特許第6644973号(P6644973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644973
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】鱗茎野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/00 20060101AFI20200130BHJP
   A01D 57/22 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   A01D27/00
   !A01D57/22 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-203673(P2015-203673)
(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公開番号】特開2017-74012(P2017-74012A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391025914
【氏名又は名称】八鹿鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】中尾 浩章
(72)【発明者】
【氏名】松田 辰大
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−308708(JP,A)
【文献】 特開昭58−175413(JP,A)
【文献】 特開2003−102226(JP,A)
【文献】 特開平11−346522(JP,A)
【文献】 特開2003−259712(JP,A)
【文献】 実開昭51−012622(JP,U)
【文献】 実開昭58−078033(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0216441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 − 33/14
A01D 57/00 − 57/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置上に、複数条の鱗茎野菜を引き抜き後上方へ搬送する引抜搬送装置を配置し、該引抜搬送装置の前部に茎葉部を引き上げる引き起こし装置を備える鱗茎野菜収穫機において、前記引き起こし装置は、上下に配置したプーリ間に突起付引き起こしベルトが巻回されて形成される引き起こし搬送体が各条毎に左右一対設けられ、該左右の引き起こし搬送体は前後に所定間隔をあけて平行に配置され、前記左右一方の引き起こし搬送体は隣の条の左右他方の引き起こし搬送体の前面に一部重なって配置され、前記左右一方の引き起こし搬送体の突起付引き起こしベルトの上部を巻回する駆動プーリを支持する駆動軸は、前記隣の条の左右他方の引き起こしベルトの突起の先端が当接しないように上下高さが異なるように配置されることを特徴とする鱗茎野菜収穫機。
【請求項2】
前記各条両側の引き起こし搬送体の前面には左右方向の軸心を有して回転駆動される縦回引き起こし装置が配置されることを特徴とする請求項1に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項3】
左右方向最外側に位置する前記縦回引き起こし装置は、他の縦回引き起こし装置よりも下方へ長く構成されることを特徴とする請求項に記載の鱗茎野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニクや玉葱等の鱗茎野菜を収穫する多条自走式の鱗茎野菜収穫機に関し、特に、畝上の茎葉部を確実に引き起こすことができる引き起こし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行機体の前部に引き起こし装置と掘り起し部を設けて、その後部に引抜搬送装置を設け、該引抜搬送装置の中途部に根切断刃や茎切断刃を設けたニンニク収穫機において、引き起こし装置には、略前後方向の軸心を有するプーリを上下に配置して該プーリに突起付引き起こしベルトを巻回して引き起こし搬送体を形成し、左右一対の引き起こし搬送体の突起が対向するように配置して、畝上の4条のうち2条ずつ玉葱の茎葉部を引き起こす引き起こし装置が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−238373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載の収穫機では、左右中央側の引き起こし搬送体の突起同士が当たってしまい、摩耗したり騒音を発したり、突起を歪めたりしていた。