(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上側係合部の下部の挿入受け部には、前記斜めロープ材の途中を掛装する掛装部が設けられ、この掛装部に筒体を遊嵌し、前記下側係合部の上部の挿入受け部には前記斜めロープ材の途中を掛装する掛装部が設けられ、この掛装部に筒体を遊嵌したことを特徴とする請求項3記載の防護柵。
【実施例1】
【0023】
図1〜
図19は本発明の実施例1を示す。
図1に示すように、防護柵1は、傾斜地である山間地の道路や線路等の山側の斜面に設けられるもので、土砂崩れ,落石,雪崩等を防止するために危険箇所に沿って設置される。
【0024】
防護柵1は、山側の設置場所たる斜面2に立設され、この例では略垂直に立設されている(
図15)。また、防護柵1は、例えば4本の支柱3,3A,3A,3Bと、各支柱3,3A,3A,3B間に設けた防護面4とにより構成されている。それら4本の支柱3,3A,3A,3Bは、左右方向に均等な間隔を置いて立設され、支柱3,3A,3A,3B全長の約1/3程度の支柱地中部が地中に位置し、2/3程度の支柱地上部が地表から垂直方向に立設されている。
【0025】
前記支柱3は、防護柵1の端部に設けられる端部支柱であり、この端部の支柱3は、左右の一方のみに支柱3Aが位置し、両側には支柱3A,3Aは位置しない。また、前記支柱3Bは前記支柱3,3の間で、所定間隔で設けられる両端支柱である。また、前記支柱3Aは、前記支柱3,3Bの間、または支柱3B,3Bの間に設けられる中間支柱であり、この例では、支柱3と支柱3Bの間に2本の支柱3A,3Aを等間隔で設け、4本の支柱3,3A,3A,3Bを一組として前記防護面4が設けられている。尚、
図1中で右側の支柱3Bの右側には、図示しない支柱3A,3A,3B又は支柱3A,3A,3が配置されている。
【0026】
前記防護面4は、網体たる菱型金網5と、上,下横ロープ材6,7と、一方の斜めロープ材8と、この一方の斜めロープ材8に交差して配置される他方の斜めロープ材9とを備える。尚、各ロープ材6,7,8,9はワイヤロープなどからなる。
【0027】
前記支柱3,3A,3Bは、直径,厚さ及び長さが同一の鋼管からなる。
図3,
図5及び
図6に示すように、縦方向の前記支柱3,3Bの前側(山側)で上部と下部には、横方向の金属製平板からなる横ロープ材用取付部11,11Aを設け、これら取付部11,11Aの左右に緩衝金具51,51を取り付ける取付孔13が穿設されている。
【0028】
尚、上側の取付部11には、前記上横ロープ材6の端末に設けた緩衝金具51が接続され、下側の取付部11Aには、前記下横ロープ材7の端末に設けた緩衝金具51が取り付けられる。また、下側の取付部11Aは、設置場所である斜面2に近接した地上に配置される。
【0029】
尚、前記支柱3,3Bの上側において、縦ロープ材用取付部16は前記横ロープ材用取付部11より下に位置し、前記支柱3,3Bの下側において、縦ロープ材用取付部16は前記横ロープ材用取付部11Aより上に位置する。
【0030】
前記支柱3,3Bの前側中央で上側と下側には、縦ロープ材81の上下を連結する縦ロープ材用取付部16,16が設けられ、この取付部16は、縦方向の金属製板片を前記支柱3,3Bの前側中央に溶着などにより固定してなり、その取付部16には縦ロープ材81を連結する取付孔17が穿設されている。
【0031】
前記支柱3,3Bの前側の上側と下側には、斜めロープ材用取付部21,21が左右に設けられている。これら左右の取付部21,21は、縦方向の金属板片を、左右斜め前側に突設するように配置してなり、前記横ロープ材用取付部11,11Aが前後方向(山側と反山側の方向)で前側中央に突設されているのに対して、縦ロープ材用取付部16に対する左右の角度θが75度以下の方向に向いて、前記左右の取付部21,21が配置され、これら左右の取付部21,21に前記斜めロープ材8,9の端部を連結する取付孔22,22が穿設されている。尚、この例では、角度θは45度〜75度程度、図面では角度θは60度である。そして、角度θが75度を超えると取付孔22が菱型金網5の後面から離れてしまい、角度θが45度を未満、他の取付部16に近くなり、斜めロープ材8,9などの取付が煩雑になる虞があるため上記範囲とした。
【0032】
