特許第6645014号(P6645014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645014
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】施肥装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20200130BHJP
   A01C 15/04 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   A01C15/00 F
   A01C15/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-37040(P2015-37040)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-158505(P2016-158505A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 孝秀
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−107755(JP,A)
【文献】 特開2012−085566(JP,A)
【文献】 特開2002−106771(JP,A)
【文献】 特開2001−340278(JP,A)
【文献】 実開昭59−006426(JP,U)
【文献】 特開2014−212718(JP,A)
【文献】 実開昭58−167519(JP,U)
【文献】 特開2002−027805(JP,A)
【文献】 特開2000−023518(JP,A)
【文献】 特開平09−107751(JP,A)
【文献】 特開2005−118043(JP,A)
【文献】 実開昭59−000616(JP,U)
【文献】 米国特許第05178333(US,A)
【文献】 実開平02−096814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00− 3/08
A01C 7/00−23/04
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料を収容する施肥ホッパ(1)と、繰出ロール(2)の回転によって前記施肥ホッパ(1)から供給される肥料を繰出す繰出装置(3)と、ブロワ(4)からの送風を通して、前記繰出装置(3)から繰出される肥料を受けて施肥ホース(5)へ送風搬送させる送風筒(6)とを構成する施肥装置において、
前記繰出装置(3)の繰出口(7)と、送風筒(6)との間に、螺旋軸(8)の周面に螺旋面を連続させて形成し、且つこの螺旋軸(8)方向に沿って連続する螺旋面を形成する螺旋翼(9)を有した押出螺旋(10)と、該押出螺旋(10)を押出筒(12)内部に嵌合させた状態で回転して前記繰出口(7)から供給される肥料を押出口(11)へ押出すように軸装する押出筒(12)と、該押出筒(12)の押出口(11)から押し出される肥料を受けて前記送風筒(6)上周部の供給口(13)に供給する供給ホッパ(14)とを配置して、前記繰出口(7)から流下される肥料を押出螺旋(10)の回転で押出しながら送風筒(6)へ供給し、
前記施肥ホッパ(1)直下のホッパ出口(15)と、繰出装置(3)直下の繰出口(7)と、押出筒(12)上側の押込口(16)と、及び前記ブロワ(4)の送風を各送風筒(6)へ案内するエアダクト(17)とを、上下方向に亘って重合形態に配置構成し、これら押出筒(12)乃至前記各送風筒(6)に連通送風するエアダクト(17)の前側部には、運転席(18)後側の左右リアフェンダ(19)間に亘るリアフロア(20)を構成し、前記各押出筒(12)後端部の螺旋軸(8)後端部に、左右横方向に亘る連動軸(21)を連動し、各送風筒(6)の後端部に施肥ホース(5)を着脱可能に連結することを特徴とする施肥装置。
【請求項2】
前記エアダクト(17)、及び送風筒(6)をリアフロア(20)の下側に沿って設けたことを特徴とする請求項1に記載の施肥装置。
【請求項3】