また、2条の玉葱を一つにまとめて引き起こしていたために、2条の間の茎葉部に突起が届かないために引き上げることができないことがあり、茎葉部が千切れたり十分に引き抜くことができないことが発生したりしていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、多条式の鱗茎野菜収穫機において、各条の鱗茎野菜の茎葉部を確実に引き上げられる鱗茎野菜収穫機を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、走行装置上に、複数条の鱗茎野菜を引き抜き後上方へ搬送する引抜搬送装置を配置し、該引抜搬送装置の前部に茎葉部を引き上げる引き起こし装置を備える鱗茎野菜収穫機において、前記引き起こし装置は、上下に配置したプーリ間に突起付引き起こしベルトが巻回されて形成される引き起こし搬送体が各条毎に左右一対設けられ、該左右の引き起こし搬送体は前後に所定間隔をあけて平行に配置され、前記左右一方の引き起こし搬送体は隣の条の左右他方の引き起こし搬送体の前面に一部重なって配置され、前記左右一方の引き起こし搬送体の突起付引き起こしベルトの上部を巻回する駆動プーリを支持する駆動軸は、前記隣の条の左右他方の引き起こしベルトの突起の先端が当接しないように上下高さが異なるように配置されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記各条両側の引き起こし搬送体の前面には左右方向の軸心を有して回転駆動される縦回引き起こし装置が配置されるものである。
請求項3においては、前記各植付条両側の引き起こし搬送体の前面には左右方向の軸心を有して回転駆動される縦回引き起こし装置が配置されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、各条の鱗茎野菜の茎葉部を確実に引き起こせるようになり、収穫効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の鱗茎野菜収穫機の全体側面図。
図2】同じく平面図。
図3】引き起こし装置の正面図。
図4】横回引き起こし装置の正面図。
図5】同じく平面図。
図6】操縦部を前側部に配置した実施例の鱗茎野菜収穫機の全体側面図。
図7】左右最外側の引き起こし装置を長く構成した実施例の引き起こし装置正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図2図3において、鱗茎野菜をニンニクとしたニンニク収穫機1の全体構成から説明する。ニンニク収穫機1は畝D上に植えられた複数条のニンニク10を収穫するものである。本実施形態では4条に植えられたニンニク10を収穫するニンニク収穫機1について説明するが、2条以上であれば適応可能である。なお、F方向を前方と規定して説明する。
【0012】
ニンニク収穫機1は、左右のクローラを備えるクローラ式走行装置2上に機体フレーム3を設けてシャーシとし、左右のクローラは畝Dを跨いで走行し、植付条の両側の畝間に左右のクローラが位置するようにして走行しながら収穫する。
【0013】
前記機体フレーム3上に搬送フレーム8を上下回動可能に支持している。機体フレーム3の前後中途部の左右両側には支柱3a・3aが立設され、支柱3a・3aの上部に昇降中心軸80が横架され、該昇降中心軸80に搬送フレーム8の後下部が上下回動自在に支持される。搬送フレーム8はデバイダ11や引き起こし装置6や掘り起し装置13や引抜搬送装置15や押えローラ14や土落とし装置16や肩揃え装置17や根切断装置等を取り付ける。
【0014】
搬送フレーム8の下部と機体フレーム3との間には図示しない電動油圧シリンダが介装され、搬送フレーム8は昇降中心軸80を中心に昇降可能としている。電動油圧シリンダを伸縮させることで引き起こし装置6や掘り起し装置13や引抜搬送装置15の高さを変更可能としている。また、昇降駆動装置を電動油圧シリンダとすることで、伸縮長を電気的に容易に制御できるようにしている。
【0015】
前記機体フレーム3の左側部上にエンジン4が載置され、機体フレーム3の左後部に操縦支持フレーム3bが立設され、操縦支持フレーム3b上に主クラッチレバーや操向レバー等を備える操縦部5が配置される。つまり、操縦部5の前方にエンジン4が配置される。エンジン4からの動力は左右のクローラ2・2の間に配置したミッションケースや引き起こし装置6や引抜搬送装置15や肩揃え装置17や茎葉切断装置等に動力を伝達して駆動できるようにしている。但し、操縦部5は図6に示すように機体前側部に配置することも可能である。つまり、エンジン4の上方に座席シート20を配置して、その前方にステップや主クラッチレバーや操向レバー等を備える操縦部5を配置するのである。このように配置することで、オペレータは操縦部5よりデバイダ11や引き起こし装置6を容易に視認できるようになり、条合わせや掘り起し装置13や引き起こし装置6の高さ調節や作業状態等が容易に視認できるようになる。