このように斜めロープ材用取付部21,21を前側に向かって左右斜めに配置することにより、前記取付孔22を支柱3,3Bの前部に近い位置に配置することができる。従って、防護柵1の前側(山側)の面に設ける菱型金網5に近い位置、或いは菱型金網5の後面に沿う位置に斜めロープ材8,9を配置することができる。これにより後述する結合手段たる結合コイル82による斜めロープ材8,9と菱型金網5との結合作業が容易になると共に、斜めロープ材8,9と菱型金網5との一体化を図ることができる。
【0033】
上側の横ロープ材用取付部11の取付孔13と、これより下で近接する縦ロープ材81の上側の取付部16の取付孔17との間に、前記斜めロープ材8,9の端部を連結する上側の取付孔22が位置し、また、下側の横ロープ材用取付部11Aの取付孔13と、これより上で近接する縦ロープ材81の下側の前記取付孔17との間に、前記斜めロープ材8,9の端部を連結する下側の取付孔22が位置する。
【0034】
次に、本発明の特徴構成の一つである中間の支柱3Aの上側及び下側係合部31,31Aについて詳述する。
図1、
図8及び
図9に示すように、上側及び下側係合部31,31Aは、前記支柱3Aの前側で上側と下側に設けられている。これら上側及び下側係合部31,31Aは、支柱3の前側(山側)に、上,中,下の係合部材32,32,32を前方に突出して設け、これら係合部材32,32,32は断面が円形の丸棒などからなり、この丸棒は鋼製などであって、支柱3Aの外周に溶着されている。
【0035】
上側の係合部31において、それら上,中の係合部材32,32の間に、前記上横ロープ材6の途中を側方から挿入可能な挿入受け部33が形成され、中,下の係合部材32,32の間に、前記斜めロープ材8,9の一方の途中を側方から挿入可能な挿入受け部33が形成されている。また、下側の係合部31Aにおいて、それら中,下の係合部材32,32の間に、前記下横ロープ材7の途中を側方から挿入可能な挿入受け部33が形成され、上,中の係合部材32,32の間に、前記斜めロープ材8,9の他方の途中を側方から挿入可能な挿入受け部33が形成されている。
【0036】
そして、挿入受け部33側は係合部材32,32の円柱部32K,32Kが位置している。また、上,中の係合部材32,32の先端上部に切欠き段部34,34を形成すると共に、下の係合部材32の先端下部に切欠き段部34Aを形成し、上中下の切欠き段部34,34,34Aの対応する位置で、係合部材32,32,32に透孔35,35,35を穿設し、開閉手段たるボルト36を上方から前記透孔35,35,35に挿通し、そのボルト36にナット37,37Aを螺合することにより、前記挿入受け部33,33を閉めることができ、逆に、ナット37,37Aを外してボルト36を抜くことにより、挿入受け部33,33を開くことができる。
【0037】
上側の係合部31において、下の挿入受け部33に斜めロープ材8,9の一方の途中が挿入され、下の係合部材32の円柱部32Kに掛装されて斜めロープ材8,9の他方が向きを変える。また、下側の係合部31Aにおいて、上の挿入受け部33に斜めロープ材8,9の他方の途中が挿入され、上の係合部材32の円柱部32Kに掛装されて斜めロープ材8,9の他方が向きを変える。
【0038】
上側及び下側係合部31,31Aにおいて、斜めロープ材8,9が掛装される円柱部32K,32Kに筒体38を遊嵌し、これにより円柱部32Kに、筒体38を回転可能に外装して設けている。筒体38は支柱と同じくメッキを施した鋼管からなり、筒体38の内径が円柱部32Kの外径より大きい。尚、筒体38が設けられ上側の係合部31の下の円柱部32Kと、筒体38が設けられ下側の係合部31Aの上の円柱部32Kとが掛装部である。尚、耐久性を考慮すると筒体38にステンレス管を用いることができる。
【0039】
従って、上側の係合部31の下の挿入受け部33に挿入した斜めロープ材8,9は、筒体38の外面に沿って屈曲され、下側の係合部31Aの上の挿入受け部33に挿入した斜めロープ材8,9は、筒体38の外面に沿って屈曲され、この状態で斜めロープ材8,9が支柱3,3B間で張設される。従って、斜めロープ材8,9が長さ方向に沿ってスライドする際、筒体38が回ることにより、そのスライドが抵抗なくスムーズに行われる。
【0040】
