリアントの発現を制御する。別の一実施形態では、調節性プロモーターまたは誘導性プロモーターを使用して、本発明の抗体、その一部分またはバリアントを発現する。一実施形態では、調節性プロモーターまたは誘導性プロモーターは、phoAプロモーターである。本発明は、配列番号15に記載されるような核酸配列またはその一部分をphoAプロモーターが含む、単離された核酸を提供する。
【0142】
本発明は、核酸の転写の終結が転写ターミネーターの制御下にある、単離された核酸配列を提供する。一実施形態では、転写ターミネーターは、リボソームRNA遺伝子ターミネーターである。一実施形態では、リボソームRNA遺伝子ターミネーターは、配列番号19に示されるような核酸配列またはその一部分を含む。
【0143】
本発明は、ベクターである、単離された核酸配列を提供する。一実施形態では、ベクターは、複製起点を含む。別の実施形態では、ベクターは、colE1複製起点を含む。
【0144】
一実施形態では、ベクターは、選択マーカーまたはスクリーニングマーカーを含む。一実施形態では、選択マーカーまたはスクリーニングマーカーは、薬剤選択マーカー、蛍光タンパク質、細胞表面マーカー、酵素、発光タンパク質、代謝マーカー、成長因子、および耐性因子からなる群から選択される。一実施形態では、ベクターは、配列番号20に示されるようなテトラサイクリン耐性遺伝子を欠失したpBR322である。
【0145】
本発明は、本発明の抗体をコードする核酸がBSAまたはFcに結合しない、単離された核酸を提供する。
【0146】
本発明の抗体の組換え生産のために、それをコードする核酸が単離され、さらに別のクローニング(DNAの増幅)または発現に用いるために複製可能なベクター内に挿入されることがある。本抗体をコードするDNAは、容易に単離され、従来の手順を用いて(例えば、本抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)配列解析される。数多くのベクターが利用可能である。ベクターの選択は、部分的には、使用される宿主細胞に依存する。一般に、好適な宿主細胞は、原核起源であるか真核起源(一般に哺乳動物)であるかのどちらかである。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEの定常領域を含めて、任意のアイソタイプの定常領域をこの目的に使用することができ、そのような定常領域を任意のヒトまたは動物種から得ることができることが、認識されよう。
【0147】
本発明の抗VEGF抗体をコードする単離された核酸は、1つまたは複数のサイレント変異を含むことがある。さらに、本発明の単離された核酸は、1つまたは複数のミスセンス変異を有することがあり、その場合に、ヌクレオチドの置換の結果として、アミノ酸の同一性に変化が生じるが、その置換により翻訳終止コドンが指定されることから、未熟に切り縮められたポリペプチドは生じない。本発明の単離された核酸は、インフレームの欠失または挿入を有することがあり、その欠失または挿入は、3の倍数の塩基または塩基対として起こる。
【0148】
また、提供されるのは、本明細書に記載されるような抗VEGF抗体コード配列またはその断片を含有する組換えDNA分子(rDNA)である。本明細書に使用される際に、rDNA分子とは、in vitroでの分子操作に供されているDNA分子である。rDNA分子を生成するための方法は、当技術分野に周知のである。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning (1989)を参照されたい。本願発明の好適なrDNA分子では、抗VEGF抗体またはその断片をコードする抗VEGF抗体コードDNA配列は、1つまたは複数の発現制御配列および/またはベクター配列に動作可能に連結されている。rDNA分子は、VEGF 抗体全体をコードする可能性があるか、そのVEGF抗体の断片をコードする可能性があるかのどちらかである。
【0149】
VEGF抗体コード配列を動作可能に連結するベクターおよび/または発現制御配列の選択は、当技術分野に周知のように、所望される機能的な特性、例えばタンパク質の発現と、形質転換される宿主細胞とに直接的に依存する。本願発明の想定するベクターは、少なくとも複製または宿主染色体内への挿入を、そして好ましくはrDNA分子内VEGF抗体コード配列の発現を、導くことが可能である。
【0150】
動作可能に連結されたタンパク質コード配列の発現を調節するために使用される発現制御因子は、当技術分野に公知であり、以下に限定されないが、誘導性プロモーター、恒常的プロモーター、分泌シグナル、エンハンサー、転写ターミネーター、および他の調節因子が挙げられる。例えば、本発明の核酸の転写は、リボソームRNAターミネーターの制御下にあることがある。一実施形態では、リボソームRNAターミネーターは、配列番号19に示されるような核酸配列またはその一部分を含む。
【0151】
一実施形態では、抗VEGF抗体コード核酸分子を含有するベクターは、原核生物のレプリコン、すなわち、形質転換に用いられる細菌宿主細胞などの原核宿主細胞において、自律複製と染色体内での組換えDNA分子の維持とを導く能力を有するDNA配列を含むものとなる。そのようなレプリコンは、当技術分野に周知である。さらに、原核生物のレプリコンを含むベクターはまた、その発現が検出マーカーまたは薬剤耐性などの選択マーカーを付与する、遺伝子を含むこともある。典型的な細菌の薬剤耐性遺伝子は、アンピシリンまたはテトラサイクリンに対する耐性を付与するものである。
【0152】
真核細胞に適合する発現ベクター、好ましくは脊椎動物細胞に適合するものもまた、抗VEGF抗体コード配列を挿入して本発明の抗VEGF抗体を発現するために使用することができる。真核細胞発現ベクターは、当技術分野に周知であり、複数の商業用供給元から入手可能である。典型的には、そのようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿入に便利な制限酵素部位を含有して提供される。そのようなベクターは、抗VEGF抗体恒常的な発現または調節性の発現のどちらかのためのプロモーター/エンハンサーの組合せを供給することがある。さらに、そのようなベクターは、真核細胞で有効な転写ターミネーターを含むことがある。
【0153】
本願発明のrDNA分子を構築するために使用される真核細胞発現ベクターは、真核細胞で有効な選択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マーカーを、さらに含むことがある。
【0154】
本発明の実践に従えば、ベクターは、本発明の抗VEGF抗体コード配列またはその一部分を含有するプラスミド、コスミド、ウイルスベクター、またはファージベクターとすることができる。さらに、本発明は、適した真核宿主細胞内にトランスフェクションされたプラスミド、コスミド、ウイルスベクター、またはファージベクターを含む、宿主−ベクター系を想定する。適した真核宿主細胞の例としては、酵母細胞、植物細胞、または哺乳類細胞などの動物細胞が挙げられる。宿主−ベクター系は、抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントの生産に有用である。あるいは、宿主細胞を、本発明に示されるように、細菌細胞などの原核性とすることができる。
【0155】
当技術分野に公知の利用可能な数多くのベクターを、本願発明の目的のために使用することができる。ベクターの構成成分としては、一般に、以下に限定されないが、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物、および転写終結配列が挙げられる。例えば、核酸は、phoAプロモーターの制御下で発現されることがある。一実施形態では、phoAプロモーターは、配列番号15に示されるような核酸配列またはその一部分を含む。PhoAプロモーターは、低リン酸条件下(0.05mMを下回るリン酸濃度など)で、下流の核酸配列(本発明の核酸配列など)を転写するように誘導されることがある。
【0156】
本発明の発現ベクターは、ポリペプチド構成成分をそれぞれコードする2つ以上のプロモーター−シストロン対を含むことがある。あるいは、発現ベクターは、2つ以上のポリペプチド構成成分をコードする2つ以上のシストロンを有する1つのプロモーターを含むことがある。プロモーターは、シストロンに対し上流(5’)に配された非翻訳調節配列であり、シストロンの発現を変調させる。原核プロモーターは、典型的には、誘導性および恒常的の2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターとは、その制御下で、培養条件の変化、例えば栄養の存在もしくは不在または温度の変化に応答して、シストロンの転写のレベルの増加を開始するプロモーターである。
【0157】
本発明の一実施形態では、phoAプロモーターなどの誘導性プロモーターが、上流に配され、免疫グロブリン軽鎖と免疫グロブリン重鎖の両方またはその一部分もしくはバリアントをコードする核酸に動作可能に連結される。低リン酸条件によってphoAプロモーターを誘導する結果として、下流の核酸配列が転写され、RNA転写物が生産されるが、phoAプロモーターが上流に配されて、免疫グロブリン軽鎖と免疫グロブリン重鎖との両方をコードする核酸に動作可能に連結された場合、結果としてバイシストロニックなmRNAが生産される。一実施形態では、バイシストロニックなmRNAが翻訳される結果、クローン#201の場合にあるように、免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖の両方が生産される。
【0158】
Fab201コード配列(配列番号16)を含み、細菌によるFab201の発現に使用できるバリアントクローン#201(
図17)を、ブダペスト条約の規定の下、2017年9月5日、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Blvd、マナサス、バージニア州20110−2209に寄託し、ATCC寄託番号を
PTA−124435として付与されている。
【0159】
可能性のある種々の宿主細胞によって認識される非常に数多くのプロモーターが周知である。実施形態によっては、一般に、生来の標的ポリペプチドプロモーターに比べて、発現される標的遺伝子の転写量をより多く、収量をより高いものとすることから、異種のプロモーターが利用される。宿主細胞または非宿主細胞由来の天然に発生したプロモーターに加えて、ウイルスプロモーターおよび人工プロモーターが、当技術分野に公知である。真核細胞(酵母、昆虫、または哺乳動物の細胞)では、プロモーターは、転写エンハンサーと組み合わせて使用される。
【0160】
形質転換された宿主細胞
本発明は、抗VEGF抗体またはその断片をコードする核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞をさらに提供する。宿主細胞は、原核性と真核性のどちらかにすることができる。抗VEGF抗体の発現に有用な真核細胞は、その細胞株が細胞培養方法に適合し、かつ発現ベクターの伝搬および抗VEGF抗体遺伝子の発現に適合する限り、限定されない。好適な真核宿主細胞としては、以下に限定されないが、酵母、昆虫、および哺乳動物の細胞、好ましくは脊椎動物細胞、例えばマウス、ラット、サル、またはヒトの細胞株に由来するものなどが挙げられる。好適な脊椎動物細胞株としては、以下に限定されないが、CHOおよびHEK293が挙げられる。最も好適な脊椎動物細胞株は、生物製剤の製造または生産用に認可されたものである。好適な原核宿主は、大腸菌と枯草菌のどちらかである。
【0161】
本願発明のrDNAを用いた適切な細胞宿主の形質転換、トランスフェクション、またはトランスダクションは、周知の方法によって達成され、その方法は、典型的には、使用するベクターおよび採用する宿主系のタイプに依存する。原核宿主細胞の形質転換に関しては、エレクトロポレーションおよび塩−熱ショック処理法が典型的に採用されるが、例えば、Cohen et al., Proc Acad Sci USA (1972) 69:2110; and Maniatis et al.,
Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1982)を参照されたい。さらに、原核宿主細胞は、本発明の抗VEGF抗体をコードする核酸を含むファージを用いて感染または形質導入させてもよい。rDNAを含有するベクターを用いた脊椎動物細胞のトランスフェクションに関しては、エレクトロポレーション、カチオン脂質処理法または塩処理法が典型的に採用されるが、例えば、Graham et al., Virol (1973) 52:456; Wigler et al., Proc Natl Acad Sci USA (1979) 76:1373-76を参照されたい。さらに、脊椎動物細胞は、抗VEGF抗体をコードする核酸を含む真核ウイルス粒子を用いて感染または形質導入させてもよい。そのようなウイルス粒子は、DNAウイルス粒子であってもRNAウイルス粒子であってもよく、以下に限定されないが、アデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルス、レトロウイルス、およびレンチウイルスの粒子が挙げられよう。
【0162】
形質転換、トランスフェクション、またはトランスダクションに成功した細胞、すなわち本願発明のrDNA分子を含有する細胞は、周知の手法によって特定することができる。例えば、本願発明のrDNAを導入した結果として得られる細胞を、クローニングして、単一コロニーを生じることができる。それらのコロニーに由来する細胞を、採取し、溶解して、そのDNA内容物を、Southern, J Mol Biol (1975) 98:503またはBerent et al., Biotech (1985) 3:208などに記載された方法を用いてrDNAの存在について調べるか、または細胞から生産されたタンパク質を、免疫学的方法を介してアッセイすることができる。あるいは、姉妹細胞を、外来の核酸の存在について、当技術分野に公知の高感度の方法によって分析してもよく分析してもよい。また、形質転換、トランスフェクション、またはトランスダクションされた細胞は、細胞内に導入された同じ核酸上かまたはその細胞内に共導入された別々の核酸上に存在するマーカー(薬剤選択マーカー、イメージングマーカー、または検出マーカーのいずれか)に基づいて、単離又は特定されることがある。
【0163】
本発明の抗体を発現するのに適した原核宿主細胞としては、古細菌および真正細菌、例えばグラム陰性生物またはグラム陽性生物が挙げられる。有用な細菌の例としては、エシェリキア属(Escherichia)[例えば大腸菌(E. coli)]、バシラス(Bacilli)[例えば枯草菌(B. subtilis)]、腸内細菌(Enterobacteria)、シュードモナス(Pseudomonas)種[例えばシュードモナス・エルギノーザ(P. aeruginosa)]、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、赤痢菌(Shigella)、根粒菌(Rhizobia)、ビトレオシラ(Vitreoscilla)、またはパラコッカス(Paracoccus)が挙げられる。
【0164】
抗体の生産