前記送風筒(6)の後端部を、上側の押出筒(12)の後端部よりも後位に突出させて設け、これら押出筒(12)の前端部には、前記リアフロア(20)の上面側から押出螺旋(10)を挿脱可能に取付け、送風筒(6)の後端には、施肥ホース(5)を着脱可能に連結することを特徴とする請求項1または2に記載の施肥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多条施肥形態の施肥機において、施肥条毎に構成される施肥ホース部に送風させる搬送用エアを通すためのエアダクト、及び送風ブロワを小径化、小形化して、施肥装置全体の高さを低く形成して、この施肥ホッパに対する肥料の補給や、多条植形態の苗植装置に対する補助苗の補給等の作用を行い易くする。
【背景技術】
【0002】
繰出装置の後側部にエアダクトを配置して、左右横端部のブロワから吹込まれるエアを横方向へ案内して、各施肥ホースに連通する繰出部に繰出される肥料を噴送する技術構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−212718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアダクトから各施肥ホースに分岐連通して、施肥搬送用噴風を行わせる形態では、このエアダクトが施肥装置の後側部、特にリアフロアの足元部の近くに配置されると、作業者がリアフロア上面部に立って、施肥ホッパに対する肥料の補給作業を行ったり、後部に連結する多条植形態の苗植装置の苗タンクに、マット苗を補給する等の補給作業の邪魔になり易く、手早い安全な作業を行い難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、肥料を収容する施肥ホッパ(1)と、繰出ロール(2)の回転によって前記施肥ホッパ(1)から供給される肥料を繰出す繰出装置(3)と、ブロワ(4)からの送風を通して、前記繰出装置(3)から繰出される肥料を受けて施肥ホース(5)へ送風搬送させる送風筒(6)とを構成する施肥装置において、
前記繰出装置(3)の繰出口(7)と、送風筒(6)との間に、螺旋軸(8)の周面に螺旋面を連続させて形成し、且つこの螺旋軸(8)方向に沿って連続する螺旋面を形成する螺旋翼(9)を有した押出螺旋(10)と、該押出螺旋(10)を押出筒(12)内部に嵌合させた状態で回転して前記繰出口(7)から供給される肥料を押出口(11)へ押出すように軸装する押出筒(12)と、該押出筒(12)の押出口(11)から押し出される肥料を受けて前記送風筒(6)上周部の供給口(13)に供給する供給ホッパ(14)とを配置して、前記繰出口(7)から流下される肥料を押出螺旋(10)の回転で押出しながら送風筒(6)へ供給し、
前記施肥ホッパ(1)直下のホッパ出口(15)と、繰出装置(3)直下の繰出口(7)と、押出筒(12)上側の押込口(16)と、及び前記ブロワ(4)の送風を各送風筒(6)へ案内するエアダクト(17)とを、上下方向に亘って重合形態に配置構成し、これら押出筒(12)乃至前記各送風筒(6)に連通送風するエアダクト(17)の前側部には、運転席(18)後側の左右リアフェンダ(19)間に亘るリアフロア(20)を構成し、前記各押出筒(12)後端部の螺旋軸(8)後端部に、左右横方向に亘る連動軸(21)を連動し、各送風筒(6)の後端部に施肥ホース(5)を着脱可能に連結することを特徴とする施肥装置とする。
【0006】
繰出装置(3)から繰出される繰出口(7)の肥料は、押出螺旋(10)を有した押出筒(12)の押込口(16)に供給されて、この押出螺旋(10)の回転によって押出筒(12)内を後側部へ押出されて、押出口(11)から下側の送風筒(6)の供給ホッパ(14)の供給口(13)へ供給される。ブロワ(4)から吹出されるエアは、エアダクト(17)を通して各送風筒(6)へ分岐するように送風されて、前記供給口(13)からこの送風筒(6)へ供給される肥料を後側の施肥ホース(5)側へ噴送する。
【0007】