次に、前記支柱3,3A,3Bの補強体41,41A,41Aについて説明する。
図2、
図5〜
図7に示すように、支柱3,3A,3B内に設ける補強体41,41A,41Aは、前記下側の横ロープ材用取付部11Aの下方で近接した位置の設置面対応箇所を挟んだ上下に、補強材42とスペーサ43を設けてなる。前記スペーサ43は前後方向の補強板44を有し、この補強板44は鋼板からなり、補強体41,41A,41Aの略全長に設けられている。また、前記スペーサ43の前後には、前記補強材42を支柱3,3A,3Bの前側及び後側において該支柱3,3A,3Bの内面に位置決めする位置決めリブ45,45が設けられている。尚、
図2において、補強体41,41Aの上端41Jと下端41Kとの間に、設置面たる斜面2が位置する。
【0041】
前記位置決めリブ45は、断面円形状の支柱3,3A,3Bを縮径した円弧状の鋼板で形成されると共に、支柱3,3A,3Bの長手方向の長さが、補強体41,41A,41Aの全長に対して短く形成され、支柱3,3A,3Bの中心軸上に示す仮想水平線Xを対称軸として線対称になるように設けられる。
【0042】
尚、位置決めリブ45,45間を連結する補強板44は、支柱3,3A,3Bの肉厚11mmに対して、2分の1以上の9mmと肉厚のものを用いている。また、スペーサ43により位置決めされる補強材42は、異形棒鋼等の規格化された鉄筋から成り、本実施例では、支柱3,3A,3Bの前と後の圧縮領域側と引張領域側とに補強材42を四本配設して補強している。そして、これら補強材42を含む補強体41,41A,41Aを支柱3,3A,3B内に取付けて一体化する。尚、後述するように、端部の支柱3は、内部の左右にも補強材42が配置されている。
【0043】
前記スペーサ43は、補強材42の長手方向に所定間隔をおいて配置される複数の位置決めリブ45,45を一つの補強板44で連結して設けられる。また、補強材42は、必要に応じて前記位置決めリブ45との接合部に溶接を施し、位置決めリブ45と補強板44と共に一体化され、補強体41,41A,41Aを構成する。そして、この補強体41,41A,41Aが支柱3,3A,3Bの端部開口から挿入配置される。尚、前記位置決めリブ45の長さは50mmで、支柱長さ方向に隣り合う位置決めリブ45,45は略2mの間隔を置いて配置されている。
【0044】
さらに、支柱3,3A,3Bの内部に無収縮モルタルなどの不定形硬化材46を充填して耐荷材を形成する。
【0045】
図5に示すように、端部の前記支柱3に設ける補強体41は、他の支柱3A,3Bの補強体41Aにはない下記の構成を備える。前記補強体41は、そのスペーサ43が前後方向の補強板44の中央で左右の補強板44A,44Aが一体に設けられ、これにより補強板44,44A,44Aは略十字形をなし、左右の補強板44A,44Aの端部に円弧状の位置決めリブ45A,45Aが設けられ、左右の位置決めリブ45A,45Aと支柱3の内面との間に2本の前記補強材42,42が配置されている。尚、補強板44Aの厚さは補強板44と同一である。また、前記補強板44Aは前記補強板44と同一構成である。
【0046】
従って、端部の支柱3は、前後方向に倒そうとする力のみならず、該支柱3を左右方向に倒そうとする力に対しても、その場合の引張領域と圧縮領域である左右に補強材42,42が位置するため、左右方向の力に対して断面性能を向上することができる。具体的には、菱型金網5,上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9を備えた防護面4において、各部材から加わる荷重に対して支柱3が耐力を備えたものとなり、各部材による衝撃吸収効果を向上することができる。
【0047】
図2に示すように、前記支柱3,3A,3Bの外周には、支柱地中部に、支柱長さ方向の回転止め部材48,48,48が固定されている。この回転止め部材48は鋼製の丸棒などからなり、前側と左右斜め後側で円周方向等間隔で3本設けられている(
図5)。また、回転止め部材48は支柱3,3A,3Bの支柱地中部に設けられている。
【0048】
従って、回転止め部材48により工場での製作中に横にした支柱3,3A,3Bが不用意に回ることがなく、作業性に優れる。また、施工においては、掘削孔95に支柱3,3A,3Bを挿入し、その掘削孔95に硬化材である無収縮モルタルを充填し、回転止め部材48により硬化したモルタルと支柱3,3A,3Bを一体化することができる。