【0016】
前記引抜搬送装置15は、搬送フレーム8上に、搬送手段となる搬送ベルト27を支持する駆動プーリ24と、従動プーリ25と、ガイドプーリ26・26・・・とを各条毎に左右一対それぞれ備える。引抜搬送装置15の前端は引き起こし装置6の下後部に臨ませ、後端は機体後部の肩揃え装置17の後部上方まで延設される。
【0017】
前記引き起こし装置6の前下部から前方にデバイダ11・11・・・が突出される。デバイダ11は植付条と植付条の間を通過させて絡まったり寝たりしたニンニク10の茎葉部10bを分草するものである。そして、左右両側のデバイダ11は、後述する左側と右側の縦回引き起こし装置61・61の外側より前下方に突設され、畝Dの斜面Da(図3)に垂れている茎葉部10bを起こせるように下方へ延設している。
前記引き起こし装置6は分草後の茎葉部10bを引き上げるもので、縦回引き起こし装置61と横回引き起こし装置62からなり、その構成は後述する。
【0018】
前記引き起こし装置6の後下方には掘り起し装置13が配置される。掘り起し装置13は正面視略U字状の掘り起し刃13aと掘り起し刃13aを揺動自在に支持する支持体13bと駆動部13c等からなる。支持体13bは搬送フレーム8の前部の左右両側に配置され、掘り起し刃13aの左右両側上部を前後揺動自在に支持する。なお、掘り起し刃13aの上部はピンにより前後揺動自在に支持され、掘り起し刃13aの側面には支持孔が上下方向に所定間隔をあけて複数設けられ、ピンの取付位置を変更することで掘り起し深さを調節可能としている。掘り起し刃13aは本実施形態では4条分掘り起こせる幅としている。掘り起し刃13aの上部には駆動部13cが連結され、前後揺動駆動可能としている。そして、掘り起し刃13aを畝Dの土内に差し込んでニンニク10の球部10aよりも下方に位置させ、掘り起し刃13aを前後揺動させながら前進することで、畝Dの土壌を柔らかくし、ニンニク10を容易に引き抜けるようにしている。
【0019】
前記掘り起し装置13の外側方には高さ調節用のゲージ輪7が配置される。ゲージ輪7は上下方向に配置された電動油圧シリンダの先端に回転自在に支持され、該電動油圧シリンダの伸縮駆動により引き起こし装置6及び引抜搬送装置15の高さを調節可能としている。なお、ゲージ輪7は本実施形態では進行方向右側に配置しているが、左側に配置しても、左右両側に配置してもよく限定するものではない。
【0020】
前記掘り起し装置13の後上部で引抜搬送装置15の前下方には押えローラ14が配置されている。押えローラ14はニンニク10の植付条の両側に配置される。該押えローラ14はアームの一端(下端)に回動自在に支持され、アームの他端(上端)は搬送フレーム8の前下部に回動自在に支持され、アームは下方へ回動するようにバネ等で付勢されている。こうして、引抜搬送装置15によりニンニク10を引き抜き上げるときに、押えローラ14により畝Dを覆うマルチフィルムを下方に押さえ付けて、マルチフィルムが一緒に持ち上げられないようにしている。このような構成とすることによって、マルチフィルムの両側から掘り起し刃13aを畝D内に挿入し、マルチフィルムを切り裂くことなく押え付けてニンニク10のみ持ち上げられて引き抜かれて、後上方へ搬送されるのである。
【0021】
引抜搬送装置15は、前低後高に傾斜して設けられ、ニンニク10の茎葉部10bを挟持して上後方へ搬送しながらニンニク10を抜き上げて、後方へ搬送するものである。引抜搬送装置15は搬送フレーム8上に取り付けられる。搬送手段となる駆動プーリ24・24・・・と従動プーリ25・25・・・とガイドプーリ26・26・・・は4条分4組左右平行に配置される。
【0022】
図1に示すように、前記押えローラ14よりも後方で引抜搬送装置15の前下方には土落とし装置16が配置される。土落とし装置16は搬送フレーム8に棒状体を放射状に突設した弾性体を回転自在に支持し、ベルト駆動可能としている。そして、土落とし装置16は、本実施形態では前後2組配置され、互いに反対方向に回転するように駆動される。こうして、土落とし装置16を回転させることで、搬送されるニンニク10の根部に弾性体を下方から当接されて、ニンニク10を傷つけることなく、根に付着した土を搬送時に落とすことができるのである。
【0023】
前記引抜搬送装置15の後部下方には4組の肩揃え装置17が前後略水平方向に配設され、搬送フレーム8に支持される。各組の肩揃え装置17は左右一対のベルトが肩揃え駆動プーリと従動プーリの間に巻回され、左右一対のベルトの間を前記引抜搬送装置15と同期させて駆動することにより、ニンニク10の茎葉部10bが引抜搬送装置15により引き上げられ、ニンニク10の球部10aと茎葉部10bの境界部分を肩部として、その肩部が肩揃え装置17のベルトで止められて肩部が揃えられるのである。