この送風筒(6)内へ吹込まれるエアは、一部上側の供給口(13)側へ吹込まれようとするも、この供給ホッパ(14)の上端の押出口(11)に連通する押出筒(12)内周面には、螺旋軸(8)と一体に形成されて回転する螺旋翼(9)の回転外周縁部を、これら押込口(16)と押出口(11)との間に形成の押出筒(12)内周面に接近させて回転する押出螺旋(10)と、この押出螺旋(10)の螺旋間隔部に嵌合させて押出移送される肥料とによって仕切られた形態にあるため、供給口(13)に吹込まれた風圧が直ちに上側繰出口(7)側へ吹き込まれたり、逃げ出すことは阻止されて、送風筒(6)における後側施肥ホース(5)側へのエア搬送力を効果的に維持する。
【0008】
そして、前記押出筒(12)における搬送を押螺旋(10)によって強制的に、画一的に行うものであるから、正確な施肥作用を行わせる。
【0009】
(削除)
【0010】
前記施肥ホッパ(1)から繰出ロール(2)の回転によって繰出される肥料は、ホッパ出口(15)から繰出口(7)、押込口(16)を経て押出筒(12)へ供給され、この押出筒(12)の後部寄りの供給口(13)に案内されて、送風筒(6)へ供給される。このため、肥料の繰出経路は略上下方向に直線状重合形態に並ぶ最短距離の形態にあって、肥料の繰出、施肥を迅速化することができる。
【0011】
最下段部に配置のエアダクト(17)は、リアフロア(20)の前側部に配置されて、施肥ホッパ(1)や、繰出装置(3)等の前側下部の足元スペースが広く開放された形態として、このリアフロア(20)上面の作業者の足元スペースを広くし、補給作業を行い易くする。
【0012】
また、多条施肥の各施肥装置の前側部には、連動軸(21)が、各螺旋軸(8)後端部を左右横方向に亘って配置されて連動構成される。
【0013】
そして、各送風筒(6)の後端部に各施肥ホース(5)を着脱可能に連結していることにより、車体後側部からの連動軸(21)、施肥ホース(5)等の着脱、清掃メンテナンス等を簡単に行うことができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、前記エアダクト(17)、及び送風筒(6)をリアフロア(20)の下側に沿って設けたことを特徴とする請求項に記載の施肥装置とする。
【0015】
前記のように、上下方向に積層状形態に並ぶ施肥装置各部の機構部のうち、最下段のエアダクト(17)と、このエアダクト(17)の後側に連結する送風筒(6)がリアフロア(20)の下側部に横方向に沿って配置されることにより、このフロア(20)上面に突出する施肥装置部の高さが低位置になるので、リアフロア(20)に搭乗して作業するとき、補給作業が行い易くなる。
【0016】
また、これらエアダクト(20)や送風筒(6)が、リアフロア(20)上面に露出しないため、リアフロア(20)足元上面を広く、平坦面に形成して、作業移動を行い易くする。
【0017】
請求項に記載の発明は、前記送風筒(6)の後端部を、上側の押出筒(12)の後端部よりも後位に突出させて設け、これら押出筒(12)の前端部には、前記リアフロア(20)の上面側から押出螺旋(10)を挿脱可能に取付け、送風筒(6)の後端には、施肥ホース(5)を着脱可能に連結することを特徴とする請求項または2に記載の施肥装置とする。
【0018】
施肥装置の最下段部に位置する送風筒(6)の後端部は、この上側部の押出筒(12)の後端部よりも後位に突出させているため、この送風筒(6)の後端部に着脱する施肥ホース(5)の着脱、清掃等のメンテナンス作業を行い易くする。
【0019】
また、押出筒(12)の前端部に着脱する押出螺旋(10)は、前側のリアフロア(20)上面側から押出筒(12)内へ出し入れして着脱操作を行い易くする。しかも、各螺旋軸(8)を連動する連動軸(21)は、前記送風筒(6)の前端部よりも上側位置においてギヤ連動する形態であるから、この連動軸(21)の着脱を邪魔することが防止され、メンテナンス性が向上する。
【0020】
(削除)
【0021】
(削除)
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明は、ブロワ(4)から噴風される送風を送風筒(6)に通して施肥搬送するとき、送風筒(6)に送込まれる肥料の送風力を有効に維持して、施肥を効率的に、能率的に行わせることができる。
【0023】
また、送風筒(6)に吹込まれる風圧が、押出筒(12)内を経て押込口(16)側へ逆流して逃げ出すのを防止することができ、操出ロール(2)による肥料の操出を円滑に行わせることができ、押出螺旋(10)による押出作用を正確に、円滑に行わせる。