【0049】
前記支柱3,3A,3A,3Bの上部及び下部間には1本の前記上横ロープ材6及び下横ロープ材7が所定の張力を保持して架設される。このため前記支柱3,3Bの上下の取付部11,11Aには緩衝金具51が接続され、この緩衝金具51により横ロープ材6,7の端部の途中が把持されている。
【0050】
前記上,下横ロープ材6,7は、前記緩衝金具51により、支柱3,3Bに揺動可能に連結される。その緩衝金具51は、
図10〜
図13に示すように、横ロープ材6,7を所定の摩擦力で把持する一対の把持体52,52を備え、これら把持体52,52の合せ面に、横ロープ材6,7に嵌合する嵌合溝52Aを形成し、両把持体52,52をボルトナットなどの締付手段53により締め付け固定する。相互に固定された把持体52,52の側面には、Uボルト54が係合する係合溝55,55が形成され、この係合溝55,55にUボルト54の両端部54T,54Tが係合する。また、Uボルト54の両端部54T,54Tを挿通する挿通部たるプレート56を備え、このプレート56には横ロープ材6,7を遊挿する溝部57が形成されている。
【0051】
そして、Uボルト54をシャックル65により取付部11,11Aの取付孔13に連結し、そのUボルト54の両端部54T,54T間に、上,下横ロープ材6,7を締め付けた把持体52,52を嵌め入れ、さらに、端部54T,54Tをプレート56に挿通し、端部54T,54Tにナット58を螺合する。また、横ロープ材6,7の端部には、前記把持体52,52に係止するストッパ59が設けられている。
【0052】
支柱3,3A,3A,3Bの間には、一対の斜めロープ材8,9が交差して配置され、端部の支柱3の上側に接続された一方の斜めロープ材8は、端部の支柱3の上側から隣りの支柱3Aの下側の挿入受け部33に挿入され、さらに、その隣りの支柱3Aの上側の挿入受け部33に挿入され、さらにまた、その隣りの支柱3Bの上側に接続されている。また、端部の支柱3の下側に接続された他方の斜めロープ材9は、端部の支柱3の下側から隣りの支柱3Aの上側の挿入受け部33に接続され、さらに、その隣りの支柱3Aの下側の挿入受け部33に接続され、さらにまた、その隣りの支柱3Bの上側に接続されている。
【0053】
図1、
図16及び
図17に示すように、前記斜めロープ材8,9の端部には、ループ式緩衝装置61が設けられている。このループ式緩衝装置61は、斜めロープ材8,9の一部を構成するロープ材からなるループ部62を有し、このループ部62の交差部は、斜めロープ材8,9に張力がかかると一定の摺動抵抗を与える緩衝金具63により挟持されている。前記ループ部62の両端には輪部64,64が設けられ、ループ部62の中央側(反支柱側)の輪部64に斜めロープ材8,9の端部8T,9Tを連結している。
【0054】
そして、支柱3,3Bの上部の取付孔22に、ループ部62の先端側(支柱側)の輪部64を、結金具たるシャックル65により連結している。一方、支柱3,3Bの下側の取付孔22に、シャックル65により張力調整手段たるターンバックル66の先端側を連結し、このターンバックル66にループ部62の先端側(支柱側)の輪部64を連結している。このようにして、各支柱3,3A,3A,3B間に一対の斜めロープ材8,9がX字状に張設される。
【0055】
そして、前記ループ部62には、複数の摺動体67と、ループ部62のロープ材の摺動を止めるストッパ金具68とが中央部に設けられている。前記摺動体67は、斜めロープ材8,9に張力がかかり、ループ部62の径が小さくなって応力集中が生じ、斜めロープ材8,9が破断しないように、ループ部62の径が一定以下にならないように保つ機能を有する。
【0056】
尚、斜めロープ材8,9を張設した状態で、ループ部62は自重により斜めロープ材8,9の下側に位置するから、
図1などに示すように、下側のループ部62は、上側のループ部62より中央側に配置され、その下側のループ部62が斜面2などの設置面に触れないように構成している。そして、この例では、ターンバックル66の分だけ下側のループ部62が中央側に位置する。
【0057】
前記菱型金網5には、亜鉛めっき鋼線71が用いられ、