抗体の調製のための様々な方法が、当技術分野に周知である。例えば、宿主細胞を、上記の発現ベクターを用いて形質転換して、プロモーターを誘導するか形質転換体を選択するかまたは所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に改変された在来の栄養培地で培養することがある。
【0165】
形質転換とは、DNAが染色体外因子としてまたは染色体組み込みによってのどちらかで複製可能となるように、DNAを原核生物宿主内に導入することを意味する。使用する宿主細胞に応じて、そのような細胞に適切な標準的な手法を用いて形質転換を行う。
【0166】
本発明のポリペプチドを生産するために使用する原核細胞を、当技術分野に公知でありかつ選択された宿主細胞の培養に適している培地中で成長させる。適した培地の例としては、ルリアブロス(LB)に必要な栄養補助剤を足したものが挙げられる。
【0167】
抗体の精製
当技術分野に公知の標準的なタンパク質精製法を採用することができる。以下の手順は、適した精製手順の例である:イムノアフィニティカラムまたはイオン交換カラムでの分画、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、逆相HPLC、シリカまたはDEAEなどの陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、およびゲル濾過例えばSephadex G−75。
【0168】
イムノコンジュゲート
本発明はまた、イムノコンジュゲート(互換的に「抗体−薬剤コンジュゲート」または「ADC」と称される)を提供し、このコンジュゲートは、化学療法剤、薬剤、成長阻害剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物、または動物を起源とする酵素活性を持つ毒素もしくはその断片)、または放射活性剤(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤または治療剤にコンジュゲーションされた任意の本発明の抗VEGF(例えば、本明細書に記載されるその一部分もしくはバリアントを含む)を含む。例えば、治療剤としては、以下に限定されないが、抗腫瘍薬、サイトカイン、第2の抗体、または抗体の一部分(例えばFc)が挙げられる。さらに、本発明は、プロドラッグを細胞毒性薬に変換する酵素に本発明の抗体が連結されている、実施形態を提供する。本発明の実践に従えば、本抗体の一部分は、scFv断片、Fv断片、Fab断片、Fab’断片、およびF(ab’)
2断片からなる群から選択されてもよい。
【0169】
成長阻害剤とは、in vitroとin vivoのどちらかの細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。成長阻害剤の例としては、細胞周期の進行を遮断する剤、例えばビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン類を含めた古典的なM期遮断剤;ならびにトポイソメラーゼII阻害物質、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンが挙げられる。追加の適した剤としては、例えば、DNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびara−Cが挙げられる。
【0170】
本発明の抗体またはその断片は、検出マーカーを用いて標識され、その結果としてイムノコンジュゲート、例えば診断用イムノコンジュゲートを生じていることがある。
【0171】
イムノコンジュゲートは、第2の分子をVEGF陽性細胞にターゲティングするために使用することができる(Vitetta, E.S. et al., 1993, Immunotoxin therapy, in DeVita, Jr., V.T. et al., eds, Cancer: Principles and Practice of Oncology, 4th ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia, 2624-2636)。
【0172】
細胞毒性剤の例としては、以下に限定されないが、リシン、リシンA鎖、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラセンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素(PE)A、PE40、アブリン、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、クリシン、クロチン、カリケアマイシン、サボンソウ(saponaria officinalis)阻害剤、マイタンシノイド類、およびグルココルチコイド、および他の化学療法剤、ならびに放射性同位体、例えば
212Bi、
131I、
131In、
90Y、および
186Reなどが挙げられる。適した検出マーカーとしては、以下に限定されないが、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤、または酵素が挙げられる。抗体はまた、プロドラッグをその活性形態に変換できる抗がんプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲーションされることがある。
【0173】
さらに、任意の本発明のモノクローナル抗体または組換え抗体の抗原結合領域を含む本発明の組換えタンパク質を、がんを治療するために使用することができる。そのような状況では、組換えタンパク質の抗原結合領域は、治療活性を有する第2のタンパク質の少なくとも機能的に活性な一部分に接合される。第2のタンパク質としては、以下に限定されないが、酵素、リンカイン、オンコスタチン、または毒素を挙げることができる。適した毒素としては、上に記載されたものが挙げられる。
【0174】
治療剤を抗体にコンジュゲーションまたは接合するための手法は、周知である[例えば、Arnon et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy", in
Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., "Antibodies For Drug Delivery", in
Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", in
Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985); and Thorpe et al., "The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates",
Immunol. Rev., 62:119-58 (1982)]を参照されたい。治療剤としてのVEGF抗体の使用は、さらに本明細書に記載されている。
【0175】
他の抗VEGF抗体コード核酸分子を単離するための方法
本明細書に記載される抗VEGF抗体コード核酸分子によって、抗VEGF抗体のホモログ、代替的に薄切されたアイソフォーム、対立遺伝子のバリアント、および本発明の抗VEGF抗体の変異体、ならびにコード配列および遺伝子配列の単離が可能になる。
【0176】
例えば、本明細書に記載される抗VEGF抗体コード配列の一部分を合成し、ヒト以外の生物由来の抗VEGF抗体のタンパク質ファミリーのメンバーをコードするDNA、本明細書に記載されるヒトVEGFタンパク質の対立遺伝子のバリアント、および抗VEGF抗体遺伝子を含有するゲノム配列を取り出すプローブとして使用することができる。(約5〜7アミノ酸の広がりをコードする)およそ16〜21ヌクレオチドを含有するオリゴマー(またはオリゴヌクレオチド)を調製し、ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするのに使用して、過剰レベルの偽陽性を除外するようなストリンジェントな条件または充分なストリジェンシーの条件下でのハイブリダイゼーションを達成してもよい。特に目的とするオリゴマーは、本発明の抗VEGF抗体の超可変領域または相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列をコードするものである。このオリゴマーを、本明細書に記載されるCDR配列またはそのようなCDR配列の一部分から調製してもよい。このオリゴマーを、本明細書に記載されるCDRのアミノ酸配列またはその一部分を再コード化することにより調製してもよく、その結果、オリゴマーまたはその相補体の翻訳物は、本明細書に記載されるCDRまたはその一部分をコードする。
【0177】
さらに、抗VEGF抗体コード核酸分子またはその断片を選択的に増幅/クローニングするためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)での使用のために、オリゴヌクレオチドプライマーの対を調製してもよい。そのようなPCRプライマーを用いるPCRの変性/アニーリング/伸長のサイクルは、当技術分野に周知であり、他の抗VEGF抗体コード核酸分子を単離する際の使用のために容易に適応させることができる。
【0178】
抗VEGF抗体コード配列の非ヒトホモログ、抗VEGF抗体コード配列の天然に発生した対立遺伝子のバリアント、およびゲノムの抗VEGF抗体コード配列は、本明細書に記載される抗体のCDR部分中で、ヒト抗VEGF抗体配列と高度な相同性を共有するものとなる。一般に、そのような核酸分子は、ストリンジェントな条件下でヒトVEGF配列にハイブリダイズするものとなる。そのような配列は、典型的には、ヒト抗VEGF抗体コード配列と少なくとも70%相同性、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の相同性を含有するものとなる。
【0179】
ストリンジェントな条件とは、(1)洗浄のために、低いイオン強度と高い温度、例えば0.015M NaCl/0.0015M硝酸ナトリウム/0.1%SDSを50℃で採用するか、または(2)ハイブリダイゼーションの間に、ホルムアミドなどの変性剤、例えば0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM NaClと75mMクエン酸ナトリウムとを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5を含む、50%(体積/体積)ホルムアミドを42℃で採用するものである。
【0180】
別の例は、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(50mg/mL)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストランを42℃で使用し、併せて0.2×SSCおよび0.1%SDS中、42℃で洗浄することである。当業者は、明確で検出可能なハイブリダイゼーションシグナルを得るよう適切に、ストリンジェンシー条件を容易に決定し変えることができる。
【0181】
CDRコード領域またはFRコード領域を変異誘発し、結果として得られた抗体をVEGFとの結合能について特性解析することによって、他の抗VEGF抗体コード核酸分子を得てもよい。FRコード領域については、ストランド間のジスルフィド結合の形成に関与するシステインと、CDRH3の直後のFRH4のアミノ末端終端にある保存されたトリプトファンとをコードするものを除いて、CDRコード領域に隣接するヌクレオチドが変異誘発の好適な部位であることがある。
【0182】
競合的阻害抗体を特定するためのアッセイ
本発明の別の態様は、本発明の抗体が認識し結合するVEGFと同じかまたは重複するエピトープに結合する追加の抗VEGF抗体を、検出し特定するために使用することができる、アッセイおよび方法に関連する。具体的には、抗VEGF抗体のVEGFに結合する能力および/またはVEGF活性を阻害/刺激する能力によって、VEGFに結合する抗VEGF抗体および他の剤および細胞成分を特定することができる。VEGF結合活性についてのアッセイは、VEGFタンパク質を必要とすることがあるか、または、その断片もしくはそのペプチドが、ハイスループットスクリーニング法での使用に適する。
【0183】
あるいは、VEGFタンパク質の決定的な位置(本発明の任意の抗体によって認識される)に免疫反応性のある抗体を、抗体ライブラリー、例えば合成のナイーブFabファージディスプレイライブラリーなどから選択してもよい。初発のスクリーニングの後、焦点を合わせてCDR配列の変異誘発を実施してもよく、追加の何巡かのスクリーニングを、限定的なVEGFタンパク質またはVEGFタンパク質の一部分を用いて行い、望ましい活性の向上した抗VEGF抗体(例えばVEGFに対する高親和性の抗体)を選び出してもよい。選択されたファージに存在する選択されたFab配列を用いて、追加の何巡かの変異誘発およびスクリーニングを、所望のアウトカムに達するまで実施してもよい。
【0184】
本発明の診断使用
多種多様な本発明の診断使用がある。例えば、本発明は、対象、例えば動物またはヒト対象で、黄斑変性症、または眼でのVEGFの過剰生産に関連する(実際のまたは潜在的な)視覚の機能障害もしくは喪失、またはVEGFタンパク質の存在に関連するがんを診断するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、本発明の抗体のうちいずれか1つまたは組合せを用いて、試料(例えば細胞または生体液の試料)中のVEGFタンパク質の数を定量的に決定することを含む。次いで、そうして決定された数を、正常な対象由来の試料中の量と比較することができる。測定できる程度に異なる量が試料中に存在していること(すなわち、被験試料中のVEGFの数が正常な試料由来の数を超える)は、黄斑変性症または視覚の機能障害もしくは喪失のリスクの存在または増加、またはがんの存在を標示する。被験試料中のVEGFの数が正常な試料由来の数を超える際に、VEGFを細胞によって過剰発現する。
【0185】
別の実施形態では、診断は、本発明の核酸を用いて、VEGFタンパク質をコードするRNAの量を、対象由来の試料中で定量的に決定することを含む。そのように決定された量を、正常な対象由来の試料中のRNAの量と比較することができる。繰り返しになるが、測定できる程度に異なる量が存在していることは、黄斑変性症または視覚の機能障害もしくは喪失のリスクの存在または増加、またはがんの存在を標示する。
【0186】
さらに、本発明は、対象で新生物のまたは新生物発生前の状態を診断するための方法を提供する。この方法は、対象から組織の試料を得ること、上記の方法を使用する際のVEGFの量および/または分布の差を検出することを含み、測定可能な別個の差は、そのような新生物のまたは新生物発生前の状態を標示する。
【0187】
本発明の実践に従えば、本発明の抗体は、本発明の任意のモノクローナル抗体が向けられているエピトープに向けることができる。さらに、組織切片を、膀胱、前立腺、骨、リンパ組織、膵臓、他の器官、または筋肉とすることができる。
【0188】
さらに、本発明は、黄斑変性症、または対象の眼における過剰なVEGFの存在に関連する視覚の機能障害または喪失を診断するための方法を提供する。この方法は、対象から眼の組織または細胞の試料を得ること、上記の方法を用いて組織または細胞中のVEGFの量の差を検出することを含み、測定可能な別個の差は、黄斑変性症、または対象の眼における過剰なVEGFの存在に関連する視覚の機能障害もしくは喪失を標示する。
