【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0017】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段におけるコンクリート構造物の補修方法は、補修すべきコンクリート壁の斫り面に補強用の鉄筋ユニットを係合支持する複数本のアンカー部材を埋設するとともに、該補強用の鉄筋ユニットを係合支持する複数本のアンカー部材に対して補強用の鉄筋ユニットの係止機能を持った補強用鉄筋ユニット係止部材を螺合可能とし、上記複数本のアンカー部材に対して上記補強用の鉄筋ユニットを係合して仮支持させた後に、上記補強用鉄筋ユニット係止部材を螺合固定し、該螺合固定された補強用鉄筋ユニット係止部材により、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に上記補強用の鉄筋ユニットを係止し、その後、所定のモルタル吹き付け手段によりモルタルを吹き付けて新たなモルタル層を形成するようにしてなるコンクリート構造物の補修方法であって、 上記アンカー部材の
手前側の端部には上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット溝が設けられているとともに、上記補強用鉄筋ユニット係止部材は、上記アンカー部材の
手前側の端部のナット溝に螺合する上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット部と該ナット部の
手前側
の端部に直交状態で設けられた回転操作可能な補強用鉄筋ユニット係止片とからなり、上記アンカー部材の
手前側の端部のナット
溝に上記ナット部を係合させた後、上記補強用鉄筋ユニット係止片を回転させて上記ナット部の先端が上記コンクリート壁の斫り面に当接する上記ナット溝の最終位置まで螺合固定し、該螺合固定状態において上記補強用鉄筋ユニット係止片により上記補強用の鉄筋ユニットを係止することにより、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に上記補強用の鉄筋ユニットを位置させるようにしたことを特徴としている。
【0018】
この発明の課題解決手段の構成では、コンクリート構造物の補修に用いられる補強用の鉄筋ユニットを補修すべきコンクリート壁の斫り面との間に新たなモルタル層を形成するために必要な所定の奥行き寸法をおいて取り付けるに際し、まず当該コンクリート壁の斫り面に複数本のアンカー部材を埋設固定し、該埋設固定された複数本のアンカー部材に対して補強用の鉄筋ユニットをアンカー部材の軸方向に摺動可能に係合する。
【0019】
次に、同補強用の鉄筋ユニットを軸方向に摺動可能に係合した複数本のアンカー部材の
手前側端部に対して同補強用の鉄筋ユニットの係止機能を持った補強用鉄筋ユニット係止部材が螺合固定されて補強用の鉄筋ユニットが係止されるようになっている。
【0020】
したがって、上記複数本のアンカー部材に対して先ず補強用の鉄筋ユニットを係合させて軸方向に摺動可能な状態で仮支持する。その後、同複数本のアンカー部材の
手前側端部に補強用鉄筋ユニット係止部材を螺合固定して補強用の鉄筋ユニットを係止可能とする。
【0021】
その上で、例えば上記コンクリート壁の斫り面側に寄せて仮支持させてあった上記補強用の鉄筋ユニット
を上記アンカー部材の
手前側端
部方向に引き寄せるなどして、最終的に上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法を置いた(間隔をあけた)所定の位置に係止する。すると、同係止状態において、上記補強用の鉄筋ユニットの鉄筋と各アンカー部材の補強用鉄筋ユニット係止部材とが同一平面方向において、確実にクロスした状態で位置決めされる。
【0022】
そして、同状態において、上記補強用の鉄筋ユニットの鉄筋と各アンカー部材の補強用鉄筋ユニット係止部材とが確実に結束又は溶接される。そして、その後、同部分に所定のモルタル吹き付け手段によりモルタルを吹き付けて新たなモルタル層を形成することにより、上記確実にアンカー部材に連結された強度の高い補強用の鉄筋ユニットで補強された新たな外層部を復元する。
【0023】
この結果、同構成によれば、補強用の鉄筋ユニットの複数本のアンカー部材各々に対する結束作業や溶接作業が容易、かつ確実になり、可及的に作業効率が向上するとともに、補強強度が高く、信頼性のあるコンクリート構造物の補修構造を実現することができる。
【0024】
従来の補修方法の場合、すでに述べたように、斫り面に打ち込まれた複数本のストレートなアンカー部材各々の
手前側端部
部分に対して、補強用の鉄筋ユニットの主筋または背筋部分をそれぞれ結束線で結束するか、又は溶接するようになっていた。しかし、同構成の場合、各アンカー部材と補強用の鉄筋ユニットの鉄筋部分が常に正確にクロスするとは限らず、相互に離間して、溶接が困難な場合や結束しにくいケースが多かった。そのため、アンカー部材の打ち直しも必要になっていた。
【0025】
また、一応相互にクロスする状態にあったとしても、アンカー部材自体に鉄筋の係合部がないため、補強用の鉄筋ユニットの鉄筋がアンカー部材の軸方向に任意にスライドするので、位置決めが難しく、正確な結束作業や溶接作業が容易でなかった。
【0026】
ところが、この発明の課題解決手段の構成では、上記のように、複数本のアンカー部材の