図18に示すように、縦方向の鋼線71を、上から下に向かって左右一方と左右他方で略85度に折り曲げて折り曲げ部72,72を形成し、隣り合う鋼線71,71の折り曲げ部72,72同士を係合して係合部73を形成し、斜め四辺が鋼線71で構成された菱型又は正方形の網目74を複数形成している。尚、鋼線71は、好ましくは引張強度TSが880N/mm
2以上のものを用いる。また、引張強度は、破断する前に材料に表れる最大の引張応力であり、JIS Z 2241に基く。また、前記亜鉛めっき鋼線71は、JIS G 3548の規格に基くものを用いる。
【0058】
また、一例として、菱型金網5は、鋼線71の径が3.2mm、網目74の大きさが50mm×50mm(設計荷重100kJ用)、鋼線71の径が4.0mm、網目74の大きさが50mm×50mm(設計荷重300kJ用)、鋼線71の径が4.0mm、網目74の大きさが40mm×40mm(設計荷重500kJ用)のものなどが用いられる。尚、網目74の大きさが50mm×50mmとは、網目74を構成する平行な鋼線71,71の間隔Kと、残りの鋼線71,71の間隔を示す。
【0059】
菱型金網5の上,下縁部は、
図19に示すように、前記係合部73において左右一対の鋼線71,71の少なくとも一方を、この例では両方を鋼線71,71側に折り曲げた完全ナックル加工部75が形成されている。また、
図18に示したように、菱型金網5の左右幅方向の端縁5Fは、縦方向の一方の鋼線71により複数の折り曲げ部72,72・・・が上下に並んで形成されている。尚、支柱3,3B間の間隔が広い場合は、複数の菱型金網5,5の端縁5Fを一体に連結したものを使用する。尚、菱型金網5の端縁5Fは、前記完全ナックル加工部75,75・・・が上下に並んだものでもよい。
【0060】
端部の前記支柱3において、菱型金網5の端縁5Fは、縦ロープ材81と結合コイル82とにより前記支柱3に連結される。
図14〜
図17に示すように、前記縦ロープ材81には、両端にシンブルである輪部83,83(
図15)が設けられ、これら輪部83,83をターンバックル84により連結して縦ロープ材81を輪状に形成し、上下に折り返し部81K,81Kを設け、これら上下の折り返し部81K,81K内にシンブル85,85を設け、このようにして縦長ループ状にした縦ロープ材81は、前後のロープ材前部81Fとロープ材後部81Rとを有する。
【0061】
そして、上下のシンブル85,85を前記シャックル65,65により前記上下の取付孔17,17に連結している。また、ターンバックル84はロープ材後部81Rに配置されており、ロープ材前部81Fに複数の結合コイル82により菱型金網5の端縁5Fを連結している。尚、この場合、結合コイル82は、縦ロープ材81と菱型金網5の端縁5Fの網目74とに巻き付くように設けられる。
【0062】
左右の支柱3A,3Aの間に位置する前記支柱3Bにおいて、支柱3と同様に縦ロープ材81を上下の取付孔17,17に連結し、左右の菱型金網5,5の端縁5F,5Fを、複数の結合コイル82によりロープ材前部81Fに連結する。
【0063】
また、上,下横ロープ材6,7は菱型金網5の後面に添った状態で、複数の結合コイル82により菱型金網5に連結される。また、斜めロープ材8,9は菱型金網5の後面に添った状態で、複数の結合コイル82により菱型金網5に連結される。尚、菱型金網5の完全ナックル加工部75の設けた網目74より上下方向中央の網目74と、上,下横ロープ材6,7とが、結合コイル82により連結され、即ち、上,下横ロープ材6,7の上下方向外側には、少なくとも完全ナックル加工部75の設けた網目74が位置する。
【0064】
前記支柱3,3A,3Bの上部にはキャップ91が固定され、このキャップ91の中央には透孔92が穿設されている。前記支柱3,3A,3Bの上面には、雌螺子部94(
図3、
図8)を有する鋼材(図示せず)を設け、前記透孔92にボルト93を挿通し、このボルト93を前記雌螺子部94に螺合することにより、支柱3,3A,3Bにキャップ91を固定している。
【0065】
そして、山間地等の施工現場において、ダウンザホールなどの掘削手段により、所定の深さの掘削孔95を形成し、この掘削孔95に支柱3,3A,3Bを挿入し、掘削孔95に硬化性の充填材を充填する。
【0066】