【0024】
そして、押出螺旋(10)と押出筒(12)の内周面との間の間隙部を狭くして、押出作用時の風圧の逃げを少なくして、送風力による肥料の搬送効果を有効に高めることができるので、送風筒(6)や、施肥ホース(5)等の施肥搬送経路における肥料詰りや、停滞等を防止して円滑で安定した施肥搬送を行わせることができる。
【0025】
また、施肥装置の前後方向幅の中心部であるホッパ出口(15)、繰出口(7)及び押込口(16)と、エアダクト(17)とを、上下方向に重合させて構成して、前後幅を狭くし、コンパクトな配置形態とする。このエアダクト(17)の後側に送風筒(6)を配置して、供給口(13)を連通させるため、エアダクト(17)と施肥ホッパ(1)との間の全高さを低くし、且つエアダクト(17)と施肥ホース(5)との間の間隔部を短くしコンパクトな構成とすることができる。
【0026】
また、各螺旋軸(8)後端部に対する連動軸(21)の構成を容易にし、これよりも後方へ突出する下段後部の送風筒(6)への施肥ホース(5)の着脱連結を容易化できる。
【0027】
そして、前記施肥ホース(5)よりも上方位置に設ける押出螺旋(10)で肥料を施肥ホース(5)まで移送することにより、搬送風の影響を抑えることができるので、施肥量を安定させることができる。
【0028】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明の効果に加えて、エアダクト(17)、及び送風筒(6)をリアフロア(20)の下側に沿って設けるため、リアフロア(20)の足元部上面を広く形成して、補給作業者がリアフロア(20)上面に立ち易く、補給作業を行い易くする。又、リアフロア(20)上面の施肥装置の突出高さを低くして、コンパクト化して、補給作業を容易化する。
【0029】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の発明の効果に加えて、送風筒(6)の後端部が、上側の押出筒(12)の後端部よりも後側へ突出した形態であるから、押出筒(12)の押出螺旋軸(8)のリアフロア(20)上面からの着脱を容易、簡単に行うことができると共に、送風筒(6)に対する施肥ホース(5)の着脱を後方から容易に行うことができる。
【0030】
また、前記送風エアダクト(17)をリアフロア(20)の下側に配置する形態であっても、各送風筒(6)の後端を後方に突出させて、施肥ホース(5)の着脱を容易化する。
【0031】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】苗移植機の側面図
図2】苗移植機の平面図
図3】施肥装置部の側面図
図4】施肥装置部の正面図
図5】(A)施肥装置部の拡大側断面図、(B)エアダクトの着脱状態を示す側断面図、(C)エアダクトの着脱状態を示す側断面図
図6】実施例を示す施肥装置部の正面図
図7】実施例を示す施肥装置部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面に基づいて、苗移植機は、ステアリングハンドル24の操作で操向する前輪25を車体26の前部フロントアクスルハウジングに軸装し、大きい回転径の後輪27をリヤアクスルハウジングに軸装して、エンジン28、及びミッションケース29等の伝動機構を介して駆動回転して走行できる四輪駆動走行形態のトラクタ車体26を有し、この車体26の後部に、リフトシリンダ30の伸縮によって昇降回動する平行リンク状のリフトリンク31を介して苗植装置32を連結している。
【0034】
車体26上の運転席18の後側にはリアフロア20を形成して、施肥装置33を搭載する。車体26の左右両側部には、前輪25の上側部から後輪27上側部のリアフェンダ34部に亘って覆うサイドフロア34を構成し、この外側にサブフロア35を拡張形成して、これらのフロア34、35上面を搭乗者が移動することによって、前端外側の補助苗載棚37部に積載していたマット苗や、肥量袋を取出しながら、リアフロア20側へ運んで、苗植装置32の苗タンク36へ苗補給したり、施肥装置33の施肥ホッパ1へ肥料を補給することができる。