【0189】
本発明はまた、生体液試料中のVEGFの濃度を検出し定量的に決定する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、1つまたは複数の過剰な本発明のモノクローナル抗体に固体支持体を接触させることを含み、このモノクローナル抗体が固体支持体の表面に付加することを可能にする条件下で、この抗体はVEGFとの複合体を形成する(好ましくは特異的に形成する)。モノクローナル抗体の付加された結果として得られる固体支持体を、次いで、生体液試料に接触させ、生体液中のVEGFが抗体に結合して、VEGF−抗体複合体を形成するものとする。この複合体は、検出マーカーを用いて直接的にまたは間接的に標識することができる。あるいは、VEGFと抗体のどちらかを、複合体の形成前に標識することができる。次いで、この複合体を検出して定量的に決定し、それによって、生体液試料中のVEGFの濃度を検出して定量的に決定することができる。正常な対照の生体液に比べて高濃度の試料中VEGFは、新生物のまたは新生物発生前の状態を標示する。あるいは、正常な対照の生体液に比べて高濃度の試料中VEGFは、黄斑変性症または視覚の機能障害もしくは喪失のリスクが存在または増加していることを標示する。後者の場合、生体液を眼から得る。
【0190】
本発明の実践に従えば、生体液としては、以下に限定されないが、硝子体液、組織抽出物、尿、血液、血清、および痰が挙げられる。さらに、検出マーカーとしては、以下に限定されないが、酵素、ビオチン、蛍光団、発色団、重金属、常磁性同位体、または放射性同位体が挙げられる。
【0191】
さらに、本発明は、VEGFを認識し結合する本発明の抗体(抗VEGF抗体);および検出可能な標識と抗VEGF抗体の特異的な結合パートナーとのコンジュゲートを含む、診断キットを提供する。本発明の実践によれば、標識としては、以下に限定されないが、酵素、放射標識、発色団、および蛍光剤が挙げられる。
【0192】
VEGFに関連する疾患の経過を
モニタリングするための方法
さらに、本発明は、対象由来の試料中のVEGFの量を様々な時点で測定することによって、対象での黄斑変性症、または視覚の機能障害、またはがん(例えば、前立腺がん、膀胱、膵臓がんの前立腺転移、骨転移)、またはVEGFに関連する障害の経過をモニタリングするための方法を提供する。これは、試料中のVEGFの量の変化を決定する目的で、例えばその変化が小さな量変化であるか、または大きな変化、すなわちVEGFの過剰発現であるかを決定するために行う。一実施形態では、この方法は、対象由来の初発の試料中でVEGFタンパク質の存在を定量的に決定すること、およびそうして決定された量を対象由来の第2の試料中に存在する量と比較することを含み、そのような試料は、異なる時点で採取され、決定された量の差異は、黄斑変性症または視覚機能障害またはがんの経過を標示するものである。
【0193】
別の実施形態では、モニタリングは、対象由来の初発の試料において、VEGFのRNAの存在を定量的に決定すること、およびそうして決定された量を対象由来の第2の試料に存在する量と比較することによってもたらされ、そのような試料は、異なる時点で採取され、決定される量の差は、黄斑変性症または視覚機能障害またはがん(例えば、前立腺がん、膀胱、膵臓がんの前立腺転移、骨転移)の経過を標示する。
【0194】
試料は、動物またはヒト由来とすることができる。さらに、試料は、細胞試料とすることができる。例えば、本発明の方法を用いて、器官組織、例えば眼の組織もしくは細胞、前立腺組織、膀胱組織、膵臓組織、神経内分泌組織、および骨(癌腫の転移が可能な任意の組織、例えば結節、肺、肝臓、膵臓)を、黄斑変性症または視覚の機能障害もしくは喪失のリスクの存在または増加、またはがんもしくは転移性病変の存在について、評価することができる。あるいは、試料は、生体液、例えば眼の細胞外液、硝子体液、尿、血清、または血漿とすることができる。
【0195】
本発明の実践に従えば、検出を、組織学、ブロッティング、ELISA、およびELIFAを含む免疫学的検出手段によってもたらすことができる。試料が組織または細胞試料である際には、それをホルマリン固定、パラフィン包埋、または凍結することができる。
【0196】
本発明はさらに、供試される眼または新生物組織から得た組織切片中のVEGFの量および分布の差を、正常組織由来の組織切片中のVEGFの量および分布に比べて決定する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、供試される組織と正常組織との両方を、VEGFとの複合体を特異的に形成する本発明のモノクローナル抗体に接触させること、ならびにそれによってVEGFの量および分布の差を検出することを含む。
【0197】
がんの療法および黄斑変性症などのVEGFに関連する障害またはVEGFに関連する眼疾患/障害の療法
本発明は、VEGFに関連する疾患、例えば滲出型加齢性黄斑変性症、糖尿病性黄斑症、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)における黄斑浮腫、虹彩新血管新生、病理学的近視に起因する脈絡膜の新血管新生、成熟児網膜症、血管新生緑内障、および/またはがんなどを治療するために、例えば全身的に使用されることがある、本発明の抗VEGF抗体を提供する。
【0198】
疾患細胞を標的とするが周囲の非患部の細胞および組織を標的としない抗体が好適である。そのため、本発明は、VEGF抗原を発現する疾患に感受性であるかまたは罹っている患者を治療する方法を提供し、この方法は、VEGFタンパク質に特異的に結合する有効量の本発明の抗体を、前記患者に投与することを含む。別のアプローチでは、本発明は、VEGFを発現する腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供し、この方法は、VEGFに特異的に結合する抗体を、腫瘍細胞の成長を阻害するのに有効な量で、患者に投与することを含む。本発明のVEGF mAbはまた、VEGF抗原を発現している細胞の成長を選択的に阻害するかまたはその細胞を死滅させるための方法に使用してもよく、この方法は、細胞の成長を阻害するかまたはその細胞を死滅させるのに充分な量で、本発明のVEGF抗体のイムノコンジュゲートまたはイムノトキシンを細胞に反応させることを含む。
【0199】
例えば、 コンジュゲーションされていない本発明の抗VEGF抗体 [モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、完全ヒトのものおよびその断片 (例えば 組換えタンパク質)を含む]を、その抗体が疾患細胞上のVEGFに結合して、そのような細胞および腫瘍の成長阻害(その破壊を含む)を媒介するように、患者に導入してもよく、そのような阻害を媒介する機構としては、補体complement-mediated cyto溶解, 抗体依存性細胞性細胞毒性、 altering 〆 physiologic function of VEGF, および/または 〆 阻害 of ligand binding or シグナル伝達経路s. In addition to コンジュゲーションされていない抗VEGF抗体s, 断片s thereof, and 組換えの タンパク質s of 本発明, 抗VEGF抗体s コンジュゲーションされ to toxic 剤s such as リシン may also be used therapeutically to deliver 〆 toxic 剤 直接的に to VEGF-bearing 腫瘍 細胞s and thereby destroy 〆 腫瘍.
【0200】
例えば、本発明のモノクローナル抗体を臨床で適用する1つの方法は、細胞の阻害/死滅活性(例えばADCCおよびCDC活性)を示す本発明のモノクローナル抗体を用いて、非修飾形態でそれらを投与することである。一実施形態では、ADCCおよびCDC活性を検出するために、本発明の抗VEGF抗体は、培養した
51Cr標識の標的腫瘍細胞を4時間のインキュベーション時間にわたって溶解したものについて、試験することができる。標的細胞は、
51Crを用いて標識してもよく、次いで、エフェクター細胞(リンパ球分離媒体を使用することにより精製されたヒトリンパ球の形態で)と抗体との混合物に数時間(例えば4時間)曝露することができ、その際には抗体を、例えば0.1mg/mLと10mg/mLとの間で変化させた濃度で添加する。標的細胞からの
51Crの遊離を、腫瘍細胞の溶解(細胞毒性)の証拠として測定してもよい。遊離可能な
51Crの総量を測定して、単独でインキュベーションした標的細胞に比べた際に、モノクローナル抗体とエフェクター細胞とを併用して観察された標的細胞のパーセント死滅性として、ADCCを算出してもよい。
【0201】
本発明の方法の実践では、VEGFを細胞表面に発現する患部細胞の成長を阻害することが可能な抗VEGF抗体は、その患部細胞がVEGFを発現または過剰発現する本明細書に記載されるような疾患に罹っている患者に、治療有効量で投与される。本発明の抗VEGF mAb療法の方法は、著しい患部細胞の成長阻害をin vivoでもたらすことがある。本発明の抗体療法の方法は、化学療法、放射線照射、および/または他の療法のレジメンと組み合わされることがある。
【0202】
患者は、患部細胞におけるVEGFの過剰発現の存在およびレベルについて、好ましくは、患部組織の免疫組織化学的評価、定量的VEGFイメージング、または信頼性を以てVEGF発現の存在および程度を標示することが可能な他の手法を用いて、評価されることがある。細胞生検または手術検体の免疫組織化学分析が、この目的のために好適であることがある。患部組織の免疫組織化学分析のための方法は、当技術分野に周知である。
【0203】
本発明の方法は、単一の本発明の抗VEGF抗体だけでなく、異なるエピトープを認識するものなど、異なる個別の抗VEGF抗体の組合せ、すなわち「カクテル」の投与を想定している。そのような組合せのmAbは、相乗的な治療効果を示すことがある。さらに、抗VEGFmAbの投与は、他の治療剤と組み合わされることがあり、そのようなものとして様々な細胞毒性剤が挙げられるが、これらに限定されない。抗VEGFmAbは、コンジュゲーションされていない形態で投与されてもよいし、治療剤がそれにコンジュゲーションされていてもよい。
【0204】
本発明の方法の実践に使用される抗VEGFモノクローナル抗体は、所望のデリバリ方法に適した担体を含む医薬組成物に製剤化されていてもよい。適した担体としては、抗VEGFmAbを組み合わせた際に抗体の抗疾患機能を保持しかつ対象の免疫系に反応しない、任意の物質が挙げられる。例としては、以下に限定されないが、複数の標準的な医薬担体、例えば滅菌リン酸緩衝生理食塩水溶液などのいずれかが挙げられる。
【0205】
本願発明は、本発明の抗VEGF抗体製剤を患部に投与するための、局所的または全身的な様々な方法を提供する。当技術分野での標準的な実践がそうであるように、本発明の組成物は、どの医薬的に許容可能な形態で対象に投与されてもよい。
【0206】
有効である可能性のある投与経路としては、以下に限定されないが、注射、例えば眼球内注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、吸入、および皮下での方法など、ならびに埋め込みポンプ、持続点滴、遺伝子治療、リポソーム、坐剤、局所接触、ベシクル、カプセル、生分解性ポリマー、ハイドロゲル、および制御放出パッチによることが挙げられる。担体と混ぜ合わされた本発明の組成物は、疾患部位、例えば眼に直接的に投与される滅菌溶液としてパッケージングされることがある。
【0207】
本発明によれば、本発明の組成物を投与することは、治療有効量の本発明の組成物を、例えば付随的なまたは連続的に、1つまたは複数の追加の本発明の組成物と共投与することを含むことがある。投与はまた、剤(複数可)の連続的放出(持続放出)を含むことがあり、例えば、剤(複数可)を持続放出カプセルまたは他の連続的放出材の中に包埋することがある。
【0208】
一般に、治療は、有効な用量での許容可能な投与経路による、本発明の抗VEGF抗体の投与を含むことがある。投薬量は、当業者に一般に認識されている様々な要因に依存するものとなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、疾患のタイプおよび疾患の重症度、グレードまたはステージ、使用される本発明の抗VEGF抗体の結合親和性および半減期、患者におけるVEGF発現の程度、所望の定常状態の抗体濃度のレベル、治療の頻度、ならびに、使用される場合は本発明の治療方法と併用で使用される化学療法剤の影響が挙げられる。典型的な1日用量は、約0.1から100mg/kgまでに及ぶことがある。適切な用量を規定する際の主要な決定要因は、ある特定の状況で治療的に有効とするのに必要なある特定の抗体の量である。疾患の阻害または後退を達成するために、反復投与が必要とされることがある。
【0209】
結合親和性とは、一般に、分子(例えば抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合による相互作用の強さの総和を指す。親和性は、当技術分野に公知の一般的な方法によって測定することができ、そのようなものとしては、本明細書に記載されるものが挙げられる。結合親和性を測定する種々の方法は、当技術分野に公知であり、そのいずれも本願発明の目的に使用することができる。
【0210】
VEGF mAbの直接的な投与も可能であり、ある種の状況で利点がある場合がある。例えば、黄斑変性症の治療のために、本発明のVEGF抗体を、眼の黄斑部に内に直接的に注射することがある。
【0211】
本発明は、数多くのVEGF抗原を細胞表面に発現する細胞の細胞活性(例えば細胞の増殖、活性化、または伝搬)を阻害するための方法を、さらに提供する。この方法は、細胞表面のVEGF抗原がイムノコンジュゲートとの複合体を形成するように、本発明のイムノコンジュゲート(例えば異種または同種の混合物)を細胞に反応させることを含む。細胞表面のVEGF抗原の数が多いほど、VEGF抗体複合体が数多く形成される。VEGF抗体複合体の数が多いほど、阻害される細胞活性が大きい。細胞活性の阻害により細胞の阻害または死が生じる際には、この方法によって、新生物のまたは新生物の状態などの疾患に罹っている対象を治療することができる。
【0212】
本発明は、VEGFをその受容体またはVEGFパートナーとの結合から遮断することによってVEGFの生物活性を阻害するための方法を、さらに提供する。この方法は、VEGF−イムノコンジュゲートまたはVEGF−抗体の複合体をもたらす条件下で、ある量のVEGFを本発明の抗体またはイムノコンジュゲートに接触させ、それによって、VEGFをその受容体またはVEGFパートナーとの結合から遮断し、VEGFの活性を阻害することを含む。
【0213】
別の実施形態では、本発明は、細胞を阻害するのに充分な量でいずれか1つまたは組合せの本発明のイムノコンジュゲートを細胞に反応させることによってVEGF抗原を発現する細胞を選択的に阻害するための方法を提供する。そのような量としては、細胞を死滅させる量、または細胞の成長もしくは増殖を阻害するのに充分な量が挙げられる。前掲に議論されたように、用量および投薬のレジメンは、VEGFに関連する治療される疾患または障害の性質、その集団、抗体が向けられる部位、および患者に依存するものとなる。