次に、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9を、各支柱3,3A,3A,3B間をつなぐように支柱3,3A,3A,3Bの山側に架設する。そして、菱型金網5を、支柱3,3A,3A,3Bの前側で前記ロープ材6,7,8,9の前側に渡って張設し、ロープ材6,7,8,9と菱型金網5とを結合コイル82により連結する。この場合、斜め前向きの取付部21により、斜めロープ材8,9は菱型金網5の後面に近接した位置にあるため、結合コイル82により結合作業が容易となる。また、菱型金網5の端縁5F,5Fを縦ロープ材81を介して支柱3,3Bと連結する。
【0067】
次に、前記防護柵1の作用について説明する。防護柵1に落石や土砂が衝突すると、衝突時の運動エネルギーにより、菱型金網5、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9が谷側に変形し、引き延ばされる。この場合、菱型金網5の後には上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9だけが位置し、菱型金網5の上下の間隔を保持する部材等がないから、菱型金網5が大きく変形することができ、このように変形量が大きいと共に引張強度の高い鋼線71を用いることにより、従来の網体及びその取付構造を用いたものに比べて高い衝撃力吸収効果が得られる。
【0068】
また、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9は、菱型金網5の谷側に架設されているので、菱型金網5を介して衝撃力が加わり、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9に張力がかかる。
【0069】
この場合、斜め前向きの斜めロープ材用取付部21により、斜めロープ材8,9は端部側も菱型金網5の後面に近い位置に配置されているから、衝撃力を受けると、時間差なく斜めロープ材8,9に力が加わり、これら斜めロープ材8,9が菱型金網5と共に変形して衝撃力を吸収することができる。
【0070】
さらに、上,下横ロープ材6,7に所定以上の引張力が加わると、緩衝金具51,51に対して横ロープ材6,7が摺動し、このように防護柵1が雪崩や落石等を受けて上,下横ロープ材6,に引張力が加わると、緩衝金具51に対して上,下横ロープ材6,7が摺動することにより、衝撃力を摩擦エネルギーに代えて吸収することができる。また、斜めロープ材8,9に所定以上の引張力が加わると、斜めロープ材8,9が緩衝金具63に対して摺動し、ループ部62が小さくなるように延び、緩衝金具63に対してループ部62が摺動することにより、衝撃力を摩擦エネルギーに代えて吸収することができる。
【0071】
そして、菱型金網5、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9は、衝撃力により弾性変形して引き延ばされ、場合によっては塑性変形領域まで引き延ばされ、これにより衝撃エネルギーが吸収される。この際、端部の支柱3には、防護面4により防護柵1の左右方向内側に倒そうとする力が加わり、この場合の引張領域と圧縮領域である左右に補強材42が位置するため、左右方向の力に対して断面性能を向上することができる。従って、菱型金網5を主体とした防護面4の変形による衝撃吸収効果を確保することができる。
【0072】
このように本実施例では、請求項1に対応して、設置場所たる斜面2に間隔を置いて支柱3,3A,3Bを立設し、これら支柱3,3A,3Bの間に防護面4を設けた防護柵1において、防護面4は、複数の支柱3,3A,3B間に設けた網体たる菱型金網5と、複数の支柱3,3A,3Bの上部間に設けた上横ロープ材6と、複数の支柱3,3A,3Bの下部間に設けた下横ロープ材7と、支柱3,3A,3B間に交差して配置された対をなす斜めロープ材8,9とを備え、支柱3,3A,3Bの下部を斜面2に固定し、端部の支柱3内の左右に補強材42,42を設けたから、防護面4の前面に落石などにより衝撃力を受けると、菱型金網5、上,下横ロープ材6,7及び斜めロープ材8,9が変形することにより衝撃力が吸収される。この際、端部の支柱3には後側以外にも左右中央側に倒そうとする力が加わるが、支柱3内部の左右に設けた補強材42,42により曲げ耐力が向上し、菱型金網5を備えた防護面4の衝撃力吸収効果を向上することできる。