【0024】
肩揃え装置17の前後中途部の下方には根切断装置が配置される。根切断装置はバリカン式往復刃が左右方向に配置される。根切断装置は4条分のニンニク10の根を一度に切断できるように左右方向の長さを引抜搬送装置15の左右幅に合わせた長さとしている。
【0025】
前記肩揃え装置17の後部上には茎葉切断装置が配置され、肩揃え装置17を通過したニンニク10は、球部10aから上方の茎葉部10bが略上下方向を向くように保持されながら後方へ搬送されて、茎葉部10bが略同じ長さで残るように茎葉切断装置により切断される。
【0026】
前記肩揃え装置17の後端下方に受止め解放可能に受樋が配置され、その下方にコンテナ台22が配置される。コンテナ台22上にコンテナを左右に並べて載置して、前記肩揃え装置17の後端から落下するニンニク10を収納できるようにしている。
また、前記肩揃え装置17の上後方であって引抜搬送装置15の後端下方には切断後の葉を側方へ排出する排葉コンベア23が配置される。排葉コンベア23はベルトコンベアからなり、左右方向で操縦部5と反対側の右側に排出するように構成している。
そして、引抜搬送装置15の右側方に空のコンテナを載置しておく予備コンテナ台30が上方へ折り畳み収納可能に配置されている。
【0027】
次に、本発明の引き起こし装置6について、図3図4図5より説明する。
引き起こし装置6は縦回引き起こし装置61と横回引き起こし装置62からなり、突起を縦回し、及び、横回しにして分草した茎を上方に持ち上げるようにしている。引き起こし装置6は植付条の左右両側に配置されるように、縦回引き起こし装置61は5つ平行に配置され、横回引き起こし装置62は4組平行に配置される。引き起こし装置6は各条(4条)毎に同じ構成として配設されているために、一つの条について説明する。
【0028】
前記横回引き起こし装置62は、左右一対の引き起こし搬送体63L・63Rを備える。引き起こし搬送体63L・63Rはそれぞれ上部に駆動プーリ64L・64Rが配置され、下部に従動プーリ65L・65Rが配置され、駆動プーリ64L・64Rと従動プーリ65L・65Rとの間に引き起こしベルト66L・66Rが巻回される。なお、従動プーリ65L・65Rはテンションプーリとして上下方向に位置調整可能に構成している。
【0029】
前記引き起こしベルト66L・66Rの外周には突起66a・66a・・・が所定間隔をあけて突出されている。該引き起こしベルト66L・66R及び突起66a・66a・・・はゴム等の弾性体により構成され、突起66a・66a・・・は大きな力がかかると変形し、損傷しにくく、ニンニク10も傷めないようにしている。図4に示すように、この左右に配置された引き起こしベルト66L・66Rの向き合う突起66a・66aの先端の回転軌跡は正面視で所定長さL1重なる程度に配置され、従動プーリ65L・65Rを周回するときの突起66a・66aの下端が畝Dの上面と接するように配設される。前記所定長さL1は、茎葉部10bを上方に搬送できる重なりとするが、重なり過ぎるとニンニク10の茎葉部10bが入る隙間を小さくしてしまい絡む原因となるので、突起66aと突起66aの間に十分な空間を形成し持ち上げられる程度としている。
【0030】
そして、前記左右の引き起こし搬送体63Lと引き起こし搬送体63Rは、図5に示すように、前後方向、詳しくは、搬送面に対して直角方向に所定間隔L2をあけて平行に配置されている。言い換えれば、4条の引き起こし搬送体63L・63R・・・は平面視(搬送面における平面視)で重ならないように千鳥状に配置される。
【0031】
こうして、クローラ式走行装置2上に、複数条の鱗茎野菜となるニンニク10・10・・・を引き抜き後上方へ搬送する引抜搬送装置15を配置し、該引抜搬送装置15の前部に茎葉部10b・10b・・・を引き上げる引き起こし装置6を備える鱗茎野菜収穫機1において、前記引き起こし装置6は、上下に配置した駆動プーリ64L・64Rと従動プーリ65L・65R間に突起付引き起こしベルト66L・66Rが巻回されて形成される引き起こし搬送体63L・63Rが各条毎に左右一対設けられ、該左右の引き起こし搬送体63L・63Rは前後に所定間隔をあけて平行に配置されるので、引き起こしベルト66Lの突起66aと引き起こしベルト66Rの突起66aが回転されても当接せず、また、隣の条の引き起こしベルト66L・66Rとも干渉しないようにしている。つまり、隣接する条の引き起こし搬送体63Lと引き起こし搬送体63Rは前後にズレれて平行に配設されており、1条ずつ茎葉部10bを引き上げられるように、引き起こし搬送体63L・63Rの左右間隔を狭くしても(または、正面視における重なりを大きくしても)、各条の引き起こしベルト66L・66Rは干渉することがなく、当接したり、騒音を発したりすることがないようにしている。