【0214】
医薬組成物
本願発明は、任意の新規の本発明の抗VEGF抗体を含む組成物を提供する。「医薬的に許容可能な担体」という言い回しは、その特定の投与経路に適したものとなる当業者に公知の任意の担体を指す。さらに、新規の本発明の抗VEGF抗体は、組成物中に唯一の医薬的に活性な成分として製剤化されてもよいし、他の活性成分と組み合わされてもよい。
【0215】
本明細書の組成物は、1つまたは複数の本発明の新規の抗VEGF抗体を含むことがある。本発明の新規の抗VEGF抗体は、一実施形態では、非経口投与用の滅菌済みの溶液または懸濁液など、適した医薬調製物に製剤化されている。
【0216】
本組成物では、有効な濃度の1つまたは複数の本発明の新規の抗VEGF抗体は、適した医薬担体と混合されていることがある。本組成物中の本発明の抗VEGF抗体の量または濃度は、投与時に、治療される疾患または障害の症状のうち1つまたは複数を治療するか、防止するか、または寛解させる量をデリバリするのに有効である。
【0217】
一実施形態では、治療的に有効な投薬量によって、約0.1ng/mLから約50−100μg/mLまでの血清濃度の活性成分が生じることがある。本医薬組成物は、別の実施形態では、1日当たり体重キログラム当たり約0.001mgから約2000mgまでの化合物の投薬量をもたらすことがある。医薬単位剤形は、調製されて、約0.01mg、0.1mg、または1mgから約500mg、1000mg、または2000mgまで、および一実施形態では約5mgから約500mgまでの活性成分、または単位剤形当たりの必須成分の組合せをもたらすことがある。
【0218】
一実施形態では、本組成物は、抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアント、ポリソルベート20、スクロース、塩化ナトリウム、および緩衝液を含む。一実施形態では、本組成物は、リン酸緩衝液を含む。一実施形態では、リン酸緩衝液は、pHが5.0と6.0との間である。別の実施形態では、本組成物は、緩衝液(例えばヒスチジン緩衝液)を含む。一実施形態では、ヒスチジン緩衝液は、pHが約5.0と6.5との間(好ましくは約pH6.0)である。別の実施形態では、本組成物は、クエン酸緩衝液を含む。別の実施形態では、本組成物は、クエン酸ナトリウム緩衝液を含む。一実施形態では、クエン酸ナトリウム緩衝液は、pHが約5.0と6.5との間(好ましくは約pH6.0)である。
【0219】
一実施形態では、本組成物は、抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアントを約2mg/mlから約100mg/ml)の濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、ポリソルベート20を0.1%から0.04%の濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、スクロースを1%から20%の濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、塩化ナトリウムを10mMから80mMの濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、リン酸緩衝液を10mMから100mMの濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、ヒスチジン緩衝液を5mMから50mMの濃度で含む。一実施形態では、本組成物は、クエン酸ナトリウム緩衝液を5mMから20mMの濃度で含む。
【0220】
一実施形態では、本組成物は、約5mg/mLの濃度の抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアント、0.03%ポリソルベート20、5%スクロース、40mM塩化ナトリウム、および10mMリン酸緩衝液(pH5.8)を含む。別の実施形態では、本組成物は、約5mg/mLの濃度の抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアント、0.03%ポリソルベート20、5%スクロース、40mM塩化ナトリウム、および10mMヒスチジン緩衝液(pH5.8)を含む。一実施形態では、本組成物は、約5mg/mLの濃度の抗VEGF抗体またはその一部分もしくはバリアント、0.03%ポリソルベート20、5%スクロース、40mM塩化ナトリウム、および10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を含む。
【0221】
活性成分または剤(すなわち新規の本発明の抗VEGF抗体)は、1回投与されてもよいし、複数のさらに少ない用量に分割されて時間間隔をおいて投与されてもよい。正確な投薬量および治療期間が治療される疾患に依存し、公知の試験プロトコールを用いて、またはin vivoもしくはin vitroの試験データからの外挿によって、実験的に決定されることがあることが理解される。濃度および投薬量の値はまた、軽減される状態の重症度に応じて変わり得ることにも留意されたい。どの特定の対象に対しても、特異的な投薬レジメンが、個々の要求と、本組成物を投与するかまたはその投与を管理する者の専門的な判断とに従って、時間をかけて調整されるべきであること、および本明細書に規定される濃度範囲が例示に過ぎず、特許請求の範囲にある組成物の実践の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0222】
活性剤を混合または添加すると、結果として得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどとなることがある。結果として得られる混合物の形態は、複数の要因に依存し、そのようなものとしては、意図される投与様式、および選択された担体またはビヒクル中の活性剤の溶解性が挙げられる。
【0223】
本医薬組成物は、ヒトおよび動物への投与のために、適した量の本発明の組成物または活性剤を含有する単位剤形で、例えば滅菌済みの非経口の溶液または懸濁液、注射用の溶液または懸濁液などで、提供される。注射剤、溶液、およびエマルションはまた、1つまたは複数の賦形剤を含有する。適した賦形剤は、例えば、ポリソルベート20、スクロース、塩化ナトリウム、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。
【0224】
医薬的に投与可能な液体組成物は、例えば、上記に規定されたような活性剤および任意選択の医薬アジュバントを、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの担体または賦形剤中に、溶解、分散、またはその他混合し、それにより溶液または懸濁液を形成することによって、調製することができる。所望に応じて、投与される医薬組成物はまた、少量の湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤などの非毒性の補助物質、例えば酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノライレート、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、および他のそのような剤を含有することもある。
【0225】
また、本発明内に包含されるのは、凍結乾燥粉末であり、これを投与用に溶液、エマルション、および他の混合物として再構成することができる。この凍結乾燥粉末を注射用に水で再構成することによって、非経口投与に使用するための製剤がもたらされる。再構成するために、この凍結乾燥粉末を滅菌水または他の適した担体に添加する。正確な量は、選択された化合物に依存する。そのような量は、実験的に決定することができる。これらの溶液、特に眼に用いることを意図するものは、適切な塩を用いて、pH約5から7の約0.01%から10%(体積%)の等張溶液として製剤化されることがある。
【0226】
キット
本発明の別の態様によれば、キットが提供される。本発明によるキットとしては、本発明の組成物を含むパッケージ(複数可)が挙げられる。
【0227】
「パッケージ」という言い回しは、本明細書に提示される化合物または組成物を含有する任意のベッセルを意味する。好適な実施形態では、パッケージを、箱または包みとすることができる。医薬製品をパッケージングする際に使用するためのパッケージ材は、当業者に周知である。医薬パッケージ材の例としては、以下に限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、インヘラー、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトル、および選択された製剤および意図される投与および治療の様式に適した任意のパッケージ材が挙げられる。
【0228】
このキットはまた、パッケージ内には含有されないがパッケージ外に付加される品目、例えばピペットを含有することができる。
【0229】
キットは、任意選択的に、本願発明の活性剤または組成物を、治療を必要とする状態にある対象に投与するための指示書を含有することがある。キットはまた、本明細書にある化合物の米国食品医薬品局などの規制当局により認可された使用のための指示書を含むことがある。キットは、任意選択的に、本願化合物についてのラベルまたは製品添付文書を含有することがある。パッケージ(複数可)および/または何らかの製品添付文書(複数可)は、それ自体が規制当局に認可されていることがある。キットは、パッケージ内に活性剤を固相でも液相(示されている緩衝液など)でも含むことがある。キットはまた、本方法を実施するのに用いる溶液を調製するための緩衝液と、一方のコンテナから別の方に液体を移すためのピペットとを含むことがある。
【0230】
キットはまた、任意選択的に、本明細書に記載されるような併用療法に使用するための1つまたは複数の他の組成物を含有することがある。ある実施形態では、パッケージ(複数可)は、静脈内投与のためのコンテナである。他の実施形態では、化合物が注射手段で提供される。
【0231】
本願発明は、本明細書に開示される実施形態による範囲に限定されず、それらの実施形態は、本発明の個別の態様のただ1つの説明として意図されるものであり、機能的に等価ないかなるものも、本発明の範囲内にある。本明細書に記載されるものに加えて、本発明のモデルおよび方法に施される様々な改変は、上述の記載および教示から、当業者に次第に明らかになり、本発明の範囲内に属することが同様に意図される。そのような改変または他の実施形態は、本発明の真の範囲および趣旨を逸脱することなく実践することができる。
【実施例】
【0232】
実施例1:
VEGFに対する新規の合成抗体の同定および分子特性解析
全体のプロセスには、ファージディスプレイ技術を用いたFabの選択、すなわちクローンの選択とそれに続いて最も結合親和性の高いクローンを選択するための複数回の親和性成熟が含まれる。得られた配列を、PhoAベースのベクターにクローニングした後、大腸菌での発現、タンパク質の精製、および親和性の決定を行う。詳細なプロトコールを下記に示す。
【0233】
1.ファージディスプレイ技術
合成ファージライブラリーの構築は、天然に発生した抗体の構造的および機能的な特性、バクテリオファージ被覆タンパク質の構造とアセンブリ、バクテリオファージの生物学、および宿主細胞の生物学に基づく。そのような知識に基づき、合成のFab抗体断片をファージ表面に提示する感染性バクテリオファージを生産する。どの単一Fabファージディスプレイライブラリーでも、Fab−ファージ被覆タンパク質キメラ融合タンパク質の合成Fab抗体断片部分は、様々な配列またはランダム配列を有する相補性決定領域(CDR)ループが接合され得る特異的なヒトフレームワーク領域(FR)またはヒトコンセンサス配列FRを有することがある。CDRが抗原との結合に関与することから、ファージをVEGFなどの抗原に対してスクリーニングして、VEGFに結合する合成Fabファージを特定し、ゆえにVEGFとの結合に関与するCDRを有するファージを選出する。選択されたFabファージによるVEGF結合の向上には、選択されたCDRの定方向の変異を生成すること、およびさらに何巡かファージ選択を行うことが必要であることがある。あるいは、FR配列の定方向の変異生成を、特に、ストランド間のジスルフィド形成に関与するシステインを除くCDR配列に隣接するアミノ酸残基、および高度に保存されたアミノ酸、例えばヒトIgG1の重鎖FRH4の不変のトリプトファンなどについて、実施することがある。
【0234】
フレームワーク領域またはFRの残基は、本明細書に画定される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。超可変残基またはCDR配列の指定が、CDRを特定するためのKabat法またはIMGT(登録商標)法との間で異なる可能性があることから、フレームワーク領域の配列は、異なることがある。具体的には、Kabat体系とIMGT(登録商標)体系との間でFR配列が、一致するか、重複するか、または一方もしくは他方に含有されることがある。
【0235】
アクセプターのヒトフレームワーク領域(CDR配列のための)は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来するかまたはヒトコンセンサスフレームワーク領域に由来するVLまたはVHのフレームワーク領域のアミノ酸配列を含む。例えば、Kabat体系を用いると、重鎖可変領域のヒトフレームワーク領域配列は:アミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸30位のフェニルアラニン(配列番号1)を含むFRH1、アミノ酸36位のトリプトファンからアミノ酸49位のアラニン(配列番号1)を含むFRH2、アミノ酸67位のアルギニンからアミノ酸98位のアルギニン(配列番号1)を含むFRH3、およびアミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)を含むFRH4である。
【0236】
ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するアクセプターのヒトフレームワーク領域は、その同じアミノ酸配列を有していてもよいし、アミノ酸配列の変化を含有していてもよい。好ましくは5個を超えない、好ましくは4個以下または3個以下のアミノ酸変化が、存在するかまたは作製される。
【0237】
一例、Kabat体系を用いると、軽鎖可変領域のヒトフレームワーク領域配列は:アミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸23位のシステイン(配列番号3)を含むFRL1、アミノ酸35位のトリプトファンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)を含むFRL2、アミノ酸57位のグリシンからアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)を含むFRL3、およびアミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)を含むFRL4である。