【0035】
前記苗植装置32は、センタフロート38と、この左右両側部のサイドフロート39とを配置して、苗植フレーム40を支持して、土壌面を滑走しながら、植付土壌面を均平する。この苗植フレーム40上に横幅広く多条植相当数並べた形態の苗タンク36を、前上り傾斜面にして支持し、この苗タンク36の後下端部に沿って形成されるガイドレール41の各苗取口42に対向させて作動する植付装置43を配置し、この植付装置43の先端部の植付爪44を苗取口42に作動させて、苗タンク36から繰出されるマット苗を分離保持して土壌面へ多条植形態に植え付けるものである。
【0036】
前記苗植装置32の前側には、各フロート38、39の前側の土壌面を均す代ロー夕45を設け、苗植装置32の昇降と共にリフトリンク31の上下回動によって昇降することができ、フロート38、39による均平作用を行い易くするものである。
【0037】
前記施肥装置33は、この多条植形態の苗植装置32の前側部において、車体26の後端部に搭載して、苗植作業と同時に施肥作業を可能とする。苗植装置32の各フロート38、39の苗植付位置前部近傍に施肥用の作溝器45を設けて、この作溝器45で形成した作溝部に施肥ホース5の施肥口をのぞませて、施肥装置33から施肥ホース5を介して案内する肥料を、作溝器45で形成の作溝内に流下させて施肥作業を行わせる。この作溝は植付けられた苗条に沿って形成され、施肥直後に覆土器等によって覆土することができる。
【0038】
車体26の後端部には、左右両側部のリアフェンダ19間の中央部位置にリアフレーム46が設けられて、このリアフレーム46上にリアフロア20が支持され、前記リフトリンク31の前端部が上下回動回動自在に連結される。
【0039】
また、この左右リアフェンダ19間に亘ってリアフロア20が形成されて、運転席18の後側部を苗タンク36の横幅方向一杯に亘って覆うように形成している。前記左右リアフレーム46上間に亘って架設した支持フレーム47に、横方向のエアダクト17を支持させて取り付け、このエアダクト17の上側にボード材からなるリアフロア20を敷設する。このリアフロア20の横端部下面にリアフェンダ19の後端上部が連結される。
【0040】
これらリアフロア20、及びエアダクト17は、苗タンク36の横幅と略同等の広幅に形成されて、リアフロア20の上側面に各施肥装置33を配置し、エアダクト17の一側端部にはブロワ4を設けて、エアを吹き込むことができ、他側端部には、残留物を機外へ取出す取出ダクト48や、開閉弁49等を設けて、施肥作業時はこの開閉弁49を閉じておき、残留物取出時は開いてブロワ4からの送風によって残留物(肥料)を取出ダクト48から機外へ取出すことができる。
【0041】
施肥装置33は、車体26後部に連結する苗植装置32の苗植条数と同基数の形態に横並び配置されるもので、繰出ロール2をロール軸49周りに回転することによって、上側の施肥ホッパ1のホッパ出口15から流下供給される粉、粒剤からなる肥料を下側の繰出口7側へ繰出す。
【0042】
この施肥ホッパ1は、複数基毎に一体的に形成されて、底部に漏斗50、及びホッパ出口15を配置形成して、各ホッパ出口15を対向の繰出装置33の繰出ケース51上部の繰込口52に連通させる。このホッパ出口15部には開閉可能のシャッター53を設けている。これら施肥ホッパ−1の中央部に位置するホッパ出口15と、繰出装置3の中心部に位置するロール軸49とは、側面視で上下方向一直線Y上に配置されている。
【0043】
この繰出ケース51の下側に、押出筒12を形成して内部に押出螺旋10を有した押出ケース54を配置し、前記繰出口7から流下される肥料を押込口16に受けて、押出螺旋10の回転によって、後端部の押出口11へ押出して、下側の供給口13へ供給する。この供給口13は上側の押込口16に対して後側へ偏倚した位置に形成されて、螺旋軸8を嵌合させて回転させる押出筒12を介して前後方向に連通される。
【0044】