手前側端部に補強用の鉄筋ユニットの係止機能を持った補強用鉄筋ユニット係止部材が設けられており、同係止部材によって確実に補強用の鉄筋ユニットの鉄筋部分を係止するので、アンカー部材側の係止部材と補強用の鉄筋ユニットの鉄筋とが正確に位置決めされた状態で、確実にクロスするようになるので、結束は勿論、溶接作業も著しく容易になり、確実かつ強度の高い連結を可能とすることができる。その結果、作業効率が向上することは勿論、補強強度そのものも大きく向上する。
【0027】
しかも、その場合において、上記アンカー部材の
手前側端部には上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット溝が設けられているとともに、上記補強用鉄筋ユニット係止部材は、上記アンカー部材の
手前側端部のナット溝に螺合する上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット部と該ナット部の
手前側端
部に直交状態で設けられた回転操作可能な補強用鉄筋ユニット係止片とからなり、上記アンカー部材の
手前側端部のナット
溝に上記ナット部を係合させた後、上記補強用鉄筋ユニット係止片を回転させて上記ナット部の先端が上記コンクリート壁の斫り面に当接する上記ナット溝の最終位置まで螺合固定し、該螺合固定状態において上記補強用鉄筋ユニット係止片により上記補強用の鉄筋ユニットを係止することにより、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に確実に上記補強用の鉄筋ユニットを位置させるようになっている。
【0028】
したがって、このような構成によれば、上記アンカー部材の
手前側端部のナット溝に対して、上記補強用鉄筋ユニット係止部材のナット部を係合させた後、その補強用鉄筋ユニット係止片を回転させることにより上記補強用の鉄筋ユニットの所定の係止位置まで簡単に螺合させてゆくことができる。そのため、補強用鉄筋ユニット係止部材のアンカー部材に対する螺合固定作業自体も容易になる。
【0029】
この場合、上記補強用鉄筋ユニット係止部材の補強用鉄筋ユニット係止片は、必要に応じ、左右の片の長さが異なるものに構成することができる。そのようにすると、上記ナット部を回転操作する時に、回転させる方向に遠心力を生じさせることができ、フリーな回転を生じさせることができ、アンカー部材後端部へのナット部の螺合がより容易になる。
【0030】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段におけるコンクリート構造物の補修方法における補強用の鉄筋ユニットの取り付け構造は、補修すべきコンクリート壁の斫り面に埋設固定され、補強用の鉄筋ユニットを係合支持する複数本のアンカー部材と、該複数本のアンカー部材に対して係合支持される補強用の鉄筋ユニットと、上記複数本のアンカー部材に対して螺合固定されて、上記補強用の鉄筋ユニットを係止する補強用鉄筋ユニット係止部材とを備え、上記複数本のアンカー部材に対して上記補強用の鉄筋ユニットを係合して仮支持させた後に、上記複数本のアンカー部材に上記補強用鉄筋ユニット係止部材を螺合固定し、該螺合固定された上記補強用鉄筋ユニット係止部材により、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に上記補強用の鉄筋ユニットを係止し、その後、所定のモルタル吹き付け手段によりモルタルを吹き付けて新たなモルタル層を形成するようにしてなるコンクリート構造物の補修方法における補強用の鉄筋ユニットの取り付け構造であって、 上記アンカー部材の
手前側の端部には上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット溝が設けられているとともに、上記補強用鉄筋ユニット係止部材は、上記アンカー部材の
手前側の端部のナット溝に螺合する上記所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット部と該ナット部の
手前側の端部に直交状態で設けられた回転操作可能な補強用鉄筋ユニット係止片とからなり、上記アンカー部材の
手前側の端部のナット
溝に上記ナット部を係合させた後、上記補強用鉄筋ユニット係止片を回転させて上記ナット部の先端が上記コンクリート壁の斫り面に当接する上記ナット溝の最終位置まで螺合固定し、該螺合固定状態において上記補強用鉄筋ユニット係止片により上記補強用の鉄筋ユニットを係止することにより、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に上記補強用の鉄筋ユニットを位置させるようになっていることを特徴としている。
【0031】
この発明の課題解決手段の構成では、コンクリート構造物の補修方法に用いられる補強用の鉄筋ユニットを補修すべきコンクリート壁の斫り面との間に新たなモルタル層を形成するために必要な所定の奥行き寸法をおいて取り付ける補強用の鉄筋ユニットの取り付け構造に関し、補修すべきコンクリート壁の斫り面に埋設固定された複数本のアンカー部材に対して補強用の鉄筋ユニットが任意に係合支持されるようになっているとともに、さらに補強用の鉄筋ユニットの係止機能を持った補強用鉄筋ユニット係止部材が任意に螺合固定されるようになっている。
【0032】