【0238】
同じFab重鎖配列(配列番号1)についてIMGT(登録商標)法によって特定されるフレームワーク領域配列の場合、IMGT(登録商標)定義による重鎖可変領域のフレームワーク領域配列は:IMGT定義によるアミノ酸1位のグルタミン酸からアミノ酸25位のセリン(配列番号1)を含むFRH1、IMGT定義によるアミノ酸34位のイソロイシンからアミノ酸50位のチロシン(配列番号1)を含むFRH2、IMGT定義によるアミノ酸59位のチロシンからアミノ酸96位のシステイン(配列番号1)を含むFRH3、およびIMGT定義によるアミノ酸110位のトリプトファンからアミノ酸120位のセリン(配列番号1)を含むFRH4である。同じFab軽鎖配列(配列番号3)についてIMGT(登録商標)法によって特定されるフレームワーク領域配列の場合、IMGT(登録商標)定義による軽鎖可変領域のフレームワーク領域配列は:IMGT定義によるアミノ酸1位のアスパラギン酸からアミノ酸26位のセリン(配列番号3)を含むFRL1、IMGT定義によるアミノ酸33位のバリンからアミノ酸49位のチロシン(配列番号3)を含むFRL2、IMGT定義によるアミノ酸53位のグルタミン酸からアミノ酸88位のシステイン(配列番号3)を含むFRL3、およびIMGT定義によるアミノ酸98位のフェニルアラニンからアミノ酸107位のリジン(配列番号3)を含むFRL4である。
【0239】
可変領域において、FRおよびCDRの配置は:重鎖可変領域についてはFRH1−CDRH1−FRH2−CDRH2−FRH3−CDRH3−FRH4、軽鎖可変領域についてはFRL1−CDRL1−FRL2−CDRL2−FRL3−CDRL3−FRL4である。
【0240】
Fabファージディスプレイライブラリーは、繊維状ファージベクター系(M13バクテリオファージなど)であるファージミドに構築され、ファージミドは、抗体軽鎖のコード配列と、被覆タンパク質に融合されたFab抗体断片重鎖のコード配列とを含有する。ライブラリーが構築されると、それは大腸菌内に形質転換され、ファージミドは、複製して(colE1などのdsDNA起点を用いて)、抗体の軽鎖と重鎖−被覆タンパク質融合タンパク質とを発現する。ヘルパーファージ(KO7)による共感染の際に、ファージミドは、ssDNA起点を用いて、ビリオン内にパッケージングされた一本鎖DNAとして複製し、このビリオンは、ファージミド由来の重鎖−被覆融合タンパク質とヘルパーファージ由来の野生型被覆タンパク質とによって修飾されている。ヘルパーファージは、野生型被覆タンパク質の合成と、ファージミドのM13/f1ファージ起点を介した複製/パッケージングとに必要な遺伝情報を提供する。
【0241】
ファージミドのビリオンは、宿主細胞から押し出され、各ファージ粒子は、そのファージ粒子内にコード配列が被包されているユニークな抗体/Fabを提示する。これらのファージ粒子を、VEGFタンパク質に曝露し、VEGF結合について選択し、その細菌宿主細胞に感染させることにより増幅することで、Fabの特性解析とFab核酸配列の単離とをさらに行うことが可能になる。
【0242】
ファージミドクローンは、さらに親和性成熟に供されるが、この親和性成熟は、抗原結合領域内のアミノ酸の組合せの微調整、ライブラリーの調製とその後のファージディスプレイライブラリーのスクリーニング、濃縮、およびバリデーションをさらに含む。何巡かの親和性成熟が、所望の親和性を有するクローンを作り出すのに必須である可能性がある。
【0243】
何十億ものFabのプールから、所望の抗原タンパク質への最も高い親和性を有する僅か(〜100)な結合体を、1巡目でスクリーニングする。これに続く何巡かの選択で、クローンのさらにいっそうの濃縮を抗原誘導方式で実施するが、ここで出願人は、100個から、良好な親和性を有する最良の結合体を見出す(〜10)。最良の親和性(nM)を有する最良のクローンを、次いで発現ベクター内にサブクローニングし、発現して、最良の産生量を有するクローンをスクリーニングにより見出す。良好な親和性と産生量とを有するクローンを選択し、本願に基づいて、親和性をpMの範囲にさらに向上させなければならない。
【0244】
基本ベクター骨格は、全てのFab構築物で同じである。変化はCDR内のみにある。3つのそのようなCDR領域がある。L鎖–CDR−L1、L2、およびL3とH鎖–CDR−H1、H2、およびH3である。これらのCDRのうち1つまたは組合せを変化させてライブラリー中に何十億もの可能性を作り出す。
【0245】
2.PhoAベースベクター中のFabのクローニング
DNA構築物2140bpを遺伝子合成し、この構築物は、phoAプロモーター、クローン#121(Fab−A5)のFabコード配列、およびrrnBターミネーターの配列を含んでいた。構築物を、改変型pBR322ベクター内にEcoRI/NotI部位でクローニングして、クローン#121を生成した。続いて、クローン#121を、1454bpサイズのtet
R耐性遺伝子を欠失させることによって改変して、クローン#131を生成した。
【0246】
8番目から203番目の位置のアミノ酸領域に対応するFab−F8.yのDNA配列を遺伝子合成し、このDNA断片を、標準的なクローニング手法を用いてクローン#131内に置き換えて、クローン#201を作製した。クローン#201から生じたFab201は、アミノ酸配列では、Fab FF03046−2に対し、成熟型カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸123での単アミノ酸変化を除いて一致しているが、ここでは、Fab FF03046−2のグルタミン酸(
図9Cを参照)が、クローン#201ではセリンに変化している(
図16を参照)ことに留意されたい。クローン#201に由来するFabバリアント#216は、同じセリンを成熟型カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸123(
図16を参照)に有し、このセリンは、例えばアミノ末端分泌シグナルの延長した配列番号16または配列番号17に示されるような、プロセッシングされていない翻訳されたカッパ軽鎖のアミノ酸146に対応する。Fab216について代替のコード配列が
図16に示されていることにも留意する。抗VEGF Fab201および抗VEGF Fab216の発現プラスミドの略図が、
図17および
図18に示されている。
【0247】
3.組換えのFabの形質転換および発現
組換えFabの形質転換を大腸菌Dh5αおよびBL21で行った。
【0248】
グリセロールストックの復活
−80℃から出したグリセロールバイアルを、氷上に10分間解凍する。50μLの100mg/mLからのカルベニシリンまたは100mg/mLアンピシリン、50mLのルリアブロス(LB)に添加する。7μLの解凍したグリセロールストック培養物を取り、抗生物質を含む50mLのLBブロスに接種した。インキュベーターシェーカー中で37℃、210rpmで一晩、培養物を成長させた。
【0249】
プラスミドの単離
一晩成長させた5mLの培養物を取り、Qiagen QIAprep Spin Miniprep Kit(カタログ番号:27104)を用いてプラスミドを単離する。
【0250】
コンピテント細胞の調製:
凍結ストックから出した細菌を、適切な抗生物質(カルベンシリン/アンピシリン)と共にプレートに広げる。単一コロニーを拾い、抗生物質を含むLB中で、600nmでのODが0.4〜0.6に到達するまで細胞を成長させる。培養物を4000g、4℃で10分間スピンダウンさせる。ペレットを4℃でTSBの1/20体積に再懸濁する。細胞を氷上で10分間インキュベーションし、10%滅菌グリセロールの最終濃度となるよう添加する。細胞を個別のチューブに分注し(100uLの細胞)、液体窒素またはドライアイス中で凍結する。チューブを−80℃で貯蔵する。
【0251】
形質転換
希釈したDNAを1.5mLチューブ中で10μLの1×KCMと混合した。チューブを氷上で2〜5分間冷却した後、同じ体積のコンピテント細胞(10uL)を添加した。チューブをさらに氷上で20分間インキュベーションし、次いで、室温で10分間インキュベーションした。200uLのSuper Optimal Broth with Catabolite Repression(
SOC)または
LB培地(ThermoFisher)を添加し、細胞を37℃で1時間撹拌することによって回復させた。100−200uLの上記培養物を取り、適切な抗生物質(カルベニシリン/アンピシリン)を含むLBアガロースプレート上で、37℃で一晩成長させた。
【0252】
形質転換体からのマスター細胞バンクの調製
前接種物を調製する(10mLのLB培地pH7.0+10μLの100mg/mlストックからのカルベンシリン)。培養物を37℃/210rpmで一晩成長させる。1mLの一晩成長させた培養物を100mLの新鮮LB培地(100mLのLB培地pH7.0+100μLの100mg/mlストックからのカルベンシリン)中で継代培養する。培養物を、37℃/210rpmで、OD
600が0.4から0.6の間に到達するまで成長させる。培養物を滅菌条件下、4000rpmでスピンする。ペレットを滅菌条件下、6mLの滅菌LB培地pH7.0+4mLの50%滅菌グリセロール中、60:40(成長させた培養物:グリセロール)の比で再懸濁する。多数のグリセロールストックを調製し、最初に−20℃で貯蔵し、次いで後に−80℃に移す。グリセロールストックを定期的に復活させる。
【0253】
前接種物の調製
大腸菌で新たに形質転換された201の単一コロニーを、LBアガロースプレートから拾った。大腸菌BL21−201を、カルベニシリン抗生物質(10μl)を含有するLBブロス(10mL)中に接種した。培養物を、オービタルシェーカー中で37℃、210rpmで16時間保った。培養物の600nmでのODを16時間後に確認した。
【0254】
最小培地での成長および誘導:
500mLの成長培地および生産培地を調製した。培地のpHを7.0に調整した。摂取前に、500μLのカルベニシリン(100mg/mLストックより)、500μLのチアミンHCL(1M滅菌ストックより)、2.5mLの滅菌グルコース(40%滅菌ストックより)、および320μLのリン酸カリウム(1M KH
2PO
4より)を添加した。成長培地に8%の一晩成長培養物(前培養物)を接種した。成長培地中の培養物の初発のOD(600nm)、グルコース濃度、およびリン酸濃度を、同時に確認した。培養フラスコをオービタルシェーカー中、37℃、210rpmで、ODが2〜2.5の間に到達するまで保った。OD(600nm)を確認して、成長培地中の培養物のグルコース濃度およびリン酸濃度を見積もった。培養物を4000rpm、+25℃で15分間スピンした。細胞ペレットを滅菌条件で洗浄し、4000rpmで15分間スピンした。細胞ペレットを低リン酸濃度(0.064mM作業用濃度).の500mLの生産培地に再懸濁した。生産培養フラスコを30℃、210rpmで20時間保った。同時に、生産培地中の培養物のOD(600nm)、WCW、DCW、グルコースおよびリン酸の濃度を分析した。発現した培養物を4300g、+4℃で30分間スピンした。
【0255】
Fabの精製
100mLの培養物からタンパク質を抽出した後のプロセス
140mM塩化ナトリウムおよび1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)を含有する20mMリン酸緩衝液を用いて、細菌ペレットの溶解を行った。100mLの培養物から得た20gのペレットに対し、4Lの溶解緩衝液を使用した。ペレットの洗浄は、2Lの溶解緩衝液を用いて行い、その際に、ペレットを再懸濁して、4℃、4,300gで15分間遠心分離した。次いで、ペレットを2Lの溶解緩衝液に4℃で再懸濁し、65℃の水浴で5分間、予加熱した。短時間の混合ステップの後、TritonX100を0.1%の比率で添加して、5分間混合した。次いで、懸濁液を水浴に移して65℃で40分間維持した後、溶解物を氷上で冷却した。
【0256】
溶解物を4,300gで10分間遠心分離し、上清を17,000g、4℃で30分間さらに清澄化することによって、ペレットの清澄化を行った。最終的な上清を0.45µmPES膜フィルターに通して濾過した。濾過物をCapto L(GE)親和性クロマトグラフィーに通して精製したが、そのクロマトグラフィーでは、2%スクロースをpH2.0で含有する0.2Mグリシン−HCl緩衝液を用いてfabを溶離した。溶離したfabを、pH8.8の1.5M Tris−Cl緩衝液を用いて直ちに中和した。中和したfabをpH6.0の20mMリン酸緩衝液に置換した後、Cellufine ET Clean L樹脂を通してエンドトキシンの除去を行った。精製画分は、ブラッドフォードアッセイによって定量的に、銀染色を用いた還元および非還元のSDS−PAGEによって定性的に分析し、活性タンパク質は、ELISAを用いて分析した。エンドトキシンのレベルは、Thermo Scientific Pierce LALキットを用いて分析した。
【0257】
ブラッドフォード法を介した定量のためのBSA標準曲線(
図1)は、以下のように行った。50ug/mlから500ug/mlまでの濃度を作製するために、BSA試料を逐次的に希釈した。簡潔に述べれば、アッセイに用いるために、10ulの各標品を、実作業用ブラッドフォード試薬に混合し、室温で5分間インキュベーションして、マルチプレートリーダーにて吸光度を595nmで測定した。
【0258】
表1:
図1の標準曲線のプロットに使用された表
【表2】
【0259】
精製Fabの産生量の定量および活性の決定
攪拌フラスコ中の発現クローンからのおよび精製後のFabの産生量の定量に用いるために。ルセンティスの標準曲線を作製し、細胞溶解物中およびカラムクロマトグラフィー(タンパク質精製)後の溶離物中のFabの濃度の決定に用いた。
【0260】
定量的ELISAのプロトコール
緩衝液を調製した[洗浄緩衝液(PT)、希釈緩衝液(PBT)、およびブロッキング緩衝液]。VEGF−121(ヒトVEGF−A
121)を使用して、Nunc96ウェルMaxiSorpプレートをPBS中ウェル当たり終濃度50ng/100uLで2時間、緩やかに攪拌しながら被覆した。hVEGFを被覆プレートから除去した。200uLのブロッキング緩衝液を添加して、プレートを緩やかに攪拌しながらRTで1時間、インキュベーションした。ブロッキング緩衝液をフィルターペーパー上に放り付けることによって除去した。プレートを200ulの洗浄緩衝液で3回洗浄した。20ug/mLのストック溶液から、ルセンティス(登録商標)(ラニビズマブ;NovartisおよびRoche)を希釈緩衝液中500ng/mLに希釈した。500ng/mLの希釈ルセンティス(登録商標)を用いて、ルセンティス(登録商標)の一通りの逐次希釈を実施して、200ng/mL、100ng/mL、…、0.39ng/mLの希釈ルセンティス(登録商標)を得た。100uLの逐次希釈ルセンティス(登録商標)をウェルに3連で添加し、プレートを緩やかに攪拌しながらRTで1時間、インキュベーションした。プレートのウェル中の溶液を叩き捨て、プレートを200uLの洗浄緩衝液で3×洗浄した。100uLの抗カッパ軽鎖抗体−HRPコンジュゲート(希釈緩衝液中1:5000)を添加して、RTで1時間インキュベーションした。プレートを洗浄緩衝液で3×、PBSで2×洗浄し、フィルターペーパー上に放り付けて緩衝液を完全に除去した。100uLのTMB基質を各ウェルに添加し、比色反応を5分間展開させた。100uLの1N硫酸を添加して反応を停止した。プレートをマルチモードプレートリーダーにて450nmで読んだ。未知の試料については、いくつかの希釈物を作製し、標準曲線(