この押出筒12の前後端面は開口部55、56を形成して、この開口部55の前側から螺旋軸8を嵌合挿通させて、この螺旋軸8の前後端部に嵌合する軸受メタル57、58を開口部55、56に嵌合させて軸受けする。この螺旋軸8の後端部にはギヤ伝動ケース59のベベルギヤ60を嵌合させて、連動軸21から伝動回転する。前記押出筒12の押込口16と押出口11との口端縁間の押出間隔Lを適宜長さに設定して、この押出間隔L部において、数ピッチの螺旋翼9を回転させる。
【0045】
この螺旋翼9は螺旋軸8部の周りに一体的に形成されていて、回転外周縁を押出筒12の内周面に接近させて回転し、この螺旋軸10の回転によって肥料を押込口16から押出口11側へ押し出すときに、送風筒6の風圧が、押出口11から押込口16側へ逃げ出す逃出風量を少なくするように構成している。
【0046】
また、前記押出ケース54下部に、押出口11を形成する供給ホッパ14と、送風筒6とを一体的に成形し、この送風筒6の前端部の送風口61を、エアダクト17のダクト口62に嵌合させて連結し、着脱可能に構成し、送風筒6の後端部には、開口63の周りに球座64を形成して、ホース継手22を方向変更自在に嵌合させて連結する。このホース継手22の吹出口23に可撓性の施肥ホース5の基端部を着脱可能にして連結する。
【0047】
前記供給口13を形成する供給ホッパ14には、吹返し防止板65を設け、上端縁を板軸66の周りに上下回動自在に支持させて、下側の供給口13を吹き上げる風力が強くなると、この吹返し防止板65を上方へ押し上げて、上側の押出口11を閉鎖して、押出筒12内への吹込風力を抑止するように構成している。
【0048】
前記各送風筒6に送風案内するエアダクト17は、各押出筒12の下側部に位置して左右横方向に沿って構成し、前記ホッパ出口15、ロール軸49、押込口16等を通る上下方向直線Yの直下端部に。エアダクト17の中心部を位置させるように配置構成している。
【0049】
前記エアダクト17は、各ダクト口62を送風筒6の送風口61に嵌合させて、エアダクト17の風圧を施肥ホース5側へ送風するが、(図5(B)参照)、この各ダクト口62を送風口61から外すことによって、ダクト口62を下向きにすることによって(図5(C)参照)、このエアダクト17内の残留物や、ダクト口62周りに付着する付着物等を掃除することができる。
【0050】
前記各繰出装置3のロール軸49は、リアフロア20の下部に配置の連動軸66から伝動回転される。また、この連動軸66は、リヤアクスルハウジング内の伝動装置から駆動される伝動軸67を介して伝動される。そして、前記各螺旋軸8を連動する連動軸21は、苗植装置32を連動するPTO軸68の途中位置のベベルギヤ69から連動軸70、及びベベルギヤ71を介して伝動回転する形態である。さらに、前記ブロワ4は、ファンを電動モータによって回転する形態である。
【0051】
次に、図6図7において、前記左右に相隣接して構成される施肥ホッパ1間の間隔部74に、漏斗50部に連通させる正面視Y字状の排出シュート75を設け、この排出シュート75の上端部は、漏斗50の排出口76に連通させて、この排出口76のシャッター77を開くことによって、漏斗50内に残留する肥料を排出シュート75へ取出すことができる。
【0052】
この排出シュート75の下端部78をエアダクト17に連結して、この下端部78のシャッター79を開くことによって排出される残留肥料を取り出し、このエアダクト17に受けて一側端の取出ダクト48へ吹出搬送させることができる。
【0053】
Y字状排出シュート75は、左右に相対向する一対の漏斗50間の間隔部74に配置するため、設定数を少なくすることができ、略直下位置のエアダクト17にのぞませることによって簡単に構成することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 施肥ホッパ
2 操出ロール
3 操出装置
4 ブロワ
5 施肥ホース
6 送風筒
7 操出口
8 螺旋軸
9 螺旋翼
10 押出螺旋
11 押出口
12 押出筒
13 供給口
14 供給ホッパ
15 ホッパ出口
16 押込口
17 エアダクト
18 運転席
19 リアフェンダ
20 リアフロア
21 連動軸
22 ホース継手
23 吹出口
24 ハンドル
25 前輪
26 車体
27 後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7