【0032】
また、図4に示すように、前記引き起こし搬送体63Lの駆動プーリ64Lを支持する駆動軸64Laと、引き起こし搬送体63Rの駆動プーリ64Rを支持する駆動軸64Raは上下方向に所定高さ異なるように配置される。この所定高さは、隣の条の引き起こしベルト66Rの突起66aの先端が、駆動プーリ64Lの駆動軸64Laと当接しないようにしたときの高さである。但し、引き起こし搬送体63Rを前側に配置した場合には、引き起こしベルト66Lの突起66aの先端が引き起こし搬送体63Rの駆動軸64Raに当接しない高さとなる。
【0033】
このように、前記左右の引き起こし搬送体63L・63Rの引き起こしベルト66L・66Rの上部を巻回する駆動プーリ64L・64Rを支持する駆動軸64La・64Raは、引き起こしベルト66Rの突起66aの先端が当接しないように上下高さが異なるように配置される構成とするので、隣接条の左右一方の引き起こし搬送体63Lの後方に位置する左右他方の引き起こし搬送体63Rの引き起こしベルト66Rの突起66aの先端が左右一方の駆動プーリ64Lの駆動軸64Laに当接することがなく、突起66aを傷めることをなくし、騒音の発生も防止できる。
【0034】
また、図7に示すように、前記引き起こし装置6における左右最外側の引き起こし搬送体63LL・63RRの引き起こしベルト66L・66Rの突起66La・66Ra・・・を他の引き起こしベルト66L・66Rの突起66a・66a・・・よりも長く構成して、畝Dの左右両側の斜面Daに垂れる茎葉部10bを引き起こせるように構成することもできる。また、引き起こし搬送体63LL・63RRを下方へ長く構成することもできる。
【0035】
このように、左右方向最外に位置する引き起こし搬送体63LL・63RRの突起付引き起こしベルト66L・66Rの突起66La・66Raは、他の引き起こし搬送体63L・63Rの突起66aよりも長く構成されるので、畝Dの両外側斜面Daに垂れる茎葉部10bも容易に引き起こせるようになり、左右両側の条のニンニク10も確実に収穫できるようになる。
【0036】
また、図3に示すように、各植付条両側の引き起こし搬送体の前面、つまり、4つの引き起こし搬送体63L・63L・・・と右端の引き起こし搬送体63Rの前面には、縦回引き起こし装置61・61・・・が設けられ、各条の両側で茎葉部10bを引き起こせるようにしている。縦回引き起こし装置61は、図1に示すように、上部に駆動プーリ67を配置し、下部に従動プーリ68を配置し、駆動プーリ67と従動プーリ68との間に突起付の引き起こしベルト69を巻回し、駆動プーリ67と従動プーリ68の回転軸心は左右方向に配置され、各条の駆動プーリ67・67・・・は引き起こし装置6の上前部に横架した一つの駆動軸70に固定される。
【0037】
このように、前記各植付条の引き起こし搬送体63L・63L・・・63Rの前面には左右方向の軸心を有して回転駆動される縦回引き起こし装置61・61・・・が配置されるので、条間に垂れる茎葉部10bを確実に引き起こせるようになり、引き抜くことができる。
【0038】
また、図7に示すように、左右最外側の縦回引き起こし装置61・61は他の(機体中央側の)縦回引き起こし装置61・61よりも下方に長く構成して、引き起こしベルト69・69より突設される突起69aの先端が、畝Dの両側の斜面Daまで届くようにすることもできる。この場合、左右最外側の縦回引き起こし装置61・61の従動プーリ68・68が他の縦回引き起こし装置61・61の従動プーリ68・68よりも下方に位置し、引き起こしベルト69L・69Rは他よりも長く構成されることになる。このように構成することで、畝Dの斜面Daに垂れる茎葉部10bを引き起こせるようになり、確実に引き抜くことが可能となる。また、左右最外側の引き起こしベルト69L・69Rを長くする代わりに、左右最外側の縦回引き起こし装置61・61の引き起こしベルト69・69より突設される突起69aの長さを他(内側)の縦回引き起こし装置61の突起69aよりも長く構成して、畝Dの両側の斜面Daまで届く長さとし、畝Dの斜面Daに垂れる茎葉部10bを引き起こせるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 ニンニク収穫機
6 引き起こし装置
15 引抜搬送装置
61 縦回引き起こし装置
63L・63R 引き起こし搬送体
64L・64R 駆動プーリ
65L・65R 従動プーリ
66L・66R 引き起こしベルト
66a・66a 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7