図2および表2)を用いて値を外挿する。
【0261】
表2:
図2の標準曲線(定量的ELISA)のプロットに使用された値
【表3】
【0262】
親和性アッセイ
親和性アッセイのステップは以下の通りである。緩衝液を調製した[洗浄緩衝液(PBST)、希釈緩衝液(PBT)、ブロッキング緩衝液、および停止緩衝液]。Nunc384ウェルプレートのウェルを、PBS中ウェル当たり終濃度50ng/25uLでhVEGFを用いて、150rpm、RTで2時間被覆した。2時間後、hVEGFを被覆プレートから除去した。75uLのブロッキング緩衝液を添加して、200rpm、RTで緩やかに撹拌しながら1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液を除去して、プレートを75uLのPBSTで6×洗浄し、ティッシュタオル上に叩き付けて乾燥した。その間に、付着防止加工プレート/Eppendorf中で、hVEGFの開始濃度2×(100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nM…)をPBT中に調製し、その結果、VEGFの終濃度の×を50nM、25nM、12.5nM、6.25nM…)とした。200pMルセンティス(2×)のFabをPBT中に調整し、結果として終濃度Xを100pMとした。50uLの100pM hVEGF(2×)(100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nM…)を50uLの200pMルセンティス(2×)に混合して、結果として終濃度Xを(50nM、25nM、12.5nM、6.25…)とし、200rpm、RTで緩やかに撹拌しながら1時間インキュベーションした。同様のステップをFab分子についても続けて行った。25uLのこの逐次希釈hVEGF/Fab混合物をプレートに添加し、200rpm、RTで緩やかに撹拌しながら30分間インキュベーションした。プレートに固定化されていない一次抗体を除去し、プレートを75uLのPBSTで6×洗浄し、ティッシュタオル上に叩き付けて乾燥した。25uLの抗カッパ軽鎖HRP(PBT中1:5000)を添加して、200rpm、RTで緩やかに撹拌しながら45分間インキュベーションした。プレートに固定化されていない二次抗体を除去し、プレートを各ウェル中75uLのPBSTで6×、PBSで2×洗浄し、ティッシュタオル上に叩き付けて乾燥した。25uLのTMB基質を添加し、200rpm、RTで緩やかに撹拌しながら5分間インキュベーションした。25uLの1N硫酸をプレートに添加して、反応を停止した。プレートをマルチモードプレートリーダーにて450nmで読んだ(
図3および表3を参照)。
【0263】
表3
【表4】
【0264】
hVEGF−165 Quantikine(登録商標)ELISAヒトVEGFイムノアッセイキット(R&DSystems,Inc.)を用いた競合的ELISA
簡潔に述べれば、10pMのhVEGF−165を、図の凡例に記載されるような抗VEGF抗体の逐次希釈物と共にインキュベーションした。結合溶液中にいくらかの非結合のhVEGF−165が共存する予め形成させたhVEGF−165/抗VEGF抗体複合体を、Quantikine(登録商標)ELISAヒトVEGFイムノアッセイ(R&DSystems,Inc.;カタログ番号:SVE00)に提供されるようなヒトVEGFに特異的なモノクローナル抗体を被覆した96ウェルポリスチレンマイクロプレートに移す。プレートに結合しているhVEGF−165を、セイヨウワサビペルオキシダーゼにコンジュゲーションされたポリクローナル抗hVEGF抗体と、色素源としてテトラメチルベンジジンとを用いて検出して、Quantikine(登録商標)アッセイキットに提供されるようなプレートに結合しているhVEGF−165を定量する。データから算出されたKdを、Prismソフトウェアを用いて5パラメーターの非対称モデルにフィッティングした。
【0265】
以下は、プロモーター−phoA、Fab−F8.y、およびターミネーター−rrnBのコード配列である。
【0266】
プロモーター−phoA
GACCAACAGCGGTTGATTGATCAGGTAGAGGGGGCGCTGTACGAGGTAAAGCCCGATGCCAGCATTCCTGACGACGATACGGAGCTGCTGCGCGATTACGTAAAGAAGTTATTGAAGCATCCTCGTCAGTAAAAAGTTAATCTTTTCAACAGCTGTCATAAAGTTGTCACGGCCGAGACTTATAGTCGCTTTGTTTTTATTTTTTAATGTATTTGTAACTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTATGTAGAGGTTGAGGTGATTTT(配列番号15)
【0267】
Fab−F8.yのコード配列
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号16)
【0268】
ターミネーター−rrnB
CGTTTTACAACGTCGTGACTGGGAAAACATCCATGCGTTAACGCGAGAGTAGGGAACTGCCAGGCATCAAATAAAACGAAAGGCTCAGTCGGAAGACTGGGCCTTTCGTTTTATCTGTTGTTTGTCGGTGAACGCTCTCCTGAGTAGGACAAATCCGCCGGGAGCGGATTTGAACGTTGTGAAGCAACGGCCCGGAGGGTGGCGGGCAGGACGCCCGCCATAAACTGCCAGGCATCAAACTAAGCAGAAGGCCATCCTGACGGATGGCCTTTTT(配列番号19)
【0269】
pBR322のテトラサイクリン耐性遺伝子を欠失している、ヌクレオチド1353位から4361位までのpBR322(GenBank受入番号J01749.1)の核酸配列
GAATGCGCAAACCAACCCTTGGCAGAACATATCCATCGCGTCCGCCATCTCCAGCAGCCGCACGCGGCGCATCTCGGGCAGCGTTGGGTCCTGGCCACGGGTGCGCATGATCGTGCTCCTGTCGTTGAGGACCCGGCTAGGCTGGCGGGGTTGCCTTACTGGTTAGCAGAATGAATCACCGATACGCGAGCGAACGTGAAGCGACTGCTGCTGCAAAACGTCTGCGACCTGAGCAACAACATGAATGGTCTTCGGTTTCCGTGTTTCGTAAAGTCTGGAAACGCGGAAGTCAGCGCCCTGCACCATTATGTTCCGGATCTGCATCGCAGGATGCTGCTGGCTACCCTGTGGAACACCTACATCTGTATTAACGAAGCGCTGGCATTGACCCTGAGTGATTTTTCTCTGGTCCCGCCGCATCCATACCGCCAGTTGTTTACCCTCACAACGTTCCAGTAACCGGGCATGTTCATCATCAGTAACCCGTATCGTGAGCATCCTCTCTCGTTTCATCGGTATCATTACCCCCATGAACAGAAATCCCCCTTACACGGAGGCATCAGTGACCAAACAGGAAAAAACCGCCCTTAACATGGCCCGCTTTATCAGAAGCCAGACATTAACGCTTCTGGAGAAACTCAACGAGCTGGACGCGGATGAACAGGCAGACATCTGTGAATCGCTTCACGACCACGCTGATGAGCTTTACCGCAGCTGCCTCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCGCAGCCATGACCCAGTCACGTAGCGATAGCGGAGTGTATACTGGCTTAACTATGCGGCATCAGAGCAGATTGTACTGAGAGTGCACCATATGCGGTGTGAAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGGACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTGCAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAACACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCACCTGACGTCTAAGAAACCATTATTATCATGACATTAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGGCCCTTTCGTCTTCAAGAATTC
【0270】
実施例2
第1世代の抗VEGF Fabの選択−ナイーブ抗体ライブラリーの選択と種間交差反応性と選択されたFabの特異性
抗体断片(Fab)ファージライブラリーF(H. Persson, Et. al., J Mol Biol, vol. 425, no. 4, pp. 803–811, 2013.)を、Preprotech(カタログ番号100−20A)から得た組換えヒト血管内皮成長因子(hVEGF)121に対して選択した。Preprotech(カタログ番号450−32)から得たマウスVEGF(mVEGF)とhVEGFに対する結合について、および抗体の結晶化可能断片(Fc)とウシ血清アルブミン(BSA)に対する結合のないことについて、Fabをスクリーニングした。総計7種のFabを選択し、そのうち6種(FF0124−1、FF0124−3、FF0124−4、FF0124−5、FF0124−6、およびFF0124−7)は、hVEGFとmVEGFの両方に結合するが、FcおよびBSAには結合しない。これらのFabのhVEGFに対する親和性を、Fab−ELISAによって見積もった(
図4)。
【0271】
FabがhVEGF受容体FLTに対するhVEGFの結合性を遮断する能力と親和性の順位
FLTは、天然のVEGF受容体の1つである。FLTと予めインキュベーションした際に、6種のFabが小さくhVEGFと結合するが(
図5)、このことは、6種のFabとFLTとが、hVEGF上に重複した結合部位を有し、それらがhVEGFに対するFLTの結合を阻害する可能性を有することを示唆する。5種のFabを鋳型として使用して、FF0124−1配列、FF0124−3配列、FF0124−4配列、FF0124−6配列、およびFF0124−7配列をベースにしたライブラリーを作製した。これらのライブラリーを、hVEGFに対する親和性の高さについて選択した。
【0272】
第2世代の抗VEGF Fabの選択−第1世代の抗VEGF抗体の親和性成熟
次世代のライブラリーは、Fab FF0124−1、FF0124−3、FF0124−4、FF0124−6、およびFF0124−7をベースにした。各ライブラリーの多様性は、1×10
9から4×10
9に及んだ。5つのライブラリーを、既に記載されたようにプールし(多様性の総計10
10)生産した。次いで、プールしたFab−ファージライブラリーを選択し、見積もった親和性によって順位付けした選択クローンの配列を
図6に報告する。10nMの一点での競合ELISAに基づくと、Fab FF0158−C4、FF0158−F11、およびFF0158−C11は、hVEGFに最も低い親和性で結合する。これらは、既に記載されたように、細菌中で可溶性タンパク質として生産されたものである。溶液中のhVEGFに対する親和性を、競合的Fab−ELISAによって測定した(
図7)。
【0273】
FF0158−C4およびC11の生産の収量は、通常観察されるよりも5倍から10倍低かった。この生産収量の低下にどのアミノ酸位置が関与するのかを特定するため、出願人らは、FF0158−C4およびFF0158−C11のCDR配列の1つ1つを、収量の高いFabである抗マルトース結合タンパク質(MBP)抗体のCDR配列に置き換えた。CDR−H1とCDR−H2の両方が、抗−MBP FabのCDRの各配列に戻して変異させた際に、FF0158−C4の生産の収量を通常のレベルに回復した。
【0274】
第3世代の抗VEGF Fab−第2世代の抗VEGF抗体の親和性成熟と収量の向上
CDR−H1またはCDR−H2の変異は、FF0158−C4の生産収量を向上できることから、出願人らは、CDR−H1およびCDR−H2に焦点を合わせた多様性を有する2種の異なるライブラリーを作出した。pTacプロモーターと、重鎖とpIIIコード配列の間のアンバー終止とを有する抗−MBPFabファージミドを用いて、ライブラリーを造成した。このフォーマットでは、Fabは、アンバーサプレッサー細菌株で発現された際にはファージ上に提示され、非アンバーサプレッサー細菌株で発現された際には可溶性形態で分泌される。ファージにより提示されたFabを親和性について選択したのに対し、分泌されたFabをタンパク質収量についてスクリーニングした。
【0275】
Fabを提示するファージ粒子を作出するために、SR320によるエレクトロポレーション後に生じたファージを、アンバー終止サプレッサー株Omnimax(商標)(Thermo Fisher Scientific)内に感染させた。9×10
9の多様性を持つライブラリーを、hVEGF−121との結合について選択し、クローンを生産収量の向上について、小規模の細菌培養でスクリーニングした。興味深いことに、最も収量が向上した2種のFab(Fab FF0188−H5/FF01088−B10およびFF0188−F12)は、重鎖のCDR−H1[Kabat(登録商標)ナンバリングで定義される際の]にフェニルアラニンからヒスチジンへのアミノ酸変異を有する。31位のフェニルアラニン残基(Fab FF0188−A9およびFF0188−A2)は、
図7に示されるように、大きな収量の向上(それぞれ2倍および3倍の向上)を生じない。熱安定性は、3種全てのFabで一致する:FF0158−C4、FF0188−F12、およびFF0188−H5:74.5℃。
【0276】
第4世代の抗VEGF Fab―第3世代の抗VEGF抗体の親和性成熟と収量の向上
収量の向上した抗VEGF Fab FF0188−H5の親和性を向上させるために、出願人らは、FF0188−H5配列を鋳型として有する新しいライブラリーを設計した。多様化させたCDRの終止コドンを鋳型に追加して、2つのライブラリーの親配列の数を限定した。
【0277】
ライブラリーの多様性は、6×10
9であった。ファージライブラリーをアンバーサプレッサー株Omnimax(商標)で増幅して、ファージにより提示されたFabを生じることができるようにした。次いで、ライブラリーをhVEGF−121に対して選択し、選択した64クローンを、一点での競合的ファージ−ELISAによってスクリーニングした。1nM hVEGFの競合の後に最も低い残りの結合を示した20クローンを特性解析に供した(
図8は、ユニークな9クローンの配列とさらに別の特性解析を示す)。FF0117−A5は、リットル当たり5.4mgの収量、hVEGFに対する80+/−40pMの親和性、77℃のTmを有する。FF0117−A5は、親和性および熱安定性に関してラニビズマブより優れている。すなわち、FF0117−A5の競合的Fab−ELISAにおける親和性は、ラニビズマブよりも4倍から15倍高く、FF0117−A5のTmは、3.5℃高かった。