【0073】
このように本実施例では、請求項2に対応して、網体は、該網体を構成する鋼線71の引張強度が880N/mm
2以上の菱型金網5であるから、菱型金網5の変形により衝撃力吸収効果を向上することができ、使用条件により、緩衝装置である緩衝金具51及び緩衝装置61の数が減り、或いは不要になり、現場での施工性が向上する共に、維持管理が容易となる。
【0074】
また、このように本実施例では、請求項
1に対応して、端部の支柱3の前部に縦ロープ材81を設け、この縦ロープ材81に網体たる菱型金網5の端縁5Fを連結し、端部の支柱3の前部に斜め前向きの斜めロープ材用取付部21を設け、この斜めロープ材用取付部21に斜めロープ材8,9の端部を連結したから、斜めロープ材8,9を菱型金網5の後面に沿うか近接した位置に配置して一体化を図ることでき、加わった衝撃力が同時に斜めロープ材8,9に伝わり、菱型金網5と共に斜めロープ材8,9が変形して衝撃力を吸収することができる。また、実施例上の効果として、結合手段たる結合コイル82を用いた場合、菱型金網5と斜めロープ材8,9が近接しているため、両者の結合作業が容易となる。
【0075】
このように本実施例では、請求項
3に対応して、中間の支柱3Aの上部に上側係合部31を設け、この上側係合部31の上部に上横ロープ材6の途中を挿通する挿入受け部33を設けると共に、上側係合部31の下部に対をなす斜めロープ材8,9の一方の途中を挿通する挿入受け部33を設け、中間の支柱3Aの下部に下側係合部31Aを設け、この下側係合部31Aの下部に下横ロープ材7の途中を挿通する挿入受け部33を設けると共に、下側係合部31Aの上部に対をなす斜めロープ材8,9の他方を挿通する挿入受け部33を設けたから、施工においてロープ材6,7,8,9の取付作業性が向上すると共に、防護面4に衝撃力が加わり、ロープ材6,7,8,9に張力が加わった場合、それぞれのロープ材6,7,8,9が別々の挿入受け部33,33に通されているため、ロープ材6,7,8,9同士が干渉することを防止できる。
【0076】
このように本実施例では、請求項
4に対応して、上側係合部31の下部の挿入受け部33には、斜めロープ材8,9の途中を掛装する掛装部たる円柱部32Kが設けられ、この円柱部32Kに筒体たる筒体38を回転可能に外装し、下側係合部31Aの上部の挿入受け部33には斜めロープ材8,9の途中を掛装する掛装部たる円柱部32Kが設けられ、この円柱部32Kに筒体たる筒体38を回動可能に外装したから、斜めロープ材8,9を折り曲げる箇所が筒体38の外面で、その筒体38が回動するため、折り曲げ箇所に無理な力が加わることなく、斜めロープ材8,9の全長に引張力が加わり、衝撃力を吸収することができる。
【0077】
以下、実施例上の効果として、上側において、支柱3,3Bの上から横ロープ材用取付部11,この下に左右斜め外向きの斜めロープ材用取付部21,21、この下に縦ロープ材用取付部16を配置することにより、狭い範囲で干渉することなく、複数のロープ材6,7,8,9,81を取り付けることができる。尚、支柱3,3Bの下側は取付部11,21,21,16の配置は上側と上下逆である。また、支柱3内には、その左右に補強材42,42及び位置決めリブ45A,45Aを補強体41の略全長に設けたから、防護柵1の左右方向内側への曲げ強度を効果的に向上することができる。また、支柱3,3A,3Bの外周に長さ方向の回転止め部材48を周方向に間隔を置いて複数設けたから、製造時の不用意な回転を防止でき、また、掘削孔95に立てこんだ際、該掘削孔95内に充填した充填材との一体化を図ることができる。また、菱型金網5の上縁及び下縁は完全ナックル加工部75を設けているから、菱型金網5が強度的に優れたものとなる。さらに、縦ロープ材81は、上下の折り返し部81K,81Kを端部の支柱3の上下に連結すると共に、上下の折り返し部81K,81Kの間にロープ材前部81Fとロープ材後部81Rを有し、ロープ材前部81Fに網体たる菱型金網5の端縁5Fを連結したから、ループ状の縦ロープ材81のロープ材後部81Rにターンバックル84を設けて縦ロープ材81を所定の張力で取り付け、ロープ材だけからなるロープ材前部81Fに菱型金網5の端縁5Fを連結することができる。