したがって、上記複数本のアンカー部材に対して先ず補強用の鉄筋ユニットを軸方向に摺動可能に係合させることによって仮支持することができる。そして、その後、同複数本のアンカー部材に対して、さらに補強用鉄筋ユニット係止部材を螺合固定し、軸方向に摺動可能に係合されて仮支持されている補強用の鉄筋ユニットを手前側に引き寄せるなどして、最終的に補修すべきコンクリート壁の斫り面との間の新たなモルタル層を形成するために必要な所定の奥行き寸法位置に正確に係止することができる。
【0033】
しかも、同係止された状態において、上記補強用の鉄筋ユニットの鉄筋と各アンカー部材側の補強用鉄筋ユニット係止部材とが同一平面方向において、確実にクロスした状態となる。そして、そのような状態において、上記補強用の鉄筋ユニットの鉄筋と各アンカー部材側の補強用鉄筋ユニット係止部材とが確実に結束又は溶接される。
【0034】
その結果、上記複数本のアンカー部材に対して新たなモルタル骨材としての補強用の鉄筋ユニットを取り付けるに際して、従来のような複数本のアンカー部材に対する鉄筋の結束作業や溶接作業が困難になるケースが確実に解消され、補修効率が大きく向上し、また補強強度がより有効に向上する。
【0035】
そして、その後、同部分に所定のモルタル吹き付け手段によりモルタルを吹き付けて新たなモルタル層を形成することにより、上記確実にアンカー部材に連結された強度の高い補強用の鉄筋ユニットで補強された新たな外層部を復元することができる。
【0036】
この結果、同構成によれば、補強用の鉄筋ユニットの複数本のアンカー部材各々に対する結束作業や溶接作業が容易、かつ確実になり、可及的に作業効率が向上するとともに、補強強度が高く、信頼性のあるコンクリート構造物の補修構造を実現することができる。
【0037】
従来の補修方法の場合、すでに述べたように、斫り面に打ち込まれた複数本のストレートなアンカー部材各々の
手前側端
部部分に対して、補強用の鉄筋ユニットの主筋または背筋部分をそれぞれ結束線で結束するか、又は溶接するようになっていた。しかし、同構成の場合、各アンカー部材と補強用の鉄筋ユニットの鉄筋部分が常に正確にクロスするとは限らず、相互に離間して、溶接が困難な場合や結束しにくいケースが多かった。そのため、アンカー部材の打ち直しも必要になっていた。
【0038】
また、一応相互にクロスする状態にあったとしても、アンカー部材自体に鉄筋の係合部がないため、補強用の鉄筋ユニットの鉄筋がアンカー部材の軸方向に任意にスライドするので、位置決めが難しく、正確な結束作業や溶接作業が容易でなかった。
【0039】
ところが、この発明の課題解決手段の構成では、上記のように、複数本のアンカー部材の
手前側端部に補強用の鉄筋ユニットの係止機能を持った補強用鉄筋ユニット係止部材が設けられており、同係止部材によって確実に補強用の鉄筋ユニットの鉄筋部分を係止するので、アンカー部材側の係止部材と補強用の鉄筋ユニットの鉄筋とが正確に位置決めされた状態で、確実にクロスするようになるので、結束は勿論、溶接作業も著しく容易になり、確実かつ強度の高い連結を可能とすることができる。その結果、作業効率が向上することは勿論、補強強度そのものも大きく向上する。
【0040】
このため、たとえば上記補強用の鉄筋ユニットを係止する前に補修すべきコンクリート壁の斫り面と新たなモルタル層との接合力を高めるためのプライマリー層を形成する補修方法を採用した場合にも、迅速かつ有効に対応することができる。
【0041】
しかも、この発明の課題解決手段の構成では、その場合において、上記アンカー部材の
手前側端部には上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に上記補強用の鉄筋ユニットを正確に位置させるために同所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット溝が設けられているとともに、上記補強用鉄筋ユニット係止部材は、上記アンカー部材の
手前側端部のナット溝に螺合する同所定の奥行き寸法に対応した長さを有するナット部と該ナット部の
手前側端
部に直交状態で設けられた回転操作可能な補強用鉄筋ユニット係止片とを備えて構成されており、上記アンカー部材の
手前側端部のナット
溝に上記ナット部を係合させた後、上記補強用鉄筋ユニット係止片を回転させて上記ナット部の先端が上記コンクリート壁の斫り面に当接する上記ナット溝の最終位置まで螺合固定し、該螺合固定状態において上記補強用鉄筋ユニット係止片により上記補強用の鉄筋ユニットを係止することにより、上記コンクリート壁の斫り面から
手前側の所定の奥行き寸法離れた位置に正確に上記補強用の鉄筋ユニットを位置させるようになっている。
【0042】
このような構成によれば、上記アンカー部材の
手前側端部のナット溝に対して、上記補強用鉄筋ユニット係止部材のナット部を係合させた後、その補強用鉄筋ユニット係止片を回転させることにより、上記補強用の鉄筋ユニットの所定の係止位置まで簡単に螺合させてゆくことができる。したがって、補強用鉄筋ユニット係止部材のアンカー部材に対する螺合固定作業自体も容易になる。
【0043】
この場合、上記補強用鉄筋ユニット係止部材の補強用鉄筋ユニット係止片は、必要に応じ、左右の片の長さが異なるものに構成することができる。そのようにすると、上記ナット部を回転操作する時に、回転させる方向に遠心力を生じさせることができ、フリーな回転を生じさせることができ、アンカー部材後端部へのナット部の螺合がより容易になる。