【0278】
第5世代の抗VEGF Fab―第4世代の抗VEGF抗体の親和性成熟と収量の向上
抗VEGF FabFF0117−A5の親和性をさらに向上させるために、出願人らは、FF0117−A5配列を有する新しいライブラリーを鋳型として設計した。すなわち、FF0117−A5を変異させて、CDR−L1およびCDR−L2に終止コドンを導入し、FabのHCのC末端終端をコードする配列を改変し、二価の提示に代えて一価の提示を可能にした。ライブラリーの多様性は、6×10
9である。10
10個のファージ粒子を使用して、500mLのアンバーサプレッサー株Omnimax(登録)の培養物を感染させ、Fab提示ファージ粒子を作製した。
【0279】
ライブラリーFF01159−1を選択し、hVEGFとの結合を示すFab−ファージクローンを配列解析し、可溶性Fab(
図9)として生産した。ライブラリーFF01159−1を、CDR−L2(Kabat)の端部の近辺に1残基の欠失を伴って設計したため、選択されたFabであるFF03033−4およびFF03033−8は、既に欠失していたチロシン残基を欠失位置に再挿入されるように変異誘発されていた。結果として得られたFabを、FF03046−1およびFF03046−2と命名した。Fab FF03046−2のCDR配列、熱安定性、生産収量、およびhVEGFに対する結合親和性を、
図9に示す。FF03046−2 FabがhVEGF依存的なヒト血管内皮細胞(HUVEC)増殖を遮断する能力を、
図10に報告する。260pMのhVEGF−165をHUVEC増殖アッセイで使用した。FF03046−2(200pM+/−10pM)のEC50は、アッセイに使用したhVEGF−165の濃度を下回ったが、このことは、FF03046−2のEC50が、このHUVECアッセイによって実際には過小評価された可能性があることを意味する。hVEGFに対するFF03046−2 Fabの親和性を、溶液中でも測定した。hVEGF−165を使用して、Quantikineアッセイも用いて検出した。これによって、出願人らは、hVEGFの作業用濃度を5pMという低いものとすることが可能になった(
図11)。このアッセイでは、hVEGF−165に対するFF03046−2の親和性は、ラニビズマブをはるかに下回っている(90pM+/−20pM対390pM+/−50pM)。
【0280】
抗VEGFのscFvおよびFabのC末端Fc融合体
次いで、出願人らは、FF03046−2のscFvまたはFabのバージョンをヒトFcのC末端に融合している。この融合タンパク質は、FcのC末端に融合されたFab/scFvの1つ1つに単一のVEGF分子をしっかりと留める能力に起因してさらに低いクリアランスとさらに高い親和性とを有するものと、出願人らは予想している。FcのN−末端をscFvまたはFabに融合して、他の目的のタンパク質に結合させることができることがそうであるように、これによって、多特異性を持つ実体の生成が容易なものとなる。
【0281】
FabおよびscFvとFcとの融合体の配列を
図12および
図13にそれぞれ示す。他の抗VEGFタンパク質に比べた際のhVEGF−165に対するFabおよびscFvの融合体の親和性を、
図14に示す。hVEGFに対するFF03077−4およびFF03092−1の親和性は、Fab FF03046−2と同様であった。FabFF0346−2の完全長IgGバージョン(FF03092−3)の配列を、
図15に示す。
【0282】
合わせると、FF03092−1、FF03077−4、およびFF03046−2は、異なるin vivo効能に変換することができた異なる薬物動態的プロファイルを有することが可能であった、異なる3種の抗VEGFの実体である。FF03046−2の溶解性および生産の収量をさらに向上させるために、いくつかのバリアント(例えば実施例3に示される配列)を、生産収量、溶解性およびhVEGF結合親和性について試験するように設計した。
【0283】
実施例3:
Yバリアントの配列
バリアント201
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号21)
【0284】
バリアント202
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCGACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号22)
【0285】
バリアント203
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGATCTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号23)
【0286】
バリアント204
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCAGACGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号24)
【0287】
バリアント205
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGATTCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号25)
【0288】
バリアント206
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACGATGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号26)
【0289】
バリアント207
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTGACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号27)
【0290】
バリアント208
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCGATGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号28)
【0291】
バリアント209
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGATGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号29)
【0292】
バリアント212
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATAGACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号30)
【0293】
バリアント213
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATGATATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号31)
【0294】
バリアント214
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATGATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号32)
【0295】
バリアント215
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTGATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号33)
【0296】
バリアント216
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTAGATCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号34)
【0297】
バリアント217
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGACGCCTACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号35)
【0298】
バリアント218
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCGACGGCCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号36)
【0299】
バリアント219
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGACCGCGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号37)
【0300】
バリアント220
ATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAATGCCTATGCAGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGCCGCCTACGGCGACGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACAAAGCATCCGAACTCTACGCCGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGTAGCCGTTCCGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACGTGGCTGGTATCTGTTCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATTCACAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAAAAACATAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAATACTCGAGGCTGAGCAAAGCAGACTACTAATAACATAAAGTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCCTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGGTAACTAGAGGTTGAGGTGATTTTATGAAAAAGAATATCGCATTTCTTCTTGCATCTATGTTCGTTTTTTCTATTGCTACAAACGCGTACGCTGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCGATTTATTTCATTATTCTATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCATACATTTACCCGTCTTATGGCTATACTTATTATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTACAAATGAACAGCTTAAGAGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTGCTCGCCATGCGTGGTATTATGGGTGGGGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCCTCCACCAAGGGTCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTCGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATAA(配列番号38)
【0301】
上記のYバリアントの核酸配列によってコードされる免疫グロブリン軽鎖および重鎖の断片を、Kabat体系またはIMGT(登録商標)体系によって画定されるCDRと併せて、
図4、
図6〜
図9および
図12〜
図16に示す。
【0302】
クローン#201によって生産されるFabをベースにしたFabバリアントは、下記の表4に示されるように、VEGF−165に対し種々の結合親和性を示した。バリアントのうち2種(Sl.No.3および9)は、ヒトVEGF−165アイソフォームに対してクローン#201の出発のFabよりも高い親和性を示し、このことは、VEGFに対するFabのKdのいっそうの向上が得られる可能性があることを標示し、これら2種のバリアントが約12pMおよび14pMというKd値を有することにある通りである。
【0303】
クローン#201の変異誘発に由来するFabバリアント216は、重鎖のCDR1配列[IMGT(登録商標)法によって画定される際の]でのフェニルアラニン残基からアスパラギン酸残基への単アミノ酸変化を有し、その結果、クローン#201由来のFab201のCDR−H1であるGFDL
FHYSは、Fabバリアント216のCDR−H1であるGFDL
DHYSとなる。
図19および
図20および表4に示されるように、Fab216でのフェニルアラニンからアスパラギン酸への変化の存在によって、VEGFに対するその結合親和性が、親Fab201に比べて僅かに低減する(Fab216についてのKdがおよそ35
+4pMであるのに対し、Fab201について25
+2pMである;表4を参照されたい)が、Fab201のように、Fab216の解離定数Kdは、ルセンティスのKdよりも約5〜16×低い(
図19および
図20を参照されたい)。
【0304】
表4:クローン#201のバリアントのKd値
【表5】
【0305】
Yバリアントについての配列のアラインメントを、下記の表5a〜表5dに示す。
【0306】
表5a
右側の段に標示されるバリアント201〜220の軽鎖の多重配列アラインメント[IMGT(登録商標)に従って画定されるCDR配列を下線表示する]
【表6】
【0307】
表5b
右側の段に標示されるバリアント201〜220の重鎖の多重配列アラインメント[IMGT(登録商標)に従って画定されるCDR配列を下線表示する]
【表7】
【0308】
表5c
右側の段に標示されるバリアント201〜220の軽鎖の多重配列アラインメント[Kabatに従って画定されるCDR配列を下線表示する]
【表8】
【0309】
表5d
【表9】
【0310】
実施例4:
製剤1は以下の賦形剤を含む。0.03%のポリソルベート20、5%のスクロース、40mMの塩化ナトリウム、10mMのリン酸緩衝液、および5.8のpH。代替的な実施形態では、ポリソルベート20を約0.1%から0.04%の範囲で使用することがある。さらに、スクロースを約1%から約20%の範囲で使用することがある。塩化ナトリウムを約10から約80mMの範囲で使用することがある。リン酸緩衝液を約10から約100mMの範囲で使用することがある。また、pHを約5から6の範囲とすることがある。
【0311】
製剤2は以下の賦形剤を含む。0.03%のポリソルベート20、0.05%のスクロース、40mMの塩化ナトリウム、10mMのヒスタジン(histadine)緩衝液、および5.5のpH。代替の実施形態では、ポリソルベート20を約1%から約20%の範囲で使用することがある。さらに、スクロースを約1%から約20%の範囲で使用することがある。塩化ナトリウムを約10から約80mMの範囲で使用することがある。ヒスチジン緩衝液を約5から約50mMの範囲で使用することがある。また、pHを約5から5.5の範囲とすることがある。
【0312】
製剤3は以下の賦形剤を含む。0.03%のポリソルベート20、0.05%のスクロース、40mMの塩化ナトリウム、10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液、および5のpH。代替の実施形態では、ポリソルベート20を約0.1%から0.04%の範囲で使用することがある。さらに、スクロースを約1%から約20%の範囲で使用することがある。塩化ナトリウムを約10から約80mMの範囲で使用することがある。クエン酸ナトリウム緩衝液を約5から約20mMの範囲で使用することがある。また、pHを約5から5.5の範囲とすることがある。
【0313】
実施例5:
バリアント201の生化学的な説明
バリアント201は、
図23および
図24に示されたヒト抗VEGF可変ドメインを含むFab抗体であり、最初に融合タンパク質(配列番号16)として生産された後、プロセッシングされて23アミノ末端分泌シグナルを除去され、成熟Fab201抗体断片を生じ、この断片は、
図23に示された重鎖の可変領域−CH1ドメインおよびヒンジ領域の部分と、
図24に示されたカッパ軽鎖可変領域−カッパ軽鎖定常領域とを有する。ルセンティスのような他の既知の抗VEGF抗体に比べると、バリアント201の可変ドメインは、特にKabat体系またはIMGT(登録商標)体系のどちらかによって画定されるようなCDRに多重変異を含有する(
図23および
図24)。これらの変異は、バリアント201のVEGFとのさらに強い結合を付与する(
図3)。
【0314】
実施例6:
VEGFに対する合成抗体についての上流のプロセスの情報
KCM法による大腸菌BL21における抗VEGF Fab−201構築物の形質転換
抗VEGF FabのDNA構築物を10μLの1×KCMと混合し、氷上で2〜5分間予冷した後、同じ体積のコンピテント細胞(10uL)を添加した。チューブを氷上で20分間、さらにインキュベーションし、次いで、室温で10分間インキュベーションした。200uLのSuper Optimal Broth with Catabolite Repression(SOC)を添加して、細胞をオービタルシェーカー中、37℃で1時間インキュベーションした。100µLの上記培養物を、適切な抗生物質(カルベニシリン)と共にLBアガープレート上に広げ、プレートを37℃で14時間インキュベーションした。
【0315】
攪拌フラスコ培養における抗VEGF Fab−201の発現
前接種物の調製:
大腸菌BL21−201の凍結した作業用細胞バンクから得た10μLを、カルベニシリン抗生物質(100mg/mlストックより10μL)を含有する10mLの滅菌LBブロスに接種した。培養物をオービタルシェーカー中、37℃、210rpmで16時間(一晩)インキュベーションした。
【0316】
最小培地における成長および誘導:
表5に記されるような成長および生産用の最小塩培地を調製する。培地のpHを7.0±0.3に調整する。成長および生産培地を121℃、15psiで15分間、オートクレーブにかける。
【0317】
接種前に、500μLのカルベニシリン(100mg/mLストックより)、500μLのチアミンHCL(1M滅菌ストックより)、2.5mLの滅菌グルコース(40%滅菌ストックより)、および320μLのリン酸カリウム(1M KH2PO4より)を添加した。8%の一晩成長培養物(前接種物)を成長培地に移した。養物の初発のOD(600nm)、グルコース濃度、およびリン酸濃度を、成長培地中で測定した。
【0318】
培養フラスコを37℃、210rpmで7〜8時間(ODが2〜2.5の間に到達するまで)インキュベーションした。培養物のOD(600nm)、グルコース濃度、およびリン酸濃度を、8時間の成長後に成長培地中で確認した。培養物を4000rpm、+30℃で15分間スピンした。細胞ペレットを最小培地(リン酸含まず)で洗浄し、4000rpmで15分間、再度スピンした。上清をゆっくりと排出した。細胞ペレットを、リン酸濃度の低い500mLの生産培地に再懸濁した。培養フラスコを30℃、210rpmで16時間インキュベーションした。採取した培養物のOD(600nm)、グルコース濃度、およびリン酸濃度を確認した。発現した培養物を4300G、+4℃で30分間スピンした。抗VEGF Fabの発現を、SDS−PAGEによって確認し、ELISAによって発現レベルを定量した。
【0319】
2.5Lの発酵塩培地での抗VEGF Fab−201の発現
2.5L発酵槽での発現:
抗VEGF抗体を、3.7L発酵槽で発酵プロセスを用いて大スケールで生産した。
【0320】
接種物の調製:
各2.5Lの発酵にすいて、大腸菌BL21−201の20μLの凍結された作業用細胞バンクを、カルベニシリン抗生物質(100mg/mlLストックからの250μL)を含有する250mLの滅菌LBブロスに接種した。培養フラスコをオービタルシェーカー中、37℃、210rpmで16時間(一晩)インキュベーションした。
【0321】
最小塩培地での高細胞密度発酵:
2.5Lの発酵培養用に最小塩培地を調製した。培地のpHを水酸化アンモニウム(25%)によって7.0±0.3に調整した。最小塩培地を3.7L発酵槽中、121℃、15psiで20分間、滅菌した。
【0322】
接種の前に、2.5mLのカルベニシリン(100mg/mLストックより)、2.5mLのチアミンHCL(1M滅菌ストックより)、2.5mLの微量元素、300μlのL−61消泡剤、および100mLの滅菌グルコース溶液(40gのグルコースを含有)を添加した。DOレベルを100%に較正し設定した後、接種物を移した。Doを較正した後、10%(250mL)の一晩清澄培養物(接種物)を発酵槽培地中に移した。発酵培地中の培養物の初発のOD(600nm)、グルコース濃度、およびリン酸濃度を確認した。
【0323】
発酵を37℃、3lpmの空気流で実施し、水酸化アンモニウム(25%).によって7.0±0.3のpHに制御した。発酵槽の背圧を0.5バーゲージに維持し、振動速度を500rpmに設定した。発酵の間、振動を500から1200rpmに増加させることによって(振動を徐々に増加させた)、および発酵槽中の背圧を保つによって、最小DOレベルを30%に維持した。培養物のOD(600nm)は、12時間で18±2に到達し、この時点で、コンピュータに基づくフィードを開始して、高細胞密度培養を達成した。濃縮フィードは、グルコース(450g)、25mLの1M硫酸マグネシウム、25mLの20×塩培地、および50mLの1Mリン酸カリウムを含有していた。濃縮フィードを発酵槽に添加し、流速1mL/分で18時間開始した。発酵槽がOD(600nm)120±10前後に到達した際に、並行してリン酸濃度を測定した。21±2時間で、発酵培養物中のリン酸濃度は0.05mMを下回り、この時点で、発酵温度を37℃から30℃に次第に変化させた。発酵培養物中のリン酸濃度が0.05mMよりも下回った際に、誘導を開始した。後誘導を30℃および1200rpmで10時間実施した。純粋な酸素を添加して、高細胞密度培養のために最小の溶存酸素レベル(30%)を維持した。空気と純粋な酸素との混合物を、30℃、4lpmの流速でポンプ送出して、溶存酸素を設定点に維持した。OD(at600nm),発酵培養物のグルコース濃度およびリン酸濃度を、誘導後に測定した。培養物を4300G、+4℃で30分間スピンし、上清を捨てた。抗VEGF Fab−201の精製を実施し、発現をSDS−PAGEによって確認して、ELISAによって定量した。
発酵データおよび発現収量を
図21に示す。
【0324】
実施例7:
VEGFに対する合成抗体のための下流のプロセスの情報
細胞ペレットの懸濁液および溶解:
大腸菌細胞ペレットの溶解は、溶解緩衝液[溶解緩衝液−200mMリン酸緩衝液、pH7.4、400mM塩化ナトリウム、10mMフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)、2mMEDTA、5%スクロース、1%TritonX−100を用いて実施した。約446グラムの湿重量の細胞ペレットを、室温で4.0Lの溶解緩衝液(およそ1:10の比率)に懸濁し、均一な細胞懸濁液を得るまで細胞ペレットを勢いよく混合した。ペレットを−80℃から取り出して室温で溶解を実施したことから、極端な温度差があったために、高い緩衝液強度が塩濃度と相まった結果、細菌の細胞壁上に浸透圧ショックを生じ、それを高度に多孔質化してペリプラズム領域から分子を自由に流出させる。この方法は、タンパク質を遊離するには充分ではなく、高圧ホモジナイザーを用いたさらに別の処理を必要とする。
【0325】
そのようにして得た細胞ペーストを、800barの圧力、4℃の温度で、3回の連続通過でGEAホモジナイザーを通過させた。各通過後には顕微鏡試験を実施して、完全な溶解が起こっていることを確認した。
【0326】
加熱および遠心分離:
ホモジネート溶解物を、水浴中65℃で1時間加熱し、次いで、氷上で20分間冷却した。冷却した溶解物を、4℃、17,000gで30分間遠心分離することによって清澄化した。さらに、清澄化した溶解物を、Tangential Flow Filtrationにより10KDaを用いて、初発の溶解物の体積の6倍に濃縮した。
【0327】
ステップ1 Capto−Lによる精製:
体積20mLのGE Capto LをXK16/20カラムに詰め、0.4M塩化ナトリウムを含む0.2Mリン酸ナトリウム、pH7.4を用いて平衡化した。濃縮した溶解物を流速4mL/分でロードし、平衡化緩衝液で洗浄した。0.2Mグリシン−Cl/2%スクロース、pH2.0を含有する緩衝液を用いてSaksin Fab−201を溶離し、採集した溶離物を1.5M Tris−Cl、pH8.8により直ちに中和した。
【0328】
ステップ2 Q−セファロースによる精製:
capto−Lクロマトグラフィーから得た最初の溶離物を、20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.3に対し透析し、エンドトキシンおよびHCDNAを除去するために10mLのアニオン交換樹脂GE Qセファロースを用いて仕上げた。精製したfabをフロースルーとして採集した。
【0329】
ステップ3 SP−セファロースによる精製:
Q−セファロースから得たフロースルーを、XK26/20に詰めた15mLのカチオン交換GE SPセファロース樹脂の上にロードした。僅かに伝導度を増加させて樹脂を洗浄し、結合していたFabを含むタンパク質の溶離を、導電率14〜16mS/cmでの勾配溶出によって行った。強固に結合していたタンパク質を、緩衝液を含む1M塩化ナトリウムにより溶出した。原薬を20mM PB、pH5.6に対して透析し、最後に滅菌濾過した(0.22µm)。
【0330】
実施例8:
製剤化したFAB 201の薬剤としての安定性
原薬Fab201を、滲出型AMDに対する硝子体内注射が容易となるように安定性特性を上げるための製剤化(薬剤製品)に供した。薬剤製品DP_201を、5から10mg/mLの間の濃度域で製剤化した。APIに加えて、製剤は、10mMリン酸緩衝液/40mM NaCl/0.03%ポリソルベート20/5%スクロース溶液をpH5.8で含有する。製剤のモル浸透圧濃度は、およそ276mOsmであり、ヒト硝子体内液と同等である。
【0331】
安定性を定量的ELISAおよびSDS PAGEについて分析した。データでは、
図22に図示されるように、この薬剤製品が4℃で8か月間(240日間)安定であることが示唆された。
【0332】
実施例9:
ウサギの眼における抗血管形成の長期試験
試験を実施し、Saksin LifesciencesPvt.Ltd.、TICEL Bio−Park Facility、タラマーニー、チェンナイ、インドによって発見された抗VEGF(血管内皮成長因子)Fab(抗原結合断片)タンパク質(被験分子#201)の効能および持続可能性を、VEGF誘導性網膜漏出モデルウサギ(ダッチベルト、3〜4か月齢の雄、体重–1.0〜1.3kg)にて、商業的に入手可能なルセンティスと比較して評価した。試験は、PharmOptima,LLC、ポーテージ、ミシガン州、米国で実施した。何群かのウサギを、0日目に硝子体内投与(IVT)によって、被験分子#201(50μLの製剤緩衝液中に150μg)、ルセンティス(50μLの製剤緩衝液中に150μg)、またはビヒクル(50μL製剤緩衝液)で処置した。次いで、各群由来の動物に、VEGFへの曝露をIVTによって7日目、21日目、または37日目に与え、効能が長期にわたり持続するか否かを決定した。
【0333】
IVT投与(被験分子#201、ルセンティス、ビヒクル、またはVEGF)の前に、ウサギをイソフルラン蒸気で麻酔し効かせた。注射前に、それぞれの眼を眼科用ベタジン溶液で潤してリンスした。プロパラカイン(0.5%)を眼球表面に適用し、眼科用開瞼器を用いて眼を開かせて保持し、ノギスを用いて毛様体扁平部を角膜縁から約4.0mmにて印付けした。次いで、毛様体扁平部を介して硝子体中間部内に、レンズを避ける角度で被験分子をデリバリした。
【0334】
VEGFへの曝露の3日後に、フルオレセイン血管造影図(FA)を全ての動物に実施した。眼をプロパラカインで麻酔し、瞳孔をトロピカミドおよびEyePrimで散大させた。動物をイソフルラン蒸気で麻酔して効かせ、0.1mLの10%眼科用フルオレセインナトリウムをウサギ耳静脈に投与して、少なくとも2分間循環させた後、イメージングした。下記に示す標準的なスコア化システム(表6)を用いて、イメージをグレード付けした。
【0335】
表6.フルオレセインイメージングのスコア化システム
【表10】
【0336】
最終的なFAの後、静脈内へのバルビツール酸塩の過剰用量投与によって、動物を安楽死させた。眼を摘出して、硝子体、房水、および網膜を採集した。さらに分析するまで、全試料を−80℃で保存した。
【0337】
両眼のスコアをクラスカル−ウォリス一元ANOVAに供して、群間に有意差を見出した。有意差を示すデータをダン検定に供し、群間の有意差を決定した。
【0338】
VEGFへの曝露の1週間後、被験分子#201の投与は、結果として、予想された量の漏出をビヒクル注射群に生じ、完全な保護をルセンティスと被験分子#201との両方に由来する群にもたらした。VEGFへの曝露の3週間後、被験分子#201の投与は、結果として、予想された量の漏出をビヒクル処理群に生じ、ルセンティス処理ウサギよりも有意に大きな保護を被験分子#201処理ウサギにもたらした。VEGFへの曝露の5週間後、被験分子#201の投与は、結果として、予想された量の漏出をビヒクル処理群に生じたが、ルセンティスと被験分子#201との両方由来の群には保護をもたらさなかった(表7)。
【0339】
表7.被験分子投与の1、3および5週間後のVEGF曝露ウサギのフルオレセインイメージングスコア
【表11】
値を平均値±SDとして表す。どの単一カラムでも、同様の上付きを示す値は、統計学的に同じ(ダン検定)である。
【0340】
結論
本研究から、被験分子#201の効能の持続可能性は、VEGF誘導性の網膜漏出モデルウサギにおいて、被験分子#201の投与の3週間後のVEGF曝露の後では、ルセンティスよりも非常に大きかったことを結論とすることができよう。この効能の分子基盤は、
図23および
図24に示されるように、ルセンティスに比べた際のFab201のCDRの違いに起因するものと考えられる。